JP4568152B2 - 磁気記録素子及びそれを用いた磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録素子及びそれを用いた磁気記録装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁気記録素子及び磁気記録装置に関し、特にスピン偏極した電子を流すことにより書き込みが可能な磁気記録素子及びそれを用いた磁気記録装置に関する。
磁性体の磁化方向を制御するためには、従来、磁界を印加する方法が採られてきた。例えば、ハードディスクドライブ(hard disk drive)においては、記録ヘッドから発生する磁場により、媒体の磁化方向を反転させ、書き込みを行っている。また、固体磁気記録装置(MRAM:Magnetic Random Access Memory)では、磁気抵抗効果素子の近傍に設けられた配線に電流を流すことで生じる電流磁界をセルに印加することで、セルの磁化方向制御を行う。これらの外部磁場による磁化方向制御方式(電流磁場書き込み方式)は、古い歴史をもち、確立された技術といえる。
一方、昨今のナノテクノロジーの進歩により、磁性材料についても顕著な微細化が可能となり、磁化制御もナノスケールで局所的に行う必要が出てきた。しかしながら、磁場は根本的に空間に広がる性質を有するので、局所化が難しい。ビットやセルのサイズが微小化するにつれ、特定のビットやセルを選択してその磁化方向を制御させる場合に、隣のビットやセルにまで磁場が及んでしまう「クロストーク」の問題が顕著となる。また、磁場を局所化させるために磁場発生源を小さくすると、十分な発生磁場が得られないという問題が生じる。
近年、磁性体に電流を流すことにより磁化反転を起こす「電流直接駆動型磁化反転現象」が見出された(例えば、非特許文献1参照)。
この「電流直接駆動型磁化反転現象」は、磁性層に電流を流すことにより電子をスピン偏極させ、このスピン偏極した電子(スピン偏極電子)の通過によって目的とする磁性層の磁化を反転させるものである。具体的には、上記スピン偏極電子が有する角運動量が、磁化反転させたい磁性体の角運動量に伝達・作用することで、その磁性体の磁化の反転が生ずる。この現象を用いれば、上記電流磁場書き込み方式に比べて、ナノスケールの磁性体に対して、より直接的に作用させることが可能であり、より微小な磁性体に対する記録が可能になる。
しかしながら、「電流直接駆動型磁化反転現象」を利用した場合、磁化反転に必要な電流が大きいという問題があり、これにより、反転電流による熱の影響で、素子特性が劣化するなどの信頼性の問題も生じる。また、記録層の磁化が固定層の磁化に対して、平行から反平行にスイッチングする際の反転電流Jc−が、反平行から平行へスイッチングする際の反転電流Jc+よりも数倍大きく、この反転電流Jc−、Jc+の非対称性を解消するためには、平行から反平行にスイッチングする際の反転電流Jc−を小さくする必要がある。
F. J. Albert, et al., Appl. Phy. Lett. 77, 3809 (2000)
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、電流直接駆動による磁化反転の際に、平行から反平行に磁化反転させるときの反転電流を低減させ、かつ、反転電流の非対称性を改善する磁気記録素子及びそれを用いた磁気記録装置を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下に示す手段を用いている。
本発明の第1の視点による磁気記録素子は、スピン偏極したスピン偏極電子を磁性体に流すことで情報が記録される磁気記録素子であって、磁化が実質的に固定され、第1及び第2の面を有し、強磁性材料で形成された固定層と、前記スピン偏極電子の作用により磁化が反転され、第3及び第4の面を有し、マジョリティスピンバンド電子に対する第1の原子ポテンシャルとマイノリティスピンバンド電子に対する第2の原子ポテンシャルとを有する強磁性材料で形成された記録層と、前記固定層と前記記録層との間に設けられ、前記第2及び第3の面と接し、非磁性材料で形成されたスペーサ層と、第5及び第6の面を有し、前記第5の面が前記第4の面と接し、前記第1及び第2の原子ポテンシャルの中間値よりも低い第3の原子ポテンシャルを有する非磁性材料で形成され、3nm以下の膜厚を有するキャップ層と、前記第6の面に接し、前記第3の原子ポテンシャルと異なる第4の原子ポテンシャルを有する非磁性材料で形成され、20nm以下の膜厚を有する反射層とを具備する。
本発明の第2の視点による磁気記録装置は、前記第1の視点による前記磁気記録素子を具備するメモリセルを備えている。
本発明によれば、電流直接駆動による磁化反転の際に、平行から反平行に磁化反転させるときの反転電流を低減させ、かつ、反転電流の非対称性を改善する磁気記録素子及びそれを用いた磁気記録装置を提供できる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る磁気記録素子の断面構造を例示する模式図である。
図1に示すように、磁気記録素子10は、反強磁性層AF、固定層(ピン層)FP、スペーサ層SP、記録層(フリー層)FF、キャップ層CP、反射層REFが順に積層された積層構造からなる。そして、キャップ層CPの厚さTは、3nm以下と極薄であり、さらに、キャップ層CPの材料は、記録層FFのマジョリティスピンバンド電子の原子ポテンシャルとマイノリティスピンバンド電子の原子ポテンシャルの中間値よりも原子ポテンシャルが低い材料からなる。
このような磁気記録素子10によれば、電流直接駆動による磁化反転の際に、平行から反平行に磁化反転させるときの反転電流を低減でき、かつ、反転電流の非対称性を改善できることを、本発明者らは見出した。その根拠について、以下に詳説する。
まず、キャップ層CPの材料を記録層FFのマジョリティスピンバンド電子の原子ポテンシャルとマイノリティスピンバンド電子の原子ポテンシャルの中間値よりも原子ポテンシャルが低い材料と規定し、キャップ層CPを薄膜にするのは、次の理由からである。
図2(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る磁気記録素子を用いた場合、反転電流密度が低減する機構の説明図である。ここで、図2(a)は、図1の磁気記録素子を90度回転させた積層構造図を示し、図2(b)は、図2(a)の磁気記録素子の各層における電子に対する原子ポテンシャルの模式図を示す。
図2(a)の磁気記録素子10は、平行磁化配置の例である。すなわち、固定層FPの磁化方向と記録層FFの磁化方向とが平行(同じ向き)になっている例である。この図では、両者の磁化方向は、紙面上において上向きになっている。
この磁気記録素子10の各層は、図2(b)のようなポテンシャルを有する。すなわち、強磁性体からなる固定層FP及び記録層FFでは、上向き(↑)スピンを持った電子(上向きスピン偏極電子)に対するポテンシャルP1と下向き(↓)スピンを持った電子(下向きスピン偏極電子)に対するポテンシャルP2とが異なる。一方、非磁性体からなるスペーサ層SP、キャップ層CP及び反射層REFでは、上向きスピン偏極電子のポテンシャルP1と下向きスピン偏極電子のポテンシャルP2とが同じになっている。尚、この例は、固定層FP及び記録層FFの磁化方向が上向きであるので、固定層FP及び記録層FFにおいて、上向きスピンがマジョリティスピンとなり、下向きスピンがマイノリティスピンとなる。
そして、本実施形態におけるキャップ層CPの電子に対する原子ポテンシャルは、記録層FFのマジョリティスピンバンド電子に対するポテンシャルとマイノリティスピンバンド電子に対するポテンシャルとの中間値よりも低い。すなわち、キャップ層CPの上向きスピン偏極電子及び下向きスピン偏極電子に対するポテンシャルは、記録層FFの上向きスピンバンドのポテンシャルP1(マジョリティスピンバンド電子のポテンシャル)と下向きスピンバンドのポテンシャルP2(マイノリティスピンバンド電子のポテンシャル)との中間値Pmよりも低く、この図の場合はポテンシャルP1と同じになっている。さらに、反射層REFのポテンシャルは、キャップ層CPのポテンシャルと差が大きいことが望ましく、この図の場合は中間値Pm程度になっている。
このように、キャップ層CPの電子に対する原子ポテンシャルが記録層FFのマジョリティスピンバンド電子(上向きスピン電子)に対する原子ポテンシャルに近い場合、キャップ層CPの下向きスピン偏極電子は、記録層FFと反射層REFとの間に閉じ込められやすいことが分かる。
つまり、反射層REFから記録層FFへ向けて電子を流した場合、上向きスピン偏極電子e1は、記録層FFの上向きスピン偏極電子(マジョリティスピン偏極電子)と同程度のポテンシャルを有しているため、記録層FFへ入射し易い。しかし、下向きスピン偏極電子e2は、記録層FFの下向きスピン偏極電子(マイノリティスピン偏極電子)よりもポテンシャルが小さいため、記録層FFの表面(記録層FFとキャップ層CPとの界面)で反射される。さらに、この反射された下向きスピン偏極電子e2は、キャップ層CPと反射層REFとのポテンシャルが異なるため、反射層REFの表面(キャップ層CPと反射層REFとの界面)で再び反射される。
ここで、キャップ層CPの厚さTが3nm以下と極薄の場合には、2つの界面での反射が強く効き、結果として、下向きスピン偏極電子e2はキャップ層CP内に蓄積される。そして、この蓄積された下向きスピン偏極電子e2が、記録層FFへ作用し、記録層FFの磁化反転を促進する。このため、特に、電子を記録層FFから固定層FPへ流す場合、すなわち、平行磁化配置から反平行磁化配置へ記録層FFをスイッチングさせるときに、反転電流密度を低減できる。
これに対して、図3に示すように、キャップ層CPが厚い場合は、下向きスピン偏極電子e2の十分な閉じ込めができなくなる。また、図4に示すように、電子が固定層FPから記録層FFへ逆向きに流れる場合には、記録層FFにとってマイノリティスピン偏極電子のキャップ層CPへの閉じ込めが起こらないので、この場合には効果が現れない。
次に、キャップ層CPの厚さTを3nm以下とするのは、次の理由からである。
図5(a)は、キャップ層の厚さの変化に伴うキャップ層内への電子の閉じこめの強さの関係を示す。この関係は、次のように求めた。Co/Cu/Coのサンドイッチ膜に様々な膜厚のCu層(キャップ層CP)を付けて、2つのCo層間に働く層間交換相互作用を求め、その結果から振動成分を取り除き、電子のキャップ層CP内への閉じ込め効果の強さを求めた。
図5(a)に示すように、電子のキャップ層CP内への閉じ込めの強さは、キャップ層CPの厚さTが厚くなるほど減少し、キャップ層CPの厚さTが3nm程度でほぼゼロとなる。これより、キャップ層CPの厚さTは、3nm以下が好ましいと考える。
尚、キャップ層CPは薄くなるほど有利であるが、キャップ層CPの厚さTは、0.2nm≦T≦3nmが好ましい一例である。ここで、上限値の3nmは、上述した根拠からである。一方、下限値の0.2nmは、キャップ層CPを形成するには少なくとも1原子以上あるのがよいという考えに基づいて規定したものである。勿論、キャップ層CPの厚さTを0.2nmよりも薄くすることが可能であることは言うまでもない。
また、キャップ層CPは薄くなるほど有利であるが、キャップ層CPの厚さTは、0.2nm≦T≦2nmが好ましい一例であるとも言える。ここで、下限値の0.2nmは、上述した根拠からである。一方、上限値の2nmは、磁気記録素子の作成方法によっては電子閉じ込め効果が3nmより薄い厚さTで減衰してしまう場合を考慮して規定したものである。
反射層REFにおいて十分な反射効果を得るために、反射層REFの厚さは20nm以下であることが望ましい。図5(b)は、反射層REFとしてTaを用いた場合の反射層REFの厚さの変化に伴うキャップ層CP内への電子の閉じ込めの強さの変化を示す。図5(b)に示すように、電子のキャップ層CP内への閉じ込めの強さは、反射層REFの厚さが20nm以下で大きくなることがわかる。
さらに、反射層REFとして、酸化物や窒化物に代表される絶縁層を用いると、より効果的な反射効果を得ることができる。この場合には、反射層REFの厚さは1nm以下であることが好ましい。反射層REFの厚さが1nmよりも厚いと、素子抵抗が大きくなり過ぎ、反転に必要な電流を流すことができなくなるからである。尚、反射層REFの厚さが1nm以下であれば、絶縁層は必ずしも連続膜でなくてもよく、ピンホール等が入っていてもよい。
(a)磁気記録素子の構造
(a−1)反強磁性結合構造と強磁性結合構造
本実施形態に係る磁気記録素子10において、記録層FF及び固定層FPは、磁性層単層でもよいが、磁性層の中央に非磁性層を挿入した磁性層/非磁性層/磁性層の積層構造にしてもよい。このような積層構造の具体例を以下に説明する。
図6(a)乃至(d)及び図7(a)乃至(d)は、本実施形態に係る反強磁性結合構造及び強磁性結合構造の磁気記録素子の断面図を示す。ここで、反強磁性結合構造とは、非磁性層を挟む2枚の強磁性層の磁化方向が反平行状態となるように磁気結合している構造であり、一方、強磁性結合構造とは、非磁性層を挟む2枚の強磁性層の磁化方向が平行状態となるように磁気結合している構造である。
図6(a)に示す磁気記録素子10は、記録層FFが反強磁性結合構造となっている。すなわち、記録層FFは、強磁性層FFf1/非磁性層FFn/強磁性層FFf2の3層からなり、強磁性層FFf1,FFf2の磁化方向が反平行状態となるように磁気結合している。
図6(b)に示す磁気記録素子10は、固定層FPが反強磁性結合構造となっている。すなわち、固定層FPは、強磁性層FPf1/非磁性層FPn/強磁性層FPf2の3層からなり、強磁性層FPf1,FPf2の磁化方向が反平行状態となるように磁気結合している。
図6(c)に示す磁気記録素子10は、記録層FFが強磁性結合構造となっている。すなわち、記録層FFは、強磁性層FFf1/非磁性層FFn/強磁性層FFf2の3層からなり、強磁性層FFf1,FFf2の磁化方向が平行状態となるように磁気結合している。
図6(d)に示す磁気記録素子10は、固定層FPが強磁性結合構造となっている。すなわち、固定層FPは、強磁性層FPf1/非磁性層FPn/強磁性層FPf2の3層からなり、強磁性層FPf1,FPf2の磁化方向が平行状態となるように磁気結合している。
図7(a)に示す磁気記録素子10は、記録層FF及び固定層FPの両方が反強磁性結合構造となっている。すなわち、記録層FFは、強磁性層FFf1/非磁性層FFn/強磁性層FFf2の3層からなり、強磁性層FFf1,FFf2の磁化方向が反平行状態となるように磁気結合している。また、固定層FPは、強磁性層FPf1/非磁性層FPn/強磁性層FPf2の3層からなり、強磁性層FPf1,FPf2の磁化方向が反平行状態となるように磁気結合している。
図7(b)に示す磁気記録素子10は、記録層FF及び固定層FPの両方が強磁性結合構造となっている。すなわち、記録層FFは、強磁性層FFf1/非磁性層FFn/強磁性層FFf2の3層からなり、強磁性層FFf1,FFf2の磁化方向が平行状態となるように磁気結合している。また、固定層FPは、強磁性層FPf1/非磁性層FPn/強磁性層FPf2の3層からなり、強磁性層FPf1,FPf2の磁化方向が平行状態となるように磁気結合している。
図7(c)に示す磁気記録素子10は、記録層FFが反強磁性結合構造となっており、固定層FPが強磁性結合構造となっている。すなわち、記録層FFは、強磁性層FFf1/非磁性層FFn/強磁性層FFf2の3層からなり、強磁性層FFf1,FFf2の磁化方向が反平行状態となるように磁気結合している。また、固定層FPは、強磁性層FPf1/非磁性層FPn/強磁性層FPf2の3層からなり、強磁性層FPf1,FPf2の磁化方向が平行状態となるように磁気結合している。
図7(d)に示す磁気記録素子10は、記録層FFが強磁性結合構造となっており、固定層FPが反強磁性結合構造となっている。すなわち、記録層FFは、強磁性層FFf1/非磁性層FFn/強磁性層FFf2の3層からなり、強磁性層FFf1,FFf2の磁化方向が平行状態となるように磁気結合している。また、固定層FPは、強磁性層FPf1/非磁性層FPn/強磁性層FPf2の3層からなり、強磁性層FPf1,FPf2の磁化方向が反平行状態となるように磁気結合している。
上記図6(a)乃至(d)及び図7(a)乃至(d)の構造においても、キャップ層CPの厚さTが3nm以下と極薄であり、キャップ層CPの材料が記録層FFのマジョリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャルとマイノリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャルとの中間値よりも原子ポテンシャルが低い材料からなり、さらに、反射層REFの膜厚が20nm以下である場合に、反転電流Jc−の低減化及び反転電流Jc−,Jc+の非対称性の改善が可能となる。さらに、このような強磁性層/非磁性層/強磁性層の積層構造は、反転電流Jc−をさらに下げることができるのに加えて、強磁性層からの漏れ磁界が小さくなり、磁気記録素子10の特性が安定する。
尚、強磁性層/非磁性層/強磁性層の積層構造において、非磁性層を介した強磁性層の層間交換結合は非磁性層の膜厚に応じて反強磁性結合又は強磁性結合と振動するため、反強磁性結合又は強磁性結合となるように非磁性層の膜厚を選ぶとよい。また、記録層FFを強磁性層/非磁性層/強磁性層の積層構造とする場合は、キャップ層CPに層間交換結合する材料を選ぶとよい。また、強磁性層/非磁性層/強磁性層の積層構造は3層に限定されず、さらに積層を増やすことも可能である。
(a−2)磁性層の多層構造
本実施形態に係る磁気記録素子10において、記録層FF及び固定層FPの少なくとも一方は、複数の磁性層からなる多層構造になっていてもよい。
図8(a)及び(b)及び図9(a)及び(b)は、本実施形態に係る磁気記録素子における磁性層からなる多層構造の断面図を示す。
図8(a)に示す磁気記録素子は、記録層FFが強磁性層FFf1/強磁性層FFf2からなる2層構造である。
図8(b)に示す磁気記録素子は、固定層FPが強磁性層FPf1/強磁性層FPf2からなる2層構造である。
図9(a)に示す磁気記録素子は、記録層FFが強磁性層FFf1/強磁性層FFf2/強磁性層FFf3からなる3層構造である。
図9(b)に示す磁気記録素子は、固定層FPが強磁性層FPf1/強磁性層FPf2/強磁性層FPf3からなる3層構造である。
上記図8(a)及び(b)及び図9(a)及び(b)の構造においても、キャップ層CPの厚さが3nm以下と極薄であり、キャップ層CPの材料が記録層FFのマジョリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャルとマイノリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャルとの中間値よりも原子ポテンシャルが低い材料からなり、さらに、反射層REFの膜厚が20nm以下である場合に、反転電流Jc−の低減化及び反転電流Jc−,Jc+の非対称性の改善が可能となる。さらに、このような磁性層からなる多層構造は、反転電流Jc−をさらに下げることができる。
尚、磁性層からなる多層構造は、2層構造及び3層構造に限定されず、4層以上の多層構造でも勿論よい。また、記録層FF及び固定層FPが、同じ層数の多層構造になっていてもよいし、異なる層数の多層構造になっていてもよい。さらに、この磁性層からなる多層構造は、上記反強磁性結合構造や強磁性結合構造と組み合わせることも可能である。
(a−3)断面形状
本実施形態に係る磁気記録素子10の断面形状は、各層の膜面方向の寸法(磁化容易軸方向又は磁化困難軸方向の寸法)が全て同じであるが、これに限定されず、配線の接続のため又は磁化方向の制御のために各層の寸法が互いに異なるようにしてもよい。例えば、磁気記録素子10の断面形状は、図10(a)に示すように、上層に向かって横方向のサイズが連続的に小さくなっている台形であってもよいし、図10(b)に示すように、横方向サイズが層ごとに非連続な形状(例えば凸形状)であってもよい。このような場合でも、本実施形態の効果に支障はない。
(a−4)平面形状
本実施形態に係る磁気記録素子10(主に記録層)の平面形状は、例えば、縦横比が1:1から1:5の範囲にあるような正方形又は長方形(図11(a)、図11(b))、横長(縦長)6角形(図11(c))、楕円形(図11(d))、菱型(図11(e))、平行四辺形(図11(f))とすることが望ましい。さらに、円(図11(g))や十字型(図11(h))でもよい。また、その記録層の平面形状における寸法は、長手方向(磁化容易軸方向)の一辺が5nm乃至500nm程度の範囲内とすることが望ましい。
(b)磁気記録素子の各要素
ここでは、本実施形態に係る磁気記録素子10を構成する各要素(主に材料)について詳述する。
(b−1)固定層FP、記録層FF
固定層FP及び記録層FFを構成する強磁性材料としては、以下の中から用途に応じた磁気特性を有するものを適宜選択して用いればよい。
例えば、「鉄(Fe)単体」、「コバルト(Co)単体」、「ニッケル(Ni)単体」、「鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びクロム(Cr)よりなる群から選択された少なくともいずれかの元素を含む合金」、「パーマロイと呼ばれるNiFe系合金」、「CoNbZr系合金、FeTaC系合金、CoTaZr系合金、FeAlSi系合金、FeB系合金、CoFeB系合金などの軟磁性材料」、「ホイスラー合金、磁性半導体、CrO、Fe、La1―XSrMnOなどのハーフメタル磁性体酸化物(又はハーフメタル磁性体窒化物)」のいずれかを用いることができる。
ここで、「磁性半導体」としては、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)の少なくともいずれかの磁性元素と、化合物半導体又は酸化物半導体とからなるものを用いることができる。この磁性半導体は、具体的には、例えば、(Ga、Cr)N、(Ga、Mn)N、MnAs、CrAs、(Ga、Cr)As、ZnO:Fe、(Mg、Fe)O、Ti−O:Coなどをあげることができる。
また、固定層FP及び記録層FFに用いる材料としては、連続的な磁性体でもよく、又は、非磁性マトリクス中に磁性体からなる微粒子が析出あるいは形成されてなる複合体構造を用いることもできる。このような複合体構造としては、例えば、「グラニュラー磁性体」などと称されるものをあげることができる。
また、上記図6(a)乃至(d)及び図7(a)乃至(d)に示す反強磁性結合構造及び強磁性結合構造では、次のような材料を用いることができる。例えば、反強磁性結合した磁性層/非磁性層/磁性層からなる記録層FF及び固定層FPにおいて、この非磁性層としては、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)などの非磁性金属層及び反強磁性体を用いることが望ましい。そして、反強磁性結合を得るためには、この非磁性層の膜厚は、例えば0.2nm乃至3nmにすることが望ましい。
また、上記図8(a)及び(b)及び図9(a)及び(b)に示す磁性層からなる多層構造では、次のような材料を用いることができる。例えば、固定層FP及び記録層FFの材料として、[(Co又はCoFe合金)/(NiFe、NiFeCoからなるパーマロイ合金、又はNi)]からなる2層構造、[(Co又はCoFe合金)/(NiFe、NiFeCoからなるパーマロイ合金、又はNi)/(Co又はCoFe合金)]からなる3層構造の積層体を用いることもできる。これらの多層構造からなる磁性層の場合、外側のCo又はCoFe合金の厚さは、0.2nmから1nmの範囲であることが好ましい。これは、大きな再生信号出力を得る又は高い反転効率を得ることができるからである。
(b−2)反強磁性層AF
反強磁性層AFは、固定層FPに直接接して設けることで、固定層FPに一方向異方性を付与し、固定層FPの磁化を固着するためのものである。この反強磁性層AFの材料としては、鉄マンガン(FeMn)、白金マンガン(PtMn)、パラジウム・マンガン(PdMn)、パラジウム白金マンガン(PdPtMn)などを用いることが望ましい。
(b−3)スペーサ層SP
スペーサ層SPは、非磁性材料からなる。このスペーサ層SPの材料としては、金属、絶縁体及び半導体のいずれでもよく、低抵抗材料と高抵抗材料との2通りに分けられる。
低抵抗材料としては、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、又はこれら銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)のいずれか一種以上を含む合金をあげることができる。これら低抵抗の非磁性材料からなるスペーサ層SPの厚さは、例えば1nm乃至60nm程度であれば、磁化反転の効果を得ることができる。
高抵抗材料としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、及び鉄(Fe)よりなる群から選択された少なくともいずれかの元素を含む酸化物(例えば、アルミナ(Al3−X)、酸化マグネシウム(MgO)、SiO、Si−O−N、Ta−O、Al−Zr−O等)又は窒化物、フッ化物からなる絶縁体、GaAlAsなどのギャップが大きな半導体をあげることができる。また、前記絶縁体にピンホールが形成され、そのピンホールに磁性層が進入したナノコンタクトMR材料や、そのピンホールにCuが侵入したCCP(Current-Perpendicular-to-Plane)−CCP−MR(Magneto-Resistance effect)材料を用いることによっても、大きな再生出力を得ることができる。前者のトンネル磁気抵抗効果用絶縁体の場合、そのスペーサ層SPの厚さは例えば0.2nm乃至2nmとすることが、信号再生上は望ましい。後者のナノコンタクトMR及びCCP−CPP−MRの場合、そのスペーサ層SPの厚さは例えば0.4nm乃至40nmの範囲内であることが望ましい。
尚、スペーサ層SPとしては、出力信号を磁気記録素子10の磁気抵抗効果で検出する場合には、アルミナやMgO等の絶縁体を用いると抵抗変化が大きくて好ましい。また、スペーサ層SPにCu、Au、Ag、又はこれらの少なくとも一種を含む合金を用いると、素子の高寿命化が図れるため好ましい。
(b−4)キャップ層CP
キャップ層CPは、金属非磁性材料からなる。このキャップ層CPの材料は、上述するように、記録層FFのマジョリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャルとマイノリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャルとの中間値よりも原子ポテンシャルが低い材料からなる。さらに、キャップ層CPの材料は、記録層FFの材料と格子ミスマッチが少ない材料であると好ましい。具体的な材料としては、Cu、Au、Agなどがあげられ、記録層FFとの組み合わせで決まる。
(b−5)反射層REF
反射層REFは、非磁性材料からなる。この反射層REFの材料としては、キャップ層CPの原子ポテンシャルから遠い(ポテンシャル差が大きい)原子ポテンシャルを有する材料が好ましい。具体的な材料としては、Ta、Pt、Ru、Al、Wなどがあげられ、キャップ層CPとの組み合わせで決まる。
また、反射層REFとして、酸化層若しくは窒化層からなる絶縁層、又は半導体層を用いると、キャップ層CPの原子ポテンシャルから遠い原子ポテンシャルをもつ材料を反射層REFとして用いることができるので好ましい。
さらに、厚さが1nm以下の絶縁層、又は厚さが20nm以下の半導体層を用いることが好ましい。これは、導電性をある程度維持したまま、反射層REFにて電子の反射を起こすことが容易になるからである。
具体的な材料としては、Ta−O、Al−O、Si−O、Si−O−N、Si−N、Fe−O、Mg−O、Al−Zr−O、Ge−O、Cu−Oなどの酸化物や窒化物、GaAlAs、Si、Ge、GaAsなどの半導体をあげることができる。特に、極薄膜からなる絶縁層は反射効果を大きくするために好ましい。この場合の絶縁層は、連続膜に限定せず、ピンホール等がある不連続膜でも、平坦であれば反射層REFとして機能する。
尚、ここで絶縁層と称したが、酸化層又は窒化層の化学量論的な組成は、多少の酸素又は窒素の欠損があってもよい。欠損がある場合には、完全な絶縁層とはならず、半導体的挙動又はピンホールを有する絶縁体の挙動を示すが、通常は広義の意味でこれらも絶縁層と呼ぶことが多い。
(c)書き込み/読み出し動作
図12(a)及び(b)及び図13(a)及び(b)を用いて、本実施形態に係る磁気記録素子10を用いた電流直接駆動による書き込み/読み出し動作について説明する。尚、ここでは、固定層FPの磁化は紙面上において上向きに固定されているものとする。
(c−1)書き込み動作
まず、図12(a)に示すように、平行磁化配置から反平行磁化配置へ記録層FFの磁化を反転させる場合は、記録層FFから固定層FPに向けて電子を流す。換言すると、固定層FPから記録層FFに電流を流す。
この場合、上向きスピン偏極電子e1は、記録層FF及び固定層FPの上向きスピン偏極電子とポテンシャルが同程度であるため(図12(b)参照)、記録層FF及び固定層FPを通過し易い。しかし、本実施形態では、所定の要件を満たすキャップ層CPが記録層FFに接して設けてあるため、下向きスピン偏極電子e2は記録層FFの表面で反射され、この反射された下向きスピン偏極電子e2は反射層REFの表面でさらに反射される。これにより、下向きスピン偏極電子e2は、キャップ層CP内に閉じ込められて蓄積される。この閉じこめ効果により蓄積された下向きスピン偏極電子e2が記録層FFの磁化に作用し、記録層FFの磁化が上向きから下向きに反転するよう働く。さらに、記録層FFを通過した下向きスピン偏極電子e3は、固定層FPの表面で反射され、再度記録層FFに戻ってくる。これにより、この再度戻ってきた下向きスピン偏極電子e3が、記録層FFの磁化にさらに作用する。このようにして、記録層FFの磁化を上向きから下向きに反転させ、平行磁化配置から反平行磁化配置へ書き込みが行われる。
一方、図13(a)に示すように、反平行磁化配置から平行磁化配置へ記録層FFの磁化を反転させる場合は、固定層FPから記録層FFに向けて電子を流す。換言すると、記録層FFから固定層FPに電流を流す。
この場合、上向きに磁化が固定された固定層FPは、主に上向きスピン偏極電子e1を多く発生する。その結果、この上向きスピン偏極電子e1が記録層FFの磁化に作用し、記録層FFの磁化は上向きに反転される。尚、下向きスピン偏極電子e2も記録層FFに入射するが、上向きスピン偏極電子e1の方が記録層FFに多く入射するため、下向きスピン偏極電子e2の磁化反転への寄与は小さい。さらに、記録層FFの磁化が上向きになると、下向きスピン偏極電子e2は記録層FFの表面で反射される。このようにして、記録層FFの磁化を下向きから上向きに反転させ、反平行磁化配置から平行磁化配置へ書き込みが行われる。
上記において、平行磁化配置の状態と反平行磁化配置の状態とに“1”又は“0”を割り当てることで、2値の情報の書き込みが可能となる。
(c−2)読み出し動作
磁気記録素子10に書き込まれた情報は、磁気抵抗効果を利用して読み出すことができる。すなわち、固定層FP及び記録層FF間に反転電流以下のセンス電流を流したとき、平行磁化配置であれば磁気抵抗は比較的小さな値になり、一方、反平行磁化配置であれば磁気抵抗は比較的大きな値になる。この抵抗値の違いを読み取ることで、データの読み出しを行うことができる。
(d)実施例
以下、実施例を参照しつつ、本発明の第1の実施形態についてさらに詳細に説明する。
(d−1)第1の実施例
第1の実施例では、本実施形態に係る薄いキャップ層を有する磁気記録素子10と比較例である厚いキャップ層を有する磁気記録素子とで、電流注入による反転電流密度の特性を比べる。
図14は、本発明者が試作した磁気記録素子の断面構造を表す模式図である。ここで作成した磁気記録素子10の構造は、次のとおりである。
(サンプル1)
[PtMn(15nm)/CoFe(4nm)/Ru(1nm)/CoFe(4nm)]/Cu(6nm)/CoFe(2.5nm)/Cu(2nm)/Ta(10nm)
(サンプル2)
[PtMn(15nm)/CoFe(4nm)/Ru(1nm)/CoFe(4nm)]/Cu(6nm)/CoFe(2.5nm)/Cu(20nm)/Ta(10nm)
サンプル1は、本実施形態に係る薄いキャップ層CPを有する磁気記録素子10であり、サンプル2は、比較例として厚いキャップ層CPを有する磁気記録素子10である。これらサンプル1及び2に係る磁気記録素子10は、図6(b)に例示した固定層FPが反強磁性結合した構造に対応する。
ここで、両者とも、白金マンガン(PtMn)からなる反強磁性層AFにより固定層FPの磁化が固着され、この固定層FPは反強磁性結合したCoFe/Ru/CoFe構造を有する。スペーサ層SPには、厚み6nmの銅(Cu)を用いている。また、記録層FFにはCoFeを用い、キャップ層CPにはCuを用い、反射層REFにはタンタル(Ta)を用いている。そして、サンプル1のキャップ層CPの厚さは2nmであるのに対し、サンプル2のキャップ層CPの厚さは20nmと厚くなっている。
これらサンプル1及び2は、次のように作製される。
まず、ウエハ上に下部電極12が形成された後、このウエハが超高真空スパッタ装置へ導入される。そして、サンプル1及び2に係る磁気記録素子10の積層膜が下部電極12上に堆積された後、ウエハがスパッタ装置から取り出される。次に、このウエハに対して、磁場中真空炉にて、270℃で10時間の磁場中アニールが行われる。これにより、上記積層膜に一方向異方性が付与される。次に、この積層膜に対し、EB(electron beam:電子線)レジストが塗布され、EB露光が行われる。その後、所定の形状のマスク(ここでは、サイズ70nm×100nmで、長手方向が一方向異方軸と平行方向とする)が形成される。次に、イオンミリング装置にて、上記マスクに被覆されない領域が、PtMnからなる反強磁性層AFまでエッチングされ、磁気記録素子10が形成される。ここで、エッチング量は、スパッタされた粒子を差動排気による四重極分析器に導入して質量分析することによって、正確に把握できる。上記エッチング後、マスクが剥離される。次に、SiO膜が成膜された後、このSiO膜の表面がイオンミリングにより平滑化され、Taからなる反射層REFの上面が露出される。この反射層REF上に上部電極13が形成され、図14に示す構造のサンプル1及び2が作製される。
このように作製されたサンプル1及び2に対して、磁気記録素子10の膜に対して垂直に電流を流すことで電流直接駆動の磁化反転を行うと同時に、磁気抵抗効果を測定することにより、磁化状態をモニタした。
図15(a)は、本発明の第1の実施例におけるサンプル1と比較例であるサンプル2との電流書き込み特性を表すグラフ図(ヒステリシス曲線)で、外部磁場がゼロの時の書き込み特性を表している。また、電流極性は、電子が固定層FPから記録層FFへ流れるときがプラスとなるように規定する。尚、この図15(a)において、電流増加に伴うバックグラウンド増加分は除去してある。
図15(a)に示すように、磁気記録素子10は低抵抗状態Aと高抵抗状態Bとが存在し、記録層FFの磁化が固定層FPに対して平行となったときが低抵抗状態Aとなり、反平行となったときは高抵抗状態Bとなっていることが分かる。すなわち、電子が固定層FPから記録層FFへ流れるときには抵抗が低くなり、記録層FFの磁化は固定層FPに対して平行となる。逆に、電子が記録層FFから固定層FPへ流れるときには抵抗が高くなり、記録層FFの磁化は固定層FPに対して反平行となる。ここで、磁化を反転させるために必要な電流を臨界電流Icとすると、臨界電流Ic以上の電流を流せば、磁気記録素子10に情報を記録できることが分かる。
図15(b)は、サンプル1及び2に係るキャップ層CPの膜厚の違いによる反転電流の比較図を示す。
図15(b)に示すように、記録層FFと反射層REFとに挟まれたキャップ層CPが20nmから2nmに薄くなることで、反平行→平行時の反転電流密度Jc+は維持しつつ、平行→反平行時の反転電流密度Jc−は小さくなり、さらに、反転電流密度Jc+、Jc−の非対称性が解消されていることが分かる。さらに、詳細なキャップ層CPの膜厚依存性の検討から,キャップ層CPの厚さが3nmを超えると、非対称性の解消に効果が薄くなる傾向を得た(図5(a)参照)。
以上より、本実施例のサンプル1のように、キャップ層CPの膜厚を3nm以下にすることで、反転電流密度の低減化、特に平行→反平行時の反転電流密度Jc−を小さくし、反転電流密度Jc−,Jc+の非対称性を解消できることが分かる。
(d−2)第2の実施例
第2の実施例では、本実施形態に係る磁気記録素子と比較例の磁気記録素子とで、キャップ層CPの材質が異なる場合の電流特性を比較する。
図16は、本発明者が試作した磁気記録素子の断面構造を表す模式図である。ここで作成した磁気記録素子の構造は、次のとおりである。
(サンプル3)
[PtMn(15nm)/Co(20nm)]/Al3―X(0.8nm)/[CoFe(1.2nm)/Ru(1nm)/CoFe(1.2nm)]/Cu(1.4nm)/Ta(10nm)
(サンプル4)
[PtMn(15nm)/Co(20nm)]/Al3―X(0.8nm)/[CoFe(1.2nm)/Ru(1nm)/CoFe(1.2nm)]/Cr(1.4nm)/Ta(10nm)
サンプル3は、本実施形態に係る磁気記録素子10であり、サンプル4は、比較例としてCrキャップ層CPを有する磁気記録素子である。これらサンプル3及び4に係る磁気記録素子10は、図6(a)に例示した記録層FFが反強磁性結合した構造に対応する。
ここで、両者とも、PtMnからなる反強磁性層AFによりCoからなる固定層FPの磁化が固着され、スペーサ層SPにはアルミ尚使用している。また、記録層FFには反強磁性結合したCoFe/Ru/CoFeを用い、反射層REFにはTaを用いている。
そして、記録層FFのCoの原子ポテンシャルは、マジョリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャルとマイノリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャルとは、それぞれ‐3.1eVと−1.2eVである(フェルミエネルギーをゼロとしている)。一方、キャップ層CPのCu(サンプル3)の原子ポテンシャルは−3.2eVであり、キャップ層CPのCr(サンプル4)の原子ポテンシャルは−0.6eVである。
従って、キャップ層材料がCuであるサンプル3は、Co記録層FFのマジョリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャル(‐3.1eV)とマイノリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャル(−1.2eV)の中間値よりも原子ポテンシャルが低い材料であるため、本実施形態の要件を満たすサンプルである。
一方、キャップ層材料がCrであるサンプル4は、Co記録層FFのマジョリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャル(‐3.1eV)とマイノリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャル(−1.2eV)の中間値よりも原子ポテンシャルが高い材料であるため、本実施形態の要件を満たさないサンプルである。
これらサンプル3及び4は、次のように作製される。
まず、ウエハ上に下部電極12が形成された後、このウエハが超高真空スパッタ装置へ導入される。そして、PtMn(20nm)/Co(20nm)/Alからなる多層膜が下部電極12上に堆積される。次に、スパッタ装置へ酸素が導入され、Alを酸化させることで、Al3―Xが形成される。このAl3―Xの上に、Cu(6nm)/CoFe(1.2nm)/Ru(1nm)/CoFe(1.2nm)からなる多層膜が堆積される。その後、ウエハがスパッタ装置から取り出される。次に、多層膜上にレジストが塗布され、EB描画装置にて電子ビーム露光が行われる。その後、80nm×130nmの楕円形状のマスクが形成される。次に、イオンミリング装置にて、上記マスクに被覆されない領域が、Al3―Xの上部までエッチングされ、磁気記録素子10が形成される。この磁気記録素子10の形状は、磁気記録素子10の長手方向を交換バイアス方向になるように設定した。上記エッチング後、マスクが剥離される。次に、磁気記録素子10の周りにSiO膜が埋め込まれ、上部電極13が形成され、図16に示す構造のサンプル3及び4が作製される。
このように作製したサンプル3及び4について、電流特性を評価した。サンプル3の反転電流は、反平行→平行時に2.4mA、平行→反平行時に−2.5mAとなり、反転電流の非対称性は解消されている。これに対し、サンプル4の反転電流は、反平行→平行時に2.5mA、平行→反平行時に−5.7mAとなり、反転電流の非対称性は解消されず、平行→反平行反転時に依然として大きな反転電流であった。
以上より、本実施例のサンプル3のように、キャップ層CPの材料を記録層FFのマジョリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャルとマイノリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャルの中間値よりも原子ポテンシャルが低い材料にすることで、平行→反平行反転時の反転電流Jc−を小さくでき、反転電流密度Jc−,Jc+の非対称性を解消できることを確認した。
尚、サンプル3のAl3―Xの代わりに、MgO、SiO、Si−O−N、ホールが形成されそのホールに磁性体又は導電性金属(Cu、Ag、Au)が埋めこまれたSiO又はAlを用いた場合にも、上記と同様の傾向が得られる。
(d−3)第3の実施例
第3の実施例では、種々の積層構造の磁気記録素子10を作製し、平均反転電流及び反転電流の外部磁場依存性を求めた。
表1−1乃至表1−3は、第3の実施例に係る磁気記録素子の種々の積層構造における反転電流Jc−,Jc+を示す。尚、Jc−の値は、マイナスを削除して絶対値で表示している。
ここで、番号1乃至番号20に係る磁気記録素子10の積層構造は、下部電極及び上部電極間における下層から上層へ向かって積層された膜(反強磁性層AF/固定層FP/スペーサ層SP/記録層FF/キャップ層CP/反射層REF)の材料及び膜厚が記載されている。この積層構造は、EBリソグラフィーとイオンミリング、又はEBリソグラフィーと反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)により作製した。
また、番号1乃至番号20に係る磁気記録素子10のキャップ層CPは、0.8nm乃至2nmの厚さのCuで形成されている。すなわち、キャップ層CPの厚さは3nm以下とし、さらに、キャップ層CPの材料を記録層FFのマジョリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャルとマイノリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャルの中間値よりも原子ポテンシャルが低い材料としている。
Figure 0004568152
Figure 0004568152
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上記表1−1乃至表1−3の結果より、番号1乃至番号20の磁気記録素子10のように、キャップ層CPの厚さを3nm以下とし、さらに、キャップ層CPの材料を記録層FFのマジョリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャルとマイノリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャルの中間値よりも原子ポテンシャルが低い材料とすることで、平行→反平行反転時の反転電流Jc−を小さくでき、反転電流密度Jc−,Jc+の非対称性を解消できることが確認できる。
(d−4)第4の実施例
第4の実施例では、本実施形態に係る薄い反射層REFを有する磁気記録素子10と比較例である厚い反射層REFを有する磁気記録素子10とで、電流注入による反転電流密度の特性を比べる。ここで作成した磁気記録素子10の構造は、次のとおりである。
(サンプルA1)
[PtMn(15nm)/CoFe(4nm)/Ru(0.8nm)/CoFeB(5nm)]/MgO(0.8nm)/CoFeB(3nm)/Cu(1.0nm)/MgO(0.4nm)
(サンプルB1)
[PtMn(15nm)/CoFe(4nm)/Ru(0.8nm)/CoFeB(5nm)]/MgO(0.8nm)/CoFeB(3nm)/Cu(1.0nm)/MgO(1.8nm)
(サンプルA2)
[PtMn(15nm)/CoFe(4nm)/Ru(0.8nm)/CoFeB(5nm)]/MgO(0.8nm)/CoFeB(3nm)/Cu(1.0nm)/Ta(5nm)
(サンプルB2)
[PtMn(15nm)/CoFe(4nm)/Ru(0.8nm)/CoFeB(5nm)]/MgO(0.8nm)/CoFeB(3nm)/Cu(1.0nm)/Ta(40nm)
サンプルA1,A2は、本実施形態に係わる薄い反射層REFを有する磁気記録素子10であり、サンプルB1,B2は、それぞれA1,A2への比較例として厚い反射層REFを有する磁気記録素子10である。サンプルA1,B1にはMgOを反射層REFとして用い、サンプルA2,B2にはTaを反射層REFとして用いている。
サンプルA1からサンプルB2まで、白金マンガンからなる反強磁性層AFにより固定層FPの磁化が固着され、この固定層FPは反強磁性結合したCoFe/Ru/CoFeB構造を有する。スペーサ層SPには、厚み0.8nmのCuを用いている。キャップ層CPにはCuを用い、反射層REFにはMgO又はTaを用いている。尚、各膜は、上記構造表示の左から右へ順に下部電極の上に形成する。これらサンプルは、第1の実施例と同様の方法で作製する。
作製されたサンプルA1からB2に対して、磁気記録素子10の膜に対して垂直に電流を流すことで電流直接駆動の磁化反転を行うと同時に、磁気抵抗効果を測定することにより、磁化状態をモニタした。
A1からB2までのサンプルは、いずれも90%以上の磁気抵抗効果を示し、大きな再生出力を得した。
サンプルA1及びサンプルB1の電流特性については、サンプルA1の反転電流が、反平行→平行時に0.6mA、平行→反平行時に−0.6mAであったのに対し、サンプルB1は、厚い反射層REFのために抵抗が大きくなり、このため同じ電流を流すに必要な電圧が大きくなりすぎて、電圧によりサンプルが壊れた。この結果から、絶縁体を反射層REFとした場合には、その厚さを1nm以下と薄くして低抵抗化することが好ましいことが分かる。
また、サンプルA2とサンプルB2の反転電流を比較したところ、サンプルA2の反転電流は、反平行→平行時に0.9mA、平行→反平行時に−1.0mAであったのに対し、サンプルB2の反転電流は、反平行→平行時に1.2mA、平行→反平行時に−2.0mAであった。これらの結果から、反射層REFが薄い場合に効果が大きいことが分かった。
さらに、サンプルA1と上下が逆配置である下記サンプル(サンプルA3)を作製した。これについても同様の効果が得られ、本実施形態による効果は層構造の上下関係に関係しないことが分かる。
(サンプルA3)
下部電極/MgO(0.3nm)/Cu(1nm)/CoFeB(3nm)/MgO(0.8nm)/[CoFeB(5nm)/Ru(0.8nm)/CoFeB(4nm)]/PtMn(15nm)
また、サンプルA4からA8のような1nm以下の反射層REFの材料を変えたサンプルを作製し、反転電流を調べたところ、同様の効果を得ることができ、3nm以下のキャップ層CPと共に1nm以下の絶縁体からなる反射層REFが形成された場合に有用であることを確認した。
(サンプルA4)
[PtMn(15nm)/CoFe(4nm)/Ru(0.8nm)/Co0.5Fe0.5(4nm)]/MgO(0.8nm)/Co0.5Fe0.5(2.5nm)/Cu(1.0nm)/MgO(0.4nm)
(サンプルA5)
[PtMn(15nm)/CoFe(4nm)/Ru(0.8nm)/CoFe(4nm)]/Al−O(0.8nm)/CoFe(3nm)/Cu(1.5nm)/Al−O(0.4nm)
(サンプルA6)
[PtMn(15nm)/CoFe(4nm)/Ru(0.8nm)/CoFe(4nm)]/Al−O(0.8nm)/CoFe(3nm)/Cu(1.5nm)/Fe−O(1nm)
(サンプルA7)
[PtMn(15nm)/CoFe(4nm)/Ru(0.8nm)/Co0.5Fe0.5(4nm)]/MgO(0.8nm)/Co0.5Fe0.5(2.5nm)/Cu(1.0nm)/Fe−Co−O(1nm)
(サンプルA8)
[PtMn(15nm)/CoFe(4nm)/Ru(0.8nm)/CoFe(4nm)]/Al−O(0.8nm)/[(CoFe(1.5nm)/Ru(0.8nm)/CoFe(1.5nm)]/Cu(1.5nm)/Fe−O(1nm)
尚、上記の磁気記録素子10の積層構造を、上下を逆にして積層した構造においても、同様の効果を得ることができる。
以上のように、本発明の第1の実施形態によれば、記録層FFに隣接するキャップ層CPを設け、このキャップ層CPの膜厚を3nm以下にし、かつ、キャップ層CPの材料として記録層FFのマジョリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャルとマイノリティスピンバンド電子に対する原子ポテンシャルの中間値よりも原子ポテンシャルが低い材料を用いている。これにより、電流駆動磁化反転により書き込みにおいて、平行から反平行へ磁化反転させる時の反転電流Jc−を低減できるとともに、反転電流密度Jc−,Jc+の非対称性を改善できる。その結果、回路側の負担が少なくなるとともに、磁化反転電流で発生する熱によるダメージが少なく高信頼性の磁気記録素子が実現できる。このため、電流直接駆動磁化反転の実用化を促進し、磁気記録素子の高機能化、高密度化、低消費電力化への効果は大きく、産業上のメリットは多大である。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、上記第1の実施形態に係る磁気記録素子とトランジスタとをメモリセルに備えた磁気記録装置(MRAM:Magnetic Random Access Memory)について説明する。本実施形態のメモリセルは、選択トランジスタがセル毎に設けられた、いわゆる選択トランジスタ型構造である。
図17は、本発明の第2の実施形態に係る磁気記録装置のメモリセルアレイの等価回路を表す模式図である。図18は、図17における1セル分のメモリセルの断面構造を表す模式図である。
図17に示すように、第2の実施形態における磁気記録装置のメモリセルアレイMCAは、複数のビット線BLn(n=1,2,…)及び書き込みワード線WWLnがマトリクス状に配置され、ビット線BLn及び書き込みワード線WWLnの交点付近に磁気記録素子10がそれぞれ配置されている。この磁気記録素子10にはトランジスタ(例えばMOSFET(Metal-Semiconductor-Oxide Field Effect Transistor))TRがそれぞれ接続され、このトランジスタTRのゲート電極は書き込み及び読み出しワード線WLとして機能している。従って、各メモリセルMCは、ビット線BLと、書き込みワード線WWLと、磁気記録素子10と、トランジスタTRとを含んで構成されている。
具体的には、図18に示すように、磁気記録素子10の一端は、ビット線BLに電気的に接続され、磁気記録素子10の他端は、配線23a,23b,24及びコンタクト22a,22b,22cを介して、トランジスタTRの電流経路の一端に電気的に接続されている。トランジスタTRの電流経路の他端は、コンタクト22d及び配線23cに接続され、この配線23cは、例えば接地されてもよいし、電圧が供給できるようにされていてもよい。また、書き込みワード線WWLは、磁気記録素子10の下方に配置され、磁気記録素子10と電気的に分離されている。
図19(a)及び(b)は、書き込み動作を説明するための概念図である。第2の実施形態では、電流直接駆動(スピン注入磁化反転)による書き込みを行いつつ、電流磁場書き込みも行う。具体的には、次のように行われる。
まず、任意のセルにおける磁気記録素子10の選択を行う。これは、その磁気記録素子10に接続されたビット線BLと、その磁気記録素子10に接続されたトランジスタTRのゲート電極(ワード線WL)とを選択することで行われる。そして、ビット線BLから磁気記録素子10へ、又は磁気記録素子10からビット線BLへ、磁化反転の臨界電流Icより大きな書き込み電流Iw1を流すことで、電流直接駆動書き込みにより、磁気記録素子10に情報が書き込まれる。
ここで、任意のセルにおける磁気記録素子10の下方に位置する書き込みワード線WWLを選択すると、電流磁場書き込みを同時に行える。すなわち、書き込みワード線WWLに書き込み電流Ir2を紙面に対して手前又は奥に流すことで電流磁界Hwを発生させ、この電流磁界Hwと書き込み電流Ir1により発生した電流磁界Hbとの合成磁界により、磁気記録素子10の磁化反転にさらに作用する。
このようにして、“0”又は“1”の情報が書き込まれる。尚、ここでは、図19(a)に示すように固定層及び記録層の磁化が反平行配置となった場合を“0”状態とし、図19(b)に示すように固定層及び記録層の磁化が平行配置となった場合を“1”状態とする。尚、“0”と“1”の割り当ては、逆にしても勿論よい。
図20(a)及び(b)は、読み出し動作を説明するための概念図である。読み出しは、磁気記録素子10の抵抗の大きさで信号を検出する。具体的には、次のように行われる。
まず、磁気記録素子10の選択は、その磁気記録素子10に接続されたビット線BLと、その磁気記録素子10に接続されたトランジスタTRのゲート電極(ワード線WL)とを選択することで行われる。そして、磁気記録素子10に磁化反転の臨界電流Icより小さなセンス電流Irを流すことで、磁気記録素子10に情報を読み出す。ここで、センス電流Irは、ビット線BLから磁気記録素子10へ流してもよいし、磁気記録素子10からビット線BLへ流してもよく、どちらの向きに流してもよい。
図20(a)及び(b)において、“0”が書き込まれた場合には、磁気記録素子10の抵抗は高くなり、“1”が書き込まれた場合には、磁気記録素子10の抵抗は低くなる。これを検出する(抵抗を直接読み取る、電圧を読み取る、又は電流を読み取る)ことで、記録層FFの磁化状態を判定し、信号の再生(読み出し)を行う。
以上のように、本発明の第2の実施形態によれば、上記第1の実施形態に係る磁気記録素子10を用いているため、電流駆動磁化反転により書き込みにおいて、平行から反平行へ磁化反転させる時の反転電流Jc−を低減できるとともに、反転電流密度Jc−,Jc+の非対称性を改善できる。
さらに、第2の実施形態に係るメモリセルMCは、書き込みワード線WWLを設けているため、電流直接駆動による書き込みを行いつつ、電流磁場書き込みも行うことができる。このため、書き込み時の反転電流をさらに低減することができる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、上記第2の実施形態と同様の選択トランジスタ型のメモリセルであるが、第2の実施形態では、電流駆動磁化反転書き込みと電流磁場書き込みの両方を行うことが可能な構造となっていたのに対し、第3の実施形態では、電流駆動磁化反転書き込みのみを行う構造となっている。
図21は、本発明の第3の実施形態に係る磁気記録装置のメモリセルアレイの等価回路を表す模式図である。図22は、図21における1セル分のメモリセルの断面構造を表す模式図である。
図21及び図22に示すように、第3の実施形態において、第2の実施形態と異なる点は、電流駆動磁化反転書き込みのみを行う構造となっている点である。すなわち、磁気記録素子10に磁場書き込みを行うための書き込みワード線WWLは省略し、磁気記録素子10は配線23a及びコンタクト22aを介してトランジスタTRの電流経路の一端に接続されている。従って、各メモリセルMCは、ビット線BLと、磁気記録素子10と、トランジスタTRとを含んで構成されている。
図23(a)及び(b)は、書き込み動作を説明するための概念図である。第3の実施形態では、電流直接駆動による書き込みであるため、ビット線BLを通して磁気記録素子10へ電流を流すことで書き込みを行う。具体的には、次のように行われる。
まず、任意のセルにおける磁気記録素子10の選択を行う。これは、その磁気記録素子10に接続されたビット線BLと、その磁気記録素子10に接続されたトランジスタTRのゲート電極(ワード線WL)とを選択することで行われる。そして、ビット線BLから磁気記録素子10へ、又は磁気記録素子10からビット線BLへ、磁化反転の臨界電流Icより大きな書き込み電流Iwを流すことで、磁気記録素子10に信号を書き込む。尚、図における書き込み電流Iwの方向は、電子の流れとは反対の方向である。
この際、磁気記録素子10がノーマルタイプのMRからなる場合には、電子が最初に流れた固定層FPの磁化の向きと同方向になるように、記録層FFの電流流入側の強磁性層の磁化が書き込まれる。従って、書き込み電流Iwの極性に応じて、記録層FFの磁化の方向が変化し、同図(a)に表したように“0”を書き込み、同図(b)に表したように“1”を書き込むことができる。尚、“0”と“1”の割り当ては、逆にしてもよい。
図24(a)及び(b)は、読み出し動作を説明するための概念図である。読み出しは、磁気記録素子10の抵抗の大きさで信号を検出する。具体的には、次のように行われる。
まず、磁気記録素子10の選択は、その磁気記録素子10に接続されたビット線BLと、その磁気記録素子10に接続されたトランジスタTRのゲート電極(ワード線WL)とを選択することで行われる。そして、磁気記録素子10に磁化反転の臨界電流Icより小さなセンス電流Irを流すことで、磁気記録素子10に信号を読み出す。ここで、センス電流Irは、ビット線BLから磁気記録素子10へ流してもよいし、磁気記録素子10からビット線BLへ流してもよく、どちらの向きに流してもよい。
図24(a)及び(b)において、“0”が書き込まれた場合には、磁気記録素子10の抵抗は高くなり、“1”が書き込まれた場合には、磁気記録素子10の抵抗は低くなる。これを検出する(抵抗を直接読み取る、電圧を読み取る、又は電流を読み取る)ことで、記録層FFの磁化状態を判定し、信号の再生(読み出し)を行う。
ここで、トランジスタTRとの整合性を考慮すると、高抵抗のスペーサ層SPの材料としては、アルミナやMgOなどの絶縁性の高い材料を用いることが望ましい。このような高抵抗のスペーサ層を設けた場合、このスペーサ層SPを介した磁気抵抗効果を検出することができる。また、絶縁層にホール(孔)が形成され、このホールにCuや磁性体などが埋めこまれたCCP−CPP−MR又はナノコンタクトMRも抵抗を調節できるため適している。
尚、図24(a)及び(b)においては、低抵抗時に“0”を、高抵抗時に“1”を割り当てたが、その逆でもよいことは言うまでもない。
以上のように、本発明の第3の実施形態によれば、上記第1の実施形態に係る磁気記録素子10を用いているため、電流駆動磁化反転により書き込みにおいて、平行から反平行へ磁化反転させる時の反転電流Jc−を低減できるとともに、反転電流密度Jc−,Jc+の非対称性を改善できる。
さらに、第3の実施形態に係るメモリセルMCは、第2の実施形態における書き込みワード線WWLを省略しているため、セル面積の縮小を図ることができる。
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、第2及び第3の実施形態と同様に磁気記録素子を選択するための読み出し用スイッチング素子を設けるが、トランジスタの代わりにダイオードを用いた例である。
図25は、本発明の第4の実施形態に係るダイオードを用いた磁気記録装置のメモリセルアレイの等価回路を表す模式図である。
図25に示すように、第4の実施形態における磁気記録装置のメモリセルアレイMCAは、複数のビット線BLn及びワード線WLnがマトリクス状に配置され、ビット線BLn及びワード線WLnの交点付近に直列接続された磁気記録素子10及びダイオードDがそれぞれ配置されている。従って、各メモリセルMCは、ビット線BLと、ワード線WLと、磁気記録素子10と、ダイオードDとを含んで構成されている。
このような第4の実施形態において、書き込み動作は、次のように行われる。まず、任意の磁気記録素子10に対応するビット線BL及びワード線WLを選択する。そして、ビット線BLから磁気記録素子10へ、又は磁気記録素子10からビット線BLへ、磁化反転の臨界電流Icより大きな書き込み電流Iwを流すことで、電流直接駆動書き込みにより、磁気記録素子10に“1”、“0”情報が書き込まれる。この際、ダイオードDは、非選択のワード線WL及びビット線BLに接続されたセルに流れる電流成分を遮断する役割を有する。
一方、読み出し動作は、次のように行われる。まず、磁気記録素子10の選択は、その磁気記録素子10に接続されたビット線BL及びワード線WLを選択することで行われる。そして、磁気記録素子10に磁化反転の臨界電流Icより小さなセンス電流Irを流すことで、磁気記録素子10の情報を読み出す。ここで、センス電流Irは、ビット線BLから磁気記録素子10へ流してもよいし、磁気記録素子10からビット線BLへ流してもよく、どちらの向きに流してもよい。そして、磁気記録素子10の抵抗を読み取ることで、記録層FFの磁化状態を判定し、信号の再生(読み出し)を行う。
以上のように、本発明の第4の実施形態によれば、上記第1の実施形態に係る磁気記録素子10を用いているため、電流駆動磁化反転により書き込みにおいて、平行から反平行へ磁化反転させる時の反転電流Jc−を低減できるとともに、反転電流密度Jc−,Jc+の非対称性を改善できる。
さらに、第4の実施形態に係るメモリセルMCは、第2及び第3の実施形態と比べて、スイッチング素子の面積を縮小できるため、セル面積の縮小を図ることができる。
尚、図25では、模式的に一般的なダイオードDを図示したが、通常のダイオードは一方向にしか電流が流れないので、電流駆動磁化反転による書き込みを行うために、磁気記録素子10に両方向に電流が流れるように、複数のダイオードを設ける等して種々変更することが望ましい。
[第5の実施形態]
第5の実施形態は、上記第2乃至第4の実施形態のような読み出し用のスイッチング素子をセル毎に設けない、いわゆるクロスポイント型のメモリセルの例である。
図26は、本発明の第5の実施形態に係る磁気記録装置のメモリセルアレイの等価回路図を表す模式図である。図27は、図26のメモリセルアレイの構造を例示する模式斜視図である。
図26及び図27に示すように、第5の実施形態における磁気記録装置のメモリセルアレイMCAは、複数のビット線BLn及びワード線WLnがマトリクス状に配置され、ビット線BLn及びワード線WLnの交点付近に磁気記録素子10がそれぞれ配置されている。そして、この磁気記録素子10の一端はビット線BLに接続され、他端はワード線WLに接続されている。従って、各メモリセルMCは、ビット線BLと、ワード線WLと、磁気記録素子10とを含んで構成されている。尚、ここでは、磁気記録素子10は、図7(a)に例示した記録層及び固定層の両方が反強磁性結合した構造を用いている。
このような第5の実施形態において、書き込み動作は、次のように行われる。まず、任意の磁気記録素子10に対応するビット線BL及びワード線WLを選択する。そして、ビット線BLから磁気記録素子10へ、又は磁気記録素子10からビット線BLへ、磁化反転の臨界電流Icより大きな書き込み電流Iwを流すことで、電流直接駆動書き込みにより、磁気記録素子10に“1”、“0”情報が書き込まれる。
一方、読み出し動作は、次のように行われる。まず、磁気記録素子10の選択は、その磁気記録素子10に接続されたビット線BL及びワード線WLを選択することで行われる。そして、磁気記録素子10に磁化反転の臨界電流Icより小さなセンス電流Irを流すことで、磁気記録素子10の情報を読み出す。ここで、センス電流Irは、ビット線BLから磁気記録素子10へ流してもよいし、磁気記録素子10からビット線BLへ流してもよく、どちらの向きに流してもよい。そして、磁気記録素子10の抵抗を読み取ることで、記録層FFの磁化状態を判定し、信号の再生(読み出し)を行う。
以上のように、本発明の第5の実施形態によれば、上記第1の実施形態に係る磁気記録素子10を用いているため、電流駆動磁化反転により書き込みにおいて、平行から反平行へ磁化反転させる時の反転電流Jc−を低減できるとともに、反転電流密度Jc−,Jc+の非対称性を改善できる。
さらに、第5の実施形態に係るメモリセルMCは、第2乃至第4の実施形態におけるスイッチング素子を設けないため、セル面積の縮小を図ることができる。従って、本実施形態のようなクロスポイント型磁気記録装置は、最も高集積化が容易な構造であるといえる。
[第6の実施形態]
第6の実施形態は、上記第1の実施形態に係る磁気記録素子10を、いわゆる「パターンド(patterned)媒体」に適用し、この媒体にプローブでアクセスするプローブストレージ型の磁気記録装置を例示する。
図28は、本発明の第6の実施形態に係るプローブストレージ型の磁気記録装置を表す模式図である。図28に示すように、パターンド媒体(記録媒体)120は、導電性基板110の上において、上記第1の実施形態に係る複数個の磁気記録素子10を高抵抗の絶縁体100の面内にマトリクス状に配列した構造を有する。この媒体120の表面上には、任意の磁気記録素子10を選択してアクセスするための導電性のプローブ200が設けられている。このプローブ200には、プローブ200と媒体120の表面との相対的位置関係を制御するための位置駆動装置210が接続され、さらに、磁気記録素子10にプローブ200から電流又は電圧を印加するための電源220が接続されている。また、電源220及び基板110には、磁気記録素子10の内部磁化状態を電気抵抗の変化として検出するための検出回路230が接続されている。
尚、図28に示す位置駆動装置210は、プローブ200の位置を変化させるためにプローブ200に接続されているが、これに限定されない。この位置駆動装置210は媒体120とプローブ200との相対位置を制御できればよいので、例えば、媒体120の位置を変化させるために媒体120側に位置駆動装置210を接続してもよい。
また、図28に示す磁気記録素子10は、導電性基板110において下側電極のみを共有しているが、これに限定されない。例えば、各磁気記録素子10において、反強磁性層AFを共有したり固定層FPを共有したりするなど、その一部の層を共有する構造としてもよい。このような構造にすれば、さらにプロセスの簡易化及び特性の均質化を図ることができる。
このような第6の実施形態では、書き込み及び読み出しは、プローブ200と基板110との間に磁気記録素子10を介して電流を流すことによって行われる。ここで、磁気記録素子10の選択は、プローブ200と媒体120との相対的位置関係を変えることで行われる。プローブ200は、磁気記録素子10に対して電気的に接続されていればよく、接触していても、非接触していてもよい。非接触の場合には、磁気記録素子10とプローブ200との間に流れるトンネル電流又は電界放射による電流を用いて書き込み及び読み出しを行うことができる。
まず、磁気記録素子10への書き込みは、磁気記録素子10にアクセスしたプローブ200から磁気記録素子10へ流れる電流、又は磁気記録素子10からプローブ200へ流れる電流により行われる。磁気記録素子10のサイズ、構造、組成等により決定される磁化反転電流をIsとすると、この磁化反転電流Isよりも大きな書き込み電流Iwを磁気記録素子10に流すことで書き込みが可能となる。その記録される磁化の方向は、電子流を基準とした場合に、最初に通過する固定層FPの磁化の方向と同一である。従って、電子の流れ、すなわち電流の極性を反転させることで、“0”又は“1”の書き込みを適宜行うことができる。
一方、読み出しは、書き込みと同じく、磁気記録素子10にアクセスしたプローブ200から磁気記録素子10へ流れる電流、又は磁気記録素子10からプローブ200へ流れる電流により行われる。但し、読み出し時には、磁化反転電流Isよりも小さな再生電流Irを流す。そして、電圧又は抵抗を検出することで、記録層FFの記録状態を判定する。よって、本実施形態の磁気記録装置においては、Iw>Irなる関係をもつ電流を流すことで、書き込み及び読み出しが可能となる。
図29は、プローブをマルチ化した場合のメモリセルアレイを表す模式図である。図29では、第1の実施形態に係る磁気記録素子10を基板上に並べ、32×32のマトリックスメモリセルMMCが形成されている。このマトリックスメモリセルMMCをさらに32×32個並べ、合計で1M(メガ)ビットの記録再生媒体が形成されている。そして、この記録再生媒体に対して、32個×32個からなるプローブ200で書き込み及び読み出しが実施される。すなわち、1セットのマトリックスメモリセルMMCに対し、1個のプローブ200が対応している。
具体的には、プローブ200を選択するためのビット線BLとワード線WLとがマトリックス状に配置され、ビット線BLとワード線WLとの交点付近にプローブ200が配置されている。そして、プローブ200の一端は選択トランジスタの電流経路の一端に接続され、トランジスタの電流経路の他端はワード線WLに接続され、トランジスタのゲートはビット線BLに接続される。プローブ200の選択は、ビット線BLとワード線WLとを選択し、オンにするトランジスタを選択することで行う。
プロービングは、図28に関して前述した如くである。それぞれのプローブ200に対するマトリックスメモリセルMMC内の磁気記録素子10の選択は、媒体に設けられたXY駆動機構により行うことができる。ただし、位置関係が相対的に変化するならば、プローブ200に設けられた駆動機構で磁気記録素子10の選択を行ってもよい。また、プローブ自身がマルチ化されているため、このプローブ200をいわゆるワード線WLとビット線BLに繋ぎ、ワード線WLとビット線BLを選択することでプローブ200の選択を可能としている。
図29における磁気記録素子10の書き込み及び読み出しは、図28の場合と同様で、磁気記録素子10にアクセスしたプローブ200から注入される電流により実施する。書き込みは、プローブ200から磁気記録素子10へ又は磁気記録素子10からプローブ200へ電流Iwを流すことで、“0”、“1”情報の記録が行われる。一方、読み出しは、磁気記憶素子10に読み出し電流Irを流すことで、磁気記録素子10の抵抗を測定し、この抵抗値の大小関係を“0”、“1”情報に割り当てればよい。
以上のように、本発明の第6の実施形態によれば、上記第1の実施形態に係る磁気記録素子10を用いているため、電流駆動磁化反転により書き込みにおいて、平行から反平行へ磁化反転させる時の反転電流Jc−を低減できるとともに、反転電流密度Jc−,Jc+の非対称性を改善できる。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明したが、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形することが可能である。
例えば、磁気記録素子10を構成する各要素の具体的な寸法関係や材料、その他、電極、パッシベーション、絶縁構造などの形状や材質に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより、本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、磁気記録素子10における反強磁性層AF、強磁性層(固定層FP及び記録層FF)、非磁性層(スペーサ層SP、キャップ層CP、反射層REF)、絶縁層などの構成要素は、それぞれ単層として形成してもよく、又は2以上の層を積層した構造としてもよい。
また、磁気記録素子10の積層構造は、図示した構造に限定されず、積層膜の積層の順序は上下を逆にすることも可能で、このような場合も同様の効果を得ることができる。
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気記録素子や磁気記録装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施しうるすべての磁気記録素子、磁気記録装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
本発明の第1の実施形態に係る磁気記録素子の断面構造を例示する模式図。 本発明の第1の実施形態に係る磁気記録素子を用いた場合において反転電流密度が低減する機構の説明図であり、図2(a)は図1の磁気記録素子を90度回転させた積層構造を示す図、図2(b)は図2(a)の磁気記録素子の各層における電子に対する原子ポテンシャルを示す模式図。 厚いキャップ層を有する磁気記録素子を用いた場合に十分な電子閉じ込め効果が得られない例を説明するための図。 本発明の第1の実施形態に係る磁気記録素子において、固定層から記録層に電子を流した場合を示す図。 図5(a)は、本発明の第1の実施形態に係る磁気記録素子において、キャップ層の厚さの変化に伴うキャップ層内への電子の閉じこめの強さの関係を示す図、図5(b)は、本発明の第1の実施形態に係る磁気記録素子において、反射層の厚さの変化に伴うキャップ層内への電子の閉じこめの強さの関係を示す図。 本発明の第1の実施形態に係る磁気記録素子において固定層及び記録層の一方が反強磁性結合構造及び強磁性結合構造である場合の模式図であり、図6(a)は記録層が反強磁性結合構造の場合、図6(b)は固定層が反強磁性結合構造の場合、図6(c)は記録層が強磁性結合構造の場合、図6(d)は固定層が強磁性結合構造の場合を示す模式図。 本発明の第1の実施形態に係る磁気記録素子において固定層及び記録層の両方が反強磁性結合構造及び強磁性結合構造のいずれかである場合の模式図であり、図7(a)は記録層及び固定層が反強磁性結合構造の場合、図7(b)は記録層及び固定層が強磁性結合構造の場合、図7(c)は記録層が強磁性結合構造で固定層が強磁性結合構造の場合、図7(d)は記録層が反強磁性結合構造で固定層が強磁性結合構造の場合を示す模式図。 本発明の第1の実施形態に係る磁気記録素子における磁性層からなる多層構造を示す模式図であり、図8(a)は記録層が2層構造の場合、図8(b)は固定層が2層構造の場合を示す模式図。 本発明の第1の実施形態に係る磁気記録素子における磁性層からなる多層構造を示す模式図であり、図9(a)は記録層が3層構造の場合、図9(b)は固定層が3層構造の場合を示す模式図。 本発明の第1の実施形態に係る磁気記録素子の模式的な断面図であり、図10(a)は台形、図10(b)は凸形状を示す断面図。 本発明の第1の実施形態に係る磁気記録素子の模式的な平面図であり、図11(a)は正方形、図11(b)は長方形、図11(c)は横長(縦長)6角形、図11(d)は楕円形、図11(e)は菱型、図11(f)は平行四辺形、図11(g)は円、図11(h)十字型を示す平面図。 本発明の第1の実施形態に係る磁気記録素子を用いた電流直接駆動による書き込み動作において、平行磁化配置から反平行磁化配置へ磁化を反転させる場合を説明するための図であり、図12(a)は磁気記録素子の模式図、図12(b)は原子ポテンシャルの模式図。 本発明の第1の実施形態に係る磁気記録素子を用いた電流直接駆動による書き込み動作において、反行磁化配置から平行磁化配置へ磁化を反転させる場合を説明するための図であり、図13(a)は磁気記録素子の模式図、図13(b)は原子ポテンシャルの模式図。 本発明の第1の実施形態に係る第1の実施例における磁気記録素子の断面構造を表す模式図。 本発明の第1の実施形態に係る第1の実施例におけるサンプル1及び2の効果比較図であり、図15(a)は電流書き込み特性を表す比較図、図15(b)は反転電流密度の比較図。 第1の実施形態に係る第2の実施例における磁気記録素子の断面構造を表す模式図。 本発明の第2の実施形態に係る磁気記録装置のメモリセルアレイの等価回路を表す模式図。 図17における1セル分のメモリセルの断面構造を表す模式図。 本発明の第2の実施形態に係る磁気記録装置の書き込み動作を説明するための概念図であり、図19(a)は“0”書き込みの場合、図19(b)は“1”書き込みの場合を示す図。 本発明の第2の実施形態に係る磁気記録装置の読み出し動作を説明するための概念図であり、図20(a)は“0”読み出しの場合、図20(b)は“1”読み出しの場合を示す図。 本発明の第3の実施形態に係る磁気記録装置のメモリセルアレイの等価回路を表す模式図。 図21における1セル分のメモリセルの断面構造を表す模式図。 本発明の第3の実施形態に係る磁気記録装置の書き込み動作を説明するための概念図であり、図23(a)は“0”書き込みの場合、図23(b)は“1”書き込みの場合を示す図。 本発明の第3の実施形態に係る磁気記録装置の読み出し動作を説明するための概念図であり、図24(a)は“0”読み出しの場合、図24(b)は“1”読み出しの場合を示す図。 本発明の第4の実施形態に係る磁気記録装置のメモリセルアレイの等価回路を表す模式図。 本発明の第5の実施形態に係る磁気記録装置のメモリセルアレイの等価回路を表す模式図。 図26のメモリセルアレイの構造を表す模式斜視図。 本発明の第6の実施形態に係るプローブストレージ型の磁気記録装置を表す模式図。 本発明の第6の実施形態に係るプローブストレージ型の磁気記録装置において、プローブをマルチ化した場合のメモリセルアレイを表す模式図。
符号の説明
10…磁気記録素子、11,21…基板、12…下部電極、13…上部電極、22a,22b,22c,22d…コンタクト、23a,23b,23c,24…配線、100…絶縁体、110…導電性基板、120…パターンド媒体、200…プローブ、210…位置駆動装置、220…電源、230…検出回路、AF…反強磁性層、FP…固定層、SP…スペーサ層、FF…記録層、CP…キャップ層、REF…反射層、BL…ビット線、WL…ワード線、WWL…書き込みワード線、TR…トランジスタ、D…ダイオード、MC…メモリセル、MCA…メモリセルアレイ、MMC…マトリックスメモリセル。

Claims (22)

  1. スピン偏極したスピン偏極電子を磁性体に流すことで情報が記録される磁気記録素子であって、
    磁化が実質的に固定され、第1及び第2の面を有し、強磁性材料で形成された固定層と、
    前記スピン偏極電子の作用により磁化が反転され、第3及び第4の面を有し、マジョリティスピンバンド電子に対する第1の原子ポテンシャルとマイノリティスピンバンド電子に対する第2の原子ポテンシャルとを有する強磁性材料で形成された記録層と、
    前記固定層と前記記録層との間に設けられ、前記第2及び第3の面と接し、非磁性材料で形成されたスペーサ層と、
    第5及び第6の面を有し、前記第5の面が前記第4の面と接し、前記第1及び第2の原子ポテンシャルの中間値よりも低い第3の原子ポテンシャルを有する非磁性材料で形成され、3nm以下の膜厚を有するキャップ層と、
    前記第6の面に接し、前記第3の原子ポテンシャルと異なる第4の原子ポテンシャルを有する非磁性材料で形成され、20nm以下の膜厚を有する反射層と
    を具備することを特徴とする磁気記録素子。
  2. 前記スペーサ層は、絶縁体材料又は半導体材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録素子。
  3. 前記スペーサ層は、金属材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録素子。
  4. 前記記録層は、第1の磁性層と第2の磁性層と前記第1及び第2の磁性層間に挟まれた非磁性層とを含む積層構造であり、
    前記積層構造は、前記第1及び第2の磁性層の磁化方向が反平行である反強磁性結合構造である
    ことを特徴とする請求項に記載の磁気記録素子。
  5. 前記記録層は、第1の磁性層と第2の磁性層と前記第1及び第2の磁性層間に挟まれた非磁性層とを含む積層構造であり、
    前記積層構造は、前記第1及び第2の磁性層の磁化方向が平行である強磁性結合構造である
    ことを特徴とする請求項に記載の磁気記録素子。
  6. 前記固定層は、第1の磁性層と第2の磁性層と前記第1及び第2の磁性層間に挟まれた非磁性層とを含む積層構造であり、
    前記積層構造は、前記第1及び第2の磁性層の磁化方向が反平行である反強磁性結合構造である
    ことを特徴とする請求項に記載の磁気記録素子。
  7. 前記固定層は、第1の磁性層と第2の磁性層と前記第1及び第2の磁性層間に挟まれた非磁性層とを含む積層構造であり、
    前記積層構造は、前記第1及び第2の磁性層の磁化方向が平行である強磁性結合構造である
    ことを特徴とする請求項に記載の磁気記録素子。
  8. 前記記録層は、第1の磁性層と第2の磁性層と前記第1及び第2の磁性層間に挟まれた第1の非磁性層とを含む第1の積層構造であり、
    前記固定層は、第3の磁性層と第4の磁性層と前記第3及び第4の磁性層間に挟まれた第2の非磁性層とを含む第2の積層構造であり、
    前記第1の積層構造は、前記第1及び第2の磁性層の磁化方向が反平行である反強磁性結合構造であり、
    前記第2の積層構造は、前記第3及び第4の磁性層の磁化方向が反平行である反強磁性結合構造である
    ことを特徴とする請求項に記載の磁気記録素子。
  9. 前記記録層は、第1の磁性層と第2の磁性層と前記第1及び第2の磁性層間に挟まれた第1の非磁性層とを含む第1の積層構造であり、
    前記固定層は、第3の磁性層と第4の磁性層と前記第3及び第4の磁性層間に挟まれた第2の非磁性層とを含む第2の積層構造であり、
    前記第1の積層構造は、前記第1及び第2の磁性層の磁化方向が平行である強磁性結合構造であり、
    前記第2の積層構造は、前記第3及び第4の磁性層の磁化方向が平行である強磁性結合構造である
    ことを特徴とする請求項に記載の磁気記録素子。
  10. 前記記録層は、第1の磁性層と第2の磁性層と前記第1及び第2の磁性層間に挟まれた第1の非磁性層とを含む第1の積層構造であり、
    前記固定層は、第3の磁性層と第4の磁性層と前記第3及び第4の磁性層間に挟まれた第2の非磁性層とを含む第2の積層構造であり、
    前記第1の積層構造は、前記第1及び第2の磁性層の磁化方向が反平行である反強磁性結合構造であり、
    前記第2の積層構造は、前記第3及び第4の磁性層の磁化方向が平行である強磁性結合構造である
    ことを特徴とする請求項に記載の磁気記録素子。
  11. 前記記録層は、第1の磁性層と第2の磁性層と前記第1及び第2の磁性層間に挟まれた第1の非磁性層とを含む第1の積層構造であり、
    前記固定層は、第3の磁性層と第4の磁性層と前記第3及び第4の磁性層間に挟まれた第2の非磁性層とを含む第2の積層構造であり、
    前記第1の積層構造は、前記第1及び第2の磁性層の磁化方向が平行である強磁性結合構造であり、
    前記第2の積層構造は、前記第3及び第4の磁性層の磁化方向が反平行である反強磁性結合構造である
    ことを特徴とする請求項に記載の磁気記録素子。
  12. 前記固定層及び前記記録層の少なくとも一方は、複数の磁性層で形成されている
    ことを特徴とする請求項に記載の磁気記録素子。
  13. 前記第1の面に接し、前記固定層の前記磁化を固定する反強磁性層と
    をさらに具備することを特徴とする請求項に記載の磁気記録素子。
  14. 前記反射層は、金属層からなることを特徴とする請求項に記載の磁気記録素子。
  15. 前記反射層は、酸化層又は窒化層からなることを特徴とする請求項に記載の磁気記録素子。
  16. 前記反射層は、1nm以下の膜厚を有する絶縁層、又は20nm以下の膜厚を有する半導体層で形成されていることを特徴とする請求項に記載の磁気記録素子。
  17. 前記反射層は、1nm以下の膜厚を有する酸化層若しくは窒化層、又は20nm以下の膜厚を有する半導体層で形成されていることを特徴とする請求項に記載の磁気記録素子。
  18. 前記請求項1乃至17のいずれか1項に記載の前記磁気記録素子を具備するメモリセルを備えたことを特徴とする磁気記録装置。
  19. 前記メモリセルは、
    前記磁気記録素子の一端に接続されたビット線又はワード線と、
    前記磁気記録素子の他端に接続されたスイッチング素子と
    をさらに具備することを特徴とする請求項18に記載の磁気記録装置。
  20. 前記メモリセルは、
    前記磁気記録素子と電気的に分離され、前記磁気記録素子に情報を記録する際の書き込み電流を流す書き込みワード線と
    をさらに具備することを特徴とする請求項19に記載の磁気記録装置。
  21. 前記メモリセルは、
    前記磁気記録素子の一端に接続されたビット線と、
    前記磁気記録素子の他端に接続されたワード線と
    をさらに具備することを特徴とする請求項18に記載の磁気記録装置。
  22. 前記磁気記録素子は、前記メモリセル内に複数個設けられ、
    前記磁気記録素子を選択し、前記磁気記録素子にアクセス可能なプローブと、
    前記プローブと前記磁気記録素子との相対的な位置を変える位置駆動装置と
    を具備することを特徴とする請求項18に記載の磁気記録装置。
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