JP4544742B2 - Gdf−8の阻害による糖尿病の処置法 - Google Patents
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Description
(技術分野)
発明の背景
真性糖尿病は世界中で最も一般的な代謝性疾患である。米国では毎日、1700の新たな糖尿病の例が診断され、そして少なくとも糖尿病に罹っている1600万のアメリカ人の1/3はそれに気づいていない。糖尿病は成人では失明、腎不全および下肢切断の原因を生じ、そして心臓血管疾患および発作の主要な危険因子である。
【0002】
正常なグルコースの恒常性には、グルカゴンのような対抗調節ホルモンの分泌で微妙にバランスがとられている血中グルコースレベルのわずかな変化に反応して、膵臓のベータ細胞によるインスリン分泌の細かく調整された調和が必要である。1型糖尿病は、インスリンの欠乏を引き起こす膵臓ベータ細胞の自己免疫破壊によりもたらされる。2型または非インスリン依存的真性糖尿病は(NIDDM)は症例の90%以上を占め、そして(1)末梢組織、特に骨格筋および脂肪細胞におけるグルコースの取り込みに及ぼすインスリン作用に対する耐性、(2)肝臓のグルコースの生産を抑制する低下したインスリン作用、および(3)調節されていないインスリンの分泌の3つの組合わせが特徴である(DeFronzo,(1997) Diabetes Rev.5:177-269)。ほとんどの場合、2型糖尿病は複雑な遺伝パターンを持つポリジーン遺伝性疾患である(Kahn et al.,(1996)Annu.Rev.Med.47:509-531を参照されたい)。
【0003】
環境的因子、特に食事、運動および加齢は、罹患率に影響を与える遺伝的素因と関係する。インスリン耐性およびインスリン分泌欠乏の両方に対する感受性は、遺伝的に決定されるようである(Kahn et al.)。インスリン作用の欠乏は表立った疾患に先立ち、そして糖尿病個体の非糖尿病の親戚に見られる。徹底的な調査にもかかわらず、2型糖尿病に共通する状態の原因である遺伝子は未知である。
【0004】
インスリンの1つの基本的な作用は、血中から組織、特に筋肉および脂肪へのグルコースの取り込みを刺激することである。これは細胞の形質膜に挿入する特異的なグルコーストランスポータータンパク質により媒介される促進された拡散により起こる。GLUT4はこのような組織中で最も重要なインスリン−感受性グルコーストランスポーターである。インスリンはそのレセプターに形質膜中で結合し、GLUT4トランスポーター小胞の形質膜への転位(translocation)または移動をもたらす一連のシグナルを発信し、ここで第1のドッキング段階、続いて形質膜との融合が起こり;活性化または暴露段階が起こった後、グルコースは細胞に入る。動物およびヒトを対象とした研究では、糖尿病および他のインスリン−耐性状態でGLUT4発現、転送および/または活性の変化が脂肪細胞および筋肉中で起こることが示唆されている(Abel et al.,真性糖尿病:基本および臨床テキスト(Diabet Mellitus:A Fundamental and Clinical Text)(1996)、第530〜543頁)。
【0005】
この分野において新しく、しかも革新的な糖尿病の処置法は研究者にとって明らかに最優先とされるだろう。本発明はGLUT4発現および活性、および関連するヘキソーストランスポーター(例えばGLUT1)の発現および活性に関する知識を利用して、そのような革新的処置を提供する。
発明の要約
本発明は、個体にGDF-8のインヒビターを投与することにより、糖尿病および肥満症のような関連疾患を処置する方法を提供する。本発明の方法に使用することができる適当なGDF-8のインヒビターは、限定するわけではないがGDF-8ペプチド(例えばプロ−ドメインに由来する)、GDF-8優性−ネガティブ変異体、GDF-8(またはGDF-8のレセプター)に結合し、そしてGDF-8がそのレセプターに結合するのを阻害する抗体および抗体フラグメント、GDF-8レセプターペプチドアンタゴニスト、GDF-8 mRNAに対するアンチセンス核酸および抗GDF-8リボザイムを含む。
【0006】
別の観点では、本発明はGDF-8インヒビターを投与することより、細胞(例えば個体の筋肉細胞または脂肪細胞)中のGLUT4発現の増加法、あるいは細胞によるグルコース取り込みの増加法を提供する。そのような方法は糖尿病および関連疾患を処置するだけでなく、高血糖症のような不十分なグルコース代謝から生じる幾つかの全身的問題を処置するためにも使用することができる。
【0007】
本発明の方法は、標的としてGDF-11のようなGDF-8に構造および活性が関連する他のTGF-β増殖因子を使用して行うこともできる。したがって別の態様では、本発明は個体にGDF-11のインヒビターを単独または他のGDFインヒビター(例えばGDF-8インヒビター)と組み合わせて投与することにより、糖尿病を処置する方法を提供する。
発明の詳細な説明
本発明は部分的には、GDF-8が組織、主に筋肉および脂肪中のGLUT4の発現をダウンレギュレートするという知見に基づいている。インスリンによるグルコース代謝の調節は重要なメカニズムであり、これにより動物では恒常性が維持されている。循環しているグルコースレベルの調節におけるインスリンの作用は、筋肉および脂肪組織中にグルコースの取り込みを刺激することである。インスリンはこのような組織中へのグルコースの取り込みを、GLUT4(インスリン−感受性グルコーストランスポーター)の転位を細胞内小胞から形質膜へ増加させることにより刺激する。
【0008】
さらに本発明の一部として、筋肉および脂肪細胞中のGLUT4発現はGDF-8を阻害することによりアップレギレートできることが見いだされた。このような細胞によるグルコースの取り込みは、GDF-8を阻害することにより増すことができることも見いだされた。このような効果を、グルコース代謝の機能不全(例えば高血糖症)および/またはインスリン耐性から生じる種々の代謝性疾患を処置するために有利に利用することができる。
【0009】
したがって1つの態様では、本発明は疾患の症状を緩和するために十分な量でGDF-8インヒビターを個体に投与することにより、真性糖尿病および肥満症または高血糖症のような関連疾患を処置する方法を提供する。2型または非インスリン−依存的真性糖尿病(NIDDM)は、特に(1)末梢組織、特に骨格筋および脂肪細胞におけるグルコースの取り込みに及ぼすインスリン作用に対する耐性、(2)肝臓のグルコースの生産を抑制する低下したインスリン作用、および(3)調節されていないインスリンの分泌の3つの組合わせに特徴がある(DeFronzo,(1997) Diabetes Rev.5:177-269)。したがって2型糖尿病に罹っている個体は、GDF-8インヒビターを投与することにより本発明に従い処置することができ、この方法はインスリンに対する感受性および細胞によるグルコースの取り込みを上昇させる。
【0010】
同様に、インスリンの機能不全(例えば耐性、不活性または欠乏)および/または細胞への不十分なグルコース輸送が特徴である他の疾患も、GDF-8インヒビターを投与することにより本発明に従い処置することができ、この方法はインスリンに対する感受性および細胞によるグルコースの取り込みを上昇させる。
定義
本明細書で使用するように「GDF-8インヒビター」または「GDF-8のインヒビター」という用語は、GDF-8活性を阻害することができる任意の作用物質を含み、それには限定するわけではないがペプチド(GDF-8、GDF-11または他の非関連配列に由来する)、優性−ネガティブタンパク質変異体、ペプチド模造物、抗体またはそれらの抗体フラグメント、リボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、あるいはGDF-8の活性を特異的に阻害するが、好ましくはTGF-β活性は完全なままである他の小分子、アクチビンまたはTGF-βスーパーファミリーの他の員を含む。用語「GDF-11インヒビター」もこのような種類のインヒビターを包含し、そして好ましくは特異的にGDF-11を阻害する。GDF-8およびGDF-11は構造的および機能的に関連する増殖因子のTGF-βファミリーの員である。
【0011】
本発明の方法に使用するGDF-8インヒビター、特にGDF-8自体に由来するもの(例えばGDF-8ペプチド、それらのプロドメインまたは部分のような)は、好ましくはGDF-8活性を保有しない。そのようなインヒビターおよびそれらを同定するための方法は、「増殖分化因子インヒビターおよびそれらの使用(Growth Differentiation Factor Inhibitor and Uses Therefor)」という表題の米国特許出願第60/116,639号明細書に記載されており、これは引用により全部、本明細書に編入する。例えばGDF-8インヒビターの阻害作用は、GDF-8 mRNAのノーザンブロット分析またはGDF-8タンパク質レベルのウエスタンブロット分析もしくは免疫染色分析等のような当該技術分野で認識されている種々のアッセイを使用して評価することができる。同定されたGDF-8阻害化合物は、さらに液体中で、または固体支持体に結合した後のいずれかで、PCR、オリゴマー制限(Sakai et al.,Bio/Technology,3:1008(1985))、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プローブ分析(Conner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:278(1983))、リガーゼ−媒介遺伝子検出(Landegren et al.,Science 241:1077(1988))等のような、特別なDNA配列を検出するために通常適用される任意の方法により評価し、検出し、クローン化し、配列決定等することができる。
【0012】
本明細書で使用するように、「GDF-8活性」または「GDF-11活性」という用語は、それぞれGDF-8またはGDF-11により媒介される任意の活性を含む。例えばGDF-8は脂肪細胞への繊維芽細胞分化を阻害し、筋肉−特異的酵素、例えばクレアチンキナーゼの生産をモジュレートし、細胞によるグルコースの取り込みをモジュレートし、そして筋芽細胞増殖を刺激することが知られている。したがって、GDF-8インヒビターがGDF-8活性を抑制する程度は、例えばGDF-8が3T3-L1前-脂肪細胞(繊維芽細胞)の脂肪細胞への分化プロセスを妨害する能力、筋肉−特異的酵素(例えばクレアチンキナーゼ)の活性をモジュレートする能力、細胞によるグルコースの取り込みをモジュレートする能力、または筋芽細胞増殖を刺激する能力により測定するような、GDF-8活性を遮断するインヒビターの能力を試験することにより確認することができる。GLUT4発現およびグルコース取り込みのインスリン刺激の阻害に及ぼすインヒビターの効果も評価することができ、そして化合物の存在下でインキューベーションする前および後の測定を含むことができる。
【0013】
本明細書で使用するように、用語「モジュレート」とは機能の上昇を称する。例えば遺伝子転写または発現のモジュレーションは、このような機能のアップレギュレーションを称する。タンパク質活性のモジュレーションは、活性の上昇を称する。
【0014】
本明細書で使用するように、用語「阻害する」とは部分的でも全体的であっても機能の減少を称する。例えば遺伝子転写または発現の阻害はこのような機能の任意のレベルのダウンレギュレーションを称し、このような機能の完全な排除を含む。タンパク質活性のモジュレーションは任意の活性低下を称し、活性の完全な排除を含む。
【0015】
本明細書で使用する「糖尿病」という用語は、Abel et al.,真性糖尿病:基本および臨床テキスト(Diabet Mellitus:A Fundamental and Clinical Text)(1996)、第530〜543頁に記載されているようなI型およびII型糖尿病を含めすべての既知の状態の糖尿病を含む。
【0016】
本発明のGDF-8インヒビターは、典型的には個体に「実質的に純粋」な形態で投与される。本明細書で使用する用語「実質的に純粋」とは、他のタンパク質、脂質、炭水化物または自然に付随する他の物質を実質的に含まないGDF-8を称する。当業者は、タンパク質精製に関する標準的な技法を使用してGDF-8を精製することができる。実質的に純粋なポリペプチドは、非−還元ポリアクリルアミドゲルで1本の主要バンドを生じるだろう。GDF-8ポリペプチドの純度は、アミノ−末端アミノ酸配列分析により決定することもできる。
【0017】
本発明に使用するためのインヒビターを試験し、そして開発するためのGDF-8の生産に関する具体的な詳細は、McPherron,et al.,Nature 387:83 90(1997)および米国特許第5,827,733号明細書により提供され、これは引用により全部、本明細書に編入する。
【0018】
本明細書で使用するように、用語「ヘキソーストランスポーター」は、細胞の外部から内部にグルコースのようなヘキソース糖を輸送することができる細胞の内在性膜タンパク質を含む。そのようなトランスポーターの例は、中でも筋肉および脂肪細胞中のGLUT1およびGLUT4トランスポータータンパク質である。
【0019】
本明細書で使用するように、用語「GDF-8活性のモジュレーション」または「GDF-8レベルのモジュレーション」は、自然な状態と比較してGDF-8活性またはレベルの変化を称する。この変化は陽性(アップレギュレーション)、または陰性(ダウンレギュレーション)のいずれでもよいが、本発明の目的に関しては好ましくは後者である。
【0020】
筋肉および脂肪細胞のような本発明の方法により標的とされる細胞は、培養中に維持された単離された細胞材料ならびに自然なインビボの状況(例えば、胸筋、三頭筋、腹筋、四頭筋および腸肋筋のような脂肪組織または筋肉組織中)の細胞を含む。
【0021】
用語「アンチセンス核酸」は、特異的なmRNA分子の少なくとも一部と相補的であるDNAまたはRNA分子を称する(Weintraub,Scientific American 262:40(199))。細胞中でアンチセンス核酸は対応するmRNAにハイブリダイズし、二本鎖分子を形成する。細胞は二本鎖であるmRNAを翻訳しないので、アンチセンス核酸はmRNAの翻訳を妨害する。容易に合成され、そして標的とするGDF-8生産細胞中に導入された時により大きな分子よりも問題を生じることが少ないので、約15ヌクレオチドのアンチセンスオリゴマーが好ましい。遺伝子のインビトロ翻訳を阻害するためのアンチセンス法の使用は、当該技術分野では周知である(Marcus-Sakura,Anal.Biochem.172:289(1988))。
【0022】
本明細書で使用するように、「リボザイム」は特異的な核酸配列にヌクレアーゼ活性を有する核酸分子である。GDF-8 mRNAに特異的なリボザイムは、例えばGDF-8 mRNAの特異的領域に結合そして開裂し、これにより翻訳不能とし、そしてGDF-8ポリペプチド生産の欠失をもたらす。
【0023】
用語「優性−ネガティブ変異体」とは、自然な状態から突然変異し、しかもGDF-8またはGDF-8遺伝子と相互作用し、これによりその生産および/または活性を阻害するGDF-8タンパク質を称する。
【0024】
本発明の「抗体」は、GDF-8ポリペプチドまたはそれらの機能的フラグメントと免疫反応性の抗体を含む。異なるエピトープ特異性を持つプールしたモノクローナル抗体、ならびに別々のモノクローナル抗体調製物から本質的に成る抗体を提供する。モノクローナル抗体は当業者に周知な方法により、タンパク質の抗原を含有するフラグメントから作成する(Kohler et al.,Nature 256:495(1975))。本発明で使用する用語「抗体」は、完全な分子ならびにGDF-8上のエピトープ決定基に結合することができるFabおよびF(ab')2、FvおよびSCAフラグメントのようなそれらのフラグメントを含むことを意味する。
【0025】
「Fabフラグメント」は抗体分子の一価の抗原−結合フラグメントから成り、そして全抗体分子を酵素パパインを用いて消化することにより調製するこどかでき、完全な軽鎖および重鎖の一部からなるフラグメントを生じる。
【0026】
抗体分子の「Fab'フラグメント」は、全抗体分子のペプシンを用いた処理、続いて還元により得ることができ、完全な軽鎖および重鎖の一部からなる分子を生じる。抗体分子あたり2つのFab'フラグメントがこの様式で処置して得られる。
【0027】
抗体の「F(ab')2」は、後の還元無しで全抗体分子の酵素ペプシンを用いた処理により得ることができる。F(ab')2フラグメントは2つのジスルフィド結合により一緒に保持されている2つのFab'フラグメントの二量体である。
【0028】
「Fvフラグメント」は2つの鎖として発現された軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含む遺伝的に操作されたフラグメントと定める。
【0029】
「一本鎖抗体」(SCA)は、適当な柔軟なポリペプチドリンカーにより連結された軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含む遺伝的に操作された一本鎖分子である。
本発明の方法に使用するための GDF-8 および GDF-11 インヒビター
本発明に使用するために適するGDF-8インヒビターは、限定するわけではないがGDF-8に由来するペプチド(例えば成熟GDF-8またはGDF-8のプロ−ドメイン)、非-GDF-8-ペプチド、GDF-8優性−ネガティブ変異体、GDF-8(またはGDF-8のレセプター)に結合し、そしてGDF-8がそのレセプターに結合するのを阻害する抗体および抗体フラグメント、GDF-8レセプターペプチドアンタゴニストを含むペプチド、GDF-8 mRNAに対するアンチセンス核酸および抗-GDF-8リボザイムを含む。このようにGDF-8インヒビターはメッセージ(転写)レベルまたはタンパク質(発現または活性)レベルで作用することができる。
【0030】
本明細書で使用するように、用語「GDF-8」にはすべての既知のGDF-8形態、限定するわけではないがヒトGDF-8、ウシGDF-8、ニワトリGDF-8、マウスGDF-8、ラットGDF-8、ブタGDF-8、ヒツジGDF-8、七面鳥GDF-8およびヒヒGDF-8を含む。このような分子は、MacPerrron A.C.et al.,(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.94:12457-12461に記載され、その内容は引用により本明細書に編入する。このようなタンパク質のアミノ酸配列は図12に示す。
【0031】
本明細書で使用するように、用語「GDF-11」にはすべての既知のGDF-11形態、限定するわけではないがヒトGDF-11、ウシGDF-11、ニワトリGDF-11、マウスGDF-11、ラットGDF-11、ブタGDF-11、ヒツジGDF-11、七面鳥GDF-11およびヒヒGDF-11を含む。
【0032】
GDF-8およびGDF-11阻害ペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、超遠心、電気泳動およびGDF-8またはGDF-11インヒビターに特異的な抗体またはそれらの部分を用いたイムノアフィニティ精製を含むペプチドまたはタンパク質の精製について当該技術分野で既知の技法を使用して、GDF-8またはGDF-11を発現している細胞の媒質から同定し、そして単離することができる。1つの態様では、GDF-8またはGDF-11を発現する細胞のカルチャーから得られた媒質を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)にかける。得られたサンプルは、次にGDF-8またはGDF-11阻害活性について以下に記載するように試験することができる。
【0033】
あるいはGDF-8およびGDF-11ペプチドインヒビターは、阻害活性に関してGDF-8またはGDF-11のフラグメントをスクリーニングすることにより同定することができる。GDF-8またはGDF-11フラグメントは、様々な既知の技法により調製することができる。例えばGDF-8およびGDF-11配列を広げる特異的オリゴペプチド(約10〜25アミノ酸長)を合成し(例えば化学的または組換え的に)、そしてそれらがGDF-8またはGDF-11を阻害する能力を、例えば本明細書に記載するアッセイを使用して試験することができる。GDF-8またはGDF-11ペプチドフラグメントは、Bodansky,M.ペプチド合成の原理(Principle of Peptide Synthesis)、スプリンガー出版(Springer Verlag)、ベルリン(1993)およびGrant,G.A.(編集)、合成ペプチド:ユーザーズガイド(Synthetic Peptides:User's Guide)、W.H.フリーマン アンド カンパニー(W.H.Freeman and Company)、ニューヨーク、(1992)に記載されているような標準的技法を使用して合成することができる。自動化ペプチド合成器が市販されている(例えばAdvanced ChemTech Model 396:Milligen/Biosearch 9600)。
【0034】
あるいはGDF-8またはGDF-11フラグメントは、天然または組換え的に生成したGDF-8またはGDF-11を例えばプロテアーゼ(例えばトリプシン、サーモリシン、キモトリプシンまたはペプシン)を使用して消化することにより調製することができる。コンピューター分析(市販されているソフトウェア、例えばMacVector、Omega、PCGene、モレキュラーシュミレーション社(Molecular Simulation社))を使用して、タンパク質溶解開裂部位を確認することができる。
【0035】
本発明の方法に使用するGDF-8またはGDF-11インヒビターは、好ましくは単離されている。本明細書で使用する「単離された」または「精製された」タンパク質または生物学的に活性なそれらのペプチドとは、GDF-8またはGDF-11タンパク質もしくはペプチドが由来する細胞の材料または細胞もしくは組織源からの他の混入タンパク質を実質的に含まないか、または化学的に合成する時は化学前駆体もしくは他の化学品を実質的に含まない。「細胞の材料を実質的に含まない」という言い回しは、タンパク質またはそれらのペプチドがそれが単離または組換え的に生産された細胞の細胞成分から分離されているGDF-8またはGDF-11タンパク質またはそれらのペプチドの調製物を含む。1つの態様では「細胞の材料を実質的に含まない」という言い回しは、約30(乾燥重量)%未満の非GDF-8またはGDF-11タンパク質またはそれらのペプチド(本明細書では「混入タンパク質」と呼ぶ)、より好ましくは約20%未満の非GDF-8またはGDF-11タンパク質またはそれらのペプチド、さらに一層好ましくは約10%未満の非GDF-8またはGDF-11タンパク質またはそれらのペプチド、そして最も好ましくは約5%未満の非GDF-8またはGDF-11タンパク質またはそれらのペプチドを有するGDF-8またはGDF-11タンパク質またはそれらのペプチドの調製物を含む。GDF-8またはGDF-11タンパク質またはそれらの生物学的に活性な部分が組換え的に生産される時、好ましくは培養基を実質的に含まず、すなわち培養基はタンパク質調製物の容量の約20%未満、より好ましくは約10%未満、そして最も好ましくは約5%未満を表す。
【0036】
そのようなタンパク質溶解的に開裂したGDF-8またはGDF-11ペプチドを調製し、そして単離するための2段階法を使用することができる。第1工程は、GDF-8またはGDF-11タンパク質の酵素的消化が関与する。GDF-8またはGDF-11はCHO細胞にコンディショニングした培地から二量体として、大腸菌(E.coli)または酵母からは単量体として生産させることができ、あるいは自然にGDF-8またはGDF-11を生産する細胞から単離することができる。例えばHPLCクロマトグラフィーによりGDF-8またはGDF-11単量体または二量体の精製後、それらの酵素的消化を以下に記載するように行う。消化中のアミノ酸開裂は、当該技術分野で知られているように実験に使用する具体的なプロテアーゼに依存する。例えばもし選択したプロテアーゼがトリプシンならば、開裂部分はアミノ酸のアルギニンおよびリシンになるだろう。GDF-8またはGDF-11タンパク質は、1以上のそのようなプロテアーゼを使用して消化することができる。
【0037】
消化後、第2工程にはタンパク質消化により生じたペプチド画分の単離が関与する。これは例えば以下に記載するような高解像度のペプチド分離により行うことができる。いったん画分が単離されれば、それらのGDF-8またはGDF-11阻害活性を以下に記載する適切なバイオアッセイにより試験することができる。
【0038】
タンパク質溶解または合成のGDF-8またはGDF-11フラグメントは、例えば部分的にまたは完全にGDF-8またはGDF-11機能を阻害するために必要な数のアミノ酸残基を含んで成ることができ、そして好ましくは少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100以上のアミノ酸長を含んで成る。
【0039】
1つの態様では、T細胞媒介免疫反応を誘導するために十分な数のT細胞エピトープを含まず、かつ/または哺乳動物に投与した時に抗体を誘導する十分な数のB細胞エピトープを含むペプチドが選択される。好適なGDF-8またはGDF-11ペプチドインヒビターは、T−細胞媒介(例えばサイトカイン)反応を誘導するために十分な数のT細胞エピトープを含まない。しかしB細胞エピトープは望ましく、そして例えば以下に記載するような抗体反応を誘導するためのペプチドの能力を試験することにより選択することができる。
【0040】
GDF-8またはGDF-11フラグメント内のT細胞エピトープは、多数の周知技法を使用して同定することができる。例えばT細胞エピトープは、アルゴリズムを使用して予測することができる(例えばRothbard,J.and Taylor,W.R.(1988)EMBO J.7:93-100;Berzofsky,J.A.(1989)Philos Trans R.Soc.Lond.323:535-544を参照にされたい)。好ましくは、GDF-8またはGDF-11タンパク質内のヒトT細胞エピトープは、既知のHLAクラスII結合特異的アミノ酸残基を使用して予測することができる。成功裏に使用されてきたT細胞刺激活性を有するペプチドの予測のための1つのアルゴリズムは、Rothbard、第1回ウイルスフォーラム、パスツール研究所の1年間の記録(1st Forum in Virology,Annals of the Paster Institute)、第518〜526(1986年12月)、Rothbard and Taylor,(1988)Embo,7:93-100および欧州特許第0 304 279号明細書に報告されている。これらの技術文献は、一般的なT細胞パターン(アルゴリズム)の定義、その統計的意義およびその既知のT細胞エピトープとの相関ならびにこれまでに同定されていなかった種々のタンパク質の抗原および自己抗原のT細胞エピトープを予測する際のその成功裏の使用を報告している。上記の技術文献で報告されているT細胞エピトープに関する一般的パターンは、変化したアミノ酸残基またはグリシンに続いて2つの疎水性残基から成る直線パター(patter)を含むようである。これまでに見いだされていないタンパク質のT細胞エピトープを予測するために使用された他のアルゴリズムは、Margalit et al.,(1987) J.Immumol.,138:2213-2229により報告されたアルゴリズムを含み、これは両親媒性ヘリックスモデルに基づく。
【0041】
T細胞エピトープの他の同定法には、ヒトT細胞刺激活性のために本発明のGDF-8またはGDF-11阻害ペプチドのスクリーニングが関与する。これは1以上の異なるアッセイを使用して行うことができる。例えばインビトロでT細胞刺激活性は本発明のペプチドをT細胞培養で適切なMHC分子を与える抗原提示細胞と接触させることによりアッセイすることができる。本発明のGDF-8またはGDF-11阻害ペプチドを適当なMHC分子と会合してT細胞に提示することは、必要な副刺激と一緒に、サイトカイン類、特にインターロイキン-2およびインターロイキン-4の生産レベルの増加を誘導するシグナルをT細胞に伝達する効果を有することができる。培養上清を得、そしてインターロイキン-2または他の既知のサイトカイン類についてアッセイすることができる。例えば、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.86:1333(1989)(この全内容は引用により本明細書に編入する)に記載されているアッセイのようなインターロイキン-2に関する幾つかの通例のアッセイの任意の1つを採用することができる。インターフェロンの生産に関するアッセイ用キットもジェンザイム社(Genzyme Corporation)(ケンブリッジ、マサチューセッツ州)から市販されている。
【0042】
T細胞増殖に関する通例のアッセイには、トリチル化チミジンの取り込み測定を伴う。T細胞の増殖は培養した細胞中の複製したDNA中に取り込まれた3H-標識チミジンの量を測定することによりインビトロで測定することができる。それゆえに、DNA合成の速度そして次に細胞***の速度を定量することができる。
【0043】
GDF-8またはGDF-11の他の好適なペプチドインヒビターは、GDF-8およびGDF-11タンパク質の表面上、例えば親水性領域ならびに高い抗原性を有する領域に位置するか、あるいは高い表面実在性スコア(surface probability scores)を持つフラグメントは当業者に周知なコンピューター分析プログラムを使用して同定することができる(Hopp and Wood,(1983),Mol.Immumol.,20,483-9,Kyte and Doolittle,(1982),J.Mol.Biol.,157,105-32,Corrigan and Huang,(1982),Comput,Programs Biomed,3,163-8)。
【0044】
GDF-8またはGDF-11阻害活性について試験されるさらに他の好適なGDF-8およびGDF-11のペプチドは、1以上のB−細胞エピトープを含む。そのようなペプチドは動物にそのペプチドを単独で、またはアジュバントと組み合わせて、もしくは連結して(例えばハプテン)免疫感作し、そして免疫感作した動物からの血清を抗-GDF-8またはGDF-11抗体について試験することにより同定することができる。好適なペプチドはGDF-8またはGDF-11活性を阻害する抗-GDF-8またはGDF-11抗体を生成し、このようなペプチドが幾らかタンパク質の活性に関連していることを示す(例えば活性部位のすべてまたは部分に対応する)。例えば、免疫感作した動物に由来する血清は、本明細書に記載する任意のGDF-8またはGDF-11バイオアッセイを使用してGDF-8またはGDF-11阻害活性について試験することができる。
【0045】
あるいはGDF-8またはGDF-11抗体または抗体フラグメントは、GDF-8またはGDF-11活性を阻害するために個体に直接投与することができる。好適な抗体には、ヒト化された、キメラの、およびヒトモノクローナル抗体もしくはそれらのフラグメントを含めモノクローナル抗体が含まれる。
【0046】
そのような抗体を生成するために、タンパク質溶解的または合成的GDF-8またはGDF-11フラグメント(単独または適当なキャリアーもしくはハプテンと結合して)を使用して、個体(例えば限定するわけではないがウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物を含む哺乳類)に免疫感作することができる。例えば米国特許第5,422,110号;同第5,837,268号;5,708,155号;5,723,129号;および5,849,531号明細書に記載されているような方法を使用することができ、そしてこれらは引用により本明細書に編入する。好適な態様では、免疫感作した哺乳動物は内因性のGDF-8またはGDF-11を含まない(例えばGDF-8またはGDF-11ノックアウトトランスジェニック動物)。免疫原性調製物はさらに、フロインド完全もしくは不完全アジュバントのようなアジュバント、または同様な免疫刺激剤を含むことができる。適当な個体を免疫原性のタンパク質溶解的または合成GDF-8またはGDF-11フラグメント調製物で免疫感作すると、ポリクローナル抗GDF-8またはGDF-11抗体反応が誘導される。免疫感作した個体中の抗GDF-8またはGDF-11抗体力価は、固定化したGDF-8またはGDF-11を使用する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いるような標準的な技法により継時的にモニターすることができる。続いて免疫感作した個体からの血清は、それらのGDF-8またはGDF-11阻害活性に関して本明細書に記載する任意のバイオアッセイを使用して試験することができる。
【0047】
あるいは、米国特許第5,795,872号、Ricigliano et al.、「免疫感作のためのDNA構築物(DNA construct for immunization)」(1988)、および米国特許第5,643,578号、Robinson et al.、「DNA転写単位の接種による免疫感作(Immunization by inoculation of transcription unit)」(1997)に開示されているようなDNA免疫感作法を使用して、GDF-8およびGDF-11を発現するプラスミドで個体(例えばGDF-8およびGDF-11ノックアウトマウス)を免疫感作することも可能である。
【0048】
GDF-8またはGDF-11に対する抗体分子は哺乳動物から単離することができ(例えば血液から)、そしてIgG画分を得るためのプロテインAカラムクロマトグラフィーのような周知技法によりさらに精製することができる。免疫感作後の適当な時期(例えばGDF-8またはGDF-11抗体力価が最高である時)に、抗体生産細胞を個体から得、そして例えば最初にKohler and Milstein(1975) Nature 256:495-497により記載されたハイブリドーマ法(またBrown et al.,(1981) J.Immumol.127:539-46;Brown et al.,(1980) J.Biol.Chem.255:4980-83;Yeh et al.,(1976) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:2927-31;およびYeh et al.,(1982) Int.J.Cancer 29:269-75も参照にされたい)、より最近のヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozbor et al.,(1983) Immunol.Today 4:72)、EBV-ハイブリドーマ法(Cole et al.、(1985)、モノクローナル抗体および癌療法(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy)、アラン アール リス社(Alan R.Liss、Inc)、第77〜96頁)、あるいはトリオーマ法のような標準的な技法によりモノクローナル抗体を調製するために使用することができる、モノクローナル抗体ハイブリドーマを生成する技法は周知である(一般には、R.H.Kenneth、モノクローナル抗体:生物学分析における新次元(Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biological Analyses)、プレナム出版社(Plenum Publishing Corp.)、ニューヨーク、ニューヨーク(1980);E.A.Lerner(1981) Yale J.Biol.Med.,54:387-402;M.L.Gefter et al.(1977) Somatic Cell Genet.3:231-36)。簡単に説明すると不死化細胞系(典型的には骨髄腫)を、上記のようにGDF-8またはGDF-11免疫原で免疫感作した哺乳動物に由来するリンパ球(典型的には脾細胞)と融合し、そして生成したハイブリドーマ細胞の培養上清をスクリーニングし、そしてGDF-8またはGDF-11に結合するハイブリドーマが生産するモノクローナル抗体を同定する。
【0049】
リンパ球と不死化細胞系を融合するために使用する任意の多くの周知プロトコールを、GDF-8またはGDF-11モノクローナル抗体を生成する目的に応用することができる(例えば、G.Galfre et al.(1977) Nature 266:55052;Galfre et al.Somatic Cell Genet.,同上;Lerner,Yale J.Biol.Med.同上;Kenneth、Monoclonal Antibodies:同上を参照にされたい)。さらに当業者は、そのような方法の有用な多くの変更が存在すると認識するだろう。典型的には不死化細胞系(例えば骨髄腫細胞系)はリンパ球と同じ哺乳動物種に由来する。例えばマウスのハイブリドーマは、本発明の免疫原性調製物で免疫感作したマウスに由来するリンパ球を不死化したマウスの細胞系と融合することにより生成することができる。好適な不死化細胞系は、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含有する培養基(“HAT"培地)に感受性であるマウスの骨髄腫細胞系である。標準的な技法に従い融合のパートナーとして任意の多数の骨髄腫細胞系、例えばP3-NS1/1-Ag4-1、P3-x63-Ag8.653またはSp2/O-Ag14骨髄腫系を使用することができる。このような骨髄腫系はATCCから入手できる。典型的には、HAT-感受性マウス骨髄腫細胞をポリエチレングリコール(“PEG")を使用してマウスの脾細胞と融合する。融合から得られたハイブリドーマ細胞は次にHAT培地を使用して選択し、この培地は非融合および非生産的に融合した骨髄腫細胞を殺す(非融合脾細胞は形質転換しないので数日後に死ぬ)。本発明のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞は、GDF-8またはGDF-11に結合するモノクローナル抗体について標準的なELISAアッセイを使用してハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることにより検出する。
【0050】
本発明の別の観点では、GDF-8タンパク質フラグメントはGDF-8プロ−ドメインのすべてまたは一部を含んで成る。TGF-βのプロ-ドメインは成熟した活性なTGF-βに対して阻害活性を有することが示された(Bottinger et al.,(1996) PNAS,93,5877-5882;Gentry and Nash,(1990) Biochemistry,29,6851-6857)。GDF-8 はTGF-βのスーパーファミリーの一員であるので、GDF-8のプロ−ドメインも活性なGDF-8に対するインヒビターとして作用し得る。GDF-8のプロ−ドメインは、種々の発現系(例えばCHO、バキュロウイルス等)を使用してそれを発現させることにより生成することができる。発現したGDF-8のプロ−ドメインは、例えばBottinger et al.(同上)に記載されている方法またはペプチドを精製するために当該技術分野で認識されている方法を使用して精製することができる。あるいはプロ-ドメインは以下に記載するようにFLAGまたは6-Hisに付けることができる。
【0051】
TGF-βについて得られた情報に基づき、成熟したGDF-8のC−末端に広がるペプチドフラグメントを設計し、そして合成することができる。好ましくはGDF-8ペプチドフラグメントは約25アミノ酸長である。別の好適な態様では、GDF-8
ペプチドフラグメントは約20〜25、25〜30、30〜35、35〜40または40〜45アミノ酸残基長の配列長を有することができる。前述のペンタコサペプチド後にモデル化したGDF-8ペプチドは、本明細書に記載するアッセイを使用してGDF-8またはGDF-11阻害活性について試験することができる。
【0052】
本発明の方法に使用するためのGDF-8またはGDF-11インヒビターは、GDF-8またはGDF-11活性の阻害について試験する種々の適当なバイオアッセイを使用して同定することができる。GDF-8またはGDF-11インヒビターがGDF-8またはGDF-11活性を阻害する能力は、好ましくは特異的、すなわちGDF-8インヒビターはGDF-8タンパク質を特異的に阻害することができ、そしてGDF-11インヒビターはGDF-11タンパク質を特異的に阻害することができる。特定の態様では、GDF-8インヒビターはGDF-11活性も阻害することもでき、そしてGDF-11インヒビターはGDF-8活性も阻害することができる。
【0053】
本明細書で使用するように、用語「バイオアッセイ」はGDF-8またはGDF-11インヒビターを同定すために設計された任意のアッセイを含む。このアッセイは、GDF-8またはGDF-11がGDF-8またはGDF-11の1以上の生物学的機能を阻害できるかどうかを同定するために適するインビトロまたはインビボのアッセイであることができる。適当なバイオアッセイの例には、DNA複製アッセイ、転写に基づくアッセイ、クレアチンキナーゼアッセイ、3T3-L1前-脂肪細胞の分化に基づくアッセイ、3T3-L1 脂肪細胞におけるグルコース取り込み制御に基づくアッセイおよび免疫学的アッセイを含む(サブセクションIIに記載する)。
【0054】
GDF-8はタンパク質レベル、したがって筋肉に特異的な酵素であるクレアチンキナーゼの活性をモジュレートすることが確立されている。このGDF-8またはGDF-11の効果は、GDF-8またはGDF-11インヒビターの可能性(potential)を含む画分をスクリーニングするために使用することができる。このアッセイはマウス骨格筋筋芽細胞系C1C12または11日目のニワトリの胚から単離した第1段階(primary)のニワトリ筋芽細胞で行うことができる。細胞は細胞の未分化を維持する血清-含有培養中で48ウェルトレイ中で成長させる。70%のコンフルエンスに達した時、培地を1%血清に切り変え、これは分化およびクレアチンキナーゼの発現を可能とする。切り変えの時、可能性のあるGDF-8またはGDF-11阻害画分を同じウェルに加え、いくから後にGDF-8またはGDF-11自体を加える。細胞はさらに2〜3日間インキュベーターに戻す。最後に細胞を溶解し、そして溶解物中のクレアチンキナーゼ活性を市販されているキット(モンタナ州、セントルイスのシグマ(Sigma)から販売されている)を使用して測定する。
用途
1つの態様では、本発明の方法はインビトロまたはインビボのいずれかで使用して、GLUT4またはGLUT1のようなヘキソース トランスポーターの発現を、筋肉および/または脂肪細胞のようなこのようなトランスポーターを発現する細胞中でモジュレート(すなわちアップレギュレート)するために使用することができる。これは細胞中または細胞外のGDF-8またはGDF-11の活性または発現を阻害することにより成される。
【0055】
別の態様では、本発明の方法はインビトロまたはインビボのいずれかでインスリン感受性かつ/または細胞によるグルコースの取り込みを増加させるために使用することができる。
【0056】
別の態様では、本発明の方法は不十分なGLUT4発現、インスリン機能不全(例えば耐性、不活性または欠乏)かつ/または細胞中への不十分なグルコース取り込みを特徴とする疾患を処置するために使用することができる。そのような疾患は、限定するわけではないが糖尿病、高血糖症および肥満症を含む。
【0057】
別の態様では、本発明の方法は新規なインビトロモデルを作成するために使用することができ、このモデルではGDF-8が脂肪細胞中のグルコースの取り込みまたは代謝を調査するために使用される。インビボの筋肉および脂肪で特異的に発現するGDF-8は、3T3-L1脂肪細胞の分化を直接的または間接的阻害し、脂肪細胞−特異的な遺伝子の発現を抑制する(例えばGLUT4トランスポーター)。したがってGDF-8は、3T3-L1細胞系でこのような遺伝子のプロトタイプの調節物質(regulator)として使用することができる。この系は限定するわけではないが、転写因子、シグナル伝達タンパク質、レプチン、脂肪酸結合タンパク質、脂肪酸シンターゼ、ペルオキソーム増殖剤応答性受容体、脱共役タンパク質1および2のような分子の脂肪細胞−特異的な遺伝子発現およびタンパク質活性、ならびにGDF-8の作用により活性化、不活性化または改質される分子の調節に、GDF-8が果たす役割を理解するためのモデルとなることができる。
【0058】
本発明の方法の他の用途は、当業者には以下の実施例および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
医薬組成物中の GDF-8 および GDF-11 インヒビターの投与
本発明の方法に使用するGDF-8およびGDF-11インヒビターは、一般に適当な医薬組成物の状態で個体に投与される。そのような組成物は、典型的にはインヒビターおよび医薬的に許容できるキャリアーを含む。本明細書で使用する「医薬的に許容できるキャリアー」とは、医薬投与に適合する任意かつすべての溶媒、分散媒質、コーティング、抗バクテリアおよび抗菌・カビ剤、等張剤および吸収遅延剤等を含むことを意図する。医薬的に活性な物質にそのような媒質および薬剤を使用することは、当該技術分野では周知である。GDF-8インヒビターと適合しない通例の媒質または薬剤を除く限り、組成物中へのそれらの使用を意図する。補助的に活性な化合物も組成物に包含することができる。
【0059】
本発明の医薬組成物は、その意図する投与経路に適合するように製剤される。適当な投与経路の例は、非経口、例えば静脈内、経皮内、皮下、経口(例えば吸入)、経皮(局所的)、経粘膜(transmucosal)、および直腸投与を含む。非経口、経皮内または皮下投与に使用される溶剤または懸濁剤は、以下の成分を含むことができる:注入用水のような滅菌希釈水、塩溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗バクテリア剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムのような酸化防止剤;エチレンジアミンテトラ酢酸のような錯化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のようなバッファーおよび塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張性調節剤。pHは塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基により調整することができる。非経口用調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは多用量バイアルに包含することができる。
【0060】
注入可能な使用に適する医薬組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液および即座に調製される滅菌の注入可能な溶剤または分散剤用の滅菌粉末を含む。静脈内投与には、適当なキャリアーには生理学的塩溶液、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、パリスパニー、ニュージャージー州)またはリン酸緩衝化塩溶液(PBS)を含む。すべての場合で、組成物は滅菌されなければならず、しかもシリンジが容易に利用できる程度に流体であるべきである。これは製造および保存の条件下で安定でなければならず、そしてバクテリアおよび菌類のような微生物の混入作用に対して保護されなければならない。キャリアーは、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)およびそれらの適当な混合物を含む溶媒または分散媒質であることができる。適切な流動性は、例えばレシチンのようなコーティングを使用することにより、分散液の場合は必要な粒子サイズを維持することにより、および表面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用の保護は、種々の抗バクテリアおよび抗菌・カビ剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等により達成できる。多くの場合で張性剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、塩化ナトリウムを組成物に含むことが好ましいだろう。注入可能な組成物の持効的吸収は、吸収を遅らせる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含めることによりもたらすことができる。
【0061】
滅菌の注入可能な溶剤は、GDF-8インヒビターを必要に応じて上記に挙げた1以上の成分と組み合わせて必要な量で適切な溶媒に包含し、続いて濾過滅菌することにより調製することができる。一般に分散剤は、GDF-8インヒビターを基材となる分散媒質および上に挙げた必要な他の成分を含む滅菌賦形剤に包含することにより調製できる。滅菌された注入溶剤を調製するための滅菌粉末の場合は、好適な調製法は前以て滅菌濾過したそれらの溶液から有効成分の粉末に加えてさらに任意の所望する成分を生じる真空乾燥および凍結乾燥である。
【0062】
経口用組成物は一般に、不活性な希釈剤または可食性キャリアーを含む。それらはゼラチンカプセルに包含されるか、または錠剤に圧縮され得る。経口治療剤投与の目的には、GDF-8インヒビターを補形剤に包含させ、そして錠剤、トローチおよびカプセルの形態で使用することができる。経口組成物は、口中清浄剤用として使用するために流体キャリアーを使用して調製することもでき、ここで流体キャリアー中の化合物が経口で適用され、そして口をすすぎ、そして吐き出されるか、または飲み込まれ得る。医薬的に適合する結合剤、および/または補助材料も、組成物の一部として含むことができる。錠剤、ピル、カプセル、トローチ等は、以下の任意の成分または同様の性質の化合物を含むことができる:微結晶セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンのような結合剤;澱粉またはラクトースのような補形剤、アルギン酸、Primogelまたはコーンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotesのような潤滑剤;コロイド状二酸化珪素のようなグライダント(glidant);シュクロースまたはサッカリンのような甘味料;ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香料のような香料。
【0063】
吸入による投与には、化合物は適当な高圧剤、例えば二酸化炭素のようなガスを含む加圧容器もしくはディスペンサーまたはネブライザーからエアゾールスプレーのような状態で送達される。
【0064】
全身投与は、経粘膜的または経皮的手段によっても投与することができる。経粘膜的または経皮的投与には、浸透すべきバリアに適当な浸透剤を製剤に使用する。そのような浸透剤は一般に当該技術分野では既知であり、そして例えば粘膜的投与には界面活性剤、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体を含む。粘膜的投与は鼻内スプレーまたは坐薬の使用を通して行うことができる。経皮的投与には、活性化合物を当該技術分野で一般的に知られているような軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームに製剤する。
【0065】
GDF-8インヒビターは、坐薬の形態(例えばカカオバターおよび他のグリセリドのような通例の坐薬用基剤を用いて)または直腸送達のための停留浣腸に調製することもできる。
【0066】
1つの態様では、GDF-8インヒビターは制御された放出製剤のような化合物が体内から急速に排除されことを防ぐキャリアーを用いて調製され、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系を含む。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸のような生分解性、生物適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製法は、当業者には明らかである。この材料はアルザ コーポレーション(Alza Corporation)およびノバ ファルマシューティカル社(Nova Pharmaceutical Inc.)から得ることもできる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を持つ感染した細胞を標的とするリポソームを含む)も、医薬的に許容できるキャリアーとして使用することができる。これらは例えば米国特許第4,522,811号明細書に記載されているように、当業者には既知の方法に従い調製することができる。
【0067】
経口または非経口組成物は投与の容易さおよび用量の均一性のために、単位剤形に製剤することが特に有利である。本明細書で使用する単位剤形とは、処置する個体に単位用量として適当な物理的に別れた単位であり;各単位は必要な医薬的キャリアーと共に所望する治療効果を生成するように算出された予め決定された量の活性化合物を含有する。本発明の単位剤形の仕様は、活性化合物および達成される特定な治療効果に独特な特徴ならびに個体の処置のためのそのような化合物の製剤技術に固有な限界により決定され、そして直接的に依存する。
【0068】
そのような化合物の毒性および治療効力は、例えばLD50(群の50%に致死的な用量)およびED50(群の50%に治療効果がある用量)を決定するために、細胞培養または実験動物で標準的な製薬的手順により決定することができる。毒性と治療効力との間の用量比が治療指数であり、そして比LD50/ED50として表すことができる。大きな治療指数を有するGDF-8インヒビターが好ましい。毒性の副作用を表すGDF-8インヒビターを使用してもよいが、非感染細胞に与え得る損害を最小にするために、影響を及ぼす組織の部位にそのようなGDF-8インヒビターを標的とする送達系の設計には注意を払うべきであり、これにより副作用を減らす。
【0069】
細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータは、ヒトに使用するための投薬範囲に製剤するために使用することができる。そのような化合物の投薬量は、好ましくは毒性がわずかにしかないか、または無いED50を含む循環濃度の範囲内である。投薬量は使用する剤形および利用する投与経路に依存してこの範囲内で変動することができる。本発明の方法で使用する任意のGDF-8インヒビターについて、治療に効果的な用量は最初に細胞培養アッセイから予想することができる。用量を動物モデルに製剤して細胞培養で決定したIC50を含む循環血漿濃度範囲に到達させる(すなわち、最大の症状を半分に抑制する試験GDF-8インヒビターの濃度)。そのような情報を使用して、ヒトにおいてより正確な有用な用量を決定する。血漿中のレベルは例えば高性能液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
【0070】
医薬組成物は投与のための説明書と一緒に容器、パックまたはディスペンサーに含まれ得る。
【0071】
本発明のGDF-8インヒビター、例えばアンチ−センスオリゴヌクレオチドインヒビターはさらにベクターに挿入され、そして遺伝子治療に使用され得る。遺伝子治療法ベクターは、例えば静脈内注入、局所投与(米国特許第5,328,470号明細書を参照にされたい)により、あるいは定位注入(Chen et al.,(1994) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054-3057を参照にされたい)により個体に送達することができる。遺伝子治療ベクターの医薬組成物は、許容できる希釈剤中に遺伝子治療ベクターを含むことができ、あるいは遺伝子送達賦形剤が埋め込まれた徐放性マトリックスを含んで成ることができる。あるいは完全な遺伝子送達ベクターが組換え細胞(例えばレトロウイルスベクター)から完全に生産できる場合、医薬調製物は遺伝子送達系を生産する1以上の細胞を含むことができる。
【0072】
遺伝子治療に使用するために適するベクターは、当該技術分野では周知である。例えばアデノウイルスに由来するベクターを使用することができる。アデノウイルスのゲノムは、それが目的の遺伝子産物をコードしそして発現するが、正常な溶菌のウイルス生活環で複製する能力という点においては不活性化されるように操作することができる。例えばBerkner et al.,(1988) BioTechniques 6:616;Rosenfeld et al.(1991) Science 252:431-434;およびRosenfeld et al.(1992) Cell 68:143-155を参照にされたい。アデノウイルスAd型 5 dl324株または他のアデノウイルス株(例えばAd2、Ad3、Ad7等)に由来する適当なアデノウイルスベクターは、当業者には周知である。組換えアデノウイルスはそれらが非分割細胞に感染できない特定の状況において有利となり得る。さらにウイルス粒子は比較的安定であり、そして精製および濃縮することができ、そして上記のように感染性のスペクトルに影響を及ぼすように改質することができる。さらに導入されたアデノウイルスDNA(およびそれに含まれる外来DNA)は宿主細胞のゲノム中には組み込まれないがエピソームには残り、これにより導入されたDNAが宿主ゲノムの組み込まれる状況で挿入変異の結果として起こり得る問題の潜在性を回避する(例えばレトロウイルスDNA)。さらに外来DNAに関してアデノウイルスゲノムの運搬能力は、他の遺伝子送達ベクターに比して大きい(8キロベースまで)(Berkner et al.同上;Haj-Ahmand and Graham(1986) J.Virol.57:267)。現在使用されているほとんどの複製−欠失アデノウイルスベクター、そしてそれゆえに本発明で好ましいのは、ウイルスE1およびE3遺伝子のすべてまたは部分が欠失しているが、80%ものアデノウイルス遺伝子材料を保持している(例えばJones et al.(1979) Cell 16:683;Berkner et al.,同上;およびGraham et al.、分子生物学の方法(Methods in Molecular Biology)、E.J.Murray編集(フマナ(Humana)、クリフトン、ニュージャージー州、1991)、第7巻、第109〜127頁)。核酸分子中に含まれる目的遺伝子の発現は、例えばE1Aプロモーター、主要後期プロモーター(MLP)および付随するリーダー配列、E3プロモーター、または異種の付加されたプロモーター配列の制御下であることができる。
【0073】
本発明のGDF-8インヒビターの送達に有用なさらに別のウイルスベクター系は、アデノ−随伴ウイルス(AAV)である。アデノ−随伴ウイルスは、効率的な複製および増殖的生活環のためにヘルパーウイルスとしてアデノウイルスまたはヘルペスウイルスのような別のウイルスを必要とする自然に存在する欠失ウイルスである(総説としてMuzyczka et al.Curr.Topics in Micro.and Immunol.(1992) 158:97-129を参照にされたい)。アデノ-随伴ウイルスは高頻度の安定な組み込みを表す(例えばFlotte et al.(1992) Am J.Respir.Cell.Mol.Biol.7:349-356;Samulski et al.(1988) J.Virol.63:3822-3828;およびMcLaughlin et al.(1989) J.Virol.62:1963-1973を参照にされたい)。わずか300塩基対のAAVを含有するベクターをパッケージし、そして組み込むことができる。外因性DNAに関する空間は約4.5kbに限定されている。Tratschin et al.(1985) Mol.Cell Biol.5:3251-3260に記載されているようなAAVベクターを使用して、DNAをT細胞に導入することができる。種々の核酸がAAVベクターを使用して異なる細胞型に導入された(例えばHermonat et al.(1984) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6466-6470;Tratschin et al.(1985) Mol.Cell Biol.4:2072-2081;Wondisford et al.(1988) Mol.Endcrinol.2:32-39;Tratschin et al.(1984) J.Virol.51:611-619;およびFlotte et al.(1993) J.Biol.Chem.268:3781-3790を参照にされたい)。本発明のGDF-8インヒビターの送達に有用となり得る他のウイルスベクター系は、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルスおよび数種のRNAウイルスに由来する。
【0074】
以下の実施例は具体的に説明することを意図し、本発明を限定するものではない。それらは使用される典型的な例であるが、当業者に周知他の手法もあるいは使用してよい。
【0075】
【実施例】
材料および方法
以下の実験は、Intracel(ロックヴィル、メリーランド州)で6週齢のBalc/cマウスを使用して行った。GDF-8ノックアウトおよび野生型(対照)マウスはS.J.Lee博士から得た(ジョンズ ホプキンス大学、Mcpherron et al.,Nature 387:83-90(1997)を参照にされたい)。
【0076】
組換えヒトGDF-8はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で生産した。分泌したタンパク質は、幾つかのクロマトグラフィー工程を使用して精製して実質的に均一なGDF-8を得た。
【0077】
他の材料および方法は、以下の実施例に記載する。
実施例1−筋肉細胞中の GLUT4 タンパク質発現に及ぼす GDF-8 ノックアウトの効果
筋肉細胞のグルコーストランスポーターであるGLUT4のタンパク質発現に及ぼす自然なGDF-8発現のノックアウトの影響を評価するために、種々の筋肉サンプルを野生型およびGDF-8ノックアウトマウスから得た。筋肉サンプルは10(容量/容量)%の中性緩衝化ホルムアルデヒド(スタットラボ(StatLab)、レヴィスヴィル、テキサス州)中で室温にて8時間固定し、続いてParaplast(商標)X-tra組織−包埋媒質(オックスフォード ラボウェア(Oxford Labware)、セントルイス、モンタナ州)に包埋した。マウスの筋肉サンプルの断面を調製した。スライドはGLUT4ノ免疫検出に先だちオーブン中で60℃に少なくとも30分間暖めた。パラフィン切片をキシレンで3回、各回5分間パラフィンを除いた。切片は再度水和し、そして次に「抗体希釈剤」(DAKO、カルピンテリア、カリフォルニア州)中の20%の正常ヤギ血清で20分間ブロックした(ベクター(Vector)、バーリンガム、カリフォルニア州)。切片は、抗体希釈剤で2μg/mlの濃度に希釈したウサギ抗-GLUT4(アルファ ダイアグノスティク インターナショナル(Alpha Diagnostic International)、サン アントニオ、テキサス州)と、室温にて一晩インキューベーションした。切片をOptiMax 洗浄バッファー(バイオジェネックス(Biogenex、サンラモン、カリフォルニア州)ですすぎ、そしてビオチン化ヤギ抗−ウサギ免疫グロブリン(バイオジェネックス)と、結合したストレプトアビジン(バイオジェネックス)について30分間インキューベーションした。切片を洗浄バッファーですすぎ、そして次に抗体結合部位を視覚化するためにDAB基質(DAKO)を適用した。切片をメチルグリーン(DAKO)でカウンター染色し、そしてCytoseal(商標)60(ステファンズ サイエンティフィック(Stephens Scientific)、リバーダーレ、ニュージャージー州)を使用して固定した。茶色い染色はGLUT4の発現を示し、そして緑色の染色は核を同定する。
【0078】
図1Aおよび1Bに示すように、GDF-8ノックアウトマウスのサンプルは調査した筋肉の種類にかかわらず野生型のサンプルと比較して有意に増加したGLUT4発現を示す(抗-GLUT4抗体で有意に上昇した染色により示されるように)。これはGDF-8がこのようなマウスでGLUT4の発現に低下を引き起こしたにとを示している。
実施例2−筋肉細胞中の GLUT4 タンパク質発現に及ぼす GDF-8 投与の効果
実施例1で見いだされたことの逆、すなわち外因性のGDF-8が筋肉細胞中でGLUT4の発現を抑えるかどうか(実施例1から予想されるように)、そしてまたGDF-8の投与がGLUT4刺激物であるインスリンの効果を打ち消すことができるかどうかを評価するために行った。
【0079】
マウスは、5マイクログラムの組換えヒトGDF-8(20mM NaPO4、150mM NaCl、0.1mg/ml BSA、pH6.5を含有するバッファー中)を含有する50マイクロリットルまたはバッファー単独を無作為に筋肉内(腹筋)注射された。20分後にマウスは、モンタナ州、セントルイスのシグマ ケミカルス(Sigma Chemicals)から購入したブタのインスリン(上記で使用したものと同じであるがpHが7.0の0.1mlバッファー中で13単位/kg)、またはバッファー単独の腹腔内注射を受けた。インスリン投与から1時間後、動物を屠殺し、そして注射した筋肉のサンプルを摘出した。
【0080】
図2に示すように、外因性のGDF-8単独の投与でマウス腹筋細胞中のGLUT4発現に有意な減少をもたらす。対照的に、インスリン単独の投与では反対の効果がもたらされ、GLUT4発現の有意な上昇(すなわち染色)がこのような細胞中で観察された。GDF-8およびインスリンを同時に投与した時、GLUT4染色パターンは未処置対照細胞に近いようであり、2つの分子がGLUT4に反対の調節効果を有することを示唆している。
C.
D.実施例3−ヌードマウスを対象とした GDF-8 を発現する CHO 細胞腫瘍の効果
前述の実施例の結果は、GDF-8が筋肉細胞中でGLUT4タンパク質発現の調節に重要な役割を果たしていることを示している。インビボの全体的なグルコース代謝の調節におけるGDF-8の役割をさらに調査するために、ヒトGDF-8(hGDF-8)を生産するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)腫瘍細胞系をヌードマウスに注射して、GDF-8を発現する腫瘍を形成した。このCHO腫瘍細胞注射法は、インビボで種々の遺伝子産物の効果を測定するためのモデルとして使用されてきた(Black et al.,Endocrinology 123:2657-2659(1991))。
【0081】
hGDF-8を発現するCHO細胞を、0.1マイクロモルのメトトレキセートおよび1mg/mlのG418を含むアルファ培地中で培養する一方、対照CHO細胞(空の発現ベクターを含む)は0.1マイクロモルのメトトレキセートを含むアルファ培地中で培養した。細胞をトリプシン処理して回収し、そしてPBS中で2×107細胞/mlの濃度に再懸濁した。オスのnu/nu NCRマウスの右大腿部に0.5ml中の1×107細胞を皮下注射した。実験期間中、1週間に2回、体重および腫瘍サイズを測定した。CHO GDF-8腫瘍から単離したmRNAのノーザンブロット分析では、GDF-8が発現されたことが確認された。
【0082】
成長しているCHO GDF-8腫瘍により生産されるGDF-8の全身効果を評価した。図3に示すように、GDF-8を過剰に発現するCHO腫瘍は実験開始時の体重に比べて、ヌードマウスにおいて20日内に劇的な全体重の減少が生じた(25%の減少)。対照的に、GDF-8を発現しない対照CHO腫瘍をもつマウスにはわずかな体重の増加があった(図3)。
【0083】
図4に示すように、CHO GDF-8腫瘍を持つマウスは正味の体重(全腫瘍)を対照の腫瘍を持つマウスと比べた時、より一層劇的な体重の減少(35%)が示された(図4、パネルA)。体重の減少は対照の腫瘍重量が実際にはCHO GDF-8腫瘍よりも重いので、CHO GDF-8腫瘍のサイズによるものでは無かった(図4、パネルB、および図5)。
【0084】
CHOおよびCHO GDF-8を発現する腫瘍を持つ動物の個々の組織も単離し、そして重量を測定した。CHO GDF-8を持つ動物からの筋肉および脂肪パッドは、CHO腫瘍を持つ動物に比べて有意な重量の減少を示した(図4、パネルC、DおよびE)。この一般的な骨格筋塊の消耗および減少は、移植されたCHO細胞から生産されたGDF-8タンパク質がGDF-8ノックアウト法の結果と厳密に適合し、そしてそれから予想された様式で作用することを証明している。
【0085】
GDF-8が全身性のグルコースの運用(handling)に関与しているかどうかを評価するために、CHO-GDF-8腫瘍を持つ野生型のヌードマウスを、グルコースの上昇について試験した。図6に示すように、CHO-GDF-8腫瘍を持つ動物は高血糖症を現し、そして筋肉組織中のGLUT4レベルの有意な減少を現した。GDF-8ノックアウトマウスが高血糖症であり、そして筋肉中に上昇したGLUT4発現レベルを有するという事実と一緒に考えると、このような結果はGDF-8はインビボでGLUT4レベルを抑制することにより血清中のグルコースレベルを増加させることを示唆していた。
E.
F.実施例4−マウスを対象とした GDF-8 ノックアウトの全身性効果
GDF-8遺伝子がノックアウトされているトランスジェニックマウスは、特徴的な全身性の問題、特に高血糖症、有意な筋肉の肥厚化および全体的な体脂肪の劇的な減少を有した。このような知見はGDF-8のモジュレーションが血清中のグルコースレベルの調節を可能とすることができるだけでなく(これは糖尿病の処置として役立つ)、GDF-8が肥満症および他のそれに関連する障害の処置に有用であり得ることも示している。
【0086】
GDF-8ノックアウトマウスは筋肉および脂肪の成長ならびに代謝機能の調節においてGDF-8の一般的役割を仮定するモデルを提供するが、観察された変化が胚のGDF-8欠失の結果であるのか、または出生後の発育の結果であるのかは不明である。このようにこの実施例および直前の実施例(すなわち実施例3)では、GDF-8が動物の成体に重要な生理学的役割を有することを初めて証明している。このような2つの実験は、出生後にGDF-8発現および活性をモジュレーションすることが限定するわけではないが筋肉の成長、グルコースの恒常性および糖尿病の感受性を含め、筋肉および脂肪の成長ならびに代謝的機能を調節する手段であるという概念に対して明らかな支持を提供する。
実施例5− GDF-8 が 3T3-L1 前 - 脂肪細胞の分化に及ぼす効果
GDF-8がグルコースの恒常性に及ぼす効果をより特徴付けるために、3T3-L1細胞を脂肪細胞モデルとして使用した(実際にインスリンに反応性の細胞型であり、インスリンの能力を通してGLUT4を介したヘキソース輸送が増す)。このような細胞は脂肪生成の優れたモデルとしてよく特徴付けられている(Hwang et al.,Annu.Rev.Cell.Dev.Biol.13,231〜259(1997)、およびMacDougald and Lane,Annu.Rev.Biochem.64,345〜373(1995))。このような細胞がインスリン、デキサメタソンおよびイソブチルメチルキサンチン(IBMX)で刺激される時、それらは形態的および生化学的変化の両方を受け、それらの脂肪細胞への分化をもたらす。
【0087】
未分化の前−脂肪細胞がコンフルエンスに達した時、以下のようにそれらの血清を含有するDMEM培地を連続的に交換することにより、分化が予想どおりに起こった(Spiegelman et al.,J.Biol.Chem.268:6823-6826(1993)):DMEM+血清+IBMX+デキサメタソン+インスリンを2日間、DMEM+血清+インスリンをさらに2日間。この後に培地を再度、DMEM+/-血清と置き換えた。GDF-8および他の増殖因子は分化の開始時に加え、そして各培地交換時にさらに補充した。脂肪細胞は完全に分化が起こるように、この培地中でさらに3〜5日間維持した。
【0088】
図7に示すように、GDF-8はこのような3T3-L1前−脂肪細胞の脂肪細胞への分化を阻害した。脂肪細胞への分化の誘導開始時に、GDF-8を3T3-L1細胞に加えると、前−脂肪細胞の形態の維持および脂肪滴を含む屈折する細胞が無いことにより見られるように、前−脂肪細胞の脂肪細胞への変換が防止された(図7)。加えて図8に示すように、RNAレベルでGDF-8は脂肪細胞マーカーとして知られているGLUT4 mRNAの発現を抑制した。
【0089】
図7はまた、GDF-8はTNF-αおよびTGF-β1がGLUT4 mRNAレベルに及ぼす両方の効果を模することができることを表している。重要なことはGLUT4が筋肉組織中だけでなく、脂肪細胞中でもインスリン−感受性のグルコース輸送の要因である重要な分子になるとことが知られている。このようにGDF-8はII型糖尿病に付随するインスリン耐性を媒介する役割を果たす。筋肉および脂肪で特異的に発現されるGDF-8は、2種類の広く発現されるサイトカイン、すなわちTNF-αおよびTGF-βが脂肪細胞の分化および代謝に及ぼすすでに確立された効果を完全に模することができる(Szalkowski et al.,Endocrinology 136:1474-1481(1995))。この特異的発現から、GDF-8は3つの中でもインビボでそのようなプロセスを調節する生理学的に最も関係のあるポリペプチドかもしれない。
B.
C.実施例6− 3T3-L1 脂肪細胞においてグルコース取り込みに及ぼす GDF-8 の効果
分化した脂肪細胞では、インスリンはGLUT4トランスポーターを介して用量依存的様式でグルコース輸送を刺激する。すなわちGDF-8がこのインスリン−依存的なグルコース取り込みメカニズムを妨害する能力を以下のように調査した。分化が完了した時、グルコース輸送アッセイを3T3-L1細胞について行った。GDF-8を分化の最後の72時間で加えた。インスリンをクレブス-リンゲル溶液中で20分間加え、続いて[3H]-デオキシグルコース(1mCi/ml)を10分間加えた。徹底的に洗浄した後、細胞をTriton X-100で溶解し、そして細胞に結合している放射活性グルコース(GLUT4-媒介の取り込みによる)をシンチレーション計数により測定した。
【0090】
図9に示すように、GDF-8はこのような細胞のインスリン−感受性をグルコース取り込みの倍数により測定されるように用量依存的様式で下げた。このグルコース輸送の低下したインスリン−感受性は、GDF-8処理後のこのような細胞中のGLUT4 mRNAレベルの低下と相関した(図8)。すなわちこのアッセイは、インビボで体脂肪および筋肉代謝機能に及ぼす効果と関連し得るGDF-8活性のインビトロでの相関を提供する。
【0091】
GLUT4 mRNAレベルの減少の外に(図8を参照にされたい)、3T3-L1細胞においてGDF-8は実際に基底のグルコース輸送を約50%まで増加させるというさらに重要な知見を得た。このベースラインの上昇は、インスリンに反応するグルコース取り込みの倍数的増加における減少にも貢献するはずである。この基底輸送は主に偏在するGLUT1トランスポーターにより成されるので(別のヘキソーストランスポーター)、脂肪細胞においてGDF-8処理後に観察されるインスリンの非感受性は、基底輸送における上昇(GLUT1および他のグルコーストランスポーターを介する)および同時のインスリン-刺激輸送の低下(GLUT4を介する)の組み合わせから生じ得る。しかしグルコースの基底レベルの上昇は、GLUT1の効果に限定されない。さらなるグルコーストランスポーターも3T3-L1細胞においてグルコースの基底レベルを増すことができる。
G.実施例7−糖尿病疾患モデルにおける GDF-8 の効果
前述の実施例はGDF-8阻害がGLUT4転写および発現を上昇させることができ、そしてこれによりインスリン感受性を回復し、そして個体中の全身性グルコースレベルを下げることを証明している。前述の実施例はさらにGDF-8阻害が脂肪細胞の分化をアップレギレートし、そしてこれによりインスリン−感受性のグルコース取り込みが増すことを証明している。
【0092】
まとめるとこのデータはGDF-8機能を妨害することがII型糖尿病、肥満症および肥満症に関連する障害の処置に重要な応用を有することを示唆している。このような有力な応用を追跡するために、以下の方法を行うことができる。
A.肥満症/糖尿病のマウスモデルにおける GDF-8 突然変異の効果の分析
GDF-8ノックアウトマウスは、肥満症、特にob/ob、db/dbを現す種々のマウス種、および致死イエロー(yellow)突然変異を持つマウスと交配することができる。グルコース、インスリン、脂質およびクレアチンキナーゼのような肥満症の既知の分子マーカーの血清レベルを監視し、そして試験動物におけるこの条件の指標として、そしてGDF-8ノックアウトを欠く対照動物と比較する。
【0093】
限定するわけではないが、インスリン感受性アッセイ、グルコース耐性アッセイおよび単離された筋肉アッセイによるエクスビボのグルコース取り込みを含む糖尿病/肥満症に関する機能的アッセイも、子孫のマウスに及ぼすGDF-8ノックアウトの効果を監視するために行うことができる。
【0094】
GDF-8ノックアウトおよび受け継いだ肥満症の遺伝型の両方を持つ子孫マウスにおいて、GDF-8の欠失はグルコース、インスリン、脂質およびクレアチンキナーゼのような肥満症の既知の分子マーカーの血清レベルにより測定されるように、対応する対照マウスと比較して肥満症の表現型を抑制するはずである。さらに、このような動物において糖尿病の発症はGDF-8の不在により遅れるか、または防止されるはずである。
B.種々の糖尿病モデルにおける GDF-8 ノックアウトマウスの分析
GDF-8ノックアウトは、ストレプトゾトシンのような実験用の糖尿病を誘発させることができる薬剤に供することができる。グルコース、インスリン、脂質およびクレアチンキナーゼのような分子糖尿病マーカーの血清レベルの分析をこのような動物で行い、そして例えばストレプトゾトシン−処置した野生型の対照動物と比較する。限定するわけではないが、インスリン感受性アッセイ、グルコース耐性アッセイおよび単離された筋肉アッセイによるエクスビボのグルコース取り込みを含む糖尿病/肥満症に関する機能的アッセイは、処置した、または非処置の動物に及ぼすストレプトゾトシンの効果を監視するために行うことができる。GDF-8ノックアウトマウスはそのような処置に比較的耐性であるはずであり、そして実験的糖尿病の発症は一緒に防止されるか、遅れるか、または重篤度が低いはずである。
C.肥満症/糖尿病のマウスモデルにおける GDF-8 インヒビターの効力の証明
肥満症または糖尿病に関するモデルとして役立つマウスをGDF-8インヒビターで処置して、GDF-8の阻害およびおよび対応してGLUT4に及ぼす影響がこのような動物において肥満症または糖尿病のいずれかを緩和するのかどうかを決定することができる。
【0095】
肥満症または糖尿病のいずれかのマウスは、治療的に効果的用量で1以上のGDF-8インヒビターで処置する。処置および対照マウスのGDF-8レベルは、GDF-8に特異的な抗体を使用してウエスタンブロット分析により評価することができる。グルコース、インスリン、脂質およびクレアチンキナーゼのような肥満症および糖尿病に特徴的な分子のレベルを、処置および対照動物から採った血清サンプルで評価する。限定するわけではないが、インスリン感受性アッセイ、グルコース耐性アッセイおよび単離された筋肉細胞アッセイによるエクスビボのグルコース取り込みを含む糖尿病/肥満症に関する機能的アッセイは、処置および非処置動物に及ぼすインヒビターの効果を監視するために行うことができる。同様に筋肉および脂肪細胞の分化は、このような動物で観察することができる。そのような実験の分析は、GDF-8の阻害がこのような疾患に関する動物モデルにおいて、糖尿病または肥満症の進行に及ぼす全体的効果を決定できるはずである。
【0096】
本明細書に開示したすべての特許、公開された特許出願および他の公開されている技術文献は、それらの内容全部を引用により本明細書に編入する。
【0097】
均等物
当業者は1以上の日常的な実験を使用して、本明細書に記載した本発明の具体的態様に対する多くの均等物を認識し、そして確認することができるだろう。そのような均等物は、前記の特許請求の範囲に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aは、抗-GLUT4抗体を用いた免疫染色による、野生型マウスおよびGDF-8ノックアウトマウスからの胸筋および四頭筋中のGLUT4レベルを表す。
図1Bは、抗-GLUT4抗体を用いた免疫染色による、野生型マウスおよびGDF-8ノックアウトマウスの両方の5つの異なる筋肉サンプル、胸筋、三頭筋、腹筋、四頭筋および腸肋筋中のGLUT4レベルを表す。
【図2】 図2は、抗-GLUT4抗体を用いた免疫染色による、対照マウス、GDF-8−投薬マウス、インスリン−投薬マウス、およびGDF-8こ加えてインスリンを投薬したマウスに由来する筋肉中のGLUT4レベルを表す。
【図3】 図3は、対照マウスと比較して、ヌードマウス中のGDF-8の全身性レベルの上昇と(GDF-8を発現するCHO腫瘍から分泌する)、重度の体重損失との間の相関を表すグラフである。
【図4】 図4は、GDF-8を発現しないCHO細胞腫瘍を含む対照マウスに由来する組織と比較して、ヌードマウス中のGDF-8の全身性レベルの上昇(GDF-8を発現するCHO細胞の腫瘍から分泌される)と、全体重(パネルA)、腫瘍重量(パネルB)、胸筋重量(パネルC)、精巣上体の脂肪重量(パネルD)および腹筋重量(パネルE)との間の相関を表すグラフである。
【図5】 図5は、ヌードマウス中のGDF-8を分泌するCHO細胞腫瘍のサイズを、GDF-8を発現しない対照CHO細胞腫瘍を比較したグラフである。腫瘍サイズは断面積で測定した。
【図6】 図6は、GDF-8を発現しない対照CHO細胞腫瘍を含有する対照と比較して、ヌードマウスにおけるGDF-8レベルの上昇(GDF-8を発現するCHO細胞の腫瘍から)と、血清グルコースレベル(パネルA)および筋肉中のGLUT4発現レベル(パネルB)との相関を示すグラフである。
【図7】 図7は、外から加えたGDF-8が3T3-L1脂肪細胞分化におよぼす効果を、未処置、TNF-α処置およびTGF-β1処置し比較して示す。
【図8】 図8は、GDF-8、TGFβおよびTNFαで処置した3T3-L1細胞中のGLUT4発現の低下を示すノーザンブロット分析である。各サンプルについて全細胞RNAを分画し、膜に固定化し、そしてGLUT4 mRNAに関する32Pプローブとハイブリダイズさせた。
【図9】 図9は、分化した3T3-L1脂肪細胞を異なる用量のGDF-8インヒビターが、インスリンに反応したこのような細胞のグルコースを取り込む能力を損ない、これが脱感作(desensitization)を導くことを示すグラフである。
Claims (8)
- GDF−8インヒビターを有効成分とする個体中のGLUT4発現を増加するための医薬製剤であって、GDF−8インヒビターがGDF−8のペプチドフラグメント、GDF−8に結合する抗体、またはその抗体結合フラグメントである、上記医薬製剤。
- GDF−8インヒビターを有効成分とする個体中のインスリン感受性および個体中の細胞によるグルコースの取り込みを増加するための医薬製剤であって、GDF−8インヒビターがGDF−8のペプチドフラグメント、GDF−8に結合する抗体、またはその抗体結合フラグメントである、上記医薬製剤。
- GDF−8インヒビターを有効成分とする糖尿病を処置するための医薬製剤。
- GDF−8インヒビターがGDF−8タンパク質のプロドメインに由来するペプチドフラグメントである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の医薬製剤。
- インスリン感受性およびグルコースの取り込みを、GLUT4およびGLUT1から成る群から選択されるヘキソーストランスポーターの発現をモジュレートすることにより増加させる、請求項2に記載の医薬製剤。
- 細胞が筋肉細胞またはその前駆体である、請求項2に記載の医薬製剤。
- 細胞が脂肪細胞またはその前駆体である、請求項2に記載の医薬製剤。
- 糖尿病がII型糖尿病である、請求項3に記載の医薬製剤。
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