以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施の形態は、原稿画像を読み取る画像読み取り機能と、記録媒体としての記録用紙に対して画像を形成する印刷機能とを複合した画像形成装置である。特に、この画像形成装置は、スキャナを用いて読み取った画像データのうち、非処理の状態である等倍画像データと、等倍画像データを所定の縮小率で縮小することによって複数ページ分の縮小画像データを1ページに集約した集約画像データを作成する際の縮小画像データとをそれぞれ保存しておき、集約画像データを利用して印刷を実行することにより、記録用紙の消費量を抑制することができるものである。また、この画像形成装置は、集約画像データが印刷された記録用紙から集約前のそれぞれの原稿を再現したい場合であっても、保存した等倍画像データを利用することにより、画像劣化のない印刷を行うことができるものである。
まず、本発明の第1の実施の形態として示す画像形成装置について説明する。
画像形成装置は、図1に示すように、原稿画像を読み取る読み取り部1と、当該画像形成装置の全体を統括的に制御する制御部2と、読み取り部1によって読み取られた電子データとしての画像データを記憶するメモリ部3と、オペレータに対するユーザインターフェースとしての操作・表示部4と、制御部2から供給された画像データを出力する出力部5と、記録用紙に対する印刷を行う印刷部6と、読み取り部1によって読み取られた画像データに対して画像処理を施す画像処理部7と、画像データを解析する画像解析部8とを備える。
読み取り部1は、原稿に描かれている画像を読み取るスキャナであり、原稿を読み取って得られた画像を電子データとしての画像データに変換し、制御部2に供給する。
制御部2は、例えばCPU(Central Processing Unit)等から構成され、当該画像形成装置の全体を統括的に制御する。具体的には、制御部2は、読み取り部1によって読み取られた画像データをメモリ部3に保存させる際の制御や、画像データを出力部5に供給して印刷を行う際の制御を行う。
メモリ部3は、例えばハードディスクから構成され、読み取り部1によって読み取られた画像データをファイルとして記憶する。このメモリ部3に記憶されることによって保存された画像データは、制御部2の制御のもとに読み出される。
操作・表示部4は、オペレータが当該画像形成装置に対してコピー(複写)の指示や保存の指示を行うためのボタンや、当該画像形成装置の現在の状況等を文字や絵を用いてオペレータに示すためのディスプレイを有する。具体的には、操作・表示部4には、例えば図2に示すように、少なくとも、複数枚の原稿を所定の縮小率で縮小して複写することによって1枚の記録用紙に複数ページ分の画像を印刷する割り付けによるコピーを行うためのボタンと、割り付けによるコピーを行って作成された複写物を読み取って拡大することによって複数ページ分の画像を再現する拡大によるコピーを行うためのボタンとが設けられる。オペレータは、かかる操作・表示部4に設けられたボタンを操作することにより、当該画像形成装置に対して指示を与えたり、当該操作・表示部4に設けられたディスプレイを視認することにより、当該画像形成装置の状況を把握したりすることができる。
出力部5は、制御部2から供給された画像データを印刷部6に供給したり、ネットワークNTを介して外部装置に対して送信したりする。
印刷部6は、制御部2の制御のもとに、出力部5から供給された画像データを印刷データに変換し、記録用紙に対して印刷することにより、画像データを再現させるプリンタである。
画像処理部7は、制御部2の制御のもとに、読み取り部1によって読み取られた画像データに対して、例えば、画像の縮小、拡大、割付等の処理を施し、変換された画像データを出力する。
画像解析部8は、制御部2の制御のもとに、メモリ部3に記憶されている画像データと、読み取り部1によって読み取られた画像データとを解析し、これら画像データが同一原稿に基づくものであるか否かを判断する。例えば、画像解析部8は、2つの画像データ同士を重ね合わせた状態で水平方向に走査し、重複するドット(黒点)の個数を計数し、ドットが重複する割合が所定値以上である場合には、2つの画像データが同一であるものと判断する。なお、2つの画像データが同一であるか否かを判断する手法は、いかなるものであってもよく、例えば、画像データに含まれる特徴点を複数抽出し、それら特徴点が所定個数以上一致する場合に同一であるものと判断するようなものであってもよい。
このような各部から構成される画像形成装置は、出力部5を介して、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等を含むネットワークNTに接続され、このネットワークNTに接続されているパーソナルコンピュータ(PC)10と通信を行うことが可能に構成される。なお、図1においては、画像形成装置に対して、1台のパーソナルコンピュータ10が接続されている様子を示しているが、画像形成装置においては、ネットワークNTを介して接続されるパーソナルコンピュータ10の台数に限定されるものではない。
このような画像形成装置においては、例えば図3(a)に示すように、A,B,C,Dからなる4ページの原稿を、面積比で4分の1にそれぞれ縮小し、同図(b)に示すように、縮小した4ページ分の画像を1ページに集約した複写物CPを作成する場合には、例えば図4に示すような一連の手順にしたがって処理を行う。
まず、画像形成装置においては、同図に示すように、ステップS101において、オペレータが操作・表示部4を介して、割り付けによるコピーを指定する旨の操作を行うのに応じて、ステップS102において、操作・表示部4から制御部2に対して、割り付けによるコピーを開始する旨の指示を出力する。これに応じて、制御部2は、読み取り部1に対して、原稿を読み取る旨の指示を出力する。
続いて、読み取り部1は、ステップS103において、原稿と同じ倍率で読み取り動作を行い、読み取った画像を電子データとしての画像データに変換し、変換して得られた等倍画像データを制御部2に供給する。なお、図3(a)に示したA,B,C,Dからなる4ページの原稿のそれぞれに対応する等倍画像データを、それぞれ、等倍画像データA,B,C,Dと称するものとする。これに応じて、制御部2は、これら等倍画像データA,B,C,Dをメモリ部3に記憶させる。
さらに、制御部2は、ステップS104において、画像処理部7を制御して、操作・表示部4から指示された割り付けによるコピーの設定を用いて、画像の縮小と各ページの割付とを行い、割り付けられた1ページ分の集約画像データを作成する。また、制御部2は、ステップS105において、縮小した縮小画像データのうち第1ページ目、すなわち、等倍画像データA,B,C,Dのうちの等倍画像データAの縮小画像データを、メモリ部3に記憶させるとともに、ステップS106において、集約画像データを出力部5に供給する。
そして、印刷部6は、ステップS107において、出力部5から供給された集約画像データを印刷データに変換して記録用紙に対して印刷し、一連の処理を終了する。
画像形成装置においては、このような一連の手順にしたがって、図3(a)に示した4ページの原稿A,B,C,Dを、同図(b)に示すように、1ページに集約して複写した複写物CPを作成することができる。
また、画像形成装置においては、図4に示す手順にしたがって作成した複写物CPを読み取って面積比で4倍に拡大し、4ページ分の画像を再現する場合には、例えば図5に示すような一連の手順にしたがって処理を行う。
まず、画像形成装置においては、同図に示すように、ステップS201において、オペレータが操作・表示部4を介して、拡大によるコピーを指定する旨の操作を行うのに応じて、ステップS202において、操作・表示部4から制御部2に対して、拡大によるコピーを開始する旨の指示を出力する。これに応じて、制御部2は、読み取り部1に対して、原稿としての複写物CPを読み取る旨の指示を出力する。
続いて、読み取り部1は、ステップS203において、原稿と同じ倍率で読み取り動作を行い、読み取った画像を電子データとしての画像データに変換し、変換して得られた読取集約画像データを制御部2に供給する。これに応じて、制御部2は、ステップS204において、画像解析部8を制御して、読み取った複写物CPの読取集約画像データの元となった画像データがメモリ部3に記憶されているか否かを判断する。具体的には、画像解析部8は、例えば図6に示すように、読み取った複写物CPの読取集約画像データSCのうち左上の領域に位置する部分、すなわち、第1ページ目に相当する部分と、図4中ステップS105にてメモリ部3に記憶された第1ページ目の縮小画像データA'とを比較することにより、当該複写物CPの読取集約画像データSCの元となった画像データがメモリ部3に記憶されているか否かを判断する。
ここで、制御部2は、ステップS205において、画像解析部8による解析の結果、複写物CPの読取集約画像データSCの元となった画像データがメモリ部3に記憶されているものと判断した場合には、ステップS206において、メモリ部3に記憶されている画像データのうち対応する画像データ、すなわち、等倍画像データA,B,C,Dを読み出し、ステップS208において、メモリ部3から読み出した等倍画像データA,B,C,Dを出力部5に供給して展開させる。一方、制御部2は、ステップS205において、画像解析部8による解析の結果、複写物CPの読取集約画像データSCの元となった画像データがメモリ部3に記憶されていないものと判断した場合には、ステップS207において、画像処理部7を制御して、読取集約画像データSCの拡大処理を行い、ステップS208において、拡大した画像データを出力部5に供給して展開させる。
そして、印刷部6は、ステップS209において、出力部5から供給された画像データを印刷データに変換して記録用紙に対して印刷し、一連の処理を終了する。
画像形成装置においては、このような一連の手順にしたがって、複写物CPを読み取って拡大した4ページ分の画像を再現することができる。
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態として示す画像形成装置においては、読み取り部1を用いて読み取った画像データのうち、非処理の状態である等倍画像データと、等倍画像データを縮小することによって複数ページ分の縮小画像データを1ページに集約した集約画像データ作成する際の縮小画像データとをそれぞれメモリ部3に保存しておき、割り付け印刷を行う際に集約画像データを利用して印刷を実行することにより、記録用紙の消費量を抑制することができる。
また、この画像形成装置においては、割り付け印刷の際に読み取った等倍画像データをメモリ部3に保存していることから、集約画像データが印刷された記録用紙から集約前のそれぞれの原稿を再現したい場合であっても、当該記録用紙を読み取ってそのまま拡大して再現しようとすることに起因する画像の劣化を生じることなく、等倍画像データを利用して高品質の印刷を行うことができる。
すなわち、この画像形成装置においては、例えばA4サイズの原稿を読み取った場合に、そのまま印刷してA4サイズの画像として保存するのではなく、集約画像データを印刷して作成したA4サイズの複写物CPとして保存することにより、記録用紙の枚数を少なくした状態で保存しておき、元の大きさのデータが必要になった場合には、複写物CPを読み取ることによって劣化のない画像を再現することができるため、文書管理における保管文書の記録用紙量を削減することができる。また、この画像形成装置においては、保管文書が紙媒体の形態であることから、当該保管文書が何の目的で作成されたのかを容易に判別することが可能となる。そのため、この画像形成装置においては、保存されている電子データとしての画像データのファイル名に基づいて内容を推測したり、パーソナルコンピュータ10の表示画面に画像データを表示させて確認してから再生したりする等の操作の煩雑さも解消することができる。
つぎに、第2の実施の形態として示す画像形成装置について説明する。
この第2の実施の形態として示す画像形成装置は、第1の実施の形態として示した画像形成装置を改良し、保存されている画像データと他の画像データとの関連付けを行うものである。したがって、この第2の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
この第2の実施の形態として示す画像形成装置は、図7に示すように、上述した読み取り部1、制御部2、メモリ部3、操作・表示部4、出力部5、印刷部6、画像処理部7、及び画像解析部8の他に、関連付けられたファイルの管理を行うファイル管理部21を備える。
ファイル管理部21は、メモリ部3に保存されている画像データと他の画像データとの関連付けを行う際に作成された管理データを保持することにより、関連付けられたファイル形式の画像データに関する情報を管理する。
このような画像形成装置においては、先に図3(a)に示したように、A,B,C,Dからなる4ページの原稿を、面積比で4分の1にそれぞれ縮小し、同図(b)に示したように、縮小した4ページ分の画像を1ページに集約した複写物CPを作成する場合には、例えば図8に示すような一連の手順にしたがって処理を行う。
まず、画像形成装置においては、同図に示すように、先に図4に示したステップS101乃至ステップS107と同様の処理を行い、図3に示した4ページの原稿A,B,C,Dを、1ページに集約して複写した複写物CPを作成する。画像形成装置においては、このような複写を行うと、さらに続けて、複写物CPに関連する他の原稿について画像データの関連付けを行った複写を行う。
すなわち、画像形成装置においては、ステップS301において、オペレータが操作・表示部4を介して、割り付けによるコピーを指定する旨の操作を行うとともに、ステップS302において、関連付けによるコピーを指定する旨の操作を行うのに応じて、ステップS303において、操作・表示部4から制御部2に対して、割り付けによるコピー及び関連付けによるコピーを開始する旨の指示を出力する。これに応じて、制御部2は、読み取り部1に対して、原稿を読み取る旨の指示を出力する。
続いて、読み取り部1は、ステップS304において、原稿と同じ倍率で読み取り動作を行い、読み取った画像を電子データとしての画像データに変換し、変換して得られた等倍画像データを制御部2に供給する。これに応じて、制御部2は、これら等倍画像データをメモリ部3に記憶させる。
ここで、制御部2は、ステップS305において、直前の複写動作、すなわち、ステップS101乃至ステップS107の処理によってメモリ部3に保存された画像データA,B,C,Dと、ステップS304にてメモリ部3に保存された画像データとの関連付けを行う。具体的には、制御部2は、例えば図9に示すように、画像データのファイル名とこの画像データに関連する他の画像データのファイル名との組み合わせを管理データとして作成し、ファイル管理部21に保持させる。
さらに、制御部2は、ステップS306において、画像処理部7を制御して、操作・表示部4から指示された割り付けによるコピーの設定を用いて、画像の縮小と各ページの割付とを行い、割り付けられた1ページ分の集約画像データを作成し、ステップS307において、集約画像データを出力部5に供給する。
そして、印刷部6は、ステップS307において、出力部5から供給された集約画像データを印刷データに変換して記録用紙に対して印刷し、一連の処理を終了する。
画像形成装置においては、このような一連の手順にしたがって、複写する際に、先に複写した画像データとの関連付けを行うことができる。
また、画像形成装置においては、図8に示す手順にしたがって作成した複写物CPを読み取って面積比で4倍に拡大し、4ページ分の画像を再現する場合には、例えば図10に示すような一連の手順にしたがって処理を行う。
まず、画像形成装置においては、同図に示すように、先に図5に示したステップS201乃至ステップS204と同様の処理を行い、制御部2によって画像解析部8を制御して、読み取った複写物CPの読取集約画像データSCの元となった画像データがメモリ部3に記憶されているか否かを判断する。
ここで、制御部2は、ステップS205において、画像解析部8による解析の結果、複写物CPの読取集約画像データSCの元となった画像データがメモリ部3に記憶されていないものと判断した場合には、ステップS207において、画像処理部7を制御して、読取集約画像データSCの拡大処理を行い、ステップS208及びステップS209において、拡大した画像データを印刷データに変換して記録用紙に対して印刷させ、一連の処理を終了する。
一方、制御部2は、画像解析部8による解析の結果、複写物CPの読取集約画像データSCの元となった画像データがメモリ部3に記憶されているものと判断した場合には、ステップS206において、メモリ部3に記憶されている画像データのうち対応する画像データ、すなわち、等倍画像データA,B,C,Dを読み出す。続いて、制御部2は、ステップS401において、ファイル管理部21から管理データを読み出し、ステップS402において、等倍画像データA,B,C,Dに関連付けられた他の画像データがあるか否かを判断する。
ここで、制御部2は、等倍画像データA,B,C,Dに関連付けられた他の画像データがないものと判断した場合には、ステップS208及びステップS209へと処理を移行し、等倍画像データA,B,C,Dを印刷データに変換して記録用紙に対して印刷させ、一連の処理を終了する。
一方、制御部2は、等倍画像データA,B,C,Dに関連付けられた他の画像データがあるものと判断した場合には、ステップS403において、その関連付けられた画像データをメモリ部3から読み出す。そして、制御部2は、ステップS208において、メモリ部3から読み出した等倍画像データA,B,C,Dと、これら等倍画像データA,B,C,Dに関連付けられた画像データとを出力部5に供給して展開させ、ステップS209において、出力部5から供給された画像データを印刷データに変換して記録用紙に対して印刷し、一連の処理を終了する。
画像形成装置においては、このような一連の手順にしたがって、複写物CPとして印刷された画像データに関連付けられた他の画像データがある場合であっても、それら他の画像データも含めて拡大した画像を再現することができる。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態として示す画像形成装置においては、読み取り部1を用いて読み取った画像データに関連付けて他の画像データも保存することから、複写物CPの少なくとも第1ページ目を読み取りさえすれば、それに関連する全ての画像を再現することができる。これにより、この画像形成装置においては、再現したい文書を逐一選択する等の煩雑な操作を強いることがなくなるとともに、文書管理における保管文書の記録用紙量をさらに削減することができる。
つぎに、第3の実施の形態として示す画像形成装置について説明する。
この第3の実施の形態として示す画像形成装置は、第2の実施の形態として示した画像形成装置を改良し、保存されている画像データと、画像データではない他のアプリケーションデータとの関連付けを行うものである。したがって、この第3の実施の形態の説明においては、第2の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
この第3の実施の形態として示す画像形成装置は、図11に示すように、上述した読み取り部1、制御部2、メモリ部3、操作・表示部4、印刷部6、画像処理部7、画像解析部8、及びファイル管理部21の他に、データの入出力を行う入出力部31を備える。すなわち、この画像形成装置は、上述した出力部5に代えて入出力部31を備える。
入出力部31は、制御部2の制御のもとに、ネットワークNTを介して、パーソナルコンピュータ10に対してコマンドを送信する。具体的には、入出力部31は、パーソナルコンピュータ10にインストールされているアプリケーションプログラムとプリンタドライバとを用いて、当該アプリケーションプログラムによって作成されたアプリケーションデータを印刷データに変換し、当該入出力部31に対して送信するように指示するアプリケーションデータ印刷命令を、コマンドとして送信する。入出力部31は、このアプリケーションデータ印刷命令コマンドをパーソナルコンピュータ10に対して送信するのに応じて、当該パーソナルコンピュータ10から送信された印刷データを受信する。また、入出力部31は、出力部5と同様に、制御部2から供給された画像データを印刷部6に供給したり、ネットワークNTを介して外部装置に対して送信したりすることもできる。
なお、パーソナルコンピュータ10には、例えば文書作成ソフトウェアや表計算ソフトウェア等のアプリケーションプログラムがインストールされているとともに、アプリケーションデータを当該画像形成装置によって印刷可能な印刷データに変換するプリンタドライバがインストールされている。そして、パーソナルコンピュータ10は、入出力部31を介して送信されたコマンドを受信する機能を有する。
このような画像形成装置においては、先に図3(a)に示したように、A,B,C,Dからなる4ページの原稿を、面積比で4分の1にそれぞれ縮小し、同図(b)に示したように、縮小した4ページ分の画像を1ページに集約した複写物CPを作成する場合には、例えば図12に示すような一連の手順にしたがって処理を行う。
まず、画像形成装置においては、同図に示すように、先に図4に示したステップS101乃至ステップS107と同様の処理を行い、図3に示した4ページの原稿A,B,C,Dを、1ページに集約して複写した複写物CPを作成する。画像形成装置においては、このような複写を行うと、さらに続けて、複写物CPに関連するアプリケーションデータの関連付けを行う。
すなわち、画像形成装置においては、ステップS501において、オペレータが操作・表示部4を介して、予めメモリ部3に保存されているアプリケーションデータのファイルのうち関連付けたいファイルを指定する旨の操作を行うとともに、ステップS502において、関連付けを指定する旨の操作を行うのに応じて、ステップS503において、操作・表示部4から制御部2に対して、指定されたファイルを関連付ける旨の指示を出力する。
これに応じて、制御部2は、直前の複写動作、すなわち、ステップS101乃至ステップS107の処理によってメモリ部3に保存された画像データA,B,C,Dと、ステップS501にて指定されたファイルとの関連付けを行う。具体的には、制御部2は、先に図9に示したように、画像データのファイル名とこの画像データに関連するアプリケーションデータのファイル名との組み合わせを管理データとして作成し、ファイル管理部21に保持させる。
画像形成装置においては、このような一連の手順にしたがって、先に複写した画像データとアプリケーションデータとの関連付けを行うことができる。
また、画像形成装置においては、図12に示す手順にしたがって作成した複写物CPを読み取って面積比で4倍に拡大し、4ページ分の画像を再現する場合には、例えば図13に示すような一連の手順にしたがって処理を行う。
まず、画像形成装置においては、同図に示すように、先に図10に示したステップS201乃至ステップS204と同様の処理を行い、制御部2によって画像解析部8を制御して、読み取った複写物CPの読取集約画像データSCの元となった画像データがメモリ部3に記憶されているか否かを判断する。
ここで、制御部2は、ステップS205において、画像解析部8による解析の結果、複写物CPの読取集約画像データSCの元となった画像データがメモリ部3に記憶されていないものと判断した場合には、ステップS207において、画像処理部7を制御して、読取集約画像データSCの拡大処理を行い、ステップS208及びステップS209において、拡大した画像データを印刷データに変換して記録用紙に対して印刷させ、一連の処理を終了する。
一方、制御部2は、画像解析部8による解析の結果、複写物CPの読取集約画像データSCの元となった画像データがメモリ部3に記憶されているものと判断した場合には、ステップS206において、メモリ部3に記憶されている画像データのうち対応する画像データ、すなわち、等倍画像データA,B,C,Dを読み出す。続いて、制御部2は、ステップS401において、ファイル管理部21から管理データを読み出し、ステップS402において、等倍画像データA,B,C,Dに関連付けられた他のアプリケーションデータがあるか否かを判断する。
ここで、制御部2は、等倍画像データA,B,C,Dに関連付けられた他のアプリケーションデータがないものと判断した場合には、ステップS208及びステップS209へと処理を移行し、等倍画像データA,B,C,Dを印刷データに変換して記録用紙に対して印刷させ、一連の処理を終了する。
一方、制御部2は、等倍画像データA,B,C,Dに関連付けられた他のアプリケーションデータがあるものと判断した場合には、ステップS601において、入出力部31を介して、パーソナルコンピュータ10に対してアプリケーションデータ印刷命令コマンドを送信するとともに、ステップS602において、その関連付けられたアプリケーションデータをメモリ部3から読み出し、入出力部31を介して、パーソナルコンピュータ10に対して送信する。
これに応じて、パーソナルコンピュータ10は、ステップS603において、受信したアプリケーションデータを、アプリケーションプログラム及びプリンタドライバを用いて印刷データに変換し、その印刷データを当該画像形成装置に対して送信する。
そして、制御部2は、ステップS208において、メモリ部3から読み出した等倍画像データA,B,C,Dを入出力部31に供給して展開させるとともに、パーソナルコンピュータ10から入出力部31を介して受信した、これら等倍画像データA,B,C,Dに関連付けられたアプリケーションデータに基づく印刷データを入出力部31に展開させ、ステップS209において、入出力部31から供給された画像データを印刷データに変換して記録用紙に対して印刷するとともに、パーソナルコンピュータ10から送信された印刷データも記録用紙に対して印刷し、一連の処理を終了する。
画像形成装置においては、このような一連の手順にしたがって、複写物CPとして印刷された画像データに関連付けられた他のアプリケーションデータがある場合であっても、それら他のアプリケーションデータも含めて再現することができる。
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態として示す画像形成装置においては、読み取り部1を用いて読み取った画像データに関連付けて他のアプリケーションデータも保存することから、複写物CPの少なくとも第1ページ目を読み取りさえすれば、それに関連する全ての文書を再現することができる。これにより、この画像形成装置においては、再現したい文書を逐一選択する等の煩雑な操作を強いることがなくなるとともに、文書管理における保管文書の記録用紙量をさらに削減することができる。
なお、この第3の実施の形態においては、パーソナルコンピュータ10によってアプリケーションデータを印刷データに変換するものとして説明したが、画像形成装置においては、アプリケーションデータを印刷するためのアプリケーションプログラムやプリンタドライバをインストールしておき、当該画像形成装置内部で印刷データに変換するようにしてもよい。
つぎに、第4の実施の形態として示す画像形成装置について説明する。
この第4の実施の形態として示す画像形成装置は、第3の実施の形態として示した画像形成装置を改良し、ユーザ毎に関連付けるファイルを異なるものとすることができるものである。したがって、この第4の実施の形態の説明においては、第3の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
この第4の実施の形態として示す画像形成装置は、図14に示すように、上述した読み取り部1、制御部2、メモリ部3、操作・表示部4、印刷部6、画像処理部7、画像解析部8、ファイル管理部21、及び入出力部31の他に、ユーザを管理するユーザ管理部41を備える。
ユーザ管理部41は、オペレータが操作・表示部4を介して、オペレータ毎に固有に付与された例えば"0001"といった4桁のコード等からなるユーザIDを入力するのに応じて、そのユーザIDを保持することにより、当該オペレータを管理する。
このような画像形成装置においては、制御部2の制御のもとに、例えば図15に示すように、読み取り部1によって読み取られてメモリ部3に保存された画像データのファイル名と、ユーザ毎の当該画像データに関連付けられた他の画像データのファイル名との組み合わせを管理データとして作成し、ファイル管理部21に保持させておく。そして、画像形成装置においては、オペレータの指定による複写動作を行う場合には、例えば図16に示すような一連の手順にしたがって処理を行う。
まず、画像形成装置においては、同図に示すように、ステップS701において、オペレータが操作・表示部4を介して、自己のユーザIDを入力するのに応じて、操作・表示部4からユーザ管理部41に対して、当該ユーザIDが入力される。これに応じて、ユーザ管理部41は、ステップS702において、入力されたユーザIDと、保持しているユーザIDとを照合し、一致するものがみつかった場合には、当該画像形成装置に対するログインを許可する。
そして、読み取り部1は、ステップS703において、原稿と同じ倍率で読み取り動作を行い、読み取った画像を電子データとしての画像データに変換し、変換して得られた等倍画像データを制御部2に供給する。これに応じて、制御部2は、これら等倍画像データをメモリ部3に記憶させる。
続いて、画像形成装置においては、ステップS704において、先に図10に示した一連の処理と同様の処理を行い、拡大による複写動作を行う。このとき、制御部2は、ステップS705において、ファイル管理部21から管理データを読み出し、オペレータたるユーザAに関連付けられた画像データがメモリ部3に記憶されているか否かを判断する。
ここで、制御部2は、ユーザAに関連付けられた画像データがメモリ部3に記憶されていないものと判断した場合には、先に図10に示した拡大による複写動作によって得られる画像データを印刷データに変換して記録用紙に対して印刷させ、一連の処理を終了する。
一方、制御部2は、ユーザAに関連付けられた画像データがメモリ部3に記憶されていないものと判断した場合には、ステップS706において、メモリ部3に記憶されている画像データのうち対応する画像データ、すなわち、等倍画像データA,B,C,Dを読み出すとともに、ユーザAに関連付けられた画像データを読み出し、これら画像データを印刷データに変換して記録用紙に対して印刷させ、一連の処理を終了する。
画像形成装置においては、このような一連の手順にしたがって、オペレータの指定による複写動作を行うことができる。
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態として示す画像形成装置においては、ログインするユーザ毎に異なるファイルを関連付けることができるため、例えば、あるユーザには秘密裏にしておきたい文書を印刷するか否かを選択的に設定することができる。そのため、この画像形成装置においては、文書の機密性を有効に維持することができる。
最後に、第5の実施の形態として示す画像形成装置について説明する。
この第5の実施の形態として示す画像形成装置は、第1の実施の形態として示した画像形成装置を改良し、2つの画像データを比較する際に差分を抽出し、その差分の画像データを作成するものである。したがって、この第5の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
この第5の実施の形態として示す画像形成装置は、図17に示すように、上述した読み取り部1、制御部2、メモリ部3、操作・表示部4、出力部5、印刷部6、及び画像処理部7の他に、画像データの画像及び差分抽出を行う画像解析/差分抽出部51を備える。すなわち、この画像形成装置は、上述した画像解析部8に代えて画像解析/差分抽出部51を備える。
画像解析/差分抽出部51は、画像解析部8と同様に、メモリ部3に記憶されている画像データと、読み取り部1によって読み取られた画像データとを解析し、これら画像データが同一原稿に基づくものであるか否かを判断する。また、画像解析/差分抽出部51は、制御部2の制御のもとに、メモリ部3に記憶されている画像データと、読み取り部1によって読み取られた画像データとの差分を抽出し、その差分の画像データを作成する。
このような画像形成装置においては、最初の複写動作の場合には、例えば図18(a)に示すように、ステップS801において、オペレータが操作・表示部4を介して、コピーを指定する旨の操作を行うのに応じて、操作・表示部4から制御部2に対して、等倍でのコピーを開始する旨の指示を出力する。これに応じて、制御部2は、読み取り部1に対して、原稿と同じ倍率で読み取る旨の指示を出力する。
そして、画像形成装置においては、ステップS802において、読み取り部1によって原稿と同じ倍率で読み取り動作を行って複写操作を行い、複写物CPを作成するとともに、読み取った画像を電子データとしての画像データに変換し、変換して得られた等倍画像データを制御部2に供給する。これに応じて、制御部2は、これら等倍画像データをメモリ部3に記憶させる。
画像形成装置においては、このような一連の手順にしたがって作成された複写物CPに対して、ペン等を用いた重要な書き込みがあり、その書き込み内容を、メモリ部3に記憶されている画像データにも適用することにより、当該画像データのアップデートを行うことができる。
この場合、画像形成装置においては、例えば図18(b)に示すように、ステップS803において、オペレータが操作・表示部4を介して、コピーを指定する旨の操作を行うのに応じて、操作・表示部4から制御部2に対して、等倍でのコピーを開始する旨の指示を出力する。これに応じて、制御部2は、読み取り部1に対して、原稿と同じ倍率で読み取る旨の指示を出力する。
続いて、読み取り部1は、ステップS804において、原稿と同じ倍率で読み取り動作を行い、読み取った画像を電子データとしての画像データに変換し、変換して得られた読取画像データを制御部2に供給する。これに応じて、制御部2は、ステップS805において、画像解析/差分抽出部51を制御して、読み取った複写物CPの読取画像データの元となった画像データがメモリ部3に記憶されているか否かを判断する。具体的には、画像解析/差分抽出部51は、例えば図19に示すように、読み取った複写物CPの読取画像データSCと、図18(a)中ステップS802にてメモリ部3に記憶された等倍画像データAとを比較することにより、当該複写物CPの読取画像データSCの元となった画像データがメモリ部3に記憶されているか否かを判断する。
ここで、制御部2は、ステップS806において、画像解析/差分抽出部51による解析の結果、複写物CPの読取画像データSCの元となった画像データがメモリ部3に記憶されていないものと判断した場合には、図18(a)に示した通常の複写動作を行い、ステップS813において、読取画像データSCを出力部5に供給して展開させた上で、この読取画像データSCを印刷データに変換して記録用紙に対して印刷し、一連の処理を終了する。
一方、制御部2は、ステップS806において、画像解析/差分抽出部51による解析の結果、複写物CPの読取画像データSCの元となった画像データがメモリ部3に記憶されているものと判断した場合には、ステップS807において、画像解析/差分抽出部51を制御して、読取画像データSCと、メモリ部3に記憶されている画像データのうち対応する画像データ、すなわち、等倍画像データAとの差分を抽出する。
そして、制御部2は、ステップS808において、差分がない、すなわち、読取画像データSCと等倍画像データAとが全く同一であるものと判断した場合には、ステップS812へと処理を移行し、メモリ部3に記憶されている等倍画像データAを読み出し、ステップS813において、等倍画像データAを出力部5に供給して展開させた上で、この等倍画像データAを印刷データに変換して記録用紙に対して印刷し、一連の処理を終了する。
一方、制御部2は、ステップS808において、差分がある、すなわち、読取画像データSCが複写物CPに対する書き込みが反映された画像データであるものと判断した場合には、ステップS809において、操作・表示部4を介して、オペレータに画像の差分がある旨を通知し、メモリ部3に記憶されている等倍画像データAに対してその差分を適用してアップデートするか否かを問い合わせる。
そして、制御部2は、ステップS810において、オペレータが操作・表示部4を介してアップデートしない旨の操作を行った場合には、ステップS812へと処理を移行し、メモリ部3に記憶されている等倍画像データAを読み出し、ステップS813において、等倍画像データAを出力部5に供給して展開させた上で、この等倍画像データAを印刷データに変換して記録用紙に対して印刷し、一連の処理を終了する。
一方、制御部2は、ステップS810において、オペレータが操作・表示部4を介してアップデートする旨の操作を行った場合には、ステップS807にて抽出した差分を示す差分データDF(図19)を等倍画像データAに関連付けてメモリ部3に記憶させる。そして、制御部2は、ステップS813において、等倍画像データAと差分データDFとを重畳させた画像データを出力部5に供給して展開させた上で、この画像データを印刷データに変換して記録用紙に対して印刷し、一連の処理を終了する。
画像形成装置においては、このような一連の手順にしたがって、複写物CPに対して書き込みがあった場合であっても、その書き込み内容を、メモリ部3に記憶されている画像データにも適用してアップデートすることができる。
以上説明したように、本発明の第5の実施の形態として示す画像形成装置においては、読み取り部1を用いて読み取った画像データとメモリ部3に記憶されている等倍画像データとを比較し、差分があった場合には、その差分データDFを原本としての等倍画像データに追加することができるため、重要な追記部分等を失うことなく、且つ、劣化がない画像を再現することができる。また、この画像形成装置においては、差分があった場合には、その旨をオペレータに通知することから、原本に何らかの追記があった旨を当該オペレータが容易に把握することが可能となる。さらに、この画像形成装置においては、その追記が悪意による原本の改竄を目的としたものであった場合にも、差分があった旨をオペレータに通知することから、改竄があった旨を当該オペレータが容易に把握することが可能となる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した第1の実施の形態では、画像を再現する際に出力部5から印刷部6に画像データを供給しているが、本発明は、出力部5からネットワークNTを介して外部装置に対して送信するようにしてもよい。
また、本発明は、メモリ部3に記憶されている原本たる画像データのフォルダ名とファイル名とを印刷等することにより、かかる情報をオペレータに知らせるようにしてもよい。
さらに、上述した第1の実施の形態では、4ページの原稿を面積比で4分の1にそれぞれ縮小して複写物CPを作成するものとして説明しているが、本発明は、第1ページ目のみを複写するようにしてもよい。
さらにまた、上述した第2の実施の形態では、複写物CPの第1ページ目に対応する画像データが読み取り部1によって読み取った画像データであるものとして説明したが、本発明は、読取画像データとの比較に使用する電子データを画像として保持するようにするのであれば、複写物CPの第1ページ目に対応する電子データはアプリケーションデータであってもよい。
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。