JP4565546B2 - X線分析方法及びx線分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、X線を用いて物質の構造等を分析するX線分析方法及びX線分析装置に関する。
X線を用いて物質の構造を分析する装置、すなわちX線分析装置は、従来から広く知られている。このようなX線分析装置として、例えば、集中法X線回折装置、平行ビーム法X線分析装置、その他各種の装置が知られている。このようなX線分析装置として、従来、測定したデータをCRT(Cathode Ray Tube)等を用いた画像表示装置の画面上に1次元画像、すなわち線状の画像として表示する方法が知られている。また、2次元画像、すなわち面状の画像として表示する方法も知られている(例えば、特許文献1参照)。また、最近では、3次元画像、すなわち立体画像として表示する方法も知られている。
このようなX線分析装置を用いたX線分析方法において、1つの試料又は複数の試料から2種類以上のデータを測定し、それらのデータを比較しながら分析を行う方法がある。従来、この分析方法は、求められた2つ以上のデータをCRT(Cathode Ray Tube)等を用いた画像表示装置に映像として別々に表示しながら、オペレータがそれらの表示を見比べて観察することによって行われていた。
特開2001−318063号公報(第6頁、図4)
しかしながら、上記のように2つ以上のデータを別々に見比べながら分析を行う場合には、熟練者でなければ正確な判断ができないという問題があった。また、2つ以上のデータを別々に表示する場合には、平滑化処理、バックグラウンド除去処理等といったデータ処理が個々のデータに関して独自に行われ、それ故、2つ以上のデータ間で均等なデータ処理が行われたかどうかが分からなかった。2つ以上のデータ間で行われるデータ処理が均等でない場合には、データ処理後の2つ以上のデータを見比べて行う分析の信頼性が低下することになる。
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、2つ以上のデータを比較して行う分析の信頼性を向上させることを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係るX線分析方法は、異なる測定条件の下で複数種類のX線測定データを求め、それら複数種類のX線測定データに基づいて新たな情報を生成するデータ解析処理を行い、前記複数種類のX線測定データ及び前記新たな情報の個々に対応した、共通の立体画像座標上における3次元画像データを生成し、その3次元画像データに基づいて表示手段の画面上に前記X線測定データに対応した立体画像を表示することを特徴とする。
今、測定条件として、試料に対するX線の入射角度ω、試料に対するX線の検出角度2θ等を考えれば、異なる測定条件とは、例えば、ω及び2θの走査領域が異なることが考えられる。
本発明に係るX線分析方法によれば、2つ以上の測定データが1つの共通の立体座標上のデータとして生成されるので、それらの測定データ間で共通のデータ処理、例えば平滑化処理、バックグラウンド除去処理等を行うことができる。それ故、それらの測定データを比較して行う分析の信頼性が向上する。
また、2つ以上の測定データが1つの共通の立体座標上のデータとして生成されるので、それらの測定データ間で共通のデータ解析、例えばピークサーチを行うことができる。それ故、解析された2つ以上の測定データの比較の信頼性が向上する。
さらに、本実施形態では、データ解析処理、例えばピークサーチ処理、座標変換等、されたデータに基づいて3次元画像が生成されて表示されるので、オペレータが測定結果を判断する上で非常に判断し易い表示を行うことができる。例えば、3次元画像においては、複数のプロファイルを視点を種々の位置に変えて3次元的に表示できるので、各プロファイル間でのピークの比較を正確に行うことができる。しかも、表示されるプロファイルについてはピークサーチ等といった解析処理が行われているので、データの信頼性も非常に高い。
ところで、2つ以上の測定データの処理方法として、1つの測定データを他の測定データの測定条件に換算する処理、すなわち2つ以上の測定データを規格化した上で1つの座標系の上に表示する方法がある。例えば、今、
(1)測定角度のステップ間隔が0.1°であってXY座標系上での測定範囲がX=1〜2、Y=0〜1のデータ1と
(2)測定角度のステップ間隔が1°であってXY座標系上での測定範囲がX=3〜5、Y=2〜4のデータ2と、
が得られている場合に、
(3)それらのデータ1及びデータ2に基づいて、測定角度のステップ間隔が0.1°であってXY座標系上での測定範囲がX=0〜5、Y=0〜4のデータ3を演算によって求める場合がある。この場合に、(3)で求めた測定データ3が規格化されたデータである。
以上のように2つ以上の測定データを合成する方法として、それらの測定データを1つの条件に規格化する方法を採用した場合には、規格化するための演算工程が必要になるので処理が面倒になるという問題が考えられる。また、規格化された後には2つ以上の測定データを個別に処理することができなくなるので、それらのデータを立体画面上に個別に表示して視点を変えた状態の立体表示を行うことができなくなる等といった問題も考えられる。これに対し、本発明に係るX線分析方法によれば、2つ以上の測定データは、規格化されることなく共通の立体座標上に個別に3次元画像データとして演算されるので、データの処理が非常に簡単である。
次に、本発明に係るX線分析方法において、前記データ解析処理はピークサーチ処理及び/又は座標変換処理であることが望ましい。こうすれば、信頼性の高い有用な3次元画像、すなわち立体画像が得られる。
上記のピークサーチは、オペレータが目視によって行うこともできるが、分析の客観性を高めるためには演算によって求めることが望ましい。さらには、そのピークサーチの結果を画像表示装置、プリンタ等といった表示手段によって表示することが望ましい。さらには、そのピークサーチによって求められたピーク位置を上記の3次元画像と共に指示することが望ましい。こうすれば、3次元画像におけるピーク波形のピーク位置を簡単且つ確実に認識でき、さらには、2つ以上の測定データにおけるピーク位置の比較を明確に識別できる。さらには、3次元画像における視点の位置を変化させることにより、2つ以上の測定データに関する3次元画像の見る角度を種々に変化させることにより、ピーク位置の比較をより一層正確に行うことができる。
次に、本発明に係るX線分析方法において、前記複数種類のX線測定データは、試料へのX線の入射角度ω、試料から出るX線の検出角度2θ、及び試料から出たX線の強度Iの組合せから成るものとすることができる。そしてこの場合、前記異なる測定条件とは、
(1)前記入射角度ωの範囲が異なるか、
(2)前記X線検出角度2θの範囲が異なるか、
(3)前記X線入射角度ω及び前記X線検出角度2θの両方が異なるか、又は
(4)前記X線入射角度ω及び前記X線検出角度2θを走査移動させる際のステップ間隔が異なるか
いずれかの条件とすることができる。
この分析方法は、逆格子マップ測定を行うのに適した方法である。
次に、本発明に係るX線分析方法において、前記複数種類のX線測定データは、試料へのX線の入射角度ω、試料から出るX線の検出角度2θ、試料の方位を決める2つの方位角度の1つである試料のあおり軸周りの角度χ、試料の方位を決める2つの方位角度の他の1つである試料の面内回転軸周りの角度φ、及び試料から出たX線の強度Iの組合せから成るものとすることができる。そしてこの場合、前記異なる測定条件とは、
(1)前記入射角度ωの範囲が異なるか、
(2)前記X線検出角度2θの範囲が異なるか、
(3)前記X線入射角度ω及び前記X線検出角度2θの両方が異なるか、
(4)前記X線入射角度ω及び前記X線検出角度2θを走査移動させる際のステップ間隔が異なるか、又は
(5)前記あおり軸周りの角度χ又は前記面内回転軸周りの角度φが異なるか、
のいずれかの条件とすることができる。
この分析方法は、逆格子マップ測定を行うのに適した方法である。
次に、本発明に係るX線分析方法において、前記複数種類のX線測定データは、試料から出るX線の検出角度2θ、試料の方位を決める2つの方位角度の1つである試料のあおり軸周りの角度χ、試料の方位を決める2つの方位角度の他の1つである試料の面内回転軸周りの角度φ、及び試料から出たX線の強度Iの組合せから成るものとすることができる。そしてこの場合、前記異なる測定条件とは、
(1)前記あおり軸周りの角度χの範囲が異なるか、
(2)前記面内回転軸周りの角度φが異なるか、
(3)前記あおり軸周りの角度χ及び前記面内回転軸周りの角度φの両方が異なるか、
(4)前記あおり軸周りの角度χ及び前記面内回転軸周りの角度φを走査移動させる際のステップ間隔が異なるか、又は
(5)前記X線検出角度2θの範囲が異なるか
いずれかの条件とすることができる。
この分析方法は、極点測定を行うのに適した方法である。
次に、本発明に係るX線分析方法において、前記複数種類のX線測定データは、基板上に薄膜を成膜して成る試料に関して、当該基板に関して得られた測定データと、当該薄膜に関して得られた測定データとの2種類であることが望ましい。この測定は、基板上に薄膜が形成されて成る1つの試料に対して異なる測定条件で2つの測定データを得ることを目的とする測定である。
この種の測定として広く知られているものに、逆格子マップ測定や極点測定等がある。逆格子マップ測定とは、試料の回転角度であるω角度及び試料から出るX線を検出する角度である2θ角度を互いに関連させて走査移動させ、その走査移動の際に2次元的なX線強度データ分布を測定するものである。この手法によって得られたX線強度データの分布図形を表示することにより、試料方位に対する格子面間隔の変化を解析できる。また、得られたデータを逆格子空間座標へ変化し、ピークサーチを行い、異なる方向への射影成分を算出することにより、それぞれの方向での格子定数の成分を比較することができる。
また、極点測定とは、一般的には、検出器位置である2θを固定し、試料のみを面内回転(φ軸)及びあおり回転(χ軸)させて2次元的なX線強度データの分布を測定するものである。この手法によって得られたX線強度データの分布図形を表示することにより、所定の結晶格子面の分布形態が解析できる。
また、極点測定の中には、特殊なゴニオメータを用いて測定を行う場合もある。この場合には、試料回転はω軸及び面内回転のφ軸の2軸操作によって行う。また、検出器位置は2θとχの2軸操作によって行う。制御自体は上記の一般的な手法によって行って信号を出力し、その出力データを2次元的なX線強度の分布図形として表示する。
次に、本発明に係るX線分析装置は、(A)試料にX線を照射すると共に該試料から出たX線をX線検出手段によって検出するX線測定装置と、前記X線測定装置によって異なる測定条件の下で得られた複数の測定データを記憶するデータ記憶手段と、画像を表示する表示手段と、異なる測定条件の下で得られた複数の測定データに基づいて新たな情報を生成するデータ解析手段と、前記表示手段に立体画像を表示するための3次元画像データを生成する画像データ生成手段とを有し、前記データ解析手段の解析結果を前記画像データ生成手段によって前記立体画像上に表示し、前記画像データ生成手段は、前記異なる測定条件の下で得られた複数の測定データ及び前記データ解析手段によって生成された新たな情報の個々に対応した、共通の立体画像座標上における3次元画像データを生成し、
(B)前記複数の測定データは、試料へのX線の入射角度ω、試料から出るX線の検出角度2θ、及び試料から出たX線の強度Iの組合せから成り、
前記異なる測定条件とは、
(1)前記入射角度ωの範囲が異なるか、
(2)前記X線検出角度2θの範囲が異なるか、
(3)前記X線入射角度ω及び前記X線検出角度2θの両方が異なるか、若しくは、
(4)前記X線入射角度ω及び前記X線検出角度2θを走査移動させる際のステップ間隔が異なるか、のいずれかのデータであるか、
(C)前記複数の測定データは、試料へのX線の入射角度ω、試料から出るX線の検出角度2θ、試料の方位を決める2つの方位角度の1つである試料のあおり軸周りの角度χ、試料の方位を決める2つの方位角度の他の1つである試料の面内回転軸周りの角度φ、及び試料から出たX線の強度Iの組合せから成り、
前記異なる測定条件とは、
(1)前記入射角度ωの範囲が異なるか、
(2)前記X線検出角度2θの範囲が異なるか、
(3)前記X線入射角度ω及び前記X線検出角度2θの両方が異なるか、
(4)前記X線入射角度ω及び前記X線検出角度2θを走査移動させる際のステップ間隔が異なるか、若しくは
(5)前記あおり軸周りの角度χ又は前記面内回転軸周りの角度φが異なるか、
のいずれかのデータであるか、又は
(D)前記複数の測定データは、試料から出るX線の検出角度2θ、試料の方位を決める2つの方位角度の1つである試料のあおり軸周りの角度χ、試料の方位を決める2つの方位角度の他の1つである試料の面内回転軸周りの角度φ、及び試料から出たX線の強度Iの組合せから成り、
前記異なる測定条件とは、
(1)前記あおり軸周りの角度χの範囲が異なるか、
(2)前記面内回転軸周りの角度φが異なるか、
(3)前記あおり軸周りの角度χ及び前記面内回転軸周りの角度φの両方が異なるか、
(4)前記あおり軸周りの角度χ及び前記面内回転軸周りの角度φを走査移動させる際のステップ間隔が異なるか、若しくは、
(5)前記X線検出角度2θの範囲が異なるか、
のいずれかのデータである
ことを特徴とする。

本発明に係るX線分析装置によれば、2つ以上の測定データが1つの共通の立体座標上のデータとして生成されるので、それらの測定データ間で共通のデータ処理、例えば平滑化処理、バックグラウンド除去処理等を行うことができる。それ故、それらの測定データを比較して行う分析の信頼性が向上する。
また、2つ以上の測定データが1つの共通の立体座標上のデータとして生成されるので、それらの測定データ間で共通のデータ解析、例えばピークサーチを行うことができる。それ故、解析された2つ以上の測定データの比較の信頼性が向上する。
さらに、3次元画像においては、複数のプロファイルを視点を種々の位置に変えて3次元的に表示できるので、各プロファイル間でのピークの比較を正確に行うことができる。しかも、表示されるプロファイルについてはピークサーチ等といった解析処理が行われているので、データの信頼性も非常に高い。
次に、本発明に係るX線分析装置において、前記データ解析手段は、ピークサーチ処理及び/又は座標変換処理を行うことが望ましい。ピークサーチ処理及び座標変換処理を行った後の測定データを立体画像として表示すれば、信頼性の高いデータを見易い形で表示できる。
なお、ピークサーチ処理の演算結果は画像表示装置、プリンタ等といった表示手段によって表示することが望ましい。また、その場合には、ピークサーチ処理によって求められたピーク位置を測定結果である3次元画像又は2次元画像と共に表示することが望ましい。こうすれば、3次元画像又は2次元画像におけるピーク波形のピーク位置を簡単且つ確実に認識でき、さらには、2つ以上の測定データにおけるピーク位置の比較を明確に識別できる。さらには、3次元画像における視点の位置を変化させることにより、2つ以上の測定データに関する3次元画像の見る角度を種々に変化させることにより、ピーク位置の比較をより一層正確に行うことができる。
本発明に係るX線分析方法及びX線分析装置によれば、2つ以上の測定データが1つの共通の立体座標上のデータとして生成されるので、それらの測定データ間で共通のデータ処理、例えば平滑化処理、バックグラウンド除去処理等を行うことができる。それ故、それらの測定データを比較して行う分析の信頼性が向上する。
また、2つ以上の測定データが1つの共通の立体座標上のデータとして生成されるので、それらの測定データ間で共通のデータ解析、例えばピークサーチ処理、座標変換処理、を行うことができる。それ故、解析された2つ以上の測定データの比較の信頼性が向上する。
さらに、ピークサーチ処理等といったデータ解析処理が成された後のデータに基づいて3次元画像データが生成されて3次元画像が表示されるので、オペレータが測定結果を判断する上で非常に判断し易い表示を行うことができる。例えば、3次元画像においては、複数のプロファイルを視点を種々の位置に変えて3次元的に表示できるので、各プロファイル間でのピークの比較を正確に行うことができる。しかも、表示されるプロファイルについてはピークサーチ等といった解析処理が行われているので、データの信頼性も非常に高い。
以下、本発明を実施形態に基づいて説明するが、まず、その実施形態の前提となる基本概念について簡単に説明する。
結晶とは、原子から成る固体であって、その原子が3次元空間で周期的に同じ様式を繰り返すような配列をとっている固体である。また、結晶格子とは、結晶を構成する複数の原子の配列によって形成される枠組みである。この結晶格子内の点が格子点である。全ての格子点は、互いに平行で等間隔な平面群の上に載せることができ、このような平面は格子面と呼ばれる。結晶内において複数の格子面は互いに平行に並び、結晶に入射するX線の波長と複数の格子面の間隔との間で、いわゆるブッラグの回折条件が満足されると、各格子面で散乱したX線が強め合って、特定の角度方向に強度の強いX線が出る。この強度の強いX線が回折X線である。以上のように、回折現象を考える上で結晶格子の概念は重要である。
ところで、X線の回折現象を考える上で、上記のような結晶格子に基づく場合とは別に、いわゆる逆格子の概念に基づく場合がある。この逆格子は、結晶格子を決定する3つの基本ベクトルに対して一定の関係を持つ逆格子基本ベクトルによって特定される格子である。この逆格子によって特定される空間は、一般に、逆格子空間と呼ばれている。この逆格子空間の考えに基づいて行われる測定として、逆格子マップ測定及び極点測定がある。
今、図10(a)及び図10(b)に示すように、試料内部に仮想の逆格子空間Reを考えるとする。ここで、符号「Y」は試料表面法線を示している。上記の逆格子マップ測定は、図10(a)に示す断面SeにおけるX線強度情報を測定するものであると考えられる。ここで、断面Seは、逆格子空間ReのY軸線周りの角度、すなわち試料に関する面内回転角度が一定であって、X線入射角度ω及びX線検出角度2θをスキャン、すなわち走査移動させたときに得られる断面である。一方、上記の極点測定は、図10(b)に示す曲面Su上におけるX線強度情報を測定するものであると考えられる。ここで、曲面Suは、逆格子空間ReのX線入射角度ω及びX線検出角度2θが一定であって、試料をY軸線周りに面内回転させたときに得られる曲面である。
(第1実施形態)
以下、本発明に係るX線分析方法及びX線分析装置を、逆格子マップ測定に適用する場合を例に挙げて説明する。より具体的には、Si(シリコン)基板上にエピ成長したGaAs(ガリウムヒ素)薄膜のエピタキシーを逆格子マップ測定を用いて評価する場合を例示する。さらに具体的には、X線を試料に低角度で入射させたときに十分な強度が得られる反射を探し、224反射の逆格子マップ測定を行う場合を例示する。ここで、X線を低角度で試料へ入射させるころにより、薄膜から信号を有効に取り出すことができる。なお、本発明がその実施形態に限定されるものでないことは、もちろんである。
図1は、逆格子マップ測定を行うための本発明に係るX線分析装置の主要部分を構成するX線測定装置1を示している。本実施形態では、このX線測定装置1は平行ビーム光学系を用いて構成されている。また、図2は、本発明に係るX線分析装置の全体的な構成をブロック図によって示している。
図1において、X線測定装置1は、試料SのX線入射側に、X線発生装置4と、多層膜ミラー6と、平行ビーム形成装置7とを有する。また、試料SのX線出射側に、ビーム調整装置8と、X線カウンタ9とを有する。X線発生装置4は、陰極すなわちフィラメント2及びそれに対向する回転対陰極すなわち回転ターゲット3を有する。回転ターゲット3は中心軸線X0を中心とする円筒形状に形成され、その軸線X0を中心として矢印Aのように回転すると共にその内部に冷却水が流される。この回転及び通水によりターゲット3の外周面すなわち電子衝突面すなわちX線出射面が冷却される。
回転ターゲット3に対向するフィラメント2は通電により発熱して熱電子を放出する。フィラメント2とターゲット3との間には高電圧、いわゆる管電圧が印加され、フィラメント2から放出された熱電子はこの管電圧によって加速されてターゲット3の周面に衝突する。こうして電子が衝突する領域がX線焦点である。このX線焦点に衝突した電子が持つエネルギの一部がX線に変換され、そのX線がX線焦点から外部へ出射する。つまり、このX線焦点がX線源として機能する。こうして発生したX線はターゲット3の材質、例えばCu(銅)に対応した波長を有する。
X線焦点が形成される部分のターゲット表面は電子の衝突によって高温に加熱されるが、このターゲットは矢印A方向への回転及びその内部への通水によって冷却されるので、ターゲットとしての性質が維持される。ターゲット3を冷却しながらX線を発生させることにより、高い電圧の管電圧を印加することが可能になり、それ故、X線発生装置4から強度の高いX線を発生することができる。
X線発生装置4で発生して発散するX線は多層膜ミラー6に当たる。この多層膜ミラー6は、基板上に複数の薄膜を積層することによって形成され、最上層の薄膜の表面及び各薄膜間の界面で反射したX線が狭い領域に集束する。これにより、強度の高いX線を形成できる。
多層膜ミラー6の下流側に配置された平行ビーム形成装置7は、互いに間隔をおいて並べられた2枚のスリット11a及び11bによって形成されている。これらのスリット11a及び11bにより、断面径の小さい平行なX線ビームが形成され、この平行ビームが試料Sに角度ωの入射角度で入射する。この入射角度ωは、通常、10°以下の低角度である。試料Sは、Si基板S0上にGaAs薄膜S1が形成されたものである。本実施形態のX線分析方法を用いれば、例えば、基板S0上に形成した薄膜S1が当初の材質からどのように変化しているかを観察したり、薄膜S1の方位が揃っているか揃っていないかを観察したりすることができる。
試料Sに入射したX線は、薄膜試料S1の格子面及び基板S0の格子面により回折現象を起こす。結晶質の物質であれば、X線の入射角度、試料面内方位、検出器位置の全てによって決定される幾何学条件が回折条件を満たす場合にのみ、検出器から回折信号が出力される。試料Sの下流側に配設されたビーム調整装置8は、2つの受光スリット12a及び12bを有する。これらのスリット12a,12bの働きにより、試料Sから出たX線がX線カウンタ9に正確に取り込まれる。また、下流側のスリット12bは散乱線がX線カウンタ9に入ることを防止する。X線カウンタ9は、X線を点状に検出することができる検出器、いわゆる0次元X線検出器によって構成される。このようなX線検出器としては、例えば、シンチレーションカウンタを用いることができる。X線カウンタ9は、X線を受け入れたときに、受け入れたX線の量に対応する信号Sを出力し、その出力信号Sは図2において制御装置14に送られる。
図1において、試料Sは図示しない試料台によって支持される。この試料台にはω回転装置13が接続される。ω回転装置13が作動すると試料台が回転し、それに支持された試料Sがω軸線を中心として矢印Bのように回転する。ω軸線は、試料Sの表面に沿って図1の紙面垂直方向に延びる軸線である。この試料Sの回転により、試料Sに対するX線の入射角度ωが変化する。ω回転装置13は、例えば、回転角度を制御できる構造のモータを駆動源として含んで構成される。モータとしてパルスモータを用いれば、そのパルスモータに供給するパルス信号に基づいてX線入射角度ωを検知できる。また、モータとしてサーボモータを用い、このモータの出力軸にエンコーダを付設し、このエンコーダの出力パルス信号に基づいてX線入射角度ωを検知することもできる。ω回転装置13は検知した入射角度ωに対応する信号Sωを出力する。この入射角度信号Sωは、図2において、制御装置14に送られる。
図1において、X線カウンタ9は図示しない支持台によって支持される。この支持台には2θ回転装置16が接続される。2θ回転装置16が作動すると支持台がω軸線を中心として矢印Cのように回転する。この回転により、X線光軸に対するX線カウンタ9の角度2θが変化する。2θ回転装置16は、例えば、回転角度を制御できる構造のモータを駆動源として含んで構成される。モータとしてパルスモータを用いれば、そのパルスモータに供給するパルス信号に基づいて検出角度2θを検知できる。また、モータとしてサーボモータを用い、このモータの出力軸にエンコーダを付設し、このエンコーダの出力パルス信号に基づいて検出角度2θを検知することもできる。2θ回転装置16は検知した検出角度2θに対応する信号S2θを出力する。この検出角度信号S2θは、図2において、制御装置14に送られる。
図2において、制御装置14はコンピュータを用いて構成されている。具体的には、CPU(Central Processing Unit)17と、RAM(Random Access Memory)18と、ROM(Read Only Memory)19と、外部記憶装置としてのハードディスク21と、それらの機器を結ぶバス22とを有する。バス22には、データ処理部23、データ解析部24、及び画像データ生成部26が接続される。また、画像データ生成部26には、ビデオメモリ27、D/Aコンバータ28、そして表示手段としての画像表示装置29が順次に接続される。この画像表示装置は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等といったフラットパネルディスプレイによって構成される。また、バス22には、表示手段としてのプリンタ31及び入力装置としてのキーボード32が接続される。
ハードディスク21の内部には、X線分析を行うためのプログラムソフトが格納され、さらに、図1のX線測定装置1によって求められた複数種類の測定データを記憶するための複数のデータファイルが設けられる。図2では、2種類のデータを記憶するための2つのファイル、すなわち第1ファイル33aと第2ファイル33bとが示されている。
データ処理部23は、X線測定装置1によって求められたデータ、すなわち試料Sへ入射するX線の入射角ω、試料Sから出射するX線の出射角度2θ、及び個々の出射角度2θにおいて試料Sから出射するX線の強度Iの各データに対して、解析をし易くするための処理、例えば、平滑化処理、バックグラウンド除去処理等を行う。このデータ処理部23は、単独の回路として構成することもできるし、あるいは、ハードディスク21内のプログラムの中にソフト的に組み込むこともできる。
データ解析部24は、X線測定装置1によって求められた上記のデータを直接に又はデータ処理部23を介して取り込んで、希望の解析を行う。ここで言う解析とは、測定されたデータに基づいて新たな情報を作成する処理のことを言う。このような解析処理としては、例えば、求められた測定データをグラフとして表示したときに得られるピーク波形のピーク値を求める処理、いわゆるピークサーチが考えられる。また、測定されたデータに対して座標変換を行う処理が考えられる。このデータ解析部24は、単独の回路として構成することもできるし、あるいは、ハードディスク21内のプログラムの中にソフト的に組み込むこともできる。
画像データ生成部26は、周知のように、3次元処理部及び2次元処理部を有し、X線測定装置1によって求められたX線入射角度ω、X線出射角度2θ、及びX線強度Iの各データを表示装置29の画面上に3次元的、2次元的、及び1次元的に表示するためのデータ処理を行う。この画像データ生成部26も、単独の回路として構成することもできるし、あるいは、ハードディスク21内のプログラムの中にソフト的に組み込むこともできる。
ビデオメモリ27は、例えば、R,G,Bのそれぞれに関する1フレーム分の複数の画素の色データを格納するためのメモリである。また、D/Aコンバータ28は、ビデオメモリ27に格納された各画素に対応するデジタル色信号を表示装置29の駆動に適したアナログ信号に変換する。
画像データ生成部26は、入力されたω、2θ、Iの各データに基づいて、例えば、次のような処理を行う。
(a)3次元座標空間内における3次元モデル(すなわち3次元物体、すなわち3次元オブジェクト)の形状をポリゴンを単位とするポリゴンメッシュによって演算によって定義する。具体的には、3次元モデルの頂点の座標、境界線、及び面を表現する方程式のパラメータ等を定義する。
(b)以上で求められた3次元モデルデータは仮想的に設定された原点を基準とする絶対座標であるが、これを、与えられたある視点位置を基準としたスクリーン空間上の座標値に置き換える。スクリーン空間というのは2次元空間のことであり、このステップにおいて、3次元画像データが2次元画像データに変換される。
(c)以上で求められた2次元化されたポリゴンにより、R,G,Bのビデオ信号を生成する。このとき、見えない部分を表示しない処理(すなわち、陰面処理)等が行われる。
以下、上記構成より成るX線分析装置の動作について説明する。
図1のX線測定装置1は、基板S0に着目した測定と、薄膜S1に着目した測定との2種類の測定を、レゾリューションすなわち分解能を変えて測定する。具体的には、基板S0に関する測定では分解能の高い細かいステップ、例えば角度1/100度で検出角度2θを変化させ、それに対応してX線入射角度ωを変化させながら測定を行う。一方、薄膜S1に関する測定では分解能の低い粗いステップ、例えば角度1度で検出角度2θを変化させ、それに対応してX線入射角度ωを変化させながら測定を行う。
また、X線入射角度ω及びX線検出角度2θの全領域に関してスキャンを行うのでなく、基板S0に対してはピーク波形が出ると思われる第1の領域(ω,2θ〜ω,2θ)の範囲で測定を行う。そして、薄膜S1に対してはピーク波形が出ると思われる第2の領域(ω,2θ〜ω,2θ)の範囲で測定を行う。以上のように、基板S0に対する測定と薄膜S1に対する測定は、それぞれ、異なる測定条件の下に行われ、そして、図2において、それぞれ、異なるファイル33a,33bに別々に記憶される。ω及び2θのスキャンを全領域にわたってするのではなく、上記のように、必要と思われる領域を選択して行うようにすれば、非常に短時間で測定を完了できる。
なお、分解能の設定にあたって、ステップ角度によって分解能を調節することに代えて、光学系の組み替えによって分解能を測定対象の変化に対応させることもできる。具体的には、薄膜S1に対しては分解能の低い光学系、例えばスリットを含んだ光学系を用い、基板S0に対しては分解能の高い光学系、例えば結晶モノクロメータ等といった光学素子を含んだ光学系を用いる。
基板S0に関する分解能の高い測定が行われると、X線入射角度データω、X線出射角度データ2θ、及びX線カウンタ9によって検出されたX線強度データIが求められる。そして、これらのデータは第1の測定結果として図2のハードディスク21内の第1ファイル内に記憶される。また、薄膜S1に関する分解能の低い測定が行われると、得られたω、2θ、Iの各データがハードディスク21内の第2ファイル内に記憶される。こうして、異なる測定条件の下に得られた複数種類の測定データが異なるファイルに格納される。
CPU17は、異なる測定条件の下に得られた2種類のデータである第1ファイル内のω、2θ、Iの各データ及び第2ファイル内のω、2θ、Iの各データをプログラムに従って画像データ生成部26へ送る。画像データ生成部26は、ω、2θ、Iの各データを基にして3次元画像処理、2次元画像処理、及び1次元画像処理を行い、得られた画像情報をビデオメモリ27、D/Aコンバータ28を通して表示装置29の画面に表示する。
図3は、そのようにして1つの画面34上に表示される表示内容の一例を示している。この画面表示において、符号Dは3次元画像であり、符号Eは2次元画像であり、符号Fは1次元画像である。3次元画像Dでは、ω軸、2θ軸、I軸の3軸が2次元平面内で立体的に表示され、その3軸座標上に、図2の第1ファイル33a内のω、2θ、Iデータがプロットされて第1プロファイルP1が立体的に表示され、さらに、第2ファイル33b内のω、2θ、Iデータがプロットされて第2プロファイルP2が立体的に表示される。
各プロファイルは、その表面がX線強度Iの強さに対応した色で表示されるようになっており、本実施形態では、強度が強い方から弱い方へ変化するのに従って、表示色が「赤色」→「黄色」→「緑色」→「青色」のように連続して変化する。各色の中間部分は各色を混ぜ合わせた色で表示される。なお、第1プロファイルP1及び第2プロファイルP2は、図2の画像データ生成部26によってそれぞれが独自に3次元画像処理されたものであり、視点位置を変化させれば、それぞれが独自にその視点位置から見た状態の3次元像として表示される。従って、例えば、矢印H方向から第1プロファイルP1及び第2プロファイルP2を見た状態を3次元像として表示すれば、図4に示すように、第1プロファイルP1の裏側に第2プロファイルP2が隠れた状態が表示される。この場合、第1プロファイルP1と第2プロファイルP2とが重なる部分は、手前側に存在する第1プロファイルP1が優先して表示され、奥側に存在する第2プロファイルP2は消去される。
このように、2つの異なる測定条件下で求められた2つの測定データを共通の3次元座標内で3次元表示、すなわち立体表示させれば、2つの測定データを個別に表示させて観察する場合に比べて、簡単且つ正確に測定データの比較を行うことができる。具体的には、色表示の違いからX線強度Iの違いを視覚的に判別できる。また、2θの違いから格子定数の違いを判別できる。また、ωの違いから結晶方位の違いを判別できる。
次に、図3の画面34内の2次元画像Eでは、3次元画像Dにおける3次元座標から選択されたω−2θの2次元座標上に第1プロファイルP1及び第2プロファイルP2が表示される。この場合、各プロファイルは平面的なX線強度情報も含んでおり、X線強度の強さが強い方から弱い方へ変化するのに従って、表示色が「赤色」→「黄色」→「緑色」→「青色」のように連続して変化する。
この時、各プロファイルの測定領域に重なりがある場合には、上位になるデータを半透明で表示させることが望ましい。こうすれば、上位になるデータを視覚的に観察できることはもとより、下位にあるデータも視覚的に同時に観察できることになる。
次に、1次元画像Fでは、3次元画像DにおけるI−2θの2次元座標上に線Gによって第1プロファイルP1が表示されている。もちろん、第2プロファイルP2を表示させることもできるし、P1及びP2の両方を同時に表示させることもできる。
以上のように、本実施形態によれば、図2の第1ファイル33a内のデータと第2ファイル33b内のデータとをそれぞれ別々に画像データ生成部26によって3次元表示処理して、図3の画面34内の1つの共通の3次元座標上に立体表示するようにしたので、それぞれの測定データを簡単且つ正確に観察できる。また、2次元画像E内に表示される2次元表示及び1次元画像F内に表示される1次元表示を併せて観察することにより、より一層正確な観察を行うことができる。
なお、上記説明では2次元画像E内に、ω−2θの2次元座標をとったが、これに代えて又はこれに加えてI−2θの2次元座標をとることもできる。また、上記説明では1次元画像F内に、I−2θの2次元座標をとったが、これに変えて又はこれに加えて、ω−2θの2次元座標や、ω−Iの2次元座標をとることもできる。
以上の説明は、図2の第1ファイル33a及び第2ファイル33b内に記憶された2種類の測定データを加工することなく直接に表示して観察する場合の説明である。これ以外に、本実施形態では、図2のデータ処理部23及びデータ解析部24を用いて、さらに有用な表示を行うことができる。以下、これについて説明する。
図5(a)及び図5(b)は、データ処理を行う前の測定データに関する表示である。また、図5(a)及び図5(b)は、図3における2次元画像Eと同じ2次元表示であって、(a)はI−2θ座標上の表示を示し、(b)はω−2θ座標上の表示を示している。図示の通り、データ処理を行う前の測定データをそのまま表示すると、2次元表示、すなわち平面表示の表示面が非常に粗い状態で表示される。このままでは、表示も見難いし、ピークサーチも行い難い。
図2のデータ処理部23は、第1ファイル33a及び第2ファイル33b内に記憶された測定データに対してデータ処理を行う。データ処理とは、求められた測定データから何等かの新しい情報を作り出すのではなく、単にその測定データに対して何等かの加工を加えるだけの処理である。このようなデータ処理として、例えば、平滑化処理を行うことができる。この平滑化処理とは、図5に示した粗い測定データの表面状態を滑らかにして見易くするための処理である。この処理を施した後に画像データ生成部26で3次元データ処理及び2次元データ処理を行えば、図6(a)及び図6(b)に示すように、表面が滑らかになったプロファイル表示が得られる。
なお、平滑化処理は、例えば、ガウス関数と測定強度データを畳み込み積分によって合成することによって行うことができる。すなわち、
測定強度データをI(ω、2θ)とし、ガウス関数を
G(ω,2θ)=exp(−(ω/W−(2θ/W)/πW
とすると、平滑化処理後のデータI’(ω,2θ)は、
I’(ω,2θ)=Σω’Σ2θ’G(ω―ω’,2θ―2θ’)I(ω’,2θ’)
によって得られる。ここで、W,Wは平滑化の程度を表わす量で、これらの値が大きいほど、より滑らかになる。オペレータは、これらの量を変更して望みの平滑化データを得る。
また、データ処理部23は、第1ファイル33a及び第2ファイル33b内に記憶された測定データ又は平滑化処理を受けた後のデータに対して、データ処理としてのバックグラウンド除去処理を行うことができる。このバックグラウンド除去処理とは、図5に示した粗い測定データ又は図6に示した平滑化処理後のデータに関して、一定のレベル以下の情報を除去することにより、必要なデータだけを見易く表示するための処理である。この処理を行えば、図7(a)及び図7(b)に示すように、X線強度Iが所定値以下の部分が消去され、第1プロファイルP1及び第2プロファイルP2が見易くなる。
なお、バックグラウンド処理は、例えば、ピーク以外の領域の強度を見積もってそれをデータから除去する処理である。具体的には、まず、バックグラウンド関数B(ω,2θ)を多項式関数として設定し、データとのフィッティングによってその多項式関数を決定する。そして、測定されたデータからこの関数値を差し引く。なお、フィッティングの際には、ピークに属するデータを認識し、それを使用しないことが望ましい。一般に、ピークはバックグラウンドから突出したデータであるので、バックグラウンド関数よりも著しく大きいものはピークであると認識できる。
次に、図2のデータ解析部24は、第1ファイル33a及び第2ファイル33b内に記憶された測定データに対して、又は、データ処理部23によって平滑化処理、バックグラウンド除去処理等といったデータ処理を受けた後のデータに対して解析処理としてのピークサーチ処理を行う。このピークサーチ処理とは、X線測定図形に現れるピーク波形の先端、すなわちピークの位置を演算によって求める処理である。この演算処理は、図5に示した測定データそのものに対して行うこともできるが、図7に示したようなデータ処理の終了後のデータに対して行う方が信頼性が向上する。
なお、ピークサーチ処理にあたっては、例えば、次のような処理を行う。すなわち、ピークは周りの点よりも大きい点なので、そのような点をまず検出し、それが有意に大きい場合にはそれをピークとする。大きさが有意であるとは、ピークの積分強度Iがその誤差σ(I)よりも十分に大きいことである。
このようなピークサーチ処理を行った後のデータに対して図2の画像データ生成部26によって1次元、2次元、及び3次元の各画像データを生成し、これらの画像データに基づいて画像表示装置29の画面上に図3に示すような1次元画像F、2次元画像E、及び3次元画像Hを表示する。このときに表示される各画像はピークサーチ処理を施された後の画像データに基づいているので、各画像F,E,Hにおけるピーク位置の精度は非常に高く、また明確に表示できる。なお、ピーク位置を明確に示すために、ピーク位置をドット表示するようにプログラムを構成することもできる。ここで、ドット表示とは、点状に表示することであり、具体的には「×」印、「+」印、「○」印、「レ」印、その他、点の位置を指示できる任意の表示とすることができる。
図8は、図2のデータ処理部23による平滑化処理又はバックグラウンド除去処理の終了後のデータに対して、データ解析部24によってピークサーチ処理を実行し、さらに演算によって求められたピーク位置を1次元画像であるX線測定図形の上に「+」印で表示した状態を示している。また、図9は、演算によって求めたピーク位置の座標を表形式で表示装置29の画面上に表示した状態を示している。図8のようにX線測定図形とピーク位置マークとの両方を同時に表示すれば、判断が非常に容易になる。また、図9の表を同時に参照すれば、非常に正確な判断を行うことができる。なお、図8のような「+」印のピーク位置表示は、図3の2次元画像E及び3次元画像Hに表示することもできる。
複数の測定データが互いに重なる領域を持つ場合であって、それらの測定データについてピークサーチ処理を行ったときには、図9に示す表はそれぞれのデータに対応して複数、表示される。画面上の「+」印に対してこの表を参照すれば、重なっている領域について、どちらのデータのピーク位置であるか判断できるようになる。
次に、図2のデータ解析部24は、必要に応じて、座標変換処理を行う。以下、その座標変換処理について説明する。記述の通り、逆格子マップ測定は、図10(a)に示すように、逆格子空間ReのY軸線周りの角度、すなわち試料に関する面内回転角度が一定である断面SeにおけるX線強度情報を測定するものである。この測定面Seに関して図11において符号A0で示す領域に対して測定を行うものとすれば、その領域は図1において、X線入射角度ω及びX線検出角度2θを所定の範囲に設定することによって決められる。
そして、そのような測定によって、例えば図3における2次元画像Eが得られて解析に供される。今日の逆格子マップにおける解析に関しては、そのような解析処理に留まらず、図11において(ω,2θ)によって特定された測定領域A0を、横軸Q及び縦軸Qによって規定される座標系、すなわち逆格子座標系へ座標変換して、さらに解析を行うことが行われている。
図2のデータ解析部24はそのような座標変換処理を行うことができる。そして、その座標変換が行われると、図3の2次元画像Eは、図12に示すような表示へと変換される。この表示においては、例えば、ピーク波形P1とピーク波形P2のピーク位置が縦線L0に乗るか、あるいは、縦線から外れるかが測定結果として大きな意味を持っている。
以上のように,本実施形態によれば、図3のプロファイルP1とプロファイルP2とを求めるための異なる測定条件下での測定をそれぞれ別々に行い。それらのデータを最終的に1つの画面上でつなぎ合わせて、1次元座標、2次元座標、又は3次元座標等といった1つの座標系上に表示した。この結果、2つ以上のデータを1つの座標系上で比較できるので、分析の信頼性を向上させることができる。
また、測定条件の全てにわたって測定を行うのではなく、必要な領域だけの測定を行って、得られた結果を画像処理によってつないで1つの画面上に表示するようにしたので、測定時間を非常に短くすることができる。
また、3次元画像すなわち立体画像によって表示される測定結果は解析処理、例えば、ピークサーチ、座標変換等が行われた後のものであるので、測定結果はオペレータにとって非常に見易いものとなっている。
(変形例)
以上の実施形態では、Si基板S上にGaAs薄膜Sをエピ成長させて成る物質を試料Sとした。しかしながら、試料はこの種類のものに限定されるものではなく、他の種類の物質を試料Sとすることができる。例えば、Si基板単体、薄膜S1単体、その他、構造を知りたいと思う任意の物質の単体又は積層体等とすることができる。
また、試料Sは、同一種類の物質であってもその製造方条件が異なる複数の物質とすることもできる。例えば、Si基板S上にGaAs薄膜Sをエピ成長させて成る物質を試料Sとする場合、製造時の温度、製造時の圧力等が変化すると、物性の異なった物質が製造されることが考えられる。この場合には、そのような同一種類であっても物性の異なる複数の物質をそれぞれ試料Sとすることができる。
また、以上の実施形態では、分析中に試料が置かれる環境、すなわち雰囲気については一定の条件にあるものと考えた。しかしながら、分析中に試料の周りの環境が変化する場合には、それぞれの環境下において異なった測定データが得られる。この場合、環境の変化としては、例えば温度変化、ガス雰囲気の変化等が考えられる。
(第2実施形態)
図13は、本発明に係るX線分析方法の他の実施形態を実施するためのX線測定装置を示している。ここに示すX線測定装置41の多くの部分は図1に示したX線測定装置1と同じであるので、同じ構成要素は同じ符号を付すことにしてその説明は省略する。また、X線測定装置41によって試料Sに対して逆格子マップ測定を行うことも図1の実施形態の場合と同じである。また、X線測定装置41の動作を制御するための制御装置としては、図2に示した制御装置14を用いることができる。
以下、X線測定装置41において図1のX線測定装置1と異なる点について説明する。まず、試料Sに関してω軸線、χ(カイ)軸線、及びφ軸線を考える。ω軸線は、X線光軸に交わるように図13の紙面垂直方向へ延びる軸線である。χ軸線は、試料Sの表面を通ってω軸線に交わる軸線である。また、φ軸線は、ω軸線及びχ軸線の両方に交わる軸線である。試料Sは、該試料Sをφ軸線周りに回転させるφ軸回転系(図示せず)によって支持される。このφ軸回転系は、試料Sをχ軸線周りに回転させるχ軸回転系(図示せず)によって支持される。そして、χ軸回転系は、試料Sをω軸線周りに回転させるω軸回転系(図示せず)によって支持される。
X線測定装置41は、ω回転装置42、χ回転装置43、及びφ回転装置44を有する。ω回転装置42は、上記ω回転系を駆動することにより、試料Sをω軸線を中心として回転させる。これにより、試料Sに対するX線の入射角度ωを変化させる。また、χ回転装置43は、上記のχ回転系を駆動することにより、試料Sをχ軸線を中心として回転させる。このχ軸線周りの回転は、試料の方位を決める2つの方位角度のうちの1つである、試料のあおり軸周りの角度χを変化させるために行われるものである。さらに、φ回転装置44は、上記φ回転系を駆動することにより、試料Sをφ軸線を中心として回転させる。このφ軸線周りの回転は、試料の方位を決める2つの方位角度のうちの他の1つである、試料の面内回転軸周りの角度φを変化させるために行われるものである。
上記構成より成るX線測定装置41を用いてX線分析を行う場合には、試料Sに関するχ軸線周りのあおり角度χを変えるか、あるいは、試料Sに関するφ軸線周りの面内回転角度φを変えるかした上で、図1に関連して説明した(ω,2θ)の走査による逆格子マップ測定を行うことができる。これにより、試料Sを分析するに際して、さらに有効なデータを得ることができる。なお、図2において、X線測定装置41はX線入射角度信号Sω、X線検出角度信号S2θ及びX線強度信号Sに加えて、あおり角度χを示す信号及び面内回転角度φを示す信号を制御装置14へ送る。
(第3実施形態)
次に、本発明に係るX線分析方法及びX線分析装置を、極点測定に適用する場合を例に挙げて説明する。極点測定は、図10(b)に関して既に説明した通り、逆格子空間ReのX線入射角度ω及びX線検出角度2θが一定であって、試料をY軸線周りに面内回転させたときに得られる曲面Su上におけるX線強度情報を測定するものであると考えられる。
図14は、極点測定を行うための本発明に係るX線分析装置のX線測定装置51を示している。このX線測定装置51の動作を制御するための制御装置としては、図2に示した制御装置14を用いることができる。このX線測定装置51の機構自体は図13に示したX線測定装置41と同じであるので、同じ構成要素は同じ符号で示すことにしてそれらの機構自体の説明は省略する。なお、図2において、X線測定装置51は、X線入射角度信号Sω、X線検出角度信号S2θ及びX線強度信号Sに加えて、あおり角度χを示す信号及び面内回転角度φを示す信号を制御装置14へ送る。また、本実施形態で測定に供される試料Sは、図13に示したような基板に薄膜を積層して成る積層構造の試料ではなく、単体の物質である。本実施形態では、X線測定装置51によって試料S内の結晶の分布を測定するものとする。
本実施形態では、X線入射角度ω及びX線検出角度2θを一定に維持した上で、あおり角度χ及び面内回転角度φを変化させながら、X線カウンタ9によってX線強度を測定する。具体的には、(1)(χ=0°付近、φ=0°〜360°)、(2)(χ=30°付近、φ=0°〜360°)、そして(3)(χ=90°付近、φ=0°〜360°)の3つの異なった測定条件の下で3種類の測定を行う。
以上の測定の結果、例えば、図15に示すような表示がディスプレイの画面34上に得られる。図中、符号Fが1次元画像であり、符号Eが2次元画像であり、符号Dが3次元画像である。3次元画像Dにおいて、円周方向に設けられた座標がφ軸座標であり、半径方向に設けられた座標がχ軸座標であり、斜視図の高さ方向に設けられたのがI軸座標である。φ軸座標は図14における面内回転角度φをプロットする座標である。χ軸座標は図14におけるあおり角度χをプロットする座標である。そして、I軸座標は図14においてX線カウンタ9によって検出されるX線強度Iをプロットする座標である。
本実施形態では、(1)(χ=0°付近、φ=0°〜360°)、(2)(χ=30°付近、φ=0°〜360°)、そして(3)(χ=90°付近、φ=0°〜360°)の3つの異なった測定条件の下で3種類の測定が行われる。図15の3次元画像Dにおいて、最も外側のプロファイルP1は上記の測定条件(1)の下に得られた測定結果を示している。また、中間のプロファイルP2は上記の測定条件(2)の下に得られた測定結果を示している。また、中心部のプロファイルP3は上記の測定条件(3)の下に得られた測定結果を示している。
3次元画像Dにおいて、X線強度情報Iは色分け表示されている。具体的には、強度Iの低い位置から高い位置へ向けて「青」→「緑」→「黄」→「赤」の順に色分けされ、中間部は各色の混合色で示される。また、2次元画像Eは、3次元画像Dを上方から見た場合の平面画像に相当する。2次元画像Eにおいても、X線強度Iの違いは色分けによって表示される。例えば、強度Iの低い位置から高い位置へ向けて「青」→「緑」→「黄」→「赤」の順に色分けされ、中間部は各色の混合色で示される。また、1次元画像Fは、3次元画像Dを垂直断面で切った所のプロファイルに相当する。1次元画像Fにおいて、横軸はχ軸(あおり角度)であり、縦軸はI(X線強度)である。
本実施形態では、図14のω軸、χ軸、φ軸に関して全ての角度にわたって測定が行われるのでなく、測定は上記の(1)、(2)、(3)の3種類の範囲だけであり、それらの測定データを図2の画像データ生成部26によって1次元画像データ、2次元画像データ及び3次元画像データから成る1つの画像データとして組合せ、その1つの画像データを図15のように1つの画面34内に表示するようにした。このため、必要とする領域内のデータが不足無く求められ、しかも、ω、χ、φの全ての領域にわたって測定を行う場合に比べて、測定時間を著しく短縮できる。
以上のように、本実施形態によれば、図15のプロファイルP1、プロファイルP2、及びプロファイルP3を求めるための異なる測定条件下での測定をそれぞれ別々に行い、それらのデータを最終的に1つの画面上でつなぎ合わせて、1次元座標F、2次元座標E、又は3次元座標D等といったそれぞれ1つの座標系上に表示した。この結果、2つ以上のデータを1つの座標系上で比較できるので、分析の信頼性が向上する。
また、測定条件の全てにわたって測定を行うのではなく、必要な領域だけの測定を行って、得られた結果を画像処理によってつないで1つの画面上に表示するようにしたので、測定時間を非常に短くすることができる。
また、3次元画像Dすなわち立体画像によって表示される測定結果は解析処理、例えば、ピークサーチ、座標変換等が行われた後のものであるので、測定結果はオペレータにとって非常に見易いものとなっている。
(変形例)
以上の実施形態では、1種類の試料Sに対して極点測定を行った。しかしながら、2種類以上の試料に対して極点測定を行って測定データを求め、それら複数種類の測定データを1つの画面内にまとめて表示することもできる。
また、試料Sは、同一種類の物質であってもその製造方条件が異なる複数の物質とすることもできる。例えば、1種類の物質を試料Sとする場合、その物質の製造時の温度、製造時の圧力等が変化すると、物性の異なった物質が製造されることが考えられる。この場合には、そのような同一種類であっても物性の異なる複数の物質をそれぞれ試料Sとすることができる。
また、以上の実施形態では、分析中に試料が置かれる環境、すなわち雰囲気については一定の条件にあるものと考えた。しかしながら、分析中に試料の周りの環境が変化する場合には、それぞれの環境下において異なった測定データが得られる。この場合、環境の変化としては、例えば温度変化、ガス雰囲気の変化等が考えられる。
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、以上の各実施形態では平行ビーム法を用いた測定に対して本発明を適用したが、本発明は、集中法を用いたX線測定に対しても適用できる。
また、図3の実施形態では、1つの試料に対して測定条件を変えて2種類のデータを求めた。また、図15の実施形態では、1つの試料に対して測定条件を変えて3種類のデータを求めた。そしてさらに、それらのデータに対してデータ処理及びデータ解析を行った。しかしながら、測定するデータは4種類以上であっても良い。また、1つの試料ではなく2つ以上の試料から2種類以上のデータを求める場合に本発明を適用することもできる。
本発明に係るX線分析方法及びX線分析装置は、物質を非破壊で分析する場合に好適に用いられる。また、1つ又は複数の物質から求めた複数種類のデータを比較する必要がある場合に好適に用いられる。
本発明に係るX線分析装置で用いられるX線測定装置の一例を示す図である。 本発明に係るX線分析装置の一実施形態を示すブロック図である。 図2の装置で用いられる表示装置の画面上に表示される画像の一例を示す図である。 図3で示した表示の一部分の変形例を示す図である。 図3で示した表示の一部分を示す図であって、測定されたデータをそのまま表示した例を示す図である。 図3で示した表示の一部分を示す図であって、測定されたデータに平滑化処理を施して表示した例を示す図である。 図3で示した表示の一部分を示す図であって、測定されたデータにバックグラウンド除去処理を施して表示した例を示す図である。 図3で示した表示の一部分を示す図であって、ピークサーチ後の結果を指示した状態の一例を示す図である。 表示装置の画面上に表示される画像の一例であって、ピークサーチの結果を表形式で表示した状態を示す図である。 X線分析手法の例を模式的に示す図であって、(a)は逆格子マップ測定を示し、(b)は極点測定を示す。 逆格子マップ測定の測定手法を模式的に示す図である。 座標変換処理の一例を示すグラフである。 本発明に係る分析装置で用いられるX線測定装置の他の実施形態を示す図である。 本発明に係る分析装置で用いられるX線測定装置のさらに他の実施形態を示す図である。 図14のX線測定装置を用いて行った測定の結果を画面上に表示した状態を示す図である。
符号の説明
1.X線測定装置、 2.フィラメント、 3.回転ターゲット、
4.X線発生装置、 6.多層膜ミラー、 7.平行ビーム形成装置、
8.ビーム調整装置、 9.X線カウンタ、 11a,11b.スリット、
12a,12b.受光スリット、 14.制御装置、 21.ハードディスク、
22.バス、 26.画像データ生成部、 29.画像表示装置、
31.プリンタ、 32.キーボード、 33a,33b.ファイル、 34.画面、
D.3次元画像、 E.2次元画像、 F.1次元画像、 G.線、
P1,P2.プロファイル、 S.試料、 S0.基板、 S1.薄膜

Claims (9)

  1. 異なる測定条件の下で複数種類のX線測定データを求め、
    それら複数種類のX線測定データに基づいて新たな情報を生成するデータ解析処理を行い、
    前記複数種類のX線測定データ及び前記新たな情報の個々に対応した、共通の立体画像座標上における3次元画像データを生成し、
    その3次元画像データに基づいて表示手段の画面上に前記X線測定データ及び前記新たな情報に対応した立体画像を表示し、
    前記複数種類のX線測定データは、試料へのX線の入射角度ω、試料から出るX線の検出角度2θ、及び試料から出たX線の強度Iの組合せから成り、
    前記異なる測定条件とは、
    (1)前記入射角度ωの範囲が異なるか、
    (2)前記X線検出角度2θの範囲が異なるか、
    (3)前記X線入射角度ω及び前記X線検出角度2θの両方が異なるか、又は、
    (4)前記X線入射角度ω及び前記X線検出角度2θを走査移動させる際のステップ間隔が異なるか、
    のいずれかのデータであることを特徴とするX線分析方法。
  2. 異なる測定条件の下で複数種類のX線測定データを求め、
    それら複数種類のX線測定データに基づいて新たな情報を生成するデータ解析処理を行い、
    前記複数種類のX線測定データ及び前記新たな情報の個々に対応した、共通の立体画像座標上における3次元画像データを生成し、
    その3次元画像データに基づいて表示手段の画面上に前記X線測定データ及び前記新たな情報に対応した立体画像を表示し、
    前記複数種類のX線測定データは、試料へのX線の入射角度ω、試料から出るX線の検出角度2θ、試料の方位を決める2つの方位角度の1つである試料のあおり軸周りの角度χ、試料の方位を決める2つの方位角度の他の1つである試料の面内回転軸周りの角度φ、及び試料から出たX線の強度Iの組合せから成り、
    前記異なる測定条件とは、
    (1)前記入射角度ωの範囲が異なるか、
    (2)前記X線検出角度2θの範囲が異なるか、
    (3)前記X線入射角度ω及び前記X線検出角度2θの両方が異なるか、
    (4)前記X線入射角度ω及び前記X線検出角度2θを走査移動させる際のステップ間隔が異なるか、又は
    (5)前記あおり軸周りの角度χ又は前記面内回転軸周りの角度φが異なるか、
    のいずれかのデータであることを特徴とするX線分析方法。
  3. 異なる測定条件の下で複数種類のX線測定データを求め、
    それら複数種類のX線測定データに基づいて新たな情報を生成するデータ解析処理を行い、
    前記複数種類のX線測定データ及び前記新たな情報の個々に対応した、共通の立体画像座標上における3次元画像データを生成し、
    その3次元画像データに基づいて表示手段の画面上に前記X線測定データ及び前記新たな情報に対応した立体画像を表示し、
    前記複数種類のX線測定データは、試料から出るX線の検出角度2θ、試料の方位を決める2つの方位角度の1つである試料のあおり軸周りの角度χ、試料の方位を決める2つの方位角度の他の1つである試料の面内回転軸周りの角度φ、及び試料から出たX線の強度Iの組合せから成り、
    前記異なる測定条件とは、
    (1)前記あおり軸周りの角度χの範囲が異なるか、
    (2)前記面内回転軸周りの角度φが異なるか、
    (3)前記あおり軸周りの角度χ及び前記面内回転軸周りの角度φの両方が異なるか、
    (4)前記あおり軸周りの角度χ及び前記面内回転軸周りの角度φを走査移動させる際のステップ間隔が異なるか、又は、
    (5)前記X線検出角度2θの範囲が異なるか、
    のいずれかのデータであることを特徴とするX線分析方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のX線分析方法において、前記データ解析処理はピークサーチ処理及び/又は座標変換処理であることを特徴とするX線分析方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のX線分析方法において、前記3次元画像データに加えて2次元画像データを生成し、前記表示手段の画面上に前記3次元画像データに対応する立体画像を表示すると共に、前記2次元画像データに対応する2次元画像を表示することを特徴とするX線分析方法。
  6. 請求項記載のX線分析方法において、前記ピークサーチ処理によって求められたピーク値を指示する表示を前記立体画像上又は前記2次元画像上で行うことを特徴とするX線分析方法。
  7. 請求項1から請求項のいずれか1つに記載のX線分析方法において、前記複数種類のX線測定データは、基板上に薄膜を成膜して成る試料に関して、当該基板に関して得られた測定データと、当該薄膜に関して得られた測定データとの2種類であることを特徴とするX線分析方法。
  8. (A)試料にX線を照射すると共に該試料から出たX線をX線検出手段によって検出するX線測定装置と、
    前記X線測定装置によって異なる測定条件の下で得られた複数の測定データを記憶するデータ記憶手段と、
    画像を表示する表示手段と、
    異なる測定条件の下で得られた複数の測定データに基づいて新たな情報を生成するデータ解析手段と、
    前記表示手段に立体画像を表示するための3次元画像データを生成する画像データ生成手段とを有し、
    前記データ解析手段の解析結果を前記画像データ生成手段によって前記立体画像上に表示し、
    前記画像データ生成手段は、前記異なる測定条件の下で得られた複数の測定データ及び前記データ解析手段によって生成された新たな情報の個々に対応した、共通の立体画像座標上における3次元画像データを生成し、
    (B)前記複数の測定データは、試料へのX線の入射角度ω、試料から出るX線の検出角度2θ、及び試料から出たX線の強度Iの組合せから成り、
    前記異なる測定条件とは、
    (1)前記入射角度ωの範囲が異なるか、
    (2)前記X線検出角度2θの範囲が異なるか、
    (3)前記X線入射角度ω及び前記X線検出角度2θの両方が異なるか、若しくは、
    (4)前記X線入射角度ω及び前記X線検出角度2θを走査移動させる際のステップ間隔が異なるか、
    のいずれかのデータであるか、
    (C)前記複数の測定データは、試料へのX線の入射角度ω、試料から出るX線の検出角度2θ、試料の方位を決める2つの方位角度の1つである試料のあおり軸周りの角度χ、試料の方位を決める2つの方位角度の他の1つである試料の面内回転軸周りの角度φ、及び試料から出たX線の強度Iの組合せから成り、
    前記異なる測定条件とは、
    (1)前記入射角度ωの範囲が異なるか、
    (2)前記X線検出角度2θの範囲が異なるか、
    (3)前記X線入射角度ω及び前記X線検出角度2θの両方が異なるか、
    (4)前記X線入射角度ω及び前記X線検出角度2θを走査移動させる際のステップ間隔が異なるか、若しくは
    (5)前記あおり軸周りの角度χ又は前記面内回転軸周りの角度φが異なるか、
    のいずれかのデータであるか、又は
    (D)前記複数の測定データは、試料から出るX線の検出角度2θ、試料の方位を決める2つの方位角度の1つである試料のあおり軸周りの角度χ、試料の方位を決める2つの方位角度の他の1つである試料の面内回転軸周りの角度φ、及び試料から出たX線の強度Iの組合せから成り、
    前記異なる測定条件とは、
    (1)前記あおり軸周りの角度χの範囲が異なるか、
    (2)前記面内回転軸周りの角度φが異なるか、
    (3)前記あおり軸周りの角度χ及び前記面内回転軸周りの角度φの両方が異なるか、
    (4)前記あおり軸周りの角度χ及び前記面内回転軸周りの角度φを走査移動させる際のステップ間隔が異なるか、若しくは、
    (5)前記X線検出角度2θの範囲が異なるか、
    のいずれかのデータである
    (E)ことを特徴とするX線分析装置。
  9. 請求項記載のX線分析装置において、前記データ解析手段は、ピークサーチ処理及び/又は座標変換処理を行うことを特徴とするX線分析装置
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