JP4563533B2 - 熱硬化型粉体塗料組成物 - Google Patents

熱硬化型粉体塗料組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐候性、耐溶剤性、耐酸性、仕上がり外観に優れた塗膜を形成できる新規な熱硬化型粉体塗料組成物及びその塗料を使用してなる自動車用塗膜形成方法によるものであり、特に水性ベース塗料上に塗装される熱硬化型クリヤー粉体塗料組成物に適したものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
従来、自動車外板の上塗りクリヤーとして熱硬化性粉体塗料が塗装され、そこに形成される塗膜は、その用途から仕上がり外観、耐溶剤性、耐酸性、耐候性等の要求を満たしていなければならない。近年、自動車外板用上塗りクリヤーはその塗膜性能要求がますます厳しくなってきている。これらを満足するために、これまで、アクリル樹脂系の粉体クリヤー塗料の硬化剤としてドデカン2酸等の2塩基酸あるいはその無水物を用いて高架橋性の塗料が検討されているが、この様な塗料系では十分な仕上がり性が得られていないのが現状である。
【0003】
また、環境問題・省エネルギーの観点から、粉体クリヤーは水性ベース上で塗装が求められており、水酸基およびカルボキシル基を有する基体樹脂とアルキルエーテル化メチロールメラミン樹脂を含有する水性塗料、およびこの水性塗料の未硬化塗膜面に粉体塗料を塗装し、加熱により両塗膜を硬化させることからなる塗膜形成方法はすでに知られている(米国特許第5,585,146号明細書参照)。
【0004】
しかしながら、上記の水性塗料塗膜および粉体塗料塗膜の両者を同時に加熱硬化すると、加熱硬化時に水性塗料塗膜では水酸基とアルキルエーテル基との反応によってアルコール成分が副生し、これが加熱溶融した粉体塗料塗膜を通過し、系外に揮散するときに粉体塗料塗面にヘコミ、ワキ、クレーターなどを発生させる原因となり、塗膜の平滑性、鮮映性、塗膜の物理的性能などを低下させる。また、水性塗料塗膜内にりん片状メタリック顔料が含まれていると、その配向性が乱されメタリック感が低下するなどの問題が生ずる。
【0005】
そこで、これらの問題を解決するために、硬化開始時間を遅くし、十分なフロー時間を確保しようとすると、十分な架橋性が得られず、耐酸性や耐溶剤性等の塗膜性能が低下していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者等は、上記した問題点を解消すべく鋭意研究を行った結果、特に従来からの熱硬化型粉体塗料組成物に1分子中にウレタン結合を2つ以上、シクロヘキサン環を2つ以上有し、且つ末端にカルボキシル基を2つ以上有すポリエステル樹脂を配合してなる熱硬化型粉体塗料組成物が、仕上がり外観、塗膜性能に優れた粉体塗膜を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は
1、 下記成分
(A)ビニル系樹脂を構成するラジカル重合性不飽和単量体成分として該樹脂中にエポキシ基含有ビニル系単量体を20重量%〜70重量%の範囲内で含有するガラス転移温度が30℃〜100℃の範囲内のエポキシ基含有ビニル系樹脂及び(B)1分子中に、ウレタン結合を平均2個以上、シクロヘキサン環を平均2個以上、且つ分子末端にカルボキシル基を平均2個以上有するポリエステルポリカルボン酸樹脂
を必須成分とする熱硬化型粉体塗料組成物、
2、(B)ポリエステルポリカルボン酸樹脂が、ガラス転移温度30℃〜70℃の範囲内であることを特徴とする上記1に記載の熱硬化型粉体塗料組成物、
3、上記熱硬化型粉体塗料組成物において、多価カルボン酸硬化剤、無水カルボン酸硬化剤、多価カルボン酸と1価カルボン酸の無水物から選ばれる1種もしくは2種以上の融点が70℃〜140℃の範囲内の酸硬化剤(C)を含有する上記1又は2に記載の熱硬化型粉体塗料組成物、
4、(B)ポリエステルポリカルボン酸樹脂が、該樹脂のカルボキシル基がエポキシ基含有ビニル系樹脂(A)のエポキシ基に対し、0.05〜0.6当量の範囲内になるように配合してなる上記1乃至3のいずれか1項に記載の熱硬化型粉体塗料組成物、
5、(B)ポリエステルポリカルボン酸樹脂が、数平均分子量300〜5000の範囲内であることを特徴とする上記1乃至4のいずれか1項に記載の熱硬化型粉体塗料組成物、
6、(B)ポリエステルポリカルボン酸樹脂が、ポリイソシアネート化合物(a)と多価アルコール(b)とを化合物(a)1モルに対して(b)を1.1〜4モルの範囲内で付加反応させて水酸基含有ウレタン樹脂(c)を製造し、次いで得られた水酸基含有ウレタン樹脂(c)と環状酸無水物(d)とを付加反応させてハーフエステル化させた樹脂(B)である上記1乃至5のいずれか1項に記載の熱硬化型粉体塗料組成物、
7、上記ポリイソシアネート化合物(a)が、4,4‘−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)を必須成分として含有する上記1乃至6のいずれか1項に記載の熱硬化型粉体塗料組成物、
8、自動車用被塗物表面に熱硬化型水性着色ベースコートを塗装し、次いで該未硬化の該水性ベースコートの表面に、上記した上記1乃至7のいずれか1項に記載の熱硬化型粉体塗料組成物を実質的に着色剤を含有しないクリヤーに調整した熱硬化型クリヤー粉体塗料組成物を静電塗装し、次いで形成された熱硬化型水性ベースコート及び熱硬化型クリヤー粉体塗料組成物の両塗膜を同時に加熱硬化させることを特徴とする自動車用塗膜形成方法
に係わる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本明細書において、ガラス転移温度は、DSC(示査走査熱量計)によって求めた値である。
【0009】
本発明に用いられるビニル系樹脂(A)において、該ビニル系樹脂を構成するラジカル重合性不飽和単量体成分としてエポキシ基含有ビニル系単量体を20重量%〜70重量%、好ましくは25重量%〜60重量%含有するガラス転移温度が30℃〜100℃、好ましくは35℃〜80℃、数平均分子量1000〜20000、好ましくは1500〜15000の範囲内の樹脂である。
【0010】
樹脂成分(A)中に含まれるエポキシ基含有ビニル系単量体成分量が20重量%未満になると耐酸性、耐候性、耐溶剤性などの塗膜性能が悪くなり、一方、エポキシ基含有ビニル系単量体成分量が70重量%を超えると塗料の貯蔵安定性や塗膜の仕上がり外観などが悪くなる。
【0011】
樹脂成分(A)のガラス転移温度が30℃未満になると粉体塗料の耐ブロッキング性が悪くなり、一方、ガラス転移温度が100℃を超えると塗膜の仕上がり外観が悪くなる。
【0012】
樹脂(A)の数平均分子量が1000を下回ると粉体塗料の耐ブロッキング性が劣り、かつ、耐酸性、耐溶剤性等の塗膜性能が低下するので好ましくない。数平均分子量が20000を超えると塗膜の仕上がり外観(平滑性)が劣るので好ましくない。
【0013】
上記エポキシ基含有ビニル系単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル、3、4ーエポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、βーメチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらのモノマーは1種あるいは2種以上組み合わせて使用できる。特にグリシジル(メタ)アクリレート、βーメチルグリシジル(メタ)アクリレートが好適である。
【0014】
その他のラジカル重合性不飽和単量体としては、例えば、スチレン、αーメチルスチレン、ビニルトルエン、αークロロスチレン等のビニル芳香族化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、 i−ブチル(メタ)アクリレート、 t−ブチル(メタ)アクリレート、2ーエチルヘキシル(メタ)アクリレート、nーオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜24のアルキルエステルまたは環状アルキルエステル等が挙げられる。
【0015】
樹脂(A)は、従来から公知の方法、例えば、有機溶剤(例えば、芳香族系、エステル系、エーテル系、脂肪族系炭化水素系等の1種もしくは2種以上の溶剤)中でラジカル重合開始剤(アゾ系化合物や過酸化物等の開始剤)の存在下でラジカル重合反応(例えば、約40〜200℃で約2時間〜24時間)させ、次いで使用した有機溶剤を除去(例えば、減圧等)することにより製造できる。
【0016】
本発明に使用されるポリエステルポリカルボン酸樹脂(B)は、1分子中にウレタン結合を平均2個以上、好ましくは平均2〜4個、シクロヘキサン環を平均2個以上、好ましくは平均2〜10個、且つ分子末端にカルボキシル基を平均2個以上、好ましくは平均2〜4個有するポリエステル樹脂(B)である。
【0017】
ポリエステルポリカルボン酸樹脂(B)において、1分子中にウレタン結合が平均2個未満になると、高仕上がり性に必要な低溶融粘度と耐ブロッキング性を有するガラス転移温度の両立が図れない。更に、ゲルタイム(硬化開始時間)が短くなり、十分に粉体粒子が流動する前に増粘、硬化が始まるので十分な仕上がり性、特に、水性ベース上での仕上が性に優れた塗膜が得られない。1分子中にシクロヘキサン環が平均2個未満になると塗膜の耐酸性が悪くなる。1分子中にカルボキシル基が平均2個未満になると十分な塗膜の硬化性が得られない。
【0018】
ポリエステルポリカルボン酸樹脂(B)は、例えば、ポリイソシアネート化合物(a)と多価アルコール(b)を化合物(a)1モルに対して多価アルコール(b)を1.0〜4モル、特に1.0〜3モルの範囲内で付加反応させて水酸基含有ウレタン樹脂(c)を製造し、次いで得られた水酸基含有ウレタン樹脂(c)と環状酸無水物(d)とを付加反応させてハーフエステル化することによって得ることができる。
【0019】
上記ポリイソシアネート化合物(a)としては、1分子中に平均2個以上のイソシアネート基を含有する化合物である。具体的には、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレン、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族系ジイソシアネート化合物:イソホロンジイソシアネート、4,4‘−メチレンビス(シクロヘキシルイソニアネート)、メチルシクロヘキサンー2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3−(又は1,4−)ジ(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,4−(又は1,2−)シクロヘキサンジイソシアネート、1、3−シクロペンタンジイソシアネートなどの脂環式系ジイソシアネート化合物:キシリレンジイソシアネート、メタキシリエンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物、あるいはこれらジイソシアネート化合物のビュレットタイプ付加物、イソシアヌル環タイプ付加物などが挙げられる。これらの中でも、特に4,4‘−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)を使用すると粉体塗料の耐ブロッキング性、塗膜の仕上がり外観、耐酸性等に優れれることからこのものを使用することが好ましい。
【0020】
また、多価アルコール(b)としては、1分子中に平均2個以上の水酸基を含有する化合物である。具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、3−メチル−4,3−ペンタンジオール、3−メチル−4,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニットなどの多価アルコールなどが挙げられる。
【0021】
上記したポリイソシアネート化合物(a)と多価アルコール(b)との配合割合は、化合物(a)1モルに対して多価アルコール(b)を1.0〜4モル、特に1.0〜3モルの範囲内で付加反応させる。配合割合が1.0モル未満になると塗膜の仕上がり性が劣り、一方、4モルを超えると塗膜の耐酸性が劣る。
【0022】
該ポリイソシアネート化合物(a)と多価アルコール(b)との付加反応は、従来から公知の反応方法、例えば、イソシアネート基及び水酸基に対して不活性な有機溶剤溶媒中で約10〜170℃、好ましくは約20〜150℃の温度範囲内で約1時間〜24時間、好ましくは約2時間〜8時間の範囲内で反応させることができる。
【0023】
かくして得られた水酸基含有ウレタン樹脂(c)は、水酸基価100〜700KOHmg/g、好ましくは150〜500KOHmg/g、数平均分子量230〜4500、好ましくは350〜3000の範囲内に入るものが好ましい。
【0024】
上記水酸基含有ウレタン樹脂(c)と反応させる環状酸無水物(d)としては、1分子中に1個の環状炭化水素環の炭素環結合に酸無水基が結合した化合物である。具体的には、例えば、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸などが挙げられる。
【0025】
上記水酸基含有ウレタン樹脂(c)と環状酸無水物(d)との配合割合は、樹脂(c)の水酸基に対して無水物(d)の無水基が0.5〜1.1当量、好ましくは0.6〜1.0当量の範囲内である。配合割合が0.5当量未満になると十分な硬化性が得られずに耐候性等が劣り、一方、1.1当量を超えると塗料の貯蔵安定性、塗膜の仕上がり外観等が悪くなる。
該水酸基含有ウレタン樹脂(c)と環状酸無水物(d)との付加反応は、従来から公知の反応方法で行なうことができる。該付加反応は樹脂(c)を不活性の有機溶剤(水酸基や酸無水基と実質的に反応しない溶媒)に溶解もしくは分散した溶液に酸無水物(d)を混合して約30〜200℃で約30分〜24時間保持することにより行なうことができる。
【0026】
かくして得られたポリカルボン酸ポリエステル樹脂(B)は、酸価30〜700KOHmg/g、好ましくは60〜500KOHmg/g、数平均分子量300〜5000、好ましくは400〜4000の範囲内に入るものが好ましい。酸価が30未満になると硬化性が低下して、塗膜の耐酸性、耐溶剤性等が劣り、一方、700を超えると塗膜の仕上がり外観が悪くなる。
【0027】
また、数平均分子量が300未満になると塗料の耐ブロッキング性が劣り、一方、5000を超えると塗膜の仕上がり外観が悪くなる。
【0028】
また、ポリカルボン酸ポリエステル樹脂(B)は、ガラス転移温度30℃〜70℃、好ましくは35〜65℃の範囲内が好ましい。温度が30未満になると塗料の耐ブロッキング性が劣り、一方、70℃を超えると塗膜の仕上がり外観が劣る。
【0029】
該ポリカルボン酸ポリエステル樹脂(B)の配合割合は、上記エポキシ基含有ビニル系樹脂(A)のエポキシ基に対して0.05〜1.2当量、特に0.1〜1.1の範囲内が好ましい。配合割合が0.05当量未満になると塗膜の仕上がり外観、耐酸性が劣り、一方、1.2当量を超えると塗膜の仕上がり外観、耐溶剤性等が劣る。
【0030】
また、ポリカルボン酸ポリエステル樹脂(B)は下記酸硬化剤(C)と併用して使用することができる。併用して使用する場合のポリカルボン酸ポリエステル樹脂(B)及び下記酸硬化剤(C)との配合割合は両者の合計量換算で上記エポキシ基含有ビニル系樹脂(A)のエポキシ基に対して0.5〜1.2当量、特に0.8〜1.1当量の範囲内が好ましい。配合割合が0.5当量未満になると塗膜の硬化性が低下して耐酸性、耐溶剤性等が劣り、一方、1.2当量を超えると塗膜の仕上がり外観が劣る。更に、併用した場合のポリカルボン酸ポリエステル樹脂(B)の配合割合は上記エポキシ基含有ビニル系樹脂(A)のエポキシ基に対して0.05〜0.6当量、特に0.1〜0.5当量の範囲内が好ましい。配合割合が0.05当量未満になるとゲルタイムが短くなり、十分な仕上がり性、特に水性ベース上での仕上がり性が得られず、0.6を超えると、溶融粘度が高くなり、十分な仕上がり性が得られないので好ましくない。
【0031】
本発明において、上記したポリカルボン酸ポリエステル樹脂(B)以外に、多価カルボン酸硬化剤、無水カルボン酸硬化剤、多価カルボン酸と1価カルボン酸の無水物から選ばれる1種もしくは2種以上の融点が70℃〜140℃の範囲内の酸硬化剤(C)を配合することができる。
【0032】
多価カルボン酸としては、具体的には、例えば、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン2酸、ドデカン2酸、トリデカン2酸、テトラデカン2酸、ペンタデカン2酸、エイコサン2酸等の脂肪族2塩基酸が好適に用いられる。
【0033】
無水カルボン酸硬化剤としては、具体的には、例えば、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン2酸、ドデカン二酸、トリデカン2酸、テトラデカン2酸、ペンタデカン2酸、エイコサン2酸等の脂肪族2塩基酸類の酸無水物が好適に使用できる。
【0034】
多価カルボン酸と1価カルボン酸の無水物としては、具体的には、例えば、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン2酸、ドデカン二酸、トリデカン2酸、テトラデカン2酸、ペンタデカン2酸、エイコサン2酸等の脂肪族2塩基酸類とパルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸等の1塩基酸類を無水化することで得られたものが好適に使用することができる。
【0035】
本発明粉体塗料において、上記成分以外に必要に応じてワキ防止剤、表面調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、ブロッキング防止剤、流動調整剤、帯電制御剤、着色顔料、充てん剤、硬化促進剤等のその他の配合物を配合することができる。
【0036】
本発明粉体塗料は、従来から公知の粉体製造方法により製造することができる。粉体塗料の製造方法としては、例えば、樹脂(A)、樹脂(B)及び必要に応じて酸硬化剤(C)をヘンシェルミキサー等の乾式混合機によりドライブレンドした後、このブレンド物を2軸溶融混練機等の溶融混練機により溶融混合し、冷却、粗粉砕、微粉砕、篩濾過することにより製造することができる。また、上記した以外に例えば、樹脂(A)、樹脂(B)及び必要に応じて酸硬化剤(C)を有機溶剤に溶解もしくは分散してなる有機溶剤溶液を、そのままもしくは水に置換したものを減圧(必要に応じて加熱)乾燥して有機溶剤や水を除去して固形化し、粗粉砕、微粉砕、篩濾過することにより製造することができる。更に、上記した以外に樹脂(A)、樹脂(B)及び必要に応じて酸硬化剤(C)を有機溶剤に溶解もしくは分散してなる有機溶剤溶液もしくは水性液を、凍結乾燥して固形化し、粗粉砕、微粉砕、篩濾過することにより製造することができる。
【0037】
本発明粉体塗料は、従来の粉体塗料と同様に、例えば、鉄鋼、アルミニウム、亜鉛、錫、銅、溶融亜鉛メッキ等の金属素材、該金属素材にりん酸亜鉛等の表面処理を施した表面処理素材又は電着塗装などのプライマーや中塗り塗装や下塗りベース塗装を施した塗装処理素材などの素材表面に、焼付け後の膜厚が通常約10〜200μm、好ましくは約20〜150μmの範囲になるように、例えば、静電スプレー塗装、摩擦帯電スプレー塗装、流動浸漬塗装等の塗装方法で粉体塗装し、次いで、例えば、約120℃〜300℃、好ましくは約140℃〜200℃の焼付け温度で約10〜60分間、好ましくは約20分間〜40分間焼付けることにより硬化塗膜を形成することができる。
【0038】
本発明の熱硬化型粉体塗料組成物は、例えば自動車、家電製品、鋼製家具、事務用品、建材等の従来から粉体塗料が使用されている用途に制限なしに適用できるが、特に塗膜の平滑性が望まれる自動車の外板や内板に使用することが好ましい。
【0039】
次に、本発明の熱硬化型粉体塗料組成物を自動車用粉体塗料組成物として適用した自動車用塗膜形成方法について以下に述べる。
【0040】
該自動車用塗膜は基材に下塗塗料および場合によりさらに中塗塗料を塗装してなる被塗物に、本発明の着色熱硬化型粉体塗料組成物を塗装する1コート方式、着色ベースコート塗料の塗面に本発明の熱硬化型クリヤー粉体塗料組成物を塗装する2コート方式のこれらのいずれの方式にも適用することができるが、特に、本発明熱硬化型粉体塗料組成物は水性着色ベースコートとして着色メタリック塗料または水性着色干渉模様塗料を塗装し、次いで未硬化の状態にあるベース塗膜表面に本発明の熱硬化型クリヤー粉体塗料組成物を塗装してから、本発明粉体塗料組成物の塗膜と水性着色ベースコートの塗膜の両者を同時に加熱硬化する2コート1ベイク方式(2C1B)の場合に、本発明塗料の効果を十分に生かすことができるので好適である。
【0041】
この2C1Bにおいて、自動車車体などの金属製もしくはプラスチック製の被塗物に直接、あるいは該被塗物にカチオン電着塗料などの下塗塗料および場合によりさらに中塗塗料を塗装し、硬化させた後に、水性着色ベースコートを塗装時の固形分濃度を10〜60重量%の範囲内に調整し、エアレススプレー、エアスプレー、静電塗装などの噴霧式塗装で、上記被塗物に硬化塗膜を基準にして10〜60μm、好ましくは10〜40μmの膜厚になるように塗装し、室温で1〜10分間程度放置してから、または約50〜約100℃の温度で1〜10分間程度乾燥してから、その未硬化塗面に、本発明の熱硬化型粉体塗料組成物を静電粉体塗装や摩擦帯電粉体塗装などの方法により形成塗膜を基準にして20〜100μm、好ましくは30〜80μmの膜厚になるように塗装したのち、約120〜約180℃の温度で10〜50分間程度加熱して該両塗膜を同時に硬化させることによって本発明方法を実施することができる。
上記した水性着色ベースコートは、自動車用水性着色ベースコートとして公知のものであれば制限なしに使用することができるが、特にメラミン硬化型水性着色ベースコートを使用することが好ましい。
【0042】
該メラミン硬化型水性着色ベースコートとしては、1分子中に水酸基およびカルボキシル基を併有する樹脂(i)及びメラミン樹脂硬化剤(ii)を硬化性樹脂成分とするものが好ましい。
【0043】
該樹脂(i)としては、アクリル系樹脂やポリエステル系樹脂などが好ましい。
該アクリル系樹脂は、水酸基含有不飽和単量体(ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のC2〜C20のヒドロキシアルキルエステルなど)、カルボキシル基含有不飽和単量体(アクリル酸およびメタクリル酸などのモノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、メサコン酸およびこれらの無水物やハーフエステル化物などのジカルボン酸もしくはその変性物など)及び必要に応じてその他のビニル系不飽和単量体(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のC1〜C22 アルキルエステル、スチレン、アクリロニトリル、など)を共重合させることにより得ることができる。該アクリル系樹脂は、その特性値としては、数平均分子量は5,000〜100,000、特に15,000〜80,000、水酸基価は20〜200mgKOH/g、特に40〜150mgKOH/g、そして酸価は10〜150mgKOH/g、特に20〜100mgKOH/gの範囲内にあることが好ましい。
【0044】
ポリエステル系樹脂は多塩基酸と多価アルコールとのエステル反応により得ることができ、該多塩基酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸およびこれらの無水物などがあげられ、また、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどがあげられる。該ポリエステル系樹脂は、数平均分子量が2,000〜100,000、特に3,000〜80,000、水酸基価が30〜120mgKOH/g、特に50〜80mgKOH/g、そして酸価は15〜100mgKOH/g、特に30〜50mgKOH/gの範囲内にあることが好ましい。
【0045】
上記メラミン樹脂(ii)硬化剤としては、部分メチロール化もしくは完全メチロール化したメラミン樹脂のメチロール基の一部もしくは全部をC1〜C8?アルカノール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどでエーテル化した部分エーテル化もしくは完全エーテル化メチロールメラミン樹脂であって、トリアジン環を1分子中に1〜5個有し、かつ分子量が300〜3,000、特に500〜2,000の範囲内にあるものが好ましい。これらの樹脂は水不溶性、水溶性のいずれであってもよい。
上記水性着色ベースコートは、上記各成分以外に、着色顔料、メタリック顔料、干渉顔料の少なくとも1種を含有し、必要に応じてオキサゾリン基含有化合物、体質顔料、有機溶剤、触媒、沈降防止剤、紫外線吸収剤などをさらに配合することが可能である。
【0046】
【発明の効果】
本発明粉体塗料は、エポキシ基含有ビニル系樹脂(A)と特定のポリカルボン酸ポリエステル樹脂(B)とを組み合せて使用していることから、該樹脂(B)がビニル系樹脂(A)の硬化剤として作用し、しかも樹脂(B)中のカルボキシル基はビニル系樹脂(A)のエポキシ基に対して初期硬化速度が遅いために、粉体塗料貯蔵中に硬化が進行し、貯蔵後の粉体塗料の流動性が低下して塗膜平滑性などが低下する恐れがないこと、粉体塗料の流動性が十分に行なわれるために平滑性に優れた塗膜が形成されること、及び硬化後の塗膜はポリカルボン酸ポリエステル樹脂(B)中のウレタン結合により塗膜物性(加工性等)が優れるといった顕著な効果を発揮するものである。
【0047】
【実施例】
以下、実施例を揚げて本発明を詳細に説明する。尚、特に断らない限り「部」または「%」は重量基準を表す。
【0048】
(1)粉体塗料の製造例
粉体用樹脂(A−1)の製造例
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器および滴下装置を備えた反応容器に、トルエン60部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、105℃に加熱して、スチレン15部、メチルメタクリレート30部、iso−ブチルメタクリレート15部、グリシジルメタクリレート40部、アゾビスイソブチロニトリル4部の混合液を約3時間かけて滴下した。滴下終了後105℃で1時間放置し、更に、アゾビスイソブチロニトリル0.5部、トルエン10部を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間105℃で放置し、反応を終了した。その後、減圧操作を行い、系中の溶剤を除去し、粉体用樹脂(A−1)を製造した。
【0049】
粉体用樹脂(A−2)の製造例
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器および滴下装置を備えた反応容器に、トルエン60部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、105℃に加熱して、スチレン15部、メチルメタクリレート35部、iso−ブチルメタクリレート25部、グリシジルメタクリレート25部、アゾビスイソブチロニトリル4部の混合液を約3時間かけて滴下した。滴下終了後105℃で1時間放置し、更に、アゾビスイソブチロニトリル0.5部、トルエン10部を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間105℃で放置し、反応を終了した。その後、減圧操作を行い、系中の溶剤を除去し、粉体用樹脂(A−2)を製造した。
【0050】
粉体樹脂(B−1)の製造例
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器を備えた反応容器に1,4−シクロヘキサンジメタノール288部、メチルイソブチルケトン100部を仕込み70℃に昇温した。その後、4,4‘−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)262部を2時間かけて滴下し、1時間反応させた。その後、100℃まで昇温し、2時間反応させた。その後、ヘキサヒドロ無水フタル酸を277部仕込み、130℃に昇温し、3時間反応させた。その後、減圧操作を行い、系中の溶剤を除去し、粉体樹脂(B−1)を得た。得られた樹脂の酸価は122であった。数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いたポリスチレン換算で1200であった。DSCより求めた樹脂Tgは47℃であった。
【0051】
粉体樹脂(B−2)の製造例
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器を備えた反応容器に1,4−シクロヘキサンジメタノール288部、メチルイソブチルケトン100部を仕込み70℃に昇温した。その後、ヘキサメチレンジイソシアネート168部を2時間かけて滴下し、1時間反応させた。その後、100℃まで昇温し、2時間反応させた。その後、ヘキサヒドロ無水フタル酸を277部仕込み、130℃に昇温し、3時間反応させた。その後、減圧操作を行い、系中の溶剤を除去し、粉体樹脂(B−1)を得た。得られた樹脂の酸価は143であった。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いたポリスチレン換算で1050であった。 DSCより求めた樹脂Tgは30℃であった。
【0052】
粉体樹脂(B−3)の製造例
温度計、サーモスタット、撹拌器、ディーンスターク水分離器を備えた反応容器に1,4−シクロヘキサンジメタノール108部、ヘキサヒドロ無水フタル酸154部を仕込み130℃に昇温し、1時間その温度後に保持した。その後、2時間かけて180℃に昇温し、180℃で30分反応させ、それからトルエンを20部仕込み、還流させながら縮合水を除去し、反応を進めた。酸価が120以下となった時点で反応を終了し、すみやかに減圧操作を行い、系中の溶剤を除去し、粉体樹脂(B−3)を得た。得られた樹脂の酸価は118であった。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いたポリスチレン換算で1150であった。 DSCより求めた樹脂Tgは31℃であった。
【0053】
粉体樹脂(B−4)の製造例
温度計、サーモスタット、撹拌器、ディーンスターク水分離器を備えた反応容器に1,4−シクロヘキサンジメタノール112部、ヘキサヒドロ無水フタル酸154部、トリメチロールエタン74部を仕込み180℃に昇温し、230℃まで2時間かけて昇温する。230℃で30分反応させ、それからキシレンを40部仕込み、還流させながら縮合水を除去し、反応を進めた。酸価が2以下となった時点で反応を終了し、すみやかに100℃まで冷却し、ヘキサヒドロ無水フタル酸188部を仕込み、その後、130℃まで昇温させた。その温度で半酸価と全酸価の差が10以下となった時点で反応を終了し、減圧操作を行い、系中の溶剤を除去し、粉体樹脂(B−4)を得た。得られた樹脂の酸価は141であった。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いたポリスチレン換算で1570であった。 DSCより求めた樹脂Tgは45℃であった。
尚、半酸価は通常の酸価測定と同様にアルコール性KOHで滴定した時の酸価であり、全酸価は試料をピリジン/水混合溶液で10分間還流させ、酸無水物を2つのカルボン酸に開環させた後、測定された値である。
(1)粉体塗料の製造例
粉体塗料(1)の製造例
粉体用樹脂(A−1)100部と硬化剤(B−1)33.9部、ドデカン2酸19.5部、ベンゾイン0.5部を室温でヘンシェルミキサーでドライブレンドした後、エクストルーダーで溶融混練した。次に冷却した後、ピンディスクで微粉砕し、150メッシュで濾過して粉体塗料(1)を得た。
【0054】
粉体塗料(2)〜(7)の製造例
表1に記載の配合で粉体塗料(1)の製造例と同様にして粉体塗料(2)〜(7)を製造した。
【0055】
【表1】
Figure 0004563533
【0056】
(2)水性ベースコート塗料の製造例
下記(C−1)水溶性アクリル樹脂45部(固形分)、下記(C−2)水分散性ポリエステル樹脂30部(固形分)、下記(C−3)ブチルエーテル化メチロールメラミン樹脂25部、下記メタリック顔料10部、青色有機顔料2部を混合分散して製造した。
【0057】
(C−1)水溶性アクリル樹脂
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器および滴下装置を備えた反応容器に、ブチルセロソルブ70部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、115℃に加熱して、スチレン30部、メチルメタクリレート15部、nーブチルアクリレート16.7部、2ーエチルヘキシルアクリレート20部、ヒドロキシエチルメタアクリレート12部、アクリル酸6.3部、アゾビスイソブチロニトリル1部の混合液を約3時間かけて滴下した。滴下終了後115℃で1時間放置し、更に、アゾビスイソブチロニトリル0.3部、ブチルセロソルブ10部を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間115℃で放置し、反応を終了した。得られたアクリル樹脂の酸価は50mgKOH/g、水酸基価は50mgKOH/g、数平均分子量45000であった。ついでこのアクリル樹脂のカルボキシル基をジメチルアミノエタノールで当量中和し、固形分含有率55%のアクリル樹脂水溶液(C−1)を得た。
【0058】
(C−2)水分散性ポリエステル樹脂
温度計、サーモスタット、撹拌器、ディーンスターク水分離器、還流冷却器を備えた反応容器にネオペンチルグリコール35.95部、トリメチロールプロパン11.68部、無水フタル酸25.34部およびアジピン酸31.24部を仕込み、230℃まで水を留去しなが3時間かけて昇温した。その後、少量のキシロールを加え、環流下、水分離器により水を留去しながら反応を5時間続けた。更に、無水トリメリット酸を6.57部仕込み180℃で1時間反応させ、ブチルセロソルブを加え、酸価40mgKOH/g、水酸基価80mgKOH/gおよび数平均分子量6000である不揮発分70%のポリエステル樹脂溶液を得た。このポリエステル樹脂溶液にジメチルアミノエタノールを加えて当量中和し、その後脱イオン水を加えた固形分含有率35%ポリエステルエマルジョン(C−2)を得た。
【0059】
(C−3)ブチルエーテル化メチロールメラミン樹脂「ユーバン28ー60」(三井化学社製、商品名)を使用した。
【0060】
メタリック顔料は「アルミペーストN7680」(東洋アルミニウム社製、商品名)を、青色有機顔料は「ヘリオーゲンブルーL6900」(BASF社製、商品名、シアニンブルー)を使用した。
【0061】
(3−1)塗板作成(溶剤系ベースコート上)
燐酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼鈑上にエポキシ系カチオン電着塗料を乾燥膜厚20ミクロンとなるように電着塗装し、焼き付けた電着塗膜上に自動車中塗りサーフェサーを乾燥膜厚20ミクロンとなるように焼き付けした後#400のサンドペーパーで水研ぎし、水切り乾燥した。次いでマジクロンベースコートHM−22(関西ペイント株式会社製、メタリック塗料、商品名)を硬化膜厚で約15ミクロンとなるように塗装し、乾燥器で140℃で30分間焼付け硬化させ試験用の素材とした。
次いで該素材の表面に上記1)で得た粉体塗料を膜厚が約70ミクロンとなるように静電塗装し、乾燥器で160℃で30分加熱硬化させた。
【0062】
(3−2)塗板作成(水性ベースコート上)
燐酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼鈑上にエポキシ系カチオン電着塗料を乾燥膜厚20ミクロンとなるように電着塗装し、焼き付けた電着塗膜上に自動車中塗りサーフェサーを乾燥膜厚25ミクロンとなるようにエアースプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けした後#400のサンドペーパーで水研ぎし、水切り乾燥し、次いで石油ベンジンで拭いて脱脂し試験用被塗物とした。次いで(2)で得た水性塗料の粘度を45秒/フォードカップ#4/20℃に調整し、前記の被塗物に硬化塗膜が15±3μmになるようにエアースプレーで塗装し、70℃で10分乾燥してから、未硬化塗面に、上記1)で得た粉体塗料を硬化膜厚が約70μmに成るように塗装した後、160℃で30分加熱して両塗膜を同時に硬化せしめた。
【0063】
(3ー1)および(3ー2)で得られた複層塗膜の性能試験結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
Figure 0004563533
【0065】
性能試験方法は下記のとおりである。
塗膜外観(目視):塗膜の仕上がり外観をツヤ感、平滑感から次の基準で評価した。○は良好なもの、△は若干劣るもの、×は劣るもの
平滑性:表面粗度計(サーフコム、商品名、東洋精密社製)を用いて中心線表面粗さRa(μm)を測定した。
【0066】
ワキ:塗膜の表面を目視で、発泡などによるヘコミ、突起などの有無について観察し、その程度を次の基準で評価した。○はヘコミ、突起などが全くなく、平滑性が良好である。△はヘコミ、突起などの発生が少し認められ、平滑性はやや劣る、×はヘコミ、突起などの発生が著しく認められ、平滑性は非常に劣る、ことを示す。
【0067】
仕上がり性:IV値およびフリップフロップ性(F/F)を調べた。ALCOPELMR−1OO(富士工業社製、商品名)を用いて測定した。IV値は塗膜中のアルミニウムフレークに白さの指標であり、アルミニウムフレークが塗面に対して平行に配向しているほど白く見え、その測定値は高い値を示す。フリップフロップ性(F/F)は塗面に対する角度によって光輝感が変化する度合いのことであり、アルミニウムフレークが塗面に対して平行に配向しているほど測定角度を少し変えただけでも光輝感は大きく変化し、その測定値は高い値を示す。
【0068】
耐酸性:40%硫酸を試験塗板に0.4ml滴下し、85℃に加熱したホットプレート上で、15分間加熱した後、水洗し、塗面を観察し、次の基準で評価した。○:全く変化のないもの、△:滴下部と非滴下部の境界に段差が認められるもの、×:塗膜が白化したもの。
【0069】
耐ガソリン性:試験片を室温でレギュラーガソリンに2時間浸漬した後の塗面を目視で観察した結果である。評価基準:○はブリスターや白化などがなく良好である、△:はブリスターや白化などが少し発生し、やや不良である、×はブリスターや光沢の低下の発生が著しく認められ不良せある、ことを示す。
【0070】
耐ブロッキング性:粉体塗料を底面積が約20cm2の円筒形容器に高さが60cmとなるように入れ、30℃で7日間放置した。その後、粉体塗料を取り出して状態を目視観察した。○は固まりが全くなく、耐ブロッキング性が良好、△は固まりが発生し、指で強く押さないと解れないもの、耐ブロッキング性が劣る、×は固まりが発生し、指で強く押しても解れないもの、耐ブロッキング性が非常に劣ることを示す。

Claims (7)

  1. 下記成分(A)ビニル系樹脂を構成するラジカル重合性不飽和単量体成分として該樹脂中にエポキシ基含有ビニル系単量体を20重量%〜70重量%の範囲内で含有するガラス転移温度が30℃〜100℃の範囲内のエポキシ基含有ビニル系樹脂及び(B)1分子中に、ウレタン結合を平均2個以上、シクロヘキサン環を平均2個以上、且つ分子末端にカルボキシル基を平均2個以上有し、ガラス転移温度35℃〜65℃の範囲内であるポリエステルポリカルボン酸樹脂を必須成分とする熱硬化型粉体塗料組成物。
  2. 上記熱硬化型粉体塗料組成物において、多価カルボン酸硬化剤、無水カルボン酸硬化剤、多価カルボン酸と1価カルボン酸の無水物から選ばれる1種もしくは2種以上の融点が70℃〜140℃の範囲内の酸硬化剤(C)を含有する請求項1に記載の熱硬化型粉体塗料組成物。
  3. (B)ポリエステルポリカルボン酸樹脂が、該樹脂のカルボキシル基がエポキシ基含有ビニル系樹脂(A)のエポキシ基に対し、0.05〜0.6当量の範囲内になるように配合してなる請求項1又は2に記載の熱硬化型粉体塗料組成物。
  4. (B)ポリエステルポリカルボン酸樹脂が、数平均分子量300〜5000の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱硬化型粉体塗料組成物。
  5. (B)ポリエステルポリカルボン酸樹脂が、ポリイソシアネート化合物(a)と多価アルコール(b)とを化合物(a)1モルに対して(b)を1.1〜4モルの範囲内で付加反応させて水酸基含有ウレタン樹脂(c)を製造し、次いで得られた水酸基含有ウレタン樹脂(c)と環状酸無水物(d)とを付加反応させてハーフエステル化させた樹脂(B)である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱硬化型粉体塗料組成物。
  6. 上記ポリイソシアネート化合物(a)が、4,4‘−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)を必須成分として含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱硬化型粉体塗料組成物。
  7. 自動車用被塗物表面に熱硬化型水性着色ベースコートを塗装し、次いで該未硬化の該水性ベースコートの表面に、上記した請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱硬化型粉体塗料組成物を着色剤を含有しないクリヤーに調整した熱硬化型クリヤー粉体塗料組成物を静電塗装し、次いで形成された熱硬化型水性ベースコート及び熱硬化型クリヤー粉体塗料組成物の両塗膜を同時に加熱硬化させることを特徴とする自動車用塗膜形成方法。
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