実施の形態1.
図1は、本発明による実施の形態1の画像形成装置の要部概略構成を示す概略構成図である。
同図に示すように、画像形成装置100は、例えばカラー電子写真プリンタとしての構成を備え、用紙収納部2、給紙ローラ3、第1と第2のレジストローラ7,8、第1走行センサ4、第2走行サンサ5、第3走行センサ6、第4走行センサ14、搬送ベルト9、搬送ベルト駆動ローラ10,11、定着ローラ13、排出スタッカ15、トナー画像形成部16a〜16d、濃度センサ12、転写ローラ22a〜22d等を有する。
画像形成装置100による印刷を行うための記録媒体1は、用紙収納部2に複数枚収納され、給紙ローラ3によって、用紙収納部2から1枚ずつ搬送経路に送り出される。搬送経路に送り出された記録媒体1は、第1レジストローラ7及び第2レジストローラ8によってトナー画像形成部16a〜16dまで搬送される。第1レジストローラ7及び第2レジストローラ8の手前には、それぞれ各レジストローラに記録媒体1が到達したことを検出するための第1走行センサ4及び第2走行センサ5が設置されている。また第2レジストローラ8のすぐ下流側には、記録媒体1の先端が後述するトナー画像形成部16aに到達するタイミングをはかるための第3走行センサ6が設置されている。
搬送ベルト9は、この搬送ベルト9を張架する一対の搬送ベルト駆動ローラ10,11によって矢印方向に移送駆動され、記録媒体1を表面に吸着させて、搬送経路に沿って同方向に搬送する。
トナー画像形成部16a〜16dは搬送ベルト9に沿って配設され、用紙搬送経路の上流側から順に、ブラック用のトナー画像形成部(K)16a、イエロー用のトナー画像形成部(Y)16b、マゼンタ用のトナー画像形成部(M)16c、及びシアン用のトナー画像形成部(C)16dが配置している。尚、トナー画像形成部16a〜16dは、特に個々を区別する必要がなく、総称する場合にはトナー画像形成部16と記す。
各トナー画像形成部16a〜16dは、後述するように感光体ドラム21a〜21dを備えており、各感光体ドラム21a〜21dが搬送ベルト9に接して矢印方向に回転する。転写ローラ22a〜22dは、搬送ベルト9を挟んでそれぞれ感光体ドラム21a〜21dと対峙する位置に配置されて、所定のタイミングで転写電圧が印加される。尚、感光体ドラム21a〜21d及び転写ローラ22a〜22dは、特に個々を区別する必要がなく、総称する場合には感光体ドラム21及び転写ローラ22と記す。
定着ローラ13は、後述するように、記録媒体1が各色のトナー画像形成部16及び転写ローラ22を通過する際に、順次重ねて転写される各色のトナーを、加圧及び加熱によって記録媒体1に定着させる。この定着ローラ13の下流側には、第4走行センサ14が配設されており、記録媒体1はこの第4走行センサ14を通過後、排出スタッカ15へ排出される。
図2(a)は、トナー画像形成部(C)16dの近傍を部分拡大した部分拡大図であり、図2(b)は、トナー画像形成部(K)16aの近傍を部分拡大した部分拡大図である。
同図(a)に示すように、感光体ドラム21dの周囲には、その回転方向の上流側から順に、感光体ドラム21dの表面を一様に帯電させるための帯電ローラ25d、印刷データに基づいて感光体ドラム21dの表面に静電潜像を作るためのLEDヘッド26d、この静電潜像上にトナーを載せていくための現像ローラ27d、そして搬送ベルト9を介して前記した転写ローラ22dが配置されている。トナー画像形成部(C)16dは、感光体ドラム21d、帯電ローラ25d、LEDヘッド26d、現像ローラ27d、そしてこの現像ローラ27dの表面へ帯電したトナー(シアン)を供給するためのトナー搬送ローラ28dを有して構成されている。
搬送ベルト駆動ローラ10の、搬送ベルト9の移動方向下流側における近傍には、後述するように搬送ベルト9上に印刷されたパターンの濃度を読み取るための濃度センサ12が配置されている。
一方、同図(b)に示すように、感光体ドラム21aの周囲には、その回転方向の上流側から順に、感光体ドラム21aの表面を一様に帯電させるための帯電ローラ25a、印刷データに基づいて感光体ドラム21aの表面に静電潜像を作るためのLEDヘッド26a、この静電潜像上にトナーを載せていくための現像ローラ27a、そして搬送ベルト9を介して前記した転写ローラ22aが配置されている。トナー画像形成部(K)16aは、感光体ドラム21a、帯電ローラ25a、LEDヘッド26a、現像ローラ27a、そしてこの現像ローラ27aの表面へ帯電したトナー(ブラック)を供給するためのトナー搬送ローラ28aを有して構成されている。
また同図(b)に示すように、第2のレジストローラ8から送出される記録媒体1は、第3走行センサ6を通過して搬送ベルト駆動ローラ11上に導かれ、以後搬送ベルト9の表面に吸着して引き続き搬送される。
図示しないが、他のトナー画像形成部(Y)16b及びトナー画像形成部(M)16cも同様に、それぞれ感光体ドラム21b、帯電ローラ25b、LEDヘッド26b、現像ローラ27b、トナー搬送ローラ28b、及び感光体ドラム21c、帯電ローラ25c、LEDヘッド26c、現像ローラ27c、トナー搬送ローラ28cを有して構成されている。尚、帯電ローラ25a〜25d、LEDヘッド26a〜26d、現像ローラ27a〜27d、及びトナー搬送ローラ28a〜28dは、特に個々を区別する必要がなく、総称する場合には帯電ローラ25、LEDヘッド26、現像ローラ27、及びトナー搬送ローラ28と記す。
図3は、本発明による画像形成装置100の制御系の要部構成を示すブロック図である。
同図中、エンジン制御部50は、本装置全体の制御を実行するための中心部をなし、濃度センサ12、第1走行センサ4、第2走行センサ5、第3走行センサ6、第4走行センサ14からの各検出情報を入手し、入力したこれらの情報に基づいて、画像処理部52、モータ制御部51、高圧制御部53、ヒータ制御部54等に、本装置の動作を制御するための動作命令を適宜出力する。画像処理部52は、ビデオIF部60からの画像情報とエンジン制御部50からの指示によりLEDヘッド26へ画像データを出力する。モータ制御部51は、エンジン制御部50からの指示に基づいて給紙モータ55、ベルトモータ56、IDモータ57、ヒータモータ58、及び給紙ソレノイド59の各駆動制御を行う。
高圧制御部53は、エンジン制御部50からの指令を受けて、後述するように、各トナー画像形成部16a〜16dの、帯電ローラ25(図2)に印加する帯電電圧CH、現像ローラ27(図2)に印加する現像電圧DB、及びトナー搬送ローラ28(図2)に印加する供給電圧SBを制御すると共に、転写ローラ22に印加する転写電圧を制御する。
図4は、画像形成装置100が行なう汚れ・カブリレベル検出のため、高圧制御部53による電圧制御の推移を示すタイムチャートである。同タイムチャート及び図1〜図3を参照しながら、画像形成装置100による汚れ・カブリレベル検出動作について、以下に説明する。
エンジン制御部50から出力される帯電電圧の補正動作開始命令により、モータ制御部51は、ベルトモータ56とIDモータ57を回転駆動し、搬送ベルト9と感光体ドラム21の回転を開始する。このとき感光体ドラム21以外の画像形成に関わるローラ、即ち転写ローラ22、帯電ローラ25、現像ローラ27、及びトナー搬送ローラ28も図示しない回転伝達手段を介して所定の回転を開始する。高圧制御部53は、エンジン制御部50から出力される制御信号により、図4のタイムチャートに示す高圧信号を出力する。
尚、本実施の形態において、後述するパターン濃度検出の為に、搬送ベルト9上へ形成される検出パターンは、露光手段であるLEDヘッド26が非露光の状態で形成される。従って、ここではLEDヘッド26の発光制御が行われないため、図4のタイムチャートにもLEDヘッド制御についての記載がない。
先ず時刻t1で、4色用の転写電圧が、非印刷時の電圧レベルであるオフ電圧とされ、続く時刻t2で、高圧制御部53からトナー画像形成部16の現像ローラ27に対して現像電圧DBのオン電圧が印加され、同じく時刻t2でトナー搬送ローラ28に対して供給電圧SBのオン電圧が印加され、同じく時刻t2で帯電ローラ25に対して帯電電圧CHのオン電圧が印加される。このときの帯電ローラ25に対する帯電電圧CHのオン電圧は、同図に示すようにそれぞれ段階的にレベル減少するが、時刻t2では絶対値レベルが一番大きな値である第1の帯電電圧(Va)に設定される。
ここでの制御では、搬送路の上流側に位置するトナー画像形成部(K)16aより順番にパターン印刷が行われる。即ち、高圧制御部53から、先ずトナー画像形成部(K)16aの帯電ローラ25aに対して、時刻t2で第1の帯電電圧(Va)が印加され、時刻t3で第2の帯電電圧(Vb)が印加され、時刻t4で第3の帯電電圧(Vc)が印加され、時刻t5で第4の帯電電圧(Vd)が印加され、時刻t6で第5の帯電電圧(Ve)が印加され、そして時刻T7で再び第1の帯電電圧(Va)が印加される。これ等の各帯電電圧で帯電された感光体ドラム21aの各帯電部は、後述するように、現像ローラ27aと接触して順次現像され、この現像パターンが転写ローラ22aによって順次搬送ベルト9上に転写されて検出パターンが形成される。
各電圧での出力時間は搬送ベルト9の搬送速度と濃度センサ12での濃度検出能力、エンジン制御部50での情報処理速度に依存して決定される。即ち、搬送ベルト9の搬送速度に対しては搬送ベルト9上へ転写された各検出パターンの濃度を読み取るのに十分な時間であり、濃度センサ12の濃度検出能力に対しては光学的に検出された濃度信号を電圧値に変換するのに十分な時間であり、エンジン制御部50での情報処理速度に対してはA/Dコンバータによりサンプリングされた濃度情報が正確な値として処理され、必要なデータに変換されるのに十分な時間ということになる。処理時間を短縮するため、及び使用するトナー量を少なく抑えるために、パターンを発生している帯電電圧の出力時間は、前述した条件を満たす範囲で短くすることが望ましい。
上記した第1〜第5の帯電電圧(Va〜Ve)の決め方として、ここでは、例えば現状の設定値を第3の帯電電圧Vc(基準レベル)として中央値と考え、その中央値よりも絶対値が大きいほうへ2レベル上げた値を第1の帯電電圧Va、小さいほうへ2レベル下げた値を第5の帯電電圧Veとするやり方を用いている。この電圧の刻み(1レベル)は装置の特性等により適当な値にチューニングされるべき値であるが、実験から得られた平均的な値として、1レベルを50Vとする5段階のレベル変化によって後述するOK状態からNG状態への変化点を捉えることが可能であることがわかっている。
図4に示すように、帯電電圧CHは、絶対値レベルが5段階にわたって順次小さくなる方向に変化する。ここでは上記したように、3番目に出力される中央値を基準にした50V刻みの5段階の帯電電圧により、5種の検出パターンの非露光印刷が搬送ベルト9上で行われる。感光体ドラム21a上のトナーを搬送ベルト9上へ転写するために、時刻t2では他の高圧の切り替えタイミングと同期して、転写ローラ(K)22aに印加する転写電圧(K)を印刷時の電圧レベルであるオン電圧としている。
上流側の上記したブラック(K)用のトナー画像形成部16a及び転写ローラ22aによる非露光印刷(パターン印刷)が時刻t2〜時刻t7の間で終了すると、トナー画像形成部16の配列順に、イエロー(Y)用のトナー画像形成部16b及び転写ローラ22bによる非露光印刷、マゼンタ(M)用のトナー画像形成部16c及び転写ローラ22cによる非露光印刷、シアン(C)用のトナー画像形成部16d及び転写ローラ22dによる非露光印刷が、それぞれ時刻t8〜時刻t13、時刻t15〜時刻t20、時刻t21〜時刻t26の間に行われていく。各色のパターン印刷タイミングは、上記したブラック(K)でのパターン印刷タイミングと同じである。
尚、感光体ドラム21が帯電ローラ25によって帯電された部分が、転写ローラ22の位置に至るには、その回転速度によって決まるタイムラグが生じるが、図4のタイムチャートでは、簡単のため、このタイムラグを省略している。
搬送ベルト9上に印刷された各色の検出パターンは、やがて時刻t14に、その先頭部が濃度センサ12の位置まで到達する。濃度センサ12は、順次通過するパターンを検出し、その濃度に応じた電圧に変換した濃度センサ出力をエンジン制御部50に送る。
この時、帯電ローラ25の劣化やトナー付着による帯電能力低下、感光体ドラム21の劣化、異常帯電トナーなどの原因により、大きなダメージを受けている画像形成装置では、前記した5段階ある検出パターンのうち、第5の帯電電圧Veで現像された第5検出パターンにより近い検出パターンほど、濃度検出値が基準濃度レベルを越えてしまう可能性が高くなる。一方、汚れ発生要因がまだ発生していない比較的状態の良い画像形成装置では、第1〜第5の帯電電圧全てで汚れが発生せず、汚れ印刷判定が全てでOKになることもある。その検出時の様子を後述する図6、図7に示す。
上記した基準濃度レベルは、エンジン制御部50(図3)内部の図示せぬ記憶手段に保持されており、比較を行うときにはそこから読み出されて制御に使用される。このとき、黒印刷による判定とカラー印刷による判定では、濃度が電圧に変換される際の変化の向きが逆となる。これは、黒は拡散反射光が検出され、カラーは鏡面反射光が検出されるためである。
つまり黒の場合、汚れがひどくなって付着したトナー量が増えていくと、トナーからの拡散反射光が増加していくため、トナー付着が全く無くて鏡面反射のみに近く、出力電圧が最も大きかった状態から低下していく。これに対してカラーの場合、付着したトナー量が増えていくと、鏡面反射光が減ってくるために出力が上昇していく。従って、黒印刷を行った場合、図6に示すように、濃度センサ出力値が所定の基準濃度レベルより高い状態を維持するものが良好な画像形成装置であり、逆にカラー印刷を行った場合、図7に示すように、濃度センサ出力値が所定の基準濃度レベルより低い状態を維持するものが良好な画像形成装置と判断される。尚、基準濃度レベルは、当然のことながら4色とも異なる値を持つことができる制御方法になっている。
次に判定結果にもとづく補正方法を説明する。図5は、汚れ・カブリレベルが判定された時の帯電電圧の補正方法を説明するための説明図である。
同図に示すように、第1〜第5の帯電電圧(Va〜Ve)を出力して、例えば第3の帯電電圧Vcまで出力が下がってきた時に、その濃度センサ出力が基準濃度レベルを越えて汚れ印刷が発生したと判定された場合、この場合の一番単純な補正方法としては、第3の帯電Vcを基準に絶対値が大きくなる方向へ100V(2レベルアップ)のマージンを持った値を、帯電電圧補正値(通常印刷時の帯電電圧値)とする方法が考えられる。
図6は、良、不良とされる2種類の画像形成装置を用いて、上記汚れ・カブリレベル検出方法によって黒色パターン印刷を行った際の、濃度センサ12によって検出されるパターン濃度の濃度レベル(濃度センサ出力)変化を示すグラフであり、図7は、同じく良、不良とされる2種類の画像形成装置を用いて、カラーパターン印刷を行った際の、濃度センサ12によって検出されるパターン濃度の濃度レベル(濃度センサ出力)変化を示すグラフである。
図6に示すように、黒印刷時には、濃度レベルが基準値以上の場合が良(OK)とされ、濃度レベルが常に基準値以上の装置が良と判定され、濃度レベルが1つでも基準値を下回る場合、その装置は不良とされる。一方、カラー印刷時には、濃度レベルが基準値以下の場合が良(OK)とされ、濃度レベルが常に基準値以下の装置が良と判定され、濃度レベルが1つでも基準値を上回る場合、その装置は不良とされる。
図8は、本実施の形態による画像形成装置において、上記判定でNGと判定されたとき、帯電電圧補正値(通常印刷時の帯電電圧値)をどのように設定するか、をまとめた表である。
本実施の形態による画像形成装置においては、図8の表に示すように、第1〜第5の帯電電圧(Va〜Ve)の、NGと判定された帯電電圧に対して、絶対値で100V大きな値に設定し、NGが発生しない場合には現状の第3の帯電電圧に対して、絶対値で50V小さな値に設定する例を示している。
図9は、汚れ現象と帯電電圧CHの変動との関係をまとめたグラフである。同図において、ドラム表面電位a〜eは、第3帯電電圧Vcを例えば−1050Vとして5段階(Va〜Ve)に設定した時の感光体ドラム21の表面電電位であり、一方現像ローラ27上の帯電トナーは、同グラフの正規分布で示すように各電位に帯電して分布していることを示している。
汚れ現象が発生するのは、ドラム表面電位よりも絶対値で大きくて逆転状態にある帯電トナーがドラム表面に付着することに起因する。従って、帯電トナーが同図の帯電トナー分布状態Aのように分布する場合、ドラム表面電位d、eでは逆転状態にある帯電トナーが大量に存在するため、汚れが顕著となる。一方、帯電トナーが同図の帯電トナー分布状態Bのように分布する場合、ドラム表面電位eでも逆転状態にある帯電トナーが僅かに存在するだけであるため、汚れが発生しにくい。
従って、帯電トナーが同図の帯電トナー分布状態Aのように存在する場合、帯電電圧CHを、例えば前記したように2レベルアップすることによって、相対的に帯電トナー分布状態B状態に移行することができ、汚れの発生を防止することが可能となる。
帯電ローラ25の劣化やトナー付着による帯電能力低下、或いは感光体ドラム21の劣化により、帯電ローラ25に印加される帯電電圧は同じでも感光体ドラム21の表面電位は絶対値が小さくなる。また異常帯電トナーの発生は、感光体ドラム21の表面電位は変化しなくても、帯電トナーの分布状態が感光体ドラム21の表面電位と比較して相対的に絶対値が大きくなる方向ヘシフトすることにつながる。この二つの現象は、どちらも帯電トナーの電位とドラム表面電位の逆転という意味では同じ現象になっている。この状況を改善するために、帯電電圧の補正値を汚れが発生しないレベルまで高く(絶対値を大きく)するようにした。
NGが検出された帯電電圧をもとに補正値を決める時に、どれくらい大きめにするかを調節することでカブリ印刷に対するマージンも調整することができる。カブリ印刷は、プラスに逆帯電したトナーによって引き起こされる現象である。従って、プラスに逆帯電したトナーによるカブリ印刷は、感光体ドラム21の表面電位がマイナスで絶対値が大きくなればなるほど発生しやすくなるため、マージン設定は汚れ印刷とカブリ印刷が発生しない範囲で小さくするほうがカブリ印刷防止に対しては効果がある。
図10は、汚れ印刷とカブリ印刷をバランスよく防止するための帯電電圧の設定方法を説明するためのイメージ図である。
同図に示すように分布する帯電トナーに対しては、帯電電圧CHを上げてドラム表面電電位を上げる(例えばドラム表面電位b)ことで、トナー電位とドラム表面電位の逆転は起きなくなり、汚れ印刷が発生しにくくなる。即ち、前述した方法で検出できた汚れ印刷発生時の帯電電圧CHにマージン分を加えた(絶対値を大きくする)帯電電圧を設定してやればよいが、そのマージンが大きすぎると逆に逆帯電トナー(正帯電トナー)によるカブリ印刷が目立ってきてしまう。ただ実験からは汚れ印刷が消えてカラカブリ印刷が発生するまでの帯電電圧CHでの差は平均的には100V以上あり、かなり幅が広い。このため本実施の形態ではマージン電圧を100Vとして記載している。
図11は、本実施の形態による、エンジン制御部50で実行される帯電電圧CHの補正値(通常印刷時の帯電電圧値)決定の手順を説明するフローチャートである。尚、帯電電圧CHの補正値の決定は、図4のタイムチャートの説明でも一部説明したように、各トナー画像形成部16a〜16dにおいて、順次行われるものであるが、その手順が同じであるため、個々を区別しない形態で説明する。
トナー画像形成部16による搬送ベルト9上への非露光印刷が可能な状態において、先ず標準の帯電電圧値をデフォルト帯電電圧として、(デフォルト帯電電圧−100V)とする第1の帯電電圧(Va)が帯電ローラ25(図2)に所定時間印加される(ステップS101)。続くステップS102で(デフォルト帯電電圧−50V)とする第2の帯電電圧(Vb)が、続くステップS103で(デフォルト帯電電圧)とする第3の帯電電圧(Vc)が、続くステップS104で(デフォルト帯電電圧+50V)とする第4の帯電電圧(Vd)が、続くステップS105で(デフォルト帯電電圧−100V)とする第5の帯電電圧(Ve)が、順次帯電ローラ25に印加される。
第1〜第5までの各帯電電圧で帯電された感光体ドラム21の各帯電部は、現像ローラ27と接触して順次現像され、更にこの現像パターンが転写ローラ22によって順次搬送ベルト9上へ転写されて検出パターンが形成される。このようにして、感光体ドラム21の各帯電部に対応して搬送ベルト9上に形成された第1〜第5までの5種類の検出パターンは、順次濃度センサ12の検出位置に至る。
先ず第1の帯電電圧(Va)で帯電された感光体ドラム21の表面部に対応する第1の検出パターンの第1のパターン濃度が濃度センサ12で検出され、基準値と比較される(ステップS106)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(第1の帯電電圧−100V)を帯電電圧補正値(通常印刷時の帯電電圧値)とし(ステップS112)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS117)。
尚、濃度補正のステップでは、確定した帯電電圧補正値の帯電電圧CHを帯電ローラ25に印加する処理の他、種々の補正処理を実行するものとする。例えば、テストパターンの濃度を検出し、検出された濃度と記憶装置に記憶されている基準濃度との比較を行い、高圧出力(帯電電圧、現像電圧、現像剤供給電圧など)の設定値やLEDヘッド(露光ヘッド)の光量値を補正する。
ステップS106での判定が良(OK)の場合は、次に第2の帯電電圧(Vb)で帯電された感光体ドラム21の表面部に対応する第2の検出パターンの第2のパターン濃度が濃度センサ12で検出され、基準値と比較される(ステップS107)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(第2の帯電電圧−100V)を帯電電圧補正値とし(ステップS113)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS117)。
ステップS107での判定が良(OK)の場合は、次に第3の帯電電圧(Vc)で帯電された感光体ドラム21の表面部に対応する第3の検出パターンの第3のパターン濃度が濃度センサ12で検出され、基準値と比較される(ステップS108)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(第3の帯電電圧−100V)を帯電電圧補正値とし(ステップS114)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS117)。
ステップS108での判定が良(OK)の場合は、次に第4の帯電電圧(Vd)で帯電された感光体ドラム21の表面部に対応する第4の検出パターンの第4のパターン濃度が濃度センサ12で検出され、基準値と比較される(ステップS109)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(第4の帯電電圧−100V)を帯電電圧補正値とし(ステップS115)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS117)。
ステップS109での判定が良(OK)の場合は、次に第5の帯電電圧(Ve)で帯電された感光体ドラム21の表面部に対応する第5の検出パターンの第5のパターン濃度が濃度センサ12で検出され、基準値と比較される(ステップS110)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(第5の帯電電圧−100V)を帯電電圧補正値とし(ステップS116)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS117)。
ステップS110での判定が良(OK)の場合は、(第3の帯電電圧+50V)を帯電電圧補正値とし(ステップS111)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS117)。
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、汚れ印刷レベルが良いレベルから悪くなる境界部を探して適正な帯電電圧CHを設定しているため、多くのケースでほとんどトナーを消費せずに制御できるという効果があり、トナーの浪費を抑えることが出来る。
また、検出された汚れ印刷レベルに対して、帯電電圧CHを調整することによりその汚れ印刷レベルを改善しているため、帯電ローラ25の劣化やトナー付着による帯電能力低下、感光体ドラム21の劣化、異常帯電トナーなどの原因により発生する汚れ印刷を防ぐ事が出来る。
実施の形態2.
本実施の形態の画像形成装置は、前記した汚れ・カブリレベル検出の結果に基づいて、供給電圧SBを調整して汚れ印刷を防ぐように構成したものである。本実施の形態の画像形成装置は、構成的に前記した実施の形態1の画像形成装置100と同様であるが、ここでは制御系のエンジン制御部50によって、後述する供給電圧SBの補正値(通常印刷時の供給電圧値)決定のフローが実行される。従って、図1乃至図3の構成図を参照しながら、前記した実施の形態1と異なる点を重点的に以下に説明する。
図12は、汚れ・カブリ現象と、供給電圧SBの変化に応じて変化するトナー分布状態の関係をまとめたグラフである。同図に示すように、新しく設定される供給電圧SBは、前記した汚れ・カブリレベル検出を行なって検出されたパターン濃度に応じて供給電位SBを第1の供給電圧(Vf)〜第5の供給電圧(Vj)までの5段階に設定される。一方、トナー分布は、この供給電圧SBの変化に応じて分布状態を変えるが、同図には、簡単のため第1の供給電圧(Vf)のときのトナー分布状態Cと、第5の供給電圧(Vj)のときのトナー分布状態Dとを示している。
同図のグラフからも明らかなように、現像電圧DBを一定に保った状態で、供給電圧SBを下げていくと、トナー搬送ローラ28と現像ローラ27の間で電位差が減少するため、マイナス帯電したトナーの、現像ローラ27上への移動量は少なくなっていく。トナーの移動量が減ると、同時に帯電トナーの分布状態にも変化が生じ、トナー分布の山の面積が小さくなってくる。このとき、汚れの原因となる、感光体ドラム21のドラム表面電位よりも高い電位で帯電しているトナー(斜線部分)量も減少する。
図14は、供給電圧SBの変化に伴ってトナーの移動量が変化する様子を更に説明するもので、トナー分布の変化現像電圧DBを一定に保った状態で、供給電圧SBを変化させた時の画像形成装置内部でのトナーの移動の様子を示している。
同図に示すように、現像に使用されるトナーは、現像ローラ27とトナー搬送ローラ28の逆回転摩擦によりマイナスに帯電され、現像ローラ27とトナー搬送ローラ28の間に、高圧制御部53から出力される高電圧により電位差が与えられる事により現像ローラ27上へ移動していく。移動したトナーは、現像ブレード29によって薄層化されて感光体ドラム21を現像する。従って現像ローラ27に印加される電圧とトナー搬送ローラ28に印加される電圧の電位差が、同図(b)のように大きくなればそれに追従してトナーの移動量も増え、同図(a)のように小さくなればれそれに追従してトナーの移動量も減少する。
以上のことから、供給電圧SBを下げていくと、汚れ印刷の原因となる高帯電トナー量が減って、汚れ印刷が改善されることがわかる。また逆帯電トナーの量も同様に減る事が予想され、これによりカブリ印刷も改善される。更に、供給電圧SBの低設定の影響は、感光体ドラム21の表面電位へは及ばないため、カブリ印刷に対するマージンを減らす事が無い。尚、カブリ印刷の原因となる逆帯電トナーの帯電電位と感光ドラム表面電位の関係に差は発生しない。
帯電ローラ25の劣化やトナー付着による帯電能力低下、或いは感光体ドラム21の劣化により、帯電ローラ25に印加される帯電電圧CHは同じでも感光体ドラム21の表面電位は絶対値が小さくなる。また異常帯電トナーの発生は、感光体ドラム21の表面電位は変化しなくても、帯電トナーの分布状態が感光体ドラム21の表面電位と比較して相対的に絶対値が大きくなる方向ヘシフトすることにつながる。この二点の現象は、どちらも帯電トナーの電位とドラム表面電位の逆転という意味では同じ現象になっている。本実施の形態による装置では、この状況を改善するために、上述した供給電圧補正方法によって、供給電圧SBの補正値の絶対値を汚れが発生しないレベルまで低く(絶対値を小さくする)するようにした。
図13は、本実施の形態による画像形成装置において、前記判定でNGと判定されたとき、供給電圧補正値(通常印刷時の供給電圧値)をどのように設定するか、をまとめた表である。
本実施の形態による画像形成装置においては、図13の表に示すように、第1〜第5の帯電電圧(Va〜Ve)の、NGと判定された帯電電圧のレベルにより、現状の供給電圧SBに対して100Vから20Vまで、1レベル(+20V)のステップで設定された電圧を加えて供給電圧SBの電圧値の絶対値を小さくし、NGが発生しない場合には現状の供給電圧SBを維持するようにしている。
図15は本実施の形態による、エンジン制御部50で実行される供給電圧SBの補正値(通常印刷時の供給電圧値)決定の手順を説明するフローチャートである。尚、ここでの供給電圧SBの補正値の決定は、実施の形態1での帯電電圧の補正値決定の場合と同様に、各トナー画像形成部16a〜16dにおいて、順次行われるものであるが、その手順が同じであるため、個々を区別しない形態で説明する。
トナー画像形成部16による搬送ベルト9上への非露光印刷が可能な状態において、先ず標準の帯電電圧値をデフォルト帯電電圧として、(デフォルト帯電電圧−100V)とする第1の帯電電圧(Va)が帯電ローラ25(図2)に所定時間印加される(ステップS201)。続くステップS202で(デフォルト帯電電圧−50V)とする第2の帯電電圧(Vb)が、続くステップS203で(デフォルト帯電電圧)とする第3の帯電電圧(Vc)が、続くステップS204で(デフォルト帯電電圧+50V)とする第4の帯電電圧(Vd)が、続くステップS205で(デフォルト帯電電圧−100V)とする第5の帯電電圧(Ve)が、順次帯電ローラ25に印加される。
第1〜第5までの各帯電電圧で帯電された感光体ドラム21の各帯電部は、現像ローラ27と接触して順次現像され、更にこの現像パターンが転写ローラ22によって順次搬送ベルト9上へ転写されて検出パターンが形成される。このようにして、感光体ドラム21の各帯電部に対応して搬送ベルト9上に形成された第1〜第5までの5種類の検出パターンは、順次濃度センサ12の検出位置に至る。
先ず第1の帯電電圧(Va)で帯電された感光体ドラム21の表面部に対応する第1の検出パターンの第1のパターン濃度が濃度センサ12で検出され、基準値と比較される(ステップS206)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(現状供給電圧+100V)を供給電圧補正値(通常印刷時の供給電圧値)とし(ステップS212)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS117)。
ステップS206での判定が良(OK)の場合は、次に第2の帯電電圧(Vb)で帯電された感光体ドラム21の表面部に対応する第2の検出パターンの第2のパターン濃度が濃度センサ12で検出され、基準値と比較される(ステップS207)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(現状供給電圧+80V)を供給電圧補正値とし(ステップS213)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS117)。
ステップS207での判定が良(OK)の場合は、次に第3の帯電電圧(Vc)で帯電された感光体ドラム21の表面部に対応する第3の検出パターンの第3のパターン濃度が濃度センサ12で検出され、基準値と比較される(ステップS208)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(現状供給電圧+60V)を供給電圧補正値とし(ステップS214)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS117)。
ステップS208での判定が良(OK)の場合は、次に第4の帯電電圧(Vd)で帯電された感光体ドラム21の表面部に対応する第4の検出パターンの第4のパターン濃度が濃度センサ12で検出され、基準値と比較される(ステップS209)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(現状供給電圧+40V)を供給電圧補正値とし(ステップS215)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS117)。
ステップS209での判定が良(OK)の場合は、次に第5の帯電電圧(Ve)で帯電された感光体ドラム21の表面部に対応する第5の検出パターンの第5のパターン濃度が濃度センサ12で検出され、基準値と比較される(ステップS210)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(現状供給電圧+20V)を新供給電圧補正値とし(ステップS216)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS117)。ステップS210での判定が良(OK)の場合、供給電圧は現状維持される。
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、検出された汚れ印刷レベルに対して供給電圧SBを調整することにより汚れ印刷レベルを改善しているため、前記した実施の形態1の場合と同様に、帯電ローラ25の劣化やトナー付着による帯電能力低下、感光体ドラム21の劣化、異常帯電トナーなどの原因により発生する汚れ印刷の発生を防ぐ事が出来ると共に、実施の形態1のように現状設定よりも高い帯電電圧CHを設定してしまう事によるカブリマージンの減少を防止できる。
実施の形態3.
図16は、本発明に基づく実施の形態3の画像形成装置の制御系の要部構成を示すブロック図である。この制御系を採用する画像形成装置200が、前記した図3に示す実施の形態1の画像形成装置100と主に異なる点は、制御系に寿命制御部35と寿命メモリ36が追加されている点と、この追加に伴うエンジン制御部50の制御内容が異なっている点である。従って、この制御系を採用する画像形成装置200が、前記した実施の形態1の画像形成装置100と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。また、本実施の形態3の画像形成装置は、前記した実施の形態1の画像形成装置と、図1、図2に示す構成部分が共通するため、以下の説明には図1、図2を参照する。
図16中、寿命制御部35は、各色のトナー画像形成部16の寿命カウント値、例えば感光体ドラム21の回転数情報をカウントし、寿命メモリ36に逐次積算して寿命カウント値を更新する。従って、寿命メモリ36には、各色のトナー画像形成部16の寿命カウント値が記憶されている。
本実施の形態では、補正値の決定の制御が開始される前に、次の判定動作が行われる。エンジン制御部50は、寿命メモリ36に格納されている各色のトナー画像形成部16の寿命カウント値を読み出し、図示せぬメモリに格納された比較値との比較を行う。この比較により、寿命メモリ36より読み出してきた値の方が比較値と比べて大きい場合(使用時間が長い)、前記した実施の形態1で説明した図11に示す帯電電圧CHの補正値の決定のフローを実行し、5段階の検出パターンを形成しての同補正値の決定が行われる。
一方、寿命メモリ33より読み出してきた寿命カウント値の方が比較値と比べて小さい場合(使用時間が短い)、後述する検出パターン数をより少なくした(ここでは3段階)、3段階の検出パターンを形成しての同補正値の決定が行われる。以下、この3段階の検出パターンを形成しての同補正値の決定方法について説明する。
図17は、画像形成装置200が行なう、検出パターン数を3段階とした汚れ・カブリレベル検出のため、高圧制御部53による電圧制御の推移を示すタイムチャートである。同タイムチャート及び図1、図2及び図16を参照しながら、検出パターン数を3段階とした画像形成装置200による汚れ・カブリレベル検出動作について説明する。
図16のエンジン制御部50から出力される帯電電圧の補正動作開始命令により、モータ制御部51は、ベルトモータ56とIDモータ57を回転駆動し、搬送ベルト9と感光体ドラム21の回転を開始する。このとき感光ドラム21以外の画像形成に関わるローラ、即ち転写ローラ22、帯電ローラ25、現像ローラ27、及びトナー搬送ローラ28も図示しない回転伝達手段を介して所定の回転を開始する。高圧制御部53は、エンジン制御部50から出力される制御信号により、図17のタイムチャートに示す高圧信号を出力する。
尚、本実施の形態において、パターン濃度検出の為に、搬送ベルト9上へトナーによって作像される現像パターンは、露光手段であるLEDヘッド26が非露光の状態で作像される。従って、ここではLEDヘッド26の発光制御が行われないため、図17のタイムチャートにもLEDヘッド制御についての記載がない。
先ず時刻t30で、4色の転写電圧が、非印刷時の電圧レベルであるオフ電圧とされ、続く時刻t31で、高圧制御部53からトナー画像形成部16の現像ローラ27に対して現像電圧DBのオン電圧が印加され、同じく時刻t31でトナー搬送ローラ28に対して供給電圧SBのオン電圧が印加され、同じく時刻t31で帯電ローラ25に対して帯電電圧CHのオン電圧が出力され始める。このときの帯電ローラ25に対する帯電電圧CHのオン電圧は、同図に示すように段階的にレベル減少するが、時刻t31では絶対値レベルが一番大きな第1の帯電電圧(Va)に設定される。
ここでの制御では、搬送路の上流側に位置するトナー画像形成部(K)16aより順番にパターン印刷が行われる。即ち、高圧制御部53から、先ずトナー画像形成部(K)16aの帯電ローラ25aに対して、時刻t31で第1の帯電電圧(Va)が印加され、時刻t32で第3の帯電電圧(Vc)が印加され、時刻t33で第5の帯電電圧(Ve)が印加され、そして時刻T34で再び第1の帯電電圧が印加される。これ等の各帯電電圧で帯電された感光体ドラム21aの各帯電部は、現像ローラ27aと接触して順次現像され、この現像パターンが転写ローラ22aによって順次搬送ベルト9上に転写されて検出パターンが形成される。
各電圧での出力時間は搬送ベルト9の搬送速度と濃度センサ12での濃度検出能力、エンジン制御部50での情報処理速度に依存して決定される。即ち、搬送ベルト9の搬送速度に対しては搬送ベルト9上へ現像された各検出パターンの濃度を読み取るのに十分な時間であり、濃度センサ12の濃度検出能力に対しては光学的に検出された濃度信号を電圧値に変換するのに十分な時間であり、エンジン制御部50での情報処理速度に対してはA/Dコンバータによりサンプリングされた濃度情報が正確な値として処理され、必要なデータに変換されるのに十分な時間ということになる。処理時間を短縮するため、及び使用するトナー量を少なく抑えるためにパターンを発生している帯電電圧の出力時間は、前述した条件を満たす範囲で短くすることが望ましい。
上記した第1、第3、第5の帯電電圧(Va、Vc、Ve)の決め方として、ここでは、例えば現状の設定値を第3の帯電電圧Vc(基準レベル)として中央値と考え、その中央値よりも絶対値が大きいほうへ1レベル上げた値を第1の帯電電圧Va、小さいほうへ1レベル下げた値を第5の帯電電圧Veとするやり方を用いている。この電圧の刻み(1レベル)は装置の特性等により適当な値にチューニングされるべき値であるが、実験から得られた平均的な値としては、1レベルを100Vとする3段階のレベル変化によって後述するOK状態からNG状態への変化点を捉えることが可能であることがわかっている。
図17に示すように、帯電電圧CHは、絶対値レベルが3段階にわたって順次小さくなる方向に変化する。ここでは上記したように、2番目に出力される中央値を基準にした100V刻みの3段階の帯電電圧により、3パターンの非露光印刷が搬送ベルト10上で行われる。感光体ドラム21a上のトナーを搬送ベルト9上へ転写するために、時刻t31では他の高圧の切り替えタイミングと同期して、転写ローラ(K)22aに印加する転写電圧(K)を印刷時の電圧レベルであるオン電圧にしている。
上流側の上記したブラック(K)用のトナー画像形成部16a及び転写ローラ22aによる非露光印刷(パターン印刷)が時刻t31〜時刻t34の間で終了すると、トナー画像形成部16の配列順に、イエロー(Y)用のトナー画像形成部16b及び転写ローラ22bによる非露光印刷、マゼンタ(M)用のトナー画像形成部16c及び転写ローラ22cによる非露光印刷、シアン(C)用のトナー画像形成部16d及び転写ローラ22dによる非露光印刷が、それぞれ時刻t35〜時刻t38、時刻t39〜時刻t43、時刻t45〜時刻t48の間に行われていく。各色のパターン印刷タイミングは、上記したブラック(K)の印刷タイミングと同じでなる。
尚、感光体ドラム21が帯電ローラ25によって帯電された部分が、転写ローラ22の位置に至るには、その回転速度によって決まるタイムラグが生じるが、図17のタイムチャートでは、簡単のため、このタイムラグを省略している。
搬送ベルト9上に印刷された各色の検出パターンは、やがて時刻t44に、その先頭部が濃度センサ12の位置まで到達する。濃度センサ12は、順次通過するパターンを検出し、その濃度に応じた電圧に変換した濃度センサ出力をエンジン制御部50に送る。
この時、帯電ローラ25の劣化やトナー付着による帯電能力低下、感光体ドラム21の劣化、異常帯電トナーなどの原因により、大きなダメージを受けている画像形成装置では、前記した3段階ある検出パターンのうち、第5の帯電電圧Veで現像された第5検出パターンにより近い検出パターンほど、濃度検出値が基準濃度レベルを越えてしまう可能性が高くなる。一方、汚れ発生要因がまだ発生していない比較的状態の良い画像形成装置では、第1、第3、第5の帯電電圧全てで汚れが発生せず、汚れ印刷判定が全てでOKになることもある。その検出時の様子が後述する図19、図20に示す。
上記した基準濃度レベルは、エンジン制御部50(図3)内部の図示せぬ記憶手段に保持されており、比較を行うときにはそこから読み出されて制御に使用される。このとき、黒印刷による判定とカラー印刷による判定では、濃度が電圧に変換される際の変化の向きが逆となる。これは、黒は拡散反射光が検出され、カラーは鏡面反射光が検出されるためである。その理由は実施の形態1で述べたとおりなので、ここでの記述は省略する。
次に判定結果にもとづく補正方法を説明する。図18は、汚れ・カブリレベルが判定された時の帯電電圧の補正方法を説明するための説明図である。
同図に示すように、第1、第3、第5の帯電電圧(Va、Vc、Ve)を出力して、例えば第5の帯電電圧Veまで出力が下がってきた時に、その濃度センサ出力が基準濃度レベルを越えて汚れ印刷が発生したと判定された場合、その一番単純な補正方法としては、第5の帯電電圧Veを基準に絶対値が大きくなる方向へ100V(1レベルアップ)のマージンを持った値を、帯電電圧補正値(通常印刷時の帯電電圧値)とする方法が考えられる。
図19は、良、不良とされる2種類の画像形成装置を用いて、上記汚れ・カブリレベル検出方法によって黒色パターン印刷を行った際の、濃度センサ12によって検出されるパターン濃度の濃度レベル(濃度センサ出力)変化を示すグラフであり、図20は、同じく良、不良とされる2種類の画像形成装置を用いて、カラーパターン印刷を行った際の、濃度センサ12によって検出されるパターン濃度の濃度レベル(濃度センサ出力)変化を示すグラフである。
図19に示すように、黒印刷時には、濃度レベルが基準値以上の場合が良(OK)とされ、濃度レベルが常に基準値以上の装置が良と判定され、濃度レベルが1つでも基準値を下回る場合、その装置は不良とされる。一方、カラー印刷時には、濃度レベルが基準値以下の場合が良(OK)とされ、濃度レベルが常に基準値以下の装置が良と判定され、濃度レベルが1つでも基準値を上回る場合、その装置は不良とされる。
図21は、本実施の形態による画像形成装置において、上記判定でNGと判定されたとき、帯電電圧補正値(通常印刷時の帯電電圧値)をどのように設定するか、をまとめた表である。
本実施の形態では、3段階の検出パターンを形成しての帯電電圧補正値の決定を行う場合、図21の表に示すように、第1、第3、第5の帯電電圧(Va、Vc、Ve)の、NGと判定された帯電電圧に対して、絶対値で100V大きな値に設定し、NGが発生しない場合には現状の第3の帯電電圧に対して、絶対値で50V小さな値に設定する例を示している。
図22は本実施の形態による、3段階の検出パターンを形成しての帯電電圧補正値の決定を行う場合にエンジン制御部50で実行される帯電電圧の補正値(通常印刷時の帯電電圧値)決定の手順を説明するフローチャートである。尚、ここでの帯電電圧の設定は、実施の形態1で説明した、5段階の検出パターンを形成しての帯電電圧補正値の決定を行う場合と同様に、各トナー画像形成部16a〜16dにおいて、順次行われるものであるが、その手順が同じであるため、個々を区別しない形態で説明する。
トナー画像形成部16による搬送ベルト9上への非露光印刷が可能な状態において、先ず標準の帯電電圧値をデフォルト帯電電圧値として、(デフォルト帯電電圧−100V)とする第1の帯電電圧(Va)が帯電ローラ25(図2)に所定時間印加される(ステップS301)。続くステップS302で(デフォルト帯電電圧)とする第3の帯電電圧(Vc)が、続くステップS303で(デフォルト帯電電圧+100V)とする第5の帯電電圧(Ve)が、順次帯電ローラ25に印加される。
各帯電電圧で帯電された感光体ドラム21の各表面部は、現像ローラ27と接触して順次現像され、更にこの現像パターンが転写ローラ22によって順次搬送ベルト9へ転写されて検出パターンが形成される。このようにして、感光体ドラム21の各帯電部に対応して搬送ベルト9上に形成された第1、第3、第5の3種類の検出パターンは、順次濃度センサ12の検出位置に至る。
先ず第1の帯電電圧(Va)で帯電された感光体ドラム21の表面部に対応する第1の検出パターンの第1のパターン濃度が濃度センサ12で検出され、基準値と比較される(ステップS304)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(第1の帯電電圧−100V)を帯電電圧補正値(通常印刷時の帯電電圧値)とし(ステップS308)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS311)。
ステップS304での判定が良(OK)の場合は、次に第3の帯電電圧(Vc)で帯電された感光体ドラム21の表面部に対応する第3の検出パターンの第3のパターン濃度が濃度センサ12で検出され、基準値と比較される(ステップS305)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(第3の帯電電圧−100V)を帯電電圧補正値とし(ステップS309)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS311)。
ステップS305での判定が良(OK)の場合は、次に第5の帯電電圧(Ve)で帯電された感光体ドラム21の表面部に対応する第5の検出パターンの第5のパターン濃度が濃度センサ12で検出され、基準値と比較される(ステップS306)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(第5の帯電電圧−100V)を帯電電圧補正値とし(ステップS310)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS311)。
ステップS306での判定が良(OK)の場合は、(第3の帯電電圧+50V)を帯電電圧補正値とし(ステップS307)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS311)。
本実施の形態の画像形成装置では、上述したように、汚れ印刷レベルを判断するために搬送ベルト9上に形成される検出パターン数を、使用しているトナー画像形成部21の寿命カウント値により可変とし、一般的に汚れ印刷レベルが良い、新品に近いトナー画像形成部21を使用しているときには、その検出パターン数を減らして印刷終了までにかかるトータル時間を短縮している。形成する検出パターン数は、ここでは実施の形態1で説明した5検出パターンと上記した3検出パターンとで切り替る例を示したが、大小の関係があればその数はいくつでもかまわない。
またここでは、第1の帯電電圧Vaと第5の帯電電圧Veの差が、前記した実施の形態1,2で示した値200Vと変わらないが、トナー画像形成部21が、その寿命レベルに応じて、汚れ印刷が発生しやすい電圧帯があるような場合には、中央値である第3の帯電電圧値をその電圧帯の中央へシフトしたり、第1と第5の帯電電圧の設定領域を、その電圧帯の上限下限に設定する、といった方法も考えられる。その他、本実施の形態では、ある一つの寿命カウント値をスライスレベルとして5パターンか3パターンかを切り替えるようにしているが、寿命カウント値に応じて多段階で、発生するパターン数を変えることも可能である。
更にここでは、トナー画像形成部16の寿命カウント値に基づいて、帯電電圧値の設定値数(3又は5)を切替える例を示したが、これに限定されるものではなく、トナー画像形成部16の寿命カウント値に基づいて、実施の形態2で示した方法によって供給電圧値の設定値数(例えば3又は5)を切替えるようにしてもよい。
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、前記した実施の形態1,2と同様の効果を得ることができ、更に、トナー画像形成部16の寿命カウントに応じて汚れ・カブリレベル検出のための検出パターンの数を変更できるようにしたため、トナー画像形成部が新しい時には、寿命に近い使い古されたトナー画像形成部を使用する場合と比較して、帯電電圧等の補正値決定動作に要する時間を短くすることができる。
実施の形態4.
図23は、本発明に基づく実施の形態4の画像形成装置の制御系の要部構成を示すブロック図である。この制御系を採用する画像形成装置300が、前記した図3に示す実施の形態1の画像形成装置100と主に異なる点は、制御系にオペレーションパネル40と汚れ印刷レベルメモリ41が追加されている点と、この追加にともなうエンジン制御部50の制御内容が異なっている点である。従って、この制御系を採用する画像形成装置300が、前記した実施の形態1の画像形成装置100と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。また、本実施の形態4の画像形成装置は、前記した実施の形態1の画像形成装置と図1、図2に示す構成部分が共通するため、以下の説明には図1、図2を参照する。
また、本実施の形態4の画像形成装置の動作が、前記した実施の形態3の画像形成装置の動作に対して異なる点は、前記した実施の形態3の画像形成装置では、寿命メモリ36(図16)に格納されている、寿命制御部35によりカウントされた各色のトナー画像形成部16(図1)の寿命カウント値に基づいて汚れ・カブリレベルを検出するための検出パターン数を決定しているのに対して、本実施の形態では、前回検出された汚れ印刷レベルを使用して、汚れ・カブリレベルを検出するための検出パターン数を決定するようにした点である。
本実施の形態による前回検出された汚れ印刷レベルの検出方法について、図24乃至図30を参照しながら以下に説明する。
図24の表は、第1〜第5の帯電電圧(Va〜Ve)の、NGと判定された帯電電圧に対して、汚れレベル0〜汚れレベル5の6段階の汚れレベルが設定されることを示している。尚、第1〜第5の帯電電圧(Va〜Ve)による非露光によるパターン印刷方法とNGの判定方法は、前記した実施の形態1で説明した方法と全く同じであるため、ここでの詳細な説明は省略する。
図25は、黒印刷時において、5段階ある検出パターンのうち第1の帯電電圧(Va)により形成された第1の検出パターンからNGになったケースを示しており、この場合は濃度センサ12の濃度センサ出力(パターン濃度の濃度レベル)は、すべて基準濃度レベル以下となっており、この時の汚れ印刷レベルを5としている。図26は、黒印刷時において、5段階ある検出パターンのうち第2の帯電電圧(Vb)により形成された第2の検出パターンからNGになったケースを示しており、この場合は第1の検出パターンの濃度レベルのみが、基準濃度レベルを上回っており、この時の汚れ印刷レベルを4としている。
以下同様にして、図27には、第3の帯電電圧(Vc)により形成された検出パターンからNGとなって、汚れ印刷レベルが3とされるパターン印刷例が示され、図28には、第4の帯電電圧(Vd)により形成された検出パターンからNGとなって、汚れ印刷レベルが2とされるパターン印刷例が示され、図29には、第5の帯電電圧(Ve)により作像された現像パターンからNGとなって、汚れ印刷レベルが1とされるパターン印刷例が示され、図30には、NGが発生せず、汚れ印刷レベルが0とされるパターン印刷例が示されている。
本実施の形態では、上記した汚れ印刷レベルが3以上の時には、前記した実施の形態1で示した5段階の検出パターンを形成しての帯電電圧補正値の決定動作が実行され、汚れ印刷レベルが3未満のときは前記した実施の形態3で示した3段階の検出パターンを形成しての帯電電圧補正値の決定動作が実行されるものである。尚、検出された汚れ印刷レベルは不揮発性の汚れ印刷レベルメモリ41に保存され、電源が落とされても以前の汚れ印刷レベルは判るものとする。
図31,32は本実施の形態による、エンジン制御部50で実行される帯電電圧CHの補正値(通常印刷時の帯電電圧値)決定の手順を説明するフローチャートである。尚、ここでの補正値の決定動作は、実施の形態1での補正値の決定動作の場合と同様に、各トナー画像形成部16a〜16dにおいて、順次行われるものであるが、その手順が同じであるため、個々を区別しない形態で説明する。
補正動作が開始されると、先ず汚れ印刷レベルの初期値としてレベル0が汚れ印刷レベルメモリ41に保管される(ステップS401)。次に汚れ印刷レベルメモリ41に保管されている汚れ印刷レベルが3以上か否かをチェックする(ステップS402)。例えば、トナー画像形成部16が新品に近くて汚れ印刷レベルが3未満の場合にはステップS451(図32)に進む。ここではステップS451〜ステップS460の処理において、前記した実施の形態3で説明した、帯電電圧の補正値の決定の手順を示す図22のフローチャートにおけるステップS301〜ステップS310と同様の処理が行なわれ、上記した3段階の検出パターンを形成しての帯電電圧補正値の決定動作が実行される。
更にここでは、第1の帯電電圧(Va)に対応して検出される第1のパターン濃度が基準濃度レベル以下の場合(ステップS454でNG)、前回値(ここでは0)の汚れ印刷レベルに今回の汚れ印刷レベル5を加算して更新した値を新汚れ印刷レベルとして汚れ印刷レベルメモリ41に保管し(ステップS461)、第3の帯電電圧(Vc)に対応して検出される第3のパターン濃度が基準濃度レベル以下の場合(ステップS455でNG)、前回値(ここでは0)の汚れ印刷レベルに今回の汚れ印刷レベル3を加算して更新した値を新汚れ印刷レベルとして汚れ印刷レベルメモリ41に保管し(ステップS462)、第5の帯電電圧(Ve)に対応して検出される第5のパターン濃度が基準濃度レベル以下の場合(ステップS456でNG)、前回値(ここでは0)の汚れ印刷レベルに今回の汚れ印刷レベル1を加算して更新した値を新汚れ印刷レベルとして汚れ印刷レベルメモリ41に保管し(ステップS463)、第5の帯電電圧(Ve)に対応して検出される第5のパターン濃度が基準濃度レベル以上の場合(ステップS456でOK)、前回値(ここでは0)の汚れ印刷レベルを新汚れ印刷レベルとしてそのまま汚れ印刷レベルメモリ41に保管する(ステップS464)。但し、本実施の形態では、汚れ印刷レベルのMAX値はレベル5とし、算出値がそれ以上になった場合には上限値レベル5が設定される。
以上のようにして帯電電圧の補正値及び汚れ印刷レベルが設定されると、再びステップS402に戻り、次の補正動作に備える。
一方、ステップS402で汚れ印刷レベルが3未満と判定された場合にはステップS403に進む。ここではステップS403〜ステップS418の処理において、前記した実施の形態1で説明した、帯電電圧の補正値の決定の手順を示す図11のフローチャートにおけるステップS101〜ステップS116と同様の処理が行なわれ、上記した5段階の検出パターンを形成しての帯電電圧補正値の決定動作が実行される。
更にここでは、第1の帯電電圧(Va)に対応して検出される第1のパターン濃度が基準濃度レベル以下の場合(ステップS408でNG)、前回値(ここでは0)の汚れ印刷レベルに今回の汚れ印刷レベル5を加算して更新した値を新汚れ印刷レベルとして汚れ印刷レベルメモリ41に保管し(ステップS419)、第2の帯電電圧(Vb)に対応して検出される第2のパターン濃度が基準濃度レベル以下の場合(ステップS409でNG)、前回値(ここでは0)の汚れ印刷レベルに今回の汚れ印刷レベル4を加算して更新した値を新汚れ印刷レベルとして汚れ印刷レベルメモリ41に保管し(ステップS420)、第3の帯電電圧(Vc)に対応して検出される第3のパターン濃度が基準濃度レベル以下の場合(ステップS410でNG)、前回値(ここでは0)の汚れ印刷レベルに今回の汚れ印刷レベル3を加算して更新した値を新汚れ印刷レベルとして汚れ印刷レベルメモリ41に保管し(ステップS421)、第4の帯電電圧(Vd)に対応して検出される第4のパターン濃度が基準濃度レベル以下の場合(ステップS411でNG)、前回値(ここでは0)の汚れ印刷レベルに今回の汚れ印刷レベル2を加算して更新した値を新汚れ印刷レベルとして汚れ印刷レベルメモリ41に保管し(ステップS422)、第5の帯電電圧(Ve)に対応して検出される第5のパターン濃度が基準濃度レベル以下の場合(ステップS412でNG)、前回値(ここでは0)の汚れ印刷レベルに今回の汚れ印刷レベル1を加算して更新した値を新汚れ印刷レベルとして汚れ印刷レベルメモリ41に保管し(ステップS423)、第5の帯電電圧(Ve)に対応して検出される第5のパターン濃度が基準濃度レベル以上の場合(ステップS412でOK)、前回値(ここでは0)の汚れ印刷レベルを新汚れ印刷レベルとしてそのまま汚れ印刷レベルメモリ41に保管する(ステップS424)。但し、本実施の形態では、汚れ印刷レベルのMAX値はレベル5とし、算出値がそれ以上になった場合には上限値レベル5が設定される。
以上のようにして新帯電電圧の補正値及び汚れ印刷レベルが設定されると、再びステップS402に戻り、次の補正動作に備える。
以上のようにして決定した汚れ印刷レベルは必要に応じてオペレーションパネル40で確認できるほか、保守用の装置情報データシートとして出力するように構成することによって、保守作業時のデータとして使用でき、更にはユーザヘの装置情報としても使用できる。
以上のように本実施の形態の画像形成装置によれば、前記した実施の形態1,2と同様の効果を得ることができ、更に、前回の汚れ印刷補正動作の結果である汚れ印刷レベルに応じて汚れ・カブリレベル検出のための検出パターンの数を変更できるようにしたため、トナー画像形成部の新旧に関係なく、汚れ印刷レベルが増加してきた画像形成装置では詳細にそのレベルが調べられ、必要な補正値が設定されるとともに、古いだけで、汚れ印刷レベルが低い画像形成装置に対しては不要に詳細な検出動作が行われなくなるめ、装置の動作状態に応じて、帯電電圧等の補正値の決定動作時間を短縮することができる。
実施の形態5.
実施の形態1の画像形成装置では、帯電電圧の補正値決定の手順において、先ず5段階の帯電電圧(Va〜Ve)を順次設定し、各帯電電圧で帯電された感光体ドラム21の各帯電部が、現像ローラ27と接触して順次現像され、この現像パターンが転写ローラ22によって順次搬送ベルト9上に転写されて検出パターンが形成され、この検出パターンを順次検出することで補正値を決定したが、本実施の形態の画像形成装置では、5段階の帯電電圧(Va〜Ve)を順に、一つ設定する毎に現像処理、転写処理、パターン濃度検出を行うようにしている。
従って、本実施の形態の画像形成装置は、構成的に前記した実施の形態1の画像形成装置100と同様であるが、ここでは制御系のエンジン制御部50によって本実施の形態による帯電電圧の補正値決定のフローが実行される。従って、図1乃至図3の構成図を参照しながら、前記した実施の形態1と異なる点を重点的に以下に説明する。
図33は、本実施の形態による、エンジン制御部50で実行される帯電電圧CHの補正値(通常印刷時の帯電電圧値)決定の手順を説明するフローチャートである。尚、ここでの帯電電圧CHの補正値の決定は、実施の形態1での帯電電圧の補正値決定の場合と同様に、各トナー画像形成部16a〜16dにおいて、順次行われるものであるが、その手順が同じであるため、個々を区別しない形態で説明する。また、第1〜第5の帯電電圧(Va〜Ve)による非露光によるパターン印刷方法とNGの判定方法は、前記した実施の形態1で説明した方法と全く同じであるため、ここでの詳細な説明は省略する。
トナー画像形成部16による搬送ベルト9上への非露光パターン印刷が可能な状態において、先ず標準の帯電電圧値をデフォルト帯電電圧値として、(デフォルト帯電電圧−100V)とする第1の帯電電圧(Va)が帯電ローラ25(図2)に所定時間印加され、第1の帯電電圧で帯電された感光体ドラム21の帯電部は、現像ローラ27と接触して現像され、更にこの現像パターンが転写ローラ22によって搬送ベルト9上へ転写されて第1の検出パターンが形成される(ステップS501)。このようにして、搬送ベルト9に形成された第1の検出パターンが濃度センサ12の検出位置に至り、その第1のパターン濃度が検出され、基準値と比較される(ステップS502)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(第1の帯電電圧−100V)を帯電電圧補正値とし(ステップS512)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS517)。
ステップS502での判定が良(OK)の場合は、(デフォルト帯電電圧−50V)とする第2の帯電電圧(Vb)が帯電ローラ25(図2)に所定時間印加され、更に前記した現像処理、転写処理が施されて搬送ベルト9上に第2の検出パターンが形成される(ステップS503)。その後この第2の検出パターンが濃度センサ12の検出位置に至り、第2のパターン濃度が検出され、基準値と比較される(ステップS504)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(第2の帯電電圧−100V)を帯電電圧補正値とし(ステップS513)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS517)。
ステップS504での判定が良好(OK)の場合は、(デフォルト帯電電圧)とする第3の帯電電圧(Vc)が帯電ローラ25(図2)に所定時間印加され、更に前記した現像処理、転写処理が施されて搬送ベルト9上に第3の検出パターンが形成される(ステップS505)。その後この第3の検出パターンが濃度センサ12の検出位置に至り、第3のパターン濃度が検出され、基準値と比較される(ステップS506)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(第3の帯電電圧−100V)を帯電電圧補正値とし(ステップS514)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS517)。
ステップS506での判定が良(OK)の場合は、(デフォルト帯電電圧+50V)とする第4の帯電電圧(Vd)が帯電ローラ25(図2)に所定時間印加され、更に前記した現像処理、転写処理が施されて搬送ベルト9上に第4の検出パターンが形成される(ステップS507)。その後この第4の検出パターンが濃度センサ12の検出位置に至り、第4のパターン濃度が検出され、基準値と比較される(ステップS508)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(第4の帯電電圧−100V)を帯電電圧補正値とし(ステップS515)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS517)。
ステップS508での判定が良(OK)の場合は、(デフォルト帯電電圧+100V)とする第5の帯電電圧(Ve)が帯電ローラ25(図2)に所定時間印加され、更に前記した現像処理、転写処理が施されて搬送ベルト9上に第4の検出パターンが形成される(ステップS509)。その後この第5の検出パターンが濃度センサ12の検出位置に至り、第5のパターン濃度が検出され、基準値と比較される(ステップS510)。比較の結果、判定が不良(NG)の場合は、(第5の帯電電圧−100V)を帯電電圧補正値とし(ステップS516)、引き続き濃度補正を実施する(ステップS517)。
ステップS510での判定が良(OK)の場合は、(第3の帯電電圧+50V)を帯電電圧補正値とし(ステップS511)、濃度補正を終了する(ステップS517)。
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、例えば第1の検出パターンで判定がNGになった場合、ステップS512で帯電電圧補正値が決定された後、直ちに濃度補正動作(ステップS517)へ移行してしまう。つまり、5段階の検出パターンのうち高い帯電電圧に対応して形成される第1の検出パターンから順番に、1パターン形成する毎に濃度チェックを行い、NGになった段階で次の帯電電圧印加によるパターン印刷を行わないようにしている。つまり、実施の形態1では無条件で5段階の検出パターンを印刷するため、トナー画像形成部16の汚れ印刷レベルによっては不要なパターン印刷が生じて無駄にトナーを消費することがあったが、本実施の形態では、その無駄なトナー消費を防ぐ事ができる。
図34は、本実施の形態による画像形成装置が行なう帯電電圧の補正値決定動作のタイムチャートである。同タイムチャート及び図1乃至3を参照しながら、画像形成装置による帯電電圧の補正値決定動作について以下に説明する。
エンジン制御部50から出力される帯電電圧の補正動作開始命令により、モータ制御部51は、ベルトモータ56とIDモータ57を回転駆動し、搬送ベルト9と感光体ドラム21の回転を開始する。このとき感光体ドラム21以外の画像形成に関わるローラ、即ち転写ローラ22、帯電ローラ25、現像ローラ27、及びトナー搬送ローラ28も図示しない回転伝達手段を介して所定の回転を開始する。高圧制御部53は、エンジン制御部50から出力される制御信号により、図34のタイムチャートに示す高圧信号を出力する。
尚、本実施の形態において、パターン濃度検出の為に、搬送ベルト9上へ形成される検出パターンは、露光手段であるLEDヘッド26が非露光の状態で形成される。従って、ここではLEDヘッド26の発光制御が行われないため、図34のタイムチャートにもLEDヘッド制御についての記載がない。
先ず時刻t51で、4色の転写電圧が、非印刷時の電圧レベルであるオフ電圧とされ、続く時刻t52で、高圧制御部53からトナー画像形成部16の現像ローラ27に対して現像電圧DBのオン電圧が印加され、同じく時刻t52でトナー搬送ローラ28に対して供給電圧SBのオン電圧が印加され、同じく時刻t52でブラックの帯電ローラ(K)25aに対して帯電電圧CH(K)のオン電圧が出力され始める。このときの帯電ローラ25aに対する帯電電圧CH(K)のオン電圧は、絶対値レベルが一番大きな第1の帯電電圧(Va)に設定される。
本実施の形態による制御では、記録媒体の搬送経路の上流側にあるトナー画像形成部16aより順番にパターン印刷が行われる。時刻t52から時刻t53の間で感光体ドラム21a上の第1の現像パターンを搬送ベルト9上へ転写して第1の検出パターンを形成するために、転写ローラ(K)22aに印加する転写電圧(K)がオン電圧となる。時刻t53以降、帯電ローラ(K)25aへの帯電電圧CH(K)は、汚れ印刷が一番でにくい、第1の帯電電圧(Va)を維持している。時刻t53では、転写電圧(K)もオフとなっており、搬送ベルト9上にトナーが転写されない状態になっている。第1の帯電電圧で搬送ベルト9上へ形成された第1の検出パターンは、搬送ベルト9の移動に伴って、濃度センサ12のある位置まで到達すると、その時の時刻t54でパターン濃度が検出される。検出された第1のパターン濃度は前記したように基準濃度レベルと比較され、OKの判定結果が出ると、時刻t55から時刻t56まで第2の帯電電圧(Vb)が出力される。
尚、感光体ドラム21が帯電ローラ25によって帯電された部分が、転写ローラ22の位置に至るには、その回転速度によって決まるタイムラグが生じるが、図34のタイムチャートでは、簡単のため、このタイムラグを省略している。
この時刻t55から時刻56までの間で、感光体ドラム21a上の第2の現像パターンを搬送ベルト9上へ転写して第2の検出パターンを形成するために、転写ローラ(K)22aに印加する転写電圧(K)がオン電圧となる。時刻t56以降、帯電電圧CH(K)は、再び第1の帯電電圧(Va)を維持する。時刻t56では、転写電圧(K)もオフとなっており、搬送ベルト9上にトナーが転写されない状態になっている。第2の帯電電圧(Vb)で搬送ベルト9上に形成された第2の検出パターンは、搬送ベルト9の移動に伴って、濃度センサ12のある位置まで到達すると、その時の時刻t57でパターン濃度が検出される。検出された第2のパターン濃度は前記したように基準濃度レベルと比較され、OKの判定結果が出ると、時刻t58から時刻t59まで第3の帯電電圧(Vc)が出力される
この時刻t58から時刻59までの間で、感光体ドラム21a上の第3の現像パターンを搬送ベルト9上へ転写して第3の検出パターンを形成するために、転写ローラ(K)22aに印加する転写電圧(K)がオン電圧となる。時刻t59以降、帯電電圧(K)は、再び第1の帯電電圧(Va)を維持する。時刻t59では、転写電圧(K)もオフとなっており、搬送ベルト9上にトナーが転写されない状態になっている。第3の帯電電圧(Vc)で搬送ベルト9上へ形成された第3の検出パターンは、搬送ベルト9の移動に伴って、濃度センサ12のある位置まで到達すると、その時の時刻t60でパターン濃度が検出される。検出された第3のパターン濃度は前記したように基準濃度レベルと比較され、ここでNGの判定結果が出ると、ブラック(K)のトナー画像形成部16aにおける帯電電圧の補正動作は終了する。
この後、各トナー画像形成部16b〜16d(Y,M,C)において、順次帯電電圧の補正動作が同様の手順で行われる。上記したように本実施の形態で説明した方法で補正動作行うと、あるトナー画像形成部において、5段階の帯電電圧(Va〜Ve)を順に、一つ設定する毎に現像処理、転写処理、パターン濃度検出が行なわれ、パターン濃度が基準濃度レベルを超えた段階で、そのトナー画像形成部による以後の帯電電圧を印加してのパターン印刷が中止され、次のトナー画像形成部による帯電電圧の補正動作に移る。
尚、本実施の形態では、ブラックのトナー画像形成装置16aにおける第3の帯電電圧(Vc)での第3の検出パターンにおいてNGが発生した例をあげて説明したが、どの色で何番目にNGが発生するかは、全く不定である。また、ここでは、実施の形態1での例をベースに、5段階の帯電電圧(Va〜Ve)を順に、一つ設定する毎に現像処理、転写処理、パターン濃度検出を行う例を示したが、これに限定されるものではなく、前記した実施の形態2〜4においても、同様の処理を行なうことが可能である。
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、前記した実施の形態1,2と同様の効果を得ることができ、更に、実施の形態1では無条件で例えば5段階の検出パターンを印刷するため、トナー画像形成部16の汚れ印刷レベルによっては不要なパターン印刷が生じて無駄にトナーを消費することがあったが、本実施の形態では、不要なパターン印刷が生じないため、無駄なトナー消費を防ぐ事ができる。
実施の形態6.
前記した実施の形態5の画像形成装置では、5段階の帯電電圧(Va〜Ve)を順に、一つ設定する毎に現像処理、転写処理、パターン濃度検出を行う例を示したが、本実施の形態の画像形成装置では、更に、転写処理が終了してから、その転写によって搬送ベルトに形成された検出パターンが濃度センサ12の検出位置に至るまでの搬送ベルトの搬送速度を上げることにより、補正値の決定動作全体でのスピードアップを図るようにしている。
従って、本実施の形態の画像形成装置は、構成的に前記した実施の形態1の画像形成装置100と同様であるが、ここでは制御系のエンジン制御部50によって本実施の形態による帯電電圧の補正値決定のフローが実行される。従って、図1乃至図3の構成図を参照しながら、前記した実施の形態1と異なる点を重点的に以下に説明する。
図35,36は、本実施の形態による、エンジン制御部50で実行される帯電電圧CHの補正値(通常印刷時の帯電電圧値)決定の手順を説明するフローチャートである。尚、ここでの帯電電圧CHの補正値の決定は、実施の形態1での帯電電圧の補正値決定の場合と同様に、各トナー画像形成部16a〜16dにおいて、順次行われるものであるが、その手順が同じであるため、個々を区別しない形態で説明する。また、第1〜第5の帯電電圧(Va〜Ve)による非露光によるパターン印刷方法とNGの判定方法は、前記した実施の形態1で説明した方法と全く同じであるため、ここでの詳細な説明は省略する。
図35,36に示したフローチャートにおいて、前記した実施の形態5で説明した図33のフローチャートと対比して、全く同じ動作を行うステップには、同ステップ番号を付した。従って、図35,36のフローチャートにおいて、ステップ501からステップ517は、図33のフローチャートでの処理と全く同じであるため、ここでの詳細な説明を省略する。
トナー画像形成部16による搬送ベルト9上への非露光パターン印刷が可能な状態において、先ず標準の帯電電圧値をデフォルト帯電電圧値として、(デフォルト帯電電圧−100V)とする第1の帯電電圧(Va)が帯電ローラ25(図2)に所定時間印加され、第1の帯電電圧で帯電された感光体ドラム21の帯電部は、現像ローラ27と接触して現像され、更にこの現像パターンが転写ローラ22によって搬送ベルト9上へ転写されて第1の検出パターンが形成される(ステップS501)。
本実施の形態では、この転写処理が行なわれた後、ベルトモータ56とIDモータ57を加速し、現像パターンを搬送ベルト9上へ転写して第1の検出パターンを形成するときの速度(第1の速度)よりも速い速度(第2の速度)で回転させ、搬送ベルト9の第1の検出パターンを早送りする(ステップS501−a)。そしてこの第1の検出パターンが濃度センサ12に到達する前に、ベルトモータ56とIDモータ57を減速し、前記第1の速度に戻す(ステップS501−b)。その後、搬送ベルト9の第1の検出パターンが濃度センサ12の検出位置に至り、第1のパターン濃度が検出され、基準値と比較される(ステップS502)。
同様にして、前記したステップS503の後のステップS503−a、ステップS503−bにおいて、前記したステップS505の後のステップS505−a、ステップS505−bにおいて、前記したステップS507の後のステップS507−a、ステップS507−bにおいて、前記したステップS509の後のステップS509−a、ステップS509−bにおいて、それぞれ、搬送ベルトモータ56とIDモータ57とを加速、減速し、搬送ベルト9上に検出パターンが形成されてから、この検出パターンが濃度センサ12の検出位置に至るまでの、搬送時間を短縮している。
図37は、本実施の形態による画像形成装置が行なう帯電電圧の補正値決定動作のタイムチャートである。同タイムチャート及び図1乃至3を参照しながら、画像形成装置による帯電電圧の補正値決定動作について以下に説明する。
エンジン制御部50から出力される帯電電圧の補正動作開始命令により、モータ制御部51は、時刻t71でベルトモータ56とIDモータ57を回転駆動し、搬送ベルト9と感光体ドラム21の回転を開始する。このとき感光体ドラム21以外の画像形成に関わるローラ、即ち転写ローラ22、帯電ローラ25、現像ローラ27、及びトナー搬送ローラ28も図示しない回転伝達手段を介して所定の回転を開始する。高圧制御部53は、エンジン制御部50から出力される制御信号により、図37のタイムチャートに示す高圧信号を出力する。
尚、本実施の形態において、パターン濃度検出の為に、搬送ベルト9上へ形成される検出パターンは、露光手段であるLEDヘッド26が非露光の状態で形成される。従って、ここではLEDヘッド26の発光制御が行われないため、図37のタイムチャートにもLEDヘッド制御についての記載がない。
先ず時刻t72で、4色の転写電圧が、非印刷時の電圧レベルであるオフ電圧とされ、続く時刻t73で、高圧制御部53からトナー画像形成部16の現像ローラ27に対して現像電圧DBのオン電圧が印加され、同じく時刻t73でトナー搬送ローラ28に対して供給電圧SBのオン電圧が印加され、同じく時刻t73でブラックの帯電ローラ(K)25aに対して帯電電圧CH(K)のオン電圧が出力され始める。このときの帯電ローラ25aに対する帯電電圧CH(K)のオン電圧は、絶対値レベルが一番大きな第1の帯電電圧(Va)に設定される。
本実施の形態による制御では、記録媒体の搬送経路の上流側にあるトナー画像形成部16aより順番にパターン印刷が行われる。時刻t73から時刻t74の間で感光体ドラム21a上の第1の現像パターンを搬送ベルト9上へ転写して第1の検出パターンを形成するために、転写ローラ(K)22aに印加する転写電圧(K)がオン電圧となる。時刻t74以降、帯電ローラ(K)25aへの帯電電圧CH(K)は、汚れ印刷が一番でにくい、第1の帯電電圧(Va)を維持している。時刻t74では、転写電圧(K)もオフとなっており、搬送ベルト9上にトナーが転写されない状態になっている。第1の帯電電圧で搬送ベルト9上へ形成された第1の検出パターンは、搬送ベルト9の移動に伴って、濃度センサ12のある位置まで到達すると、その時の時刻t77でパターン濃度が検出される。本実施の形態では、この時刻t74から時刻77までの間の時刻75と時刻76でベルトモータ56とIDモータ57の加速、減速が行われ、この間、搬送ベルト9に形成された第1の検出パターンの搬送速度を上げている。
検出された第1のパターン濃度は前記したように基準濃度レベルと比較され、OKの判定結果が出ると、時刻t78から時刻79まで第2の帯電電圧(Vb)が出力される。
尚、感光体ドラム21が帯電ローラ25によって帯電された部分が、転写ローラ22の位置に至るには、その回転速度によって決まるタイムラグが生じるが、図37のタイムチャートでは、簡単のため、このタイムラグを省略している。
この時刻t78から時刻79までの間で、感光体ドラム21a上の第2の現像パターンを搬送ベルト9上へ転写して第2の検出パターンを形成するために、転写ローラ(K)22aに印加する転写電圧(K)がオン電圧となる。時刻t79以降、帯電電圧(K)は、再び第1の帯電電圧(Va)を維持する。時刻t79では、転写電圧(K)もオフとなっており、搬送ベルト9上にトナーが転写されない状態になっている。第2の帯電電圧で搬送ベルト9上に形成された第2の検出パターンは、搬送ベルト9の移動に伴って、濃度センサ12のある位置まで到達すると、その時の時刻t82でパターン濃度が検出される。ここでは、この時刻t79から時刻t82までの間の時刻t80と時刻81でベルトモータ56とIDモータ57の加速、減速が行われ、この間、搬送ベルト9に形成された第2の検出パターンの搬送速度を上げている。
検出された第2のパターン濃度は前記したように基準濃度レベルと比較され、OKの判定結果が出ると、時刻t83から時刻84まで第3の帯電電圧(Vc)が出力される。
この時刻t83から時刻84までの間で、感光体ドラム21a上の第3の現像パターンを搬送ベルト9上へ転写して第3の検出パターンを形成するために、転写ローラ(K)22aに印加する転写電圧(K)がオン電圧となる。時刻t84以降、帯電電圧(K)は、再び第1の帯電電圧(Va)を維持する。時刻t84では、転写電圧(K)もオフとなっており、搬送ベルト9上にトナーが転写されない状態になっている。第3の帯電電圧で搬送ベルト9上に形成された第3の検出パターンは、搬送ベルト9の移動に伴って、濃度センサ12のある位置まで到達すると、その時の時刻t87でパターン濃度が検出される。ここでは、この時刻t84から時刻87までの間の時刻85と時刻86でベルトモータ56とIDモータ57の加速、減速が行われ、この間、搬送ベルト9に形成された第3の検出パターンの搬送速度を上げている。
検出された第3のパターン濃度は前記したように基準濃度レベルと比較され、ここでNGの判定結果が出ると、ブラック(K)のトナー画像形成部16aにおける帯電電圧の補正動作は終了する。
この後、各トナー画像形成部16b〜16d(Y,M,C)において、順次帯電電圧の補正動作が同様の手順で行われる。上記したように本実施の形態で説明した方法で補正動作行うと、あるトナー画像形成部において、5段階の帯電電圧(Va〜Ve)を順に、一つ設定する毎に現像処理、転写処理、パターン濃度検出が行なわれ、パターン濃度が基準濃度レベルを超えた段階で、そのトナー画像形成部による以後の帯電電圧を印加してのパターン印刷が中止され、次のトナー画像形成部による帯電電圧の補正動作に移る。
尚、本実施の形態では、ブラックのトナー画像形成装置16aにおける第3の帯電電圧(Vc)での第3の検出パターンにおいてNGが発生した例をあげて説明したが、どの色で何番目にNGが発生するかは、全く不定である。また、ここでは、実施の形態1での例をベースに、5段階の帯電電圧(Va〜Ve)を順に、一つ設定する毎に現像処理、転写処理、パターン濃度検出を行う例を示したが、これに限定されるものではなく、前記した実施の形態2〜4においても、同様の処理を行なうことが可能である。
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、前記した実施の形態5と同様の効果を得ることができ、更に、搬送ベルトに形成された検出パターンが濃度センサの検出位置に至るまでの速度を上げたため、検出パターンの発生から検出までの時間を短縮して、補正動作全体での時間短縮を図ることができる。