JP4536206B2 - 廃棄物処分施設 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防水性の上下二層のシートにより遮水シートを形成し、遮水シートの中間層に修復液を充填させることで、遮水シートの破損を自己修復させる廃棄物処分施設に関し、特に、少ない本数の本管から枝管を分岐させ、各枝管より遮水シートに修復液を供給したり回収したりすることができる廃棄物処分施設に関する。
【0002】
【従来の技術】
(廃棄物処分施設での問題)
【0003】
焼却処分やリサイクルできない産業廃棄物や一般廃棄物は、山間や埋立地に埋め立てて処分している。廃棄物を埋め立てるための廃棄物処分施設では、山間の谷を掘り下げ、岩盤を露出させることで巨大なすり鉢状をした施設を建設していた。近年では、このような処分施設から漏出した汚水が地下に浸透して環境汚染を引き起こさないように、漏水工事を実施することが義務付けられている。この工事では、処理施設の底面および法面に遮水シートを敷設するシート防水工法が広く採用されている。この工法では、巨大なすり鉢状をした岩盤(岩盤でなくとも、透水係数が10-6cm/sec以上であれば地盤でも構わない)の露出面を防水性のある遮水シートで覆うことにより貯水地のような構造物を施工している。このように、廃棄物処分施設に遮水シートを敷設するのは、廃棄物を通過して浸透した汚水を遮水シートで遮断し、汚水が土中に流出して環境汚染が発生するのを防止するためである。
【0004】
この工法では、広大な面積の廃棄物処分施設の底面を、軟質の合成樹脂系あるいはゴム系の遮水シートを敷設しなければならない。だが、巨大な一枚の遮水シートを製作するのは困難なため、複数の帯状をしたシートの両端を現場で接合することにより、広い面積の遮水シートに加工している。この接合には防水を完璧に行わなければならないため、接合方法には各種の工夫がなされている。例えば特開平11年152726号、特開平11年172649号などでは、連続して二つのシートの両端を接合する方法が提案されている。さらに、複数のシートを張り合わせることで製作した遮水シートの接合部分が確実に接合されたかを確認しなければならない。このため、例えば特開平10年286885号、特開平11年277027号などでは、シートの接合部分を検査する方法が提案されている。また、確実に複数のシートを接合して遮水シートを製作しても、廃棄物の荷重や埋め立て作業時における廃棄物の角張った突起などにより遮水シートが破損する虞がある。その破損の防止のために、例えば特開平9年1100号、特開平11年33514号では強靱で破損し難いシートの構造が提案されている。さらには、シートを接合して遮水シートを製作する工程で、岩場などによって遮水シートが破損することもあるため、破損しにくい工法も提案されていて、例えば特開平8年1889号、特開平8年281236号、特開平10年235307号などで示されている。
【0005】
漏水シートを注意深く接合し、竣工時には検査により不良個所を除去して漏水シートには汚水が浸透しないようにしている。だが、処分施設の完成後に廃棄物を埋め立てる作業中には、埋立て物による突き刺しや異物などのかぎざきなどが原因で防水シートが破損することも多かった。処分施設完成後に遮水シートが破損すると、その破損した箇所からの汚水が地下に漏出し、環境汚染の原因となるれがあった。このような漏水シートが破損する要因には、物理的な破損や化学的な破損ばかりでなく、生物的な破損もあり、広範囲な要素が含まれている。複合する原因から漏水シートの破損を完全に防止することは困難であり、破損を防止するための有効な対策は未だに確立されていないのが現状である。だが、廃棄物処分施設においては、漏水シートの破損は有害物質を土中に流出させ、地下水等を汚染する虞れが高く、漏水シートの破損は極力防止しなければならない。
【0006】
このように、漏水シートの破損を防止することが不可能であることから、逆に、漏水シートの破損を検知して、早期に修復する技術の開発が行われるようになった。遮水シートが破損した場合、ただちにその破損を発見し、しかもその破損位置を特定することができれば漏水を防ぐことができるからである。このため、漏水シートが破損したことを検知する検知方法も数多くの提案がなされ、検知精度も向上して実用に耐えるだけの精度となってきている。
【0007】
(電気式検知方法の説明)
【0008】
従来の検知方法の一つに、電流の変化により破損個所を特定する方法がある。この方法では、遮水シートの上面に多数の線状電極をそれぞれ平行に配設し、同時に、遮水シートの面に多数の線状電極をそれぞれ平行に配設した構造である。遮水シートの上下面ではそれぞれの線状電極をX、Yの方向に直交させてあり、上下の線状電極で網の目のような細かいマトリックスを形成させる。そして、上下の線状電極に電を加えて遮水シートの上下面電荷を与える。そして、それぞれの線状電極を一本づつスイッチングして切り換えることにより破損した場所を特定することができる。この方法では、マトリックス状に配置した上下の線状電極の間で電流を検知し、遮水シートに破損が発生した場所ではその電流が大きくなる現象を利用したものである。遮水シートの破損の無い部分の電流と、破損のある部分の電流の変化を比較することで容易に破損した位置を決定することが可能となる。
【0009】
この電気式検知方法には多くの改良があり、特開平4年359130号公報では、廃棄物処分施設内と廃棄物処分施設外とにそれぞれ電流電極を設置した構成である。これらの電流電極に電圧をかけ、その電流を測定することにより、電場の分布状況を判断するものである。漏水が生じている場合には、抵抗が小さくなって分布状況が変化することから、漏水の確認を行い、かつ廃棄物処分施設内に配した測定電極により漏水位置を検出するようにしたものである。特開平6年31261号公報では、遮水シートを少なくとも二層のシート膜で構成し、これらシート膜の間に隔壁を設けることでシート膜の間に複数の空間を区画したものである。この方法では、広い遮水シートのおおよそどの部分に漏水が生じたかを検知することができ、補修に際しては該当する空間部分だけを検査すれば漏水個所を確認することができる。さらに、特開平6年63525号公報では、多数の区画に分割し、分割した各区画の周囲で、下層シートと上層シートとを溶着することで多数の袋体を形成した二重構造の遮水シートとした構造である。各袋体の内部に導電線と固化材注入管を設け、導電線の抵抗値の変化から遮水シートの破損個所を特定でき、固化材注入管により袋体に固化材を注入して破損個所を補修することができる。
【0010】
また、特開平8年323319号公報では遮水シートの補修方法が示されている。この方法では、下地整形をベントナイトと粘土の混合土とし、混合土を厚さ30cm程度に盛ってある。この混合土の上にモニタリング専用管を載せ、その上に導水マットを敷設した後にその上に混合土を厚さ30cm程度施工して遮水シートを敷設した構成である。この構成では、遮水シートが破損すると、モニタリング専用管で漏水が検知され、モニタリング専用管を介して注入ホースによりグラウト材を遮水シートの破損個所に浸透させることができる。
【0011】
このような電流の変化により遮水シートの破損個所を特定する方法では、線状電極を切断しないように注意深く施工しなければならず、長期の利用では線状電極が腐蝕して断線する故障が発生していた。施工の終わった後で線状電極が断線すると、その位置の特定ができず、メンテナンスも困難であるという問題があった。また、検知作業のために線状電極に高い電圧をかけると、施設周囲に感電防止のための対策が必要となり、廃棄物の種類によって電極の分布状況に変化が生じて誤差が出てしまうこともあった。さらに、電気式の検知方法では、破損の個所が特定できても、破損の大きさによる漏水量を検出することができない問題もあった。このことから、高い電圧を用いる電気式の破損個所検知方法によらず、水圧の変化により破損個所を特定する方法も実用化されてきている。
【0012】
また、遮水シートの破損やその位置を検知する方法が開発されても、その破損を修復しなければ漏水を止めることはできない。従来の遮水シートの修復技術では、破損した部分の周辺に薬液を注入をする間接的な修復が採用されていた。この方法では、遮水シートの上に埋め立てた廃棄物を再度掘削して破損部分を露出させ、遮水シートを直接的に修復するものであり、遮水シートの破損を早期に検知しても修復には時間がかかるものであった。修復が終わるまでの間に、破損した部分から汚染水が廃棄物処分施設の外部に流出することになり、環境汚染を防止することが出来にくいものであった。
【0013】
(破損の自動検知と自己修復の説明)
【0014】
遮水シートの破損の検知とその修復を行うために、二重に敷設した防水性のシートにより遮水シートを構成し、遮水シートの間に流動性のある修復材を封入した廃棄物処理施設が考案されている。この自己修復型の廃棄物処分施設では、修復材を含んだ液状修復材の液面高さの変化で遮水シートの破損があったことを検知でき、同時にその液状修復材によって破損個所を封鎖して修復することができる優れたものである。この構成では、遮水シートの破損を直ちに修復することができ、汚染水が遮水シートを通過して廃棄物処分施設の外部に流出する前に遮水することができ、かつ、同じ個所が再度破損しても自動的に修復することができる特徴を持っている。
【0015】
この液状修復材を利用した自己修復型廃棄物処分施設の構成と機能について説明する。先ず、図1により遮水シートの破損を自動検知する機構の具体的な構成について説明する。
【0016】
この説明における廃棄物処分施設10は、岩盤11(岩盤でなくとも、透水係数が10-6cm/sec以上であれば地盤でも構わない)を掘削してすり鉢状の窪地を掘り下げたものである。掘り下げた窪地の底面と法面に防水性のある下部シート12を一面に敷設し、下部シート12の上面には同じ面積の上部シート13を敷設し、上下の二つのシート12、13により遮水シート14を構成してある。二つのシート12、13の間には液体が流動できるだけの隙間を持った中間層15を形成してある。遮水シート14を構成する両シート12、13は、例えば透水係数k≧10-11 cm/sec 程度の軟質合成樹脂あるいはゴム系のシート材料を素材としている。両シート12、13は、広大な廃棄物処分場の全体を覆うことができる一枚ものに製作するのは困難である。このため、施工に適した所定の大きさに設定した単位シートの端部を作業現場で互いに重ね合わせて、溶着や接着剤により接合し、廃棄物処分場10の底面を覆うことができるように一体化させてある。そして、廃棄物16は上部シート13の上面に堆積されるようになっている。
【0017】
この廃棄物処分施設10に接近して、廃棄物処分施設10を保守するための管理棟21が設けられており、管理棟21の内部には底を閉鎖した円筒形の水位パイプ22(管理塔とも呼ばれる)が垂直に立てられている。この水位パイプ22の底部と中間層15の間には、両者を連通する流動パイプ23が接続してあり、水位パイプ22と中間層15には修復機能を持つ材料をコロイド溶液として混入した修復液24を注入してある。管理棟21には、修復液24を貯留するための修復液タンク25を設けてあり、修復液タンク25内には水位パイプ22に修復液24を移送する給液ポンプ26が、水位パイプ22内には修復液タンク25に修復液24を移送する排液ポンプ27が設けてある。これらの給液ポンプ26と排液ポンプ27とは、管理棟21に収納されている制御機器28によって自動的に作動されるようになっている。
【0018】
このような構成の廃棄物処分施設10では、水位パイプ22の底部と中間層15には常時修復液24を充填してあり、その水位Aは常に一定の高さとなるように維持されている。すなわち、水位パイプ22での水位Aが下がると制御機器28は給液ポンプ26を作動させ、修復液タンク25の修復液24を水位パイプ22に補給し、水位パイプ22での水位Aが上がると制御機器28は排液ポンプ27を作動させ、水位パイプ22の修復液24を修復液タンク25に戻している。この水位Aは、廃棄物16の層の中に発生した侵出水の水位Bよりも常に高い位置にあるように保持されている。すなわち、中間層15における修復液24の水位Aは、廃棄物16中に発生した浸出水の水位Bよりも過圧力状態に維持させていることになる。水位Aと水位Bの差による過圧力は遮水シートが破損したことを検知する際に大きな影響を与えるため、図示しない水位センサーにより水位パイプ22の液面を観察し、その信号を制御機器28にフィールドバックすることで二つの給液ポンプ26と排液ポンプ27を交互に制御して正確に維持している。
【0019】
このように水位Aが保たれている状態で上部シート13の一部が破損すると、修復液24の水位Aと浸出水の水位Bに水位差があるため、中間層15内に充填されている修復液24が破損個所を通過して廃棄物16側に流入して水位Aが低下する。この水位Aの変化は水位パイプ22に連動するため、水位パイプ22に設けた液面センサーでその変化を検知することで破損が発生したことを自動的に判断することができる。
【0020】
次いで、液面センサーの信号で制御機器28が作動して、給液ポンプ26により修復液タンク25から修復液24が水位パイプ22に供給され、水位Aを維持させようとする。水位Aが水位Bより高く維持されていると、破損個所への修復液24の補給が行われ、修復液24により上部シート13の破損個所が自己修復される(修復液24による自己修復の機能については後述する)。破損箇所が塞がれて修復が完了すると、修復液24の廃棄物16側への流出が止まるため、修復材24の供給が不要となって給液ポンプ26の動作が停止する。この段階になると、中間層15に充填されている修復液24は、廃棄物16からの浸出水よりも加圧状態になるため、その供給が停止される。この段階における修復材24の水位Aを水位パイプ22に設けた液面センサーで計測することで修復が完了したことを確認することができる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
このような原理により、遮水シートの破損を検知することができ、遠隔地であってもその水位の変化を監視することで廃棄物で覆われた遮水シートが破損したことを把握することができる。さて、実際の廃棄物処分施設10では、この図1で示すように廃棄物処分施設10を一枚の遮水シートで覆うことはなく、遮水シートは細かく区画分けされていて、区画された遮水シートごとにその破損を監視できる構造となっている。これは、廃棄物処分施設10を区画して、それぞれの場所での破損を検知した方が破損の修復作業が効率的であるためである。また、修復液24はその機能の劣化を防ぐために定期的に循環させなければならないが、廃棄物処分施設10全域の修復液24を一度に回収するよりも、区画された遮水シートごとに修復液24を管理する方が効率的なためである。
【0022】
このように廃棄物処分施設10の遮水シートを区画割りすると、各遮水シートの水位を監視するためにはそれぞれに流動パイプ23を接続し、独立した水位パイプ22まで延長させなければならない。すると、複数の流動パイプ23を束ねて共同暗渠に架設しなければならず、配管の束を敷設するために工事費用が嵩むと共に共同暗渠が多数の流動パイプ23で占められるため、有効な空間が少なくなる欠点が生じていた。この現象は遮水シートの区画数が増えればそれに比例して配管が増えていくものであった。
【0023】
また、共同暗渠の壁面に複数の流動パイプ23を挿通するとなると、共同暗渠の壁面による流動パイプ23の保持が問題となる。地震などで基礎地盤11振動が発生した場合や、長期的に共同暗渠が基礎地盤11より沈下して偏位を生じた場合などでは、この流動パイプ23の保持にズレが生じることになる。すると、共同暗渠と流動パイプ23の接合面隙間が発生し、共同暗渠内に漏水が溜まる原因となっていた。共同暗渠を長期的に利用するためには、流動パイプ23との接合部分で振動や偏位を吸収し、止水できる構成が望まれていた。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明は、遮水性のある下部シートと上部シートを上下に重ね、下部シートと上部シートによる上下二層の間に液体が流動できる中間層を設け、下部シートと上部シートと中間層により一つの独立した遮水シートを形成し、廃棄物を投入するために基礎地盤をすり鉢状に掘り下げた処分場の底部と法面に複数の遮水シートを隙間無く配置し、複数の遮水シートで処分場の底部と法面からの水漏れを防ぐように覆うと同時に、複数の遮水シートによって処分場の底部と法面を区画割りし、各遮水シートの中間層にはコロイド溶液を主体とする修復液を充填させ、この修復液を廃棄物からの浸出水よりも過圧力状態に維持させ、遮水シートが破損した際には修復液を破損箇所で固化させて封鎖させ、破損箇所を自己修復させることができる廃棄物処分施設において、基礎地盤を掘り下げた処分場の底部には遮水シートの中間層に修復液を供給する給液本管と遮水シートの中間層に充填した修復液を回収する排液本管を配置し、各遮水シートと給液本管の間には独立した給液枝管をそれぞれ接続し、各遮水シートと排液本管の間には独立した排液枝管をそれぞれ接続し、それぞれの遮水シートに独立して修復液の供給と回収を行うことを特徴とする廃棄物処分施設を提供するものである。(請求項1)
【0025】
本発明は、遮水性のある下部シートと上部シートを上下に重ね、下部シートと上部シートによる上下二層の間に液体が流動できる中間層を設け、下部シートと上部シートと中間層により一つの独立した遮水シートを形成し、廃棄物を投入するために基礎地盤をすり鉢状に掘り下げた処分場の底部と法面に複数の遮水シートを隙間無く配置し、複数の遮水シートで処分場の底部と法面からの水漏れを防ぐように覆うと同時に、複数の遮水シートによって処分場の底部と法面を区画割りし、各遮水シートの中間層にはコロイド溶液を主体とする修復液を充填させ、この修復液を廃棄物からの浸出水よりも過圧力状態に維持させ、遮水シートが破損した際には修復液を破損箇所で固化させて封鎖させ、破損箇所を自己修復させることができる廃棄物処分施設において、基礎地盤を掘り下げた処分場の底部には遮水シートの中間層に修復液を供給する給液本管と遮水シートの中間層に充填した修復液を回収する排液本管を配置し、各遮水シートと給液本管の間には独立した給液枝管をそれぞれ接続し、各遮水シートと排液本管の間には独立した排液枝管をそれぞれ接続し、各遮水シートと排液本管の間には独立した排気枝管をそれぞれ接続し、各遮水シートの中間層にある空気は各排気枝管を介してそれぞれ独立して排液本管より排気し、各遮水シートの中間層には各給液枝管を介して給液本管よりそれぞれ独立して修復液を供給し、各遮水シートの中間層には各排液枝管を介して排液本管よりそれぞれ独立して修復液を回収させることを特徴とする廃棄物処分施設を提供するものである。(請求項2)
【0026】
本発明は、前記複数の給液枝管と複数の排液枝管には、それぞれ独立して動作できる開閉弁を介在させたことを特徴とする廃棄物処分施設を提供するものである。(請求項3)
【0027】
本発明は、前記複数の給液枝管と複数の排液枝管と複数の排気枝管には、それぞれ独立して動作できる開閉弁を介在させたことを特徴とする廃棄物処分施設を提供するものである。(請求項4)
【0028】
本発明は、前記開閉弁は遠隔で操作できる電磁開閉弁であることを特徴とする廃棄物処分施設を提供するものである。(請求項5)
【0029】
本発明は、前記給液枝管のそれぞれには、その枝管内の修復液の圧力を検知する圧力計と、修復液の流量を検知する流量計を介在させたことを特徴とする廃棄物処分施設を提供するものである。(請求項6)
【0030】
本発明は、前記給液枝管と排枝管のそれぞれには、開閉弁を介して修復液を採取することができるサンプリング管を分岐して接続したことを特徴とする廃棄物処分施設を提供するものである。(請求項7)
【0031】
(修復液24による自己修復機能の説明)
【0032】
次に、図2により修復液24による遮水シート14を構成する上部シート13が破損した場合の自動修復の機能について説明する。図2(a)は遮水シート14が破損していない正常の状態を示している。
【0033】
廃棄物処分施設10の底部は基礎地盤11であり、この基礎地盤11の上面に下部シート12が敷設されている。この下部シート12の上方には隙間を空けて上部シート13が敷設されていて、下部シート12と上部シート13の間には中間層15を設けてあり、この中間層15の空間にはコロイド溶液を主体とする修復液24を過圧力となるように充填してある。この修復液24は、スメクタイト系粘土鉱物を主材にしたコロイド溶液や膨潤性粘土鉱物溶液を使用している。この図2では中間層15の空間に修復液24を充填してあるように図示しているが、実際には廃棄物16の荷重により上部シート13が変形しないように通水性のある形状保持部材を配置してある。この形状保持部材は、埋め立てられた廃棄物16や浸出水等の荷重を受け止めて基礎地盤11に伝達できると共に、中間層15で修復液24が十分に流動できるスペースを確保させる機能を持たせている。この形状保持部材としては、砕石、レンガ、コンクリートブロックなどの素材ばかりでなく、発泡プラスチック、熱可塑性プラスチック、プラスチックドレーン、アルミ板、ステンレス板、鉄板等の材料を凹凸状、波板状、筒状等となるように立体形に加工した材料であっても利用することができる。形状保持部材には通水性があり、荷重に対してもその形状を維持できる所定の強度を有していることが要件となる。
【0034】
前述の上部シート13の上面には、上部シート13が破損した際に修復液24と混合して不透水層と泥膜(マッドケーキ)の形成を促進するための修復対応層31を敷設してある。修復対応層31は上部シート13の保護とトラフィカビリティーの確保の目的のために敷き固めてあり、山砂や砂を主要成分としてるが、施設を建設する際に発生した現地発生土から礫を取り除いた土砂を利用することもある。また、修復対応層31は、長繊維不織布や短繊維不織布などであってもよく、両者を組み合わせた素材であっても構わない。この修復対応層31、上部シート13、修復液24、下部シート12により、廃棄物16の下部に溜まった浸出水32は遮断され、廃棄物処分施設10から外部に流出することが防止され、周辺の環境に悪影響を与えることがない。
【0035】
図2(b)では、上部シート13の一部に何らかの理由によって穴が明いて破損33を生じた状態を示すものである。前述したように、図1で示したように修復液24の水位Aは浸出水32の水位Bよりも高く設定してあり、中間層15に充填した修復液24は過圧力を加えてある。このため、修復液24は破損33より上方に流出して修復対応層31に浸透する。この修復液24はスメクタイト系粘土鉱物を主材にしたコロイド溶液であり、コロイド粒径は数μm 以下の薄板状の結晶であるため、修復対応層31の微少な空間にも比較的容易に流動する。コロイド粒子は電気二重層による負電荷であるためイオン交換性があり、修復対応層31における土粒子や不織布の表面に吸着することになる。そして、コロイド粒子薄板状の結晶構造で配向性があるため、コロイド粒子吸着した修復対応層31の土粒子や不織布がフィルターになって修復液24中の水分を外部に排出する。
【0036】
このような物理的な特性により、修復液24中の水分のみが浸出水32の方向に流動し、コロイド粒子が修復対応層31中の土粒子や不織布に残り、浸透沈積層を形成る。最後には、図3(c)で示すように、破損33した開口の周辺に透水係数がk≧10-10 cm/sec の泥膜34(マッドケーキ)を形成する。修復対応層31に形成された泥膜34が成長することで破損33を閉鎖し、上部シート13は自己修復することができる。このようにして、修復液24が流動することで上部シート13に破損33が発生しても、自動的に破損33が修復されるので、固化材料を注入するような補修作業が不要となる。この修復では、破損33した部分だけを修復するため、その破損33部分を一旦修複した後であっても継続して同一箇所における破損33の修復を行うことができる。
【0037】
なお、上記のコロイド溶液である膨潤性粘土鉱物溶液を作液できる材料としては、モンモリロナイト属のペントナイト、パイデライト、ノントロナイト、サボナイト、ヘクトライトやホルマイト属のアタパルジャイト、セビオライト、バーミキュライト、イライト、カオリンナイト、ハロイサイト、ギブサイト、ヘマタイト、アロフェン、イモゴライト、雲母粘土鉱物、合成ペントナイト、ゼオライト、タルク、緑泥岩、カルサイト、クロライト等の粘土鉱物の天然品や合成品、吸水性樹脂を利用することできる。又、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリブタジエン等のポリマー粒子を水中に安定に分散させた各種のエマルジョンを作液して修復液24として利用することもできる。
【0038】
【発明の実施の形態】
(自己修復型廃棄物処分施設40の具体的な構成)
【0039】
次に、図3乃至図8により自己修復型の廃棄物処分施設40の具体的な構成を説明する。
【0040】
産業廃棄物や一般廃棄物を埋め立てる廃棄物処分施設40の概略の構成は図3に示され、この図では廃棄物処分施設40を上下に切断し、その切断面が見えるように斜めに図示されている。廃棄物処分施設40は基礎地盤41を掘り下げて、窪地状に掘削してあり、この基礎地盤41の底面と法面には防水性のある下部シート42を一面に敷設してあり、下部シート42の上部には上部シート43を一面に敷設してある(なお、施設は掘削した窪地の構造ではなく、谷間の地形を利用し、堰堤を築くことで施設を構築する場合も含まれる)。この下部シート42と上部シート43により上下二重となった遮水シート44が構成されていて、下部シート42と上部シート43の間には液体が流動できるだけの空間を空けた中間層45を設けてある。基礎地盤41を掘り下げて形成した廃棄物処分施設40の底面は若干の勾配を持たせてあり、図3中で右側が上がった角度θの傾斜が設定してある。この勾配は、上部シート43に浸透してきた汚水を中央に集中させるためであるが、この勾配を利用して中間層45に注入する修復液24の圧力バランスを定常に維持させ、修復液24の供給による拡散を容易にさせている。
【0041】
この基礎地盤41の底面より下の位置で水平に延長し、他方が廃棄物処分施設40の上部にまで垂直に延長した排気パイプ46、排液パイプ48、給液パイプ50が配置されている。各排気パイプ46、排液パイプ48、給液パイプ50は側面から見てL字形となるように配置されていて、廃棄物処分施設40の底を水平に這わせて法面にまで延長させ、法面より基礎地盤41側で垂直に立ち上げて地面にまで延長させた長さとなっている。排気パイプ46の先端は反対側の法面の付近(図3中で右側)にまで延長させ、その先端は下部シート42に形成した排気口47に接続してある。同様に、排液パイプ48も反対側の法面の付近にまで延長させ、その先端は下部シート42に形成した排出口49に接続してある。また、給液パイプ50の先端は手前側の法面(図3中で左側)に延長させ、下部シート42に形成した注入口51に接続してある。つまり、注入口51は下部シート42の勾配の低い位置に設けてあり、排気口47と排出口49は下部シート42の勾配の高い位置に設けてあることになる。
【0042】
廃棄物処分施設40に接近し、埋め立てる廃棄物の表面より高い位置の地面には、排気機構53、液供給機構57、液回収機構59、作液機構60、中央制御機構63が配置してある。これらの機構により廃棄物処分施設40の遮水シート44が破損した場合に自動的に修復する運転を行っている。排気機構53は空気を排出する機能を持つもので、地面から突出した排気パイプ46の端部と空気パイプ52で連通してある。前述の給液パイプ50の地面から突出した上部には、この給液パイプ50に注入した修復液24の水位を常時検知する水位センサー55が接続してあり、給液パイプ50と液供給機構57とは供給パイプ56で接続してある。排液パイプ48の地面から突出した上端と液回収機構59とは回収パイプ58で接続してあり、液供給機構57と液回収機構59とは連通パイプ61で接続してあり、液供給機構57と作液機構60とは新液供給パイプ62で接続してある。また、中央制御機構63は水位センサー55や温度センサーなどからの各種の信号により判断し、各排気機構53、液供給機構57、液回収機構59、作液機構60を最適な条件で動作させるために制御信号を発信する機能を持っている。
【0043】
次に、作液機構60の内部の構成を図4により説明する。この作液機構60は廃棄物処分施設40で使用する修復液24を製造するものである。作液機構60の内部にはコロイド溶液タンク70が設けられ、コロイド溶液タンク70内には水と膨張性粘土鉱物などの材料を混合する攪拌機71が収納してあり、二つの液送ポンプ72、73が投入してある。コロイド溶液タンク70の近くには膨張性粘土鉱物などの材料を貯蔵し、制御信号によって適正量の材料をコロイド溶液タンク70に投入する材料投入装置74を設けてある。さらに、作液機構60の内部には中央制御機構63内に設けた信号出入力装置65からの信号を受け、攪拌機71、液送ポンプ72、73、材料投入装置74に制御信号を伝達する作液供給機構制御盤75を設けてある。作液機構60の外には水を貯留した水タンク76があり、水タンク76の底部と液送ポンプ72とは水供給パイプ77で連通してあり、液送ポンプ73の吐出側には新液供給パイプ62の一端が接続してある。作液機構60は、中央制御機構63から送られた作液データに基づき、一定の品質の修復液24を必要な量だけを製造し、輸送するためのものである。
【0044】
図5は、液供給機構57の内部の構成を示すもので、遮水シート44が破損し修復液24の水位が低下した場合や修復液24を循環させる場合に貯留した修復液24を中間層45に圧送するためのものである。液供給機構57で常に一定の修復液24を維持することで、廃棄物処分施設40に修復機能の能力を保持させることができる。
【0045】
液供給機構57の内部には修復液24を貯留するコロイド溶液タンク80を設けてあり、コロイド溶液タンク80の内部には修復液24を混合する攪拌機81が収納してある。コロイド溶液タンク80の内部には二つの液送ポンプ82、83が収納してある。また、液供給機構57の内部には液送ポンプ84が収納してあり、前述の新液供給パイプ62の終端は液送ポンプ84に接続してあり、液送ポンプ84の吐出側にはコロイド溶液タンク80に続く供給パイプ85が接続してある。さらに、液供給機構57の内部には中央制御機構63内に設けた信号出入力装置65からの信号を受け、攪拌機81、液送ポンプ82、83、84に制御信号を伝達する液供給機構制御盤86設けてある。攪拌機81、液送ポンプ82、83、84は液供給機構制御盤86からの制御信号により、コロイド溶液タンク80に修復液24を注入したり、コロイド溶液タンク80から修復液24を排出して中間層45に供給することができる。液供給機構57内のコロイド溶液タンク80には、常時一定量以上の修復液24が貯蔵されており、修復液24が不足した場合には、作液機構60から新規の修復液24が自動的に供給されるようになっている。
【0046】
図6は液回収機構59を示すもので、液回収機構59の内部には中間層45から回収した修復液24を貯留するためのコロイド溶液タンク90が収納してある。このコロイド溶液タンク90内には修復液24を混合する攪拌機91と二つの液送ポンプ92、93が収納してある。液送ポンプ92の吸引側には回収パイプ58の終端が接続してあり、液送ポンプ93の吐出側には連通パイプ61の一端が接続してある。また、液回収機構59の内部には中央制御機構63内に設けた信号出入力装置65からの信号を受け、攪拌機91、液送ポンプ92、93に制御信号を伝達する液回収機構制御盤94を設けてある。液回収機構59は、中間層45に充填されたコロイド溶液である修復液24の圧力が異常に高くなった時などに、修復液24を迅速に回収して、圧力を正常値に戻す機能を有している。中間層45から回収してコロイド溶液タンク90に一時貯留された修復液24は、液回収機構59内の機構により所定の品質にまでその機能を復元させた後で、連通パイプ61を介して液供給機構57に移送される。
【0047】
次に、中央制御機構63の構成を図7によって説明する。この中央制御機構63は廃棄物処分施設40の状態を常時監視し、その状況に対応した自己判断を行い各排気機構53、液供給機構57、液回収機構59、作液機構60を制御すると共に、その監視している状況と各機構の作動状況を電話回線などで遠隔地の本部などに電送することができる。
【0048】
中央制御機構63内には、コンピュータ100、信号入力装置101、モデム102、プリンター103、信号出入力装置65が収納してある。コンピュータ100はセンサーから入力した各種の信号を基にして、予め記憶させてあるプログラムの手順に従い、自己判断して各機構を制御するものである。信号入力装置101は廃棄物処分施設40の各地に設置されたセンサーからの検出信号を入力し、その信号をまとめてコンピュータ100に送するもので、信号入力装置101には水位センサー55、遮水シート44に設けた温度センサー106と粘度センサー107(何れも図3では図示していないが、遮水シート44の所定の位置に設置してある)、液供給機構57に設けた動作監視センサー108、液回収機構59に設けた動作監視センサー109、作液機構60に設けた動作監視センサー110からの出力信号が接続してある。各動作監視センサー108、109、110はそれぞれ温度センサー、粘度センサー、圧力センサーなどから構成されていて、それぞれの機構57、59、60がどのような動作状況であるかを監視し、電気信号変換して出力できるものである。そして、コンピュータ100による制御信号は信号出入力装置65に伝達され、信号出入力装置65から制御信号は振り分けられて作液供給機構制御盤75、液供給機構制御盤86、液回収機構制御盤94、排気機構制御盤111(図3の排気機構53を制御するもの。排気機構53の構成は図示していないが、内部に従来から周知の空気吸引装置を備えたものである)に伝送されている。また、コンピュータ100からの出力信号はモデム102、プリンター103にも出力されている。
【0049】
(自己修復型廃棄物処分施設40の運営)
【0050】
次に、具体的に図示した自己修復型廃棄物処分施設40の動作について説明する。この説明では、中間層45への修復液24の注入、日常的な修復液24の保守、破損の自己修復のそれぞれの手順を区分けして説明している。
【0051】
(修復液24の製造と供給)
【0052】
自己修復型廃棄物処分施設40を運営するためには、この施設で使用する修復液24を製造しなければならない。コンピュータ100で修復液24の製造を指示する命令を入力すると、その信号は信号出入力装置65を介して作液供給機構制御盤75に伝達され、作液機構60が作動を始める。作液供給機構制御盤75は液送ポンプ72、攪拌機71、材料投入装置74に制御信号を伝達し、液送ポンプ72により水タンク76に貯留した水を水供給パイプ77から吸引してコロイド溶液タンク70に注入する。同時に、材料投入装置74はスメクタイト系の膨潤性粘土鉱物を主材にしたコロイド材料をコロイド溶液タンク70に投入し、水とコロイド材料を混合させる。この状態で攪拌機71を駆動させることで、均質なコロイド溶液である修復液24を製造する。動作監視センサー110はこの作液機構60の動作を監視し、その検知結果を中央制御機構63に伝達し、修復液24適正な温度、粘度、濃度に維持させる。製造された修復液24はコロイド溶液タンク70に貯留されるが、修復液24が適正な品質になると、中央制御機構63からの制御信号により液送ポンプ73を作動させ、修復液24を吸引して圧送する。液送ポンプ73から送られた修復液24は新液供給パイプ62を通じて液供給機構57に移送され、液送ポンプ84で吸引された後に供給パイプ85よりコロイド溶液タンク80に供給される。
【0053】
(修復液24の貯留と保存)
【0054】
前述の作液供給機構制御盤75の動作で適正な品質の修復液24が製造されたならば、コンピュータ100は信号出入力装置65を介して液供給機構制御盤86に制御信号を伝え、液供給機構制御盤86は攪拌機81、液送ポンプ84を作動させる。液送ポンプ84は作液機構60で製造された修復液24を吸引し、供給パイプ85を通じてコロイド溶液タンク80に移送させ、コロイド溶液タンク80に修復液24を貯留する。同時に、攪拌機81が作動してコロイド溶液タンク80に貯留した修復液24を攪拌し、その品質が低下しないように維持させる。液送ポンプ84の動作は、修復液24がコロイド溶液タンク80に一定の量になるまで継続し、許容量まで達したならば停止する。また、コロイド溶液タンク80における修復液24の液面が低下したならば、自動的に液送ポンプ84が動作し、修復液24を補充する。液供給機構57の動作は動作監視センサー108によって常時監視されていて、修復液24の品質を維持し、その補給を行っている。
【0055】
(遮水シート44への修復液24の初期充填)
【0056】
このように修復液24の準備ができたならば、図3に示す遮水シート44、すなわち、下部シート42と上部シート43の間の中間層45に修復液24を最初に充填しなければならない。コンピュータ100からの指示により液供給機構制御盤86に制御信号が伝えられ、初期充填が始まる。まず、液送ポンプ82が作動し、コロイド溶液タンク80内の修復液24が吸引され、供給パイプ56、給液パイプ50を通じて注入口51より放出される。遮水シート44は緩やかな傾斜θで配置してあり、注入口51はこの傾斜面の下部に位置させてあることから、注入した修復液24は中間層45内で上方(図3で右側)に向けて拡散するように充填される。
【0057】
(遮水シート44の空気の排出)
【0058】
前述した遮水シート44への修復液24の初期充填の動作の際には、同時に、遮水シート44内に残留した空気を排気しなければならない。遮水シート44の内部に空気が残っていると、下部シート42、上部シート43の表面に気泡が付着し、修復液24による自己修復の機能が発揮できなくなるからである。このため、遮水シート44内は修復液24で充満させておかなければならない。前述のコンピュータ100から液供給機構制御盤86に初期充填の制御信号が伝えられると同時に、排気機構制御盤111にも制御信号が伝えられ、排気機構53が動作を開始する。排気機構53の内部に収納された図示しない空気吸引装置が空気パイプ52の空気を吸引し、連通した排気パイプ46は排気口47より遮水シート44に残留している空気を排気する。注入口51からの修復液24の注入と同時に排気口47からの空気の排出が連動し、下部シート42と上部シート43の間の中間層45には空気と交換するように修復液24が充填される。
【0059】
このように、遮水シート44の内部は空気と入れ代わるように、遮水シート44内の全ての空気が排気されて修復液24が充満される。修復液24が充満され、修復液24の水位が給液パイプ50の所定の高さまで満たされると、水位センサー55はその高さを検知し、信号入力装置101を介してその信号をコンピュータ100に伝える。予め定められたプログラムにより、コンピュータ100は信号出入力装置65を介して液供給機構制御盤86と排気機構制御盤111に制御信号を伝達し、液供給機構57の液送ポンプ82と排気機構53の動作を停止させる。
【0060】
(修復液24の補充)
【0061】
このように遮水シート44内には修復液24が充満されるが、長期の使用によっては修復液24が漏洩したり、蒸発したりしてその水位が低下することもある。また、後述する遮水シート44の破損により修復液24で自己補修する場合には、大量の修復液24が流出するため、次の自己補修の機能を維持するために流出した量の修復液24を補充しなければならない。このため、自己修復型廃棄物処分施設40を運営している間は、常に修復液24の水位を管理し、補充しなければならない。水位センサー55により修復液24の水位が低下したことが検知されたならば、前述と同じ経路で液供給機構制御盤86に制御信号が伝えられ、液送ポンプ82を作動させて注入口51から遮水シート44の中間層45内に修復液24を補充させる。水位が回復したならば、液送ポンプ82を停止させる。
【0062】
(修復液24の循環)
【0063】
自己修復型廃棄物処分施設40では遮水シート44の中間層45内に常に修復液24を充填しておくことが管理の上で必要となる。しかし、コロイド溶液である修復液24は時間の経過や外部環境の複数の条件によりその特性が変化し、その流動特性が低下したり、自己修復機能が劣化することもある。このため、遮水シート44に注入した修復液24は定期的に回収し、新しい物性特性の有効な修復液24を補充する必要がある。そして、回収した古い修復液24は、その物性を測定し、物性値が劣化したならば正常な能力値に回復させる必要がある。修復液24の補充と回収により、遮水シート44の修復液24は入れ替えられている(通常の自己修復型廃棄物処分施設40の管理では、修復液24を移送するそれぞれのパイプの閉塞状況を確認する目的もあり、1日1回1時間程度のサイクルで循環することが基本になっている)。この循環の動作では、液供給機構57、供給パイプ56、給液パイプ50、注入口51、遮水シート44、排出口49、排液パイプ48、回収パイプ58、液回収機構59、連通パイプ61の順路で修復液24が移送される。
【0064】
修復液24の循環の動作では、コンピュータ100からの制御信号が液供給機構制御盤86と液回収機構制御盤94に伝えられる。液供給機構制御盤86は液送ポンプ82と83を動作させ、液送ポンプ82はコロイド溶液タンク80に貯留した修復液24を吸引し、前述したのと同様の順路で遮水シート44に修復液24を注入する。同時に、液送ポンプ83は連通パイプ61を介して液回収機構59から修復液24を吸引して、液送ポンプ82により排出した同量の修復液24をコロイド溶液タンク80に供給する。液回収機構制御盤94は攪拌機91と液送ポンプ92、93を動作させ、液送ポンプ92により回収パイプ58から修復液24を吸引してコロイド溶液タンク90に流入させる。回収パイプ58には排液パイプ48が接続され、排液パイプ48の終端には排出口49に連通してあることから、遮水シート44に充満してある修復液24はこの排出口49から吸引されてコロイド溶液タンク90に移動させられる。この排出口49は角度θで傾斜した遮水シート44の上部に位置していることから、下方の注入口51から注入される新しい修復液24から押し上げられるようにして古い修復液24が吸引される。こうして吸引された古い修復液24はコロイド溶液タンク90に一時貯留される。
【0065】
コロイド溶液タンク90では攪拌機91が回転していて、貯留した古い修復液24を混合していて、同時に動作監視センサー109はコロイド溶液である修復液24の粘性温度流動性などを測定している。修復液24の機能が劣化しているのであれば、コロイド溶液タンク90でその物性特性を修復させるように材質を改善している。材質を調整された修復液24は液送ポンプ93で吸引され、連通パイプ61より液送ポンプ83に流動し、コロイド溶液タンク80に注入される。この液送ポンプ93、83による修復液24の補充は、液送ポンプ82から排出されたのと同量の修復液24であり、コロイド溶液タンク80が常時一定の量の修復液24が貯留できるように補助している。このような修復液24の循環により、遮水シート44内には常に自己修復能力のある修復液24が充填されることになる。なお、この循環の動作において、修復液24が漏出したりしてその絶対必要量が減少した場合には、コンピュータ100は動作監視センサー108、109からの検出信号により、作液供給機構制御盤75に制御信号を伝え、作液機構60で製造された新しい修復液24をコロイド溶液タンク80に供給する
【0066】
(自己修復の動作)
【0067】
このような一連の動作により、中央制御機構63は自己修復型廃棄物処分施設40を監視し、遮水シート44に充填されている修復液24の品質が常時正常な状態に維持されているかを制御している。この状態を維持し続けることで、遮水シート44が破損しても自己修復の機能を維持することができる。このような健全な運転により、遮水シート44が破損したならば、中央制御機構63によりその破損を検知し、自己修復の動作を行うことになる。
【0068】
まず、遮水シート44が破損したなら給液パイプ50における修復液24の水位が低下する。この水位の変化は水位センサー55で検知され、その信号は信号入力装置101を介してコンピュータ100に伝えられる。コンピュータ100は異常な水位低下と判断し、自己修復のための動作指令を各作液供給機構制御盤75、液供給機構制御盤86、液回収機構制御盤94に伝え、液供給機構57、液回収機構59、作液機構60をそれぞれ動作させることで修復液24を遮水シート44内の中間層45に補充する。すると、図2で示したような自己修復の現象が発生し、遮水シート44に発生した破損は閉鎖される。給液パイプ50の水位が復元したならば、自己修復の作業が完了したとコンピュータ100が判断し、作液供給機構制御盤75、液供給機構制御盤86、液回収機構制御盤94の動作を停止させ、自己修復の動作を停止させる。次いで、コンピュータ100は通常の待機動作に戻り、(修復液24の補充)、(修復液24の循環)などの動作を行い、次の破損事故に対する修復液24の補充のために待機することになる。
【0069】
さて、図1により廃棄物処分施設10における遮水シート14の破損の検知の原理を説明し、図2によりスメクタイト系粘土鉱物を主材にしたコロイド溶液や膨潤性粘土鉱物溶液を素材とした修復液24による破損の自己修復機能の説明をした。また、図3により、実際の自己修復型廃棄物処分施設40における遮水シート44の破損の管理とその修復の概要を説明してきた。しかしながら、図1における廃棄物処分施設10や図3における自己修復型廃棄物処分施設40は説明を簡略化させるために、遮水シート14、44は処分施設に一体となっていて、修復液24を充満させる部屋は一つのものとして図示している。だが、実際にこのような広大な処分施設を一枚のシートで覆い、一つの中間層15、45だけを形成させることは無く、遮水シート14、44は複数の空間形成てある。これは、処分施設を複数の区画に分割し、それぞれの空間を監視することでどの位置で廃棄物からの侵出水が漏出しているかを検知するためである。また、複数の区画に分割することで、どの区画で修復液24の水位や圧力が変化しているかを個別に検知して、修復作業をその区画だけに特定し、修復液24の補充や修復を円滑に行うことができる
【0070】
より具体的な廃棄物処分施設115の構造を図8により説明する。図8では廃棄物処分施設115を上下に切断し、その切断面が見えるように斜めに図示されている。廃棄物処分施設115は基礎地盤116を掘り下げて、窪地状に掘削してあり、窪地となった底には共同暗渠117が埋設してあり、共同暗渠117は窪地の底面の最も低い位置の中央で長手方向に全長に渡って配置してある。この共同暗渠117はプレストレスコンクリート造であり、中央に矩形の空間を設けた断面四角形をしており、内部には作業員が通できる程度の空間を有していて、複数のパイプ群126を挿通することができるものである。共同暗渠117は、両端が開口した矩形のコンクリートブロック(ここではボックスカルバートと呼ぶ)を連続して接続し、各ブロックの接合面をコンクリートなどで連結することで、一体となった長大な回廊のような構造を形成してる。
【0071】
この基礎地盤116の底面中央から法面にかけては、左右に帯状となった複数の下部シート118a〜118fを隣接して敷設してあり、複数の下部シート118a〜118fによって基礎地盤116の底面が覆われている。そして、各下部シート118a〜118fの上方には帯状となった複数の上部シート119a〜119fを敷設してあり、隣接した他の上部シート119a〜119fとは遮断してある。これらの下部シート118a〜118fと上部シート119a〜119fは防水性の材料で形成され、各下部シート118aと上部シート119a、下部シート118bと上部シート119b・・・の組み合わせにより、上下二重となった複数の遮水シート120a〜120fが形成されている。そして、各下部シート118aと上部シート119a、下部シート118bと上部シート119b・・・の間には液体が流動できるだけの空間を空けた中間層121a〜121fが設けてある。すなわち、基礎地盤116の底面は複数の遮水シート120a〜120fで隙間なく覆われていて、各遮水シート120a〜120fにより区画が分けれていることになり、各中間層121a〜121fはそれぞれ独立している。
【0072】
それぞれの中間層121a〜121fには修復液24を注入するために、図3で示したのと同じ構成のパイプが接続されている。中間層121aには排気パイプ122a、排液パイプ123a、給液パイプ124aが、中間層121bには排気パイプ122b、排液パイプ123b、給液パイプ124bが・・・・それぞれ接続してある。つまり、中間層121a〜121fは独立しており、それぞれに3本のパイプが接続されたことになる。各排気パイプ122a〜f、排液パイプ123a〜123f、給液パイプ124a〜124fは共同暗渠117に導入され、この共同暗渠117より管理棟127にまで延長されている。
【0073】
このような廃棄物処分施設115におけるパイプの配管を図9により説明する。前述したように、廃棄物処分施設115の底面は複数の遮水シート120a〜120fで区画されていて、それぞれの中間層121a〜121fには排気パイプ122a〜f、排液パイプ123a〜123f、給液パイプ124a〜124fの一端が連通されていて、各パイプは共同暗渠117に導入されている。そして、廃棄物処分施設115の高い位置には修復液24の水位や圧力を監視する管理棟127が設けてあり、各パイプの終端はこの管理棟127にまで延長されている。従って、排気パイプ122a〜f、排液パイプ123a〜123f、給液パイプ124a〜124fから成るパイプ群126は共同暗渠117の中にそれぞれが独立して架設され、束になったパイプ群は管理棟127まで続いている。
【0074】
この構成では、廃棄物処分施設115の窪地を複数の遮水シート120a〜120fで区画割りして覆っていて、各遮水シート120a〜120fによりその部分における上部シート119a〜119fの破損を管理することができる。それぞれの給液パイプ124a〜124fが各遮水シート120a〜120fにおける中間層121a〜121fの圧力を監視しており、破損が発生した場合にはその遮水シート120a〜120fにのみ修復液24を供給して自己修復させる管理を行っている。遮水シート120a〜120fを複数配置して、廃棄物処分施設115の底面を区画に分けて管理するのは従来から行われていて、例えば、特開平9年38612号、特開平9年210832号、特開平10年328635号、特開平11年333402号などに詳しく記載されている。
【0075】
(遮水シートを区画割りしたことによる弊害)
【0076】
このように廃棄物処分施設115を複数の遮水シート120a〜120fで区画すると、破損した遮水シート120a〜120fの区画を特定することができ、破損した区画だけを自己修復すればよいことになり、毎日の保守や点検が簡易になる。しかし、管理棟127では区画されたそれぞれの遮水シート120a〜120fを監視しなければならず、独立した複数のパイプ群126を管理棟127まで延長しなければならなかった。このため、廃棄物処分施設115が広くて区画数が多くなったり、監視の精度を上げるために区画面積を小さくすると、その区画数に比例して独立したパイプを配管しなければならない。すると、共同暗渠117に架設するパイプ群126の束は太くなり、共同暗渠117の断面積を大きくしなければならなくなる。使用するパイプの数が増加するとそれだけ施工費用も割高となり、運営上の管理も複雑となる欠点が生じていた。
【0077】
また、共同暗渠117においては、パイプ群126が占める面積が増えると、作業員が移動できるだけの断面積を確保できず、施工した後での保守ができにくいこともあった。さらに、通常、共同暗渠117はプレストレスコンクリート造により、中央が貫通開口したブロック状のボックスカルバートを連結して施工している。このボックスカルバートの所定箇所には内外を連通する孔を開けておき、この孔に排気パイプ122a〜f、排液パイプ123a〜123f、給液パイプ124a〜124fをそれぞれ挿通させなければらない。ところが、このボックスカルバートの孔と各パイプとの接合部分では止水性が要求されるため、隙間を埋めるように施工しなければならなかった。しかし、両者を固く結合すると、地盤の変位や振動などにより孔とパイプの結合が壊れ、漏水などの不都合が発生する原因となっていた。このため、孔とパイプの結合においては、密着させることで止水性が要求される反面、両者の間では耐震のために弾力性も要求され、相反する機能が必要とされている。従来ではこのような二つの条件を満足させるような結合の方法は知られておらず、長期の管理においては、孔の周囲から水などが漏れ、共同暗渠117内に漏水が溜まる現象が発生していた。
【0078】
(本発明における要旨)
【0079】
本願では、共同暗渠117には主要な機能を持つ本管を配置し、各中間層121とは本管から分岐した枝管を接続し、各枝管に弁や監視センサーを取付け、共同暗渠117内での配管数を減少させることを目的としている。そして、各遮水シート120の破損は、分岐したこれらの枝管のおける修復液24の圧力、流量、混濁度等を監視することで、どの区画の遮水シート120を保守する必要があるかを検知することができる。また、ボックスカルバートの孔には、予めゴムなどの弾力性のある緩衝補助材を封入しておき、この緩衝補助材の中央に開口した孔に各パイプを挿通させるようにする。緩衝補助材では、パイプの外周に密着して止水性を向上させることができると共に、地震などの衝撃をその弾力性により吸収でき、長期の管理においても漏水を防ぐことができる。
【0080】
図10により、本発明の概要を説明する。前述した共同暗渠117には比較的太い内径で、多量の液体を流動できる排液本管131と給液本管132の二本が配設してある。各本管131、132は共同暗渠117の全長に渡って配設してあり、それらの終端(図10の右端)は閉鎖してあり、それらの他端(図10で左端)は共同暗渠117の外まで延長し、上方に向けられて管理棟127に接続してある。排液本管131における管理棟127の途中には下方に向けてドレイン管145が接続してあり、ドレイン管145の途中には排液弁146を介在してあり、ドレイン管145の下端開口は回収タンク147に向けて解放してある。排液本管131には排気枝管134の一端が連通してあり、排気枝管134の他端は遮水シート120aの中間層121aに連通してあり、排気枝管134の途中には開閉弁137を介在してある。排液本管131には排液枝管135の一端が連通してあり、排液枝管135の他端は遮水シート120aの中間層121aに連通してあり、排液枝管135の途中には開閉弁138を介在してある。給液本管132には給液枝管136の一端が連通してあり、給液枝管136の他端は遮水シート120aの中間層121aに連通してあり、給液枝管136の途中には開閉弁139を介在してある。他の中間層121b〜121fにおいても同様に、三種類の枝管をそれぞれ接続し、各枝管には開閉弁を介在してある。なお、各開閉弁137、138、139は電気的に遠隔で操作できるものである。そして、管理棟127では排液本管131は図3における液回収機構59に連通してあり、給液本管132は図3における液供給機構57に連通してある。
【0081】
(遮水シート120aへの修復液24の初期充填)
【0082】
この構成により、施工した廃棄物処分施設115に最初に修復液24を充填する作業が必要となる。この初期充填では、中間層121aの空気を抜くと同時に平行して修復液24を注入しなければならない。まず、管理棟127より制御信号を出して、開閉弁137、139を開けると同時に、排液弁146を開けてドレイン管145を開通しておく。この時、開閉弁138は閉鎖しておく。次いで、管理棟127より修復液24を給液本管132に圧送し、開閉弁139を通過させることで給液枝管136より中間層121aに修復液24を注入させる。中間層121aの内部に残った空気は、修復液24の注入と入れ代わりに排気枝管134から排出され、開閉弁137を通過して排液本管131に流入する。排液本管131に流入した空気はそのまま上昇して管理棟127から排出されるか、ドレイン管145より排液弁146を通過して排出される。所定量の修復液24が中間層121aに注入されると、中間層121aには修復液24が充満し、その一部は空気と同じ流路を伝わって排液本管131にまで流れるが、ドレイン管145より排液弁146を通過して回収タンク147で回収される。修復液24が回収タンク147まで流動するとその中間層121aには修復液24が充満されたことになる。その後、開閉弁137、139を閉鎖し、同様な操作で次の中間層121b、121c・・・・に修復液24を充填する。この動作を繰り返すことで、廃棄物処分施設115の遮水シート120a、120b、120c・・・・の全部に修復液24が充填され、破損への対応に準備が完了する。
【0083】
(修復液24の循環)
【0084】
日常の廃棄物処分施設115の管理には、中間層121b、121c・・・・内の修復液24を循環させ、コロイド溶液である修復液24の特性を常に一定の能力に維持する必要がある。この修復液24の循環では、1日1回1時間程度のサイクルで各中間層121a、121b、121c・・・・に充填されている修復液24を回収しながら新しい修復液24を流入させている。まず、中間層121aの修復液24を循環させるには、管理棟127から信号を出して開閉弁138を開け、排液本管131と排液枝管135を連通させ、同時に開閉弁139を開け、給液本管132と給液枝管136を連通させる(この時、開閉弁137、排液弁146は閉鎖しておく)。そして、管理棟127から給液本管132に修復液24を圧送すると、修復液24は給液本管132から枝別れした給液枝管136に流入し、開閉弁139を通過して中間層121aに注入される。同時に、管理棟127が排液本管131の内部の修復液24を吸引すると、排液本管131に枝別れした排液枝管135から修復液24は開閉弁138を通過して流出される。こうして、管理棟127からの修復液24の圧送と吸引により、中間層121a内の修復液24は入れ替わることになる。所定時間が経過して修復液24が循環したならば、管理棟127は信号を出して開閉弁138、139を閉鎖しする。同様な手順により、次の中間層121b、121c・・・・内の修復液24を循環させ、この操作を順次行うことにより、廃棄物処分施設115における遮水シート120の破損の自己修復機能を維持させている。
【0085】
(破損した遮水シート120の自己修復)
【0086】
各遮水シート120で破損が生じた場合には、その遮水シート120ごとに修復液24で自己修復の動作を行わせる。この図10では図示していないが、給液枝管136にはそれぞれ独立した圧力計を設置してあり、この圧力計により各中間層121内の圧力を検知している。特定の遮水シート120で破損が発生すると、その中間層121では修復液24が漏出するために圧力が低下する。この圧力変化を圧力計で検知し、その電気信号を管理棟127に伝達する。管理棟127では対応する開閉弁138と139を解放し、給液本管132より給液枝管136を通じて修復液24をその中間層121に圧入し、前述した修復液24による自己修復機能により破損を封鎖させる。
【0087】
(この機構による効果)
【0088】
このように、共同暗渠117には共通した二本の排液本管131と給液本管132のみを配設し、各排液本管131と給液本管132から分岐して排液枝管135と給液枝管136で独立した各遮水シート120の中間層121に修復液24を循環、供給することができる。このため、図9で示した従来の機構に比べ、共同暗渠117での配管本数が極端に減少し、共同暗渠117の内部空間を有効に使用することができ、配管が簡単になるため施工費用が安価となる。また、遮水シート120の破損は各給液枝管136に取り付けた圧力計により検知するため、従来のように水位の変化を検知しなくてすみ、電気的な信号系統により廃棄物処分施設115を管理することができる。
【0089】
(本発明の具体的な構成)
【0090】
次に、図11乃至図13により、本発明のより具体的な構成について説明する。この図11では、図8における複数の遮水シート120a〜120fにそれぞれ図10における排液本管131、給液本管132を接続した状態を示し、図10における共同暗渠117を省略して示している。各遮水シート120a〜120fは、それぞれ下部シート118a〜118fと上部シート119a〜119fを上下に配置し、左右は隔離シート141a〜141fで区分されている。これらの下部シート118a〜118f、上部シート119a〜119f、隔離シート141a〜141fで独立した遮水シート120a〜120fが形成されている。各下部シート118a〜118fの本管131、132から離れた位置には、排気口142a〜142fと排出口143a〜143fが開口してあり、同時に、本管130、131、132に近い位置には注入口144a〜144fが開口してある。それぞれの排気口142a〜142fには排気枝管134a〜134fの一端が接続してあり、排気枝管134a〜134fには開閉弁137a〜137fを介して排液本管131接続してある。それぞれの排出口143a〜143fには排液枝管135a〜135fの一端が接続してあり、排液枝管135a〜135fには開閉弁138a〜138fを介して排液本管131接続してある。さらに、それぞれの注入口144a〜144fには給液枝管136a〜136fの一端が接続してあり、給液枝管136a〜136fには開閉弁139a〜139fを介して給液本管132接続してある。
【0091】
図12は、前述した給液本管132に接続した給液枝管136に介在させた各種の機器の具体的な構成を示すものである。給液枝管136には電気信号で動作する電動開閉弁148(前述の開閉弁139に対応)、電磁流量計149、圧力計150、手動開閉弁151が直列となるように介在してある。そして、給液枝管136の側面には細径のサンプリング管152が連通してあり、サンプリング管152の途中にはサンプリング弁153を介在してある。この構成では、手動開閉弁151は常時開放してあるが、管理装置の故障や点検時に作業員が手動で操作するものである。給液枝管136内を流動する修復液24の圧力と流量はそれぞれ電磁流量計149と圧力計150で測定されていて、その検出結果は電気信号として管理棟127に伝達されている。電磁流量計149と圧力計150からの信号で異常が発見された場合には、管理棟127からの制御信号により電動開閉弁148が開閉動され、適正な量の修復液24を遮水シート120に補充させることができる。また、定期的に新しい修復液24を供給する場合にも電動開閉弁148を遠隔操作で開閉動させることができる。また、サンプリング弁153を開放することで、サンプリング管152からはその給液枝管136における少量の修復液24を直接採取することができ、修復液24の粘性や劣化度を個別に監視することができる。
【0092】
図13は、前述した排液本管131に接続した排気枝管134と排液枝管135に介在させた各種の機器の具体的な構成を示すものである。排液本管131の一部にはドレイン管145を垂直となるようにその上端を接続してあり、ドレイン管145の途中には排液弁146を介在してある。
【0093】
この排気枝管134には振動や設置の誤差を解消するための耐圧ゴムホース156(場合によっては、遮水シート120に固形材料を注入してその中間層121を凝固させるときに取り外すこともある)と、手動開閉弁157(前述の開閉弁137に対応)が直列に介在してある。この構成では、廃棄物処分施設115の初期の立ち上げの際に、作業員により手動開閉弁157を開放させ、遮水シート120に残留している空気を排出させることができる。
【0094】
そして、排液枝管135には電気信号で動作する電動開閉弁160(前述の開閉弁138に対応)、手動開閉弁161が直列となるように介在してある。そして、給液枝管135の側面には細径のサンプリング管162が連通してあり、サンプリング管162の途中にはサンプリング弁163を介在してある。手動開閉弁161は常時開放しているが、管理装置の故障や点検時に作業員が手動で開閉させるものである。そして、管理棟127からの制御信号により電動開閉弁160を開閉動させることにより、遮水シート120に残っている修復液24を管理棟127に回収させ、自己修復の機能を回復させるために新液などと混合させることができる。また、サンプリング弁163を開放することで、サンプリング管162からはその給液枝管135における少量の修復液24を直接採取することができ、修復液24の粘性や劣化度を個別に監視することができる。
【0095】
図12、図13のような排気枝管134、排液枝管135、給液枝管136は、図10、図11で示した複数の遮水シート120a〜120fにそれぞれ接続し、各排気枝管134、排液枝管135、給液枝管136には独立してそれぞれの機器を配置してある。このため、電動開閉弁148、160を電気信号で制御することで1日1回の定期的な修復液24の循環は遠隔操作で行うことができる。この修復液24の回収は排液本管131で共通に行うことができ、修復液24の補充は給液本管132で共通して行うことができ、各遮水シート120a〜120fと管理棟127を接続した個別のパイプを用いることが無くなるために共同暗渠117の内部に配管するパイプの本数を減少させることができる。そして、電磁流量計149と圧力計150がそれぞれの遮水シート120a〜120fの内部の修復液24の状況を監視していて、その検知結果は電気信号として管理棟127に伝えることができる。遮水シート120a〜120fの内の何れかが破損した場合には、その遮水シート120a〜120fの内部の圧力が低下し、その圧力の変化は圧力計150で直ちに検知することができる。圧力の変化があればその遮水シート120に該当する排液枝管135、給液枝管136の電動開閉弁148、160を遠隔操作して解放し、修復液24による自己修復の作業を行うことができる。また、給液枝管136内を流れる修復液24の流量は電磁流量計149によって常時測定され、中間層121の圧力が変化しなくとも、流量が異常に多くなればその遮水シート120に破損が生じたことを判断できる。
【0096】
次に、図14乃至図18により、前述の共同暗渠117を構築するためのボックスカルバート166の構成を詳しく説明するものである。図14で示すように、ボックスカルバート166はプレストレスコンクリート造で、外形は矩形であり、両端が大きく開口していて、内部には隅肉を付けられた矩形の内壁面167を設けてある。ボックスカルバート166の両端の枠状をした端面には、コンクリートやコーキング材を注入して止水するためのシール溝168が形成されている。そして、このボックスカルバート166の上面には二列になった複数の緩衝体169、170が埋め込まれている。これらの緩衝体169、170は合成ゴムなどの弾力性のある素材で形成されていて、ボックスカルバート166の上面から内壁面167にまで貫通開口を形成してある。緩衝体169は一列に三箇所、緩衝体170も一列に三箇所がボックスカルバート166の上面に配置されていて、それぞれが排気枝管134、排液枝管135、給液枝管136を挿通できるように役割分担となっている。左右二列にあるのは図8で示すように共同暗渠117の左右にある遮水シート120a〜120fにそれぞれを振り分けるためである。
【0097】
図15は、図14におけるXーXに切断した断面図である。この図で示されるように、ボックスカルバート166はプレストレスコンクリート造で一体に成形されていて、型枠にコンクリートを流し込んで成形する前に型枠の上部に緩衝体169、170を嵌め込んでおき、コンクリートが硬化する際にはそれぞれの緩衝体169、170はボックスカルバート166と一体となるように固定されている。このように形成したボックスカルバート166の開口の端部を接合させ、複数のボックスカルバート166を連結することで共同暗渠117を構築していくことができる。その接合の際には、シール溝168に生コンクリートなどを注入し、汚水や侵出水が共同暗渠117内に漏れることを防止している。
【0098】
図16、図17は前述の緩衝体169を示すもので、他の緩衝体170も同じ形状である。この緩衝体169は、合成ゴム、天然ゴム、プチル系ゴム、水膨潤ゴム等の弾力性があり、復元力がある素材で一体に形成されている。緩衝体169の外周は円筒形をした筒胴部173であり、この筒胴部173の外周の中央には円盤形をした鍔部174が結合してあり、筒胴部173の下部開口にはその中央に径小の通孔176を形成した円盤状の径小部175を形成してある。
【0099】
図18は、緩衝体169により枝管177(排気枝管134、排液枝管135、給液枝管136のことである)を保持する構造を示すものである。この枝管177はポリエチレン、ダクタイル鋳鉄、塩化ビニール、プラスチック、FRPなどの素材から形成されていて、その外径は通孔176の径とほぼ同一に設定してある。遮水シート120に接続した枝管177は筒胴部173を通し、通孔176を挿通してボックスカルバート166の内外に延長させる。そして、筒胴部173の内周と枝管177の外周の間の空間にはウレタン材などの素材を注入して硬化させた充填材178で密閉してある。この充填材178は枝管177を固定し、筒胴部173との隙間を埋めて止水の作用を行うことになる。この構成では、地震などで基礎地盤116が振動したり、ボックスカルバート166が地盤沈下して基礎地盤116との間に変位が生じても、枝管177の振動変位は緩衝体169の弾性と充填材178の粘性により吸収され、枝管177、充填材178に隙間を発生させることがなくなる。このため、基礎地盤116からボックスカルバート166に汚水や侵出水が流入するのを阻止し、ボックスカルバート166内に漏水が溜まることを防止することができる。
【0100】
図19は、変形した第二の実施の形態である緩衝体181を示すものである。この緩衝体181では、円筒形をした筒胴部182の外周の中央に円盤形をした鍔部183が一体となるように連結してある。この緩衝体181では、上下に同じ内径の開口が開けられており、緩衝体181はゴムなどの弾性のある材料で形成されている。図21(イ)は、この緩衝体181により枝管177を保持させた状態を示す断面図である。筒胴部182の中央開口に枝管177を挿通し、筒胴部182の内周面と枝管177の外周面との間を均等な間隔に保持し、両者の間にウレタン材などを注入して硬化させた充填材184で密閉してある。この充填材184が硬化するまでの間は、筒胴部182の下端開口を円盤形の厚紙などで閉鎖しておくこともできる。この構成でも枝管177の振動や変位を緩衝体181の弾性と充填材184の粘性で吸収することができる。
【0101】
図20は、変形した第二の実施の形態である緩衝体191を示すものである。この緩衝体191では、下方に向けてその内外径が縮小するテーパー胴部192と、テーパー胴部192の外周の中央に円盤形をした鍔部193とから構成されている。テーパー胴部192は円錐形を逆にした形状で、その下部の開口の内径は枝管177の外径とほぼ同一となるように設定してある。テーパー胴部192と鍔部193はゴムなどの弾性のある材料で一体となるように成形してある。図21(ロ)は、この緩衝体191により枝管177を保持させた状態を示す断面図である。枝管177をテーパー胴部192の中央開口に挿通し、ボックスカルバート166の内外に枝管177を延長させる。そして、テーパー胴部192の内周面と枝管177の外周面で形成されたやや逆円錐形をした空間にウレタン材などを注入して硬化させた充填材194で密閉してある。この構成においても、枝管177の振動や変位を緩衝体191の弾性と充填材194の粘性で吸収することができる。
【0102】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したため、廃棄物処分施設の基礎地盤上は上下二層の遮水性のあるシートにより構成された複数の遮水シートで覆われていて、複数の遮水シートにより基礎地盤上は区画されている。そして、基礎地盤には修復液を供給するための給液本管と修復液を回収する排液本管を配置し、各遮水シートの内部にある中間層と給液本管は給液枝管でそれぞれ結ばれ、中間層と排液本管は排液枝管でそれぞれ結ばれている。このため、修復液はそれぞれの給液枝管から各遮水シートの中間層に供給することができ、各遮水シートの中間層の修復液はそれぞれの排液枝管から排出することができる。この修復液の供給と排出は各遮水シートごとに独立して行うことができる。これらの給液本管と排液本管を修復液の循環のための共通に使用することができ、処分施設から離れた管理施設との間に遮水シートの数だけの給液管と排液管を配設する必要がなくなり、施工が安価となり、施設の管理・保守が容易となる。(請求項1)
【0103】
さらに、各遮水シートの内部にある中間層には排気枝管の一端を接続し、排気枝管の他端には排液本管に接続してある。このため、修復液を中間層に最初に充填する際には、中間層に残っている空気をそれぞれの遮水シートごとに排液本管を利用して排出することができ、排気のための本管を設置せずとも共用することができる。(請求項2)
【0104】
それぞれの給液枝管と排液枝管には独立した開閉弁を介在してあるため、基礎地盤の上に区画割りして配置した遮水シートにそれぞれ単独で修復液を補充したり回収することができる。このため、特定の場所の遮水シートに必要量の修復液を補充したり回収することができる。また、一日の管理のサイクルを考えて、各遮水シートに修復液を循環させる作業では、個別に作業をすることができる。(請求項3)
【0105】
給液枝管と排液枝管ばかりでなく、排気枝にも独立した開閉弁を介在してあるため、区画割りした遮水シートに修復液を充填する際には、その遮水シートだけを単独で空気を排気することができる。(請求項4)
【0106】
それぞれの給液枝管と排液枝管に介在した開閉弁は電磁開閉弁であることから、離れた位置にある管理施設から給液枝管と排液枝管を開閉させることができる。このため、遮水シートが破損した時などは、破損した区画の遮水シートに対応する電磁開閉弁のみを操作して自己修復させることができる。この操作は遠隔操作で行えるため、各給液枝管と排液枝管の近くにまで作業員が出掛ける必要がなくなり、作業が迅速かつ簡易に行うことができる。(請求項5)
【0107】
各給液枝管には圧力計と流量計をそれぞれ配置してあり、これらの機器で検出された修復液の圧力と流量は電気信号として離れた管理施設にまで伝達させることができる。このため、どの遮水シートに破損が発生したかを圧力と流量の変化により遠隔地で瞬時に把握することができ、修復のための対応が迅速に行うことができる。従来では、それぞれの遮水シートから管理施設まで配管を延長して水位等を監視しなければならなかったため、遮水シートの数だけ配管が必要となっていたのを省略できる。各遮水シートへの修復液の補充は給液本管から共通して行うことができるので、配管本数を減少させることができる。圧力計と流量計からの監視による信号は電気ケーブル等で伝達できるので、遮水シートから管理施設までの配管は不要となり、複数の信号を伝達する電気ケーブルであっても、その敷設は配管に比べると簡素となる。(請求項6)
【0108】
さらに、給液枝管と排液枝管には更に分岐してサンプリング管をそれぞれ接続してあり、各遮水シートに供給される修復液や各遮水シートから流出する修復液を採取することができる。このため、各遮水シートの修復液の能力、劣化度、混濁などを個別に把握することができ、修復液の改善を個別に対処することができる。(請求項7)
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来から利用されている自己修復型の廃棄物処分施設の構造と修復の原理を示す説明図である。
【図2】 従来から廃棄物処分施設で利用されている、コロイド溶液である修復液により遮水シートを自己修復する原理を示す説明図である。
【図3】 本発明の廃棄物処分施設の基本構造を示すため、一部破断した全体の斜視図である。
【図4】 本発明の廃棄物処分施設に付随して使用する作液機構の内部を示す構成図である。
【図5】 本発明の廃棄物処分施設に付随して使用する液供給機構の内部を示す構成図である。
【図6】 本発明の廃棄物処分施設に付随して使用する液回収機構の内部を示す構成図である。
【図7】 本発明の廃棄物処分施設に付随して使用する中央制御機構の内部を示す構成図である。
【図8】 遮水シートを区画割りして配設した廃棄物処分施設を説明するため、一部を破断した全体の斜視図である。
【図9】 遮水シートを区画割りして配設した廃棄物処分施設で、遮水シートと管理施設との間を結ぶ配管を示す説明図である。
【図10】 本発明の廃棄物処分施設における各遮水シートへの配管の構造の原理を示す説明図である。
【図11】 本発明の廃棄物処分施設における各遮水シートへの配管の構造であって、より具体的な構成を示す斜視図である。
【図12】 本発明の廃棄物処分施設における各遮水シートへの配管の構造であって、給液枝管に取り付けた機器を示す斜視図である。
【図13】 本発明の廃棄物処分施設における各遮水シートへの配管の構造であって、排液枝管と排気枝管に取り付けた機器を示す斜視図である。
【図14】 本発明の廃棄物処分施設で共同暗渠に使用するボックスカルバートの外観を示す斜視図である。
【図15】 本発明の廃棄物処分施設で共同暗渠に使用するボックスカルバートを図14中XーXで切断した断面図である。
【図16】 本発明の廃棄物処分施設で共同暗渠に使用するボックスカルバートに埋め込む緩衝体の斜視図である。
【図17】 本発明の廃棄物処分施設で共同暗渠に使用するボックスカルバートに埋め込む緩衝体の断面図である。
【図18】 本発明の廃棄物処分施設で共同暗渠に使用するボックスカルバートに枝管を挿通した状態を示す断面図である。
【図19】 本発明の廃棄物処分施設で共同暗渠に使用するボックスカルバートに埋め込む緩衝体の第二の実施の形態である。
【図20】 本発明の廃棄物処分施設で共同暗渠に使用するボックスカルバートに埋め込む緩衝体の第三の実施の形態である。
【図21】 本発明の第二、第三の実施の形態である緩衝体を利用して枝管をボックスカルバートに挿通した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
24 修復液
40 自己修復型廃棄物処分施設
42 下部シート
43 上部シート
44 遮水シート
46 排気パイプ
48 排液パイプ
50 給液パイプ
53 排気機構
57 液供給機構
59 液回収機構
60 作液機構
115 廃棄物処分施設
116 基礎地盤
117 共同暗渠
118 下部シート
119 上部シート
120 遮水シート
121 中間層
122 排気パイプ
123 排液パイプ
124 給液パイプ
131 排液本管
132 給液本管
134 排気枝管
135 排液枝管
136 給液枝管
137 開閉弁
138 開閉弁
139 開閉弁
145 ドレイン管
146 排液弁
148 電動開閉弁
149 電磁流量計
150 圧力計
152 サンプリング管
160 電動開閉弁
161 手動開閉弁
162 サンプリング管
166 ボックスカルバート
169 緩衝体
170 緩衝体

Claims (7)

  1. 遮水性のある下部シートと上部シートを上下に重ね、下部シートと上部シートによる上下二層の間に液体が流動できる中間層を設け、下部シートと上部シートと中間層により一つの独立した遮水シートを形成し、廃棄物を投入するために基礎地盤をすり鉢状に掘り下げた処分場の底部と法面に複数の遮水シートを隙間無く配置し、複数の遮水シートで処分場の底部と法面からの水漏れを防ぐように覆うと同時に、複数の遮水シートによって処分場の底部と法面を区画割りし、各遮水シートの中間層にはコロイド溶液を主体とする修復液を充填させ、この修復液を廃棄物からの浸出水よりも過圧力状態に維持させ、遮水シートが破損した際には修復液を破損箇所で固化させて封鎖させ、破損箇所を自己修復させることができる廃棄物処分施設において、
    基礎地盤を掘り下げた処分場の底部には遮水シートの中間層に修復液を供給する給液本管と遮水シートの中間層に充填した修復液を回収する排液本管を配置し、各遮水シートと給液本管の間には独立した給液枝管をそれぞれ接続し、各遮水シートと排液本管の間には独立した排液枝管をそれぞれ接続し、それぞれの遮水シートに独立して修復液の供給と回収を行うことを特徴とする廃棄物処分施設。
  2. 遮水性のある下部シートと上部シートを上下に重ね、下部シートと上部シートによる上下二層の間に液体が流動できる中間層を設け、下部シートと上部シートと中間層により一つの独立した遮水シートを形成し、廃棄物を投入するために基礎地盤をすり鉢状に掘り下げた処分場の底部と法面に複数の遮水シートを隙間無く配置し、複数の遮水シートで処分場の底部と法面からの水漏れを防ぐように覆うと同時に、複数の遮水シートによって処分場の底部と法面を区画割りし、各遮水シートの中間層にはコロイド溶液を主体とする修復液を充填させ、この修復液を廃棄物からの浸出水よりも過圧力状態に維持させ、遮水シートが破損した際には修復液を破損箇所で固化させて封鎖させ、破損箇所を自己修復させることができる廃棄物処分施設において、
    基礎地盤を掘り下げた処分場の底部には遮水シートの中間層に修復液を供給する給液本管と遮水シートの中間層に充填した修復液を回収する排液本管を配置し、各遮水シートと給液本管の間には独立した給液枝管をそれぞれ接続し、各遮水シートと排液本管の間には独立した排液枝管をそれぞれ接続し、各遮水シートと排液本管の間には独立した排気枝管をそれぞれ接続し、各遮水シートの中間層にある空気は各排気枝管を介してそれぞれ独立して排液本管より排気し、各遮水シートの中間層には各給液枝管を介して給液本管よりそれぞれ独立して修復液を供給し、各遮水シートの中間層には各排液枝管を介して排液本管よりそれぞれ独立して修復液を回収させることを特徴とする廃棄物処分施設。
  3. 前記複数の給液枝管と複数の排液枝管には、それぞれ独立して動作できる開閉弁を介在させたことを特徴とする請求項1記載の廃棄物処分施設。
  4. 前記複数の給液枝管と複数の排液枝管と複数の排気枝管には、それぞれ独立して動作できる開閉弁を介在させたことを特徴とする請求項2記載の廃棄物処分施設。
  5. 前記開閉弁は遠隔で操作できる電磁開閉弁であることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の廃棄物処分施設。
  6. 前記給液枝管のそれぞれには、その枝管内の修復液の圧力を検知する圧力計と、修復液の流量を検知する流量計を介在させたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載の廃棄物処分施設。
  7. 前記給液枝管と排枝管のそれぞれには、開閉弁を介して修復液を採取することができるサンプリング管を分岐して接続したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の廃棄物処分施設。
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