JP4599004B2 - 紙葉類取出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、紙葉類取出装置に係り、特に、積層された紙幣等の紙葉類を1枚ずつ分離して取り出す紙葉類取出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の紙葉類取出装置としては、例えば、ゴムローラの摩擦力で紙葉類を取り出す摩擦式のものが知られている。このようは紙葉類取出装置においては、紙葉類を確実に分離してスキューすることなく取り出せることが求められている。また、紙葉類の厚さや摩擦係数の影響を受けにくい安定した取り出しを可能とし、さらに、紙幣等の場合にはその種類や、サイズの違いの影響を受けないものが望まれている。一方、取出装置の処理能力の観点から、単位時間内で多数枚の紙葉類の取り出しを可能とするものが望まれている。
【0003】
ところで、紙葉類の取出方式には、分離部の構造からゲートローラ方式のもの、或いは圧接ローラ方式のものがあり、一般に前者が多用されている。
【0004】
ゲートローラ方式の取出装置は、取出ローラと、この取出ローラに対向して設けられたゲートローラと、を備えている。取出ローラ及びゲートローラは、櫛歯状に入れ子状をなすように配置され、両者間には立体的なギャップが形成されている。
【0005】
紙葉類は、積層状態で供給部に投入されて送出ローラであるピックアップローラの回転に伴って送り出される。この送り出された紙葉類は、取出ローラとゲートローラとの間のギャップに通されて、ゲートローラの摩擦力により、積層状態の紙葉類から順次分離されて取り出される。取出ローラにより取り出された紙葉類は、取出ローラの取出方向に設けられたドライブローラとこのドライブローラに当接されたピンチローラとにより挟持搬送される。
【0006】
しかしながら、ゲートローラ方式は、ギャップによって生じる摩擦力で紙葉類を分離する構造のため、紙葉類の厚さの影響を受けやすい。すなわち、紙葉類の厚さに対して最適なギャップが存在するが、このギャップより厚い紙葉類や薄い紙葉類では分離不良を生じ易い。
【0007】
これは、厚い紙葉類と薄い紙葉類とでは取出ローラと分離ローラとの間で発生する紙葉類に対する押付力が異なるためである。通常、ギャップが広すぎると分離力が低下して、2枚取りが発生し易い。逆に、ギャップが狭すぎると通過抵抗が増し、ピックアップローラで紙葉類を送り込めなくなり、スキップして取り出し不良が発生する。
【0008】
また、取り出された紙葉類の搬送速度は、紙葉類の取出速度と等しいか、若しくは速くすることが多い。このため、ギャップを通過中の紙葉類をドライブローラとピンチローラとで引き抜くときに、ギャップが小さいと抵抗が大きくなって紙葉類の停滞やスキュー等の取り出し不良の原因になる。
【0009】
さらに、紙幣のように印刷による厚さの分布があるものでは、その左右で抵抗の差が生じ、スキューが発生し易い。また、ゲートローラは、常に紙葉類と滑っているので、摩耗し易く、摩耗すればギャップが広がる。ギャップは、調整可能であるが、常に調整を行って最適な値に保つようにしなければならず、メンテナンスに手間取る。
【0010】
このような問題を解決するために、圧接ローラ方式の紙葉類取出装置が開発されている。この圧接ローラ方式は、空転ローラと、この空転ローラに押し当てられた圧接ローラとを備え、圧接ローラの摩擦力で紙葉類を分離するものである。この圧接ローラ方式は、空転ローラと圧接ローラとの間での紙葉類の押付力を一定にできるので、紙葉類の厚さの影響を受け難い利点がある。空転ローラと同軸上にあるドライブローラは、ピンチローラとともに搬送路を形成し、分離された紙葉類を搬送する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、圧接ローラ方式では、空転ローラと圧接ローラとの接触部に紙葉類に対する抵抗力のみがあり、紙葉類の送り力はない。このため、ピックアップローラの回転により紙葉類を空転ローラと圧接ローラとの接触部に送り込む際、特に流通紙幣など腰の弱い紙葉類では圧接ローラの抵抗により坐屈することがある。さらに、紙葉類の先端が捲れたり傷付いたりする問題がある。
【0012】
また、ゲートローラ方式及び圧接ローラ方式のいずれであっても、紙葉類に分離力を与えるゲートローラや圧接ローラは、適当な摩擦係数が要求される。さらに、分離部で発生する紙葉類間の摩擦力よりも分離ローラと紙葉類との間の摩擦力を大きくし、かつ、紙葉類が通過する抵抗を減らす必要がある。
【0013】
従って、ゲートローラや圧接ローラの材質を選択する場合、摩擦係数の観点からは限られた範囲から選ばなくてはならない。また、摩耗や経年変化によって摩擦係数が変化すると分離力に影響を与えるといった問題がある。
【0014】
また、ゲートローラ方式及び圧接ローラ方式のいずれであっても、分離部における紙葉類の搬送力がなかったり、不安定であったりするため、ピックアップローラからドライブローラまでのローラ間距離を紙葉類の搬送方向の長さより短くするようにしている。これによって、ピックアップローラ或いはドライブローラによって常に紙葉類に搬送力を与えている。
【0015】
しかし、紙葉類の搬送方向の長さがローラ間距離より短い場合は、ピックアップローラ、取出ローラ或いはドライブローラ等の直径を犠牲にしたり、入れ子状に配設しなければならず、レイアウト上の制約を受けるといった問題がある。また、紙幣のように券種によって搬送方向の長さが異なる場合は、ローラ間距離を一番短い券種に合わせると、長い券の取り出しが不安定になる問題があり、システムとしてバランスの悪い。
【0016】
一方、ゲートローラ方式及び圧接ローラ方式のいずれの場合でも、ピックアップローラで紙葉類を送り込むので、特に、ピックアップローラが左右一対ある場合には、紙葉類に対する一対のピックアップローラの押圧力が左右で異なると、スキューの原因になる。紙葉類に折れ癖があったり、紙葉類が傾いてセットされている場合、紙葉類にピックアップローラが左右で均一に接触しない。
【0017】
セットされた紙葉類の枚数が多い場合には、この現象が顕著になる。紙葉類の枚数が多い場合、紙葉類をセットするトレイや壁面と紙葉類との摩擦力によってピックアップローラへの押圧力が減少するとともに、左右のピックアップローラへの押圧力が不均一になることもある。
【0018】
また、紙葉類上に凹版印刷されたインクの厚さの分布の違いから、紙葉類の枚数が増えると、ピックアップローラに対する紙葉類の押圧力が不均一になる。例えば、官封券や新札の場合、紙葉類の方向(表裏、左右、天地)がそろえられて多数枚一度にセットされて使用される場合がある。紙葉類を1000〜2000枚程度重ねると、束の厚さの不均一は数mm〜十数mmにも達し、片側のピックアップローラに接触しないような場合さえある。
【0019】
紙葉類の凹版印刷は、厚さの他にピックアップローラに対する摩擦係数の分布も発生させる。このため、2つの分布の重なりによっては、ピックアップローラによる送り力の左右の不均一がさらに大きくなる場合もある。このようなピックアップローラに対する紙葉類の押圧力の不均一に対しては、従来からそれなりの対策が行われてきた。
【0020】
ピックアップローラに対する紙葉類の押し付けは、バックアッププレートの押圧によって行われる。バックアッププレートの押圧力は、スプリングやモータによって制御される。このとき、押圧力は高めに設定される。これは、紙葉類の癖を修正して、ピックアップローラに対してより均一に接触させるためである。さらに、トレイや壁面での摩擦による押圧力の低下を補う目的もある。
【0021】
しかし、紙葉類の押圧力を高くとることは、ピックアップローラの送り力が増すことになり、紙葉類の2枚取りに対するマージンを狭めることになる。これを解消するため、紙葉類をピックアップローラに押し付けるバックアッププレートを左右シーソになるように支点で支持したり、バックアッププレートにスポンジなどの弾性体を貼りつけることが行われる。この方法は、紙葉類の枚数が少ないときは効果が高いが、1000枚、2000枚と枚数が多くなると効果が少ない。シーソの振れ角度が大きいと、紙葉類の束全体が剛体のように傾いて、ピックアップローラとの接触が改善されず、かえって悪影響を起こすことがあるため、あまり揺動量を増やせない。
【0022】
また、ピックアッピローラのゴム厚さを厚くしたり、左右押圧方向に可動させたり、シーソ式に支持したりする方法も行われている。多い枚数の紙葉類の接触を改善するためには、左右のローラの位置を大きく可動させる必要があり、シーソ式は有効である。しかし、取出ローラとの位相の関係などで、揺動量に規制があるので、左右の押圧を完全に釣り合わせることはできない。
【0023】
さらに、ゲートローラ方式では、左右のギャップをアクチュエータによって制御可能にし、取り出された紙葉類のスキュー量を検知してギャップ量を制御することも行われている。しかし、この方法は、既に取り出された紙葉類の情報から、それ以降の紙葉類に対してギャップ量を制御するものである。このため、ゲートローラの摩耗や紙葉類の厚さの平均的な変化には対応できるが、各々の紙葉類に対して押圧の不均一によるスキューを補正するのは難しい。
【0024】
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、紙葉類の厚さ、摩擦係数、長さの影響を受けることなく、長期間にわたって安定して確実に1枚ずつ取り出すことが可能な紙葉類取出装置を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本実施形態によれば、
紙葉類を送り出す送出ローラと、その周面がゴムで形成され、前記送出ローラにより送り出された紙葉類を回転することにより取り出す取出ローラと、前記取出ローラに圧接され、紙葉類の取出方向と逆方向の回転トルクが付与されることにより紙葉類を1枚ずつ分離する全周がゴムで形成された分離ローラと、前記取出ローラにより取り出された紙葉類を搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラにより搬出された紙葉類を検知する検知手段と、前記検知手段がそれぞれの紙葉類の後端部を検知する毎に、前記取出ローラを逆回転させて停止させる制御手段と、を備えたことを特徴とする紙葉類取出装置が提供される。
また、本実施形態によれば、
紙葉類を送り出す送出ローラと、その周面がゴムで形成され、前記送出ローラにより送り出された紙葉類を回転することにより取り出す取出ローラと、前記取出ローラに圧接され、紙葉類の取出方向と逆方向の回転トルクが付与されることにより紙葉類を1枚ずつ分離する全周がゴムで形成された分離ローラと、前記取出ローラにより取り出された紙葉類を検知する検知手段と、前記検知手段がそれぞれの紙葉類の後端部を検知する毎に、前記取出ローラを逆回転させて停止させる制御手段と、を備えたことを特徴とする紙葉類取出装置が提供される。
【0026】
本実施形態によれば、
紙葉類を送り出す送出ローラと、その周面がゴムで形成され、前記送出ローラにより送り出された紙葉類を回転することにより取り出す取出ローラと、前記取出ローラに圧接され、紙葉類の取出方向と逆方向の回転トルクが付与されることにより紙葉類を1枚ずつ分離する全周がゴムで形成された分離ローラと、前記取出ローラにより取り出された紙葉類を搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラにより搬出された紙葉類を検知する検知手段と、前記検知手段が所定のn枚の紙葉類の後端部を検知する毎に、前記取出ローラを逆回転させて停止させる制御手段と、を備えたことを特徴とする紙葉類取出装置が提供される。
また、本実施形態によれば、
紙葉類を送り出す送出ローラと、その周面がゴムで形成され、前記送出ローラにより送り出された紙葉類を回転することにより取り出す取出ローラと、前記取出ローラに圧接され、紙葉類の取出方向と逆方向の回転トルクが付与されることにより紙葉類を1枚ずつ分離する全周がゴムで形成された分離ローラと、前記取出ローラにより取り出された紙葉類を検知する検知手段と、前記検知手段が所定のn枚の紙葉類の後端部を検知する毎に、前記取出ローラを逆回転させて停止させる制御手段と、を備えたことを特徴とする紙葉類取出装置が提供される。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態に係る紙葉類取出装置について図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1に示すように、紙葉類取出装置、例えば紙幣取出装置が適用される紙幣分類処理機の筐体1は、その一側中央部に設けられたテーブル部1Aを備えている。このテーブル部1Aは、紙幣供給部2を備えている。この紙幣供給部2には、紙葉類としての紙幣Pが立位状態で複数枚収容されている。この紙幣Pは、バネ3で付勢される押込手段としてのバックアッププレート4によって送出ローラとしてのピックアップローラ5に押し付けられている。ピックアップローラ5は、回転することにより紙幣Pを下方に向かって送り出す。ピックアップローラ5の下方部には、後で詳述する紙葉類取出装置を構成する分離部32及び搬送部37(図2に示す)が配設されている。
【0030】
クランプ式の搬送機構Hは、ベルト6とローラ7とにより構成され、搬送部37から搬出される紙幣Pを搬送する。この搬送機構Hには、取り出された紙幣Pのシフト及びスキューを自動補正する姿勢補正装置8が設けられている。搬送機構Hの紙幣搬送方向下流側には、判別部9が設けられている。この判別部9は、ローラ対10によって搬送される紙幣Pの表裏面から各種情報を読み取り、それを論理演算し、基準になる情報と比較することによって、汚れや、破損の有無、金額、天地及び表裏の4方向を判別する。
【0031】
判別部9の紙幣搬送方向下流側には、第1分岐装置11が設けられている。第1分岐装置11は、判別部9の判定によって2枚取りや、一定以上の大スキーの紙幣等、正紙幣Pと判定されなかったものをリジェクト箱12に導き、正紙幣Pと判定されたものを第2分岐装置13に導く。
【0032】
第2分岐装置13は、紙幣Pの搬送方向を第1及び第2の方向に振り分ける。第1の方向には、左右反転パス14が設けられ、この左右反転パス14は、紙幣Pを左右180度反転するヒネリベルト15を有している。第2の方向には、ベルト搬送部16が設けられ、このベルト搬送部16は、紙幣Pをそのままの状態で搬送する。
【0033】
第1及び第2の方向の下流側には、それぞれの方向に分岐されて搬送された紙幣Pが合流する合流部17が設けられている。この合流部17までの分岐パスの経路長は、紙幣合流後の間隔がズレないように等しく形成されている。
【0034】
合流部17の紙幣搬送方向下流側には、第3分岐装置18が設けられ、この第3分岐装置18は、紙幣Pの搬送方向を第3及び第4の方向に振り分ける。第3の方向には、スイッチバックパス部19が設けられている。スイッチバックパス部19には、紙幣Pを導入させる反転箱20、この反転箱20に導かれた紙幣Pの後端を反転ローラ21aに押し付けるタタキ車21が設けられている。スイッチバックパス部19では、紙幣Pを反転箱20から送り出すことにより、紙幣Pの天地を反転して搬送する。第4の方向には、ベルト搬送部22が設けられ、このベルト搬送部22は、紙幣Pをそのままの姿勢を維持して搬送する。
【0035】
第3及び第4の方向の下流側には、それぞれの方向に分岐されて搬送された紙幣Pが合流する合流部23が設けられている。この合流部23までの分岐パスの経路長は、紙幣合流後の間隔がズレないように等しく形成されている。
【0036】
合流部23の紙幣搬送方向下流側には、水平搬送路24が設けられている。この水平搬送路24には、区分すべき部分の数より一つ少ない数の分岐装置25a〜25dが配設されている。これら分岐装置25a〜25dの下方部には、集積部として第1乃至第4の種類別ポケット部26a〜26dが配設されている。これら種類別ポケット部26a〜26には、紙幣Pが水平状態に積み重ねて集積される。
【0037】
第1分岐装置25aの下方部には、施封装置27が設けられている。この施封装置27は、紙幣Pを100枚づつ集積して区分する集積部28と、この集積部28から紙幣Pを搬送する搬送部28aと、この搬送部28aにより搬送されてくる紙幣Pを紙帯29aで結束する帯巻部29と、を有している。
【0038】
図2は、紙葉類取出装置としての紙幣取出装置の構成を概略的に示す図である。
【0039】
この紙幣取出装置は、上述したピックアップローラ5,5、分離部32及び搬送部37によって構成され、これらピックアップローラ5,5、分離部32及び搬送部37は上下方向に沿って配設されている。
【0040】
分離部32は、取出ローラ30,30を備えている。これら取出ローラ30,30には、分離ローラとしての逆転ローラ31,31が押し付けられている。搬送部37は、取出ローラ30,30の下方部に配置された搬送ローラとして機能するドライブローラ34,34を備えている。これらのドライブローラ34,34には、ピンチローラ35,35が転接されている。
【0041】
ドライブローラ34,34とピンチローラ35,35とにより、紙幣Pが引き抜かれて搬送される。ピックアップローラ5、取出ローラ30、逆転ローラ31、ドライブローラ34及びピンチローラ35は、左右に1個ずつ配設され、紙幣Pを短手方向に沿って取り出す。
【0042】
分離部32の取出ローラ30は、その周面がゴムで形成され、ワンウェイクラッチ30aを介して軸36に取り付けられている。取出ローラ30は、紙幣Pの取出方向に自由に回転でき、紙幣Pがドライブローラ34及びピンチローラ35で引き抜かれるときに抵抗を減らすように工夫されている。軸36は、軸受け38を介してフレーム39に取り付けられている。軸36の一端部には、プーリ40a、タイミングベルト40b及びプーリ40cを介して取出モータ41が接続されている。
【0043】
なお、この実施の形態では、ワンウェイクラッチ30aを取出ローラ30に設けたが、取出ローラ30を軸36に固定してワンウェイクラッチ30aをタイミングプーリ40aに設け、軸36とプーリ40aとの間で回転できるようにしてもよい。
【0044】
ピックアップローラ5の軸43は、プーリ45a、タイミングベルト45b、及びプーリ45cを介して軸46に接続されている。軸46の両端部は、フレーム39,39に支持されている。軸46の一端部には、プーリ48a、タイミングベルト48b、及びプーリ48cを介してピックアップモータ49が接続されている。軸43は、ブラケット51に回転自在に取り付けられている。ブラケット51は、軸52を介してブラケット53に取り付けられている。
【0045】
ブラケット53は、軸46を介してフレーム39,39に取り付けられ、左右に回動可能に設けられている。ブラケット51とステイ55との問には、圧縮スプリング56が設けられている。これにより、左右にあるピックアップローラ5,5は、僅かに前後左右に位置を変えて紙幣Pに対して左右均一の押し付け力が発生するように工夫されている。
【0046】
逆転ローラ31は、その全周がゴムで形成されている。このゴムは、紙幣Pに対する摩擦係数が紙幣P間の摩擦係数より高いものが使用されている。逆転ローラ31は、軸58を介して揺動レバー59の上端部に回転可能に取り付けられている。揺動レバー59の下端部は、支持部としての軸60により回動可能に支持されている。揺動レバー59は、スプリング62により付勢され、逆転ローラ31を取出ローラ30に押圧させている。
【0047】
逆転ローラ31の軸58には、プーリ63a、タイミングベルト63b、及びプーリ63cを介してリバースモータ64が接続されている。リバースモータ64は、逆転ローラ31を紙幣Pの取り出し方向に対して逆方向に回転させる。後述するように、逆転ローラ31は、取出ローラ30に連れ回って取出方向に回転するが、逆転トルクは、常に逆転方向にかかっていて紙幣Pに対して分離力を発生する。
【0048】
逆転ローラ31の軸58に固定されたタイミングプーリ63a及びリバースモータ64の駆動軸64aに取り付けられたタイミングプーリ63cのピッチ径は、同じである。また、リバースモータ64は、その駆動軸64aの軸心上に揺動レバー59の軸60の軸心が位置するようにステイ67に固定されている。
【0049】
ドライブローラ34は、軸69を介してフレーム39,39に揺動されている。軸69は、プーリ70a、タイミングベルト70b、及びプーリ70cを介して搬送モータ71に接続されている。ピンチローラ35は、軸73に回転自在に支持されている。軸73の両端部は、フレーム39,39の水平長孔39aに支持され、スプリング74によって付勢されている。ピンチローラ35は、スプリング74による付勢により、ドライブローラ34に押圧されて搬送力を発生する。
【0050】
取出ローラ30及び逆転ローラ31の近傍には、取出ローラ30及び逆転ローラ31から送り出された紙幣Pを検出する第1検知手段(または検知手段)として機能する第1検知センサ76が設けられている。ドライブローラ34及びピンチローラ35の近傍には、ドライブローラ34及びピンチローラ35から送り出された紙幣Pを検出する第2検知手段(または検知手段)として機能する第2検知センサ77が設けられている。
【0051】
第1及び第2検知センサ76,77は、例えば光透過型の光センサであり、ブラケット79に取り付けられている。第1検知センサ76の光軸は、取出ローラ30及び逆転ローラ31の接触部と、ドライブローラ34及びピンチローラ35の接触部との間の搬送路を通過する。第2の検知センサ77光軸は、ドライブローラ34及びピンチローラ35の接触部の直後の搬送路を通過する。
【0052】
取出モータ41、ピックアップモータ49、及び搬送モータ71には、それぞれドライバ81,82,83が接続されている。ドライバ81,82,83には、制御回路を介して制御手段として機能するコントローラ85が接続されている。なお、取出モータ41、及びピックアップモータ49は、間欠駆動制御が必要とされるため、パルスモータが用いられている。
【0053】
左右のリバースモータ64には、ドライバ89a,89bが接続され、ドライバ89a,89bには、制御回路を介してコントローラ85が接続されている。リバースモータ64は、電流制御可能なDCモータであり、電流の設定によって所要の発生トルクが得られる。第1及び第2検知センサ76,77には、駆動アンプ90が接続され、紙幣Pの通過を検出してその検知結果に基づく情報をコントローラ85に出力する。
【0054】
次に、図3乃至図6を参照して分離部32における分離力の発生原理を説明する。
【0055】
図3は、取出ローラ30と逆転ローラ31との間に紙幣Pがないときを示す図であり、逆転ローラ31は、取出ローラ30の回転に伴って搬送方向に連れ回る。逆転ローラ31は、所定の押圧力Hで取出ローラ30に押し付けられ、リバースモータ64によって逆転トルクTがかけられている。しかし、逆転ローラ31は、取出ローラ30との摩擦力である接線力によるトルクの方が逆転トルクTより高いため、リバースモータ64が滑り、取出ローラ30の回転に伴って搬送方向に回転する。
【0056】
図4は、取出ローラ30と逆転ローラ31との間に紙幣Pが1枚介在されたときを示す図であり、紙幣Pと逆転ローラ31との摩擦力で発生する接線力により逆転ローラ31にかかるトルクよりも逆転トルクTが小さく設定されているため、紙幣Pを介して逆転ローラ31が搬送方向に連れ回る。
【0057】
図5は、取出ローラ30と逆転ローラ31との間に2枚の紙幣Pが介在されたときを示す図であり、紙幣P1,P2の間で生じる摩擦力が小さいため、リバースモータ64のトルクTの方が勝って搬送方向に対して逆転し始めている。
【0058】
図6は、リバースモータ64の逆転によって2枚目の紙幣P2が引き戻された状態を示す図である。図6の状態は、図4の状態とほぼ同じであり、1枚目の紙幣P1が搬送方向に沿って搬送される。このように紙幣を2枚取り出そうとしても、2枚目の紙幣P2が逆転ローラ31により引き戻され、1枚目の紙幣P1のみが取り出される。実際には、図5及び図6の状態は、紙幣Pが1枚取り出されるごとに振動的に小刻みに繰り返され、1枚ずつ分離されて取り出される。
【0059】
2枚目の紙幣P2が逆転ローラ31から受ける接線力は、分離力として作用する。この接線力及び押圧力による逆転ローラ31の見かけ上の摩擦係数は、(逆転トルク/逆転ローラ半径)/(逆転ローラの取出ローラへの押圧力)となる。逆転ローラ31の取出ローラ30への押圧力は、一定のスプリング力によって発生される。このため、逆転トルクを一定に制御することで、逆転ローラ31の見かけ上の摩擦係数を一定に保つことができ、安定した分離力を与えることができる。
【0060】
また、逆転トルクを変えることで、見かけ上任意の摩擦係数を設定できる。取出ローラ30と逆転ローラ31との摩擦係数は、紙幣P1,P2間の摩擦係数より高ければよい。取出ローラ30と逆転ローラ31との摩擦係数が高ければ、送り力や分離力を安定に保つことができる。
【0061】
逆転ローラ31は、ゲートローラのように摩擦係数を中程度に保つ必要はなく、材料の選択の幅が広がる。また、逆転ローラ31は、ゲートローラのように常に紙幣Pと滑りを生じているわけではなく、原理的には紙幣との滑りはないので、耐摩耗性について有利である。逆転ローラ31は、取出ローラ30や紙幣Pに対して実際は滑りを生じているが、これを考慮して耐久性のよい材料を選択すればよい。
【0062】
図7及び図8は、紙幣取出装置の各ローラのレイアウトを示す図である。
【0063】
ピックアップローラ5の近傍には、バックアッププレート4により押圧された紙幣Pが存在するか否かを検知する紙幣検知センサSが配置されている。この紙幣検知センサSは、例えば光透過型の光センサである。
【0064】
ピックアップローラ5は、バックアッププレート4により押圧された紙幣Pに接触して、回転することによってこの紙幣Pを分離部32に送り込み、取出ローラ30と協調して紙幣Pを繰り出す。逆転ローラ31には、取出動作時には逆転トルクがかかっているが、紙幣Pがないときは取出ローラ30の回転に連れ回るように逆転トルクが設定されている。モータリバースローラ(MRR)分離方式では、逆転ローラ31に対して取出ローラ30への押圧力とモータ64で発生した逆転トルクとを安定して与える必要がある。
【0065】
ところで、紙幣Pや発生トルクの影響を受けずに安定した押圧力を得るためには、ローラのレイアウトが重要で、次のことが考慮されている。
【0066】
すなわち、ピックアップローラ5に紙幣Pが接触する接触部と、取出ローラ30と逆転ローラ31との接触部33との間を結ぶ線分をK1、取出ローラ30の中心と逆転ローラ31の中心との間を結ぶ線分をK2、逆転ローラ31の中心と揺動レバー59の回動中心60とを結ぶ線分をK3とした場合、線分K1と線分K2とは略90°の角度で交差している。
【0067】
つまり、取出ローラ30と逆転ローラ31との共通接線方向が紙幣Pの搬送方向となっている。これは、取出ローラ30と逆転ローラ31との接触部33に紙幣Pを送り込み易くするため、および、逆転ローラ31によって戻された紙幣Pが積層する紙幣Pから受ける抵抗を抑えるためである。
【0068】
また、線分K2と線分K3とは略90°の角度で交差している。これは、分離部32で発生する摩擦力が逆転ローラ31の押圧力に影響しないようにするためである。逆転ローラ31の表面で作用する摩擦力fによって逆転ローラ31に発生するモーメントは、タイミングベルト63bを介して接続されるリバースモータ64のトルクと釣り合う。結局、揺動レバー59には、軸58を介して摩擦力fと同じ大きさの力f'が作用する。
【0069】
さらに、線分K2と線分K3との交差角度を90°にしておくことにより、この力f'のベクトルは、回動中心60を通るので、揺動レバー59を回動することがない。したがって、取出ローラ30と逆転ローラ31との接触部33で発生する押圧力を一定に保つことができる。また、モータ64をステイ67に固定して、逆転ローラ31とともに揺動させないことも重要である。
【0070】
なお、取出ローラ30と逆転ローラ31との接触圧力は、スプリング62のバネカとスプリング62の取付位置とから決定され、モータ64の回転や、ローラ表面の摩擦力の影響を受けずに一定になる。
【0071】
図9及び図10は、取出ローラ30と逆転ローラ31との圧接状態を示す図である。
【0072】
モータ64から逆転ローラ31ヘ駆動力を伝達するモータ64側のタイミングプーリ63cの直径は、逆転ローラ31側のタイミングプーリ63aの直径と同じであり、タイミングベルト63bの張力ベクトルTと押圧ベクトルNとが直交するように設計されている。
【0073】
ここで、押圧ベクトルNの大きさを導いてみる。
【0074】
揺動レバー59にかかる力の釣り合いから
N−F+Rx=0 式(1)
−μN−T/e+Ry=0 式(2)
揺動レバー59にかかる揺動支点周りのモーメントの釣り合いでは、μN,T/eは逆転ローラ31の軸58を介して作用し、そのベクトルは支点60を通るのでゼロとなり、
−Nb+Fc=0 式(3)
N=(c/b)F 式(4)
となる。
【0075】
従って、摩擦係数μやトルクTによらず一定の押圧力Nを与えることができる。
【0076】
ここで、N:押圧力、a:ローラ半径、μN:接線力、b:支点から押圧部までの距離、F:スプリング力、c:支点からスプリングまでの距離、T/e:タイミングベルトの張力(正しくは張力差)、e:タイミングプーリのピッチ半径、T:モータの逆転トルク、Rx,Ry:揺動レバーが支点から受ける力の水平、垂直成分である。
【0077】
次に、図11に示したフローチャートを参照して紙幣取出動作の第1の制御方法について説明する。なお、この第1の制御方法は、ドライブローラ34及びピンチローラ35の搬出側に配置された第2検知センサ77のみを用いて行うものとする。
【0078】
すなわち、紙幣Pの取出動作の開始が要求されると(ステップS1)、コントローラ85は、紙幣検知センサSからの出力信号に基づいて、取り出す紙幣Pの有無を判別する(ステップS2)。コントローラ85は、取り出す紙幣Pがあると判別した場合(ステップS2、YES)、各ローラの駆動を制御して紙幣Pの取出動作を行う。
【0079】
まず、コントローラ85は、逆転モータ64を駆動して逆転ローラ31を逆方向に回転駆動する(ステップS3)。このとき、ピックアップローラ5及び取出ローラ30は、停止している。このため、逆転ローラ31は、取出ローラ30から受ける抵抗力で回転することはない。
【0080】
続いて、コントローラ85は、取出モータ41及びピックアップモータ49を駆動する(ステップS4)。これにより、取出ローラ30及びピックアップローラ4が所定の回転速度で回転駆動される。
【0081】
取出モータ41及びピックアップモータ49は、ほぼ同じ立ち上げ曲線で速度を増加して所定の速度まで立ち上げられる。取出ローラ30を逆転ローラ31とが接触する分離部32へ紙幣Pの先端が入りこむまでに少し時間のロスが発生するため、取出ローラ30の速度をピックアップローラ5の速度よりも若干速くした方が、紙幣Pが座屈しない。このため、取出モータ41とピックアップモータ49との間、及び、取出ローラ30とピックアップローラ5との間の減速比を変えている。
【0082】
また、紙幣Pの取出速度は、搬送速度よりも小さい値に設定されている。これは、取出動作中において、常時回転している搬送ローラ34よりも速い速度で紙幣Pが送りこまれると、紙幣Pが座屈するためである。さらに、紙幣Pの取出速度を小さく設定することは、モータ41の速度を立ち上げることを考慮すると有利である。ただし、あまり速度差をつけると、紙幣Pが搬送ローラ34及びピンチローラ35に引きぬかれる際にスキューを生じるおそれがあるので、適当な値に設定される。
【0083】
また、通常、紙幣Pの先端が搬送ローラ34及びピンチローラ35にさしかかるまでに、所定の取出速度に達するよう設定される。コントローラ85は、第2検知センサ77からの出力信号に基づいて、ピックアップローラ5と取出ローラ30とによって送り出された1枚目の紙幣Pが搬送ローラ34にさしかかった後に検知されると(ステップS5、YES)、取出モータ41及びピックアップモータ49の駆動を停止する(ステップS6)。
【0084】
取出ローラ30は、ワンウェイクラッチ30aを内蔵しているため、取出モータ41が停止しても、搬送ローラ34で搬送される紙幣Pに連れ回り、1枚目の紙幣Pに抵抗を与えるようなことはない。1枚目の紙幣Pの先端が、第2検知センサ77に到達した後、紙幣Pの後端がピックアップローラ5から外れる。
【0085】
なお、紙幣Pが長くて1枚目の紙幣Pの後端がまだピックアップローラ5にかかっている場合は、1枚目の紙幣Pに抵抗になって作用する。しかし、搬送ローラ34とピンチローラ35との押圧力は、ピックアップローラ5における紙幣Pへの押圧力より大きく設定されているので、紙幣Pは、ピックアップローラ5に対して滑って搬送される。1枚目の紙幣Pがピックアップローラ5から外れて、2枚目の紙幣がピックアップローラ5に接触すると、ピックアップローラ5は、2枚目に対してブレーキとして働き、紙幣Pの連れ出しが防止される。
【0086】
コントローラ85は、搬送された1枚目の紙幣Pの後端が検知されたのに基づいて(ステップS7、YES)、取出モータ41を逆回転駆動する(ステップS31)。このとき、取出ローラ30は、ワンウェイクラッチ30aを介して軸36に取り付けられているために、逆転している逆転ローラ31との摩擦力によって逆転する。つまり、取出ローラ30及び逆転ローラ31は、ともに逆回転される。
【0087】
このとき、コントローラ85は、取出モータ41の駆動を制御して、取出ローラ30を所定角度、すなわち360度を割り切れない角度、例えば7度だけ回転させる。この取出ローラ30の回転に伴って、逆転ローラ31は、同様に所定角度だけ回転される。
【0088】
このように、360度を割り切れない所定角度だけ逆転ローラ31を回転させることにより、逆転ローラ31の偏磨耗を防止することができ、長期間にわたって安定した分離動作を行うことが可能となる。
【0089】
コントローラ85は、取出モータ41の駆動を制御して取出ローラ30を所定角度だけ回転させた後、取出モータ41の駆動を停止する(ステップS32)。
【0090】
続いて、コントローラ85は、紙幣検知センサSからの出力信号に基づいて、取り出す紙幣Pがトレイにあるか否かを判別する(ステップS8)。コントローラ85は、紙幣Pがあると判別した場合には(ステップS8、YES)、取出ローラ30を停止した後に適当なディレイをとってステップS4に戻り、取出モータ41及びピックアップモータ49の駆動を再開して、2枚目の紙幣Pの取り出し動作を行う。
【0091】
また、コントローラ85は、トレイに紙幣Pがないと判別した場合には(ステップS8、NO)、逆転モータ64の駆動を停止し、逆転ローラ31が停止される(ステップS9)。しかるのち、コントローラ85は、すべてのモータの駆動を停止して取出動作が終了する(ステップS10)。
【0092】
以上のようにして1枚ずつの紙幣Pに対して、取出ローラ30及びピックアップローラ5を間欠駆動して紙幣Pを取り出していく。先に取り出した紙幣Pの後端を検知した後、次の紙幣Pの取出動作を行うため、各紙幣Pは、紙幣P間のギャップ(隙間の大きさ)が一定になるように取り出される。したがって、紙幣Pの送り方向の長さが短い場合には、処理速度(単位時間当たりの紙幣の取り出し枚数)が大きくなり、紙幣Pの送り方向の長さが長い場合には、処理速度が小さくなる。
【0093】
このような制御を『定ギャップ取り出し』と称する。図11に示したフローチャートでは、ステップS7で紙幣Pの後端を検知した後、取出モータの逆転駆動及び停止を行ってからすぐにステップS4で取出モータ41及びピックアップモータ49を駆動し始めるが、この間に適当なディレイを設けることで紙幣P間のギャップの大きさを設定することができる。
【0094】
勿論、紙幣Pの先端をステップS5で検知してから適当なディレイをとって取出モータ41及びピックアップモータ49を駆動し始めれば、紙幣Pの先端のピッチを一定にする『定ピッチ取り出し』の制御も可能である。
【0095】
図11に示した制御方法では、ピックアップローラ5から搬送ローラ34までの距離を紙幣Pの送り方向(短手方向)の長さより、短くする必要がある。常に紙幣Pを送り出す力が、紙幣Pに与えられていることが必要だからである。しかし、紙幣のように、短手方向の長さが券種によって異なる場合、最も短い紙幣Pに対して各ローラの配置を決めるのは長い紙幣Pを考慮すると、ピックアップローラ5のブレーキ作用が長く続くなど具合が悪いことも多い。ピックアップローラ5と搬送ローラ34とを近づけるには、各ローラの直径を小さくしたり、各ローラを入れ子状に配置する必要がある。
【0096】
ローラの直径は、紙幣Pに対する接触状態をよくしてグリップ力を確保するには、ある程度の直径を見こむ必要がある。ローラを入れ子に配置するには、ローラの幅を狭くする必要があり、グリップ力を得るためにやはり問題になる。
【0097】
また、紙幣Pの長手方向の長さも紙幣によって異なるため、同じトレイで取り出すには、中央にローラを寄せる必要がある。さらに、紙幣Pの取出方向の力を考慮すると、できるだけ同じ位相にローラを配置していた方がよいと考えられる。取出ローラ30及びピックアップローラ5の直径を35mm〜40mm、搬送ローラ34の直径を20mm〜30mmとすると、各ローラを1列に並べた場合、52.5mm〜75mmとなる。紙幣の送り方向の長さが60mm程度の場合、各ローラでの接触長さを考慮すると、安定した取出動作を行うことは難しい。
【0098】
また、送り方向の長さが短い紙幣Pの場合、その先端が第2検知センサ77によって検知されたとき、紙幣Pの後端部がピックアップローラ5にかかっている条件はさらに厳しく、ピックアップローラ5の停止が遅れて、2枚目を送りこんでゾロ出が発生しやすくなる。
【0099】
次に、図12に示したフローチャートを参照して紙幣取出動作の第2の制御方法について説明する。なお、この第2の制御方法は、送り方向の長さが短い紙幣Pを考慮したものであって、第2検知センサ77の他に、取出ローラ30とドライブローラ34との間に配置された第1検知センサ76を用いて行うものとする。すなわち、この第2の制御方法は、ピックアップローラ5と搬送ローラ34との間の距離が紙幣Pの送り方向(短手方向)の長さより長くても安定して取出動作を行うことができる。
【0100】
すなわち、紙幣Pの取出動作の開始が要求されると(ステップS1)、コントローラ85は、図11に示したフローチャートと同様に1枚目の紙幣Pを繰り出すために、ステップS4までの制御を行い、取出ローラ30及びピックアップローラ5を回転させる。
【0101】
続いて、コントローラ85は、第1検知センサ76からの出力信号に基づいて、1枚目の紙幣Pの先端が取出ローラ30を過ぎて検知されたか否かを判別する(ステップS21)。コントローラ85は、紙幣Pの先端が検知されたと判別した場合には(ステップS21、YES)、ピックアップモータ49の駆動のみを停止し、ピックアップローラ5の回転を停止させる(ステップS22)。このとき、紙幣Pは、取出ローラ30の搬送力だけで搬送される。1枚目の紙幣Pは、停止したピックアップローラ5から抵抗を受けるが、取出ローラ30の搬送力の方が上回るため、1枚目の紙幣Pは搬送され続ける。
【0102】
続いて、コントローラ85は、第2検知センサ77からの出力信号に基づいて、1枚目の紙幣Pの先端が検知されたか否かを判別する(ステップS23)。コントローラ85は、紙幣Pの先端が検知されたと判別した場合には(ステップS23、YES)、取出モータ41の駆動を停止し、取出ローラ30の回転が停止される(ステップS24)。このとき、紙幣Pは、搬送ローラ34の搬送力だけで搬送される。
【0103】
続いて、コントローラ85は、第1検知センサ76からの出力信号に基づいて、1枚目の紙幣Pの後端が検知されたか否かを判別する(ステップS25)。コントローラ85は、紙幣Pの後端が検知されたと判別した場合には(ステップS25、YES)、取出モータ41を逆回転駆動する(ステップS31)。これにより、取出ローラ30は、逆方向に回転される。また、逆転ローラ31は、取出ローラ30の逆回転に伴って逆方向に回転される。
【0104】
コントローラ85は、取出モータ41の駆動を制御して取出ローラ30を所定角度だけ回転させた後、取出モータ41の駆動を停止する(ステップS32)。
【0105】
続いて、コントローラ85は、紙幣検知センサSからの出力信号に基づいて、取り出す紙幣Pがトレイにあるか否かを判別する(ステップS26)。コントローラ85は、紙幣Pがあると判別した場合には(ステップS26、YES)、取出ローラ30を停止した後に適当なディレイをとってステップS4に戻り、取出モータ41及びピックアップモータ49の駆動を再開して、2枚目の紙幣Pの取り出し動作を行う。
【0106】
また、コントローラ85は、トレイに紙幣Pがないと判別した場合には(ステップS26、NO)、逆転モータ64の駆動を停止し、逆転ローラ31が停止される(ステップS27)。しかるのち、コントローラ85は、すべてのモータの駆動を停止して取出動作が終了する(ステップS28)。
【0107】
この第2の制御方法により、ピックアップローラ5と搬送ローラ34の距離は、送り方向の長さが一番短い紙幣Pを処理する場合であっても充分に大きく確保することができる。また、紙幣Pの後端を第1検知センサ76で検知することによって、より速い段階で2枚目の取出動作を行うことができる。
【0108】
これにより、「定ギャップ取り出し」においては、紙幣間のギャップをより小さくして、処理速度を上げることが可能となる。また、「定ピッチ取り出し」においても、紙幣の先端の取り出しピッチを小さくすることが可能となる。さらに、ギャップやピッチを小さくする観点のほかに、モータの立ち上がりを緩やかにすることも可能になる。
【0109】
なお、この実施の形態に係る第2の制御方法では、紙幣Pの後端を第1検知センサ76で検知しているが、処理速度を上げるなどの要求がないときは、第2検知センサ77で紙幣Pの後端を検知して次の紙幣Pの取出動作を開始してもよい。
【0110】
また、この実施の形態に係る第2の制御方法では、紙幣Pの後端を第1検知センサ76で検知したタイミングで逆転ローラ31を逆回転させているが、処理速度を上げるなどの要求がないときは、第2検知センサ77で紙幣Pの後端を検知したタイミングで逆転ローラ31を逆回転させ、停止後に次の紙幣Pの取出動作を開始してもよい。
【0111】
図11及び図12で説明した制御方法は、従来のゲートローラ方式などの取出動作では実現が難しく、MRR取出において実施し易い。MRR取出では、ピックアップローラ5に対する紙幣Pの押圧力を小さくできることと、分離部の取出ローラ30による送り力が期待できることによる。ゲートローラ方式などでは、分離部の抵抗が大きいため、ピックアップローラ5で紙幣Pを送らなければならず、ピックアップローラ5に対する紙幣の押圧力をある程度大きくする必要がある。紙幣の場合、必要な押圧力は、5N程度である。
【0112】
これに比べて、MRR取出では、分離部で取出ローラ30と逆転ローラ31とが回転するため、紙幣Pに対する食いつき力及び逆転トルクが一定に維持され、安定した搬送力を確保することができる。これにより、ピックアップローラ5に対する紙幣Pの押圧力は、分離部に紙幣Pの先端を導く程度でよく、1〜2N程度で良い。
【0113】
ゲートローラ方式では、取出ローラ30は回転しているが、ゲートローラは固定されており、双方の摩擦係数の違いがあまりないので、分離部に紙幣Pを送る力は期待できない。これに対して、MRR取出では、取出ローラ30と紙幣Pとの摩擦力より小さく、かつ、紙幣Pと紙幣Pとの摩擦力より大きな接線力が生まれるようにトルクを設定している。
【0114】
このため、分離部では、1枚或いは2枚重なった1枚目の紙幣を送る力が安定して発生している。このような理由から、MRR取出においては、図11及び図12の制御方法がローラレイアウト、モータの立ち上げ、処理能力の観点から紙幣Pのサイズによらず安定した取出が可能となる。
【0115】
上述した実施の形態に係る第1及び第2の制御方法では、取出ローラを1枚の紙幣の取出動作毎に逆回転させたが、所定枚数毎、すなわちn枚処理する毎に逆回転させても良い。
【0116】
すなわち、図13に示したフローチャートを参照して紙幣取出動作の第3の制御方法について説明する。なお、この第3の制御方法は、ドライブローラ34及びピンチローラ35の搬出側に配置された第2検知センサ77のみを用いて行うものとする。
【0117】
図13に示すように、紙幣Pの取出動作の開始が要求されると(ステップS1)、コントローラ85は、図11に示したフローチャートと同様に1枚目の紙幣Pを繰り出すために、ステップS4までの制御を行い、取出ローラ30及びピックアップローラ5を回転させた後、ステップS5において第2検知センサ77からの出力信号に基づいて紙幣Pの先端を検知した場合に、ステップS6において取出モータ41及びピックアップモータ49の駆動を停止し、ステップS7において第2検知センサ77からの出力信号に基づいて紙幣Pの後端を検知したか否かを判断する。
【0118】
続いて、コントローラ85は、第2検知センサ77からの出力信号に基づいて、紙幣Pの後端を検知したと判断した場合には(ステップS7、YES)、紙幣Pの処理枚数が所定枚数n枚に達したか否かを判断する(ステップS33)。すなわち、コントローラ85は、第2検知センサ77からの出力信号に基づいて、n枚目の紙幣Pの後端を検知したか否かを判断する。
【0119】
コントローラ85は、搬送されたn枚目の紙幣Pの後端が検知されたのに基づいて(ステップS33、YES)、取出モータ41を逆回転駆動する(ステップS31)。これにより、取出ローラ30は、逆方向に回転される。また、逆転ローラ31は、取出ローラ30の逆回転に伴って逆方向に回転される。
【0120】
コントローラ85は、取出モータ41の駆動を制御して取出ローラ30を所定角度だけ回転させた後、取出モータ41の駆動を停止する(ステップS32)。
【0121】
続いて、コントローラ85は、紙幣検知センサSからの出力信号に基づいて、取り出す紙幣Pがトレイにあるか否かを判別する(ステップS8)。コントローラ85は、紙幣Pがあると判別した場合には(ステップS8、YES)、取出ローラ30を停止した後に適当なディレイをとってステップS4に戻り、取出モータ41及びピックアップモータ49の駆動を再開して、次の紙幣Pの取り出し動作を行う。
【0122】
また、コントローラ85は、トレイに紙幣Pがないと判別した場合には(ステップS8、NO)、逆転モータ64の駆動を停止し、逆転ローラ31が停止される(ステップS9)。しかるのち、コントローラ85は、すべてのモータの駆動を停止して取出動作が終了する(ステップS10)。
【0123】
一方、ステップS33において、コントローラ85は、搬送されたn枚目の紙幣Pの後端を検知していない場合には(ステップS33、NO)、紙幣検知センサSからの出力信号に基づいて取り出す紙幣Pがトレイにあるか否かを判別し(ステップS8)、紙幣Pがあると判別した場合には(ステップS8、YES)、取出ローラ30を停止した後に適当なディレイをとってステップS4に戻り、トレイに紙幣Pがないと判別した場合には(ステップS8、NO)、逆転モータ64の駆動を停止し(ステップS9)、さらに、すべてのモータの駆動を停止して取出動作が終了する(ステップS10)。
【0124】
このように、取出ローラ30の逆転動作は、1枚の紙幣P毎に行う必要はなく、n枚毎に行うことにより、ローラの偏磨耗を防止しつつ、処理効率を向上することが可能となる。
【0125】
次に、図14に示したフローチャートを参照して紙幣取出動作の第4の制御方法について説明する。
【0126】
すなわち、図14に示すように、紙幣Pの取出動作の開始が要求されると(ステップS1)、コントローラ85は、図11に示したフローチャートと同様に1枚目の紙幣Pを繰り出すために、ステップS4までの制御を行い、取出ローラ30及びピックアップローラ5を回転させた後、ステップS5において第2検知センサ77からの出力信号に基づいて紙幣Pの先端を検知した場合に、ステップS6において取出モータ41及びピックアップモータ49の駆動を停止する。
【0127】
続いて、コントローラ85は、紙幣Pの処理枚数が所定枚数n枚に達したか否かを判断する(ステップS33)。すなわち、コントローラ85は、第1検知センサ76からの出力信号に基づいて、n枚目の紙幣Pの後端を検知したか否かを判断する。
【0128】
コントローラ85は、搬送されたn枚目の紙幣Pの後端が検知されたのに基づいて(ステップS33、YES)、取出モータ41を逆回転駆動する(ステップS31)。これにより、取出ローラ30は、逆方向に回転される。また、逆転ローラ31は、取出ローラ30の逆回転に伴って逆方向に回転される。コントローラ85は、その後、取出モータ41の駆動を停止する(ステップS32)。
【0129】
続いて、コントローラ85は、紙幣検知センサSからの出力信号に基づいて、取り出す紙幣Pがトレイにあるか否かを判別する(ステップS8)。コントローラ85は、紙幣Pがあると判別した場合には(ステップS8、YES)、適当なディレイをとってステップS4に戻り、取出モータ41及びピックアップモータ49の駆動を再開して、次の紙幣Pの取り出し動作を行う。
【0130】
また、コントローラ85は、トレイに紙幣Pがないと判別した場合には(ステップS8、NO)、逆転モータ64の駆動を停止し、逆転ローラ31が停止される(ステップS9)。しかるのち、コントローラ85は、すべてのモータの駆動を停止して取出動作が終了する(ステップS10)。
【0131】
一方、ステップS33において、コントローラ85は、搬送されたn枚目の紙幣Pの後端を検知していない場合には(ステップS33、NO)、第2検知センサ77からの出力信号に基づいて、紙幣Pの後端部を検知したか否かを判断する。
【0132】
続いて、コントローラ85は、紙幣Pの後端部を検知したと判断した場合には(ステップS7、YES)、紙幣検知センサSからの出力信号に基づいて取り出す紙幣Pがトレイにあるか否かを判別し(ステップS8)、紙幣Pがあると判別した場合には(ステップS8、YES)、適当なディレイをとってステップS4に戻り、トレイに紙幣Pがないと判別した場合には(ステップS8、NO)、逆転モータ64の駆動を停止し(ステップS9)、さらに、すべてのモータの駆動を停止して取出動作が終了する(ステップS10)。
【0133】
このように、取出ローラ30の逆転動作は、1枚の紙幣P毎に行う必要はなく、n枚毎に行うことにより、ローラの偏磨耗を防止しつつ、処理効率を向上することが可能となる。
【0134】
次に、図15に示したフローチャートを参照して紙幣取出動作の第5の制御方法について説明する。
【0135】
すなわち、図15に示すように、紙幣Pの取出動作の開始が要求されると(ステップS1)、コントローラ85は、図12に示したフローチャートと同様に1枚目の紙幣Pを繰り出すために、ステップS4までの制御を行い、さらに、ステップS21からステップS25までの制御を続けて行う。
【0136】
続いて、コントローラ85は、第1検知センサ76からの出力信号に基づいて、n枚目の紙幣Pの後端を検知したか否かを判断する(ステップS34)。
【0137】
コントローラ85は、搬送されたn枚目の紙幣Pの後端が検知されたのに基づいて(ステップS34、YES)、取出モータ41を逆回転駆動する(ステップS31)。これにより、取出ローラ30は、逆方向に回転される。また、逆転ローラ31は、取出ローラ30の逆回転に伴って逆方向に回転される。コントローラ85は、その後、取出モータ41の駆動を停止する(ステップS32)。
【0138】
続いて、コントローラ85は、紙幣検知センサSからの出力信号に基づいて、取り出す紙幣Pがトレイにあるか否かを判別する(ステップS26)。コントローラ85は、紙幣Pがあると判別した場合には(ステップS26、YES)、適当なディレイをとってステップS4に戻り、取出モータ41及びピックアップモータ49の駆動を再開して、次の紙幣Pの取り出し動作を行う。
【0139】
また、コントローラ85は、トレイに紙幣Pがないと判別した場合には(ステップS26、NO)、逆転モータ64の駆動を停止し、逆転ローラ31が停止される(ステップS27)。しかるのち、コントローラ85は、すべてのモータの駆動を停止して取出動作が終了する(ステップS28)。
【0140】
一方、ステップS34において、コントローラ85は、搬送されたn枚目の紙幣Pの後端を検知していない場合には(ステップS34、NO)、紙幣検知センサSからの出力信号に基づいて取り出す紙幣Pがトレイにあるか否かを判別し(ステップS26)、紙幣Pがあると判別した場合には(ステップS26、YES)、適当なディレイをとってステップS4に戻り、トレイに紙幣Pがないと判別した場合には(ステップS26、NO)、逆転モータ64の駆動を停止し(ステップS27)、さらに、すべてのモータの駆動を停止して取出動作が終了する(ステップS28)。
【0141】
このように、取出ローラ30の逆転動作は、1枚の紙幣P毎に行う必要はなく、n枚毎に行うことにより、ローラの偏磨耗を防止しつつ、処理効率を向上することが可能となる。
【0142】
上述したように、第1乃至第5の制御方法では、取出ローラを紙幣の取出動作に応じて逆回転させている。取出ローラを逆回転させない場合、紙幣Pの分離取出動作を繰り返し行うとき、紙幣Pと逆転ローラ31との間に微小なすべり摩擦が生じており、やがて逆転ローラ31のゴム表面は磨耗する。実際には、図5及び図6の状態が紙幣Pを1枚取り出すごとに振動的に小刻みに繰り返されるとき、逆転ローラ31も振動的に回転することにより偏磨耗を防止している。
【0143】
また、1枚のみが取出ローラ30と逆転ローラ31との間に進入したときは、逆転ローラ31は、図4に示したように連れ回るため、偏磨耗を防止することができる。
【0144】
ところが、図1に示した紙幣分離処理機では、1日当たり数十万枚という大量の紙幣を処理するため、逆転ローラが磨耗していく過程において、磨耗が円周上のある部分に集中すると偏磨耗を生ずる。一度偏磨耗を生じると、逆転ローラ31は、振動的に回転することができなくなり、偏磨耗は加速されて進行する。その結果、分離不能となり、MRR取出において、安定した取出を維持することができなくなる。
【0145】
これに対して、上述した実施の形態に係る制御方法では、逆転ローラを逆回転させて強制的に分離位置をずらしているため、逆転ローラ31の偏磨耗を防止することが可能となり、長期間にわたって安定した取出動作を行うことが可能となる。したがって、逆転ローラの交換頻度を大幅に削減することが可能となる。
【0146】
以上説明したように、この実施の形態に係る紙葉類取出装置によれば、取出ローラに分離ローラを圧接させ、この分離ローラに紙葉類の取出方向と逆方向のトルクを付与して紙葉類を分離する。このため、紙葉類の厚さや摩擦係数の影響を受けることなく、安定した取り出しが可能になるとともに、分離ローラと紙葉類の摩擦係数が紙葉類間の摩擦係数より高ければ分離が可能となる。したがって、ローラの材質などは耐久性の観点からだけ選べばよく選択の幅が広がる。
【0147】
また、送出ローラの紙葉類が接触される接触部と、取出ローラと分離ローラとの接触部とを結ぶ線分に対し、取出ローラの中心と分離ローラの中心とを結ぶ線分を直交するように各ローラを配設している。このため、紙葉類の送込方向と取出方向とを一致させることができる。したがって、送出ローラにより送り出される紙葉類は、取出ローラと分離ローラとの間にスムーズに送り込まれ、また、分離ローラにより分離されて引き戻される紙葉類もスムーズに引き戻され、より一層安定した取り出しが可能になる。
【0148】
また、分離ローラの中心とこの分離ローラを揺動させる揺動レバーの回動中心とを結ぶ線分に対し、取出ローラの中心と分離ローラの中心とを結ぶ線分を直交するように各ローラを配置している。このため、取出ローラに対する分離ローラの押圧力を一定に保つことができ、安定した分離力を得ることができる。
【0149】
さらに、取出ローラの直後に第1検知センサを配置し、搬送ローラの直後に第2の検知センサを配置している。これら第1検知センサ及び第2検知センサからの出力信号に基づいて、送出ローラと取出ローラの駆動が制御される。このため、各ローラの直径やレイアウトを犠牲にせず、搬送方向の長さ、厚さ、摩擦係数の違いにかかわらず、安定して確実に1枚ずつ取り出すことが可能となる。
【0150】
またさらに、第1検知センサ及び第2検知センサからの出力信号に基づいて、送出ローラ及び取出ローラの駆動を制御し、1枚以上の所定枚数毎に取り出しローラ及び分離ローラを逆回転させる。これにより、分離ローラの円周上において、ある特定の部分が集中して磨耗することがなく、ローラの偏磨耗を防止することが可能となる。したがって、長期間にわたって安定して取出動作を行うことができるとともに、分離ローラの交換頻度を大幅に削減することが可能となる。
【0151】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、紙葉類の厚さ、摩擦係数、長さの影響を受けることなく、長期間にわたって安定して確実に1枚ずつ取り出すことが可能な紙葉類取出装置を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態に係る紙葉類取出装置が適用される紙幣分類処理機の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した紙幣分離処理機に適用される紙葉類取出装置としての紙幣取出装置の構造を概略的に示す斜視図である。
【図3】図3は、図2に示した紙幣取出装置の分離機構を構成する取出ローラ及び逆転ローラの回転状態を示す図である。
【図4】図4は、取出ローラと逆転ローラとの間に紙幣が1枚送り込まれた状態を示す図である。
【図5】図5は、取出ローラと逆転ローラとの間に紙幣が2枚送り込まれた状態を示す図である。
【図6】図6は、取出ローラと逆転ローラとの間に送り込まれた紙幣が分離された状態を示す図である。
【図7】図7は、図2に示した紙幣取出装置の分離機構を構成する各ローラの配置構成を示す正面図である。
【図8】図8は、図7に示した分離機構を構成する各ローラの配置構成を示す側面図である。
【図9】図9は、取出ローラと逆転ローラの当接状態を示す正面図である。
【図10】図10は、図9に示した取出ローラと逆転ローラの当接状態を示す側面図である。
【図11】図11は、この発明の一実施の形態に係る紙葉類取出装置に適用される第1の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図12】図12は、この発明の一実施の形態に係る紙葉類取出装置に適用される第2の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は、この発明の一実施の形態に係る紙葉類取出装置に適用される第3の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図14】図14は、この発明の一実施の形態に係る紙葉類取出装置に適用される第4の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図15】図15は、この発明の一実施の形態に係る紙葉類取出装置に適用される第5の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
P…紙幣(紙葉類)、5…ピックアップローラ(送出ローラ)、30…取出ローラ、31…逆転ローラ(分離ローラ)、34…ドライブローラ(搬送ローラ)、35…ピンチローラ(搬送ローラ)、63a,63c…プーリ、63b…ベルト、64…リバースモータ(駆動手段)、76…第1検知センサ(第1検知手段)、77…第2検知センサ(第2検知手段)、85…コントローラ(制御手段)。

Claims (5)

  1. 紙葉類を送り出す送出ローラと、
    その周面がゴムで形成され、前記送出ローラにより送り出された紙葉類を回転することにより取り出す取出ローラと、
    前記取出ローラに圧接され、紙葉類の取出方向と逆方向の回転トルクが付与されることにより紙葉類を1枚ずつ分離する全周がゴムで形成された分離ローラと、
    前記取出ローラにより取り出された紙葉類を搬送する搬送ローラと、
    前記搬送ローラにより搬出された紙葉類を検知する検知手段と、
    前記検知手段がそれぞれの紙葉類の後端部を検知する毎に、前記取出ローラを逆回転させて停止させる制御手段と、
    を備えたことを特徴とする紙葉類取出装置。
  2. 紙葉類を送り出す送出ローラと、
    その周面がゴムで形成され、前記送出ローラにより送り出された紙葉類を回転することにより取り出す取出ローラと、
    前記取出ローラに圧接され、紙葉類の取出方向と逆方向の回転トルクが付与されることにより紙葉類を1枚ずつ分離する全周がゴムで形成された分離ローラと、
    前記取出ローラにより取り出された紙葉類を検知する検知手段と、
    前記検知手段がそれぞれの紙葉類の後端部を検知する毎に、前記取出ローラを逆回転させて停止させる制御手段と、
    を備えたことを特徴とする紙葉類取出装置。
  3. 紙葉類を送り出す送出ローラと、
    その周面がゴムで形成され、前記送出ローラにより送り出された紙葉類を回転することにより取り出す取出ローラと、
    前記取出ローラに圧接され、紙葉類の取出方向と逆方向の回転トルクが付与されることにより紙葉類を1枚ずつ分離する全周がゴムで形成された分離ローラと、
    前記取出ローラにより取り出された紙葉類を搬送する搬送ローラと、
    前記搬送ローラにより搬出された紙葉類を検知する検知手段と、
    前記検知手段が所定のn枚の紙葉類の後端部を検知する毎に、前記取出ローラを逆回転させて停止させる制御手段と、
    を備えたことを特徴とする紙葉類取出装置。
  4. 紙葉類を送り出す送出ローラと、
    その周面がゴムで形成され、前記送出ローラにより送り出された紙葉類を回転することにより取り出す取出ローラと、
    前記取出ローラに圧接され、紙葉類の取出方向と逆方向の回転トルクが付与されることにより紙葉類を1枚ずつ分離する全周がゴムで形成された分離ローラと、
    前記取出ローラにより取り出された紙葉類を検知する検知手段と、
    前記検知手段が所定のn枚の紙葉類の後端部を検知する毎に、前記取出ローラを逆回転させて停止させる制御手段と、
    を備えたことを特徴とする紙葉類取出装置。
  5. 前記制御手段は、360度を割り切れない所定角度だけ前記取出ローラを逆回転させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の紙葉類取出装置。
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