JP4583664B2 - 塩化ビニル系樹脂及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は塩化ビニル系樹脂及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル樹脂は、機械的強度、耐候性、耐薬品性等において優れた特性を有する材料であり、建築部材、管工機材、住宅資材等に広く用いられている。
【0003】
塩化ビニル系樹脂は、通常、水懸濁重合によって製造され、この方法で製造された塩化ビニル系樹脂は階層的粒子構造を有している。即ち、体積平均粒子径が100〜200μm程度のグレイン粒子からなり、該サブグレイン粒子がアグロメレート粒子からなり、該アグロメレート粒子が0.5〜2μmの一次粒子により構成されている。
【0004】
上記階層的粒子構造を有する塩化ビニル系樹脂を成形する場合、この階層的粒子構造を破壊し、十分に溶融混練する必要がある(この過程をゲル化という)。
このゲル化が不十分な場合は、(1)塩化ビニル系樹脂に添加される安定剤、滑剤、改質剤、充填剤などが十分にグレイン粒子内部まで分散しない、(2)成形加工後の製品にグレイン粒子が残存し、塩化ビニル系樹脂の特性が十分に発揮されない等の問題点があった。
【0005】
特に、高重合度の塩化ビニル系樹脂の場合は、長期耐久性や疲労強度が著しく向上するなど優れた物性を有するものの、溶融粘度が高く、ゲル化が困難であるため、上記問題が起こり易くなる。
【0006】
上記問題を解決する方法としては、通常、成形温度を高くし樹脂の溶融粘度を低下させてゲル化し易くするか、あるいは特公昭59−32305号公報に記載されているように、低重合度の樹脂をブレンドすることにより成形性を改善する方法などが知られている。
【0007】
しかしながら、成形温度を高くすることによって、塩化ビニル系樹脂の熱分解が起こり易くなり、熱分解によって成形品が着色したり、物性が低下する等の問題点があった。また、上記熱分解を抑制するために、各種安定剤を添加する方法が行われているが、安定剤を添加しても、成形可能な塩化ビニル系樹脂の重合度は高々1500程度であり、それ以上の高重合度の塩化ビニル系樹脂の成形を行うことは困難であった。
【0008】
さらに、高重合度の塩化ビニル系樹脂に低重合度の樹脂をブレンドする方法では、成形性は改善されるものの、低重合度の樹脂をブレンドするため成形体の物性が低下し、高重合度の塩化ビニル系樹脂のもつ優れた特性を十分に発現させることができなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、階層的粒子構造を有する塩化ビニル樹脂、特に高重合度の塩化ビニル系樹脂の熱分解を抑えてゲル化を促進させることにより、塩化ビニル系樹脂の持つ優れた特性を十分に発現させ得る塩化ビニル系樹脂及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の塩化ビニル系樹脂は、階層的粒子構造を有する塩化ビニル系樹脂(塩化ビニル系重合体を主成分とし、エラストマー成分を含有する塩化ビニル系樹脂は除く)であって、平均重合度が1500〜6000であり、少なくともグレイン粒子内部に0.1〜10重量%の滑剤成分を含有し、該滑剤成分が平均分子量300〜4000の炭化水素系滑剤であることを特徴とする。
【0011】
上記塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単量体の単独重合体である。
【0013】
上記塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、1500〜6000の範囲に制限される。平均重合度が、1500未満になると疲労強度等の耐久性が十分に発現せず、6000を超えると成形が著しく困難となる。尚、上記平均重合度は、JISK 6721に準拠して測定される値である。
【0014】
本発明において塩化ビニル系樹脂の粒子内部に含有される滑剤成分としては、通常、塩化ビニル系樹脂の成形に用いられる滑剤成分が好適であり、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィン系ワックス等の炭化水素系滑剤;脂肪酸のアルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル等のエステル系滑剤;脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール等のアルコール系滑剤などが挙げられる。
【0015】
上記滑剤成分は、塩化ビニル系樹脂の階層的粒子構造において、少なくともグレイン粒子内部に含有されることにより、成形時におけるゲル化が促進され、成形性が向上する。また、上記滑剤成分は塩化ビニル系樹脂の粒子内部にできるだけ微分散していることが好ましく、さらに塩化ビニル系樹脂との相溶性が低いものがより好ましい。これは相溶性の低い方が、溶融混練時に樹脂と滑剤成分とが相分離を起こし易く、ゲル化し易くなると考えられるからである。
【0016】
このような理由から滑剤成分としては、平均分子量300〜4000の炭化水素系滑剤が用いられる。平均分子量が、300未満になるとゲル化促進及び滑性付与の効果が小さくなり、4000を超えると樹脂中に微分散し難くなる。
上記炭化水素系滑剤は、カルボン酸や空気等で酸変性もしくは酸化されたものであってもよい。
【0017】
上記塩化ビニル系樹脂における滑剤成分の含有量は、0.1〜10重量%に制限され、好ましくは0.5〜5重量%である。
含有量が0.1重量%未満になると、成形時に十分な滑性効果が発現せず、成形機のトルク、負荷、金型背圧等が上昇し成形性が低下する。また、含有量が10重量%を超えると、滑剤成分が成形体の表面に大量にブリードアウトしたり、成形体の物性を低下させる恐れがある。
【0018】
上記塩化ビニル系樹脂は、重合度が高い樹脂や溶融粘度が高くゲル化の困難な樹脂ほど滑剤成分を多く含有させることが好ましい。
また、上記滑剤成分を塩化ビニル系樹脂の粒子内部に含有させるには、重合時に滑剤を添加する方法が好ましい。
【0019】
階層的粒子構造を有するが、グレイン粒子内部に滑剤成分を含有しない塩化ビニル系樹脂(a)と、重合度及び配合組成を同一条件に設定して最大トルク及びゲル化時間を測定比較した際に、本発明の塩化ビニル系樹脂の測定値は、上記塩化ビニル系樹脂(a)の測定値の90%以下であることが好ましい。
最大トルク又はゲル化時間が、上記塩化ビニル系樹脂(a)の測定値の90%を超えると、本発明の塩化ビニル系樹脂の特徴である成形性が十分に発現されなくなる。
【0020】
上記塩化ビニル系樹脂の重合方法としては、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法等が挙げられる。これらの中では、懸濁重合法が好ましい。
【0021】
上記懸濁重合法としては、例えば、以下の方法を用いることができる。
即ち、温度調整機及び撹拌機を備えた重合器に、純水、滑剤成分、分散剤、重合開始剤、及び、必要に応じて水溶性増粘剤や重合度調節剤を投入する。
次いで、真空ポンプで重合器内の空気を排出し、更に撹拌条件下で塩化ビニル、また必要に応じて他のビニルモノマーも投入する。この時点で滑剤成分はビニルモノマーの油滴内部に分散する。その後、反応容器内をジャケットにより加熱し、塩化ビニルの重合を行う。
【0022】
上記塩化ビニルの重合は発熱反応であるので、ジャケット温度を調節することにより反応容器内の温度、つまり重合温度を制御することが可能である。
反応終了後は未反応の塩化ビニル等を除去し、反応生成物をスラリー状とした後脱水乾燥することにより塩化ビニル系樹脂が製造される。
【0023】
上記懸濁重合法により重合を行う際には、分散剤、重合開始剤を用いることが好ましい。
【0024】
上記分散剤としては、特に限定はされないが、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸塩−アルキルアクリレート共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びその部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、無水マレイン酸−スチレン共重合体等が挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0025】
上記重合開始剤としては、特に限定されないが、油溶性のラジカル重合開始剤を用いるのが好ましく、例えば、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート等の有機パーオキサイド類;2,2−アゾビスイソブチロニトリル、 2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物などが挙げられる。
【0026】
上記塩化ビニル系樹脂を構成する塩化ビニル系重合体の好ましい重合度は1500〜6000であるが、前記重合度のものを得るためには重合温度の制御が重要となる。例えば、高重合度にするためには重合温度を低くする必要があるので、目的とする重合度に応じて重合温度を制御することが好ましい。また、上記重合開始剤についても、重合度に応じて適宜選定することが好ましい。
【0027】
上記製造方法で得られる塩化ビニル系樹脂の粒子は、その階層構造中に滑剤成分が微分散しているためゲル化し易くなる。従って、本発明の塩化ビニル系樹脂の製造方法は、従来より成形が困難であった高重合度の塩化ビニル系樹脂に適応することにより、成形性の改善を図ることができる。
【0028】
上記塩化ビニル系樹脂を成形して成形品を得る場合には、必要に応じて、熱安定剤、安定化助剤、滑剤、改質剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、充填剤等を添加してもよい。但し、滑剤については予め樹脂粒子中に含有されているため、必要に応じて少量添加するのが好ましい。
【0029】
上記熱安定剤としては、特に限定されないが、例えば、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー等の有機錫安定剤;ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛系安定剤;カルシウム−亜鉛系安定剤、バリウム−亜鉛系安定剤、バリウム−カドミウム系安定剤などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
上記安定化助剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、リン酸エステル等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
上記滑剤としては、特に限定されないが、例えば、モンタン酸ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸ブチル等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
上記加工助剤としては、特に限定されないが、例えば、重量平均分子量10万〜200万のアルキルアクリレート/アルキルメタクリレート共重合体であるアクリル系加工助剤が好ましく、具体例としては、例えば、n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
上記酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、フェノール系抗酸化剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
上記光安定剤としては、特に限定されないが、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系の光安定剤等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
上記顔料としては、特に限定されないが、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料;酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔料などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
上記充填剤としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、タルク等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
また、本発明の塩化ビニル系樹脂を成形して成形品を得る場合には、成形時の加工性を向上させる目的で、上記塩化ビニル系樹脂に可塑剤を添加してもよい。
上記可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
上記各種配合剤や可塑剤を、上記塩化ビニル系樹脂に混合する方法としては、特に限定されず、例えば、ホットブレンドによる方法、コールドブレンドによる方法等が挙げられる。また、上記塩化ビニル系樹脂組成物の成形方法としては、特に限定されず、例えば、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、プレス成形法等、従来公知の方法が使用可能である。
【0039】
(作用)
一般に滑剤成分を成形時に添加する場合、滑剤は塩化ビニル系樹脂の粒子間あるいは粒子表層を覆う形で存在するため、滑性効果を発現すると同時にゲル化を遅延させる。これに対して、本発明の塩化ビニル系樹脂は、予め滑剤成分を粒子内部に含有しているため、例えば、押出成形の初期段階において、樹脂にスクリュー剪断力がかかり易くなり、容易に樹脂が崩壊する。
【0040】
また、樹脂が溶融し始めると滑剤成分が滑性効果を示すようになり、押出機負荷、トルク、金型背圧等が低下し成形性が向上する。このように粒子内部に滑剤成分を予め含有させることにより、階層的粒子構造を有する塩化ビニル系樹脂のゲル化を促進すると共に成形性を改善することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)
〔塩化ビニル系樹脂の作製〕
撹拌機及びジャケットを備えた重合容器に、純水、部分けん化ポリビニルアルコール(クラレ社製「クラレポバールL−8」)の3%水溶液(以下、PVAと略称する)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学社製「メトローズ60SH50」)の3%水溶液(以下、セルロース水溶液と略称する)、α−クミルパーオキシネオデカノエート(重合開始剤)、及び、滑剤としてポリエチレンワックス(三井石油化学社製「HIWAX220MP」)1重量部相当を一括投入した。その後、真空ポンプで重合器内の空気を排出し、更に撹拌条件下で塩化ビニルモノマーを投入した後、30分間撹拌することにより、塩化ビニルを均一に混合し、ジャケット温度の制御により重合温度43℃にて重合を開始した。
重合器内の圧力が0.35MPaの圧力まで低下することで重合終了を確認し、消泡剤(東レ社製「東レシリコンSH5510」)を加圧添加した後に反応を停止した。その後、未反応の塩化ビニルモノマーを除去した後、反応生成物を脱水乾燥することにより塩化ビニル系樹脂を得た。
【0043】
得られた塩化ビニル系樹脂について、下記項目の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0044】
(1)重合度
塩化ビニル系樹脂500mgをニトロベンゼン100mlに溶解した後、200メッシュの金網で濾過して不溶成分を除去した。不溶分を除去した塩化ビニル系樹脂について、JIS K 6721に準拠して重合度を測定した。
【0045】
(2)滑剤含有量
塩化ビニル系樹脂の塩素含有量を、JIS K 7229に準拠して測定することにより、樹脂粒子中に含有される第2成分量を計算し滑剤含有量を求めた。
【0046】
(3)ゲル化時間、最大トルク及び定常トルク
塩化ビニル系樹脂100重量部に錫系安定剤(三共有機社製「ONZ−142F」)1重量部を混合して樹脂組成物を調製した後、この樹脂組成物60gをラボプラストミル(東洋精機社製「50C150混練機R60」)に充填し、温度200℃、回転数50rpmで混練を行いトルクカーブから、ゲル化時間、最大トルク及び定常トルクを測定した。
【0047】
(実施例2)
重合温度を31.5℃に設定し、重合器内の圧力が0.28MPaまで低下することで重合を終了したこと以外は、実施例1と同様の方法で塩化ビニル系樹脂を製造した。この塩化ビニル系樹脂100重量部に錫系安定剤(三共有機社製「ONZ−142F」)1重量部を混合して樹脂組成物を調製した。
上記塩化ビニル系樹脂及び樹脂組成物につき、実施例1と同様の項目について評価を行い、その結果を表1に示した。
【0048】
(比較例1)
平均重合度2000の塩化ビニル樹脂(信越化学社製「TK−2000E」)100重量部に錫系安定剤(三共有機社製「ONZ−142F」)1重量部、及び、滑剤としてポリエチレンワックス(三井石油化学社製「HIWAX220MP」)1重量部を添加、混合して樹脂組成物を調製した。
上記塩化ビニル系樹脂及び樹脂組成物につき、実施例1と同様の項目について評価を行い、その結果を表1に示した。
【0049】
(比較例2)
塩化ビニル系樹脂を重合する際に、滑剤成分を全く添加しなかったこと以外は、実施例2と同様の方法で塩化ビニル系樹脂を製造した。この塩化ビニル系樹脂100重量部に錫系安定剤(三共有機社製「ONZ−142F」)1重量部、及び、滑剤としてポリエチレンワックス(三井石油化学社製「HIWAX220MP」)1重量部を添加、混合して樹脂組成物を調製した。
上記塩化ビニル系樹脂及び樹脂組成物につき、実施例1と同様の項目について評価を行い、その結果を表1に示した。
【0050】
【表1】
Figure 0004583664
【0051】
【発明の効果】
本発明の塩化ビニル系樹脂及びその製造方法は、上述の構成であり、樹脂粒子内部に滑剤成分を含有しているため、例えば押出成形を行う場合は、成形時に滑剤を添加する場合と比べて、初期のスクリュー剪断力がかかり易くなり、容易にゲル化する。また、溶融後は滑剤として作用するため、押出機負荷、押出トルクや金型背圧を低減することができる。
【0052】
また、本発明で得られる塩化ビニル系樹脂によって、従来の成形方法ではゲル化が遅く、溶融粘度が高いために、成形が困難であった高重合度の塩化ビニル系樹脂を容易に成形することが可能となり、疲労強度、耐引張クリープ等の耐久性を大幅に向上させた成形体を得ることができる。
従って、本発明の塩化ビニル系樹脂は、建築部材、管工機材、住宅資材等の分野で、特に高耐久性を必要とする用途に好適に用いられる。

Claims (2)

  1. 階層的粒子構造を有する塩化ビニル系樹脂(塩化ビニル系重合体を主成分とし、エラストマー成分を含有する塩化ビニル系樹脂は除く)であって、平均重合度が1500〜6000であり、少なくともグレイン粒子内部に0.1〜10重量%の滑剤成分を含有し、該滑剤成分が平均分子量300〜4000の炭化水素系滑剤であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂。
  2. 水懸濁重合による塩化ビニル系樹脂の製造方法において、滑剤成分を予め塩化ビニルモノマーの油滴内部に微分散させた後、重合を行うことを特徴とする請求項1記載の塩化ビニル系樹脂の造方法。
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