JP4581978B2 - 燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料を噴射するためのインジェクタを駆動する装置に関し、特に、コンデンサに充電した高電圧のエネルギーをインジェクタに放電してインジェクタを開弁させる燃料噴射制御装置に関する。
従来より、インジェクタを駆動して燃料噴射を制御する燃料噴射制御装置としては、電源電圧よりも高い昇圧電圧をコンデンサに発生させる昇圧回路と、コンデンサを放電させるスイッチング素子と、そのスイッチング素子をオン/オフ制御する制御回路と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような装置では、インジェクタに通電すべき通電期間(インジェクタの駆動期間)の開始時に、スイッチング素子をオンする指令(以下、オン指令)を制御回路から出力させてスイッチング素子をオンし、コンデンサを放電させる。すると、コンデンサに発生させた昇圧電圧がインジェクタへ印加され、そのインジェクタが速やかに開弁される。そしてその後は、通電期間が終了するまで、インジェクタの開弁状態が保持されるようになっている。
特開2001−14046号公報
ところで、近年では、内燃機関の各気筒について、所謂多段噴射を行うことが主流になってきており、上記のような燃料噴射制御装置では、多段噴射の実施のためにはより大容量のコンデンサが必要とされる。そして、大容量のコンデンサとしては、アルミ電解コンデンサが考えられる。ここで、このアルミ電解コンデンサが用いられた場合には、制御回路からオン指令が出力されてからインジェクタが開弁するまでの時間(以下、開弁到達時間)のばらつきが大きくなる。
まず、開弁到達時間にばらつきが生じることについて言えば、これは、制御回路からオン指令が出力されてからスイッチング素子がオンするまでの時間(以下、オン応答時間)が、スイッチング素子の応答特性等により変動するためである。また、コンデンサの放電によりインジェクタへ電圧が印加されてからそのインジェクタが開弁するまでの時間(以下、開弁応答時間)が変動するためである。開弁応答時間は、インジェクタへ印加される電圧(以下、印加電圧)が大きくなると短くなり、逆に、印加電圧が小さくなると長くなる。
そして、印加電圧が変動することについては、例えばインジェクタへの通電経路における素子の発熱温度が上昇したりしてその素子の内部抵抗が増加すると、その通電経路における電圧降下が大きくなり、印加電圧は低下する。つまり、通電経路の素子の状態等により、印加電圧は変動する。また、例えば、コンデンサの周囲温度が変動することでも、印加電圧は変動することとなる。具体的には、コンデンサの周囲温度が低下すると、そのコンデンサの等価回路抵抗(ESR)は大きくなる。すると、インジェクタへの印加電圧は低下する。また、コンデンサの周囲温度が上昇すると、コンデンサのESRは小さくなり、インジェクタへの印加電圧は増大する。特にアルミ電解コンデンサにおいては、ESRの周囲温度による変動が大きいため、燃料噴射制御装置にてアルミ電解コンデンサが用いられた場合には、開弁到達時間のばらつきは大きくなるのである。
そして、前述のオン応答時間、或いは開弁応答時間が長くなると(つまり、開弁到達時間が長くなると)、内燃機関への燃料噴射の開始時期が遅れるため、通電期間中における燃料噴射量は減少する。また、例えばオン応答時間が正常であり、開弁応答時間が短くなると(つまり、開弁到達時間が短くなると)、内燃機関への燃料噴射の開始時期が早まることとなるため、通電期間中における燃料噴射量は増加する。
そして、内燃機関への燃料噴射量が減少し過ぎると、排気ガス中のNOxや粒子状物質(PM)が増加することが考えられる。一方、燃料噴射量が増加し過ぎると、上記の問題が生じることに加え、燃費が悪化することとなる。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、内燃機関において所望の燃料噴射量が確保されるようになる燃料噴射制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本願の燃料噴射制御装置は、コンデンサを有し、該コンデンサを充電することにより電源電圧よりも高い所定電圧値の高電圧を生成する高電圧生成手段と、コンデンサから放電されることにより開弁して、内燃機関へ燃料を噴射するインジェクタと、インジェクタの駆動期間を設定する設定手段と、インジェクタの通電経路に設けられ、オンすることで前記コンデンサから前記インジェクタへ放電させるスイッチング素子と、を備えている。そして、放電制御手段が、設定手段により設定された駆動期間の開始タイミングで、スイッチング素子へ、そのスイッチング素子をオンするためのオン指令を出力すると、スイッチング素子がオンされてコンデンサからインジェクタへ放電される。
そして、到達時間計測手段が、放電制御手段からオン指令が出力されてからインジェクタに流れるコンデンサからの放電電流が規定値に至るまでの到達時間を計測し、差分時間検出手段が、到達時間計測手段により計測された到達時間から予め定められた規定到達時間を減じた差分時間を検出する。さらに、補正手段が、内燃機関への燃料噴射量を増減させるための補正処理として、設定手段が設定する駆動期間の開始タイミングを差分時間に応じて、差分時間が正の方向に大きいほど早くするように補正し、差分時間が負の方向に大きいほど遅くするように補正する処理を行うようになっている。
尚、規定到達時間としては、回路中の素子のパラメータ等から予め計算により算出される理論上の到達時間などが考えられる。また、規定到達時間は、実験等により予め算出される標準の到達時間であってもよい。
そして、本燃料噴射制御装置によれば、差分時間に応じて内燃機関への燃料噴射量が増減され、その燃料噴射量が適切な量に制御される。従って、燃料噴射量が減少し過ぎてしまうことにより排気ガス中のNOxやPMが増加してしまう、ということなどを防止でき、一方、燃料噴射量が増加し過ぎてしまうことにより上記の問題が生じたり燃費が悪化したりしてしまう、ということなどを防止することができる。
ここで、例えば前述の差分時間が正であるということは、到達時間計測手段により計測された到達時間が規定到達時間よりも長いということであり、これはつまり、インジェクタの開弁のタイミングが遅れているということである。そして、インジェクタの開弁のタイミングが遅れると、その遅れに応じて内燃機関への燃料噴射量は減少することとなる。よって、この場合、補正手段は、補正処理として、内燃機関への燃料噴射量を増加させればよい。
また、差分時間が負であるということは到達時間が規定到達時間よりも短いということであり、これはつまり、開弁のタイミングが早まっているということである。すると、その早まった時間に応じて、内燃機関への燃料噴射量は増加する。よって、この場合、補正手段は、補正処理として、内燃機関への燃料噴射量を減少させればよい。
本願発明の装置では、前述のように、駆動期間の開始タイミングが、差分時間が正の方向に大きいほど早くなるように補正され、差分時間が負の方向に大きいほど遅くなるように補正される。そして、駆動期間の開始タイミングが早くなると開弁期間が長くなって燃料噴射量は増加し、駆動期間の開始タイミングが遅くなると開弁期間が短くなって燃料噴射量は減少することとなる。本願発明の装置では、補正手段が駆動期間の開始タイミングを補正することで燃料噴射量が適切な量に制御され、所望の燃料噴射量が確保されるようになる。
また、燃料噴射量を増減させる他の局面の方法としては、インジェクタの開弁状態が保持される期間を補正することが考えられる。つまり、インジェクタが開弁した後、その開弁状態を保持させる保持手段を備え、補正手段は、補正処理として、保持手段がインジェクタを開弁状態に保持させる保持期間を、差分時間に応じて、差分時間が正の方向に大きいほど長くし、差分時間が負の方向に大きいほど短くする。
そして、保持期間が長いほど燃料噴射量は増加し、保持期間が短いほど燃料噴射量は減少することとなる。
このような装置によれば、保持期間を増減させるという比較的簡単な処理で、燃料噴射量を適切な量に制御して所望の燃料噴射量が確保されるようにすることができる。
また、本願発明の装置において、補正手段は、補正処理として、高電圧生成手段によるコンデンサの充電電圧を差分時間に応じて、差分時間が正の方向に大きいほど増加させ、差分時間が負の方向に大きいほど減少させるようにしてもよい。
コンデンサの充電電圧が増加すれば、インジェクタに印加される電圧も増大するため、開弁のタイミングが早まって、内燃機関への燃料噴射量が増加することとなる。逆に、コンデンサの充電電圧が減少すれば、内燃機関への燃料噴射量は減少する。
そして、この装置において、燃料噴射量を増減させる場合に、駆動期間を増減させずにコンデンサの充電電圧を増減させることとすれば、例えば駆動期間が長くなって各燃料噴射の間の期間が小さくなるということを防止できるため、コンデンサが確実に充電されるようになる。よって、確実に燃料噴射を実施させることができ、しかも燃料噴射量が適切な量に制御されて所望の燃料噴射量が確保されるようになる燃料噴射制御装置を提供することができる。
またさらに、燃料噴射量を増減させる場合、インジェクタへの燃料の供給圧力を増減させるようにしてもよい。具体的には、インジェクタへの燃料の供給圧力を制御する圧力制御手段を備え、補正手段は、補正処理として、圧力制御手段が制御する供給圧力を差分時間に応じて、差分時間が正の方向に大きいほど増加させ、差分時間が負の方向の大きいほど減少させる。
上記の供給圧力が増加すると、単位時間あたりの燃料噴射量は増加し、逆に、供給圧力が減少すると、単位時間あたりの燃料噴射量は減少する。
そして、この装置において、駆動期間を増減させずに供給圧力を増減させるようにすれば、前述のような理由から、確実に燃料噴射を実施させることができ、しかも燃料噴射量を適切な量に制御して所望の燃料噴射量が確保されるようになる。
た、補正手段は、差分時間が所定範囲にあるか否かを判定し、所定範囲にない場合には、補正処理を行わないようになっていることが好ましい。
なぜなら、例えば差分時間がある値よりも大きいような場合、回路や素子等に異常が生じていることが考えられ、上記のように構成すれば、回路や素子等に異常が生じている場合には補正処理を行わないようにできるからである。そして、回路や素子等の異常が疑われる場合には、フェイルセーフ処理等を実施するとよい。
ところで、この種の燃料噴射制御装置では、ある温度領域にてコンデンサの内部抵抗(ESR)が大きく変動し、その変動にともなってインジェクタに印加される電圧も変動する。すると、燃料噴射量が大きく変動する。
そこで、コンデンサの周囲温度を検出する温度検出手段を備えるようにし、補正手段は、温度検出手段により検出される周囲温度が特定温度領域にあるか否かを判定するとともに、特定温度領域にある場合に、補正処理を行うようになっていることが好ましい。
このような装置によれば、燃料噴射量が適切な量から大きく変動してしまう温度領域において、補正手段が補正処理を行うように構成することができる。逆に言うと、燃料噴射量が適切な量から大きく変動せず、燃料噴射量を特に補正しなくてもよい温度領域においては、補正手段が補正処理を行わないように構成することができる。よって、装置の処理負荷を抑えることができ有利である。
ところで、当該燃料噴射制御装置が内燃機関の近傍に設けられており該コンデンサの周囲温度と内燃機関の冷却水温とが比例関係にある場合、のように構成することが考えられる。つまり、水温検出手段が冷却水温を検出するとともに、比例判定手段が、その水温検出手段により検出される冷却水温(以下、検出水温と言う)と、温度検出手段により検出されるコンデンサの周囲温度(以下、検出周囲温度と言う)とが比例関係にあるか否かを判定する。さらに、比例判定手段により検出水温と検出周囲温度とが比例関係にないと判定された場合に、異常判定手段が、差分時間検出手段により検出される差分時間からコンデンサの周囲温度を推測するとともに、その推測したコンデンサの周囲温度と検出周囲温度とを比較する。そして、異常判定手段は、両者が同値とみなせる場合には、水温検出手段に異常が生じていると判定する。
これは、つまり、冷却水温とコンデンサの周囲温度との比例関係が崩れた場合、少なくとも、水温検出手段或いは温度検出手段の何れかに異常が生じていることが考えられるが、このままでは、どちらに異常が生じているか特定はできない。そこで、差分時間から周囲温度を推測し、その周囲温度と検出周囲温度が同値とみなせるものであれば、温度検出手段は正常であると推測して、この場合には、水温検出手段に異常が生じていると判定するのである。
これによれば、温度検出手段を利用して、さらに水温検出手段の異常の有無を検出できるようになる、という優れた効果を得ることができる。また、水温検出手段の異常を検出するための機構を別途設けなくてもよいため、コストの面において有利である。
そして、本願発明の装置は、補正手段が周囲温度についての判定に用いる所定範囲を書き換え可能に記憶する不揮発性の時間範囲記憶手段を備えていることが好ましい。
所定範囲の変更が容易となるため、便利だからである。
また、この所定範囲は、例えば車両の製造者やメンテナンス者等の入力に基づき記憶されるようにしてもよいし、自動で記憶されるようにしてもよい。自動で記憶されるようにする場合、例えば、差分時間をモニタし、そのモニタした差分時間の値が多く分布する領域が含まれるような所定範囲を記憶することが考えられる。つまり、所定範囲の最適化を図るのである。
また、本願発明の装置は、補正手段が周囲温度についての判定に用いる特定温度領域を書き換え可能に記憶する不揮発性の温度領域記憶手段を備えていることが好ましい。
特定温度領域の変更が容易となるため、便利だからである。
他の局面の装置では、前述の高電圧生成手段と、インジェクタと、設定手段と、スイッチング素子と、放電制御手段と、が設けられ、さらに、コンデンサの周囲温度を検出する温度検出手段と、温度検出手段により検出された周囲温度に応じて、内燃機関への燃料噴射量を増減させる補正手段と、が設けられても良い
前述のように、コンデンサの周囲温度により内燃機関への燃料噴射量は変動するため、この装置では、コンデンサの周囲温度に応じて、補正手段が燃料噴射量を補正する(増減させる)ようになっている。具体的に、補正手段は、周囲温度が小さい場合ほど燃料噴射量を増加させるようにし、周囲温度が大きい場合ほど燃料噴射量を減少させるようにする。
この装置によれば、コンデンサの周囲温度に応じて燃料噴射量を増減させるようにすることでその燃料噴射量を適切な量に制御し、所望の燃料噴射量が確保されるようになる。そして、燃料噴射量を増減させる場合、のように構成することができる。
具体的には、前述の保持手段を備え、補正手段は、補正処理として、保持手段がインジェクタを開弁状態に保持させる保持期間を、周囲温度に応じて、周囲温度が小さい場合ほど長くする。逆に言えば、周囲温度が大きい場合ほど、保持期間を短くする。
た、補正手段は、補正処理として、設定手段が設定する駆動期間の開始タイミングを周囲温度に応じて、周囲温度が小さい場合ほど早くするように補正する。逆に言えば、周囲温度が大きい場合ほど、開始タイミングを遅くするように補正する。
加えて、補正手段は、補正処理として、高電圧生成手段によるコンデンサの充電電圧を周囲温度に応じて、周囲温度が小さい場合ほど増加させるようにする。逆に、周囲温度が大きい場合ほど、充電電圧を減少させるようにする。
さらに、前述の圧力制御手段を備え、補正手段は、補正処理として、圧力制御手段が制御する供給圧力を周囲温度に応じて、周囲温度が小さい場合ほど増加させるようにする。逆に言えば、周囲温度が大きい場合ほど、供給圧力を減少させるようにする。
このような装置によれば、周囲温度に基づいて燃料噴射量の補正量(増減量)を決定すればよいため、処理が比較的簡単なものとなる。よって、装置の処理負荷を抑えることができる。
た、補正手段は、周囲温度が特定温度領域にあるか否かを判定し、特定温度領域にある場合に、補正処理を行うようになっていることが好ましい。
前述したように、この種の燃料噴射制御装置では、燃料噴射量が適切な量から大きく変動してしまう温度領域がある。逆に、燃料噴射量が適切な量からそれほど変動しないような温度領域もある。
本願の装置によれば、燃料噴射量が適切な量から大きく変動してしまう温度領域では、補正手段は補正処理を行うようにし、逆に、燃料噴射量が適切な量から大きく変動せず、燃料噴射量を特に補正しなくてもよい温度領域では、補正手段は補正処理を行わないように構成することができる。よって、装置の処理負荷を抑えることができ有利である。
さらに、本願の装置においては、補正手段が周囲温度についての判定に用いる特定温度領域を書き換え可能に記憶する不揮発性の温度領域記憶手段を備えていることが好ましい。
特定温度領域の変更が容易となるため、便利だからである。
た、燃料噴射制御装置が内燃機関の近傍に設けられている場合、温度検出手段は、内燃機関の冷却水温を周囲温度として検出するような構成としてもよい。
これは、燃料噴射制御装置が内燃機関の近傍に設けられている場合、内燃機関の冷却水温とコンデンサの周囲温度とは比例関係にあり、冷却水温を周囲温度として燃料噴射量を補正することは、実際の周囲温度に応じて燃料噴射量を補正することと同じだからである。また、冷却水温を検出する手段が別に設けられている場合、補正手段は、その検出された冷却水温を周囲温度として利用するような構成も考えられる。この場合には、例えば温度検出手段に異常が生じ、周囲温度が検出できなくなった場合であっても、冷却水温を周囲温度とみなして補正処理を実施することができ、燃料噴射量の制御がより確実になされる燃料噴射制御装置を提供することができる。
以下に、本発明が適用された実施形態の燃料噴射制御システムについて説明する。
図1に示すように、本実施形態の燃料噴射制御システムが制御対象とするエンジン1は、シリンダ2を4つ有した4気筒のディーゼルエンジンであり、高圧燃料ポンプ3から圧送される燃料がコモンレール4で高圧状態に蓄積され、そのコモンレール4から各気筒に設けられた電磁コイル式ユニットインジェクタ(以下、単に電磁弁と言う)101〜104へ燃料が供給されるようになっている。
そして、この燃料噴射制御システムでは、エンジン制御用の電子制御装置(以下、ECUという)100が、エンジン1の吸気経路に設けられたエアフロセンサ(エアフロメータとも呼ばれる)7からの信号に基づいてエンジン1への流入空気量を検出すると共に、コモンレール4に設けられた圧力センサ8からの信号に基づいてコモンレール4内の圧力を検出する。
更に、ECU100には、アクセルペダルの操作量を示すアクセルペダルセンサ信号、エンジン1のクランク軸の回転に同期して一定のクランク角毎(例えば6°CA毎)にパルスエッジが生じる回転信号、エンジン1の冷却水温を示す水温センサ信号、エンジン1の吸気温度を示す吸気温センサ信号、ブースト圧を示すブーストセンサ信号、イグニッションスイッチ(SW)のオン/オフを示すイグニッションSW信号、及びスタータスイッチのオン/オフを示すスタータSW信号など、他の各種信号も入力される。尚、CAとは、クランク角(クランク軸の回転角度)を意味する慣用的な添え字である。
そして、ECU100は、それら各種入力信号と上記流入空気量やコモンレール4内圧力の検出値に基づいて、様々なエンジン制御用パラメータの演算を行い、その演算結果に基づいて、高圧燃料ポンプ3や電磁弁101〜104を駆動する。
また、エンジン1には、エミッション制御用のアクチュエータとして、周知の吸気絞り弁9、EGR装置10、及びターボチャージャー11が設けられており、これらのアクチュエータもECU100により制御されている。
[実施形態1]
図2は、第1実施形態の燃料噴射制御装置としてのECU100の構成を表す図面である。
本第1実施形態において、電磁弁101,102,103,104はそれぞれ、コイル101a,102a,103a,104aを有した常閉式の電磁弁であり、その各コイル101a〜104aに通電されると、図示しない弁体がリターンスプリングの付勢力に抗して開弁位置に移動し、燃料噴射が行われる。
また、コイル101a〜104aの通電が遮断されると、弁体が元の閉弁位置に戻り、燃料噴射が停止される。そして、その各電磁弁101〜104のコイル101a〜104aへの通電時間及び通電タイミングが制御されることにより、エンジン1の各気筒#1〜#4への燃料噴射量及び燃料噴射時期が制御される。
そして、本実施形態においては、各気筒についていわゆる燃料の多段噴射を行うようになっている。具体的には、一回の燃焼行程において、気筒内の活性化を目的とするプレ噴射、騒音,振動及びNOxの低減を目的とするパイロット噴射、ピストンの駆動を目的とするメイン噴射、燃焼により生じた粒子状物質(PM)の再燃焼を目的とするアフター噴射及びポスト噴射、を行うようになっている。
さらに、本装置では、同時に2つの電磁弁を駆動させて各々燃料噴射を行わせる多重噴射を実施するようになっており、以下のような構成をとっている。
まず、全4気筒の電磁弁101〜104を2気筒ずつ2つのグループに分け、電磁弁101,103を同じ噴射グループとして、そのコイル101a,103aの上流側の一端をECU100が備える端子COM1に接続し、電磁弁102,104を同じ噴射グループとして、そのコイル102a,104aの上流側の一端をECU100が備える端子COM2に接続している。尚、各噴射グループは、同時に駆動されることがない電磁弁同士で構成されるが、そのグループ分けは、どの気筒間で多重噴射を実施させるか等のエンジン1の設計仕様によって決定される。そして、以下の説明において、〈〉内の符号の構成要素は、電磁弁102,104を駆動させるためのものである。
ECU100は、前述した端子COM1〈COM2〉の他、コイル101a,103a〈102a,104a〉の下流側の一端がそれぞれ接続される端子INJ1,INJ3〈INJ2,INJ4〉と、その端子INJ1,INJ3〈INJ2,INJ4〉に一方の出力端子が接続されたトランジスタT10,T30〈T20,T40〉と、トランジスタT10,T30〈T20,T40〉の他方の出力端子とグランドラインとの間に接続された電流検出用の抵抗R10〈R20〉と、電源電圧としての車載バッテリの電圧(以下、バッテリ電圧と言う)VBが供給される電源ラインLpに一方の出力端子が接続されたトランジスタT11〈T21〉と、そのトランジスタT11〈T21〉の他方の出力端子にアノードが接続され、カソードが上記端子COM1〈COM2〉に接続された逆流防止用のダイオードD11〈D21〉と、電磁弁101,103〈102,104〉を速やかに開弁作動させるための大電流をコイル101a,103a〈102a,104a〉に流すためのコンデンサC10〈C20〉と、バッテリ電圧VBを昇圧して、そのバッテリ電圧VBよりも高い電圧を生成し、コンデンサC10〈C20〉を充電する昇圧回路50と、を備えている。
また、コンデンサC10〈C20〉の正極側を端子COM1〈COM2〉に接続させる放電用のトランジスタT12〈T22〉と、アノードがグランドラインに接続されるとともに、カソードが端子COM1〈COM2〉に接続され、トランジスタT10,T30〈T20,T40〉がオンされている状態でトランジスタT11〈T21〉がオンからオフされた時に、コイル101a,103a〈102a,104a〉に電流を還流させるダイオードD12〈D22〉と、トランジスタT10,T30〈T20,T40〉、T11〈T21〉、T12〈T22〉、及び昇圧回路50を制御する駆動制御回路120と、CPU,ROM,RAMなどからなる周知のマイクロコンピュータ(以下、単にマイコンと言う)130と、このECU100の内部温度を検出するための温度センサH01と、情報を書き換え可能な不揮発性のメモリであるEEPROM10と、が備えられている。
尚、本実施形態においては、コンデンサC10〈C20〉としては、アルミ電解コンデンサが用いられる。アルミ電解コンデンサは、例えば従来用いられていたフィルムコンデンサと比較して、静電容量に対する体積比が小さい。そのため、多段噴射を行う場合など高容量のコンデンサが必要とされる時の使用に適している。
ここで、マイコン130は、前述したような各種信号(図2では、回転数Ne、アクセル開度ACC、エンジン1の冷却水温THWのみ示している)が表すエンジン1の運転情報に基づいて、気筒#1〜#4毎に噴射指令信号S#1〜S#4を生成して駆動制御回路120に出力する。そして、噴射指令信号S#1〜S#4は、その信号のレベルがハイの間だけ電磁弁101〜104のコイル101a〜104aに通電する(つまり、電磁弁101〜104を開弁させる)、という意味を持っている。このため、マイコン130は、エンジン1の運転情報に基づいて、各気筒#1〜#4毎に、電磁弁101〜104のコイル101a〜104aへの通電期間(電磁弁101〜104の駆動期間)を設定し、その通電期間だけ、該当する気筒の噴射指令信号をハイにしていると言える。
また、昇圧回路50は、インダクタL00と、トランジスタT00と、トランジスタT00を駆動する充電制御回路110とを備えている。そして、インダクタL00は一端が電源ラインLpに接続され、他端がトランジスタT00の一方の出力端子に接続されている。
また、トランジスタT00の他方の出力端子とグランドラインとの間には、電流検出用の抵抗R00が接続されている。そして、トランジスタT00のゲート端子には充電制御回路110が接続され、この充電制御回路110の出力に応じてトランジスタT00がオン/オフされる。尚、充電制御回路110としては、詳しくは自励式の発振回路が使用されている。
更に、インダクタL00とトランジスタT00との接続点に、逆流防止用のダイオードD13〈D23〉を介して、コンデンサC10〈C20〉の正極側の一端が接続されている。そして、コンデンサC10〈C20〉の負極側の一端は、トランジスタT00と抵抗R00との接続点に接続されている。
このような昇圧回路50においては、トランジスタT00がオン/オフされると、インダクタL00とトランジスタT00との接続点に、バッテリ電圧VBよりも高いフライバック電圧(逆起電圧)が発生し、そのフライバック電圧によりダイオードD13〈D23〉を通じてコンデンサC10〈C20〉が充電される。これにより、コンデンサC10〈C20〉がバッテリ電圧VBよりも高い電圧に充電される。
そして、充電制御回路110は、駆動制御回路120からの充電許可信号がアクティブレベル(例えばハイレベル)になると、トランジスタT00をオン/オフさせるが、その際に、コンデンサC10〈C20〉の正極側の電圧をモニタして、電圧が予め設定された目標値になるか、駆動制御回路120からの充電許可信号が非アクティブレベルになると、トランジスタT00をオフのままにして、コンデンサC10〈C20〉の充電を止める。ここで、上記の目標値は、充電制御回路110が備える図示しない記憶部に記憶されているとともに、マイコン130により書き換えが可能なようにされている。尚、充電制御回路110には図示しない分圧回路が備えられており、充電制御回路110は、コンデンサC10〈C20〉の正極側の電圧をその分圧回路を介して検出している。
次に、上記のように構成された燃料噴射制御装置の作用を、図3のタイムチャートを用いて説明する。尚、前述したように、駆動制御回路120には、マイコン130から各気筒#1〜#4の噴射指令信号S#1〜S#4がそれぞれ入力されるが、ここでは、第1気筒#1及び第2気筒#2について説明する。また、図3には、多段噴射と多重噴射との動作例を示している。多段噴射としては、前述したように、プレ噴射、パイロット噴射、メイン噴射、アフター噴射及びポスト噴射があり、これら各噴射は、エンジン1の運転情報等に応じて適宜実施されるものである。
図3中、「S#1」は第1気筒#1の噴射指令信号を、「S#2」は第2気筒#2の噴射指令信号を示している。また、噴射指令信号S#1がハイになると、T10がオンされ、S#1がローになると、T10がオフされるようになっている。S#2とT20についても同様である。そして、第1気筒#1における多段噴射として、期間t1ではパイロット噴射が、期間t2ではメイン噴射がそれぞれ実施され、多重噴射として、期間t3では、第1気筒#1のメイン噴射に重複して、第2気筒#2に対しポスト噴射が実施されるようになっている。
まず、期間t1のパイロット噴射の開始前において、駆動制御回路120は、上記充電制御回路110への充電許可信号をアクティブレベルにして昇圧回路50を作動させ、コンデンサC10,C20を、その電圧が所定の目標値となるまで充電させている。
そして、図3に示すように、マイコン130から駆動制御回路120への第1気筒#1の噴射指令信号S#1がハイになると、駆動制御回路120は、前述のようにトランジスタT10をオンするとともに、トランジスタT12もオンさせる。
すると、コンデンサC10の電圧が、コイル101aへの通電経路をなす端子COM1に印加されて、そのコンデンサC10に充電されていたエネルギーがコイル101aに放出され、これにより、そのコイル101aへの通電が開始される。そして、このとき、コイル101aには、コンデンサC10の放電により、電磁弁101を速やかに開弁させるための大電流が流れる。また、このようなコンデンサC10の放電に際し、高電位となる端子COM1側から電源ラインLp側への回り込みは、ダイオードD11によって防止される。尚、図3において、「INJ1電流I」とは、コイル101aに流れる電流(以下、単に電流Iと言う)である。
そして、マイコン130及び駆動制御回路120は、コイル101aに流れる電流Iを抵抗R10に生じる電圧により検出する。さらに、駆動制御回路120は、トランジスタT10,T12をオンした後において、その電流Iが目標電流値Ipになると、トランジスタT12をオフする。尚、電流Iの検出値の代わりに、コンデンサC10の電圧を検出し、その電圧に基づいてトランジスタT12のオン/オフを制御してもよい。
このようにして、コイル101aへの通電期間の開始時には、トランジスタT10,T12がオンされて、コンデンサC10に充電されたエネルギーがコイル101aに放出され、これにより、そのコイル101aに大電流が流れて、電磁弁101の開弁応答が早まる。
また、駆動制御回路120は、トランジスタT12をオンさせている間は、コンデンサC10からの放電電流を安定させるために、上記充電制御回路110への充電許可信号を非アクティブレベルにして、昇圧回路50によるコンデンサC10の充電動作(即ち、トランジスタT00のオン/オフ)を禁止する。
そして、駆動制御回路120は、トランジスタT12をオフした後は、抵抗R10に生じる電圧により検出されるコイル101aの電流Iが、目標電流値Ipよりも小さい一定電流となるように、トランジスタT11のオン/オフ制御を行う。
具体的に説明すると、駆動制御回路120は、噴射指令信号S#1がハイになっている間、コイル101aに一定電流を流すための定電流制御として、コイル101aの電流Iが下側閾値IL以下になるとトランジスタT11をオンさせ、コイル101aの電流Iが上側閾値IH以上になるとトランジスタT11をオフさせる、という制御を行う。尚、下側閾値ILと、上側閾値IHと、電流の目標電流値Ipとの関係は、「IL<IH<Ip」である。また、こうした定電流制御を行うための回路部分は、抵抗R10に生じる電圧を入力としたウインドウコンパレータによって構成することができる。
このため、コイル101aの電流Iが目標電流値Ipから低下して下側閾値IL以下になると、以後は、トランジスタT11のオン/オフが繰り返されて、コイル101aの電流Iの平均値が、上側閾値IHと下側閾値ILとのほぼ中間の一定電流に制御されることとなる。
このような定電流制御により、トランジスタT12のオフ後は、電源ラインLpから、トランジスタT11及びダイオードD11を介して、コイル101aに一定電流を流し、その一定電流により、電磁弁101を開弁状態に保持するのである。尚、ダイオードD12は、このような定電流制御のための還流用ダイオードであり、トランジスタT11のオフ時にコイル101aに流れる電流は、そのダイオードD12を介して還流される。
その後、マイコン130からの噴射指令信号S#1がハイからローになると、駆動制御回路120は、トランジスタT10をオフすると共に、トランジスタT11のオン/オフ制御(即ち、定電流制御)を終了して、そのトランジスタT11もオフ状態に保持する。すると、コイル101aへの通電が停止して電磁弁101が閉弁し、その電磁弁101による燃料噴射が終了される。
尚、噴射指令信号S#1がローになって、トランジスタT10及びトランジスタT11がオフされた時、4段目に示すように、コイル101aには、フライバックエネルギーが発生する。
また、駆動制御回路120は、トランジスタT12をオフした後、上記充電制御回路110への充電許可信号をアクティブレベルに戻して、昇圧回路50によるコンデンサC10の充電動作(トランジスタT00のオン/オフ)を再開させる。これは、次回の電磁弁駆動に備えるためである。
また、図3では、第1気筒#1におけるメイン噴射の噴射指令信号(期間t2)に、第2気筒#2におけるポスト噴射の噴射指令信号(期間t3)が重複しており、電磁弁101,102が同時に駆動される。つまり、多重噴射が実施される。このとき、電磁弁101,102は別々の噴射グループに属するため、それらは互いに無関係で制御され、仮に、この図3に示すように噴射時期が重複しても互いの影響を受けることなく燃料噴射が実施される。
詳しくは、期間t3で第2気筒#2の噴射指令信号S#2がハイになると、トランジスタT20がオンすると共にトランジスタT22がオンし、電磁弁102によるポスト噴射が開始される。つまり、トランジスタT20,T22のオンに伴いコンデンサC20に充電されたエネルギーが電磁弁102に放出される。これにより、電磁弁102のコイル102aに大電流が流れ、電磁弁102の開弁応答が早まる。コンデンサC20のエネルギー放出後は、それに引き続き、電流検出用の抵抗R20により検出した駆動電流(INJ2電流i)に応じてトランジスタT21がオン/オフ制御され、ダイオードD21を介して電磁弁102に定電流が供給される。これにより、電磁弁102は開弁状態で保持される。
その後、第2気筒#2の噴射指令信号S#2がローになると、トランジスタT20がオフして電磁弁102が閉弁し、同電磁弁102によるポスト噴射が終了される。
なお、T22のオフ後、充電許可信号がアクティブレベルになって、トランジスタT00がオン/オフを開始すると、昇圧回路50によるコンデンサC20の充電が開始される。
そして、本実施形態の燃料噴射制御装置において、マイコン130は、噴射指令信号S#1をハイにしてから、コイル101aにおける電流値が目標電流値Ipに至るまでの時間(以下、到達時間と言う)を計測し、さらに計測した到達時間に基づいて、コイル101aへの通電期間を補正するといった通電期間補正処理を実施するようになっている。
図4は、通電期間補正処理の流れを表すフローチャートであり、この通電期間補正処理は、マイコン130に備えられたCPU又は専用の論理回路によって実施される。また、各気筒#1〜#4について実施される。ここでは、第1気筒#1の場合について説明する。
この処理において、マイコン130は、まず、噴射指令信号S#1をハイにしたタイミングにて、このマイコン130が備えるタイマをスタートさせる(S110)。前述した到達時間の計測を開始するのである。
そして、コイル101aに流れる電流値が目標電流値Ipに至ったタイミングにて、タイマをストップさせる(S120)。前述したように、コイル101aに流れる電流は、抵抗R10に生じる電圧に基づき検出されるようになっている。そして、このS120の処理により、到達時間の計測が終了する。ここで、以下の説明において、到達時間としてタイマにより計測された時間を到達時間Tbというように符号Tbを付して表す。
そして、S130の処理では、その到達時間Tbをタイマより読み出す。また、到達時間について、コンデンサC10の充電電圧値や回路における各素子のパラメータ等から計算により導出した理論値である理論時間Taが、予めROMに記憶されており、マイコン130はこのS130の処理において、到達時間Tbから理論時間Taを減じた差分時間Tcを算出する。
ここで、なぜこのような処理をするかについて、図5を用いて説明する。
図5は、本燃料噴射制御装置の動作の一例を表すタイムチャートであり、ここでは、電磁弁101について説明するものとする。そして、図5中のINJ1電流Iの波形のうち、波形bは、実測に基づく波形を表している。一方、波形a0は、前述のようにコンデンサC10の充電電圧値や回路における各素子のパラメータ等から計算により導出される波形を表している。さらに、波形a1は、波形a0が現れる時刻が時間t4分だけ遅れた場合を表している。
波形a0に示すように、理論的には、噴射指令信号S#1がハイになると、すぐにコイル101aに電流が流れ始め、その電流値が目標電流値Ipに達するまでの間に電磁弁101が開弁し、エンジン1への燃料噴射が開始される。そしてその後は、電磁弁101の開弁状態が保持され、電磁弁101が開弁している間において、燃料噴射が継続される。
ところが、実際には、噴射指令信号S#1がハイになってからコイル101aに電流が流れ始めるまでには、図5中の時間t4で示すような遅れ時間が生じる場合がある。このような遅れ時間は、駆動制御回路120からトランジスタT12或いはトランジスタT10をオンするための指令が出力されてから、そのトランジスタT12或いはトランジスタT10が実際にオンするまでの時間(つまり、トランジスタT12及びトランジスタT10の応答時間)の遅れにより生じることが考えられる。
また、さらに、コイル101aに電流が流れ始めてから電磁弁101が開弁するまでの時間についても、遅れが生じる場合がある。これは、例えばコンデンサC10の周囲温度が低下してそのコンデンサC10の内部抵抗が増大したような場合、コンデンサC10の放電経路の電圧降下が大きくなり、コイル101aにおいては、印加される電圧が小さくなるため、波形bで示すように、電流値の立ち上がりが波形a0や波形a1の場合と比較して緩やかになってしまうためである。すると、図5に示すように、到達時間について、時間t5で示すような遅れ時間が生じてしまう。
そして、このように到達時間について遅れ時間t4,t5が生じると、電磁弁101の開弁時期が遅れ、エンジン1においては、本来噴射されるべき量の燃料が噴射されないこととなる。よって、実際の燃料噴射量は、理論上の燃料噴射量よりも少ないものとなる。ここで、図5中において、Qbは、実際の燃料噴射量を模式的に表したものであり、Qcは、本来噴射されるべき燃料噴射量から不足すると考えられる燃料噴射量を模式的に表したものである。つまり、理論上は、燃料噴射量はQb+Qcであるべきところ、遅れ時間t4,t5が生じた場合、燃料噴射量はQbとなる。このように実際の燃料噴射量が理論上の燃料噴射量よりも不足すると、例えば排気ガス中のNOxやPMが増加する等の問題が生じることが考えられる。
尚、図5において、時刻0は、噴射指令信号S#1がハイになった時刻を表し、時刻Teは、噴射指令信号S#1がローになった時刻、つまり、電磁弁101が閉弁した時刻を表している。また、時刻Taについて、前述の理論時間Taと同じ符号を用いているが、時刻0から時刻Taに至るまでの時間が理論時間Taに該当し、ここでは、便宜的に同じ符号を用いることとしている。なお、Tbについても同様である。
また、ここでは、実際の燃料噴射量が理論上の燃料噴射量よりも不足する場合について説明したが、逆に、実際の燃料噴射量が理論上の燃料噴射量よりも増大する場合も考えられる。つまり、噴射指令信号S#1がハイになってから遅れ時間がなくコイル101aに電流が流れ、しかも、その電流値が目標電流値Ipに達するまでの時間が理論上の時間よりも短くなるような場合である。このような場合としては、例えば、コンデンサC10の周囲温度が上昇するとともにそのコンデンサC10の内部抵抗が小さくなることにより放電経路の電圧降下が小さくなり、コイル101aに印加される電圧が大きくなるというような場合が考えられる。
コイル101aに印加される電圧が大きくなると、そのコイル101aにおいて、流れる電流値の立ち上がりが大きくなり、その電流値が目標電流値Ipに達するまでの時間が短縮される。このような場合には、電磁弁101の開弁時期が早まって理論上の燃料噴射量よりも余分な燃料が噴射されることとなり、このことは、排気ガス中のNOxやPMの増加の原因となるとともに燃費の観点からも好ましくない。
つまり、到達時間Tbが理論時間Taから大きくずれると(つまり、差分時間Tcが大きくなると)、所望の燃料噴射量が確保されていないことが考えられるため、そのような問題が生じている可能性を検証する目的で、前述のS110〜S130の処理で差分時間Tcを算出する(S130)。
そして、図4の通電期間補正処理では、次に、ECU100の内部温度(以下、単にECU内部温度と言う)を温度センサH01より検出する(S140)。ここで、以下の説明において、その検出されたECU内部温度を検出温度K1と表す。
ところで、前述したように、コンデンサC10のESRがECU内部温度(つまり、コンデンサC10の周囲温度)により変動すると、到達時間Tbも変動する。さらに、到達時間Tbは、コンデンサC10以外の素子の状態によっても変動し、例えば回路異常や素子劣化等が生じた場合には、到達時間Tbは大きく変動すると考えられる。
そして、本装置では、到達時間Tbから理論時間Taを減じた差分時間Tcが予め設定された許容範囲を超えるものであれば、回路異常や素子劣化が生じていると判断するようになっている。また、本実施形態において、許容範囲は、ECU内部温度に関連づけて予めEEPROM10に記憶されている。つまり、温度毎(ここでは、一定の温度範囲毎)に許容範囲が定められている。そして、その許容範囲は、容易に変更ができ、例えば、車両のメンテナンス者が、本装置のメンテナンス時等に書き換えができるようになっている。
また、許容範囲は、自動で記憶(書き換え)がなされるようにしてもよい。この場合、マイコン130における図示しない処理にて許容範囲が設定(算出)され、EEPROM10に書き込まれるようにすることが考えられる。より具体的には、マイコン130により、差分時間Tcが複数回の燃料噴射について算出され、その差分時間Tcが多く分布する範囲を含むように許容範囲が設定されて、EEPROM10に書き込まれるようにすることができる。これにより、許容範囲の最適化を図るようにすることができる。
そして、S150では、検出温度K1に対応する許容範囲をEEPROM10より読み出す。
次に、差分時間Tcが許容範囲にあるか否かを判定し、許容範囲にあると判定すると(S160:YES)、前述の通電期間について、その通電期間に差分時間Tc分の期間を加える処理を実施する(S170)。
例えば、Tb−Ta=Tc>0であるとすると、図6に示すように、噴射指令信号S#1がローになる時刻を時刻Teから差分時間Tc分だけ遅らせる。即ち、噴射指令信号S#1のハイ期間を差分時間Tc分だけ延長する。すると、エンジン1における燃料噴射量がQcだけ増加し、排気ガス中のNOxやPMが増加してしまうことを防止することができる。
また、例えばTb−Ta=Tc<0であるとすると、図示はしないが、噴射指令信号S#1がローになる時刻を時刻Teから差分時間Tc分だけ早くする。即ち、噴射指令信号S#1のハイ期間を差分時間Tc分だけ短くする。すると、エンジン1における燃料噴射量がQcだけ減少し、エンジン1の排気ガス中のNOxやPMの増加及び燃費の悪化を防止できる。
さらに、他の実施形態として、Tb−Ta=Tc>0の場合、図7に示すように噴射指令信号S#1がローになる時刻は時刻Teとしたままで、噴射指令信号S#1をハイにする時刻を時刻0から差分時間Tc分だけ早めるようにすることもできる。これによっても、図6の場合と同様の効果を得ることができる。
また、Tb−Ta=Tc<0の場合には、図示はしないが、噴射指令信号S#1がローになる時刻は時刻Teとしたままで、噴射指令信号S#1をハイにする時刻を時刻0から差分時間Tc分だけ遅らせるようにすることもできる。これにより、燃料噴射量を減少させて排気ガス中のNOxやPMが増加することや燃費が悪化することを防止できる。
そして、燃料噴射量を増加させる場合に、噴射指令信号S#1がローになる時刻を時刻Teから差分時間Tc分だけ遅らせるか或いは噴射指令信号S#1をハイにする時刻を時刻0から差分時間Tc分だけ早めるか、又は、燃料噴射量を減少させる場合に、噴射指令信号S#1がローになる時刻を時刻Teから差分時間Tc分だけ早めるか或いは噴射指令信号S#1をハイにする時刻を時刻0から差分時間Tc分だけ遅らせるかは、前後の燃料噴射との時間的関係から適宜決定されるようにすることができる。
また、S160にて、差分時間Tcが許容範囲にないと判定すると(S160:NO)、前述のように回路異常や素子劣化等が生じていると判断し(S180)、フェールセーフ処理として、回路異常や素子劣化というような異常が生じている旨を車両の運転手に知らせるための警告ランプを点灯させたり、或いは電磁弁101への通電を禁止したりする、といったような処理を実施する(S190)。
尚、本実施形態において、昇圧回路50が高電圧生成手段に相当し、トランジスタT10〜T40,T12,T22がスイッチング素子に相当し、マイコン130が設定手段及び補正手段に相当し、駆動制御回路120が放電制御手段に相当し、S110及びS120の処理が到達時間計測手段に相当し、S130の処理が差分時間検出手段に相当し、駆動制御回路120及びトランジスタT11,T21が保持手段に相当し、温度センサH01が温度検出手段に相当し、EEPROM10が時間範囲記憶手段に相当している。また、S170の処理が補正手段に相当している。
本実施形態の燃料噴射制御装置によれば、差分時間Tcに応じて、燃料噴射量が補正されてエンジン1への燃料噴射量が適切な量に制御されるため、所望の燃料噴射量が確保されるようになる。
また、差分時間Tcが許容範囲にない場合には、回路や素子等に異常が生じていると判断し、燃料噴射量を補正するための処理を実施しないことから、装置の負荷が無用に増大することを防止できる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の燃料噴射制御装置について説明する。この第2実施形態の燃料噴射制御装置は、第1実施形態の燃料噴射制御装置と比較してハードの構成は同じであり、以下、同じ符号を用いるものとする。また、以下の説明において、本装置の作用としては電磁弁101について説明するが、他の電磁弁102〜104についても同様である。
そして、本第2実施形態において、マイコン130は、到達時間Tbの理論時間Taからのずれ量(つまり、差分時間Tc)が大きくなった場合の処理として、コンデンサC10の充電電圧の目標値を高くする、或いは低くするといった補正を実施する。
まず、図8は、本第2実施形態のマイコン130が実行する電圧補正処理の流れを表すフローチャートである。
この電圧補正処理は、図4の通電期間補正処理と比較して、S170の処理の部分が異なっている。マイコン130は、この電圧補正処理において、S160から移行するS270の処理にて、コンデンサC10の充電電圧の目標値(ここでは、Vαとする)に対して電圧値Vβを加える補正を行う。前述のように、コンデンサC10の充電電圧の目標値は、充電制御回路110の図示しない記憶部に記憶されており、マイコン130は、その記憶部に記憶された充電電圧の目標値Vαを、Vα+Vβに書き換える。ここで、このVβは、差分時間Tcに応じて予め定められた値が設定されるようになっている。具体的には、Vβは、差分時間Tcに関連づけて予めROMに記憶されており、このS270の処理では、S130にて算出した差分時間に基づきVβをROMより読み出すとともに、充電電圧の目標値VαをVα+Vβとするのである。
そして、例えばTb−Ta=Tc>0となっており、噴射される燃料が不足している場合では、Vβは正の電圧値である。この場合、コンデンサC10の充電電圧の目標値をVα+Vβと補正すると、コイル101aに印加される印加電圧は、コンデンサC10の充電電圧の目標値がVαである場合と比較して増加することとなるため、コイル101aに流れる電流値の立ち上がりが大きくなる。つまり、コイル101aに電流が流れ始めてからその電流値が目標電流値Ipに達するまでの時間が、コンデンサC10の充電電圧の目標値がVαである場合と比較して短縮される。よって、電磁弁101の開弁の時期が早まり燃料噴射量が増加する。これにより、燃料噴射量が適切な量に制御される。
また逆に、Tb−Ta=Tc<0となっており、余分な燃料が噴射されている場合では、Vβは負の電圧値である。そして、コンデンサC10の充電電圧の目標値をVα+Vβ(Vβ<0)と補正すると、コイル101aに印加される印加電圧は低下する。よって、電磁弁101の開弁の時期が遅れて燃料噴射量が減少する。これにより、燃料噴射量が適切な量に制御されることとなる。
ここで、さらに図9を用いて説明する。図9は、Tb−Ta=Tc>0の場合において前述の電圧補正処理が実施された際のタイムチャートを表している。図9におけるINJ1電流I(以下、単に電流Iと言う)について、波線で示す波形は、コンデンサC10の充電電圧の目標値が補正される前の変化を表し、実線で示す波形は、コンデンサC10の充電電圧の目標値がVα+Vβに補正された後の変化を表している。この例では、補正前は時刻Tbにて電流Iが目標電流値Ipに達しているところ、補正後は時刻Tb−Tcにて目標電流値Ipに達している。
つまり、到達時間が差分時間Tc分だけ短縮され、その差分時間Tcの間に、燃料噴射量Qcが確保されるようになっている。よって、コンデンサC10の充電電圧の目標値をVα+Vβと補正することにより、燃料噴射量が適切な量(Qb+Qc)になる。即ち、所望の燃料噴射量が確保されるようになる。
また、Tb−Ta=Tc<0の場合において、図示はしないが、コンデンサC10の充電電圧の目標値をVα+Vβ(Vβ<0)と補正することにより、電流Iが目標電流値Ipに達する時刻がTb+Tcとなるようにする。すると、この場合には、余分に噴射されていた燃料噴射量Qc分が減少し、燃料噴射量が適切な量となって、排気ガス中のNOxやPMの増加及び燃費の悪化が防止される。
尚、本第2実施形態においては、S270の処理が補正手段に相当している。
このような本第2実施形態においては、噴射指令信号S#1がハイとなる期間(通電期間)を変化させなくても燃料噴射量を補正することができるので、各燃料噴射の間の期間が短くなったりするということがない。よって、コンデンサC10の充電期間が十分確保されるため各燃料噴射が確実に実施されるようになり、しかも、燃料噴射量が適切な量に制御されて所望の燃料噴射量が確保されるようになる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の燃料噴射制御装置について説明する。この第3実施形態の燃料噴射制御装置は、第1実施形態の燃料噴射制御装置と比較してハードの構成は同じであり、以下、同じ符号を用いるものとする。そして、本実施形態においては、ECU100は、エンジンルーム内において、エンジンブロックの近傍に設けられている。
また、以下の説明において、本装置の作用としては電磁弁101について説明するが、他の電磁弁102〜104についても同様である。
前述したように、電磁弁101を開弁するために噴射指令信号S#1がハイとなってからコイル101aに流れる電流Iが目標電流値Ipに至るまでの時間(到達時間)は、トランジスタT12或いはトランジスタT10の応答時間や、コンデンサC10の周囲温度によって変動する。
そして、この種の装置では、コンデンサC10の周囲温度による変動の度合いは、トランジスタT12或いはトランジスタT10の応答時間による変動の度合いよりも大きい。
そこで、本実施形態においては特に、コンデンサC10の周囲温度によりエンジン1への燃料噴射量を補正するようにしている。以下、具体的に説明する。
本第3実施形態において、マイコン130は、図10に示す補正処理を実施する。
この補正処理において、マイコン130は、まず、コンデンサC10の周囲温度としてECU内部温度を検出する(S210)。
そして、その検出した検出温度K1が予め定められた設定領域にあるか否かを判定し、設定領域にある場合には(S220:YES)、エンジン1への燃料噴射量を補正する処理を実施し(S230)、検出温度K1が予め定められた設定領域にない場合には(S220:NO)、エンジン1への燃料噴射量を補正する処理を実施しないようになっている。なお、S230の処理の具体的な内容については、後述する。
ここで、S220の判定処理で用いる設定領域としては、到達時間Tbが理論時間Taから特に大きくずれるような温度領域が設定されている。これにより、到達時間Tbが理論時間Taから大きくずれることがなく燃料噴射量を特に補正しなくてもよい温度領域においては、燃料噴射量を補正するための処理が行われないため、装置の負荷を抑えることができる。
次に、S230の処理の内容について説明する。
前述のように、コンデンサC10の周囲温度によって到達時間Tbは変動するが、この変動量は予め予測することができる。コンデンサC10の周囲温度により、そのコンデンサC10のESRを予測することができるからである。そして、本第3実施形態では、周囲温度としてのECU内部温度が特定の温度にあるとした場合、その特定の温度に対応して予め定められた補正時間を、通電期間に対して加減するようになっている。
図11は、ECU内部温度と、加減する補正時間との関係を表すグラフである。そして、この図11により算出される補正時間が通電期間に加減されることで、エンジン1への燃料噴射量が補正(増減)されるようになっている。また、この図11の関係を表すデータは、予めマイコン130が備えるROMに記憶されている。尚、EEPROM10に記憶させ、容易に書き換えができるようにしてもよい。
そして、マイコン130は、検出温度K1が設定領域にある場合には(S220:YES)、その検出温度K1において加減すべき補正時間を、ROMに記憶された図11に示すようなデータから算出するとともに通電期間に対して加減する。図11に示すように、通電期間に対して加減する補正時間は、ECU内部温度が25℃であれば0となり、ECU内部温度がTxであればtxとなり、ECU内部温度が小さい場合ほど、補正時間が長くなるようにされている。
そして、通電期間を長くする場合には、噴射指令信号S#1がローになる時刻を、時刻Teから補正時間分だけ遅らせ、通電期間を短くする場合には、噴射指令信号S#1がローになる時刻を、時刻Teから補正時間分だけ早くする。
尚、噴射指令信号S#1がハイになる時刻を補正してもよい。この場合、通電期間を長くするには、噴射指令信号S#1がハイになる時刻を時刻0から補正時間分だけ早くし、通電期間を短くするには、噴射指令信号S#1がハイになる時刻を時刻0から補正時間分だけ遅らせればよい。また、噴射指令信号S#1がハイになる時刻及びローになる時刻の両方を補正するようにしてもよい。
またさらに、この装置では、電磁弁101における通電期間についての補正時間と、ECU内部温度及びエンジン水温THWの関係とから、そのエンジン水温THWを測定する水温センサH02の異常の有無を検出できるようになっている。以下、具体的に説明する。
前述したように、マイコン130は、温度センサH01からECU内部温度を検出し、また、水温センサH02からエンジン水温THWを検出する。そして、本第3実施形態のように、ECU100がエンジンルーム内においてエンジンブロックの近傍に設けられている場合、エンジン水温THWが上昇すればECU内部温度も上昇し、逆にエンジン水温THWが低下すればECU内部温度も低下するというように、エンジン水温THWとECU内部温度とは比例関係にある。そして、この比例関係が成り立たない場合には、水温センサH02及び温度センサH01の少なくとも何れかについて、故障等の異常が生じていると考えることができる。
ここで、図12は、エンジン水温THWとECU内部温度との関係を表すグラフであり、正常領域は、両者が比例関係にある領域を表し、異常領域は、両者が比例関係にない領域を表す。つまり、図12において、エンジン水温THWとECU内部温度とを表すプロット点が正常領域にあれば、温度センサH01及び水温センサH02は正常であると言えるが、そのプロット点が正常領域以外の領域にある場合は、少なくとも、温度センサH01或いは水温センサH02の何れかに異常が生じているということが言える。
そして、後者の場合において、温度センサH01及び水温センサH02のどちらに異常が生じているか特定はできない。
そこで、本第3実施形態においては、前述の比例関係が崩れた場合に、マイコン130は、電磁弁101についての到達時間Tbのデータを利用して、温度センサH01或いは水温センサH02の異常の有無について判断する。具体的には、マイコン130は図13に示す異常判断処理を実行する。尚、この異常判断処理は、一定時間毎に実行される。
この異常判断処理において、マイコン130は、まず、エンジン水温THWの検出値とECU内部温度の検出値との関係が比例関係にあるか否かを判定し(S310)、比例関係にあると判定すると(S310:YES)、そのまま所定の処理へ戻るが、比例関係にないと判定すると(S310:NO)、到達時間を検出する(S320)。そして、その検出した到達時間Tbから、ECU内部温度を推定する(S330)。
前述したように、例えばコンデンサC10の周囲温度が低下すれば到達時間は増加し、逆に周囲温度が上昇すれば到達時間は減少するというように、コンデンサC10の周囲温度と到達時間との間には一定の関係がある。そして、コンデンサC10の周囲温度と到達時間とについて、一方の値が分かれば他方の値も推定できるようになっている。
この装置では、コンデンサC10の周囲温度と到達時間との関係を表すデータが予めマイコン130が備えるROM等に記憶されており、到達時間TbからコンデンサC10の周囲温度が上記データに基づき算出されるようになっている。
そして、マイコン130は、検出したECU内部温度と推定した周囲温度とを比較し、両者が同値とみなせるか否かを判定する(S340)。例えば、両者の差が一定範囲内にあれば同値とみなし、両者の差が一定範囲内になければ同値ではないと判定するように構成できる。そして、両者が同値とみなせると判定すると(S340:YES)、水温センサH02に異常が生じていると判断するとともに(S350)、水温センサH02に異常が生じている旨の警告をする(S360)。例えば、水温センサH02に異常が生じていることを知らせる警告ランプを点灯させることが考えられる。また、音声等にて警告するようにしてもよい。
一方、検出したECU内部温度と推定した周囲温度とが同値ではないと判定した場合(S340:NO)、温度センサH01或いは水温センサH02の少なくとも何れかに異常が生じていると判断して、S360の処理へ移行する。この場合のS360においては、水温センサH02及び温度センサH01の少なくとも何れかに異常が生じている旨の警告をする(S360)。例えば、水温センサH02或いは温度センサH01に異常が生じていることを知らせる警告ランプを点灯させることが考えられる。また、音声等にて警告するようにしてもよい。
ここで、本第3実施形態においては、コンデンサC10の周囲温度により、その周囲温度に応じた補正時間を通電期間に対して加減するようにしているが、別の実施形態としては、コンデンサC10の周囲温度に応じて、コンデンサC10の充電電圧の目標値を増減させるようにしてもよい。
この場合、コンデンサC10の周囲温度が小さい場合ほど、コンデンサC10の充電電圧値の目標値を高くするようにする。コンデンサC10の周囲温度が小さい場合、そのコンデンサC10のESRは増大してコイル101aへの印加電圧は低下するため、エンジン1への燃料噴射量は減少する。そこで、コンデンサC10の充電電圧値の目標値を高くするように補正すれば、コイル101aへの印加電圧が増大するため、燃料噴射量を増加させて適切な量にすることができる。
一方、コンデンサC10の周囲温度が大きい場合には、エンジン1への燃料噴射量は増加するため、コンデンサC10の充電電圧値の目標値を低くするように補正する。これにより、燃料噴射量を減少させて余分な燃料が噴射されないようにすることができる。
さらに、コンデンサC10の周囲温度とエンジン水温THWとが比例関係にあることから、エンジン水温THWに応じて燃料噴射量を補正するようにしてもよい。つまり、エンジン水温THWに応じて通電期間を増減させたり充電電圧の目標値を増減させたりしてもよい。
この場合、通電期間について、エンジン水温THWが小さい場合ほど通電期間が長くなるように補正し、エンジン水温THWが大きい場合ほど通電期間が短くなるように補正する。また、充電電圧の目標値について、エンジン水温THWが小さい場合ほど充電電圧の目標値を増加させ、エンジン水温THWが大きい場合ほど充電電圧の目標値を減少させる。
尚、本実施形態においては、水温センサH02が水温検出手段に相当し、S310の処理が比例判定手段に相当し、S340及びS350の処理が異常判定手段に相当し、EEPROM10が温度領域記憶手段に相当している。また、マイコン130は、通電期間を補正する場合、及び充電電圧の目標値を補正する場合において、補正手段に相当する。
本第3実施形態によれば、コンデンサC10の周囲温度に応じて補正時間を通電期間に加減するという比較的簡単な処理を実施することで、燃料噴射量を適切に制御して、所望の燃料噴射量が確保されるようにすることができる。
また、燃料噴射量が適切な量から大きく変動しない温度領域においては、燃料噴射量を補正する処理を行わないため、装置の負荷を増大させることがない。
また、温度センサH01の異常の有無、ひいては水温センサH02の異常の有無を検出でき便利である。そして、水温センサH02の異常の有無を検出するための機構を別途設けなくてもよいため、コストの面において有利である。さらに温度センサH01に異常が生じた場合であっても、水温センサH02により検出されるエンジン水温THWに応じて燃料噴射量を補正できるため、より確実に所望の燃料噴射量が確保されるようにすることができる。
尚、水温センサH2の異常の有無を検出する機構としては、マイコン130の停止期間をカウントするタイマ(以下、ソークタイマと言う)を利用した機構が考えられる。具体的に、マイコン130は、そのマイコン130の停止直前と起動直後とにおいて、エンジン水温THWを検出する。マイコン130の停止期間はソークタイマによりカウントされており、マイコン130は、起動直後においては、ソークタイマのカウント値も読み出す。そして、起動直後のエンジン水温THWは、停止直前のエンジン水温THWからみて、ソークタイマのカウント値(つまり、マイコン130の停止期間)が大きいほど低下しているはずであり、しかも、停止直前のエンジン水温THWとソークタイマのカウント値が分かれば、マイコン130は、起動直後のエンジン水温THWを推測することができる。そこで、マイコン130は、起動直後のエンジン水温THWについて、推測した値と実際に検出した値とを比較し、両者が一定値以上異なると判断したならば、水温センサH02に異常が生じていると判定する。
そして、本第3実施形態によれば、このようなソークタイマを用いた機構を別途設けなくても、水温センサH02の異常の有無を検出できるのである。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態の燃料噴射制御装置について説明する。
図14は、本第4実施形態の燃料噴射装置の構成図である。本第4実施形態においては、電磁弁101〜104の代わりに、ピエゾインジェクタP101,P102,P103,P104が設けられている。このピエゾインジェクタP101〜P104は、コンデンサC10,C20が放電されることにより充電されるとともに、充電電圧が規定値に達すると、そのピエゾインジェクタP101〜P104内部の図示しないピストンが駆動する。
そして、コンデンサC10,C20の放電時に過電流が流れることを防止するために、トランジスタT12と端子COM1との間の通電経路にインダクタL13が接続され、トランジスタT22と端子COM2との間の通電経路にはインダクタL23が接続されている。
さらに、本装置では、ピエゾインジェクタP101〜P104の放電用のトランジスタT13,T23が設けられている。トランジスタT13は、一方の出力端子がトランジスタT12と端子COM1との間の通電経路に接続され、他方の出力端子がグランドラインに接続されている。そして、トランジスタT23は、一方の出力端子がトランジスタT22と端子COM2との間の通電経路に接続され、他方の出力端子がグランドラインに接続されている。
以下、本装置の動作について、図15を用いて簡単に説明する。なお、ここでは、ピエゾインジェクタP101について説明するが、他のピエゾインジェクタP102〜P104についても同様である。
まず、コンデンサC10には、予め所定のエネルギーが蓄積されている。そして、ピエゾインジェクタP101についての噴射指令信号S#1がハイになると(時刻0)、トランジスタT10がオンされ、さらに、図示はしないが、トランジスタT12がオン/オフされる。すると、コンデンサC10が放電され、図15の充電期間にて示すように、その放電エネルギーがピエゾインジェクタP101に蓄えられる。
そして、ピエゾインジェクタP101にはピストンを駆動させるための圧電素子が設けられており、そのピエゾインジェクタP101において充電電圧が規定値Vpに達すると、圧電素子が変形してピストンが駆動される。これにより、エンジン1に燃料が噴射される。
そして、所定の通電期間が経過して噴射指令信号S#1がローになると(時刻Te)、トランジスタT10がオフされるとともに、トランジスタT12もオフされる。さらに、トランジスタT13がオン/オフされ、ピエゾインジェクタP101が放電される。すると、圧電素子の変形状態が解除され、ピストンが元の位置に戻り、燃料噴射が停止される。
そして、本第4実施形態では、コンデンサC10の周囲温度を検出し、その周囲温度に応じて通電期間(噴射指令信号S#1のハイ期間)を補正することで、エンジン1への燃料噴射量を増減させる。具体的に、マイコン130は、第3実施形態と同じ図10の処理を実施する。
つまり、コンデンサC10の周囲温度としてECU内部温度を検出するとともに(S210)、周囲温度が予め定めた設定領域にある場合に(S220:YES)、周囲温度に応じて算出された補正時間を通電期間に対して加減する(S230)。そして、通電期間は、周囲温度が小さい場合ほど長くなり、周囲温度が大きい場合ほど短くなる。
これは、周囲温度が小さい場合には、コンデンサC10のESRが増大して放電エネルギーが低下するため、ピエゾインジェクタP101においては、図15に示す充電期間が長くなって燃料噴射量が減少することから、通電期間を長くするようにしているのである。一方、周囲温度が大きい場合には、逆に燃料噴射量が増加することとなるため、通電期間を短くするようにする。
そして、通電期間を長くする場合には、噴射指令信号S#1がローになる時刻を、時刻Teから補正時間分だけ遅らせ、通電期間を短くする場合には、噴射指令信号S#1がローになる時刻を、時刻Teから補正時間分だけ早くする。
尚、噴射指令信号S#1がハイになる時刻を補正してもよい。この場合、通電期間を長くするには、噴射指令信号S#1がハイになる時刻を時刻0から補正時間分だけ早くし、通電期間を短くするには、噴射指令信号S#1がハイになる時刻を時刻0から補正時間分だけ遅らせればよい。また、噴射指令信号S#1がハイになる時刻及びローになる時刻の両方を補正するようにしてもよい。
また、他の実施形態として、周囲温度に応じてコンデンサC10の充電電圧の目標値を増減させるようにしてもよい。この場合、周囲温度が小さい場合ほど充電電圧の目標値を増加させ、周囲温度が大きい場合ほど充電電圧の目標値を低下させる。そして、充電電圧の目標値の補正量(増減量)は、予め、周囲温度と関連づけてROM等に記憶させておくようにすればよい。つまり、周囲温度に応じた増減量をROM等から読み出すようにするのである。
コンデンサC10の充電電圧の目標値を増加させると、ピエゾインジェクタP101に電圧が印加されてからそのピエゾインジェクタP101が開弁するまでの時間(図15の充電期間)を短縮させて開弁の時期を早め、燃料噴射量を増加させることができる。また、コンデンサC10の充電電圧の目標値を低下させると、上記の充電期間を長くして開弁の時期を遅らせ、燃料噴射量を減少させることができる。
本第4実施形態の燃料噴射制御装置によれば、ピエゾインジェクタP101〜P104を制御する場合でも、燃料噴射量を適切な量に制御して、所望の燃料噴射量が確保されるようにすることができる。また、コンデンサC10の周囲温度に応じて燃料噴射量を補正するという比較的簡単な処理を行えばよいため、装置の負荷を抑えることができ有利である。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態の燃料噴射装置について説明する。
前述したように、図1において、高圧燃料ポンプ3から圧送される燃料がコモンレール4で高圧状態に蓄積され、そのコモンレール4から各気筒に設けられた電磁弁101〜104へ燃料が供給されるようになっている。そして、ECU100が高圧燃料ポンプ3を制御することで、コモンレール4に蓄積される燃料の圧力が制御される。
そして、特に、本第5実施形態の燃料噴射制御装置においては、前述の差分時間Tcに応じて、コモンレール4に蓄積される燃料の圧力がさらに補正されるようになっている。具体的には、差分時間Tcが正の方向に大きい場合ほど、コモンレール4に蓄積される燃料の圧力は大きくなるように補正され、一方、差分時間Tcが負の方向に大きい場合ほど、コモンレール4に蓄積される燃料の圧力は小さくなるように補正される。ここで、その補正量(圧力の増減量)は、差分時間Tcに関連づけて予めROM等に記憶されており、この装置では、差分時間Tcに基づいて補正量をROMより読み出す。そして、マイコン130は、その補正量に応じて高圧燃料ポンプ3を制御し、コモンレール4に蓄積される燃料の圧力を補正する。
これにより、エンジン1への燃料噴射量が適切な量にされる。これは、コモンレール4に蓄積される燃料の圧力が大きい場合ほど、ある単位時間にシリンダ2に噴射される燃料の量は増加し、逆に、コモンレール4に蓄積される燃料の圧力が小さい場合ほど、ある単位時間にシリンダ2に噴射される燃料の量は減少するためである。
つまり、差分時間Tcが正の方向に大きいと燃料噴射量は不足していることが考えられ、この場合には、コモンレール4に蓄積される燃料の圧力を増加させて燃料噴射量を増加させるようにする。また、差分時間Tcが負の方向に大きいと余分な燃料が噴射されていることが考えられ、この場合には、コモンレール4に蓄積される燃料の圧力を低下させて燃料噴射量を減少させるようにする。
このように、この装置では、コモンレール4に蓄積される燃料の圧力が制御されることでエンジン1への燃料噴射量が適切な量に制御される。
尚、本第5実施形態において、マイコン130が、圧力制御手段に相当するとともに、補正手段に相当している。
そして、この第5実施形態において、コンデンサC10の周囲温度に応じて上記の圧力を補正するようにしてもよい。この場合、圧力の補正量を、周囲温度に関連づけてROM等に記憶させておくようにすればよい。また、周囲温度に応じて圧力を補正する場合には、電磁弁101〜104の代わりにピエゾインジェクタP101〜P104が用いられてもよい。そして、周囲温度に応じてコモンレール4に蓄積される燃料の圧力を補正する場合において、マイコン130は補正手段に相当する。
本第5実施形態によれば、電磁弁101〜104の通電期間が加減されないため、各燃料噴射の間の期間が確実に確保され、コンデンサC10の充電が確実に行われる。よって、確実に燃料噴射が行われ、しかも燃料噴射量が適切な量に制御されて所望の燃料噴射量が確保されるようになる燃料噴射制御装置を提供することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術範囲内において種々の形態をとることができる。
例えば、上記実施形態においては、ディーゼルエンジンの燃料噴射の制御システムについて説明したが、ガソリンエンジンの燃料噴射の制御システムに適用してもよい。
また、上記実施形態において、燃料噴射量を補正する方法として、(1)通電期間を増減させる方法、(2)コンデンサC10,C20の充電電圧の目標値を増減させる方法、及び(3)コモンレール4に蓄積される燃料の圧力を増減させる方法、について説明したが、それらは適宜組み合わせて実施させることが可能である。
また、通電期間補正処理、或いは電圧補正処理において、S140でECU内部温度を検出した後、そのECU内部温度が予め定めた設定領域にあると判定された場合に、次のS150の処理へ進むようにしてもよい。そして、ECU内部温度が設定領域にないと判定された場合には、通電期間補正処理を終了するようにすればよい。
燃料噴射制御システムの構成図である。 燃料噴射制御装置の構成図である。 燃料噴射制御装置の動作を説明するタイムチャートである。 通電期間補正処理の流れを表すフローチャートである。 燃料噴射制御装置の動作の一例を説明するタイムチャートである。 燃料噴射制御装置の作用の一例を説明するタイムチャートである。(その1) 燃料噴射制御装置の作用の一例を説明するタイムチャートである。(その2) 電圧補正処理の流れを表すフローチャートでる。 燃料噴射制御装置の作用の一例を説明するタイムチャートである。(その3) 補正処理の流れを表すフローチャートでる。 周囲温度と補正時間との関係を表すグラフである。 ECU内部温度とエンジン水温との関係を説明する説明図である。 異常判断処理の流れを表すフローチャートでる。 第4実施形態の燃料噴射制御装置の構成図である。 第4実施形態の燃料噴射制御装置の動作を説明するタイムチャートである。
符号の説明
1…エンジン、3…高圧燃料ポンプ、4…コモンレール、5…インジェクタ、8…圧力センサ、10…EEPROM、50…昇圧回路、100…電子制御装置(ECU)、101〜104…電磁弁、101a〜104a…コイル、110…充電制御回路、120…駆動制御回路、130…マイコン、C10,C20…コンデンサ、COM1,COM2…端子、D11,D21,D13,D23,D31,D32…ダイオード、H01…温度センサ、H02…水温センサ、INJ1〜INJ4…端子、L00…インダクタ、Lp…電源ライン、P101〜P104…ピエゾインジェクタ、R00,R01,R02,R10,R20…抵抗、S#1〜S#4…噴射指令信号、T10〜T40,T11,T21,T12,T22…トランジスタ、VB…バッテリ電圧。

Claims (9)

  1. コンデンサを有し、該コンデンサを充電することにより電源電圧よりも高い所定電圧値の高電圧を生成する高電圧生成手段と、
    前記コンデンサから放電されることにより開弁して、内燃機関へ燃料を噴射するインジェクタと、
    前記インジェクタの駆動期間を設定する設定手段と、
    前記インジェクタの通電経路に設けられ、オンすることで前記コンデンサから前記インジェクタへ放電させるスイッチング素子と、
    前記設定手段により設定された前記駆動期間の開始タイミングで、前記スイッチング素子へ、該スイッチング素子をオンするためのオン指令を出力する放電制御手段と、
    を備えた燃料噴射制御装置において、
    前記オン指令が出力されてから前記インジェクタに流れるコンデンサからの放電電流が規定値に至るまでの到達時間を計測する到達時間計測手段と、
    前記到達時間計測手段により計測された到達時間から予め定められた規定到達時間を減じた差分時間を検出する差分時間検出手段と、
    前記差分時間に応じて前記内燃機関への燃料噴射量を増減させるための補正処理として、少なくとも、前記設定手段が設定する前記駆動期間の開始タイミングを、前記差分時間に応じて、前記差分時間が正の方向に大きいほど早くするように補正し、前記差分時間が負の方向に大きいほど遅くするように補正する処理を行う補正手段と、
    を備えていることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記インジェクタが開弁した後、その開弁状態を保持させる保持手段を備え、
    前記補正手段は、前記補正処理として、前記保持手段が前記インジェクタを開弁状態に保持させる保持期間を、前記差分時間に応じて、前記差分時間が正の方向に大きいほど長くし、前記差分時間が負の方向に大きいほど短くすること、
    を特徴とする燃料噴射制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記補正手段は、前記補正処理として、前記高電圧生成手段による前記コンデンサの充電電圧を、前記差分時間に応じて、前記差分時間が正の方向に大きいほど増加させ、前記差分時間が負の方向に大きいほど減少させること、
    を特徴とする燃料噴射制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記インジェクタへの燃料の供給圧力を制御する圧力制御手段を備え、
    前記補正手段は、前記補正処理として、前記圧力制御手段が制御する前記供給圧力を、前記差分時間に応じて、前記差分時間が正の方向に大きいほど増加させ、前記差分時間が負の方向に大きいほど減少させること、
    を特徴とする燃料噴射制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記補正手段は、前記差分時間が所定範囲にあるか否かを判定し、所定範囲にない場合には、前記補正処理を行わないようになっていることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  6. 請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記コンデンサの周囲温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記補正手段は、前記温度検出手段により検出される前記周囲温度が特定温度領域にあるか否かを判定し、特定温度領域にある場合に、前記補正処理を行ようになっていることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  7. 請求項に記載の燃料噴射制御装置において、
    当該燃料噴射制御装置は前記内燃機関の近傍に設けられているとともに、前記コンデンサの周囲温度と前記内燃機関の冷却水温とは比例関係にあり、
    前記冷却水温を検出する水温検出手段と、
    前記水温検出手段により検出される冷却水温(以下、この項において検出水温と言う)と、前記温度検出手段により検出される前記コンデンサの周囲温度(以下、この項において検出周囲温度と言う)とが前記比例関係にあるか否かを判定する比例判定手段と、
    前記比例判定手段により前記検出水温と前記検出周囲温度とが前記比例関係にないと判定されると、前記差分時間から前記コンデンサの周囲温度を推測するとともに、その推測した前記コンデンサの周囲温度と前記検出周囲温度とを比較して両者が同値とみなせる場合に、前記水温検出手段に異常が生じていると判定する異常判定手段と、
    を備えていることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  8. 請求項に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記補正手段が前記差分時間の判定に用いる前記所定範囲を書き換え可能に記憶する不揮発性の時間範囲記憶手段を備えていることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  9. 請求項6又は請求項7に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記補正手段が前記周囲温度の判定に用いる前記特定温度領域を書き換え可能に記憶する不揮発性の温度領域記憶手段を備えていることを特徴とする燃料噴射制御装置。
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