JP4556137B2 - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents

弁開閉時期制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4556137B2
JP4556137B2 JP2005350512A JP2005350512A JP4556137B2 JP 4556137 B2 JP4556137 B2 JP 4556137B2 JP 2005350512 A JP2005350512 A JP 2005350512A JP 2005350512 A JP2005350512 A JP 2005350512A JP 4556137 B2 JP4556137 B2 JP 4556137B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
fluid
chamber
lock
hydraulic oil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005350512A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007154748A (ja
Inventor
勝彦 江口
正宣 松坂
仁樹 向出
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Aisin Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisin Seiki Co Ltd, Aisin Corp filed Critical Aisin Seiki Co Ltd
Priority to JP2005350512A priority Critical patent/JP4556137B2/ja
Publication of JP2007154748A publication Critical patent/JP2007154748A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4556137B2 publication Critical patent/JP4556137B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01LCYCLICALLY OPERATING VALVES FOR MACHINES OR ENGINES
    • F01L1/00Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear
    • F01L1/34Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of means for changing the timing of the valves without changing the duration of opening and without affecting the magnitude of the valve lift
    • F01L1/344Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of means for changing the timing of the valves without changing the duration of opening and without affecting the magnitude of the valve lift changing the angular relationship between crankshaft and camshaft, e.g. using helicoidal gear
    • F01L1/3442Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of means for changing the timing of the valves without changing the duration of opening and without affecting the magnitude of the valve lift changing the angular relationship between crankshaft and camshaft, e.g. using helicoidal gear using hydraulic chambers with variable volume to transmit the rotating force
    • F01L2001/3445Details relating to the hydraulic means for changing the angular relationship
    • F01L2001/34453Locking means between driving and driven members
    • F01L2001/34466Locking means between driving and driven members with multiple locking devices

Landscapes

  • Valve Device For Special Equipments (AREA)

Description

本発明は、内燃機関における弁の開閉時期を制御するための弁開閉時期制御装置に関する。
自動車用エンジン等の内燃機関において、クランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転部材とカムシャフトに対して同期回転する従動側回転部材との相対回転位相を変位させることにより、バルブタイミングを適切に調節して好適な運転状態を達成することができる弁開閉時期制御装置が知られている。この種の内燃機関の弁開閉時期制御装置として、例えば、下記特許文献1には以下のような構成が開示されている。
図14に示すように、この弁開閉時期制御装置は、外部ロータ(駆動側回転部材)101に設けられて外部ロータ101の径方向に動作可能な2個のロック体102と、各ロック体102を径方向内方に付勢するスプリング103と、内部ロータ(従動側回転部材)104に設けられて前記2個のロック体102が同時に突入可能なロック溝105とを備えている。また、外部ロータ101と内部ロータ104とにより形成された流体圧室114が設けられている。この流体圧室114は、内部ロータ104に設けられたベーン113によって進角室111と遅角室112とに仕切られる。そして、進角室111は、流体が供給されることにより外部ロータ101に対する内部ロータ104の相対回転位相を進角方向に移動させ、遅角室112は、相対回転位相を遅角方向に移動させる。
ここで、前記2個のロック体102は、一方のロック体102が外部ロータ101と内部ロータ104との相対回転位相の進角方向への変位を阻止し、他方のロック体102が相対回転位相の遅角方向への変位を阻止するものとなっている。そして、前記2個のロック体102の両方がロック溝105に突入することにより、相対回転位相が所定のロック位相においてロックされる構成となっている。ここで、ロック位相は、内燃機関の円滑な始動性が得られる弁開閉時期となる位相に設定されている。また、燃費がより良好になるように上記相対回転位相を調節することや、排気ガスがより清浄になるように上記相対回転位相を調節することもできる。
また、引用文献1の弁開閉時期制御装置は、内燃機関を始動させると共に上記相対回転位相を遅角方向に移動させるとき、次のような制御を行っている。先ず、内燃機関の停止時は、進角室111及び遅角室112には流体は供給されず、ドレインされている。ロック溝105にも流体は供給されていないため、2個のロック体102の両方はロック溝105に突入して、相対回転位相はロックされている。このような初期状態において、先ず内燃機関を始動する。次に、遅角室112への流体の供給と、ロック溝105への流体の供給とを併せて行う。その結果、内燃機関が運転した状態において、相対回転位相のロックが解除されると共に、相対回転位相が遅角方向に移動する。
特開2004−116412号公報(第5−6頁、図2)
ところで、内燃機関の始動時の弁開閉時期(つまり、相対回転位相)は燃焼室の温度等の内燃機関の状態に応じて適宜調節できれば好ましい。しかしながら、引用文献1の弁開閉時期制御装置の構成では、一の位相に設定されたロック位相でしか相対回転位相を拘束することができず、内燃機関の状態に応じて始動時の最適な弁開閉時期が得られる位相に前記相対回転位相をロックすることはできない。そのため、内燃機関の始動時において、内燃機関の始動性を優先したい場合、燃費を優先したい場合、排気ガスの清浄性を優先したい場合など、様々な状況に応じた上記相対回転位相のロック位相の調節を行うことができない。
また、例えば遅角室へ流体を供給して相対回転位相を遅角方向へ移動させるとき、その遅角方向への移動を阻害しようとする何らかの抵抗が存在すれば、相対回転位相の遅角方向への移動を安定させることができる。具体的には、進角室に流体が充填されていれば、遅角室へ流体を供給して相対回転位相を遅角方向へ移動させるとき、進角室内の流体の存在が抵抗となって、相対回転位相の遅角方向への移動は安定する。
しかし、引用文献1の弁開閉時期制御装置は、内燃機関を始動した後、進角室111及び遅角室112の流体がドレインされている状態で、遅角室112へ流体を供給して相対回転位相を遅角方向へ移動させるとともに、相対回転位相のロックを解除している。このとき、進角室111には流体は存在しないため、進角室111は上記抵抗の役割を果たすことなくその容積は容易に変動する。よって、相対回転位相のロックが解除されると、進角室111及び遅角室112の容積変動が発生しながら(つまり、ベーン113がバタツキながら)、相対回転位相が遅角方向に移動することになる。そして、ベーン113と外部ロータ101とが当接することにより打音が発生するといった問題や、相対回転位相が不安定になることで、始動性、燃費、排気ガスの清浄性が悪化するといった問題が発生する。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関の状態に応じて始動時の最適な弁開閉時期を得ることができ、且つ、始動時における部材同士の打音が抑制された弁開閉時期制御装置を提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る弁開閉時期制御装置の特徴構成は、内燃機関のクランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転部材と、
前記駆動側回転部材に対して同軸状に配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトに対して一体回転する従動側回転部材と、
前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材とにより形成され、流体が供給されることにより前記駆動側回転部材に対する前記従動側回転部材の相対回転位相を遅角方向に移動させる遅角室と前記相対回転位相を進角方向に移動させる進角室と、
前記相対回転位相を所定のロック位相で拘束可能なロック機構と、
前記ロック機構とは独立して動作可能であり、前記相対回転位相を前記ロック位相を含む所定の位相変位許容範囲内に規制可能な位相変位規制機構と、
前記進角室、前記遅角室、前記ロック機構及び前記位相変位規制機構への流体の供給及び前記進角室、前記遅角室、前記ロック機構及び前記位相変位規制機構からの流体の排出を行う流体給排部と、を備え、
前記相対回転位相が前記ロック位相で拘束されている前記内燃機関の始動時において、クランキング開始前に前記進角室及び前記遅角室の何れか一方を流体で満たす始動前充填を行った後、前記進角室及び前記遅角室の何れか他方へ流体を供給するとともに前記ロック機構に前記ロック位相での拘束を解除するための流体を供給するように構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、位相変位規制機構を規制状態とすることにより、駆動側回転部材に対する従動側回転部材の相対回転位相を所定の位相変位許容範囲内に規制し、制御手段が上記相対回転位相をいずれか一方向に変位させる制御を行うことにより、上記相対回転位相を上記位相変位許容範囲のいずれか一方端に拘束することができる。すなわち、上記位相変位許容範囲の両端のいずれかを選択して上記相対回転位相を拘束することができる。また、この際、位相変位規制機構を規制状態としたままで上記相対回転位相を変位させるので、上記相対回転位相を高速で変位させた場合であっても上記相対回転位相を拘束する動作の確実性が高い。従って、内燃機関の状態に応じて始動時の最適な弁開閉時期が得られる位相を選択し、上記相対回転位相を確実に拘束することが可能となる。
また、駆動側回転部材と従動側回転部材との相対回転位相をロック機構によるロック位相でも拘束することが可能となる。すなわち、位相変位規制機構による位相変位許容範囲の両端又は一方端の位相に加えてロック位相を上記相対回転位相の拘束位置として選択することが可能となる。従って、内燃機関の始動時に、内燃機関の状態に応じたより適切な弁開閉時期が得られるように、上記相対回転位相を選択することが可能となる。
また更に、上記始動前充填を行うことで、進角室及び遅角室の何れか他方に流体を供給するとき、進角室及び遅角室の何れか一方は既に流体で満たされた状態になっている。つまり、進角室及び遅角室の何れか他方の容積を増大させようとするとき、進角室及び遅角室の何れか一方に満たされている流体が抵抗となって、進角室及び遅角室の何れか他方の容積を増大させる速度は抑制される。よって、内燃機関の始動時において、進角室及び遅角室の急激な容積変化は発生しないようになる。そして、部材同士が当接することによる打音、例えば外部ロータとベーンとの打音などはほとんど発生しなくなる。
従って、内燃機関の状態に応じて始動時の最適な弁開閉時期を得ることができ、且つ、始動時における部材同士の打音が抑制された弁開閉時期制御装置を提供できる。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の別の特徴構成は、前記流体給排部は、前記進角室、前記遅角室及び前記ロック機構への流体の供給を制御する流体制御弁を備え、
前記流体制御弁は、ソレノイドへの通電量に応じてスリーブ内に摺動可能に配置されたスプールをスプリングに抗して変位させる可変式電磁スプールバルブを用い、前記通電量が小さいほど前記始動前充填に供する流体の供給量が多くなるように構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、ソレノイドへの通電量を大きくできないときであっても、進角室及び遅角室の何れか一方を流体で満たす始動前充填を行える。例えば、内燃機関の始動時においてクランキングが未だ開始されていない状態、つまり、車両に搭載されているオルタネータ等が発電を行っておらずバッテリの出力電圧も低い状態であるとき等、ソレノイドへの通電量を大きくできないときであっても、進角室及び遅角室の何れか一方を流体で満たす始動前充填を行える。特に本特徴構成では、ソレノイドへの通電量が零であっても、上記始動前充填を行える。
上記目的を達成するための本発明に係る弁開閉時期制御装置の別の特徴構成は、内燃機関のクランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転部材と、
前記駆動側回転部材に対して同軸状に配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトに対して一体回転する従動側回転部材と、
前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材とにより形成され、流体が供給されることにより前記駆動側回転部材に対する前記従動側回転部材の相対回転位相を遅角方向に移動させる遅角室と前記相対回転位相を進角方向に移動させる進角室と、
前記相対回転位相を所定のロック位相で拘束可能なロック機構と、
前記ロック機構とは独立して動作可能であり、前記相対回転位相を前記ロック位相を含む所定の位相変位許容範囲内に規制可能な位相変位規制機構と、
前記進角室、前記遅角室、前記ロック機構及び前記位相変位規制機構への流体の供給及び前記進角室、前記遅角室、前記ロック機構及び前記位相変位規制機構からの流体の排出を行う流体給排部と、を備え、
前記相対回転位相が前記ロック位相で拘束されている前記内燃機関の始動時において、クランキング開始前の設定時間の間、前記進角室及び前記遅角室の何れか一方へ流体を供給し、前記進角室及び前記遅角室の何れか一方からリークした流体によって前記進角室及び前記遅角室の何れか他方を満たす始動前充填を行うように構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、位相変位規制機構を規制状態とすることにより、駆動側回転部材に対する従動側回転部材の相対回転位相を所定の位相変位許容範囲内に規制し、制御手段が上記相対回転位相をいずれか一方向に変位させる制御を行うことにより、上記相対回転位相を上記位相変位許容範囲のいずれか一方端に拘束することができる。すなわち、上記位相変位許容範囲の両端のいずれかを選択して上記相対回転位相を拘束することができる。また、この際、位相変位規制機構を規制状態としたままで上記相対回転位相を変位させるので、上記相対回転位相を高速で変位させた場合であっても上記相対回転位相を拘束する動作の確実性が高い。従って、内燃機関の状態に応じて始動時の最適な弁開閉時期が得られる位相を選択し、上記相対回転位相を確実に拘束することが可能となる。
また、駆動側回転部材と従動側回転部材との相対回転位相をロック機構によるロック位相でも拘束することが可能となる。すなわち、位相変位規制機構による位相変位許容範囲の両端又は一方端の位相に加えてロック位相を上記相対回転位相の拘束位置として選択することが可能となる。従って、内燃機関の始動時に、内燃機関の状態に応じたより適切な弁開閉時期が得られるように、上記相対回転位相を選択することが可能となる。
また更に、上記始動前充填を行うことで、進角室及び遅角室の両方を流体で満たすことができる。よって、進角室及び遅角室の両方に満たされている流体が抵抗となって、進角室及び遅角室の容積を増減させる速度は抑制される。その結果、内燃機関の始動時において、進角室及び遅角室の急激な容積変化は発生しないようになる。そして、部材同士、例えば外部ロータとベーンとの打音などはほとんど発生しなくなる。
加えて、本特徴構成によれば、進角室及び遅角室の何れか一方へ流体を供給すれば、他方へは一方からのリークによって流体が供給されることになる。従って、流体を進角室へ供給する制御と流体を遅角室へ供給する制御とを切り換えて行わなくても、進角室及び遅角室の両方への流体の供給を行えるので、制御を単純化できる。
従って、内燃機関の状態に応じて始動時の最適な弁開閉時期を得ることができ、且つ、始動時における部材同士の打音が抑制された弁開閉時期制御装置を提供できる。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の別の特徴構成は、前記設定時間は、流体の状態に応じて変更される点にある。
上記特徴構成によれば、流体の状態に応じて単位時間当たりの流体のリーク量が変化することを考慮して、流体の状態に応じて上記設定時間が変更される。例えば、流体の状態に応じて単位時間当たりの流体のリーク量が減少するときには、上記設定時間を長くすればよい。また、流体の状態に応じて単位時間当たりの流体のリーク量が増加するときには、上記設定時間を短くすればよい。その結果、上記設定時間を変更することで、その設定時間内に進角室及び遅角室の何れか一方から他方へリークする流体の量は、流体の状態に依らずに一定となり、上記始動前充填が適切に行えることになる。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の別の特徴構成は、前記流体の状態は流体の温度に基づいて導出される点にある。
上記特徴構成によれば、流体の温度が変化すれば流体の状態も変化するので、流体の温度に基づいて上記設定時間を変更して、流体の温度に応じた流体の状態を上記設定時間に適切に反映させることができる。
〔第一の実施形態〕
以下に、本発明の第一の実施形態について図面に基づいて説明する。ここでは、本発明を自動車用エンジン(内燃機関)の弁開閉時期制御装置1に適用した場合について説明する。図1は、本実施形態に係る弁開閉時期制御装置1の全体構成を示す側断面図である。図2〜図5は、図1のA−A断面に相当し、この弁開閉時期制御装置1の各状態を示す図である。図6は、ロック機構5及び位相変位規制機構6の拡大図である。
(基本構成)
本実施形態に係る弁開閉時期制御装置1は、エンジンのクランクシャフト(図示省略)に対して同期回転する駆動側回転部材としての外部ロータ2と、外部ロータ2に対して同軸状に配置され、エンジンの弁開閉用のカムシャフト11に対して一体回転する従動側回転部材としての内部ロータ3とを備えて構成されている。
内部ロータ3は、エンジンの吸気弁又は排気弁の開閉を制御するカムの回転軸を構成するカムシャフト11の先端部に一体的に組付けられている。このカムシャフト11は、エンジンのシリンダヘッドに回転自在に組み付けられている。
外部ロータ2は、内部ロータ3に対して所定の相対回転可能範囲内で相対回転可能に外装される。そして、カムシャフト11が接続される側にリアプレート21が、カムシャフト11が接続される側の反対側にフロントプレート22が、それぞれ一体的に取り付けられている。また、外部ロータ2の外周にはタイミングスプロケット23が形成されている。このタイミングスプロケット23とエンジンのクランクシャフトに取り付けられたギアとの間には、タイミングチェーンやタイミングベルト等の動力伝達部材12が架設されている。
そして、エンジンのクランクシャフトが回転駆動すると、動力伝達部材12を介してタイミングスプロケット23に回転動力が伝達され、外部ロータ2が図2に示す回転方向Sに沿って回転駆動し、ひいては、内部ロータ3が回転方向Sに沿って回転駆動してカムシャフト11が回転し、カムシャフト11に設けられたカムがエンジンの吸気弁又は排気弁を押し下げて開弁させる。
図2に示すように、外部ロータ2には、径内方向に突出するシューとして機能する複数個の突部24が回転方向に沿って互いに離間して並設されている。外部ロータ2の隣接する突部24の夫々の間には、外部ロータ2と内部ロータ3で規定される流体圧室4が形成されている。図示するものにあっては、流体圧室4は、4室備えられている。
内部ロータ3の外周部の、各流体圧室4に対面する箇所にはベーン溝31が形成されており、このベーン溝31には、流体圧室4を相対回転方向(図2における矢印S1、S2方向)において進角室41と遅角室42とに仕切るベーン32が放射方向に沿って摺動可能に挿入されている。このベーン32は、図1に示すように、その内径側に備えられるスプリング33により、径方向外側に向けて付勢されている。
流体圧室4の進角室41は内部ロータ3に形成された進角通路43に連通し、遅角室42は内部ロータ3に形成された遅角通路44に連通している。これらの進角通路43及び遅角通路44は、後述する油圧回路7に接続されている。なお、図2に示すように、本例では、4個の進角室41の内、ロック機構5に隣接する位置にある進角室41の進角通路43は、ロック機構5の係合凹部51と進角室41とを連通するように内部ロータ3における外部ロータ2との摺動面に沿って形成された流路となっており、ロック通路55を介して油圧回路7に接続されている。そして、進角室41及び遅角室42の一方又は双方に対して油圧回路7からの作動油が供給又は排出されることにより、内部ロータ3と外部ロータ2との相対回転位相(以下、単に「相対回転位相」ともいう)を、進角方向S1(ベーン32の相対位置の変位方向が図2において矢印S1で示される方向)又は遅角方向S2(ベーン2の相対位置の変位方向が図2において矢印S2で示される方向)へ変位させ、或いは任意の位相で保持する付勢力が発生する。
以上のように、本実施形態において上記作動油は本発明における「流体」に相当する。また、内部ロータ3と外部ロータ2との相対回転位相が変位可能な相対回転可能範囲は、流体圧室4内でベーン32が変位可能な範囲、すなわち最遅角位相と最進角位相との間の範囲に相当する。
図1に示すように、内部ロータ3と、外部ロータ2に固定されたフロントプレート22との間にはトーションスプリング13が設けられている。このトーションスプリング13の両端部は、内部ロータ3とフロントプレート22とにそれぞれ形成された保持部により保持されている。そして、このトーションスプリング13は、相対回転位相が進角方向S1に変位する方向に内部ロータ3及び外部ロータ2を常時付勢するトルクを与えている。
(ロック機構の構成)
また、外部ロータ2と内部ロータ3との間には、内部ロータ3と外部ロータ2との相対回転位相の変位を所定のロック位相で拘束可能なロック機構5が設けられている。本実施形態においては、図2に示すようにロック位相は最遅角位相に設定している。このロック機構5は、図6に詳細に示すように、外部ロータ2に設けられた摺動溝52と、この摺動溝52に沿って摺動可能に設けられたロック部材53と、このロック部材53を径方向内側に付勢する付勢ばね54と、内部ロータ3に設けられ、相対回転位相がロック位相の状態でロック部材53が係合可能に形成された係合凹部51とを有して構成されている。本実施形態においては、ロック部材53は平板形状としており、摺動溝52及び係合凹部51の形状は、このロック部材53の形状に適合する形状に形成されている。なお、ロック部材53の形状は、その用途に従って、ピン形状等、他の形状を採用することができる。
係合凹部51は、内部ロータ3に設けられ、ロック部材53の径方向内側端部が係合可能に形成されている。この係合凹部51は、内部ロータ3と外部ロータ2との相対回転位相がロック位相の状態(本実施形態においては最遅角位相の状態)でロック部材53が係合可能な位置に設けられている。そして、ロック部材53が付勢ばね54の付勢力により係合凹部51内に突入して係合することにより、ロック機構5はロック状態となり、相対回転位相がロック位相(最遅角位相)に拘束される。ここで、ロック位相は、燃焼室の温度等のエンジンの状態がある一定の条件を満たすときにエンジンの良好な始動性が得られる位相に設定する。ここでは、ロック位相は、燃焼室の温度が全ての温度領域でエンジンを始動可能な限界角である最遅角位相に設定している。
また、係合凹部51は、内部ロータ3に形成されたロック通路55に連通している。このロック通路55は、後述する油圧回路7に接続されている。本実施形態においては、ロック通路55は、進角通路43及び進角室41に連通している。そして、このロック通路55を介して係合凹部51に対して油圧回路7からの作動油が供給されることにより、ロック部材53が係合凹部51から引退してロックが解除された解除状態となる。すなわち、係合凹部51内に作動油が供給されて充満し、この作動油の圧力によってロック部材53を径方向外側に付勢する力が、付勢ばね54の付勢力より大きくなると、図3に示すように、ロック部材53は係合凹部51から引退して、内部ロータ3と外部ロータ2との相対回転位相の変位を許容する解除状態となる。一方、係合凹部51内の作動油が排出されると、ロック部材53は付勢ばね54の付勢力により係合凹部51内に突入してロック状態となる。
(位相変位規制機構の構成)
また、外部ロータ2と内部ロータ3との間には、所定の位相変位許容範囲R内での相対回転位相の変位を許容するとともに位相変位許容範囲Rを超える相対回転位相の変位を規制する規制状態とすることが可能な位相変位規制機構6が設けられている。ここでは、位相変位規制機構6は、ロック機構5とは独立して動作可能としている。また、位相変位許容範囲Rは、ロック位相(最遅角位相)を含んで設定している。本実施形態においては、位相変位許容範囲Rは、一方端を後述する中間規制(中間ロック)位相(図4に示す位相)とし、他方端をロック位相(最遅角位相)としている。
この位相変位規制機構6は、図6に詳細に示すように、外部ロータ2側から内部ロータ3側に突出可能な突出部材63と、内部ロータ3に設けられて突出部材63が突入可能な規制凹部61と、を備えている。ここでは、突出部材63は、ロック機構5のロック部材53と同様の構成を有しており、外部ロータ2に設けられた摺動溝62に沿って摺動可能に設けられており、付勢ばね64により径方向内側に付勢されている。本実施形態においては、突出部材63は平板形状としており、摺動溝62及び規制凹部61の形状は、この突出部材63の形状に適合する形状に形成されている。なお、突出部材63の形状は、その用途に従って、ピン形状等、他の形状を採用することができる。
規制凹部61は、内部ロータ3と外部ロータ2との相対回転位相が位相変位許容範囲R内にある状態で突出部材63が突入可能に形成されている。そのため、規制凹部61は、位相変位許容範囲Rに対応する相対回転位相の変位方向の長さLを有する。ここで、位相変位許容範囲Rに対応する相対回転位相の変位方向の長さLとは、内部ロータ3と外部ロータ2との相対回転位相が位相変位許容範囲R内で変位する際に突出部材63の両側面(摺動溝62との摺動面)が相対変位する範囲に対応する相対回転位相の変位方向の長さに相当する。なお、位相変位許容範囲Rが狭すぎるとロック位相(最遅角位相)からの変位を許容する角度範囲も狭くなって弁開閉時期の調整による実効性が低くなるので、位相変位許容範囲Rは、相対回転位相の変位角度で5°以上の角度範囲を有する設定とすると好適である。
また、規制凹部61は、内部ロータ3の外周面から一定の深さに形成され、図2に示す断面で円弧状となる底面61a(図6参照)を有して形成されている。これにより、突入した突出部材63の先端面が底面61aに沿って摺動可能となり、突出部材63が規制凹部61に突入した規制状態で、相対回転位相が位相変位許容範囲R内で変位可能となっている。一方、突出部材63が規制凹部61に突入した規制状態では、位相変位許容範囲Rを超える相対回転位相の変位は、突出部材63の側面が規制凹部61の端面61b(図6参照)に当接することにより規制される。
また、規制凹部61は、内部ロータ3に形成された規制通路65に連通している。この規制通路65は、後述する油圧回路7に接続されている。本実施形態においては、位相変位規制機構6をロック機構5とは独立して動作可能とするために、規制通路65は、ロック通路55とは異なる系統の作動油の通路を構成している。そして、この規制通路65を介して規制凹部61に対して油圧回路7からの作動油が供給されることにより、突出部材63が規制凹部61から引退して規制状態が解除される。すなわち、規制凹部61内に作動油が供給されて充満し、この作動油の圧力によって突出部材63を径方向外側に付勢する力が、付勢ばね64の付勢力より大きくなると、突出部材63は規制凹部61から引退して、図5に示すように、位相変位許容範囲Rを超える相対回転位相の変位を許容する解除状態となる。一方、規制凹部61内の作動油が排出されると、突出部材63は付勢ばね64の付勢力により規制凹部61内に突入して規制状態となる。
(油圧回路の構成)
次に、本実施形態に係る油圧回路7の構成について説明する。油圧回路7は、図7に示すように、エンジンにより駆動されて作動油の供給を行う第一ポンプ71と、この第一ポンプ71に対して下流側に設けられ、エンジンとは異なる動力により駆動されて作動油の供給を行う第二ポンプ72と、第一ポンプ71と第二ポンプ72との間に設けられて作動油が貯留可能な作動油貯留部73とを有している。また、油圧回路7は、流体圧室4及びロック機構5への作動油の供給を制御する第一制御弁74と、位相変位規制機構6への作動油の供給を制御する第二制御弁75と、を有している。また、この油圧回路7は、制御手段として、第二ポンプ72、第一制御弁74及び第二制御弁75の動作制御を行う制御ユニット80を有している。
以上のように、本実施形態において上記油圧回路は本発明の「流体給排部」に相当し、上記第一制御弁は本発明の「流体制御弁」に相当する。
ここでは、第一ポンプ71は、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達されることにより駆動される機械式の油圧ポンプとしている。この第一ポンプ71は、オイルパン76に貯留された作動油を吸入ポートから吸入し、その作動油を吐出ポートから下流側に吐出する。第一ポンプ71の吐出ポートは、フィルタ77を介して、エンジン潤滑系78及び作動油貯留部73に連通している。ここで、エンジン潤滑系78には、エンジン及びその周囲の作動油の供給を必要とする全ての部位が含まれる。
また、第二ポンプ72は、エンジンとは異なる動力、ここでは電動モータにより駆動される電動ポンプとしている。これにより、第二ポンプ72は、エンジンの動作状態に関係なく制御ユニット80からの動作信号に従って動作可能となっている。この第二ポンプ72は、作動油貯留部73に貯留された作動油を吸入ポートから吸入し、その作動油を吐出ポートから下流側に吐出する。第二ポンプ72の吐出ポートは、第一制御弁74及び第二制御弁75に連通している。また、油圧回路7は、第二ポンプ72に対して並行するように、第二ポンプの上流側の流路と下流側の流路とを連通させるバイパス流路79を有している。このバイパス流路79には、チェックバルブ79aを設けている。
作動油貯留部73は、第一ポンプ71と第二ポンプ72との間に設けられ、一定量の作動油を貯留可能な貯留室73aを有している。また、作動油貯留部73は、貯留室73aを第一ポンプ71の下流側の流路に連通させる第一連通口73b、この第一連通口73bより低い位置に設けられ、貯留室73aを第二ポンプ72の上流側の流路に連通させる第二連通口73c、及び第一連通口73bより高い位置に設けられ、貯留室73aをエンジン潤滑系78に連通させる潤滑系連通口73dを有している。そして、作動油貯留部73の貯留室73aの容量は、第一連通口73bより低く第二連通口73cより高い領域の容量が、第一ポンプ71の停止状態で第二ポンプ72により供給する必要がある作動油の量以上となるように設定する。後述するように、本実施形態においては、エンジンの停止状態、すなわち第一ポンプ71の停止状態において、第二ポンプ72は、流体圧室4及びロック機構5に対して作動油を供給する動作を行う。従って、作動油貯留部73の貯留室73aの容量は、第一連通口73bより低く第二連通口73cより高い領域の容量が、流体圧室4及びロック機構5の係合凹部51の容量と、これらから第二ポンプ72までの間の配管等の容量とを合わせた容量以上となるように設定する。これにより、第一ポンプ71の停止状態で、第二ポンプ72のみより内部ロータ3と外部ロータ2との相対回転位相を、目標の位相に変位させることが可能となる。
作動油貯留部73の潤滑系連通口73dが連通するエンジン潤滑系78の部位は、外気に連通するとともに作動油の流れに対する流路抵抗を有している部位とする。ここで、エンジン潤滑系78による流路抵抗は、第一ポンプ71が動作状態であって第二ポンプ72が停止状態である際に第一ポンプ71から吐出された作動油が、貯留室73a内に作動油が充満し、更にバイパス流路79を介して流体圧室4等に十分な圧力の作動油が供給される程度の流路抵抗とすることが望ましい。例えば、第二ポンプ72が停止状態であってエンジンが2000〔rpm〕以上で動作している状態において、貯留室73a内の作動油の圧力が100〜400〔kPa〕となる程度の流路抵抗があると適当である。このようなエンジン潤滑系78の部位としては、例えば、エンジンのメインギャラリ部、チェーンテンショナ部、ピストンジェット部等が該当する。
図8に、エンジンの各状態に従って変化する作動油貯留部73内の作動油の状態を示す。図8(a)は、エンジンの停止状態での作動油貯留部73の作動油の状態を示している。エンジンの停止状態では、第一ポンプ71からの作動油の供給はない。ここで、エンジン潤滑系78及び第一ポンプ71は外気に連通しているため、潤滑系連通口73d及び第一連通口73bからは作動油が流出し、貯留室73a内には空気が流入する。一方、第二ポンプ72及びチェックバルブ79aは密閉構造となっているため第一連通口73bより低い領域の作動油は流出しない。従って、エンジンの停止状態での作動油貯留部73の有効容量は、第一連通口73bより低く第二連通口73cより高い領域の容量となる。
そして、エンジンの始動前後の第一ポンプ71が停止状態又は十分に動作していない状態で、第二ポンプ72を動作させて作動油を流体圧室4等に供給すると、図8(b)に示すように、作動油貯留部73の貯留室73a内の作動油が第二ポンプ72に吸入され、作動油の量は減少する。この際、潤滑系連通口73dが連通するエンジン潤滑系78の部位は外気に連通しているので、エンジン潤滑系78を介して潤滑系連通口73dから空気が流入可能となっている。従って、第二ポンプ72による作動油の吸入抵抗は小さくなっている。そのため、作動油の温度が低いために作動油の粘性が高い場合等であっても、第二ポンプ72は良好に動作することが可能となる。
一方、エンジンの始動後は、第一ポンプ71により十分な量の作動油が吐出されることになる。そのため、図8(c)に示すように、作動油貯留部73の貯留室73a内には、作動油が充満する。この際、潤滑系連通口73dが連通するエンジン潤滑系78の部位は外気に連通しているので、貯留室73a内にあった空気は潤滑系連通口73dからエンジン潤滑系78を介して放出される。また、エンジン潤滑系78は作動油の流れに対する流路抵抗を有しているので、貯留室73a内に作動油が充満した後は、エンジン潤滑系78の流路抵抗により、貯留室73a内の作動油は一定範囲内の圧力に保たれる。従って、第二ポンプ72の停止状態においても、バイパス流路79を介して流体圧室4、ロック機構5、位相変位規制機構6等に対して十分な圧力の作動油が供給される。なお、エンジンの回転数が低くなり、第一ポンプ71により十分な圧力の作動油を供給できない状態となった場合には、第二ポンプ72も動作して作動油を供給することも当然に可能である。その後、エンジンが停止し、第二ポンプ72も停止状態となると、貯留室73a内の作動油は、図8(a)に示す状態に戻る。
第一制御弁74としては、例えば、制御ユニット80からのソレノイドへの通電によってスリーブ内に摺動可能に配置されたスプールをスプリングに抗して変位させる可変式電磁スプールバルブを用いることができる。この第一制御弁74は、進角通路43及びロック通路55に連通する進角ポートと、遅角通路44に連通する遅角ポートと、第二ポンプ72の下流側の流路に連通する供給ポートと、オイルパン76に連通するドレインポートとを有している。そして、この第一制御弁74は、進角ポートを供給ポートと連通し、遅角ポートをドレインポートと連通する進角制御、遅角ポートを供給ポートと連通し、進角ポートをドレインポートと連通する遅角制御、及び進角ポート及び遅角ポートを閉塞するホールド制御の3つの状態制御を行うことが可能な3位置制御弁としている。そして、第一制御弁74は、制御ユニット80により制御されて動作することにより、進角室41及びロック機構5の係合凹部51、又は遅角室42に対する作動油の供給又は排出の制御を行う。これにより、第一制御弁74は、ロック機構5のロック状態又は解除状態の切換制御、及び内部ロータ3と外部ロータ2との相対回転位相の制御を行う。
第二制御弁75としては、第一制御弁74と同様に可変式電磁スプールバルブを用いることができる。この第二制御弁75は、規制通路65に連通する規制ポートと、第二ポンプ72の下流側の流路に連通する供給ポートと、オイルパン76に連通するドレインポートとを有している。そして、この第二制御弁75は、規制ポートを供給ポートと連通する解除制御、及び規制ポートをドレインポートと連通する規制制御の2つの状態制御を行うことが可能な2位置制御弁としている。そして、第二制御弁75は、制御ユニット80により制御されて動作することにより、位相変位規制機構6の規制凹部61に対する作動油の供給又は排出の制御を行う。これにより、第二制御弁75は、位相変位規制機構6の規制状態又は解除状態の切換制御を行う。
(弁開閉時期制御装置の動作)
次に、図9に示すタイミングチャートに基づいて、ロック位相とは異なる中間規制位相をエンジン始動時の相対回転位相として選択する場合における弁開閉時期制御装置1の動作例について説明する。まず、通常のエンジン停止状態では、第一ポンプ71及び第二ポンプ72も停止しており、図2に示すように、相対回転位相はロック位相(最遅角位相)であり、ロック機構5は、ロック部材53が係合凹部51内に突入したロック状態にあり、位相変位規制機構6は、突出部材63が規制凹部61内に突入した規制状態にある。そして、制御ユニット80は、イグニッションキーのオン等のエンジンの始動又は始動を予測させる信号を始動トリガとし、第二ポンプ72の動作を開始させるとともに、第二制御弁75を、位相変位規制機構6を規制状態とさせる制御状態である規制制御状態に制御する。
また、制御ユニット80は、第一制御弁74を、遅角室42に作動油を供給する遅角制御状態に設定時間T1制御する始動前充填を実行する。このとき、作動油はロック機構5に供給されないので、相対回転位相がロック位相で拘束された状態で、つまり、進角室41及び遅角室42の容積を変化させない状態で、遅角室42のみに作動油が供給される。そして、遅角室42のみに作動油が設定時間T1供給されると、遅角室42に作動油が充填された状態、或いは、完全に充填されなくとも、遅角室42の内部に作動油が少なくとも存在する状態が形成される。
また、第一制御弁74は、上述したように、ソレノイドへの通電量に応じてスリーブ内に摺動可能に配置されたスプールをスプリングに抗して変位させる可変式電磁スプールバルブを用い、その通電量が小さくなるにつれて遅角室42への作動油の供給量が多くなるように構成されている。よって、ソレノイドへの通電量を大きくできないときであっても、遅角室42を作動油で満たすことができる。例えば、エンジン始動時においてクランキングが未だ開始されていない状態、つまり、車両に搭載されているオルタネータ等が発電を行っておらずバッテリの出力電圧も低い状態であるとき等、ソレノイドへの通電量を大きくできないときであっても(特に、ソレノイドへの通電量が零であっても)、遅角室42を作動油で満たすことができる。
次に制御ユニット80は、第一制御弁74を、進角室41及びロック機構5の係合凹部51に作動油を供給する進角制御状態に制御する。その結果、図3に示すように、第二ポンプ72からの作動油によりロック機構5はロック部材53が突出したロック状態からロック部材53が引退して解除状態となる。
そして、ロック機構5が解除状態となった後、進角室41に供給される作動油によって相対回転位相は進角方向S1に変位する。このとき、進角室41の容積は増加方向に変化し、遅角室42の容積は減少方向に変化する。但し、上述のように遅角室42には既に作動油が充填されているか又は少なくとも存在する状態であるので、遅角室42の容積変化の速度は抑制される。例えば、遅角室42に作動油が充填されているとき、遅角室42の容積を減少させるにあたって遅角室42内の作動油を排出するときの作動油の抵抗により、遅角室42の容積変化の速度は抑制される。また、遅角室42に作動油が少なくとも存在していれば、遅角室42が空である(つまり、作動油が存在しない)ときに比べて、遅角室42の容積変化の速度は抑制される。その結果、図9において相対回転位相がロック位相(最遅角位相)から中間規制位相へ変化する間に、進角室41及び遅角室42の急激な容積変化は発生しないようになる。そして、部材同士が当接することによる打音、例えば外部ロータ2とベーン32との打音などはほとんど発生しなくなる。
また、相対回転位相が進角方向に変位するとき、位相変位規制機構6は規制状態となっているので、位相変位許容範囲Rを超える相対回転位相の変位は規制される。よって、図4に示すように、突出部材63の側面が規制凹部61の端面61b(図6参照)に当接することにより、相対回転位相が、位相変位許容範囲Rの一方端の中間規制位相(図4に示す位相)に拘束される。
その後、エンジンのクランキングが開始されると、エンジン回転数は上昇する。そして、相対回転位相が中間規制位相にある状態で、エンジンに着火される。これにより、エンジン始動時の相対回転位相を中間規制位相とすることができる。エンジンの始動後、制御ユニット80は、第二制御弁75を、解除制御状態として図5に示すように位相変位規制機構6を解除状態とする。その後、制御ユニット80は、第一制御弁74を制御して進角室41及び遅角室42への作動油の供給を調節し、相対回転位相を任意の位相に変位させる制御を行う。但し、図9のフローチャートでは、制御ユニット80が、第一制御弁74をホールド制御した状態を示している。また、エンジン回転数が上昇して第一ポンプ71による作動油の吐出量が十分に得られるようになれば、制御ユニット80は第二ポンプ72を停止させる。
以上のように、本実施形態では、上記位相変位規制機構6を設けたことで、エンジンの状態に応じて始動時の最適な弁開閉時期を得ることができ、且つ、上記始動前充填を実行することで、始動時における部材同士の打音が抑制された弁開閉時期制御装置を提供できる。
〔第二の実施形態〕
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。本実施形態は、中間規制位相をエンジン始動時の相対回転位相として選択する場合における弁開閉時期制御装置の動作が第一の実施形態と異なっているが、他の装置構成は第一の実施形態と同様である。以下に、図面を参照して第二の実施形態の弁開閉時期制御装置について説明するが、第一の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図10は、第二の実施形態の弁開閉時期制御装置のエンジン始動時の動作を説明するタイミングチャートである。第一の実施形態の場合と同様に、通常のエンジン停止状態では、第一ポンプ71及び第二ポンプ72は停止しており、図2に示すように、相対回転位相はロック位相(最遅角位相)であり、ロック機構5はロック部材53が突出したロック状態、位相変位規制機構6は突出部材63が突出した規制状態となっている。そして、制御ユニット80は、イグニッションキーのオン等のエンジンの始動又は始動を予測させる信号を始動トリガとし、第二ポンプ72の動作を開始させるとともに、第二制御弁75を、位相変位規制機構6を規制状態とさせる制御状態である規制制御状態とする。
制御ユニット80は、上記始動トリガの後、第一制御弁74を、進角室41に作動油を供給する進角制御状態に設定時間T2制御する始動前充填を実行する。これにより、進角室41及びロック機構5に作動油が供給される。その結果、図3に示したように相対回転位相のロック位相での拘束が解除された状態で、進角室41への作動油の供給が行われる。
このとき、進角室41の容積は増加方向に変化し、遅角室42の容積は減少方向に変化する。但し、位相変位規制機構6は規制状態となっているので、位相変位許容範囲Rを超える相対回転位相の変位は規制される。よって、図4に示すように、相対回転位相は進角方向に変位し続け、設定時間Ta(<T2)が経過すると、位相変位許容範囲Rの一方端の中間規制位相に拘束される。
制御ユニット80は、進角室41への作動油の供給を開始してから設定時間Taが経過した後も、更に進角室41への作動油の供給を継続する。このとき、位相変位規制機構6は進角方向への相対回転位相の変位を規制しているので、進角室41への作動油の油圧は供給されているものの、進角室41の容積を増加させることはできない。その結果、進角室41の内部の作動油の油圧は上昇し、進角室41から外部への作動油のリーク量が増加することになる。例えば、流体圧室40を仕切っているベーン32の径方向外側と外部ロータ2との隙間を経由して、進角室41から遅角室42への作動油のリークが発生する。そして、進角室41の容積変化を位相変位規制機構6によって規制した状態で進角室41の内部の作動油の油圧が高い状態が設定時間Tb継続すると、そのリークした作動油によって、遅角室42への作動油の充填が完了する。
ここで、外部ロータ2との間で隙間を形成する、流体圧室40を仕切っているベーン32の径方向外側の部位を、エンジンが回転していないときには上述したリークを許容し、エンジンが回転しているときにはリークを許容しないような構造にしてもよい。例えば、エンジンが回転しているときには遠心力によってベーン32が外部ロータ2側に押し付けられることで、進角室41から遅角室42へのリークを許容しないように構成することも可能である。
以上のように、制御ユニット80が、設定時間T2(=Ta+Tb)の間、進角室41への作動油の供給を行う始動前充填を行うことで、進角室41及び遅角室42への作動油の充填が完了する。よって、以後、相対回転位相を制御するとき、進角室41及び遅角室42の両方に満たされている作動油が抵抗となって、進角室41及び遅角室42の容積を増減させる速度は抑制される。その結果、進角室41及び遅角室42の急激な容積変化は発生しないようになり、部材同士が当接することによる打音、例えば外部ロータ2とベーン32との打音などはほとんど発生しなくなる。
特に本実施形態によれば、進角室41へ作動油を供給すれば、遅角室42へは進角室41からのリークによって作動油が供給されることになる。従って、作動油を進角室41へ供給する制御と作動油を遅角室42へ供給する制御とを切り換えて行わなくても、進角室41及び遅角室42の両方への流体の供給を行えるので、制御を単純化できる。
また、上記設定時間は作動油の状態(進角室41から遅角室42へのリーク状態に影響を及ぼす、粘度などの作動油の特性)に応じて変更される。つまり、作動油の粘度が変化すれば、その粘度に応じて単位時間当たりの作動油のリーク量が変化することを考慮して、作動油の状態に応じて上記設定時間が変更される。例えば、作動油の粘度が高くなれば単位時間当たりの作動油のリーク量は減少するので、上記設定時間T2を長くすればよい(具体的には、時間Tbを長くすればよい)。また、作動油の粘度が低くなれば単位時間当たりの作動油のリーク量が増加するので、上記設定時間T2を短くすればよい(具体的には、時間Tbを短くすればよい)。その結果、上記設定時間T2の長さを変更することで、その設定時間T2内に進角室41から遅角室42へリークする作動油の量は、作動油の状態に依らずに一定となり、上記始動前充填が適切に行えることになる。
但し、上記設定時間T2を設定するために作動油の粘度を直接測定する必要はなく、作動油の粘度と関連する因子に基づいて作動油の粘度を導出してもよい。例えば、作動油の温度を測定し、作動油の温度が高ければ作動油の粘度が低く、作動油の温度が低ければ作動油の粘度が高い、といった基準で作動油の状態を導出してもよい。或いは、外気温を測定し、外気温が高ければ作動油の粘度が低く、外気温が低ければ作動油の粘度が高い、といった基準で作動油の状態を導出してもよい。但し、作動油の粘度と関連する因子から上記設定時間T2を直接導出してもよい。このとき、上記因子と設定時間T2との関係をテーブルにして記憶しておけば、制御ユニット80は、例えば外気温を知るだけで上記設定時間T2を導出できる。
その後、エンジンのクランキングが開始されると、エンジン回転数は上昇する。そして、相対回転位相が中間規制位相にある状態で、エンジンに着火される。これにより、エンジン始動時の相対回転位相を中間規制位相とすることができる。エンジンの始動後、制御ユニット80は、第二制御弁75を、解除制御状態として図5に示すように位相変位規制機構6を解除状態とし、第一制御弁74を制御して相対回転位相を任意の位相に変位させる制御を行う。但し、図10のフローチャートでは、制御ユニット80が、第一制御弁74をホールド制御した状態を示している。また、エンジン回転数が上昇して第一ポンプ71による作動油の吐出量が十分に得られるようになれば、制御ユニット80は第二ポンプ72を停止させる。
以上のように、本実施形態では、上記位相変位規制機構6を設けたことで、エンジンの状態に応じて始動時の最適な弁開閉時期を得ることができ、且つ、上記始動前充填を実行することで、始動時における部材同士の打音が抑制された弁開閉時期制御装置を提供できる。
〔第三の実施形態〕
次に、本発明の第三の実施形態について説明する。図11は、本実施形態に係る弁開閉時期制御装置1のロック機構5及び位相変位規制機構6の拡大図である。この図に示すように、本実施形態に係る弁開閉時期制御装置1では、位相変位規制機構6により相対回転位相の変位が許容される位相変位許容範囲Rは、ロック機構5により相対回転位相が拘束されるロック位相を間に含み、このロック位相に対して進角側に設定された第一中間規制位相と遅角側に設定された第二中間規制位相とを両端とする範囲として設定されている。この場合、ロック位相は最遅角位相とはせず、ロック位相と第二中間規制位相との間の角度よりも大きい角度範囲だけ進角側の位相に設定している。また、ここでは、ロック機構5の解除を相対回転位相の変位方向に関係なく行うことを可能にするため、ロック通路55は、進角通路43及び遅角通路44に対して独立した通路とすると好適である。このような位相変位規制機構6の構成によれば、相対回転位相は、ロック機構5をロック状態とすることによりロック位相に拘束され、ロック機構5を解除状態として位相変位規制機構6を規制状態とし、相対回転位相を進角方向に変位させることにより第一中間規制位相に拘束され、この状態で相対回転位相を遅角方向に変位させることにより第二中間規制位相に拘束される。従って、この位相変位規制機構6の構成によれば、エンジンの状態に応じて始動時の最適な弁開閉時期が得られるように、3つの位相を選択することが可能となる。なお、その他の構成については、上記第一及び上記第二の実施形態と同様とすることができる。
〔第四の実施形態〕
次に、本発明の第四の実施形態について説明する。図12は、本実施形態に係る弁開閉時期制御装置1の油圧回路7の構成を示す図である。この図に示すように、本実施形態に係る弁開閉時期制御装置1の油圧回路7は、上記第一の実施形態と比較して、第二制御弁75を有しておらず、それに代えて、作動油貯留部73の潤滑系連通口73dと位相変位規制機構6とを連通させる連通流路82を備えている点で相違している。具体的には、この連通流路82は、作動油貯留部73の潤滑系連通口73dとエンジン潤滑系78とを連通させる潤滑系連通流路81から分岐し、規制通路65を介して位相変位規制機構6の規制凹部61に連通する作動油の流路として構成している。その他の構成については、上記第一及び上記第二の実施形態と同様である。
この油圧回路7の構成によると、エンジンの始動前後の第一ポンプ71の停止状態又は十分に動作していない状態では、作動油貯留部73の貯留室73a内に作動油は充満していないので、潤滑系連通流路81及び連通流路82には作動油は流れない。しかしその後、エンジンが始動して第一ポンプ71により十分な量の作動油が吐出されると、作動油貯留部73の貯留室73a内には作動油が充満し、その後に貯留室73aから溢れた作動油は潤滑系連通流路81及び連通流路82にも充満する。これにより、位相変位規制機構6の規制凹部61にも作動油が供給され、位相変位規制機構6は解除状態となる。従って、上記第一の実施形態の第二制御弁75のような、位相変位規制機構6を制御するための制御弁を用いることなく、第二ポンプ72からの作動油により動作するロック機構5に対して遅れたタイミング、すなわち第一ポンプ71により十分な量の作動油が吐出されるようになったタイミングで位相変位規制機構6を解除状態とする動作を行わせることが可能となる。
次に、図13に示すタイミングチャートに基づいて、中間規制位相をエンジン始動時の相対回転位相として選択する場合における弁開閉時期制御装置1の動作例について説明する。但し、図13に示すのは上記第一の実施形態の改変例であり、上記第二の実施形態の改変例については説明を省略する。
まず、通常のエンジン停止状態では、第一ポンプ71及び第二ポンプ72も停止しており、図2に示すように、相対回転位相はロック位相(最遅角位相)であり、ロック機構5はロック部材53が突出したロック状態、位相変位規制機構6は突出部材63が突出した規制状態となっている。そして、イグニッションキーのオン等のエンジンの始動又は始動を予測させる信号を始動トリガとし、制御ユニット80は、第二ポンプ72の動作を開始させる。
また、制御ユニット80は、第一制御弁74を、遅角室42に作動油を供給する遅角制御状態に設定時間T1制御する始動前充填を実行する。このとき、作動油はロック機構5に供給されないので、相対回転位相がロック位相で拘束された状態で、つまり、進角室41及び遅角室42の容積を変化させない状態で、遅角室42のみに作動油が供給される。そして、遅角室42のみに作動油が設定時間T1供給されると、遅角室42に作動油が充填された状態、或いは、完全に充填されなくとも、遅角室42の内部に作動油が少なくとも存在する状態が形成される。
次に制御ユニット80は、第一制御弁74を、進角室41及びロック機構5の係合凹部51に作動油を供給する進角制御状態に制御する。その結果、図3に示すように、第二ポンプ72からの作動油によりロック機構5はロック部材53が突出したロック状態からロック部材53が引退して解除状態となる。この際、作動油貯留部73の貯留室73a内の作動油は第二ポンプ72に吸入されて減少傾向にあるので、連通流路82に作動油が流入することはなく、位相変位規制機構6は突出部材63が突出した規制状態に保持されている。
そして、ロック機構5が解除状態となった後、進角室41に供給される作動油によって相対回転位相は進角方向S1に変位する。このとき、進角室41の容積は増加方向に変化し、遅角室42の容積は減少方向に変化する。但し、上述のように遅角室42には既に作動油が充填されているか又は少なくとも存在する状態であるので、遅角室42の容積変化の速度は抑制される。例えば、遅角室42に作動油が充填されているとき、遅角室42の容積を減少させるにあたって遅角室42内の作動油を排出するときの作動油の抵抗により、遅角室42の容積変化の速度は抑制される。また、遅角室42に作動油が少なくとも存在していれば、遅角室42が空である(つまり、作動油が存在しない)ときに比べて、遅角室42の容積変化の速度は抑制される。
また、相対回転位相が進角方向に変位するとき、位相変位規制機構6は規制状態となっているので、位相変位許容範囲Rを超える相対回転位相の変位が規制され、図4に示すように、相対回転位相は、位相変位許容範囲Rの一方端の中間規制位相に拘束される。
その後、エンジンのクランキングが開始されると、エンジン回転数は上昇する。そして、相対回転位相が中間規制位相にある状態で、エンジンに着火される。これにより、エンジン始動時の相対回転位相を中間規制位相とすることができる。エンジンの始動後、第一ポンプ71により十分な量の作動油が吐出されると、作動油貯留部73の貯留室73a内には作動油が充満し、溢れた作動油は潤滑系連通流路81及び連通流路82にも充満する。これにより、位相変位規制機構6の規制凹部61にも作動油が供給され、突出部材63が引退して位相変位規制機構6は解除状態となる。その後、制御ユニット80は、第一制御弁74を制御して進角室41及び遅角室42への作動油の供給を調節し、相対回転位相を任意の位相に変位させる制御を行う。但し、図13のフローチャートでは、制御ユニット80が、第一制御弁74をホールド制御した状態を示している。また、エンジン回転数が上昇して第一ポンプ71による作動油の吐出量が十分に得られるようになれば、制御ユニット80は第二ポンプ72を停止させる。
〔その他の実施形態〕
(1)上記実施形態では、進角室41へ作動油を供給する進角通路43がロック機構5の係合凹部51と連通するように構成され、進角室41へ作動油を供給すると相対回転位相のロックが解除される例について説明したが、遅角室42へ作動油を供給する遅角通路44がロック機構5の係合凹部51と連通するように構成してもよい。その場合、遅角室42へ作動油を供給すると相対回転位相のロックが解除され、進角室41へ作動油を供給してもロックは解除されない。よって、上記第一の実施形態では、進角室41へ作動油を供給することで上記始動前充填を実行すればよい。また、上記第二の実施形態では、遅角室42へ作動油を設定時間T2の間供給することで、遅角室42から進角室41への作動油のリークを発生させて上記始動前充填を実行すればよい。
(2)上記の各実施形態においては、ロック機構5と位相変位規制機構6とを同一の突部24に隣接して配置する場合について説明したが、これらロック機構5及び位相変位規制機構6は、任意の位置に設けることが可能であり、それぞれ異なる突部24に配置することも可能である。
(3)上記の各実施形態において説明した、ロック機構5により相対回転位相を拘束するロック位相や、位相変位規制機構6により相対回転位相の変位を規制する位相変位許容範囲Rの端部における中間規制位相は、単なる一例であり、これらの位相は、エンジンの特性や使用条件等に応じて適切な位置に設定すると好適である。
(4)上記の各実施形態においては、ロック機構5のロック部材53、及び位相変位規制機構6の突出部材63は、いずれも外部ロータ2側から内部ロータ3側に突出し、内部ロータ3側に設けられた係合凹部51又は規制凹部61に突入する構成とする場合について説明したが、内部ロータ3と外部ロータ2との関係を逆にすることも当然に可能である。すなわち、ロック機構5のロック部材53、及び位相変位規制機構6の突出部材63が内部ロータ3側から外部ロータ2側に突出し、外部ロータ2側に設けられた係合凹部51又は規制凹部61に突入する構成とすることも可能である。
本発明の第一の実施形態に係る弁開閉時期制御装置の全体構成を示す側断面図 図1のA−A断面図 図1のA−A断面図 図1のA−A断面図 図1のA−A断面図 本発明の第一の実施形態に係るロック機構及び位相変位規制機構の拡大図 本発明の第一の実施形態に係る油圧回路の構成を示す説明図 本発明の第一の実施形態に係る作動油貯留部内の作動油の状態を示す説明図 本発明の第一の実施形態に係る弁開閉時期制御装置の動作の一例を示すタイミングチャート 本発明の第二の実施形態に係る弁開閉時期制御装置の動作の一例を示すタイミングチャート 本発明の第三の実施形態に係るロック機構及び位相変位規制機構の拡大図 本発明の第四の実施形態に係る油圧回路の構成を示す説明図 本発明の第四の実施形態に係る弁開閉時期制御装置の動作の一例を示すタイミングチャート 背景技術に係る弁開閉時期制御装置の構成を示す断面図
符号の説明
2 外部ロータ(駆動側回転部材)
3 内部ロータ(従動側回転部材)
41 進角室
42 遅角室
5 ロック機構
6 位相変位規制機構と、
7 油圧回路(流体給排部)
74 第一制御弁(流体制御弁)

Claims (5)

  1. 内燃機関のクランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転部材と、
    前記駆動側回転部材に対して同軸状に配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトに対して一体回転する従動側回転部材と、
    前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材とにより形成され、流体が供給されることにより前記駆動側回転部材に対する前記従動側回転部材の相対回転位相を遅角方向に移動させる遅角室と前記相対回転位相を進角方向に移動させる進角室と、
    前記相対回転位相を所定のロック位相で拘束可能なロック機構と、
    前記ロック機構とは独立して動作可能であり、前記相対回転位相を前記ロック位相を含む所定の位相変位許容範囲内に規制可能な位相変位規制機構と、
    前記進角室、前記遅角室、前記ロック機構及び前記位相変位規制機構への流体の供給及び前記進角室、前記遅角室、前記ロック機構及び前記位相変位規制機構からの流体の排出を行う流体給排部と、を備え、
    前記相対回転位相が前記ロック位相で拘束されている前記内燃機関の始動時において、クランキング開始前に前記進角室及び前記遅角室の何れか一方を流体で満たす始動前充填を行った後、前記進角室及び前記遅角室の何れか他方へ流体を供給するとともに前記ロック機構に前記ロック位相での拘束を解除するための流体を供給するように構成されている弁開閉時期制御装置。
  2. 前記流体給排部は、前記進角室、前記遅角室及び前記ロック機構への流体の供給を制御する流体制御弁を備え、
    前記流体制御弁は、ソレノイドへの通電量に応じてスリーブ内に摺動可能に配置されたスプールをスプリングに抗して変位させる可変式電磁スプールバルブを用い、前記通電量が小さいほど前記始動前充填に供する流体の供給量が多くなるように構成されている請求項1記載の弁開閉時期制御装置。
  3. 内燃機関のクランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転部材と、
    前記駆動側回転部材に対して同軸状に配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトに対して一体回転する従動側回転部材と、
    前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材とにより形成され、流体が供給されることにより前記駆動側回転部材に対する前記従動側回転部材の相対回転位相を遅角方向に移動させる遅角室と前記相対回転位相を進角方向に移動させる進角室と、
    前記相対回転位相を所定のロック位相で拘束可能なロック機構と、
    前記ロック機構とは独立して動作可能であり、前記相対回転位相を前記ロック位相を含む所定の位相変位許容範囲内に規制可能な位相変位規制機構と、
    前記進角室、前記遅角室、前記ロック機構及び前記位相変位規制機構への流体の供給及び前記進角室、前記遅角室、前記ロック機構及び前記位相変位規制機構からの流体の排出を行う流体給排部と、を備え、
    前記相対回転位相が前記ロック位相で拘束されている前記内燃機関の始動時において、クランキング開始前の設定時間の間、前記進角室及び前記遅角室の何れか一方へ流体を供給し、前記進角室及び前記遅角室の何れか一方からリークした流体によって前記進角室及び前記遅角室の何れか他方を満たす始動前充填を行うように構成されている弁開閉時期制御装置。
  4. 前記設定時間は、流体の状態に応じて変更される請求項3記載の弁開閉時期制御装置。
  5. 前記流体の状態は流体の温度に基づいて導出される請求項4記載の弁開閉時期制御装置。
JP2005350512A 2005-12-05 2005-12-05 弁開閉時期制御装置 Expired - Fee Related JP4556137B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005350512A JP4556137B2 (ja) 2005-12-05 2005-12-05 弁開閉時期制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005350512A JP4556137B2 (ja) 2005-12-05 2005-12-05 弁開閉時期制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007154748A JP2007154748A (ja) 2007-06-21
JP4556137B2 true JP4556137B2 (ja) 2010-10-06

Family

ID=38239445

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005350512A Expired - Fee Related JP4556137B2 (ja) 2005-12-05 2005-12-05 弁開閉時期制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4556137B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5382427B2 (ja) * 2008-09-04 2014-01-08 アイシン精機株式会社 弁開閉時期制御装置
CN102597437B (zh) 2009-11-04 2015-01-28 爱信精机株式会社 阀开闭定时控制装置
JP6127631B2 (ja) 2013-03-22 2017-05-17 アイシン精機株式会社 内燃機関
CN105026700B (zh) * 2013-05-30 2018-05-25 爱信精机株式会社 阀开闭时期控制装置
JP6079676B2 (ja) 2014-03-26 2017-02-15 アイシン精機株式会社 弁開閉時期制御装置
JP6384390B2 (ja) * 2015-04-02 2018-09-05 アイシン精機株式会社 内燃機関の制御ユニット

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1113429A (ja) * 1997-06-20 1999-01-19 Toyota Motor Corp 内燃機関のバルブ開閉特性制御装置
JPH11311107A (ja) * 1998-04-27 1999-11-09 Aisin Seiki Co Ltd 弁開閉時期制御装置
JP2000179365A (ja) * 1998-12-11 2000-06-27 Mitsubishi Motors Corp カム位相可変装置
JP2001050064A (ja) * 1999-08-05 2001-02-23 Denso Corp 内燃機関の可変バルブタイミング制御装置
JP2005233174A (ja) * 2004-01-19 2005-09-02 Toyota Motor Corp 内燃機関の可変動弁装置
JP2006322409A (ja) * 2005-05-19 2006-11-30 Aisin Seiki Co Ltd 弁開閉時期制御装置
JP2006348926A (ja) * 2005-05-19 2006-12-28 Aisin Seiki Co Ltd 弁開閉時期制御装置
JP2007064127A (ja) * 2005-08-31 2007-03-15 Aisin Seiki Co Ltd 弁開閉時期制御装置

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1113429A (ja) * 1997-06-20 1999-01-19 Toyota Motor Corp 内燃機関のバルブ開閉特性制御装置
JPH11311107A (ja) * 1998-04-27 1999-11-09 Aisin Seiki Co Ltd 弁開閉時期制御装置
JP2000179365A (ja) * 1998-12-11 2000-06-27 Mitsubishi Motors Corp カム位相可変装置
JP2001050064A (ja) * 1999-08-05 2001-02-23 Denso Corp 内燃機関の可変バルブタイミング制御装置
JP2005233174A (ja) * 2004-01-19 2005-09-02 Toyota Motor Corp 内燃機関の可変動弁装置
JP2006322409A (ja) * 2005-05-19 2006-11-30 Aisin Seiki Co Ltd 弁開閉時期制御装置
JP2006348926A (ja) * 2005-05-19 2006-12-28 Aisin Seiki Co Ltd 弁開閉時期制御装置
JP2007064127A (ja) * 2005-08-31 2007-03-15 Aisin Seiki Co Ltd 弁開閉時期制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007154748A (ja) 2007-06-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4687964B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP4609714B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP4377183B2 (ja) 可変カムシャフトタイミング機構
JP4985729B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP4320645B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP5550480B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP4609729B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP4524672B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP4849150B2 (ja) 内燃機関の可変動弁装置
JP4556137B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP5321911B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP2009074384A (ja) 弁開閉時期制御装置
JP2010084756A (ja) 弁開閉時期制御装置
JP4333630B2 (ja) エンジンの可変バルブタイミング装置
JP6079676B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP6036600B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP4531705B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JPWO2014192355A1 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP5067628B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
US20140060469A1 (en) Valve opening-closing timing control apparatus
JP2009079475A (ja) 内燃機関の可変動弁機構
JP5120635B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP2002030909A (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP5370531B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP5488481B2 (ja) 内燃機関の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081114

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091203

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100624

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100707

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4556137

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130730

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees