JP4604568B2 - 車両の発進摩擦要素制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、エンジンと変速機との間に配置した発進摩擦要素の伝達トルクを制御する車両の発進摩擦要素制御装置に関する。
この種の技術としては、すべり式発進クラッチを使用した自動変速機があり、発進クラッチの入、出力回転数の差が設定値以上の時にはすべり制御し、この回転数差が設定値以下となった時点で発進クラッチを完全結合させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特公平6−1089号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、シフトレバーが停止位置にあるときには、発進クラッチへの油圧の供給がマニュアル弁により阻止され、発進クラッチが完全解放状態になので、暖機運転中はエンジンのみ暖機され、変速機内の油は暖められないという欠点があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、シフトレバーを停止位置にした停車時における暖機運転中に、エンジンのみならず変速機の暖機をも促進できる車両の発進摩擦要素制御装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明では、エンジンと変速機との間に発進摩擦要素を配置した車両の発進摩擦要素制御装置において、シフトトレバーを停車位置にした車両停止中の暖機運転時に発進摩擦要素をスリップさせて暖機運転を行う暖機運転制御手段を備え、前記変速機が、油圧源と前記発進摩擦要素との間を、前記シフトレバーに連動し、前記シフトレバーの走行位置選択時に連通し、前記シフトレバーの停車位置選択時に遮断するマニュアル弁と 前記マニュアル弁を迂回して前記油圧源と前記発進摩擦要素との間を連通するバイパス油路と、前記暖機運転時に前記バイパス油路を連通又は遮断するように切り替える制御弁とを備えている。
本発明では、車両の発進摩擦要素制御措置にあっては、暖機運転中に発進摩擦要素をスリップさせて得た摩擦熱を発熱源として変速機を、停車したままで暖機することができる。
以下、本発明の車両の発進摩擦要素制御装置を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。
まず、本実施例1の車両の発進摩擦要素制御装置の構成を説明する。
図1は、本実施例1の車両の発進摩擦要素制御装置を備えたベルト式無段変速機搭載車の駆動系と制御系との構成を示す全体システム図である。
ベルト式無段変速機搭載車は、エンジン1と、エンジン1の振動を低減するトーショナルダンパ3と、発進クラッチを有する前後進切換機構6と、入出力間で無段変速するベルト式無段変速機構19と、この出力を減速する出力ギヤ12およびドライブギヤ13と、ディファレンシャルギヤ14および左右のドライブシャフト15、16を介して駆動される左右の駆動輪17、18と、を備えている。
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等からなり、このエンジン出力軸2がトーショナルダンパ3の入力部に連結されている。
トーショナルダンパ3は、エンジン出力軸2に連結された入力部とクラッチ入力軸5に連結された出力部とが、トーショナルスプリングを介して相対回転可能に連結されるように構成されている。なお、その出力部には、これと一体回転するフライホイール4が固定されている。
前後進切換機構6は、回転方向やギヤ比が切り換え可能な単純遊星歯車22と、前進時に締結する前進クラッチ20と、後退時に締結する後退ブレーキ21と、を備えている。なお、発進クラッチは前進クラッチ20と後退ブレーキ21の総称で本発明の発進摩擦要素を構成する。
単純遊星歯車22は、クラッチ出力軸7と同心上で回転するサンギヤ22sと、このサンギヤ22sの外周でこれと噛み合う複数のピニオン22pと、ピニオン22pに噛み合うリングギヤ22rと、ピニオンを回転自在に支持するキャリア22cと、を備えている。サンギヤ22sは前進クラッチ20のドリブン側部分およびクラッチ出力軸7に、またキャリア22cは後退ブレーキ21の被固定側部分に、またリングギヤ22rは前進クラッチ20のドライブ側部分にそれぞれ連結されている。
前進クラッチ20は、クラッチ入力軸5に連結されたドライブ側部分とクラッチ出力軸7に連結されたドリブン側部分との間に複数のプレートが介在されて、図示しないピストンにクラッチ油圧を作用させることによりプレートを押圧して入出力間で動力伝達可能となる締結状態と、ピストンに作用するクラッチ油圧を排出することにより出力側部分に動力を伝達不能となる解放状態と、に切り換え可能に構成される。
後退ブレーキ21は、変速機ケース23の内側固定部分とキャリア22cに連結された被固定側部分との間に複数のプレートが介在され、図示しないピストンにブレーキ油圧を作用させることによりプレートを押圧して被固定側部分に一体のキャリア22cを回転不能に固定する締結状態と、ピストンに作用するブレーキ油圧を排出することにより被固定側部分およびキャリア22cを回転可能にする解放状態と、に切り換え可能に構成される。
ベルト式無段変速機構19は、この入出力軸間の変速比を無段で変更するものであり、クラッチ出力軸7に連結されたプライマリプーリ8と、セカンダリプーリ軸11に連結されたセカンダリプーリ10と、プライマリプーリ8およびセカンダリプーリ10間に掛け渡されたCVTベルト9と、を備えている。プライマリプーリ8およびセカンダリプーリ10は、それぞれ固定シーブ8a、10aやこの固定シーブ8a、10aに対し接近、離反する可動シーブ8b、10b等を有する。また、プライマリプーリ8の可動シーブ8bの背面にはプライマリプーリ油室33が設けられ、このプライマリプーリ油室33へ供給する油圧を油圧コントロールユニット32にて制御することにより、可動シーブ8bを固定シーブ8aに対して接近、離反させるように相対移動させることで変速する構成としてある。なお、オイルタンク30が設けられ、このオイルタンク30から油をオイルポンプ31が吸引して得た圧油が油圧コントロールユニット32へ供給されるようにしてある。
図2は油圧コントロールユニット32内の前進クラッチ20への圧油を制御する前進クラッチソレノイド44付近の油圧回路の略図である。油圧源50から油圧が供給される前進クラッチソレノイド44と発進摩擦要素としての前進クラッチ20の間にはマニュアル弁51が設けられ走行時に連通され、停車時に遮断される油路53と、マニュアル弁51を迂回しON/OFFソレノイド弁52が設けられた暖機運転時に使用されるバイパス油路54と、が設けられている。ON/OFFソレノイド弁52は本発明の制御弁を構成する。なお、後退ブレーキソレノイド45と後退ブレーキ21との間にもマニュアル弁51が設けられた油路53(マニュアル弁51の上流部分は油路53と共有、マニュアル弁51の下流部分は図示せず)が設けられいる。
次に、本実施例1のベルト式無段変速機搭載車の制御系につき、図1に基づき説明する。
この制御系は、エンジン1を制御するエンジンコントローラ40と、前後進切換機構6やベルト式無段変速機構19の油圧コントロールユニット32を制御するトランスミッションコントローラ41と、これらのコントローラに接続されたセンサ類と、を備えている。
エンジンコントローラ40には、それぞれ図示を省略するが、アクセルペダルの踏み込む度合いを検出するアクセル開度センサと、エンジン1のエンジン出力軸2の回転数を検出するエンジン回転数センサと、が接続されており、これらから入力されるアクセル開度情報およびエンジン回転数情報を利用してエンジン1を制御するとともに、これらの情報をトランスミッションコントローラ41に対して出力するようにしてある。
一方、トランスミッションコントローラ41には、シフトレバーの位置を検出するシフトレバーセンサ42およびベルト式無段変速機構19内の油温を検出するAT油温センサ43が接続されており、これらからシフトレバー位置情報、AT油温情報が入力される。
また、トランスミッションコントローラ41には、前進クラッチ20への供給油圧を制御する前進クラッチソレノイド44と、後退ブレーキ21への供給油圧を制御する後退ブレーキソレノイド45とが接続されている。トランスミッションコントローラ41は、上記各センサ類からの情報に基づき、前進クラッチ20、後退ブレーキ21をそれぞれ完全締結状態、スリップ状態、解放状態に切り換えるように前進クラッチソレノイド44および後退ブレーキソレノイド45を制御するようにしてある。なお、トランスミッションコントローラ41は、さらに油圧コントロールユニット32内に設けた図示しないソレノイドバルブにてプライマリプーリ油室33への供給油圧を制御するようにしてある。
ベルト式無段変速機構19のセカンダリプーリ10側のセカンダリプーリ軸11の端部には出力ギヤ12が固定され、この出力ギヤ12より大径のドライブギヤ13に噛み合わされる。
ドライブギヤ13には、ディファレンシャルギヤ14の2個のピニオンが固定され、これらのピニオンに左右からそれぞれサイドギヤが噛み合わされる。各サイドギヤには、ドライブシャフト15、16が連結されて左右の駆動輪17、18を駆動するように構成してある。
次に、作用を説明する。
[車両停止時]
エンジン1が停止しているときは、オイルポンプ31が駆動されず油圧を発生しないため、前進クラッチ20、後退ブレーキ21ともに解放状態にあり、かつベルト式無段変速機構19も動力を伝達不能な状態となっている。
エンジン1が稼動しているときは、オイルポンプ31が駆動されて圧油を油圧コントロールユニット32へ供給している。このとき、エンジンコントローラ40は、アクセル開度センサから入力されたアクセル開度情報、エンジン回転数センサから入力されたエンジン回転数情報等に基づきエンジン1を制御している。
また、油圧コントロールユニット32は、シフトレバーセンサ42、エンジンコントローラ40からそれぞれ読み込んだシフトレバー位置情報、アクセル開度情報に基づき以下のように前進クラッチ20および後退ブレーキ21へ圧油の供給を制御する。
すなわち、トランスミッションコントローラ41が、シフトレバーセンサ42からのシフトレバー位置情報に基づきP(パーク)位置を検出している状態であり、かつAT油温センサ43から油温が所定値より高いと判断しているときは、暖機運転を行わない。この場合、図3に示すようにシフトレバーに連動するマニュアル弁51は、前進クラッチソレノイド44と前進クラッチ20の間の油路53を遮断し、ON/OFFソレノイド弁52もOFFの状態でバイパス油路54を遮断している。また、前進クラッチソレノイド44もOFF状態にあって油路53へは圧油を供給しない。したがって、このとき前進クラッチ20へ圧油がまったく供給されず、前進クラッチ20は解放されている。また後退ブレーキ21にもマニュアル弁51及びON/OFFソレノイド弁52側から圧油が供給されず、後退ブレーキ21は解放されている。この結果、前後進切換機構6は、ニュートラル状態となっている。
一方、トランスミッションコントローラ41が、シフトレバーセンサ42からのシフトレバー位置情報に基づきP(パーク)位置を検出している状態であり、かつAT油温センサ43から油温が所定値以下であると判断しているときは、暖機運転を行う。この場合、図4に示すようにマニュアル弁51は前進クラッチソレノイド44と前進クラッチ20の間の油路53を遮断しているが、ON/OFFソレノイド弁52はONの状態であり、バイパス油路54を連通している。このとき、トランスミッションコントローラ41が前進クラッチソレノイド44を制御して、前進クラッチ20に完全締結時より低く前進クラッチ20がスリップする大きさの圧油を供給する。このとき前進クラッチ20はスリップによる発熱で変速機内の油温を上昇させる。なお、暖機運転時にスリップを前進クラッチ20で行わずに後退ブレーキ21で上記前進クラッチ20の場合と同様に行っても良いし、両方で行っても良い。
なお、暖機運転中であってもON/OFFソレノイド弁52に異常が発生したときには、ON/OFFソレノイド弁52が自動的にOFFの状態になり、バイパス油圧回路が遮断される。
[車両発進時]
エンジン1が稼動状態にあって、シフトレバーが非走行位置からD(ドライブ)位置などの前進走行位置に移動させられたときは、図5に示すように油圧コントロールユニット32内のマニュアル弁51が油路53を連通し、またトランスミッションコントローラ41が前進クラッチソレノイド44を制御して前進クラッチ20へ圧油を供給し始めるように制御する。このとき、前進クラッチ20へ供給される油圧の大きさは、第1の設定時間が経過するまでは完全締結圧より低い油圧とされ、前進クラッチ20をスリップ状態とする。これにより、前進クラッチ20が高圧で急激に締結されることにより生じる締結ショックを回避しながら、エンジンから出力された動力の一部を熱に変え、残りの動力をクラッチ出力軸7に出力する。なお、ON/OFFソレノイド弁52は、OFFの状態でバイパス油路54を遮断している。
この状態にあっては、前進クラッチ20がスリップしているので、前後進切換機構6のサンギヤ22sおよび前進クラッチ20のドリブン側部分に直接連結されたクラッチ出力軸7は、前後進切換機構6のリングギヤ22rよりそのスリップ分だけ遅く回転されるとともに伝達動力も小さくなっている。
このようにしてクラッチ出力軸7へ伝えられた動力は、さらにベルト式無段変速機構19へ伝達され、ここで減速されてセカンダリプーリ軸11へ出力され、次いで出力ギヤ12、ドライブギヤ13、ディファレンシャルギヤ14、ドライブシャフト15、16の順にこれらを介して駆動輪17、18へ伝わる。この結果、車両は発進し、前進していく。なお、この前進走行位置では、後退ブレーキ21へは圧油が供給されず、後退ブレーキ21は解放状態となっている。
上記スリップ制御を開始してから第1の設定時間が経過した後、トランスミッションコントローラ41は、クラッチ入力軸回転センサから得たクラッチ入力軸回転情報とクラッチ出力軸回転センサから得たクラッチ出力軸回転情報とに基づき前進クラッチ20の入出力回転数差を計算し、この入出力回転数差に応じて前進クラッチ20に供給される油圧を徐々に立ち上げ、最終的にスリップしない大きさ、すなわちエンジントルク以上のクラッチトルクとなる完全締結状態に制御する。
一方、シフトレバーが非走行位置からR(リバース)位置へ移動されたときは、油圧コントロールユニット32内のマニュアル弁51が解放され、トランスミッションコントローラ41が後退ブレーキソレノイドを制御して後退ブレーキ21へ完全締結に必要な油圧より低くした圧油を第2の設定時間が経過するまで供給する。この結果、後退ブレーキ21は、スリップしてエンジン1から出力された動力の一部を熱に変えながら残りの動力をクラッチ出力軸7に伝達する。なお、ON/OFFソレノイド弁52はOFFの状態でバイパス油路54を遮断している。
すなわち、この状態では、キャリア22cはブレーキがかかった状態で回転するので、エンジン1からクラッチ入力軸5およびこれと一体のリングギヤ22rに伝えられた動力は、その一部がキャリア22cを介して後退ブレーキ21をスリップ状態にするとともに、その残りの動力がリングギヤ22rからピニオン22pを介してサンギヤ22sに伝わるが、このサンギヤ22sの回転方向は、クラッチ入力軸5の回転方向と逆向きとなる。サンギヤ22sに伝えられた動力は、クラッチ出力軸7、ベルト式無段変速機構19等を介して駆動輪17、18に伝達される。なお、この後退位置では、前進クラッチ20には油圧が供給されず、前進クラッチ20は解放状態となっている。
この後退時にあっても、後退ブレーキ21へ供給される油圧は、前進発進時と同様に、スリップ制御を開始してから第2の設定時間が経過した後に徐々に立ち上げられ、最終的に完全締結される。
[発進後の車両走行時]
上述のように、前進走行位置で発進した後、第1の設定時間が経過すると、トランスミッションコントローラ41が前進クラッチソレノイド44を制御して前進クラッチ20への供給油圧をクラッチ入出力回転数差に応じて高めていき、最終的に前進クラッチ20でのクラッチトルクがエンジントルク以上となるように前進クラッチ20をスリップなしの完全締結状態にする。このとき、油圧コントロールユニット32では、図5が示すようにマニュアル弁51を介して前進クラッチ20に圧油が供給されている。なお、ON/OFFソレノイド弁52はOFFの状態でバイパス油路54を遮断している。
この状態では、前後進切換機構6のサンギヤ22sがリングギヤ22rと同じ回転数となるので、キャリア22cを含めこれらが一体となって回転する。したがって、クラッチ出力軸7は、クラッチ入力軸5と同一方向かつ同一回転数で回転することとなり、エンジン1の動力は、そのままベルト式無段変速機構19に入力される。
ベルト式無段変速機構19は、トランスミッションコントローラ41によりその変速比が制御される。すなわち、トランスミッションコントローラ41にて図示しない車速センサから得た車速情報、エンジンコントローラ40から得たスロットル開度情報やエンジン回転数情報等に基づいて目標変速比が決定され、この目標変速比となるようにプライマリプーリ油室33へ供給する油圧が調整されて、プライマリプーリ8およびセカンダリプーリ10の可動シーブが変位させられる。この変速比に応じて得られたベルト式無段変速機構19の出力は、出力ギヤ12、ドライブギヤ13、ディファレンシャルギヤ14、およびドライブシャフト15、16を介して左右の駆動輪17、18に伝わり、駆動輪17、18を駆動して車両を前進走行させる。
一方、後退走行時にも、後退ブレーキ21をスリップさせながら後方へ発進し第2の設定時間が経過したら、トランスミッションコントローラ41が後退ブレーキソレノイド45を制御して後退ブレーキ21への供給油圧をクラッチ入出力回転数差に応じて高めていき、最終的に後退ブレーキ21でのブレーキトルクがエンジントルク以上となるように後退ブレーキ21をスリップなしの完全締結状態にする。このとき、油圧コントロールユニット32では、図5が示すようにマニュアル弁51を介して前進クラッチ20に圧油が供給されている。なお、ON/OFFソレノイド弁52はOFFの状態でバイパス油路54を遮断している。
この完全締結状態では、エンジン1からほぼそのまま入力されてきた動力は、クラッチ入力軸5に接続された前後進切換機構6のリングギヤ22rに伝達されるが、回転不能に固定されたキャリア22c上でピニオン22pを自転させ、これに噛み合うサンギヤ22sを増速逆転させる。この逆転された出力は、ベルト式無段変速機構19に入力され、回転方向が異なるが上記前進走行時の場合と同様に、駆動輪17、18に伝達される。
[暖機運転制御]
図6は実施例1のトランスミッションコントローラ41にて実行される前進クラッチ制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、本実施例1では前進クラッチ20のみを使用するが、後退ブレーキ21を使用することをも可能でこの場合においても前進クラッチ20の場合と同様の制御を行う。
ここでは、まずシフトレバーセンサ42によりシフトレバーがP位置にあることを検出した停車状態で、かつAT油温センサ43により変速機の油温が所定値以下であり暖機を必要とすることが確認された後の暖機運転処理の流れを示す。
ステップS1では、クラッチトルクTcを規定クラッチトルクに設定し、ステップS2へ移行する。この規定クラッチトルクはパーキングギヤの保持トルクにより車両が動き出さない大きさの中でできるだけ最大となるトルクを設定し、前進クラッチ20をスリップ状態としてベルト式無段変速機構19の暖機を促進する。なお、ステップS1は本発明の暖機運転制御手段を構成する。
ステップS2では、前進クラッチ20の摩擦によるクラッチ発熱量Qを算出し、ステップS3へ移行する。クラッチ発熱量QはクラッチトルクTcと、エンジン回転速度Neと、規定クラッチトルク発生開始からの経過時間Δtと、の積によって算出される。
ステップS3では、クラッチ発熱量Qが許容発熱量以上であるか否かを判断し、YESであればステップS4へ移行し、NOであればステップS2を繰り返して前進クラッチを発熱させる。なお、許容発熱量は前進クラッチ20の耐力等を考慮し算出又は実験にて予め得られた値である。
ステップS4では、前進クラッチ20の発熱量が許容発熱量以上であるので、前進クラッチ20を解放し、前進クラッチ20の冷却を行う。ステップS5で冷却時間tが規定冷却時間を超えるまで前進クラッチ20の解放を行う。規定冷却時間を超えるとステップS6へ移行する。なお、規定冷却時間は本発明の所定時間に相当し、前進クラッチ20の冷却速度を考慮し算出または実験にて予め得られた値である。
ステップS6では、AT油温センサ43で検出した変速機内の油温Tが規定油温より大きいか否かを判断し、YESであれば暖機運転を終了し、NOであればステップS1へもどって暖機運転を繰り返す。なお、規定油温は変速機内の循環や油圧回路の応答性等を考慮し算出または実験にて予め得られた値である。
図7は暖機運転中の前進クラッチ20のクラッチ発熱量QとクラッチトルクTcと
の様子を示すタイムチャートである。また同図中、クラッチ発熱量QやクラッチトルクTcの大きさは実際の大きさではなく、それらの変化の傾向を模式的に示すものである。
前進クラッチ20はクラッチトルクTcにより締結されるとスリップし発熱する。時間t1で発熱量は許容発熱量に達したので、クラッチトルクTcを0にして前進クラッチ20は解放する。その後、規定冷却時間を経て時間t2で再び前進クラッチ20を規定クラッチトルクで締結する。これを変速機内の油温Tが規定油温に達するまで繰り返す。
次に、本実施例1の発進摩擦要素制御装置の効果を説明する。
(1)車両が停止していても、暖機運転時には前進クラッチソレノイド44と前進クラッチ20との間の油路53をON/OFFソレノイド弁52により連通させ、前進クラッチ20に圧油を供給できるようにしたので、前進クラッチ20のスリップにより発熱をさせて、変速機内の油温を迅速に上昇させることができる。したがって、暖機運転時間を短縮化でき、迅速な油圧回路応答性の確保や燃費の向上を達成できる。
(2)マニュアル弁51を迂回するバイパス油路54と、ON/OFFソレノイド弁52と、を既存の油圧回路に追加するだけなので、停車中に暖機運転を行うための構造を最小限の変更により実現でき、コストの削減を達成できる。
(3)本発明の制御弁にON/OFFソレノイド弁52を使用したので、制御弁であるON/OFFソレノイド弁52に異常が発生した場合には、OFFの状態になりバイパス油路54を遮断するので、ON/OFFソレノイド弁52に異常が発生時にも安全性を確保できる。
(4)暖機運転中に前進クラッチ20の発熱量を監視し、発熱量が許容発熱量以上になった場合には、前進クラッチ20を解放し、前進クラッチ20が冷却された後、前進クラッチ20を再び締結してスリップさせ発熱させるようにしたので、前進クラッチ20は許容発熱量を超えることなく、前進クラッチ20の耐力の向上が達成できる。
(5)暖機運転中の前進クラッチ20のクラッチトルクは、パーキングギヤの保持トルクにより車両が動き出さない大きさのうちできるだけ最大となるクラッチトルクにするので、前進クラッチ20のスリップによる発熱量が大きく、迅速に変速機内の油温を上昇できる。したがって、暖機時間を短縮でき迅速な油圧回路応答性の確保や燃費の向上を達成できる。
(6)前進クラッチ20のスリップ低減の開始から所定時間経た後、暖機が必要な場合は、前進クラッチ20を再度スリップさせるようにしたので、前進クラッチ20が許容発熱量を超えることを防止して、速やかに暖機できる。
なお、上記(1)〜(6)は、前進クラッチ20を用いる代わりに、後退ブレーキ21単独、あるいは前進クラッチ20と後退ブレーキ21との両方を用いる場合にも適用でき、同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の車両の発進クラッチ制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加は許容される。
実施例1では、発進摩擦制御装置をベルト式無段変速機搭載車の前進クラッチと後退ブレーキの締結制御に適用する例を示したが、有段自動変速機搭載車やトロイダル式無段変速機搭載車や自動MT搭載車やハイブリッド車や電気自動車等、要するに発進時に締結し駆動源からの入力トルクを伝達する発進摩擦要素を有する様々な車両に適用することができる。
実施例1に係る、発進摩擦要素制御装置が適用されたベルト式無段変速機搭載車の駆動系と制御系を示す全体システム図である。 実施例1に係る、油圧コントロールユニット内の前進クラッチソレノイド付近の油圧回路略図である。 実施例1に係る、暖機運転を行わない場合の車両停止時における油圧コントロールユニット内の前進クラッチソレノイド付近の油圧回路略図である。 実施例1に係る、暖機運転を行う場合の車両停止時における油圧コントロールユニット内の前進クラッチソレノイド付近の油圧回路略図である。 実施例1に係る、走行時の油圧コントロールユニット内の前進クラッチソレノイド付近の油圧回路略図である。 実施例1に係る、トランスミッションコントローラにて実行される前進クラッチ制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1に係る、トランスミッションコントローラにて実行される前進クラッチ制御処理のタイムチャートである。
符号の説明
1 エンジン
2 エンジン出力軸
3 トーショナルダンパ
4 フライホイール
5 クラッチ入力軸
6 前後進切換機構
7 クラッチ出力軸
8 プライマリプーリ
9 CVTベルト
10 セカンダリプーリ
11 セカンダリプーリ軸
12 出力ギヤ
13 ドライブギヤ
14 ディファレンシャルギヤ
15 ドライブシャフト
19 ベルト式無段変速機構
20 前進クラッチ
21 後退ブレーキ
22 単純遊星歯車
23 変速機ケース
30 オイルタンク
31 オイルポンプ
32 油圧コントロールユニット
33 プライマリプーリ油室
40 エンジンコントローラ
41 トランスミッションコントローラ
42 シフトレバーセンサ
43 AT油温センサ
44 前進クラッチソレノイド
45 後退ブレーキソレノイド
50 油圧源
51 マニュアル弁
52 ソレノイド弁
53 油路
54 バイパス油路

Claims (6)

  1. エンジンと変速機との間に発進摩擦要素を配置した車両の発進摩擦要素制御装置において、
    シフトトレバーを停車位置にした車両停止中の暖機運転時に発進摩擦要素をスリップさせて暖機運転を行う暖機運転制御手段を備え、
    前記変速機が、油圧源と前記発進摩擦要素との間を、前記シフトレバーに連動し、前記シフトレバーの走行位置選択時に連通し、前記シフトレバーの停車位置選択時に遮断するマニュアル弁と 前記マニュアル弁を迂回して前記油圧源と前記発進摩擦要素との間を連通するバイパス油路と、前記暖機運転時に前記バイパス油路を連通又は遮断するように切り替える制御弁とを備える
    ことを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
  2. 請求項に記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
    前記制御弁は、ON/OFFソレノイド弁であり、前記バイパス油路を前記ON/OFFソレノイド弁がONのときに連通し、前記ON/OFFソレノイド弁がOFFのときに遮断することを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
  3. 請求項1又は請求項のいずれかに記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
    前記暖機運転制御手段は、前記暖機運転時に、前記発進摩擦要素の締結と解放との繰り返しを行うことより、前記発進摩擦要素をスリップさせることを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
  4. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
    前記発進摩擦要素のスリップによる締結トルクは、前記変速機のパーキングギヤとパークポールとによるパーキング保持トルクより小さく設定されることを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
    前記暖機運転制御手段は、前記発進摩擦要素の発熱量が許容発熱量を超えた場合は、前記発進摩擦要素のスリップを低減するように制御することを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
    前記暖機運転制御手段は、前記発進摩擦要素のスリップ低減の開始から所定時間経た後、前記暖機が必要な場合は、前記発進摩擦要素を再度スリップさせることを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。

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