JP4543317B2 - 不揮発性メモリのデータ制御方法 - Google Patents
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例えば、従来から行われている簡易な方法(従来例1)としては、図7(a)に示すように一個の不揮発性メモリの異なる2つの記憶領域に同一のデータ、もしくは片方の記憶領域には本来のデータを反転させたミラーデータを一対のデータとして書き込む方法がある。この場合の製品の制御時のデータの読み込みと処理のフローチャートは、図7(c)に示すように、マイコンは不揮発性メモリの異なる2つの記憶領域に書き込まれている一対のデータ、すなわち、データNo1とデータNo1(またはデータNo1のミラーデータ)を読み込み、2つのデータを比較して(S72)正常であればデータを確定して出力し、正常動作を開始する(S73)。ただし、読み込んだ2つのデータを比較して(S72)ビットエラー等の不良が発見されて不揮発性メモリの異常判定(S74)がなされても正しいデータを復元することは不可能である。
また、同様に簡易なデータエラーの識別の方法(従来例2)として、不揮発性メモリの記憶領域に書き込まれるデータにSUM値(加算値)を付与して、読み込み時にSUM値を使用してデータエラーを識別する方法(図7(b))もあるが、エラーが発見されても正しいデータを復元することは不可能である。
データの読み込みと処理のフローチャートは、図8(b)に示すように不揮発性メモリの異なる3つの記憶領域に書き込まれているデータ3個を読み込み(S81)、2つのデータを比較して(S82)正常であればデータを確定して出力し、正常動作を開始する(S83)。ただし、読み込んだデータに異常があると判定した場合には読み込まれたデータ3個について多数決処理をして(S84)正しいデータが確定されるときは正常動作を開始する(S83)ことができる。ただし、同一データがないときは不揮発性メモリの異常判定(S85)がなされることとなる。
また、図10に示す方法(従来例5)は、マイコン内のRAMにデータが保持される構成の場合で、不揮発性メモリの2つの記憶領域に書き込まれている2個のデータを読み込み、RAMに保持されている1個のデータと多数決処理を行うことで、データエラーを識別するとともに、データを復元して出力することが可能な構成となっているがRAMのデータを保持するためにマイコンには常時電源(スタンバイ電源)を印加しておく必要がある。
また、従来例3、4及び5の場合は、データエラーが一部のデータにとどまる限り、正しいデータを復元して出力することができる。しかし、従来例3のように1つの不揮発性メモリから3個以上のデータを毎回読み込み比較する構成では、データ確定まで時間がかかるという問題がある。
従来例4の場合は、3個以上のデータを毎回読み込み多数決処理する構成なので、3個以上の不揮発性メモリから平行して読み込むことが出来ればデータ確定までの時間は短くすることが出来るが、3個以上の不揮発性メモリを持つことになるのでコストが上昇する。
従来例5の場合は、RAMに常時電源を加えておく必要があるのでスタンバイ電源を持つシステムでしか使用できないという問題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、不揮発性メモリを使用したデータの書き込み、読み出し及び読み出したデータの処理において、高信頼性を確保しつつ高速でデータの読み出し及び処理を行い、かつ、コストを低減した不揮発性メモリのデータ制御方法を提供することをその目的としている。
もし、1組目として読み出した2個のデータを比較してデータエラーが発見されたときは、さらに2組目の2個のデータを読み出し、比較し判定を行う。データエラーがなければ読み出した2組目のデータは正常であると確定して外部に出力されてデータの読み込みと確定作業は終了する。
このように、データエラーが発見されたときは、順次次の組の2個のデータを読み出し、比較する作業を繰り返し、不揮発性メモリに記憶されている全てのデータに異常があると判定されたときは、不揮発性メモリデータ異常の判定がなされる。
さらに、従来例3及び4のように3個のデータを常時読み出し多数決処理を行うものではなく、通常は2個のデータを読み出し比較、判定する構成なので、データ確定に要する時間を大幅に短縮できる。その結果、例えばエンジンの制御部に使用するものであれば車両起動に要する時間を短縮できるという効果が期待できる。
また、本構成は次の効果もある。すなわち、不揮発性メモリは書き込み、読み出しのアクセスの回数により劣化が促進され、データエラーが発生し易くなる。本発明の特徴は、通常は1組目のデータにアクセスすることでデータの読み出し、確定が終了することがほとんどで2組目以降のデータにアクセスすることは少ない。従って、2組目以降のデータはアクセスによる劣化がほとんど無いため、従来方式(例えば、3つのデータに毎回アクセスする従来例3及び4など)に比較して不揮発性メモリチップの寿命が長くなるメリットがある。さらにまた、マイコンの演算部が不揮発メモリのメモリ領域から読み出す2個のデータの各組の組み合わせは、図4に示すようにメモリ領域に記憶されている1個のデータをその他の全てのメモリ領域に記憶されているデータと順に2個ずつ組み合わせて、各組を構成するので、n個のメモリ領域にデータを格納した場合、データの読み出し時の組数はn(n−1)/2と非常に多くなる。従って、所定数のデータ組を確保するために必要とされるメモリ容量は相対的に少ないものですむこととなる。
なお、本発明でいうメモリ領域とは、不揮発性メモリにおいてデータの書き込み、読み出しが行われる最小の記憶単位を意味している。
本構成によれば、メモリ領域に格納されているデータが不良となった場合、正常なデータが確定され次第、直ちにデータ不良の組のデータが書き換えられ正しいデータに更新されるので、次回のデータ読み出し時にはデータ確定までの処理時間を短縮することができる。
(実施の形態1)図1は、本発明の不揮発性メモリのデータ制御方法が適用される装置の概略の構成を示す一例であって、1は車載機器を電子制御する制御装置(ECU)で、2は制御装置の制御対象である車載機器(例えば、エンジンやバッテリ)である。3は学習値等のデータを不揮発性メモリに書き込み、読み出し及び読み出したデータの比較判定を行う演算部を有するマイコン4を備え、かつ、車載の各種センサ(図示せず)の検出信号を入力し、車載機器2を制御する制御信号を発するマイコン装置である。5は学習値等のデータが記憶され、電源がOFF(イグニッションキーがOFF)のときでもデータの記憶が保持される不揮発性メモリである。
図3の構成は、不揮発性メモリ5の記憶部である各メモリ領域に車載機器2の制御用学習データである同一のデータNo1(又はデータNo1のミラーデータ)がマイコン4によって書き込まれたものである。
また、メモリ領域とは、前述したように不揮発性メモリにデータの書き込み、読み出しを行うときの最小の記憶単位をさしている。
そして、読み出し時における2個のデータを一対とした組の構成は図3に示すようにアドレス番号順に組を構成したものである。従って、メモリ領域がn個あれば、データ組数はn/2組できることとなる。
ただし、読み出した1組目のデータを比較し、データエラーがあり異常であると判定されたときは、ステップ24に進み、2組目のデータ(データ組2のデータ)を読み出し、ステップ25で2組目のデータの比較判定がなされる。2組目のデータにデータエラーがなく正常であればデータは正常であると確定してステップ23に進み、データの読み出しと比較判定の処理作業は終了する。しかし、2組目のデータでも異常判定がなされたときは、ステップ26においてデータ組の順番を判定し、ステップ24に進むかステップ27に進むかを決定する。このようにして、順次各組のデータの読み込みと判定を繰り返し格納されている最終のデータ組まで異常判定がなされた場合には、ステップ27において不揮発性メモリデータ不良が確定し、データの読み出しと比較判定の処理作業は終了する。
従って、実施の形態1の構成によれば、正常データ確定に必要な不揮発性メモリへのアクセス回数を最低限におさえ、データの読み出し及びデータ処理時間を短縮することが出来る。
図4に示す方法(データ組の構成方法2)は、不揮発性メモリ5の各メモリ領域に同一のデータNo1(又はデータNo1のミラーデータ)を書き込むことは図3に示す方法と同じであるが、読み出し時における2個一対の組の構成は図4に示すように、一つのメモリ領域に格納されているデータが他の全てのメモリ領域に格納されているデータと対となるように全ての組み合わせで2個一対の組を構成するもので、n個のメモリ領域(記憶されたデータの数)からは、n(n−1)/2組のデータ組数を作ることができ、少ないメモリ容量で多くのデータ組を構成することができる。
また、図5に示す方法(データ組の構成方法3)は、互いに隣接する2個のデータを一対としてデータ読み出し時のデータ組を構成したものでn個のメモリ領域から(n−1)組のデータ組数を作ることができる。
なお、データ組の構成方法は、上記のデータ組の構成方法1〜3の方法に限定されるものではなく、不揮発メモリのメモリ容量を考慮して決定されるべきもので、データ読み出し時に2個のデータが順次読み出せるものであれば、その他の構成方法を実施することができる。
この構成において、マイコン4が不揮発性メモリ5に格納されているデータを2個1組として読み出し、比較判定を行い、正常データ確定まで順次データ読み出しと比較判定を繰り返すことは、実施の形態1の場合と同じであるが、正常データ確定後、データ異常であった組のデータを新しく正しいデータを書き込むことにより更新する機能(S66)を備えたものである。実施の形態2の構成では実施の形態1の場合に比較して、次回の製品起動時のデータ読み込み、正常データ確定までのデータ処理時間を短縮出来る効果がある。
実施の形態1から実施の形態2への変更は、回路変更等のハードウエアの変更は必要なく、ソフトウエアの変更のみで対応可能である。
なお、このときの不揮発性メモリ5に格納されたデータの読み出し時のデータ組の構成は、図3〜5に示す方法のいずれを用いてもよいし、また、データ読み出し時に2個のデータが順次読み出せるものであれば、その他の構成方法を用いることができるのは、実施の形態1の場合と同様である。
2:車載機器
3:マイコン装置
4:マイコン(演算部)
5:不揮発メモリ
Claims (2)
- 車両に搭載された車載機器を制御するための学習値を表すデータを書き込み、および読み出しをすることが可能な複数のメモリ領域を有する不揮発性メモリと、
該データを該メモリ領域に書き込み記憶させるとともに、記憶されている該データを該メモリ領域から読み出し、読み出した前記データが正常であるか否かを比較判定する演算部を有するマイコンと、を備える該車載機器の制御装置において、
同一の前記データを複数の前記メモリ領域に書き込み、前記データを前記演算部が読み出すときは、最初に2個の前記データを1組目として読み出し、読み出した2個の前記データを比較し、データエラーがないと判定したときは前記データを正常であると確定して外部に出力し、前記データにデータエラーがあると判定したときは、2組目の2個の前記データを読み出し、読み出した2組目の2個の前記データを比較判定し、前記データが正常であると確定するまで前記メモリ領域から順次各組のデータを読み出し、比較判定を実施するものであり、
前記演算部が前記メモリ領域から読み出す2個の前記データの各組の組み合わせは、前記メモリ領域に記憶されている1個の前記データをその他の全ての前記各メモリ領域に記憶されている前記データ1個と順に組み合わせて2個とし、各組を構成することを特徴とする不揮発性メモリのデータ制御方法。 - 前記演算部が前記メモリ領域から組を構成している2個の前記データを読み出し、比較し、該データにデータエラーがあると判定したときは、前記データが正常であると確定した後に、データエラーがあると判定された組の該データを正常な該データに更新する書き込みを行うことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性メモリのデータ制御方法。
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