JP4606904B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
一般に、パワーステアリング装置はステアリングモータ(転舵アクチュエータ)によって補助操舵力を発生させるが、このステアリングモータをレーンキープ・アシストシステムのアシスト用アクチュエータとして兼用する場合がある(例えば、特許文献1参照)。
この場合、パワーステアリング装置においては、操舵入力(例えば、操舵トルク)に応じてステアリングモータの目標電流(目標制御量)を算出してステアリングモータを制御しており、レーンキープ・アシストシステムを作動させるときには、車両と車線の位置関係に応じて算出された補正値に基づいて前記目標電流を補正している。
このように構成することにより、操舵入力検出手段で検出された操舵入力が基準範囲内の状態が第1設定時間以上継続したときは、何らかの原因により操舵入力検出手段からの入力に障害があると疑われるので、このときには前記第2制御手段の補正量を低減することで、車両と車両進行方向車線との位置関係に基づく転舵アクチュエータに対する制御への影響を弱めることができる。
このように構成することにより、操舵入力検出手段または操舵入力検出手段からの入力に障害があるか否かを高精度で判定することができ、障害があると判定されたときには、車両と車両進行方向車線との位置関係に基づく転舵アクチュエータに対する制御への影響をなくすことができる。
このように構成することにより、入力障害の疑いがなくなった時点で、転舵アクチュエータの制御を通常の状態に迅速に復帰することができる。
このように構成することにより、入力障害の疑いが晴れた時点で、転舵アクチュエータの制御を通常の状態に、より迅速に復帰することができる。
このように構成することにより、第2制御手段の補正量を通常の補正量に戻している状態であるときに、操舵入力検出手段で検出された操舵入力が基準範囲内となった場合には、早めに第2制御手段の補正量を低減することで、車両と車両進行方向車線との位置関係に基づく転舵アクチュエータに対する制御への影響を迅速に弱めることができる。
請求項2に係る発明によれば、操舵入力検出手段または操舵入力検出手段からの入力に障害があるか否かを高精度で判定することができるので、誤判定を防止することができる。また、前記障害があると判定されたときには、車両と車両進行方向車線との位置関係に基づく転舵アクチュエータに対する制御への影響をなくすことができるので、操舵入力検出手段からの入力に障害が発生したときに、レーンキープアシスト機能による操舵違和感を低減することができる。
請求項3あるいは請求項4に係る発明によれば、入力障害の疑いがなくなった時点で、転舵アクチュエータの制御を通常の状態に迅速に復帰することができる。
請求項5に係る発明によれば、入力障害の疑いが複数回目のときに、車両と車両進行方向車線との位置関係に基づく転舵アクチュエータに対する制御への影響を迅速に弱めることができる。
この車両用操舵装置は、運転者がステアリングホイールを操作したときに操舵力をアシストする所謂パワーステアリング装置としての機能(以下、パワーアシスト機能という)と、車両進行方向道路の車線に沿って車両が走行するように操舵を補助する機能(以下、レーンキープアシスト機能という)を備えている。
また、車体の適所には、各前輪9の車輪速を検出するための車輪速センサ17、車両のヨーレートを検出するためのヨーレートセンサ18、アクセルペダルの踏み込み量を検出するためのアクセルセンサ19、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するためのブレーキセンサ20、車両前方を撮影するCCDカメラ21、車両前方に変調波を発進するミリ波レーダ装置22、レーンキープ・アシストシステムの作動(ON)と非作動(OFF)を選択するためのモード切替スイッチ23が取り付けられている。
なお、レーンキープアシスト制御装置31、ステアリング制御装置32、画像処理制御装置33、レーダ出力処理制御装置34はいずれもマイクロコンピュータで構成されており、レーンキープアシスト制御装置31とステアリング制御装置32は相互に必要な情報を通信可能に接続されている。
EPSアシストトルク算出部41は、運転者がステアリングホイール3を操作したときの操舵力を補助するために必要なステアリングモータ10の制御量を算出するものであり、操舵トルクセンサ16と車輪速センサ17の各出力信号に基づいて、運転者の操舵力を補助するアシストトルクに対応する目標電流(以下、EPSアシスト目標電流という)Iaを算出する。このEPSアシスト目標電流Iaの算出方法は従来の電動パワーステアリングと同じであるので詳細説明は省略するが、概略、操舵トルクが大きくなるにしたがってEPSアシスト目標電流Iaが大きくなり、車速が大きくなるにしたがってEPSアシスト目標電流Iaが小さくなるように設定される。なお、車速は車輪速センサ17の出力信号に基づいて算出される。
そして、ステアリングモータ10に流れる実電流が目標電流と一致するようにステアリングモータ10への出力電流を制御し、駆動回路35を介してステアリングモータ10に供給することにより、ステアリングモータ10の出力トルクを制御する。
また、LKASアシストトルク算出部42と補正係数算出部43は、車両と車両進行方向車線との位置関係を認識し該位置関係に応じて算出される補正値(レーンキープアシスト目標電流IL)に基づいて前記目標制御量(EPSアシスト目標電流Ia)を補正する第2制御手段を構成する。
モード切替スイッチ23をOFFにしてレーンキープ・アシストシステム非作動を選択した場合(以下、EPSモードという)には、LKASアシストトルク算出部42はレーンキープアシスト目標電流ILをゼロとし、EPSアシストトルク算出部41で算出されるEPSアシスト目標電流Iaによりステアリングモータ10の出力制御が実行される。
まず、ステップS101においてモード切替スイッチ23がONか否か(すなわちレーンキープモードか否か)を判定する。ステップS101における判定結果が「NO」(EPSモード)である場合は、目標電流Itを補正する必要がないのでリターンに進む。この場合、補正係数算出部43は補正係数K=1を算出する。
ステップS101における判定結果が「YES」である場合はステップS102に進み、操舵トルクセンサ16で検出された操舵トルク(以下、検出トルクという)が予め設定した所定の故障基準範囲(基準範囲)内か否かを判定する。前記故障基準範囲は操舵トルクセンサ入力障害の判定基準となる範囲であり、この実施例ではゼロ近傍に設定されている。
ステップS102における判定結果が「YES」(故障基準範囲内)である場合は、ステップS103に進み、故障カウンタのカウントを開始して、検出トルクが故障基準範囲内に入った時点(図4、図5においてt0)からの経過時間tを計測する。
ステップS104における判定結果が「NO」(t<T1)である場合は、目標電流Itを補正する必要がないのでリターンに進む。この場合、補正係数算出部43は補正係数K=1を算出する。
ステップS106における判定結果が「YES」(基準範囲内)である場合は、ステップS107に進んで前記故障カウンタのカウントを継続し、さらにステップS108に進んで、経過時間tが予め設定された第2設定時間T2以上になったか否かを判定する。第2設定時間T2は、操舵トルクセンサ入力障害を確定するための保持時間であり、第1設定時間T1よりも長い時間に設定されている(T2>T1)。
一方、ステップS108における判定結果が「YES」(t≧T2)である場合は、ステップS109に進んで操舵トルクセンサ入力障害であると確定して補正係数Kをゼロにし、さらにステップS110に進み図示しない警告灯を点灯して本ルーチンの実行を終了する。図4は、このように操舵トルクセンサ入力障害が確定される場合のタイムチャートである。
このように、経過時間tが第2設定時間T2以上になったときに操舵トルクセンサ入力障害と確定するので、誤判定を防止することができ、判定精度が高い。そして、操舵トルクセンサ入力障害と判定したときには、補正係数Kをゼロにするので、レーンキープアシスト機能に基づくステアリングモータ10の制御を停止することができる。したがって、操舵トルクセンサ入力障害が発生したときに、レーンキープアシスト機能による操舵違和感を低減することができる。
ステップS111においては、正常復帰モードの処理を実行して、レーンキープアシスト機能に基づくステアリングモータ10の目標電流Itへの影響を徐々に増大し、入力障害のない正常時に復帰させていく。そのために、正常復帰モードでは、補正係数算出部43において、検出トルクが故障基準範囲外となってからの経過時間にしたがって「1」に接近するように徐々に増大する補正係数Kが算出される。
また、この実施例では、操舵トルクセンサ16の検出トルクが故障基準範囲外となった瞬間の検出トルク値に応じて補正係数Kの増加率を変えており、前記検出トルク値が大きいほど補正係数Kの増加率を大きくしている。これは、故障基準範囲外となったときの操舵トルクが大きいときほど、正常時の状態に復帰するまでの時間を短くするためである。
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、前述した実施例では操舵トルクセンサ16の検出トルクが故障基準範囲内に入った時点からの経過時間tに応じて補正係数Kを減少したが、操舵トルクセンサ16の検出トルクが故障基準範囲内に入った時点からの検出トルクの積算値に応じて補正係数Kを減少するようにしてもよい。
また、前述した実施例では、EPSアシスト目標電流Iaをレーンキープアシスト目標電流ILで補正した目標電流Itに対して補正係数Kを乗じているが、レーンキープアシスト目標電流ILに対して補正係数Kを乗じて補正し、この補正後のレーンキープアシスト目標電流(IL・K)でEPSアシスト目標電流Iaを補正して目標電流Itを算出してもよい(It=Ia+IL・K)。勿論、この場合には目標電流Itに補正係数Kを乗じない。
また、第1設定時間T1を超えた継続時間に応じてステアリングモータ10の制御量を低減する方法は、前述実施例の乗算による方法に代えて減算による方法を採用することも可能である。
さらに、検出トルクそのものではなく、バンドパスフィルタ等によって、検出トルクの所定周波数帯を用いるようにしてもよい。
10 ステアリングモータ(転舵アクチュエータ)
16 操舵トルクセンサ(操舵入力検出手段)
41 EPSアシストトルク算出部(第1制御手段)
42 LKASアシストトルク算出部(第2制御手段)
43 補正係数算出部(第2制御手段)
Claims (5)
- 車両の転舵輪を転舵する転舵アクチュエータと、
運転者の操舵入力を検出する操舵入力検出手段と、
前記操舵入力検出手段で検出された操舵入力に応じて前記転舵アクチュエータに対する目標制御量を算出する第1制御手段と、
前記車両と車両進行方向車線との位置関係を認識し該位置関係に応じて算出される補正値に基づいて前記目標制御量を補正する第2制御手段と、
を備え、前記目標制御量にしたがって前記転舵アクチュエータを制御する車両用操舵装置において、
前記操舵入力検出手段で検出された操舵入力が基準範囲内の状態が第1設定時間以上継続したときに、前記第1設定時間を超えた継続時間に応じて前記第2制御手段の補正量を低減することを特徴とする車両用操舵装置。 - 前記操舵入力検出手段で検出された操舵入力が前記基準範囲内の状態が第1設定時間よりも長い第2設定時間以上継続したときには、前記操舵入力検出手段または操舵入力検出手段からの入力に障害があると判定し、前記第2制御手段による補正を停止することを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵装置。
- 前記操舵入力検出手段で検出された操舵入力が前記第1設定時間から第2設定時間の間に前記基準範囲から外れたときには、前記第2制御手段の補正量を徐々に前記第1設定時間経過前の通常の補正量に戻していくことを特徴とする請求項2に記載の車両用操舵装置。
- 前記操舵入力検出手段で検出された操舵入力が前記第1設定時間から第2設定時間の間に前記基準範囲から外れた度合いが大きいほど、前記通常の補正量に戻るまでの時間を短くすることを特徴とする請求項2に記載の車両用操舵装置。
- 前記第2制御手段の補正量を前記通常の補正量に戻している状態であるときに、前記操舵入力検出手段で検出された操舵入力が前記基準範囲内となった場合には、該基準範囲内となってから前記第1設定時間よりも短い所定時間経過後に該基準範囲内になってからの継続時間に応じて前記第2制御手段の補正量を低減することを特徴とする請求項3に記載の車両用操舵装置。
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