JP4592001B2 - アンテナ及びこれを用いた電波時計、キーレスエントリーシステム、rfidシステム - Google Patents

アンテナ及びこれを用いた電波時計、キーレスエントリーシステム、rfidシステム Download PDF

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Description

本発明は、時刻情報を含む電磁波の中で磁界成分を受信して時刻を合わせる、電波時計、あるいは電磁波で所有者の接近を検知して自動車や住居のキーを開閉せしめるスマートキーレスエントリーシステム等(以下、キーレスエントリーシステムと言う)、あるいは電磁波に載せられた変調信号によって情報を授受するRFIDタグシステム等(以下、RFIDシステムと言う)に用いて好適な磁気センサ型の電磁波受信用アンテナに関するものである。
ここでは電波時計用のアンテナを例に背景技術の説明を行う。
電波時計は、所定周波数の搬送波によって送られる時刻情報を受信し、その時刻情報を基に自身の時刻を修正する時計を指し、現在置時計、掛け時計、腕時計等さまざまな形態で実用化されている。
電波時計等に用いられている電波は40kHz〜200kHz以下と、長波帯を使用しており、その電波の一波長は数kmという長さになる。この電波を、電界として効率よく受信するには数百mを越す長さのアンテナ長が必要となり、小型化が必要な腕時計、キーレスエントリーシステム、RFIDシステム等に使用することは事実上困難であり、磁心を用いて磁界成分を受信することが必要である。
具体的には上記搬送波は、日本においては40kHz及び60kHzの2種類の電波を使用している。海外においても主に100kHz以下の周波数を用いて時刻情報を提供しているため、これらの周波数の電波を受信するには電磁波の磁界成分を効率良く収束させるために磁性体を磁心とし、これにコイルを巻き回した磁気センサ型のアンテナが主に使用されている。
従来、電波時計用のアンテナとして、例えば特許文献1には、アモルファス金属積層体からなる磁心にコイルを巻回した主に腕時計に使用する小型アンテナが開示されている。
特許文献2には、フェライトからなる磁心にコイルを巻回してなる小型アンテナが開示されている。
また、特許文献3には、金属ケースとアンテナとの間に導電性を有するシール部材を設けたアンテナが開示されている。
さらに、特許文献4には、磁芯にコイルが巻回された主磁路部材と、磁芯にコイルが巻回されていない副磁路部材とを有し、磁芯に沿った閉ループ磁路の一部にエアギャップを設け、共振時には内部で発生した磁束が外部に漏れ難いようにしたアンテナが開示されている。
特開2003−110341号公報 特開平8−271659号公報 特開2002−168978号公報 特許第3512782号公報
腕時計は、主に筐体(ケース)、ムーブメント(駆動部モジュール)とその周辺部品(文字盤、モータ、電池等)、非金属(ガラス)蓋および金属裏蓋とにより構成される。この中にアンテナを内蔵する場合、従来は筐体の外側に設けることが多かった。しかしながら、最近では小型軽量化の趨勢から筐体内部に設けることが求められるようになってきており、図10に示すようにムーブメント22と裏蓋24及び主として電池、時計針を動かすモータ等の周辺部品26の隙間に配置される。尚、図10の正面図のアンテナ1は構造を示すため実線で示しているが、実際は筐体25とムーブメント22、周辺部品26及び裏蓋24によって閉じられた空間に収められている。
上記した特許文献1、2のアンテナは、それぞれ磁心として比透磁率の高いアモルファス箔体やフェライトを用いて電磁波の磁界成分を収束させ、この収束させた磁束を磁心の外側に巻き回したコイルによって時間的に磁束が変化する成分を電圧として検知するアンテナである。従って、この点では筐体としては電磁波の磁界成分を阻害しない樹脂材とすることが望ましい。しかし、その反面一部を樹脂製にすると設計、デザイン面での制約がある。一般に腕時計は意匠性がセールスポイントとなり、例えば金属製の筐体が高級感や審美性の面で好まれる。そこで中高級時計や自動車に代表される機器類には筐体が金属ケースで作られることが多くなっている。この場合、従来のアンテナ構造、また配置によっては金属ケース等が電磁波に対するシールドとして働き、受信感度が大幅に低下すると言う問題があった。
また、アンテナとしては外部から入ってきた電磁波による磁束が磁心に通った結果としてコイルに電圧が誘起される。図9の等価回路図に示すように、この電圧はコイル8と並列に接続されたコンデンサCにより所望の周波数に共振するようになっており、共振させることによりコイル8にはQ倍の電圧が発生し、コイル8にはその共振電流が流れる。この共振電流によってコイル8の周囲には磁界が発生し、磁束は主として磁心の両端から出入りする。ここで、アンテナの周囲に金属が接近していると、この共振電流によって発生した磁束が金属を貫く結果となり渦電流を発生させる。即ち、アンテナの近くに電気抵抗の小さな金属類があると、共振時の磁界エネルギーは渦電流損として失われ、アンテナコイルの損失となって現われ、結果、Q値が低下し実効的にアンテナ感度の低下を招くものである。そこで、特許文献3では、アンテナを金属ケースの外部でかつシールド部材を介して配置することによりQ値の維持を図っている。しかし、大型化とデザインの制約は免れ得ないものであった。この点で、特許文献4に開示されたアンテナによれば、共振時に外部に向かう磁束の流れをエアギャップが設けられた副磁路部材側に選択的に誘導することになり、磁束を外部に漏れ難くし、よって渦電流損によるQ値の低下を抑えることが出来るとしたものである。
同様な問題点は磁気センサ型のアンテナを金属製筐体の中に、或いは金属部品に近接して収容するキーレスエントリーシステム、またはRFIDシステムでも同様に存在する。キーレスエントリーシステムとは、例えば、乗用車等の車両の鍵を遠隔操作可能としたもので、特定の電磁波により開閉動作するアンテナを備えた送受信ユニットからなり、当該ユニットであるキーを持つ所有者の遠近により開閉遠隔操作が非接触で出来るものである。また、RFID(Radio Frequency Identification)システムは、タグに記憶された情報を特定の電磁波によって作動するアンテナにより情報を授受するもので、例えば、バス等の行先情報等が入力されたRFIDタグをバスに取り付け、時刻表情報が入力されたRFIDタグを乗り場の表示板等に埋設しておくと、利用者は非接触で各種の交通情報が認識できると言うものである。これらのシステムにおいても、筐体並びにアンテナの小型化と共にアンテナの高感度化が要求されている。
本願発明者らはこれらの問題を考慮し、設置面積・容積を大きくせず渦電流損の問題を解消して高感度な出力を得ることができる小型で感度調整の容易なアンテナを提供することを目的として、電磁波の磁界成分を前記主磁路部材で受信する磁気センサ型のアンテナとして、この主磁路部材と、その他に比透磁率が主磁路部材よりも小さい材質で作られた副磁路部材を設けたいくつかの構成のアンテナの出願を別途行っている。
しかし、実際に製造してみると、小型部品であるアンテナにおいて、主磁路部材の他にも副磁路部材を設けることは思いのほか困難であり、両者の位置決めや、主磁路部材のもろい磁心を破壊させずに組み付けるには、さらに検討の余地があった。以上のことより本発明は、設置面積・容積を大きくせず渦電流損の問題を解消して高感度な出力を得ることができる小型で感度調整の容易なアンテナを提供するための、主磁路部材と副磁路部材からなるアンテナであって、両者の組立性、およびアンテナ特性を考慮した構造を持つアンテナを提供することを目的とする。特に限られた小スペース内で高いアンテナ特性を発揮できるもので、電波時計、特に電波腕時計やキーレスエントリーシステム、RFIDシステムに適したアンテナ及びこれを用いた前記システムを提供する。
本発明のアンテナは、磁性体からなる磁心にコイルを巻回した主磁路部材を有し、電磁波の磁界成分を前記主磁路部材で受信する磁気センサ型のアンテナにおいて、前記主磁路部材と、副磁路部材として比透磁率が2以上かつ前記主磁路部材より小さい比透磁率の材質で形成されたケースとを具備することを特徴とするものである。前記主磁路部材よりも小さい比透磁率の材質を副磁路部材として使用することで上記の目的を解決可能である。ケースの比透磁率が2〜1000、さらには3〜500、さらには5〜100程度とすることが好ましい。
また、本発明はこのケースをインジェクション成形することを特徴とする。つまり本発明は、磁性体からなる磁心にコイルを巻回した主磁路部材を有し、電磁波の磁界成分を前記主磁路部材で受信する磁気センサ型のアンテナにおいて、前記主磁路部材と、前記主磁路部材の外周部の少なくとも一部に比透磁率が2以上かつ前記主磁路部材より小さい比透磁率の材質でインジェクション成形されたケースとを具備することを特徴とするものである。
このようにケース自体を副磁路部材として使用することで、主磁路部材と副磁路部材の組立が容易になり、かつ部品工数を減少でき、さらに別途ケースを用意することなく筐体内に設置することができる。
上記磁心を構成する軟磁性材料は、珪素鋼、パーマロイ、アモルファス金属、ナノ結晶金属、フェライト等100超〜300000程度の高比透磁率材料が望ましい。このましくは500〜100000程度の高比透磁率材料である。また、ケースの比透磁率は空気中よりも高く主磁路部材のそれよりも小さいことが必要である。このように副磁路として低比透磁率材のケースを用いることで、入射した磁束の一部がこの低比透磁率のケースを介し主たる磁気回路内を帰還して回ることにより磁心に入射した磁束のコイルに対する通過量が実効的に増加し高感度なアンテナとなる。また、この副磁路の役割をなすケースは、従来のように主磁路部材に組み付けるものではなく、単にケースとして内部に主磁路部材を入れればよいため、施工性に富み、また、脆い磁心を保護する役目も果たす。ケースは、主磁路部材を位置決めして収納可能な形状を持つことが組立性を向上するために好ましい。磁心は薄帯を単体又は積層した積層体であってもよいし、板状のフェライトであってもよい。
ここで、電波の角周波数をωとし、アンテナとコンデンサで構成される共振回路の抵抗分をR、コイル部の自己インダクタンスをLとするとき、Q値はωL/Rで定義される。ここで述べるRはコイルの直流抵抗と交流抵抗の総和である。特に金属ケースに入れたアンテナの交流抵抗は増大する。その理由は磁束を集めた磁心が巻き回したコイルと外部に付加したコンデンサで共振してQ倍の共振電圧となり、この共振電流によってコイル両端には高い電圧が発生し、その電圧によってアンテナ自身の両端近くから磁束が発生するからである。その共振現象による磁束が金属を貫くときに発生する渦電流損失である。ここで低比透磁率のケースを設けることにより、磁心に流入した磁束はコイルを通過し磁心の他端から流出するだけでなくその一部は低比透磁率のケースに還流して再び外部から流入する磁束と合流してコイル内部を通過し、より多くの電圧を発生させる作用をなす。また、共振電流によって発生する磁束が低比透磁率のケースを介して還流することにより、アンテナ両端から外部に出る磁束総量を少なくすることができ、近接する金属ケース類を貫通する磁束が少なくなり等価的に交流抵抗の増大が抑えられる。よって、上述の抵抗分Rの増加が最小限に抑えられ、結果Q値が高まり渦電流等による損失が少なくなる。
このケースは、図3(c)に示すように、主磁路部材の胴部を収納し端部がケース外に露出するように形成してもよい。このようなケース形状とすることで外部の磁束を取り入れやすく、かつ金属製筐体内などに設置しても、アンテナ特性を向上することができる。
また、別のアンテナの構成として、ケースは、図3(b)に示すように、主磁路部材の胴部を収納する比透磁率が2以上かつ前記主磁路部材より小さい比透磁率の材質で形成された軟磁性ケース部と、主磁路部材の端部を収納し前記軟磁性ケース部より比透磁率が小さい材質で形成されたケース端部とからなるように形成しても良い。ケース端部は非磁性材でもよい。このように主磁路部材の端部を覆うケース端部の比透磁率を下げることで、上記のアンテナと同様に電磁波の磁界成分がケースに遮断されること無く主磁路部材に通り、アンテナ特性を損なうことが無い。
また、さらに別のアンテナの構成として、ケースは、図4(f)に示すように、主磁路部材の一端部から他端部までを連続的に覆う比透磁率が2以上かつ前記主磁路部材より小さい比透磁率の材質で形成された軟磁性材ケース部と、主磁路部材の一端部から他端部までを連続的に覆う非磁性材からなる非磁性材ケース部とからなるようにしてもよい。ケースの一部を非磁性材とすることで、上記のアンテナと同様に電磁波の磁界成分がケースに遮断されること無く主磁路部材に通り、アンテナ特性を損なうことが無い。非磁性とすることが好ましいが、軟磁性ケース部よりも低い比透磁率材でも適用は可能である。
主磁路部材の磁心を薄帯を単体又は積層した積層体とすることで渦電流の発生を抑制するアンテナとすることができる。主磁路部材の磁心を軟磁性フェライトあるいは軟磁性金属薄帯を積層した積層体から構成する場合、主磁路部材とケースの間を流れる磁束は実質的に金属薄帯の積層断面を通るようにする事が好ましい。つまり、ケースは薄膜磁性金属が積層された前記主磁路部材の金属製薄帯の平面方向ではなく、積層断面側に隣接するよう設置されるものである。これにより、積層した場合に発生する渦電流に対し個々の薄帯からの渦電流が低下し、損失を抑制し、よりアンテナ特性を向上させることができる。
例えば、図7のように主磁路部材の積層された金属製薄帯4の板面を通過する方向に磁束が流れると、金属製薄帯4内部に大きな渦電流9が生じ、損失が大きくなり、Q値が減少する。渦電流9が生じると、金属製筐体内部に設置することで落ちたアンテナ特性がさらに低下することになりアンテナ効率が下がる結果となる。これに対して図6のように金属製薄帯4の端部積層断面から磁束8が通るようにケースを設置することで磁心内部で発生する渦電流を最小にすることが可能となり、損失の少ないアンテナとすることができる。
ケースは、軟磁性フェライト粉末あるいは軟磁性金属粉末又は軟磁性金属フレークと、樹脂又はゴムなどの可塑性高分子材料とからなる複合材である。外部から入射する磁束は主磁路部材で受けるが、内部から放射する磁束は、本発明の閉磁路のバランスを副磁路であるケースで調整し、外部に漏れ難い構成とすることが出来る。ケースは主磁路部材の比透磁率より小なるものであるが、比透磁率が大きすぎると主磁路部材に磁束を集中して受け入れ難くなる。また、小さすぎても副磁路としての効果が低くなる。ケースの比透磁率は2〜1000、さらには3〜500、さらには5〜100、さらには10〜60であることが好ましい。そこで柔軟性を有する複合材の場合、軟磁性の粉末と樹脂材等の混合比を調節することで適切な比透磁率を調整できるし、また厚みも容易に調節できるので好ましい。また柔軟性を有するのでエアギャップを容易に埋めることができ加工度も高いので扱いやすい。但し、柔軟性は必須ではない。
また、本発明はこのケースを、型枠に軟磁性材料粉末を含む硬化可能なスラリーを入れ、主磁路部材を浸漬した後に硬化させて形成した、比透磁率が2以上かつ前記主磁路部材より小さい比透磁率の材質で形成されたケースとしたものでもよい。硬化させるスラリーとして、例えば、軟磁性材料粉末と熱硬化性樹脂、有機溶剤などを含む、熱硬化型や揮発硬化型のスラリーなどが適用できる。このスラリーを容器状の型枠内に流し込み、このスラリー中に主磁路部材を浸漬し、硬化させる。一般的にポッティングと呼ばれる技術を使用することで容易に本発明の副磁路となるケースが設けられたアンテナを得ることができる。
軟磁性金属フレークには、フェライト粉、アモルファス合金粉などが使用できる。Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金から水アトマイズ法により製造した粒形状粉をアトライタにて摩砕することにより製造した平均粒径が0.1〜50μmで平均厚さが3μmの扁平形状粉などや、金属磁性体扁平形状粉としてカルボニル鉄合金、アモルファス合金、Fe-Si系合金、モリブデンパーマロイ、スーパーマロイ等の扁平形状粉を用いることがでいる。これらを可撓性高分子材料中に分散させて射出成形によりケース形状とするか、磁心の周囲にインジェクション成形し、副磁路部材とする。
可撓性高分子材料としては、有機物で柔軟性があり、比重が1.5以下であり、好ましくは耐候性を有する樹脂で、例えばクロロプレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
このような複合材を用いることによって、調整が面倒なエアギャップを設けることなく磁束を閉磁路内に帰還させることができる。また、エアギャップを設ける必要がないので微妙な精度を必要とせずに製造がし易く、安定した性能を維持できる点で有利である。またオープン型のケースを使用する場合は、ケース内に主磁路部材を収容した後、蓋の替わりに非磁性の樹脂を流し込んで一体にしてもよい。
本発明のアンテナにおいて、筐体が金属製筐体、もしくは筐体内部に金属製部材が備えられているとき、前記金属製筐体もしくは金属製部材(回路基板上の金属製のプリント配線なども含む)の設置位置に対して、前記磁心の端部を遠ざかる方向に曲げることが好ましい。例えば電波腕時計ではガラス製蓋の方向に曲げることが好ましい。曲げる角度は垂直であったり、斜めであったり、その筐体内の状況によって任意の角度を設定できる。磁界成分を収束させる磁心の端部を磁束流入方向に向くように曲げることにより、その先端部が筐体内部に入射する多くの磁束を収束させて高感度なアンテナとなる。また、この形状は磁心に巻かれたコイルに誘起した電圧と並列に接続されたコンデンサによる共振電流による磁束が主として磁心の両端から出入りする性質上、その出入りする磁束が金属製筐体を貫く量を減少させることとなり、結果として金属製筐体に発生させる渦電流を減少させ電気的なQ値を高く保つことができ、アンテナとしての高感度化に繋がる。磁心端部の先端部をさらに異なる方向に曲げてもよい。これにより、入射してくる磁束をより広く四方から捕らえることができ、更に高感度なアンテナが得られる。
また、本発明は、金属製筐体、ムーブメント(周辺部品含む)、非金属製蓋、金属製裏蓋を有する腕時計に磁気センサ型のアンテナを内蔵した電波時計において、前記磁気センサ型のアンテナは、上記した何れかのアンテナを用いて前記主磁路部材が前記金属製筐体の内部側に、副磁路部材が金属製筐体の周縁部側に配置した電波時計である。通常、金属製筐体から副磁路部材を遠ざける方が渦電流の発生頻度を減らすことができる。しかし、一般に筐体の内部側にはスペース上の制約が多く、必ずしも副磁路部材を配置できるものではない。この点で、副磁路部材をケースとして複合材で形成し、さらに周縁側に沿って設ければスペースを有効活用できるし、ケースの厚みや面積の調整が容易で組立て性に優れている。これにより渦電流による悪影響を相殺しそれ以上の効果を期待できる。しかしながら、主磁路部材が金属製筐体の周縁部側に、ケースが金属製筐体の内部側に配置することを妨げるものではない。この場合は外から内へ入る磁界は金属製筐体に近い主磁路部材の磁心に収束し易く、他方ケースは金属製筐体から遠いので内から外へ漏れる磁界は筐体方向には向かい難く渦電流が発生し難い効果を期待できる。よって、個々の情況や求める効果によってこれらの構成を選択することが望ましいと言える。
以上により、本発明のアンテナは、時刻情報を含む電波を受信して時刻を合わせる小型の電波腕時計に用いることに適している。また、乗用車や住居等の鍵の開閉を遠隔操作するキーレスエントリーシステムに用いることに適している。さらに、情報を記憶したタグを用いて情報を授受するRFIDシステムに用いることに適している。
本発明のアンテナによれば、外部より入射した磁束は主磁路部材により受けとめ、共振時の放射磁束については主磁路部材から副磁路となるケースに磁束を導き、磁気回路内を効率よく帰還することができる。その結果、高い出力電圧が得られ、Q値を高いまま保持できる。また、エアギャップのない副磁路部材、特に比透磁率の低い複合材を用いることにより磁束の帰還具合を調節し、高いQ値と感度を得ることができる。また、ケースと主磁路部材をエアギャップを介さずに磁気的に直接連結することでフリンジング磁束が少なく渦電流がさらに小さくすることができる。また、副磁路部材をケースとすることで、脆い磁心であってもケースにより外部からの衝撃から守られ、安全性が高い。さらには、ケースを主磁路部材が嵌着可能なように形成することで位置調整が不要な組立性が容易な形状となり、作業性に優れた構造となる。
また、主磁路部材の端部に磁束が導かれるよう、磁気的に磁束を遮断しない形状のケースを用いることにより、さらに損失の少ないアンテナを得ることができる。
また、積層された金属製薄帯によって構成された主磁路部材を用い、主磁路部材とケースの間を流れる磁束を実質的に主磁路部材の金属製薄帯の端部を通るようにする事で、主磁路部材の帯面で発生する渦電流損失を少なくすることができ、損失の少ないアンテナを得ることができる。
また、金属製筐体もしくは金属製部材(回路基板上の金属製のプリント配線なども含む)の設置位置に対して、前記磁心の端部を遠ざかる方向に曲げることで、その先端部が筐体内部に入射する多くの磁束を収束させて高感度なアンテナとなる。また、この形状は磁心に巻かれたコイルに誘起した電圧と並列に接続されたコンデンサによる共振電流による磁束が主として磁心の両端から出入りする性質上、その出入りする磁束が金属製筐体を貫く量を減少させることとなり、結果として金属製筐体に発生させる渦電流を減少させ電気的なQ値を高く保つことができ、アンテナとしての高感度化に繋がる。磁心端部の先端部をさらに異なる方向に曲げれば、入射してくる磁束をより広く四方から捕らえることができ、更に高感度なアンテナが得られる。
以上により、電波時計内の設置面積は同じでありながら金属部を避けて配置したのと同等の感度及びQ値が得られる。また共振電流による磁束の流出を抑えて実効的な感度を高く得られる。そして作業性、組立て性が良好である。以上の相乗効果により、設置面積は小さいが、配置自由度は高くデザイン的な制約も比較的小さい高感度のアンテナとなる。
この様なアンテナは、小型高性能の電波時計、電波腕時計、キーレスエントリーシステム、RFIDシステム等で好適に使用できる。
以下、本発明の実施例を図面と共に説明する。
図1に、主磁路部材の一実施例を示す。図1(a)の主磁路部材10aは、棒状のフェライトからなる磁心14aにコイル8を巻回して形成したもので、この主磁路部材の周囲にケース(図示せず)が設けられる。図1(b)の主磁路部材10bは、棒状のフェライト材の両端が垂直に立ち上がって曲がる端部11bを有したものである。中央部にコイル8を巻回して形成した主たる磁気回路を有し、コイル8を巻回して形成したもので、これにより主たる磁気回路を構成する。図1(c)の主磁路部材10cは、主磁路部材10bとほぼ同様のものであるが、磁心となるフェライトを四角形状としたものである。四角の場合、金属ケース等の筐体に設置するときに配置しやすく組立て性において望ましい。図1(d)の主磁路部材10dは、アモルファス等の金属箔(板厚20μm以下)の帯体から図のような端部11dを曲げたコの字形に一体に打ち抜いた薄帯を得て、この薄帯を複数枚積層し、中央部にコイル8を巻回したものである。図1(e)の主磁路部材10eは、同じくアモルファス金属箔から打ち抜いた薄帯を積層したものである。この例は積層方向が異なるもので、薄帯の端部11eは長方形状に打ち抜いた薄帯の両端を別途折り曲げて形成している。また、積層型や図1(h)に示す複数の細線を束ねた細線型では、各薄帯の間あるいは個々の細線に絶縁膜を被膜し絶縁層を介して積層あるいは束ねることが望ましい。図1(f)の主磁路部材10fは、凹部16fを有するフェライトからなる板状の磁心14fにコイル8を巻回して主たる磁気回路を形成したものである。図1(g)の主磁路部材10gは、アモルファス金属箔から打ち抜いた薄帯を積層したものである。薄帯の端部11gは長方形状に打ち抜いた薄帯の両端を斜め上方向に折り曲げて形成している。図1(h)の主磁路部材10hは、複数の細線を束ねたものを磁心14hとし、両端部を曲げ、中央部にコイルを設けたものである。
図2に、本発明による主磁路部材の他の実施例を示す。図2(a)の主磁路部材30aは、棒状のフェライト材の両端が垂直に立ち上がって曲がる端部31aを有し、さらにその先端部32aが磁心34aと並行な方向に曲がって形成したものである。そして中央部にコイル8を巻回し、その周囲に副磁路部材となるケース(図示せず)が設けられる。図2(b)の主磁路部材30bは、図1(d)の主磁路部材10dと同様に金属箔の帯体から図のような端部31bと32bを一体に打ち抜いた薄帯を複数枚積層したもので、その中央部にコイル8を巻回したものである。図2(c)の主磁路部材30cは、同じく図1(e)と同様のものであるが、端部31cをさらに曲げた先端部32cを形成したものである。図2(d)の主磁路部材30dは、図2(c)の端部を斜め上方向に曲げたものである。また、先端部が2方向に分かれて曲がるものでもよいし、積層型の磁心の先端部が扇型となるよう広がりを持った形状にしても良い。
以上の実施例によれば、入射した磁束はコイルを巻いた磁心の主たる磁気回路を通過するだけでなく、一部がこのギャップ付副磁路部材を介して帰還し主たる磁気回路内を回ることになり、流入した磁束を主たる磁気回路と別の閉磁路で効率よく回し、結果的に高い出力電圧が得られる。
以下、評価については、図8に示す電波腕時計に模した試験装置と図9に示す等価回路に沿ってアンテナの出力電圧等を測定し比較した。
図9において、Lがアンテナの磁心1と巻線8で構成されるコイルである。Rがコイルの直流抵抗と交流抵抗の総和である。このコイルに磁束の時間変化による電圧Vが検出される。ここでアンテナと並列にコンデンサCが接続され、このコンデンサCと先に述べたコイルLが電気的に共振し、コンデンサの両端にはQ倍の電圧が発生し、アンテナとして動作する。比較試験は図8に示す電波腕時計に模した厚さ1mmの金属製(ステンレスSUS403)の筐体70の中に評価アンテナを配置し、上記等価回路による電圧Vを測定した。
(実施例1)
実施例1として、図3(a)〜(d)に示すアンテナ1a〜1dを製造した。図3(a)〜(c)の磁心4はフェライトからなる長さ23mm、腹部幅2mm、端部幅2.5mmのバーベル状とした。図3(d)の磁心4は長さ30mm、幅2mmのアモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金等の軟磁性金属箔帯(板厚20μm以下)を20〜30層積層させ、かつ図2(d)のように端部を斜め上に曲げ、さらに先端部を中央部に対して平行にしたものである。巻線8はこの磁心4の周囲に線径0.07mmのエナメル被膜銅線1200ターンを、長さ12mmの範囲で巻き付けた。これにより作成された主磁路部材を副磁路となるケース7a〜7d内に接するように装着した。ケースの材質は、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金からなる薄帯を粉砕した軟磁性金属フレークと樹脂を主とする複合材料を射出成形により成形したものである。ケース7aは一体的に箱状に成形したものである。ケース7bはケース7aから両端部を除去した形状である軟磁性ケース部と、軟磁性金属フレークを含まない樹脂成分からなる非磁性材ケース部を2色一体で射出成形したものである。ケース7cは主磁路部材の長さに併せ、かつ主磁路部材の端部が露出するように成形したものである。また、ケース7cは磁心4の腹部の凹凸に併せて、内側腹部が凸形状になり、主磁路部材が嵌着可能な形状となっている。ケース7dは薄帯を重ねた磁心4の端部がケースの端部に設けられた凹部に収まり、位置決めされるものである。また、このケース内に主磁路部材を納めた後、非磁性の樹脂を流し込み、主磁路部材をケース内に樹脂埋めしてもよい。
これらのケースを用いることで、後述の参考例で副磁路の効果を立証しているように、このケースが副磁路としての役割を果たし、入射した磁束の一部がこの低比透磁率のケースを介し主たる磁気回路内を帰還して回ることになり、主磁路部材単体で用いるよりも磁心に入射した磁束のコイルに対する通過量が実効的に増加し高感度なアンテナとなる。また、脆い磁心を保護するため、腕時計などの携帯品内部に組み込んでも破損がなく、安全性の高い製品を提供することができる。
さらに後述の参考例と比較して副磁路の取り付けが簡易であり、生産性が向上するとともに、各製造製品の特性のバラツキを極力抑えることができるため、生産上非常に利点が高い。また、ケース7bにように、非磁性ケース部と軟磁性ケース部を組合せれば、主磁路部材に入る外部からの磁束の流入を妨げることがなく、上記参考例と同等以上のアンテナ性能を維持することができる。また、ケース7cのように、主磁路端部が露出するように形成することで、同様に参考例と同等以上のアンテナ性能を維持することができ、かつコストが低減できる。また、ケース7cのように、主磁路部材を固定するための凹凸を設ければ組み付け性が非常に良くなり好ましい。
(実施例2)
実施例2として、図4(e)〜(i)のアンテナ1e〜1iを製造した。主磁路部材は実施例1で使用したものと同様のものを使用した。この主磁路部材の周囲に、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金からなる薄帯を粉砕した軟磁性金属フレークと樹脂を混合した材料を用いて射出成形し、副磁路となるケースを形成した。
ケース7eは周囲全体を一体的に鋳包みしたものである。ケース7fは主磁路部材の長さに併せ、かつ主磁路部材の端部が露出するように成形したものである。ケース7gは主磁路部材の中心部から半分を上記の軟磁性金属フレークと樹脂からなる混合材料で射出成形して軟磁性ケース部とし、もう片方を軟磁性金属フレークを含まない樹脂成分からなる非磁性材ケース部とし、2色一体で射出成形したものである。ケース7hは主磁路部材の腹部にのみ軟磁性金属フレークと樹脂からなる混合材料を射出成形したものである。ケース7iは、7eと同じように主磁路部材の全体を鋳込みしたものであるが、主磁路部材は図2(d)に示す形状の磁心を持ちいたものである。
これら副磁路を射出成形により成形してケースとすることで、後述の参考例で副磁路の効果を立証しているように、このケースが副磁路としての役割を果たし、入射した磁束の一部がこの低比透磁率のケースを介し主たる磁気回路内を帰還して回ることになり、主磁路部材単体で用いるよりも磁心に入射した磁束のコイルに対する通過量が実効的に増加し高感度なアンテナとなる。また、脆い磁心を保護するため、腕時計などの携帯品内部に組み込んでも破損がなく、安全性の高い製品を提供することができる。
さらに、射出成形により、主磁路部材の周囲に隙間無く軟磁性部が成形されるため、副磁路であるケースと主磁路部材とが組み付け後も位置ずれすることが無く特性のばらつきがなくなり、かつ強度が非常に高くさらに破損の少ないアンテナとすることができる。また、射出成形で、軟磁性ケース部と非磁性ケースとを2色一体で同時に射出成形することも可能であり、図4(f)に示すようなケース形状とすることも可能で、設計の自由度が非常に高い。
(実施例3)
実施例3として、図5に示すポッティングの技術を用いてアンテナを製造した。まず、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金からなる薄帯を粉砕した軟磁性金属フレークと樹脂を混合した材料7Lを器状の型枠内に所定量を流し込んだ。その後、この型枠のスラリー内に主磁路部材を浸漬させた。コイルの巻き線の端部を利用して吊り下げ、徐々に浸漬させて、所定の位置で主磁路部材を保持させた。磁心4は図3(a)〜(c)で用いたフェライトからなる長さ23mm、腹部幅2mm、端部幅2.5mmのバーベル状のものである。スラリーは硬化した時に比透磁率が5〜100になるように軟磁性金属フレークと樹脂の配合比を決定した。最終的なアンテナの形状は図3(a)と同様に、主磁路部材の周囲を一体的に副磁路となるケースで覆ったものである。
これら副磁路をポッティングにより成形してケースとすることで、前記と同様に副磁路によるアンテナ特性の向上効果を得ることができる。また、ケースの成形時、インジェクションよりも磁心に与える応力が少ないので、脆い材質を磁心としても破壊することなく製造することができる。
(参考例1,2)
副磁路の有無による効果をみるため、参考例1として、図12(c)のアンテナ3cを製造した。磁心としてMn-Zn系フェライト(日立金属製フェライトMT80D)、断面部が1.5mm角、長さ16mm、曲がり部高さ7.5mmを使用し、巻線8はフェライトコアの表面を絶縁した線径0.07mmのエナメル被膜銅線1200ターンを、長さ12mmの範囲で巻き付けた。次に、副磁路部材15cは板厚0.5mm、幅1.5mmの上記と同じフェライトを用いて、プラスチック(PET)製の介在部材を置いて両端共にギャップG=0.2mmのギャップ付副磁路部材を形成した。このアンテナの設置面積は幅1.5mm、長さ16mmと同じに収まっている。
比較例1として、直線の磁心(副磁路部材なし)に巻線を巻いたアンテナを用いた。参考例1の磁心と同じフェライトを用いて、幅1.5mm、長さ16mm、巻線ストッパとしての立ち上がりを含めて高さ2.5mmとし、巻線8も実施例1と同じ細線を同じ条件で巻回したものである。
また、参考例2として、図12(d)のアンテナ3dを製造した。磁心としてコバルト基アモルファス(日立金属製ACO−5SF)製の金属箔(板厚15μm)から幅1mm、長さ16mm、曲がり部の高さ7.5mmの薄帯に打ち抜き、この薄帯を30枚積層して、磁心としての厚み0.45mmの積層体とした。そして、巻線8は積層体コアの表面を絶縁した後に線径0.07mmのエナメル被膜銅線1200ターンを、長さ12mmの範囲で巻き付けた。ギャップ付副磁路部材は、上記と同じアモルファス金属箔を用いて幅1.5mmの部材15dを1枚用意し、これとプラスチック(PET)製の介在部材により、両端共にギャップG=0.2mmに形成した。
以上のアンテナを図8に示す金属ケース70の中に設置し、外部より電磁波の磁界成分に相当する交流磁界の実効値として周波数40kHz、磁界強度14pTの磁界を印加して出力電圧を測定した。結果を表1に示す。副磁路の有無によりアンテナ特性が格段に変わることが解った。
Figure 0004592001
(参考例3,4)
次に、アンテナを金属ケースの中に収容しない状況で、主磁路部材と副磁路の間のギャップによるアンテナ特性の影響を比較検討した。
参考例3として、図12(g)のアンテナ10gを製造した。磁心14gとしては図11に示す従来例と同じ構造のものを用いて、これに板厚0.5mm、幅1.5mmの同じフェライト製部材15gを設置した。そして、中央のギャップGをプラスチック(PET)製の部材により調整し変化させた。
参考例4は図12(h)のアンテナ10hである。磁心14hとしては図11に示す従来例と同じ構造のものを用いて、これに板厚0.5mm、幅1.5mm、長さ16mmの同じフェライト製部材15hを設けた。そして、両側のギャップGをプラスチック(PET)製の部材により調整し変化させた。
また、比較例2として、図12(h)と同じアンテナ構造であるが、副磁路部材を磁性体ではなく、電気的な良導電体である銅板としたものを用いた。銅板は板厚0.25mm、幅10mm、長さ20mmを用いて、両側のギャップGをプラスチック(PET)製の部材により調整し変化させた。
従来例は、上記した図11のアンテナを用いた。
出力電圧の測定は外部より電磁波の磁界成分に相当する交流磁界の実効値として周波数40kHz、磁界強度14pTの磁界を印加して出力電圧を測定した。Q値の測定はインピーダンスメータを用い駆動電圧0.05Vでの値を求めた。結果を表2に示す。ギャップの有無により、アンテナ特性が格段に変化している、主磁路部材と副磁路部材を組み付ける際、少しでもずれるとアンテナ特性が安定的に得られなくなり、大量生産においてはこの組立性をいかに改善するかが重要な問題となることが解る。
Figure 0004592001
(実施例4)
次に、実施例1のアンテナを内蔵した電波腕時計の正面図および側面図を図10に示す。正面図のアンテナの図示は配置などが分かりやすいようにあえて実線で示している。電波腕時計は金属製(例えばステンレス製)の筐体ケース25と、ムーブメント22と周辺部品、ガラス製の蓋と、金属製(例えばステンレス製)の裏蓋24とからなり、アンテナ1をムーブメント22と裏蓋24との間に配置している。ケース1が図4(f)のような軟磁性ケース部と非磁性ケース部からなる場合、副磁路となる軟磁性ケース部は裏蓋などの金属製筐体に近い方に向けて設置される。非磁性ケース部はガラス蓋側である。また、アンテナ1では磁心の端部が図1(b),(c)に示すように曲がっている場合、先端部を底面から立ち上がるようにガラス蓋の方向に曲げて配置している。よって、磁心の中央部は裏蓋側に隣接しているものの磁束の出入り口となる磁心の端部11や先端部32は電磁波の入射方向に向いた構造となっている。この様な配置は、比較的自由度があり感度調整や組立て性に優れた配置である。
時計は駆動機能を集約したムーブメントが大部分の容積を占有し、また人間に対する表示面(文字盤)も必須である。このためアンテナは裏蓋近くに配置することを余儀なくされる。この場合アンテナは周囲を金属部品により囲まれることになるが、この実施例によれば、アンテナの共振電流による磁束が最も多く流出する磁心端部を磁気シールドされた筐体底部周辺の金属から離すように非金属部(ガラス製の蓋等)に向けて曲げて立設している。これにより、外部からの磁束の流入量が多く、筐体底部金属から遠いガラス面近くの磁束をより多く捕らえ、かつ筐体底部の金属接近の影響を最小限にできる。
尚、上記電波腕時計において、立ち上がった磁心の端部を時計文字盤のデザインの一部として表面に現われるようにしても良い。例えば、磁心端部が文字盤を貫き、表示面に現われるようにして、これをひとつのデザインとして利用することである。このとき磁心端部は表示部まで出ているのでより高感度となる。逆に、端部は垂直に立設している必要もない。周囲の状況によって磁束を受けとめやすい方向や角度を有していれば良い。
送受信器やタグを用いるキーレスエントリーシステムやRFIDシステムにおいては、電波時計と同様にアンテナを筐体内の金属で囲まれた狭いスペースに収容することが求められるので、本発明のアンテナが有効であり、その効果も上記実施例と同様に得ることができる。
本発明のアンテナは、電波時計に用いられる電波受信用アンテナや自動車、住宅等のキーレスエントリーシステム、RFIDタグシステムに用いることができる。特に形状の自由度が大きいので電波腕時計に適している。
本発明に用いる磁心の概略構造図である。 本発明に用いる別の磁心の概略構造図である。 本発明の実施例を示すアンテナの概略構造図である。 本発明の別の実施例を示すアンテナの概略構造図である。 本発明の施工状態の一例を示す図である。 磁束と渦電流の関係を示す本発明の概略構造図である。 磁束と渦電流の関係を示す参考用の概略構造図である。 本発明の実施例を試験した装置の模式図である。 本発明のアンテナの等価回路を示す図である。 実施例のアンテナを腕時計内に配置した例を示す正面図と側面図である。 従来のアンテナの概略構造図である。 副磁路の効果を検証するための参考用の副磁路部材を設けたアンテナである。
符号の説明
1、3:アンテナ
4、14、34:磁心
7:(ケース)副磁路部材
8:コイル、巻線
9:渦電流
10,30,:磁心
22:ムーブメント
24:裏蓋
25:金属製筐体
26:周辺部品

Claims (6)

  1. 胴部とその端部に設けた一方の端部と他方の端部とから構成され磁性体からなる磁心および前記胴部に巻回したコイルからなる主磁路部材を有し、電磁波の磁界成分を前記主磁路部材で受信する磁気センサ型のアンテナにおいて、
    前記主磁路部材と、比透磁率が2以上かつ前記磁心より小さい比透磁率の材質で形成されたケースとを具備し、該ケースは前記胴部を収納し前記磁心の一方の端部および他方の端部と接し磁心とケースとからなる副磁路を構成し、前記端部は前記ケースから露出することを特徴とするアンテナ。
  2. 前記ケースは、前記主磁路部材の胴部を収納し端部がケース外に露出するように形成されたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  3. 前記ケースは、軟磁性フェライト粉末あるいは軟磁性金属粉末又は軟磁性金属フレークと、樹脂又はゴムとを混合した複合材であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンテナ。
  4. 金属製筐体、ムーブメント(周辺部品含む)、非金属製蓋、金属製裏蓋を有する腕時計に磁気センサ型のアンテナを内蔵した電波時計において、前記磁気センサ型のアンテナは、請求項1〜の何れかに記載のアンテナを用い、前記ケースが金属製筐体の周縁部側に配置されていることを特徴とする電波時計。
  5. 請求項1〜の何れかに記載のアンテナを当該アンテナを内蔵する送受信器の何れかに用いたことを特徴とするキーレスエントリーシステム。
  6. 請求項1〜の何れかに記載のアンテナをRFIDタグに内蔵して用いたことを特徴とするRFIDシステム。
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