JP2003002913A - 塩化ビニル系樹脂及びその製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 階層的粒子構造を有する塩化ビニル樹脂、特
に高重合度の塩化ビニル系樹脂の熱分解を抑えてゲル化
を促進させることにより、塩化ビニル系樹脂の持つ優れ
た特性を十分に発現させ得る塩化ビニル系樹脂及びその
製造方法を提供する。 【解決手段】 階層的粒子構造を有する塩化ビニル系樹
脂(グラフト重合系樹脂は除く)であって、該樹脂の少
なくともグレイン粒子内部に、平均分子量300〜40
00の炭化水素系滑剤を0.1〜10重量%含有させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塩化ビニル系樹脂及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル樹脂は、機械的強度、耐候
性、耐薬品性等において優れた特性を有する材料であ
り、建築部材、管工機材、住宅資材等に広く用いられて
いる。
【0003】塩化ビニル系樹脂は、通常、水懸濁重合に
よって製造され、この方法で製造された塩化ビニル系樹
脂は階層的粒子構造を有している。即ち、体積平均粒子
径が100〜200μm程度のグレイン粒子からなり、
該サブグレイン粒子がアグロメレート粒子からなり、該
アグロメレート粒子が0.5〜2μmの一次粒子により
構成されている。
【0004】上記階層的粒子構造を有する塩化ビニル系
樹脂を成形する場合、この階層的粒子構造を破壊し、十
分に溶融混練する必要がある(この過程をゲル化とい
う)。このゲル化が不十分な場合は、(1)塩化ビニル
系樹脂に添加される安定剤、滑剤、改質剤、充填剤など
が十分にグレイン粒子内部まで分散しない、(2)成形
加工後の製品にグレイン粒子が残存し、塩化ビニル系樹
脂の特性が十分に発揮されない等の問題点があった。
【0005】特に、高重合度の塩化ビニル系樹脂の場合
は、長期耐久性や疲労強度が著しく向上するなど優れた
物性を有するものの、溶融粘度が高く、ゲル化が困難で
あるため、上記問題が起こり易くなる。
【0006】上記問題を解決する方法としては、通常、
成形温度を高くし樹脂の溶融粘度を低下させてゲル化し
易くするか、あるいは特公昭59−32305号公報に
記載されているように、低重合度の樹脂をブレンドする
ことにより成形性を改善する方法などが知られている。
【0007】しかしながら、成形温度を高くすることに
よって、塩化ビニル系樹脂の熱分解が起こり易くなり、
熱分解によって成形品が着色したり、物性が低下する等
の問題点があった。また、上記熱分解を抑制するため
に、各種安定剤を添加する方法が行われているが、安定
剤を添加しても、成形可能な塩化ビニル系樹脂の重合度
は高々1500程度であり、それ以上の高重合度の塩化
ビニル系樹脂の成形を行うことは困難であった。
【0008】さらに、高重合度の塩化ビニル系樹脂に低
重合度の樹脂をブレンドする方法では、成形性は改善さ
れるものの、低重合度の樹脂をブレンドするため成形体
の物性が低下し、高重合度の塩化ビニル系樹脂のもつ優
れた特性を十分に発現させることができなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題に鑑み、階層的粒子構造を有する塩化ビニル樹
脂、特に高重合度の塩化ビニル系樹脂の熱分解を抑えて
ゲル化を促進させることにより、塩化ビニル系樹脂の持
つ優れた特性を十分に発現させ得る塩化ビニル系樹脂及
びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の塩化ビニル系樹
脂は、階層的粒子構造を有する塩化ビニル系樹脂(グラ
フト重合系樹脂は除く)であって、平均重合度が150
0〜6000であり、少なくともグレイン粒子内部に
0.1〜10重量%の滑剤成分を含有し、該滑剤成分が
平均分子量300〜4000の炭化水素系滑剤であるこ
とを特徴とする。
【0011】上記塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニ
ル単量体の単独重合体であってもよいし、塩化ビニル単
量体と、該塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体
との共重合体であってもよい。
【0012】上記塩化ビニル単量体と共重合可能な他の
単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、塩化
アリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、無水マレイン
酸、アクリロニトリル等の単量体が挙げられ、これらは
単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】上記塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、1
500〜6000の範囲に制限される。平均重合度が、
1500未満になると疲労強度等の耐久性が十分に発現
せず、6000を超えると成形が著しく困難となる。
尚、上記平均重合度は、JISK 6721に準拠して
測定される値である。
【0014】本発明において塩化ビニル系樹脂の粒子内
部に含有される滑剤成分としては、通常、塩化ビニル系
樹脂の成形に用いられる滑剤成分が好適であり、例え
ば、ポリエチレンワックス、パラフィン系ワックス等の
炭化水素系滑剤;脂肪酸のアルコールエステル、脂肪酸
のポリグリコールエステル等のエステル系滑剤;脂肪族
アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグ
リセロール等のアルコール系滑剤などが挙げられる。
【0015】上記滑剤成分は、塩化ビニル系樹脂の階層
的粒子構造において、少なくともグレイン粒子内部に含
有されることにより、成形時におけるゲル化が促進さ
れ、成形性が向上する。また、上記滑剤成分は塩化ビニ
ル系樹脂の粒子内部にできるだけ微分散していることが
好ましく、さらに塩化ビニル系樹脂との相溶性が低いも
のがより好ましい。これは相溶性の低い方が、溶融混練
時に樹脂と滑剤成分とが相分離を起こし易く、ゲル化し
易くなると考えられるからである。
【0016】このような理由から滑剤成分としては、平
均分子量300〜4000の炭化水素系滑剤が用いられ
る。平均分子量が、300未満になるとゲル化促進及び
滑性付与の効果が小さくなり、4000を超えると樹脂
中に微分散し難くなる。上記炭化水素系滑剤は、カルボ
ン酸や空気等で酸変性もしくは酸化されたものであって
もよい。
【0017】上記塩化ビニル系樹脂における滑剤成分の
含有量は、0.1〜10重量%に制限され、好ましくは
0.5〜5重量%である。含有量が0.1重量%未満に
なると、成形時に十分な滑性効果が発現せず、成形機の
トルク、負荷、金型背圧等が上昇し成形性が低下する。
また、含有量が10重量%を超えると、滑剤成分が成形
体の表面に大量にブリードアウトしたり、成形体の物性
を低下させる恐れがある。
【0018】上記塩化ビニル系樹脂は、重合度が高い樹
脂や溶融粘度が高くゲル化の困難な樹脂ほど滑剤成分を
多く含有させることが好ましい。また、上記滑剤成分を
塩化ビニル系樹脂の粒子内部に含有させるには、重合時
に滑剤を添加する方法が好ましい。
【0019】階層的粒子構造を有するが、グレイン粒子
内部に滑剤成分を含有しない塩化ビニル系樹脂(a)
と、重合度及び配合組成を同一条件に設定して最大トル
ク及びゲル化時間を測定比較した際に、本発明の塩化ビ
ニル系樹脂の測定値は、上記塩化ビニル系樹脂(a)の
測定値の90%以下であることが好ましい。最大トルク
又はゲル化時間が、上記塩化ビニル系樹脂(a)の測定
値の90%を超えると、本発明の塩化ビニル系樹脂の特
徴である成形性が十分に発現されなくなる。
【0020】上記塩化ビニル系樹脂の重合方法として
は、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊
状重合法等が挙げられる。これらの中では、懸濁重合法
が好ましい。
【0021】上記懸濁重合法としては、例えば、以下の
方法を用いることができる。即ち、温度調整機及び撹拌
機を備えた重合器に、純水、滑剤成分、分散剤、重合開
始剤、及び、必要に応じて水溶性増粘剤や重合度調節剤
を投入する。次いで、真空ポンプで重合器内の空気を排
出し、更に撹拌条件下で塩化ビニル、また必要に応じて
他のビニルモノマーも投入する。この時点で滑剤成分は
ビニルモノマーの油滴内部に分散する。その後、反応容
器内をジャケットにより加熱し、塩化ビニルの重合を行
う。
【0022】上記塩化ビニルの重合は発熱反応であるの
で、ジャケット温度を調節することにより反応容器内の
温度、つまり重合温度を制御することが可能である。反
応終了後は未反応の塩化ビニル等を除去し、反応生成物
をスラリー状とした後脱水乾燥することにより塩化ビニ
ル系樹脂が製造される。
【0023】上記懸濁重合法により重合を行う際には、
分散剤、重合開始剤を用いることが好ましい。
【0024】上記分散剤としては、特に限定はされない
が、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アク
リル酸塩−アルキルアクリレート共重合体、メチルセル
ロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアル
コール、ポリ酢酸ビニル及びその部分ケン化物、ゼラチ
ン、ポリビニルピロリドン、デンプン、無水マレイン酸
−スチレン共重合体等が挙げられ、これらは単独又は2
種以上組み合わせて用いることができる。
【0025】上記重合開始剤としては、特に限定されな
いが、油溶性のラジカル重合開始剤を用いるのが好まし
く、例えば、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパ
ーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカー
ボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t−
ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオ
キシネオデカノエート等の有機パーオキサイド類;2,
2−アゾビスイソブチロニトリル、 2,2−アゾビス−
2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物などが
挙げられる。
【0026】上記塩化ビニル系樹脂を構成する塩化ビニ
ル系重合体の好ましい重合度は1500〜6000であ
るが、前記重合度のものを得るためには重合温度の制御
が重要となる。例えば、高重合度にするためには重合温
度を低くする必要があるので、目的とする重合度に応じ
て重合温度を制御することが好ましい。また、上記重合
開始剤についても、重合度に応じて適宜選定することが
好ましい。
【0027】上記製造方法で得られる塩化ビニル系樹脂
の粒子は、その階層構造中に滑剤成分が微分散している
ためゲル化し易くなる。従って、本発明の塩化ビニル系
樹脂の製造方法は、従来より成形が困難であった高重合
度の塩化ビニル系樹脂に適応することにより、成形性の
改善を図ることができる。
【0028】上記塩化ビニル系樹脂を成形して成形品を
得る場合には、必要に応じて、熱安定剤、安定化助剤、
滑剤、改質剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、顔
料、充填剤等を添加してもよい。但し、滑剤については
予め樹脂粒子中に含有されているため、必要に応じて少
量添加するのが好ましい。
【0029】上記熱安定剤としては、特に限定されない
が、例えば、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカ
プト、ジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、
ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、
ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレー
ト、ジブチル錫ラウレートポリマー等の有機錫安定剤;
ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、三塩基性硫酸鉛
等の鉛系安定剤;カルシウム−亜鉛系安定剤、バリウム
−亜鉛系安定剤、バリウム−カドミウム系安定剤などを
挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。
【0030】上記安定化助剤としては、特に限定されな
いが、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ
油、エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポ
リブタジエン、リン酸エステル等を挙げることができ
る。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用して
もよい。
【0031】上記滑剤としては、特に限定されないが、
例えば、モンタン酸ワックス、パラフィンワックス、ポ
リエチレンワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコ
ール、ステアリン酸ブチル等を挙げることができる。こ
れらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
【0032】上記加工助剤としては、特に限定されない
が、例えば、重量平均分子量10万〜200万のアルキ
ルアクリレート/アルキルメタクリレート共重合体であ
るアクリル系加工助剤が好ましく、具体例としては、例
えば、n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート
共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメ
タクリレート/ブチルメタクリレート共重合体等を挙げ
ることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以
上を併用してもよい。
【0033】上記酸化防止剤としては、特に限定されな
いが、例えば、フェノール系抗酸化剤等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
【0034】上記光安定剤としては、特に限定されない
が、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の
紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系の光安定剤
等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0035】上記顔料としては、特に限定されないが、
例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レ
ーキ系等の有機顔料;酸化物系、クロム酸モリブデン
系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無
機顔料などを挙げることができる。これらは単独で用い
てもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】上記充填剤としては、特に限定されない
が、例えば、炭酸カルシウム、タルク等を挙げることが
できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用
してもよい。
【0037】また、本発明の塩化ビニル系樹脂を成形し
て成形品を得る場合には、成形時の加工性を向上させる
目的で、上記塩化ビニル系樹脂に可塑剤を添加してもよ
い。上記可塑剤としては、特に限定されないが、例え
ば、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタ
レート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート等を挙げる
ことができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。
【0038】上記各種配合剤や可塑剤を、上記塩化ビニ
ル系樹脂に混合する方法としては、特に限定されず、例
えば、ホットブレンドによる方法、コールドブレンドに
よる方法等が挙げられる。また、上記塩化ビニル系樹脂
組成物の成形方法としては、特に限定されず、例えば、
押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、プレス成
形法等、従来公知の方法が使用可能である。
【0039】(作用)一般に滑剤成分を成形時に添加す
る場合、滑剤は塩化ビニル系樹脂の粒子間あるいは粒子
表層を覆う形で存在するため、滑性効果を発現すると同
時にゲル化を遅延させる。これに対して、本発明の塩化
ビニル系樹脂は、予め滑剤成分を粒子内部に含有してい
るため、例えば、押出成形の初期段階において、樹脂に
スクリュー剪断力がかかり易くなり、容易に樹脂が崩壊
する。
【0040】また、樹脂が溶融し始めると滑剤成分が滑
性効果を示すようになり、押出機負荷、トルク、金型背
圧等が低下し成形性が向上する。このように粒子内部に
滑剤成分を予め含有させることにより、階層的粒子構造
を有する塩化ビニル系樹脂のゲル化を促進すると共に成
形性を改善することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
【0042】(実施例1) 〔塩化ビニル系樹脂の作製〕撹拌機及びジャケットを備
えた重合容器に、純水、部分けん化ポリビニルアルコー
ル(クラレ社製「クラレポバールL−8」)の3%水溶
液(以下、PVAと略称する)、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース(信越化学社製「メトローズ60SH5
0」)の3%水溶液(以下、セルロース水溶液と略称す
る)、α−クミルパーオキシネオデカノエート(重合開
始剤)、及び、滑剤としてポリエチレンワックス(三井
石油化学社製「HIWAX220MP」)1重量部相当
を一括投入した。その後、真空ポンプで重合器内の空気
を排出し、更に撹拌条件下で塩化ビニルモノマーを投入
した後、30分間撹拌することにより、塩化ビニルを均
一に混合し、ジャケット温度の制御により重合温度43
℃にて重合を開始した。重合器内の圧力が0.35MP
aの圧力まで低下することで重合終了を確認し、消泡剤
(東レ社製「東レシリコンSH5510」)を加圧添加
した後に反応を停止した。その後、未反応の塩化ビニル
モノマーを除去した後、反応生成物を脱水乾燥すること
により塩化ビニル系樹脂を得た。
【0043】得られた塩化ビニル系樹脂について、下記
項目の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0044】(1)重合度 塩化ビニル系樹脂500mgをニトロベンゼン100m
lに溶解した後、200メッシュの金網で濾過して不溶
成分を除去した。不溶分を除去した塩化ビニル系樹脂に
ついて、JIS K 6721に準拠して重合度を測定
した。
【0045】(2)滑剤含有量 塩化ビニル系樹脂の塩素含有量を、JIS K 722
9に準拠して測定することにより、樹脂粒子中に含有さ
れる第2成分量を計算し滑剤含有量を求めた。
【0046】(3)ゲル化時間、最大トルク及び定常ト
ルク 塩化ビニル系樹脂100重量部に錫系安定剤(三共有機
社製「ONZ−142F」)1重量部を混合して樹脂組
成物を調製した後、この樹脂組成物60gをラボプラス
トミル(東洋精機社製「50C150混練機R60」)
に充填し、温度200℃、回転数50rpmで混練を行
いトルクカーブから、ゲル化時間、最大トルク及び定常
トルクを測定した。
【0047】(実施例2)重合温度を31.5℃に設定
し、重合器内の圧力が0.28MPaまで低下すること
で重合を終了したこと以外は、実施例1と同様の方法で
塩化ビニル系樹脂を製造した。この塩化ビニル系樹脂1
00重量部に錫系安定剤(三共有機社製「ONZ−14
2F」)1重量部を混合して樹脂組成物を調製した。上
記塩化ビニル系樹脂及び樹脂組成物につき、実施例1と
同様の項目について評価を行い、その結果を表1に示し
た。
【0048】(比較例1)平均重合度2000の塩化ビ
ニル樹脂(信越化学社製「TK−2000E」)100
重量部に錫系安定剤(三共有機社製「ONZ−142
F」)1重量部、及び、滑剤としてポリエチレンワック
ス(三井石油化学社製「HIWAX220MP」)1重
量部を添加、混合して樹脂組成物を調製した。上記塩化
ビニル系樹脂及び樹脂組成物につき、実施例1と同様の
項目について評価を行い、その結果を表1に示した。
【0049】(比較例2)塩化ビニル系樹脂を重合する
際に、滑剤成分を全く添加しなかったこと以外は、実施
例2と同様の方法で塩化ビニル系樹脂を製造した。この
塩化ビニル系樹脂100重量部に錫系安定剤(三共有機
社製「ONZ−142F」)1重量部、及び、滑剤とし
てポリエチレンワックス(三井石油化学社製「HIWA
X220MP」)1重量部を添加、混合して樹脂組成物
を調製した。上記塩化ビニル系樹脂及び樹脂組成物につ
き、実施例1と同様の項目について評価を行い、その結
果を表1に示した。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】本発明の塩化ビニル系樹脂及びその製造
方法は、上述の構成であり、樹脂粒子内部に滑剤成分を
含有しているため、例えば押出成形を行う場合は、成形
時に滑剤を添加する場合と比べて、初期のスクリュー剪
断力がかかり易くなり、容易にゲル化する。また、溶融
後は滑剤として作用するため、押出機負荷、押出トルク
や金型背圧を低減することができる。
【0052】また、本発明で得られる塩化ビニル系樹脂
によって、従来の成形方法ではゲル化が遅く、溶融粘度
が高いために、成形が困難であった高重合度の塩化ビニ
ル系樹脂を容易に成形することが可能となり、疲労強
度、耐引張クリープ等の耐久性を大幅に向上させた成形
体を得ることができる。従って、本発明の塩化ビニル系
樹脂は、建築部材、管工機材、住宅資材等の分野で、特
に高耐久性を必要とする用途に好適に用いられる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 AA05 DA03 JA06 JA07 JA08 JB02 JB03 JB26 PA25 PA30 PA56 PA64 PB15 PB33 PC02 PC06 PC07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 階層的粒子構造を有する塩化ビニル系樹
    脂(グラフト重合系樹脂は除く)であって、平均重合度
    が1500〜6000であり、少なくともグレイン粒子
    内部に0.1〜10重量%の滑剤成分を含有し、該滑剤
    成分が平均分子量300〜4000の炭化水素系滑剤で
    あることを特徴とする塩化ビニル系樹脂。
  2. 【請求項2】 階層的粒子構造を有するが、グレイン粒
    子内部に滑剤成分を含有しない塩化ビニル系樹脂(a)
    と、重合度及び配合組成を同一条件に設定して最大トル
    ク及びゲル化時間を測定比較した際に、測定値が上記塩
    化ビニル系樹脂(a)の90%以下であることを特徴と
    する請求項1記載の塩化ビニル系樹脂。
  3. 【請求項3】 水懸濁重合による塩化ビニル系樹脂の製
    造方法において、滑剤成分を予め塩化ビニルモノマーの
    油滴内部に微分散させた後、重合を行うことを特徴とす
    る請求項1又は2記載の塩化ビニル系樹脂の造方法。
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Citations (2)

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