JP4537678B2 - 2’−(1h−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶およびその製造方法 - Google Patents

2’−(1h−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、医薬品、特に非ペプチド系アンジオテンシンII拮抗剤の有用な合成中間体である、2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶およびその製造方法に関する。
2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒドは、降圧剤であるアンギオテンシンII拮抗剤の合成中間体として有用である(特許文献1参照)。
医薬品は安全性の確保のため不純物を厳格に管理しなければならず、合成中間体としての2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒドにおいても高純度のものが要求される。
特に2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒドは溶液状態で酸化されやすく、生成した2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボン酸を不純物として含有し、純度が低下するという問題がある。
2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒドの製造方法として、以下のスキームに示される方法が知られている(特許文献1参照)。
Figure 0004537678
しかしながら、臭素化剤として用いているN−ブロモコハク酸イミド(NBS)、原料の4−ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタール、触媒として用いているジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が高価である上に、工程数も多く、さらには収率も不十分であるため、工業的製法として満足できるものではなかった。
また、得られた2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒドはその酸化体である2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボン酸等の不純物を含み、医薬品の合成中間体として満足できる純度の高い2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒドを得ることは困難であった。
特開平5−271205号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、安価な試剤を用い、短い工程で、収率良く高純度の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶を工業的に製造し得る方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒドと、安価な有機塩基アジドまたは無機塩基アジド等のアジド塩とを反応させることにより、2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒドを高い収率で得られることを見出した。さらには、高純度の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶を効率的に得る方法を見出すと共に、当該方法で得られる結晶が新規な物性値を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒドを、アジド塩と反応させる工程〔以下、工程(c)ともいう。〕を含むことを特徴とする、2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶の製造方法。
(2)アジド塩が有機塩基アジドである、上記(1)記載の製造方法。
(3)有機塩基アジドが、無機塩基アジドと有機塩基塩とから反応系中で調製された有機塩基アジドである、上記(2)記載の製造方法。
(4)2’−シアノ−4−メチルビフェニルを臭素化して得られる2’−シアノ−4−(ブロモメチル)ビフェニルおよび/または2’−シアノ−4−(ジブロモメチル)ビフェニルを、ヘキサメチレンテトラミン、酢酸および水と反応させることにより得られる2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒドを使用する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)ラジカル開始剤および酸化剤の存在下、臭素によって臭素化を行う、上記(4)記載の製造方法。
(6)粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶を、テトラヒドロフランから結晶化させる工程〔以下、単に結晶化工程ともいう。〕を含むことを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボン酸を実質的に含まない高純度2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶。
(8)XRDにおいて、2θが9.2、20.6、25.7および26.9に主ピークを有する、高純度2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶。
本発明の方法は、医薬品の合成中間体として有用な2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶を短い工程で、高収率かつ高純度に製造し得るので、工業的に有利である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、下記スキームに示されるように、式(I)で示される2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒドを、アジド塩と反応させる工程(c)を含み、さらに、必要に応じて、工程(c)で得られる粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶を、テトラヒドロフランから結晶化させる結晶化工程を含む、2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶の製造方法である。
Figure 0004537678
1.工程(c)
工程(c)は、例えば溶媒中に、2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒドとアジド塩とを加え、加熱攪拌することで実現される。
工程(c)に使用されるアジド塩としては、無機塩基アジドと有機塩基アジドとを問わず、制限なく使用することができる。
無機塩基アジドとしては、例えばナトリウムアジド、カリウムアジド、セシウムアジド等が挙げられ、ナトリウムアジドが安価であることから好ましい。
有機塩基アジドとしては、例えばトリエチルアンモニウムアジド、トリn−プロピルアンモニウムアジド、トリn−ブチルアンモニウムアジド等が挙げられ、好ましくはトリエチルアンモニウムアジド、トリn−プロピルアンモニウムアジド等が挙げられる。
アジド塩の使用量は、2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒド1モルに対し、2.5モル〜3.5モルが好ましく、2.5モル〜3.3モルがより好ましい。アジド塩の使用量がこの範囲より少ないと反応が完結しない傾向があり、この範囲より多いと過剰のアジド塩を分解するため、後掲の亜硝酸塩等がより多く必要となるため好ましくない。
アジド塩としては、溶媒への溶解性の観点から有機塩基アジドが好ましく、さらに有機塩基アジドは反応系中において、無機塩基アジドと有機塩基塩とから調製させるのがさらに高収率が得られることから好ましい。
溶媒中に2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒドと共に、無機塩基アジドと有機塩基塩を添加することによって反応系中内に有機塩基アジドを調製することができる。
有機塩基アジドを調製する場合、無機塩基アジドとしてはナトリウムアジドが好ましく、有機塩基塩としては、トリエチルアミン塩酸塩、トリn−プロピルアミン塩酸塩、トリn−ブチルアミン塩酸塩等のトリアルキルアミンの無機酸塩が好ましい。
有機塩基アジドを調製する場合の無機塩基アジドの使用量は、上記のアジド塩の使用量と同様であり、有機塩基塩の使用量は、無機塩基アジド1モルに対し0.8モル〜1.5モルが好ましく、1モル〜1.2モルがより好ましい。有機塩基塩の使用量がこの範囲より少ないと、反応系中に有機塩基アジドが充分に調製されない虞があり、多い場合、反応系中の固形分が多くなり、充分に攪拌できなくなる虞がある。
工程(c)に使用される溶媒としては、当該反応を阻害しないものであれば特に限定はなく、例えばモノクロルベンゼン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸ブチル、ジグライム、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドなどを単独または混合して使用することができ、好ましくはモノクロルベンゼン、酢酸ブチルが挙げられる。
溶媒の使用量としては、2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒド1モルに対して通常1000g〜2000gであり、より好ましくは1200g〜1500gである。
工程(c)の反応温度は、通常90℃〜120℃、好ましくは100℃〜115℃の範囲である。反応時間は、通常6時間〜12時間である。
工程(c)の反応終了後においては、危険性が高い過剰のアジド塩を分解処理する必要がある。アジド塩の分解法としては、亜硝酸で分解する方法が好ましい。
亜硝酸を使用する場合、亜硝酸塩と酸とから亜硝酸を調製するのが好ましい。
具体的には、工程(c)の反応終了後、反応混合物を冷却し、亜硝酸塩および酸を添加することにより、反応系中に亜硝酸を調製することができる。
亜硝酸塩としては、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム等が挙げられ、亜硝酸ナトリウムが経済性の観点より好ましい。
亜硝酸を生成させるための酸としては、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸が挙げられ、塩酸が好ましい。
酸により亜硝酸を生成させる際には、酸により反応系のpHを調整するのが好ましい。この際のpHは、pH3〜7に調整するのが好ましく、pH4.5±0.5に調整することが、不純物の生成の防止または安全性の観点からより好ましい。
アジド塩の分解の際には、反応を円滑に進め、不純物の生成を抑制するために、親水性の溶媒を加えることが望ましい。親水性の溶媒としては、テトラヒドロフラン、アセトン等が挙げられ、テトラヒドロフランが好ましい。
親水性溶媒の使用量は、2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒド1モルに対して、1500g〜2500g、好ましくは1800g〜2200gである。アジド塩の分解温度は、通常10〜40℃である。
工程(c)で得られた2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒドは、通常の単離法(濃縮、抽出等)により単離することができるが、以下の方法により、粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶を単離するのが好ましい。
ここで、「粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶」とは工程(c)で単離される結晶をいい、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析したとき、面積百分率90%〜95%程度のものである。
アジド塩の分解処理終了後、水層を分液除去し、有機層を結晶が析出しない程度に濃縮し、添加した親水性溶媒を除去する。
その後混合物を徐々に(冷却速度10℃/時間程度)で冷却することによって結晶を析出させ、0〜5℃付近で2時間〜40時間程度熟成する。析出した結晶を濾過、洗浄、乾燥することによって、粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶を単離することができる。
2.結晶化工程
工程(c)で得られた粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶は、酸化体である2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボン酸等を不純物として含んでいるため、医薬品の合成中間体としては純度が低く、さらに精製する必要がある。
粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶は、テトラヒドロフランから結晶化させることにより、含まれる不純物を効果的に除去することができ、特に主要な不純物である2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボン酸を実質的に含まない高純度2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶(以下、単に「高純度結晶」ともいう。)を得ることができる。
高純度結晶において、「2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボン酸を実質的に含まない」とは、HPLCで分析した場合、2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボン酸の面積百分率が0.1%以下であることをいい、「高純度2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶」とは、2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒドの面積百分率が99.5%以上のものをいう。
結晶化工程は、粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶をテトラヒドロフランに溶解させた後に、攪拌下、徐々に冷却して結晶を析出させ、さらに熟成させることにより行うことができる。
結晶化工程において、テトラヒドロフランの使用量は、粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶100重量部あたり、480〜700重量部が好ましく、490〜650重量部がより好ましい。この範囲より少ないと完全に溶解させることが困難になるため不純物が残りやすくなり、多いと回収率が低くなる傾向がある。
粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶をテトラヒドロフランに溶解させる温度は、55℃〜68℃の範囲が好ましい。
粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶をテトラヒドロフランに溶解させた後、そのまま結晶を析出させてもよいが、析出前に夾雑物を除くために熱時濾過してもよい。
冷却して結晶を析出させる際には、結晶成長を安定化させ、不純物の除去効果を向上させるために種結晶[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド]を添加するのが好ましい。
添加する種結晶の量は、粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶の0.01〜1重量%,好ましくは0.05〜0.3重量%程度である。
種結晶を添加する温度は、50℃〜55℃が好ましい。種結晶を添加すると直ちに結晶が析出するため、同温にて2〜6時間攪拌するのが好ましい。この段階で、全量の70〜95%程度の結晶が析出する。
収率よく結晶化させるためには、さらに0〜5℃程度まで冷却する必要があり、10℃/時間程度の冷却速度で同温まで徐々に冷却するのが好ましい。
さらに収率を向上させるために、0〜5℃で熟成させることが好ましく、熟成時間は6時間〜12時間である。
析出した結晶を濾過する際、結晶の再溶解を防ぐため冷却下(具体的には0〜5℃)で濾過するのが好ましく、濾過後の洗浄における洗浄溶媒も同温に冷却したものを用いるのが好ましい。
洗浄溶媒としては、テトラヒドロフランまたはアセトニトリルが挙げられるが、テトラヒドロフランは濾過時に結晶が溶解する虞があるため、アセトニトリルが好ましい。
洗浄溶媒の使用量は、粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド100重量部あたり30〜80重量部が好ましく、40〜60重量部がより好ましい。
濾過、洗浄した結晶は、減圧下50℃以下、好ましくは40〜48℃で乾燥することにより、「高純度結晶」を得ることができる。
結晶化工程で得られた結晶は、2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボン酸を実質的に含まない高純度なものであり、HPLC面積百分率が99.5%以上である。
また当該高純度結晶は、新規な物性値を示す。
例えば、DSC(示差走査熱量計)において195℃付近の吸熱ピークを示し、XRD(粉末X線回析)において、回析角2θ(°)が9.2、20.6、25.7および26.9に主ピークを有する。
なお、本発明において、DSCはShimadzu DSC‐60(島津製作所社製)で測定した値を示し、XRDはRigaku ミニフレックス(理学電機社製)で測定した値を示す。
「DSCにおいて195℃付近の吸熱ピークを示す」とは、高純度結晶をShimadzu DSC‐60で分析したとき、190〜200℃のいずれかの温度において単一の吸熱ピークを示すことをいい、より好ましくは195℃または199℃のいずれかの温度において単一の吸熱ピークを示すことをいう。
工程(c)の原料である2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒドは、公知の方法(例えば、Synlett (2001), (12), 1893-1896,Organic Letters (2001), 3(10), 1435-1437,特開平11−171802,Journal of the American Chemical Society (1995), 117(48), 11999-2000,Tetrahedron Letters (1994), 35(50), 9391-4,EP 606065 A1,US 53807,EP 443983 A1,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters (1993), 3(12), 2667-70等に記載の方法)によって製造されたものを用いることができるが、以下の反応スキームに示す方法によって製造するのが好ましい。
Figure 0004537678
すなわち、2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒドは、2’−シアノ−4−メチルビフェニルを臭素化して2’−シアノ−4−(ブロモメチル)ビフェニルおよび/または2’−シアノ−4−(ジブロモメチル)ビフェニルを製造する工程(a)と得られた2’−シアノ−4−(ブロモメチル)ビフェニルおよび/または2’−シアノ−4−(ジブロモメチル)ビフェニルをヘキサメチレンテトラミン、酢酸および水と反応させる工程(b)により製造することができる。
工程(a)の臭素化において、モノブロモ体の2’−シアノ−4−(ブロモメチル)ビフェニルを製造する際、ジブロモ体である2’−シアノ−4−(ジブロモメチル)ビフェニルが副生するが、工程(b)においては、ヘキサメチレンテトラミンとの反応により、2’−シアノ−4−(ブロモメチル)ビフェニルと2’−シアノ−4−(ジブロモメチル)ビフェニルの両方とも2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒドに変換することができ、臭素化反応を厳格に制御する必要がないので有利である。
3.工程(a)
工程(a)において臭素化は種々な方法で行うことできる。例えば、ラジカル開始剤の存在下、N−ブロモコハク酸イミドや臭素などの臭素化剤との組合せで行うことができるが(特開平8−127562号公報参照)、本発明者らが提案する、ラジカル開始剤および酸化剤の存在下、臭素と反応させる方法〔以下、工程(a−1)ともいう。〕が好ましい。
工程(a−1)では、酸化剤を共存させることにより、臭素化により副生する臭化水素を臭素に再生できるため、臭化水素による反応の阻害を防ぐことができ、また、臭素の使用量も低減できるため経済的に有利である。以下に、工程(a−1)について説明する。
工程(a−1)は、例えば溶媒中、2’−シアノ−4−メチルビフェニルを、ラジカル開始剤と酸化剤の存在下、臭素と反応させることにより達成される。試薬の添加順序は特に限定はないが、操作性の観点から、溶媒中にあらかじめ仕込んだ2’−シアノ−4−メチルビフェニル、ラジカル開始剤および酸化剤の混合物に、臭素とラジカル開始剤またはそれらの溶液を同時に添加する順序で行うことが好ましい。また、反応を円滑に進行させるために、反応混合物を攪拌下に行うことが好ましい。
工程(a−1)において、臭素の使用量は、2’−シアノ−4−メチルビフェニル1モルに対して、0.4〜0.9モル、好ましくは0.75〜0.85モルである。臭素の使用量がこの範囲より少ない場合は、未反応原料が残存しやすくなり、次工程の収率が低下する傾向がある。
工程(a−1)における原料である2’−シアノ−4−メチルビフェニルは、公知の方法、例えば、J.Med.Chem.1991,34,2525−2547、特開平4−244080号公報、特開平4−253949号公報、特開平6−9536号公報に記載の方法等により製造することができる。
ラジカル開始剤としては、アゾビス系化合物、過酸化物等のラジカル開始剤が用いられる。具体的にはアゾビス系化合物として、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル);過酸化物として過酸化ジベンゾイル、過酸化ジt−ブチル等が挙げられ、好ましくは、 2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が挙げられ、特に好ましくは2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)が挙げられる。
ラジカル開始剤の使用量は、原料である2’−シアノ−4−メチルビフェニルに対して、0.1〜10モル%、好ましくは1〜4モル%である。ラジカル開始剤の使用量が、2’−シアノ−4−メチルビフェニルに対して0.1モル%未満である場合は、反応が遅くなる傾向があり、10モル%を越える場合は、それに見合う効果が小さくなり、工業的に不利になる傾向がある。
酸化剤としては、取扱いが比較的安全である酸化剤、例えば臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム等の臭素酸塩;塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム等の塩素酸塩が挙げられ、好ましくは、臭素酸ナトリウムが挙げられる。
酸化剤の使用量は、副生する臭化水素を臭素に再生するために必要な理論量またはその僅かに過剰量であればよく、原料である2’−シアノ−4−メチルビフェニルに対して、10〜30モル%、好ましくは17〜25モル%である。酸化剤の使用量が、2’−シアノ−4−メチルビフェニルに対して10モル%未満である場合は、臭素が充分に再生されず、収率が低下する傾向があり、30モル%を越える場合は、それに見合う効果が小さくなり、工業的に不利になる傾向がある。
本発明で用いられる溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、炭素数5〜7のアルカン、脂肪族エステル等が挙げられ、具体的には塩化メチレン、エチレンジクロライド、四塩化炭素、モノクロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ブロモベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等が挙げられ、モノクロルベンゼンが好ましい。
当該溶媒の使用量は、原料である2’−シアノ−4−メチルビフェニルに対して通常0.5〜20倍重量、好ましくは1〜20倍重量、より好ましくは1〜15倍重量である。この範囲より少ないと攪拌効率が悪くなる傾向があり、この範囲より多いと反応が遅くなるなど工業的に不利な傾向がある。
工程(a−1)における反応の系中に、水を含有させることが好ましい。水を含有させることにより、攪拌効率が飛躍的に向上し、反応を円滑に進行させることができる。水の含量は、酸化剤に対して1〜4倍重量が好ましく、1.5〜2.5倍重量がより好ましい。
工程(a−1)の反応温度は、ラジカル開始剤等によって異なるが、通常は50〜100℃、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜85℃である。なお、ラジカル開始剤は、光照射によりラジカルを生成させることもできる。その場合、水銀ランプ等を用いて行うことができる。また、反応時間も上記の各種反応条件に応じて適宜定められる(例えば、3〜10時間程度)。
工程(a−1)で得られる2’−シアノ−4−(ブロモメチル)ビフェニルおよび/または2’−シアノ−4−(ジブロモメチル)ビフェニルは、定法により反応混合物からそれぞれ単離精製することができる。例えば、無機塩を濾過等により除去した後、必要に応じて、溶媒を留去し、適当な別の溶媒で結晶化させる等により行うことができる。また、特に単離精製をせず、反応混合物として次工程に供してもよい。
4.工程(b)
工程(b)では、例えば溶媒中、工程(a)で得られる2’−シアノ−4−(ブロモメチル)ビフェニルおよび/または2’−シアノ−4−(ジブロモメチル)ビフェニル〔以下、ブロモ体等ともいう。〕を、ヘキサメチレンテトラミン、酢酸および水と反応させることにより、2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒドを製造することができる。
原料のブロモ体等は、単離精製したものを用いてもよいし、工程(a)の反応溶液をそのまま用いてもよい。
以下に、単離精製したブロモ体等を用いる場合〔以下、工程(b−1)ともいう。〕と、工程(a)の反応混合物を用いる場合〔以下、工程(b−2)ともいう。〕について、それぞれ説明する。
4−1.工程(b−1)
工程(b−1)において使用する溶媒としては、工程(a)で使用された溶媒の他、エタノール等が挙げられる。溶媒の使用量は、ブロモ体等に対して2〜3重量倍使用する。
工程(b−1)において水は、反応試薬以外にも溶媒としても機能し、ブロモ体等1モルに対して500g〜600g用いられる。
酢酸も、水と同様に溶媒としても機能し、ブロモ体等1モルに対して400g〜500g用いられる。
ヘキサメチレンテトラミンの使用量は、ブロモ体等1モルに対して、1.5モル〜3モルであり、好ましくは1.8モル〜2.5モルである。
反応温度は、80〜103℃、好ましくは90〜100℃である。
反応時間はHPLCで原料の面積百分率が0.5%以下になった時点を終点とすればよく、通常8〜14時間である。
4−2.工程(b−2)
工程(b−2)において使用する溶媒としては、工程(a)で使用された溶媒の他、エタノール等が挙げられる。工程(a)で使用された溶媒を含む溶媒の総使用量は、工程(a)で使用した2’−シアノ−4−メチルビフェニル1モルに対して800g〜1000g、好ましくは850g〜900gである。
工程(b−2)において水は、反応試薬以外にも溶媒としても機能し、工程(a)で使用した2’−シアノ−4−メチルビフェニル1モルに対して200g〜350g、好ましくは250g〜300g用いられる。
酢酸も、水と同様に溶媒としても機能し、工程(a)で使用した2’−シアノ−4−メチルビフェニル1モルに対して350g〜500g、好ましくは400g〜450g用いられる。
ヘキサメチレンテトラミンの使用量は、工程(a)で使用した2’−シアノ−4−メチルビフェニル1モルに対して、2モル〜4モルであり、好ましくは2.5モル〜3.5モルである。
反応温度は、80〜103℃、好ましくは90〜100℃である。
反応時間はHPLCで原料の面積百分率が0.5%以下になった時点を終点とすればよく、通常10〜14時間である。
工程(b−1)または工程(b−2)で得られる2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒドは、定法により単離(例えば濃縮、抽出等)及び精製(例えば再結晶、シリカゲルクロマトグラフィー等)することができるが、以下の方法で処理することによって、単離精製することができる。
反応終了後85〜95℃で静置することにより、水層を分液、除去し、希アルカリ性水溶液(例えば、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液等)でpH7〜8に調整し、有機層を洗浄する。静置後、水層を分液、除去し、有機層を濃縮して、残渣をモノクロロベンゼン、トルエン、酢酸エチル等から再結晶することにより2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒドを精製することができる。
モノクロロベンゼンを反応溶媒として使用している場合は、有機層を一部濃縮することによって、モノクロロベンゼンから2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒドを結晶化させるのが好ましい。
その場合、モノクロロベンゼンの量が、原料であるブロモ体等または2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒド1モルに対し、580g〜630gの範囲になるように濃縮すればよい。
本発明により製造される高純度2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶は、例えば前記特許文献1記載の方法等により、高品質のアンジオテンシンII拮抗剤に導くことができる。
以下、本発明について、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
なお、NMR(核磁気共鳴スペクトル)は、JNM−AL400(日本電子社製)で測定した値を示し、IR(赤外線吸収スペクトル)は、PerkinElmer Spectrum1000(パーキンエルマー社製)で測定した値を示す。
実施例1:2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒド
モノクロルベンゼン(1000g)に2’−シアノ−4−(ブロモメチル)ビフェニル(400g,1.47mol)を加え、ついで水(812g)、ヘキサメチレンテトラミン(412g,2.94mol)および酢酸(618g,10.29mol)を加えた後、93℃で9時間攪拌した。85〜90℃で1時間静置し、分液した。有機層に水(795g)を加え、ついで10%炭酸カリウム水溶液(684g)を加えてpHを7〜8に調整した。1時間静置後、分液した。22.7〜33.3kPaの減圧下、85〜95℃でモノクロルベンゼンを142ml留去した。70℃で2時間攪拌して結晶を成長させた後、10℃/時間の速度で0〜5℃に冷却し、同温で5時間攪拌した。濾過し、約5℃に冷却したモノクロルベンゼン(400g)で結晶を洗浄、約60℃で乾燥して表題化合物(235.6g)を得た。収率77.3%
1H−NMR(400MHz,CDCl3,δppm) 7.5(2H, m,Ph), 7.6(1H, m,Ph), 7.7(2H, d, Ph), 7.8(1H, m,Ph), 8.0(2H, d,Ph), 10.1(1H, s,CHO).
IR(KBr)ν 2224, 1687cm-1
実施例2:2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒド
モノクロルベンゼン(450g)に2’−シアノ−4−メチルビフェニル(300g,1.55mol)を加え、臭素酸ナトリウム(50.1g,0.33mol)を95.3gの水に溶解した溶液を加えた。2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(2.0g,0.01mol)をモノクロルベンゼン(10g)に溶解し、75℃〜85℃で先の溶液に加えた後、直ちに2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(89g,0.05mol)をモノクロルベンゼン(48.8g)に溶解した溶液と臭素(198.5g,1.24mol)を70〜80℃で夫々同時に滴下した。2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の溶液は約0.22g/分、臭素は約0.73g/分の速度で滴下した。70〜75℃で5時間攪拌し、HPLC分析条件(1)で原料が面積百分率1%以下となったことを確認し、2’−シアノ−4−ブロモメチルビフェニルと2’−シアノ−4−ジブロモメチルビフェニルの混合溶液を得た。HPLC分析条件(1)で分析すると面積百分率で2’−シアノ−4−(ブロモメチル)ビフェニルは63.6%、2’−シアノ−4−(ジブロモメチル)ビフェニルは36.2%、原料の2’−シアノ−4−メチルビフェニルは0.2%であった。
モノクロルベンゼン(720g)に水(420g)、酢酸(662g)及びヘキサメチレンテトラミン(653g,4.66mol)を加えた後、上記で得られた2’−シアノ−4−メチルビフェニルの臭素化反応溶液を加え、上記反応容器をモノクロルベンゼン(120g)で洗浄し、反応液に加えた。約90℃で11時間攪拌した。85〜90℃で1時間静置し、水層を分液、除去した。有機層に水(840ml)を加え、10%炭酸カリウム水溶液(540g)でpHを7.8に調整し、静置した。水層を分液、除去した後、40〜50kPaの減圧下、85〜95℃でモノクロルベンゼンを150ml留去した。
75℃に冷却し、種結晶を加えた後、同温で2時間攪拌した。10℃/時間の速度で冷却し、8〜12℃で6時間熟成した。濾過し、約5℃に冷却したモノクロルベンゼン(420g)で結晶を洗浄、約60℃で乾燥して、表題化合物(250.9g)を得た。収率78%
HPLC分析条件(1)
カラム:SUMIPAX−ODS−A212,内径6mm,長さ15cm(住化分析センター社製);移動相:A液:0.1%酢酸水,B液:メタノール,A:B=4:6→0:10(40分,直線濃度勾配),流速:1.0 ml/分,検出:λ=254nm.
実施例3:粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶
モノクロルベンゼン(8510g)に2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒド(1294g,6.24mol)とトリエチルアミン塩酸塩(2579g,18.73mol)を加え、窒素雰囲気下でアジ化ナトリウム(1218g,18.73mol)を加えて約110℃に加熱、攪拌した。HPLC分析条件(2)で原料が面積百分率1.0%以下となった時点で約10℃に冷却した。テトラヒドロフラン(12.64kg)、水(4.79kg)を加え、ついで15%亜硝酸ナトリウム水溶液(5.745kg,12.49mol)を加えた。17.5%塩酸(7.03kg)を滴下し、pHを5.0±0.1に調整した。
静置後、水層を分液、除去し、有機層を40〜45kPaの減圧度、35〜45℃で濃縮した。留出液が12.2kg(残液量として10%w/w程度)となった時点で濃縮を終了し、10℃/時間の速度で0〜5℃まで冷却し、同温で5時間熟成した。濾過、0〜5℃に冷却したモノクロルベンゼン(1294g)で結晶を洗浄し、減圧下(約8kPa)、50℃以下で乾燥し、表題結晶(1250g)を得た。収率80.0%
得られた粗製の結晶をHPLC条件(2)で分析したところ、面積百分率96.1%であり、また、不純物の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボン酸の面積百分率は0.73%であった。
HPLC分析条件(2)
カラム:SUMIPAX−ODS−A212,内径6mm,長さ15cm(住化分析センター社製);移動相:A液:0.1%酢酸水,B液:アセトニトリル,A:B=7:3→4:6(40分,直線濃度勾配→A:B=4:6で10分間保持),流速:1.0 ml/分,検出:λ=254nm.
実施例4 2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒドの高純度結晶
テトラヒドロフラン(7736g)に粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド(1250g,5.00mol)を加えて、窒素雰囲気下で約65℃に加熱した。溶解を確認した後、濾過し、テトラヒドロフラン(57.6g)で洗い込んだ。約55℃で2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒドの結晶(1.4g)を添加し、窒素雰囲気下で50〜55℃で3時間保温し、10℃/時間の速度で0〜5℃まで冷却した。同温で6時間熟成し、ろ過、0〜5℃に冷却したアセトニトリル(498g)で結晶を洗浄した。48〜50℃の温度で乾燥し、表題結晶(1000g)を得た。精製収率80%
得られた高純度結晶をHPLC条件(2)で分析したところ、面積百分率で99.5%であり、2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボン酸のピークは検出されなかった。
DSC(示差走査熱分析):
Shimadzu DSC‐60(島津製作所社製)で得られた高純度結晶をDSC分析したところ、195℃の吸熱ピークを有することが分った。
XRD(粉末X線回析):
以下の条件で、得られた高純度結晶のXRD分析を行った。
装置 :Rigakuミニフレックス(理学電機社製)
フィルター :Kβフィルター
波長 :Kα1
XGターゲット :Cu
スリット :発散スリット
高純度結晶は、2θが9.2、20.6、25.7および26.9に主ピークを示すことが分った。
実施例5:粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶
モノクロルベンゼン(50g)に2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒド(10g,0.05mol)とトリエチルアミン塩酸塩(19.9g,0.14mol)を加え、窒素雰囲気下でアジ化ナトリウム(9.4g,0.14mol)を加えて約105℃に加熱攪拌した。HPLC分析条件(3)で原料が面積百分率0.8%となった時点で25℃に冷却した。テトラヒドロフラン(98g)と水(37g)を加え、ついで15%亜硝酸ナトリウム水溶液(44.4g,0.1mol)を加えた。17.5%塩酸(54.3g)を滴下して加え、pHを4.0に調整した。
静置後、水層を分液、除去し、有機層を40kPa以下の減圧度、40〜45℃で濃縮した。残液量が46.3gとなった時点で濃縮を終了し、10℃/時間の速度で0〜5℃まで冷却し、同温で25時間熟成した。濾過、0〜5℃に冷却したモノクロルベンゼン(10g)で結晶を洗浄し、減圧下、50℃以下で乾燥し、表題結晶(11.8g)を得た。収率97.9%
得られた粗製の結晶をHPLC分析条件(3)で分析したところ、面積百分率で純度92.6%であり、また、不純物の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボン酸の面積百分率は0.87%であった。
HPLC分析条件(3)
カラム:SUMIPAX−ODS−A212,内径6mm,長さ15cm(住化分析センター社製);移動相:A液:0.014%トリフルオロ酢酸水,B液:アセトニトリル,A:B=7:3→1:9(40分,直線濃度勾配),流速:1.0 ml/分,検出:λ=254nm.
実施例6:2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒドの高純度結晶
テトラヒドロフラン(147g)に粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド(30g,0.14mol)を加え、窒素雰囲気下で約60℃に加熱した。溶解を確認した後、55℃で2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒドの種結晶(0.03g)を接種し、窒素雰囲気下で50〜55℃で3時間保温し、10℃/時間の速度で0℃まで冷却した。同温で10時間熟成し、ろ過、0〜5℃に冷却したアセトニトリル(12g)で結晶を洗浄し、減圧下、50℃以下で乾燥し、表題結晶(18.0g)を得た。精製収率60.0%
得られた高純度結晶をHPLC分析条件(3)で分析したところ、面積百分率99.7%であり、また、不純物の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボン酸の面積百分率は0.05%であった。
DSC(示差走査熱分析):
Shimadzu DSC‐60(島津製作所社製)で得られた高純度結晶をDSC分析したところ、195℃の吸熱ピークを有することが分った。
XRD(粉末X線回析):
得られた高純度結晶を上記と同じ条件でXRD分析したところ、2θが9.2、20.6、25.7および26.9に主ピークを示すことが分った。
実施例7:粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶
酢酸ブチル(193g)に2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒド(30g,0.15mol)とトリエチルアミン塩酸塩(59.8g,0.43mol)を加え、窒素雰囲気下でアジ化ナトリウム(28.2g,0.43mol)を加えて約105℃に加熱攪拌した。HPLC分析条件(3)で原料が面積百分率0.13%となった時点で25℃に冷却した。テトラヒドロフラン(293g)と水(111g)を加え、ついで15%亜硝酸ナトリウム水溶液(133.2g,0.29mol)を加えた。17.5%塩酸(162.8g)を滴下して加え、pHを4.3に調整した。
静置後、水層を分液、除去し、有機層を40kPa以下の減圧度、40〜45℃で濃縮した。残液量が176gとなった時点で濃縮を終了し、10℃/時間の速度で0〜5℃まで冷却し、同温で25時間熟成した。濾過、0〜5℃に冷却した酢酸ブチル(27g)で結晶を洗浄し、減圧下、50℃以下で乾燥し、表題結晶(31.9g)を得た。収率93.0%
得られた粗製の結晶をHPLC分析条件(3)で分析したところ、面積百分率95.6%であり、また、不純物の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボン酸の面積百分率は0.63%であった。
実施例8:粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶
メチルイソブチルケトン(58g)に2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒド(10g,0.05mol)とトリエチルアミン塩酸塩(19.9g,0.14mol)を加え、窒素雰囲気下でアジ化ナトリウム(9.4g,0.14mol)を加えて約105℃に加熱攪拌した。HPLC分析条件(3)で原料が面積百分率2.2%となった時点で24℃に冷却した。テトラヒドロフラン(98g)と水(37g)を加え、ついで15%亜硝酸ナトリウム水溶液(44.4g,0.1mol)を加えた。17.5%塩酸(54.3g)を滴下して加え、pHを4.0に調整した。
静置後、水層を分液、除去し、有機層を40kPa以下の減圧度、40〜45℃で濃縮した。残液量が46.3gとなった時点で濃縮を終了し、10℃/時間の速度で0〜5℃まで冷却し、同温で21時間熟成した。濾過、0〜5℃に冷却したメチルイソブチルケトン(8g)で結晶を洗浄し、減圧下、50℃以下で乾燥し、表題結晶(7.77g)を得た。収率64.3%
得られた粗製の結晶をHPLC分析条件(3)で分析したところ、面積百分率92.3%であり、また、不純物の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボン酸の面積百分率は0.59%であった。

Claims (5)

  1. 2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒドを、アジド塩と反応させる工程と、前記工程で得られる粗製の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶を、テトラヒドロフランから結晶化させる工程とを含むことを特徴とする2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−カルボアルデヒド結晶の製造方法。
  2. アジド塩が有機塩基アジドである、請求項1記載の製造方法。
  3. 有機塩基アジドが、無機塩基アジドと有機塩基塩とから反応系中で調製された有機塩基アジドである、請求項2記載の製造方法。
  4. 2’−シアノ−4−メチルビフェニルを臭素化して得られる2’−シアノ−4−(ブロモメチル)ビフェニルおよび/または2’−シアノ−4−(ジブロモメチル)ビフェニルを、ヘキサメチレンテトラミン、酢酸および水と反応させることにより得られる2’−シアノビフェニル−4−カルボアルデヒドを使用する、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. ラジカル開始剤および酸化剤の存在下、臭素によって臭素化を行う、請求項4記載の製造方法。
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