JP4544985B2 - 段ボールシート加工装置および段ボールシート加工方法 - Google Patents
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Description
罫線加工を行うスコアラ部について見ると、段ボールシートの通路を挟んで上下にそれぞれ対向して一対の罫線ロールが、幅方向に複数設置されている。上側の罫線ロールは、フレームに対して幅方向に移動可能に支持された複数の移動フレームのそれぞれに上下方向に揺動可能に取付けられている。罫線ロールが上方に位置すると段ボールシートと係合せず、一方下方に位置すると下側の罫線ロールと協働して走行する段ボールシートに対して罫線を加工する。
そして、一方の装置では、各移動フレームをそれぞれ幅方向に移動させて罫線ロールを次々オーダの加工位置へ移動させる。同時に、下側の罫線ロールも対向する幅方向位置に移動させる。他方の装置での加工(次オーダ)が終了すると、一方の装置において、使用する罫線ロールを下方に位置させ、次々オーダの罫線位置に罫線を加工する。
このようなオーダチェンジを繰り返すことによって、段ボールシートを連続的に走行させて、種々の位置の異なる罫線加工を行うことができる。
このように、罫線ロールの昇降タイミングがバラツクと、段ボールシートの走行方向における罫線加工開始位置あるいは罫線加工終了位置がズレるので、その分だけ傷入り範囲が広がり、不良紙(損紙)が増加するという問題があった。また、この問題は、罫線ロールと同様に、個別に上下動する各スリッタナイフについても当てはまる。
このような、オーダチェンジは毎日数百回程度あるため、1回当たりの増加が少しでも、それらが集まれば大きな影響を及ぼすことになる。
すなわち、本発明にかかる段ボールシート加工装置は、加工ユニットが段ボールシートの通路を挟んで対向して配置され協働して段ボールシートに所定の加工を施す段ボールシート加工装置において、少なくとも前記段ボールシートの一方側に配置された前記加工ユニットは、段ボールシートの幅方向に延在して配置され、該段ボールシートに対して接近・離間するように移動可能に設けられた支持部材と、該支持部材に、それぞれ前記幅方向に移動可能に設けられた複数の移動部材と、該各移動部材にそれぞれ退避位置と加工時の待機位置との間で移動可能に設けられた加工具と、を備えていることを特徴とする。
このように、支持部材を上下方向に移動させることにより、加工中の加工具が一斉に段ボールシートの加工位置から待機位置へ、あるいは次オーダ用に加工部位にある加工具が一斉に待機位置から加工位置へ移動させることができる。このため、複数の加工具による段ボールシートへの加工開始位置および加工終了位置が幅方向に揃うので、オーダチェンジ時における不良紙の発生を低減させることができる。
なお、移動部材における加工具は、加工部位と退避部位との2位置間の移動となるので、エアシリンダあるいは油圧シリンダ等の詳細な制御を要しないものを用いればよい。このようにすれば、装置を安価とすることができる。
図1は、スリッタスコアラ1の全体構成を模式的に示す正面図である。
スリッタスコアラ1は、段ボールシート3の走行方向5に沿って配列された第一スリッタスコアラユニットFと第二スリッタスコアラユニットSとから構成されている。
第一スリッタスコアラユニットFおよび第二スリッタスコアラユニットSは同様に構成されているので、同じ部材には符号の後にサフィックス”f”,”s”をつけて区別する。
なお、各図において、符号の後ろにつくサフィックス“f”,“s”は、第一スリッタスコアラユニットFと第二スリッタスコアラユニットSとを区別するためのものであり、fは第一スリッタスコアラユニットFの部位や部材であることを示し、sは第二スリッタスコアラユニットSのものであることを示している。以後の明細書内では、第一スリッタスコアラユニットFおよび第二スリッタスコアラユニットSを区別する場合にはf,sを付記するが、特に区別しない場合にはf,sを省略して符号のみで各部位や部材を示すものとする。
第一スリッタスコアラユニットFおよび第二スリッタスコアラユニットSには、走行方向5の上流側にスコアラ部15が設けられ、段ボールシート3を挟んで上罫線ロール(加工具)7と下罫線ロール(加工具)9とが備えられている。
また、下流側にスリッタ部17が設けられ、ナイフ受台(加工ユニット)11とスリッタナイフ(加工具)13とが備えられている。
下罫線ロール9およびナイフ受台11は、上下方向には移動を制限されており、段ボールシート3を案内する役割をも果たすように構成されている。
図2は、図1のX−X断面図、図3は図2のY−Y断面図である。
スコアラ部15には、段ボールシート3を挟んで上罫線ユニット(加工ユニット)19と下罫線ユニット(加工ユニット)21とが備えられている。
上罫線ユニット19には、上支持部材(支持部材)23と、上移動部材(移動部材)25と、上罫線ロール7とが備えられている。
操作側フレーム2および駆動側フレーム4の上端部内側には、サーボモータ機構31,33が取付けられている。サーボモータ機構31,33の下部には、可動軸35,37が上下方向に進退可能に設けられている。可動軸35,37の下端部は、上支持部材23の上面両端部に固定されており、サーボモータ機構31,33を駆動して可動軸35,37を進退させることによって上支持部材23を上下動させるように構成されている。
複数の、例えば4個の上移動部材25は、それぞれ略長方体形状をしており、案内レール39,39に沿って移動可能に支持されている。
上移動部材25の下流側下部には、先端部に上罫線ロール7を回転自在に支持しているアーム41が枢支されている。上移動部材25の下流側側面上部とアーム41の中間位置との間には、エアシリンダ43が介装されており、エアシリンダ43の伸縮によってアーム41を揺動させ、上罫線ロール7を、罫線加工を行わない退避部位と罫線加工に使用される加工部位との間で略上下方向に移動させるように構成されている。
下支持部材45は、中空の直方体形状をし、段ボールシート3の幅方向に延在して配置され、両端部は操作側フレーム2と駆動側フレーム4とに固定されている。
下支持部材45の下流側側面の上部および下部には、幅方向に略水平に延在して案内レール49,49が取付けられている。
複数の、例えば4個の下移動部材47は、それぞれ略長方体形状をしており、案内レール49,49に沿って移動可能に支持されている。
各下罫線ロール9は、それぞれ各下移動部材47の空洞部51に挿入され、案内軸53に回動自在に支持されている。
スリッタナイフ13は、円板状で、外周部が鋭利な刃物であり、高速で回転させられるように構成されている。そして、スリッタナイフ13は、段ボールシート3の幅方向に複数、例えば、3個、それぞれ幅方向に移動可能に設けられている。
これらのスリッタナイフ13は、図示を省略しているが、上罫線ロール7と略同様な構成を備えたスリッタナイフユニット(加工ユニット)に備えられている。すなわち、各スリッタナイフ13は、断裁に使用しない場合の退避部位および断裁に使用する加工部位との間で移動できるように構成されている。また、加工部位にあるスリッタナイフ13は、段ボールシートから離隔した待機位置と、ナイフ受台11へ切り込み段ボールシート3を走行方向5に沿って断裁する加工位置と、の間を一斉に移動できるように構成されている。
コルゲータラインで連続的に製造された幅広の段ボールシート3は、スリッタスコアラ1に送られて来る。
スリッタスコアラ1では、スコアラ部15において上罫線ロール7が段ボールシート3を介して下罫線ロール9に押圧される。これにより、上罫線ロール7の円周面の凸部が段ボールシート3を下罫線ロール9の円周面の凹部に押し込み、部分的に圧壊する。段ボールシート3が走行することによって、この圧壊部が走行方向5に沿って連続的に形成されるので、段ボールシートには、折り曲げ易くするための罫線kが加工される(図5参照)。
スリッタ部17では、高速で回転するスリッタナイフ13が、ナイフ受台11へ切り込むことによって両者の間を走行する段ボールシート3は、流れ方向に沿った断裁線cで断裁される。これにより、幅広の段ボールシート3は、所定の幅を持つ幅狭シートに断裁される(図5参照)。
現オーダでは、図1(a)に示されるように第二スリッタスコアラユニットSが稼動中である場合、罫線kおよび断裁線cは、図5(a)に示されるように形成されている。
この時、非稼動中の第一スリッタスコアラユニットFでは、次オーダの準備がなされている。
この次オーダの準備は、スコアラ部15fでは、各上移動部材25fを案内レール39fに沿って個別に移動させ、各上罫線ロール7fを次オーダの罫線加工位置に移動する。同時に、各下移動部材47fを案内レール49fに沿って個別に移動させ、各下罫線ロール9fを次オーダの罫線加工位置に移動する。
なお、各上罫線ロール7fを幅方向に移動する場合、上罫線ロール7fを図3に示される退避部位にして移動させてもよいし、図4(a)に示される待機位置である加工部位にして移動させてもよいし、さらに、両位置の間を移動中に移動させてもよい。
一方、スリッタ部17fでは、各スリッタナイフ13fを幅方向に個別に移動させ、次オーダの断裁加工位置に移動する。そして、次オーダで使用するスリッタナイフ17fのみ、段ボールシート3に近接した待機位置に保持させて置く。
また、待機位置に位置する上罫線ロール7の下端位置およびスリッタナイフ13の上端位置と段ボールシート3との間隔は、段ボールシート3が上下方向に振れても、あるいは幅方向に反っていても、段ボールシート3が上罫線ロール7に略当接しないように設定されている。
段ボールシート3における現オーダの終端位置に相当する部分が、第一スリッタスコアラユニットFのスコアラ部15fを通過するタイミングで、サーボモータ機構31f,33fを作動させ、可動軸35f,37fを下方へ伸長させる。これにより、上支持部材23fが下方へ移動するので、上支持部材23fに保持された各上移動部材25fが下方へ移動する。各上移動部材25fの下方への移動に伴い、上罫線ロール7fが一斉に下方へ移動するので、待機位置にいる上罫線ロール7fが図4(b)に示される加工位置へ移動し、下罫線ロール9fと協働して罫線を加工し始める。
なお、退避部位にある上罫線ロール7f(罫線加工に使用されない上罫線ロール7f)は、各上移動部材25fが下方へ移動しても、段ボールシート3と当接することはない。
このように、待機位置にある上罫線ロール7fが一斉に待機位置から加工位置へ移動させられるので、各上罫線ロール7fによる段ボールシート3への罫線加工開始位置kfが幅方向に揃うことになる。すなわち、罫線加工開始位置kfを結ぶ線Lが走行方向5に略直交する関係となる(図5(b)参照)。
このように、待機位置にあるスリッタスコアラ13fが一斉に待機位置から加工位置へ移動させるので、各スリッタスコアラ13fによる段ボールシート3への断裁加工開始位置cfが幅方向に揃うことになる。すなわち、断裁加工開始位置cfを結ぶ線Mが走行方向5に略直交する関係となる(図5(b)参照)。
このように、加工位置にある上罫線ロール7sが一斉に待機位置へ移動させられるので、各上罫線ロール7sによる段ボールシート3への罫線加工終了位置klが幅方向に揃うことになる。すなわち、罫線加工開始位置klを結ぶ線Nが走行方向5に略直交する関係となる(図5(c)参照)。
このように、加工位置にあるスリッタスコアラ13sが一斉に待機位置へ移動させられるので、各スリッタスコアラ13sによる段ボールシート3への断裁加工終了位置clが幅方向に揃うことになる。すなわち、断裁加工終了位置clを結ぶ線Pが走行方向5に略直交する関係となる(図5(c)参照)。
なお、図5(c)の線N,Pの近傍には、線L,Mもあるが、線が重なって見難くなるので省略している。
そして、次のオーダチェンジ時に、第一スリッタスコアラユニットFから第二スリッタスコアラユニットSへ稼動を切り替える場合には、実際に作動する順番は異なるが、作動するタイミングは、前述の説明における第一スリッタスコアラユニットFおよび第二スリッタスコアラユニットSを入れ替えたものになる。
段ボールシート3の種類が異なるものに変更される、すなわち段ボールシート3の厚さが変更されることがある。
この場合には、サーボモータ機構31,33の駆動量を調整して、上罫線ロール7が待機位置から加工位置に移動する距離を調節する。こうすると、加工位置における上罫線ロール7と下罫線ロール9との間隔が、段ボールシート3の厚さに応じた大きさに調整することができるので、段ボールシート3の種類が変化しても対応することができる。
したがって、従来別個に設けていた、上罫線ロール7と下罫線ロール9との間の隙間調整機構を不要にできるので、装置を簡略化し、安価とすることができる。
さらに、ナイフ受台11も上下動可能としてもよい。また、スリッタナイフ13と同様な回転刃とし、同様に上下方向および幅方向に移動可能な構造としてもよい。
3 段ボールシート
7 上罫線ロール
9 下罫線ロール
11 ナイフ受台
13 スリッタナイフ
19 上罫線ユニット
21 下罫線ユニット
23 上支持部材
25 上移動部材
31,33 サーボモータ機構
F 第一スリッタスコアラユニット
S 第二スリッタスコアラユニット
Claims (5)
- 加工ユニットが段ボールシートの通路を挟んで対向して配置され協働して段ボールシートに所定の加工を施す段ボールシート加工装置において、
少なくとも前記段ボールシートの一方側に配置された前記加工ユニットは、
段ボールシートの幅方向に延在して配置され、該段ボールシートに対して接近・離間するように移動可能に設けられた支持部材と、
該支持部材に、それぞれ前記幅方向に移動可能に設けられた複数の移動部材と、
該各移動部材に対し、加工に使用しない退避部位と加工に使用する場合の加工部位との間で移動可能に設けられた加工具と、
を備えていることを特徴とする段ボールシート加工装置。 - 前記支持部材は、サーボモータによって段ボールシートに対して接近・離間するように移動されることを特徴とする請求項1に記載の段ボールシート加工装置。
- 請求項1または請求項2に記載の加工ユニットを用いて、搬送される段ボールシートに所定の加工を施す段ボールシート加工方法において、
予め次オーダに使用されない加工具を退避部位に位置させると共に、次オーダに使用される前記加工具を前記移動部材における加工部位に位置させ待機位置に待機させておき、
現オーダで加工される段ボールシートの終端の通過と略同時に、前記支持部材を段ボールシートに対して接近させることにより、前記待機位置にある加工具を一斉に段ボールシートに当接させ、次オーダの加工を施すことを特徴とする段ボールシートの加工方法。 - 請求項1または請求項2に記載の加工ユニットを用いて、搬送される段ボールシートに所定の加工を施す段ボールシート加工方法において、
少なくとも前記段ボールシートの一方側に配置された前記加工ユニットにおける複数の加工具の内、加工に使用されない加工具は前記移動部材における退避部位に位置させ、一方、加工に使用される加工具は加工部位に位置させ、前記支持部材を段ボールシートに対して接近・離間するように移動させることにより、前記加工部位に配置された加工具を一斉に段ボールシートを加工する加工位置から加工しない待機位置へ、あるいは該待機位置から該加工位置へ移動させることを特徴とする段ボールシート加工方法。 - 前記支持部材は、サーボモータによって段ボールシートに対して接近・離間するように移動されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の段ボールシート加工方法。
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