JP4598749B2 - 粘着テープ及び粘着テープの貼り付け方法 - Google Patents
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Description
この方法は、玉型加工用の平板状の粘着テープを、加工中心を覆うように眼鏡レンズの凸面もしくは凹面もしくは凹凸両面上に貼着するものである。
しかしながら、眼鏡レンズがプラスレンズであって凸面の曲率が大きい場合や、眼鏡レンズがマイナスレンズであって凹面の曲率が大きい場合には、粘着テープのレンズ表面への追従性が悪くなる。粘着テープがレンズ表面に追従しないと、粘着テープに皺が生じることになり、粘着テープとレンズ表面との接着面積が小さくなる。さらには、玉型加工時には冷却と研削材除去とのために水をかけるが、この水が粘着テープの皺の部分から浸入することもある。
以上のことから、従来の平板状の粘着テープを眼鏡レンズの表面に貼付すると、粘着テープに皺がよってしまい、粘着テープの眼鏡レンズへの粘着力が低下するという課題が生じる。
本発明では、粘着テープの粘着力の測定値は、JIS Z 0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に規定する180度引きはがし法による粘着力試験方法において、試験板としてフッ素変性シリコーン離型剤で表面処理したポリエチレンテレフタレート板を用いた場合に、4gf(0.0392N)以上が好ましい。
そのため、レンズ表面の曲率にかかわらず、皺がよることなく粘着テープをレンズ表面に貼付することができる。従って、玉型加工時に冷却や研削材除去のために水をかけても、この水が粘着テープとレンズ表面との間から浸入することがないので、粘着テープのレンズへの粘着力が低下することがない。
ここで、印点とは、レンズを玉型加工する際の水平基準となるいわゆるアライメントマークである。
しかも、中心孔と切欠きとを接続している場合には粘着テープが複数片に分割されることになるが、本発明のように中心孔と切欠きとを離して形成していれば粘着テープは複数片に分割されることなく1枚の部材としてまとまるので、粘着テープの貼付作業が容易となる。
この構成の発明では、まず、レンズの中心部に粘着テープの中心部を位置決めして押し当て、その後、粘着テープを中心部から周縁に向けてレンズ表面に押し付けるので、粘着テープを正確にレンズ表面に貼付することができる。
図1は、本実施形態の粘着テープが貼着される眼鏡レンズLの説明図であり、図1(A)は平面図、図1(B)は断面図である。
眼鏡レンズLの基材としては、透明であれば、無機ガラス、プラスチックのいずれでもよい。プラスチックとしては、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)樹脂、ポリウレタン系樹脂、チオウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル樹脂等を挙げることができる。
防汚層は、表面張力を低くするために、含フッ素シラン化合物を主成分とすることが好ましい。例えば、次の一般式(1)で示される含フッ素シラン化合物を用いることができる。
また、前述の含フッ素シラン化合物としては、他に、下記一般式(2)で示される化合物を用いてもよい。
中心点11は、眼鏡レンズLの光学的な中心位置に2本の直線が十文字に印刷されている。水平基準マーク12,13は、中心点11を通過する水平線上に円形に印刷されている。
図2において、眼鏡レンズLは、玉型加工装置50を用いて加工される。玉型加工装置50は、一方の固定装置としてのチャック51及び他方の固定装置としてのチャック52とからなる一対の固定装置と、眼鏡レンズLの周縁に回転しながら押し当てて研削する砥石60と、いずれも図示しないクランプ軸、駆動部、駆動部の動作を制御する駆動制御部と、フレームデータ等を格納する記憶部と、給水ノズルとを備えている。
チャック51は、先端部に、樹脂製のレンズ保持部材510が装着され、粘着テープ20を介して眼鏡レンズLを一方からチャッキング(固定)する機能を有する。他方のチャック52は、先端部にゴム等の弾性体が設けられており、眼鏡レンズLの凹面L2に押し当てて固定する機能を有する。眼鏡レンズLは、凸面L1をチャック51側にして、チャック51と他方のチャック52とに押圧されて固定され、固定装置(チャック51、52)の中心軸は、眼鏡レンズLの加工中心に位置している。
図3に示される通り、レンズ保持部材510は、玉型加工装置50のチャック51の先端部として装着され、位置決めされると共に保持固定される円筒状の装着部511と、装着部511に連結する鍔状のレンズ保持部512を備えている。
装着部511の外周面には、レンズ保持部材510がチャック51の本体に装着される際にチャック51の本体に嵌合して位置決めするための突起511Aが形成されている。レンズ保持部512の端面には、カップ状のレンズ保持面512Aが形成されている。
粘着テープ20は、基材層201と、この基材層201のレンズ側に設けられるレンズ側粘着層202と、基材層201のチャック51側に設けられるチャック側粘着層203とを備えている。
粘着テープ20を構成する基材層201の材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、ABS、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、アセテート、4−フッ化エチレン等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、軟質ゴム、硬質ゴム等のゴム系樹脂及びこれらを補強する材料、例えば繊維質材料などを含有させた樹脂を例示することができる。
なお、基材層201を発泡体とする場合は、曲面への追従性を向上させるために、レンズ表面と交差する方向に10%以上圧縮可能な弾性を有するものが好適に用いられる。また、基材層201を発泡体とする場合でも、基材層201全体を発泡層とする必要はなく、発泡層と非発泡層を積層したような構造であってもよい。
レンズ側粘着層202の粘着力は、表面張力の低い防汚層に対して十分な粘着力が必要であり、JIS Z 0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に規定する180度引きはがし法による粘着力試験方法において、試験板としてフッ素変性シリコーン離型剤で表面処理したポリエチレンテレフタレート板を用いた場合に、4gf(0.0392N)以上必要であり、好ましくは、6gf(0.0588N)以上である。
なお、JISZ 0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に規定する180度引きはがし法による粘着力試験方法ならびに粘着テープ20の粘着力を求める試験方法は、特開2004−249454号公報に記載されている通りである。
粘着テープ20の平面形状が研削する眼鏡レンズLの所定の玉型加工形状よりはみ出す部分を有する場合には、玉型加工時に、砥石60や切削水等によって剥がれるおそれがあるので、研削する所定の玉型加工形状より小さな外形形状であることが好ましい。
本実施形態における粘着テープ20は、クロロプレンゴム発泡体(ネオプレンフォーム)からなる0.8mm程度の厚みの基材層201の片側に、厚みが20μm程度のアクリル系粘着剤からなるレンズ側粘着層202を有し、基材層201の他方の側には、ゴム系粘着剤からなるチャック側粘着層203を有している。
図5は粘着テープ20の一例を示す平面図である。
図5において、粘着テープ20は、所定寸法、例えば、天地幅25mm、横幅40mmの楕円形からなり、楕円形の略中心に粘着テープ20を表裏に貫通する円形の中心孔23が形成され、楕円形の横幅方向の外周部に印点視認用開口部24が略円形に形成され、周縁から中心部に向けて切欠き25が形成されている。
中心孔23は、粘着テープ20が眼鏡レンズLの凸面L1に貼着された際に、中心点11を視認するための孔部であり、印点視認用開口部24は、水平基準マーク12,13を視認するための切欠きである。中心孔23、印点視認用開口部24の形状及び大きさは、印点が視認できればよく、これに限定されない。
なお、粘着テープ20の基材が透明な素材である場合は、印点視認用開口部24は不要である。
切欠き25は、いわば略扇の形状であり、その頂部の角度αは粘着テープ20が眼鏡レンズLの湾曲した表面に貼付された際に扇を形成する斜辺が当接するように設定される。
切欠き25の頂部には略円弧状のR部25Aが形成されている。
図5の実施形態では、中心孔23と切欠き25の中心側端縁であるR部25Aとは所定間隔離れている。
図6は粘着テープ20の一例を示す平面図であり、図5の実施形態とは中心孔23と切欠き25の中心側端縁とが接続されて連続した空間が形成されている点で相違するものであり、他の構成は図5の実施形態と同じである。
図7において、粘着テープ20は、図5の粘着テープ20と同様の楕円形からなり、楕円形の略中心に中心孔23が形成され、楕円形の横幅方向の外周部に印点視認用開口部を兼ねる切欠き25が周縁から中心部に向けて形成されている。
切欠き25は、粘着テープ20の中心部から互いに対向する位置に2本形成されており、それぞれが粘着テープ20の中心部から周縁に向けて幅が広くなるように扇形に形成されている。
図7の粘着テープ20においても、切欠き25の頂部の角度αは粘着テープ20が眼鏡レンズLの湾曲した表面に貼付された際に扇を形成する斜辺が当接するように設定される。
図7の実施形態では、中心孔23と切欠き25の中心側端縁であるR部25Aとは所定間隔離れている。
図8は粘着テープ20の一例を示す平面図であり、図7の実施形態とは中心孔23と切欠き25の中心側端縁とが接続されて連続した空間が形成されている点で相違するものであり、他の構成は図7の実施形態と同じである。
図9において、粘着テープ20は、図5の粘着テープ20と同様の楕円形からなり、楕円形の略中心に中心孔23が形成され、楕円形の横幅方向の外周部に印点視認用開口部24が略円形に形成され、周縁から中心部に向けて切欠き25が形成されている。
切欠き25は、粘着テープ20の中心部から1本形成されており、この切欠き25は粘着テープ20の中心部から周縁に向けて幅が広くなるように扇形に形成されている。
図9の粘着テープ20においても、切欠き25の頂部の角度αは粘着テープ20が眼鏡レンズLの湾曲した表面に貼付された際に扇を形成する斜辺が当接するように設定される。
図9の実施形態では、中心孔23と切欠き25の中心側端縁であるR部25Aとは所定間隔離れている。
図10は粘着テープ20の一例を示す平面図であり、図9の実施形態とは中心孔23と切欠き25の中心側端縁とが接続されて連続した空間が形成されている点で相違するものであり、他の構成は図9の実施形態と同じである。
図11において、粘着テープ20は、図5の粘着テープ20と同様の楕円形からなり、楕円形の略中心に中心孔23が形成され、外周部に2箇所の印点視認用開口部24が略円形に形成され、周縁から中心部に向けて切欠き25が形成されている。
切欠き25は、粘着テープ20の中心部から互いに対向する位置に3本が互いに等間隔となるように形成されており、これらの切欠き25は粘着テープ20の中心部から周縁に向けて幅が広くなるように扇形に形成されている。
図11の粘着テープ20においても、切欠き25の頂部の角度αは粘着テープ20が眼鏡レンズLの湾曲した表面に貼付された際に扇を形成する斜辺が当接するように設定される。
図11の実施形態では、中心孔23と切欠き25の中心側端縁であるR部25Aとは所定間隔離れている。
図12は粘着テープ20の一例を示す平面図であり、図11の実施形態とは中心孔23と切欠き25の中心側端縁とが接続されて連続した空間が形成されている点で相違するものであり、他の構成は図11の実施形態と同じである。
図5から図12で示される粘着テープ20は、切欠き25の本数が多くなると、1つあたりの切欠き25の頂部の角度αが小さくなる。
図13において、粘着テープ20は、図5の粘着テープ20と同様の楕円形からなり、楕円形の略中心に中心孔23が形成され、外周部に2箇所の印点視認用開口部24が略円形に形成され、周縁から中心部に向けて切欠き25が形成されている。
切欠き25は、粘着テープ20の中心部から互いに対向する位置に2本が対向配置されており、これらの切欠き25は開口端側の間が狭く中心部側の底辺が広い逆扇形に形成されている。
図13の粘着テープ20では、切欠き25の開口端側の寸法は粘着テープ20が眼鏡レンズLの湾曲した表面に貼付された際に当接するように設定される。
図13の実施形態では、中心孔23と切欠き25の中心側端縁とは所定間隔離れている。
図14は粘着テープ20の一例を示す平面図であり、図13の実施形態とは切欠き25の形成位置が異なる。図14では、切欠き25が印点視認用開口部を兼ねた構成である。
図15及び図16において、粘着テープ20は、その一面側の粘着層202が剥離紙30に剥離可能に貼付され、その他面側の粘着層203が剥離紙31に剥離可能に貼付されている。剥離紙31は粘着テープ20の平面形状と同じ形状である。
剥離紙30と粘着層202との間の粘着力は、粘着層202と基材層201との間の粘着力並びに粘着層203と基材層201との間の粘着力より小さい。同様に、剥離紙31と粘着層203との間の粘着力は、粘着層202と基材層201との間の粘着力並びに粘着層203と基材層201との間の粘着力より小さい。
(貼着工程)
まず、防汚層が形成された眼鏡レンズLの凸面L1に粘着テープ20を貼着する。具体的には、剥離紙30から1つの粘着テープ20を剥がし、この粘着テープ20の中心孔23の略中心と印点視認用開口部24の略中心が、各印点(中心点11及び水平基準マーク12,13)の略中心に位置し、各印点に掛からないように粘着テープ20を、凸面L1上に貼着する(図1参照)。そのため、まず、粘着テープ20の中心部を眼鏡レンズLの中心部に押し当て、その後、粘着テープ20を中心部から周縁に向けて眼鏡レンズLに押し付ける。
次に、凸面L1に粘着テープ20が貼着された眼鏡レンズLに対し、以下のようにして粘着テープ20上にレンズ保持部材510を取り付ける。
この取り付け工程では、まず、凸面L1に粘着テープ20が貼着された眼鏡レンズLを、公知の軸出し器に対し、粘着テープ20側を上面にしてセットし固定する。いわゆる、水平出しを行う。
軸出し器はブロッカーとも呼ばれ、眼鏡レンズLの凸面L1に印刷された印点(図1参
照)、すなわち光学中心を示す中心点11と、レンズの水平方向を示す2つの水平基準マーク12,13を視認し、眼鏡レンズLを所定の立置に固定する。
次に、軸出し器に固定された眼鏡レンズLの粘着テープ20から剥離紙31を剥がし、粘着テープ20の粘着層203の上に、レンズ保持部材510が貼付される。
そして、粘着テープ20を介してレンズ保持部材510に保持された眼鏡レンズLが、玉型加工装置50の一方の固定装置としてのチャック51に装着される。具体的には、装着部511の外周面に形成された4個の突起511Aがチャック51の本体内部に形成された図示しない凹部に嵌合するように、レンズ保持部材510がチャック51の本体に挿入される。
(固定工程)
次に、レンズ保持部材510がチャック51の本体に取り付けられた状態で、玉型加工装置50の他方の固定装置としてのチャック52がクランプ軸により繰り出され、眼鏡レンズLの凹面L2に押し当てられる。これにより、眼鏡レンズLは、チャック51とチャック52とに挟まれて固定される(図2参照)。すなわち、粘着テープ20は、眼鏡レンズLとチャック51との間に位置する。
そして、チャック51とチャック52との間に固定された眼鏡レンズLの周縁に、回転する砥石60が押し当てられて、所定の形状に研削される。
研削は、予め記憶部に格納されたフレームデータに基づいて、眼鏡フレームの枠に収まる所定の形状に研削される。研削時には、眼鏡レンズLの周縁部に向かって給水ノズルから水が供給され、研削によって発生する熱が除去されると共に、研削粉が洗い流される。
(1)粘着テープ20は、その周縁から中心部に向けて切欠き25が形成されているので、レンズ表面の曲率にかかわらず、テープ自体に皺がよることなくレンズ表面に貼付することができる。従って、玉型加工時に冷却や研削材除去のために水をかけても、粘着テープ20の眼鏡レンズLへの粘着力が低下することがない。
(2)切欠き25が粘着テープ20の中心部から周縁に向けて幅が広くなるように略扇形に形成されているから、レンズ表面に隙間なく粘着テープ20を貼付することができる。
(3)切欠き25が複数設けられているから、レンズ表面の曲率に粘着テープ20の全体を十分に追従させることができ、粘着テープ20に皺がよることを確実に防止することができる。
(5)粘着テープ20には、レンズ表面に付された印点が見えるための中心孔23及び印点視認用開口部24が形成されているので、粘着テープ20自体を眼鏡レンズLに貼着することが容易になるとともに、玉型加工における眼鏡レンズLのチャッキング作業も容易に行える。
(7)粘着テープ20を剥離紙30に予め剥離可能に貼付して保管するから、剥離紙30から粘着テープ20を剥がして使用することが可能となるので、粘着テープ20の取り扱い性が容易となる。特に、中心孔23と切欠き25とが接続されて粘着テープ20が複数の小片に分割されている場合には剥離紙30で形を整えて粘着テープ20を保持することができるから有利である。
(9)R部25Aが切欠き25の頂部に形成されているから、剥離紙30から粘着テープ20を剥がした際に、切欠き25の頂部に力がかかって粘着テープ20が裂けることがない。
(10)粘着テープ20を眼鏡レンズLに貼り付けるにあたり、まず、眼鏡レンズLの中心部に粘着テープ20の中心部を位置決めして押し当て、その後、粘着テープ20を中心部から周縁に向かってレンズ表面に押し付けるので、粘着テープ20を正確にレンズ表面に貼付することができる。
例えば、前記実施形態では、粘着テープ20は粘着層202、基材層201及び粘着層203を積層した構成としたが、本発明では、粘着層202,203は一方のみ設ける構成であってもよく、さらに、粘着層202、基材層、粘着層、基材層201及び粘着層203からなる5層構造としてもよい。粘着層202,203は一方のみ設ける片面粘着タイプでは、レンズロックテープを使用してリープカップを貼付する。
さらに、粘着テープ20の平面の外形形状は楕円形に限定されるものではなく、例えば、円形、三角形、四角形。五角形等でもよい。
具体的には、以下に示すように、所定の眼鏡レンズの凸面に粘着テープを貼着した後、一対のチャックで眼鏡レンズをチャッキングして玉型加工を行い、眼鏡レンズの軸ズレの程度を観察した。なお、本実施例は、基本的に前述の実施形態に準拠しており、特に重複して説明する必要がないと思われる細部は省略した。
眼鏡用プラスチックレンズ(セイコーエプソン(株)製 セイコールーシャス)として、度数S=+3.50D、C=+0.50Dを用いた。
なお、このレンズ表面には、前述した一般式(1)又は(2)の含フッ素シラン化合物を主成分とする防汚層が形成されている。防汚層は真空蒸着方式によって形成したが、この際、テープの軸ずれ防止効果がより明確に現れるように防汚剤の蒸着量を通常量より20%多くして蒸着した。このレンズの凸面の曲率半径は86.57mmである。
玉型加工用粘着テープとして、以下の3種類を用いた。
(2-1)粘着テープ1
基材層:
厚み:100μm
材料:ポリエチレン
レンズ側粘着層:
厚み:20μm
材料:アクリル系
チャック側粘着層:なし
(2-2)粘着テープ2
基材層:
厚み:160μm
材料:ポリエチレン
レンズ側粘着層:
厚み:20μm
材料:アクリル系
チャック側粘着層:
厚み:20μm
材料:ゴム系
(2-3)粘着テープ3
基材層:
厚み:500μm
材料:ネオプレンフォームを含むシート
レンズ側粘着層:
厚み:20μm
材料:アクリル系
チャック側粘着層:
厚み:20μm
材料:ゴム系
なお、粘着テープ1は片面粘着タイプであるため、レンズロックテープを使用してリープカップを貼付し、玉型加工機にセットする。粘着テープ2,3は両面粘着タイプであるため、直接リープカップを貼付する。
(3-1)実施例A(図5で示される実施形態)
切欠き4本であり、その頂部と中心孔23との間の寸法が1.5mm
(3-2)実施例B(図6で示される実施形態)
切欠き4本であり、その頂部と中心孔23との間の寸法が0mm(切欠き25と中心孔23とが接続)
(3-3)比較例(切欠きなし)
本評価は、玉型加工機を用いて眼鏡レンズを所定のフレーム形状に研削加工する際、チャック部(レンズを加工機の軸と固定している部位)とレンズ表面との間の滑りによって生ずる軸ズレ発生の有無を観察することによって行った。以下に手順を示す。
縦横比の大きいカニ目タイプフレームを準備し、基準フレームとした。
まず、試験レンズの乱視軸を180°に合わせてレンズメータにセットし、3点印点を打刻した。3点印点はレンズの光学的中心軸と乱視軸を目視にて明確にするためのものである。
次に、眼鏡レンズの凸面に玉型加工用粘着テープ1〜3を貼着した。
この眼鏡レンズをレンズ固定冶具(レンズブロッカー)にセットした。この時、乱視軸が180°となるように固定した。ブロッカーのアームにリープカップをセットし、定位置に貼着した。
ここで、粘着テープ1の場合はレンズロックテープを介して、粘着テープ2,3の場合は直接、リープカップを貼着することは先に述べた通りである。
上記レンズを玉型加工機(「LE―8080」NIDEK株式会社製)にセットし、先のフレームデータに基づいて玉型加工を行った。
玉型加工後のレンズを基準フレームに枠入れし、レンズメータにて、乱視軸のズレを測定した。
このようにして20枚のレンズを玉型加工し、軸ずれが許容範囲を超えた割合を算出した。なお、軸ズレの許容範囲は±2°以下とした。
表1に軸ズレ評価試験の結果を示す。
一方、切り欠きが入っていない比較例は、20%〜30%の割合で軸ズレが発生している。
この試験結果から、切り欠き付きの粘着テープの効果は明らかである。すなわち、粘着テープの曲面への追従性が向上したために、試験に用いた曲率の小さい曲面を持つ強度のプラスレンズを玉型加工する場合でも、軸ズレを起こさずに精度良く加工することが可能となる。
Claims (2)
- レンズと玉摺り加工機における一対のチャックの少なくとも一方との間に配置される粘着テープであって、周縁から中心部に向けて切欠きが形成されるとともに前記チャックへの当接面積よりも大きな面積を有し、前記切欠きは中心部から周縁に向けて幅が広くなるように形成されて、前記切欠きの頂部の角度は眼鏡レンズの湾曲した表面に貼付された際に扇を形成する斜辺が当接するように設定され、
前記レンズには中心部に形成される中心点とこの中心点の両側にそれぞれ形成される側縁点からなる三点印点が形成され、前記中心点を認識可能とする中心孔が形成され、この中心孔と前記切欠きの中心側端縁とは所定間隔離れ、
前記テープの平面形状は長軸と短軸とを有する楕円形であり、前記長軸の中心部は前記中心孔とされ、前記長軸の外周部には前記側縁点を視認する印点視認用開口部が形成されている
ことを特徴とする粘着テープ。 - 請求項1に記載された粘着テープをレンズに貼り付ける方法であって、前記粘着テープの中心孔と印点視認用開口部とが前記レンズの中心点と側縁点とにかからないように、前記粘着テープの中心部を前記レンズの中心部に押し当て、その後、前記扇を形成する斜辺が当接するように前記粘着テープを中心部から周縁に向けてレンズに押し付けることを特徴とする粘着テープの貼り付け方法。
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