JP4534866B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明はエンジンの制御装置に係り、特に、燃料としてアルコールとガソリンとをそれぞれ単独でまたは混合して使用可能であるエンジンの制御装置に関する。
近年、ガソリン燃料に加えて、代替燃料としてのアルコールを同時に使用可能なシステムが実用化されており、このシステムを搭載した自動車などの車両(FFV; Flexible Fuel Vehicle)では、ガソリンは勿論のこと、アルコールとガソリンとの混合燃料、またはアルコールのみで走行が可能なようになっている。このFFVに使用される燃料のアルコール濃度(含有率)は、燃料補給の際のユーザー事情等により、0%(ガソリンのみ)から100%(アルコールのみ)の間で変化する。
一方、通常のエンジンにおいても、エンジン停止後にエンジンから受ける輻射熱或いは放射熱により、デリバリパイプ等の燃料通路内の温度が上昇し、燃料がベーパ化して次回始動時に始動不良を起こすという問題がある。これは、例えば車両に搭載されたエンジンの場合、高温環境下で走行後エンジンを停止し、短時間内に再びエンジンを始動するといったときなどに起こりやすい。しかも、FFVにおいては、アルコールがガソリンに比べ沸点が低く気化しやすいため、燃料のアルコール濃度が高いほど、かかる不具合が発生しやすい。
燃料のベーパ化を防止する技術としては例えば特許文献1に開示されているLPG燃料エンジンが知られている。このLPG燃料エンジンでは、LPG燃料の性状と、LPG燃料圧送ポンプ及びインジェクタ間の流路上の所定箇所におけるLPG燃料の温度とに基づいて、前記所定箇所にてLPG燃料がベーパ化しないように目標圧力を定め、前記所定箇所におけるLPG燃料圧力と前記目標圧力とが一致するように前記ポンプを制御する制御手段が備えられている。
特開2004−346813号公報
しかしながら、この特許文献1に開示されたLPG燃料エンジンは、燃料の違いもさることながら、エンジン始動時にベーパの発生が推定された場合はベーパ未発生圧力を目標圧力としてポンプを駆動し、エンジン始動を開始するものであり、逆に言えば、エンジン停止期間中のベーパ発生を許容するものである。よってエンジン再始動時の始動不良を確実に防止できるものとは言い難い。また、たとえFFVの燃料がアルコール100%であるとしても、常温常圧下で気体であるLPG燃料に比べれば、エンジン停止中に燃料がベーパ化する可能性は格段に低い。実際、FFVにおいてベーパ化による始動不良が生じるのはごく限られた状況だけであり、このことを考慮するとLPG燃料エンジンの技術をFFV用エンジンにそのまま適用するのは必ずしも適当ではない。
本発明は、かかる事情に鑑みて創案されたものであり、その目的は、アルコール燃料を使用可能なFFV用エンジンにおいて、エンジン停止期間中の燃料のベーパ化及びこれに起因する始動不良を確実に防止することができるエンジンの制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の第一の形態は、燃料としてアルコールとガソリンとをそれぞれ単独でまたは混合して使用可能であるエンジンの制御装置であって、燃料を噴射するインジェクタと、該インジェクタに燃料を供給するための燃料供給通路と、エンジン停止時、前記燃料供給通路内の燃料がエンジン停止期間中にべーパ化するか否かを所定条件に従って予測する予測手段と、該予測手段によって燃料がべーパ化すると予測されたとき、前記燃料供給通路内の燃料を昇圧する昇圧手段とを備えたことを特徴とする。
この本発明の一形態によれば、エンジンの始動時ではなく停止時に、その停止期間中における燃料のべーパ化の可否が予測され、べーパ化が予測される場合は燃料供給通路内の燃料が昇圧される。従って、エンジン停止期間中における燃料のべーパ化は確実に防止され、次回再始動時の始動不良を確実に防止することができる。
ここで、好ましくは、外気温を検出するための外気温検出手段と、燃料のアルコール濃度を検出するためのアルコール濃度検出手段と、エンジンの暖機終了を検出するための暖機終了検出手段とをさらに備え、前記外気温検出手段によって検出された外気温が所定温度以上であり、前記アルコール濃度検出手段によって検出されたアルコール濃度が所定濃度以上であり、且つ前記暖機終了検出手段によってエンジンの暖機終了が検出されたとき、前記予測手段が燃料がべーパ化すると予測する。かかる条件設定により燃料のべーパ化予測を正確に行うことができる。
好ましくは、前記燃料供給通路における燃料圧を検出するための燃料圧検出手段と、燃料のアルコール濃度を検出するためのアルコール濃度検出手段と、該アルコール濃度検出手段によって検出されたアルコール濃度に基づいて、エンジン停止期間中に燃料のべーパ化を生じさせないような目標燃料圧を決定する目標燃料圧決定手段とをさらに備え、前記昇圧手段が、前記燃料圧検出手段により検出される燃料圧が前記目標燃料圧に一致するように前記燃料を昇圧する。
エンジン停止期間中に燃料のべーパ化を生じさせないような燃料圧はアルコール濃度によって異なる。従って、燃料のアルコール濃度に基づいて目標燃料圧を決定し、この目標燃料圧に一致するように燃料を昇圧することにより、エンジン停止期間中の燃料のべーパ化を確実に防止できる。
好ましくは、前記燃料供給通路に、前記昇圧された燃料の逆流を阻止するための弁が設けられる。これにより昇圧状態の燃料を次回始動時まで確実に燃料供給通路内に閉じこめておくことができる。
好ましくは、燃料のアルコール濃度を検出するためのアルコール濃度検出手段と、該アルコール濃度検出手段によって検出された燃料のアルコール濃度に基づいて所定の限界燃温を決定する限界燃温決定手段と、前記燃料供給通路における燃料温度を検出するための燃温検出手段と、エンジン始動時、前記燃温検出手段により検出された燃料温度が前記限界燃温より低いか否かを判定する判定手段と、該判定手段によって前記燃料温度が前記限界燃温より低いと判定されたとき、前記燃料供給通路内の燃料圧力を所定値に減圧する減圧手段とをさらに備える。
これによれば、停止時に昇圧した燃料を始動時に減圧するので、噴射期間の燃圧補正が不要となり制御の簡素化が図れる。ここで、エンジン停止期間中に燃料がベーパ化しないように昇圧状態に保持されていても、この停止期間中に燃料温度が上昇し、始動時に減圧したときにベーパ化する虞がある。かかる構成によれば、始動時の燃料温度が所定の限界燃温より低い場合にのみ減圧を行うので、減圧後のべーパ化を確実に防止し、始動不良を未然に防ぐことができる。
また、本発明の第二の形態は、燃料としてアルコールとガソリンとをそれぞれ単独でまたは混合して使用可能であるエンジンの制御装置であって、燃料を噴射するインジェクタと、該インジェクタに燃料を供給するための燃料供給通路と、エンジン停止時、前記燃料供給通路内の燃料がエンジン停止期間中にべーパ化するか否かを所定条件に従って予測する予測手段と、該予測手段によって燃料がべーパ化すると予測されたとき、前記燃料供給通路内の燃料を燃料タンクに回収する回収手段とを備えたことを特徴とする。
この本発明の第二の形態によれば、エンジン停止時に燃料がべーパ化すると予測されたとき燃料供給通路内の燃料が燃料タンクに回収される。これにより、ベーパが混入した燃料による次回の始動が回避され、始動不良を防止できる。なお、再始動時には燃料が燃料供給通路内に新たに補充される。
ここで好ましくは、外気温を検出するための外気温検出手段と、燃料のアルコール濃度を検出するためのアルコール濃度検出手段と、エンジンの暖機終了を検出するための暖機終了検出手段とをさらに備え、前記外気温検出手段によって検出された外気温が所定温度以上であり、前記アルコール濃度検出手段によって検出されたアルコール濃度が所定濃度以上であり、且つ前記暖機終了検出手段によってエンジンの暖機終了が検出されたとき、前記予測手段が燃料がべーパ化すると予測する。
また、本発明の第三の形態は、燃料としてアルコールとガソリンとをそれぞれ単独でまたは混合して使用可能であるエンジンの制御装置であって、燃料を噴射するインジェクタと、該インジェクタに燃料を供給するための燃料供給通路と、前記燃料供給通路における燃料温度を検出するための燃温検出手段と、燃料のアルコール濃度を検出するためのアルコール濃度検出手段と、該アルコール濃度検出手段によって検出された燃料のアルコール濃度に基づいて、所定の限界燃温を決定する限界燃温決定手段と、エンジン始動時、前記燃温検出手段により検出された燃料温度が前記限界燃温以上か否かを判定する始動時判定手段と、該始動時判定手段により前記燃料温度が前記限界燃温以上と判定されたとき、エンジンの始動を禁止する始動禁止手段とを備えたことを特徴とする。
このようにエンジンの始動が禁止された場合、ユーザは燃温が下がるまでしばらく待機することを強いられる。しかし、時間が経過すればやがて燃温が始動可能な温度まで下がるので、始動が可能となる。かかる構成によれば、燃料を昇圧したり、減圧したり、燃料タンクに回収したりする手段等が不要になるので、装置構成を簡素化でき、装置を低コスト化することができる。
好ましくは、前記始動禁止手段がエンジンの始動を禁止するときに所定の警告を発する警告手段をさらに備える。
また、本発明の第四の形態は、燃料としてアルコールとガソリンとをそれぞれ単独でまたは混合して使用可能であるエンジンの始動制御装置であって、燃料を噴射するインジェクタと、燃料タンクから前記インジェクタに燃料を供給するための燃料供給通路と、該燃料供給通路から前記燃料タンクに燃料を回収するための燃料回収通路と、該燃料回収通路に設けられた電磁弁と、前記燃料供給通路における燃料温度を検出するための燃温センサと、燃料のアルコール濃度を検出するためのアルコール濃度センサと、該アルコール濃度センサによって検出された燃料のアルコール濃度に基づいて、所定の限界燃温を決定すると共に、エンジン停止時、前記燃温センサにより検出された燃料温度が前記限界燃温より高いと判定したとき、前記電磁弁を開放して前記燃料供給通路内の燃料を前記燃料回収通路を通じて燃料タンクに回収する電子制御ユニットとを備えたことを特徴とする。
この本発明の第四の形態においては、エンジン停止期間中の燃料温度の上昇・下降という特性を活用し、その停止期間中に燃料温度を監視しつつ所定の限界燃温との比較を行い、燃料温度が限界燃温より高くなったとき、以降の段階で燃料がベーパ化すると予測して、本発明の第二の形態と同様、燃料供給通路内の燃料を燃料タンクに回収する。エンジン停止期間中に燃料温度を監視しつつベーパ化の予測を行うので、より高精度な制御が可能であり、ベーパ化及び再始動不良を確実に防止できる。
好ましくは、前記電子制御ユニットは、前記燃温センサにより検出された燃料温度の最大値を更新記憶し、前記燃料温度が前記限界燃温以下と判定したとき、該燃料温度が、前記燃料温度の最大値から所定値を減じて得られる値より低いか否かを判定し、該燃料温度が前記値より低いと判定したとき、自身を停止する。
燃料温度が前記値より低い場合、燃料温度はピークを越えて下がり始めたことを意味する。よってこうなれば監視は終了可能であり、電子制御ユニットを停止してエンジンを完全な停止状態とすることができる。
好ましくは、前記限界燃温は、燃料が所定圧である場合に燃料のべーパ化を生じさせるような燃料温度の下限値である。
本発明によれば、アルコール燃料を使用可能なFFV用エンジンにおいて、エンジン停止期間中の燃料のベーパ化及びこれに起因する始動不良を確実に防止することができるという、優れた効果が発揮される。
以下、本発明の好適一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1は、本実施形態にかかるエンジンの制御装置を示す。図示されるエンジン1はFFV用エンジンであり、本実施形態では4気筒であるが、気筒数に特に制限は無い。またエンジン1は、本実施形態では吸気通路内(特に吸気ポート内)に燃料を噴射する吸気通路噴射式だが、筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射式、或いはこれら両方の噴射方式を備えるデュアル噴射式であってもよい。
エアクリーナ2から吸入された空気は、吸気通路5を介して各気筒の燃焼室に分配供給される。吸気通路5は、上流側から順に配置された吸気管51、吸気マニホールド52、及び各気筒のシリンダヘッドに形成された吸気ポート(図示せず)により区画形成される。吸気マニホールド52は、上流側に位置された集合部としてのサージタンク4と、各気筒の吸気ポートにそれぞれ接続された気筒毎の枝管53とからなる。吸気管51には電子制御式スロットル弁3が設けられている。インジェクタ11は、各気筒毎に設けられ、各気筒の吸気通路特に吸気ポートの出口部に向けて燃料噴射を行う。インジェクタ11から噴射された燃料は空気と混合して筒内燃焼室に比較的均質な混合気を形成する。インジェクタ11は、制御手段としての電子制御ユニット(以下、ECUと称す)100から出力されるオン信号により開弁し、燃料を噴射し、ECU100から出力されるオフ信号により閉弁し、燃料噴射を停止する。
燃焼室に形成された混合気は、ECU100からの点火信号に基づき、点火プラグ7により点火されて、燃焼する。エンジン1からの排気は排気通路8を通じて排出される。排気通路8には、エンジン1のシリンダヘッドに気筒毎に形成された排気ポートと、これら排気ポートに連通してシリンダヘッドに取り付けられる排気マニホールドの内部通路とが含まれる。排気マニホールドの下流側には排気浄化用の触媒9が配設され、触媒9の下流側には排気管が接続されている。吸気ポートの出口及び排気ポートの入口はそれぞれ図示しない吸気弁及び排気弁により開閉される。
各インジェクタ11には、燃料タンク10に貯留された燃料が燃料供給通路12を介して供給される。ここで本実施形態のエンジン1は、燃料としてアルコールとガソリンとをそれぞれ単独でまたは混合して使用可能となっており、燃料タンク10には任意のアルコール濃度を有する燃料が貯留される。この燃料は、ガソリン100%のときもあるし、メタノール、エタノール等のアルコールがガソリンに混合された混合燃料の場合もあるし、さらにはアルコール100%の場合もある。燃料タンク10にどのような燃料が給油されるかは、例えば、ユーザがどのようなガソリンスタンドが利用可能かなどといったユーザの使用環境に依存することが多い。
燃料供給通路12は、各インジェクタ11に共通に接続されたデリバリパイプ13と、デリバリパイプ13及び燃料タンク10を互いに接続する燃料供給管16とから構成される。燃料タンク10付近の燃料供給管16にフィードポンプ14が設けられる。フィードポンプ14はその吐出流量がECU100によって制御される可変式である。この吐出流量の制御によって、デリバリパイプ13内の燃料圧、即ちインジェクタ11からの噴射圧が制御される。燃料供給管16には、ECU100によって開閉制御される供給側電磁弁6が設けられる。この供給側電磁弁6は、通常は開とされるが、後に理解されるようにデリバリパイプ13内の燃料圧が昇圧された後に閉とされ、燃料の逆流を阻止する。
デリバリパイプ13内の燃料を燃料タンク10に回収できるようにするため、デリバリパイプ13と燃料タンク10とが燃料回収通路18によって互いに接続されている。燃料回収通路18には回収側電磁弁20が設けられる。ここでの回収側電磁弁20は、ECU100によって全開から全閉まで開度が制御される可変式であり、後述するように、エンジン始動時に適宜開度が制御されてデリバリパイプ13内の燃料圧を所定の目標圧に一致させる。なお燃料回収時以外は全閉とされる。燃料を積極的に回収するため、燃料回収ポンプ17が燃料回収通路18に設けられるのが好ましい。
燃料のアルコール濃度を検出するためアルコール濃度センサ21が設けられる。本実施形態のアルコール濃度センサ21は、燃料タンク10に設置されると共に、燃料の誘電率に基づいてアルコール濃度を検出する静電容量式のものが用いられている。しかしながら、燃料の屈折率に基づいてアルコール濃度を検出する光学式のアルコール濃度センサなども使用可能である。アルコール濃度センサ21は、燃料供給管16やデリバリパイプ13に設置されてもよい。デリバリパイプ13には、その内部の燃料の圧力及び温度を検出するための燃料圧力センサ23及び燃料温度センサ15が設けられている。以下適宜、「燃料圧力」及び「燃料温度」を「燃圧」及び「燃温」のように略す。
ECU100は、CPU、ROM、RAM、A/D変換器及び入出力インターフェイス等を含んで構成されるマイクロコンピュータを備え、ROMに記憶されている各種マップ等を用いて、各種センサ類の検出値に基づき、所定の演算処理等を適宜行い、インジェクタ11、点火プラグ7、電制スロットル弁3の駆動モータ19、フィードポンプ14、供給側電磁弁6、回収側電磁弁20、燃料回収ポンプ17等を制御する。
前記センサ類には、前述のアルコール濃度センサ21、燃料圧力センサ23及び燃料温度センサ15以外に以下のものも含まれる。すなわち、エンジン1にはクランク角度を検出するためのクランクセンサ24が設けられる。クランクセンサ24は、所定のクランク角度間隔でパルス信号を出力する。このパルス信号に基づいてECU100はエンジン1のクランク角度を検出すると共に、回転速度を算出する。
また、吸気温即ち大気温を検出する吸気温センサ26、アクセルペダルの踏込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ27、スロットル弁3の開度を検出するスロットルポジションセンサ28、エンジン1の冷却水温を検出する水温センサ29、及びスロットル弁3より下流の吸気通路5内の圧力を検出する吸気圧センサ25が前記センサ類に含まれる。ECU100は、基本的には、スロットルポジションセンサ28の出力値がアクセル開度センサ27の出力値に応じた値となるように駆動モータ19を制御し、スロットル弁3の開度を制御する。またECU100は、吸気圧センサ25の出力値に基づきエンジン負荷を算出する。なお、アクセル開度センサ27やスロットルポジションセンサ28の出力値に基づきエンジン負荷を算出したり、空気量センサを設けてその出力値に基づきエンジン負荷を算出するようにしてもよい。
ECU100には、手動操作型のイグニッションスイッチ(IG)30と、警告ランプ31とが接続される。ユーザは、イグニッションスイッチ30を操作してエンジンを始動又は停止する。
次に、このエンジン1における停止制御及び始動制御を説明する。なお、以下の説明において各図に示されるフローチャートはECU100によって実行されるものとし、また各マップは、試験等に基づいて予め作成されECU100のメモリ(ROM)に記憶されたものとする。制御における各ステップを「S」で表す。
図2には停止制御の第1の形態が示されている。停止制御は、ユーザによりイグニッションスイッチ30がオフされると開始される。ECU100は、まずインジェクタ11及び点火プラグ7をオフして燃料噴射及び点火を停止し、エンジン1を停止させる(S101)。次に、ECU100は、吸気温センサ26によって検出される外気温Taが、十分高温とみなせる所定温度Ta1(例えば30℃)以上か否かを判断する(S102)。外気温Taが所定温度Ta1以上の場合、ECU100は、アルコール濃度センサ21によって検出されるアルコール濃度Lが、十分高アルコール濃度とみなせる所定濃度L1(例えば70%)以上か否かを判断する(S103)。アルコール濃度Lが所定濃度L1以上の場合、ECU100は、エンジンの暖機が終了しているか否かを判断する(S104)。これは具体的にはECU100が、水温センサ29によって検出されるエンジン水温Twが暖機後とみなせる所定温度Tw1以上か否かを判断することによって行う。なお水温の代わりに油温やエンジンブロック温度を用いてこの判断を行ってもよい。エンジン水温Twが所定温度Tw1以上の場合、エンジンの暖機が終了していると判断して次のステップS105に進む。
これらステップS102〜104では、燃料供給通路12内の燃料がエンジン停止期間中にべーパ化するか否かの予測を実行している。即ち、外気温が高いほど、また燃料のアルコール濃度が高いほど、燃料はベーパ化しやすく、またベーパ化は、エンジンの暖機が終了してエンジン本体が十分熱くなっており、エンジン本体からの輻射熱が大きいときに発生しやすい。ここで、燃料供給通路12のうち最もベーパ化が起きやすいのはデリバリパイプ13の中である。デリバリパイプ13は、エンジン本体に近接して且つ全気筒を横切って配置されるからである。なおベーパ化が起きやすいのは、筒内噴射エンジンよりもむしろ本実施形態の如き吸気通路噴射エンジンである。吸気通路噴射エンジンの方が筒内噴射エンジンよりも噴射圧即ち燃圧が低いからである。ただし本発明は前述したように筒内噴射エンジンやデュアル噴射エンジンにも適用可能である。
ECU100は、ステップS102〜104のいずれの判定も是であるとき、燃料がベーパ化すると予測し、ステップS105において、以下のような燃料供給通路12内の燃料の昇圧制御を実行する。即ち、フィードポンプ14を作動させて、燃圧センサ23の検出値(実燃圧)を所定の目標圧に一致させるように燃料の昇圧を実行し、実燃圧が目標圧に一致した時、供給側電磁弁6を閉として、昇圧後の燃料を、供給側電磁弁6の下流側の燃料供給通路12(特にデリバリパイプ13)に閉じ込める。このように昇圧が行われるのは、デリバリパイプ13を含む燃料供給通路12の所定区間だけである。
ここで、昇圧前の実燃圧は基本目標圧にほぼ一致する。基本目標圧は、燃料がガソリン100%であるという前提の下での一定値(例えば0.4MPa)に設定されており、通常は燃料のアルコール濃度に拘わらず実燃圧がこの基本目標圧に制御される。通常は、アルコール混合燃料を用いても実燃圧がその基本目標圧に等しければ、エンジン停止期間中にべーパ化は起こらないが、前述のように外気温が高い、アルコール濃度が高いなどの悪条件が重なると、ベーパ化する可能性がある。従って、燃料がベーパ化すると予測された場合は、ステップS105で実行されたように、この基本目標圧より高い値を目標圧とし、実燃圧を一旦上昇させてこの昇圧状態を次回始動時まで維持するようにしている。
この昇圧時の目標圧は、燃料のアルコール濃度Lに基づいて、図3に示す昇圧時目標圧マップから算出される。見られるように、燃料のアルコール濃度Lが高いほど目標圧は高くなり、前記所定濃度L1=70%の場合でも目標圧は基本目標圧(0.4MPa)より高い値(0.5MPa)である。この昇圧時目標圧マップは以下のように作成される。図4に示すように、まず燃料のアルコール濃度毎の蒸気圧線図を考える。図にはアルコール濃度が0%の場合と70%の場合とを例示する。見られるように、燃料のアルコール濃度が高くなるほど燃料の飽和蒸気圧は高く、燃料を液体状態に保持しようとした場合、燃料をより高圧としておかなければならない。そして、エンジン停止期間中に燃料を放置する場合(これをソークという)、図5に示すように、燃温Tfは、ソーク時間tの経過につれ一旦上昇し、後に下降する。
かかる温度変化を伴う燃料のソーク中の、始動不良を発生させるほどのベーパ化を確実に防止するため、図4に示すように、所定アルコール濃度の燃料の蒸気圧曲線(実線)よりも高圧側の曲線(ベーパ発生予測線といい、破線で示す)を仮想し、且つ、ソーク中の最大予測燃温Tmax(例えば100℃)を実験等から求める。そしてベーパ発生予測線上の最大予測温度Tmaxに対応した圧力を、昇圧時目標圧マップの値Ptとして設定する。このような線図作成及び操作が各アルコール濃度毎に行われて昇圧時目標圧マップにおける各値が設定される。
図2に戻って、ECU100は、こうして燃料の昇圧を行った後、フィードポンプ14を停止し(S106)、次いで自身を停止させる(S107)。なおステップS102〜104のいずれかの判定が否であるときも同様である。
このように、かかる停止制御によれば、エンジン停止時に燃料が昇圧され、これが保持されるので、エンジン停止期間中(ソーク中)の燃料のベーパ化を確実に防止し、次回始動時の始動不良を防止できる。
なお、エンジン停止期間中のべーパ化予測に関し補足すると、ステップS102における設定値Ta1は、燃料がアルコール100%という最悪の状態で、ソーク中の燃温上昇により、再始動不良が発生するほどのベーパ発生を起こさせる可能性のある最低の外気温が実験等から求められて設定されている。そしてステップS103におけるアルコール濃度設定値L1は、そのような外気温Ta1の下で、ソーク中の燃温上昇により、再始動不良が発生するほどのベーパ発生を起こさせる可能性のある最小のアルコール濃度が実験等から求められて設定されている。ステップS104において、エンジンの暖機が終了していない場合は、たとえ外気温が高くてもエンジンからの輻射熱等の影響は少なく、ソーク中の燃温上昇は少ないので、かかる昇圧制御は実行しない。
図5に示したように、燃温Tfがソーク初期に上昇するのは、主にデリバリパイプ13がエンジンからの輻射熱を受けるのと、燃料流動がなくなるからである。この上昇後、燃温Tfは外気等による冷却のため下降する。一般的にガソリンエンジンでは、かかる燃温上昇時においてもベーパ発生は起きないようにハード設計されている。しかしながら、同様の仕様で燃料を高アルコール濃度とし、高温下において、停止後すぐに再始動させる(短時間ソーク)といった特殊状況になると、かかるベーパ化、再始動不良が起こる可能性がある。しかも、こうした特殊なケースに対し、従来は殆ど対策がなされていない。本発明はかかる対策への好適な一提案を行うものであり、また、こうした特殊なケースに対し、できるだけ既存の装置構成を変えずに対応する一手法を提案するものである。
次に、このような停止制御の第1の形態と組み合わされる始動制御の第1の形態を図6に基づいて説明する。ここでの始動制御の概要は、昇圧された燃料を基本圧(前述の基本目標圧=0.4MPa)に減圧して始動を行うというものである。燃料噴射時期や燃料噴射量等は基本圧を基準として設定されているので、このように基本圧に戻して始動を行うことで、燃料噴射量の燃圧補正等を行わないで済み、制御を簡素化できる利点がある。
始動制御は、ユーザによりイグニッションスイッチ30がオンされると開始される。ECU100は、まず燃温センサ15及びアルコール濃度センサ21によってそれぞれ検出された燃温Tf及びアルコール濃度Lを取得する(S201)。次に、ECU100は、取得された燃温Tfが、所定の限界燃温Tflimより低いか否かを判断する(S202)。この限界燃温Tflimは、取得されたアルコール濃度Lに基づき、図7の限界燃温マップから求められる。見られるように、アルコール濃度Lが高くなるほど低い限界燃温Tflimが設定されている。この限界燃温Tflimとは、昇圧された燃料が所定値即ち基本圧である場合に燃料のべーパ化を生じさせるような燃料温度の下限値をいう。即ち、燃料昇圧後、ソーク時間の経過に応じて燃温は上昇する。このままでは前述したように、昇圧時目標圧がベーパ化を防止できる値に設定されているので、ベーパ化は起こらない。しかし、再始動時に燃圧を基本圧に減圧すると、燃温が上昇した結果、ベーパ化が起きる可能性がある。この減圧後にベーパ化を生じさせるような燃温の下限値が限界燃温Tflimである。より分かり易く言えば、図5を参照して、燃温Tfが限界燃温Tflim以上のときに燃圧を基本圧に下げるとベーパ化が起こり、燃温Tfが限界燃温Tflim未満のときに燃圧を基本圧に下げるとベーパ化は起こらない。
図6に戻って、ECU100は、ステップS202において燃温Tfが限界燃温Tflimより低いと判断した場合、燃圧センサ23による燃圧値を監視しながら回収側電磁弁20の開度を制御し、デリバリパイプ13内の燃料を燃料タンク10に一部回収(リリーフ)し、減圧して、基本目標圧に一致(レギュレート)させる(S203)。このとき、燃料回収ポンプ17があれば、燃料回収ポンプ17を作動させる。そして、通常の始動制御を実行する(S204)。即ち、フィードポンプ14を作動させ、供給側電磁弁6を開放し、スタータを作動させ、燃料噴射及び点火を実行する。
他方、ECU100は、ステップS202において燃温Tfが限界燃温Tflim以上と判断した場合、インジェクタ11の通電期間(これは燃料噴射量に相当する)を、燃圧センサ23により検出される燃圧値Pfに応じて補正し、始動制御を実行する(ステップS205)。即ち、ここでは燃圧を基本圧に減圧するとベーパ化が生じるケースなので、燃圧を基本圧より高い状態としたまま、その差圧分、噴射期間を所定の基本噴射期間よりも短く補正して、燃料噴射を実行する。
この始動制御によれば、始動時の燃温Tfが限界燃温Tflimより低い場合に限り、燃圧が基本圧に減圧されるので、減圧によるベーパ化を防止しつつ、燃料噴射量の補正を不要として制御の簡素化を図れる。また、始動時の燃温Tfが限界燃温Tflim以上の場合、燃圧が基本圧より高い状態のまま、燃料噴射量が補正されるので、ベーパ化を防止しつつ良好な始動を行える。
ところで、この始動制御を行うには、燃温センサ15、燃圧センサ23、回収側電磁弁20及び燃料回収通路18(さらには燃料回収ポンプ17)が必要である。かかる要素がない制御装置の場合、図に示す始動制御の第2の形態のように、ステップS201‘即ち燃圧Pf及びアルコール濃度Lの取得と、ステップS205即ち燃料噴射期間の燃圧補正を伴う始動制御のみ行えば、エンジンを始動可能である。
なお、図6のステップS204,205も同様だが、アルコール濃度Lの値が必要なのは、予め定められている燃料噴射量の基本値がガソリン100%の燃料を前提としており、この基本値に対しアルコール濃度補正を行う必要があるからである。即ち、ECU100は、所定のマップ等から基本噴射量を決定し、この基本噴射量に、アルコール濃度補正係数を乗じて(加算でもよい)アルコール濃度補正後の燃料噴射量を決定する。アルコール濃度補正係数は、燃料のアルコール濃度Lが高くなるほど大きくなる1以上の値に設定され、即ち噴射される燃料量はアルコール濃度Lが高くなるほど多くなる。このアルコール濃度補正後の燃料噴射量に対し上記の燃圧補正が実行されることになる。この点、後述の始動制御も同様である。
次に、停止制御の第2の形態を図9に基づき説明する。この停止制御の第2の形態は、大略前記第1の形態と同様であり、以下相違点を中心に説明する。概要としては、ECU100が、燃料がベーパ化すると予測したとき、燃料供給通路12内の燃料を燃料タンク10に回収(リターン)する回収制御を実行する。
ステップS401〜404は前記ステップS101〜104と同様である。ECU100は、ステップS402〜404の各判定が是であるとき、燃料がベーパ化すると予測し、フィードポンプ14を停止し(S405)、燃料を燃料タンク10にリターンさせる(S406)。このときECU100は、供給側電磁弁6を閉とすると共に、回収側電磁弁20を開放し、燃料回収ポンプ17がある場合はこれを作動させ、供給側電磁弁6の下流側の燃料供給通路12(特にデリバリパイプ13)にある燃料を全て燃料タンク10に回収する。そしてECU自身を停止し(S407)、本制御を終了する。なおECU100は、ステップS402〜404のいずれかの判定が否であるとき、フィードポンプ14を停止し(S408)、自身を停止し(S407)、本制御を終了する。
図10には、この停止制御の第2の形態と組み合わされる始動制御の第3の形態が示される。始動制御は、イグニッションスイッチ30のオンと同時に開始され、ECU100は、まずフィードポンプ14を作動させると共に供給側電磁弁6を開放し(S501)、デリバリパイプ13に燃料を供給していく。この供給は、燃圧センサ23の検出値が前述の基本目標圧に等しくなるまで続行される(S502)。そして両者が等しくなったら、図6のステップS204と同様、通常の始動制御を実行する(S503)。すなわち、スタータを作動させ、燃料噴射及び点火を実行する。
これら停止制御及び始動制御によれば、停止時にデリバリパイプ13内の燃料が全部回収されるので、当然、そこでのソーク中の燃料ベーパ化は起こらない。また、前記のような停止時の昇圧を実行しないので、燃料噴射系の耐圧構造を特別強化する必要はない。そして燃温センサ15は不要となり、回収側電磁弁20も可変式とする必要はない。図3及び図7に示したマップも不要である。よって装置構成や制御が簡素化できる利点がある。
次に、始動制御の第4の形態を図11に基づき説明する。この始動制御の第4の形態は、広く通常の燃料噴射装置と組み合わせて使用可能である。概要としては、始動時に燃料が既にベーパ化していると推定された場合、始動を禁止する。
ステップS601は、図6に示した始動制御の第1の形態のステップS201と同様である。ECU100は、ステップS602において燃温Tfが限界燃温Tflim以上と判断した場合、燃料がベーパ化していると推定し、警告ランプ31を点灯させて始動不可であることを警告し(S603)、イグニッションスイッチ30がスタータポジションに操作されてもスタータを非作動にするといった始動禁止制御を実行する(S604)。警告は、ユーザに単に待機を促すものであってもよいし、燃温と大気温とから簡易的に類推した待機時間を表示するものであってもよい。これによってユーザは、イグニッションスイッチ30をオフにし、燃温が下がるまでしばらく待機することを強いられる。時間が経過して燃温Tfが限界燃温Tflimより低くなれば、ユーザによるイグニッションスイッチ30の再操作により、ステップS602が否判定となり、通常の始動制御が実行される(S605)。このときは燃温が既に十分下がっており、ベーパ化した燃料は再度液体状態に戻っていると考えられ、通常の始動が可能である。
ここでは、図7のマップに示した限界燃温Tflimを、始動時の燃料ベーパ化判定(S602)に用いた点が特徴的である。即ち、通常のエンジン停止の場合だと、デリバリパイプ13内にはほぼ基本圧(=0.4MPa)の燃料が残っている。この状態でソークが開始され燃温が上昇すると、燃料がベーパ化する可能性があるが、このベーパ化の有無を再始動時に限界燃温Tflimとの比較により判断する。なお限界燃温Tflimは図7に示されるようにあらゆるアルコール濃度Lに対応した値が取得可能である。
この始動制御の第4の形態によれば、供給側電磁弁6と、回収側の要素即ち回収側電磁弁20及び燃料回収通路18(さらには燃料回収ポンプ17)が不要となり、装置構成を非常に簡素化できると共に汎用性に富むという利点がある。なお、この始動制御の第4の形態は、図2に示した停止制御の第1の形態と組み合わせることも可能であり、この場合はステップS605の通常の始動制御を、ステップS205の燃圧補正を伴う始動制御に置き換えればよい。ステップS603の警告は音声警告等であってもよい。
次に、停止制御の第3の形態を図12に基づき説明する。イグニッションスイッチ30がオフされて停止制御が開始されると、ECU100はまず、燃温センサ15及びアルコール濃度センサ21によってそれぞれ検出された燃温Tf及びアルコール濃度Lを取得すると共に、その取得した燃温Tfを最大燃温Tfmaxの初期値として記憶する(S701)。次に、ECU100は、燃料噴射及び点火を停止し、エンジンを停止するが、以下の燃温監視を実行するために自身を停止しない(S702)。そしてECU100は、燃温センサ15によって検出される燃温Tfを所定時間(例えば10s)毎に取得し、これを記憶しておいた最大燃温Tfmaxと比較し、大きい方を最大燃温Tfmaxとして更新記憶する。即ち、図5に示したように、ソーク中の燃温Tfは一旦上昇した後下がっていくので、そのピークに到達する前は最大燃温Tfmaxが順次更新され、ピーク到達後がピーク値が最大燃温Tfmaxとして保持されることになる。
次にECU100は、前記所定時間毎に、取得した燃温Tfを、図7のマップから求められる限界燃温Tflimと比較し、燃温Tfが限界燃温Tflimより高いか否かを判断する。
燃温Tfが限界燃温Tflimより高い場合、図8のステップS405,406同様、デリバリパイプ13内の燃料を燃料タンク10にリターンさせる回収制御を行う(ステップS705)。この場合は、図13に示すように、ソーク中の燃温ピークよりも限界燃温Tflimの方が低いケースであり、燃温上昇中に燃温Tfが限界燃温Tflimを超える。そして燃圧は基本圧であるから、燃温Tfが限界燃温Tflimを超えると燃料がベーパ化する可能性が高い。よってこの場合は燃料を回収し、次回始動時に燃料補充を行う(これについては後述)。燃料のリターンを終えたらECU100を停止し(ステップS706)、本制御を終える。
他方、燃温Tfが限界燃温Tflim以下の場合、その燃温Tfと、最大燃温Tfmaxから所定温度A(例えば10℃)を減じた値とを比較し、燃温Tfがその値より低いか否かを判断する。低くなければS703に戻って燃温監視を続行し、低ければECU100を停止し(ステップS706)、本制御を終える。この場合は、図14に示すように、ソーク中の燃温ピークよりも限界燃温Tflimの方が高いケースである。燃温が上昇してそのピークを超えれば、この燃温ピーク時の燃温が最大値Tfmaxとして記憶される。この後、燃温がピーク時の燃温Tfmaxから所定温度Aよりも大きく低下すると(B点参照)、ECU100は、このとき初めて燃温ピークよりも限界燃温Tflimの方が高いケースであるということを認識すると共に、以降燃料のベーパ化が生じる虞はなくなったと判断する。そこでこのときECU100は自身を停止し、監視を終了する。
この停止制御によれば、図2及び図9の停止制御と比較して、確実に必要なときのみ燃料の回収制御を実行するので、高精度且つより適切な制御となる。なお、ステップS705の燃料回収制御に代えて、図2のステップS105のような燃料昇圧制御を実行することも可能である。
次に、この停止制御の第3の形態と組み合わされる始動制御の第5の形態を図15に基づいて説明する。この始動制御は図10に示された始動制御の第3の形態とほぼ同様であるが、ステップS801が追加された点が異なる。始動制御は、イグニッションスイッチ30のオンと同時に開始され、ECU100は、燃圧センサ23により検出された燃圧Pfが基本目標圧(=0.4MPa)より低いか否かを判断する。つまりここでは、実質的に、前記始動制御において燃料回収が実行されたか否かが判断されている。燃料回収が実行されていなければ、燃圧Pfは基本目標圧に等しく、通常の始動制御を実行する(S804)。他方、燃料回収が実行されていれば、燃圧Pfは基本目標圧より低いので、フィードポンプ14を作動させると共に供給側電磁弁6を開放し(S802)、燃圧Pfが基本目標圧に等しくなるまでデリバリパイプ13に燃料を補充する(S803:NO)。そして燃圧Pfが基本目標圧に等しくなったら(S803:YES)、通常の始動制御を実行する(S804)。なお、停止制御時に燃料の昇圧制御を実行した場合は、図6のステップS203と同様に燃料のリリーフ・レギュレートを実行すればよい。
なお、本実施形態においては、予測手段、目標燃料圧決定手段、始動時判定手段及び始動禁止手段がECU100によって構成され、昇圧手段がECU100とフィードポンプ14とにより構成され、外気温検出手段が吸気温センサ26によって構成され、アルコール濃度検出手段がアルコール濃度センサ21によって構成され、暖機終了検出手段がECU100と水温センサ29によって構成され、燃料圧検出手段が燃圧センサ23によって構成され、弁が供給側電磁弁6によって構成され、燃温検出手段が燃温センサ15によって構成され、減圧手段がECU100、燃圧センサ23、燃料回収通路18、回収側電磁弁20及び必要に応じて燃料回収ポンプ17によって構成され、回収手段が燃料回収通路18、回収側電磁弁20及び必要に応じて燃料回収ポンプ17によって構成され、警告手段が警告ランプ31によって構成される。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
本発明の一実施形態に係るエンジンの制御装置を示すシステム平面図である。 本実施形態に係る停止制御の第1の形態を示すフローチャートである。 目標圧マップを示す図である。 目標圧マップの作成に使用される燃料の飽和蒸気圧線図である。 燃料のソーク時間と燃温との関係を示すグラフである。 本実施形態に係る始動制御の第1の形態を示すフローチャートである。 限界燃温マップを示す図である。 本実施形態に係る始動制御の第2の形態を示すフローチャートである。 本実施形態に係る停止制御の第2の形態を示すフローチャートである。 本実施形態に係る始動制御の第3の形態を示すフローチャートである。 本実施形態に係る始動制御の第4の形態を示すフローチャートである。 本実施形態に係る停止制御の第3の形態を示すフローチャートである。 燃温変化と限界燃温との関係を示すグラフである。 燃温変化と限界燃温との関係を示すグラフである。 本実施形態に係る始動制御の第5の形態を示すフローチャートである。
符号の説明
1 エンジン
6 供給側電磁弁
10 燃料タンク
11 インジェクタ
12 燃料供給通路
13 デリバリパイプ
14 フィードポンプ
15 燃料温度センサ
16 燃料供給管
17 燃料回収ポンプ
18 燃料回収通路
20 回収側電磁弁
21 アルコール濃度センサ
23 燃料圧力センサ
25 吸気圧センサ
26 吸気温センサ
30 イグニッションスイッチ
31 警告ランプ
100 電子制御ユニット(ECU)
Ta 外気温
Tw エンジン水温
Tf 燃料温度
Tflim 限界燃温
Tfmax 最大燃温
Pf 燃料圧力
L アルコール濃度

Claims (4)

  1. 燃料としてアルコールとガソリンとをそれぞれ単独でまたは混合して使用可能であるエンジンの制御装置であって、
    燃料を噴射するインジェクタと、
    該インジェクタに燃料を供給するための燃料供給通路と、
    エンジン停止時、前記燃料供給通路内の燃料がエンジン停止期間中にべーパ化するか否かを所定条件に従って予測する予測手段と、
    該予測手段によって燃料がべーパ化すると予測されたとき、前記燃料供給通路内の燃料を昇圧する昇圧手段と
    前記燃料供給通路における燃料圧を検出するための燃料圧検出手段と、
    燃料のアルコール濃度を検出するためのアルコール濃度検出手段と、
    該アルコール濃度検出手段によって検出されたアルコール濃度に基づいて、エンジン停止期間中に燃料のべーパ化を生じさせないような目標燃料圧を決定する目標燃料圧決定手段とを備え、
    前記昇圧手段が、前記燃料圧検出手段により検出される燃料圧が前記目標燃料圧に一致するように前記燃料を昇圧する
    ことを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 外気温を検出するための外気温検出手段と、
    燃料のアルコール濃度を検出するためのアルコール濃度検出手段と、
    水温が定常の状態を検出するための暖機終了検出手段とをさらに備え、
    前記外気温検出手段によって検出された外気温が所定温度以上であり、前記アルコール濃度検出手段によって検出されたアルコール濃度が所定濃度以上であり、且つ前記暖機終了検出手段によって水温が定常の状態が検出されたとき、前記予測手段が燃料がべーパ化すると予測することを特徴とする請求項1記載のエンジンの制御装置。
  3. 前記燃料供給通路に、前記昇圧された燃料の逆流を阻止するための弁が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンの制御装置。
  4. 燃料のアルコール濃度を検出するためのアルコール濃度検出手段と、
    該アルコール濃度検出手段によって検出された燃料のアルコール濃度に基づいて所定の限界燃温を決定する限界燃温決定手段と、
    前記燃料供給通路における燃料温度を検出するための燃温検出手段と、
    エンジン始動時、前記燃温検出手段により検出された燃料温度が前記限界燃温より低いか否かを判定する判定手段と、
    該判定手段によって前記燃料温度が前記限界燃温より低いと判定されたとき、前記燃料供給通路内の燃料圧力を所定値に減圧する減圧手段と
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のエンジンの制御装置。
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