JP4590658B2 - 制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流電動機を可変速駆動する制御装置に係り、特にフリーラン状態にある交流電動機の回転速度または回転方向を検出できる制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インバータを用いて交流電動機を可変速駆動するシステムが、広く普及している。このような可変速駆動システムにおいて、瞬時停電等により交流電源が遮断された場合には、インバータから交流電動機への電圧出力が遮断され、交流電動機はフリーラン状態となる。交流電動機の負荷がファン等の風力機器である場合には慣性力が大きいために、フリーラン状態となった交流電動機は長時間停止せず、惰性で数十秒から数分以上回転していることがある。復電後、フリーラン状態にある交流電動機をインバータで再起動する場合、突入電流や過大トルクを避けてショックレスで再起動するためには、フリーラン状態にある交流電動機の回転速度に対応した周波数をインバータから出力する必要があり、このためにフリーラン状態にある交流電動機の回転速度を検出することが必要となる。交流電動機の回転速度を検出する場合に、通常は速度センサを使用するが、速度センサを付加する場合には、装置の大型化、コスト高、ケーブル引き回しの煩わしさ等の問題点があった。
【0003】
図7は、フリーラン状態にある交流電動機の回転速度を検出する従来例としての可変速駆動システムの構成を示す図で、特開平8−331894号公報に示されたものである。また、図8は、図7の可変速駆動システムにおいてフリーラン状態にある交流電動機の回転数検出時における回路を示す図である。
図において、1は三相交流電源、2は三相交流電源1に接続された整流平滑回路、3は整流平滑回路2に接続されたインバータ回路、4はインバータ回路3に接続された誘導電動機、5bはインバータ回路3を制御するインバータ制御回路、7bは周波数計測器、8は周波数設定器である。また、10はインバータ回路3の出力ラインに結合され、インバータ出力電流即ち電動機入力電流を検出する電流検出器である。インバータ回路3は、6個のIGBTからなる第1〜第6の半導体スイッチQ1〜Q6が三相ブリッジ接続され、各半導体スイッチQ1〜Q6には逆並列に還流ダイオードD1〜D6が接続されている。
【0004】
通常の運転時においては、周波数設定器8で設定された所望の周波数に応じて誘導電動機4が回転するよう、インバータ制御回路5bがインバータ回路3を構成する半導体スイッチQ1〜Q6をオン・オフ制御している。
【0005】
ここで、三相交流電源1に瞬時停電等が発生すると、インバータ制御回路5bにより、インバータ回路3の半導体スイッチQ1〜Q6は全てオフされ、誘導電動機4はフリーラン状態となる。つぎに、三相交流電源1が復電し、再び誘導電動機4に電力を供給できる状態になると、インバータ回路3における下側の3個の半導体スイッチQ2,Q4,Q6を同時にオンして、図8に示すようなインバータ回路3と誘導電動機4とからなる閉回路を形成する。
【0006】
この時、上記閉回路には、フリーラン状態の誘導電動機4に発生している残留電圧により電流が流れる。例えば、U相の電流がインバータ回路3から誘導電動機4に向かって流れ出す場合には、図8の実線の矢印で示すように還流ダイオードD2を通じて流れ、逆に誘導電動機4からインバータ回路3に向かって流れ込む場合には、点線の矢印で示すように半導体スイッチQ2を通じて流れる。
この残留電圧は、誘導電動機4の残留磁束の影響により生じる回転速度に比例した周波数の交流電圧であり、図8の閉回路に流れる電流も回転速度に比例した周波数の電流となる。この閉回路に流れる電流、つまり誘導電動機4の入力電流を電流検出器10により検出し、この検出された電流の周波数を周波数計測器7bで求めることにより、誘導電動機4のフリーラン回転速度を検出していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の可変速駆動システムにおいてフリーラン状態にある誘導電動機4の回転数を検出する方法では、電流検出器10が必要であり、コストが増加したり、小型化できない等の問題点があった。
また、誘導電動機4の残留電圧は電動機定数によって決まる時定数と回転速度の低下によって減衰するため、誘導電動機4に対する電力供給停止期間が長い場合や回転速度が低い場合等、残留電圧がある程度減少した状態では、半導体スイッチQ2,Q4,Q6を同時にオンしても誘導電動機4には非常に小さな電流しか流れず、電流検出器10では正確な電流の検出が困難であるという問題点もあった。例えば、一般に入手できる定格200V、数kWクラスの三相誘導電動機の場合、電力供給停止後数十秒経過した後は、誘導電動機4が定格回転速度付近でフリーラン状態であっても、インバータ回路3の出力ラインに流れる電流は定格電流に対して数十分の一以下程度の電流しか流れていないために、電流検出器10の出力に含まれるノイズ等により、周波数計測器7bで電流の周波数を誤って検出することがあった。
【0008】
また、特開平9−163776号公報には、インバータ回路3の負側直流母線と誘導電動機4への出力線の間に分圧用抵抗による分圧回路を設け、誘導電動機4の残留電圧を検出することによりフリーラン状態にある誘導電動機4の回転方向を検出する方法が開示されている。しかし、この分圧回路には通常運転時に誘導電動機4の相電圧が印加されるため、分圧回路を構成している分圧用抵抗の損失が大きいという問題点がある。この抵抗の損失は抵抗値が大きいほど低減できるが、分圧用抵抗の抵抗値を大きくするとノイズに非常に弱くなり実用的ではない。
【0009】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、高価かつ小型化に限界のある電流検出器を用いることなく、低コスト、低損失、かつ正確にフリーラン状態にある交流電動機の回転速度または回転方向が検出できる制御装置を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る制御装置は、ダイオードが逆並列に接続された第1及び第2のスイッチング素子の直列接続回路が複数個接続され、直流電力を可変周波数・可変電圧の交流電力に変換するインバータ回路と、指令された周波数に基づき前記第1または第2のスイッチング素子をオン・オフ制御するとともに、制御対象である交流電動機のフリーラン状態における回転速度または回転方向の検出をする場合に前記複数の直列接続回路における前記インバータ回路の負側直流母線に接続された第2のスイッチング素子を同時にオンに制御するインバータ制御回路と、前記直列接続回路を構成する第1及び第2のスイッチング素子の接続点と固定電位点としての前記インバータ回路の負側直流母線との間の電圧変化を検出する残留電圧極性検出回路と、この残留電圧極性検出回路の出力信号の周期を計測することにより、フリーラン状態にある前記交流電動機の回転速度を検出する周波数計測器と、を備え、
前記残留電圧極性検出回路は、前記直列接続回路を構成する第1及び第2のスイッチング素子の接続点にカソード端子が接続された高耐圧ダイオードを介して接続されるとともに、前記負側直流母線にカソード端子が接続されてアノード端子の電位が前記負側直流母線の電位よりも高くなるようにバイアスされたダイオードを介して接続され、前記高耐圧ダイオードのアノード端子と前記ダイオードのアノード端子との間に接続された回路により、前記直列接続回路を構成する第1及び第2のスイッチング素子の接続点と固定電位点としての前記インバータ回路の前記負側直流母線との間の電圧変化を少なくとも1相分検出するようにしたものである。
【0011】
また、前記残留電圧極性検出回路は、前記直列接続回路を構成する第1及び第2のスイッチング素子の接続点と固定電位点としての前記インバータ回路の負側直流母線との間の電圧変化を少なくとも2相分検出し、この検出された電圧変化に基づいてフリーラン状態にある前記交流電動機の回転方向の情報を検出するようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の一実施の形態である可変速駆動システムの構成を示す図である。図において、1〜4、8は上記従来装置と同様であり、その説明を省略する。5aはインバータ回路3を制御するインバータ制御回路、6aは残留電圧極性検出回路、7aは周波数計測器である。
【0013】
図2はこの発明の一実施の形態である可変速駆動システムにおける残留電圧極性検出回路6aの構成を示す図である。図において、60はインバータ回路3の半導体スイッチQ1とQ2の直列接続点、つまり誘導電動機4へのU相出力に接続された入力端子、61はインバータ回路3の負側直流母線に接続された入力端子、62は周波数計測器7aに接続された出力端子、VCCは制御電源電圧である。また、D100は小信号ダイオード、D101は小信号高耐圧ダイオード、R100〜R103は抵抗、Q100はトランジスタ、C100はコンデンサである。
【0014】
小信号高耐圧ダイオードD101は、入力端子60の電位が高くなった場合にインバータ回路3から残留電圧極性検出回路6aへの流入電流を遮断するための高耐圧ダイオードである。
残留電圧極性検出回路6aは、直列接続回路を構成する第1及び第2のスイッチング素子(Q1,Q2)の接続点60と固定電位点としてのインバータ回路3の負側直流母線または正側直流母線との内の一方を、高耐圧ダイオードを介して接続することにより、通常運転時において印加されるインバータの主回路電圧を高耐圧ダイオードによって遮断することができ、分圧回路等が不要となるので、低損失かつ正確にフリーラン状態にある交流電動機の回転速度または回転方向が検出できる。
【0015】
次に、動作について説明する。通常の運転時においては、周波数設定器8で設定された所望の周波数に応じて誘導電動機4が回転するよう、インバータ制御回路5aがインバータ回路3の半導体スイッチQ1〜Q6をオン・オフ制御しているのは従来と同一である。ここで、インバータ制御回路5aは、整流平滑回路2の出力電圧を監視しており、三相交流電源1の瞬時停電等により、整流平滑回路2の出力電圧が設定値以下になるとインバータ回路3の半導体スイッチQ1〜Q6を全てオフするように動作し、誘導電動機4はフリーラン状態となる。
【0016】
三相交流電源1が復電し、整流平滑回路2の出力電圧が再び設定値以上になると、インバータ制御回路5aはインバータ回路3における下側の3個の半導体スイッチQ2,Q4,Q6を同時にオンしてインバータ回路3と誘導電動機4とで、従来例図8と同様の閉回路を形成する。
【0017】
図3は、インバータ回路3において下側の3個の半導体スイッチQ2,Q4,Q6を同時にオンしてインバータ回路3と誘導電動機4とで形成する閉回路を示す図であり、(a)は可変速駆動システムにおいてフリーラン状態にある誘導電動機の回転数検出時の回路を示す回路図、(b)はU相の電流Iuおよび負側直流母線から見たインバータ回路3のU相出力電圧、つまり半導体スイッチQ2のコレクタ電位もしくは還流ダイオードD2のカソード電位VU-Nを示す図である。
インバータ回路3における下側の3個の半導体スイッチQ2,Q4,Q6を同時にオンしてインバータ回路3と誘導電動機4とで形成した閉回路には、従来例と同様にフリーラン状態の誘導電動機4に発生している残留電圧により電流が流れる。例えば、U相の電流がインバータ回路3から誘導電動機4に向かって流れ出す場合には、図3(a)の実線の矢印で示すように還流ダイオードD2を通じて流れ、逆に誘導電動機4からインバータ回路3に向かって流れ込む場合には、点線の矢印で示すように半導体スイッチQ2を通じて流れる。
【0018】
ここで、図3(a)で電流が実線の矢印で示すように還流ダイオードD2を通じて流れている場合を正極性、電流が点線の矢印で示すように半導体スイッチQ2を通じて流れている場合を負極性とする。図3(b)に示すように、電流が正極性の場合、VU-Nは還流ダイオードD2の順方向電圧VF(D2)だけ負の電位となり、電流が負極性の場合には、VU-Nは半導体スイッチQ2のオン電圧VCE(Q2)だけ正の電位となる。
【0019】
なお、半導体スイッチQ2におけるオン電圧VCE(Q2)及び還流ダイオードD2の順方向電圧VF(D2)の一般的な特性として、主回路電流によってその大きさが変化し、通常運転時は約1〜2Vであるが、電流が小さい領域でもVCE(Q2)及びVF(D2)は約0.6V以上ある。従って、誘導電動機4の残留電圧が小さくて、図3(a)に示す閉回路を流れる電流が微小であっても、電流の極性に対する上記VU-Nの電位の差を利用することにより、残留電圧極性を検出することができる。
【0020】
図4はこの発明の一実施の形態である可変速駆動システムにおける残留電圧極性検出回路6aの動作を説明する図で、(a)はU相電流が正極性(Iu>0)の場合、(b)はU相電流が負極性(Iu<0)の場合を示す。
入力端子60はインバータ回路3のU相出力に接続され、また入力端子61はインバータ回路3の負側直流母線に接続されているため、入力端子60、61間には上記VU-Nの電圧が印加されていることになる。なお、上記負側直流母線の電位をGND電位(0V)として以下説明する。
【0021】
制御電源電圧VCCからGNDに対して抵抗R100と小信号ダイオードD100の直列回路が接続され、この小信号ダイオードD100は制御電源電圧VCCに対して順方向に接続されている。また、小信号ダイオードD100のアノード端子にトランジスタQ100のベース端子が接続されている。従って、トランジスタQ100のベース電位は小信号ダイオードD100の順方向電圧VF(D100)だけ正の電位であり、通常約0.6Vとなる。
【0022】
ここで、図4(a)に示すように電流が正極性の場合、前述したように電流は還流ダイオードD2を通じて流れるため、VU-Nは還流ダイオードD2の順方向電圧VF(D2)だけ負の電位となる。また、還流ダイオードD2は主回路電流が流れるダイオードであるため、その順方向電圧VF(D2)は通常約1〜2Vであり、電流が小さい領域でも約0.6Vである。また、制御回路用の小信号高耐圧ダイオードD101の順方向電圧VF(D101)は小信号ダイオードD100の順方向電圧VF(D100)とほぼ同じ約0.6Vである。
これらの関係より、電流が正極性の場合、小信号高耐圧ダイオードD101のアノード端子から見たトランジスタQ100のベース端子の電圧VXは還流ダイオードD2の順方向電圧VF(D2)とほぼ同じ約0.6〜2Vとなり、トランジスタQ100は抵抗R101を介してベース電流が流れる。これによりトランジスタQ100は図4(a)の点線で示す経路にコレクタ電流を流すように動作し、抵抗R103の値をR101の値に比べて十分大きな値に選んでおけば、出力端子62の電圧はほぼGND電位となる。
【0023】
また、図4(b)に示すように電流が負極性の場合、前述したように電流は半導体スイッチQ2を通じて流れるため、VU-Nは半導体スイッチQ2のオン電圧VCE(Q2)だけ正の電位となる。半導体スイッチQ2のオン電圧VCE(Q2)は通常約1〜2Vであり、電流が小さい領域でも約0.6Vである。また、小信号高耐圧ダイオードD101の順方向電圧VF(D101)は小信号ダイオードD100の順方向電圧VF(D100)とほぼ同じ約0.6Vであることから、小信号高耐圧ダイオードD101のアノード端子から見たトランジスタQ100のベース端子の電圧VXは負電位となり、トランジスタQ100はベース電流が遮断される。これにより出力端子62は抵抗R103によりプルアップされ、その電圧は制御電源電圧VCCとなる。なお、コンデンサC100はノイズ除去用として用いており、省略しても良い。
【0024】
つまり、電流極性検出器6の出力端子62の出力は、図4(a)に示すように電流が正極性の場合にはほぼGND電位となり、図4(b)のように電流が負極性の場合にはVCC電位となる。
【0025】
次に、周波数計測器7aは上記残留電圧極性検出回路6aの出力端子62からの信号を入力し、この信号の周期を計測することにより、誘導電動機4のフリーラン回転速度を検出する
【0026】
図5はフリーラン回転情報検出時の誘導電動機4の回転方向と閉回路の動作との関係を示す図で、(a)は閉回路の動作を示す図、(b)は誘導電動機4がCCW方向にフリーラン回転している場合における各相残留電圧および各相電流の位相関係を示す図、(c)は誘導電動機4がCW方向にフリーラン回転している場合における各相残留電圧および各相電流の位相関係を示す図である。
【0027】
フリーラン状態にある誘導電動機4のフリーラン回転方向により、誘導電動機4が発生する残留電圧の位相関係が逆になる。従って、インバータ回路3におけるの下側の3個の半導体スイッチQ2,Q4,Q6を同時にオンしてインバータ回路3と誘導電動機4とで図3(a)に示したような閉回路を形成した場合、残留電圧により閉回路を流れる各相電流の位相関係も図5に示すように異なる。例えば、誘導電動機4がCCW方向にフリーラン回転している場合、IU、IV、IWの相順にて電流が流れるとすれば、反対のCW方向に回転している場合は、IU、IW、IVの相順にて電流が流れる。
【0028】
これにより、負側直流母線から見たU、V、W相の各出力電圧をVU-N、VV-N、VW-Nとすると、上述したように電流が正極性の場合は負の電位となり、電流が負極性の場合には正の電位となるため、VU-N、VV-N、VW-Nの位相関係は、図5(b)、(C)に示すように回転方向で異なる。従って、残留電圧極性検出回路6aを少なくとも2つの相に設け、その出力信号の位相差を計測することにより回転方向の検出ができる。
【0029】
ここで検出したフリーラン状態にある誘導電動機の回転速度及び回転方向に基づいて、誘導電動機を再起動する方法自体は周知であるので、説明は省略する。
【0030】
実施の形態2.
図6は、この発明の一実施の形態に係る可変速駆動システムにおける残留電圧極性検出回路6bの構成を示す図である。
図において、60はインバータ回路3の半導体スイッチQ1とQ2の直列接続点、つまり誘導電動機4へのU相出力に接続された入力端子、61はインバータ回路3の負側直流母線に接続された入力端子、62は周波数計測器7aに接続された出力端子、D100,D101はダイオード、R100,R102は抵抗、IC100はコンパレータである。ダイオードD101は入力端子60の電位が高くなった場合に、インバータ回路3から残留電圧極性検出回路6bへの流入電流を遮断するための高耐圧ダイオードである。なお、図2と同一の符号を付した構成要素は同一の動作を行うものである。
【0031】
残留電圧極性検出回路6bの各部電位は、図4に示した残留電圧極性検出回路6aの各部電位とほぼ同じであり、コンパレータIC100の負側入力端子の電位はダイオードD100の順方向電圧VF(D100)に等しく、通常約0.6Vとなる。このコンパレータIC100の負側入力端子の電位よりも正側入力端子の電位が低くなるのは、インバータ回路3の還流ダイオードD2を経由して電流が正極性に流れている場合であり、この時残留電圧極性検出回路6bの出力端子62の電圧はGND電位となる。
【0032】
逆に、電流が負極性の場合は上述したように電流は半導体スイッチQ2を通じて流れるため、入力端子61から見た入力端子60の電位は半導体スイッチQ2のオン電圧VCE(Q2)だけ正の電位となり、コンパレータIC100の正側入力端子の電位の方が負側入力端子の電位よりも高くなって出力端子62の電圧は制御電源電圧VCCとなる。
【0033】
この残留電圧極性検出回路6bの出力端子62からの信号を周波数計測器7aに入力し、この信号の周期を計測する等によって誘導電動機4のフリーラン回転速度を検出するのは、上述の実施の形態1と同様である。
【0034】
なお、残留電圧極性検出回路6bにおいて、ダイオードD100のかわりに抵抗を設け、この抵抗とR100とで制御電源電圧VCCを分圧することにより、コンパレータIC100の負側入力端子の電位を作成しても良い。
【0035】
ところで、上記説明では、インバータ回路3における下側の3個の半導体スイッチQ2,Q4,Q6を同時にオンしてインバータ回路3と誘導電動機4とで閉回路を形成する例を示したが、インバータ回路3における上側の3個の半導体スイッチQ1,Q3,Q5を同時にオンしてインバータ回路3と誘導電動機4とで閉回路を形成するように構成してもよい。
【0036】
また、残留電圧極性検出回路は、上記説明の残留電圧極性検出回路6aおよび残留電圧極性検出回路6bに限定されるものではなく、同時にオンに制御したスイッチング素子の少なくとも1相の交流電動機出力側電位および固定電位点間の電圧変化を検出し、この検出された電圧変化に応じた信号を出力するように構成された回路であればよい。
【0037】
また、上記説明では、フリーラン状態の交流電動機として誘導電動機の場合について説明したが、これに限定するものではなく、その他の交流電動機でも本方法が適用できる交流電動機であれば同様の効果が得られる。
【0038】
また、上記説明では、第1及び第2のスイッチング素子にダイオードを逆並列に接続した構成について説明したが、FET等のように、スイッチング素子の内部に寄生ダイオードが存在している場合はそのダイオードを利用しても同様の効果が得られる。
【0039】
また、上記説明では、インバータ制御回路や周波数計測器を別個のものとして説明したが、インバータ制御回路や周波数計測器はその一部または全てをマイコンのソフトウェア等で実現しても良い。
【0040】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0041】
この発明に係る制御装置は、ダイオードが逆並列に接続された第1及び第2のスイッチング素子の直列接続回路が複数個接続され、直流電力を可変周波数・可変電圧の交流電力に変換するインバータ回路と、指令された周波数に基づき前記第1または第2のスイッチング素子をオン・オフ制御するとともに、制御対象である交流電動機のフリーラン状態における回転速度または回転方向の検出をする場合に前記複数の直列接続回路における前記インバータ回路の負側直流母線に接続された第2のスイッチング素子を同時にオンに制御するインバータ制御回路と、前記直列接続回路を構成する第1及び第2のスイッチング素子の接続点と固定電位点としての前記インバータ回路の負側直流母線との間の電圧変化を検出する残留電圧極性検出回路と、この残留電圧極性検出回路の出力信号の周期を計測することにより、フリーラン状態にある前記交流電動機の回転速度を検出する周波数計測器と、を備え、
前記残留電圧極性検出回路は、前記直列接続回路を構成する第1及び第2のスイッチング素子の接続点にカソード端子が接続された高耐圧ダイオードを介して接続されるとともに、前記負側直流母線にカソード端子が接続されてアノード端子の電位が前記負側直流母線の電位よりも高くなるようにバイアスされたダイオードを介して接続され、前記高耐圧ダイオードのアノード端子と前記ダイオードのアノード端子との間に接続された回路により、前記直列接続回路を構成する第1及び第2のスイッチング素子の接続点と固定電位点としての前記インバータ回路の前記負側直流母線との間の電圧変化を少なくとも1相分検出するようにした ので、高価かつ小型化に限界のある電流検出器を用いることなく、低コストかつ正確にフリーラン状態にある交流電動機の回転速度が検出できる。
【0042】
また、前記残留電圧極性検出回路は、前記直列接続回路を構成する第1及び第2のスイッチング素子の接続点と固定電位点としての前記インバータ回路の負側直流母線との間の電圧変化を少なくとも2相分検出し、この検出された電圧変化に基づいてフリーラン状態にある前記交流電動機の回転方向の情報を検出するようにしたので、高価かつ小型化に限界のある電流検出器を用いることなく、低コストかつ正確にフリーラン状態にある交流電動機の回転方向が検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態である可変速駆動システムの構成を示す図である。
【図2】この発明の一実施の形態である可変速駆動システムにおける残留電圧極性検出回路6aの構成を示す図である。
【図3】インバータ回路3の下側の3個の半導体スイッチQ2,Q4,Q6を同時にオンしてインバータ回路3と誘導電動機4とで形成する閉回路を示す図である。
【図4】この発明の一実施の形態である可変速駆動システムにおける残留電圧極性検出回路6aの動作を説明する図である。
【図5】フリーラン回転情報検出時の誘導電動機4の回転方向と閉回路の動作との関係を示す図である。
【図6】この発明の一実施の形態に係る可変速駆動システムにおける残留電圧極性検出回路6bの構成を示す図である。
【図7】フリーラン状態にある交流電動機の回転速度を検出する従来例としての可変速駆動システムの構成を示す図で、特開平8−331894号公報に示されたものである。
【図8】図7の可変速駆動システムにおいてフリーラン状態にある交流電動機の回転数検出時における回路を示す図である。
【符号の説明】
1 三相交流電源、 2 整流平滑回路、 3 インバータ回路、 4 誘導電動機、 5a,5b インバータ制御回路、 6a,6b 残留電圧極性検出回路、 7a,7b 周波数計測器、 8 周波数設定器、 10 電流検出器、 60 誘導電動機4へのU相出力に接続された入力端子、 61 インバータ回路3の負側直流母線に接続された入力端子、 62 周波数計測器7aに接続された出力端子、 Q1〜Q6 半導体スイッチ、 D1〜D6 還流ダイオード、 D100 小信号ダイオード、 D101 小信号高耐圧ダイオード、R100〜R103 抵抗、 Q100 トランジスタ、 C100 コンデンサ、 IC100 コンパレータ、 IU、IV、IW U、V、W相電流、 VU-N、VV-N、VW-N 負側直流母線から見たU、V、W相の各出力電圧、 VF(D2) 還流ダイオードD2の順方向電圧、 VF(D100) 小信号ダイオードD100の順方向電圧、 VF(D101) 小信号高耐圧ダイオードD101の順方向電圧、 VCC 制御電源電圧、 VX アノード端子から見たトランジスタQ100のベース端子の電圧。
Claims (2)
- ダイオードが逆並列に接続された第1及び第2のスイッチング素子の直列接続回路が複数個接続され、直流電力を可変周波数・可変電圧の交流電力に変換するインバータ回路と、
指令された周波数に基づき前記第1または第2のスイッチング素子をオン・オフ制御するとともに、制御対象である交流電動機のフリーラン状態における回転速度または回転方向の検出をする場合に前記複数の直列接続回路における前記インバータ回路の負側直流母線に接続された第2のスイッチング素子を同時にオンに制御するインバータ制御回路と、
前記直列接続回路を構成する第1及び第2のスイッチング素子の接続点と固定電位点としての前記インバータ回路の負側直流母線との間の電圧変化を検出する残留電圧極性検出回路と、
この残留電圧極性検出回路の出力信号の周期を計測することにより、フリーラン状態にある前記交流電動機の回転速度を検出する周波数計測器と、を備え、
前記残留電圧極性検出回路は、前記直列接続回路を構成する第1及び第2のスイッチング素子の接続点にカソード端子が接続された高耐圧ダイオードを介して接続されるとともに、
前記負側直流母線にカソード端子が接続されてアノード端子の電位が前記負側直流母線の電位よりも高くなるようにバイアスされたダイオードを介して接続され、
前記高耐圧ダイオードのアノード端子と前記ダイオードのアノード端子との間に接続された回路により、前記直列接続回路を構成する第1及び第2のスイッチング素子の接続点と固定電位点としての前記インバータ回路の前記負側直流母線との間の電圧変化を少なくとも1相分検出することを特徴とする制御装置。 - 前記残留電圧極性検出回路は、前記直列接続回路を構成する第1及び第2のスイッチング素子の接続点と固定電位点としての前記インバータ回路の負側直流母線との間の電圧変化を少なくとも2相分検出し、この検出された電圧変化に基づいてフリーラン状態にある前記交流電動機の回転方向の情報を検出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
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