JP4567232B2 - 耐熱性シリコーンゴム組成物の硬化物 - Google Patents

耐熱性シリコーンゴム組成物の硬化物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱性に優れたシリコーンゴム組成物の硬化物及びその原料となるシリコーンゴム組成物に関し、より詳細には、300℃以上の連続使用に耐えることができる耐熱性を有するシリコーンゴム組成物の硬化物を提供できるオルガノポリシロキサン組成物及び当該組成物を用いて製造される耐熱性シリコーンゴム組成物の硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
天然ゴムは100℃、一般の有機ゴムは150℃を超えると短時間で劣化してしまうために使用できなくなるが、シリコーンゴムは200℃近くの高温でも連続使用することができ、耐熱性に優れるゴムとして知られている。
【0003】
シリコーンゴムの耐熱性の更なる向上のために、酸化鉄を添加する方法(米国特許第3352781号)、ランタン系希土類金属の酸化物及び水酸化物を添加する方法(特公昭36−6189号)、アリルウレタンを添加する方法(特公昭38−16771号)、ポリエチルピリジンを添加する方法(特公昭49−15047号)などがある。しかし、これらのいずれについても未だ、300℃という高温下での長時間使用には耐えられず、熱劣化が著しい。
【0004】
300℃の長時間使用に耐えられるシリコーンゴムとしては、特開平11−106659号に、オルガノポリシロキサンに触媒量の白金系触媒、多量のベンガラ、エポキシ基を有する有機ケイ素化合物を含むオルガノポリシロキサン組成物が提案されている。また、特公昭63−52060号に、耐熱性を改良したシリコーンゴム組成物として、ポリオルガノシロキサンに、多量の粉砕石英又は溶融石英と多量のベンガラを添加したポリオルガノシロキサン組成物が開示されている。
【0005】
しかしながら、これらの組成物では、いずれも耐熱性向上の妨げになるとして、シリコーンゴムの補強剤であるシリカ系充填剤の添加を避けているため、得られるシリコーンゴムの強度が充分でなく、圧縮力が負荷されるような条件での用途には適用できない。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、300℃以上での連続使用、特に圧力が付加された状態での高温使用にも耐えることができる耐熱性シリコーンゴム組成物の硬化物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の耐熱性シリコーンゴム組成物の硬化物は、
(A)平均単位式RSiO(4−a)/2(式中Rは置換または非置換の一価炭化水素基、a=1.95〜2.05)を有するオルガノポリシロキサン 100質量部
(B)ヒュームドシリカ、湿式シリカ、表面が疎水化処理されたヒュームドシリカ、表面が疎水化処理された湿式シリカ及びけいそう土のうちの少なくとも1つ 5〜100質量部
(C)硬化剤 0.01〜5質量部
(D)ベンガラ 0.1〜5質量部
(E)ガラス 0.1〜5質量部
を含有する耐熱性シリコーンゴム組成物を加硫してなり、厚み方向に25%圧縮された状態で、300℃、72時間放置された後の表層部のJIS−A硬さと、放置される前の表層部のJIS−A硬さとの比(放置後のJIS−A硬さ/放置前のJIS−A硬さ)が1.26以下である
【0008】
前記硬化剤は、有機過酸化物であることが好ましい。また、前記ガラスは、径3〜20μmで長さ50〜150μmのガラス繊維、粒径10〜300μmのガラス粒子、及び150メッシュ以下のガラス粉末からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。前記ベンガラは、粒径0.02〜50μmであることが好ましい。
【0009】
本発明の耐熱性シリコーンゴム組成物の硬化物は、JIS−A硬さが5〜90である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の耐熱性シリコーンゴム組成物は、(A)平均単位式RSiO(4−a)/2(式中Rは置換または非置換の一価炭化水素基、a=1.95〜2.05)を有するオルガノポリシロキサン、(B)ヒュームドシリカ、湿式シリカ、表面が疎水化処理されたヒュームドシリカ、表面が疎水化処理された湿式シリカ及びけいそう土のうちの少なくとも1つ、(C)硬化剤、(D)ベンガラ、(E)ガラスを含有するものである。
【0011】
本発明の組成物で(A)成分として使用されるオルガノポリシロキサンは、平均単位式RSiO(4−a)/2で示される。式中、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素原子数1〜10、好ましくは1〜8のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素原子数1〜10、好ましくは1〜8のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;アルキル基、アルケニル基、アリール基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子に置換したクロロメチル基、クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基;アルキル基、アルケニル基、アリール基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をシアノ基に置換した2−シアノエチル基等のシアノ置換炭化水素基などから選択される置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基である。式中、aは1.95〜2.05である。具体的には、下記化学式(1)で表わされる直鎖状のジオルガノシロキサンを主体とし、aが上記範囲を満足する範囲で、下記化学式(2)式のように分岐があったり、下記化学式(3)式のように末端がシロキサン結合で環状となっているものであってもよい。
【0012】
【化1】
Figure 0004567232
【0013】
好ましい繰り返し単位は、Rの50%以上、より好ましくは98%以上がメチル基であるジメチルシロキサンである。重合度nは3000〜10000であることが好ましい。
【0014】
本発明の組成物における(B)成分としてのシリカ系充填材は、シリコーンゴムの補強、増粘、加工性向上、増量などの目的で添加される。具体的には、ヒュームドシリカ、湿式シリカ、表面を疎水化処理したヒュームドシリカや湿式シリカ、けいそう土などが用いられる。シリカ系充填材としては、比表面積が1m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが好ましく用いられる。
【0015】
本発明の組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分たるオルガノポリシロキサン100質量部に対して5質量部以上、好ましくは25質量部以上であり、その上限は100質量部以下、好ましくは75質量部以下である。5質量部未満では、補強効果が充分でないため、得られる硬化物の強度が弱く、圧縮負荷状態で使用される用途には耐えられないからである。100質量部超では、得られる硬化物が硬くなりすぎて弾性が不足し、ゴムとしての用途に適しないからである。
【0016】
(C)成分たる硬化剤は、オルガノポリシロキサンの架橋硬化に用いられるもので、具体的には有機過酸化物、金属脂肪酸塩、金属アルコラート、アミン化合物や、オルガノハイドロジエンシロキサンと白金系化合物の組み合わせなどが用いられるが、より優れた耐熱性を得るためには有機過酸化物が好ましく用いられる。
【0017】
有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、モノクロルベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキシンやジミリスチルパーオキシカーボネート、ジシクロドデシルパーオキシジカーボネート等のジカーボネート類、t−ブチルモノパーオキシカーボネート類などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の組み合わせが用いられる。
【0018】
本発明の組成物における(C)成分の含有量は、(A)成分としてのオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.01〜5質量部の範囲で、配合組成、得ようとする硬化物の硬さ等に応じて適宜選択される。
【0019】
(D)成分たるベンガラは、(E)成分たるガラスとの組み合わせで耐熱性を上げるために添加される。
【0020】
使用するベンガラの種類は特に限定ないが、粒径0.02〜50μm、比表面積50〜150m2/gのものが好ましく用いられる。工業用ベンガラとしては、透明配合用の顔料であるCAPELLE社製Cappoxyt Red 4435B、大日精化社製トランスオキサイドレッド(TOR)などが用いられる。また、三重カラーテクノ社製弁柄隆華や、結晶水を有し一般に鉄黄と呼ばれる大日精化社製トランスオキサイドイエロー(TOY)、Bayer社製バイフェロックスなども同様の効果が得られる。
【0021】
本発明の組成物におけるベンガラの含有量は、オルガノポリシロキサン100質量部に対し、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上で、5質量部以下、好ましくは2質量部以下である。0.1質量部未満ではベンガラによる耐熱性向上効果が充分ではなく、5質量部超では、硬さ、伸びの変化が大きくなりすぎて、ゴムとして使用できなくなるからである。
【0022】
(E)成分たるガラスは、(D)成分とともに硬化物の耐熱性を向上させるために添加される。(D)成分たるベンガラは、ラジカル捕捉剤として、シリコーンゴムの架橋の進行による硬化劣化を抑制する作用と、触媒としてポリシロキサン主鎖を切断する作用があることを知られている。一方、(E)成分たるガラスだけの添加では耐熱性向上効果はないが、上記作用を有するベンガラとの相乗作用により、優れた耐熱性効果、具体的には、300℃という高温で使用しても、硬化劣化、軟化劣化が抑制されて、ゴム弾性を長期間維持することができる。
【0023】
(E)成分に用いられるガラスは、ケイ酸塩を主成分とするものであればよく、石英ガラスの他、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、アルカリガラスなど種々のガラスを用いることができる。また、ガラスの形状も特に限定はなく、径3〜20μmで長さ50〜150μmのガラス繊維;粒径10〜300μmのガラス粒子;板ガラスや空き瓶のカレットを粉砕したガラスパウダーで150メッシュ以下のガラス粉末が用いられる。具体的には、井尾ガラス社製カレット粉砕品無色、茶色、緑色、ユニチカグラスファイバー社製EGP70M−01N、東芝バロティーニ社製MB−10、J120、GB731などを用いることができる。
【0024】
組成物におけるガラスの含有量は、オルガノポリシロキサン100質量部に対し、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上で、5質量部以下、好ましくは2質量部以下である。0.1質量部未満ではベンガラとの併用による耐熱向上効果が認められず、5質量部超では、ベンガラとの相乗作用が相殺されて高温下での放置に対する硬さ、伸びの変化が大きくなるからである。
【0025】
本発明の耐熱性シリコーンゴム組成物は、上記(A)〜(E)成分の他、必要に応じて、末端に水酸基を有するジメチルシロキサン、ジフェニルシランジオール、アルコキシシランなどの低分子量の有機ケイ素化合物を配合しても良い。
【0026】
本発明のシリコーンゴム組成物の硬化物は、上記組成を有する本発明のシリコーンゴム組成物を加硫成型したもので、JIS−A硬さ5〜90、好ましくは20〜80としたものである。JIS−A硬さが5未満では強度が小さすぎて、負荷に耐えられず、90超ではゴム弾性が小さくなり、高温での使用によりさらに硬くなるためにゴムとして使用できなくなるからである。
【0027】
製造方法は特に限定しないが、一般に、まず上記(A)成分及び(B)成分を、2本ロールやニーダーミキサーなどで均一に混合した後、100〜400℃で数秒間から数時間の熱処理を経てベースコンパウンドとする。このベースコンパウンドに、(C)〜(E)成分を配合した後、2本ロール等を用いて均一に混練し、型に入れて加硫成形する。加硫成型条件は、使用する組成物の組成及び得ようとする硬化物の硬さに応じて適宜設定すればよい。具体的には、160〜170℃でプレス加硫成形した後、200℃程度で2〜24時間二次加硫する。
【0028】
本発明のシリコーンゴム組成物の硬化物は、JIS−A硬さが5〜90程度に成形される。用途に応じて硬さが適宜選択され、最終的に得ようとする硬化物の硬さに応じて、上記本発明の組成物の具体的配合及び加硫条件を適宜選択すればよい。例えば、シール材のように圧縮した状態で使用される場合には、強度とゴム弾性のバランスの点から、JIS−A硬度が20〜80とすることが好ましい。
【0029】
本発明のシリコーンゴム組成物の硬化物は、ベンガラとガラスの相乗作用により300℃での連続使用においても、硬さ変化が少なく、ゴム弾性を保持することができる。特に、圧縮状態で300℃という高温に保持すると、従来のシリコーンゴムでは、表面部分の硬化が激しいため、もろくなったが、本発明のシリコーンゴム組成物の硬化物では、表面部分の硬化が小さく、ゴム弾性を維持できる。従って、本発明の耐熱性シリコーンゴム組成物の硬化物は、高温で使用される部材のシール材として好適に用いることができる。
【0030】
【実施例】
〔耐熱性の測定評価方法〕
ゴム試験片を、300℃で24時間又は72時間放置する前と後の硬さ、引張強さ、伸びの変化率を、下記評価方法で調べた。
【0031】
▲1▼硬さ(度)
耐熱性試験を行う前と後について、JIS−K6253に準じてJIS−A硬さを測定し、試験前後での硬さの変化(差)を求めた。
【0032】
▲2▼引張強さ
耐熱性試験試験を行う前と後について、引張強さ(MPa)を、JIS−K6253に準じて測定した。また、試験による引張強さの変化率(%)を求めた。
【0033】
▲3▼伸び(%)
耐熱性試験試験を行う前と後について、伸び(%)を、JIS−K6253に準じて測定した。また、試験による伸びの変化率(%)を求めた。
【0034】
〔配合組成と耐熱性〕
ジメチルシロキサン単位99.775モル%、メチルビニルシロキサン単位0.2モル%、ジメチルビニルシロキサン単位0.025モル%からなる平均重合度が5000のガム状オルガノポリシロキサン100質量部に、分散剤としてのジフェニルシランジオール3質量部及びジメチルジメトキシシラン5部、補強剤としてヒュームドシリカを40質量部(日本シリカ社製ニプシルVN3LPを20質量部と日本アエロジル社製アエロジル200を20質量部)を混合し、均質に混練りした後、150℃で4時間加熱処理してベースコンパウンドを作った。
【0035】
ベースコンパウンドに、硬化剤として2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(東レ・ダゥコーニングシリコーン社製RC−4(50P))、及びベンガラ(CAPELLE社製Cappoxyt Red 4435B:粒径0.1〜0.02μm)、ガラス繊維(ユニチカグラスファイバー社製のEGP70M−01N:径9μmで平均繊維長70μm)及び酸化セリウム(第一稀元素化学工業社製 酸化セリウムFN)を表1に示す量だけ添加し、2本ロールで均一に混練りした後、175℃で10分プレス加硫を行い、さらに200℃で4時間の二次加硫を行なって、表1に示すような硬さ、伸び、引張強さを有するシリコーンゴムシートNo.1〜9を得た。
【0036】
得られたシリコーンゴムシートNo.1〜9について、硬さ、引張強さ、伸びを測定した。表1中、「初期」で示される。さらに、300℃で24時間放置した後の硬さ、引張強さ、伸びを測定して、耐熱試験前後の変化又は変化率を求めた。結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0004567232
【0038】
ベースコンパウンドを硬化剤で硬化しただけのシリコーンゴム(No.1)では、高温での放置により、オルガノポリシロキサンの架橋が進み、ゴムが樹脂化したため、硬くなり、伸び、引っ張り強さが低下した。ベンガラのみを添加した場合(No.2)では高温放置で軟化し、引張強さ、伸びが低下した。また、酸化セリウムを添加した場合(No.4)、酸化セリウムとガラス繊維を添加した場合(No.5)、いずれの場合も、高温での放置により軟化し、引張強さ及び伸びが低下した。一方、ガラス繊維だけを添加した場合(No.3)、高温での放置により架橋が進んで樹脂化し、引張強さ、伸びが低下した。
【0039】
ベンガラとガラス繊維の双方を含有するシリコーンゴムNo.6〜9は、No.1〜5と比べて硬さ変化が小さく、引張強さ及び伸びの変化も小さかった。従って、300℃での使用条件に耐える耐熱性を確保するためには、ベンガラとガラスの双方が必要であることがわかる。
【0040】
No.1,2,3,7に該当するシリコーンゴム試験片について、熱分析により、ポリマーの分解開始及び終了温度を測定した。結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
Figure 0004567232
【0042】
表2から、ベースコンパウンドを硬化剤で硬化しただけのシリコーンゴム(No.1)と、ガラス繊維を添加したシリコーンゴム(No.3)とを比べると、ポリマーの分解挙動に差異は認められず、ガラス繊維単独では耐熱性向上効果がないことが確認できる。一方、ベンガラを添加したシリコーンゴム(No.2)の場合、ポリマーの分解温度がNo.1,3と比べて30℃程高くなっており、分解しにくくなっていることがわかる。しかしながら、No.2のΔtはNo.1,3よりも小さいことから、一旦ポリマーの分解が始まると、分解が速やかに進行することがわかる。これらに対して、ガラス繊維とベンガラの双方を添加した場合(No.7)では、分解開始温度はベンガラを配合したNo.2と同程度であり、しかもΔtがNo.1,3よりも大きく、分解を開始しても分解の進行がゆっくりであることがわかる。
【0043】
〔ガラスの種類と耐熱性〕
上記で調製したベースコンパウンドに、硬化剤として2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(東レ・ダゥコーニングシリコーン社製RC−4(50P))0.5質量部を添加し、さらにベンガラ(CAPELLE社製Cappoxyt Red 4435B)、ガラス繊維(ユニチカグラスファイバー社製のEGP70M−01N:径9μmで繊維長70mm)、ガラスビーズ(東芝バロティーニ社製GB731:粒径30μm)、不定形ガラス(井尾ガラス社製カレット無色、茶色、緑色:200メッシュ以下)を表3に示す量だけ添加し、2本ロールで均一に混練りした後、175℃で10分プレス加硫を行い、さらに200℃で4時間の二次加硫を行なって、シリコーンゴムシートNo.11〜16を得た。尚、上記ガラス繊維及びガラスビーズはEガラスに該当し、カレットはアルカリガラスに該当する。
【0044】
得られたシリコーンゴムシートNo.11〜16について、硬さ、引張強さ、伸びを測定し、さらに300℃で24時間放置後の硬さ、引張強さ、伸びを測定して、耐熱試験前後の変化又は変化率を求めた。結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
Figure 0004567232
【0046】
ガラスとベンガラの双方を含むNo.12〜16は、いずれも耐熱性試験前後での硬さ変化、引張強さ変化率、伸び変化率は同程度であった。このことから、耐熱性の向上のためには、ガラスの形状は球状であっても、繊維状であっても、不定形であってもよいことがわかる。また、ガラスの種類においても、Eガラスであっても、アルカリガラスであってもよいことがわかる。さらに、No.14〜16の硬さ変化率、引張強さ変化率、伸び変化率は同程度であったことから、着色成分による耐熱性効果の違いはないと考えられる。
【0047】
〔ベンガラの種類と耐熱性〕
上記で調製したベースコンパウンドに、硬化剤として2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(東レ・ダゥコーニングシリコーン社製RC−4(50P))0.5質量部を添加し、さらにガラス繊維(ユニチカグラスファイバー社製のEGP70M−01N)0.5質量部とベンガラを0.5質量部を添加し、2本ロールで均一に混練りした後、175℃で10分プレス加硫を行い、さらに200℃で4時間の二次加硫を行なって、シリコーンゴムシートNo.21〜25を得た。
【0048】
ベンガラとしては、透明配合用のベンガラであるCAPELLE社製Cappoxyt Red 4435B(平均粒径0.1〜0.02μm)及び大日精化社製のTOR(平均粒径0.1〜0.02μm)、一般に鉄赤とよばれる三重カラーテクノ社製隆華100(平均粒径0.5μm)、そして結晶水を有し一般に鉄黄と呼ばれるBayer社製バイフェロックス915(平均粒径0.5μm)のいずれかを用いた。
【0049】
得られたシリコーンゴムシートNo.21〜25について、硬さ、引張強さ、伸びを測定し、さらに300℃で72時間放置後の硬さ、引張強さ、伸びを測定して、耐熱試験前後の変化又は変化率を求めた。結果を表4に示す。
【0050】
【表4】
Figure 0004567232
【0051】
表4から、No.22〜25のいずれも硬さ変化、引張強さ変化率、伸び変化率は同程度であった。いずれのベンガラも耐熱性付与効果を有することがわかる。
【0052】
〔補強剤及び硬化剤の種類と耐熱性〕
上記で調製したベースコンパウンドと硬化剤の組み合わせの他に、配合されている補強剤の種類が異なるポリマーベースコンパウンド及び各メーカが指定する硬化剤の組み合わせとして、東レ・ダゥコーニングシリコーン社製のSH871U(補強剤:ケイソウ土、硬化剤:2,5−ジメチル2,5−(t−ブチルパーオキシ)へキサン)、TSE2323−5U(補強剤:煙霧質シリカ、硬化剤:2,5−ジメチル2,5−(t−ブチルパーオキシ)へキサン)、GE東芝シリコーン社製TSE2277−U(補強剤:煙霧質シリカ、硬化剤:2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン)、TSE221−7U(補強剤:ケイソウ土、硬化剤:2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン)を用いた。それぞれについて、添加剤がない場合と、ベンガラ(CAPELLE社製Cappoxyt RED 4435B)及びガラス繊維(ユニチカグラスファイバー社製のEGP70M−01N)を添加した場合について、2本ロールで均一に混練りした後、175℃で10分プレス加硫を行い、さらに200℃で4時間の二次加硫を行なって、シリコーンゴムシートNo.31〜35を得た。
【0053】
作成したシリコーンゴムシートについて、硬さ、引張強さ、伸びを測定し、さらに300℃で72時間放置後の硬さ、引張強さ、伸びを測定して、耐熱試験前後の変化率を求めた。結果を表5に示す。
【0054】
【表5】
Figure 0004567232
【0055】
No.31〜35いずれの場合についても、ベンガラ及びガラス繊維を添加することにより、硬さ変化の程度が小さくなっており、ベンガラ及びガラス繊維の併用が耐熱性を向上させていることがわかる。
【0056】
No.35の場合には、添加剤がない場合でも硬化が少なかったためか、ガラス繊維及びベンガラの併用により、むしろ若干の軟化が進んでいた。しかしながら、引張強さ及び伸び変化率は小さくなっており、シリコーンゴムとしての耐熱性が向上していることがわかる。
【0057】
〔圧縮条件下での耐熱性〕
上記で作成したNo.1及びNo.7のシリコーンゴムシート及び耐熱用として市販されている東芝シリコーン社製のTSE2323−5U(参考例)について、厚さ12mmの試験片を作成し、これを厚み方向に25%圧縮させた状態で、300℃、72時間放置した。試験前と圧縮を開放した後の硬さ(表層部)を測定した。結果を表6に示す。
【0058】
【表6】
Figure 0004567232
【0059】
No.1及び参考例はいずれも表層部では著しい硬化が進み、内部では軟化が起こり、変色していた。表層が硬化して樹脂状になったために内部は空気に触れにくくなって、軟化劣化が進んだと考えられる。一方、No.7は硬化の程度が小さく、また表層部と内部との差異も認められず、全体としてゴム弾性を維持していた。
【0060】
【発明の効果】
本発明の耐熱性シリコーンゴム組成物は、300℃という高温での連続使用に耐えられる耐熱性硬化物を提供することができる。また、本発明の耐熱性シリコーンゴム組成物の硬化物は、圧縮状態で300℃で保持しても、ゴム弾性を保持し続けることができる。

Claims (5)

  1. (A)平均単位式RSiO(4−a)/2(式中Rは置換または非置換の一価炭化水素基、a=1.95〜2.05)を有するオルガノポリシロキサン 100質量部
    (B)ヒュームドシリカ、湿式シリカ、表面が疎水化処理されたヒュームドシリカ、表面が疎水化処理された湿式シリカ及びけいそう土のうちの少なくとも1つ 5〜100質量部
    (C)硬化剤 0.01〜5質量部
    (D)ベンガラ 0.1〜5質量部
    (E)ガラス 0.1〜5質量部
    を含有する耐熱性シリコーンゴム組成物を加硫してなり、
    厚み方向に25%圧縮された状態で、300℃、72時間放置された後の表層部のJIS−A硬さと、放置される前の表層部のJIS−A硬さとの比(放置後のJIS−A硬さ/放置前のJIS−A硬さ)が1.26以下である、耐熱性シリコーンゴム組成物の硬化物
  2. 前記硬化剤は、有機過酸化物である請求項1に記載の耐熱性シリコーンゴム組成物の硬化物
  3. 前記ガラスは、径3〜20μmで長さ50〜150μmのガラス繊維、粒径10〜300μmのガラス粒子、及び150メッシュ以下のガラス粉末からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の耐熱性シリコーンゴム組成物の硬化物
  4. 前記ベンガラは、粒径0.02〜50μmである請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱性シリコーンゴム組成物の硬化物
  5. JIS−A硬さが5〜90である請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性シリコーンゴム組成物の硬化物
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