JP4529416B2 - シリコン単結晶ウェーハの製造方法及びシリコン単結晶ウェーハ - Google Patents

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Description

本発明は、シリコン単結晶ウェーハの製造方法及びシリコン単結晶ウェーハに関し、特に、チョクラルスキー法によって育成されたシリコン単結晶から得られるゲッタリング能力に優れ、良質な無欠陥層を有し、且つ放熱効果とキャリア移動度の高いシリコン単結晶ウェーハを高生産性で製造する方法、およびこの方法で製造されたシリコン単結晶ウェーハに関する。
半導体集積回路等の半導体デバイスを作製するためのウェーハとしては、主にチョクラルスキー法(以下、CZ法という)によって育成されたシリコン単結晶から作製したウェーハが用いられている。このようなシリコン単結晶ウェーハに結晶欠陥が存在すると、半導体デバイス作製時にパターン不良などを引き起こしてしまう。特に、近年の高度に集積化されたデバイスにおけるパターン幅は、0.35μm以下といった非常に微細となっているため、このようなパターン形成時には、0.1μmサイズの結晶欠陥の存在でもパターン不良等の原因になり、デバイスの生産歩留あるいは品質特性を著しく低下させてしまう。従って、シリコン単結晶ウェーハに存在する結晶欠陥は極力減少させなければならない。
特に最近になって、CZ法により育成されたシリコン単結晶中には、グローンイン(Grown−in)欠陥と呼ばれる、結晶成長中に導入された結晶欠陥がさまざまな測定法で見いだされることが報告されている。例えば、これらの結晶欠陥は、商業レベルで生産されている一般的な成長速度(例えば、約1mm/min以上)で引き上げられた単結晶では、Secco液(KCrと弗酸と水の混合液)で表面を選択的にエッチング(Seccoエッチング)することによりピットとして検出が可能である(例えば特許文献1参照)。
このピットの主な発生原因は、単結晶製造中に凝集する原子空孔のクラスタあるいは石英ルツボから混入する酸素原子(格子間酸素)の凝集体である酸素析出物であると考えられている。これらの結晶欠陥はデバイスが形成されるウェーハの表層部(0〜5μm)に存在すると、デバイス特性を劣化させる有害な欠陥となるので、このような結晶欠陥を低減するための種々の方法が検討されている。
例えば、上記原子空孔のクラスタの密度を低減するためには、結晶成長速度を極端に低下(例えば、0.4mm/min以下)して結晶を育成させればよいことが知られている(例えば特許文献2)。ところが、この方法を用いると、過剰な格子間シリコンが集まって形成する転位ループと考えられる結晶欠陥が新たに発生し、この転位ループはデバイス特性を著しく劣化させるため、問題の解決とはならないことがわかってきた。しかも、結晶成長速度を従来の約1.0mm/min以上から、0.4mm/min以下に低下させるのであるから、著しい単結晶の生産性の低下、コストの上昇をもたらしてしまう。
なお、結晶欠陥を低減させたウェーハとして、通常のシリコンウェーハ上に新たにシリコン層をエピタキシャル成長させたエピタキシャルウェーハや、水素やアルゴン雰囲気中で高温にて熱処理を施したアニールウェーハ、そしてCZ単結晶の成長条件を改良して製造された、全面N領域(原子空孔クラスタも転位ループもない領域)ウェーハなども開発されている。
一方、デバイス作製工程中には、重金属等の不純物による汚染が起こりやすい工程が存在する。このような不純物もデバイス特性を劣化させるので、不純物による汚染を取り除くために、ゲッタリング能力の付加の要求がある。これに対しては熱処理を追加したり、窒素や炭素等の不純物をドープする事によりバルク中の酸素析出を促進しIG(Intrinsic Gettering)効果をもたせたウエーハも開発されている。
これらの中で、窒素ドープウエーハにアニールを加えたウエーハ(以下、窒素ドープアニールウエーハ)は、ウエーハ表層部はグローンイン欠陥が低減され、かつバルク中では、酸素析出物であり、ゲッタリングに寄与するBMD(Bulk Micro Defect)の密度も高いウエーハとして非常に有益である。これは、窒素ドープによるグローンイン欠陥凝集抑制効果と酸素析出促進効果を利用して開発されたウエーハで、通常の結晶よりも欠陥のサイズが小さくなるため、アニールによる表層欠陥の消滅効率が良く、バルク中のBMD密度も高い有効なゲッタリング能力のあるウエーハである。
ところが、これらの低欠陥と呼ばれるシリコンウエーハにも、例えばMO−601(三井金属鉱業社製)の様な高精度の欠陥評価装置を使用すると、低密度ながらも欠陥が存在することが判る。ここで、MO−601は50nm程度のサイズの極めて微細な欠陥も測定することができ、さらに欠陥を5μmまで深さ方向に評価可能な機能を有する高精度の欠陥評価装置である。
このような欠陥評価装置により、直径150mmのウェーハに対して、例えば深さ5μmまで、サイズが50nm以上の欠陥(LSTD、Laser Scattering Tomography Defect)の評価を行うと、通常のエピタキシャルウエーハおよび窒素ドープウエーハにエピタキシャル成長したウエーハには約40個/150mmウェーハ(0.23個/cm)程度、アニールウエーハには約3000個/150mmウェーハ(17個/cm)程度、全面N領域ウエーハおよび窒素ドープした全面N領域ウエーハには約70個/150mmウェーハ(0.40個/cm)程度の欠陥が存在する。これらの欠陥は極めて微細なサイズであるため現在の通常レベルのデバイス工程では問題とならない場合が多いが、現在の最先端デバイスあるいは将来のデバイスにとって必ず問題となってくると思われる。
ところで、格子間酸素について、このような酸素原子は通常単独では電気的に中性であるが、半導体デバイス製造工程等で350〜500℃程度の熱処理が施されると、複数個の酸素原子が集まって電子を放出して電気的に活性な酸素ドナーとなる。そのため、CZ法により作製されたウェーハにおいて、この酸素ドナーの形成によりウェーハの抵抗率がp型の場合は上昇し、n型の場合は低下してしまう問題がある。
このような酸素ドナーの抑制については、シリコンの安定した同位体である28Si、29Si、30Siの組成比を、天然のシリコンにおける組成比であるところの28Siが92.23%、29Siが4.67%、30Siが3.10%から変化させることで、酸素ドナーの発生及びシリコン同位体の固まりが核となって引き起こされると考えられる酸素析出物の発生を制御できる可能性が示されている(例えば特許文献3参照)。
また一方、近年では、シリコン集積回路素子における急速な高集積化、高速動作化及び高電力化に注目すると、素子自体の発熱が問題となっている。集積回路の発熱はキャリア移動度の低下による素子の低速化を招き、或いは誤動作や破壊の原因となるため、発熱に対する対策は重要課題となっており、その解決策が求められている。これは集積回路素子の場合だけでなく、シリコン基板を用いたパワーデバイスにおいても同様である。
上記発熱の問題を解決するため、同位体28Siの含有率を天然のシリコンより高い98%にすることによってシリコンの熱伝導率を向上させ、放熱性を高めるという技術が開示されている(例えば特許文献4参照)。このような同位体の一種の含有率を高めたSiは、ガス拡散法、遠心分離法、レーザー分離法等により生産することができるとされている(例えば特許文献5参照)。
特開平4−192345号公報 特開平2−267195号公報 特許2701809号公報 米国特許5144409号明細書 特開2001−199792号公報
本発明は、CZ法を用いて作製されるシリコン単結晶ウェーハにおける結晶欠陥(グローンイン欠陥)の成長を抑制し、欠陥密度が安定して低く、たとえサイズの小さい結晶欠陥が発生しても、ウェーハ表層部の欠陥を熱処理により確実に低減すると共に、ウェーハのバルク部では酸素の析出を促進することによって充分なIG効果を有し、しかも従来には存在しなかった結晶性が極めてよく且つ放熱効果と動作速度の高いシリコン単結晶ウェーハを、高生産性でかつ簡単に作製する製造方法を提供することを主たる目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、シリコン単結晶ウェーハの製造方法であって、少なくとも、同位体28Siの含有率が92.3%以上のシリコン多結晶原料を用いて、チョクラルスキー法により、炭素濃度が0.1〜5ppmaとなるようにシリコン単結晶棒を育成し、該育成されたシリコン単結晶棒をスライスしてウェーハに加工し、該加工したウェーハを、少なくとも半導体素子製造工程前に、900℃〜シリコンの融点の間の温度で熱処理することを特徴とするシリコン単結晶ウェーハの製造方法を提供する(請求項1)。
このように、同位体28Siの含有率が天然のシリコンを超えるシリコン多結晶を原料として、CZ法でシリコン単結晶を育成すれば、結晶性が極めて高いので結晶欠陥密度も安定して低く、熱伝導率やキャリア移動度も高く、酸素析出物の発生が抑制されたシリコン単結晶を育成することができる。そして、このシリコン単結晶をスライスして加工されたシリコン単結晶ウェーハに、900℃〜シリコンの融点以下、より好ましくは1100℃〜1250℃の温度範囲で、例えば大量処理が可能な抵抗加熱炉または短時間処理が可能な急速加熱炉により熱処理を施すことにより、ウェーハ表面近傍の表層部において炭素や酸素が外方拡散し、結晶欠陥のない良質の無欠陥層(以下、DZ層と呼ぶことがある。)が得られる。しかも、炭素を0.1〜5ppmaの濃度でドープして育成したものであるから、バルク部では熱処理によって酸素析出が十分に促進される。こうして、結晶欠陥密度が低いためデバイスの電気特性が良好であり、熱伝導率が高いため放熱効果が高く、且つキャリア移動度が高いためデバイスの動作速度が速く、また、放熱効果が高いため動作速度がほとんど低下しない、さらに十分なIG効果も有するシリコン単結晶ウェーハを製造することが可能となる。このとき炭素濃度が0.1ppma以上であるので、酸素析出の促進効果を十分なものできるし、5ppma以下であるので、シリコン単結晶の単結晶化の妨げにならない濃度である。
尚、単結晶の結晶性をより完全化し、デバイスの放熱効果や動作速度をより高くするためには、28Siの含有率を94%以上とすることがより好ましく、さらに98%以上とすることが一層好ましい。
この場合、前記育成するシリコン単結晶棒に窒素をドープし、窒素濃度が1×1013〜5×1015atoms/cmとなるようにシリコン単結晶を育成することが好ましい(請求項2)。
このように、CZ法によって育成するシリコン単結晶棒に窒素をドープすることによって、前記結晶成長中に導入されるグローンイン欠陥の成長を抑制し、サイズを小さくすることが出来る。また、グローンイン欠陥の成長が抑制されるため結晶成長速度を高速化することが出来るので、結晶の生産性を大幅に改善することが出来る。このとき単結晶棒にドープする窒素濃度が1×1013atoms/cm以上であるので、グローンイン欠陥の成長を効果的に抑制できるし、5×1015atoms/cm以下であるので、シリコン単結晶の単結晶化の妨げにならない。
そして、このような炭素のみならず窒素をドープしたシリコン単結晶から加工されたウェーハに熱処理を加えれば、ウェーハ表面層の炭素、酸素および窒素は外方拡散され、結晶欠陥を効率よく消滅させることが出来る。したがって、結晶欠陥がさらに少ないDZ層を有するシリコン単結晶ウェーハを得ることが出来る。一方、ウェーハのバルク部では窒素および炭素の存在により酸素析出が一層促進されるので、充分にIG効果を有するウェーハを製造することが出来る。
また、前記育成するシリコン単結晶の初期格子間酸素濃度が20ppma以下となるようにシリコン単結晶を育成することが好ましい(請求項3)。
このように、CZ法によって育成するシリコン単結晶の初期格子間酸素濃度が20ppma(JEIDA:日本電子工業振興協会規格)以下と少なくなるようにシリコン単結晶を育成すれば、結晶欠陥であるOSF(Oxidation induced Stacking Fault)核の発生を確実に制御できるし、結晶欠陥の成長を一層抑制することが可能となり、表面層での酸素析出物の形成をさらに抑制することも出来る。また、初期格子間酸素濃度を8ppma以上とすれば、ウェーハバルク部での酸素析出物を確実に有するものとでき、ゲッタリング効果を十分に発揮できるので好ましい。
また、前記熱処理を、酸素、水素、窒素、アルゴン又はこれらの混合ガスの雰囲気中で行うことが好ましい(請求項4)。
このように、ウェーハの熱処理を、酸素、水素、窒素、アルゴン又はこれらの混合ガスの雰囲気中で行うことで、ウェーハ表層部の酸素、窒素及び炭素を効果的に外方拡散させ、結晶欠陥を消滅させることができる。特に、水素、窒素、アルゴン又はこれらの混合ガスであれば、ウェーハ表面に表面酸化膜が形成されることがなく、この酸化膜を除去する工程も必要ないので好ましい。
この場合、前記熱処理を、抵抗加熱炉で少なくとも10分または急速加熱炉で少なくとも5秒行なうことが好ましい(請求項5)。
このように、熱処理を抵抗加熱炉で行なえば、多少熱処理時間が長くなるが、バッチ式なので一度に大量(例えば100枚単位)のウェーハを熱処理することが可能となる。そして、この熱処理を少なくとも10分行なえば、十分にウェーハ表層部の酸素、炭素、窒素を外方拡散できるので、確実に結晶欠陥を消滅させることができる。また、結晶欠陥を消滅させる効果と生産性との兼ね合いから熱処理は4時間を越えないことが好ましい。
一方、熱処理を急速加熱炉で行なえば、急速に昇降温をすることが出来るので、新たに昇降温中に酸素析出等に起因する結晶欠陥が生じるようなこともないし、熱処理に要する時間を大幅に短縮することができる。そして、この熱処理を少なくとも5秒行なうことで、十分にウェーハ表層部の酸素、炭素、窒素を外方拡散できるので、確実に結晶欠陥を消滅させることができるし、熱処理時間が60秒を超えないことによってきわめて短時間化することができる。このときの熱処理温度は、1100℃〜シリコンの融点以下の温度であれば特に好ましい。
また、本発明は、上記の製造方法により製造されたシリコン単結晶ウェーハを提供する(請求項6)。
このように、上記の製造方法で製造されたシリコン単結晶ウェーハは、表層部に結晶欠陥が極めて少ないのでデバイスの電気特性が良好であり、熱伝導率が高いため放熱効果が高く、且つキャリア移動度が高いためデバイスの動作速度が速く、また、放熱効果が高いため動作速度がほとんど低下しない、さらに十分なIG効果も有するシリコン単結晶ウェーハとなる。
尚、単結晶の結晶性をより完全化し、デバイスの放熱効果や動作速度をより高くするためには、28Siの含有率を94%以上とすることがより好ましく、さらに98%以上とすることが一層好ましい。
次に、本発明は、チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶から作製されたウェーハであって、少なくとも、同位体28Siの含有率が92.3%以上のものからなり、炭素濃度が0.1〜5ppmaであり、かつウェーハ表面から少なくとも深さ5μmまでの領域における50nm以上のサイズのLSTDの密度が0.03個/cm 以下であることを特徴とするシリコン単結晶ウェーハを提供する(請求項7)。
このように、同位体28Siの含有率が天然のシリコンを超えるものからなり、炭素濃度が0.1〜5ppmaであり、かつウェーハ表面から少なくとも深さ5μmまでの領域におけるサイズが50nm以上のLSTDが0.03個/cm以下であれば、十分なIG効果を有し、デバイスを形成するのに十分な深さまで結晶欠陥密度が極めて低いDZ層を有し、デバイスの電気特性が良好であり、熱伝導率が高いため放熱効果が高く、且つキャリア移動度が高いためデバイスの動作速度が速く、また、放熱効果が高いため動作速度がほとんど低下しないデバイスの作製に適するシリコン単結晶ウェーハとすることが可能となる。
この場合も、単結晶の結晶性をより完全化し、デバイスの放熱効果や動作速度をより高くするためには、28Siの含有率を94%以上とすることがより好ましく、さらに98%以上とすることが一層好ましい。
この場合、前記シリコン単結晶ウェーハ中の窒素濃度が1×1013〜5×1015atoms/cmのものであることが好ましい(請求項8)。
このように、窒素濃度が1×1013atoms/cm以上であるので、グローンイン欠陥の成長を充分に抑制され、サイズが小さいものとなり、しかも、高速で育成可能なシリコン単結晶から作製されたウェーハとすることができるので、生産性が高いものとなるし、5×1015atoms/cm以下であるので、単結晶化の妨げとならず、結晶性も良好で製造歩留まりも高い安価なシリコンウェーハとできる。
また、前記シリコン単結晶ウェーハ中の初期格子間酸素濃度が20ppma以下のものであることが好ましい(請求項9)。
このように、シリコン単結晶ウェーハ中の酸素濃度を20ppma以下となるものとすることで、OSFの核が確実に制御され、結晶欠陥の成長も一層抑制されたものとなり、表面層での酸素析出物の形成が抑制されたものとできる。また、好ましくは、初期格子間酸素濃度が8ppma以上であれば、ウェーハバルク部での酸素析出物が確実に十分なものとなるので好ましい。
また、前記シリコン単結晶ウェーハのバルク部において、BMDの密度が1.0×10 個/cm 以上のものであることが好ましい(請求項10)。
このように、シリコン単結晶ウェーハのバルク部において、BMDの密度が1.0×10 個/cm 以上のものであるので、高いIG効果を有する理想的なウェーハとすることができる。
また、前記シリコン単結晶ウェーハの直径が200mm以上のものであることが好ましい(請求項11)。
このように、シリコンウェーハの直径が200mm以上であれば、電気特性が良好で放熱効率が高く応答速度も速いデバイスを収率よく製造することが可能となり、特に近年需要が高まっている200mmや300mmの大口径シリコンウェーハとすることが好適である。
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者らは、シリコンウェーハに含まれるシリコン同位体28Siの含有率(天然のシリコンにおける含有率は、28Siが92.23%、29Siが4.67%、30Siが3.41%である。)に注目し、この含有率と格子間酸素およびウェーハバルク中の酸素析出物等の結晶欠陥(BMD)との関係が、DZ層を形成しIG効果を与えるためのDZ−IG処理を施したシリコン単結晶ウェーハの諸特性に影響を及ぼす可能性があることを発想し、鋭意研究した結果本発明に想到した。
そして、CZ法によってシリコン単結晶を育成する際に、天然のシリコンの割合を超えて同位体28Siを含有させる技術と、炭素をドープする技術と、シリコン単結晶ウェーハに熱処理を加えてウェーハ表面の結晶欠陥を消滅させる技術及びIG効果を持たせる技術とを組み合わせることによって、従来に無い、デバイスを形成するウェーハ表層部中の結晶欠陥がきわめて少なく、IG効果が高く、且つ放熱効果と動作速度の高いシリコン単結晶ウェーハを、高生産性で得ることが出来ることを見出し、諸条件を精査して本発明を完成させたものである。
前述のように、シリコン単結晶中に含まれる同位体28Siの含有率を、天然のシリコンにおける同位体28Siの含有率より高くすれば、シリコン単結晶の熱伝導度を高めることができるので、そのようなシリコン単結晶ウェーハを基板として用いた半導体デバイス集積回路やパワーデバイス内に発生した熱の放熱を促進することができる。そしてその結果、キャリア移動度の低下を防ぐことができる。
一方、前述した低欠陥ウエーハの中で、窒素ドープアニールウエーハに関しては、前述のグローンイン欠陥凝集抑制効果と酸素析出促進効果という有益性を有するとともに、エピウエーハや改良CZウエーハにはない欠陥を消去させるアニール工程が有るため、グローンイン欠陥をかなり低減することができる可能性がある。しかし、現状の窒素ドープアニールウエーハの場合、製造ロット毎の欠陥密度にバラツキが大きく、前記MO−601を用いた測定によれば、最も少ない場合でも約140個/150mmウェーハ(0.79個/cm)程度の欠陥が存在することがわかった。
このような欠陥密度のバラツキをさらに低減するために、高温長時間アニールでより多くの欠陥を消滅させて極低欠陥とすることも考えられるが、そのようなアニールはコスト高であり望ましくない。従って、結晶引き上げ条件で欠陥をコントロールすべきなのだが、前述の様に結晶成長条件に関する検討は十分に行われておらず、今までは適当な成長条件で引き上げてウエーハを作製後アニールし、それが必要なグローンイン欠陥(主に原子空孔からなるボイド欠陥)フリー領域を確保できているかどうか確認する、といったような場当たり的な開発が行われ、開発コストがかかったり、又、品質も安定していなかった。
さらに、結晶の口径により熱履歴も異なるためアニール条件が変更される場合があり、この際にはそれぞれ結晶をアニール条件に対して最適化する必要があるが、これについても十分な検討は行われていなかった。
このように、従来のシリコン単結晶ウェーハにおいては、DZ−IG処理を施してもDZ層内に欠陥が残留したり、ゲッタリング効果が不十分であったり、特性のバラツキや劣化があるという問題があった。
そこで本発明者らは、従来、DZ−IG処理されたシリコン単結晶ウェーハにおいて、同位体28Siの含有率が高く、且つ結晶欠陥の少ない、高品質のシリコン単結晶の成長条件等に関しては全く開示されておらず、同位体28Siの含有率に関しては全く配慮がなされていなかったことに着目した。
そして、本発明者らは、シリコン同位体28Siの含有率を高くすることでシリコン結晶が高純度化されて、異なるシリコン同位体29Siや30Siのシリコン格子が形成する歪み場が少なくなり、その歪み場が少なくなることで酸素原子が析出物となるための析出核も少なくなり酸素析出量に影響することが考えられ、ウェーハ表面のDZ層内に残留するような結晶欠陥に対しても有効に作用するのではないかと考えた。
また、このようにシリコン同位体28Siの含有率を高くすることでバルク部における酸素析出が減少してIG効果が得られなくなる可能性があるが、酸素析出促進効果のある炭素をドープすることによりこれを補うことを考えた。
前述したように、近年、シリコン集積回路素子における急速な高集積化、高速動作化及び高電力化による素子自体の発熱が問題となっており、集積回路の発熱はキャリア移動度の低下による素子の低速化を招き、或いは誤動作や破壊の原因となるため、発熱に対する対策は重要課題となっており、その解決策が求められていた。これは、DZ−IG処理を施したシリコン単結晶ウェーハにおいては無関係のように思われたが、デバイスの電気特性の性能、信頼性、歩留まりをより一層高いものとするのに、DZ−IG処理を施したシリコン単結晶ウェーハにも応用できるのではないかと思量し、本発明はこのような基本思想に基づき、諸条件を検討の結果、完成したものである。
本発明に従い、シリコン同位体28Siの含有率が天然のシリコンの割合を超えるシリコン単結晶ウェーハにIG熱処理を施すことによって、CZ法を用いて作製されるシリコン単結晶ウェーハにおける結晶欠陥(グローンイン欠陥)の成長を抑制し、欠陥密度が安定して低く、たとえサイズの小さい結晶欠陥が発生しても、ウェーハ表層部の欠陥を熱処理により確実に低減すると共に、ウェーハのバルク部では酸素の析出を促進することによって充分なIG効果を有し、しかも従来には存在しなかった結晶性が極めてよく且つ放熱効果と動作速度の高いシリコン単結晶ウェーハを、高生産性でかつ簡単に作製できる。
以下では、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明において、まずCZ法によってシリコン単結晶棒を育成する。CZ法は、水平回転する石英ルツボ中に収容されたシリコン多結晶原料の融液に種結晶を接触させ、種結晶を回転させながらゆっくりと引き上げて所望直径のシリコン単結晶棒を育成する方法である。このとき、本発明ではシリコン多結晶原料として同位体28Siの含有率が92.3%以上のものを使用する。このような多結晶原料は、従来のガス拡散法等で製造することができる。また、熱伝導率やキャリア移動度を十分高いものとするには94%以上が好ましく、98%以上であれば一層好ましい。成長させる単結晶の同位体含有率はほぼ原料多結晶の同位体含有率で決まるため、石英ルツボ及び種結晶は天然の同位体含有率のシリコンからなるものを用いることができるが、これら石英ルツボ及び種結晶も同位体28Siの含有率が92.3%以上のものを用いれば、成長させる単結晶の同位体28Siの含有率を確実に高いものとすることができる。
単結晶育成の際に、炭素をドープすることにより、同位体28Siの含有率が92.3%以上のものであっても、後工程である酸素析出熱処理を行ったときにシリコン単結晶中の酸素析出がより促進され、酸素析出物密度をより高くすることができる。炭素濃度については、0.1〜5ppmaの範囲でドープする。これは、酸素析出促進の効果を得るためには0.1ppma以上の濃度が必要とされ、5ppmaを超えると単結晶育成時に単結晶化の妨げになるからである。すなわち、炭素濃度が0.1〜5ppmaであれば、酸素析出効果が十分で、かつ結晶性の高い単結晶とすることができる。炭素をこのような所定の濃度でドープするには、通常のCZ単結晶を引き上げる際に、炭素棒をシリコン多結晶原料と同時に投入したり、シリコン融液に所定面積で所定時間接触させたり、結晶育成時の雰囲気ガスにCO等の炭素を含むガスを混合する等の方法を用いればよく、炭素の偏析係数を考慮して計算することにより、所望の濃度に制御することが可能である。また、このとき、シリコン単結晶を所望の抵抗率とするために、ボロンやリンなどの抵抗率調整用ドープ剤を合わせてドープすることができる。
このとき、育成するシリコン単結晶棒に1×1013〜5×1015atoms/cmの濃度の窒素をドープすることが好ましい。このように窒素をドープすることによって、結晶育成時に導入されるグローンイン欠陥の成長を抑制させることができるとともに、炭素と同様に酸素析出物密度をより高くすることができる。また、グローンイン欠陥の成長が抑制されるため結晶成長速度を高速化することができるため、単結晶の引上げ速度を従来のように例えば0.4mm/min以下といった低速化する必要がなく、結晶の生産性を大幅に改善することが出来る。
窒素をシリコン単結晶中にドープすると、シリコン中の酸素原子の凝集が助長され、酸素析出が促進され、酸素析出物密度が高くなる理由は、酸素原子の凝集過程が、均一核形成から不純物窒素を核とした不均一形成に移行するためであると考えられる。従って、ドープする窒素の濃度は、十分に不均一核形成を引き起こすために1×1013atoms/cm以上にするのが好ましい。
一方、窒素濃度が、シリコン単結晶中の固溶限界である5×1015atoms/cmを超えると、シリコン単結晶の単結晶化そのものが阻害されるので、この濃度を超えないようにするのが好ましい。さらに、ドープする窒素濃度を1×1013〜1×1014atoms/cmにするのがより好ましい。これは、窒素濃度が1×1013atoms/cm以上であれば、高温で安定な酸素析出核がas−grown状態で確実に形成されるため、また窒素濃度が1×1014atoms/cm以下であれば、これから作製したウェーハの表面にエピタキシャル層を成長させる場合に、エピタキシャル層に形成されるSF等の結晶欠陥が著しく抑制されるからである。
窒素をドープするには、石英ルツボの原料多結晶中に予め表面に窒化シリコン膜が形成されたシリコンウェーハ等の窒化物を投入しておくことにより容易に行うことができるが、シリコン融液中に窒化物を投入してもよいし、結晶育成時の雰囲気ガスを窒素を含む雰囲気等としてもよい。また、育成する結晶中にドープされる窒素の濃度は、原料多結晶やルツボに投入する窒化物の量または窒素ガス等の濃度や導入時間、及び窒素の偏析係数などから計算により求めることができる。
また、シリコン単結晶の初期格子間酸素濃度が20ppma以下となるようにシリコン単結晶を育成することが好ましい。このように、シリコン単結晶中の酸素濃度を20ppma以下となるようにすることで、OSFの核が確実に制御され、結晶欠陥の成長も一層抑制されたものとなり、表面層での酸素析出物の形成が抑制されたものとできる。また、好ましくは、初期格子間酸素濃度が8ppma以上であれば、ウェーハバルク部での酸素析出物が確実に生じるものとなり、十分なIG効果を得ることができるので好ましい。
格子間酸素濃度を上記の値にするためには、従来の方法を用いればよい。例えば、ルツボの回転数の減少、導入雰囲気ガス流量の増加、雰囲気圧力の低下、シリコン融液の温度分布及び対流を適宜に調整することで、ルツボから融け出す酸素の量を調整することができるので、所望の低い酸素濃度の結晶を得ることができる。
このとき育成するシリコン単結晶棒の直径を200mm以上にすることが好ましい。このようにすれば、所望の半導体デバイスを収率よく製造するのに適した直径200mm以上のシリコン単結晶ウェーハを製造することができ、特に近年需要が高まっている200mmや300mm、あるいはそれ以上の大口径シリコンウェーハを製造することができる。
こうして、同位体28Siの含有率が92.3%以上であり、所望の炭素、窒素、酸素濃度を有するシリコン単結晶棒を育成することができる。この単結晶棒を通常の方法に従い、内周刃スライサあるいはワイヤーソー等の切断装置でスライスした後、面取り、ラッピング、エッチング、研磨等の工程を経てシリコン単結晶ウェーハに加工する。もちろん、これらの工程は例示列挙したにとどまり、この他にも洗浄、熱処理等様々の工程があり得るし、工程の順序変更、一部工程の省略等は目的に応じて適宜行うことができる。こうして得られたシリコン単結晶ウェーハは同位体28Siの含有率が92.3%以上であり、熱伝導率が高く、放熱性の良いものとなるし、表面における酸素析出物の発生が抑制されるのでそれに起因する結晶性の劣化のない、良質なシリコン単結晶ウェーハとなる。
次に、このようにして得られたシリコン単結晶ウェーハに半導体素子を形成する前に、シリコン単結晶ウェーハに900℃〜シリコンの融点の間の温度、好ましくは、1100℃〜1250℃で熱処理を施す。このような温度範囲で熱処理することによって、シリコン単結晶ウェーハ表層部の炭素や窒素、酸素を外方拡散させることができるので、表面層における酸素析出物に起因する欠陥の発生を防ぎ、確実にDZ層を形成することができる。この熱処理は、900℃〜シリコンの融点の間の温度であれば、一段であってもよいし、異なる温度で複数段行なってもよい。特に本発明のシリコン単結晶ウェーハは、同位体28Siの含有率が92.3%以上であり、酸素が外方拡散した領域では特に酸素析出核の発生を抑制することができるため、その後、ウェーハ上にエピタキシャル層を形成する場合にも、エピタキシャル層の結晶性に悪影響が生じることを効果的に防ぐことができる。
そして、ウェーハのバルク部では、炭素が0.1ppma以上ドープされているため、例えば1000℃以上の高温でデバイスの形成を行っても、酸素析出核が消滅することなく、酸素析出熱処理後に酸素析出物(BMD)密度が1×10 個/cm 以上という高いIG効果を実現するのに十分な値となるシリコン単結晶ウェーハをより確実に作製することができる。尚、酸素析出物密度が高すぎるとウェーハの反りや変形、割れなどが発生する恐れがあるので、5×10個/cmを超えないことが好ましい。
なお、as−grown状態での酸素析出核を直接測定することはできないが、酸素析出熱処理を行った後の酸素析出密度を測定することにより、間接的に評価できる。
なお、熱処理に使用する装置としては、例えばRTA(Rapid Thermal Annealing)装置として知られるランプ加熱器等の加熱方式を用いた急速加熱・急速冷却装置を用いるようにすれば、高い生産性で処理できるし、急速に昇降温をすることができるので、新たに昇降温中に酸素析出等に起因する結晶欠陥が生じるようなこともない。このときの熱処理時間は、5秒以上であれば、十分にウェーハ表層部の酸素、炭素、窒素を外方拡散できるので、確実に結晶欠陥を消滅させることができるので好ましい。また、例えばヒータ加熱方式等の抵抗加熱炉で行なえば、多少熱処理時間が長くなるが、バッチ式なので一度に大量(例えば100枚単位)のウェーハを熱処理することが可能となる。このときの熱処理時間は10分以上であれば好ましい。
この熱処理の際の雰囲気は、酸素、水素、窒素、アルゴン又はこれらの混合ガス中で行なうことができる。雰囲気が酸素の場合は、熱処理条件次第ではウェーハ表面のOSF核を成長させることがあり、また表面に酸化膜が成膜されることになる。表面に酸化膜が形成されてしまうと、この酸化膜を除去する工程が必要となるため、水素、アルゴン等の膜形成のない雰囲気のほうがより好ましい。
図1は、本発明で用いられるシリコンウェーハの急速加熱・急速急冷装置の一例を示した概略図である。この熱処理装置10による熱処理は次のように行なわれる。
まず、加熱ヒータ2,2’によりベルジャ1内を、アルゴンガス等雰囲気下で900℃〜シリコンの融点の所望の温度で維持しながら、熱処理装置10に隣接して配置される、不図示のウェーハハンドリング装置によって処理するシリコンウェーハを水冷チャンバ4の挿入口から挿入し、最下端位置で待機させたステージ7上に例えばSiCボートを介してウェーハを載せる。このとき、水冷チャンバ4およびベースプレート5は水冷されているので、ウェーハはこの位置では高温化しない。
そして、ウェーハのステージ7上への載置が完了したら、すぐにモータ9によって支持軸6を炉内に挿入することによって、ステージ7を上記所望の温度の位置まで上昇させ、ステージ7上のシリコンウェーハに高温熱処理を加える。このとき、上昇には例えば20秒程度しかかからないので、シリコンウェーハは急速加熱されることになる。
そして、所望の温度位置で例えば5秒以上の所望の熱処理時間だけ停止させて熱処理を加えた後、すぐにモータ9により支持軸6を炉内から引き抜き、急速冷却する。最後に、ウェーハハンドリング装置によりウェーハを取り出し、熱処理を完了する。さらに熱処理するウェーハがある場合には、熱処理装置10の温度を降温させていないので、次々にウェーハを投入して連続的に熱処理を行なうことができる。
こうして熱処理したシリコン単結晶ウェーハは、表層部に結晶欠陥が極めて少なくデバイスの電気特性が良好であり、放熱効果が高く、且つデバイスの動作速度が速くその低下もほどんとないウェーハとできる。特に、その表面から少なくとも深さ5μmまでの領域における50nm以上のサイズのLSTDが0.05個/cm以下の極低欠陥のDZ層が得られる一方で、ウェーハバルク部では酸素析出熱処理後の酸素析出物密度が1×10 個/cm以上という高いIG効果を実現するのに十分な値となり、しかも放熱性が高く、キャリア移動度の高いシリコン単結晶ウェーハとなる。
以下に本発明の実施例及び比較例をあげてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1、比較例1)
実施例1として、直径450mmの石英ルツボに所定の濃度のボロンを添加した同位体28Siの含有率が98%以上のシリコン多結晶原料を投入し、同時に炭素棒とシリコン窒化膜付きのシリコンウェーハとを投入した。そしてCZ法により直径200mm、P型、方位<100>の結晶棒を、通常の引き上げ速度である1.0mm/minで引き上げた。また比較例1として、同位体28Siの含有率が通常(自然界に存在するのと同じ92.23%)のシリコン多結晶原料を使い、他の条件は実施例1と同じ結晶を引き上げた。実施例1、比較例1のいずれの結晶とも、引き上げ中のルツボの回転数を調整して、単結晶中の格子間酸素濃度が16ppma(JEIDA)となるようにした。なお、シリコンの同位体含有率を天然のものから変更するのはシリコン多結晶原料のみとし、ルツボ、種結晶等は同位体含有率を変更していない通常のものを用いた。
結晶棒の尾部の炭素及び窒素濃度をFT−IRにより測定したところ、それぞれ3ppma、1.0×1014atoms/cmであった(炭素、窒素の偏析係数は小さいので、結晶棒の直胴部の濃度はこの値以下となる)。また、酸素濃度をFT−IRにより測定したところ、実施例1、比較例1のどちらの結晶も16ppmaの酸素濃度となっていることを確認した。
この実施例1、比較例1の2本の単結晶棒から、ワイヤーソーを用いてウェーハを切り出し、面取り、ラッピング、エッチング、鏡面研磨加工を施してシリコン単結晶鏡面ウェーハをそれぞれ10枚作製した。このシリコン単結晶ウェーハの抵抗率を測定したところどちらも約10Ω・cmであった。
次に、上記のウェーハに、図1に示したような急速加熱・急速冷却装置(AST社製、SHS−2800)を用いて、1200℃で10秒間の急速加熱・急速冷却熱処理を施した。雰囲気ガスは100%アルゴンガス雰囲気とした。そして熱処理後のウェーハを、MO−601により、深さ5μmまでに存在する大きさ50nm以上のグローンイン欠陥(LSTD)の測定を行った。
その結果、実施例1で作製したウェーハではそれぞれ4〜8個/200mmウェーハ(約0.012〜0.024個/cm)であり、比較例1で作製したウェーハの12〜22個/200mmウェーハ(約0.038〜0.069個/cm)よりも極低欠陥のウエーハが得られた。
次に、上記のウェーハに、1000℃で10時間の熱処理を施し、ウェーハ表面の炭素、窒素あるいは酸素を外方拡散させるとともに、バルク中の酸素析出物を成長させた。なお、雰囲気ガスは100%アルゴンガス雰囲気とした。
上記熱処理後のウェーハを壁開し、MO−601により、その壁開面(ウェーハ断面)のウェーハのバルク部における酸素析出物の密度を測定した。その結果、実施例1により製造されたウェーハの酸素析出物密度は4〜8×10個/cm程度であり、比較例1により製造されたウェーハの密度6〜11×10個/cm程度より若干低目ではあったが、本発明の方法及びウェーハでも十分なIG効果を有するシリコン単結晶ウェーハを作製出来ることがわかった。すなわち、ウェーハ表層欠陥が非常に少ないとともに、バルク部のBMDが多いウェーハを作製することができた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、本発明においてチョクラルスキー法によって炭素をドープしたシリコン単結晶棒を育成するに際しては、融液に磁場が印加されているか否かは問われないものであり、本発明のチョクラルスキー法にはいわゆる磁場を印加するMCZ法も含まれる。
シリコンウェーハを急速加熱・急速冷却できる装置の一例を示した概略図である。
符号の説明
1…ベルジャ、 2,2’…加熱ヒータ、 3…ハウジング、4…水冷チャンバ、
5…ベースプレート、 6…支持軸、7…ステージ、 8…シリコンウェーハ、
9…モータ、 10…熱処理装置。

Claims (11)

  1. シリコン単結晶ウェーハの製造方法であって、少なくとも、同位体28Siの含有率が92.3%以上のシリコン多結晶原料を用いて、チョクラルスキー法により、炭素濃度が0.1〜5ppmaとなるようにシリコン単結晶棒を育成し、該育成されたシリコン単結晶棒をスライスしてウェーハに加工し、該加工したウェーハを、少なくとも半導体素子製造工程前に、900℃〜シリコンの融点の間の温度で熱処理することを特徴とするシリコン単結晶ウェーハの製造方法。
  2. 前記育成するシリコン単結晶棒に窒素をドープし、窒素濃度が1×1013〜5×1015atoms/cmとなるようにシリコン単結晶を育成することを特徴とする請求項1に記載されたシリコン単結晶ウェーハの製造方法。
  3. 前記育成するシリコン単結晶の初期格子間酸素濃度が20ppma以下となるようにシリコン単結晶を育成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載されたシリコン単結晶ウェーハの製造方法。
  4. 前記熱処理を、酸素、水素、窒素、アルゴン又はこれらの混合ガスの雰囲気中で行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載されたシリコン単結晶ウェーハの製造方法。
  5. 前記熱処理を、抵抗加熱炉で少なくとも10分または急速加熱炉で少なくとも5秒行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載されたシリコン単結晶ウェーハの製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載された製造方法により製造されたシリコン単結晶ウェーハ。
  7. チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶から作製されたウェーハであって、少なくとも、同位体28Siの含有率が92.3%以上のものからなり、炭素濃度が0.1〜5ppmaであり、かつウェーハ表面から少なくとも深さ5μmまでの領域における50nm以上のサイズのLSTDの密度が0.03個/cm 以下であることを特徴とするシリコン単結晶ウェーハ。
  8. 前記シリコン単結晶ウェーハ中の窒素濃度が1×1013〜5×1015atoms/cmのものであることを特徴とする請求項7に記載されたシリコン単結晶ウェーハ。
  9. 前記シリコン単結晶ウェーハ中の初期格子間酸素濃度が20ppma以下のものであることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載されたシリコン単結晶ウェーハ。
  10. 前記シリコン単結晶ウェーハのバルク部において、BMDの密度が1.0×10 個/cm 以上のものであることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載されたシリコン単結晶ウェーハ。
  11. 前記シリコン単結晶ウェーハの直径が200mm以上のものであることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載されたシリコン単結晶ウェーハ。
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