JP4534138B2 - 核酸増幅反応における高度好熱菌由来タンパク質の活性化方法およびその利用 - Google Patents

核酸増幅反応における高度好熱菌由来タンパク質の活性化方法およびその利用 Download PDF

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Description

本発明は核酸増幅反応における高度好熱菌由来タンパク質の活性化方法並びに、それを利用した核酸増幅方法および核酸増幅用キットに関する。
ポリメラーゼ連鎖反応(以下、「PCR」と略する場合がある。)は、目標とする特定のDNA領域を短時間で10万倍以上に増幅できる画期的な技術である。しかしながら、その反応を最適化することは難しい。つまり、プライマーが標的配列以外にアニールする、あるいはプライマー同士がアニールする等のミスプライミングに起因する非特異的な増幅が生じることが問題となっているからである。そこで、標的DNAを特異的に増幅できる技術の確立が求められているが、そのためには、PCRサイクルの各段階でミスプライミングがおこらないようにPCRをコントロールする必要がある。
そこでヌクレオチド5´−三リン酸、非特異的増幅を起こりにくくするための方法としてホット・スタート(hot start)法が知られている。かかる方法はアニーリング温度以上になるまで、耐熱性DNAポリメラーゼが伸長反応を行わないようにするものである。具体的は、DNAポリメラーゼに抗体を結合させ活性を阻害する等の方法によって行われる。
また、最近になって、本発明者らは、高度好熱菌由来RecAタンパク質(以下、単に「RecA」と称する場合がある。)が、鋳型やプライマーと相互作用して特定の鋳型配列にのみプライマーの結合を促進でき、それにより、ミスプライミングを抑制できることを報告した(例えば、特許文献1を参照のこと。)。上述のホット・スタート法では、そこで働いている抗体タンパクはPCRの最初の加熱サイクルで変性し失活する。しかしながら、RecAはPCRの全サイクルを通して活性を失わずにミスプライミングを抑制し、特異的なPCR産物のみの増幅を可能とした。
ここで、RecAとは、単鎖核酸に協同的に結合し、該単鎖核酸と二本鎖核酸との間で相同領域を検索し、核酸の相同組換えを行うタンパク質である。RecAについては大腸菌について種々の研究がなされている(例えば非特許文献1、2を参照のこと。)。例えば、RecAは、その鎖置換活性のためにATP又はdATPを要求し、RecAとDNAとの強固な複合体の形成を必要とすることが報告されている。さらに、アデノシン5´−O−3−チオ三リン酸がRecAの鎖置換活性に影響を与え、かかるヌクレオチドのγ位における化学基とタンパク質との接触がRecA−DNA複合体の安定性に影響を与えることも報告されている。
しかしながら、これらはすべて大腸菌由来RecAに関するものであり、本発明者らが報告した上述のPCR技術において使用される高度好熱菌由来のRecAについての研究報告が殆ど無いのが現状である。また、高度好熱菌由来のRecAと大腸菌由来のRecAは、その性質、例えば、変性剤に対する耐性、耐熱性、耐pH性、アミノ酸配列等は著しく相違する。したがって、大腸菌由来のRecAに関する技術をそのまま高度好熱菌由来のRecAに適用する事はできなかった。
国際公開 WO 2004/027060 Watanabe R.等著、Interaction of Escherichia coli RecA protein with ATP and its analogues.(ATPとそのアナログと、大腸菌RecAとの相互作用)J Biochem. 1994年11月、第116巻、第5号、第960-966頁 Ellouze C.等著、Difference between active and inactive nucleotide cofactors in the effect on the DNA binding and the helical structure of RecA filament dissociation of RecA-DNA complex by inactive nucleotides.(DNA結合に対する、活性および不活性なヌクレオチドコファクター間の相違および不活性ヌクレオチドによるRecA−DNA複合体のRecAフィラメント解離の螺旋構造)Eur J Biochem. 1999年5月、第262巻、第1号、第88-94頁
しかしながら、PCRは高温下での熱変性を繰り返し、また、アニーリング温度が高いため、高度好熱菌由来のRecAであっても耐熱性が充分ではない。そして、本発明者らの以前報告した上述の発明においても、PCRの初期でRecAの有する生物学的機能が低下し、サイクルを経る毎に徐々に非特異的増幅が生じることが判明した。また同時に、RecAはPCR反応液によっても、その生物学的機能が低下することが判明した。その結果、特に、PCRサイクルの後期段階でミスプライミングが起こり非特異的な増幅が生じていた。したがって、PCRの各段階において更に適切にPCRを制御できる技術の確立が依然として求められていた。
そこで、本発明は以上の実情を鑑みて、本発明者らの以前の方法を改良し、PCR全サイクルにおいて、RecAを活性化し、その生物学的機能を維持できる方法を提供することを目的とする。ひいては、かかるRecAの生物学的機能の維持することで、より特異的かつ効率的に非特異的な増幅を抑制して所望の核酸のみを増幅できる核酸増幅方法並びに核酸増幅用キットを提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく本発明者らは鋭意研究した結果、RecAに加えてNTPの存在下でPCRを行なうことで非特異的結合を効果的に抑制でき、所望の核酸のみを特異的に増幅できるとの知見を得た。更に鋭意研究を行ったところ、NTPの存在により、PCR中においてRecAは活性化されて、その生物学的機能を良好に保持できるとの知見を得た。これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的を達成するため本発明は、高度好熱菌由来RecAタンパク質存在下で行われるポリメラーゼ連鎖反応において、
ヌクレオチド5´−三リン酸(ただし、前記ヌクレオチド5´−三リン酸はデオキシヌクレオチド5´−三リン酸およびヌクレオチド5´−O−3−チオ三リン酸ではない)を添加して反応を行うことによって前記RecAタンパク質を活性化する、ポリメラーゼ連鎖反応中における高度好熱菌由来RecAタンパク質の活性化方法を提供する。
そして、好ましくは前記ヌクレオチド5´−三リン酸が、アデノシン5´−三リン酸、ウリジン5´−三リン酸、グアノシン5´−三リン酸およびシチジン5´−三リン酸からなる群から選択され、特に好ましくは、前記ヌクレオチド5´−三リン酸がアデノシン5´−三リン酸である。
更に、前記高度好熱菌由来RecAタンパク質がサーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)由来RecAタンパク質であることが好ましい。
また、上記目的を達成するため本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応を、高度好熱菌由来のRecAタンパク質およびヌクレオチド5´−三リン酸(ただし、前記ヌクレオチド5´−三リン酸は、デオキシヌクレオチド5´三リン酸およびヌクレオチド5´−O−3−チオ三リン酸ではない)の存在下で行なうことにより標的核酸を増幅する核酸増幅方法を提供する。
そして、好ましくは、前記ヌクレオチド5´−三リン酸が、アデノシン5´−三リン酸、ウリジン5´−三リン酸、グアノシン5´−三リン酸およびシチジン5´−三リン酸からなる群から選択され、更に好ましくは、前記ヌクレオチド5´−三リン酸がアデノシン5´−三リン酸である。
また、好ましくは、前記高度好熱菌由来のRecAタンパク質がサーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)由来RecAタンパク質であり、
好ましくは、前記標的核酸が阻止的または抑制的2次構造の区域を有する。
更に、前記ポリメラーゼ連鎖反応がマルチプレックス−ポリメラーゼ連鎖反応であることが好ましい。
そして、上記目的を達成するため本発明は、上述した本発明の核酸増幅方法によって増幅された増幅産物をスクリーニングすることにより一塩基多型を検出する、一塩基多型の検出方法を提供する。
また、上記目的を達成するため本発明は核酸増幅用キットを提供する。本発明の核酸増幅用キットは、DNAポリメラーゼ、
アデニン、チミン、グアニンおよびシトシンの夫々に対応する4種類のデオキシヌクレオチド5´−三リン酸、
高度好熱菌由来のRecAタンパク質と、
ヌクレオチド5´−三リン酸(ただし、前記ヌクレオチド5´−三リン酸は、デオキシヌクレオチド5´三リン酸およびヌクレオチド5´−O−3−チオ三リン酸ではない)と、を有する核酸増幅用キットである。
そして、好ましくは、前記ヌクレオチド5´−三リン酸が、アデノシン5´−三リン酸、ウリジン5´−三リン酸、グアノシン5´−三リン酸およびシチジン5´−三リン酸からなる群から選択され、特に好ましくは、前記ヌクレオチド5´−三リン酸が、アデノシン5´−三リン酸である。
更に、前記高度好熱菌由来のRecAタンパク質がサーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)由来RecAタンパク質であることが好ましい。
そして、前記核酸増幅がマルチプレックス−ポリメラーゼ連鎖反応に基づくものであることが好ましい。
本発明のポリメラーゼ連鎖反応中における高度好熱菌由来RecAタンパク質の活性化方法により、高度好熱菌由来RecAをPCRの全サイクルにおいて、その生物学的機能が活性化され更にその活性を良好に保持することが可能となった。その結果、PCR中でRecAがその生物学的機能を効果的に発揮しミスプライミングをより効果的に抑制する。それにより、より効率的かつ特異的な核酸増幅が可能となった。
したがって、上述した本発明の活性方法を利用する本発明の核酸増幅方法により、ミスプライミングをより効果的に抑制することができ、その結果、非特異的な増幅を抑制することが可能となる。その結果、より効率的かつ特異的な核酸増幅が可能となる。
以下、具体的な本発明の実施の形態について説明するが、これはあくまでも本発明を例示するに留まり、本発明を限定するものではない。
本発明は、高度好熱菌由来RecAの存在下で行われるPCR中において、前記RecAを活性化する方法を提供する。活性化は、ヌクレオチド5´−三リン酸(ただし、前記ヌクレオチド5´−三リン酸はデオキシヌクレオチド5´−三リン酸およびヌクレオチド5´−O−3−チオ三リン酸ではない)を添加して反応を行うことによって行なわれる。本明細書おいて使用される「RecAの活性化」とは、RecAの安定性が向上し、RecAの有する生物学的機能を十分に発揮できる状態に維持されてあることを意味する。また、以下の本明細書中「ヌクレオチド5´−三リン酸」との文言には特に注記がない場合には、デオキシヌクレオチド5´−三リン酸およびヌクレオチド5´−O−3−チオ三リン酸を含まないものであるとする。また、以下の本明細書中、ヌクレオチド5´−三リン酸は「NTP」と略する場合がある。また、デオキシヌクレオチド5´−三リン酸は「dNTP」と略する場合があり、ヌクレオチド5´−O−3−チオ三リン酸は「NTPγS」と略する場合がある。
ここで、PCRについて説明する。PCRは、耐熱性DNAポリメラーゼを用いて連鎖反応的にDNAを増幅する方法である。そしてPCRの原理は、プライマーおよび耐熱性DNAポリメラーゼの存在下で、3段階の温度変化をnサイクル繰り返すことにより増幅対象核酸(以下、標的核酸と略する場合がある。)を2倍に増幅するものである。
本発明においてPCR反応液は、NTPとRecA存在の下、標的DNA、耐熱性DNAポリメラーゼ、プライマーDNA、dNTP、並びに適当な緩衝液を含んで調製される。ここで、プライマーDNA、dNTPは必要に応じて検出のため適当な標識物質により標識していても良い。このような標識物質は公知であるので当業者は適宜選択して使用できる。
ここで、RecAとは、単鎖核酸に協同的に結合し、該単鎖核酸と二本鎖核酸との間で相同領域を検索し、核酸の相同組換えを行うタンパク質である。本発明において使用されるRecAは、高度好熱菌由来タンパク質である。本発明の使用に適したRecAとしては、サーマス(Thermus)属、サーモコッカス(Thermococcus)属、ピロコッカス(Pyrococcus)属、サーモトーガ(Thermotoga)属等由来のRecAが例示される。具体的には、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)由来のRecAが例示される。特に、好ましくは、サーマス・サーモフィラス由来である。
これらのRecAは、天然由来のRecAの他、化学合成的もしくは遺伝子工学的に人工的に合成されたRecAも包含する。具体的には、常法に従って、高度好熱菌から抽出したものを利用することができる。更に、既知の大腸菌等の宿主・発現ベクター系を利用して、容易に精製することができる。例えば、当該RecAをコードする遺伝子を公知の方法により導入した発現ベクターにより宿主である大腸菌を形質転換して培養し、当該RecAを発現させる。そして、宿主の大腸菌を破砕して熱処理を行うことにより、当該RecA以外の大腸菌由来タンパク質は熱変性して熱凝集するため、遠心分離等により分離除去できる。これにより熱変性しない当該RecAを可溶画分として大腸菌由来タンパク質と分離し、親和性クロマトグラフィー等を用いて精製できる。
このとき、当該RecAは高度好熱菌由来であるため室温で構造が安定しており、さらに有機溶剤に対しても高い安定性を有している。そのため、上記精製工程は室温で行うことが可能である。
尚、宿主細胞は大腸菌に限らず、例えば、酵母(Saccharomyces cerevisiae)や昆虫(Sf9細胞)などの真核生物細胞を利用することが可能である。また、発現ベクターは、プロモーター配列、高度好熱菌のRecAをコードする遺伝子を挿入できる少なくとも1つの制限酵素サイトを有するマルチクローニングサイト等の配列を含み、かつ、上記宿主細胞で発現できるものであれば、何れの発現ベクターを用いることができる。好適なプロモーターとしては、例えば、T7lacプロモーターを利用するのが好ましい。
さらに、この発現ベクターには他の公知の塩基配列が含まれていてもよい。他の公知の塩基配列としては特に限定されない。例えば、発現産物の安定性を付与する安定性リーダー配列、発現産物の分泌を付与するシグナル配列、及び、ネオマイシン耐性遺伝子・カナマイシン耐性遺伝子・クロラムフェニコール耐性遺伝子・アンピシリン耐性遺伝子・ハイグロマイシン耐性遺伝子等の形質転換された宿主において表現型選択を付与することが可能なマーキング配列等が挙げられる。このような発現ベクターは、市販の大腸菌用発現ベクター(例えばpETタンパク質発現システム:ノバジェン社製)を用いることが可能である。さらに、適宜所望の配列を組み込んだ発現ベクターを作製して使用することが可能である。
更に、上記したようなRecAと類似の構造を有し、かつ、機能的に同等なタンパク質をも含む。したがって、自然界に存在するRecA類似タンパク質の他、人為的な変異誘発または遺伝子組換えにより改変されたタンパク質をも含むことが意図される。例えば、上記した天然由来のRecAのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、付加されたアミノ酸配列を有し、かつ上記したRecAと生物学的機能が同等である改変体が包含し得る。なお、アミノ酸配列における変異の数は、もとのタンパク質の生物学的機能が維持される限り制限されない。
ここで、アミノ酸配列に対する改変は、改変しようとするアミノ酸配列に部位特異的変異導入法(Nucleic Acid Res. 10、pp6487、1982年)等の公知の変異操作手段を用いて人工的に行うことができる。更には、自然界におけるアミノ酸の変異によって生じた改変体をも含む。
NTPとは、核酸残基がD−リボフラノースの1位にβグルコシド結合したヌクレオチドのリボースの5位ヒドロキシル基に3分子のリン酸が連続してエステル結合したものである。アデノシン5´−三リン酸、ウリジン5´−三リン酸、グアノシン5´−三リン酸、シチジン5´−三リン酸が好ましく例示される。ただし、本発明の使用においては、NTPには、dNTPを含めるものではない。したがって、デオキシアデノシン5´−三リン酸、デオキシチミジン5´−三リン酸、デオキシグアノシン5´−三リン酸、デオキシシチジン5´−三リン酸は本発明への適用を除外する。更に、NTPの非加水分解性アナログであるヌクレオチド5´−O−3−チオ三リン酸も、同様に本発明への適用を除外する。したがって、そのような適応除外となるアナログとしては、アデノシン5´−三リン酸のアナログであるアデノシン5´−O−3−チオ三リン酸等が挙げられる。
ここで、大腸菌RecAについて知見を示す上述の非特許文献1、2等において検討されている通り、ヌクレオチド類のRecAの機能に与える影響は様々である。同様に高度好熱菌由来RecAに関してもヌクレオチド類のRecAの機能に与える影響は様々であるものと推定され、それを経験的に推測する事はできない。また、本発明は、基質としてPCR中に合成核酸に取り込まれて消費されるdNTPに加え、更にNTPを添加することによってRecAを効果的に活性化するものである。また、ATPγS等の非加水分解性のNTPγSは、効率的な核酸増幅の観点から本発明の使用に適するものではない。
ここで以下の本明細書中においては、アデノシン5´−三リン酸、ウリジン5´−三リン酸、グアノシン5´−三リン酸、シチジン5´−三リン酸を夫々、「ATP」、「UTP」、「GTP」、「CTP」と略する場合がある。また、デオキシアデノシン5´−三リン酸、デオキシチミジン5´−三リン酸、デオキシグアノシン5´−三リン酸、デオキシシチジン5´−三リン酸を夫々、「dATP」、「dTTP」、「dGTP」、「dCTP」と略する場合がある。また、アデノシン5´−O−3−チオ三リン酸は「ATPγS」と略する場合がある。
本発明において増幅対象となる標的核酸は、その起源、長さ及び塩基配列等に対する制限なく、また、一本鎖、二本鎖を問わず、いかなる核酸であってもよい。具体的には、生物のゲノムDNAでもよく、或いは、該ゲノムDNAを物理的手段若しくは制限酵素消化により切断された断片であっても良い。更に、DNA断片をプラスミド、ファージ等に挿入したものに対しても好適に利用できる。さらに、核酸を含む可能性のある試料から調製、あるいは単離したものであってもよい。また、当該技術分野で常用されているDNA自動合成機等を使用して合成されたDNA断片、mRNAを鋳型にして合成したcDNA断片等の人工的産物等、いずれも標的核酸となり得る。
また、本発明の方法は、一般的なPCRを行った場合に核酸の増幅が阻止又は抑制される二次構造を形成する区域を有する核酸の増幅にも好適に利用できる。
例えば、GC含量が高い鋳型核酸や短い繰り返し配列を有する鋳型核酸等を挙げられる。これらは、熱変性により一本鎖となると高次構造を生じ核酸増幅の際の阻害要因となっていた。本発明の方法によれば、NTPによりその生物学的機能が良好に保持されたRecAが鋳型核酸に結合する。それにより、このような高次構造が解き、効率的に鋳型核酸を増幅することができる。
プライマーは、標的核酸の特定配列に対して相補的になるように設計されるものである。特には、増幅すべき標的配列のその両端に相補的な塩基配列を有するものであることが好ましい。もっとも単純な系ではプライマーが2つ要求されるが、マルチプレックスPCR(Multiplex PCR)等を行う場合は3つ以上でもよく、また、1のプライマーのみでの増幅反応にも好適に利用可能である。プライマーの設計は、ランダムプライマーを用いる場合を除いて、標的核酸の配列を予め調査し決定される。そして、標的核酸の塩基配列の調査には、GeneBank、EBI等のデータベースを好適に利用できる。
プライマーは、ホスホアミダイト法等に基づく化学合成法、既に標的となる核酸が取得されている場合にはその制限酵素断片等が利用可能である。化学合成法に基づきプライマーを調製する場合には、合成に先立って標的核酸の配列情報に基づいて設計される。プライマーは合成後、HPLC等の手段により精製される。また、化学合成を行う場合には市販の自動合成装置を利用することも可能である。ここで、相補的とは、プライマーと標的核酸とが塩基対合則に従って特異的に結合し安定な二重鎖構造を形成できることを意味し、完全な相補性のみならず、プライマーと標的核酸が互いに安定な二重鎖構造を形成し得るのに十分である限り、いくつかの核酸塩基のみが塩基対合則に沿って適合する部分的な相補性であっても許容される。その塩基数は、標的核酸を特異的に認識するために十分に長くなければならないが、長すぎると逆に非特異的反応を誘発するので好ましくない。したがって、適当な長さはGC含量等の標的核酸の配列情報、並びに、反応温度、反応液中の塩濃度等のハイブリダイゼーション反応条件など多くの因子に依存して決定されるが、好ましくは、20〜50塩基長である。
ここで、使用されるDNAポリメラーゼは、通常PCRにおいて使用できる耐熱性のDNAポリメラーゼであれば、特に制限はない。例えば、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)由来のTaqポリメラーゼ、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)由来のT.th.ポリメラーゼ、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus Stearothermophilus)由来のBstポリメラーゼ、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcuslitoralis)由来のVent DNAポリメラーゼ等の好熱菌由来のDNAポリメラーゼ他、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcusfuriosus)由来のPfuポリメラーゼ等の好熱古細菌由来のDNAポリメラーゼが挙げられる。
dNTPとしては、アデニン、チミン、グアニンおよびシトシンの各塩基に夫々対応する4種類のデオキシヌクレオチドが使用される。特には、dGTP、dATP、dTTP、dCTPの混合物が好ましく使用される。更に、PCRで合成され伸長されるDNA分子中に、耐熱性DNAポリメラーゼによって取り込まれ得る限りにおいては、デオキシヌクレオチドの誘導体をも含み得る。そのような誘導体として、7−デアザ−dGTP、7−デアザ−dATP等が例示され、例えば、夫々dGTP、dATPに代えて、若しくは、双方を共在させて使用することができる。したがって、核酸合成に必要なアデニン、チミン、グアニンおよびシトシンの各塩基に対応する4種類が含まれる限り、いかなる誘導体の使用を排除するものではない。
緩衝液としては、一般的には、適当な緩衝成分およびマグネシウム塩等を含んで調製される。緩衝成分としては、トリス酢酸、トリス塩酸、リン酸ナトリウム並びにリン酸カルシウム等のリン酸塩が好適に使用でき、特にはトリス酢酸の使用が好ましい。緩衝成分の最終濃度は5mM〜100mMの範囲で調製される。また緩衝液のpHは好ましくはpH6.0〜9.5、特に好ましくはpH7.0〜8・0の範囲内で調製される。また、マグネシウム塩としては特に制限はないが、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム等を適宜使用でき、特には酢酸マグネシウムが好ましい。更に、必要に応じて、KCl等のカリウム塩、DMSO、グリセロール、ベタイン、ゼラチン、Triton等を添加することができる。また、市販のPCR用耐熱性DNAポリメラーゼに添付の緩衝液を用いることができる。緩衝液の組成は、使用するDNAポリメラーゼの種類等に応じて適宜変更することができる。特には、MgCl、KCl等のイオン強度の影響、DMSO、グリセロール等のDNAの融解温度に影響を与える各種添加物並びにそれらの濃度を勘案して、適宜設定することができる。特に本発明の方法は、実施例2において示す通り、PCR反応液に対するRecAの耐性を向上できるものである。したがって本発明においては広範なPCR反応液組成の使用が可能である。
そして、反応液は容量100μl以下、特には、10〜50μlの範囲で調製することが好ましい。各成分の濃度としてヌクレオチド5´−三リン酸は反応系において少なくとも50μM以上有することが好ましく、特に好ましくは400μM以上であるが、経済性等の観点から1mM以下に調製することが好ましい。RecAは好ましくは反応溶液中に0.004〜0.02μg/μlの濃度で含まれるよう使用される。RecA以外の各成分の濃度は、PCRは公知であることから、当業者は適宜設定することができる。例えば、標的核酸は、好ましくは100μl当り10pg〜1μgの濃度で、プライマーDNAは好ましくは、最終濃度0.01〜10μM、特には0.1〜1μMの濃度に調製される。更に、DNAポリメラーゼは、好ましくは100μlあたり0.1〜50Unit、特には1〜5Unitの範囲の濃度で使用する。そして、dNTPは、好ましくは最終濃度0.1mM〜1Mに調製する。また、マグネシウム塩は最終濃度で0.1〜50mM、特には、1〜5mMの範囲に調製することが好ましい。
PCRは、以下の工程に従って実行され、これらの工程はRecA並びにNTPの存在下で行なわれる。
(1)鋳型核酸の熱変性
(2)プライマーのアニーリング
(3)耐熱性ポリメラーゼによる伸長反応
上記(1)〜(3)からなる三段階の温度変化を1サイクルとする反応を、適切なサイクルを繰り返すことによって、プライマーが起点となって標的核酸を鋳型として、相補性を有するもう一本の核酸鎖の合成が開始される。その結果、nサイクルの反応で標的核酸は2n倍に増幅される。サーモサイクル数は、鋳型となる標的核酸の種類、量およびその純度等に応じて決定されるが、非特異的増幅を抑制し効率的な核酸増幅の観点から20〜40サイクル、特には、32〜36サイクルで行うことが好ましい。特に、本発明の方法はPCRサイクル数を経てもRecAの機能を良好に維持して、その活性を保つことができる。したがって、高サイクルのPCRに対しても適用できる。
以下に各工程について詳細に説明する。
(1)鋳型核酸の熱変性
二本鎖核酸を加熱により、変性させ一本鎖に解離させる。好ましくは、92〜98℃で10〜60秒行われる。また、長いDNA領域を増幅する場合には、鋳型DNAの分解を防止するため、一番初めの熱変性のみを低温度(例えば、92℃程度)に設定することができる。
(2)プライマーのアニーリング
温度を下げることにより上記(1)において熱変性され一本鎖となった鋳型核酸とプライマーとのハイブリッドを形成する。アニーリングは、好ましくは30〜60秒間行われる。また、アニーリング温度はプライマーに用いるオリゴヌクレオチドのTmを推定し、このTmをアニーリング温度として設定することが好ましい。通常は、50〜70℃で行われる。
(3)耐熱性ポリメラーゼによる伸長反応
耐熱性ポリメラーゼによりプライマーからの核酸鎖の伸長反応が3´末端において行われる。伸長反応温度は、耐熱性ポリメラーゼの種類に応じて、適宜設定されるものであるが、65〜75℃で行うことが好ましい。また、伸長時間は、標的配列が1kb以下のときは1分程度で十分であり、それより長い場合には、1kbにつき1分の割合で長くすることが好ましい。
以上のように構成する事により、高度好熱菌由来RecA存在下で行われるPCRにおいて、前記RecAの活性化が達成されてRecAの生物学的機能が維持される。これは、NTPの存在により、RecAの外的要因に対する生物学的機能の安定性を向上させることができることに起因するものと考えられる。特には、NTPがRecAの熱安定性の向上、PCR反応液に対する耐性の向上等の役割を有しているものと考えられる。つまり、PCR中にNTPが存在することにより、高度好熱菌由来のRecAの機能がPCRの全サイクルにおいて良好に維持され、効率的かつ特異的な核酸の増幅が可能となる。
したがって、本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応を、高度好熱菌由来のRecAおよびNTP(ただし、前記NTPは、dNTPおよびNTPγSではない)の存在下で行なうことにより標的核酸を増幅する核酸増幅方法をも提供する。
本発明の核酸の増幅方法により、全サイクルにおいて非特異的な増幅を抑制できると共に効率的な核酸の増幅が可能となる。これは、上述したようにNTPの存在により、RecAの外的要因に対する生物学的機能の安定性を向上させることができるものと考えられる。特には、NTPがRecAの熱安定性の向上、PCR反応液に対する耐性の向上等の役割を有しているものと考えられる。つまり、NTPが存在することにより、RecAの機能がPCRの全サイクルにおいて良好に維持、活性化される。したがって、全PCRサイクルにおいて鋳型核酸へのプライマーの配列特異性を向上した状態を維持できる。その結果、PCRの全サイクルにおいてRecAの働きにより、プライマーが標的配列以外にアニールする、あるいはプライマー同士がアニールする等のミスプライミングに起因する非特異的な増幅を抑制できる。また、NTPの存在によりPCR中におけるdNTPの消費をも最小限に抑制することができ、効率的なPCR増幅が可能となる。
そして本発明の増幅方法は、様々な用途に利用可能である。例えば、医療分野、生物化学分野、環境分野、食品分野等の多岐にわたる用途に利用可能である。具体的には、医療分野での利用として、一塩基多型性の検出をはじめとする遺伝子診断、SARS、インフルエンザ等のウイルスや細菌等の病原体の検出等が例示される。また、生物化学分野での利用として、個人の同定、偽ブランド食物の検定等の生物種の同定が挙げられる。そして、環境分野における利用においては、環境中における細菌、ウイルス等の病原体検出等の環境測定、新規有用微生物の探索等が例示される。さらに、食品分野における利用としては、遺伝子組み換え作物含有の判定等が例示される。しかしながら、これに限定されるものではない。PCRの適用可能な用途であれば、制限されることなく本発明の方法を適用できる。
なかでも、本発明は一塩基多型の検出方法をも提供する。本発明の一塩基多型の検出方法は、上述した本発明の核酸増幅方法によって増幅された増幅産物をスクリーニングすることにより一塩基多型を検出するものである。本発明の増幅方法は、RecAに加えてNTPの存在下で核酸を増幅することにより、プライマーの鋳型DNA並びにプライマー同士の非特異的な結合を抑制することができる。その効果はPCR全サイクルによって保持されるため、効果的にプライマーのミスプライミングを抑制できる。したがって、所望の一塩基多型を有する核酸に相補的なプライマーを用いることにより、かかる一塩基多型を有する核酸が効率的に増幅できる。その一方で、かかる一塩基多型を有しない核酸は増幅されないか、または増幅が抑制されることから、かかる一塩基多型を有する核酸を特異的に増幅することが可能となる。これにより、一塩基多型を感度良く、かつ、効率的に検出することができる。
また、本発明はPCRにより核酸を増幅させるための核酸増幅用キットを提供する。本発明の核酸増幅用キットは、DNAポリメラーゼ、dNTP、高度好熱菌由来RecA、NTPを含んで構成される。更に、適当な緩衝液、マグネシウム塩等のPCRに必要な成分を適宜含んで構成してもよい。また、所望の核酸をもって病原体等を検出するためのキットのような場合には、所望の核酸増幅に特異的な任意のプライマー等を含ませてもよい。このようにPCR増幅に必要な成分をキットして構成することにより、簡便且つ迅速なPCR増幅が可能となる。
(別実施の形態)
本発明の核酸増幅方法は、様々なPCRの変法に利用可能である。たとえば、アダプター付加PCR、アレル特異的増幅法(MASA法)、非対称PCR、逆PCR(IPCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、一本鎖DNA高次構造多型PCR(PCR−SSCP法)、アービトラリリーポリメラーゼ連鎖反応(AP−PCR)、RACE、マルチプレックスPCR(multiplex PCR)等が挙げられる。しかしながら、これらに限定するものではなく、あらゆるPCRの変法に利用可能である。
特に、マルチプレックスPCRへの利用が好適に例示される。本発明の方法は相同組換えタンパク質であるRecAを活性維持させた状態でPCR増幅可能となるため、鋳型DNAのプライマーへの配列特異性が向上する。したがって、特異的に標的核酸の存在に対応して増幅が可能となるため、複数のプライマーを使用するマルチプレックスPCRに好適に利用できる。マルチプレックスPCRとは、標的核酸の複数の標的配列を一の反応容器内で同時に増幅するものである。各標的配列を増幅し得るプライマーセットを一反応容器に入れて単一のPCR操作により増幅させる。複数の標的配列を増幅し得るプライマーセットを利用することにより、単一PCRに比べて標的DNAの増幅に要する時間、労働力及び試薬コストを大きく低減させることが可能となる。また、微量試料をも対象とすることができる共に、操作が簡便であることから現場レベルでの対応が可能となる。
また、本発明は、マルチプレックスPCR反応に供するための核酸増幅用キットを提供する。かかる核酸増幅用キットは、DNAポリメラーゼ、dNTP、高度好熱菌由来RecA、NTPを含んで構成される。更に、適当な緩衝液、マグネシウム塩等のPCRに必要な成分を適宜含んで構成してもよい。また、所望の核酸をもって病原体等を検出するためのキットのような場合には、所望の核酸増幅に特異的な任意のプライマー等を含ませてもよい。また、更に必要な検出装置を含ませてもよい。このようにマルチプレックスPCR増幅に必要な成分をキットして構成することにより、更に簡便且つ迅速なPCR増幅が可能となり、医療現場等における利用性が向上する。
以下に実施例を示し、さらに本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(試薬)
下記の実験で使用した試薬について説明する。
鋳型としてヒトゲノムDNA(Promega社製:Human genomic DNA カタログ番号G3041)を使用した。
DNAポリメラーゼは、rTaq−HSポリメラーゼ(Takara−Bio社製)、ExTaq−HSポリメラーゼ(Takara−Bio社製)若しくはT.th.DNAポリメラーゼ(Applied Biosystems社製:製品番号N8080187)を使用した。
RecAとして、サーモス・サーモフィラス由来のRecA(以下、T.th.RecAと略する。)を使用した。T.th.RecAは、Masui R, Mikawa T, Kato R, Kuramitsu S.著、Characterization of the oligomeric states of RecA protein: monomeric RecA protein can form a nucleoprotein filament.,Biochemistry.1998年10月20日、第37巻、第42号、第14788〜14797頁の記載を参照して本発明の発明者が調製したものを使用した。
また、ATP、GTP、UTP並びにCTPはRoche Diagnostics社製( 製品番号1277057)を使用した。
ここで使用したプライマーセットの配列を以下に示す。
プライマーセット1:
5’-ACAATGGGCTCACTCACCC (配列認識番号1)
5’-CTAAGACCAATGGATAGCTG (配列認識番号2)
定義:Human DNA sequence from clone RP11-392N11 on
chromosome 9
GenBank Acc. No. AL359181
プライマーセット2:
5’-GCTCAGCATGGTGGTGGCATAA-3’(配列認識番号3)
5’-CCTCATACCTTCCCCCCCATTT-3’(配列認識番号4)
定義:Homo sapiens CYP21 gene
GenBank Acc. No. M12792 M23280
プライマーセット3:
5’-GACTACTCTAGCGACTGTCCATCTC-3’(配列認識番号5)
5’-GACAGCCACCAGATCCAATC-3’(配列認識番号6)
定義:Human S100 protein beta-subunit gene
GenBank Acc. No. M59486
プライマーセット4:
5’-AACCTCACAACCTTGGCTGA-3’(配列認識番号7)
5’-TTCACAACTTAAGATTTGGC-3’(配列認識番号8)
定義:Homo sapiens chromosome 8
GenBank Acc. No. AC103819
プライマーセット5:
5’-AGGCAACTAGGATGGTGTGG-3’(配列認識番号9)
5’-CAGGGAGCGTGTCCATAGG-3’(配列認識番号10)
定義:Homo sapiens glyceraldehyde-3-phosphate
dehydrogenase (GAPD) gene
GenBank Acc. No. AY340484
プライマーセット6:
5’-CTGCTGAAAGAGATGCGGTGG-3’(配列認識番号11)
5’-AGGAAAACAGCCCAAGGGACAG-3’(配列認識番号12)
定義:Human beta globin region on chromosome 11.
GenBank Acc. No. U01317
プライマーセット7:
5’-CACATCAATGTTGTTGTTT-3’(配列認識番号13)
5’-TTCCTTGTCTCCCCAAGTTC-3’(配列認識番号14)
定義:Homo sapiens chromosome 11, clone RP11-1205H24
GenBank Acc. No. AC129505
プライマーセット8:
5’-ACTTTGTTCTGAGCCTCACA-3’(配列認識番号15)
5’-GTTGCCCAATCGCCCCTCTC-3’(配列認識番号16)
定義:Homo sapiens transferrin (TF) gene
GenBank Acc. No. AY308797
プライマーセット9:
5’-AACCTGACTAGAAAAGCTAT-3’(配列認識番号17)
5’-GAATGAGTGGTTAATTAATT-3’(配列認識番号18)
定義:Homo sapiens clone NGR0524 mitochondrion, partial genome.
GenBank Acc. No. AF465941
プライマーセット10:
5’-CTCTA GCGACTGTCC ATCTC-3’(配列認識番号19)
5’-GACAG CCACCAGATC CAATC-3’(配列認識番号20)
定義:Human S100 protein beta-subunit gene
GenBank Acc. No. M59486
プライマーセット11:
5’-GACTACTCTA GCGACTGTCC ATCTC-3’(配列認識番号21)
5’-GACTGGACAG CCACCAGATC CAATC-3’(配列認識番号22)
定義:Human S100 protein beta-subunit gene
GenBank Acc. No. M59486
プライマーセット12:
5’-TTAAA GACTACTCTA GCGACTGTCC ATCTC-3’(配列認識番号23)
5’-CATTA GACTGGACAG CCACCAGATC CAATC-3’(配列認識番号24)
定義:Human S100 protein beta-subunit gene
GenBank Acc. No. M59486
プライマーセット13:
5’-GTGGATTAAA GACTACTCTA GCGACTGTCC ATCTC-3’
(配列認識番号25)
5’-TATCCCATTA GACTGGACAG CCACCAGATC CAATC-3’
(配列認識番号26)
定義:Human S100 protein beta-subunit gene
GenBank Acc. No. M59486
プライマーセット14:
5’-GTTGT GTGGATTAAA GACTACTCTA GCGACTGTCC ATCTC-3’
(配列認識番号27)
5’-AATCT TATCCCATTA GACTGGACAG CCACCAGATC CAATC-3’
(配列認識番号28)
定義:Human S100 protein beta-subunit gene
GenBank Acc. No. M59486
プライマーセット15:
5’-TTCCTGTTGT GTGGATTAAA GACTACTCTA GCGACTGTCC ATCTC-3’
(配列認識番号29)
5’-GTTTTAATCT TATCCCATTA GACTGGACAG CCACCAGATC CAATC-3’
(配列認識番号30)
定義:Human S100 protein beta-subunit gene
GenBank Acc. No. M59486
プライマーセット16:
5’-GCAGC TTTCATGGGC ACTGT-3’(配列認識番号31)
5’-CAGGG CTGGACTGAC ATTTG-3’(配列認識番号32)
定義:Homo sapiens blue cone opsin gene
GenBank Acc. No. L32835
プライマーセット17:
5’-TCCAGGCAGC TTTCATGGGC ACTGT-3’(配列認識番号33)
5’-AGAGACAGGG CTGGACTGAC ATTTG-3’(配列認識番号34)
定義:Homo sapiens blue cone opsin gene
GenBank Acc. No. L32835
プライマーセット18:
5’-CTACC TCCAGGCAGC TTTCATGGGC ACTGT-3’(配列認識番号35)
5’-CACAG AGAGACAGGG CTGGACTGAC ATTTG-3’(配列認識番号36)
定義:Homo sapiens blue cone opsin gene
GenBank Acc. No. L32835
プライマーセット19:
5’-GCCTTCTACC TCCAGGCAGC TTTCATGGGC ACTGT-3’
(配列認識番号37)
5’-GYAAGCACAG AGAGACAGGG CTGGACTGAC ATTTG-3’
(配列認識番号38)
定義:Homo sapiens blue cone opsin gene
GenBank Acc. No. L32835
プライマーセット20:
5’-TCTGG GCCTTCTACC TCCAGGCAGC TTTCATGGGC ACTGT-3’
(配列認識番号39)
5’-GTGGA GYAAGCACAG AGAGACAGGG CTGGACTGAC ATTTG-3’
(配列認識番号40)
定義:Homo sapiens blue cone opsin gene
GenBank Acc. No. L32835
プライマーセット21:
5’-CCCTGTCTGG GCCTTCTACC TCCAGGCAGC TTTCATGGGC ACTGT-3’
(配列認識番号41)
5’-ATCGGGTGGA GYAAGCACAG AGAGACAGGG CTGGACTGAC ATTTG-3’
(配列認識番号42)
定義:Homo sapiens blue cone opsin gene
GenBank Acc. No. L32835
プライマーセット22:
5’-CCCACGATCAATGCCATCAACT-3’(配列認識番号43)
5’-CGGTGAGAGGCACTGCCAGATT-3’(配列認識番号44)
定義:Homo sapiens chromosome 10 clone RP11-124L5
GenBank Acc. No. AC022389
プライマーセット23:
5’-GCTCGCTTTCTTGCTGTCCAAT-3’(配列認識番号45)
5’-GCCCTTCATAATATCCCCCAGTTT-3’(配列認識番号46)
定義:Human beta globin region on chromosome 11.
GenBank Acc. No. U01317
プライマーセット24:
5’-GTCCTTCCCCCGCTGGAAAC-3’(配列認識番号47)
5’-GCAGCAGAGATCATCGCGCC-3’(配列認識番号48)
定義:Homo sapiens MYC gene
GenBank Acc. No. X00364
プライマーセット25:
5’-GTGGGGGTGCTGGGAGTTTGT-3’(配列認識番号49)
5’-TCGGACAGAAACATGGGTCTGAA-3’(配列認識番号50)
定義:Homo sapiens neural retinal-specific leucine zipper protein (NRL) gene
GenBank Acc. No. U95012
プライマーセット26:
5’-GGTGCTCAGAACCCCCACAATC-3’(配列認識番号51)
5’-CCTACCGACCCCATTCCACTCT-3’(配列認識番号52)
定義:Homo sapiens growth hormone locus on chromosome 17.
GenBank Acc. No. NG_001334
プライマーセット27:
5’-CACAGATTTCCAAGGATGCGCTG-3’(配列認識番号53)
5’-CGTGCTCTGTTCCAGACTTG-3’(配列認識番号54)
定義:Homo sapiens interleukin 9 receptor (IL9R) gene
GenBank Acc. No. AY071830
プライマーセット28:
5’-CGTCTGGCGATTGCTCCAAATG-3’(配列認識番号55)
5’-GGGCAGTTGTGATCCATGAGAA-3’(配列認識番号56)
定義:Homo sapiens SVMT gene for synaptic vesicle monoamine transporter
GenBank Acc. No. AB044401
プライマーセット29:
5’-GGCTTGCACCAGCTTAGGAAAG-3’(配列認識番号57)
5’-CGTTAGGCATAATCAGTGGGATAGT-3’(配列認識番号58)
定義:Homo sapiens chromosome 11
GenBank Acc. No. AC129505
プライマーセット30:
5’-GCCTCTGATTCCTCACTGATTGCTCT-3’(配列認識番号59)
5’-TGTCAACCACCCTTAACCCCTCC-3’(配列認識番号60)
定義:Homo sapiens p53 gene
GenBank Acc. No. X54156
プライマーセット31:
5’-TTGGAGGGGTGGGTGAGTCAAG-3’(配列認識番号61)
5’-GGAGGGGTGGGGGTTAATGGTTA-3’(配列認識番号62)
定義:Human hepatocyte nuclear factor 4-alpha gene
GenBank Acc. No. U72959
プライマーセット32:
5’-GGAACAAGACACGGCTGGGTT-3’(配列認識番号63)
5’-AGCAAGGCAGGGCAGGCAAGT-3’(配列認識番号64)
定義:Human midkine gene
GenBank Acc. No. D10604
プライマーセット33:
5’-CGGTCCCATTCTCAGGGAATCT-3’(配列認識番号65)
5’-GCCCAGAGGAAGAAGAAGGAAA-3’(配列認識番号66)
定義:Human rhodopsin gene
GenBank Acc. No. U49742
実施例1:PCR反応液組成によるT.th.Recタンパク質のパフォーマンス低下の改善
PCR反応液組成によりT.th.RecAのパフォーマンスに与える影響を確認すると共に、ATPの存在によりT.th.RecAタンパク質のパフォーマンスが保持できることを確認した。
(方法)
ヒトゲノムDNAを鋳型として、プライマーセット1を用いてPCR増幅反応を行った。PCR反応液は以下に示す4種類を調製した。詳細には、反応液Aは、緩衝液として1×rTaq buffer(Takara−Bio社製)を使用したものであり、反応液Bは、反応液Aに更にT.th.RecAを添加したものである。反応液Cは、緩衝液として、Taq buffer(Takara−Bio社製)を用い、T.th.RecAを添加したものである。そして、反応液Dは、反応液Aに更にT.th.RecAとATPを添加したものである。各反応液の組成は以下の通りである。なお、DNAポリメラーゼはrTaq−HSポリメラーゼ(Takara−Bio社製)を用いた。
反応液A:
0.8μM(最終濃度) プライマーセット
25ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
以上を含むよう、1×rTaq buffer に混合して、全量25μlとした。
反応液B:
0.8μM(最終濃度) プライマーセット
25ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4μg T.th.RecA
以上を含むよう、1×rTaq bufferに混合して、全量25μlとした。
反応液C:
0.8μM(最終濃度) プライマーセット
25ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4μg T.th.RecA
以上を含むよう、1×Taq bufferに混合して、全量25μlとした。
反応液D:
0.8μM(最終濃度) プライマーセット
25ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4μg T.th.RecA
400μM ATP
以上を含むよう、1×rTaq buffer(Takara−Bio社製)に混合して、全量25μlとした。
上記反応液を94℃、30秒の熱変性の後、94℃、15秒、55℃、30秒、72℃、90秒を1サイクルとした35サイクルの増幅反応を行った後、72℃、3分、4℃、10分の1サイクル最終反応により増幅反応を終了した。増幅後の反応液10μlを、1.2%アガロースゲル上で電気泳動を行った。電気泳動後、ゲルをエチジウムブロマイド染色によりバンドを可視化し、泳動ゲルの写真撮影を行った。また、同様の実験を、プライマーセット2、3、4、5、6を用いて行った。
(結果)
結果を図1に示す。
レーン1〜6は、rTaq Buffer中でT.th.RecA並びにATPのいずれをも添加せず、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6により増幅反応を行なった結果を示す(反応液A)。
レーン7〜12は、rTaq Buffer中でATPを添加せずT.th.RecAのみを添加し、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6により増幅反応を行なった結果を示す(反応液B)。
レーン13〜18は、Taq Buffer中でT.th.RecAのみを添加し、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6により増幅反応を行なった結果を示す(反応液C)。
レーン19〜24は、rTaq Buffer中でT.th.RecAとATPとを添加し、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6により増幅反応を行なった結果を示す(反応液D)。
RecAの存在下でPCR反応液としてrTaq Bufferを使用して増幅した場合(レーン7〜12)およびRecAの存在下でPCR反応液としてTaq Bufferを使用して増幅した場合(レーン13〜18)を比較した。双方において非特異的な増幅が観察されたが、特にレーン7〜12の方が、PCR増幅の際の非特異的増幅が確認された。つまり、PCR反応液の組成によってRecAのパフォーマンスの低下が生じることあることが判明した。
また、ATPとT.th.RecAを添加して増幅した場合(レーン19〜24)、同一のPCR反応液中でT.th.RecAのみの存在下でPCR増幅を行なった場合(レーン7〜12)を比較した。その結果、ATPとT.th.RecAの存在によりPCR増幅に際して非特異的増幅を顕著に軽減できることが確認された。
以上の結果より、T.th.RecAはPCR反応液の組成により、そのパフォーマンスが低下することが判明した。そして、そのようなパフォーマンスの低下が、ATPに存在により顕著に軽減でき、非特異的な増幅を抑制して標的核酸のみを特異的に増幅できることが判明した。これは、ATPがT.th.RecAの反応液組成に対する耐性を向上させることができることによるものと考えられる。したがって、ATPはT.th.RecAの外的要因によるパフォーマンスの低下を抑制でき、その生物活性保持並びにその活性化に重要な役割を果たしているとの理論が導ける。
実施例2:PCR中におけるT.th.RecAのパフォーマンス低下の改善
ATPの存在により、PCR中におけるT.th.RecAのパフォーマンス低下を改善できることを増幅サイクルの経過観察を行うことにより確認した。
(方法)
ヒトゲノムDNAを鋳型として、プライマーセット7を用いてPCR増幅反応を行った。PCR反応液は以下に示す2種類を調製した。詳細には、反応液Eは、T.th.RecAのみを添加したものである。反応液Fは、T.th.RecAに加えてATPを添加したものである。各反応液の組成は以下の通りである。なお、DNAポリメラーゼはrTaq−HSポリメラーゼを用いた。
反応液E:
0.8μM(最終濃度) プライマーセット
25ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4μg T.th.RecA
以上を含むよう、1×Taq buffer(Takara−Bio社製)に混合して、全量25μlとした。
反応液F:
0.8μM(最終濃度) プライマーセット
25ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4μg T.th.RecA
400μM ATP
以上を含むよう、1×Taq buffer(Takara−Bio社製)に混合して、全量25μlとした。
上記反応液を94℃、30秒の熱変性の後、94℃、15秒、55℃、30秒、72℃、90秒を1サイクルとした28、32若しくは36サイクルの増幅反応を行った後、72℃、3分、4℃、10分の1サイクルの最終反応により増幅反応を終了した。増幅後の反応液10μlを、1.2%アガロースゲル上で電気泳動を行った。電気泳動後、ゲルをエチジウムブロマイド染色によりバンドを可視化し、泳動ゲルの写真撮影を行った。また、同様の実験を、プライマーセット8、9を用いて行った。
(結果)
上記の実験結果を図2に示す。
レーン1〜3は、ATPを添加せずT.th.RecAのみを添加して、夫々プライマーセット7、8、9を使用して28サイクルの増幅反応を行った結果を示す(反応液E)。
レーン4〜6は、T.th.RecAとATPとを添加して、夫々プライマーセット7、8、9を使用して28サイクルの増幅反応を行った結果を示す(反応液F)。
レーン7〜9は、ATPを添加せずT.th.RecAのみを添加して、夫々プライマーセット7、8、9を使用して32サイクルの増幅反応を行った結果を示す(反応液E)。
レーン10〜12は、T.th.RecAとATPとを添加して、夫々プライマーセット7、8、9を使用して32サイクルの増幅反応を行った結果を示す(反応液F)。
レーン13〜15は、ATPを添加せずT.th.RecAのみを添加して、夫々プライマーセット7、8、9を使用して36サイクルの増幅反応を行った結果を示す(反応液E)。
レーン16〜18は、T.th.RecAとATPとを添加して、夫々プライマーセット7、8、9を使用して36サイクルの増幅反応を行った結果を示す(反応液F)。
T.th.RecAのみを添加してPCR増幅を行なった場合、サイクル数が増す毎に非特異的な増幅産物が生じる事が確認された(レーン1〜3、レーン7〜9とレーン13〜15との比較)。
一方、ATPを添加することにより、そのような非特異的な増幅を抑制する事ができる事が確認された(レーン1〜3とレーン4〜6の比較、レーン7〜9とレーン10〜12の比較、レーン13〜15とレーン16〜18の比較)。そして、サイクル数が増しても非特異的な増幅を効果的に抑制できる事が確認された(レーン4〜6、レーン10〜12と、レーン16〜18との比較)。
以上の結果より、PCR中における熱変性等に起因してT.th.RecAのパフォーマンスがサイクル数の増加に伴って低下することが判明した。しかしながら、そのようなパフォーマンスの低下は、ATPの添加により効果的に抑制できる事が確認された。そして、ATPとT.th.RecAの存在下でPCR増幅を行なうことにより、非特異的増幅を抑制して標的核酸のみを特異的に増幅できることが確認された。これは、ATPがT.th.RecAの熱安定性の向上等、外的要因、特には熱に対する生物学的機能の安定性を向上させるものと考えられる。したがって、PCRサイクル中において、ATPはT.th.RecAを活性化し、その生物学的機能の維持に重要な役割を果たすことが、ここからも導ける。また、ATPとT.th.RecAの存在下でPCR増幅を行なうことにより、反応系に添加したdNTPの消費を低減でき、それによってもT.th.RecAのパフォーマンスの低下を抑制できることが判明した。
実施例3:ExTaq ポリメラーゼでの増幅に対する効果
T.th.RecAとATPにより、ExTaq ポリメラーゼでの増幅においても非特異的増幅を低減する効果を奏せれることを確認した。
(方法)
ヒトゲノムDNAを鋳型として、プライマーセット1を用いてPCR増幅反応を行った。PCR反応液は以下に示す2種類を調製した。詳細には、反応液Gは、T.th.RecA並びにATPいずれも添加しない一般的なPCR反応液組成である(コントロール)。反応液Hは、反応液Gに更にT.th.RecA並びにATPを添加したものである。各反応液の組成は以下の通りである。なお、DNAポリメラーゼはExTaq−HSポリメラーゼを用いた。
反応液G(コントロール):
0.8μM(最終濃度) プライマーセット
25ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
以上を含むよう、1×Taq buffer(Takara−Bio社製)に混合して、全量25μlとした。
反応液H:
0.8μM(最終濃度) プライマーセット
25ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4μg T.th.RecA
400μM ATP
以上を含むよう、1×Taq buffer(Takara−Bio社製)に混合して、全量25μlとした。
上記反応液を94℃、30秒の熱変性の後、94℃、15秒、55℃、30秒、72℃、90秒を1サイクルとした36サイクルの増幅反応を行った後、72℃、3分、4℃、10分の1サイクルの最終反応により増幅反応を終了した。増幅後の反応液10μlを、1.2%アガロースゲル上で電気泳動を行った。電気泳動後、ゲルをエチジウムブロマイド染色によりバンドを可視化し、泳動ゲルの写真撮影を行った。また、同様の実験を、プライマーセット2、3、4、5、6、8を用いて行った。
(結果)
上記の実験結果を図3に示す。
レーン1〜7は、T.th.RecAおよびATPのいずれをも添加せず、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6、8を使用して一般的なPCR反応液中で増幅反応を行った結果を示す(コントロール:反応液G)。
レーン8〜14は、T.th.RecAおよびATPを添加して、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6、8を使用して増幅反応を行った結果を示す(反応液H)。
ExTaq ポリメラーゼでの増幅においても、T.th.RecAにATPを加えると非特異的な増幅が抑制された(レーン1〜7とレーン8〜14の比較。)。
以上の結果から、DNAポリメラーゼの種類に依存せず、T.th.RecAとATPを添加することにより、DNAポリメラーゼの非特異的増幅を抑制でき標的核酸のみを特異的に増幅できることが判明した。
実施例4.種々のヌクレオチド5´三リン酸による効果確認
種々のヌクレオチド5´三リン酸によっても、ATPと同様にT.th.RecAの安定化を図れることを、種々のヌクレオチド5´三リン酸とT.th.RecAの存在下でPCR増幅を行うことにより確認した。
(方法)
ヒトゲノムDNAを鋳型として、プライマーセット1を用いてPCR増幅反応を行った。PCR反応液は以下に示す7種類を調製した。詳細には、反応液Iは、一般的なPCR反応溶液であり、T.th.RecAもヌクレオチド5´−三リン酸のいずれをも添加せず調製したものである(コントロール)。反応液Jは、反応液IにT.th.RecAを添加して調製したものである。そして反応液K、L、M、Nは夫々、反応液JにGTP、ATP、UTP、CTPを添加して調製したものである。また、反応液Oは、反応液IにATPのみを添加したものであり、T.th.RecAを添加せず調製されたものである。各反応液の組成は以下の通りである。なお、DNAポリメラーゼはrTaq−HSポリメラーゼを用いた。
反応液I(コントロール):
0.8μM(最終濃度) プライマーセット
25ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
以上を含むよう、rTaq bufferに混合して、全量25μlとした。
反応液J:
0.8μM(最終濃度) プライマーセット
25ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4μg T.th.RecA
以上を含むよう、1×rTaq buffer(Takara−Bio社製)に混合して、全量25μlとした。
反応液K:
0.8μM(最終濃度) プライマーセット
25ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4μg T.th.RecA
400μM GTP
以上を含むよう、1×rTaq buffer(Takara−Bio社製)に混合して、全量25μlとした。
反応液L:
0.8μM(最終濃度) プライマーセット
25ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4μg T.th.RecA
400μM ATP
以上を含むよう、1×rTaq buffer(Takara−Bio社製)に混合して、全量25μlとした。
反応液M:
0.8μM(最終濃度) プライマーセット
25ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4μg T.th.RecA
400μM UTP
以上を含むよう、1×rTaq buffer(Takara−Bio社製)に混合して、全量25μlとした。
反応液N:
0.8μM(最終濃度) プライマーセット
25ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4μg T.th.RecA
400μM CTP
以上を含むよう、1×rTaq buffer(Takara−Bio社製)に混合して、全量25μlとした。
反応液O:
0.8μM(最終濃度) プライマーセット
25ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
400μM ATP
以上を含むよう、1×rTaq buffer(Takara−Bio社製)に混合して、全量25μlとした。
上記反応液を94℃、30秒の熱変性の後、94℃、15秒、55℃、30秒、72℃、90秒を1サイクルとした36サイクルの増幅反応を行った後、72℃、3分、4℃、10分の1サイクルの最終反応により増幅反応を終了した。増幅後の反応液10μlを、1.2%アガロースゲル上で電気泳動を行った。電気泳動後、ゲルをエチジウムブロマイド染色によりバンドを可視化し、泳動ゲルの写真撮影を行った。また、同様の実験を、プライマーセット2、3、4、5、6、8を用いて行った。
(結果)
上記の実験結果を図4に示す。
レーン1〜7は、T.th.RecAおよびNTPのいずれをも添加せず、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6、8を使用して一般的なPCR反応液中で増幅反応を行った結果を示す(コントロール:反応液I)。
レーン8〜14は、いずれのNTPをも添加せずT.th.RecAのみを添加して、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6、8を使用して増幅反応を行った結果を示す(反応液J)。
レーン15〜21は、T.th.RecAとGTPを添加して、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6、8を使用して増幅反応を行った結果を示す(反応液K)。
レーン22〜28は、T.th.RecAとATPとを添加して、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6、8を使用して増幅反応を行った結果を示す(反応液L)。
レーン29〜35は、T.th.RecAとUTPとを添加して、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6、8を使用して増幅反応を行った結果を示す(反応液M)。
レーン36〜42は、T.th.RecAとCTPとを添加して、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6、8を使用して増幅反応を行った結果を示す(反応液N)。
レーン43〜49は、T.th.RecAを添加せずATPのみを添加して、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6、8を使用して増幅反応を行った結果を示す(反応液O)。
PCR系にT.th.RecAとATPを添加した場合、T.th.RecAのみを添加した場合に比べて非特異的な増幅が抑制できることが確認された(レーン15〜21およびレーン8〜14の比較)。この結果は、上記実施例1〜3の結果を追認するものであった。
また、同様の結果が、GTPとT.th.RecAを添加した場合(レーン15〜21およびレーン8〜14の比較)、UTPとT.th.RecAを添加した場合(レーン29〜35およびレーン8〜14の比較)、CTPとT.th.RecAを添加した場合(レーン36〜42およびレーン8〜14の比較)にも確認された。
なかでも、ATPとT.th.RecAの組合せが最も非特異的な増幅を抑制することが認められた。
しかしながら、ATP単独では、非特異的な増幅を抑制できなかった(レーン43〜49)。そして、ATP単独ではT.th.RecAとATPのいずれを添加しなかった場合と同程度の非特異的な増幅産物の産生が確認された(レーン43〜49とレーン1〜7の比較)。
以上の結果から、ATPのみならず、GTP、CTP、UTP等のヌクレオチド5´三リン酸とT.th.RecAの存在下で、PCR増幅反応を行うことで非特異的な増幅を抑制できることが判明した。その結果、標的核酸のみを特異的に増幅でき増幅効率が向上する。一方、そのような効果は、ヌクレオチド5´三リン酸単独では認められなかった。
してみると、ATPと同様、GTP、CTP、UTP等のヌクレオチド5´リン酸もT.th.RecAを活性化でき、その機能の安定化に重要な役割を果すことが判明した。これによりRecAの外的要因、特には熱に対する生物学的機能の安定性を向上させ、RecAの有する生物活性を活性化することができるものと考えられる。
実施例5:プライマー長による効果−1
使用するプライマーの塩基長による、T.th.RecAおよびATPの存在下でのPCR増幅に対する効果を検討した。
(方法)
ヒトゲノムDNAを鋳型として、種々の長さのプライマーセットを用いてPCR増幅反応を行った。ここで、使用したプライマーセットの長さは、プライマーセット10、11、12、13、14および15、夫々、20、25、30、35、40および45塩基長であった。また、PCR反応液は以下に示す2種類を調製した。詳細には、反応液Pは、T.th.RecAおよびATPを添加して調製したものであり、そして、反応液Qは、ATPを添加しないことを除いては反応液Pと同様に調製した。各反応液の組成は以下の通りである。なお、DNAポリメラーゼはExTaq−HSポリメラーゼ(Takara−Bio社製)を用いた。
反応液P:
0.6μM(最終濃度) プライマーセット
20ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4μg T.th.RecA
0.4mM(最終濃度) ATP
以上を含むよう、1×ExTaq bufferに混合して、全量25μlとした。
反応液Q:
0.6μM(最終濃度) プライマーセット
20ng 鋳型DNA
0.7unit DNAポリメラーゼ
0.4mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4μg T.th.RecA
以上を含むよう、1×ExTaq bufferに混合して、全量25μlとした。
上記反応液を94℃、30秒の熱変性の後、94℃、15秒、55℃、30秒、72℃、90秒を1サイクルとした35サイクルの増幅反応を行った後、72℃、3分、4℃、10分の1サイクル最終反応により増幅反応を終了した。増幅後の反応液10μlを、1.2%アガロースゲル上で電気泳動を行った。電気泳動後、ゲルをエチジウムブロマイド染色によりバンドを可視化し、泳動ゲルの写真撮影を行った。
(結果)
結果を図5に示す。
レーン1〜6は、T.th.RecA並びにATPを添加して、夫々プライマーセット10、11、12、13、14および15を用いて増幅反応を行なった結果を示す(反応液P)。
レーン7〜12は、ATPを添加せずT.th.RecAのみを添加し、夫々プライマーセット10、11、12、13、14および15を用いて増幅反応を行なった結果を示す(反応液Q)。
T.th.RecAとATPの双方の存在下でPCR増幅した場合、いずれのプライマーセットを使用した際にも非特異的増幅を顕著に軽減でき鋳型核酸が特異的に増幅されることが確認された(レーン1〜6)。ここで使用した種々のプライマーセットは夫々20〜45の異なる塩基長を有するものである。したがって、プライマーの長さに影響されずT.th.RecAとATPの存在により標的核酸の特異的な増幅が達成できることを確認した。一方、ATPを添加せずT.th.RecAのみの存在下で増幅した場合においては非特異的な増幅産物の産生が確認された(レーン7〜12)。
以上の結果は、T.th.RecAとATPにより非特異的な増幅産物の産生を抑制しPCR増幅効率が向上するとの上記実施例1〜4の結果に合致するものであった。そして、PCR反応における、T.th.RecAとATPによる標的核酸の増幅効率の向上効果は、プライマーセットの長さに影響されるものではない事が判明した。したがって、使用されるプライマーセットの長さに制限を受けず、いかなるPCR増幅反応においても本発明が利用可能であることが判明した。
実施例6:プライマー長による効果−2
実施例5に続き、使用するプライマーの塩基長による、T.th.RecAおよびATP存在でのPCR増幅に対する効果を検討した。
(方法)
ヒトゲノムDNAを鋳型として、種々の長さのプライマーセットを用いてPCR増幅反応を行った。ここで、使用したプライマーの長さは、プライマーセット16、17、18、19、20および21が、夫々、20、25、30、35、40、45塩基長であった。また、PCR反応液として、実施例5で使用したものと同じものを使用した。詳細には、反応液Pは、T.th.RecAとATPを添加して調製したものであり、そして、反応液Qは、ATPを添加しないことを除いては反応液Pと同様に調製した。なお、DNAポリメラーゼはExTaq−HSポリメラーゼ(Takara−Bio社製)を用いた。そして、PCR反応を実施例5と同じ条件下で行なった後、実施例5の手順に従って電気泳動並びに泳動ゲルの染色を行ない、写真撮影を行った。
(結果)
結果を図6に示す。
レーン1〜6は、T.th.RecA並びにATPを添加して、夫々プライマーセット16、17、18、19、20および21を用いて増幅反応を行なった結果を示す(反応液P)。
レーン7〜12は、T.th.RecAのみを添加し、夫々プライマーセット16、17、18、19、20および21を用いて増幅反応を行なった結果を示す(反応液Q)。
T.th.RecAとATPの双方の存在下で増幅した場合、いずれのプライマーセットを使用してもPCR増幅に際して非特異的増幅を顕著に軽減し、鋳型核酸の特異的な増幅が可能であることが確認された(レーン1〜6)。ここで使用した種々のプライマーは夫々20〜45の異なる塩基長を有するものである。つまり、プライマーの長さに影響されずRecAとATPによって特異的な増幅が達成できることが確認された。一方、ATPを添加せずRecAのみの存在下で増幅した場合においては非特異的増幅が確認された(レーン7〜12)。
以上の結果は、実施例5の結果と合致するものであり、PCR反応における、T.th.RecAとATPによる標的核酸の増幅効率の向上効果は、プライマーセットの長さに影響されるものではない事が追認された。
実施例7:T.th.DNAポリメラーゼとの組合せ効果
T.th.DNAポリメラーゼを用いたPCR増幅における、T.th.RecAおよびATPとの組合せに対する影響を検討した。
(方法)
ヒトゲノムDNAを鋳型として、プライマーセット1を用いてT.th.DNAポリメラーゼによるPCR増幅反応を行った。PCR反応液は以下に示す5種類を調製した。詳細には、反応液Rは、T.th.RecAとATPを添加して調製したものである。そして、反応液Sは、ATPを添加しないことを除いては反応液Rと同様に調製した。また、反応液Tは、T.th.RecAとATPを添加しないことを除いては反応液Rと同様に調製したものであり、一般的なPCR反応液組成を示す。そして、反応液Uは、T.th.RecAとATPを添加しない代わりにT.th.RecA storage bufferを添加したことを除いては反応液Rと同様に調製した。更に反応液VはT.th.RecAを添加しないことを除いては反応液Rと同様に調製した。各反応液の組成は以下の通りである。
反応液R:
0.6μM(最終濃度) プライマーセット
20ng 鋳型DNA
0.5unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4μg T.th.RecA
0.4mM(最終濃度) ATP
以上を含むよう、1×T.th.DNA Polymerase buffer(製造業者名)に混合して、全量25μlとした。
反応液S:
0.6μM(最終濃度) プライマーセット
20ng 鋳型DNA
0.5unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4μg T.th.RecA
以上を含むよう、1×T.th.DNA Polymerase buffer(製造業者名)に混合して、全量25μlとした。
反応液T:
0.6μM(最終濃度) プライマーセット
20ng 鋳型DNA
0.5unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
以上を含むよう、1×T.th.DNA Polymerase buffer(製造業者名)に混合して、全量25μlとした。
反応液U:
0.6μM(最終濃度) プライマーセット
20ng 鋳型DNA
0.5unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.1μl T.th.RecA storage buffer
以上を含むよう、1×T.th.DNA Polymerase buffer(製造業者名)に混合して、全量25μlとした。
ここで使用したT.th.RecA storage bufferの組成は以下の通りである。
1.5M KCl
50mM Tris−HCl(pH7.5)
1.0mM EDTA
0.5mM DTT
50%グリセロール
反応液V:
0.6μM(最終濃度) プライマーセット
20ng 鋳型DNA
0.5unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4mM(最終濃度) ATP
以上を含むよう、1×T.th.DNA Polymerase buffer(製造業者名)に混合して、全量25μlとした。
上記反応液を92℃、30秒の熱変性の後、94℃、15秒、55℃、30秒、68℃、90秒を1サイクルとした35サイクルの増幅反応を行った後、68℃、3分、4℃、10分の1サイクル最終反応により増幅反応を終了した。増幅後の反応液10μlを、1.2%アガロースゲル上で電気泳動を行った。電気泳動後、ゲルをエチジウムブロマイド染色によりバンドを可視化し、泳動ゲルの写真撮影を行った。プライマーセット2、3、4、5、6および8についても同様に増幅反応を行なった。
(結果)
結果を図7に示す。
いずれもT.th.DNAポリメラーゼによるPCR増幅を行なった結果を示す。
そして、レーン1〜7は、T.th.RecA並びにATPを添加して、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6および8を用いて増幅反応を行なった結果を示す(反応液R)。
レーン8〜14は、ATPを添加せずT.th.RecAのみを添加して、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6および8を用いて増幅反応を行なった結果を示す(反応液S)。
レーン15〜21は、T.th.RecA及びATPのいずれをも添加せず、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6および8を用いて増幅反応を行なった結果を示す(反応液T)。
レーン22〜28は、T.th.RecA及びATPのいずれをも添加せずにT.th.RecA storage bufferを添加して、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6および8を用いて増幅反応を行なった結果を示す(反応液U)。
レーン29〜35は、T.th.RecAを添加せずATPのみを添加して、夫々プライマーセット1、2、3、4、5、6および8を用いて増幅反応を行なった結果を示す(反応液V)。
T.th.RecAとATPの双方の存在下でT.th.DNAポリメラーゼによって増幅した場合、非特異的増幅を顕著に軽減して鋳型核酸が特異的に増幅されることが確認された(レーン1〜7)。一方、いずれをも添加しなかった場合(レーン8〜14)、T.th.RecAのみ(レーン15〜21)、また、ATPのみの場合(レーン22〜28、レーン29〜35)においては、非特異的な増幅産物の産生が確認された。
以上の結果は、上記実施例1〜6の結果と同様、T.th.DNAポリメラーゼによる増幅においてもT.th.RecAとATPによる増幅効率の向上効果が奏される事を追認した。更に、Taq DNAポリメラーゼを使用した実施例1〜6の結果と比較してみるに、T.th.DNAポリメラーゼ増幅において顕著にその効果が奏されることが判明した。したがって、本発明はPCR増幅において使用するDNAポリメラーゼの種類にその利用が制限されるものではない。また、なかでも、T.th.DNAポリメラーゼによるPCR増幅反応に好適に利用可能であることが判明した。
実施例8:T.th.DNAポリメラーゼとの組合せによる、マルチプレックスPCRの効果
T.th.DNAポリメラーゼを用いたPCR増幅におけるT.th.RecAおよびATPとの組合せに対する影響、並びに、マルチプレックスPCRにおける影響を検討した。
(方法)
ヒトゲノムDNAを鋳型として、T.th.DNAポリメラーゼを用いたPCR増幅反応を行った。ここで使用したプライマーセットは、プライマーセット22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、1および2であった。また、これらのプライマーセットをすべて1の反応系に添加して増幅するマルチプレックスPCRをも行なった。そして、反応液は以下に示す2種類を調製した。詳細には、反応液Wは、T.th.RecAとATPを添加したものである。そして、反応液Xは、T.th.RecAとATPを添加せずにT.th.RecA storage bufferを添加したことを除いては反応液Wと同様に調製した。
反応液W:
0.6μM(最終濃度) プライマーセット
20ng 鋳型DNA
0.5unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸、塩化若しくは硫酸マグネシウム
0.4μg T.th.RecA
0.4mM(最終濃度) ATP
以上を含むよう、1×T.th.DNA Polymerase buffer(製造業者名)に混合して、全量25μlとした。
反応液X:
0.6μM(最終濃度) プライマーセット
20ng 鋳型DNA
0.5unit DNAポリメラーゼ
0.2mM(最終濃度) dNTP混合物
1.5mM(最終濃度) 酢酸マグネシウム
0.1μl T.th.RecA storage buffer
以上を含むよう、1×T.th.DNA Polymerase Buffer(Applied Biosystems社製:製品番号N8080187)に混合して、全量25μlとした。ここで使用したT.th.RecA storage bufferは実施例7において使用したものと同じものであった。
上記反応液を92℃、30秒の熱変性の後、94℃、15秒、55℃、30秒、68℃、2分を1サイクルとした35サイクルの増幅反応を行った後、68℃、3分、4℃、10分の1サイクル最終反応により増幅反応を終了した。増幅後の反応液3μlを、12.5%アクリルアミドゲル上で電気泳動を行った。電気泳動後、ゲルをサイバーグリーン染色によりバンドを可視化し、泳動ゲルの写真撮影を行った。
(結果)
結果を図8に示す。
いずれもT.th.DNAポリメラーゼによるPCR増幅を行なった結果を示す。
レーン1〜14は、T.th.RecA並びにATPを添加して、夫々プライマーセット22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、1および2を用いて増幅反応を行なった結果を示す(反応液W)。
そして、レーン15は、T.th.RecA並びにATPの存在下で上記プライマーセット全部を添加して1の反応系で増幅反応を行なったマルチプレックスPCRの結果を示す(反応液W)。
レーン16〜29は、T.th.RecAstorage buffer存在下で夫々プライマーセット22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、1および2を用いて増幅反応を行なった結果を示す(反応液X)。
そして、レーン30は、T.th.RecA storage buffer存在下で上記プライマーセット全部を添加して1の反応系で増幅反応を行なったマルチプレックスPCRの結果を示す(反応液X)。
T.th.RecAとATPの双方の存在下でT.th.DNAポリメラーゼを用いて増幅した場合、非特異的増幅を顕著に軽減して鋳型核酸が特異的に増幅されることが確認された(レーン1〜14)。一方、T.th.RecAとATPの不在下においては、非特異的な増幅産物の産生が確認された(レーン16〜29)。
また、T.th.RecAとATPの双方の存在下でマルチプレックスPCRを行なった場合、夫々プライマーセットに対応する標的配列が特異的に増幅されていることが確認された(レーン15、対応する標的配列に関してはレーン1〜14)。一方、T.th.RecAとATPの不在下においては、非特異的な増幅産物の産生を抑制できず、マルチプレックスPCRの精度が低下することが確認された(レーン30)。
以上の結果は、上記実施例7の結果と同様、T.th.DNAポリメラーゼによる増幅においてもT.th.RecAとATPによる増幅効率の向上効果が奏されることを追認するものであった。更に、Taq DNAポリメラーゼを使用した実施例1〜6の結果と比較してみるに、T.th.DNAポリメラーゼ増幅の方が顕著にその効果が奏されることも追認された。更に、本実験の結果より、マルチプレックスPCRにおいても夫々のプライマーセットに対応する標的配列の特異的な増幅を可能とし、その信頼性を向上させることが判明した。これは、T.th.RecAとATPの存在によりプライマー同士のミスプライミングを抑制できると考えられる。このため、複数のプライマーセットを1の反応系で反応させるマルチプレックスPCRにおいてもミスプライミングを効果的に抑制し、標的配列の特異的な増幅を可能とすることができるものと考えられる。したがって、本発明はマルチプレックスPCRにも特に好適に適用できることが判明した。
医療分野、生物化学分野、環境分野、食品分野等において有用な核酸の増幅方法を提供する。
本発明の方法がPCR反応液組成によるT.th.RecAのパフォーマンス低下を改善することを確認した実施例1の結果を示す図 本発明の方法がPCR中におけるT.th.RecAのパフォーマンス低下を改善することを確認した実施例2の結果を示す図 本発明の方法によるExTaqポリメラーゼでの増幅に対する効果を検討した実施例3の結果を示す図 種々のヌクレオチド5´三リン酸とT.th.RecAのPCR増幅に与える効果を検討した実施例4の結果を示す図 プライマー長が与える効果を検討した実施例5の結果を示す図 プライマー長が与える効果を検討した実施例6の結果を示す図 T.th.DNAポリメラーゼとの組合せによる効果を検討した実施例7の結果を示す図 T.th.DNAポリメラーゼとの組合せによるマルチプレックスPCRの効果を検討した実施例8の結果を示す図

Claims (9)

  1. ポリメラーゼ連鎖反応を、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)由来のRecAタンパク質およびヌクレオチド5´−三リン酸の存在下で行なうことにより標的核酸を増幅する核酸増幅方法であって、前記ヌクレオチド5´−三リン酸が、アデノシン5´−三リン酸、ウリジン5´−三リン酸、グアノシン5´−三リン酸およびシチジン5´−三リン酸からなる群から選択されるものであり、ただし、デオキシヌクレオチド5´−三リン酸及びヌクレオチド5´−O−3−チオ三リン酸ではない、核酸増幅方法。
  2. 前記ヌクレオチド5´−三リン酸が、アデノシン5´−三リン酸である請求項に記載の核酸増幅方法。
  3. 前記ヌクレオチド5´−三リン酸が、ウリジン5´−三リン酸、グアノシン5´−三リン酸およびシチジン5´−三リン酸からなる群から選択されるものである請求項に記載の核酸増幅方法。
  4. 前記標的核酸が阻止的または抑制的2次構造の区域を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の核酸増幅方法。
  5. 前記ポリメラーゼ連鎖反応がマルチプレックス−ポリメラーゼ連鎖反応である請求項1〜4のいずれか一項に記載の核酸増幅方法。
  6. 耐熱性DNAポリメラーゼ、
    アデニン、チミン、グアニンおよびシトシンの夫々に対応する4種類のデオキシヌクレオチド5´−三リン酸、
    サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)由来のRecAタンパク質と、
    ヌクレオチド5´−三リン酸と、を含む核酸を増幅するための核酸増幅用キットであって、
    前記ヌクレオチド5´−三リン酸が、アデノシン5´−三リン酸、ウリジン5´−三リン酸、グアノシン5´−三リン酸およびシチジン5´−三リン酸からなる群から選択されるものであり、ただし、デオキシヌクレオチド5´−三リン酸及びヌクレオチド5´−O−3−チオ三リン酸ではない、核酸増幅用キット
  7. 前記ヌクレオチド5´−三リン酸が、アデノシン5´−三リン酸である請求項に記載の核酸増幅用キット。
  8. 前記ヌクレオチド5´−三リン酸が、ウリジン5´−三リン酸、グアノシン5´−三リン酸およびシチジン5´−三リン酸からなる群から選択されるものである請求項に記載の核酸増幅用キット。
  9. 前記核酸の増幅がマルチプレックス−ポリメラーゼ連鎖反応に基づく請求項6〜8のいずれか一項に記載の核酸増幅用キット。
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