JP4592198B2 - Iii−v族化合物半導体製造装置及びiii−v族化合物半導体の製造方法 - Google Patents

Iii−v族化合物半導体製造装置及びiii−v族化合物半導体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚膜のIII-V族化合物半導体を成膜するためのIII-V族化合物半導体製造装置及び厚膜のIII-V族化合物半導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
III-V族化合物半導体を有する発光素子を製造する場合、III-V族化合物半導体を成長させるための成長用基板としてサファイアを用いることが多い。
【0003】
しかし、III-V族化合物半導体とサファイアとの格子定数及び熱膨張係数が異なるために、サファイア基板上に成膜されたIII-V族化合物半導体層に、109〜1010cm-3の濃度の貫通転位が生じる。このような貫通転位が増加すると、III-V族化合物半導体を有する発光素子の発光層に、In組成の揺らぎやドーパントの活性層への拡散等の現象が発生し、発光素子の素子特性、寿命、信頼性が低下する。
【0004】
貫通転位を増加させる格子定数及び熱膨張係数の差異による影響を抑えるため、III-V族化合物半導体の厚膜をサファイア基板上に成長させた後に、その厚膜のIII-V族化合物半導体上に発光素子層を成長させる試み、また、III-V族化合物半導体結晶を成長用基板として用いるために、300μm以上の厚さを有するIII-V族化合物半導体の厚膜を作製する試みがなされている。このような厚膜のIII-V族化合物半導体を成膜する場合、III-V族化合物半導体膜の成膜速度の向上を図ることが生産性を向上させる上で重要となる。
【0005】
厚膜のIII-V族化合物半導体を成膜する場合、成膜速度が大きく、結晶性が比較的良好な膜が得られる成膜方法として、Hydride Vapor Phase Epitaxy法(以下、HVPE法)と呼ばれる成膜方法が知られている。
【0006】
このHVPE法によって、窒化物系III-V族化合物半導体であるGaN膜を成膜する方法について説明する。
【0007】
図21は、III-V族化合物半導体を製造するHVPE装置1Aの断面図、図22は、図21のA−A’線に沿う断面図である。
【0008】
このHVPE装置1Aは、GaNを結晶化して基板上に成膜させるための反応場となる水平状態に配置された円筒状の反応容器11を有し、この反応容器11の内部には、反応容器11の中心軸付近に水平状態で配置されたIII族原料であるGa原料を供給する1本のIII族原料供給管13と、反応容器11の中心軸と同心の円周上に所定間隔を空けて水平状態で配置されたV族原料であるN原料を供給する3本のV族原料供給管14Aと、V族原料供給管14Aが配置された円周と同一の円周上に水平状態で配置されたドーピング原料を供給する1本のドーピング原料供給管15とが設けられている。
【0009】
このIII族原料供給管13及びV族原料供給管14A及びドーピング原料供給管15のそれぞれの原料ガスの吹出し口となる各管の先端から所定距離離れた位置には、結晶成長用の基板101を固定するための円板状のサセプタ12が設けられている。サセプタ12は、カーボン(C)材によって円板状に形成され、その表面側が基板101を保持するための保持面12aとなっている。この保持面12aと反対側の面には、サセプタ12を回転自在に支持するサセプタ装着台19が設けられている。
【0010】
このHVPE装置1AによってGaNの結晶を成長させるには、まず、反応容器11の外側に設けられる図示しない加熱ヒータによって、反応容器11を加熱することにより、サセプタ12上に固定された基板101の温度を約1000℃に維持する。
【0011】
III族原料供給管13から放出させるGaの原料としては、GaClが用いられる。III族原料供給管13には、所定の位置にGa金属を貯蔵するIII族原料貯蔵部18を有しており、GaClガスは、約770℃に加熱したIII族原料貯蔵部18上にHClガスを導入して、Ga金属とHClが、下記の(1)式に示す化学反応により反応することにより発生する。
【0012】
Ga(液体)+HCl(気体)→GaCl(気体)+1/2H2(気体) (1)
発生したGaClガスは、III族原料供給管13の先端部に設けられた石英製のGaCl吹出口13aから放出される。
【0013】
このGaClガスの吹出しと同時に、N原料ガスであるNH3ガスが、V族原料供給管14Aの先端に形成した石英製のV族原料吹出口14aから放出される。両原料供給管13及び14Aから放出されるGaClガス及びNH3ガスは、下記の(2)式で表される化学反応により、GaNの結晶を生成し、基板101の表面上にGaN膜が成膜される。
【0014】
GaCl(気体)+NH3(気体)→GaN(固体)+HCl(気体)+H2(気体) (2)
上記のHVPE法によって、GaNに代表される窒化物系III−V族化合物半導体の厚膜を成長させる場合、特に直径2インチ程度の大きい基板上にIII−V族化合物半導体の厚膜を成膜させる場合には、種基板となるサファイア基板とGaN膜との間に格子定数及び熱膨張係数の違いが生じていると、成膜されるGaN膜に反り及びクラックが生じる。
【0015】
III-V族化合物半導体の一例であるウルツァイト構造のGaNのa軸方向の格子定数は3.189Å、熱膨張係数は5.59×10-6/K、c軸方向の格子定数は5.185Å、熱膨張係数は3.17×10-6/Kである。これに対して、サファイアのa軸方向の格子定数は4.758Å、熱膨張係数は7.5×10-6/Kであり、c軸方向の格子定数は12.991Å、熱膨張係数は8.5×10-6/Kであり、サファイア基板と成膜されるGaN膜との間には、格子定数及び熱膨張係数に差異があるため、成膜されるGaN膜には、反り及びクラックが生じることになる。
【0016】
例えば、450μmの厚さのサファイア基板上にGaN膜を80μmの厚さに成長させると、曲率半径が約75cmである凸状の反りがGaN膜に生じる。
【0017】
このような反りやクラックがGaN膜に生じると、GaN膜を成膜した後に、反りやクラックの入ったGaN膜から種基板であるサファイア基板を研磨により除去することは困難である。仮に研磨により種基板であるサファイア基板を除去することができても、このGaN膜を基板として発光素子構造を作製すると、GaN膜の中心部と端部とにおいて、c軸方向のずれやクラックが生じているために、製造される発光素子に不良が発生するおそれがあり、発光素子の作製の歩留まりが低くなるおそれがある。
【0018】
特に、HVPE法や有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:以下、MOCVD法)において、50μm以上の膜厚の窒化物系III−V族化合物半導体を異種の種基板上に成膜させる場合、窒化物系III−V族化合物半導体基板上に反りやクラックを発生させる熱膨張係数及び格子定数の違いによる影響が強く現われる。
【0019】
この問題への対処法として、特開平9−208396号公報の実施の形態において、種基板の裏面をエッチングするHVPE装置1Bが提案されている。該HVPE装置1Bを図23に示す。エッチングガス供給管16が反応容器11入口まで配置され、反応容器11への入口部からエッチングガスが導入され、そのガスで種基板101の裏面をエッチングする。このことにより、冷却時の熱膨張係数差から発生する熱応力を抑える。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、該装置1Bでは、種基板101をエッチングした後、III−V族化合物半導体膜が表出されることになり、成長温度である400〜1000℃付近においては、窒素ガスなどのキャリアガスを流しても、種基板101が除去された該III−V族化合物半導体表面から、GaNが脱離、除去され、該III−V族化合物半導体表面は大きく荒れて、転位、クラック等の欠陥が増殖していく。さらに該III−V族化合物半導体の表面と裏面との応力のバランスが崩れ、この状態で降温していくと、該III−V族化合物半導体膜に反り、クラック等の欠陥が生じる。
【0021】
仮に、種基板の上にZnO等の中間層を導入したとしても、1000℃付近では、III−V族化合物半導体の表面が荒れるか、除去されてしまう。また、中間層が厚い場合には、中間層は残留するが、冷却時の熱膨張係数差に起因する熱応力により、欠陥、クラックが生じる。
【0022】
上記の理由により、従来法では、III−V族化合物半導体の反りや欠陥等の発生を抑制することに関して限界があった。
【0023】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、厚膜のIII−V族化合物半導体を結晶成長させる場合に、反りや転位、クラック等の欠陥を抑えた高品位のIII−V族化合物半導体を製造することができるIII−V族化合物半導体製造装置及びIII−V族化合物半導体の製造方法を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のIII−V族化合物半導体製造装置は、III−V族化合物半導体を結晶成長させるための種基板を保持する保持手段と、III−V族化合物半導体の原料であるIII族原料およびV族原料を前記種基板の表面に向かって吹き出し、該III−V族化合物半導体の原料であるIII族原料およびV族原料うちのV族原料のみを前記種基板の裏面に向かって吹き出す原料供給手段とを備えたIII−V族化合物半導体製造装置であって、前記保持手段は、前記種基板を、前記原料供給手段に表面が対向する状態及び裏面が対向する状態に変更し得るように保持し、前記保持手段によって保持された種基板の裏面エッチングされるようエッチングガスを吹き出すエッチングガス供給手段が設けられており、前記原料供給手段は、前記種基板の表面上に形成されたIII−V族化合物半導体膜の、該種基板を除去した面に向けて該V族原料を吹き出すと同時に、該III−V族化合物半導体膜のその反対側の面に、III−V族化合物半導体が成長するよう該III族原料および該V族原料を吹き出すことを特徴とするものである。
【0025】
このため、所定の膜厚までIII−V族化合物半導体を製造した後、保持手段によって種基板の表裏を入れ替えて、該種基板の裏面にエッチングガスを吹き付け、種基板を除去した後、もう一度、保持手段によって種基板の表裏を入れ替えて、該種基板を除去したIII−V族化合物半導体の面へV族原料を吹き付けて、該半導体を保護しながら、反対側の面でIII−V族化合物半導体膜の製造を続けることができるので、表面荒れ、表裏面の応力差から発生する歪みの影響が解消され、反り、クラック等の欠陥の発生を低減したIII−V族化合物半導体を製造することができる。
【0026】
また、本発明の他のIII−V族化合物半導体製造装置は、III−V族化合物半導体を結晶成長させるための種基板を保持する保持手段と、III−V族化合物半導体の原料であるIII族原料およびV族原料を前記種基板の表面に向かって吹き出し、該III−V族化合物半導体の原料であるIII族原料およびV族原料うちのV族原料のみを前記種基板の裏面に向かって吹き出す原料供給手段とを備えたIII−V族化合物半導体製造装置であって、前記種基板の裏面をエッチングするエッチングガスを吹き出すためのエッチングガス供給管が、前記種基板の裏面に対向するように配置されていることを特徴とするものである。
【0027】
このため、所定の膜厚までIII−V族化合物半導体を製造した後、エッチングガス供給手段によって、種基板の裏面を、直接、エッチングし、種基板を除去した後、該種基板を除去したIII−V族化合物半導体の面へV族原料を吹き付けて、該半導体を保護しながら、反対面側でIII−V族化合物半導体膜の製造を続けることができるので、表面荒れ、表裏面の応力差から発生する歪みの影響が解消され、反り、クラック等の欠陥の発生を低減したIII−V族化合物半導体を製造することができる。
【0028】
上記本発明において、前記保持手段に保持された種基板の裏面の中心部分と、前記エッチングガスが吹き出される吹き出し位置との距離が、5〜150mmの範囲になるように配置されていることが好ましい。
【0029】
また、前記保持手段に保持された種基板の裏面の中心軸線に沿った中心線方向ベクトル(種基板裏面から表面への方向を正)と、前記エッチングガスが吹き出される方向に沿ったエッチングガス吹き出し方向ベクトル(エッチングガスが吹き出される方向を正)とのなす角度が、80°以下になっていることが好ましい。
【0030】
種基板の裏面とエッチングガス供給手段との位置関係を上記のようにすると、種基板のエッチングに要する時間を短縮することができ、エッチング時のIII−V族化合物半導体のダメージを抑え、エッチングの均一性もあがり、反り、クラック等の欠陥の発生を低減したIII−V族化合物半導体を製造することができる。
【0031】
また、本発明のIII−V族化合物半導体の製造方法は、上記本発明のIII−V族化合物半導体製造装置を用い、前記原料供給手段から、V族原料としてNH3を、III族原料としてIII族原料のハロゲン化物を、吹き出させることを特徴とするものである。
【0032】
この結果、反り、クラック等の欠陥の発生を低減したIII−V族化合物半導体を製造することができる。
【0033】
また、上記本発明において、前記種基板は、Si、GaAs、GaSb、GaP、InP、InAs、InSb、ZnO、雲母、MgAl スピネル型結晶(AB:A、Bは陽性元素、Xは陰性元素)、NdGaO ぺロブスカイト型結晶、LiGaOのいずれかによって構成されていることが好ましい。
【0034】
上記の種基板を用いることにより、反り、クラック等の欠陥の発生を低減したIII−V族化合物半導体を製造することができる。
【0035】
なお、本発明において、窒化物系III−V族化合物半導体とは、V族元素が窒素であるIII−N系化合物半導体のことを示しており、例えば、GaN、BN、AlN、AlαGa1−αN(0<α<1)、InN、InβGa(1−β)N(0<β<1)、InγGaδAl(1−γーδ)N(0<γ<1、0<δ<1)等がある。
【0036】
また、原料吹出し部とは、原料吹出し口、または原料吹出し口にノズルが装着されている場合はノズルのことを示している。
【0037】
また、種基板とは、その上にIII−V族化合物半導体を成長させるための元となる基板のことを示している。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のIII−V族化合物半導体製造装置及びIII−V族化合物半導体の製造方法について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10の概略を示す断面図、図2は、図1のB−B’線に沿う断面図、図3は、図1のC−C’線に沿う断面図をそれぞれ示している。
【0040】
このIII−V族化合物半導体製造装置10は、III族原料及びV族原料を充填し、加熱処理することにより結晶成長させる反応場となる水平状態に配置された円筒状の反応容器11を有し、この反応容器11の内部に、III−V族化合物半導体の結晶成長を開始するための種基板101を垂直状態で保持するサセプタ12と、垂直状態に保持された基板101に向けてIII族原料を供給する円筒状のIII族原料供給管13と、V族原料を供給する断面が矩形状になっているV族原料供給管14Aと、種基板101の裏面側までV族原料を供給できるもう一方のV族原料供給管14Bと、ドーピング原料を供給する円筒状のドーピング原料供給管15と、種基板101の除去のために使用されるエッチングガスを供給する円筒状のエッチングガス供給管16とが設けられている。反応容器11の外部には、反応容器11の外周面に沿うように加熱ヒータ17が設けられており、反応容器11の全体を外周面から加熱する。
【0041】
III族原料供給管13は、円筒状の反応容器11の中心軸に沿って水平状態で設けられており、矢印Dで示す方向にIII族原料を進行させる。また、III族原料供給管13の所定の位置には、III族原料を発生させるためのIII族原料を貯蔵するIII族原料貯蔵部18を有している。
【0042】
なお、III族原料供給管13は、二重管構造として、内管からIII族原料を供給するとともに、外管からキャリアガスである水素、窒素等を吹出させるようにして、III族原料とV族原料との結晶物がIII族原料供給管13の吹出口に付着することを防止する構造としてもよい。
【0043】
V族原料供給管14Aは、III族原料供給管13から所定間隔を空けた上方に水平状態に設けられており、矢印Eで示す方向にV族原料を進行させる。
【0044】
V族原料供給管14Bは、種基板101の裏側まで達しており、該裏側に矢印Mの方向にV族原料を供給できる。
【0045】
ドーピング原料供給管15は、III族原料供給管13から所定間隔を空けた下方に水平状態に設けられており、矢印Eと同方向である矢印Fで示す方向にドーピング原料を進行させる。
【0046】
エッチングガス供給管16は、V族原料供給管14Aから所定間隔を空けた上方に水平状態に設けられており、矢印D〜Fと同方向である矢印Gで示す方向にエッチングガスを進行させる。
【0047】
各供給管13〜16の先端部には、生成物の付着及びこの生成物の付着による割れを防止するために、各原料またはエッチングガスを吹き出す吹出ノズル13a〜16aがそれぞれ設けられている。各吹出ノズル13a〜16aは、それぞれカーボン材(C)によって形成され、表面にはポリ窒化ボロン(以下、PBNで示す)が200nmの膜厚でコーティングされている。
【0048】
サセプタ12は、リング状に構成されており、各供給管13〜16に対向して垂直方向に沿って配置されており、その下部がサセプタ台19に、周方向に回転自在に取り付けられている。図2に示すように、サセプタ12の内部には、上下に設けられた回転用治具20を介して、種基板101を同心状態で保持するリング状の保持爪21が設けられている。この保持爪21は、上下の回転用治具20によって垂直軸回りに回転自在になっている。サセプタ12に対して各供給管13〜16とは反対側には、回転用ロッド22が各供給管13〜16に沿った水平状態で配置されている。回転用ロッド22は、種基板101に対して接離可能になっており、種基板101に当接することにより、種基板101が180度にわたって回転される。保持爪21、回転用治具20、サセプタ12、サセプタ台19は、それぞれカーボン材(C)により形成され、その表面には、PBNが200μmの膜厚でコーティングされている。
【0049】
反応容器11における各供給管13〜16の遠方側の端部の上側には、各供給管13〜16から導入された未反応の原料ガス及びエッチングガス等を排気するガス排気口23が設けられており、未反応の原料ガス等が順次、このガス排気口23から図示しない排ガス処理装置に排出され、この排ガス処理装置によって排ガス処理を施した後、大気に放出される。
【0050】
以下、上記構成のIII−V族化合物半導体製造装置10を用いて、種基板101にIII−V族化合物半導体を成膜させ、その後エッチングガスによって種基板を除去する本発明のIII−V族化合物半導体製造方法について、GaN厚膜の成膜を例として説明する。
【0051】
まず、(111)A面を主面とする2インチ径のGaAs種基板101を、アセトン、アルコールによって洗浄した後、反応容器11内のサセプタ12に保持爪21によって垂直状態で固定する。ここで、GaAsの格子定数は4.53Å、熱膨張係数は6×10-6/Kである。
【0052】
なお、本実施の形態1では、種基板101として(111)A面を主面とするGaAsを使用した例について記載するが、他に本発明のIII−V族化合物半導体製造装置においてエッチングが可能であるような(100)等の他の面を主面とするGaAs、Si、GaSb、GaP、InP、InAs、InSb、ZnO、雲母、MgAl24等のスピネル型結晶(AB24:A、Bは陽性元素、Xは陰性元素)、NdGaO3等のぺロブスカイト型結晶、LiGaO2等の基板を使用してもよい。
【0053】
次に、反応容器11の内部を真空引きし、その後、大気圧になるまで、反応容器11内に窒素ガスを充填する。
【0054】
次に、サセプタ12を周方向に回転駆動することにより、種基板101を5回転/min.程度の回転速度で回転させながら、加熱ヒータ17を駆動させ、V族原料供給管14A及びドーピング原料供給管15のそれぞれの原料供給ノズル14a及び15aから、合計10L/min.の窒素ガスを流しながら、種基板101の温度を600℃まで昇温する。また、III族原料供給管13のIII族原料供給部18にGa金属を貯蔵しておき、III族原料貯蔵部18を800℃程度に加熱する。各部の温度が安定した時点で、III族原料供給管13に、100cc/min.の流量のHClガスと500cc/min.の流量の窒素ガスとを導入する。III族原料供給管13内に導入されたHClガスは、III族原料貯蔵部18のGaと反応して、GaClガスを発生し、III族原料供給ノズル13aから、GaClガスが吹き出される。
【0055】
III族原料供給管13にHClガスを導入し始めてから約3分が経過した後、V族原料供給管14Aから、5L/min.の流量のNH3ガスと5L/min.の流量の窒素ガスとを吹き出させる。各原料供給管13及び14Aから吹き出されるGaClとNH3とが反応して、種基板101上にGaN結晶を生成して、膜の成長が開始される。
【0056】
GaN膜厚が600Å程度になるまで、40分程度成長を続ける。この操作により、本成長温度である1000℃までの昇温時に主面であるGaAs(111)A面からGaAsが離脱し、GaN結晶が劣化することを防ぐことができる。
【0057】
その後、GaN膜が分離、離脱することを防ぐため、基板へV族原料供給管14AからNH3ガスと窒素ガスの供給を継続しながら、種基板101の温度を1000℃まで昇温し、前記と同様の手順でGaN膜を成長する。
【0058】
ドーピング原料供給管15から供給されるガスは、GaN膜の電気伝導の特性をp型にする際には、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(以下、Cp2Mgと記す)等が吹き出される。他方、GaN膜の電気伝導の特性をn型にする場合には、ジクロロシラン(以下、SiH2Cl2と記す)等が吹き出される。以下、本実施の形態1では、SiH2Cl2を導入して、n型半導体を製造する場合について説明する。
【0059】
種基板101の温度が1000℃に達した後、継続して供給されているNH3ガスに加えて、III族原料供給管13から100cc/min.の流量のHClガスと500cc/min.の流量の窒素ガスを供給する。その後、ドーピング原料供給管15から窒素ガスにより100ppmに希釈したSiH2Cl2を200cc/min.の流量で吹き出させ、キャリアガスとして窒素ガスを2L/min.の流量で導入し、n型GaN膜を成長させる。この状態で、30分間n型GaN膜の成長を行い、GaNの膜厚が50μm程度に達した後、III族原料供給管13、V族原料供給管14A、ドーピング原料供給管15からのそれぞれの原料ガスの供給を停止し、回転用ロッド22により種基板101の裏面がエッチングガス供給管16に対向するように表裏に回転させる。
【0060】
このとき、V族原料供給管14BからGaN膜を保護するために、NH3ガスを5L/min.の流量で供給する。
【0061】
次に、エッチングガス供給管16から、200cc/min.の流量のHClガスを流し、種基板101を形成するGaAsをエッチングにより除去する。エッチングガスが種基板101の中心付近に当たるようにすれば、中心付近のGaAsが除去され、周囲の保持爪21近傍のGaAsが残った状態になる。また、エッチングガス供給管16に面した種基板101の全てがエッチングにより除去されても、保持爪21の溝部分にGaN膜が入り込み、この状態で安定するので、GaN膜の成長を続行することができる。本実施の形態1では、GaAsを全てエッチングにより除去し、GaN膜のみが残るようにした。
【0062】
種基板101を形成するGaAsを除去した後、エッチングガス供給管16からのHClガスの供給を停止し、再び、回転用ロッド22により、サセプタ12の表裏を回転させる。この後すぐに、III族原料供給管13から、100cc/min.の流量のHClガスと500cc/min.の流量の窒素ガスとを流し、V族原料供給管14Aから、5L/min.の流量のNH3ガスと5L/min.の流量の窒素ガスとを流し、ドーピング原料供給管15から、200cc/min.の流量のSiH2Cl2と2L/min.の流量の窒素ガスとを流し、n型GaN膜の成長を再開する。このとき、V族原料供給管14Bから種基板101を除去したGaN面を保護するために、5L/min.の流量でNH3ガスの供給を行う。この供給は、反対側の面でGaNの成長を終えて、GaN膜の温度が400℃以下になるまで続ける。
【0063】
GaN膜の成長を4時間にわたって続け、GaNの膜厚が450μm程度に達した後、加熱ヒータ17の出力を停止し、III族原料供給管13に導入しているHClガス及び窒素ガス、ドーピング原料供給管15に導入しているSiH2Cl2の供給をそれぞれ停止し、サセプタ12に保持されているGaN膜の温度が400℃になるまで降温する。
【0064】
GaN膜の温度が400℃以下になった後、V族原料供給管14A及び14Bから供給しているNH3ガスを窒素ガスに変更し、反応容器11内の温度を室温まで降温した後、成膜されたGaN膜をサセプタ12から取り出す。
【0065】
本実施の形態1の方法により成長させたGaN膜の中心部分の膜厚は450μm、膜厚分布は±30μm、反りの指標の一つであるGaN膜の曲率半径は、9.2×103mmであり、100倍の倍率にした光学顕微鏡の観察でクラックは見られなかった。また、GaN膜の中央付近の0002反射の半値全幅は、190arcsec.であった。
【0066】
一方、比較のために、従来例として、図23に示す従来技術のHVPE装置1Bを製作し、該装置を用いて、GaAsを種基板101として、膜厚450μmのGaNを成長させた。この方法を以下に説明する。
【0067】
50μmのGaN膜を成長させるまでは、本実施の形態のIII−V族化合物半導体製造装置10を用いた成長方法と同様である。このときドーピング原料ガスはV族原料供給管14Aから、V族原料ガスと同時に導入する。
【0068】
このあと、エッチングガス供給管16から、500cc/min.の流量のHClガスと5L/min.の流量の水素ガスを供給し、種基板101のエッチングを開始する。このとき反対側の面でのGaN膜の成長は継続する。
【0069】
4時間程度の成長でGaNを膜厚450μm成長させる。また、種基板101のGaAsを除去するのに要する時間も、ほぼ4時間程度要する。その後、加熱ヒータ17の出力を停止し、エッチングガス供給管16からのHClガスと水素ガスの供給を停止し、替わって5L/min.の流量の窒素ガスを供給する。また、III族原料供給管13に導入しているHClガス及び窒素ガス、ドーピング原料であるSiH2Cl2の供給をそれぞれ停止し、GaN膜の温度が400℃になるまで降温する。
【0070】
GaN膜の温度が400℃以下になった後、V族原料供給管14Aから供給しているNH3ガスを窒素ガスに変更し、反応容器11内の温度を室温まで降温した後、成膜されたGaN膜を反応容器11から取り出す。
【0071】
図4は、前記の従来例の方法で成膜したGaN膜102を模式的に示した断面図である。この従来例により、GaN膜102を製造した場合、GaN膜102の端部から1cmの距離の領域に50本程度の割合でクラックが発生していた。また、膜中央付近のX線の0002反射の半値全幅は、270arcsec.であった。さらに、反りの指標の一つであるGaN膜の曲率半径は、8.2×102mmであった。
【0072】
図5は、本実施の形態1のIII−V族化合物半導体の製造方法と従来法により製造されたそれぞれのGaN膜の膜厚と曲率半径との関係を示すグラフである。
【0073】
図5を参照すると、□により示す本実施の形態1のIII−V族化合物半導体の製造方法により製造されたGaN膜は、0〜800μmの広範囲で、曲率半径が一定であり、膜厚が厚くなっても反りが殆ど現れないことが解かる。
【0074】
上記のように、本実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10を用いて成長させたGaN膜は、従来法により成長させたGaN膜に比べて、反り、クラックともに少なく、高品質であることが明らかである。これは、所定の膜厚までGaN膜を製造した後、エッチングガス供給手段によって、種基板101の裏面を、直接、エッチングし、種基板101を除去した後、該種基板101を除去したGaN面へ窒素ガスよりも膜表面の保護能力の高いV族原料を吹き付けて、該GaN面を保護しながら、反対側の面でGaN膜の製造を続けることができるので、該種基板101を除去したGaN面での表面荒れに起因する欠陥が抑えられ、また、荒れたGaN面と結晶性の良いGaN成長面との応力差から発生する歪みの影響が解消されたことによるものと考えられる。
【0075】
なお、本実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10において、エッチングガスとして、HClを用いているが、種基板101のエッチング速度、状態等を調整するために、H2、Cl2、HF等の他のガスを使用してもよい。
【0076】
また、本実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10において、種基板101に対してほぼ垂直な方向から各原料ガスを導入しているが、GaN膜を成長させることができれば、種基板101に対してほぼ平行な方向から各原料ガスを導入する等、各原料ガスを導入する方向と種基板101の方向との関係を他の関係にしても、本実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10と同様に、GaN膜に反り、クラックが発生することが抑えられることを確認している。
【0077】
次に、種基板101をエッチングにより除去するためのエッチングガス吹出ノズル16aと種基板101との距離及び角度についての最適な位置関係について調べた。
【0078】
図6は、エッチングガス供給管16のガス吹出ノズル16aと種基板101との距離及び角度を定義するためにガス吹出ノズル16aと種基板101を保持した状態のサセプタ12の周辺を拡大して示す概略図である。
【0079】
種基板101とエッチングガス供給管16のガス吹出ノズル16aとの距離については、エッチングガス供給管16のガス吹出ノズル16aの軸心線からサセプタ12に保持されている種基板101の中心101aまでの距離(以後、距離αと表現する)により定義し、種基板101とエッチングガス供給管16のガス吹出ノズル16aとのなす角度については、種基板101のその中心線に沿ったベクトルIが、エッチングガス供給管16のガス吹出ノズル16aの軸心線Hに沿ったベクトルJ(ベクトルI、J共にエッチングガスが吹き出される下流方向を正とする)に対してなす角度(以後、β角と表現する)により定義する。
【0080】
以下、β角を、(0°、5°、10°)、(20°、40°)、(60°、70°)、(80°、85°、90°)のそれぞれに設定した場合において、距離αを種々変更し、良質なGaN膜を得るための、最適な距離α及びβ角について検討した。
【0081】
図7〜図10は、距離α及びβ角と種基板101を除去するために要する時間との関係を示すグラフである。
【0082】
図7〜図10に示す各グラフから、距離αは、種基板101の除去に要する時間の短縮を図る上で、5〜150mmの範囲内であることが好ましいことが分かった。これは、距離αが5mm以下であると、種基板101までの距離が近すぎるために、エッチングガス供給管16から供給されるエッチングガスが種基板101の周辺に十分に供給されず、また、距離αが150mm以上であると、種基板101までの距離が遠すぎて、エッチングガス供給管14から供給されるエッチングガスが種基板101に達する前に拡散するためであると考えられる。
【0083】
また、β角は、種基板101の除去に要する時間の短縮を図る上で、80°以下(−80〜0°も含む)であることが好ましいことが分かった。これは、β角が80°以上であると、エッチングガス供給管16から供給されるエッチングガスが種基板101の外周側に流れにくくなるためであると考えられる。
【0084】
以上に説明したように、距離αは、5〜150mm、β角は、80°以下とすることが、種基板101を除去するために要する時間を短縮する上で最適であることが明らかである。
【0085】
(実施の形態2)
図11は、本実施の形態2のIII−V族化合物半導体製造装置30Aの概略を示す断面図である。
【0086】
このIII−V族化合物半導体製造装置30Aでは、種基板101が、サセプタ台19上に周方向に回転自在に取り付けられたサセプタ12に装着される。また、エッチングガス供給管16が、矢印Gのように反応容器11の上部に沿って、サセプタ12の裏面に回り込んで、種基板101の裏面に、直接、図11の矢印G’に示す方向にエッチングガスを吹き出す構成となっている。さらに、V族原料供給管14Bが、矢印Mのように反応容器11の上部に沿って、サセプタ12の裏面に回り込んで、種基板101の裏面に、直接、図11の矢印M’に示す方向にエッチングガスを吹き出す構成となっている。他の構成は、実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10の構成と同一であるので、同一構成についての説明は省略する。
【0087】
このIII−V族化合物半導体製造装置30Aは、エッチングガス供給管16が、反応容器11の上端に沿って、サセプタ12の裏面に回り込んで、種基板11の裏面に、直接、エッチングガスを吹き出すことができるため、種基板101を表裏に回転させることなく、除去することができ、除去した後は、V族原料供給管14BからV族原料ガスを吹き出して、GaN膜を保護することができる。
【0088】
以下、本実施の形態2のIII−V族化合物半導体製造装置30Aを用いて、種基板101上にIII−V族化合物半導体を結晶成長させ、その後エッチングガスにより種基板101を除去する本発明のIII−V族化合物半導体の製造方法について、GaN厚膜の成膜を例として説明する。
【0089】
まず、MOCVD法によって、3μmの膜厚のGaNを成長した2インチ径のSi(100)種基板101を、アセトン、アルコールによって洗浄した後、反応容器11内のサセプタ12に垂直状態で固定する。
【0090】
なお、本実施の形態2では、種基板101としてSi(100)を使用した例について記載するが、他に本実施の形態2のIII−V族化合物半導体製造装置30Aにおいてエッチングが可能であるようなSi(111)等の他の面を主面とするSi、GaAs、GaSb、GaP、InP、InAs、InSb、ZnO、雲母、MgAl24等のスピネル型結晶(AB24:A、Bは陽性元素、Xは陰性元素)、NdGaO3等のぺロブスカイト型結晶、LiGaO2等の基板を使用してもよい。
【0091】
次に、反応容器11の内部を真空引きし、その後、大気圧になるまで、反応容器11内に窒素ガスを充填する。
【0092】
次に、サセプタ12を周方向に回転駆動して、種基板101を5回転/min.程度の回転速度で回転駆動させながら、加熱ヒータ17を駆動し、V族原料供給管14Aを通じて、V族原料供給ノズル14aから5L/min.の流量のNH3ガス、そしてドーピング原料供給管15の原料供給ノズル15aから、5L/min.の流量の窒素ガスを流しながら、種基板101の温度を1100℃まで昇温する。また、III族原料供給管13のIII族原料貯蔵部18にGa金属を貯蔵しておき、III族原料貯蔵部18を800℃程度に加熱する。各部の温度が安定した時点で、III族原料供給管13に、100cc/min.の流量のHClガスと500cc/min.の流量の窒素ガスとを導入する。III族原料供給管13内に導入されたHClガスは、III族原料貯蔵部18のGa金属と反応して、GaClガスを発生し、III族原料供給ノズル13aから、GaClガスが吹き出される。
【0093】
III族原料供給管13にHClガスを導入し始めてから約3分が経過した後、V族原料供給管14Aから、5L/min.の流量のNH3ガスと5L/min.の流量の窒素ガスとを吹き出させる。各原料供給管13及び14Aから吹き出されるGaClとNH3とが反応して、種基板101上にGaN結晶を生成して、GaN膜の成長が開始される。
【0094】
ドーピング原料供給管15から供給されるガスは、GaN膜の電気伝導の特性をp型にする際には、Cp2Mg等が吹き出される。他方、GaN膜の電気伝導の特性をn型にする場合には、SiH2Cl2等が吹き出される。以下、本実施の形態2では、SiH2Cl2を導入してn型半導体を製造する場合について説明する。
【0095】
V族原料供給管14AからNH3ガスの供給を開始した後、直ちに、ドーピング原料供給管15から、窒素ガスにより100ppmに希釈したSiH2Cl2を200cc/min.の流量で吹き出させ、また、キャリアガスとして窒素ガスを2L/min.の流量で導入し、n型GaN膜を成長させた。この状態で30分間、GaN膜の成長を行い、GaN膜の膜厚が50μmに達した後、エッチングガス供給管16から、200cc/min.の流量のHClガスを種基板101の裏面に向けて吹き出させ、Si種基板101をエッチングにより除去していく。エッチングガスが種基板101の裏面の中心付近に当たるようにすれば、この中心付近の種基板101付近のSiが残った状態になる。また、種基板101の全体がエッチングにより除去されても、種基板101をサセプタ12に保持するための保持爪の溝部分にGaN膜が入り込み、この状態で安定するので、GaN膜の成長を続行することができる。本実施の形態2では、種基板101を全てエッチングにより除去し、GaN膜のみが残るようにした。
【0096】
本実施の形態2では、GaN膜を成長させるために種基板101の前面側に配置された各原料供給管13〜15に対して、種基板101を除去するためのエッチングガス供給管16は、種基板101の裏面側に配置されているため、サセプタ12の裏面側にて種基板101をエッチングにより除去しながら、表面側から各原料供給管13〜15のガス吹出しノズル13a〜15aから各原料を供給することによりGaN膜の成長を続けることができる。
【0097】
このようにして、種基板101を除去した後、エッチングガス供給管16からのHClガスの供給を停止した。除去した後は、V族原料供給管14BからNH3ガスを吹き出して、GaN膜を保護する。
【0098】
エッチングにより種基板101を除去している最中にも、GaN膜の成長は続けており、GaN膜の成長を4時間にわたって続け、GaN膜の膜厚が450μm程度に達した後、加熱ヒータ17の出力を停止し、III族原料供給管13に導入しているHClガス及び窒素ガス、ドーピング原料供給管15に導入しているSiH2Cl2の供給をそれぞれ停止し、種基板101の温度が400℃になるまで降温する。
【0099】
サセプタ12に保持されているGaN膜の温度が400℃以下になった後、V族原料供給管14A及び14Bから供給しているNH3ガスを窒素ガスに変更し、反応容器11内の温度を室温まで降温した後、GaN膜をサセプタ12から取り出す。
【0100】
本実施の形態2の方法により成長させたGaN膜の中心部分の膜厚は、450μm、膜厚分布は、±35μm、反りの指標の一つであるGaN膜の曲率半径は、9.1×103mmであり、100倍の倍率にした光学顕微鏡の観察によってクラックは見られなかった。また、GaN膜の中央付近の0002反射の半値全幅は、180arcsec.であった。
【0101】
図12は、本実施の形態2のIII−V族化合物半導体の製造方法と従来法とにより製造されたそれぞれのGaN膜の膜厚と曲率半径との関係を示すグラフである。
【0102】
図12を参照すると、□により示す本実施の形態2のIII−V族化合物半導体の製造方法により製造されたGaN膜は、0〜800μmの広範囲で、曲率半径が一定であり、膜厚が大きくなっても、反りがほとんど現われないことが分かる。これに対して、●により示す従来例の製造方法により製造されたGaN膜は、膜厚が厚くなるに従い、曲率半径が小さくなっており、膜厚が厚くなるほど反りが大きくなっていくことが分かる。
【0103】
このように、本実施の形態2のIII−V族化合物半導体製造装置30Aを用いて成長させたGaN膜は、従来法により成長させたGaN膜に比べて、反り、クラックともに少なく、高品質であることが明らかである。これは、所定の膜厚までGaN膜を製造した後、エッチングガス供給手段によって、種基板101の裏面を、直接、エッチングし、種基板101を除去した後、該種基板101を除去したGaN面へ窒素ガスよりも膜表面の保護能力の高いV族原料を吹き付けて、該GaN面を保護しながら、反対側の面でGaN膜の製造を続けることができるので、該種基板101を除去したGaN面での表面荒れに起因する欠陥が抑えられ、また、荒れたGaN面と結晶性の良いGaN成長面との応力差から発生する歪みの影響が解消されたことによるものと考えられる。
【0104】
なお、本実施の形態2のIII−V族化合物半導体製造装置30Aにおいて、エッチングガスとしてHClを用いているが、種基板101のエッチング速度、状態等を調整するために、H2、Cl2、HF等の他のガスを使用してもよい。
【0105】
また、本実施の形態2のIII−V族化合物半導体製造装置30Aにおいて、種基板101に対してほぼ垂直な方向から各原料を導入しているが、GaN膜を成長させることができれば、種基板101に対してほぼ平行な方向から各原料を導入する等、各原料を導入する方向と種基板101の方向との関係を他の関係にしても、本実施の形態2のIII−V族化合物半導体製造装置30Aと同様に、GaN膜に反り、クラックの発生が抑えられることを確認している。
【0106】
次に、種基板101をエッチングにより除去するためのエッチングガス吹出ノズル16aと種基板101との距離及び角度についての最適な位置関係について調べた。
【0107】
図13は、エッチングガス供給管16のガス吹出ノズル16aと種基板101との距離及び角度を規定する定義を示すためにエッチングガス吹出ノズル16aと種基板101を保持した状態のサセプタ12の周辺を拡大して示す概略図である。
【0108】
種基板101とエッチングガス供給管16のガス吹出ノズル16aとの距離については、エッチングガス供給管16のガス吹出ノズル16aの軸心線H’からサセプタ12に保持されている種基板101の中心101aまでの距離(以後、距離αと表現する)により定義し、種基板101とエッチングガス供給管16のガス吹出ノズル16aとのなす角度については、種基板101のその中心線に沿ったベクトルI’が、エッチングガス供給管16のエッチングガス吹出ノズル16aの軸心線に沿ったベクトルJ’(ベクトルI’、J’共にエッチングガスが吹き出される上流方向を正とする)に対してなす角度(以後、β角と表現する)により定義する。
【0109】
そして、β角を、(0°、5°、10°)、(20°、40°)、(60°、70°)、(80°、85°、90°)のそれぞれに設定した場合において、距離αを種々変更し、良質なGaN膜を得るための、最適な距離α及びβ角について検討した結果、それぞれの距離α及びβ角について、実施の形態1において示した図7〜図10に示した結果と同様の結果が得られ、距離αは、5〜150mm、β角は、80°以下とすることが、種基板101を除去するために要する時間を短縮する上で最適であることが明らかとなった。
【0110】
また、(111)等の他の面を主面とするSi、GaAs、GaSb、GaP、InP、InAs、InSb、ZnO、雲母、MgAl24等のスピネル型結晶(AB24:A、Bは陽性元素、Xは陰性元素)、NdGaO3等のぺロブスカイト型結晶、LiGaO2等の基板を用いた場合にも、程度の差はあるが、同様の傾向を示した。さらに、エッチングガスとしてH2、Cl2、HF等の他のガスを使用した場合にも、同様の傾向を示した。
【0111】
また、図11で示すようなIII−V族化合物半導体製造装置30A以外にも、図14で示すようなIII−V族化合物半導体製造装置30Bも使用できる。
【0112】
このIII−V族化合物半導体製造装置30Bでは、回転用ロッド22の中に、エッチングガス供給管16とV族原料供給管14Bとを備えている。エッチングガスは矢印Gのように流れ、該エッチングガスが、直接、種基板101の裏面に当たり、その後、サセプタ12の裏面の一部に空けられた穴から矢印G’のように排出される。この構造においては、種基板101の回転が容易であり、エッチングガス及びキャリアガス以外の関与が殆どないため、エッチング量の制御性が向上すると考えられる。さらに、種基板101を除去した後は、V族原料供給管14Bから矢印MのようにV族原料ガスを流すことができる。
【0113】
このIII−V族化合物半導体製造装置30Bも、図11に示すIII−V族化合物半導体製造装置30Aと同様の効果が得られることを確認している。
【0114】
また、本実施の形態2では、エッチングガスとGaN膜を保護するためのNH3ガスの供給管を、それぞれエッチングガス供給管16とV族原料供給管14Bとからそれぞれ供給しているが、ガス種によっては、エッチングが終了した後、エッチングガス供給管16から保護ガスとしてNH3ガスを流しても構わない。但し、この場合には、HClとNH3とが、常温で気相反応して、固形の塩化アンモニウム(NH4Cl)が発生する点に考慮する必要がある。
【0115】
(実施の形態3)
本実施の形態3では、2枚以上のIII−V族化合物半導体の厚膜を、同時に製造するIII−V族化合物半導体製造装置40及びこのIII−V族化合物半導体製造装置40によるIII−V族化合物半導体の製造方法について、図面に基づき詳細に説明する。
【0116】
図15は、6枚の種基板101に同時に結晶成長させることができるIII−V族化合物半導体製造装置40の断面図、図16は、図15のK−K’線に沿った断面図である。
【0117】
このIII−V族化合物半導体製造装置40は、III族原料及びV族原料を種基板101の表面に供給し、加熱処理することにより基板101に結晶成長させる反応場となる円筒状の反応容器11を有している。この反応容器11は、垂直状態に配置されており、その内部には、III−V族化合物半導体を結晶成長させるための複数の基板101をそれぞれ保持する複数のサセプタ12と、基板101に向けてIII族原料を供給するIII族原料供給管13と、V族原料を供給するV族原料供給管14Aと、ドーピング原料を供給するドーピング原料供給管15と、種基板101をエッチングするためのエッチングガスを供給するエッチングガス供給管16と、GaN膜を保護するためのV族原料供給管14Bとが設けられている。反応容器11の外部には、反応容器11の外周に沿うように、反応容器11を加熱するための加熱ヒータ17が設けられている。
【0118】
反応容器11は、水平状態に配置された円板状の底板部11aを有し、この底板部11a上に、底板部11aと同心状態になるように垂直状態に配置された円筒状の円筒部11bが取り付けられている。この円筒部11bは、上部を除いて一定の直径になっており、円筒部11bの上部11cは、上方に突出した半球形状に構成されている。円筒部11bの最上部には、原料ガスを排気するための排気口23が設けられている。
【0119】
反応容器11の内部には、円筒部11bの中心軸に沿って支軸41が設けられており、この支軸41の上端には、円板状に形成されたサセプタ装着台42が、反応容器11の円筒部11bと同心状態で設けられている。
【0120】
このサセプタ装着台42の下面には、6つのサセプタ12がサセプタ装着台42の中心軸と同心円上に等しい間隔を空けて設けられている。各サセプタ12は、結晶成長時に膜の均一性を向上させるため、それぞれ軸心方向に沿って、30回転/min.程度の回転速度で回転可能になっている。各サセプタ12は、サセプタ装着台42の下面側に設けられて、その下面に基板101がそれぞれ支持されるフェースダウン型となっており、結晶成長中に粉塵が発生しても、粉塵は下方に落下するために、結晶にピット等の欠陥が発生することを抑制することができる。
【0121】
上記のサセプタ装着台42の下面に設けられた各サセプタ12に対向して、III族原料を供給する6つのIII族原料供給管13を内部にした同心状態で嵌合された二重管として、ドーピング原料を供給するドーピング原料供給管15が、それぞれ設けられている。また、各ドーピング原料供給管15には、各ドーピング原料供給管15を内部に同心状態で嵌合したV族原料供給管14Aがそれぞれ設けられている。各ドーピング原料供給管15の所定の位置には、III族原料を発生させるためのIII族原料貯蔵部18がそれぞれ設けられている。各原料供給管をこのように配置することにより、III族原料とV族原料が各原料供給管の吹出し口付近で混合されて、生成するGaNがIII族原料供給管13の吹出し口に付着することが防止される。
【0122】
各V族原料供給管14Aと支軸41との間には、エッチングガス供給管16とV族原料供給管14Bとがそれぞれ設けられている。このエッチングガス供給管16とV族原料供給管14Bとは、サセプタ装着台42の上方に貫通されて、サセプタ12に保持されたそれぞれの種基板101に対向して、種基板101の上方から、それぞれエッチングガス、V族原料ガスを供給するように配置されている。
【0123】
なお、サセプタ12は、GaN結晶が付着し、さらにこのGaN結晶の付着により治具に割れが発生する等の破損が発生することを防止するために、その表面部にPBN、SiC、TaC、Bn等をコーティング等したカーボン材により構成され、また、各原料管の原料吹出口は、その表面部にPBN、SiC、TaC、BNによりコーティングされたカーボン材により構成される。
【0124】
上記構成のIII−V族化合物半導体製造装置40により、III−V族化合物半導体としてGaN膜を各種基板101に成膜する場合、III族原料供給管13からは、GaClガスが吹き出される。このGaClガスは、III族原料貯蔵部18にGa金蔵を貯蔵しておき、III族原料供給管13内にHClガスを導入し、このHClガスがIII族原料貯蔵部18のGa金属と反応することにより発生され、III族原料供給管13の先端から吹き出される。また、V族原料供給管14Aからは、NH3ガスが基板101へ吹き出される。さらに、ドーピング原料は、ドーピング原料供給管15を介して、基板101上に吹き出される。
【0125】
上記構成のIII−V族化合物半導体製造装置40を用いて、実施の形態2と同様の方法により、GaN膜の結晶成長を行った結果、各GaN膜の中心部分の膜厚が、450μm、平均の膜厚分布が、±30μm、反りの指標の一つであるGaN膜の平均曲率半径が、8.7×103mmとなり、100倍の倍率の光学顕微鏡でクラックは観察されなかった。また、膜中央付近のX線の0002反射の判値全幅は、185arcsec.であった。
【0126】
図17は、本実施の形態3のIII−V族化合物半導体40の製造方法と従来方法とにより製造されたそれぞれのGaN膜の膜厚と曲率半径との関係を示すグラフである。
【0127】
図17を参照すると、□により示す本実施の形態3のIII−V族化合物半導体の製造方法により製造されたGan膜は、0〜800μmの広範囲で、曲率半径が一定であり、膜厚が厚くなっても反りが殆ど現われないことが分かる。これに対して、●により示す従来方の製造方法により製造されたGaN膜は、膜厚が厚くなるに従い、曲率半径が小さくなっており、膜厚が厚くなるほど反りが大きくなっていくことが分かる。
【0128】
このように、本実施の形態3のIII−V族化合物半導体製造装置40を用いて成長させたGaN膜は、従来法により成長させたGaN膜に比べて、反り、クラックともに少なく、高品質であることが明らかである。これは、所定の膜厚までGaN膜を製造した後、エッチングガス供給手段によって、種基板101の裏面を、直接、エッチングし、種基板101を除去した後、該種基板101を除去したGaN面へ窒素ガスよりも膜表面の保護能力の高いV族原料を吹き付けて、該GaN面を保護しながら、反対側の面でGaN膜の製造を続けることができるので、該種基板101を除去したGaN面での表面荒れに起因する欠陥が抑えられ、また、荒れたGaN面と結晶性の良いGaN成長面との応力差から発生する歪みの影響が解消されたことによるものと考えられる。
【0129】
なお、本実施の形態3では、種基板101としてSi(100)を使用しているが、他に本実施の形態3のIII−V族化合物半導体製造装置40においてエッチングが可能であるような(111)等の他の面を主面とするSi、GaAs、GaSb、GaP、InP、InAs、InSb、ZnO、雲母、MgAl24等のスピネル型結晶(AB24:A、Bは陽性元素、Xは陰性元素)、NdGaO3等のぺロブスカイト型結晶、LiGaO2等の基板を使用しても本実施の形態3と同様の効果があることを確認している。また、エッチングガスとしては、HCl以外にも、H2、Cl2、HF等の他のガスを使用しても本実施の形態3と同様の効果がある。
【0130】
また、本実施の形態3のIII−V族化合物半導体製造装置40において、種基板101に対してほぼ垂直な方向から各原料を導入しているが、GaN膜を成長させることができれば、種基板101に対してほぼ平行な方向から各原料を導入する等、各原料を導入する方向と種基板101との関係を他の関係にしても、本実施の形態3のIII−V族化合物半導体製造装置40と同様に、GaN膜に反り、クラックが発生することが抑えられることを確認している。
【0131】
また、実施の形態2で説明したように、距離αは、5〜150mmの範囲にあることが好ましく、角度βは、80°以下(−80°〜0°も含む)であることが好ましいことを確認している。
【0132】
(実施の形態4)
本実施の形態4では、本発明のIII−V族化合物半導体製造方法を利用したレーザダイオードを作製するMOCVD装置50について、図面に基づいて説明する。
【0133】
図18は、このMOCVD装置50の概略図、図19は、図18のL−L’線に沿った断面図である。
【0134】
このMOCVD装置50は、(100)を主面としたSi種基板101上にIII−V族化合物半導体を結晶化して成膜させるための反応場となる反応容器としての水平に配置された円筒状の石英フローライナー51を有し、この石英フローライナー51の内部には、結晶成長させる種基板101を保持するためのリング状のサセプタ12と、円筒状の石英フローライナー51の中心軸に沿って設けられたIII族原料供給管13と、このIII族原料供給管13を中心とした対称な位置にそれぞれIII族原料供給管13に平行に配置されたV族原料供給管14A及びドーピング原料供給管15とが設けられている。また、V族原料供給管14Aの上方には、種基板101にエッチングガスを供給するエッチングガス供給管16、V族原料供給管14Bが設けられており、サセプタ12の後方に回り込んで種基板101の裏面の中央部分にそれぞれエッチングガス、V族原料ガスを供給するように配置されている。
【0135】
石英フローライナー51は、水冷式の冷却ボックス52の内部に備えられており、冷却ボックス52の水冷により、石英フローライナー51をその周囲から冷却する。
【0136】
また、石英フローライナー51内におけるサセプタ12に近接した端面には、未反応の原料ガス及びキャリアーガスを排出する排気ガス出口23が設けられており、この排気ガス出口23は、石英フローライナー51及び冷却ボックス52の外部に引き出された排気用配管53を介して排ガス処理装置54に接続されている。
【0137】
サセプタ12は、石英フローライナー51の底部に設けられたサセプタ装着台19に回転自在に取り付けられており、サセプタ12に保持される基板101が石英フローライナー51の中心軸を軸として回転する。サセプタ12は、その表面にPBNをコーティングしたカーボン材により構成される。
【0138】
サセプタ12の内部には、炭素を材質とする熱電対により形成された抵抗加熱用ヒーター(図示せず)が配置されており、この抵抗加熱用ヒーターを加温することにより基板101の温度を制御することができる。
【0139】
III族原料供給管13の先端部は、サセプタ12に対向する先端側に向かって徐々に径が広くなったIII族原料吹出ノズル13aが設けられている。また、V族原料供給管14A及びドーピング原料供給管15は、径の大きさが一定であり、サセプタ12に対向する先端側において、種基板101の中心に向かうように設定されている。
【0140】
各原料供給管13及び14A及び15の後端部は、石英フローライナー51及び冷却ボックス52の外部に設けられた原料入口55を介して外部に導通されており、この原料入口55を介して所望の原料ガスが各原料供給管13〜15を通過して、石英フローライナー51内に導入される。原料入口55は、III族原料を貯蔵するIII族原料源56、V族原料を貯蔵するV族原料源57にそれぞれ導通パイプ58を介して接続されている。
【0141】
III族原料源56は、さらに、トリメチルガリウム(以後、TMG)を貯蔵するTMG貯蔵部56A、トリメチルアルミニウム(以後、TMA)を貯蔵するTMA貯蔵部56B、トリメチルインジウム(以後、TMI)を貯蔵するTMI貯蔵部56Cを有している。
【0142】
各III族原料源56A〜56Cは、マスフローコントローラ59を介して、キャリアガスである窒素ガスまたは水素ガスを供給するキャリアガス導通管60に接続されている。このマスフローコントローラ59は、各III族原料源56A〜56Cに供給されるキャリアガスである窒素ガスまたは水素ガスの流量を正確に制御する。各III族原料源56A〜56Cに貯蔵される各III族原料は、キャリアガス導通バルブ60から供給される窒素ガスまたは水素ガスによってバブリングされて、キャリアガスとともに原料入口55を介して石英フローライナー51のIII族原料供給管13に導かれ、III族原料吹出ノズル13aから基板101に向けて吹き出される。
【0143】
V族原料源57には、NH3ガスが貯蔵され、キャリアガス導通パイプ60から供給されるキャリアガスとともに、原料入口55を介して石英フローライナー51内のV族原料供給管14Aまたは14Bに通されて、先端のV族原料吹出ノズル14aから種基板101の表面に向けて、または、V族原料供給管14Bの先端から種基板101の裏面に向けて吹き出される。
【0144】
ドーピング原料源78には、n型半導体を製造するドーピング原料として、SiH4が貯蔵される。なお、p型半導体を製造する場合には、各III族原料源56A〜56Cに隣接して設けられた貯蔵部61に、p型半導体のドーピング原料であるCp2Mgが貯蔵されて、III族原料を種基板101上に吹き出す際の経路と同様の経路を経て、種基板101上に吹き出される。
【0145】
図20は、本実施の形態4のIII−V族化合物半導体製造装置であるMOCVD装置50を用いて作製したレーザダイオード200の断面図である。
【0146】
このレーザダイオード200は、n型GaNコンタクト層201上に、n型Al0.09Ga0.91Nクラッド層202、n型GaNガイド層203、活性層204が順次積層された構造を有している。GaAsから形成された種基板101は、n型GaNコンタクト層201を成膜工程する前にエッチングガスにより除去されるため、最終的に製造されるレーザダイオード200中には存在していない。
【0147】
活性層204の上には、さらに、Al0.15Ga0.850.85As0.15蒸発防止層205、p型GaNガイド層206、p型Al0.09Ga0.91Nクラッド層207、p型GaNコンタクト層208が順次積層され、これら各層の結晶成長が行われた後、SiO2絶縁膜209、p型電極210A、n型電極210Bが形成されている。
【0148】
上記構成のレーザダイオード200の製造方法を、図18に示すMOCVD装置50を使用した場合について説明する。
【0149】
まず、種基板101を洗浄して、MOCVD装置50内のサセプタ12に設置する。石英フローライナー51内を70Torrまで減圧した後、キャリアガス導通管60から窒素ガスを石英フローライナー51内に充填し、窒素ガス雰囲気中、550℃まで昇温し、石英フローライナー51内の温度が一定になった時点で、キャリアガス導通管60から供給される窒素ガスの流量を10L/min.とし、V族原料供給管14Aから供給されるNH3ガスを3L/min.の流量として、原料入口55を介して、V族原料供給管14Aに通し、数秒後、III族原料供給源56BからTMGを60μmol/min.の流量で、III族原料供給管13から1分間流し、低温条件の下で、AlNバッファ層の成長を行った。成長させたAlN膜の厚さは30nmであった。
【0150】
次に、III族原料供給管13からのTMAの供給を停止し、石英フローライナー51内の温度を1050℃まで昇温し、III族原料供給管13から、TMGを50μm/min.の流量で供給し、ドーピング原料供給管15からは、SiH4ガスを10nm/min.の流量で供給して、n型GaNコンタクト層201を50μmの膜厚に成長させた。
【0151】
この後、エッチングガス供給管16から、HClガスを200cc/min.の流量で流し、種基板101をエッチングにより除去する。この際、エッチングガスであるHClガスが、種基板101の中心付近に当たるようにすれば、中心付近の種基板101が除去されて、サセプタ12付近の種基板101は残存した状態にすることができる。また、種基板101が完全に除去された場合でも、サセプタ12の溝部分にGaN膜が入り込み、この状態で安定するので、GaN膜の成長を続けることができる。このエッチングガスは、サセプタ12の裏面側から供給されているので、種基板101をエッチングにより除去している最中においても、サセプタ12の前面から各原料供給管13〜15から各原料を供給することができるので、GaN膜の成長を続けることができる。
【0152】
本実施の形態4では、種基板101であるSiをエッチングにより、完全に除去し、GaN膜のみが残存する状態とした。
【0153】
そして、種基板101が除去された後、エッチングガス供給管16からのHClガスの供給を停止する。この後すぐに、V族原料供給管14BからNH3ガスを流し、種基板101が除去されて表出したAlNバッファ層を保護する。各原料供給管13〜15から供給される各原料の吹き出しにより、種基板101の除去中にもGaN膜の成長を続け、GaN膜の膜厚が300μmになるまで、n型GaNのコンタクト層201の成長を続けた。
【0154】
次に、石英フローライナー51内を760Torrの圧まで戻し、III族原料供給管13からTMAを10μm/min.の流量で追加供給し、厚さ0.80μmのn型Al0.09Ga0.91Nのクラッド層202を成長させた。
【0155】
次に、III族原料供給管13からのTMAの供給を停止し、0.1μmの膜厚のn型GaNのガイド層203を形成した。
【0156】
n型GaNのガイド層203を成長させた後、SiH4とTMGの供給を停止し、各層の温度を730℃まで低下させ、温度が安定した時点で、III族原料供給管13からTMGを10μm/min.TMIを10μm/min.の流量でそれぞれ供給し、In0.05Ga0.95Nからなる活性層204の障壁層を5nmの膜厚になるように成長させた。活性層204を成長させる時には、ドーピング原料供給管15からSiH4を10nmol/min.程度の流量で流してもよい。その後、III族原料供給管13からTMGを10μmol/min.の流量で、TMIを50μmol/min.の流量でそれぞれ供給し、In0.2Ga0.8Nからなる活性層204の井戸層を3nmの膜厚になるように成長させた。さらに、III族原料供給管13から供給されるIII族原料をTMIに変更し、10μmol/min.の流量で流し、In0.05Ga0.95Nからなる活性層204の障壁層を5nmの膜厚になるように成長させた。この活性層204の障壁層と井戸層との成長を繰り返し、3層の多重量子井戸層を成長させた後、最後に障壁層を成長させて活性層204の成長を終了する。活性層204の作製時には、成長を中断する工程を入れてもよく、この中断工程を入れることにより、井戸層、障壁層の界面が急峻になり、活性層の発光効率が向上される。
【0157】
活性層204を成長させた後、III族原料供給管13から、TMGを10μmol/min.の流量、TMAを5μmol/min.の流量、Cp2Mgを0.10nmol/min.の流量でそれぞれ供給し、30nmの膜厚のp型Al0.15Ga0.85Nの蒸発防止層205を成長させた。
【0158】
その後、III族原料供給管13からのTMG、TMA、Cp2Mgの供給を停止し、NH3ガスと窒素ガスとの雰囲気中に、各層の温度を再び1050℃に昇温する。
【0159】
昇温後、III族原料供給管13からのTMGを50μmol/min.の流量、Cp2Mgを0.20nmol/min.の流量で供給し、p型GaNのガイド層206を0.1μmの膜厚に成長させた。
【0160】
次に、III族原料供給管13からTMAを10μmol/min.の流量で供給し、0.5μmの膜厚のp型Al0.09Ga0.91Nのクラッド層207を成長させた。
【0161】
その後、III族原料供給管13からのTMAの供給を停止し、III族原料供給管13からTMGとCp2Mgとを供給し、p型GaNのコンタクト層208を0.5μmの膜厚に成長させ、その後、III族原料供給管13からのTMGとCp2Mgとの供給を停止し、加熱を終了する。
【0162】
以上説明した方法により作製された各層からなる膜の曲率半径は、2インチ基板内において、8.8×103mmであった。
【0163】
その後は、AlNバッファ層が除去されるまで、裏面研磨し、n型GaNのコンタクト層201を露出させて、このn型GaNのコンタクト層201の露出面にn型電極210Bを形成する。このn型電極210Bのn電極材料としては、Ti/Mo、Hf/Al等を使用することができる。p型電極部分には、SiO2誘電体膜209を蒸着し、p型GaNのコンタクト層208を露出させ、Pd/Auの2μmの幅のリッジストライプ形状のp型電極210Aを形成する。このp型電極210Aのp型電極材料には、Ni/Au、Pd/Mo/Auを使用しても良い。
【0164】
最後に、へき開またはドライエッチングを用いて、共振器長500μmのファブリ・ペロー共振器を作製する。共振器長は、300〜1000μmの範囲であることが好ましい。へき開及びレーザ素子のチップ分割は、基板側からスクライバーにより行う。レーザ共振器の帰還手法以外に、DFB(Distributed Feedback)、DBR(Distributed BraggReflector)等の手法を用いてもよい。
【0165】
次に、ファブリ・ペロー共振器のミラー端面に70%の反射率を有するSiO2とTiO2の誘電体膜を交互に蒸着し、誘電体多層反射膜を形成した。この誘電体材料には、SiO2/Al23を誘電体多層反射膜として用いてもよい。
【0166】
以上の工程により、本発明を適用したMOCVD装置50によりIII−V族化合物半導体のレーザダイオード200を製造することができる。
【0167】
上記のようにして製造されたレーザ素子の良品率は、2インチ基板内において、86%であった。
【0168】
種基板を除去した後、保護ガスであるNH3ガスを流さない従来法によってレーザ素子を製造した場合、その良品率は、31%以下となった。これは、本発明のIII−V族化合物半導体の製造方法では、成長中に種基板を除去することによって、種基板とGaN膜との格子定数、熱膨張係数の差異から発生する歪の影響がなくなり、GaN膜の反り、クラックともに減少し、この結果、GaN膜を種基板としてレーザー構造を作り込んだ方が良品率が向上していると考えられる。
【0169】
なお、本実施の形態4では、種基板101として(111)A面を主面とするGaAsを使用しているが、他に本実施の形態4のMOCVD装置50においてエッチングが可能であるような(100)等の他の面を主面とするGaAs、Si、GaAs、GaSb、GaP、InP、InAs、InSb、ZnO、雲母、MgAl24等のスピネル型結晶(AB24:A、Bは陽性元素、Xは陰性元素)、NdGaO3等のぺロブスカイト型結晶、LiGaO2等の基板を使用してもよいことを確認している。また、エッチングガスとしては、HCl以外にも、H2、Cl2、HF等の他のガスを使用してもよい。
【0170】
また、本実施の形態4において、各原料ガスは、基板に対してほぼ垂直な方向から導入しているが、GaN膜を成長させることができれば、基板に対してほぼ平行な方向から原料ガスを導入する等、原料ガスを導入する方向と基板との関係を他の関係にしても、本実施の形態4のIII−V族化合物半導体製造装置と同様に、GaN膜に反り、クラックの発生が抑えられることを確認している。
【0171】
また、実施の形態2で説明したように、距離αは、5mm〜150mmの範囲であることが好ましく、β角は、80°以下(−80°〜0°も含む)であることが好ましい。
【0172】
以上、実施の形態1〜4においては、GaN膜の成膜を中心にして説明したが、BN、AlN、AlαGa1−αN(0<α<1)、InN、InβGa1−βN(0<β<1)、InγGaδAl1−γ−δN(0<γ<1、0<δ<1)等の製造にも、本発明のIII−V族化合物半導体製造装置は適用することができ、実際にその効果を確認している。
【0173】
また、GaN膜の成長温度と同一温度で種基板のエッチングを行っているが、GaN結晶に負荷を与えない範囲であれば、本実施の形態1〜4と同様の効果が得られる。具体的には、800℃以上、1150℃以下、さらには900℃以上、1100℃以下が好ましい。
【0174】
また、本発明のIII−V族化合物半導体製造装置は、HVPE装置、MOCVD装置だけでなく、ガスソース分子線エピタキシ(GSMBE)装置、ケミカルビームエピタキシ(CBE)装置等においても効果があることを確認している。
【0175】
さらに、本発明は、GaNを中心とした窒化物系III−V族化合物半導体の製造について説明したが、GaAs、GaSb、GaP、InP、InAs、InSb、AlGaAs等の他のIII−V族化合物半導体を製造する場合にも、本発明のIII−V族化合物半導体製造装置を適用することができ、実際その効果も確認している。
【0176】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のIII−V族化合物半導体製造装置及びIII−V族化合物半導体の製造方法を用いれば、III−V族化合物半導体を製造している最中、または所定の膜厚まで製造後、種基板をその裏側からエッチングすることにより、効率的に除去でき、その後、表出したIII−V族化合物半導体の表面をV族原料ガスで保護できるので、表面荒れに起因する欠陥が抑えられ、また、荒れたGaN面と結晶性の良いGaN成長面との応力差から発生する歪みの影響が解消され、反り、クラック等の欠陥が低減されたIII−V族化合物半導体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10の断面図である。
【図2】図1のIII−V族化合物半導体製造装置10のB−B’線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII−V族化合物半導体製造装置10のC−C’線に沿う断面図である。
【図4】従来のIII−V族化合物半導体の製造方法により製造されたGaN膜の反りを示す断面図である。
【図5】実施の形態1のIII−V族化合物半導体の製造方法により製造されたGaN膜及び従来の製造方法により製造されたGaN膜のそれぞれの膜厚と曲率半径との関係を示したグラフである。
【図6】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における種基板及びエッチングガス供給管の周辺を示す概略図である。
【図7】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における距離α及びβ角と種基板の除去に要する時間との関係を示すグラフ(β角=0°、5°、10°)である。
【図8】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における距離α及びβ角と種基板の除去に要する時間との関係を示すグラフ(β角=20°、40°)である。
【図9】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における距離α及びβ角と種基板の除去に要する時間との関係を示すグラフ(β角=60°、70°)である。
【図10】実施の形態1のIII−V族化合物半導体製造装置10における距離α及びβ角と種基板の除去に要する時間との関係を示すグラフ(β角=80°、85°、90°)である。
【図11】実施の形態2のIII−V族化合物半導体製造装置30Aの断面図である。
【図12】実施の形態2のIII−V族化合物半導体の製造方法により製造されたGaN膜及び従来の製造方法により製造されたGaN膜のそれぞれの膜厚と曲率半径との関係を示したグラフである。
【図13】実施の形態2のIII−V族化合物半導体製造装置30Aにおける種基板及びエッチングガス供給管の周辺を示す断面図である。
【図14】実施の形態2のIII−V族化合物半導体製造装置30Bの断面図である。
【図15】実施の形態3のIII−V族化合物半導体製造装置40の断面図である。
【図16】図14のIII−V族化合物半導体製造装置40のK−K’線に沿う断面図である。
【図17】実施の形態3のIII−V族化合物半導体の製造方法により製造されたGaN膜及び従来の製造方法により製造されたGaN膜のそれぞれの膜厚と曲率半径との関係を示したグラフである。
【図18】実施の形態4の本発明に係るIII−V族化合物半導体製造方法を利用したレーザーダイオードを作製するためのMOCVD装置50を示す断面図である。
【図19】図18のMOCVD装置50のL−L’線に沿う断面図である。
【図20】実施の形態4のMOCVD装置50を用いて作製されたレーザダイオードを示す断面図である。
【図21】 III−V族化合物半導体を製造する典型的なHVPE装置1Aを示す断面図である。
【図22】図20のHVPE装置のA−A’線に沿う断面図である。
【図23】従来のIII−V族化合物半導体を製造するHVPE装置1Bを示す断面図である。
【符号の説明】
10 III−V族化合物半導体製造装置
11 反応容器
11a 底板部
11b 円筒部
12 サセプタ
13 III族原料供給管
13a III族原料ガス吹出ノズル
14A V族原料供給管
14B V族原料供給管
14a V族原料ガス吹出ノズル
15 ドーピング原料供給管
16 エッチングガス供給管
16a エッチングガス吹出ノズル
17 加熱ヒータ
18 III族原料貯蔵部
19 サセプタ装着台
20 回転用治具
21 保持爪
22 回転用ロッド
23 ガス排気口
30A III−V族化合物半導体製造装置
30B III−V族化合物半導体製造装置
41 支軸
42 サセプタ装着台
50 MOCVD装置
51 石英フローライナー
52 冷却ボックス
53 排気用配管
54 排ガス処理装置
55 原料入口
56 III族原料源
56A TMG貯蔵部
56B TMA貯蔵部
56C TMI貯蔵部
57 V族原料源
58 導通パイプ
59 マスフローコントローラー
60 キャリアガス導入管
61 貯蔵部
78 ドーピング原料源
101 種基板
101a 種基板の中心
102 GaN膜
200 レーザダイオード
201 n型GaNのコンタクト層
202 n型Al0.09Ga0.91Nのクラッド層
203 n型GaNのガイド層
204 活性層
205 p型Al0.15Ga0.85Nの蒸発防止層
206 p型GaNのガイド層
207 p型Al0.09Ga0.91Nのクラッド層
208 p型GaNのコンタクト層
209 SiO2誘電体膜
210A p型電極
210B n型電極

Claims (6)

  1. III−V族化合物半導体を結晶成長させるための種基板を保持する保持手段と、III−V族化合物半導体の原料であるIII族原料およびV族原料を前記種基板の表面に向かって吹き出し、該III−V族化合物半導体の原料であるIII族原料およびV族原料うちのV族原料のみを前記種基板の裏面に向かって吹き出す原料供給手段とを備えたIII−V族化合物半導体製造装置であって
    前記保持手段は、前記種基板を、前記原料供給手段に表面が対向する状態及び裏面が対向する状態に変更し得るように保持し、
    前記保持手段によって保持された種基板の裏面エッチングされるようエッチングガスを吹き出すエッチングガス供給手段が設けられており、
    前記原料供給手段は、前記種基板の表面上に形成されたIII−V族化合物半導体膜の、該種基板を除去した面に向けて該V族原料を吹き出すと同時に、該III−V族化合物半導体膜のその反対側の面に、III−V族化合物半導体が成長するよう該III族原料および該V族原料を吹き出すことを特徴とするIII−V族化合物半導体製造装置。
  2. III−V族化合物半導体を結晶成長させるための種基板を保持する保持手段と、III−V族化合物半導体の原料であるIII族原料およびV族原料を前記種基板の表面に向かって吹き出し、該III−V族化合物半導体の原料であるIII族原料およびV族原料うちのV族原料のみを前記種基板の裏面に向かって吹き出す原料供給手段とを備えたIII−V族化合物半導体製造装置であって
    前記種基板の裏面をエッチングするエッチングガスを吹き出すためのエッチングガス供給管が、前記種基板の裏面に対向するように配置されていることを特徴とするIII−V族化合物半導体製造装置。
  3. 前記保持手段に保持された種基板の裏面の中心部分と、前記エッチングガスが吹き出される吹き出し位置との距離が、5〜150mmの範囲になるように配置されている、請求項1または2に記載のIII−V族化合物半導体製造装置。
  4. 記保持手段に保持された種基板の裏面の中心軸線に沿った中心線方向ベクトル(種基板裏面から表面への方向を正)と、前記エッチングガスが吹き出される方向に沿ったエッチングガス吹き出し方向ベクトル(エッチングガスが吹き出される方向を正)とのなす角度が、80°以下になっている、請求項1〜3のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体製造装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかのIII−V族化合物半導体製造装置を用い、前記原料供給手段から、V族原料としてNHを、III族原料としてIII族原料のハロゲン化物を、吹き出させることを特徴とするIII−V族化合物半導体の製造方法。
  6. 前記種基板は、Si、GaAs、GaSb、GaP、InP、InAs、InSb、ZnO、雲母、MgAl スピネル型結晶(AB:A、Bは陽性元素、Xは陰性元素)、NdGaO ぺロブスカイト型結晶、LiGaOのいずれかによって構成されている、請求項5に記載のIII−V族化合物半導体の製造方法。
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