JP4528457B2 - 自動車用ブレーキ装置及びその制御方法 - Google Patents

自動車用ブレーキ装置及びその制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のブレーキ装置の制御装置及びその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
主に電気式ブレーキにおける制御機能の利用性およびエラー許容の最適化を図った車両用ブレーキ装置として、ブレーキの上位制御機能がエラー状態になった場合に少なくともブレーキの作動のみは保持可能な装置が特開平10−76925号公報に開示されている。この従来技術では故障したときにはブレーキ希望値を用いて直接ブレーキアクチュエータの制御が行われるため、エラー状態になった場合に少なくともブレーキの作動のみは保持できるというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術においては、エラー状態になった場合に全ての上位機能が停止されてしまうという点について配慮されていない。さらに、エラー状態の検出そのものが処理ユニット自身に委ねられているため、処理ユニット自身で検出できないエラー状態やエラー検出そのものも故障してしまった場合についての配慮が十分になされていない。後者の場合には、そのまま故障した処理ユニットが動作し続けてしまうことを防止することが望ましい場合もある。
【0004】
そこで本発明の目的は、エラー状態の処理ユニットのみを動作停止して停止される機能を最低限に抑えられ、また通信経路及びエラー検出そのものも多重化できる自動車用ブレーキ装置及びその制御方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴は次の構成を有することである。
ドライバーの操作または制御装置の減速要求から電気的な制動力要求信号を発生する制御装置と、前記電気的な制動力要求信号に基づいて各車輪に制動力を発生する各アクチュエータを駆動して制動力を発生するためのブレーキ機構を備えた自動車用ブレーキ装置において、前記制御装置は、第1の階層と第2の階層と第3の階層でそれぞれ演算処理を行い、前記第1の階層の処理結果は、前記第2の階層に送られ、前記第2の階層の処理結果は前記第3の階層に送られることにより処理が成され、前記第3の階層の演算処理の結果に基づいて前記アクチュエータが制御され、さらに前記第2の階層の処理結果は前記第1の階層に送られ、第1の階層は送られてきた前記第2の階層の処理結果に基づき、前記第2の演算処理の診断を行い、前記第2の演算処理に異常が生じたと判定した場合には、前記第1の階層は第1の階層の処理結果を前記第3の階層に送り、前記第3の階層は前記第1の階層の処理結果に基づいて処理を行い、前記第1の階層は車両の制動力を演算し、前記第2の階層は車両の制動力における摩擦制動力を演算し、前記第3の階層は各車輪に対応した制動力を演算することを特徴とする自動車用ブレーキ装置。
【0007】
本発明のさらに他の特徴は、上記自動車用ブレーキ装置の構成において、さらに次の構成を有することである。
前記電気的な制動力要求信号は送信元の直下の演算処理のフェール信号と共に送出され、直下の演算処理が故障したことを検出した場合には前記フェール信号を送出することで前記故障した演算処理の下位の演算処理において前記制動力要求信号をより上位の階層の演算処理からの処理結果へ切り替えて動作することを特徴とする自動車用ブレーキ装置。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1は本発明に係るブレーキ装置の実施の形態の一例を示す構成図である。本ブレーキ装置は階層状の制御ユニット構造を特徴としており、ドライバーのペダル操作または制御装置の減速要求から電気的な制動力要求信号を発生し、階層状の制御ユニット構造によって制動力要求信号を調節して、前記制動力要求信号に基づきアクチュエータを制御して制動力を発生するブレーキ装置である。
【0013】
ここで図は階層状のコントローラ構成と処理の流れの一例を模式的に示した図であり、この例ではブレーキブースタもしくはブースタと並列に設けられた昇圧ポンプを用いて発生したブレーキ液圧を、前記コントローラの制動力要求信号によるバルブ開閉により各輪個別に調節する液圧式摩擦ブレーキが組み合わされている。
【0014】
さらに補助的なブレーキ要素として発電機などによる回生制動装置も含んでいる。
【0015】
図中110はペダルユニットであり、120は制動力要求ユニット、130は制動力分配ユニット、140は各輪制動力分配ユニット、150は各輪制動力制御ユニット、160はアクチュエータ制御ユニット、170a〜170dはブレーキ機構である。
【0016】
先に述べたように本実施の形態ではブレーキ液圧をバルブで制御する方式のブレーキ装置について示しており、ブレーキペダル110はブレーキブースタ161に取り付けられてブレーキ液圧を発生するが、ブレーキペダルは必要に応じてブレーキ機構側と切り離される構成となっており、ペダルの踏力情報が運転者の制動力要求として制御ユニットへと入力される。この場合はペダルの動きとは関係なく、電気的な制動力要求信号によって電気的な制御可能なブースタ161もしくは別置された昇圧ポンプ162の発生するブレーキ液圧によりブレーキ機構を駆動する。すなわち図中の線111がブレーキペダル110とブースタ161の機械的接続による力の伝達を、線164がブレーキ液配管による力の伝達を示す。
【0017】
本ブレーキ装置では制御機能単位である制御ユニットを階層構造として構成し、各ユニット間におけるデータのやり取りは制動力という物理量を用いて一般化し、ユニット間の通信データの統一化を図ることで、ユニットの構成や種類が変わっても同様に通信を可能とする。
【0018】
制動力の制御を制御機能毎に整理して考えた場合、制動力は運転者の車体減速度要求を基に各機能の処理を経て各輪のブレーキ作動量へと細分化されていくと考えられることから、階層構造をとることでユニット間の通信による制動力要求の流れは各階層間を一列に流れるように構成することができて合理的である。
【0019】
またユニット間は統一された単位の制動力要求で繋がり制御ユニット毎に機能が完全に分離されていることから、一部機能の変更や削除、動作停止が全体に影響を及ぼさないという利点がある。
【0020】
本ブレーキ装置のコントローラは制動力要求の流れに従って制動力要求を各輪ごとの制動力に分解し、最終的にはブレーキ機構でのブレーキパッド押し付け力といった具体的な制御指令値へと細分化され、本実施例の場合には各輪のブレーキ液圧という形で実現されてブレーキ機構を動作させる。
【0021】
図では、入出力間の処理の流れを先に述べた6つの機能に分けて制御ユニットとして点線で図示しているが、各ユニットは車両に必要とされるブレーキ機能に応じて省略されることもある。またハードウエア構成上は、各制御ユニットを個別のマイクロコンピュータを用いて実現することを想定しているが、複数のユニットの機能をまとめて一つのマイクロコンピュータ上に構成する場合も考えられる。
【0022】
通常状態において各ユニットは上位ユニットからの制動力要求値と車両状態を検出する各種のセンサ情報を基にして制動力指令値を下位ユニットに出力する。
ペダルユニット110、制動力要求ユニット120、制動力分配ユニット130は制動力指令値として車体減速度を取り扱い、各輪制動力分配ユニット140、各輪制動力制御ユニット150は制動力指令値として車輪それぞれの別個の制動トルクを取り扱う。アクチュエータ制御ユニット160においては上記車輪制動トルクに応じてアクチュエータを駆動する。ここで制動力とは車体そのもの、もしくはタイヤの位置において車体に対して加わる減速方向の力、もしくはタイヤ軸を減速させるトルクなどの具体的な物理量である。
【0023】
ペダルユニット110はブレーキペダルによる運転者の制動要求の入力を行ない、ペダルの踏力またはペダルの変位といった運転者の要求を表す量を計測し、予め記憶された所望のペダル特性を介して制動力指令値を出力する。これには、例えばペダルの踏み方による可変アシスト(BA機能)なども含まれる。
【0024】
制動力要求ユニット120はペダルユニットからの制動力に加え、レーダーなど車間距離計測手段による車間距離入力125に基づき車両速度を自動調節するACC(Adaptive Cruise Control)の自動ブレーキによる制動力算出121を処理し、必要な車体減速度としての制動力指令値123を出力する。
【0025】
制動力分配ユニット130は制動力要求ユニット120からの制動力指令値を、主に電気式の回生ブレーキ171と通常の摩擦ブレーキ170a〜dへの制動力分配処理131を行い、回生制動力136を算出するとともに、摩擦ブレーキへの制動力要求値139を下位ユニットに対して出力する。
【0026】
電気式、すなわち発電機の発電トルクを利用して車体減速度を得る方式を用いる場合は、現在のバッテリーの充電容量などを考慮した回生制動力の算出を行う必要があり、高度な制動力分配処理が必要である。ここで算出された制動力指令値134,136の値は、実際に指令を行った制動力の実現値として結果が線135をたどって上位階層に戻される。
【0027】
上位の制動力要求ユニット120では戻された制動力実現値135と自ユニットの制動力指令値123を故障判定122により比較し、値が大きく食い違うなど下位ユニットの処理結果に何らかの矛盾が検出され、制動力分配ユニット130に故障が発生したと推測される場合には通常124の処理の流れに対して線125のように制動力指令値を渡すことで、故障した制動力分配ユニット130を飛ばして次の処理を行うことが可能となる。すなわち、ある階層のユニットの故障を上位階層のユニットによって検出し、処理の流れを変えることが出来るということである。例えば各制御ユニットはマイクロコンピュータの二重化などにより故障検出を行うようになっていたとしても、そこで故障検出が出来なかった場合にも、上位階層のユニットにより指令値との照合による故障検出が行われ、より安全性を向上できるのである。
【0028】
故障の場合の信号波形例を図3に示すが、ここでは回生制動力301、摩擦ブレーキの制動力302、上位ユニットからの制動力指令値303である。回生制動力301が故障により得られなくなった場合、その合計となる制動力実現値は上位ユニットからの制動力指令値に満たなくなり、制動力分配機能に故障が発生したことが検知される。そこで制動力配分ユニットを飛ばしてしまうことで、下位階層には処理前の指令値が入力され、摩擦ブレーキのみによる制動が行なわれるのである。ここでは制動力分配ユニット130が故障した場合の処理の流れの例について説明したが、他の階層のユニットについても同様にして故障検出の多重化が実現できる。
【0029】
各輪制動力分配ユニット140は車両安定性を維持しながら要求された制動力を実現できるよう各輪に配分する。または車両が不安定な状態に陥りそうなときに、車両運動が発散するのを抑制する方向に必要に応じて運転者の要求とは無関係に各輪制動力を生成する。フィードフォワード的に前者を実現するのがEBD(Electric Brake Distribution)であり、車両の運動をヨーレートセンサ143、加速度センサ144、操舵角センサ145などの各種センサで監視して安定状態に保つVDC(Vehicle Dynamics Control)はこれら両方を含む機能である。さらにTCS(Traction Control System)において駆動輪の空転を抑制する目的で制動力の生成を行なう場合もある。これらをまとめて車両安定化制動力配分141を、上位制御ユニットからの摩擦制動力の合計値である制動力要求値139をもとに処理を行なう。
【0030】
この配分結果146の値は各輪ごとの制動力指令値であり、これ以降の下位側で扱う値は各輪ごとの値となる。これ以前は合計値である車体減速度を指令値として扱っていたため、上位階層へのフィードバック値147は合計値算出133を行なってから故障判定132の比較が行なわれる必要がある。
【0031】
故障判定132では制動力実現値の合計138を用いて故障判定を行い、各輪制動力分配ユニット140が故障と判定された場合は線137に従い故障ユニットを飛ばして次の処理を行なうことが出来るのは先に説明した通りである。
【0032】
故障の場合の信号波形例を図4に示すが、ここでは右前輪の制動力401、左前輪の制動力402、車輪1輪当たりの制動力要求値403であり、車両安定化のために各輪制動力分配ユニット140の働きにより制動力が左右分配され反時計回りのヨーを発生している例である。ここで各輪制動力分配ユニットの故障により右前輪の制動力が得られなくなったとき、上位ユニットにより故障が検知され、処理の流れを変更して当該故障ユニットを飛ばすことによって制動力の左右分配は行なわれないものの制動力は確保されることになる。
【0033】
各輪制動力制御ユニット150は各輪に指令通りの制動力を与えた場合のタイヤのスリップを各輪個別に制御する。車輪速センサ153の値と推定車体速度の比較により車輪のロックを検出し、もし、車輪のロックにより指令値通りの制動力が実現できなかった場合は該当車輪の制動力が抑制され、制動力がタイヤ力の限界を超えないようロック回避各輪制動力制御151を行なう。すなわちABS(Anti-lock Brake System)機能を実現する。
【0034】
故障の場合の信号波形例を図5に示すが、ここでは例として取り出した車輪1輪の制動力501と、その車輪の制動力指令値502である。
【0035】
車輪のロック回避のために制動力501はタイヤ力限界に応じて制御されているが、各輪制動力制御ユニットの故障により制動力が得られなくなったものとする。そのとき上位ユニットにより故障が検知され、処理の流れを変更し各輪制動力制御ユニットを飛ばすことによって、制動力そのものは確保されるようになる。
【0036】
アクチュエータ制御ユニット160は、本実施例では液圧式のブレーキ装置を例として説明しているため、ここまで取り扱ってきた電気的な制動力要求値をブレーキ液圧という現実の力として実現する部分である。
【0037】
ここでは液圧発生源として電気制御式のブースタ161もしくは昇圧ポンプ162が用いられ、上位ユニットの制動力指令値154の実現に必要なブレーキ液圧を発生する。
【0038】
電気制御式のブースタ161とは通常ペダルの踏力の強さに応じて開閉している空気弁を電磁力により開閉し、エンジン吸気系の負圧を導入することによってブレーキ液圧を発生するブースタである。
【0039】
一方昇圧ポンプ162はポンプの駆動力により液圧を発生するものであり、これらのどちらかを用いてブレーキ液圧を発生すれば良い。発生したブレーキ液圧は線164で示す配管により液圧が伝達されるが、この各々の経路上に設けたアクチュエータ制御ユニット163a〜163dは制動力指令値に基づいて液圧を通過・遮断する弁機構となっており、ブレーキ装置170a〜dのアクチュエータを駆動する液圧を個別に調整することで各輪制動力指令値に応じた制動力を得る。
【0040】
ここでブレーキ機構のアクチュエータは油圧によりディスクブレーキないしドラムブレーキにおける摩擦部材の締付けストロークを与えるものである。
【0041】
ブレーキ機構に電気式のアクチュエータを用いた場合においては先に説明したブースタや昇圧ポンプなどの液圧発生源は不要となり、アクチュエータ制御ユニット163a〜163dは制動力指令値に基づいてアクチュエータ供給電流を制御する駆動ユニットであれば良く、構成が簡単になるためより有利である。
【0042】
以上説明したように階層構成の処理ユニット間において、本ブレーキ装置の各制御ユニットは制動力要求信号の流れ125,137,148のごとく直下以外の複数の下位ユニットに対して伝達する構成としている。
【0043】
ここで、本ブレーキ装置の各制御ユニットの制動力演算処理において故障判定による処理の流れの制御のために、当該制御ユニットが検出した自己もしくは隣接ユニットにおけるエラーを表すフェール信号を導入し、制動力指令値と組にして伝達する。このフェール信号により下位ユニットはどの制動力指令値を選択するのか、すなわち正常処理であるのか異常処理であるのかを区別する。
【0044】
本ブレーキ装置における各信号の役割を説明する図を図2に示す。図では説明のために、複数の制御ユニットのうちの途中の3個を取り出した図となっている。
【0045】
通常動作時は上位から伝達された制動力指令値210は第一の制御ユニット201により処理されて制動力指令値211が出力され、これが順次第二の制御ユニット202により処理されて制動力指令値212が出力、第三の制御ユニット203により処理されて制動力指令値213が出力というように流れていき、その結果として得られた実現制動力が216,217,218と、指令値とは逆に伝達する。
【0046】
さらにここでは各ユニットでの故障判定結果の伝達手段として、各制動力指令値と共にフェール信号220が出力される。ここで、第二の制御ユニット202が故障した場合を考えると、制動力指令値211と共にフェール信号220を出力することにより、第三の制御ユニット203ではユニット内の切替器214を動作させて処理の流れを変更し、故障した第二の制御ユニット202を切り離すことができる。これが第1の実施の形態において説明した処理を飛ばすということを実現する具体例の一つである。
【0047】
またエラーを検出した第一の制御ユニット201においても単なる故障判定だけでなく、通常状態の制御プログラム223から第二の制御ユニット202の故障を補償可能な制御プログラム224に切り替えるという処理を行うことも可能である。
【0048】
さらに別の信号にもフェール信号を付加することにより別の故障検出方法を利用することも出来る。故障検出の方法として一般的なのは各制御ユニット内でエラー状態を自己検出する場合である。これは例えば制御ユニット内のマイクロコンピュータが二重化されていてその計算結果比較により検出する方法や、ウォッチドッグタイマーを設けて制御ユニット内のマイクロコンピュータが動作不能状態に陥ったことを検出する方法などが考えられる。
【0049】
ここでは制御ユニット202の自己診断により検出されたエラー状態はフェール信号221により第三の制御ユニット203に伝達され、ユニット内の切替器214を動作させて故障した第二の制御ユニット202を切り離すこともできる。
【0050】
さらに同様にして第二の制御ユニット202により検出したエラー状態を、フェール信号222により第一の制御ユニット201に伝達され、フェール信号220によりユニット内の切替器214を動作させて故障した第二の制御ユニット202を切り離すこともできるというふうに、同じエラーを複数の経路によって伝達可能である。すなわち、制御ユニット間でやり取りする制動力指令値にフェール信号を付加することで、階層間における処理の流れが制御可能となる。
【0051】
以上の処理をまとめ一つの制御ユニット内で行なわれる処理を流れ図で表したものを図6に示す。701で上位要素の故障を示すフェール信号を受け取った場合には、702により制動力指令値の入力を切替えて故障したユニットを切り離す。また705により受け取った下位要素の制動力実現値を基に706により故障診断をおこない、下位要素が故障していれば708においてフェールフラグを立てて故障の状態に応じた補償処理710,711…に切替える。最後に712において計算した制動力指令値、実現値及び検出した故障を示すフェール信号を出力して次回の処理タイミングまで待機する。
【0052】
このように、各々の制御ユニットがそれぞれ隣接ユニットの故障に対応して入力切替や診断を行なうことでフェールセーフ機能が分散化される。
【0053】
以上説明したように本実施の形態によれば、制御ユニットのエラー時には該当の制御機能のみを抑止して正常機能のみで動作することができると共に、制動力指令値の通信経路と制御ユニットのエラー検出の冗長性を確保したブレーキ装置を提供することができる。
【0054】
以上の説明では階層状の制御ユニット間で信号線が各ユニットに対し直接配線されている構成について述べたが、各制御ユニット101〜106間の通信手段として直列バス系統を用いても実現できる。制御ユニット間を繋ぐバスとしては例えばCAN(Control Area Network)などが用いられる。
【0055】
直列バスにおいては各データはIDを付加されて全制御ユニットに伝達され、制御ユニットで受信するデータはそれぞれのユニットが取捨選択して受信する。
すなわち先に説明したユニット間信号の接続形態がソフトウェアにより定義可能となる。
【0056】
直列バスにおいては各データは通常複数の値を組にして固有のIDを付加されたメッセージという単位で取り扱われる。そこで本形態においては指令値そのものとフェール信号を組にし、それをメッセージ単位として通信を行うものとする。
【0057】
指令値データはそれぞれメッセージIDが付加されているため、どの制御ユニットから送信された指令値かが区別できる。
【0058】
データ本体部分は各輪の制動力指令値と共にフェール信号を付加して送信される。
【0059】
一つの制御ユニットから出力された制動力指令値データは、受信側のソフトウェア設定により次の階層およびその下という複数の制御ユニットで受信されるように設定される。すなわち、直列バスによるデータ送受信を行うことで特別な別個の配線を行うことなく、先に説明した実施形態と同じようにエラー検出の冗長性を確保したブレーキ装置を提供することができる。
【0060】
なお、これまで説明したブレーキ装置の例では、各制御ユニットはそれぞれ個別のハードウェアを用いた構成の例を述べたが、各制御ユニットごとの機能がプログラムのモジュールとして実装され、制動力指令値、実現値、モジュール演算のフェール信号といったパラメータをモジュール間でやり取りすることにより、ソフトウェア上でも同様の構成とすることができる。その場合においては複数の制御ユニットに対応する機能がプログラムモジュールとしてコントローラの中に集約され、アクチュエータ及びセンサ類と接続される。
【0061】
システム全体のハードウェア構成例を図7に示すが、ここではペダルユニット110、コントローラ800、アクチュエータ駆動回路163a〜dの順番で制動力が処理され、ブレーキ機構170a〜dを駆動する。
【0062】
ペダルユニット110により運転者の制動要求を入力し、踏力を基にした車体減速度としての制動力指令値を出力する。制動力要求ユニットのACC機能ではレーダユニット125による車間距離情報や操作スイッチ822の入力による制動力も算出する。制動力分配ユニットでは制動力要求を摩擦ブレーキと回生ブレーキ171,172に分配し、摩擦ブレーキ分の合計を制動力要求値として出力する。各輪制動力分配ユニットのVDC機能ではヨーレートセンサ143や車輪速センサ832に基づき車両が安定化するよう制動力を各輪に配分する。各輪制動力ユニットのABS機能では車輪速センサ832の情報を基に前記の各輪制動力要求値を制御して車輪のロックを抑制する。最終的な出力となる各輪制動力要求値はアクチュエータ駆動回路163a〜dにそれぞれ受信されてブレーキ装置170a〜dのアクチュエータを駆動する。
【0063】
アクチュエータを駆動した結果得られた各輪制動力実現値はアクチュエータ駆動回路163a〜dからバス810を通してコントローラ800に戻され、またコントローラ800の制御出力値は同様にペダルユニット110に戻されてそれぞれハンドシェークを行ないその値の妥当性を各々で判定する。
【0064】
さらに図7の例ではアクチュエータ駆動回路830a,bと830c,dを二系統として電源系統及び通信系統を独立させ、ブレーキ機構831a〜dを左前・右後系統と右前・左後系統に分けた、従来の油圧ブレーキでのX配管に対応する構成としてもよい。故障時の安全策としてこのような並列構成をとるが、さらに並列化を進めてコントローラ800、バス系統810まで全て別構成として並列化しても良い。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、制御ユニットのエラー時には該当の制御機能のみを抑止して正常機能の制御ユニットのみを用いて動作することができると共に、制動力指令値の通信経路と制御ユニットのエラー検出の冗長性を確保したブレーキ装置を提供することができるという効果がある。また本発明によれば、上位の制御ユニットによって下位制御ユニットのエラー状態を検出した場合において、通常状態の制御プログラムから下位制御ユニットの故障を補償可能な制御プログラムに切り替える処理を行うことができ、制御ユニットが故障状態に陥ったときの不都合を最小限に抑えることが可能となるという効果がある。さらに本発明によれば、直列バスによるデータ送受信を行うことで特別な別個の配線を行うことなくエラー検出の冗長性を確保したブレーキ装置を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示す構成図である。
【図2】 本発明のブレーキ装置における各信号の役割を説明する図である。
【図3】 本発明の制動力分配ユニットの故障時の状況を示す図である。
【図4】 本発明の各輪制動力分配ユニットの故障時の状況を示す図である。
【図5】 本発明の各輪制動力制御ユニットの故障時の状況を示す図である。
【図6】 本発明の制御ユニット内の処理の流れの例を示す図である。
【図7】 本発明のブレーキ装置のハードウェア構成例を示す図である。
【符号の説明】
110…ペダルユニット、120…制動力要求ユニット、130…制動力分配ユニット、140…各輪制動力分配ユニット、150…各輪制動力制御ユニット、160…アクチュエータ制御ユニット、170…ブレーキ機構。

Claims (2)

  1. ドライバーの操作または制御装置の減速要求から電気的な制動力要求信号を発生する制御装置と、前記電気的な制動力要求信号に基づいて各車輪に制動力を発生する各アクチュエータを駆動して制動力を発生するためのブレーキ機構を備えた自動車用ブレーキ装置において、
    前記制御装置は、第1の階層と第2の階層と第3の階層でそれぞれ演算処理を行い、
    前記第1の階層の処理結果は、前記第2の階層に送られ、前記第2の階層の処理結果は前記第3の階層に送られることにより処理が成され、前記第3の階層の演算処理の結果に基づいて前記アクチュエータが制御され、
    さらに前記第2の階層の処理結果は前記第1の階層に送られ、第1の階層は送られてきた前記第2の階層の処理結果に基づき、前記第2の演算処理の診断を行い、
    前記第2の演算処理に異常が生じたと判定した場合には、前記第1の階層は第1の階層の処理結果を前記第3の階層に送り、前記第3の階層は前記第1の階層の処理結果に基づいて処理を行い、
    前記第1の階層は車両の制動力を演算し、前記第2の階層は車両の制動力における摩擦制動力を演算し、前記第3の階層は各車輪に対応した制動力を演算することを特徴とする自動車用ブレーキ装置。
  2. 請求項1に記載の自動車用ブレーキ装置において、
    前記電気的な制動力要求信号は送信元の直下の階層のフェール信号と共に送出され、直下の階層の演算処理が異常であることを検出した場合には前記フェール信号を送出することで前記故障した階層の下位の階層において前記制動力要求信号をより上位の演算処理からの処理結果へ切り替えて動作することを特徴とする自動車用ブレーキ装置。
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