JP4537053B2 - 二重共鳴エネルギー転移核酸プローブ - Google Patents

二重共鳴エネルギー転移核酸プローブ Download PDF

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Description

(関連出願との相互参照)
本発明は、2001年6月25日に出願された米国特許仮出願第60/300,672号、及び2001年7月3日に出願された米国特許仮出願第60/303,258号の優先権の利益を主張するものであり、これらの内容全体は参照として本明細書に組み入れられる。
(技術分野)
本発明は、一般的にmRNAなどの標的核酸の検出に係わる。より具体的には、本発明は、疾患に随伴する標的核酸の検出法において、共鳴エネルギー転移を利用して偽陽性シグナルを顕著に低下させる二重分子ビーコン法に係わる。
(背景技術)
生細胞における遺伝子発現レベルをリアルタイムで監視及び定量できれば、さまざまな条件において特異的mRNAの生産、時間的及び空間的なプロセッシング、局在化、及び移動に関する重要な情報を得ることが出来る。この新しいタイプの情報は、生物学研究に大変革をもたらす可能性があり、また、医療診断及び治療に応用できる可能性がある。リアルタイムRT−PCR、ノーザンブロッティング、発現配列タグ(EST)、網羅的遺伝子発現解析法(SAGE)、及びDNAマイクロアレイ法など、遺伝子発現の解析及び定量化に現在利用可能な技術は、インビトロの研究においては強力なツールであるが、生細胞における遺伝子発現を定量化することはできない。生細胞において、高い特異性をもって標的mRNAを認識し、その認識結果を、高いシグナル対バックグランド比率で測定可能なシグナルに即座に変換できる分子プローブを開発する明確な必要がある。
定量的な方法で使用することができ、蛍光をクエンチされた核酸プローブの一種である、これらのプローブは、標的を認識(すなわちハイブリダイゼーション)すると、理想的な条件下では200よりも大きなシグナル増強能力をもって蛍光を発する。構造的には、それらは、一方の末端にレポーターフルオロフォアと反対側の末端にダーククエンチャー(dark quencher)をもつ二重標識オリゴヌクレオチドである(Tyagi及びKramer,1996)。それらは、標的が存在しないと、フルオロフォアがクエンチャーのすぐ近くに来るステム−ループ型ヘアピン構造をアニールして形成する2つの短い自己相補性セグメントの間の中央に置かれた標的特異的プローブ配列を持つように設計されている。この構造をとるとき、分子ビーコンは「ダーク」状態にある(Bernacchi及びMely,2001)。このヘアピンは、相補的な標的にハイブリダイズすると開き、フルオロフォアとクエンチャーを物理的に分離する。この構造をとると、分子ビーコンは「ブライト」状態になる。ダーク状態からブライト状態に遷移すると、結合プローブと未結合プローブを区別することが可能になり、標的認識を蛍光シグナルに変換する(Matsuo,1998;Liuら,2002)。
蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)(Feminoら、1998)で使用されるとき、直鎖状蛍光プローブは、結合状態でも未結合状態でも「ブライト」になる。ハイブリダイゼーション後の陽性シグナルを検出するためには、未結合プローブを洗浄により除去しなければならないが、このことが、生細胞における遺伝子検出にこの方法を応用できなくしている。理論上、分子ビーコンは洗浄工程を必要としないため、生細胞に直接使用することができるはずである(Matsuo,1998;Sokolら,1998)。しかし、分子ビーコンと一定の細胞内因子との間における相互作用が、標的のハイブリダイゼーションがなくても蛍光を生じさせ、偽陽性シグナルをもたらすこともありうる(Mitchell,2001)。従来の分子ビーコンによる方法を用いては、細胞内ヌクレアーゼによるプローブの分解や、ヘアピンのステム構造を解くDNA結合タンパク質との相互作用など、クエンチャーからレポーターを空間的に隔離する別の事象と、標的のハイブリダイゼーションから生じる蛍光シグナルとを区別することはできない(Liら、2000;Dirksら、2001;Molenaarら、2001;Fangら、2000)。
それぞれ供与体フルオロフォア及び受容体フルオロフォアによって標識された2種類の直鎖状オリゴヌクレオチドが、DNAハイブリダイゼーション、DNA二次構造、及びRNA合成についてのFRETに基づく研究で使用された(Cardulloら、1988;Morrison及びStols、1993;Sixouら、1994;Sei−Iidaら、2000;Tsujiら、2000;Tsujiら、2001)が、このようなプローブを用いた細胞内遺伝子検出法の感度は、未結合プローブ及び細胞の自己蛍光による強度のバックグランドに妨げられる。
分子ビーコンは、ユニークな標的認識を行い、またシグナル伝達能力があるため、定量的PCR(Vogelstein及びKinzler、1999;Chen及びMulchandani、2000)、タンパク質−DNA相互作用(Fangら、2000;Liら、2000)、多重遺伝子解析(Marrasら、1999;deBaarら、2001)、及び生細胞におけるmRNAの検出(Matsuo1988;Sokolら、1998;Molenaar2001)など多くの生化学的及び生物学的アッセイ法において応用されてきた。しかし、タンパク質−ビーコン相互作用、及びヌクレアーゼ誘導にかかるビーコン分解によって偽陽性シグナルが生じるため、インビボにおける応用法の感度は顕著に制限される(Mitchell,2001)。分子ビーコンの熱力学的及び動力学的性質は、複雑な方式でその構造及び配列に依存する(Bonnetら、1999;Kuhnら、2002)。さらに、標的検出におけるシグナル対バックグランドの比率は、設計(ステム及びプローブの長さと配列)だけでなく、オリゴヌクレオチドの合成法及び精製法(Goddardら、2000;Bonnetら、1998)、及び用いられるアッセイ条件にも依存する。
したがって、当技術分野においては、高度の特異性と感度を示す核酸の検出を向上させるための改良された組成物及び方法を提供してほしいという強い要望がある。さらに、インビボにおける遺伝子転写を検出するために使用できる組成物及び方法が必要とされている。外的刺激に対する応答における遺伝子発現レベルの変化を観察するため、または、潜在的または実際の病状を示す遺伝子異常を検出するための改良された組成物及び方法が必要とされている。
(発明の要約)
本発明は、対象となる核酸上の第一の核酸標的配列にハイブリダイズし、第一の核酸標的配列に結合しないときにはステム−ループ構造を形成して共鳴エネルギー転移の供与体部分を組み込む第一の核酸プローブを含む、対象となる核酸を検出するための組成物を提供する。さらに、本発明の本実施形態は、対象となる核酸上の第二の核酸標的配列にハイブリダイズし、第二の核酸標的配列に結合しないときにはステム−ループ構造を形成して共鳴エネルギー転移の受容体部分を組み込む第二の核酸プローブを提供する。本発明は、第一の核酸プローブの供与体部分と第二の核酸プローブの受容体部分との相互作用から生じる共鳴エネルギー転移シグナルを検出して、第一の核酸プローブと第二の核酸プローブが共に対象となる核酸にハイブリダイズしたことを判定できるようにするため、第一の核酸標的配列及び第二の核酸標的配列を対象となる核酸上で何個かのヌクレオチドによって隔てられていることを条件とする。
従って、本発明では、試料中の目的となる対象核酸を検出するための代替的組成物及び方法を提供する。特に好適な実施形態において、蛍光性または発光性の共鳴エネルギー転移部分は、例えばmRNAなどの対象核酸上で観察可能な相互作用を生じることができるほど近接しているもの同士がハイブリダイズするヘアピン型ステム−ループ分子ビーコンプローブ上に提供される。こうして、本発明は、迅速、特異的、かつ感度の高いハイブリダイゼーション検出であって、インビボで有利に使用することができる検出を行うためのエネルギー転移シグナルを提供する。これらのプローブは、標的核酸のハイブリダイゼーション法、及び、癌などの病気と関連する遺伝子発現及び遺伝子変異の存在の同定法において役立つ。
このように、本発明の目的は、より感度が高く、特異的かつ迅速な核酸検出を行うために使用される、改良された組成物及び方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、例えば候補治療薬などの外部刺激に対する反応に伴う遺伝子発現を検出するための改良法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、病状に関連した遺伝子発現など、遺伝子発現を検出するための改良法を提供することである。
本発明の別の目的は、このような組成物及び方法をインビボで使用するために提供することである。
以下の実施形態の開示の詳細な記載及び添付の請求の範囲を概観すれば、本発明のこれら及びその他の目的、特徴及び利点が明確になる。
(発明の詳細な説明)
本発明は、以下の本発明の好適な実施形態についての詳細な説明、及びそこに含まれる実施例を参照することによって容易に理解することができる。本発明の化合物、組成物、及び方法を開示・説明する前に、本発明は、特定の核酸プローブ、特定の核酸標的、特定の細胞型、特定の条件、または特定の方法などに限定されず、当然ながら、さまざまに変えることができるものであって、数多くの改変及び変更が当業者には明らかであると理解されるべきである。また、本明細書で使用する用語は、各実施形態を説明するためだけのものであり、制限的なものではないと解さるべきである。明細書及び請求の範囲において、「一つの」は、それが使用される文脈によっては一つ以上を意味することがある。したがって、例えば、「一つの核酸プローブ」というときには、一個以上の核酸プローブを利用しうることを意味することがある。
本発明の目的によれば、本明細書において具体化され、広範に説明されているように、一つの態様において、対象とする核酸上の第一の核酸標的配列にハイブリダイズし、第一の核酸標的配列に結合しないときにはステム−ループ構造を形成して共鳴エネルギー転移の供与体部分を組み込む第一の核酸プローブを含む、対象となる核酸を検出するための組成物を提供する。さらに、本発明の本実施形態は、対象となる核酸上の第二の核酸標的配列にハイブリダイズし、第二の核酸標的配列に結合しないときにはステム−ループ構造を形成して共鳴エネルギー転移の受容体部分を組み込む第二の核酸プローブを提供する。本発明は、第一の核酸プローブの供与体部分と第二の核酸プローブの受容体部分との相互作用から生じる共鳴エネルギー転移シグナルを検出して、第一の核酸プローブと第二の核酸プローブが共に対象となる核酸にハイブリダイズしたことを判定できるようにするため、第一の核酸標的配列及び第二の核酸標的配列を対象となる核酸上で何個かのヌクレオチドによって隔てられていることを条件とする。好ましくは、共鳴エネルギー転移は蛍光性または発光性のシグナルである。
代替的な実施形態において、本発明は、対象とする核酸上の第一の核酸標的配列にハイブリダイズして、発光性の共鳴エネルギー転移ランタニドキレート供与体部分を組み込む第一の核酸プローブ、及び、対象とする核酸上の第二の核酸標的配列にハイブリダイズして、有機性の共鳴エネルギー転移受容体部分を取り込む第二の核酸プローブであって、第一の核酸プローブのランタニドキレート供与体部分と第二の核酸プローブの受容体部分との間の相互作用から生じる発光性の共鳴エネルギー転移シグナルを検出して、第一の核酸プローブと第二の核酸プローブが共に対象となる核酸にハイブリダイズしたことを判定できるようにする核酸プローブを提供する。本発明の一定の実施形態において、第一の核酸プローブまたは第二の核酸プローブは、それぞれ、第一または第二の標的配列にハイブリダイズしていないときには直鎖状またはランダムコイル状である。本発明の別の実施形態において、第一の核酸プローブまたは第二の核酸プローブは、それぞれ、第一または第二の標的配列にハイブリダイズしていないときにはステム−ループ構造を形成する。
本発明の一定の好適な実施形態において、第一の核酸プローブは、さらにクエンチャー部分を取り込み、第一の核酸プローブの供与体部分とクエンチャー部分の間の相互作用を検出して、ステム−ループ構造及び非ステム−ループ構造の中にある第一の核酸プローブを区別できるようにする。同様に、別の実施形態において、第二の核酸プローブが、さらにクエンチャー部分を取り込み、第二の核酸プローブの受容体部分とクエンチャー部分の間の相互作用を検出して、ステム−ループ構造及び非ステム−ループ構造の中にある第二の核酸プローブを区別できるようにする。核酸プローブ上のクエンチャー部分を利用する実施形態において、本発明は、クエンチャー部分を、例えば、dabcylクエンチャー、ブラックホール・クエンチャー、アイオワブラック・クエンチャー、または、供与体または受容体部分の共鳴エネルギー転移波長発光を変化させることが当技術分野においてよく知られている他の部分から選択することができることを条件とする。
一定の他の実施形態において、第一の核酸プローブは共鳴エネルギー転移部分対をさらに取り込み、第一の核酸プローブ上にある供与体部分と受容体部分の間の相互作用によって生じる共鳴エネルギー転移シグナルを検出して、ステム−ループ構造及び非ステム−ループ構造の中にある第一の核酸プローブを区別できるようにする。同様に、他の実施形態は、第二の核酸プローブは共鳴エネルギー転移部分対をさらに取り込み、第二の核酸プローブ上にある供与体部分と受容体部分の間の相互作用によって生じる共鳴エネルギー転移シグナルを検出して、ステム−ループ構造及び非ステム−ループ構造の中にある第二の核酸プローブを区別できるようにすることを条件とする。
さまざまな実施形態において、第一の核酸標的配列及び第二の核酸標的配列は、1個から20個のヌクレオチドによって隔てられているか、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個のヌクレオチドによって隔てられている。後述するように、隔離ヌクレオチドの好適な数は、使用される共鳴エネルギー転移源によってさまざまなであるから、当業者は、本開示を考慮して日常的に決めることができる。
好適な実施形態において、共鳴エネルギーシグナルは、蛍光性共鳴エネルギー転移(FRET)または発光性共鳴エネルギー転移(LRET)によるものである。共鳴エネルギー転移シグナルが蛍光性共鳴エネルギー転移によるものである実施形態では、供与体部分は、例えば6−Famフルオロフォアでもよい。共鳴エネルギー転移シグナルが蛍光性共鳴エネルギー転移によるものである実施形態では、受容体部分はCy−3、ROXまたはテキサスレッドでもよい。本発明において有用なFRETの供与体及び受容体部分のさらに別の例は下に提示してある。
別の実施形態において、共鳴エネルギーシグナルは発光性共鳴エネルギー転移(LRET)によるものであり、供与体部分がランタニドキレートである。共鳴エネルギーシグナルがLRETによるものである好適な実施形態のいくつかにおいて、供与体部分はユーロピウムまたはテルビウムでもよい。その上、共鳴エネルギーシグナルがLRETによるものである実施形態において、供与体部分が、DTPA−シトシン、DTPA−cs124、BCPDA、BHHCT、イソシアナト−EDTA、クワンタム・ダイ、またはW1024などのランタニドキレートでもよく、受容体部分はCy−3、ROXまたはテキサスレッドでもよい。いくつかの実施形態では、ランタニドキレートの効果的な共鳴エネルギー転移の範囲によっては、複数の受容体部分を用いることができる。供与体部分はランタニドキレートでもよく、受容体部分はフィコビリタンパク質でもよい。一定の実施形態において、フィコビリタンパク質は、赤色フィコエリトリン(RPE)、青色フィコエリトリン(BPE)、またはアロフィコシアニン(APC)である。本発明において有用なLRET供与体部分及び受容体部分のさらに別の例が下に記載されている。
一定の実施形態において、本発明は、第一または第二の核酸プローブがそれぞれ、5から50ヌクレオチド、10から40ヌクレオチド、または15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30個のヌクレオチドを含むことを規定している。別の好適な実施形態において、核酸プローブは、多くの代替的または合成のヌクレオチドのうち、後述する2’−O−メチルヌクレオチドバックボーンを含む。さらに、本発明は、第一及び/または第二の核酸プローブの一方の末端が、ステム−ループ形成及び標的核酸へのハイブリダイゼーションの両方に関与することを規定している。このような実施形態が、本明細書においてステム共有型分子ビーコン、またはプローブと呼ばれ、特に実施例2においてさらに詳しく説明する。
さらなる実施形態において、本発明は、対象とする核酸を検出する方法であって、本明細書に記載された組成物を、対象とする核酸を含むと推定される試料と混合する工程、及び示差的共鳴エネルギー転移シグナルによってハイブリダイゼーションを検出して、インビトロまたはインビボで試料中に対象とする核酸が存在するかしないか、及び/またはその発現レベルを判定する工程を含んでなる方法を提供する。いくつかの好適な実施形態において、この方法をインビボで実施することができる。従って、本方法の好適な実施形態において、試料は生細胞を含む。本発明は、本方法が、身体から採取された生組織及び細胞、または本来の部位に留まっている生組織及び細胞を含む試料を用いて実施できることを規定している。
さらに、本発明の方法は、核酸標的の発現レベルの変化、すなわちRNA転写物の変化を検出して、例えば、薬剤分子、ホルモン、成長因子、温度、剪断流、または微小重力などの外部刺激に対する用量依存的細胞応答の結果として観察することができるようにすることを含む。さらに、本発明は、組成物を用いて、すなわち蛍光または発光によって、組織及び細胞における遺伝子発現の位置と相対量を可視化することができる。
診断的または予後診断的な検出法において、対象とする核酸は、天然または対照となる核酸に対する遺伝子の点変異、欠失、または挿入を含みうる。このようなスクリーニング法によって、ある種の癌のような遺伝子関連疾患が試料中に存在することを示す対象核酸の検出が可能になる。当技術分野には、病状の指標となる遺伝子変異のよく知られた例が多く存在する。この方法は、K−ras、サバイビン、p53、p16、DPC4、またはBRCA2を含む核酸を検出することを含む。さらに、本方法を用いて、疾患または症状の診断または予後診断以外の目的で、生物から生産される対象核酸の量を検出することもできる。本発明の共鳴エネルギー転移検出法は、下で詳述するように、1光子または多光子顕微鏡、時間分解蛍光顕微鏡、または蛍光内視鏡を用いて実施することができる。
さらに、本発明は、本明細書記載の核酸プローブ組成物、必要な試薬、及び検出法を実施するための説明書を含んでなる、対象核酸を検出するためのキットを提供する。これに対する代替的組成物、方法、及びキットについては、実施例によってさらに詳しく説明するが、さらに別のものも、本開示内容から当業者には明らかである。
本発明の一つの実施形態は、例えば、2種類の分子ビーコンが目的とする同一の標的核酸にハイブリダイズしたときに直接相互作用する結果としてFRETまたはLRETによって生じる蛍光シグナルなどの共鳴エネルギー転移を測定する組成物及び方法を提供する。この方法は、生細胞における遺伝子検出及び定量化において、偽陽性シグナルを劇的に低下させることができる。図1または図11に示すように、この方法は、一方が供与体フルオロフォアを有し、もう一方が受容体フルオロフォアを有する一対の分子ビーコンを利用する。分子ビーコンが、それぞれのフルオロフォアをFRETにとって最適な配置に位置するようにして、1個の核酸標的上で互いに近接するもの同士でハイブリダイズするように、プローブ配列を選択する(Mergnyら、1994;Sixouら、1994)。受容体フルオロフォアからの発光は、FRETを利用した検出アッセイ法において陽性シグナルとして働く。
受容体フルオロフォア及び供与体フルオロフォアが十分に適合すれば、受容体を殆どまたは全く励起できない波長で供与体の励起が行われ、そのため、両分子ビーコンが同一の標的核酸にハイブリダイズしてFRETが起きるときにだけ受容体の励起が起きる。タンパク質相互作用によって分解または開裂される分子ビーコンは、非クエンチフルオロフォアの存在をもたらすが、これらの分子種から発光する蛍光は、供与体/受容体のFRET対から得られるシグナルとはその性質が異なるため、バックグランドと真の陽性シグナルをより簡単に区別できるようになっている。このように、直接的な単一分子蛍光ではなくFRETを検出することによって、核酸プローブ/標的結合現象を偽陽性から区別することができる。
2種類の直鎖状オリゴヌクレオチドプローブを供与体及び受容体フルオロフォアで事前に標識するのとは対照的に、分子ビーコンのステム−ループヘアピン構造は、特異性を高めるだけでなく、さらにバックグランド蛍光も低下させるため、対立遺伝子の変異型または点変異を検出したいときに特に役立つ(Bonnetら、1999;Tsourkasら、2002a)。
供与体としてランタニドキレートを有するオリゴヌクレオチドプローブ、及び受容体(レポーター)部分として伝統的な有機性フルオロフォアをもつ分子ビーコンを採用することによって、二重エネルギー転移分子ビーコンの別の実施形態及び本発明の方法からのさらなる恩恵を実現することができる。蛍光寿命がほぼ10nsである有機性フルオロフォアに対し、ランタニドキレートは、1msよりも大きな発光寿命を有することがある(Suedaら、2000;Evangelistaら、1988)。ランタニドキレートの長寿命発光をもたらすメカニズムは複雑で、芳香族リガンドの三重状態から生じるエネルギー転移が関係している。具体的には、励起が起きると、リガンドは励起されて単一分子状態になり、その後、三重分子状態へと系間遷移を行い、他方で、エネルギーは、水分子によって消されるか、ランタニドイオンに転移される。そして、ランタニドイオンが基底状態に戻るにつれて、それから蛍光が発される(Lemmetyinenら、2000)。このような蛍光発光は、単分子−単分子遷移からは生じないため、供与体としてランタニドキレートを使用すると、発光共鳴エネルギー転移(LRET)がもたらされる。このように、パルス励起法及び時間分解技術を用いることによって、有機性色素からのバックグランド発光、散乱、及び自己蛍光が減衰した後に選択的に発光を記録することが可能になる(Yuanら、1998;Lopezら、1993)。この長時間ドメインに残っている唯一のシグナルは、ランタニドキレートからの発光、及びLRETに関与した受容体フルオロフォアからの発光である。この場合、ランタニドキレートの発光ピークが狭いため、一定の波長におけるバックグランド発光はゼロに近くなり、非常に大きなシグナル対バックグランド比率をもたらす。LRET対における供与体プローブは、単純な直鎖状プローブでもよい、すなわち、クエンチャー構造もヘアピン構造も必要ではない。
さらに、本発明は、ステムの一方の腕部がヘアピン形成と標的ハイブリダイゼーションの両方に関与する、ここで「ステム共有型」分子ビーコンと呼ばれる、分子ビーコンの設計変異型を提供する。これに対して、従来型の分子ビーコンは、ループ配列が標的に相補的で、一方、ステム配列が自己相補的であるが、標的配列とは無関係であるように設計されている。この新しい設計は、特に、2プローブ蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)アッセイ法において、従来の分子ビーコン設計よりも一定の優位性がある(Cardulloら、1998;Sei−Iidaら、2000;Tsujiら、2000;Tsujiら、2001;Tsourkas及びBao2001)。本発明は、ステム共有型及び従来型の分子ビーコン両方の熱力学的及び動力学的特性を提供し、それらの系統的な比較を行う。特に、本明細書の記載は、プローブ及びステムの長さで測定される、プローブ/標的二本鎖の形成によるエンタルピー及びエントロピーの変化を定量化する。さらに、本明細書において、融解挙動、特異性、及びハイブリダイゼーションの形成速度が、分子ビーコンのステムの長さに依存するという研究が提示されているため、当業者は、各条件の具体的な目的に適合するようにさまざまな実施形態を創作・利用することができる。
本発明の核酸プローブは、供与体部分と受容体部分の間における共鳴エネルギー転移の原理を利用している。好適な実施形態において、共鳴エネルギー転移は蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)であり、ここで第一及び第二のプローブが、それぞれ、供与体及び受容体部分によって標識されており、ここで、供与体部分はフルオロフォアであり、受容体部分はフルオロフォアであってもよい。そうすることによって、第一及び第二のプローブがそれぞれ、同一の核酸対象物上にある第一及び第二の標的配列にハイブリダイズしたときに、供与体部分が発する蛍光エネルギーが受容体部分によって吸収されるようになる。本発明の一つの実施形態において、受容体部分は、供与体から吸収したエネルギーを別の波長で放出するフルオロフォアであり、次に、受容体からの発光を測定して、ハイブリダイゼーション反応の進行を測定することができる。
好適な実施形態において、プローブは、供与体部分か受容体部分のどちらかを含み、また、選択的には、プローブがステム−ループ構造をとるとき(すなわちハイブリダイズしないとき)、クエンチャーが供与体または受容体の蛍光を低下させるよう、クエンチャー部分を含むヘアピン型のステム−ループ構造(当技術分野において、しばしば分子ビーコンと称される)を採る。本実施形態において、プローブは、標的核酸にハイブリダイズすると、その構造が変化してクエンチ効果が失われ、供与体または受容体から生じた蛍光が検出可能になる。
代替的な実施形態において、本発明は、プローブが標的核酸にハイブリダイズすると共鳴エネルギー転移が減少するヘアピン型ステム−ループ構造を形成する核酸プローブを提供する。このような実施形態において、第一のプローブ上にあるクエンチャー部分は等価部分(reciprocating moiety)で置換されて共鳴エネルギー転移対を形成し、ヘアピン型ステム−ループ構造と非ステム−ループ構造の間で共鳴エネルギー転移の違いが検出可能になる。あるいは、第二のプローブ上にあるクエンチャー部分が等価部分で置換されて共鳴エネルギー転移対を形成し、ヘアピン型ステム−ループ構造と非ステム−ループ構造の間で共鳴エネルギー転移の違いが検出可能になる。このような実施形態において、第三の共鳴エネルギー転移部分対が二重プローブによって、第一のプローブ上に供与体部分を、また、第二のプローブ上に受容体部分を形成し、それによって、供与体と受容体の相互作用による共鳴エネルギー転移シグナルを測定して、対象核酸上の両プローブのハイブリダイゼーション反応の進行を算定することができるようにする。
別の実施形態において、本発明は、核酸プローブがハイブリダイズしたときに共鳴エネルギー転移を生じさせるために、核酸プローブの一方が直鎖状(非ステム−ループ型)であり、プローブが、ランタニドキレーターの供与体部分と有機受容体部分によって別々に標識されていることを条件とする。さらに別の実施形態において、本発明は、このような直鎖状プライマー対のそれぞれ一方がランタニド供与体で標識され、他方が有機受容体部分で標識されているものを使用する。
本発明の一つの態様は、標的核酸(例えばDNAまたはmRNA)を同定するためのハイブリダイゼーション用プローブとして使用するのに十分な核酸に関する。本明細書において、「核酸」という語は、DNA分子(例えばcDNAまたはゲノムDNA)及びRNA分子(例えばmRNA)、及び、核酸類似化合物を用いて作成されたDNAまたはRNAの類似化合物を含むものである。本明細書では、「相補的な」核酸は、例えばハイブリダイズできることなど、相補性があることによって得られる所望の性質が失われない限り、完全に相補的でも不完全に相補的でもよい。
本発明の核酸は、実質的に単離されているか、または未精製でもよい。「単離された」核酸または「精製された」核酸とは、核酸の本来の由来源には存在する別の核酸分子から実質的に分離されている核酸である。好適には、「単離された」核酸は、その核酸が由来する生物のゲノムDNAの中で、その核酸に本来隣接している配列(すなわち、核酸の5’末端及び3’末端に位置する配列)を実質的に含まない。その上、「単離された」核酸分子は、他の細胞性物質、または、組換え技術で生産されるときには培養培地を、または、化学合成されるときには化学物質の前駆物質または他の化学物質を実質的に含まない。(Sambrookら、1989、分子クロニーング:実験マニュアル(Molecular Cloning : A Laboratory Manual)第2版、コールドスプリングハーバー研究所、コールドスプリングハーバー研究所プレス、ニューヨーク州コールドスプリングハーバーを参照のこと)。
プローブは、一般的に、実質的に精製された核酸を含む。核酸は、一般的に、標的核酸配列の少なくとも約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45または50個の連続したヌクレオチドにハイブリダイズする塩基配列の領域を含む。標的核酸は、標的核酸配列の一つのセンス鎖、アンチセンス鎖、またはそれらの天然の変異配列でもよい。好適には、核酸標的はmRNAである。
塩基配列に基づくプローブを用いて、同一または相同なタンパク質をコードする転写物またはゲノム配列を検出または増幅することができる。別の実施形態において、さらに、このプローブは、それに付着した標識基を含む。例えば、この標識基は、放射性同位元素、酵素、または酵素の補助因子などである。このようなプローブは、例えば、標的核酸のmRNAレベルを検出、またはmRNAをコードする遺伝子が変異または欠失しているか否かを判定するなどして、タンパク質をコードする核酸のレベルを細胞試料において測定することによって、特定のタンパク質を発現する細胞を同定するためのゲノムマーカー検査用キットの一部として使用することができる。
さらに別の好適な実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、例えば厳しい条件下で、目的の標的核酸配列にハイブリダイズする核酸プローブ配列を含む。これらのハイブリダイゼーション条件は、約60℃、pH7で約0.02モルの塩濃度を有する溶液で洗浄することを含む。本明細書において、「厳しい条件下でハイブリダイズする」という語は、一般的には、互いに60%以上相同な塩基配列が互いにハイブリダイズしたままでいるハイブリダイゼーションと洗浄の条件を表現するものである。好適には、この条件は、少なくとも約65%、より好適には少なくとも70%、及びさらにより好適には少なくとも約75%以上互いに相同な配列が、一般的には、互いにハイブリダイズしたままでいるような条件である。このようなストリンジェント条件は当業者に既知であり、分子生物学最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(JohnWiley&Sons)、ニューヨーク(1989)6.3.1−6.3.6に記載されている。厳しい条件の好適で非制限的な例は、約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)においてハイブリダイゼーションし、その後50−65℃で0.2×SSC、0.1%SDSにより洗浄することである。本明細書において、「天然の」核酸分子とは、自然に存在する塩基配列(例えば天然タンパク質をコードする)を有するRNA分子またはDNA分子である。
本発明の核酸プローブは、所望の標的核酸に依然ハイブリダイズできる限り、DNAもしくはRNA、またはそのキメラ混合物もしくは誘導体もしくは修飾物でもよい。核酸配列は、共鳴エネルギー転移部分によって標識される以外に、所望の増幅反応を開始させるか、場合によっては遮断用オリゴヌクレオチドとして機能する限り、塩基部分、糖部分、またはリン酸バックボーンを改変することができ、また、別の付加基または標識を含むこともできる。
例えば、本発明の核酸プローブは、天然のヌクレオチド、または、分子の生物学的安定性を増すよう、もしくは、相補的な核酸同士が形成する二本鎖の物理的安定性を増すように設計された、さまざまに改変されたヌクレオチドを用いて化学的に合成することができ、例えば、ホスホロチオエート誘導化合物及びアクリジン置換ヌクレオチドを使用することができる。核酸プローブを生成するために使用できる修飾核酸の分類の好適な例は2’−O−メチルヌクレオチドである。核酸プローブを生成するために使用できる修飾核酸のさらなる例には、例えば、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルキュエオシン(galactosylqueosine)、イノシン、N6−イソペンテニルアデノシン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルキュエオシン(mannosylqueosine)、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデノシン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、シュードウリジン、キュエオシン(queosine)、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロリル)ウラシル、(acp3)w、及び2,6−ジアミノプリンなどがある。
別の実施形態において、本発明の核酸プローブは、アラビノース、2−フルオロアラビノース、キシルロース、及びヘキソースなどがあるが、これらに限定されないグループから選択された、少なくとも一個の修飾された糖部分を含む。さらに別の実施形態において、本発明の核酸プローブは、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミドチオエート、ホスホルアミデート、ホスホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、及びホルムアセタール(formacetal)、またはそれらの類似化合物よりなるグループから選択される、少なくとも一個の修飾されたリン酸バックボーンを含む。上記したように、修飾ヌクレオチドの好適な例は2’−O−メチルヌクレオチドである。
本発明の核酸プローブは、当技術分野において既知の常法によって、例えば、自動DNA合成装置(バイオサーチ社(Biosearch)、アプライド・バイオシステムズ社(Applied Biosystems)などから購入することができるもの)を用いて合成することができる。例としては、Steinらの方法(1988、Nucl.AcidsRes.16:3209)によってホスホロチオエートオリゴヌクレオチドを合成することができ、微細孔性ガラスポリマー支持体(Sarinら、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:7448−7451)などを使用して、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドを調製することができる。
所望のオリゴヌクレオチドが合成されたら、その上でそれが合成された固体支持体から切断して、当技術分野において既知の方法により処理して、存在する保護基をすべて除去する。そして、抽出法及びゲル精製法など、当技術分野において既知の方法によってオリゴヌクレオチドを精製する。オリゴヌクレオチドの濃度及び精製度は、アクリルアミドゲルで分離してあるオリゴヌクレオチドを検査することによって、または、分光光度計で260nmにおける光学濃度を測定することによって判定することができる。
本発明の核酸プローブは、化学合成の過程で供与体部分及び受容体部分で標識するか、当技術分野において既知の方法によって、合成後に付着させることができる。具体的な実施形態において、以下の供与体及び受容体の組み合わせを用いる。すなわち、例えばテルビウムキレートまたはランタニドキレートなど、発光性ランタニドキレートを供与体として使用し、フルオレセイン、ローダミン、またはCY−5などの有機性色素を受容体として使用する。好適には、テルビウムを供与体として使用し、ローダミンかCY−5を受容体として使用する。または、ユーロピウムを供与体として使用し、CY−5を受容体として使用する。別の具体的な実施形態において、供与体は蛍光性で、例えばフルオレセイン、ローダミン、またはCY−5などである。また、受容体は発光性で、例えばランタニドキレートである。さらに別の実施形態において、エネルギー供与体は発光性であり、例えば、ランタニドキレートである。そして、エネルギー受容体は、非蛍光性でもよい。
別の具体的な実施形態において、供与体部分はフルオロフォアである。別の具体的な実施形態において、供与体及び受容体部分ともフルオロフォアである。FRET対において供与体または受容体として選択することのできる適当な部分を以下に示す。
4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2,2’ジスルホン酸アクリジン及び誘導化合物:
アクリジン
アクリジンイソチオシアネート
5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS)
4−アミノ−N−[3−ビニルスルホニル]フェニル]ナフタルイミド−3,5ジスルホネート(ルシファーイエローVS(Lucifer YellowVS))
N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイミド
アントラニルアミド
ブリリアントイエロー
クマリン及び誘導化合物
クマリン
7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC、クマリン120)
7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン(クマリン151)
シアノシン(cyanosine)
4’−6−ジアミニジノ−2−フェニルインドール(DAPI)
5’,5”−ジブロモピロガロール−スルホフタレイン(ブロモピロガロールレッド)
7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアナトフェニル)−4−メチルクマリン
ジエチレントリアミンペンタアセテート
4−(4’−ジイソチオシアナトジヒドロ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸
4,4’−ジイソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸
5−[ジメチルアミノ]ナフタレン−1−スルホニルクロリド(DNS、塩化ダンシル)
4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)
4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4’−イソチオシアネート(DABITC)
エオシン及び誘導化合物
エオシン
エオシンイソチオシアネート
エリスロシン及び誘導化合物
エリスロシンB
エリスロシンイソチオシアネート
エチジウム
フルオレセイン及び誘導化合物
5−カルボキシフルオレセイン(FAM)
5−(4,6−ジクロロトリアジン−2−イル)アミノフルオレセイン(DTAF)
2’7’−ジメトキシ−4’5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)
フルオレセイン
フルオレセインイソチオシアネート
QFITC(XRITC)
フルオレスカミン
IR144
IR1446
マラカイトグリーンイソチオシアネート
4−メチルウンベリフェロン
オルトクレゾールフタレイン
ニトロチロシン
パラローザニリン
フェノールレッド
B−フィコエリトリン
o−フタルジアルデヒド
ピレン及び誘導化合物
ピレン
ピレン酪酸
スクシンイミジル1−ピレン酪酸
リアクティブレッド4(登録商標チバクロン・ブリリアントレッド3B−A(Cibacron Brilliant Red3B−A)
ローダミン及び誘導化合物
6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)
6−カルボキシローダミン(R6G)
リッサミン(lissamine)ローダミンB塩化スルホニル
ローダミン(Rhod)
ローダミンB
ローダミン123
ローダミンXイソチオシアネート
スルホローダミンB
スルホローダミン101
スルホローダミン101の塩化スルホニル誘導体(テキサスレッド)
N,N,N’,N”−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)
テトラメチルローダミン
テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)
リボフラビン
ロゾール酸(rosolic acid)
テルビウムキレート誘導体
当業者は、どのフルオロフォアが適当な供与体−受容体FRET対を作るかを、分光測定法の技術を用いて容易に判定することができる。例えば、FAM(525nmの発光最大値を有する)は、FRET対において、TAMRA、ROX、及びR6G(これらはすべて514nmの励起最大値を有する)に適した供与体である。アミノ修飾因子C6dT(グレン・リサーチ社(Glen Research)の使用によって、修飾されたT塩基が所定の位置に導入され、Juら(1995、Proc.Natl.Acad.Sci.USA92:4347−4351)に記載されているようにして、一級アミノ基が、修飾されたT塩基上に取り込まれるように、プローブを合成過程で好適に改変することができる。これらの改変は、引き続いて蛍光色素を本発明の核酸プローブの所定位置に取り込むために利用することができる。
供与体部分と受容体部分の間の最適な距離は、供与体部分の発光が受容体部分によって最大に吸収される距離である。この最適な距離は、使用する具体的な部分によって異なるが、当業者は、既知の技術を用いて簡単に決定することができる。受容体部分が、検出すべきエネルギーを放出するフルオロフォアであることが望ましいというエネルギー転移については、供与体フルオロフォアと受容体フルオロフォアが標的核酸にハイブリダイズしたときに、好適には最大30ヌクレオチドまで、より好適には1−20ヌクレオチド、さらにより好適には2から10ヌクレオチド、そして、より好適には3、4、5、6、7、8及び9ヌクレオチドの距離を置いて離れている。受容体部分が、供与体部分の発光をクエンチすることが望ましいエネルギー転移については、供与体部分と受容体部分が、好適には10、9、8、7.6、5、4、3、2または1ヌクレオチドよりも短い距離(例えば、対向鎖上にある、二本鎖構造の相補的的ヌクレオチド)を置いて離れているが、5ヌクレオチドの距離(らせん一巻き分)も使用するのに好都合である。
さらに別の実施形態において、本発明の核酸プローブは、32P、35S、Hなどの放射性標識、アルカリホスファターゼまたはホースラディッシュペルオキシダーゼなど、特定の化学反応が行われると検出可能なシグナルを発生させる酵素マーカーなど、当技術分野において既知の別の検出用マーカーによってさらに標識することができる。このような酵素マーカーは、好適には、増幅工程の変性段階を生き延びるよう熱安定的である。また、核酸プローブは、ハプテン、または、標識されたアビジン分子が結合できるビオチン、もしくは標識された抗ジゴキシゲニン抗体が結合できるジゴキシゲニンに共有結合したヌクレオチドを取り込むことによって間接的に標識することもできる。核酸プローブは、化学合成の過程で補助的に標識するか、当技術分野において既知の方法によって合成した後、補助的標識を結合させることもできる。
本発明の核酸プローブは、核酸検出、またはプライマーとして、もしくは三重増幅の場合には、増幅核酸産物を検出または測定するためのブロッキング用オリゴヌクレオチドとして増幅反応に使用することができ、それによって、3’プライマーの配列に相補的な標的核酸を試料の中で検出または測定する。したがって、本発明の核酸プローブは、ある配列が、ウイルス、バクテリア、寄生生物、及び真菌類を含むがこれらに限定されない、例えばヒトの疾患などの感染病原体の配列(例えばゲノム配列)に相補的であるという診断法に使用することができ、それによって、患者からの核酸試料中に感染因子が存在することを診断する。標的核酸はゲノムまたはcDNAまたはmRNAまたは合成、ヒトまたは動物のもの、または微生物のもの、その他でもよい。
一つの実施形態において、本発明者らは、定常状態で、または薬剤候補の投与に応答して、目的とするタンパク質転写物の拡張する役割のインビボにおける変化を迅速で特異的かつ感度のよいアッセイ法によって検出することができる、創薬のための有用なスクリーニング手段を提供する。病気または障害の診断または予後診断において利用できる別の実施形態において、標的配列は天然または野生型のヒトのゲノムまたはRNAまたはcDNA配列であって、その変異が、ヒトの病気または障害の存在に関係する配列であるか、または、標的配列が変異配列であってもよい。このような実施形態において、選択的に、同一の試料について、それぞれ天然の配列または変異配列を増幅するさまざまなプローブセットによって増幅反応を反復することができる。例として、この変異は、1個以上のヌクレオチドの挿入、置換及び/または欠失、または転座でもよい。
(実施例)
(実施例1)
(二重核酸プローブ)
オリゴヌクレオチド合成 通常のホスホルアミダイト化学合成法を用いて、アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)394型自動DNA合成装置(カリフォルニア州フォスターシティー)でオリゴヌクレオチドのプローブ及び標的を合成した。逆相(RP)+イオン交換(IE)二重高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、ウォーターズ(Waters)600E型HPLC装置(ミリポア社(Millipore)マサチューセッツ州ミルフォード(Milford,MA))で分子ビーコンを精製した。RP−HPLC精製のために、オリゴヌクレオチドをハミルトン(Hamilton)PRP−1カラムにかけ、0.1Mトリエチル−酢酸アンモニウム(TEAA)pH7.2での5%から50%までの直線的アセトニトリル濃度勾配を用いて40分間溶出した。このオリゴヌクレオチドを、商標ソース(Source)カラム(アマーシャム・ファルマシアバイオテック社(Amersham Pharmacia Biotech)、ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway,NJ))を用いたIE−HPLCによってさらに精製し、0.1MトリスpH8.0での0%から50%までの直線的な1MLiCl濃度勾配を用いて40分間溶出した。ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて未修飾の(標的)オリゴヌクレオチドを精製した。すべてのオリゴヌクレオチドは、インテグレイティッドDNAテクノロジーズ株式会社(Integrated DNA Technologies, Inc.)(アイオワ州コーラルビル)で合成された。
プローブ及び標的の設計 すべてのオリゴヌクレオチドプローブは、図2に示すように、ヒトGAPDH遺伝子に対してアンチセンス方向に相補的になるよう設計された。具体的には、dabcylクエンチャーを供与体分子ビーコンの5’末端に付着させ、6−Famフルオロフォアを3’末端に付着させ、dabcylクエンチャーを受容体分子ビーコンの3’末端に付着させ、シアニン3(Cy3)、6−カルボキシローダミン(ROX)またはテキサスレッドのフルオロフォアを5’末端に付着させた。ステム配列は、ヘアピン形成と標的ハイブリダイゼーションの両方に関与するよう設計した(Tsourkasら、2002b)。このビーコン設計は、供与体フルオロフォアと受容体フルオロフォアの間の相対的距離を固定するのに有利で、エネルギー転移効果を高めるよう選択された。供与体ビーコン及び受容体ビーコンともに、プローブ長18塩基、ステム長5塩基になるよう設計された。プローブ長は、標的に相補的な分子ビーコンの部位と定義される。野生型GAPDHの合成標的は、供与体色素と受容体色素との間に4塩基のギャップを有する。表1に示すように、グアニン残基を除去するか、1個または2個のチミン残基を付加して、ギャップの間隔を3、5及び6塩基に調節した。
Figure 0004537053
(1)MB=分子ビーコン。小文字=ステムドメインを作出するため付加された塩基。大文字=プローブ−標的がハイブリダイズするドメイン。太大文字=ステム形成と標的結合の両方に関与する塩基。
(2)下線部=MB標的結合ドメインに相補的な18塩基の配列。n=4塩基の野生型ギャップサイズ
ランタニドキレート合成 18塩基のプローブ長をもつ直鎖状オリゴヌクレオチドの3’末端を、増感剤cs124(Cooper及びSammes、2000)に共有結合したジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)キレートで標識した。表1に示すように、この直鎖状プローブの配列は、ヒトGAPDH遺伝子の第7エキソンに特異的な供与体分子ビーコンのプローブドメインと一致していた。
まず、DTPA(500mg、1.4μモル)を30mLのDMF及び1mLのトリエチルアミンに溶解してランタニドキレートを調製した。次に、4mLのDMFに溶解したCs124(240mg,1.4μモル)を30分間一滴ずつ加えて混合した。この混合液に、5mL(75μモル)のエチレンジアミン(EDA)を加えて、室温で2時間撹拌した。そして、この混合液を冷蔵庫で一晩保存した。僅かに灰色がかった白色の沈殿が形成されたので、さらに遠心分離した。このDMF上清を除去して、ペレットをイソプロパノールで数回洗浄してから、エーテルで洗浄すると、微細な白色粉末が得られたので、それを真空下で2時間乾燥させた。この粉末を水で再懸濁して、ハミルトンPRP−1カラムを用いてRP−HPLC精製した。この試料を0.1M TEAA,pH7.2中0%から30%までの直線的アセトニトリル濃度勾配を用いて、10mL/分の流速で20分間にわたって溶出した。第一のピークを集めて、DTPA−cs124生成物を乾燥して、0.1Mのホウ酸緩衝液、pH8.5において15mMの濃度に再構築した。
ジスクシンイミジルスベリン酸(1.84mg,5μモル;ピアスケミカル(Pierce Chemical))を100μLのDMSOに溶かして、3’アミンをもつ、0.1μモルのオリゴヌクレオチド100μLのDMSOに溶かしたものを加えた。この混合液を40℃で2時間インキュベートした。そして、このオリゴヌクレオチドをアセトン沈殿させて、100μLの0.1Mのホウ酸ナトリウム緩衝液、pH8.5の中で再構築した。ホウ酸緩衝液中の15mMのDTPA−cs124−EDA生成物50μLをオリゴヌクレオチド溶液に加えて、一晩混合した。逆相(RP)HPLCを用いて、オリゴヌクレオチド−DTPA−cs124−EDA結合体を精製した。このオリゴヌクレオチドをPRP−1カラムにかけ、0.1MTEAA,pH7.2中5%から50%までの直線的アセトニトリル濃度勾配を用いて40分間にわたって溶出した。回収したピークを凍結乾燥し、dHOの中で5μMに再構築した。そして、PBSに溶解したTbCl(テルビウム)を、10:1のモル比で試料に加え、室温で30分間インキュベートした。ユーロピウムキレートを以下のプロトコールに従って合成した。
ハイブリダイゼーション及び検出のアッセイ法 ハイブリダイゼーション実験は、50ピコモルの供与体ビーコン、50ピコモルの受容体ビーコン、及び50ピコモルの相補的標的を用いて、全量100μL(0.5μM)で行った。全ての実験を、マイクロプレートとの非特異的相互作用を阻止するために1%ウシアルブミン血清を添加した、10mMKCl、5mMMgCl、及び10mMトリス−Cl、pH7.5を含むHB緩衝液中37℃で行った。試料は、混合してから、蛍光光度を測定する前に37℃で20分間置いて平衡させた。サファイア(Safire)マイクロプレート蛍光光度計(テカン社(Tecan)、スイス国チューリッヒ)を用いて供与体ビーコンを励起し、得られた発光(500nmから600nm)をFRET測定法で検出した。供与体分子及び受容体分子の間で最大のFRETとなる波長を決定するための励起波長は395nmから495nmとさまざまであった。二光子実験場面では、Fam及びCy3で標識された直鎖状オリゴヌクレオチドの励起スペクトルが得られた。700nmから875nmの波長で試料を励起するよう波長可変レーザーを調整した。超高感度で低ノイズのアバランシェ・フォトダイオードを用いて、Fam試料からは505nmから555nmの間の蛍光発光を検出し、Cy3試料からは590nmから650nmの間の発光を検出した。
LRET測定を行なうためには、325nmの波長でテルビウム及びユーロピウムの供与体プローブを励起し、テルビウム供与体によるアッセイ法では500nmから650nmの発光を記録し、ユーロピウム供与体を含むアッセイ法では550nmから750nmの発光を記録した。発光検出には、1msの集積時間と50μsの遅延時間があった。本実験で使用された有機性及びランタニド性色素の最大励起波長と発光波長を表2にまとめた。
Figure 0004537053
有機性色素対のFRET 同一の標的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズした分子ビーコン対によって発生したシグナルを、偽陽性現象によって生じるシグナルから区別することができるか否かを判定するために一連の溶液相アッセイ法を行った。有機性色素対については、同一の分子ビーコン(すなわち蛍光供与体色素を有する分子ビーコン)を、3種類の受容体(レポーター)ビーコンを用いて、バックグランドシグナルと陽性(FRET)シグナルの程度を調べた。ここで、「バックグランド」とは、標的不在下で一方または双方のビーコンから、または標的存在下でどちらか一方のビーコンのみから検出される蛍光と定義される。したがって、バックグランドは、FRET現象がないときに、同一の標的に供与体と受容体のビーコンが同時にハイブリダイズすることによって検出される蛍光発光を意味する。蛍光励起が供与体フルオロフォアにとって最適な波長λに制限され、シグナル検出が受容体(レポーター)フルオロフォアにとって最適な波長λに制限されるときには、両ビーコンが同一の標的にハイブリダイズしてFRETが生じない限り、蛍光シグナルは低いはずである。しかし、有機性フルオロフォアからの蛍光は広範な波長で生じるため、λでの供与体からの蛍光発光、及びλにおける直接励起によって受容体から生じる蛍光発光がバックグランドに寄与する可能性がある。「陽性シグナル」は、両ビーコンが同一の標的に結合したときに検出されるFRET誘導蛍光であり、再び、励起を波長λに制限し、検出を波長λに制限するものと定義される。
表1に示すように、供与体分子ビーコンの3’末端を6−Famで標識し、受容体分子ビーコンの5’末端をCy3、ROXまたはテキサスレッドで標識した。供与体及び受容体の分子ビーコンの配列は、ヒトGAPDH遺伝子の第6エキソンと第7エキソンの中にある隣接部位に相補的になるように選択し、野生型標的を使用するときには、供与体フルオロフォアと受容体フルオロフォアが4塩基離れるような位置に置いた。それぞれの供与体/受容体ビーコン対によって4種類のアッセイ法を行った。(1)供与体及び受容体のビーコンがともに、標的不在下において、図3の曲線aとして示されている典型的な発光スペクトル(すなわち、波長の関数としての蛍光強度)を有する(スペクトルa);(2)標的存在下においてのみ供与体ビーコンが、図3の曲線bとして示されている典型的な発光スペクトルを有する(スペクトルb);(3)標的存在下においてのみ受容体ビーコンが、図3の曲線cとして示されている典型的な発光スペクトルを有する(スペクトルc);及び(4)供与体及び受容体のビーコンがともに、標的存在下において、図3の曲線dとして示されている典型的な発光スペクトルを有する(スペクトルd)。アッセイ法(2)及び(3)では、ヌクレアーゼ分解、変性、または非特異的タンパク質相互作用の結果、ほとんどの分子ビーコンが開いて(以下「分解された」ビーコンと総称する)、制限的な偽陽性シナリオを促進する。
二重FRET分子ビーコンを使用する利点を例示し、さまざまな受容体分子ビーコンの効率を比較するために、いくつかのシグナル対バックグランド比率を計算した。図3に示されているように、第一は、供与体分子ビーコン(dMB)に関して上で定義されている発光スペクトルbのピーク蛍光強度の、同一波長における発光スペクトルaの蛍光強度に対する比率S:BdMBである。スペクトルaは、溶液中では供与体及び受容体の両ビーコンによって発生するが、図3の曲線cから明らかなように、対応する波長における受容体ビーコンの発光はほとんどゼロであるため、蛍光シグナルはほとんど供与体ビーコンによるものである。したがって、S:BdMBは、従来の単一分子ビーコンアッセイ法のシグナル対バックグランドの比率を表す。第二は、FRETによる受容体分子ビーコン(aMB)の発光スペクトルdのピーク蛍光強度の、同一波長における発光スペクトルaの蛍光強度に対する比率S:BaMBである。明らかに、S:BaMBは、分解されたビーコンを含まない、二重FRET分子ビーコンアッセイ法のシグナル対バックグランドの比率を表している。第三のものであるS:Bdegは、FRETによる発光スペクトルdのピーク蛍光強度の、同一波長における発光スペクトルbまたはcの蛍光強度に対する比率と定義され、どちらも高い。S:Bdegは、供与体分子ビーコン及び受容体分子ビーコンのほとんどが分解されつつあるという限定的な場合に関する、二重FRET分子ビーコンアッセイ法のシグナル対バックグランドの比率を表している。ここでは、細胞当たり1×10個までの分子ビーコンでは、蛍光画像化アッセイ法において、同じ空間に位置する(すなわち、直径0.2μmで厚さ1μmの円柱内にある)供与体と受容体の分子ビーコンがともに分解している確率は低い。このことは、ビーコンのバックボーンを化学修飾すると分子ビーコンの僅かな画分(<50%)だけが細胞内環境において分解されることを考えると、特に当を得ている。上記したシグナル対バックグランドの比率はすべて、供与体の励起波長によって変化することは言及しておく価値がある。
図4aに示すように、Cy3標識された受容体ビーコンによるFRETアッセイ法のS:BaMBは、調べた励起波長の全範囲にわたって、供与体ビーコンのみのS:BdMBとほぼ同じであった。励起波長λを増加させたとき、どちらのパラメータも20と25の間にあって大きくは変化しなかった。しかし、二重FRET分子ビーコンは、分解されたビーコンのシグナルと比較すると、2倍から3倍強いシグナルを発生させた。すなわち、S:Ndegの値は2−3である。一方、従来の分子ビーコンは、分解されたプローブとハイブリダイズしたプローブによるシグナルを区別することができない。分子ビーコン/標的が結合したときのシグナル増強は、カチオン濃度と温度によって大きく影響される。今回の場合には、アッセイ温度が37℃とステム融解温度に近かったせいで、S:Ndegは比較的小さかった。
ROXフルオロフォアを受容体色素として使用したときには、図4bに示されているように、低い励起波長λ(例えば、395nmから425nm)において、S:BaMBがおおよそ10で、S:BdMBのほぼ半分であると認められた。しかし、λを増加させると、S:BaMBも増加した。実際、λが460nmよりも大きくなると、S:BaMBはS:BdMBよりも高くなり、約30という値に達した。このことは、Fam−ROXFRET対をもつ二重FRET分子ビーコンが、ビーコン分解という問題が存在しなくても、従来の分子ビーコンよりも効率よく働くことを示している。S:Bdegの値も、λが増加するにつれて増加し、λ=455nmで5に近い値に達し、455nmから495nmの波長では4から5の間にとどまっていた。
テキサスレッドで標識した受容体ビーコンは、検討した3種類の受容体色素の中で最も効率がよいことがわかった。λを395nmから425nmに増加させると、S:BaMBの値も10からほぼ50まで増加した。さらに、図4cに示されているように、λを455nmから475nmに増加させると、S:Bdegの値は〜2から10を超えるまで増加して、λ>475nmでは約10のままであった。従って、供与体及び受容体の分子ビーコンがともに標的に結合して生じるシグナルは、偽陽性シグナルの10倍は明るいことがある。Fam−テキサスレッドFRET対を用いて生成されるスペクトルの例を図5に示す。
シグナル対バックグランドの比率が増加し、結合している分子ビーコンと分解された分子ビーコンとを区別できるため、二重FRET分子ビーコンの効率は、FRET分子ビーコン以外のものよりは優れているが、受容体ビーコンのピーク蛍光強度は、一般的に、Fam標識された供与体ビーコンのピーク蛍光強度よりも低かった。特に、最適なシグナル対バックグランド比率が得られる波長において、Fam−テキサスレッドFRET対では、受容体のピークシグナル強度が、Fam−供与体のみによって発光されるピークシグナル強度の僅か約40%であり、Fam−ROXFRET対については僅か約25%であって、最終的な感度を制限することが可能である。
供与体フルオロフォアと受容体フルオロフォアの間での蛍光共鳴エネルギー転移の効率Eは、以下の式に従って変化する。
Figure 0004537053
式中、Rは供与体色素と受容体色素の間の距離であり、Rはフェルスター(Forster)エネルギー転移距離またはE=0.5のときの距離である。一般的なフルオロフォアでは、R=1〜5nmである。方程式(1)は、供与体ビーコンと受容体ビーコンの間のギャップ(すなわち塩基数)を短く保つよう示唆している。しかし、ギャップが余りに小さいと、フルオロフォア間で立体干渉が起きる可能性があり、供与体と受容体の間に好ましくない別の相互作用(基底状態クエンチなど)が起きるかもしれない。ギャップの大きさは、フルオロフォアの相対的方向性に影響を与え、また、エネルギー転移効率に影響を与えるかもしれない。8塩基というギャップの大きさが、一本鎖ランダムコイル状構造におけるエネルギー転移にとって最適であると認められた(Juら、1995;Hungら、1997)。さらに、塩基組成が蛍光効率に影響を与えうる。グアニン塩基に付着したフルオレセイン色素を混ぜると、ピーク蛍光強度が30%も減少することがある(M.Behlke、未発表の観察結果)。設計パラメータを最適化するために、供与体ビーコンと受容体ビーコンが3、4、5及び6塩基離れている標的を使用して、ハイブリダイゼーション実験を行った。プローブ結合領域に最も近接したヌクレオチドは、各標的配列について同一であった。供与体ビーコンと受容体ビーコンの距離を3から6塩基に増加させると、図7に描かれた曲線に示されるように、FRETシグナル強度が僅かに増加した。この傾向は、調べた受容体フルオロフォアにとってすべて同じであった。
ランタニド色素のLRET FRETアッセイ法に使用した従来からの有機性色素は、供与体/受容体励起及び発行スペクトルの重複に伴う問題による制約を受ける。シグナル対バックグランドの比率を劇的に向上させるため、本発明者は、ランタニドキレートのシャープな発光ピークと長い寿命期間を利用している(Li及びSelvin、1997;CooperとSammes、2000)。具体的には、ランタニド供与体がFam供与体に代わり、時間分解分光法を用いるよう検出システムを修正した。ランタニド供与体は、テルビウムキレートDTPA−cs124で3’末端を標識された直鎖状オリゴヌクレオチドプローブであった(表1)。前と同じように、Cy3、ROXまたはテキサスレッドのフルオロフォアによるビーコンなどを含む、同じ一連の受容体分子ビーコンを試験した。ランタニド供与体の使用によって、表2に示されているように、短波長による励起が可能になる。
ランタニド供与体によるLRET実験の結果を図8a、bに示す。図8aの曲線(1)に示されているように、325nmでの励起で、テルビウムキレート標識された供与体プローブは、Cy3標識された受容体ビーコンに結合すると、蛍光強度がゼロ近くなる谷間に隔てられたいくつかの鋭い発光ピークを示すが、一方、標識にハイブリダイズした受容体分子ビーコンだけからの蛍光発光は、曲線(2)に示されているように非常に低かった。供与体プローブがテルビウム−キレートに、受容体分子ビーコンが標的に結合すると、曲線(3)に示されているようにLRETによる受容体の増感された発光が見られる。図8aの挿入図によって明らかに示されているように、ランタニド供与体からのバックグランドがほぼゼロである発光波長において、非常に高いシグナル対バックグランド比率が観察された。Cy3標識した受容体ビーコンでは、最適な検出波長はほぼ573nmであった。テルビウムを供与体として、またROXを受容体として用いる二重LRETプローブアッセイ法において325nmの励起によって得られた時間分解発光スペクトルが示されている図8bにおいても、同様の特徴が示されている。ここでも、一定の波長においてシグナル対バックグランドの比率が無限大に近づくことは非常に明確である。図8bの挿入図から明らかなように、ROX標識した受容体ビーコンでは、最適な検出波長はほぼ614nmであった。エネルギー転移による蛍光発光は非常に低いが、それにも関わらず、これらの結果は、二重のエネルギー転移分子ビーコンをもつランタニド供与体を利用する可能性がかなり高いことを示唆している。
LRET上における供与体プローブと受容体プローブの間のギャップが小さいときに有害な効果をもたらす可能性があるか否かを決めるために、テルビウム標識した供与体と、Cy3またはROXで標識した受容体ビーコンの間隔を3から9塩基まで変えてみた。調べたギャップ間隔、すなわち3、4、5、6及び9塩基の間隔では、検出された蛍光強度は影響を受けず、シグナルのレベルは同じようであった(データ未提示)。このことは、両方のプローブが比較的狭い間隔で標的にハイブリダイズしたときの有害効果の可能性は無視できることを示唆している。方程式(1)を用いると、ギャップの間隔を3から9塩基まで変えても、テルビウム/Cy3LRET対に関するフェルスター距離Rが大きい(6.12nm)ため、エネルギー転移距離エネルギー転移効率は大して変化しないことが簡単に明らかになる(Selvin、2002)。例えば、方程式(1)におけるRを1nm(約3塩基)から2nm(約6塩基)及び3nm(約9塩基)に増加させたとき、エネルギー転移効率Eは、それぞれ僅か0.12%及び1.37%減少しただけであった。
ランタニド色素によって示される発光ピークが狭く、また、時間分解蛍光検出法を使用するせいで、受容体分子ビーコンにクエンチャー分子を含ませる必要はないが、それでも、ビーコンのステム−ループヘアピン構造は有益であろう。しかし、点変異の検出が含まれないときには、同様の効率を維持しつつ費用を節約できる可能性があるため、オリゴヌクレオチドプローブの直鎖状LRET対を使用するのは魅力的である。この概念を示すために、ユーロピウムキレートで3’末端を標識された供与体オリゴヌクレオチドプローブ、及び、Cy5フルオロフォアで5’末端を標識された受容体オリゴヌクレオチドプローブを合成し、溶液内ハイブリダイゼーションと時間分解発光検出アッセイ法を行った。得られた発光スペクトルを図9に示す。テルビウム−キレート供与体を用いて325nmの励起で得られた結果同様、標的に結合したユーロピウム供与体の発光スペクトルは、曲線(1)で示されているように、550nmから750nmの範囲内でいくつかのピークを示した。プローブ/標的ハイブリダイゼーションによるCy5−標識受容体プローブの蛍光発光は、ここでもほぼゼロであった(曲線(2))。供与体プローブと受容体プローブがともに同一の標的にハイブリダイズすると、曲線(3)で示されているように、LRETによる受容体の増感発光が起こった。明らかに、一定の波長(670nmなど)において、分解された供与体プローブと受容体プローブによるバックグランドシグナルが非常に低くなり、高いシグナル対バックグランド比率がもたらされる。本実験で使用されたDTPA−cs124キレートを用いると、テルビウム供与体を有するLRETプローブ対の方が、ユーロピウム供与体及びCy5受容体をもつLRETプローブ対よりも効率がよい。
従来型の分子ビーコンは、理論的には、生細胞におけるmRNA転写物を検出することができるが、細胞内環境における条件が、遺伝子発現の細胞イメージング法における有用性を制約することがある。特に、標的mRNAに結合した分子ビーコンは、ヌクレアーゼによって分解されたもの、または、タンパク質との相互作用によって不安定化したものから区別することができない。そこで、本発明者らは、分子ビーコンの長所と2プローブ共鳴エネルギー転移法の長所とを組み合わせた二重分子ビーコン法を報告する。従来型の時間分解蛍光分光法研究は、以前の方法よりもバックグランドに対して優れたシグナルによって、二重FRET分子ビーコン対が結合ビーコンと分解されたビーコンとを区別できることを示している。さらに、供与体色素としてランタニドキレートを用いると、一定の波長でのシグナル対バックグランド比率を非常に高くすることができる。
これらの特徴は、プローブの分解及びDNA結合タンパク質との相互作用によって生じる偽陽性シグナルを、プローブ/標的結合から得られる「真の」シグナルから区別しなければならない、生細胞における遺伝子発現の検出及び定量化において特に重要である。発明者らは、一光子または多光子の顕微鏡、時間分解蛍光顕微鏡、及び蛍光内視鏡を用いて生細胞、組織、さらには動物における遺伝子発現を研究室及び臨床で研究するときに、二重エネルギー転移分子ビーコン法が広範に応用されることを想定している。例えば、可能性としては悪性腫瘍の早期検出及び診断を行うための簡単かつ効果的な臨床ツールとして、この方法を生細胞における発癌遺伝子及び腫瘍抑制遺伝子の発現を特異的かつ高感度に検出するために用いることが有望である。
二重LRET分子ビーコンを遺伝子の検出及び定量に用いるとき、使用することのできるキレートの例は、DTPA−cs124、BCPDA(4,7−ビス(クロロスルフォフェニル)−1,10−フェナントロリン−2,9−ジカルボン酸)及びBHHCT(4,4−ビス(1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−4,6−ヘキサンジオン−6−イル)−クロロスルフォ−o−テルフェニルなどである(Evangelistaら、1988;Lopezら、1993;Yuanら、1998;Suedaら、2000;Cooper及びSammes、2000)。
別の改良法は、一光子励起ではなく二光子励起を利用することである。今までのところ、実施された二重FRETビーコン/標的ハイブリダイゼーションアッセイ法はすべて一光子励起源に基づいていた(キセノンフラッシュランプ(Xenon Flashlamp)。しかし、FRET用の有機の供与体分子及び受容体分子の励起発光スペクトルが重複するため、受容体も直接的に励起することなしに供与体を励起することはしばしば困難である。例えば、図10aに示されているように、供与体Fam分子の最大励起は約500nmで生じるが、同じ波長で、受容体Cy3分子もその最大値の25%まで励起される。このため、受容体ビーコンがヌクレアーゼによって分解されて、dabcylクエンチャーから分離すると、励起されて偽陽性シグナルを生じる。理想的には、遊離した受容体フルオロフォアが、励起源により最小限に励起されるようになっていて、励起されるのが、供与体と受容体のビーコンがともに同一の標的に結合したときにFRETによって生じたものであるというものである。
受容体フルオロフォアの直接的励起を最小化する方法の一つは、二光子励起源を使用することである。フルオロフォアの二光子励起断面は、必ずしも、一光子励起スペクトルと同じ傾向をたどるわけではない。例えば、図10bに示すように、一光子励起を用いるとき、Cy3の最大励起はFamよりも高い波長で起きるが、二光子励起によって、Cy3フルオロフォアは実際により低い波長で励起される。さらに、供与体Fam分子を約790nmで最大限に励起しても、Cy3受容体はその最大値の約4%励起されるだけである。これだけで、一光子励起に比べて、Cy3受容体の直接励起を6倍よりも多く低下させる。また、二光子励起には、光退色を低下させ、散乱によるバックグランド蛍光を低下させ、また、一光子励起よりも生体組織の深部まで貫通できるという利点もある。このように、二光子励起は、二重FRET分子ビーコン研究における強力な研究法となる可能性がある。
(実施例2)
ステム共有型核酸プローブ
オリゴヌクレオチド合成 通常のホスホルアミダイト化学合成法を用いて、アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)394型自動DNA合成装置(カリフォルニア州フォスターシティー)でオリゴヌクレオチドのプローブ及び標的を合成した。逆相(RP)+イオン交換(IE)2段階高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、ウォーターズ(Waters)600E型HPLC装置(ミリポア社(Millipore)マサチューセッツ州ミルフォード)で分子ビーコンを精製した。RP−HPLC精製のために、オリゴヌクレオチドをハミルトン(Hamilton)PRP−1カラムにかけ、0.1Mトリエチル−酢酸アンモニウム(TEAA)pH7.2での5%から50%までの直線的アセトニトリル濃度勾配を用いて40分間溶出した。このオリゴヌクレオチドを、商標ソース(Source)カラム(アマーシャム・ファルマシアバイオテック社(Amersham Pharmacia Biotech)、ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway,NJ))を用いたIE−HPLCによってさらに精製し、0.1MトリスpH8.0での0%から50%までの直線的な1MLiCl濃度勾配を用いて40分間溶出した。ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて未修飾の(標的)オリゴヌクレオチドを精製した。すべてのオリゴヌクレオチドは、インテグレイティッドDNAテクノロジーズ株式会社(Integrated DNA Technologies,Inc.)(アイオワ州コーラルビル(Coralville,IA))で合成された。
分子ビーコン設計 2種類の分子ビーコンを設計・合成した。すなわち、どちらも、ヒトGAPDH遺伝子の第6エキソンに対してアンチセンス方向に相補的な標的特異的プローブ配列、5’末端にCy3フルオロフォア、及び3’末端にdabcylクエンチャーを含む。図11aに示されているように、一種類は、標的特異的プローブドメインが、ステムを形成する2本の相補的腕部の間の中央部に位置しており、これらの腕部の配列が標的配列とは無関係であるという点で、分子ビーコンの従来の設計に従っている。他方、図11bに示すように、ステム共有型分子ビーコンは、標的配列に相補的なステム腕部をもつように設計された。どちらの場合も、プローブ長Lは、標的に相補的な分子ビーコン上の部位と定義され、ステム長Lは、各相補的腕部の塩基数である。すべての分子ビーコンは、L=19塩基であった(表3参照)。従来型分子ビーコンは、L=4、5及び7塩基のものを合成した。図12aに示すように、ステム共有型分子ビーコン配列には制約があるため、6塩基のステムは合成できない。すなわち、ステム共有型分子ビーコンの5’末端は標的配列を相補しなければならず、3’−ステムは、単に5’−ステム配列を相補するように作製されねばならないため、6塩基のステムを構成する腕部配列の一部は予め決まっているのである。これは、意図せずにステムにおける余計な塩基対を生じさせてしまう。ステム共有型分子ビーコンのステム配列は、ステムの一方の腕部が標的を相補するように設計されているため、調節することはできないことに留意すべきである。この制限は、プローブ18塩基及びステム長4塩基の分子ビーコンついて図12bに示されているように、しばしば、ステム/プローブの一定の長さの組み合わせを排除する。5種類の標的オリゴヌクレオチドも合成された。表3に示すように、そのうち1種類は野生型で、4種類はさまざまな位置にミスマッチをもつ。
Figure 0004537053
平衡解析 標的存在下での分子ビーコンは、1)標的との二本鎖、2)ステム−ループヘアピン、及び3)ランダムコイル状構造という3種類の相で存在すると考えられる。標的存在下及び不在下で分子ビーコンの熱変性プロフィールを解析して、これらの相間の遷移を表す解離定数を決定した(Bonnetら、1999)。5℃から95℃の温度で、0から20μMの標的存在下において200nMの分子ビーコンを含む50μLの溶液の蛍光強度を記録することによって変性プロフィールを得た。具体的には、ハイブリダイゼーション溶液の温度を95℃にして、1℃ずつ低下させて5℃にした。そして、温度を1℃ずつ上昇させて95℃に戻して溶液が平衡に達して、履歴現象が起きなかったことを確認した。温度変化分ごとに10分間同じ温度を保ち、最後の30秒間で蛍光を測定した。各試験溶液の蛍光強度を調整して、全部の温度で蛍光の固有のばらつきを補正した。10mMトリス、50mMKCl、及び5mMMgClを含むハイブリダイゼーション緩衝液中で各熱変性アッセイを行った。
各分子ビーコンの熱変性プロフィール表す蛍光強度データ及び分子ビーコン−標的二本鎖を用いて、Bonnetら、1999に記載されている各解離定数を決定した。具体的には、すべてのビーコン−標的対、及び標的不在下でのすべての分子ビーコンについて、ビーコンの第1相(標的結合している)と第2相(閉じたビーコン)の間の遷移を特徴づける解離定数K12を得た。さらに、解離定数K12を用いて、各ビーコン−標的二本鎖に関連したエンタルピーの変化(ΔH12)とエントロピーの変化(ΔS12)を測定した。熱力学パラメータについて計算した誤差は、95%信頼区間を有意とした。
分子ビーコンの特異性 標的に結合した分子ビーコン分率αを、温度の関数として、各分子ビーコン−標的対について計算した。すべての計算には、各分子ビーコン−標的二本鎖に関する熱変性プロフィールから得た熱力学パラメータ、エンタルピーの変化ΔH12及びエントロピーの変化ΔS12を利用した。
Figure 0004537053
各分子ビーコン−標的対についてB=200nMの分子ビーコン、及びT=400nMの標的を含む試料に対する温度の関数としてαの値を計算した。融解温度θは、分子ビーコンの半分が標的に結合する温度、すなわちα=0.5と定義されている。
動力学的解析 SFA−20迅速キネティックス・ストップトフロー補助装置及び温度/開始調節装置(SFA−12)付きのSPEXフルオロログ−2分光光度計を用いて、分子ビーコン−標的結合の反応速度を測定した。具体的には、250nMの分子ビーコン及び2.5μMの標的を含む迅速に混合された溶液から発光される蛍光の強度を、各分子ビーコン−標的対について長時間にわたって記録した。ハイブリダイゼーション反応は、二次反応速度式に従うものと仮定された。
Figure 0004537053
式中、[B]、[T]及び[D]は、それぞれ、未結合の分子ビーコン、未結合標的、及び分子ビーコン−標的二本鎖の濃度であり、kは、分子ビーコン−標的ハイブリダイゼーションの形成速度値、また、kはオフレート値である。方程式3の正確な解は、
Figure 0004537053
また、K12=k/kは上記の解離定数である。分子ビーコン−標的二本鎖の濃度は、所定の如何なる時点でも未知であるため、以下のように仮定される。
Figure 0004537053
ここで、F(t)は時間tにおける蛍光強度、Fは初期蛍光強度、及びFeqはt→∞のときの蛍光強度である。蛍光測定結果に基づいて形成速度kを得るために、2種類の曲線適合スキームを用いた。第一のスキームは、方程式4の対数式
Figure 0004537053
に対する直線を、kに等しい傾きに適合させることによって最小二乗法を利用した。または、非直線的最小二乗法を用いて、方程式4から直接kの値を決定した。これら2つの方法を用いて得られた結果を比較した。
温度解析 ステム共有型分子ビーコンの働きが、従来型の分子ビーコンの働きとどのようにことなるのかをよりよく理解するために、これら2つのタイプの分子ビーコンの熱力学的パラメータを得て比較した。特に、標的結合構造とステム−ループ構造の間の相遷移を表すエンタルピー及びエントロピーの変化ΔH12及びΔS12を、従来型とステム共有型の分子ビーコンについて、ファント・ホッフプロットを用いて決定した。図13に示すように、これらのプロットは、縦軸に示されたRln(T−0.5B)によって決定すると、融解温度の逆数1/θを示す。融解温度では、
Figure 0004537053
が成り立つため、図13の各曲線の適合直線の傾きがエンタルピーの変化ΔH12を表し、y切片がエントロピーの変化ΔS12を表す。一般的に、ステム共有型分子ビーコンは、より高い融解温度を有する。すなわち、従来型の分子ビーコンよりもより安定したプローブ/標的二本鎖を形成する。分子ビーコン−標的の組み合わせでテストしたものすべてについてのエンタルピー及びエントロピーの変化を表4にまとめた。
Figure 0004537053
プローブ/標的ハイブリダイゼーションの調節に関係する独立変数の数を最少にするため、分子ビーコンはすべて同じプローブ配列を持つよう設計した。さらに、5塩基のステム長及び19塩基のプローブ長をもつ分子ビーコンについては、従来型の分子ビーコンのステム配列は、ステムが、エネルギー的にステム共有型分子ビーコンのステム配列と同じになるものを選んだ。隣接近似法(nearest neighbor approximation)を用いて自由エネルギーの変化を計算した(Zucker2000)。
従来型及びステム共有型の分子ビーコンにおける熱力学的挙動の違いは、隣接腕部が互いに相互作用することができることに関連して理解することができる。ステム共有型分子ビーコンでは、ステムの一部(一方の腕部)が標的に結合すると、その相補的腕部とは相互作用しにくくなり、より安定したプローブ/標的二本鎖ができる。これに対して、従来型分子ビーコンの腕部は標的に結合しないため、熱エネルギーに動かされて互いに相互作用する可能性がより高く、標的から解離して閉じた分子ビーコンを形成する傾向が高くなる。当然のことながら、分子ビーコンのステムの長さは、標的存在下でのステム共有型及び従来型の分子ビーコンの平衡状態に影響を与えた。図14に示すように、ステムの長さが4から6塩基に増加すると、従来型の分子ビーコンはより簡単に標的から解離することが分かった。全く同じような傾向がステム共有型分子ビーコンにも見られた(データ未提示)。このことは、ステムが長くなるほど、分子ビーコンにとってハイブリダイゼーションは有利でなくなって行くことを示している。
ミスマッチによる従来型及びステム共有型の分子ビーコンの標的からの解離を抑制するエンタルピー及びエントロピーの変化も測定した(表4参照)。ステム共有型分子ビーコンが、調査した標的分子のそれぞれと、より安定した二本鎖を形成したことがわかった。しかし、図15に示されているように、標的オリゴヌクレオチドに点変異が存在するときは、どちらのタイプの分子ビーコンもより簡単にそれらの標的から解離した。変化の程度は、ミスマッチの数とその位置によって決まる。野生型標的に比べて、プローブ結合ドメインの中央近くにある点変異(標的B)は、プローブ結合ドメインの末端近くにある変異(標的A)よりも分子ビーコンの解離に与える影響が大きいことが分かった。予想通り、標的上の2つの点変異(標的C及びD)は、1個の点変異をもつものよりも、標的からの分子ビーコンの解離に甚大な影響を与えた。
融解温度 プローブ−標的二本鎖の安定性に与える分子ビーコンの構造の影響をさらに解明するために、図6に示すように、19塩基のプローブ長及び4から7塩基のステム長をもつ従来型及びステム共有型の分子ビーコンについて、融解温度θを比較した。それぞれのステム長を考慮すると、従来型分子ビーコンのほうがステム共有型分子ビーコンよりも融解温度が低いことが分かったが、どちらのタイプの分子ビーコンも同様の傾向を示した。具体的には、ステムの長さが増加するにつれて融解温度も次第に高くなった。実際、19塩基のプローブ長及び7塩基以上のステム長をもつ従来型分子ビーコンの融解温度は極めて低いと考えられる。これは、ステムの遊離した長い腕部によって、結合した分子ビーコンは非常に簡単に標的から解離して、低温でも安定したヘアピン構造を形成する。
分子ビーコンの特異性 二本鎖状態の分子ビーコンの分率αを温度の関数として示す融解曲線を、各分子ビーコン及びプローブ−標的対について得た。図17aに示すように、ビーコン/野生型標的二本鎖及びビーコン/変異標的二本鎖における融解温度θ(すなわち、α=0.5のときの温度)の違いは、従来型分子ビーコンにおける方が、対応するステム共有型分子ビーコンに比べて僅かに大きいことが分かった。さらに、野生型標的と変異型標的に結合している分子ビーコンの分率の違いである、温度の関数としてのαWT−α標的Bは、従来型及びステム共有型の分子ビーコンで同じであると認められた。ただし、図15bに示されているように、αWT−α標的Bの最大値は前者においてより高い。また、従来型分子ビーコンの方が、ステム共有型分子ビーコンに比べて僅かに広範な温度範囲にわたってαWT−α標的B>0という値を維持すると認められた。しかし、ここでもその差は非常に小さい。これは、従来型の分子ビーコンの方が、ステム共有型分子ビーコンよりもほんの僅かに高い特異性を示しうることを示唆している。
また、ステムの長さが分子ビーコンの特異性に与える影響も、従来型及びステム共有型の分子ビーコンで同様であることが分かった。具体的には、ステム長が増加するにつれて単分子反応と二分子ハイブリダイゼーションの間で競合が亢進して結合状態と未結合状態の間の遷移が広くなることを、図18の曲線が示している。この結果、より広い温度範囲にわたって標的を区別する能力が向上するが、野生型標的に結合しているビーコンと変異型標的に結合しているビーコンの分率の差は小さくなる。
動力学的解析 野生型標的にハイブリダイズするステム共有型及び従来型の分子ビーコンの形成速度をステム長の関数として図19aに示す。ステム共有型の分子ビーコンでは、ステム長が4から5塩基に増加すると、その形成速度が5倍低下し、ステム長を5から7塩基に増加すると、さらに3倍低下した。これに対し、従来型分子ビーコンの形成速度は、ステム長が4から5塩基に増加しても僅かにしか低下しなかった。興味深いことに、ステム長が5塩基以上になると、ステム共有型及び従来型の分子ビーコンは、因数で2未満しか違わない形成速度を有する。しかし、4塩基のステムを有するステム共有型分子ビーコンは、対応する従来型分子ビーコンよりも4倍速く野生型標的にハイブリダイズした。このハイブリダイゼーション速度の大きな違いは、ヘアピン構造の安定性における変異に起因する可能性がもっとも高い。さらに例示するために、標的不在下での従来型及びステム共有型の分子ビーコンの解離定数K23を図19bに示す。面白いことに、ビーコンのハイブリダイゼーションの形成速度とステム−ループ構造の安定性の間には明確な相関関係があるように見える。これは、K23が分子ビーコンのヘアピン構造(第2相)からランダムコイル構造(第3相)に遷移することを表していることから理解可能であり、K23が大きくなるにつれて分子ビーコンが開き易くなることを意味している。
分子ビーコンは、結合及び未結合の状態を区別することができ、または、直鎖状プローブよりも特異性が向上しているため、均質な一本鎖核酸の検出アッセイ法の多くにとって非常に役立つ道具となっている。しかし、さまざまな応用法について分子ビーコンの効率を最適化するには、その構造と機能の関係を理解する必要がある。ここでは、レポーター色素の最も近くにあるステム−腕部がヘアピン形成と標的ハイブリダイゼーションの両方に関与するという分子ビーコンの新しい設計、すなわち、ステム共有型分子ビーコンについて説明する。ステムが標的配列と無関係で、そのためプローブ−標的二本鎖の回りを自由に回転することができる従来型分子ビーコンとは対照的に、この新しい設計では、標的に結合すると分子ビーコンがフルオロフォアの固定を助けるが、これは、2種類の分子ビーコンを蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)アッセイ法で使用するときに望ましいことである(TsourkasとBao2001)。具体的には、図11bに図示されているように、フルオロフォアが結合したステム−腕部の回転運動が制限されるため、ステム共有型分子ビーコンによって、一方のビーコン上にある供与体色素と、もう一方のビーコン上にある受容体色素との距離をより好適に調節できる。ステム共有型及び従来型の分子ビーコンの設計と応用を促進し、それらの間の違いを明らかにするために、発明者らは、これらの分子ビーコンが相補的な標的及びミスマッチ標的とのハイブリダイゼーションを制御する熱力学的及び動力学的パラメータの系統だった研究を行った。
一般的に、ステム共有型分子ビーコンと比べて、従来型分子ビーコンは、より安定性の低い二本鎖を一本鎖核酸標的と形成するが、野生型と変異型の標的を区別する能力が僅かに向上していることが認められた。二本鎖の安定性の違いは、分子ビーコンが標的分子にハイブリダイズした後に2本のステム形成腕部の間の温度駆動型相互作用により説明することができる。直鎖状オリゴヌクレオチドプローブとは異なり、分子ビーコンは、標的に結合した構造及びステム−ループヘアピンという2種類の安定した構造を採ることができる。これら2種類の安定した状態は互いに競合してより優れた特異性を生じさせる。従来型分子ビーコンの両腕部に備わっている余計な自由度は、温度の変動に動かされて、これらの腕部が互いに出会う確率を高め、高い確率をもって分子ビーコンを標的から解離させることができる。また、この安定性の低下は、プローブ−標的二本鎖の結合状態と未結合状態と間の自由エネルギーの違いが小さくなることと関連している。従って、プローブ及び標的の間のミスマッチによる自由エネルギーの変化は、従来型の分子ビーコンのステム−ループヘアピン構造への選好性に大きく影響し、野生型と変異型の標的を区別する能力を改善する結果をもたらす。しかし、このような改良は取るに足りないものと認められる。
プローブ長及び配列がどのようなものであっても、分子ビーコンのハイブリダイゼーション速度は、それが従来型またはステム共有型いずれの構造で設計されているかに関わりなく、主にステムの長さと配列によって決まると考えられる。分子ビーコンの両タイプとも、温度の変動によって引き起こされたステム−ループ構造の開裂を表す解離定数K23が同じようなときには、同じようなハイブリダイゼーション速度を示した。従来型及びステム共有型の分子ビーコンにおいてK23の差が大きくなると、ハイブリダイゼーションの形成速度の違いも大きくなった。
従来型及びステム共有型の分子ビーコンの挙動における上記の違い以外にも、従来型の分子ビーコンでは、ステム長の選択はプローブ長とは無関係であるが、ステム共有型の分子ビーコンの設計においては、ステム長とプローブ長の組み合わせに対する一定の制限がある。このことは、本研究で実証された、熱力学的及び動力学的性質がプローブ長とステム長に依存するということとともに、具体的に応用するために分子ビーコンを設計するときに考慮されなければならない。
(実施例3)
(K−ras及びサバイビンの検出)
発癌遺伝子及び癌抑制遺伝子の遺伝的変化、ならびに、細胞に増殖優位性及び転移能力を与える遺伝子発現異常によって癌細胞が発生することが十分に確認されている。癌の診断及び治療の初期段階において決定的なステップは、遺伝子の変化による癌細胞を検出することである。重要な例は膵臓癌であり、米国では5番目に致命的な癌である。膵臓癌と診断された患者の12%だけが一年間生存することができ、5年間の全体的な生存率は約3〜5%である。膵臓癌の予後の悪さの主な理由は、これらの癌のほとんどを早期に発見できないことにある。CT−スキャン法及び内視鏡的逆行性胆道膵菅造影法(ERCP)など最近の臨床診断法は、大きさ2cm未満の膵臓癌を検出するには感度が低い。過去数十年にわたる広範な生物医学研究努力にも関わらず、90%を超える膵臓癌患者が、診断時までに既に局所における転移及び/または遠隔転移を起こしていて、治療が手遅れになることもしばしばである。従って、腫瘍の大きさではなく、分子マーカーによる初期段階で膵臓癌を検出することが重要である。
癌の早期検出を達成するための新しい方法は、癌細胞に存在して正常細胞には存在しないmRNA転写物を検出することによって癌細胞を同定する方法である。ここでは、本発明の二重FRET分子ビーコンであって、癌細胞を早期検出するためのものを示す。
K−rasは、ヒトの癌でもっとも頻繁に変異する遺伝子の一つである。Gタンパク質ファミリーの一員であるK−rasは、細胞表面からの成長促進シグナルの伝達に関与している。K−rasの点変異が、膵臓癌の80〜100%で、結腸癌の40〜60%で、肺腺癌の25〜50%で発見されていて、変異型K−rasが、膵臓癌を検出するための高感度マーカーであることを示唆している。さらに、K−rasの変異は、ほぼ例外なく3つのホットスポット(12、13及び61番目のコドン)で起きる。それらのほとんどが12番目のコドンに集中しているので、分子ビーコンの設計が容易になる。K−rasの変異は、膵臓癌発生の非常に早い時期に起きるので、K−rasの変異を標的とするアッセイ法によって、膵臓癌の早期検出をもたらすかもしれない。膵臓癌に関係する別の発癌遺伝子及び癌抑制遺伝子は、p53、p16、MADH4、DPC4、BRCA2、MKK4、STK11、TGFBR1及びTGFBR2などである。
アポトーシスタンパク質(IAPs)のインヒビターの一つであるサバイビンが、いくつかのタイプの癌にとって優れた腫瘍マーカーとなることを最近になって示唆する証拠が増えている。サバイビンは、胎児の発生過程で正常に発現されるが、正常な成人の組織では発現されていない。しかし、高レベルのサバイビンが多くのヒト癌タイプ及び形質転換された細胞で検出される。特に、最近の実験で、免疫組織化学法、免疫ブロッティング、及びRT−PCRアッセイ法によって、膵菅細胞腺癌の77%(26例のうち20例)でサバイビンが存在することが示されている。また、この研究の結果は、膵臓癌細胞において悪性細胞に移行する初期段階においてサバイビンの発現が生じることを示唆した。しかし、5人の健常な人、12人の慢性膵炎患者から採取した膵臓組織においてはサバイビンの発現は検出されず、腫瘍細胞周辺の炎症細胞にも見られなかった。正常な膵臓、慢性膵炎患者の膵臓組織、及び他の正常組織でサバイビンの発現が見られなかったことは、膵臓癌細胞を検出するための理想的な分子マーカーになるということである。分子ビーコンは、多くの発癌遺伝子及び癌抑制遺伝子の変異を標的するよう設計することができるが、ここに提示する実験においては、膵臓細胞におけるK−ras変異とサバイビンの発現を検出することに絞ることにする。
K−ras変異は、DNA精製及び変異濃縮PCRの後一本鎖DNA高次構造多型法(SSCP)、制限酵素断片長多型法(RELP)またはアリル特異的オリゴデオキシヌクレオチドハイブリダイゼーション法(ASOH)を行うことによって、膵臓癌患者の血液、膵液、及び膵臓組織試料で検出できることが示されている。PCRによるK−ras変異の同定は、かなり感度の高い分子的手法であるが、PCRを行うための手順及びその後のアッセイに非常に時間がかかり、臨床的な方法とすることは難しい。さらに、末梢血または膵液のみからのDNAでK−ras変異を同定するのは、K−ras変異の細胞起源を決定するための特異性を欠くため膵臓癌の診断をする上では不十分である。膵臓癌を検出するより良い方法は、本発明の核酸プローブを使用して、癌細胞におけるK−ras変異を直接検出する方法である。前記核酸プローブを利用して、肺癌から単離したDNA試料のPCR産物でK−ras変異を検出することが報告されており、その特異性も確認されている。しかし、今までのところ、元の癌細胞で変異型K−rasのmRNAを検出するために核酸プローブを使用することは報告されていない。分子ビーコン法を用いることの利点の一つは、癌のさまざまな分子マーカーについて、このような核酸プローブの混合液を細胞の中に送達できることである。
細胞の中でK−ras変異を検出する上で重要な問題は、シグナルタンパク質として、K−rasのmRNAの発現レベルは、癌細胞においてさえもあまり高くないかもしれないことである(細胞当たり<1,000コピー)。さらに、K−ras及びサバイビンmRNAの二次構造が、本発明の核酸プローブと標的の結合に影響する可能性がある。従って、高い検出特異性と感度を実現できるよう、分子ビーコンの設計とビーコンの送達条件を最適化するのが好適である。本発明の核酸プローブ法と高感度蛍光顕微鏡とを普通に組み合わせることによって、細胞当たり10コピーしかないmRNAも検出できるようになる可能性がある。
さらに、本発明の核酸プローブの間におけるプローブ−標的のハイブリダイゼーション及びエネルギー転移を調べるために、二重FRET分子ビーコンを設計および合成した。具体的には、ヒトGAPDHmRNAを標的するよう分子ビーコンを設計した。供与体プローブは、3’末端は6−FAM供与体フルオロフォア(D)、5’末端はDabcylクエンチャー(Q)を用いて合成した。同様に、受容体プローブを、5’末端にCy3受容体フルオロフォア(A)、3’末端にDabcylクエンチャー(Q)を用いて合成した(下の表5を参照)。供与体及び受容体のビーコンは、標的配列の一部に相補的になっているものを選択する。このため、ループ部位は長さ13塩基である。GAPDHIVTRNAの第6エキソン/第7エキソン連結部を模倣する合成標的を設計して、同一の標的にハイブリダイズする2つのビーコンの間のギャップがそれぞれ3、4、5または6塩基になるようにする。ここで、4塩基のギャップは野生型と同じである。本発明の核酸プローブはすべて、インテグレイティッドDNAテクノロジーズ株式会社(IDT社)で合成された。
上記に例示したように、分子相互作用の熱力学及び結合速度が、本発明の核酸プローブの設計の基礎にある。ステム−ループ構造の維持とプローブ−標的二本鎖の形成との自由エネルギーの違いが、ハイブリダイゼーションの主な原動力である。本発明の核酸プローブは、溶液中で、ヘアピン、ランダムコイル、及びプローブ−標的二本鎖という3種類の異なった相を持ちうる。これらの相の相対的割合は、プローブの構造、プローブと標的の濃度、溶液の化学的性質、プローブと標的の配列、及び温度に依存して変わる。例えば、ステムが長すぎると、ステム−ループプローブがハイブリダイゼーションに際して開くのは難しくなろう。他方、ステムが短かすぎると、プローブのほとんどの画分が、ブラウン力によって開いてしまうかもしれない。同様に、ステムの長さに対して、長いプローブは解離定数を小さくする可能性があるが、しかし、一塩基のミスマッチによる相対的自由エネルギーの変化は小さいため、特異性も低くなってしまう可能性がある。
プローブの構造と機能の関係をさらに確認するために、例えば、K−rasの12番目のさまざまなコドン変異を標的するための、表5に示されているような一連の二重FRETプローブを通常通り設計・合成した。供与体ビーコン及び受容体ビーコンの各対につき、供与体ビーコンが、GGT−GAT転位(GlyからAsp)、またはGGT−GTT(GlyからVal)、GGT−CGT(GlyからArg)、GGT−TGT(GlyからCys)というトランスバージョンなど、膵臓癌で最も一般的なK−ras点変異の一つを含む。同一の受容体ビーコンを、さまざまな変異配列を有する供与体ビーコンのすべてと用いることもできる。一例として、本発明の核酸プローブの具体的なビーコン設計は、プローブ長21ヌクレオチド、ステム長4ヌクレオチド、また、同一の標的に結合した供与体ビーコンと受容体ビーコンの間のギャップサイズが4ヌクレオチドである。1)プローブの長さを17、19及び21塩基に、2)ステムの長さを4及び5塩基に、3)標的mRNAに沿った供与体ビーコンと受容体ビーコンの間のギャップサイズを4及び5塩基に変えることによって、ハイブリダイゼーション速度及び特異性に対するビーコン構造の効果を常法によって調べることが出来る。異なったパラメータの組み合わせについて、上記した動力学的及び熱力学的モデリングを行って、実験データの解析法を確立する。
Figure 0004537053
検出感度をさらに上げるために、例えば、膵臓癌では発現されるが、健常な組織では発現されない、サバイビンなど第二腫瘍マーカーを標的とする、本発明の核酸プローブを合成することができる。
K−ras点変異を標的とする分子ビーコンの特異性を示すために、本発明の供与体核酸プローブを、さまざまなプローブ/標的濃度で、野生型K−rasmRNA標的、対応する変異K−rasmRNA標的、及びサバイビン標的のそれぞれと混合して溶液内ハイブリダイゼーション実験を行う。熱変性プロフィールを作成し、対応する遷移温度が得られた。検出感度は、プローブ及び標的の初期濃度に依存するため、この実験の結果は、検出特異性を明らかにするだけでなく、ビーコン送達条件を最適化するための指針も提供する。さらに、本発明の設計による各核酸プローブ、及び各標的タイプを用いて、ハイブリダイゼーションの動力学的速度に関するストップトフロー実験を行う。これは、特異性とハイブリダイゼーション速度の最良の可能な組み合わせをもつ核酸プローブの最適な構造を選択するのに役立つ。
mRNAの二次構造によって生じる可能性のある問題に取り組むため、プローブ長の3倍から4倍の長さをもつ合成標的を溶液内実験で使用する。本発明の核酸プローブをさらに利用するため、サバイビン及び変異型K−rasの全RNAを、それらを保持していることが分かっている膵臓癌細胞から単離し、増幅し、溶液内ハイブリダイゼーションアッセイ法を行って、本発明の核酸プローブとこれらのmRNAとの結合の度合いを測定する。
上記したように、細胞内環境においては、細胞質ヌクレアーゼによって核酸プローブが分解される可能性がある。この問題に取り組むため、本発明は、2’−O−メチルODNなどの構造修飾によって合成されるプローブを提供する。メチル化されたプローブ/標的二本鎖は、DNA−プローブ/標的二本鎖よりも安定しており、本発明のメチル化核酸プローブは、DNAプローブよりも速くRNA標的にハイブリダイズする。初代ヒト皮膚線維芽(HDF)細胞に送達した後、ランダムなDNA配列をもつ未修飾の分子ビーコンの蛍光シグナルと、同じ配列をもつ本発明のメチル化核酸プローブの蛍光シグナルを、時間をかけて観察して、これらのプローブが細胞内環境でどの位活性をもつことができるかを判定する。
膵臓癌細胞においてK−ras変異型を検出する分子ビーコン法の特異性を判断するために、K−rasの第12コドンの4種類の変異(GGT−GAT、GGT−GTT、GGT−CGT及びGGT−TGT)を標的として、本発明の核酸プローブを合成する。送達、ハイブリダイゼーション、及びイメージングのアッセイ法は、対応する変異型K−rasmRNAをもつPanc−1(GGTからGAT)、Capan−1(GGTからGTT)、PSN−1(GGTからCGT)、及びMiapaca−2(GGTからTGT)などの膵臓癌細胞系用いて行う。また、「野生型」K−rasmRNAを有する対照として、膵臓細胞系BXPC−3も使用する。
予備実験によって、Panc−1細胞系におけるK−rasの第12コドン変異GGT−GATを確認したことが示されている。対応する膵臓癌細胞系における他の3種類の変異(GGT−GTT、GGT−CGT及びGGT−TGT)についても、K−rasの第1エキソン配列のPCR増幅を用い、その後DNA配列決定によって更なる確認を行う。各細胞系におけるK−rasmRNAの濃度も、リアルタイムPCRを用いて定量化するものとする。パイロット実験の過程で、本発明の核酸に関する送達、ハイブリダイゼーション及び緩衝液の条件を、Panc−1細胞系における変異型K−rasmRNA(GGTからGATへの変異)を標的として最適化されている。上記したように、本発明は、Opti−MEM1培地(GIBCO)において150nMのプローブで、37℃で30から60分間インキュベートするという、このタイプのプローブについての好適な条件を提供する。さまざまな変異型K−rasmRNAを標的とする本発明の核酸プローブにとって最適な送達及びハイブリダイゼーションの条件は、同定すべき対象によって変化することが予想される。各特異的K−ras変異体のために設計された本発明の核酸プローブを、最適な送達条件を用いて、少なくとも4種類の細胞系とインキュベートするが、これらの細胞系には、特異的K−ras変異、「野生型」K−ras細胞系BXPC−3、及び、その他に、さまざまなK−ras変異を有する2つの細胞系が含まれる。共焦点顕微鏡を用いて細胞内のFRET誘導蛍光シグナルを画像化することができる。対応するK−ras変異体を発現する細胞系だけで強い蛍光シグナルが観察され、BXPC−3及び他の細胞系では観察されなければ、本発明のプローブ検出法の特異性が確認される。
さまざまなレベルのサバイビン遺伝子を発現する膵臓癌細胞系と、対照として正常なヒト線維芽細胞を用いて同様のアッセイ法を常法通りに行い、サバイビンを標的とする本発明の核酸プローブの特異性を調べる。例えば、RT−PCR及びノーザンブロッティングを用いて、膵臓細胞系Miapaca−2におけるサバイビン発現のレベルが高く、BXPC−3ではずっと低いが、HDFでは、発現レベルはほぼゼロであることが分かる。サバイビンプローブのプローブ配列を表6に示す。アッセイの工程は、上記したところと同じである。さまざまなレベルのサバイビンmRNAを発現する癌細胞系及び正常細胞系HDFを、本発明のサバイビン核酸プローブとインキュベートし、共焦点顕微鏡を用いて、得られた蛍光を画像化する。
Figure 0004537053
膵臓癌細胞検出の特異性の関する重要な問題は、K−rasの第12コドン変異とサバイビンはどちらも結腸直腸癌及び肺癌でも発現されているという点である。膵管に由来する癌細胞の検出に対する高い特異性を確保するために、サバイビンとK−ras変異を標的とする本発明の核酸プローブを用いることに加えて、キモトリプシノーゲン遺伝子に対する第三のプローブ対であって膵臓特異的なものを合成することも可能である。供与体及び受容体の設計例は、それぞれ、
Figure 0004537053
この本発明の核酸プローブ対は、膵臓癌、肺癌、及び大腸癌の細胞系の中、及び正常なヒト線維芽細胞系HDFの中にも送達し、得られる蛍光画像を記録する。これによって、膵管だけに由来する細胞のみを確実に検出できるようになる。細胞を用いる検出アッセイ法はすべて37℃で行う。ランタニド色素を用いた本発明の核酸プローブにより検出特異性を判断するアッセイ法は、Safire単色光分光読取装置(テカン社(Tecan))を用いて行う。
膵臓癌細胞の検出において、プローブを利用する方法の感度を判定するために、膵臓癌細胞と正常細胞とを1:1,000(すなわち1,000個の正常細胞中1個の癌細胞)、1:10,000、1:100,000、及び1:1,000,000の割合で混合し、この混合液を、特異的な癌細胞系のために設計した二重FRET分子ビーコンとともに最適化された条件(プローブ濃度と時間)でインキュベートする。細胞をガラス製のカバーグラス上に置いた後、共焦点顕微鏡を用いて、癌細胞の中でハイブリダイズした本発明の核酸プローブのFRET誘導による蛍光画像が得られる。さらに、FACS Vantage SE細胞選別装置(ベクトン−ディキンソン社(Becton−Dickinson)を用いて、懸濁液になった混合細胞の中にある癌細胞を選び出す。細胞選別装置は、1:100,000の選別感度をもち、488nm、547nm及びUVという3種類の励起波長をもつ。適当なフィルターを用いると、細胞中にある二重FRETプローブによる蛍光発光を検出できる。サバイビン、K−ras及びキモトリプシノーゲンを検出するための二重FRETプローブ対を、それぞれ、353nm、488nm及び547nmのレーザーで励起する。細胞及び分解された本発明の核酸プローブの自己蛍光によるバックグランドの影響が最小限になるよう、検出法における蛍光強度の閾値を選択する。本実験において、癌細胞としては膵臓癌細胞系であるPanc−1、Capan−1、PSN−1及びMiapaca−2を用い、ヒト皮膚線維芽(HDF)細胞を正常細胞として用いる。
一般的に試料中には非常に少数の癌細胞しか存在しないので、癌細胞の中でハイブリダイズした分子ビーコンの画像を得るにあたって、超高感度蛍光測定値を得ることが重要である。FACSVantageフローサイトメーター(細胞選別装置)は非常に検出感度が高く、5色を解析及び選別することができ、励起波長の幅が広く、また、重複励起の分離に対するクロスビームレーザ補償(cross beam laser compensation)を行うため、この装置を使用する。また、画像解析は、FRET蛍光測定の結果を増強するために行う。現在のところ、ツァイス(Zeiss)共焦点顕微鏡及びFACS細胞選別装置は、時間分解FRETによる画像化能力を持っていないため、本実施例では、検出感度の画像化アッセイ法を行うにあたって、FRET用の有機性色素対を有する本発明の核酸プローブのみを使用する。
本実施例は、特に危険性の高い患者における膵臓癌の早期診断をもたらすことのできる本発明の二重FRET核酸プローブを用いて、膵管細胞でサバイビン及び変異型K−rasのmRNAなどの腫瘍マーカーの合理的な検出に基づいている。本実施例は、本発明に係る新規の二重FRET分子ビーコン法が、高い感度、特異性、シグナル対ノイズ比率、及び効率を有する、膵臓癌を早期に検出するための簡単な臨床法となりうることを示している。このことは、臨床試料を使用する後続の翻訳研究によってさらに明らかになる。同じ方法論をごく普通に拡張して、他の癌の検出及び診断、及び他の生物医学的課題を解決することに関連して生細胞における遺伝子発現研究に及ぼすことが可能である。
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本出願を通して、さまざまな刊行物が参照されている。これらの刊行物すべての開示内容、及びそれらの刊行物の中で引用されている参考文献の開示内容は、本発明が属する従来技術の状態をより完全に説明するため、その全体を参照として本出願に組み入れる。発明の範囲と精神を逸脱することなく、本発明にさまざまな改変及び変更を加えることができることは、当業者にとって明らかである。本明細書で開示されている発明の詳細な説明及び実施内容に鑑みれば、本発明の他の実施形態は当業者にとって明らかである。発明の詳細な説明及び実施例は単に例示するためのものである。当業者は、通常の実験だけを用いて、本明細書に記載されている発明の具体的実施形態と等価のものを数多く認識し、または確認することができる。このような等価物も、以下の請求の範囲に含まれるものとする。
同一のmRNA標的上の隣接する領域への供与体及び受容体分子ビーコンのハイブリダイゼーションによってFRETが生じることを示す。FRETを検出することで、プローブ/標的の結合による蛍光シグナルと、ビーコンの分解及び非特異的相互作用によって生じる蛍光シグナルとを区別することができる。図中、Q、D及びAという文字は、それぞれ、クエンチャー、供与体色素分子、及び受容体色素分子を表す。 供与体及び受容体の分子ビーコン間に4塩基の間隔を置いたアッセイ系の、合成標的にハイブリダイズしたときの概略図を示す。本例では、両ビーコンとも19塩基長のプローブと5塩基長のステムを有する。下線部は、ビーコンに相補的な標的の38塩基の配列を示す。各ビーコンにとって、ステムの一方の腕部がプローブの一部となっていて、その結果、ハイブリダイズすると色素分子の移動が制限されることに留意されたい。 二重FRET分子ビーコンの典型的な発光スペクトルを示す。3種類のシグナル対バックグランドの比率が示されている:S:BdMBは、標的存在下での従来の分子ビーコンの蛍光の増強を表す。S:BaMBは、受容体の増感発光によって生じる蛍光の増加を示す。S:Ndegは、偽陽性シグナルに対する受容体の増感発光によって生じるシグナルの比率である。 (4a)Fam−Cy3FRET対、(4b)Fam−ROXFRET対、及び(4c)Fam−テキサスレッドFRET対をもつ二重FRET分子ビーコンに関するシグナル対ノイズの比率を示す。エラーバーは、3、4、5または6塩基によって隔てられている二重FRET分子ビーコンについて計算された最小値と最大値を示す。 Fam−テキサスレッドFRET対をもつ二重FRET分子ビーコンの発光スペクトルを示す。図に記載された試料は475nmで励起された。 Fam供与体とCy3、ROXまたはテキサスレッド受容体をもつ分子ビーコンFRETによる受容体の標準化されたピーク発光を示す。すべての強度を、標的に結合したFam標識供与体ビーコンのピーク強度に対して標準化した。 Fam供与体とテキサスレッド受容体をもつ二重FRET分子ビーコンについて、供与体ビーコンと受容体ビーコンの間に置いた間隔が受容体色素の蛍光発光に与える効果を示す。3、4、5または6塩基によって供与体と受容体が隔てられている4種類の標的を調べた。 供与体としてテルビウムキレートを、また、受容体としてCy3(図8a)及び受容体としてROX(図8b)を用いた2プローブ検出アッセイ法で得られた時間分解発光スペクトルを示す。すべての試料を325nmで励起した。 ユーロピウム標識オリゴヌクレオチドを供与体プローブとし、Cy5−標識オリゴヌクレオチドを受容体プローブとして利用した2プローブ検出アッセイ法によって生じた時間分解発光スペクトルを示す。 6−Fam−標識されCy3標識されたオリゴヌクレオチドの1光子(図10a)及び2光子(図10b)の励起スペクトルを示す。 図11aと図11bは別の分子ビーコン設計を示す。図11aは、従来の分子ビーコンが、標的配列とは別のステム配列を有することを示している。図11bは、ステムの一方の腕部が、ヘアピン形成と標的ハイブリダイゼーションの両方に関わるように、ステムを共有する分子ビーコンが設計されていることを示す。 図12aと図12bは一定のステム/プローブの組み合わせをもつステム共有型分子ビーコンの設計上の制約の例を示す。図12aは、意図せずに余計な塩基(丸で囲ったもの)がステム形成に加わってしまった、19塩基のプローブ長及び6塩基のステム長をもつ分子ビーコンの設計を示す。図12aは、意図せずに標的とのハイブリダイゼーションに加わってしまった、18塩基のプローブ長及び4塩基のステム長をもつ分子ビーコンの設計を示す。(丸で囲ったもの) プローブと標的の初期濃度によって測定した、ステム共有型及び従来型の分子ビーコンの融解温度の比較結果を示す。データを直線に適合させることによって、分子ビーコンの標的結合構造とステム−ループ構造との間の相転移を特徴付ける、エンタルピー(適合させた直線の傾き)及びエントロピー(y−切片)の変化が得られた。 従来型分子ビーコンについて、標的結合構造とステム−ループ構造との間の相転移を特徴付ける、エンタルピー(適合させた直線の傾き)及びエントロピー(y−切片)の変化の測定結果を示す。同様の傾向が、ステム共有型分子ビーコンにも見られた。 野生型及び変異型の標的と相互作用するステム共有型分子ビーコン(図15a)及び従来型分子ビーコン(図15b)について、標的結合構造とステム−ループ構造との間の相転移を特徴付ける、エンタルピー(適合させた直線の傾き)及びエントロピー(y−切片)の変化の測定結果を示す。 野生型標的存在下における従来型分子ビーコンとステム共有型分子ビーコンとの関数として融解温度を比較した結果を示す。 図17aおよび図17bは19塩基のプローブ及び6塩基のステムをもつ従来型分子ビーコンとステム共有型分子ビーコンの融解挙動を示す。図17aは、野生型(実線)及び変異型(点線)存在下における従来型分子ビーコンとステム共有型分子ビーコンの融解曲線を示す。図17bは、野生型及び変異型の標的に結合した従来型分子ビーコンとステム共有型分子ビーコンの画分における違いを示す。 ステム長4、5、及び6塩基のステム共有型分子ビーコンについて、野生型及び変異型の標的に結合したビーコン画分の違いを示す。同じ傾向が、従来型分子ビーコンにも見られる。 19塩基のプローブ長を持ち、さまざまなステム長をもつ分子ビーコンについて、図19a標的とのオンレート(on−rate)ハイブリダイゼーション及び図19b標的不在下での解離定数(すなわち、ステム−ループヘアピン型とランダムコイル型のビーコン間での遷移)に関する従来型とステム共有型分子ビーコンの比較結果を示す。
配列表
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Claims (26)

  1. 対象とする核酸を検出するための組成物において、
    a.対象核酸上の第一の核酸標的にハイブリダイズし、第一の核酸標的配列に結合していないときにはステム−ループ構造を形成し、共鳴エネルギー転移供与体部分と、クエンチャー部分であって、該供与体部分と該クエンチャー部分との相互作用を検出して、第一の核酸プローブのステム−ループ構造のものと非ステム−ループ構造のものを区別できるようにする、クエンチャー部分と、を備える第一の核酸プローブと、
    b.対象核酸上の第二の核酸標的にハイブリダイズし、第二の核酸標的配列に結合していないときにはステム−ループ構造を形成し、共鳴エネルギー転移受容体部分と、クエンチャー部分であって、該受容体部分と該クエンチャー部分との相互作用を検出して、第二の核酸プローブのステム−ループ構造のものと非ステム−ループ構造のものを区別できるようにする、クエンチャー部分と、を備える第二の核酸プローブと、
    を含む組成物であって、第一の核酸プローブの供与体部分と第二の核酸プローブの受容体部分との相互作用から生じる共鳴エネルギー転移シグナルを検出して、第一の核酸プローブと第二の核酸プローブの両方が対象核酸にハイブリダイズすることを判定できるようにするために、対象核酸上の第一の核酸標的配列と第二の核酸標的配列がいくつかのヌクレオチドによって隔てられており、第一の核酸プローブのステムの、一方の腕部及び/又は第二の核酸プローブのステムの、一方の腕部が、ステム−ループ形成と核酸標的配列へのハイブリダイゼーションの両方に関与する、組成物。
  2. 共鳴エネルギー転移シグナルが蛍光共鳴エネルギー転移によるものである、請求項1に記載の組成物。
  3. 共鳴エネルギー転移シグナルが蛍光共鳴エネルギー転移によるものであり、供与体部分が6−Famフルオロフォアである、請求項1に記載の組成物。
  4. 共鳴エネルギー転移シグナルが蛍光共鳴エネルギー転移によるものであり、受容体部分がCy−3、ROXまたはテキサスレッドである、請求項1又は3に記載の組成物。
  5. 共鳴エネルギー転移シグナルが発光共鳴エネルギー転移によるものである、請求項1に記載の組成物。
  6. 共鳴エネルギー転移シグナルが発光共鳴エネルギー転移によるものであり、供与体部分がランタニドキレーター分子である、請求項1に記載の組成物。
  7. 共鳴エネルギー転移シグナルが発光共鳴エネルギー転移によるものであり、供与体部分がユーロピウムまたはテルビウムである、請求項1に記載の組成物。
  8. 共鳴エネルギー転移シグナルが発光共鳴エネルギー転移によるものであり、供与体部分が、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)−シトシン、DTPA−cs124、BCPDA(4,7−ビス(クロロスルフォフェニル)−1,10−フェナントロリンー2,9−ジカルボン酸)、BHHCT((1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−4,6−ヘキサンジオン−6−イル)クロロスルホ−o-テルフェニル)、イソシアナト−EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、及びクワンタム・ダイ(Quantum Dye)から選択されたランタニドキレーター分子である、請求項1に記載の組成物。
  9. 供与体部分がランタニドキレートであり、受容体部分が有機性色素、Cy3、Cy5、ROXもしくはテキサスレッド、またはフィコビリプロテインである、請求項1、7、及び8のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 受容体部分が、赤色フィコエリトリン(RPE)、青色フィコエリトリン(BRPE)、またはアロフィコシアニン(APC)から選択されたフィコビリタンパク質である、請求項1〜3及び5〜8のいずれか1項に記載の組成物。
  11. 第一または第二の核酸プローブが5から50ヌクレオチドを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
  12. 第一または第二の核酸プローブが10から40ヌクレオチドを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
  13. 第一または第二の核酸プローブが15から30ヌクレオチドを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
  14. 第一または第二の核酸プローブが20から25ヌクレオチドを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
  15. 第一または第二の核酸プローブが2’−O−メチルヌクレオチドのバックボーンを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
  16. 第一の核酸標的配列及び第二の核酸標的配列が1から20ヌクレオチドによって隔てられている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
  17. 第一の核酸標的配列及び第二の核酸標的配列が2から10ヌクレオチドによって隔てられている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
  18. 第一の核酸標的配列及び第二の核酸標的配列が3から7ヌクレオチドによって隔てられている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
  19. 第二の核酸プローブが複数の受容体部分を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
  20. 請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物を、インビトロで対象とする核酸を含むと推定される試料と混合すること、及び、共鳴エネルギー転移シグナルを検出して、試料中の対象核酸の有無を判定することを含む、対象核酸を検出する方法。
  21. 試料が生細胞を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 対象核酸が、対照核酸と比べると遺伝子の点変異、欠失または挿入を含む、請求項20又は21に記載の方法。
  23. 対象核酸が検出されたことが、試料中に癌が存在することを示す、請求項20又は21に記載の方法。
  24. 対象核酸が、K−ras、サバイビン、p53、p16、DPC4、及びBRCA2を含む、請求項20又は21に記載の方法。
  25. 対象核酸が検出されたことが、外的刺激に応答して対象核酸の発現パターンが変化したことを示す、請求項20〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 検出を1光子または多光子顕微鏡、時間分解蛍光顕微鏡、または蛍光内視鏡によって実施する、請求項20〜25のいずれか1項に記載の方法。
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