JP5010071B2 - 蓄冷材,その製造方法およびその蓄冷材を用いた冷凍機 - Google Patents

蓄冷材,その製造方法およびその蓄冷材を用いた冷凍機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は蓄冷材,その製造方法およびその蓄冷材を用いた冷凍機等に係り、特に微粉化するおそれが少なく機械的強度および耐久性に優れ、低温度域において顕著な冷凍能力を発揮できる蓄冷材,その製造方法およびその蓄冷材を使用した冷凍機等に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、超電導技術の発展は著しく、その応用分野が拡大するに伴って小型で高性能の冷凍機の開発が不可欠になってきている。かかる小型冷凍機は、軽量・小型で熱効率の高いことが要求されており、種々の応用分野において実用化が進められている。
【0003】
例えば、超電導MRI装置やクライオポンプなどにおいては、ギフォード・マクマホン(GM)方式やスターリング方式やパルスチューブ冷凍機などの冷凍サイクルによる冷凍機が用いられている。また、磁気浮上列車にも超電導磁石を用いて磁力を発生させるために高性能な冷凍機が必須とされている。さらに、最近では、超電導電力貯蔵装置(SMES)、および高品質のシリコンウェハーなどを製造する磁場中単結晶引き上げ装置などにおいても高性能な冷凍機が用いられている。さらに高い信頼性が期待されているパルスチューブ冷凍機の開発・実用化も積極的に進められている。
【0004】
このような冷凍機においては、蓄冷材が充填された蓄冷器内を、圧縮されたHeガスなどの作動媒質が一方向に流れて、その熱エネルギーを蓄冷材に供給し、ここで膨張した作動媒質が反対方向に流れ、蓄冷材から熱エネルギーを受け取る。こうした過程での復熱効果が良好になるに伴い、作動媒質サイクルでの熱効率が向上し、より低い温度を実現することが可能となる。
【0005】
上述したような冷凍機に使われる蓄冷材としては、従来、CuやPbなどが主に用いられてきた。しかし、このような蓄冷材は、20K以下の極低温で比熱が著しく小さくなるため、上述した復熱効果が十分に機能せず、冷凍機での作動に際して極低温下で1サイクル毎に蓄冷材に充分な熱エネルギーを貯蔵することができず、かつ作動媒質が蓄冷材から充分な熱エネルギーを受け取ることができなくなる。その結果、前記蓄冷材を充填した蓄冷器を組み込んだ冷凍機では極低温に到達させることができない問題があった。
【0006】
そこで、最近では前記蓄冷器の極低温での復熱特性を向上し、より絶対零度に近い冷凍温度を実現するために、特に20K以下の極低温域において体積比熱の極大値を有し、かつその値が大きなErNi,ErNi,HoCuなどのように希土類元素と遷移金属元素とから成る金属間化合物を主体とした磁性蓄冷材が使用されている。このような磁性蓄冷材をGM冷凍機に用いることにより、4Kでの冷凍が実現されている。
【0007】
上記のような冷凍機を各種冷却システムに現実に応用することが検討されるに伴って、より大規模な冷却対象物を安定に冷却する必要性から、冷凍機には、より一層の冷凍能力の向上が求められている。
【0008】
このような技術的要請に対応するために、従来一般的に用いられてきた金属系磁性蓄冷材の一部を、希土類元素を含有するGdAlOなどの酸化物系磁性蓄冷材に置換することにより、蓄冷材全体の比熱特性を制御して冷凍能力を向上させる試みもなされている。
【0009】
上記のような磁性蓄冷材は、冷媒としてのHeガスの流れを円滑にし、Heガスとの熱交換効率を高め、かつ、その効率を安定に維持するために、通常は直径が0.1〜0.5mm程度と粒径が揃った球状粒子に加工して用いられている。特に磁性蓄冷材(粒子状蓄冷物質)が希土類元素を含む金属間化合物である場合には、遠心噴霧法などを用いた加工法によって球状に加工されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記酸化物系磁性蓄冷材においては、酸化物の融点が高いために、従来の金属系磁性蓄冷材のように遠心噴霧法によって球状に加工することが不可能である。そこで酸化物系蓄冷材では、微細な原料粉を適当な大きさに造粒した後に焼結する方法により球形に近い形状に加工されている。
【0011】
また、スターリング冷凍機やパルスチューブ冷凍機などのように高速運転を行う冷凍機においては、球状の磁性蓄冷粒子を充填した蓄冷器での圧力損失が大きくなり、十分な冷凍能力が実現できない問題点があった。またGM冷凍機などにおいては、冷凍機の運転中に作用する高圧ヘリウムガスの圧力振動や各種応力や衝撃力によって磁性体粒子が損傷したり微粉化して冷媒ガスの通気抵抗を高め、熱交換効率が急激に低下するなどの不具合が発生し易い難点があった。
【0012】
特に、GM冷凍機の場合には、さらにディスプレーサ(冷媒圧縮用ピストン)の往復運動による応力が蓄冷材に作用し、影響が大きい。また、冷凍機の始動時には、室温付近から4K付近の極低温温度まで短時間に温度が降下するため、大きな熱衝撃が蓄冷材に作用する。
【0013】
ところが、一般に酸化物は極端な脆性を示し、機械的強度が十分ではなく、また熱衝撃にも弱いため、冷凍機の運転中に酸化物系蓄冷材が破壊したり、蓄冷材表面の一部が剥離したりして、微粉を発生させる。この微粉は冷凍機のシール部を損傷するため、結果として冷凍機の能力を著しく低下させる問題点がある。
【0014】
そこで酸化物系蓄冷材の機械的強度を改善するために、蓄冷材粒子の結晶組織を微細にすることも試行されている。しかしながら、結晶組織が微細になると、熱抵抗となる結晶粒界が多くなり、蓄冷材の熱伝導性が損われる。そして熱伝導性が低下すると、冷凍サイクルにおける蓄冷材と冷媒ガスとしてのHeガスとの熱交換が不十分となり、蓄冷材粒子の内部まで蓄冷機能が十分に発揮されないため、冷凍効率が低下してしまう問題点があった。
【0015】
また、特に前記のように微細な酸化物原料粉を造粒した後に焼結する方法により製造された酸化物系蓄冷材においては、原料成分が溶解しているわけではないため、完全に緻密な蓄冷材粒子にすることは困難である。すなわち、粒子表面に微小な亀裂を生じた粒子,段差などにより表面が粗い粒子、および内部に微小な空隙が形成された粒子などが数多く製造される。そのため、冷凍機運転中に作用する圧力振動や各種応力によって亀裂や段差や空隙などの欠陥部から破壊や微粉化を生じ易くなり、発生した微粉は冷凍機のシール部などの構成部品を損傷したり、冷凍能力を著しく低下させる問題点もあった。
【0016】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、特に高強度を有し、微粉化するおそれが少なく耐熱衝撃性および耐久性に優れ、低温度域において顕著な冷凍能力を発揮できる蓄冷材およびその蓄冷材を使用した蓄冷式冷凍機等を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る蓄冷材は、一般式:Gd 1−x 1−y (式中、RはCe,Pr,Nd,Sm,Tb,Dy,HoおよびErから選択される少なくとも1種の希土類元素を示し、AはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Al,Siから選択される元素を示し、x=0かつy=0の場合には少なくとも2種の元素が選択される一方、x≠0またはy≠0の場合には少なくとも1種の元素が選択され、BはZr,Nb,Mo,Ag,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W,Au,Biから選択される少なくとも1種の元素を示し、xは原子比で0≦x≦0.4、yは原子比で0≦y≦0.4を満足する。)で表わされる多数の酸化物磁性粒子から成る蓄冷材であって、この磁性粒子が造粒粒子の焼結体から成り、その焼結密度が86〜99.8%であり、上記磁性粒子を構成する結晶粒の等価円直径の平均値が0.3〜20μmであることを特徴とする。
【0018】
また、上記蓄冷材において、磁性粒子を構成する全結晶粒に対して、等価円直径が50μm以上である結晶粒の面積割合が10%以下であることが好ましい。
【0019】
さらに上記蓄冷材において、前記磁性粒子が焼結体から成り、その焼結密度が86〜99.8%であることが好ましい。また、前記磁性粒子が、その構成元素とは異なるY,Mg,Al,Caおよび希土類元素の少なくとも1種を酸化物換算で0.5〜15重量%含有することが好ましい。
【0020】
さらに上記蓄冷材において、上記磁性粒子表面に長さ10μm以上の亀裂が2個以上存在している磁性粒子の全磁性粒子に対する割合が20%以下であることが好ましい。
【0021】
また、上記蓄冷材において、上記磁性粒子の表面粗さの最大高さが10μm以上である磁性粒子の全磁性粒子に対する割合が30%以下であることが好ましい。
【0022】
さらに、上記蓄冷材において、磁性粒子内部に最大幅が20μm以上の空隙が存在している磁性粒子の全磁性粒子に対する割合が40%以下であることが好ましい。
【0023】
また、上記蓄冷材において、上記磁性粒子がシリコン,ナトリウムおよび鉄を合計で3ppm〜2重量%含有するように規制することが好ましい。
【0024】
さらに上記蓄冷材において、磁性粒子が、一般式:Gd1−x1−y(式中、RはCe,Pr,Nd,Sm,Tb,Dy,HoおよびErから選択される少なくとも1種の希土類元素を示し、AはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Al,Siから選択される元素を示し、x=0かつy=0の場合には少なくとも2種の元素が選択される一方、x≠0またはy≠0の場合には少なくとも1種の元素が選択され、BはZr,Nb,Mo,Ag,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W,Au,Biから選択される少なくとも1種の元素を示し、xは原子比で0≦x≦0.4、yは原子比で0≦y≦0.4を満足する。)で表わされる酸化物磁性粒子から成ることが好ましい。
【0025】
また、上記蓄冷材において、磁性粒子が、4.0〜5.0Kの温度域での比熱が0.3J/Kcm以上である特性、4.5〜5.5Kの温度域での比熱が0.35J/Kcm以上である特性および5.5〜6.0Kの温度域での比熱が0.4J/Kcm以上である特性の少なくとも1つの特性を有する酸化物磁性粒子から成ることが好ましい。
【0026】
本発明に係る蓄冷材の製造方法は、一般式:Gd 1−x 1−y (式中、RはCe,Pr,Nd,Sm,Tb,Dy,HoおよびErから選択される少なくとも1種の希土類元素を示し、AはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Al,Siから選択される元素を示し、x=0かつy=0の場合には少なくとも2種の元素が選択される一方、x≠0またはy≠0の場合には少なくとも1種の元素が選択され、BはZr,Nb,Mo,Ag,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W,Au,Biから選択される少なくとも1種の元素を示し、xは原子比で0≦x≦0.4、yは原子比で0≦y≦0.4を満足する。)で表わされる組成を有し、平均粒径が0.3〜30μmの酸化物粉末を造粒して造粒粒子を形成し、得られた造粒粒子を加圧処理することにより、球状の緻密化粒子を調製し、得られた緻密化粒子を焼結処理し焼結密度を86〜99.8%にすると共に、上記磁性粒子を構成する結晶粒の等価円直径の平均値を0.3〜20μmとすることにより多数の磁性粒子から成る蓄冷材を調製することを特徴とする。
【0027】
上記造粒法による製造方法において、造粒粒子の加圧処理は冷間静水圧(CIP)加圧処理であることが好ましく、また前記焼結処理が熱間静水圧(HIP)加圧処理であることが好ましい。また、前記酸化物粉末に対してバインダを5〜30重量%添加して造粒することが好ましい。
【0028】
また本発明に係る蓄冷材の他の製造方法は、酸化物粉末を、熱プラズマ中を通過せしめて溶融させ、溶融液の表面張力により球状化した状態で凝固させることにより、多数の磁性粒子から成る蓄冷材を調製することを特徴とする。
【0029】
また、上記熱プラズマ法による蓄冷材の製造方法において、熱プラズマ中を通過させることにより球状化した磁性粒子を、さらに500℃以上の温度で熱処理することが好ましい。さらに、熱処理温度が1200〜1700℃であることが望ましい。
【0030】
また、本発明に係る冷凍機は、蓄冷器の上流高温側から冷媒ガスを流して上記冷媒ガスと蓄冷器に充填した蓄冷材との熱交換によって蓄冷器の下流側にて、より低温度を得る冷凍機において、上記蓄冷器に充填された蓄冷材の少なくとも一部が上記本発明の蓄冷材であることを特徴とする。
【0031】
また、上記蓄冷器の高温側に、従来の非酸化物系蓄冷材を充填する一方、蓄冷器の低温側に本発明に係る酸化物系蓄冷材を充填することにより、蓄冷器における比熱分布を好適に調整することが可能になる。上記非酸化物系蓄冷材としては、特に限定されるものではなく、Pb,HoCu,ErNiなどが使用できる。
【0032】
さらに、本発明に係るMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、磁気浮上列車用超電導磁石、クライオポンプおよび磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも上記した本発明に係る冷凍機を具備することを特徴としている。
【0033】
本発明に係る蓄冷材は、20K以下の極低温領域において比熱ピークを有する酸化物を主体とする多数の磁性粒子から構成される。この磁性粒子を構成する酸化物としては、例えば下記一般式(1),(2),(3),(4)で示す組成物が好適に使用できる。
【0034】
すなわち、一般式:RMO ……(1)
(但し、Rは、Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,TmおよびYbから選択される少なくとも1種の希土類元素であり、Mは3B族元素から選択される少なくとも1種の元素である。)で表わされるペロブスカイト系酸化物;
一般式:AB ……(2)
(但し、Aは、2B族元素から選択される少なくとも1種の元素であり、Bは少なくともCrを含む遷移金属元素である。)で表わされるスピネル系酸化物;および
一般式:CD ……(3)
(但し、CはMnおよびNiから選択される少なくとも1種の元素であり、DはNbおよびTaから選択される少なくとも1種の元素である。)で表わされる酸化物などが好適に用いられる。上記酸化物のうち、GdAlOは約3.9Kの低温度域で極めて急峻で大きな比熱ピークを有するため、好ましいものとされていたが、4K以上の高温度側での比熱は小さい難点があった。そのため、大きな比熱ピークを有する割には、4.2Kでの冷凍能力の向上は不十分であった。
【0035】
そこで本発明では、従来のGdAlOなる組成を有する蓄冷材と比較して、より高温側で高い比熱ピークを有する蓄冷材として下記一般式(4)に示す組成を有する蓄冷材を提案している。
【0036】
すなわち、一般式:Gd1−x1−y……(4)
(式中、RはCe,Pr,Nd,Sm,Tb,Dy,HoおよびErから選択される少なくとも1種の希土類元素を示し、AはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Al,Siから選択される元素を示し、x=0かつy=0の場合には少なくとも2種の元素が選択される一方、x≠0またはy≠0の場合には少なくとも1種の元素が選択され、BはZr,Nb,Mo,Ag,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W,Au,Biから選択される少なくとも1種の元素を示し、xは原子比で0≦x≦0.4、yは原子比で0≦y≦0.4を満足する。)で表わされる酸化物磁性粒子から成る蓄冷材を使用することが好ましい。
【0037】
また、本発明に係る蓄冷材において、磁性粒子が、4.0〜5.0Kの温度域での比熱が0.3J/Kcm以上である特性、4.5〜5.5Kの温度域での比熱が0.35J/Kcm以上である特性および5.5〜6.0Kの温度域での比熱が0.4J/Kcm以上である特性の少なくとも1つの特性を有する酸化物磁性粒子から成ることが好ましい。
【0038】
本発明者らが種々の比熱特性を有する蓄冷材を冷凍機に充填して冷凍試験を実施した結果、4Kにおける冷凍能力を向上させるためには、特に上記した3温度域における比熱特性の少なくともひとつを満足することが好ましいことが判明している。上記の内の2つの比熱特性を満足することが好ましいが、さらに全ての比熱特性を満足することが、より好ましい。
【0039】
前記一般式:Gd1−x1−y ……(4)
において、x=0かつy=0のときの一般式はGdAOで表わされるが、このGdAOについてA成分が単一の元素のみである場合には、一般的に極低温域に比熱ピークを有する磁性粒子が得られる一方、前記のように4〜6Kの温度域においては大きな比熱ピークを示すことが少ない。そのため、x=0かつy=0の場合には、A成分として少なくとも2種の元素が選択される。一方、Gdの一部を他の希土類元素で置換するか、あるいはA成分の一部を他の元素で置換することにより、比熱特性を調整し、高性能な蓄冷材としている。
【0040】
また、上記一般式:Gd1−x1−yにおいて、R成分はCe,Pr,Nd,Sm,Tb,Dy,HoおよびErから選択される少なくとも1種の希土類元素であり、急峻な比熱ピークをブロードしたり、ピーク温度位置を制御するために有効な成分であり、Gdの一部を置換するように添加される。R成分の置換量を示す添加比率xが0.4を超えると比熱が小さくなる。上記R成分のうち、Tb,Dy,Ho,Erが好ましく、さらにはTb,Dyがさらに好ましい。
【0041】
また、A成分はTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Al,Siから選択される元素を示し、比熱ピークを制御する効果を有する。そして、x=0かつy=0の場合には少なくとも2種の元素が選択される一方、x≠0またはy≠0の場合には少なくとも1種の元素が選択されるため、GdAO系におけるGdまたはA成分の一部が必ず他の元素で置換されることになる。上記A成分元素としては、Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Ga,Alが好ましく、さらにはCr,Mn,Fe,Co,Ni,Ga,Alがより好ましい。
【0042】
さらに、B成分は上記A成分の一部を置換することにより、(Gd1−x)原子間の距離を調整するなどの作用により比熱特性を改善する元素である。B成分はZr,Nb,Mo,Ag,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W,Au,Biから選択される少なくとも1種の元素を示す。このB成分元素としては、Zr,Nb,Mo,Sn,Ta,Wが好ましく、さらにはTa,Wがより好ましい。このB成分の添加量を示す比率yが0.4を超えるとペロブスカイト構造を維持することが困難になり、磁性粒子から成る蓄冷材の比熱特性が低下してしまう。
【0043】
また前記一般式:Gd1−x1−yにおける酸素の原子比については、原子の欠陥などにより、化学量論比である3からずれる場合がある。しかしながら、酸素の原子比が2.5〜3.5の範囲内であれば、比熱特性に大きな影響を与えることはない。
【0044】
本発明に係る蓄冷材を構成する磁性粒子の結晶粒の等価円直径の平均値は0.3〜20μmの範囲とされる。ここで図16に示すように、上記結晶粒の等価円直径Dは、磁性粒子の表面組織または断面組織を観察した場合に結晶粒2の露出面積または断面積に等しい面積Aを有する正円の直径Dとして定義される。平均値は任意の結晶粒100個の等価円直径の平均とする。
【0045】
なお、本発明の蓄冷材は酸化物を主体とした磁性粒子から構成されているため、磁性粒子の断面組織を観察するために、磁性粒子を研磨すると、粒界相が研磨剤で潰されてしまうため、結晶粒の境界が不鮮明になり、結晶粒の等価円直径の測定が困難になる場合がある。その場合においても、磁性粒子の表面組織に表われた結晶粒の大きさを測定することが可能である。
【0046】
そして、上記結晶粒の等価円直径の平均値が0.3μm未満の場合には、熱抵抗となる結晶粒界が多くなり、粒子の熱伝導性が損われるため好ましくない。一方、結晶粒の等価円直径の平均値が20μmを超えると、粒子の機械的強度が不十分となる。したがって、結晶粒の等価円直径の平均値は0.3〜20μmの範囲とされるが、0.5〜10μmの範囲がより好ましく、さらには1〜7μmの範囲がより好ましい。
【0047】
また、本発明に係る蓄冷材において、等価円直径が50μm以下である結晶粒の面積割合は10%以下とすることが好ましい。この面積割合が10%を超えると、冷凍機の始動時に発生する急激な温度降下に伴う熱衝撃により、磁性粒子に亀裂が発生して粒子が破壊し易くなる。この現象は以下のような理由によって生起するものと推測される。すなわち、50μmを超える等価円直径を有する大きな結晶粒の急激な収縮を、結晶組織全体で吸収して緩和しきれず、亀裂が発生し易くなるためと考えられる。
【0048】
等価円直径が50μm以上である結晶粒の面積率のより好ましい範囲は5%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。また、等価円直径が40μm以上である結晶粒の面積割合が10%以下である方がより好ましく、さらには等価円直径が30μm以上である結晶粒の面積割合が10%以下であることが好ましい。
【0049】
上記結晶粒の大きさは、原料成形体の焼結温度,焼結時間,昇温速度,焼結後の冷却速度,不純物含有量などの各種の製造条件を制御することにより調整できる。しかしながら、これらの製造条件は複雑に相互に影響し合う上に、焼結炉などの装置に固有の因子なども影響するため、製造条件を単純に規定することは困難である。
【0050】
しかしながら、一般的には、焼結温度を高く、また焼結時間を長くすると、結晶粒は大きくなる傾向がある。同様に、焼結時の昇温速度および焼結後の冷却速度をともに小さくするほど、結晶粒は成長し粗大化する。また不純物は結晶の核を発生する一要因となるものであり、不純物含有量が少ないほど結晶粒は大きくなり易い。
【0051】
上記のような蓄冷材の結晶粒径の測定および評価は、粒子の表面組織または結晶組織断面を走査型電子顕微鏡(SEM)などで観察して得た組織図を画像処理することにより実施できる。
【0052】
本発明に係る蓄冷材が造粒粉の焼結体から成る磁性粒子で構成される場合において、磁性粒子の焼結密度(相対密度)は86〜99.8%の範囲とすることが好ましい。上記焼結密度が86%未満の場合には磁性粒子の機械的強度が不十分となるとともに、蓄冷器への充填量が低下するために好ましくない。一方、上記焼結密度が99.8%を超えると、冷凍機の始動時の急激な温度降下による熱衝撃によって粒子に亀裂が発生し易くなり好ましくない。より好ましい焼結密度は95〜99.8%であり、さらに好ましくは、98〜99.8%である。一方、蓄冷材が熱プラズマ法によって形成された磁性粒子である場合には、磁性粒子の密度は99〜100%に達する。
【0053】
上記蓄冷材を構成する磁性粒子が、その構成元素とは異なるY,Mg,Al,Caおよび希土類元素の少なくとも1種を酸化物換算で0.5〜15重量%含有することが好ましい。
【0054】
磁性粒子を構成する主相の酸化物は、40K以下の極低温領域において特異的な比熱ピークを有し、蓄冷材としての機能を受け持っている。主相の構成元素とは異なるY,Mg,Al,Caおよび希土類元素の少なくとも1種が酸化物換算で0.5〜15重量%含有されることにより、上記酸化物の焼結体を、より緻密化できる。各磁性粒子を緻密化することにより、機械的強度が高く、熱衝撃性が優れた複合酸化物から成る磁性蓄冷材が実現できる。
【0055】
上記磁性粒子の主相の構成元素と異なるY,Mg,Al,Caおよび希土類元素の少なくとも1種を含む添加成分は、酸化物の状態で添加されるのが一般的であるが、酸化物には限定されず、炭化物や窒化物などの化合物として添加してもよい。上記添加成分のうち、特にY,Ce,Mg,Caが緻密化効果を得るために好ましい。
【0056】
上記Yなどの添加成分の添加量が、酸化物換算で0.5重量%未満では、焼結体を緻密化する効果が少ない。一方、添加量が15重量%を超えると、磁性粒子を構成する主相の比率が相対的に低下し蓄冷効果が損われる。したがって添加量は0.5〜15%重量とされるが、より好ましい範囲は、酸化物換算で1〜10重量%の範囲である。さらに好ましくは2〜7重量%の範囲である。
【0057】
また、酸化物を主体とする多数の磁性粒子から成る本発明の蓄冷材において、上記磁性粒子表面に長さ10μm以上の亀裂が2個以上存在している磁性粒子の全磁性粒子に対する割合は20%以下とすることが好ましい。
【0058】
蓄冷材を構成する磁性粒子表面に複数の亀裂が存在すると、冷凍機運転中に作用する振動や衝撃力によって亀裂が進展し易く、粒子が破壊する可能性が高くなる。具体的には、磁性粒子表面に長さが10μm以上の亀裂が2個以上存在する磁性粒子の存在比率(個数比)が20%を超えると、粒子の破壊割合が増加する。その結果、発生した微粉が冷凍機のシール部等を損傷せしめ、冷凍機の性能を著しく低下させる。
【0059】
したがって長さが10μm以上の亀裂が2個以上存在する粒子の存在比率は20%以下とすることが好ましいが、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは5%以下が望ましい。また測定対象とする亀裂は、長さ5μm以上の亀裂とすることがより好ましく、さらには長さ3μm以上の亀裂を測定対象とすることが望ましい。
【0060】
また、酸化物を主体とする多数の磁性粒子から成る蓄冷材であり、上記磁性粒子の表面粗さの最大高さが10μm以上である磁性粒子の全磁性粒子に対する割合は30%以下と規定することが好ましい。
【0061】
磁性粒子の表面粗さが大きい場合には、突起や段差が形成された部分で応力集中が起き易く、その応力集中部を起点として粒子が破壊してしまう。その現象を防止するため、表面粗さの程度を示す最大高さが10μm以上である磁性粒子の割合は30%以下とされる。上記最大高さが10μm以上である粒子割合が20%以下であることが好ましく、さらには10%以下であることがより望ましい。また評価対象とする表面粗さの最大高さは5μm以上とすることが好ましく、さらには3μm以上とすることがより望ましい。なお上記表面粗さは、電子顕微鏡などの観察手段によって表面組織を撮影し、得られた表面組織の断面曲線から、日本工業規格(JIS−B0601)に準拠して測定することができる。
【0062】
さらに、酸化物を主体とする多数の磁性粒子から成る本発明の蓄冷材において、上記磁性粒子内部に最大幅が20μm以上の空隙が存在している磁性粒子の全磁性粒子に対する割合は40%以下と規定することが好ましい。
【0063】
なお、上記空隙の最大幅は、磁性粒子の断面に表われた空隙の断面形状を囲む最小面積の四角形の短辺の長さとして測定される。
【0064】
磁性粒子の内部に空隙が形成された場合においても、粒子の機械的強度が低下し、冷凍機運転中に粒子が破壊し易くなる。そのため粒子内部に最大幅が20μm以上の空隙が存在する粒子の割合は40%以下とすることが好ましいが、30%以下がより好ましく、20%以下がさらに望ましい。また、測定対象とする空隙の幅は5μm以上とすることが好ましく、さらには3μm以上とすることが、より好ましい。
【0065】
以上のような亀裂、表面粗さの最大高さおよび空隙などの欠陥を有する粒子の比率を測定する方法は特に限定されるものではないが、例えば以下のような方法で測定できる。すなわち、多数の磁性粒子から成る蓄冷材から、無作為に抽出した20個以上の磁性粒子について、電子顕微鏡などの観測手段を用いて、亀裂,最大高さ,空隙などの欠陥状況を観察し、欠陥を有する粒子割合を算出する方法が採用できる。ここで、欠陥を有する粒子比率をより高精度にするために、観察対象とする粒子数は50個以上であることが好ましく、さらに100個以上であることが、より望ましい。
【0066】
ここで上記亀裂を観察する場合には、各粒子の片側表面のみを観察すれば足りる。すなわち、ある視野で粒子群を観察したときに、各粒子の影となる反対側の表面は考慮する必要はない。一方、磁性粒子の表面粗さや内部欠陥を測定する場合には、対象となる磁性粒子を樹脂などの基材に埋め込んだ後に、基材表面を研磨して粒子断面を露出させて顕微鏡で観察する方法が好適である。この場合、磁性粒子の平均直径の80〜120%に相当する直径を有する粒子断面を測定対象とする。
【0067】
また、酸化物を主体とする多数の磁性粒子から成る本発明の蓄冷材において、上記磁性粒子がシリコン,ナトリウムおよび鉄を合計で3ppm〜2質量%含有するように構成することも好ましい。
【0068】
本願発明者は、焼結体に含まれる微量の粒界析出物が焼結体の強度に大きな影響を及ぼすことに着目した。さらに鋭意研究を重ねた結果、けい素(Si),ナトリウム(Na)および鉄(Fe)の酸化物などの化合物が粒界に多量に析出したときに、焼結体の強度が低下してしまうという知見を得た。すなわち。Si,Na,Feの合計含有量が2質量%を超えると、蓄冷材としての強度が低下してしまうという知見を得た。
【0069】
一方、Si,Na,Feの合計含有量が3ppm未満になると、結晶成長を抑制する析出物が極端に減少し、結晶粒が粗大化する。そして結晶粒が粗大化すると磁性粒子の機械的強度が低下するとともに、熱衝撃特性も劣化する。
【0070】
したがって、Si,Na,Feの合計含有量は3ppm〜2質量%の範囲に規定することが好ましいが、10ppm〜1質量%の範囲が好ましく、さらには50〜5000ppmの範囲がさらに望ましい。但し、前記(4)式に示す一般式において、A成分としてSiおよびFeの少なくとも1種が選択された場合には、その元素量を除いた合計含有量とする。
【0071】
本発明に係る蓄冷材の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば原料粉末をボールミルなどを用いて混合して原料混合体を調製し、得られた原料混合体を転動造粒法,攪拌造粒法,押し出し法,噴霧法(スプレー法)またはプレス成形法などにより球状に成形(造粒)した後に、得られた球状成形体を焼結することにより製造できる。
【0072】
上記製造方法で使用される原料粉末は、0.3〜30μmの粒径を有する粉末であることが望ましい。より好ましい粒径範囲は0.4〜10μmであり、さらには0.5〜8μmの粒径範囲がさらに好ましい。
【0073】
なお、前記転動造粒法,攪拌造粒法,押し出し法,噴霧法(スプレー法)などの各種造粒法で成形された粒子は、成形密度が低く、そのまま焼結した場合に良好な焼結体になり難い場合がある。
【0074】
そこで本願発明では次のような製造方法をも採用する。
【0075】
すなわち、酸化物粉末を造粒して造粒粒子を形成し、得られた造粒粒子を冷間静水圧(CIP)加圧処理することにより、球状の緻密化粒子を調製し、得られた緻密化粒子を焼結処理することにより多数の磁性粒子から成る蓄冷材を調製するような蓄冷材の製造方法を採用することもできる。
【0076】
上記製造方法において、焼結処理として熱間静水圧(HIP)加圧処理を実施してもよい。すなわち、造粒した粒子に冷間静水圧加圧(CIP)処理または熱間静水圧加圧(HIP)処理を実施することにより、成形体の密度をさらに向上させることができる。さらに、この高密度成形体を焼結することにより、高密度で割れや空隙が少ない磁性粒子が効果的に得られる。
【0077】
また、上記製造方法において、酸化物粉末に対してバインダを5〜30重量%添加して造粒することにより、成形密度をより高めることが可能である。
【0078】
上記バインダーとしては、水、エチルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸エステルなどが好適に使用できる。
【0079】
酸化物原料粉末に対するバインダーの添加量が5重量%未満と過少な場合には、粉末同士を高強度で結合して密度を高める効果が不十分となる。一方、添加量が30重量%を超えるように過量になると、成形体における酸化物粉末の比率が過度に低くなり、成形密度が低下してしまう。そのため、バインダーの添加量は5〜30重量%の範囲に規定される。
【0080】
添加されたバインダーは、造粒後に成形体の脱脂処理により除去され、さらに脱脂成形体を焼結することにより、本願発明に係る蓄冷材が調製される。
【0081】
球状の磁性粒子を調製する方法として、前記のように原料粉末を転動造粒法などにより球状に造粒した後に焼結する方法の他に、次のような熱プラズマを利用して球状化する方法も採用できる。
【0082】
すなわち、所定組成の酸化物粒子を、造粒した後に熱プラズマ中を通過せしめて溶融させ、溶融液の表面張力により球状化した状態で凝固させることにより、多数の磁性粒子から成る蓄冷材を調製するような蓄冷材の製造方法も採用できる。
【0083】
また、前記酸化物粒子の造粒方法は、特に限定されるものではなく、例えば、転動式,押出し式,噴霧(スプレー)式などの各種造粒法が用いられる。原料粉としては、平均粒径が0.3〜30μmの粉末が好適である。より好ましい原料粉の平均粒径は0.5〜20μmであり、さらに1〜10μmの範囲がより望ましい。
【0084】
ここで、熱プラズマとは高温気体が放電した状態を意味し、数MHzから数GHzの高周波電磁波または直流電流による気体の放電により発生させることができる。
【0085】
図3は熱プラズマ装置の構成を示す。この熱プラズマ装置80は、反応容器81と、高周波発信器82と、コイル83と、プラズマ発生部外囲筒86と、反応容器81の頂部にて発生したプラズマフレーム85に対向して開口する粉体供給口86と、粉体供給器87に貯留された反応容器81に搬送するキャリアガス供給ボンベ88と、プラズマ発生用ガス源89と、生成した粒子を分離するサイクロン90と、反応容器81を冷却する冷却ガス源91とを備えて構成される。
【0086】
上記熱プラズマ装置80において、高周波発信器82から発信された電磁波がコイル83によって増幅される一方、プラズマ発生用ガス源89から供給されたガスの放電により、反応容器81の頂部に高温度のプラズマフレーム85が形成される。このフレーム部85のガス温度は数千℃から約1万℃に達する。
【0087】
このような高温状態のプラズマフレーム85中に、キャリアガスと共に粉体供給器87から供給された酸化物粒子を投入すると、粒子全体または表面を含む一部が溶融する。溶融した原料粉はその表面張力により球状化する。そして、冷却ガス源91から供給された冷却ガスによって急冷凝固する。生成した球状の磁性粒子はサイクロン90によって分離回収される。このように少なくとも一部が溶融して球状化した状態で急冷凝固しているため、粒子表面に亀裂が発生せず、かつ表面が平滑で表面粗さが小さい上に、内部に空隙がない磁性粒子が得られる。
【0088】
しかしながら、上記熱プラズマ法によって球状化された磁性粒子は数千℃の高温状態から急冷されて製造されるため、原料組成や処理条件等によっては良好な比熱特性を発揮するプロブスカイト構造などの結晶構造や組織が得られず、アモルファス相(ガラス相)や目的と異なる結晶相が混在する複雑な組織形態になる場合がある。そのため、本来の比熱特性が得られず、冷凍能力が低下する問題を生じる。
【0089】
そこで本発明に係る蓄冷材の製造方法の一形態として、熱プラズマ中を通過させることにより球状化した磁性粒子を、さらに500℃以上の温度で熱処理することが好ましい。
【0090】
上記熱プラズマ中の高温状態から急冷されることにより生成したアモルファス相などの非平衡相や目的と異なる結晶相を有する磁性粒子を、500℃以上の温度で熱処理することにより、ペロブスカイト相などの目的とする結晶相に再合成させることが可能である。上記熱処理温度が500℃以下では結晶相の再合成の効果が不十分となる。なお、熱処理温度は高い方が好ましいが、磁性粒子の融点より50℃低い温度を超えると、磁性粒子の一部が溶融し始めるため、好ましくない。処理時間および熱処理炉の仕様の制約などの観点から、熱処理温度は1800℃以下が好ましい。この熱処理温度のより好ましい範囲は、1000〜1750℃であり、さらに好ましい温度範囲は1200〜1700℃である。熱処理時間は、特に限定されるものではないが、10分〜50時間の範囲とされる。また熱処理雰囲気は、空気または酸素が好ましい。
【0091】
本発明に係る蓄冷式冷凍機は、蓄冷材の少なくとも一部として、上記の蓄冷材を充填した蓄冷器を使用して構成される。なお、所定の冷却段の蓄冷器として、本発明に係る蓄冷材を充填した蓄冷器を装填する一方、他の蓄冷器として、その温度分布に応じた比熱特性を有する他のPb,HoCu,ErNiなどの蓄冷材を充填した蓄冷器を併用して構成してもよい。
【0092】
上記構成に係る蓄冷材によれば、磁性粒子の結晶粒の等価円直径,密度,添加物量(組成),不純物量,亀裂や空隙などの欠陥量を所定の範囲に規定しているため、機械的強度や熱伝導率が高く、耐熱衝撃性が優れており、微粉化のおそれも少ない。そのため、スターリング冷凍機やパルスチューブ冷凍機などの高速運転を行う冷凍機用の蓄冷材として使用した場合においても、圧力損失が小さく、長期間に亘り安定した冷凍特性を示す蓄冷材が得られる。そして、その蓄冷材を冷凍機の少なくとも一部の蓄冷材として使用することにより、冷凍能力が高く、かつ長期間に亘って安定した冷凍性能が維持できる冷凍機を提供することができる。
【0093】
そして、MRI装置、クライオポンプ、磁気浮上列車用超電導磁石、および磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも冷凍機性能が各装置の性能を左右することから、上述したような冷凍機を用いた本発明のMRI装置、クライオポンプ、磁気浮上列車用超電導磁石、および磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも長期間に亘って優れた性能を発揮させることができる。
【0094】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態について以下に示す実施例に基づいて具体的に説明する。
【0095】
実施例1
平均粒径1.5μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1500℃で12時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0096】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を温度1700℃で12時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例1に係る蓄冷材を製造した。
【0097】
得られた蓄冷材粒子の表面部および断面組織を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、図4〜図7に示す組織写真を得た。これらの組織写真に基づいて、画像解析したところ、結晶粒の等価円直径の平均値は3.3μmであった。
【0098】
なお転動造粒法によって製造した蓄冷材粒子は、図4〜図7に示すようにほぼ球状を呈しているが、表面部の粗さが大きく、内部には微小ではあるが多数の空隙が形成されている。
【0099】
次に上記のように調製した蓄冷材の特性を評価するため、図1に示すような2段膨張式GM冷凍機を用意した。なお、図1に示す2段式のGM冷凍機10は、本発明の冷凍機の一実施例を示すものである。図1に示す2段式のGM冷凍機10は、大径の第1シリンダ11と、この第1シリンダ11と同軸的に接続された小径の第2シリンダ12とが設置された真空容器13を有している。第1シリンダ11には第1蓄冷器14が往復動自在に配置されており、第2シリンダ12には第2蓄冷器15が往復動自在に配置されている。第1シリンダ11と第1蓄冷器14との間、および第2シリンダ12と第2蓄冷器15との間には、それぞれシールリング16,17が配置されている。
【0100】
第1蓄冷器14には、Cuメッシュ等の第1蓄冷材18が収容されている。第2蓄冷器15には、本発明の蓄冷器に使用される板状の極低温用蓄冷材が第2蓄冷材19として収容されている。第1蓄冷器14および第2蓄冷器15は、第1蓄冷材18や極低温用蓄冷材19の間隙等に設けられたHeガス等の作動媒質(冷媒ガス)の通路をそれぞれ有している。
【0101】
第1蓄冷器14と第2蓄冷器15との間には、第1膨張室20が設けられている。また、第2蓄冷器15と第2シリンダ12の先端壁との間には、第2膨張室21が設けられている。そして、第1膨張室20の底部に第1冷却ステージ22が、また第2膨張室21の底部に第1冷却ステージ22より低温の第2冷却ステージ23が形成されている。
【0102】
上述したような2段式のGM冷凍機10には、コンプレッサ24から高圧の作動媒質(例えばHeガス)が供給される。供給された作動媒質は、第1蓄冷器14に収容された第1蓄冷材18間を通過して第1膨張室20に到達し、さらに第2蓄冷器15に収容された極低温用蓄冷材(第2蓄冷材)19間を通過して第2膨張室21に到達する。この際に、作動媒質は各蓄冷材18,19に熱エネルギーを供給して冷却される。各蓄冷材18,19間を通過した作動媒質は、各膨張室20,21で膨張して寒冷を発生させ、各冷却ステージ22,23が冷却される。膨張した作動媒質は、各蓄冷材18,19間を反対方向に流れる。作動媒質は各蓄冷材18,19から熱エネルギーを受け取った後に排出される。こうした過程で復熱効果が良好になるに従って、作動媒質サイクルの熱効率が向上し、より一層低い温度が実現されるように構成されている。
【0103】
そして、前記のように調製した実施例1に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して実施例1に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0104】
なお本実施例における冷凍能力は、冷凍機運転時にヒータによって第2冷却段に熱負荷を作用させ、第2冷却段の温度上昇が4.2Kで停止したときの熱負荷で定義した。
【0105】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.76Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.74Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。
【0106】
比較例1
平均粒径30μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1500℃で12時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0107】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を温度1800℃で12時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る比較例1に係る蓄冷材を製造した。
【0108】
得られた蓄冷材粒子の断面組織を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、画像解析したところ、結晶粒の等価円直径の平均値は28μmと粗大であった。
【0109】
そして、上記のように調製した比較例1に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して比較例1に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0110】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.74Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.31Wまで低下しており、冷凍性能の低下が顕著であった。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したところ、粉々に破壊された粒子や微粉の発生が認められた。
【0111】
比較例2
平均粒径1μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1200℃で6時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0112】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を温度1700℃で3時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る比較例2に係る蓄冷材を製造した。
【0113】
得られた蓄冷材粒子の断面組織を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、画像解析したところ、結晶粒の等価円直径の平均値は0.2μmと過小であった。
【0114】
そして、上記のように調製した比較例2に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して比較例2に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0115】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.42Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.41Wであった。
【0116】
次に粗大な結晶粒の面積割合を規定した実施例を説明する。
【0117】
実施例2
平均粒径1.5μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1600℃で3時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0118】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を温度1700℃で12時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例2に係る蓄冷材を製造した。
【0119】
得られた蓄冷材粒子の断面組織を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、画像解析したところ、等価円直径が50μm以上である結晶粒は観察されなかった。また、断面組織において最も粗大な結晶粒の等価円直径は21μmであった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は3.8μmであった。
【0120】
そして、上記のように調製した実施例2に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して実施例2に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0121】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.70Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.69Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。したがって本実施例に係る蓄冷材によれば、4K領域の冷凍能力が高く、特性が安定した冷凍機を実現することが可能となった。
【0122】
比較例3
平均粒径20μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1500℃で12時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0123】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を温度1800℃で24時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る比較例3に係る蓄冷材を製造した。
【0124】
得られた蓄冷材粒子の断面組織を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、画像解析したところ、等価円直径が50μm以上である結晶粒の面積比が17%と過大であった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は24μmであった。
【0125】
そして、上記のように調製した比較例3に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して比較例3に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0126】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.75Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.28Wに低下しており、冷凍性能が大幅に低下することが確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したところ、粉々に破壊された粒子や微粉の発生が認められた。
【0127】
次に、磁性粒子の焼結密度を規定した実施例を説明する。
【0128】
実施例3
平均粒径2μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1400℃で6時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0129】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子をナイロン−ポリエチレンフィルム製の袋内に挿入し、袋内を真空排気した後に、袋の開口部を熱シールした。この状態で袋全体を600kgf/cmの圧力でCIP処理した。次に、CIP処理して緻密化した造粒粒子を温度1700℃で12時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例3に係る蓄冷材を製造した。
【0130】
得られた蓄冷材粒子の焼結密度を測定したところ、96.8%であった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、5.2μmであった。
【0131】
そして、上記のように調製した実施例3に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して実施例3に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0132】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.77Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.75Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。
【0133】
実施例4
平均粒径3μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1500℃で3時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0134】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、カルボキシルメチルセルロースを10重量%の割合で添加した後に、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を脱脂後、温度1700℃で4時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例4に係る蓄冷材を製造した。
【0135】
得られた蓄冷材粒子の焼結密度を測定したところ、97.8%であった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、3.6μmであった。
【0136】
そして、上記のように調製した実施例4に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して実施例4に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0137】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.74Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.74Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。したがって、本実施例に係る蓄冷材によれば、4K領域における冷凍能力が高く、特性が安定した冷凍機が実現可能となる。
【0138】
比較例4
平均粒径50μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて2時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1200℃で2時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0139】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて2時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を温度1400℃で3時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る比較例4に係る蓄冷材を製造した。
【0140】
得られた蓄冷材粒子の焼結密度を測定したところ、73.6%と過小であった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、51μmであった。
【0141】
そして、上記のように調製した比較例4に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して比較例4に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0142】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.62Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.24Wに低下することが確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したところ、粉々に破壊された粒子や微粉の発生が認められた。
【0143】
比較例5
平均粒径1μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1500℃で6時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0144】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子をナイロン−ポリエチレンフィルム製の袋内に挿入し、袋内を真空排気した後に、袋の開口部を熱シールした。この状態で袋全体を800kgf/cmの圧力でCIP処理した。次に、CIP処理して緻密化した造粒粒子を温度1800℃で6時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る比較例5に係る蓄冷材を製造した。
【0145】
得られた蓄冷材粒子の焼結密度を測定したところ、99.7%と過大であった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、23μmであった。
【0146】
そして、上記のように調製した比較例5に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して比較例5に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0147】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.73Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.42Wと低下した。特に蓄冷材に亀裂の発生が多く、経時的に冷凍能力が低下することが判明した。
【0148】
次に添加物としてイットリアを添加した蓄冷材の実施例を説明する。
【0149】
実施例5
平均粒径2μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1500℃で6時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0150】
次に得られた焼結体に平均粒径が0.8μmのY粉末を3重量%添加した後に、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を温度1700℃で6時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例5に係る蓄冷材を製造した。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、3.6μmであった。
【0151】
そして、上記のように調製した実施例5に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して実施例5に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0152】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.74Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.73Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。したがって、本実施例に係る蓄冷材によれば、4K領域における冷凍能力が高く、特性が安定した冷凍機が実現可能となる。
【0153】
実施例6
平均粒径2μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1500℃で6時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0154】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を温度1700℃で6時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例6に係る蓄冷材を製造した。結晶粒の等価円直径の平均値は、3.3μmであった。
【0155】
そして、上記のように調製した実施例6に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して実施例6に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0156】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.73Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.60Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。
【0157】
次に熱プラズマ法によって球状化した蓄冷材の実施例を説明する。
【0158】
実施例7
平均粒径3μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1500℃で6時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0159】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を図3に示す熱プラズマ装置で発生したプラズマフレーム中に供給して溶融せしめ、さらに球状状態のまま急冷凝固させることにより、ほぼ球状の磁性粒子を調製し、さらに大気中で1700℃で2時間の熱処理を実施することにより実施例7に係る蓄冷材を製造した。
【0160】
得られた球状の蓄冷材粒子から200個の粒子を無作為に抽出し、走査型電子顕微鏡(SEM)で表面状態を観察したところ、粒子表面に長さ10μm以上の亀裂が2個以上ある粒子が5個あり、その存在割合は2.5%であった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、6.4μmであった。
【0161】
そして、上記のように調製した実施例7に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して実施例7に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0162】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.72Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.71Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。
【0163】
実施例8
平均粒径3μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1500℃で6時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0164】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を温度1700℃で6時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例8に係る蓄冷材を製造した。
【0165】
得られた球状の蓄冷材粒子から200個の粒子を無作為に抽出し、走査型電子顕微鏡(SEM)で表面状態を観察したところ、粒子表面に長さ10μm以上の亀裂が2個以上ある粒子が56個あり、その存在割合は28%であった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、3.1μmであった。
【0166】
そして、上記のように調製した実施例8に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して実施例8に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0167】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.73Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.61Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。
【0168】
実施例9
平均粒径8μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1500℃で6時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0169】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を図3に示す熱プラズマ装置で発生したプラズマフレーム中に供給して溶融せしめ、さらに球状状態のまま急冷凝固させることにより、ほぼ球状の磁性粒子を調製し、さらに得られた球状粒子を大気中で1700℃で2時間の熱処理を実施することにより実施例9に係る蓄冷材を製造した。
【0170】
得られた球状の蓄冷材粒子から200個の粒子を無作為に抽出し、各粒子を透明な樹脂に埋め込み、さらに各粒子の断面が露出するまで研磨した。そして、各粒子の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で表面状態を観察したところ、粒子の表面粗さの最大高さが10μm以上である粒子が4個存在し、その存在割合は2%であった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、5.4μmであった。
【0171】
そして、上記のように調製した実施例9に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して実施例9に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0172】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.73Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.72Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。
【0173】
実施例10
平均粒径8μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1500℃で6時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0174】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を温度1700℃で6時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例10に係る蓄冷材を製造した。
【0175】
得られた蓄冷材粒子から200個の粒子を無作為に抽出し、各粒子を透明な樹脂に埋め込み、さらに各粒子の断面が露出するまで研磨した。そして、各粒子の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、粒子の表面粗さの最大高さが10μm以上である粒子が70個存在し、その存在割合は35%であった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、8.5μmであった。
【0176】
そして、上記のように調製した実施例10に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して実施例10に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0177】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.71Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.59Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。
【0178】
次に熱プラズマ法によって調製した磁性粒子に対して熱処理を行った場合の効果について以下の実施例に基づいて説明する。
【0179】
実施例11
平均粒径8μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1500℃で6時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0180】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を図3に示す熱プラズマ装置で発生したプラズマフレーム中に供給して溶融せしめ、さらに球状状態のまま急冷凝固させることにより、ほぼ球状の磁性粒子を調製し、さらに得られた球状粒子を大気中で温度1700℃で2時間熱処理を実施することにより、表面性状が良好な磁性粒子から成る実施例11に係る蓄冷材を製造した。
【0181】
得られた球状の蓄冷材粒子から200個の粒子を無作為に抽出し、各粒子を透明な樹脂に埋め込み、さらに各粒子の断面が露出するまで研磨した。そして、各粒子の表面部および断面組織を走査型電子顕微鏡(SEM)で表面状態を観察したところ、図8〜図11に示す組織写真が得られた。これらの組織写真に基づいて形状分析を行った結果、粒子の表面粗さの最大高さが10μm以上である粒子は存在しなかった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、6.6μmであった。
【0182】
そして、上記のように調製した実施例11に係る蓄冷材50gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の最低温側に充填する一方、その高温側には150gのHoCu蓄冷材を充填するとともに、さらにその高温側にPb製蓄冷材を200g充填して実施例11に係る冷凍機を組み立て1Hzの運転周波数で冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0183】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.86Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.85Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。
【0184】
実施例12
実施例11において熱プラズマ法によって球状化した磁性粒子に対して熱処理を実施せずに、そのまま実施例12に係る蓄冷材とした。
【0185】
得られた蓄冷材粒子から200個の粒子を無作為に抽出し、各粒子を透明な樹脂に埋め込み、さらに各粒子の断面が露出するまで研磨した。そして、各粒子の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、粒子の表面粗さの最大高さが10μm以上である粒子が2個存在し、その存在割合は1%であった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、5.2μmであった。
【0186】
そして、上記のように調製した実施例12に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の最低温側に充填する一方、その高温側には150gのHoCu蓄冷材を充填するとともに、さらにその高温側にPb製蓄冷材を200g充填して実施例12に係る冷凍機を組み立て実施例11と同様に冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0187】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.41Wが得られた。すなわち実施例11と実施例12との比較で明らかなように、熱プラズマ法によって球状化した磁性粒子に対して、さらに熱処理を施すことにより、粒子組織中に生成していたアモルファス相などの非平衡相がペロブスカイト相などの比熱特性に優れた結晶相へと再合成されるため、4K領域の冷凍能力が高く、冷凍能力が飛躍的に改善されることが判明した。
【0188】
次に空隙を有する粒子の存在割合を規定した蓄冷材の実施例を説明する。
【0189】
実施例13
平均粒径6μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1200℃で6時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0190】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を図3に示す熱プラズマ装置で発生したプラズマフレームの端部に供給して溶融せしめ、さらに球状状態のまま凝固させることにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例13に係る蓄冷材を製造した。
【0191】
得られた蓄冷材粒子から200個の粒子を無作為に抽出し、各粒子を透明な樹脂に埋め込み、さらに各粒子の断面が露出するまで研磨した。そして、各粒子の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、粒子内部に最大幅20μm以上の空隙がある粒子が34個存在し、その存在割合は17%であった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、6.5μmであった。
【0192】
そして、上記のように調製した実施例13に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して実施例13に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0193】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.72Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.72Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。
【0194】
実施例14
平均粒径6μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1200℃で6時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0195】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を温度1600℃で5時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例14に係る蓄冷材を製造した。
【0196】
得られた蓄冷材粒子から200個の粒子を無作為に抽出し、各粒子を透明な樹脂に埋め込み、さらに各粒子の断面が露出するまで研磨した。そして、各粒子の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、粒子内部に最大幅20μm以上の空隙がある粒子が84個存在し、その存在割合は42%であった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、6.1μmであった。
【0197】
そして、上記のように調製した実施例14に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して実施例14に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0198】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.71Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.58Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。
【0199】
次に添加物としてのSi,Na,Feの含有量を規定した蓄冷材の実施例を説明する。
【0200】
実施例15
Si,Na,Feの合計含有量が230ppmであり、平均粒径が1μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて4時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1400℃で3時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0201】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて3時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を温度1700℃で6時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例15に係る蓄冷材を製造した。以上の製造工程はクリーンルーム内で実施した。
【0202】
得られた蓄冷材粒子におけるSi,NaおよびFeの合計含有量をICP法により分析したところ、540ppmであった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、1.5μmであった。
【0203】
そして、上記のように調製した実施例15に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して実施例15に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0204】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.68Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.65Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。
【0205】
実施例16
Si,Na,Feの合計含有量が2.3重量%であり、平均粒径が1μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて4時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1400℃で3時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0206】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて3時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を温度1700℃で6時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例16に係る蓄冷材を製造した。
【0207】
得られた蓄冷材粒子におけるSi,NaおよびFeの合計含有量をICP法により分析したところ、2.4重量%であった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、1.3μmであった。
【0208】
そして、上記のように調製した実施例16に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して実施例16に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0209】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.75Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.59Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。
【0210】
比較例6
Si,Na,Feの合計含有量が1ppmであり、平均粒径が1μmのAl粉末とGd粉末とをエチルアルコール中でボールミルを用いて4時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1400℃で3時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdAlOを合成した。
【0211】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて3時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を温度1700℃で6時間焼結することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る比較例6に係る蓄冷材を製造した。以上の製造工程はクリーンルーム内で実施した。
【0212】
得られた蓄冷材粒子におけるSi,NaおよびFeの合計含有量をICP法で測定したところ、2ppmであった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、24μmであった。
【0213】
そして、上記のように調製した比較例6に係る蓄冷材200gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の低温側に充填する一方、高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して比較例6に係る冷凍機を組み立て冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0214】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.69Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.44Wに低下しており、冷凍性能が経時的に低下することが判明した。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したところ、粉々に破壊された粒子や微粉の発生が認められた。
【0215】
実施例17
ナトリウム(Na)の含有量が14ppmであり、平均粒径が1μmのFe粉末とSiO粉末とGd粉末とをモル比で4:2:5となるように配合し、エチルアルコール中でボールミルを用いて4時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1400℃で3時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdFe0.8Si0.2を合成した。合成した混合体を乾燥後、1500℃で6時間焼結した。
【0216】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を図3に示す熱プラズマ装置に供給し、溶融させ球状に急冷凝固させてGdFe0.8Si0.2なる組成を有する球状粒子とした。さらに、この球状粒子を大気中で温度1700℃で2時間熱処理することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例17に係る蓄冷材を製造した。
【0217】
得られたGdFe0.8Si0.2なる組成の蓄冷材粒子に含有される不純物のNaの含有量をICP法により分析したところ、15ppmであった。また結晶粒の等価円直径の平均値は、6.1μmであった。
【0218】
そして、上記のように調製した実施例17に係る蓄冷材50gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の最低温側に充填する一方、その高温側には150gのHoCu蓄冷材を充填し、さらにその高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して実施例17に係る冷凍機を組み立て、1Hzの運転周波数で冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0219】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.79Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.78Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。
【0220】
実施例18
ナトリウム(Na)の含有量が2.1質量%であり、平均粒径が1μmのFe粉末とSiO粉末とGd粉末とをモル比で4:2:5となるように配合し、エチルアルコール中でボールミルを用いて4時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1400℃で3時間仮焼結することにより、酸化物焼結体としてのGdFe0.8Si0.2を合成した。
【0221】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を図3に示す熱プラズマ装置に供給し、溶融させて球状に急冷凝固させてGdFe0.8Si0.2なる組成を有する球状粒子とした。さらに、この球状粒子を大気中で温度1700℃で2時間熱処理することにより、ほぼ球状の磁性粒子から成る実施例18に係る蓄冷材を製造した。
【0222】
得られたGdFe0.8Si0.2なる組成の蓄冷材粒子に含有される不純物Naの含有量をICP法により分析したところ、2.1質量%であった。また、結晶粒の等価円直径の平均値は、5.9μmであった。
【0223】
そして、上記のように調製した実施例18に係る蓄冷材50gを、実施例11と同様に図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の最低温側に充填する一方、その高温側には150gのHoCu蓄冷材を充填し、さらに、その高温側にはPb製蓄冷材を200g充填して実施例18に係る冷凍機を組み立て実施例17と同様に冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0224】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.77Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.63Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。
【0225】
次に前記一般式:Gd1−x1−yなる組成を有する蓄冷材の実施例を説明する。
【0226】
実施例19
平均粒径3μmのAl粉末とTb粉末とGd粉末とを、目的とする組成:Gd0.9Tb0.1AlOとなるように配合し、エチルアルコール中でボールミルを用いて24時間、混合粉砕して原料混合体を調製した。次に得られた原料混合体を乾燥した後に、温度1500℃で6時間仮焼結することにより、酸化物焼結体を合成した。
【0227】
次に得られた焼結体を、さらにエチルアルコール中でボールミルを用いて6時間粉砕した。粉砕粉を乾燥後、転動造粒機を用いて造粒することにより、粒径が0.1〜0.4mmの造粒粒子を調製した。さらに、得られた造粒粒子を図3に示す熱プラズマ装置で発生したプラズマフレーム中に供給して溶融せしめ、さらに球状状態のまま急冷凝固させることにより、ほぼ球状の磁性粒子から成り、Gd0.9Tb0.1AlOなる組成を有する球状粒子を調製した。さらに、この球状粒子を大気中で1700℃で2時間熱処理することにより、実施例19に係る蓄冷材を製造した。
【0228】
得られたGd0.9Tb0.1AlOなる組成の極低温における比熱を断熱法により測定したところ、4.5Kでの比熱が0.32J/Kcmであった。また、球状の蓄冷材粒子から200個の粒子を無作為に抽出し、走査型電子顕微鏡(SEM)で表面状態を観察したところ、粒子表面に長さ10μm以上の亀裂が2個以上ある粒子が5個あり、その存在割合は2.5%であった。また結晶粒の等価円直径の平均値は、5.9μmであった。
【0229】
そして、上記のように調製した実施例19に係る蓄冷材80gを、図1に示す2段膨張式GM冷凍機10の2段目蓄冷器の最低温側に充填する一方、その高温側には100gのHoCuを充填し、さらにその高温側にはPb製蓄冷材を150g充填して実施例12に係る冷凍機を組み立て1Hzの運転周波数で冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力を測定した。
【0230】
上記冷凍試験の結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値として0.79Wが得られた。また、240時間連続運転後の冷凍能力は0.77Wであり、安定した冷凍性能が確認できた。さらに、運転終了後に蓄冷器から蓄冷材を取り出して外観を観察したが、破壊された粒子や微粉の発生は認められなかった。
【0231】
実施例20
一方、磁性粒体の組成がGdAlOとなるように原料粉末を配合した点以外は実施例19と同一条件で処理して実施例20に係る蓄冷材を調製した。得られた蓄冷材を実施例19と同様に冷凍機の蓄冷器に充填して冷凍試験を実施した。その結果、4.2Kにおける冷凍能力の初期値は0.53Wであった。
【0232】
実施例21〜41
磁性粒子が最終的に表1左欄に示す組成を有するように金属酸化物粉末を配合した点以外は、実施例19と同一条件で処理して各実施例に係る蓄冷材を調製した。得られた各蓄冷材について、極低温域における比熱を断熱法により測定して表1に示す結果を得た。磁性粒子の結晶粒の等価円直径は5.0〜6.3の範囲であった。
【0233】
また、各実施例に係る蓄冷材を80gずつ分取して、実施例19と同様にGM冷凍機の2段目蓄冷器に充填して冷凍試験を実施し、4.2Kにおける冷凍能力の初期値を測定して下記表1に示す結果を得た。なお実施例20のデータをも併せて表1に示す。
【0234】
【表1】
Figure 0005010071
【0235】
上記表1に示す結果から明らかなように、磁性粒子の組成を適正に調整し熱プラズマ法により作成した各実施例に係る蓄冷材を使用した冷凍機においては、いずれも低温域における比熱が大きく優れた冷凍能力を発揮できることが判明した。実施例29に係る蓄冷材の組成は、前記(4)式で示す一般式を満たすものであるが、4.5Kにおける比熱が低く、他の比熱特性を有する蓄冷材との組合せにより、より高い冷凍能力が実現できる可能性がある。一方、実施例30に係る蓄冷材は前記(4)式で示す一般式の組成範囲外であるが、4.5Kにおける比熱が高い。一方、実施例20に係る蓄冷材は低温比熱も小さく冷凍能力も不十分であった。
【0236】
以上説明した各実施例では、本発明に係る蓄冷材をGM冷凍機に適用した例を示しているが、本発明の蓄冷材は図2に示すようなパルス管型冷凍機70にも適用可能である。
【0237】
図2に1段式パルスチューブ冷凍機の基本構成を示す。このパルスチューブ冷凍機70の最大の構造的特徴は、前述したGM冷凍機では必須となっている寒冷発生用の往復動ピストンを具備しないことである。そのため、機械的信頼性および低振動性に優れる長所を有し、特に素子やセンサー冷却用冷凍機として期待を担っている。
【0238】
パルスチューブ冷凍機70は蓄冷式冷凍機の一種であり、冷媒ガスとして一般にヘリウムガスが用いられる。基本的な構成として、冷凍機は蓄冷器1の他にヘリウムガスを圧縮する圧力振動源71、および冷媒ガスの圧力変動と位置変動(変位)の時間差を制御する位相調節機構72から成る。
【0239】
GM冷凍機やスターリング冷凍機においては、上記位相調節機構72は低温部に配置された往復動ピストン機構であるのに対して、パルスチューブ冷凍機70では、それが室温部に配置され、蓄冷器1の低温端と室温部の位相調節機構72との間がパルス管と呼ばれる配管で連結され、冷媒ガスの圧力波の位相の遠隔制御がなされる。そして圧力変動による冷媒ガスと蓄冷材との間のエントロピー授受が変位との適当なタイミングで進行することにより、エントロピーが一方向へ順次汲み上げられ、蓄冷器1の低温部において、より低温度の冷熱が得られる。
【0240】
次に、本発明に係る蓄冷式冷凍機を使用した超電導MRI装置、磁気浮上列車用超電導磁石、クライオポンプ、および磁界印加式単結晶引上げ装置の実施例について述べる。
【0241】
図12は、本発明を適用した超電導MRI装置の概略構成を示す断面図である。図12に示す超電導MRI装置30は、人体に対して空間的に均一で時間的に安定な静磁界を印加する超電導静磁界コイル31、発生磁界の不均一性を補正する図示を省略した補正コイル、測定領域に磁界勾配を与える傾斜磁界コイル32、およびラジオ波送受信用プローブ33等により構成されている。そして、超電導静磁界コイル31の冷却用として、前述したような本発明に係る蓄冷式冷凍機34が用いられている。なお、図中35はクライオスタット、36は放射断熱シールドである。
【0242】
本発明に係る蓄冷式冷凍機34を用いた超電導MRI装置30においては、超電導静磁界コイル31の動作温度を長期間に亘って安定に保証することができるため、空間的に均一で時間的に安定な静磁界を長期間に亘って得ることができる。したがって、超電導MRI装置30の性能を長期間に亘って安定して発揮させることが可能となる。
【0243】
図13は、本発明に係る蓄冷式冷凍機を使用した磁気浮上列車用超電導磁石の要部概略構成を示す斜視図であり、磁気浮上列車用超電導マグネット40の部分を示している。図13に示す磁気浮上列車用超電導マグネット40は、超電導コイル41、この超電導コイル41を冷却するための液体ヘリウムタンク42、この液体ヘリウムタンクの揮散を防ぐ液体窒素タンク43および本発明に係る蓄冷式冷凍機44等により構成されている。なお、図中45は積層断熱材、46はパワーリード、47は永久電流スイッチである。
【0244】
本発明に係る蓄冷式冷凍機44を用いた磁気浮上列車用超電導マグネット40においては、超電導コイル41の動作温度を長期間に亘って安定に保証することができるため、列車の磁気浮上および推進に必要な磁界を長期間に亘って安定して得ることができる。特に、磁気浮上列車用超電導マグネット40では加速度が作用するが、本発明に係る蓄冷式冷凍機44は加速度が作用した場合においても長期間に亘って優れた冷凍能力を維持できることから、磁界強度等の長期安定化に大きく貢献する。したがって、このような超電導マグネット40を用いた磁気浮上列車は、その信頼性を長期間に亘って発揮させることが可能となる。
【0245】
図14は、本発明に係る蓄冷式冷凍機を使用したクライオポンプの概略構成を示す断面図である。図14に示すクライオポンプ50は、気体分子を凝縮または吸着するクライオパネル51、このクライオパネル51を所定の極低温に冷却する本発明に係る蓄冷式冷凍機52、これらの間に設けられたシールド53、吸気口に設けられたバッフル54、およびアルゴン、窒素、水素等の排気速度を変化させるリング55等により構成されている。
【0246】
本発明に係る蓄冷式冷凍機52を用いたクライオポンプ50においては、クライオパネル51の動作温度を長期間に亘って安定に保証することができる。したがって、クライオポンプ50の性能を長期間に亘って安定して発揮させることが可能となる。
【0247】
図15は、本発明に係る蓄冷式冷凍機を使用した磁界印加式単結晶引上げ装置の概略構成を示す斜視図である。図15に示す磁界印加式単結晶引上げ装置60は、原料溶融用るつぼ、ヒータ、単結晶引上げ機構等を有する単結晶引上げ部61、原料融液に対して静磁界を印加する超電導コイル62、および単結晶引上げ部61の昇降機構63等により構成されている。そして、超電導コイル62の冷却用として、前述したような本発明に係る蓄冷式冷凍機64が用いられている。なお、図中65は電流リード、66は熱シールド板、67はヘリウム容器である。
【0248】
本発明に係る蓄冷式冷凍機64を用いた磁界印加式単結晶引上げ装置60においては、超電導コイル62の動作温度を長期間に亘って安定に保証することができるため、単結晶の原料融液の対流を抑える良好な磁界を長期間に亘って得ることができる。したがって、磁界印加式単結晶引上げ装置60の性能を長期間に亘って安定して発揮させることが可能となる。
【0249】
【発明の効果】
以上説明の通り、本発明に係る蓄冷材によれば、磁性粒子の結晶粒の等価円直径,必要に応じて密度,添加物量,不純物量,亀裂や空隙などの欠陥量を所定の範囲に規定しているため、機械的強度や熱伝導率が高く、耐熱衝撃性が優れており、微粉化のおそれも少ない。そのため、スターリング冷凍機やパルスチューブ冷凍機などの高速運転を行う冷凍機用の蓄冷材として使用した場合においても、圧力損失が小さく、長期間に亘り安定した冷凍特性を示す蓄冷材が得られる。そして、その蓄冷材を冷凍機の少なくとも一部の蓄冷材として使用することにより、冷凍能力が高く、かつ長期間に亘って安定した冷凍性能が維持できる冷凍機を提供することができる。
【0250】
そして、MRI装置、クライオポンプ、磁気浮上列車用超電導磁石、および磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも冷凍機性能が各装置の性能を左右することから、上述したような冷凍機を用いた本発明のMRI装置、クライオポンプ、磁気浮上列車用超電導磁石、および磁界印加式単結晶引上げ装置は、いずれも長期間に亘って優れた性能を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蓄冷式冷凍機(GM冷凍機)の要部構成を示す断面図。
【図2】パルス管冷凍機の要素構成および温度分布を模式的に示す図。
【図3】熱プラズマ装置の構成を示す図。
【図4】転動造粒法で形成した蓄冷材粒子の表面組織を示す電子顕微鏡写真。
【図5】図4で示す蓄冷材粒子の中央部を拡大して示す電子顕微鏡写真。
【図6】転動造粒法で形成した蓄冷材粒子の断面組織を示す電子顕微鏡写真。
【図7】図6に示す蓄冷材粒子の端部を拡大して示す電子顕微鏡写真。
【図8】プラズマ球状化法で形成した蓄冷材粒子の表面組織を示す電子顕微鏡写真。
【図9】図8で示す蓄冷材粒子の中央部を拡大して示す電子顕微鏡写真。
【図10】プラズマ球状化法で形成した蓄冷材粒子の断面組織を示す電子顕微鏡写真。
【図11】図10に示す蓄冷材粒子の端部を拡大して示す電子顕微鏡写真。
【図12】本発明の一実施例による超電導MRI装置の概略構成を示す断面図。
【図13】本発明の一実施例による超電導磁石(磁気浮上列車用)の要部概略構成を示す斜視図。
【図14】本発明の一実施例によるクライオポンプの概略構成を示す断面図。
【図15】本発明の一実施例による磁界印加式単結晶引上げ装置の要部概略構成を示す斜視図。
【図16】蓄冷材の結晶粒の等価円直径を測定する方法を示す説明図。
【符号の説明】
1 蓄冷器
2 蓄冷材結晶粒
10 GM冷凍機(蓄冷式冷凍機)
11 第1シリンダ
12 第2シリンダ
13 真空容器
14 第1蓄冷器
15 第2蓄冷器
16,17 シールリング
18 第1蓄熱材
19 第2蓄熱材(極低温用蓄冷材)
20 第1膨張室
21 第2膨張室
22 第1冷却ステージ
23 第2冷却ステージ
24 コンプレッサ
30 超電導MRI装置
31 超電導静磁界コイル
32 傾斜磁界コイル
33 ラジオ波送受信用プローブ
34 蓄冷式冷凍機
35 クライオスタット
36 放射断熱シールド
40 超電導磁石(マグネット)
41 超電導コイル
42 液体ヘリウムタンク
43 液体窒素タンク
44 蓄冷式冷凍機
45 積層断熱材
46 パワーリード
47 永久電流スイッチ
50 クライオポンプ
51 クライオパネル
52 蓄冷式冷凍機
53 シールド
54 バッフル
55 リング
60 磁界印加式単結晶引上げ装置
61 単結晶引上げ部
62 超電導コイル
63 昇降機構
64 蓄冷式冷凍機
65 電流リード
66 熱シールド板
67 ヘリウム容器
70 パルス管型冷凍機
71 圧力振動源
72 位相調節機構
80 熱プラズマ装置
81 反応容器
82 高周波発信器
83 コイル
84 プラズマ発生部外囲筒
85 プラズマフレーム
86 粉体供給口
87 粉体供給器
88 キャリアガス供給ボンベ
89 プラズマ発生用ガス源
90 サイクロン
91 冷却ガス源

Claims (19)

  1. 一般式:Gd 1−x 1−y (式中、RはCe,Pr,Nd,Sm,Tb,Dy,HoおよびErから選択される少なくとも1種の希土類元素を示し、AはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Al,Siから選択される元素を示し、x=0かつy=0の場合には少なくとも2種の元素が選択される一方、x≠0またはy≠0の場合には少なくとも1種の元素が選択され、BはZr,Nb,Mo,Ag,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W,Au,Biから選択される少なくとも1種の元素を示し、xは原子比で0≦x≦0.4、yは原子比で0≦y≦0.4を満足する。)で表わされる多数の酸化物磁性粒子から成る蓄冷材であって、この磁性粒子が造粒粒子の焼結体から成り、その焼結密度が86〜99.8%であり、上記磁性粒子を構成する結晶粒の等価円直径の平均値が0.3〜20μmであることを特徴とする蓄冷材。
  2. 前記磁性粒子を構成する全結晶粒に対して、等価円直径が50μm以上である結晶粒の面積割合が10%以下であることを特徴とする請求項1記載の蓄冷材。
  3. 前記磁性粒子が、その構成元素とは異なるY,Mg,Al,Caおよび希土類元素の少なくとも1種を酸化物換算で0.5〜15重量%含有することを特徴とする請求項1記載の蓄冷材。
  4. 前記磁性粒子表面に長さ10μm以上の亀裂が2個以上存在している磁性粒子の全磁性粒子に対する割合が20%以下であることを特徴とする請求項1記載の蓄冷材。
  5. 前記磁性粒子の表面粗さの最大高さが10μm以上である磁性粒子の全磁性粒子に対する割合が30%以下であることを特徴とする請求項1記載の蓄冷材。
  6. 前記磁性粒子内部に最大幅が20μm以上の空隙が存在している磁性粒子の全磁性粒子に対する割合が40%以下であることを特徴とする請求項1記載の蓄冷材。
  7. 前記磁性粒子がシリコン,ナトリウムおよび鉄を合計で3ppm〜2質量%含有することを特徴とする請求項1記載の蓄冷材。
  8. 前記磁性粒子が4.0〜5.0Kの温度域での比熱が0.3J/Kcm以上である特性、4.5〜5.5Kの温度域での比熱が0.35J/Kcm以上である特性および5.5〜6.0Kの温度域での比熱が0.4J/Kcm以上である特性の少なくとも1つの特性を有する酸化物磁性粒子から成ることを特徴とする請求項1記載の蓄冷材。
  9. 一般式:Gd 1−x 1−y (式中、RはCe,Pr,Nd,Sm,Tb,Dy,HoおよびErから選択される少なくとも1種の希土類元素を示し、AはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Al,Siから選択される元素を示し、x=0かつy=0の場合には少なくとも2種の元素が選択される一方、x≠0またはy≠0の場合には少なくとも1種の元素が選択され、BはZr,Nb,Mo,Ag,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W,Au,Biから選択される少なくとも1種の元素を示し、xは原子比で0≦x≦0.4、yは原子比で0≦y≦0.4を満足する。)で表わされる組成を有し、平均粒径が0.3〜30μmの酸化物粉末を造粒して造粒粒子を形成し、得られた造粒粒子を加圧処理することにより、球状の緻密化粒子を調製し、得られた緻密化粒子を焼結処理し焼結密度を86〜99.8%にすると共に、上記磁性粒子を構成する結晶粒の等価円直径の平均値を0.3〜20μmとすることにより多数の磁性粒子から成る蓄冷材を調製することを特徴とする蓄冷材の製造方法。
  10. 前記造粒粒子の加圧処理が冷間静水圧(CIP)加圧処理であることを特徴とする請求項記載の蓄冷材の製造方法。
  11. 前記焼結処理が熱間静水圧(HIP)加圧処理であることを特徴とする請求項記載の蓄冷材の製造方法。
  12. 前記酸化物粉末に対してバインダを5〜30重量%添加して造粒することを特徴とする請求項記載の蓄冷材の製造方法。
  13. 蓄冷器の上流高温側から冷媒ガスを流して上記冷媒ガスと蓄冷器に充填した蓄冷材との熱交換によって蓄冷器の下流側にて、より低温度を得る冷凍機において、上記蓄冷器に充填された蓄冷材の少なくとも一部が請求項1ないしのいずれかに記載の蓄冷材であることを特徴とする冷凍機。
  14. 蓄冷器の上流高温側から冷媒ガスを流して上記冷媒ガスと蓄冷器に充填した蓄冷材との熱交換によって蓄冷器の下流側にて、より低温度を得る冷凍機において、上記蓄冷器の高温側に非酸化物から成る蓄冷材を充填する一方、上記蓄冷器の低温側に請求項1ないしのいずれかに記載の蓄冷材を充填したことを特徴とする冷凍機。
  15. 前記非酸化物から成る蓄冷材が、Pb,HoCuおよびErNiの少なくとも1種であることを特徴とする請求項14記載の冷凍機。
  16. 請求項13記載の冷凍機を具備したことを特徴とする超電導磁石。
  17. 請求項13記載の冷凍機を具備したことを特徴とするMRI(核磁気共鳴イメージング)装置。
  18. 請求項13記載の冷凍機を具備したことを特徴とするクライオポンプ。
  19. 請求項13記載の冷凍機を具備したことを特徴とする磁界印加式単結晶引上げ装置。
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