JP3563111B2 - 段ボール連続シートの切断方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、スリッタの運転方法に関し、更に詳細には、連続する段ボールシートを上下の関係で配設した一対のスリッタナイフで給送方向に切断するスリッタにおいて、切断寸法のオーダ変更を生じたときに、スリッタナイフを新オーダの切断位置に加工状態のまま移動させるようにしたスリッタの運転方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
コルゲータラインで連続的に製造される段ボールシートは、当該ラインの最終工程付近でスリッタにより給送方向に沿って切断されて複数の丁取りがなされると共に、必要に応じて横罫線加工(スコアリング)が行なわれる。このスリッタは、段ボールシートの給送ラインを挟む上下の関係で配設した一対のスリッタナイフからなるスリッタナイフ組を、段ボールシートの幅方向(給送方向と交差する方向)に複数備える。各スリッタナイフ組の両スリッタナイフは、相互に反対方向に回転されると共に、その刃先を給送ラインから上下に離間させた非加工位置と、その刃先を所定長さだけ重なるようにした加工位置とに位置決め可能に構成される。そして、両スリッタナイフを加工位置に位置決めすることにより、両スリッタナイフの間を通過する段ボールシートは給送方向に沿って切断される。
【0003】
前記連続した段ボールシートからの丁取り数や丁取りされる各シートの幅寸法を変更(いわゆる「オーダ変更」)する必要があり、このオーダ変更は、前記各スリッタナイフ組をシート幅方向に移動調整することにより行なわれる。すなわち、オーダ変更指令により加工位置に臨むスリッタナイフを非加工位置に退避させた状態で、各スリッタナイフ組を新オーダの切断位置に移動させた後、スリッタナイフを加工位置に位置決めすることにより、段ボールシートを新オーダで切断することができる。この場合において、スリッタナイフ組を旧オーダの切断位置から新オーダの切断位置に移動させる間は、スリッタナイフによる切断が不能な状態であるため生産ラインを停止する必要があり、生産能率が低下する問題がある。そこで、2基のスリッタを給送方向に直列に配置し、一方の第1ユニットで段ボールシートの切断を行なっている間に、他方の非稼動中の第2ユニットにおいて各スリッタナイフ組を次回オーダのために位置調整することが行なわれている。これにより、オーダ変更に際し、第1ユニットの各スリッタナイフを非加工位置に退避させると共に、第2ユニットの各スリッタナイフを加工位置に臨ませることにより、オーダ変更に迅速に対応して生産ラインの停止を回避することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、2基のスリッタを切替えて運転する場合であっても、オーダ変更に際しては所要量の不良品を生ずるのは避けられない。すなわち、第1ユニットと第2ユニットとは所要の間隔をもって配置されているため、例えば第1ユニットのスリッタナイフを非加工位置に退避させることにより段ボールシートに生ずる切断終端部と、第2ユニットのスリッタナイフを加工位置に臨ませることにより段ボールシートに生ずる切断始端部とを完全に一致させることは困難で、所要の誤差を生じてその部分が不良品となっていた。また、スリッタナイフを加工位置と非加工位置とに切替える手段としてエアシリンダが使用されているため、切替えタイミングに所要の遅れ時間を生じ、これにより不良品が発生する。更に、上下のスリッタナイフによる切断では、両ナイフを正確に刃合わせしなければ段ボールシートの切断はなされないため、加工位置に位置決めした後に所要の刃合わせ時間を要し、この間は不良品を生ずることとなっていた。
【0005】
このように、2基のスリッタを配置する構成であっても、オーダ変更に際しての不良品の発生を完全に防止することはできないのが現状である。しかもスリッタを2基配置することは、設備コストが嵩む点と、ラインの全長が長くなって工場内スペースの有効利用が図れないという問題を内在していた。
【0006】
また、連続する段ボールシートから複数丁取りを行なう場合、該シートの幅方向における両端縁部には、シート材の仕上寸法に応じて大小の不要部分が生じ、該部分はスリッタにおける最外側に位置するスリッタナイフ組により切断(トリミング)されるようになっている。そしてトリミングされた不要部分(トリム片)は、下流側に設けた吸引手段により吸引されて段ボールシートから分離除去される。この場合において、従来はオーダ変更によりスリッタによる切断寸法が変更されると、前記スリッタナイフは非加工位置に退避するため、前記トリム片は段ボールシートに接続されたままとなっている。そのため、トリム片を給送方向と直交する方向に切断して段ボールシートから分離するためのトリムシャー装置が必要となり、機構が複雑になると共にコストが嵩む欠点があった。
【0007】
更に、トリム片の幅寸法が大きくなったり、生産速度が高速の場合には、オーダ変更後のトリム片の始端を前記吸引手段で吸引し得ないことがあり、このトリム片の吸引ミスによってラインを停止させる事態を招いて生産能率が低下することがあった。すなわち、コルゲータラインにおいては前記トリム片の吸引ミスを作業者が監視しているのが実情であり、これが無人化の障壁となっていた。
【0008】
【発明の目的】
この発明は、前述したスリッタに内在している課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、設備コストの低減およびスペース効率の向上を図ることができ、併せて段ボールシートからのトリム片の確実な分離除去を行なってラインの無人化を達成し得る手段を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係るスリッタの運転方法は、コルゲータラインから供給される段ボールシートを給送方向に切断する複数の切断手段を、段ボールシートの給送方向と交差する方向に移動自在に備えたスリッタにおいて、
前記段ボールシートに切断寸法のオーダ変更を生じたときには、該シートを切断する加工位置に保持したままの切断手段を、新オーダの切断位置に向けて所要の速度で移動させるようにしたことを特徴とする。
【0010】
【実施例】
次に、本発明に係るスリッタの運転方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、実施例ではスリッタおよびスコアラを直列に併設したスリッタ・スコアラ装置を挙げて説明するが、本願の請求項1および請求項2に係る発明においては、スリッタ単独機であっても実施し得るものである。
【0011】
図示のスリッタ・スコアラ装置10は、段ボールシート12の給送方向上流側に2基のスコアラ14,16を備えると共に、その下流側に1基のスリッタ18を備えている。スリッタ18は、段ボールシート12のパスラインPLを挟んで上下の関係で、相互に反対方向に回転する対をなす円盤状のスリッタナイフ20,22からなるスリッタナイフ組(切断手段)24を、段ボールシート12の幅方向に複数組(実施例では5組)備えている(図2参照)。そして、各対応のスリッタナイフ20,22の間に段ボールシート12を供給することにより、該シート12は給送方向に切断される。各スリッタナイフ組24のスリッタナイフ20,22は、段ボールシート12を切断する加工位置と、該シート12から離間する非加工位置との間を昇降移動可能に構成され、また各スリッタナイフ組24は、幅方向に相互に移動自在に配設されて、オーダ変更による丁取り数や丁取り幅の変更に応じて位置決め調整されるよう構成される。そこで、スリッタナイフ20,22の昇降機構とスリッタナイフ組24の移動機構とにつき説明する。
【0012】
すなわち、スリッタ・スコアラ装置10の操作側および駆動側に離間して配設したフレーム26,26の間には、図2に示す如く、前記段ボールシート12のパスラインPLを挟む上下に所定間隔離間して一対のビーム28,30が平行に架設されている。そして上側のビーム28に、スリッタナイフ組24と同一数の上部ナイフ支持ユニット32が移動自在に配設されている。各上部ナイフ支持ユニット32は、ビーム28に平行に配設した一対のガイドレール34,34に摺動自在に配設した移動部材36を備え、この移動部材36に配設したナット(図示せず)に、両フレーム26,26に架設固定したねじ軸38が螺挿されている。また、移動部材36には可変速制御可能なサーボモータ40が配設され、該サーボモータ40によりナットを回転させることにより、移動部材36をねじ軸38に沿って移動させるよう構成される。なお、各上部ナイフ支持ユニット32のサーボモータ40は、後述する制御装置42により夫々個別に駆動制御され、移動部材36を段ボールシート12の給送速度(ライン速度)に比例した速度で移動するよう設定されている。
【0013】
前記移動部材36の下部には、図1に示す如く、ホルダ44が傾動自在に配設され、該ホルダ44に円盤状のスリッタナイフ20が回転自在に配設されている。そしてこのスリッタナイフ20は、コルゲータの運転速度と比例して回転駆動されるようになっている。また移動部材36にシリンダ46が傾動可能に配設され、該シリンダ46のピストンロッド46aを、ホルダ44に枢支してある。すなわち、シリンダ46を正逆方向に付勢してホルダ44を傾動させることにより、前記スリッタナイフ20を、段ボールシート12を切断する加工位置と、パスラインPLから上方に離間する非加工位置とに位置決めし得るよう構成される。
【0014】
前記下側のビーム30には、図1に示す如く、上側のビーム28に配設した各上部ナイフ支持ユニット32と対応して上下に対称となる構成の下部ナイフ支持ユニット48が配設されている。そして、対応する上下のユニット32,48における加工位置に位置決めしたスリッタナイフ20,22の間に段ボールシート12を供給することにより、該シート12は給送方向に切断される。また、下部ナイフ支持ユニット48のスリッタナイフ22は、加工位置から段ボールシート12のパスラインPLより下方の非加工位置に退避するようになっている。なお、下部ナイフ支持ユニット48の各部材については、上部ナイフ支持ユニット32の対応する同一部材と同じ符号を付してある。
【0015】
前記スリッタ18における幅方向の最外側に位置する4基のナイフ支持ユニット32,48,32,48では、各対応のスリッタナイフ20,22,20,22を、加工位置と非加工位置との間を昇降させる機構は省略され、上下で対をなすスリッタナイフ20,22を常に加工位置に位置決めしている。すなわち、最外側に位置する2基のスリッタナイフ組24,24は、段ボールシート12の幅方向における両端縁部に生じる不要部分をトリミングする際に使用されるものであるため、不要部分が生じないオーダの際には、段ボールシート12と接触しない外側に移動させることによりトリミングさせないようになっている。
【0016】
前記スリッタ18の下流側には、段ボールシート12のパスラインPLより下側において、最外側のスリッタナイフ組24,24と対応する位置に、図示しない吸引源に接続されたトリムダクト50,50(一方のみ図示)が配設される。そしてこのトリムダクト50,50で、当該のスリッタナイフ組24,24により切断されて段ボールシート12から生ずるトリム片12a,12aを吸引して該シート12から分離除去するようになっている。なお、トリムダクト50で吸引された長尺なトリム片12aは、図示しないカッタ装置により短尺な片に切断された後に廃棄される。前記トリムダクト50は、図3に示す如く、最外側のスリッタナイフ組24における下側のスリッタナイフ22のホルダ44に配設され、該ナイフ22と一体的に移動するよう構成される。すなわち、段ボールシート12の丁取り数その他丁取り幅が変更された際に、トリムダクト50はスリッタナイフ22と一体的に移動し、トリム片12aを確実に吸引するよう構成される。なお図3において符号49は、段ボールシート12の端縁部を支持するガイド板を示し、該ガイド板49はスリッタナイフ22と一体的に移動するようになっている。
【0017】
前記スリッタ18の上流側に配置される2基のスコアラ14,16は、その基本構成はスリッタ18と同一であって、スリッタナイフ20,22に代えて罫線ロール51,52が配設されている点で異なっている。なお、2基のスコアラ14,16の構成は同一であるので、給送方向上流側に位置するスコアラ14の構成につき説明し、下流側のスコアラ16の同一部材には同一の符号を付すものとする。
【0018】
前記スコアラ14は、段ボールシート12のパスラインPLを挟んで上下の関係で、相互に反対方向に回転する対をなす罫線ロール51,52からなるロール組53を、段ボールシート12の幅方向に複数組(実施例では4組)備えている。そして、対をなす罫線ロール51,52の間に段ボールシート12を供給することにより、該シート12には給送方向にスコアリングが施される。各ロール組53の罫線ロール51,52は、段ボールシート12にスコアリングを施す加工位置と、該シートにスコアリングを施さない非加工位置との間を昇降移動可能に構成され、また各ロール組53は、幅方向に相互に移動自在に配設されて、オーダ変更による丁取り数や丁取り幅の変更に応じて位置決め調整されるよう構成される。そこで、罫線ロール51,52の昇降機構とロール組53の移動機構とにつき説明する。
【0019】
すなわち、前記フレーム26,26の間には、前記段ボールシート12のパスラインPLを挟む上下に所定間隔離間して一対のビーム54,56が平行に架設されている。そして上側のビーム54に、ロール組53と同一数の上部ロール支持ユニット57が移動自在に配設されている。各上部ロール支持ユニット57は、ビーム54に平行に配設した一対のガイドレール58,58に摺動自在に配設した移動部材59を備え、この移動部材59に配設したナット(図示せず)に、両フレーム26,26に架設固定したねじ軸60が螺挿されている。また、移動部材59には可変速制御可能なサーボモータ61が配設され、該サーボモータ61によりナットを回転させることにより、移動部材59をねじ軸60に沿って移動させるよう構成される。なお、各上部ロール支持ユニット57のサーボモータ61は、前記制御装置42により夫々個別に駆動制御される。
【0020】
前記移動部材59の下部に、ホルダ62が傾動自在に配設され、該ホルダ62に円盤状の罫線ロール51が回転自在に配設されている。そして、この罫線ロール51は、コルゲータの運転速度と比例して回転駆動されるようになっている。また移動部材59にシリンダ63が傾動可能に配設され、該シリンダ63のピストンロッド63aをホルダ62に枢支してある。すなわち、シリンダ63を正逆方向に付勢してホルダ62を傾動させることにより、前記罫線ロール51を、段ボールシート12にスコアリングを施す加工位置と、パスラインPLから上方に離間する非加工位置とに位置決めし得るよう構成される。
【0021】
前記下側のビーム56には、上側のビーム54に配設した各上部ロール支持ユニット57と対応して上下に対称となる構成の下部ロール支持ユニット64が配設されている。そして、対応する上下のユニット57,64における加工位置に位置決めした罫線ロール51,52の間に段ボールシート12を供給することにより、該シート12にはスコアリングが施される。また、下部ロール支持ユニット64の罫線ロール52は、段ボールシート12にスコアリングを施す加工位置からパスラインPLより下方の非加工位置に退避可能に設定される。なお、下部ロール支持ユニット64の各部材については、上部ロール支持ユニット57の対応する同一部材と同じ符号を付してある。
【0022】
図5はスリッタ・スコアラ装置10の制御回路65を示し、該回路65は制御装置42を内蔵し、この制御装置42には、前記各ナイフ支持ユニット32,48の各サーボモータ40が、サーボ駆動ユニット66を介して夫々接続されている。また、各サーボモータ40に配設した位置検知手段69が、対応のサーボ駆動ユニット66に接続されている。更に、制御装置42には、スリッタ・スコアラ装置10の操作パネル(図示せず)に配設した▲1▼キーボードやタッチパネル等の汎用操作ユニット67およびコルゲータラインの全体を管理する上位生産管理装置68が接続されている。更に、図示しないダブルフェーサまたはシート速度を実際に検出する回転パルス発生器70とも接続している。そして、汎用操作ユニット67により予め各オーダに対応する各スリッタナイフ組24の切断位置や、各ロール組53のスコアリング位置等のデータが入力されると共に、上位生産管理装置68からも同様の指令が出され、かつ段ボールシート12の給送速度も与えられる。なお、図示しないが、制御装置42にはスコラア14,16の各ローラ支持ユニット57,64を移動させるサーボモータ61もサーボ駆動ユニットを介して接続されている。
【0023】
すなわち、段ボールシート12の切断寸法にオーダ変更を生じた場合は、前記上位生産管理装置68から入力される段ボールシート12の給送速度に基づいて設定されたオーダ替え時期、速度指令および位置指令が、制御装置42を経由して演算データ処理されて、各サーボ駆動ユニット66に出力される。これにより、各サーボモータ40が駆動制御され、各スリッタナイフ組24を段ボールシート12の給送速度に比例した速度で新オーダの切断位置に移動させるようになっている。なお、スリッタナイフ組24の移動速度は、スリッタナイフ20,22による段ボールシート12の良好な切断を保った状態で移動し得ると共に、オーダ変更の際に生ずる不良品の発生量を少なく抑えることができる、例えばシート給送速度の1/6〜1/10に設定される。またこの速度であれば、移動機構に加わる負荷も許容範囲に抑えることができるものである。
【0024】
【実施例の作用】
次に、実施例に係るスリッタ・スコアラ装置の作用につき説明する。なお、現在(旧)のオーダでは、図6(a)に示す如く、スリッタ18における全てのスリッタナイフ組24を使用して、段ボールシート12の4丁取りを行なっているものとする。またスコアラ14,16のロール組53も全てが使用されて、段ボールシート12に所要のスコアリングが施されているものとする。
【0025】
この状態で、オーダ変更により段ボールシート12を3丁取りする指令が発せられると、中央のスリッタナイフ組24におけるスリッタナイフ20,22は、シリンダ46,46の付勢により加工位置から非加工位置に退避する。また、その他のスリッタナイフ組24は、スリッタナイフ20,22を加工位置に保持したままの状態で、対応のサーボモータ40が制御装置42により駆動制御されることにより、新なたオーダの切断位置までシート給送速度に比例した速度で移動される。すなわち、給送されている段ボールシート12は、図6(b)において二点鎖線で示すように斜めに切断されることとなる。そして、各スリッタナイフ組24が新オーダの切断位置に夫々到来すると、サーボモータ40が停止されてナイフ組24の位置決めが完了する(図6(c)参照)。
【0026】
また、前記スコアラ14,16においても、不必要となるロール組53の罫線ロール51,52を非加工位置に退避させると共に、その他のロール組53においては罫線ロール51,52を加工位置に保持したままの状態で、シート給送速度に比例した速度で新オーダのスコアリング位置に移動される。
【0027】
従って、以後の段ボールシート12は、3組のスリッタナイフ組24により3丁取りされると共に、該シート12の所要位置にはロール組53によるスコアリングが施される。なお、旧オーダから新オーダへの切替え時に生ずる不良品の量は、スリッタナイフ組24をシート給送速度に比例した速度で移動するよう設定したことにより、2基のスリッタを直列に配置した場合と殆ど変わらない量とすることができる。また、スリッタナイフ組24が移動中における段ボールシート12の切断も良好で、かつ移動機構への負荷も許容範囲に抑えられる。
【0028】
なお、新オーダでは不必要となる非稼働中のスリッタナイフ組24やロール組53は、次に必要となるオーダのための位置調整が予め行なわれる。この場合における各組24,53の位置調整速度は、シート給送速度に比例した速度であっても、予め設定した固定速度であってもよい。また、実施例のスリッタ・スコアラ装置10では、オーダ変更に際して各スリッタナイフ組24やロール組53は、段ボールシート12の幅方向中央を基準として、その両側に位置するスリッタナイフ組24やロール組53が相対的に近接・離間移動するよう制御される。従って、各組24,53の加工状態での移動に際し、段ボールシート12に加わる負荷は中央を基準として相互に打ち消し合うように作用し、該シート12の蛇行の発生を防止し得る利点がある。これにより、従来は必要であった蛇行防止装置を省略することができ、機構の簡略化を図ることが可能となる。
【0029】
前記スリッタ・スコアラ装置10では、段ボールシート12の幅方向両端部に不要部分を生じないオーダがあり、このときにはスリッタ18における最外側のスリッタナイフ組24,24を段ボールシート12の端部より外側に移動させて、トリム片12a,12aのトリミングを行なわないようになっている。このような状態から、オーダ変更により所要幅のトリム片12a,12aをトリミングする必要を生じた場合は、図7に示す如く、最外側のスリッタナイフ組24,24を、スリッタナイフ20,22を加工位置に保持したまま段ボールシート12の外側から内側に移動させる。なお、このときの移動速度は、前述した如くシート給送速度に比例する速度に設定されている。
【0030】
前記スリッタナイフ組24,24の移動により、段ボールシート12の端縁部は斜めに切断され、該ナイフ組24,24が当該オーダの切断位置に到来した以後は、所要幅寸法のトリム片12aがトリミングされる。そしてトリミングされた各トリム片12aは、図3および図4に示す如く、スリッタ18の下流に位置する対応のトリムダクト50により段ボールシート12から吸引除去される。なお、トリム片12aの切断始端部は、細い状態から徐々に所要幅となるよう斜めに切断されるので、該始端部はトリムダクト50により確実に吸引され、吸引ミスを生ずることはない。すなわち、作業者による吸引ミスの監視は必要なく、ラインの無人化を達成することが可能となるものである。
【0031】
そして、所要のオーダ変更毎に最外側のスリッタナイフ組24,24が移動してトリミングされるトリム片12a,12aは、図7に示す如く、全てが繋がった状態となり、各トリム片12aは吸引ダクト50に連続的に吸引される。そして、再びトリム片12aの切断を必要としないオーダに変更される場合は、最外側のスリッタナイフ組24,24は段ボールシート12の内側から外側に移動するため、トリム片12a,12aは段ボールシート12から完全に切離される。従って、従来必要であったトリムシャー装置を不要とすることができる。
【0032】
なお、実施例ではスリッタナイフ20,22および罫線ロール51,52を加工位置と非加工位置とに昇降させる機構を備えたものにつき説明したが、該昇降機構は本願の必須の要件ではなく、該機構を省略することができるものである。また、スリッタ18では上下のスリッタナイフ20,22により段ボールシート12を切断する構成としたが、例えば段ボールシート12を挟んで上側にスリッタナイフを配設すると共に下側に受け台を配設する1枚刃の構成を採用することもできる。更に、前記スリッタナイフ組24やロール組53の移動速度は、前述したシート給送速度に比例する速度に限定されるものでなく、加工するシートの紙質,フルートの種類あるいは気象条件(湿度の高低等)等に応じて、シート給送速度と比例しない速度で移動させることも可能である。例えば、各条件毎に予め移動速度を設定しておき、オーダ変更に際してシート給送速度の高低に関係なく予め設定した速度でスリッタナイフ組24やロール組53を移動させる。また、加工精度を必要としない場合に移動速度を高速に設定し、加工精度を必要とする場合に移動速度を低速に設定してもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係るスリッタの運転方法によれば、1基のスリッタであっても、2基のスリッタを配置した場合と同程度の不良品の発生によりオーダ変更に対応することができる。すなわち、コルゲータラインの全長を短かくすることができ、設備コストを低減し得ると共に、工場内スペースの有効利用を図り得る。また、段ボールシートから生ずるトリム片を確実にシートから分離除去することができるから、作業者による監視を必要とせず、ラインの無人化を達成することが可能となる。更に、段ボールシートにスコアリングを施すロール組も、加工状態のまま移動させるので、2基のスコアラを設けることなくオーダ変更に対応可能であり、ラインの全長を短かくし得ると共に、設備コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るスリッタ・スコアラ装置を示す概略側面図である。
【図2】実施例に係るスリッタ・スコアラ装置におけるスリッタを示す概略正面図である。
【図3】段ボールシートの不要部分をトリミングするスリッタナイフ組とトリムダクトを示す概略側面図である。
【図4】段ボールシートの不要部分をトリミングするスリッタナイフ組とトリムダクトを示す概略平面図である。
【図5】実施例に係るスリッタ・スコアラ装置の制御回路を示すブロック図である。
【図6】オーダ変更により段ボールシートの丁取り数を変更する場合のスリッタナイフ組およびロール組の動作説明図である。
【図7】段ボールシートから不要部分をトリミングする場合のスリッタナイフ組の動作説明図である。
【符号の説明】
12 段ボールシート
24 スリッタナイフ組
53 ロール組
PL パスライン
【産業上の利用分野】
この発明は、スリッタの運転方法に関し、更に詳細には、連続する段ボールシートを上下の関係で配設した一対のスリッタナイフで給送方向に切断するスリッタにおいて、切断寸法のオーダ変更を生じたときに、スリッタナイフを新オーダの切断位置に加工状態のまま移動させるようにしたスリッタの運転方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
コルゲータラインで連続的に製造される段ボールシートは、当該ラインの最終工程付近でスリッタにより給送方向に沿って切断されて複数の丁取りがなされると共に、必要に応じて横罫線加工(スコアリング)が行なわれる。このスリッタは、段ボールシートの給送ラインを挟む上下の関係で配設した一対のスリッタナイフからなるスリッタナイフ組を、段ボールシートの幅方向(給送方向と交差する方向)に複数備える。各スリッタナイフ組の両スリッタナイフは、相互に反対方向に回転されると共に、その刃先を給送ラインから上下に離間させた非加工位置と、その刃先を所定長さだけ重なるようにした加工位置とに位置決め可能に構成される。そして、両スリッタナイフを加工位置に位置決めすることにより、両スリッタナイフの間を通過する段ボールシートは給送方向に沿って切断される。
【0003】
前記連続した段ボールシートからの丁取り数や丁取りされる各シートの幅寸法を変更(いわゆる「オーダ変更」)する必要があり、このオーダ変更は、前記各スリッタナイフ組をシート幅方向に移動調整することにより行なわれる。すなわち、オーダ変更指令により加工位置に臨むスリッタナイフを非加工位置に退避させた状態で、各スリッタナイフ組を新オーダの切断位置に移動させた後、スリッタナイフを加工位置に位置決めすることにより、段ボールシートを新オーダで切断することができる。この場合において、スリッタナイフ組を旧オーダの切断位置から新オーダの切断位置に移動させる間は、スリッタナイフによる切断が不能な状態であるため生産ラインを停止する必要があり、生産能率が低下する問題がある。そこで、2基のスリッタを給送方向に直列に配置し、一方の第1ユニットで段ボールシートの切断を行なっている間に、他方の非稼動中の第2ユニットにおいて各スリッタナイフ組を次回オーダのために位置調整することが行なわれている。これにより、オーダ変更に際し、第1ユニットの各スリッタナイフを非加工位置に退避させると共に、第2ユニットの各スリッタナイフを加工位置に臨ませることにより、オーダ変更に迅速に対応して生産ラインの停止を回避することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、2基のスリッタを切替えて運転する場合であっても、オーダ変更に際しては所要量の不良品を生ずるのは避けられない。すなわち、第1ユニットと第2ユニットとは所要の間隔をもって配置されているため、例えば第1ユニットのスリッタナイフを非加工位置に退避させることにより段ボールシートに生ずる切断終端部と、第2ユニットのスリッタナイフを加工位置に臨ませることにより段ボールシートに生ずる切断始端部とを完全に一致させることは困難で、所要の誤差を生じてその部分が不良品となっていた。また、スリッタナイフを加工位置と非加工位置とに切替える手段としてエアシリンダが使用されているため、切替えタイミングに所要の遅れ時間を生じ、これにより不良品が発生する。更に、上下のスリッタナイフによる切断では、両ナイフを正確に刃合わせしなければ段ボールシートの切断はなされないため、加工位置に位置決めした後に所要の刃合わせ時間を要し、この間は不良品を生ずることとなっていた。
【0005】
このように、2基のスリッタを配置する構成であっても、オーダ変更に際しての不良品の発生を完全に防止することはできないのが現状である。しかもスリッタを2基配置することは、設備コストが嵩む点と、ラインの全長が長くなって工場内スペースの有効利用が図れないという問題を内在していた。
【0006】
また、連続する段ボールシートから複数丁取りを行なう場合、該シートの幅方向における両端縁部には、シート材の仕上寸法に応じて大小の不要部分が生じ、該部分はスリッタにおける最外側に位置するスリッタナイフ組により切断(トリミング)されるようになっている。そしてトリミングされた不要部分(トリム片)は、下流側に設けた吸引手段により吸引されて段ボールシートから分離除去される。この場合において、従来はオーダ変更によりスリッタによる切断寸法が変更されると、前記スリッタナイフは非加工位置に退避するため、前記トリム片は段ボールシートに接続されたままとなっている。そのため、トリム片を給送方向と直交する方向に切断して段ボールシートから分離するためのトリムシャー装置が必要となり、機構が複雑になると共にコストが嵩む欠点があった。
【0007】
更に、トリム片の幅寸法が大きくなったり、生産速度が高速の場合には、オーダ変更後のトリム片の始端を前記吸引手段で吸引し得ないことがあり、このトリム片の吸引ミスによってラインを停止させる事態を招いて生産能率が低下することがあった。すなわち、コルゲータラインにおいては前記トリム片の吸引ミスを作業者が監視しているのが実情であり、これが無人化の障壁となっていた。
【0008】
【発明の目的】
この発明は、前述したスリッタに内在している課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、設備コストの低減およびスペース効率の向上を図ることができ、併せて段ボールシートからのトリム片の確実な分離除去を行なってラインの無人化を達成し得る手段を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係るスリッタの運転方法は、コルゲータラインから供給される段ボールシートを給送方向に切断する複数の切断手段を、段ボールシートの給送方向と交差する方向に移動自在に備えたスリッタにおいて、
前記段ボールシートに切断寸法のオーダ変更を生じたときには、該シートを切断する加工位置に保持したままの切断手段を、新オーダの切断位置に向けて所要の速度で移動させるようにしたことを特徴とする。
【0010】
【実施例】
次に、本発明に係るスリッタの運転方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、実施例ではスリッタおよびスコアラを直列に併設したスリッタ・スコアラ装置を挙げて説明するが、本願の請求項1および請求項2に係る発明においては、スリッタ単独機であっても実施し得るものである。
【0011】
図示のスリッタ・スコアラ装置10は、段ボールシート12の給送方向上流側に2基のスコアラ14,16を備えると共に、その下流側に1基のスリッタ18を備えている。スリッタ18は、段ボールシート12のパスラインPLを挟んで上下の関係で、相互に反対方向に回転する対をなす円盤状のスリッタナイフ20,22からなるスリッタナイフ組(切断手段)24を、段ボールシート12の幅方向に複数組(実施例では5組)備えている(図2参照)。そして、各対応のスリッタナイフ20,22の間に段ボールシート12を供給することにより、該シート12は給送方向に切断される。各スリッタナイフ組24のスリッタナイフ20,22は、段ボールシート12を切断する加工位置と、該シート12から離間する非加工位置との間を昇降移動可能に構成され、また各スリッタナイフ組24は、幅方向に相互に移動自在に配設されて、オーダ変更による丁取り数や丁取り幅の変更に応じて位置決め調整されるよう構成される。そこで、スリッタナイフ20,22の昇降機構とスリッタナイフ組24の移動機構とにつき説明する。
【0012】
すなわち、スリッタ・スコアラ装置10の操作側および駆動側に離間して配設したフレーム26,26の間には、図2に示す如く、前記段ボールシート12のパスラインPLを挟む上下に所定間隔離間して一対のビーム28,30が平行に架設されている。そして上側のビーム28に、スリッタナイフ組24と同一数の上部ナイフ支持ユニット32が移動自在に配設されている。各上部ナイフ支持ユニット32は、ビーム28に平行に配設した一対のガイドレール34,34に摺動自在に配設した移動部材36を備え、この移動部材36に配設したナット(図示せず)に、両フレーム26,26に架設固定したねじ軸38が螺挿されている。また、移動部材36には可変速制御可能なサーボモータ40が配設され、該サーボモータ40によりナットを回転させることにより、移動部材36をねじ軸38に沿って移動させるよう構成される。なお、各上部ナイフ支持ユニット32のサーボモータ40は、後述する制御装置42により夫々個別に駆動制御され、移動部材36を段ボールシート12の給送速度(ライン速度)に比例した速度で移動するよう設定されている。
【0013】
前記移動部材36の下部には、図1に示す如く、ホルダ44が傾動自在に配設され、該ホルダ44に円盤状のスリッタナイフ20が回転自在に配設されている。そしてこのスリッタナイフ20は、コルゲータの運転速度と比例して回転駆動されるようになっている。また移動部材36にシリンダ46が傾動可能に配設され、該シリンダ46のピストンロッド46aを、ホルダ44に枢支してある。すなわち、シリンダ46を正逆方向に付勢してホルダ44を傾動させることにより、前記スリッタナイフ20を、段ボールシート12を切断する加工位置と、パスラインPLから上方に離間する非加工位置とに位置決めし得るよう構成される。
【0014】
前記下側のビーム30には、図1に示す如く、上側のビーム28に配設した各上部ナイフ支持ユニット32と対応して上下に対称となる構成の下部ナイフ支持ユニット48が配設されている。そして、対応する上下のユニット32,48における加工位置に位置決めしたスリッタナイフ20,22の間に段ボールシート12を供給することにより、該シート12は給送方向に切断される。また、下部ナイフ支持ユニット48のスリッタナイフ22は、加工位置から段ボールシート12のパスラインPLより下方の非加工位置に退避するようになっている。なお、下部ナイフ支持ユニット48の各部材については、上部ナイフ支持ユニット32の対応する同一部材と同じ符号を付してある。
【0015】
前記スリッタ18における幅方向の最外側に位置する4基のナイフ支持ユニット32,48,32,48では、各対応のスリッタナイフ20,22,20,22を、加工位置と非加工位置との間を昇降させる機構は省略され、上下で対をなすスリッタナイフ20,22を常に加工位置に位置決めしている。すなわち、最外側に位置する2基のスリッタナイフ組24,24は、段ボールシート12の幅方向における両端縁部に生じる不要部分をトリミングする際に使用されるものであるため、不要部分が生じないオーダの際には、段ボールシート12と接触しない外側に移動させることによりトリミングさせないようになっている。
【0016】
前記スリッタ18の下流側には、段ボールシート12のパスラインPLより下側において、最外側のスリッタナイフ組24,24と対応する位置に、図示しない吸引源に接続されたトリムダクト50,50(一方のみ図示)が配設される。そしてこのトリムダクト50,50で、当該のスリッタナイフ組24,24により切断されて段ボールシート12から生ずるトリム片12a,12aを吸引して該シート12から分離除去するようになっている。なお、トリムダクト50で吸引された長尺なトリム片12aは、図示しないカッタ装置により短尺な片に切断された後に廃棄される。前記トリムダクト50は、図3に示す如く、最外側のスリッタナイフ組24における下側のスリッタナイフ22のホルダ44に配設され、該ナイフ22と一体的に移動するよう構成される。すなわち、段ボールシート12の丁取り数その他丁取り幅が変更された際に、トリムダクト50はスリッタナイフ22と一体的に移動し、トリム片12aを確実に吸引するよう構成される。なお図3において符号49は、段ボールシート12の端縁部を支持するガイド板を示し、該ガイド板49はスリッタナイフ22と一体的に移動するようになっている。
【0017】
前記スリッタ18の上流側に配置される2基のスコアラ14,16は、その基本構成はスリッタ18と同一であって、スリッタナイフ20,22に代えて罫線ロール51,52が配設されている点で異なっている。なお、2基のスコアラ14,16の構成は同一であるので、給送方向上流側に位置するスコアラ14の構成につき説明し、下流側のスコアラ16の同一部材には同一の符号を付すものとする。
【0018】
前記スコアラ14は、段ボールシート12のパスラインPLを挟んで上下の関係で、相互に反対方向に回転する対をなす罫線ロール51,52からなるロール組53を、段ボールシート12の幅方向に複数組(実施例では4組)備えている。そして、対をなす罫線ロール51,52の間に段ボールシート12を供給することにより、該シート12には給送方向にスコアリングが施される。各ロール組53の罫線ロール51,52は、段ボールシート12にスコアリングを施す加工位置と、該シートにスコアリングを施さない非加工位置との間を昇降移動可能に構成され、また各ロール組53は、幅方向に相互に移動自在に配設されて、オーダ変更による丁取り数や丁取り幅の変更に応じて位置決め調整されるよう構成される。そこで、罫線ロール51,52の昇降機構とロール組53の移動機構とにつき説明する。
【0019】
すなわち、前記フレーム26,26の間には、前記段ボールシート12のパスラインPLを挟む上下に所定間隔離間して一対のビーム54,56が平行に架設されている。そして上側のビーム54に、ロール組53と同一数の上部ロール支持ユニット57が移動自在に配設されている。各上部ロール支持ユニット57は、ビーム54に平行に配設した一対のガイドレール58,58に摺動自在に配設した移動部材59を備え、この移動部材59に配設したナット(図示せず)に、両フレーム26,26に架設固定したねじ軸60が螺挿されている。また、移動部材59には可変速制御可能なサーボモータ61が配設され、該サーボモータ61によりナットを回転させることにより、移動部材59をねじ軸60に沿って移動させるよう構成される。なお、各上部ロール支持ユニット57のサーボモータ61は、前記制御装置42により夫々個別に駆動制御される。
【0020】
前記移動部材59の下部に、ホルダ62が傾動自在に配設され、該ホルダ62に円盤状の罫線ロール51が回転自在に配設されている。そして、この罫線ロール51は、コルゲータの運転速度と比例して回転駆動されるようになっている。また移動部材59にシリンダ63が傾動可能に配設され、該シリンダ63のピストンロッド63aをホルダ62に枢支してある。すなわち、シリンダ63を正逆方向に付勢してホルダ62を傾動させることにより、前記罫線ロール51を、段ボールシート12にスコアリングを施す加工位置と、パスラインPLから上方に離間する非加工位置とに位置決めし得るよう構成される。
【0021】
前記下側のビーム56には、上側のビーム54に配設した各上部ロール支持ユニット57と対応して上下に対称となる構成の下部ロール支持ユニット64が配設されている。そして、対応する上下のユニット57,64における加工位置に位置決めした罫線ロール51,52の間に段ボールシート12を供給することにより、該シート12にはスコアリングが施される。また、下部ロール支持ユニット64の罫線ロール52は、段ボールシート12にスコアリングを施す加工位置からパスラインPLより下方の非加工位置に退避可能に設定される。なお、下部ロール支持ユニット64の各部材については、上部ロール支持ユニット57の対応する同一部材と同じ符号を付してある。
【0022】
図5はスリッタ・スコアラ装置10の制御回路65を示し、該回路65は制御装置42を内蔵し、この制御装置42には、前記各ナイフ支持ユニット32,48の各サーボモータ40が、サーボ駆動ユニット66を介して夫々接続されている。また、各サーボモータ40に配設した位置検知手段69が、対応のサーボ駆動ユニット66に接続されている。更に、制御装置42には、スリッタ・スコアラ装置10の操作パネル(図示せず)に配設した▲1▼キーボードやタッチパネル等の汎用操作ユニット67およびコルゲータラインの全体を管理する上位生産管理装置68が接続されている。更に、図示しないダブルフェーサまたはシート速度を実際に検出する回転パルス発生器70とも接続している。そして、汎用操作ユニット67により予め各オーダに対応する各スリッタナイフ組24の切断位置や、各ロール組53のスコアリング位置等のデータが入力されると共に、上位生産管理装置68からも同様の指令が出され、かつ段ボールシート12の給送速度も与えられる。なお、図示しないが、制御装置42にはスコラア14,16の各ローラ支持ユニット57,64を移動させるサーボモータ61もサーボ駆動ユニットを介して接続されている。
【0023】
すなわち、段ボールシート12の切断寸法にオーダ変更を生じた場合は、前記上位生産管理装置68から入力される段ボールシート12の給送速度に基づいて設定されたオーダ替え時期、速度指令および位置指令が、制御装置42を経由して演算データ処理されて、各サーボ駆動ユニット66に出力される。これにより、各サーボモータ40が駆動制御され、各スリッタナイフ組24を段ボールシート12の給送速度に比例した速度で新オーダの切断位置に移動させるようになっている。なお、スリッタナイフ組24の移動速度は、スリッタナイフ20,22による段ボールシート12の良好な切断を保った状態で移動し得ると共に、オーダ変更の際に生ずる不良品の発生量を少なく抑えることができる、例えばシート給送速度の1/6〜1/10に設定される。またこの速度であれば、移動機構に加わる負荷も許容範囲に抑えることができるものである。
【0024】
【実施例の作用】
次に、実施例に係るスリッタ・スコアラ装置の作用につき説明する。なお、現在(旧)のオーダでは、図6(a)に示す如く、スリッタ18における全てのスリッタナイフ組24を使用して、段ボールシート12の4丁取りを行なっているものとする。またスコアラ14,16のロール組53も全てが使用されて、段ボールシート12に所要のスコアリングが施されているものとする。
【0025】
この状態で、オーダ変更により段ボールシート12を3丁取りする指令が発せられると、中央のスリッタナイフ組24におけるスリッタナイフ20,22は、シリンダ46,46の付勢により加工位置から非加工位置に退避する。また、その他のスリッタナイフ組24は、スリッタナイフ20,22を加工位置に保持したままの状態で、対応のサーボモータ40が制御装置42により駆動制御されることにより、新なたオーダの切断位置までシート給送速度に比例した速度で移動される。すなわち、給送されている段ボールシート12は、図6(b)において二点鎖線で示すように斜めに切断されることとなる。そして、各スリッタナイフ組24が新オーダの切断位置に夫々到来すると、サーボモータ40が停止されてナイフ組24の位置決めが完了する(図6(c)参照)。
【0026】
また、前記スコアラ14,16においても、不必要となるロール組53の罫線ロール51,52を非加工位置に退避させると共に、その他のロール組53においては罫線ロール51,52を加工位置に保持したままの状態で、シート給送速度に比例した速度で新オーダのスコアリング位置に移動される。
【0027】
従って、以後の段ボールシート12は、3組のスリッタナイフ組24により3丁取りされると共に、該シート12の所要位置にはロール組53によるスコアリングが施される。なお、旧オーダから新オーダへの切替え時に生ずる不良品の量は、スリッタナイフ組24をシート給送速度に比例した速度で移動するよう設定したことにより、2基のスリッタを直列に配置した場合と殆ど変わらない量とすることができる。また、スリッタナイフ組24が移動中における段ボールシート12の切断も良好で、かつ移動機構への負荷も許容範囲に抑えられる。
【0028】
なお、新オーダでは不必要となる非稼働中のスリッタナイフ組24やロール組53は、次に必要となるオーダのための位置調整が予め行なわれる。この場合における各組24,53の位置調整速度は、シート給送速度に比例した速度であっても、予め設定した固定速度であってもよい。また、実施例のスリッタ・スコアラ装置10では、オーダ変更に際して各スリッタナイフ組24やロール組53は、段ボールシート12の幅方向中央を基準として、その両側に位置するスリッタナイフ組24やロール組53が相対的に近接・離間移動するよう制御される。従って、各組24,53の加工状態での移動に際し、段ボールシート12に加わる負荷は中央を基準として相互に打ち消し合うように作用し、該シート12の蛇行の発生を防止し得る利点がある。これにより、従来は必要であった蛇行防止装置を省略することができ、機構の簡略化を図ることが可能となる。
【0029】
前記スリッタ・スコアラ装置10では、段ボールシート12の幅方向両端部に不要部分を生じないオーダがあり、このときにはスリッタ18における最外側のスリッタナイフ組24,24を段ボールシート12の端部より外側に移動させて、トリム片12a,12aのトリミングを行なわないようになっている。このような状態から、オーダ変更により所要幅のトリム片12a,12aをトリミングする必要を生じた場合は、図7に示す如く、最外側のスリッタナイフ組24,24を、スリッタナイフ20,22を加工位置に保持したまま段ボールシート12の外側から内側に移動させる。なお、このときの移動速度は、前述した如くシート給送速度に比例する速度に設定されている。
【0030】
前記スリッタナイフ組24,24の移動により、段ボールシート12の端縁部は斜めに切断され、該ナイフ組24,24が当該オーダの切断位置に到来した以後は、所要幅寸法のトリム片12aがトリミングされる。そしてトリミングされた各トリム片12aは、図3および図4に示す如く、スリッタ18の下流に位置する対応のトリムダクト50により段ボールシート12から吸引除去される。なお、トリム片12aの切断始端部は、細い状態から徐々に所要幅となるよう斜めに切断されるので、該始端部はトリムダクト50により確実に吸引され、吸引ミスを生ずることはない。すなわち、作業者による吸引ミスの監視は必要なく、ラインの無人化を達成することが可能となるものである。
【0031】
そして、所要のオーダ変更毎に最外側のスリッタナイフ組24,24が移動してトリミングされるトリム片12a,12aは、図7に示す如く、全てが繋がった状態となり、各トリム片12aは吸引ダクト50に連続的に吸引される。そして、再びトリム片12aの切断を必要としないオーダに変更される場合は、最外側のスリッタナイフ組24,24は段ボールシート12の内側から外側に移動するため、トリム片12a,12aは段ボールシート12から完全に切離される。従って、従来必要であったトリムシャー装置を不要とすることができる。
【0032】
なお、実施例ではスリッタナイフ20,22および罫線ロール51,52を加工位置と非加工位置とに昇降させる機構を備えたものにつき説明したが、該昇降機構は本願の必須の要件ではなく、該機構を省略することができるものである。また、スリッタ18では上下のスリッタナイフ20,22により段ボールシート12を切断する構成としたが、例えば段ボールシート12を挟んで上側にスリッタナイフを配設すると共に下側に受け台を配設する1枚刃の構成を採用することもできる。更に、前記スリッタナイフ組24やロール組53の移動速度は、前述したシート給送速度に比例する速度に限定されるものでなく、加工するシートの紙質,フルートの種類あるいは気象条件(湿度の高低等)等に応じて、シート給送速度と比例しない速度で移動させることも可能である。例えば、各条件毎に予め移動速度を設定しておき、オーダ変更に際してシート給送速度の高低に関係なく予め設定した速度でスリッタナイフ組24やロール組53を移動させる。また、加工精度を必要としない場合に移動速度を高速に設定し、加工精度を必要とする場合に移動速度を低速に設定してもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係るスリッタの運転方法によれば、1基のスリッタであっても、2基のスリッタを配置した場合と同程度の不良品の発生によりオーダ変更に対応することができる。すなわち、コルゲータラインの全長を短かくすることができ、設備コストを低減し得ると共に、工場内スペースの有効利用を図り得る。また、段ボールシートから生ずるトリム片を確実にシートから分離除去することができるから、作業者による監視を必要とせず、ラインの無人化を達成することが可能となる。更に、段ボールシートにスコアリングを施すロール組も、加工状態のまま移動させるので、2基のスコアラを設けることなくオーダ変更に対応可能であり、ラインの全長を短かくし得ると共に、設備コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るスリッタ・スコアラ装置を示す概略側面図である。
【図2】実施例に係るスリッタ・スコアラ装置におけるスリッタを示す概略正面図である。
【図3】段ボールシートの不要部分をトリミングするスリッタナイフ組とトリムダクトを示す概略側面図である。
【図4】段ボールシートの不要部分をトリミングするスリッタナイフ組とトリムダクトを示す概略平面図である。
【図5】実施例に係るスリッタ・スコアラ装置の制御回路を示すブロック図である。
【図6】オーダ変更により段ボールシートの丁取り数を変更する場合のスリッタナイフ組およびロール組の動作説明図である。
【図7】段ボールシートから不要部分をトリミングする場合のスリッタナイフ組の動作説明図である。
【符号の説明】
12 段ボールシート
24 スリッタナイフ組
53 ロール組
PL パスライン
Claims (1)
- それぞれ段ボール連続シートの給送方向と略直交する幅方向に移動自在な複数の切断手段により、段ボール連続シートを給送方向に切断する切断方法において、それぞれ段ボール連続シートの切断位置に保持したまま幅方向に移動可能な複数の切断手段を幅方向に同軸上に設け、段ボール連続シートの切断寸法のオーダ変更が生じたときに、段ボール連続シートの幅方向中央に関して互いに反対側に設置され且つそれぞれ前記幅方向の最も外側に配置された一対のトリミング手段を、旧オーダのトリミング状態に保持したまま、新オーダのトリミング位置に向かって前記幅方向に所要の速度で互いに逆方向に移動させる、ことを特徴とする段ボール連続シートの切断方法。
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