JP4602842B2 - 反射防止膜形成用組成物、それを用いた反射防止膜 - Google Patents
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Description
従来、レジストパターンから露出した被加工膜の露出領域は、ドライエッチングによって除去されていた。しかし、レジスト層(つまりレジストパターン)は、加工サイズの微細化に伴う露光光源の短波長化等により薄膜化されており、充分なドライエッチング耐性を確保できず、被加工膜の高精度な加工が困難となっている。また、露光光の被加工膜における反射が問題となり、レジストパターンを良好な形状で形成することが困難となっている。
さらに、末端封止基としては、炭素数1〜6の基、好ましくはトリアルキルシリル基が用いられる。これにより、光吸収基、および架橋基により増加するシロキサン化合物中の炭素量を調整することができる。そのため、この反射防止膜形成用組成物から形成された反射防止膜のレジスト層に対するエッチング選択比をコントロールできる。つまり、レジスト層のエッチングレート、および被加工膜あるいは被加工膜上に形成された下層のエッチングレートに対して、反射防止膜のエッチングレートを調整することができる。したがって、本発明の反射防止膜形成用組成物を用いることにより、最適なエッチングレートを有する反射防止膜を形成することができる。
上記光吸収基とは、波長150〜300nmの範囲で吸収を有する基である。この光吸収基としては、例えばベンゼン環、アントラセン環、ナフタレン環等の光吸収部を有する基が挙げられる。上記光吸収部は、1個以上の−O−、−O(CO)−で中断されていてもよい炭素1〜20のアルキレン基を介して主骨格のSi原子に結合されていることが好ましい。また、ベンゼン環、アントラセン環、ナフタレン環等の光吸収部は、炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシ基、等の置換基で1個以上置換されていてもよい。これら光吸収基の中でも、ベンゼン環が好ましい。
さらに、上記光吸収部に下記架橋基が結合していてもよい。
これら架橋基を導入したシロキサン化合物を用いることにより、150〜350℃、好ましくは150〜250℃の低温ベークにより安定な反射防止膜を形成することができる。
前駆シロキサン化合物は、通常、加水分解性基を有するケイ素含有化合物を加水分解および縮合させて得られる。その製造上、前駆シロキサン化合物の末端には、上記加水分解縮合反応において完全には反応しきれなかった反応性基(例えば、ケイ素原子に結合したアルコキシ基、水酸基等)が残存する。この反応性基を上記キャッピング基で置換してシロキサン化合物とすることにより、反射防止膜形成用組成物の経時安定性を向上させることができる。
なお、m、n、oが0の場合のシロキサン化合物はシルセスキオキサンであり、シリコーンラダー構造の重合体である。m、n、oが1の場合のシロキサン化合物は直鎖状のシリコーン重合体である。それ以外の場合はこれらの共重合体となる。特に、シリコーンラダー型のシロキサン化合物は、反射防止膜形成用組成物において経時安定性の面で好ましい化合物である。
上記構成単位(1)および(2)を含む前駆シロキサン化合物は、下記(1’)および(2’)のケイ素含有化合物の混合物を加水分解・縮合することにより得ることができる。
加水分解反応における水の量は、モノマー1モル当たり0.2〜10モルを添加することが好ましい。この時に、触媒を用いることもでき、酢酸、プロピオン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、マロン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、塩酸、硫酸、硝酸、スルホン酸、メチルスルホン酸、トシル酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの酸、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの塩基、テトラアルコキシチタン、トリアルコキシモノ(アセチルアセトナート)チタン、テトラアルコキシジルコニウム、トリアルコキシモノ(アセチルアセトナート)ジルコニウムなどの金属キレート化合物を挙げることができる。また、架橋基としてオキセタニル基、エポキシ基等を有する場合には、開環させない様にするために、系をpH7以上の雰囲気にすることが好ましく、アンモニア、4級アンモニウム塩、有機アミン類等のアルカリ剤が好ましく用いられる。特に塩基触媒としての活性が良好で反応の制御が容易さから、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドが好ましく用いられる。
そして、前駆シロキサン化合物をシリル化剤で処理することにより、キャッピング基であるR5を導入することができ、シロキサン化合物(A)を製造することができる。
上記シリル化剤としては、シリル化剤としては、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジブチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、テトラメチルジビニルジシラザン、テトラビニルジメチルジシラザン、N−トリメチルシリルアセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−トリメチルシリルイミダゾール等が挙げられるが、好ましくはヘキサアルキルジシラザンであり、特にヘキサメチルジシラザンが好ましい。
なお、上記キャッピング基は、前駆シロキサン化合物における反応性基に対してほぼ100%導入することが好ましい。
また、上記シロキサン化合物(A)において、構成単位(2)は、0.01〜99モル%であることが好ましく、0.1〜70モル%であることがより好ましく、0.15〜30モル%であることがより一層好ましい。上記の範囲にすることにより、形成された反射防止膜の硬化性を向上させ、上層とのミキシングやひび割れ等を生じ難くすることができる。
また、上記シロキサン化合物(A)において、構成単位(3)は、0.01〜99モル%であることが好ましく、0.1〜70モル%であることがより好ましく、0.5〜30モル%であることがより一層好ましい。この構成単位(3)を導入することにより、保存安定性を向上させることができる。
本発明においては、上記シロキサン化合物は、(1)、(2)、(3)の3つの構成単位のみからなることが最も好ましい。
またさらに、上記シロキサン化合物においては、SiO単位当たりの炭素数が、0〜6個、好ましくは1〜4個に設定されていることが好ましい。
この架橋触媒発生剤(C)としては、熱または光を受けて酸を発生させる酸発生剤か、熱または光を受けて塩基を発生させる塩基発生剤を用いることができる。
これらの中で特に好ましいのは、分解点250℃以下のオニウム塩例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウムの7,7−ジメチル−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン‐2−オン−1−スルホン酸塩などである。
架橋触媒発生剤(C)の添加量は、一般式(1)、(2)および(3)で表される構成単位を有するシロキサン化合物100質量部に対して好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.5〜40質量部である。0.1質量部以上添加することにより架橋反応の促進効果を十分発揮することができるようになる。また、50質量部以下にすることにより、反射防止膜上に形成されるレジスト層への酸の移動を抑制することができ、ミキシング現象を防止することができる。
この架橋剤としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物;ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、トリアクリルホルマール、グリオキザールや多価アルコールのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルや、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリルのアミノ基の少なくとも2個がメチロール基又は低級アルコキシメチル基で置換された化合物等の2個以上の反応性基をもつ化合物;等が挙げられる。
架橋剤の添加量は、一般式(1)、(2)および(3)で表される構成単位を有するシロキサン化合物100質量部に対して好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.5〜40質量部である。0.1質量部以上添加することにより架橋反応の促進効果を十分発揮することができるようになる。また、50質量部以下にすることにより、架橋反応をさらに促進させ、反射防止膜の硬化性をさらに向上させることができる。
本発明の反射防止膜形成用組成物を用いたパターン形成方法について説明する。このパターン形成方法は、リソグラフィーにより基板等の被加工膜にパターンを形成する方法である。
本パターン形成方法は、少なくとも、下記(1)〜(4)の工程を有する。
(1)被加工膜上に本発明の反射防止膜形成用組成物を塗布し、ベークして反射防止膜を形成する。
(2)反射防止膜上にホトレジスト組成物を塗布し、プリベークしてホトレジスト膜を形成する。
(3)ホトレジスト膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像してレジストパターンを形成する。
(4)レジストパターンをマスクにして反射防止膜および基板をエッチングして被加工膜にパターンを形成する。
ここで、下層膜としては、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、カトールジシクロペンタジエンノボラック、アモルファスカーボン、ポリヒドロキシスチレン、アクリレート、メタクリレート、ポリイミド、ポリスルフォン等の樹脂が挙げられる。
上記のように、反射防止膜には、その上層および/または下層のエッチングレートに合わせてエッチングレートが調整されることが求められる。
本発明の反射防止膜形成用組成物は、レジストパターン、反射防止膜および下層膜を用いて、被加工膜をパターニングする用途に用いられる。特に、上記(ii)レジストパターンをマスクにして、反射防止膜をエッチングして、さらにパターンが形成された反射防止膜をマスクにして下層膜および被加工膜をエッチングして被加工膜にパターンを形成する方法を用いることが好ましい。
ベース樹脂としては、ポリヒドロキシスチレン及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリメタクリル酸及びその誘導体、ヒドロキシスチレンとアクリル酸とメタクリル酸とそれらの誘導体から選ばれ形成される共重合体、シクロオレフィン及びその誘導体と無水マレイン酸とアクリル酸及びその誘導体から選ばれる3以上の共重合体、シクロオレフィン及びその誘導体とマレイミドとアクリル酸及びその誘導体から選ばれる3以上の共重合体、ポリノルボルネン、及びメタセシス開環重合体からなる一群から選択される1種以上の高分子重合体が挙げられる。なお、ここにいう誘導体は、アクリル酸誘導体にはアクリル酸エステル等、メタクリル酸誘導体にはメタクリル酸エステル等、ヒドロキシスチレン誘導体にはアルコキシスチレン等が含まれるように、主要な骨格が誘導後に残っているものを意味する。
下記式のモノマー(1a)(2a)を加水分解・重合して、前駆シロキサン化合物を得た。
このシロキサン化合物100質量部、溶剤(B)としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:乳酸エチル=6:4の混合溶剤3000質量部、架橋剤(D)としてエピコート157S70(ジャパンエポキシレジン社製)5質量部を用いて、ハードマスク形成用組成物(反射防止膜形成用組成物)を調製した。
表面に500nmの厚さのSiO2層を有するシリコンウエーハ上に慣用のレジストコーターを用いてノボラック樹脂を含む下層膜形成用組成物を塗布し、250℃で90秒の条件にて加熱処理を行うことにより、厚さ220nmのボトムレイヤーを形成した。
次に、ボトムレイヤー上に調製したハードマスク形成用組成物を塗布し、250℃で90秒の条件にて加熱処理を行うことにより、厚さ30nmのハードマスクを形成した。この反射防止膜のk値は0.18、n値は1.74であった。
上記レジスト組成物としては、以下の各成分
樹脂:下記式で表されるユニット(D1:D2:D3=4:4:2、分子量10000)を有する樹脂 100質量%
2)γ−ブチロラクトン 25.0質量%
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:プロピレングリコールモノメチルエーテル=6:4
を混合し、調製したものを用いた。。
下記の条件にてエッチングを行い、エッチング後のラインパターンの膜厚を測定し、ラインパターンと反射防止膜とのエッチング選択比を求めた。
チャンバー圧力 3mmTorr
RFパワー 1600W
バイアス 70W
温度 −10℃
エッチングガス SF3/Ar=10/100
エッチング後のラインパターンの膜厚は116nmであった。ラインパターンと反射防止膜とのエッチング選択比は1/1.2であった。
次いで、ハードマスクをマスクとして、ボトムレイヤーのエッチングを行った。
下記の条件にてエッチングを行い、エッチング後のハードマスクの膜厚を測定し、反射防止膜とボトムレイヤーとのエッチング選択比を求めた。
チャンバー圧力 3mmTorr
RFパワー 1600W
バイアス 70W
温度 −10℃
エッチングガス O2/N2=60/40
エッチング後のハードマスクの膜厚は20nmであった。ハードマスクとボトムレイヤーとのエッチング選択比は1/15であった。
次いで、ボトムレイヤーをマスクとしてSiO2層のエッチングを行った。
下記の条件にてエッチングを行い、エッチング後のSiO2層の膜厚を測定し、ボトムレイヤーとSiO2層とのエッチング選択比を求めた。
チャンバー圧力 3mmTorr
RFパワー 1600W
バイアス 150W
温度 20℃
エッチングガス C4F8/CH2F2/O2/Ar=7/33/2/100
エッチング後のSiO2層の膜厚は30nmであった。ボトムレイヤーとSiO2層とのエッチング選択比は1/7.8であった。
ハードマスク形成用組成物の経時安定性について、シロキサン化合物(A1)の10質量%のPGMEA溶液を調製し、40℃で48時間放置して、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて分子量の変化を測定した。その結果、放置前2690、放置後2530であった。分子量変化率は6%であり、ほぼ変化がなく、経時安定性が高かった。
上記実施例1において、ヘキサメチルジシラザンで処理していない前駆シロキサン化合物を用いて経時安定性について評価した。その結果、放置前850、放置後1200であった。分子量変化率は42%であり、経時安定性の悪いものであった。
以上より、比較例1のように、前駆シロキサン化合物を用いてハードマスク形成用組成物を調製した場合、経時安定性が悪く、初期調製時の特性を維持することが困難であることが明らかである。
Claims (10)
- 光吸収基および架橋基を有するシロキサン化合物を含む反射防止膜形成用組成物であって、
前記シロキサン化合物は、キャッピング基で封止されており、該キャッピング基がトリアルキルシリル基であることを特徴とする反射防止膜形成用組成物。 - 前記キャッピング基は、炭素数1〜6の基であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜形成用組成物。
- 前記キャッピング基は、トリメチルシリル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止膜形成用組成物。
- 前記光吸収基は、ベンゼン環、アントラセン環またはナフタレン環を有する基から選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止膜形成用組成物。
- 前記架橋基は、エポキシ基を有する有機基またはオキセタニル基を有する有機基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射防止膜形成用組成物。
- 前記架橋基は、オキセタニル基を有する有機基であることを特徴とする請求項5に記載の反射防止膜形成用組成物。
- さらに、酸発生剤を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射防止膜形成用組成物。
- さらに、架橋剤を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射防止膜形成用組成物。
- ArFレーザーに対する光学パラメーター(k値)が0.002〜0.95の範囲の反射防止膜を形成しうることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の反射防止膜形成用組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の反射防止膜形成用組成物を塗布し、ベークして得られた反射防止膜。
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