JP4582994B2 - 蓄冷材、その製造方法および蓄冷式冷凍機 - Google Patents

蓄冷材、その製造方法および蓄冷式冷凍機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は蓄冷材、その製造方法および蓄冷式冷凍機に係り、特に20K以下の極低温域において顕著な冷凍能力を発揮できる蓄冷材、その製造方法およびその蓄冷材を使用した蓄冷式冷凍機等に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、超電導技術の発展は著しく、その応用分野が拡大するに伴って小型で高性能の冷凍機の開発が不可欠になってきている。かかる小型冷凍機は、軽量・小型で熱効率の高いことが要求されており、種々の応用分野において実用化が進められている。
【0003】
例えば、超電導MRI装置やクライオポンプなどにおいては、ギフォード・マクマホン(GM)方式やスターリング方式などの冷凍サイクルによる冷凍機が用いられている。また、磁気浮上列車にも超電導磁石を用いて磁力を発生させるために高性能な冷凍機が必須とされている。さらに、最近では、超電導電力貯蔵装置(SMES)、および高品質のシリコンウェハーなどを製造する磁場中単結晶引き上げ装置などにおいても高性能な冷凍機が用いられている。
【0004】
このような冷凍機においては、蓄冷材が充填された蓄冷器内を、圧縮されたHeガスなどの作動媒質が一方向に流れて、その熱エネルギーを蓄冷材に供給し、ここで膨張した作動媒質が反対方向に流れ、蓄冷材から熱エネルギーを受け取る。こうした過程での復熱効果が良好になるに伴い、作動媒質サイクルでの熱効率が向上し、より低い温度を実現することが可能となる。
【0005】
上述したような冷凍機の蓄冷器に充填される蓄冷材としては、従来、CuやPbなどが主に用いられてきた。しかし、このような蓄冷材は、20K以下の極低温で比熱が著しく小さくなるため、上述した復熱効果が十分に機能せず、冷凍機での作動に際して極低温下で1サイクル毎に蓄冷材に充分な熱エネルギーを貯蔵することができず、かつ作動媒質が蓄冷材から充分な熱エネルギーを受け取ることができなくなる。その結果、前記蓄冷材を充填した蓄冷器を組み込んだ冷凍機では極低温に到達させることができない問題があった。
【0006】
そこで、最近では前記蓄冷器の極低温での復熱特性を向上し、より絶対零度に近い冷凍温度を実現するために、特に20K以下の極低温域において体積比熱の極大値を有し、かつその値が大きなErNi,ErNi,HoCuなどのように希土類元素と遷移金属元素とから成る金属間化合物を主体とした磁性蓄冷材が使用されている。このような磁性蓄冷材をGM冷凍機に用いることにより、4Kでの冷凍が実現されている。
【0007】
このような冷凍機を様々なシステムに応用することが検討されるに伴って、より大型の冷却対象物を安定的に冷却する技術的要請から、冷凍機にはより一層の冷凍能力の向上が求められている。その要請に答えるべく最近では、従来の金属系磁性蓄冷材の一部を、GdOSなどの希土類元素を含む酸硫化物に置き換えることにより冷凍能力を向上させる試みがなされている。
【0008】
本願発明者の知見によれば、上記GdOSに代表される希土類酸硫化物は、約5Kの極低温域において急峻で大きな体積比熱ピークを有する一方、約6K以上の高温度側での体積比熱は小さい。そのため、6K以上の温度領域で大きな体積比熱を有するHoCuなどの金属系蓄冷材と積層して使用することにより冷凍能力の向上がある程度実現される。
【0009】
一般に上記蓄冷材は、Heガスなどの作動媒体との熱交換を効率良く実施するため、また冷凍機の蓄冷器への充填効率を高めるために、粒径0.2mm程度の球状粒子に加工されて使用されている。例えば、HoCuなどの金属系蓄冷材の場合には、例えば、所定組成の原料を溶融せしめ、その溶湯を遠心噴霧法のようなアトマイズ法により微細に分散すると同時に、溶湯の表面張力によって球状化した状態で冷却凝固せしめて球状に加工される場合が多い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記GdOSのような希土類酸硫化物は高融点を有し溶解し難い化合物であり、上記のような溶湯急冷法による球状化手法が適用できない。そこで、GdOSの微粉末を転動造粒法などによって顆粒状に造粒した後に、この造粒粉を球状に成形し、さらに高温度で焼結することにより球状の磁性体粒子に加工することが実施されている。この球状に焼結したままの状態では、磁性体粒子表面に微細な割れなどの欠陥が残っており、必然的に球状磁性体粒子の機械的強度が不十分となるため、冷凍機の運転中に磁性体粒子が破壊し易く、冷凍機能力が短期間の間に低下してしまうという問題が発生していた。
【0011】
上記問題の解決策として、欠陥等が残留して強度が比較的低い部位がと形成された粒子表面層を研磨処理することにより欠陥部を除去することが有効な対策となっている。しかしながら、GdOSのような希土類酸硫化物に対して研磨時に機械的ストレスを付加すると粒子表面部に存在していた硫黄分(S)が揮発脱落し易く蓄冷材の組成が化学的量論組成から大きくずれることになり、蓄冷材の比熱特性が低下するという問題点があった。
【0012】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、特に4〜6K付近の限られた温度域での体積比熱が大きく、極低温域において顕著な冷凍能力を長期間に亘って安定して発揮することが可能な蓄冷材、その製造方法およびその蓄冷材を用いた蓄冷式冷凍機を提供することを目的とする。さらに、上記のような蓄冷式冷凍機を使用することによって、長期間に亘って優れた性能を発揮させることを可能にしたMRI装置,磁気浮上列車用超電導磁石,クライオポンプおよび磁界印加式単結晶引上げ装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記目的を達成するために、種々の組成および比熱特性を有する蓄冷材を調製して冷凍機の蓄冷器に充填して、上記組成および比熱特性が冷凍機の冷凍能力,蓄冷材の寿命,耐久性に及ぼす影響を実験により比較検討した。
【0014】
その結果、特に4〜6K付近の限られた温度域において体積比熱が大きい蓄冷材を、その高温側の比熱特性に応じて蓄冷器への充填することにより、4K温度域における冷凍機の冷凍能力が顕著に向上するという知見を得た。例えば、4Kにおける比熱が高い一方、10Kでの比熱が低いような蓄冷材を使用する場合には、蓄冷器内部の温度分布を考慮して蓄冷器の低温側のみに上記蓄冷材を充填することにより、その蓄冷材の4Kにおける高比熱特性が活かされることにより、冷凍機性能が大幅に向上することが判明した。
【0015】
さらに、本発明者は前記のように研磨処理することにより比熱特性が低下した希土類酸硫化物蓄冷材の諸特性を詳細に比較調査した。その結果、酸硫化物からなる蓄冷材の比熱特性と、その蓄冷材を波長400−600nmの光線で照射した場合における反射率との間に一定の相関があることを見出した。つまり、研磨処理による機械的ストレスが原因で蓄冷材の表面部の硫黄(S)成分が揮発したり、脱落したりすることにより蓄冷材の組成がずれ、結果として比熱特性の低下に繋がることが判明した。すなわち、硫黄成分(S)が揮発した後の原子空孔が原因となって蓄冷材表面部が着色し、その着色によって400−600nmの波長光の表面部における反射率が30%未満に低下させたものと考えられる。
【0016】
ところが、研磨処理後の希土類酸硫化物蓄冷材の粒子について、SOなどの硫黄酸化物を含有する雰囲気中で所定の熱処理を施すことにより、硫黄成分(S)が欠損した部位に効果的に硫黄成分を補充でき、本来の化学量論的組成を回復させることができるため、蓄冷材の体積比熱も回復することを見出した。そして、硫黄成分(S)の欠損を回復させることにより反射率が改善され、波長範囲が400−600nmである光の蓄冷材表面部における反射率の最小値が30%以上95%以下となる範囲まで回復することにより、蓄冷材の比熱特性も実用上問題のない程度まで回復することが判明した。本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
【0017】
すなわち本発明に係る蓄冷材は、希土類酸硫化物から成る磁性体化合物粒子を、硫黄酸化物雰囲気中において温度900〜1200℃で1〜12時間の範囲で熱処理する工程により硫黄成分が補充されており、波長400−600nmの光線を照射した時の反射率の最小値が44%以上95%以下の範囲にある希土類酸硫化物の焼結体から成る蓄冷材であって、上記希土類酸硫化物が、
一般式:R2±0.11±0.1
(式中、RはCe,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,HoおよびErから選択される少なくとも一種の希土類元素を示す。)で表わされる磁性体化合物であり、上記蓄冷材は磁性体化合物粒子からなり、この磁性体化合物粒子の粒径が0.01〜3mmであり、上記蓄冷材を構成する全磁性体化合物粒子に対して、長径の短径に対する比(アスペクト比)が5以下であり、かつ0.01mm以上3mm以下の粒径を有する磁性体化合物粒子の割合が70質量%以上であり、上記磁性体化合物粒子の表面が研磨加工されていることを特徴とする。
【0018】
上記波長400−600nmの可視光線を照射した時の反射率の最小値が30%以上95%以下の範囲にある希土類酸硫化物から成る蓄冷材粒子であれば、その表面部における硫黄成分の欠落が研磨処理後においても少なく、蓄冷材粒子の化学量論的組成が適正に維持され、良好な比熱特性を発揮しうる。
【0019】
なお上記反射率の測定方法は、特別に限定されるものではないが、開口比率7.8%の積分球を用いた分光光度計により容易に測定できる。ただし、この測定方法では、試料を充填した容器からの反射率の影響など、装置に起因する誤差を取り除き、試料そのものを反射率を測定するように配慮しなければならない。例えば、試料容器の深さが浅い場合や試料の充填密度が低い場合などでは、試料容器の内面からの反射率をあわせて測定することになる。このような場合には、十分深い容器に高い密度で試料を充填した状態で測定する。具体的には、容器の深さ2cm、充填密度55%以上が好ましい。なお本発明において、上記反射率の測定方法用のリファレンスには、BaSOを使用した。
【0020】
上記波長400−600nmの光線を照射した時の反射率の最小値が30%未満の場合には、硫黄成分(S)の揮発や欠落による着色が顕著であり、蓄冷材粒子の表面の組成が化学量論的組成から変移していることになり、良好な比熱特性が得られない。一方、上記反射率の最小値を95%以上にするためには、揮発や欠落によって喪失した硫黄成分を蓄冷材粒子表面部に回復させるための熱処理操作を極めて長時間に渡って実施する必要があり工業上好ましくない。上記波長400−600nmにおける可視光線の反射率の最小値についての特に好ましい範囲は50%以上90%以下である。さらに好ましい範囲は、60%以上85%以下である。
【0021】
また、上記蓄冷材において、前記希土類酸硫化物が、
一般式:RS ……(1)
(式中、RはCe,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,HoおよびErから選択される少なくとも一種の希土類元素を示す。)で表わされる磁性体化合物であることが好ましい。上記一般式で表わされる酸硫化物は極低温領域で大きな比熱を有し好ましい。
【0022】
さらに上記蓄冷材において、特に前記一般式におけるR成分がガドリニウム(Gd)である場合に、約5K付近の低温度領域で大きな比熱を示すために、特に好ましい。
【0023】
なお本発明に係る蓄冷材は上記一般式(1)に示す化学量論組成を厳密に満たすことがより好ましいが、O成分を基準にして下記(2)式に示す一般式で表される組成を有するように形成しても良い。
【0024】
一般式:R2±0.11±0.1 ……(2)
【0025】
また、上記一般式(1)、(2)に示す組成を有する蓄冷材が、不可避的不純物を含有しても良い。
【0026】
また、上記蓄冷材において、前記蓄冷材が磁性体化合物粒子からなり、この磁性体化合物粒子の粒径が0.01〜3mmであることが望ましい。
【0027】
さらに、上記蓄冷材において、前記蓄冷材を構成する全磁性体化合物粒子に対して、長径の短径に対する比(アスペクト比)が5以下であり、かつ0.01mm以上3mm以下の粒径を有する磁性体化合物粒子の割合が70質量%以上であることが望ましい。
【0028】
また本発明に係る蓄冷式冷凍機は、蓄冷材を充填した蓄冷器から成る冷却段を複数個有し、各冷却段の蓄冷器の上流高温側から作動媒質を流して上記作動媒質と蓄冷材との熱交換によって蓄冷器の下流側にて、より低温度を得る蓄冷式冷凍機において、最終冷却段の蓄冷器の低温側空間に充填される蓄冷材の少なくとも一部の蓄冷材が前記一般式:RS(1)または(2)式で表される蓄冷材から成ることを特徴とする。なお、本発明の蓄冷材は蓄冷器の下流低温側に充填されることが好ましい。
【0029】
さらに、本発明に係るMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、磁気浮上列車用超電導磁石、クライオポンプおよび磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも上記した本発明に係る蓄冷式冷凍機を具備することを特徴としている。
【0030】
本発明に係る蓄冷材は、その一般式から明らかなように、希土類元素(R成分)と酸素(O)と硫黄(S)とから成る磁性体から成る。
【0031】
上記R成分は、Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,HoおよびErから選択された少なくとも1種の希土類元素である。これらのR成分は、いずれも蓄冷材成分として添加した場合に、磁性体の体積比熱ピークの温度位置をより低温側に移動させたり、ピークの半値幅を拡げたり、冷凍機の設計仕様に応じた比熱特性の調整を行うなどして蓄冷材として有効な比熱特性を実現するために添加される。
【0032】
上記R成分としての希土類元素を適宜選択することにより、磁性体の比熱ピークの温度位置を目的の温度、すなわち4〜6K領域に設定することができる。
【0033】
R成分は、上述のように、所定の少なくとも一種の希土類元素を示すが、Gdが特に好ましい。
【0034】
また蓄冷材を充填した蓄冷器内を流れるヘリウムガスなどの作動媒質の流れを円滑にするとともに、上記作動媒質と蓄冷材との熱交換効率を高め、かつ熱交換機能を安定に維持するために、上記の蓄冷材は、粒径が揃った球状磁性粒子から構成するとよい。具体的には前記したように、上記蓄冷材を構成する全磁性粒子に対して、長径の短径に対する比(アスペクト比)が5以下であり、かつ0.01mm以上3mm以下の粒径を有する磁性粒子の割合が70%重量以上となるように調整することが好ましい。
【0035】
磁性粒子の粒径は粒子の強度、冷凍機の冷却機能および伝熱特性に大きな影響を及ぼすファクターであり、その粒径が0.01mm未満となると、蓄冷器に充填する際の充填密度が高くなり過ぎて、冷却媒体であるHeガスの通過抵抗(圧力損失)が急激に増大する上に、流通するHeガスに同伴されてコンプレッサ内に侵入して構成部品等を早期に摩耗させてしまう。
【0036】
一方、粒径が3mmを超える場合には、粒体の結晶組織に偏析を生じて脆くなるとともに磁性粒子と冷却媒体であるHeガスとの間の伝熱面積が小さくなり、熱伝達効率が著しく低下してしまうおそれがある。また、このような粗大な粒子が30重量%を超えると、蓄冷性能の低下を招くおそれがある。したがって平均粒径は0.01mm以上3mm以下に設定されるが、より好ましくは0.05〜1.0mmの範囲であり、さらに0.1mm以上0.5mm以下が好ましい。また冷却機能および強度を実用上充分に発揮させるためには、上記平均粒径が0.01mm以上3mm以下である粒子が磁性蓄冷材粒子全体に対して、少なくとも70重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90%以上占めることが好ましい。
【0037】
また磁性蓄冷材粒子の短径に対する長径の比(アスペクト比)は5以下好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、なお一層好ましくは1.3以下に調整される。磁性粒子のアスペクト比は、粒子の強度および蓄冷器に充填する際の充填密度および均一性に大きな影響を及ぼすものであり、アスペクト比が5を超える場合には、機械的作用によって磁性粒子が変形破壊を起こし易くなるとともに、空隙が均質となるように蓄冷器に均一かつ高密度で充填することが困難となり、このような粒子が蓄冷材全粒子の30重量%を超えると、蓄冷効率の低下を招くおそれがある。
【0038】
ここで調製した磁性粒子の粒径のばらつきおよび短径に対する長径の比のばらつきが生じた場合においても、それらを適宜分級して使用することも容易である。この場合、蓄冷部に充填する全磁性粒子のうち、アスペクト比が上記範囲内の磁性粒子の割合を70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上とすることにより、充分に実用に耐える蓄冷材とすることができる。
【0039】
また磁性粒子の表面粗さは、機械的強度、冷却特性、冷却媒体の通過抵抗、蓄冷効率等に大きな影響を及ぼす要因であり、一般にJIS B0601で規定する凹凸の最大高さRmaxで10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2μm以下に設定することが望ましい。なお、これらの表面粗さは走査電子顕微鏡(SEM粗さ計)によって測定することができる。
【0040】
表面粗さが10μmRmaxを超えると、粒子に破壊の出発点となるマイクロクラックが発生し易くなるとともに、冷却媒体の通過抵抗が上昇しコンプレッサの負荷が増大したり、特に充填された磁性粒子同士の接触面積が増大し、磁性粒子間における冷熱の移動が大きくなり蓄冷効率が低下してしまう。
【0041】
また磁性粒子の機械的強度に影響を与える長さ10μm以上の微小欠陥を有する磁性粒子の割合は、全体の30%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは10%以下にすることが実用上望ましい。
【0042】
本発明に係る蓄冷材の製造方法は、希土類酸硫化物から成る磁性体化合物粒子を調製する工程と、この磁性体化合物粒子を球状に研磨加工する工程と、この球状化した磁性体化合物粒子を、硫黄酸化物雰囲気中において温度900〜1200℃で1〜12時間の範囲で熱処理する工程とを備えることを特徴とする。
【0043】
上記蓄冷材の製造方法において、上記磁性体化合物粒子を形成するための原料紛としては、より緻密で高強度の蓄冷材粒子を形成するために、平均粒径が0.3〜30μmの原料粉末を使用することが好ましい。より好ましくは、0.5〜20μmの原料粉末を使用することが望ましく、さらには、平均粒径が1〜10μmの原料粉末を使用することがより望ましい。
【0044】
上記希土類酸硫化物から成る磁性体化合物粒子を調製する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、所定組成を有する酸化物微粒子の混合体を、転動造粒法などによって球状に成形し、得られた球状の成形体を所定の温度条件で焼結することにより所定の酸硫化物からなる粒子を合成調製する方法などが採用できる。なお上記焼結温度は1200−1800℃の範囲が好ましい。また焼結時間は1時間以上48時間以内であることが好ましい。
【0045】
ところが、焼結したままの酸硫化物粒子では、粒子表面部における表面粗さが大きくなる場合があり、冷媒ガスに対する通気抵抗を増加させ、冷凍効率を下げるおそれがある。また、粒子表面に微細な粉末が固着しており、この粉末が冷凍機の運転時に作用する衝撃により脱離して冷凍機部品に目詰まりを起こし、冷凍機の性能を低下させる原因となる。さらに、粒子表面に残存した微細な欠陥が割れを生じ、蓄冷材の寿命を低下させたり、前記同様に目詰まりを発生させたりする恐れもある。
【0046】
そこで焼結して得られた焼結体粒子の表面層を研磨加工して、粒子の球状度をさらに高めると共に、磁性体化合物粒子表面に固着した粉末を除去し、さらに比較的強度が弱い加工欠陥部位(傷)を取り除く工程を実施する。
【0047】
ところが、上記研磨加工工程を実施すると、その衝撃力(機械的ストレス)によって粒子表面部に存在していた硫黄分(S)が揮発脱落し易く蓄冷材の組成が化学的量論組成から大きくずれることになり、蓄冷材の比熱特性が低下してしまう。
【0048】
そこで本発明方法では、上記研磨加工の後に、上記のような硫黄成分(S)の回復を図るために所定の熱処理を行うものである。すなわち、研磨処理後の希土類酸硫化物蓄冷材の粒子について、SOなどの硫黄酸化物を含有する雰囲気中で所定の熱処理を施すことにより、硫黄成分(S)が欠損した部位に効果的に硫黄成分を補充でき、本来の化学量論的組成を回復させることができるため、蓄冷材の体積比熱も回復させることが出来る。そして、硫黄成分(S)の欠損を回復させることにより反射率が改善され、波長範囲が400−600nmである光の蓄冷材表面部における反射率の最小値が30%以上95%以下となる範囲まで回復することにより、蓄冷材の比熱特性も実用上問題のない程度まで回復させることが可能になる。
【0049】
上記熱処理時の雰囲気は、例えばSOガスを1〜5体積(vol)%程度含有する雰囲気が好ましいが、SOガスを使用した場合でも同様の効果を得ることができる。また、OやNなどの他のガスにSOあるいはSOを混合した雰囲気で熱処理しても良い。なお上記硫黄成分ガス濃度の雰囲気中において、熱処理温度は900〜1200℃の範囲が好ましい。また熱処理時間は、処理効率の観点から1時間以上24時間以内が好ましい。
【0050】
本発明に係る蓄冷式冷凍機は、複数の冷却段を有する冷凍機において最終冷却段の蓄冷器の少なくとも一部に、上記の磁性蓄冷材粒子を充填して構成される。
例えば、2段膨張式冷凍機においては、第2段目蓄冷器の低温端側に、また3段膨張式冷凍機においては、第3段目蓄冷器の低温端側に、本発明に係る磁性蓄冷材粒子を充填する一方、他の蓄冷材充填空間には、その温度分布に応じた比熱特性を有する他の蓄冷材を充填して構成される。
【0051】
上述した最終冷却段の蓄冷器の低温側空間における本発明の磁性蓄冷材粒子の充填量が体積比率で3%未満と過少な場合には、冷凍機の蓄冷効率の向上が認められず、冷凍機の能力が改善されない。一方、充填量が70体積%を超えるように過大になると、上述した磁性蓄冷材粒子の比熱特性の欠点が顕著になり、同様に蓄冷効率の低下を招く。すなわち、体積比熱がピークとなる温度以外の温度域、特に高温側温度域における体積比熱が、比較的に小さくなることが蓄冷器全体に悪影響を及ぼす結果、蓄冷効率の低下を招く。したがって、上記最終冷却段の蓄冷器の全容積に対する本発明の磁性蓄冷材粒子の充填容積比率は、3〜70容積%の範囲とされるが、好ましくは5〜50容積%の範囲であり、さらに10〜30容積%の範囲が特に望ましい。
【0052】
上記構成に係る蓄冷材によれば、極低温域において急峻な体積比熱のピークを有する希土類酸硫化物系磁性材料(R S系磁性材料)で構成しているため、体積比熱ピークの温度位置がより低温側にシフトするとともに、比熱ピークの半値幅が拡大され、比熱特性が良好な蓄冷材が得られる。そして、その蓄冷材を冷凍機の最終冷却段を構成する蓄冷器内の低温端側に充填することにより、温度4K領域における冷凍能力が高く、かつ長期間に亘って安定した冷凍性能が維持できる冷凍機を提供することができる。
【0053】
そして、MRI装置、クライオポンプ、磁気浮上列車用超電導磁石、および磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも冷凍機性能が各装置の性能を左右することから、上述したような冷凍機を用いた本発明のMRI装置、クライオポンプ、磁気浮上列車用超電導磁石、および磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも長期間に亘って優れた性能を発揮させることができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態について以下に示す実施例に基づいて具体的に説明する。
【0055】
(実施例1)
平均粒径3μmのGdSの原料粉末を転動造粒機に充填し造粒することにより、粒径約0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。この造粒粒子をAr雰囲気中において、温度1800℃で2時間焼結することにより磁性体粒子を調製した。次に焼結した磁性体粒子について、ダイヤモンド砥粒を含む回転円盤上に載置し転動せしめることにより各粒子の表面層を研磨して球状化すると共に、表面層に付着形成されていた固着粉および欠陥部を除去した。この研磨工程での除去量は、磁性体粒子の粒径の約3%程度であった。その後、この磁性体粒子について、3vol.%のSOガスを含有するNガス雰囲気中において、温度1100℃で5時間の熱処理を実施することにより、実施例1に係る蓄冷材を調製した。得られた蓄冷材粒子の反射率を測定したところ、400−600nmの波長域における最小値は、波長460nmにおける72%であった。
【0056】
一方、上記のように調製した蓄冷材の特性を評価するために、図1に示すような2段膨張式GM冷凍機を用意した。なお、図1に示す2段式のGM冷凍機10は、本発明の冷凍機の一実施例を示すものである。図1に示す2段式のGM冷凍機10は、大径の第1シリンダ11と、この第1シリンダ11と同軸的に接続された小径の第2シリンダ12とが設置された真空容器13を有している。第1シリンダ11には第1蓄冷器14が往復動自在に配置されており、第2シリンダ12には第2蓄冷器15が往復動自在に配置されている。第1シリンダ11と第1蓄冷器14との間、および第2シリンダ12と第2蓄冷器15との間には、それぞれシールリング16,17が配置されている。
【0057】
第1蓄冷器14には、Cuメッシュ等の第1蓄冷材18が収容されている。第2蓄冷器15の低音側には、本発明の極低温用蓄冷材が第2蓄冷材19として所定比率で充填されている。第1蓄冷器14および第2蓄冷器15は、第1蓄冷材18や極低温用蓄冷材19の間隙等に設けられたHeガス等の作動媒質の通路をそれぞれ有している。
【0058】
第1蓄冷器14と第2蓄冷器15との間には、第1膨張室20が設けられている。また、第2蓄冷器15と第2シリンダ12の先端壁との間には、第2膨張室21が設けられている。そして、第1膨張室20の底部に第1冷却ステージ22が、また第2膨張室21の底部に第1冷却ステージ22より低温の第2冷却ステージ23が形成されている。
【0059】
上述したような2段式のGM冷凍機10には、コンプレッサ24から高圧の作動媒質(例えばHeガス)が供給される。供給された作動媒質は、第1蓄冷器14に収容された第1蓄冷材18間を通過して第1膨張室20に到達し、さらに第2蓄冷器15に収容された極低温用蓄冷材(第2蓄冷材)19間を通過して第2膨張室21に到達する。この際に、作動媒質は各蓄冷材18,19に熱エネルギーを供給して冷却される。各蓄冷材18,19間を通過した作動媒質は、各膨張室20,21で膨張して寒冷を発生させ、各冷却ステージ22,23が冷却される。膨張した作動媒質は、各蓄冷材18,19間を反対方向に流れる。作動媒質は各蓄冷材18,19から熱エネルギーを受け取った後に排出される。こうした過程で復熱効果が良好になるに従って、作動媒質サイクルの熱効率が向上し、より一層低い温度が実現されるように構成されている。
【0060】
そして、前記のように調製した実施例1に係る蓄冷材100gを、上記2段膨張式GM冷凍機の2段目蓄冷器の最低温側に充填した。さらに、その高温側には、HoCuを150g充填し、さらにその高温側にはPbを250g充填して実施例1に係る冷凍機を組み立てた。
【0061】
そして、上記のように組み立てた実施例1に係る冷凍機について運転周波数1Hzで冷凍試験を実施し、3000時間連続運転後における冷凍能力を測定した結果、4.2Kにおける冷凍能力として、1.11Wが得られた。
【0062】
なお本実施例における冷凍能力は、冷凍機運転時にヒータによって第2冷却段に熱負荷を作用させ、第2冷却段の温度上昇が4.2Kで停止したときの熱負荷で定義した。
【0063】
(比較例1)
平均粒径3μmのGdS原料粉末を転動造粒機に充填して造粒を実施し、粒径約0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。この造粒粒子をAr雰囲気中において、温度1800℃で2時間焼結することにより磁性体粒子を調製した。次に焼結した磁性体粒子を、ダイヤモンド砥粒を含む回転円盤上に載置し転動せしめることにより各粒子の表面層を研磨して球状化すると共に、表面層に付着形成されていた固着粉および欠陥部を除去した。この研磨工程での除去量は、磁性体粒子の粒径の約3%程度であった。その後、硫黄成分含有雰囲気中での熱処理を実施せずに、そのまま比較例1に係る蓄冷材とした。得られた蓄冷材粒子の反射率を測定したところ、400−600nmの波長域における最小値は、波長460nmにおける28%であった。
【0064】
そして得られた蓄冷材粒子100gを2段膨張式GM冷凍機の2段目蓄冷器の最低温側に充填した。その高温側にはHoCu蓄冷材を150g充填し、さらにその高温側にはPb蓄冷材を250gを充填して比較例1に係る冷凍機を組み立てた。そして実施例1と同様に、運転周波数1Hzで冷凍試験を実施したところ、4.2Kにおける冷凍能力として、0.53Wが得られた。
【0065】
(実施例2)
実施例1と同様に表面研磨を実施した磁性体粒子について、3vol%のSOガスを含有するN雰囲気中において、温度1000℃で5時間熱処理を実施することにより、実施例2に係る蓄冷材を調製した。得られた蓄冷材粒子の反射率を測定したところ、400−600nmの波長域における最小値は、波長460nmにおける44%であった。
【0066】
次に得られた蓄冷材粒子100gを2段膨張式GM冷凍機の2段目蓄冷器の最低温側に充填した。その高温側にはHoCu蓄冷材を150g充填し、さらにその高温側にはPb蓄冷材を250g充填することにより、実施例2に係る冷凍機を組み立てた。そして実施例1と同様に、運転周波数1Hzで冷凍試験を実施したところ、4.2Kにおける冷凍能力として、0.89Wが得られた。
【0067】
(実施例3)
実施例1と同様に表面研磨を実施した磁性体粒子について、3vol%のSOガスを含有するNガス雰囲気中において、温度1100℃で3時間熱処理を実施することにより、実施例3に係る蓄冷材を調製した。得られた蓄冷材粒子の反射率を測定したところ、400−600nmの波長域における最小値は、波長460nmにおける53%であった。
【0068】
次に得られた蓄冷材粒子100gを2段膨張式GM冷凍機の2段目蓄冷器の最低温側に充填した。その高温側にはHoCu蓄冷材を150g充填し、さらにその高温側にはPb蓄冷材を250g充填することにより、実施例3に係る冷凍機を組み立てた。そして実施例1と同様に、運転周波数1Hzで冷凍試験を実施したところ、4.2Kにおける冷凍能力として、0.77Wが得られた。
【0069】
次に、本発明に係る蓄冷式冷凍機を使用した超電導MRI装置、磁気浮上列車用超電導磁石、クライオポンプ、および磁界印加式単結晶引上げ装置の実施例について述べる。
【0070】
図2は、本発明を適用した超電導MRI装置の概略構成を示す断面図である。
図2に示す超電導MRI装置30は、人体に対して空間的に均一で時間的に安定な静磁界を印加する超電導静磁界コイル31、発生磁界の不均一性を補正する図示を省略した補正コイル、測定領域に磁界勾配を与える傾斜磁界コイル32、およびラジオ波送受信用プローブ33等により構成されている。そして、超電導静磁界コイル31の冷却用として、前述したような本発明に係る蓄冷式冷凍機34が用いられている。なお、図中35はクライオスタット、36は放射断熱シールドである。
【0071】
本発明に係る蓄冷式冷凍機34を用いた超電導MRI装置30においては、超電導静磁界コイル31の動作温度を長期間に亘って安定に保証することができるため、空間的に均一で時間的に安定な静磁界を長期間に亘って得ることができる。したがって、超電導MRI装置30の性能を長期間に亘って安定して発揮させることが可能となる。
【0072】
図3は、本発明に係る蓄冷式冷凍機を使用した磁気浮上列車用超電導磁石の要部概略構成を示す斜視図であり、磁気浮上列車用超電導マグネット40の部分を示している。図3に示す磁気浮上列車用超電導マグネット40は、超電導コイル41、この超電導コイル41を冷却するための液体ヘリウムタンク42、この液体ヘリウムタンクの揮散を防ぐ液体窒素タンク43および本発明に係る蓄冷式冷凍機44等により構成されている。なお、図中45は積層断熱材、46はパワーリード、47は永久電流スイッチである。
【0073】
本発明に係る蓄冷式冷凍機44を用いた磁気浮上列車用超電導マグネット40においては、超電導コイル41の動作温度を長期間に亘って安定に保証することができるため、列車の磁気浮上および推進に必要な磁界を長期間に亘って安定して得ることができる。特に、磁気浮上列車用超電導マグネット40では加速度が作用するが、本発明に係る蓄冷式冷凍機44は加速度が作用した場合においても長期間に亘って優れた冷凍能力を維持できることから、磁界強度等の長期安定化に大きく貢献する。したがって、このような超電導マグネット40を用いた磁気浮上列車は、その信頼性を長期間に亘って発揮させることが可能となる。
【0074】
図4は、本発明に係る蓄冷式冷凍機を使用したクライオポンプの概略構成を示す断面図である。図4に示すクライオポンプ50は、気体分子を凝縮または吸着するクライオパネル51、このクライオパネル51を所定の極低温に冷却する本発明に係る蓄冷式冷凍機52、これらの間に設けられたシールド53、吸気口に設けられたバッフル54、およびアルゴン、窒素、水素等の排気速度を変化させるリング55等により構成されている。
【0075】
本発明に係る蓄冷式冷凍機52を用いたクライオポンプ50においては、クライオパネル51の動作温度を長期間に亘って安定に保証することができる。したがって、クライオポンプ50の性能を長期間に亘って安定して発揮させることが可能となる。
【0076】
図5は、本発明に係る蓄冷式冷凍機を使用した磁界印加式単結晶引上げ装置の概略構成を示す斜視図である。図5に示す磁界印加式単結晶引上げ装置60は、原料溶融用るつぼ、ヒータ、単結晶引上げ機構等を有する単結晶引上げ部61、原料融液に対して静磁界を印加する超電導コイル62、および単結晶引上げ部61の昇降機構63等により構成されている。そして、超電導コイル62の冷却用として、前述したような本発明に係る蓄冷式冷凍機64が用いられている。なお、図中65は電流リード、66は熱シールド板、67はヘリウム容器である。
【0077】
本発明に係る蓄冷式冷凍機64を用いた磁界印加式単結晶引上げ装置60においては、超電導コイル62の動作温度を長期間に亘って安定に保証することができるため、単結晶の原料融液の対流を抑える良好な磁界を長期間に亘って得ることができる。したがって、磁界印加式単結晶引上げ装置60の性能を長期間に亘って安定して発揮させることが可能となる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明の通り、本発明に係る蓄冷材によれば、極低温域において急峻な体積比熱のピークを有する希土類酸硫化物系磁性材料(RS系磁性材料)で構成しているため、体積比熱ピークの温度位置がより低温側にシフトするとともに、比熱ピークの半値幅が拡大され、比熱特性が良好な蓄冷材が得られる。そして、その蓄冷材を冷凍機の最終冷却段を構成する蓄冷器内の低温端側に充填することにより、温度4K領域における冷凍能力が高く、かつ長期間に亘って安定した冷凍性能が維持できる冷凍機を提供することができる。
【0079】
そして、MRI装置、クライオポンプ、磁気浮上列車用超電導磁石、および磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも冷凍機性能が各装置の性能を左右することから、上述したような冷凍機を用いた本発明のMRI装置、クライオポンプ、磁気浮上列車用超電導磁石、および磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも長期間に亘って優れた性能を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蓄冷式冷凍機(GM冷凍機)の要部構成を示す断面図。
【図2】本発明の一実施例による超電導MRI装置の概略構成を示す断面図。
【図3】本発明の一実施例による超電導磁石(磁気浮上列車用)の要部概略構成を示す斜視図。
【図4】本発明の一実施例によるクライオポンプの概略構成を示す断面図。
【図5】本発明の一実施例による磁界印加式単結晶引上げ装置の要部概略構成を示す斜視図。
【符号の説明】
10 GM冷凍機(蓄冷式冷凍機)
11 第1シリンダ
12 第2シリンダ
13 真空容器
14 第1蓄冷器
15 第2蓄冷器
16,17 シールリング
18 第1蓄熱材
19 第2蓄熱材(極低温用蓄冷材)
20 第1膨張室
21 第2膨張室
22 第1冷却ステージ
23 第2冷却ステージ
24 コンプレッサ
30 超電導MRI装置
31 超電導静磁界コイル
32 傾斜磁界コイル
33 ラジオ波送受信用プローブ
34 蓄冷式冷凍機
35 クライオスタット
36 放射断熱シールド
40 超電導磁石(マグネット)
41 超電導コイル
42 液体ヘリウムタンク
43 液体窒素タンク
44 蓄冷式冷凍機
45 積層断熱材
46 パワーリード
47 永久電流スイッチ
50 クライオポンプ
51 クライオパネル
52 蓄冷式冷凍機
53 シールド
54 バッフル
55 リング
60 磁界印加式単結晶引上げ装置
61 単結晶引上げ部
62 超電導コイル
63 昇降機構
64 蓄冷式冷凍機
65 電流リード
66 熱シールド板
67 ヘリウム容器

Claims (13)

  1. 希土類酸硫化物から成る磁性体化合物粒子を、硫黄酸化物雰囲気中において温度900〜1200℃で1〜12時間の範囲で熱処理する工程により、硫黄成分が補充されており、波長400−600nmの光線を照射した時の反射率の最小値が44%以上95%以下の範囲にある希土類酸硫化物の焼結体から成る蓄冷材であって、上記希土類酸硫化物が、
    一般式:R2±0.11±0.1
    (式中、RはCe,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,HoおよびErから選択される少なくとも一種の希土類元素を示す。)で表わされる磁性体化合物であり、上記蓄冷材は磁性体化合物粒子からなり、この磁性体化合物粒子の粒径が0.01〜3mmであり、上記蓄冷材を構成する全磁性体化合物粒子に対して、長径の短径に対する比(アスペクト比)が5以下であり、かつ0.01mm以上3mm以下の粒径を有する磁性体化合物粒子の割合が70質量%以上であり、上記磁性体化合物粒子の表面が研磨加工されていることを特徴とする蓄冷材。
  2. 請求項1記載の蓄冷材において、前記希土類酸硫化物が、
    一般式:R
    (式中、RはCe,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,HoおよびErから選択される少なくとも一種の希土類元素を示す。)で表わされる磁性体化合物であることを特徴とする蓄冷材。
  3. 請求項2記載の蓄冷材において、前記一般式におけるR成分がガドリニウム(Gd)であることを特徴とする蓄冷材。
  4. 希土類酸硫化物から成る磁性体化合物粒子を調製する工程と、この磁性体化合物粒子を球状に研磨加工する工程と、この球状化した磁性体化合物粒子を、硫黄酸化物雰囲気中において温度900〜1200℃で1〜12時間の範囲で熱処理する工程とを備えることを特徴とする蓄冷材の製造方法。
  5. 蓄冷材を充填した蓄冷器から成る冷却段を複数個有し、各冷却段の蓄冷器の上流高温側から作動媒質を流して上記作動媒質と蓄冷材との熱交換によって蓄冷器の下流側にて、より低温度を得る蓄冷式冷凍機において、最終冷却段の蓄冷器の低温側空間に充填される蓄冷材の少なくとも一部の蓄冷材が請求項1ないし3のいずれかに記載の蓄冷材から成ることを特徴とする蓄冷式冷凍機。
  6. 請求項5記載の蓄冷式冷凍機を具備したことを特徴とする超電導磁石。
  7. 請求項5記載の蓄冷式冷凍機を具備したことを特徴とするMRI(核磁気共鳴イメージング)装置。
  8. 請求項5記載の蓄冷式冷凍機を具備したことを特徴とするクライオポンプ。
  9. 請求項5記載の蓄冷式冷凍機を具備したことを特徴とする磁界印加式単結晶引上げ装置。
  10. 請求項1記載の蓄冷材において、前記研磨加工されている磁性体化合物粒子の表面粗さがRmaxで10μm以下であることを特徴とする蓄冷材。
  11. 請求項1記載の蓄冷材において、波長400−600nmの光線を照射した時の反射率の最小値が460nmにあることを特徴とする蓄冷材。
  12. 請求項1記載の蓄冷材において、波長400−600nmの光線を照射した時の反射率の最小値が50%以上90%以下の範囲にあることを特徴とする蓄冷材。
  13. 請求項4記載の蓄冷材の製造方法において、前記希土類酸硫化物が、
    一般式:R2±0.11±0.1
    (式中、RはCe,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,HoおよびErから選択される少なくとも一種の希土類元素を示す。)で表わされる磁性体化合物であることを
    特徴とする蓄冷材の製造方法。
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