JP4336924B2 - 熱硬化性粉体塗料組成物及びそれを用いる上塗り塗膜形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な熱硬化性粉体塗料組成物及びそれを用いる上塗り塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車外板等の被塗物に形成される上塗り塗膜は、その用途から、平滑性等の仕上がり外観や、耐候性、耐溶剤性、耐酸性等の塗膜性能に優れることが要求される。また、近年、かかる要求水準が益々厳しくなってきている。
【0003】
従来、該被塗物に、2コート1ベーク方式等により上塗り塗膜を形成する場合のクリヤーコート組成物として、熱硬化性粉体塗料が用いられている。また、環境問題や省エネルギーの観点から、ベースコート組成物として熱硬化性水性塗料を用いることが求められている。
【0004】
しかし、熱硬化性粉体塗料においては、塗膜平滑性を良くすると耐候性、耐溶剤性、耐酸性等の塗膜性能が低下し、一方これらの塗膜性能を改善すると塗膜平滑性が低下してしまい、両者のバランスをとることは困難であるという問題があった。また、従来の熱硬化性粉体クリヤー塗料を水性ベースコート塗膜上に使用した場合には、かかる問題点が顕著に表れ、塗膜平滑性と上記各塗膜性能のいずれにも優れた上塗り塗膜を形成することは困難であった。
【0005】
例えば、水酸基及びカルボキシル基を有する樹脂とアルキルエーテル化メチロールメラミン樹脂を含有する熱硬化性水性ベース塗料の未硬化塗膜面に、エポキシ基含有アクリル樹脂とドデカン二酸等の二塩基酸又はその酸無水物である硬化剤を含有する熱硬化性粉体クリヤー塗料を塗装し、加熱により両塗膜を硬化させる2コート1ベーク方式による、上塗り塗膜形成方法が公知である(米国特許第5,585,146号)。
【0006】
しかしながら、上記方法において、該水性塗料及び該粉体塗料からなる両塗膜を同時に加熱硬化すると、加熱硬化時に水性塗膜において水酸基とアルキルエーテル基との反応によってアルコール成分が副生し、これが加熱溶融した粉体塗膜を通過して系外に揮散するときに粉体塗面にワキによるヘコミ、クレーター等を発生させる原因となり、塗膜の平滑性、鮮映性、物理的性能等を低下させる。また、水性塗膜内にりん片状メタリック顔料が含まれていると、その配向性が乱されメタリック感が低下する等の問題が生ずる。
【0007】
この場合、塗膜平滑性等を向上させるために、硬化開始時間を遅くし、粉体塗料粒子を十分に溶融させて熱フローさせようとすると、粉体塗膜の架橋が不十分となり、耐候性、耐溶剤性、耐酸性等の塗膜性能が低下することになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、平滑性等の仕上がり外観や、耐候性、耐溶剤性、耐酸性等の塗膜性能に優れた新規な熱硬化性粉体塗料組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、上記熱硬化性粉体塗料組成物を用いる上塗り塗膜形成方法を提供することにある。
【0010】
本発明のその他の目的及び特徴は、以下の記載により明らかになるであろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記従来技術の問題点を解消すべく鋭意研究を行った結果、エポキシ基含有樹脂の硬化剤として特定の酸無水物を必須成分とする硬化剤を使用した熱硬化性粉体塗料により、上記目的が達成できることを見出した。即ち、該粉体塗料は、硬化性が優れており、しかも水性ベースコート組成物を用いる2コート1ベーク方式による塗装法におけるクリヤコート組成物として使用すると、硬化開始時間を遅くしても、粉体塗膜の架橋が不十分とならないため、ワキが生じず、平滑性等の仕上がり外観や、耐候性、耐溶剤性、耐酸性等の塗膜性能に優れる上塗り塗膜を形成できることを見出した。本発明は、かかる新知見に基づいて完成されたものである。
【0012】
即ち、本発明は、
(A)エポキシ基含有樹脂、並びに
(B)一般式
X−COO−[CO−(CH2)m−COO]n−CO−X (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、炭素数が4〜12の分岐構造を有するアルキル基、R1−O−CO−R2−、R1−CO−R2−、又はR1−CO−NH−R2−を示す。R1は炭素数が1〜10の一価の飽和炭化水素基を、R2は炭素数が1〜10の二価の飽和炭化水素基を、それぞれ示す。また、mは6〜18の整数を、nは8〜50の整数を、それぞれ示す。)で表される酸無水物(a)と、
一般式
HO−[CO−(CH2)p−COO]q−H (2)
(式中、pは6〜18の整数を、qは2〜18の整数を、それぞれ示す。)で表される両末端にカルボキシル基を有する酸無水物(b)及び
一般式
HOOC−(CH2)t−COOH (3)
(式中、tは6〜18の整数を示す。)で表される二塩基酸(c)から選ばれる少なくとも一種とを併用した硬化剤であって、当該硬化剤中のカルボキシル基/酸無水基のモル比が0.15〜2.0の範囲である硬化剤
を含有し、しかも硬化剤(B)のカルボキシル基と酸無水基の総モル数が、エポキシ基含有樹脂(A)のエポキシ基のモル数に対して0.7〜1.2のモル比の範囲であることを特徴とする熱硬化性粉体塗料組成物を、提供するものである。
【0013】
また、本発明は、被塗物表面に熱硬化性水性着色ベースコート組成物を塗装した後、硬化させることなく、該塗装面にクリヤーコート組成物を塗装し、次いで両塗膜を加熱硬化させてなる2コート1ベーク方式による上塗り塗膜形成方法において、該クリヤーコート組成物が、上記熱硬化性粉体塗料組成物であることを特徴とする上塗り塗膜形成方法をも、提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明熱硬化性粉体塗料組成物におけるエポキシ基含有樹脂(A)は、分子中に少なくとも平均1個以上、好ましくは平均2個以上のエポキシ基を有する固体状樹脂であれば従来から公知のものを使用することができる。
【0015】
エポキシ基含有樹脂(A)としては、例えば、「エピコート1001」(エポキシ当量450〜500、油化シェル化学(株)製、商品名)「エピコート1004」(エポキシ当量875〜975、油化シェル化学(株)製、商品名)、「エピコート1007」(エポキシ当量1,750〜2,200、油化シェル化学(株)製、商品名)等のビスフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ基含有ビニル系単量体とその他の重合可能なビニル系単量体とを共重合して得られるエポキシ基含有共重合体等が挙げられる。
【0016】
該エポキシ基含有共重合体で使用されるエポキシ基含有ビニル系単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは1種又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの内、特にグリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレートが好適である。
【0017】
また、その他の重合可能なビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン等のビニル芳香族化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜24のアルキルエステル又は環状アルキルエステル等が挙げられる。
【0018】
エポキシ基含有ビニル系単量体は、エポキシ基含有共重合体を構成する単量体成分の内、20〜50重量%の範囲で使用するのが好ましく、25〜40重量%の範囲で使用するのがより好ましい。エポキシ基含有ビニル系単量体が20重量%を下回ると耐酸性、耐候性、耐溶剤性が悪くなり、一方、50重量%を上回ると塗料の貯蔵安定性、塗膜の平滑性等の仕上がり外観が悪くなるので好ましくない。
【0019】
また、エポキシ基含有樹脂(A)は、ガラス転移温度が40〜80℃、特に50℃〜70℃の範囲であるのが好ましい。ガラス転移温度が40℃より低いと得られる粉体塗料の粒子同士が融着を起こし易くなり、耐ブロッキング性が悪くなるので好ましくない。一方、80℃より高いと焼付け時における溶融粉体塗料の粘度が上がり仕上がり外観が低下するので好ましくない。該ガラス転移温度は、DSC(示査走査熱量計)によって求めることができる。
【0020】
該エポキシ基含有樹脂(A)の数平均分子量は、1,000〜10,000、特に2,000〜6,000の範囲が好ましい。数平均分子量が1,000を下回ると粉体塗料の耐ブロッキング性が低下し、又耐溶剤性、耐酸性等の塗膜性能が低下し、一方、数平均分子量が10,000を超えると塗膜の平滑性等の仕上がり外観が低下するので好ましくはない。
【0021】
本発明熱硬化性粉体塗料組成物における硬化剤(B)は、前記一般式(1)で表される酸無水物(a)を必須硬化剤成分とし、これに前記一般式(2)で表される両末端にカルボキシル基を有する酸無水物(b)及び前記一般式(3)で表される二塩基酸(c)から選ばれる少なくとも一種を併用した硬化剤であって、当該硬化剤中のカルボキシル基/酸無水基のモル比が0.15〜2.0の範囲のものである。
【0022】
上記硬化剤(B)において、カルボキシル基/酸無水基のモル比が0.15〜2.0であることが必要であり、0.2〜1.8であるのが好ましい。カルボキシル基/酸無水基のモル比が0.15を下回ると、十分な硬化性が得られず、一方2.0を上回ると、硬化開始時間が早くなって、塗膜にワキが生じたり、平滑性に劣ったりするので、いずれも好ましくない。
【0023】
また、硬化剤(B)は、酸無水物(a)に含まれる酸無水基のモル数が、硬化剤(B)のすべてのカルボキシル基と酸無水基の総モル数に対して、30〜70モル%であるのが好ましく、40〜60モル%であることがより好ましい。30モル%を下回ると、硬化開始時間が早くなって、塗膜にワキが生じたり、平滑性に劣ったりし、一方70モル%を上回ると、十分な硬化性が得られず、耐酸性、耐溶剤性等の塗膜物性が低下するので、いずれも好ましくない。
【0024】
一般式(1)において、Xで示される炭素数が4〜12の分岐構造を有するアルキル基としては、例えば、2−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、ネオペンチル、ネオデカニル基等を挙げることができる。R1で示される炭素数が1〜10の一価の飽和炭化水素基としては、一価の脂肪族炭化水素基、一価の脂環族炭化水素基又はこれらの炭化水素基が組合わさったもののいずれでも良く、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−オクチル、n−デカニル基等を挙げることができる。また、R2で示される炭素数が1〜10の二価の飽和炭化水素基としては、二価の脂肪族炭化水素基、二価の脂環族炭化水素基又はこれらの炭化水素基が組合わさったもののいずれでも良く、例えば、メチレン、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレン、n−ヘキシレン、シクロヘキシレン、n−オクタメチレン、n−ノナメチレン、n−デカメチレン基等を挙げることができる。
【0025】
一般式(1)において、mは6〜18の整数であることが必要である。mが5以下になると、組成物の硬化速度が速くなって、仕上がり外観が低下し、一方mが19以上になると硬化塗膜の架橋密度が低くなって、耐酸性、耐溶剤性等の塗膜性能が低下するので、いずれも好ましくない。
【0026】
一般式(1)で表される酸無水物(a)は、従来から公知の方法で、製造することができる。例えば、二塩基酸と、分岐構造を有する一塩基酸、エステル結合含有一塩基酸、ケトン結合含有一塩基酸及びアミド基含有一塩基酸から選ばれる少なくとも1種の一塩基酸とを、酸無水化反応することにより得られる。また、二塩基酸を酸無水化反応した後、生成物中の酸無水基の一部をアルコールでモノエステル化し、更に、酸無水化反応することにより、両末端エステル基を有する酸無水物を得ることができる。この時用いられるアルコールとしては、メタノール、エタノール、iso−プロパノール等が挙げられる。上記酸無水化反応においては、通常、無水酢酸等が使用される。
【0027】
上記二塩基酸としては、具体的には、例えば、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族二塩基酸類が挙げられる。
【0028】
また、末端基として存在する一塩基酸としては、例えば、イソオクタン酸、ジ−n−プロピオン酸、イソノナン酸、2−エチルヘキサン酸等の炭素数4〜12の分岐構造のアルキル基を有する一塩基酸類:コハク酸モノプロピルエステル、コハク酸モノブチルエステル、コハク酸モノ2−エチルヘキシルエステル、コハク酸モノn−オクチルエステル、ヘキサヒドロフタル酸モノメチルエステル、ヘキサヒドロフタル酸モノエチルエステル、ヘキサヒドロフタル酸モノプロピルエステル、ヘキサヒドロフタル酸モノブチルエステル等のエステル基を有する一塩基酸類:レブリン酸等のケトン基を有する一塩基酸類:アセトアミドウンデカン酸、ブチロアミドウンデカン酸等のアミド基を有する一塩基酸類等が挙げられる。
【0029】
一般式(1)において、Xの分子量は55〜230であるのが好ましく、70〜210であるのがより好ましい。Xの分子量が55を下回ると、酸無水物(a)の合成の際に、減圧工程により原料である未反応の一塩基酸が留出し、所望とする酸無水物を得ることが困難となり、又これを用いた粉体塗料を焼き付けた際に分解した一塩基酸が多量に揮散し、焼き付け炉やフィルター等に蓄積して装置を傷める恐れがあるので、好ましくない。一方、Xの分子量が230を越えると、これを用いた粉体塗料の硬化塗膜が軟らかくなり硬度が低くなったり、塗膜の極性が低下し、ガソリン、キシレン等に対する耐溶剤性が低下したりするので、好ましくない。
【0030】
一般式(1)において、末端基を形成する一塩基酸X−COOHの沸点は、200℃以上であるのが好ましく、220℃以上であることがより好ましい。沸点が200℃を下回ると、酸無水物(a)を合成する際に、減圧工程により原料である未反応の一塩基酸が留出し、所望とする酸無水物を得ることが困難となり、又これを用いた粉体塗料を焼き付けた際に分解した一塩基酸が多量に揮散し、焼き付け炉やフィルター等に蓄積し装置を傷める恐れがあるので好ましくない。
【0031】
一般式(1)において、nは重合度であり、二塩基酸と一塩基酸の仕込み比率又は二塩基酸/アルコールの仕込み比率を変えることで制御することができる。nは8〜50の整数であることが必要であり、10〜45の整数であるのが好ましい。nが8を下回ると、一塩基酸の無水物の比率が多くなり、粉体塗料の硬化性が低下し、好ましくない。nが50を上回ると、粉体塗料の溶融時の粘度が上昇し、平滑性等の仕上がり外観が低下するので、好ましくない。
【0032】
本発明で用いられる硬化剤(B)において、前記一般式(2)で表される酸無水物(b)としては、具体的には、例えば、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族二塩基酸類を、酸無水化反応して得られる酸無水物を好適に使用できる。
【0033】
一般式(2)において、pは6〜18の範囲の整数であり、5以下になると、塗料の硬化開始時間が早くなり、仕上がり外観が低下し、又19以上になると、硬化塗膜の架橋密度が低くなり、耐酸性、耐溶剤性等の塗膜性能が低下するので、いずれも好ましくない。一般式(2)において、qは重合度であり、2〜18の範囲の整数であり、3〜15の整数であるのが好ましい。qが18を上回ると、塗料の溶融時の粘度が上昇し、平滑性等の仕上がり外観が低下するので、好ましくない。
【0034】
本発明で用いられる硬化剤(B)において、前記一般式(3)で表される二塩基酸(c)としては、具体的には、例えばスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族二塩基酸を好適に使用できる。一般式(3)において、rは6〜18の整数であり、5以下であると、塗料の硬化開始時間が早くなり、仕上がり外観が低下し、又19以上であると硬化塗膜の架橋密度が低くなり、耐酸性、耐溶剤性等の塗膜性能が低下するので、いずれも好ましくない。
【0035】
本発明熱硬化性粉体塗料組成物は、エポキシ基含有樹脂(A)及び硬化剤(B)を必須成分として含有する。また、該硬化剤(B)は、酸無水物(a)を必須成分とし、これに酸無水物(b)及び/又は二塩基酸(c)を組み合わせて併用する。
【0036】
エポキシ基含有樹脂(A)と硬化剤(B)の配合割合は、硬化剤(B)のカルボキシル基と酸無水基の総モル数が、エポキシ基含有樹脂(A)のエポキシ基のモル数に対して0.7〜1.2のモル比の範囲となるような割合であることが必要である。硬化剤(B)のカルボキシル基と酸無水基の総モル数が、樹脂(A)のエポキシ基のモル数に対して0.7のモル比を下回ると、耐酸性、耐溶剤性等の塗膜性能が低下し、一方1.2のモル比を上回ると、平滑性等の仕上がり外観が低下するので、いずれも好ましくない。
【0037】
本発明で用いられる硬化剤(B)において、酸無水物(a)、酸無水物(b)及び二塩基酸(c)の融点は、それぞれ70℃以上であるのが好ましく、75℃以上であることがより好ましい。70℃を下回ると粉体塗料組成物の耐ブロッキング性が低下するので好ましくない。
【0038】
本発明の熱硬化性粉体塗料組成物においては、エポキシ基含有樹脂(A)及び硬化剤(B)以外に、必要に応じて、ワキ防止剤、表面調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、ブロッキング防止剤、流動調整剤、帯電制御剤、着色顔料、メタリック顔料、干渉顔料、充てん剤、硬化促進剤等の添加剤を配合できる。
【0039】
本発明の熱硬化性粉体塗料組成物の製造法としては、特に限定されず従来公知の方法を採用できるが、例えばエポキシ基含有樹脂(A)、硬化剤(B)、必要に応じてその他の成分を、ミキサー等でドライブレンドした後、加熱溶融混練し、冷却、粗粉砕、微粉砕、濾過することにより製造できる。
【0040】
本発明の熱硬化性粉体塗料組成物は、熱硬化性クリヤー粉体塗料組成物及び該クリヤー粉体塗料組成物に着色顔料、メタリック顔料及び干渉顔料から選ばれる少なくとも一種の顔料を配合してなる着色熱硬化性粉体塗料組成物として使用することができる。該熱硬化性クリヤー粉体塗料組成物は、上記顔料を、下地が透けて見える程度に配合しても、又は実質的に下地が透けて見えない程度に配合しても構わない。
【0041】
本発明の熱硬化性粉体塗料組成物は、被塗物に、粉体塗装し、焼付けることによって硬化塗膜を形成することができる。焼付け条件としては、例えば、約120〜180℃程度の温度で約10〜50分間程度とするのが好ましい。
【0042】
該被塗物としては、粉体塗装が可能な素材であれば特に制限なしに従来から公知のものを使用することができる。該被塗物としては、例えば、金属類、表面処理が施された金属類、プラスチック類、これらの素材に塗料が塗装されたもの等が挙げられる。
【0043】
粉体塗装は、それ自体公知の方法、例えば、静電粉体塗装、摩擦帯電粉体塗装等で行うことが好ましい。塗装膜厚は、特に制限されないが、通常、約20〜1,000μm、好ましくは約20〜80μmの範囲が好適である。
【0044】
本発明の熱硬化性粉体塗料組成物は、例えば、自動車等の車両、家電製品、鋼製家具、事務用品、建材等の従来から粉体塗料が使用されている用途に制限なしに適用できるが、特に塗膜の平滑性が望まれる車両の外板や内板に適用することが好ましい。
【0045】
次に、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を車両等の上塗り用粉体塗料組成物として適用した上塗り塗膜形成方法について以下に述べる。
【0046】
該上塗り塗膜形成方法は、車両用等の金属製又はプラスチック製の基材である被塗物又は該基材にカチオン電着塗料等の下塗塗料又は該下塗塗料及び中塗塗料を塗装してなる被塗物に、本発明の熱硬化性着色粉体塗料組成物を塗装する1コート方式、着色ベースコート組成物を塗装した塗面に本発明の熱硬化性クリヤー粉体塗料組成物を塗装する2コート方式のいずれの方式であってもよい。
【0047】
特に、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物は、被塗物表面に熱硬化性水性着色ベースコート組成物を塗装した後、硬化させることなく、該塗装面にクリヤーコート組成物を塗装し、次いで両塗膜を加熱硬化させてなる2コート1ベーク方式による上塗り塗膜形成方法において、該クリヤーコート組成物として、使用する場合に、本発明塗料の効果を十分に発揮することができる。
【0048】
上記熱硬化性水性着色ベースコート組成物としては、水性着色塗料、水性メタリック塗料、水性干渉模様塗料、水性着色メタリック塗料又は水性着色干渉模様塗料を、好適に使用できる。
【0049】
この2コート1ベーク方式の塗膜形成法において、上記被塗物に、水性着色ベースコート組成物を塗装時の固形分濃度を10〜60重量%の範囲内に調整し、エアレススプレー、エアスプレー、静電塗装等の噴霧式塗装で、硬化塗膜を基準にして10〜60μm程度、好ましくは10〜40μmの膜厚になるように塗装し、室温で1〜10分間程度放置してから、又は約50〜約100℃の温度で1〜10分間程度乾燥してから、その未硬化塗面に、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を静電粉体塗装、摩擦帯電粉体塗装等の方法により硬化塗膜を基準にして20〜100μm程度、好ましくは20〜80μmの膜厚になるように塗装したのち、約120〜約180℃の温度で10〜50分間程度加熱して該両塗膜を同時に硬化させることによって、好適に上塗り塗膜を形成することができる。
【0050】
上記水性着色ベースコート組成物は、車両用等の水性着色ベースコート組成物として公知のものであれば制限なしに使用することができるが、特にメラミン硬化型水性着色ベースコート組成物を使用することが好ましい。
【0051】
該メラミン硬化型水性着色ベースコート組成物としては、1分子中に水酸基及びカルボキシル基を併有する樹脂(i)及びメラミン樹脂(ii)を、硬化性樹脂成分として含有するものが好ましい。
【0052】
該樹脂(i)としては、水酸基及びカルボキシル基を含有するアクリル系樹脂やポリエステル系樹脂等が好ましい。
【0053】
該アクリル系樹脂は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のC2〜C20のヒドロキシアルキルエステル等の水酸基含有不飽和単量体;アクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、メサコン酸等のジカルボン酸、これらジカルボン酸の無水物やハーフエステル化物等の変性物等のカルボキシル基含有不飽和単量体;及び、必要に応じて、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のC1〜C22アルキルエステル、スチレン、アクリロニトリル等のその他のビニル系不飽和単量体を、共重合させることにより得ることができる。該アクリル系樹脂としては、数平均分子量が5,000〜100,000程度、特に15,000〜80,000、水酸基価が20〜200mgKOH/g程度、特に40〜150mgKOH/g、そして酸価が10〜150mgKOH/g程度、特に20〜100mgKOH/gの範囲内にあることが好ましい。
【0054】
該ポリエステル系樹脂は、多塩基酸と多価アルコールとのエステル化反応により得ることができる。該多塩基酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸及びこれらの無水物等があげられ、又多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等があげられる。該ポリエステル系樹脂は、数平均分子量が2,000〜100,000程度、特に3,000〜80,000、水酸基価が30〜120mgKOH/g程度、特に50〜80mgKOH/g、そして酸価が15〜100mgKOH/g程度、特に30〜50mgKOH/gの範囲内にあることが好ましい。
【0055】
硬化剤である上記メラミン樹脂(ii)としては、部分メチロール化又は完全メチロール化したメラミン樹脂のメチロール基の一部又は全部をC1〜C8のアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等でエーテル化した部分エーテル化又は完全エーテル化メチロールメラミン樹脂であって、トリアジン環を1分子中に1〜5個有し、且つ分子量が300〜3,000程度、特に500〜2,000の範囲内にあるものが好ましい。メラミン樹脂としては、親水性のものであっても、疎水性のものであってもよい。
【0056】
水性着色ベースコート組成物としては、上記(i)及び(ii)の各成分以外に、着色顔料、メタリック顔料、干渉顔料の少なくとも1種を含有し、必要に応じて、オキサゾリン基含有化合物、体質顔料、有機溶剤、触媒、沈降防止剤、紫外線吸収剤等をさらに配合することが可能である。
【0057】
【実施例】
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。尚、各例において、「部」又は「%」は、原則として重量基準を表す。
【0058】
製造例1 粉体塗料用エポキシ基含有樹脂(A−1)の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に、トルエン60部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、105℃に加熱して、スチレン15部、メチルメタクリレート30部、iso−ブチルメタクリレート20部、グリシジルメタクリレート35部及びアゾビスイソブチロニトリル4部の混合液を約3時間かけて滴下した。滴下終了後105℃で1時間放置し、更に、アゾビスイソブチロニトリル0.5部、トルエン10部を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間105℃で放置し、共重合反応を終了した。その後、減圧操作を行い、系中の溶剤を除去し、エポキシ基含有樹脂(A−1)を得た。該樹脂のガラス転移温度は54℃であり、数平均分子量は3,500であった。
【0059】
製造例2 粉体塗料用エポキシ基含有樹脂(A−2)の製造
モノマーとして、スチレン15部、メチルメタクリレート35部、iso−ブチルメタクリレート25部及びグリシジルメタクリレート25部を用いる以外は、製造例1と同様にして、エポキシ基含有樹脂(A−2)を得た。該樹脂のガラス転移温度は56℃であり、数平均分子量は3,400であった。
【0060】
製造例3 粉体塗料用エポキシ基含有樹脂(A−3)の製造
モノマーとして、スチレン15部、メチルメタクリレート30部、iso−ブチルメタクリレート18.3部、グリシジルメタクリレート15部及びメチルグリシジルメタクリレート21.7部を用いる以外は、製造例1と同様にして、エポキシ基含有樹脂(A−3)を得た。該樹脂のガラス転移温度は50℃であり、数平均分子量は3,500であった。
【0061】
製造例4 酸無水物(a−1)の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器を備えた反応容器に、ドデカン二酸391部及び無水酢酸173.5部を仕込み、撹拌しながら170℃まで酢酸を留去しながら、昇温した。酢酸が留出しなくなった後、170℃で30mmHgで減圧操作を行い、その後100℃まで冷却した。これにメタノール6.4部を1時間かけて滴下し、更に1時間エステル化反応させた。その後、無水酢酸173.5部を加え、170℃まで酢酸を留去しながら、昇温した。酢酸が留出しなくなった後、170℃で30mmHgで減圧操作を行い、冷却して酸無水物(a−1)を得た。
【0062】
得られた酸無水物は、融点86℃の固形物であり、一般式(1)において、n(重合度)が15.1(1H−NMR分析により測定)であり、Xが
CH3−O−CO−(CH2)10−である酸無水物であった。
【0063】
製造例5 酸無水物(a−2)の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器を備えた反応容器にドデカン二酸345部、イソノナン酸31.6部及び無水酢酸326.4部を仕込み、撹拌しながら170℃まで酢酸を留去しながら、昇温した。酢酸が留出しなくなった後、170℃で30mmHgで減圧操作を行い、冷却して酸無水物(a−2)を得た。
【0064】
得られた酸無水物は、融点85℃の固形物であり、一般式(1)において、n(重合度)が14.7(1H−NMR分析により測定)であり、Xが
(CH3)3CCH2CH(CH3)CH2−である酸無水物であった。
【0065】
製造例6 酸無水物(a−3)の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器を備えた反応容器に、無水コハク酸100部及びn−ブタノール222部を仕込み、100℃で3時間反応させた。その後、減圧により過剰のn−ブタノールを留去し、酸価320mgKOH/gのコハク酸モノブチルエステルを得た。更に、温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器を備えた反応容器に、このコハク酸モノブチルエステル34.8部、ドデカン二酸345部及び無水酢酸326.4部を仕込み、撹拌しながら170℃まで酢酸を留去しながら、昇温した。酢酸が留出しなくなった後、170℃で30mmHgで減圧操作を行い、冷却して酸無水物(a−3)を得た。
【0066】
得られた酸無水物は、融点85℃の固形物であり、一般式(1)において、n(重合度)が15.5(1H−NMR分析により測定)であり、Xが
C4H9−O−CO−(CH2)2−である酸無水物であった。
【0067】
製造例7 酸無水物(a−4)の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器を備えた反応容器に、アミノウンデカン酸20.1部、酢酸ブチル116.2部を仕込み、120℃で副生するブタノールを共沸留去しながら8時間反応させた。その後、更に酢酸ブチルを58.1部追加し、120℃でブタノールを共沸留去しながら3時間反応させた。その後、減圧によりブタノール及び過剰の酢酸ブチルを留去し、アセトアミドウンデカン酸を得た。更に、温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器を備えた反応容器に、このアセトアミドウンデカン酸48.6部、ドデカン二酸345部及び無水酢酸326.4部を仕込み、撹拌しながら170℃まで酢酸を留去しながら、昇温した。酢酸が留出しなくなった後、170℃で30mmHgで減圧操作を行い、冷却して酸無水物(a−4)を得た。
【0068】
得られた酸無水物は、融点87℃の固形物であり、一般式(1)において、n(重合度)が14.3(1H−NMR分析により測定)であり、Xが
CH3−CO−NH−(CH2)10−である酸無水物であった。
【0069】
製造例8 酸無水物(a−5)の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器を備えた反応容器に、ドデカン二酸184部及び無水酢酸81.6部を仕込み、撹拌しながら170℃まで酢酸を留去しながら、昇温した。酢酸が留出しなくなった後、170℃で30mmHgで減圧操作を行い、その後100℃まで冷却した。これにメタノール6.4部を1時間かけて滴下し、更に1時間エステル化反応させた。その後、無水酢酸81.6部を加え、170℃まで酢酸を留去しながら、昇温した。酢酸が留出しなくなった後、170℃で30mmHgで減圧操作を行い、冷却して酸無水物(a−5)を得た。
【0070】
得られた酸無水物は、融点80℃の固形物であり、一般式(1)において、n(重合度)が5.7(1H−NMR分析により測定)であり、Xが
CH3−O−CO−(CH2)10−である酸無水物であった。
【0071】
製造例9 酸無水物(a−6)の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器を備えた反応容器に、ドデカン二酸345部、ステアリン酸56.9部及び無水酢酸326.4部を仕込み、撹拌しながら170℃まで酢酸を留去しながら、昇温した。酢酸が留出しなくなった後、170℃で30mmHgで減圧操作を行い、冷却して酸無水物(a−6)を得た。
【0072】
得られた酸無水物は、融点85℃の固形物であり、一般式(1)において、n(重合度)が14.6(1H−NMR分析により測定)であり、Xが
CH3−(CH2)16−である酸無水物であった。
【0073】
製造例10 酸無水物(b−1)の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器を備えた反応容器に、ドデカン二酸391部及び無水酢酸173.5部を仕込み、撹拌しながら170℃まで酢酸を留去しながら、昇温した。酢酸が留出しなくなった後、170℃で30mmHgで減圧操作を行い、冷却して酸無水物(b−1)を得た。
【0074】
得られた酸無水物は、融点86℃の固形物であり、一般式(2)において、n(重合度)が4.0(1H−NMR分析により測定)である両末端にカルボキシル基を有する酸無水物であった。
【0075】
実施例1 本発明粉体塗料1の製造
エポキシ基含有樹脂(A−1)100部と酸無水物(a−1)25.3部、酸無水物(b−1)19.1部、及びワキ防止剤であるベンゾイン0.5部を、室温でヘンシェルミキサーでドライブレンドした後、エクストルーダーで溶融混練した。次に、冷却後、ピンディスクで微粉砕し、150メッシュの篩で濾過して、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物1を得た。この組成物において、酸無水物(a−1)及び酸無水物(b−1)からなる硬化剤(B)のカルボキシル基と酸無水基の総モル数は、エポキシ基含有樹脂(A−1)のエポキシ基のモル数に対して0.9のモル比であった。
【0076】
実施例2〜12及び比較例1〜13 本発明粉体塗料2〜12及び比較用粉体塗料1〜13の製造
実施例1と同様にして、表1記載の配合で、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物2〜12及び比較用熱硬化性粉体塗料組成物1〜13を製造した。これらの各組成物において、硬化剤(B)のカルボキシル基と酸無水基の総モル数は、いずれもエポキシ基含有樹脂(A)のエポキシ基のモル数に対して0.9のモル比であった。
【0077】
下記表1における配合量は部を表す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
製造例11 水性ベースコート組成物の製造
(1)(C−1)水性アクリル樹脂の調製
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に、ブチルセロソルブ70部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、115℃に加熱して、スチレン30部、メチルメタクリレート15部、n−ブチルアクリレート16.7部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、ヒドロキシエチルメタアクリレート12部、アクリル酸6.3部、及びアゾビスイソブチロニトリル1部の混合液を約3時間かけて滴下した。滴下終了後115℃で1時間放置し、更に、アゾビスイソブチロニトリル0.3部、ブチルセロソルブ10部を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間115℃で放置し、共重合反応を終了して、固形分含有率65%のカルボキシル基及び水酸基含有アクリル樹脂溶液を得た。得られたアクリル樹脂の酸価は50mgKOH/g、水酸基価は50mgKOH/g、数平均分子量は45,000であった。ついで、このアクリル樹脂のカルボキシル基をジメチルアミノエタノールで当量中和し、水希釈して、固形分含有率55%のアクリル樹脂水溶液(C−1)を得た。
【0082】
(2)(C−2)水分散性ポリエステル樹脂の調製
温度計、サーモスタット、撹拌器、ディーンスターク水分離器、還流冷却器を備えた反応容器に、ネオペンチルグリコール35.95部、トリメチロールプロパン11.68部、無水フタル酸25.34部及びアジピン酸31.24部を仕込み、230℃まで水を留去しなが3時間かけて昇温した。その後、少量のキシレンを加え、環流下、水分離器により水を留去しながら反応を5時間続けた。更に、無水トリメリット酸を6.57部仕込み180℃で1時間反応させ、ブチルセロソルブを加えて、酸価40mgKOH/g、水酸基価80mgKOH/g及び数平均分子量6,000である不揮発分70%のカルボキシル基及び水酸基含有ポリエステル樹脂溶液を得た。このポリエステル樹脂溶液にジメチルアミノエタノールを加えて当量中和し、その後脱イオン水を加えた固形分含有率35%のポリエステルエマルジョン(C−2)を得た。
【0083】
(3)(C−3)メラミン樹脂として、ブチルエーテル化メチロールメラミン樹脂「ユーバン28−60」(三井化学(株)製、商品名)を使用した。
【0084】
(4)メタリック顔料として、「アルミペーストN7680」(東洋アルミニウム(株)製、商品名)を使用した。
【0085】
(5)青色有機顔料として、「ヘリオーゲンブルーL6900」(BASF社製、商品名、シアニンブルー)を使用した。
【0086】
(6)上記の(C−1)水溶性アクリル樹脂45部(固形分)、(C−2)水分散性ポリエステル樹脂30部(固形分)、(C−3)メラミン樹脂25部、メタリック顔料10部及び青色有機顔料2部を混合分散して、熱硬化性水性着色ベースコート組成物を製造した。
【0087】
実施例13〜24及び比較例14〜26
実施例1〜12で得た本発明熱硬化性粉体塗料組成物1〜12及び比較例1〜13で得た比較用熱硬化性粉体塗料組成物1〜13を、2コート1ベーク方式による上塗り塗膜形成法におけるクリヤー塗料組成物として用いて、下記の様にして、塗装板I及び塗装板IIを作成した。
【0088】
(1)塗装板1の作成(溶剤系ベースコート組成物を使用)
燐酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼鈑上に、エポキシ系カチオン電着塗料を乾燥膜厚20μmとなるように電着塗装し、焼き付けた電着塗膜上に、自動車用のアルキド樹脂/アミノ樹脂系溶剤型中塗りサーフェサーを硬化膜厚20μmとなるようにエアースプレー塗装し、140℃で20分間焼き付けした後#400のサンドペーパーで水研ぎし、水切り乾燥して、被塗物を得た。
【0089】
上記被塗物に、「マジクロンベースコートHM−22」(関西ペイント(株)製、メタリック塗料、商品名)を硬化膜厚で約15μmとなるように塗装し、乾燥器で140℃で30分間焼付け硬化させた。次いで、このベースコートの塗膜表面に、各粉体塗料組成物を硬化膜厚が約70μmとなるように静電塗装し、乾燥器で160℃で30分加熱硬化させた。かくして、2コート2ベーク方式による上塗り塗膜を形成した。
【0090】
(2)塗装板IIの作成(水性ベースコート組成物を使用)
燐酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼鈑上に、エポキシ系カチオン電着塗料を乾燥膜厚20μmとなるように電着塗装し、焼き付けた電着塗膜上に、自動車用のアルキド樹脂/アミノ樹脂系溶剤型中塗りサーフェサーを硬化膜厚25μmとなるようにエアースプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けした後#400のサンドペーパーで水研ぎし、水切り乾燥し、次いで石油ベンジンで拭いて脱脂して、被塗物とした。
【0091】
上記被塗物に、製造例11で得た熱硬化性水性着色ベースコート組成物を、粘度45秒/フォードカップ#4/20℃に調整して、硬化塗膜が15±3μmになるようにエアースプレーで塗装し、70℃で10分乾燥してから、その未硬化塗面に、各粉体塗料組成物を硬化膜厚が約70μmになるように静電塗装した後、160℃で30分加熱して、両塗膜を同時に硬化せしめた。かくして、2コート1ベーク方式による上塗り塗膜を形成した。
【0092】
上記で得た各上塗り複層塗膜の仕上がり外観を、目視、中心線表面粗さ、ワキ、IV値及びフリップフロップ性について、調べた。また、耐酸性、耐ガソリン性及び耐キシレン性について、塗膜性能を調べた。試験方法を、下記に示す。
【0093】
目視による塗膜の仕上がり外観:外観をツヤ感、平滑感から次の基準で評価した。○は外観が良好なことを、△は外観が若干劣ることを、×は外観が劣ることを、それぞれ示す。
【0094】
中心線表面粗さRa:表面粗度計(「サーフコム」、商品名、東洋精密(株)製)を用いて、中心線表面粗さRa(μm)を測定した。数値が小さい程、塗膜の平滑性が良好である。
【0095】
ワキ:塗膜の表面を目視で、発泡等によるヘコミ、突起等の有無について観察し、その程度を次の基準で評価した。○はヘコミ、突起等が全くなく、平滑性が良好であることを、△はヘコミ、突起等の発生が少し認められ、平滑性がやや劣ることを、×はヘコミ、突起等の発生が著しく認められ、平滑性が著しく劣ることを、それぞれ示す。
【0096】
IV値及びフリップフロップ性(FF値):これらを、「ALCOPELMR−100」(富士工業(株)製、商品名)を用いて測定した。これらの測定により、次のように、仕上がり外観が判る。IV値は塗膜中のアルミニウムフレークによる白さの指標であり、アルミニウムフレークが塗面に対して平行に配向しているほど白く見え、その測定値は高い値を示す。フリップフロップ性(FF値)は塗面に対する角度によって光輝感が変化する度合いのことであり、アルミニウムフレークが塗面に対して平行に配向しているほど測定角度を少し変えただけでも光輝感は大きく変化し、その測定値は高い値を示す。
【0097】
耐酸性:塗装板に、40%硫酸を0.4ml滴下し、85℃に加熱したホットプレート上で、15分間加熱した後、水洗し、塗面を観察し、次の基準で評価した。○は全く変化がなく、耐酸性が良好であることを、△は滴下部と非滴下部の境界に段差が認められ、耐酸性がやや劣ることを、×は塗膜が白化し、耐酸性が劣ることを、それぞれ示す。
【0098】
耐ガソリン性:塗装板を、室温で自動車用ガソリン(JIS K 2202)に2時間浸漬した後の塗面を目視で観察した結果である。評価基準は、○がブリスターや白化等がなく耐ガソリン性が良好であることを、△がブリスターや白化等が少し発生し、耐ガソリン性がやや不良であることを、×がブリスターや光沢の低下の発生が著しく認められ耐ガソリン性が不良であることを、それぞれ示す。
【0099】
耐キシレン性:塗装板上に、キシレンを0.5mLスポットし、30分室温で放置する。その後、カーゼでキシレンを拭き取った後、塗面を目視で評価する。○はスポット跡が全く無く、耐キシレン性が良好であることを、△はスポット部輪郭が確認でき、耐キシレン性が劣ることを、×はスポット部に明らかな膨潤がみられ、耐キシレン性が著しく劣ることを、それぞれ示す。
【0100】
上記各試験結果を、表2に示す。
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】
【発明の効果】
従来、熱硬化性粉体塗料においては、塗膜平滑性等の塗膜の仕上がり外観を良くすると耐候性、耐溶剤性、耐酸性等の塗膜性能が低下し、一方これらの塗膜性能を改善すると塗膜平滑性が低下し、両者のバランスをとることは困難であった。また、従来の粉体塗料を、水性ベースコート組成物を用いた2コート1ベーク方式のクリヤーコート組成物として使用した場合には、このような問題が顕著に表れ仕上がり外観及び塗膜性能の両者に優れた塗膜を形成することは困難であった。
【0104】
これに対して、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物によれば、エポキシ基含有樹脂の硬化剤として、酸無水基とカルボキシル基を特定割合で含有した特定の硬化剤を使用していることに基づいて、粉体塗料が溶融流動した後に、硬化が行われることから、水性ベースコート組成物を用いた2コート1ベーク方式のクリヤーコート塗料として用いた場合にも塗膜平滑性及び塗膜性能のいずれにも優れるといった顕著な効果を発揮するものである。
Claims (9)
- (A)エポキシ基含有樹脂、並びに(B)一般式
X−COO−[CO−(CH2)m−COO]n−CO−X (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、炭素数が4〜12の分岐構造を有するアルキル基、R1−O−CO−R2−、R1−CO−R2−、又はR1−CO−NH−R2−を示す。R1は炭素数が1〜10の一価の飽和炭化水素基を、R2は炭素数が1〜10の二価の飽和炭化水素基を、それぞれ示す。また、mは6〜18の整数を、nは8〜50の整数を、それぞれ示す。)で表される酸無水物(a)と、一般式
HO−[CO−(CH2)p−COO]q−H (2)
(式中、pは6〜18の整数を、qは2〜18の整数を、それぞれ示す。)で表される両末端にカルボキシル基を有する酸無水物(b)及び一般式
HOOC−(CH2)t−COOH (3)
(式中、tは6〜18の整数を示す。)で表される二塩基酸(c)から選ばれる少なくとも一種とを併用した硬化剤であって、当該硬化剤中のカルボキシル基/酸無水基のモル比が0.15〜2.0の範囲であり、かつ当該硬化剤中に含まれるカルボキシル基と酸無水基の総モル数に対し、酸無水物(a)に含まれる酸無水基のモル数が30〜70モル%である硬化剤を含有し、しかも硬化剤(B)のカルボキシル基と酸無水基の総モル数が、エポキシ基含有樹脂(A)のエポキシ基のモル数に対して0.7〜1.2のモル比の範囲であることを特徴とする熱硬化性粉体塗料組成物。 - エポキシ基含有樹脂(A)が、エポキシ基含有ビニル系単量体とその他の重合可能なビニル系単量体とを共重合して得られるエポキシ基含有共重合体である請求項1に記載の粉体塗料組成物。
- エポキシ基含有樹脂(A)が、該エポキシ基含有共重合体を構成する単量体成分として、エポキシ基含有ビニル系単量体を20〜50重量%含有してなる請求項2に記載の粉体塗料組成物。
- エポキシ基含有樹脂(A)が、ガラス転移温度が40〜80℃の範囲のものである請求項1に記載の粉体塗料組成物。
- エポキシ基含有樹脂(A)が、数平均分子量が1,000〜10,000の範囲のものである請求項1に記載の粉体塗料組成物。
- 一般式(1)において、末端基を形成する一塩基酸X−COOHの沸点が200℃以上である請求項1に記載の粉体塗料組成物。
- 一般式(1)において、Xの分子量が55〜230である請求項1に記載の粉体塗料組成物。
- 硬化剤(B)において、酸無水物(a)、酸無水物(b)及び二塩基酸(c)の融点が、それぞれ70℃以上である請求項1に記載の粉体塗料組成物。
- 被塗物表面に熱硬化性水性着色ベースコート組成物を塗装した後、硬化させることなく、該塗装面にクリヤーコート組成物を塗装し、次いで両塗膜を加熱硬化させてなる2コート1ベーク方式による上塗り塗膜形成方法において、該クリヤーコート組成物が、請求項1に記載の熱硬化性粉体塗料組成物であることを特徴とする上塗り塗膜形成方法。
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