JP4526622B2 - 農園芸用種子消毒剤および種子の消毒方法 - Google Patents
農園芸用種子消毒剤および種子の消毒方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農園芸用種子消毒剤に関し、さらに詳しくはアミノ酸金属錯化合物を含有してなる農園芸用種子消毒剤に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
水稲の病害には、糸状菌に起因する糸状菌性病害と、細菌に起因する細菌性病害とがあり、従来より、イネ馬鹿苗病、いもち病、ごま葉枯病などの糸状菌性病害に対しては、ベノミル、ペフラゾエートなどの有効な薬剤(種子消毒剤)が開発されている。
【0003】
また上記のような種子消毒剤以外に、水稲の細菌性病害に対する種子消毒剤および育苗箱施用消毒剤(なお、本明細書において、消毒剤について「施用」とは、灌注、土壌混和、散布などを含む広範な使用態様を示す。)としては、無機系銅化合物を有効成分とする無機系銅消毒剤、有機系銅化合物を有効成分とする有機系銅消毒剤、TMTD剤、オキソリニック酸剤およびカスガマイシン剤が広く用いられている。しかしながら、これらの種子消毒剤には、イネ苗立枯細菌病などの細菌性病害の防除に対しては必ずしも十分でないか、ヒトや魚類、作物に対する安全性の点で不十分であるか、あるいは継続使用すると薬剤耐性菌が発生してしまい十分な防除効果を発揮できないなどの問題点がある。
【0004】
このため、イネを代表とする種々の植物の細菌性病害に卓効を示し、かつ安全性が高く、安価な種子消毒剤の開発が望まれていた。
このような問題点を解決すべく本発明者らが鋭意研究したところ、特定のアミノ酸金属錯化合物は、種子消毒剤などとして用いると、イネをはじめとする種々の植物の細菌性病害に優れた防除効果を発揮でき、作物や人畜に対する安全性も高いことなどを見出して本発明を完成するに至った。
【0005】
詳説すれば、本発明者らは、特定のアミノ酸金属錯化合物は、生育した農園芸作物の茎葉に散布処理した場合には、作物に強く薬害を与える恐れがあり、またこのアミノ酸金属錯化合物は、稲苗立枯細菌病などの細菌性病害に対してシャーレ試験では抗菌活性を示さないが、細菌性病原菌が感染したイネの種子などに対しては種子消毒剤等として極めて有用であり、このように種子消毒した後に生育したイネ等に対しては薬害が生じず、しかも人畜に対して安全性が高く、また、既存の種子消毒剤に比べて少量使用するだけで優れた薬効を発揮することなどを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
なお、アミノ酸の金属錯化合物は、公知化合物であるが、このアミノ酸金属錯化合物のうちでも、メチオニン、スレオニン、バリン、フェニルアラニン、イソロイシン、プロリン、グリシン、トリプトファン、アスパラギンおよびグルタミンの銅錯化合物、あるいはメチオニンのニッケル錯化合物は、カンキツ潰瘍病、カンキツ黒点病、イネいもち病およびイネ紋枯病に対して防除効果を示す殺菌剤(特公昭48−34205号公報)として公知である。また、メチオニンの銅錯化合物は、これらの病害の他にイネのいもち病、トマト疫病およびカンキツ潰瘍病に対する殺菌あるいは病疫抵抗性賦与剤として公知であり(特開昭47−49548号公報)、またブドウ栽培におけるべと病の防除剤として(WO95/13700)、および作物の成長促進剤として(DE2217896)も公知であり、その他、ブタの寄生虫に対して駆虫活性を示すこと(日本獣医学雑誌 24,309,1962)も知られている。
【0007】
また、グリシンの銅錯化合物などは、除草剤として公知(特開昭58−162508号公報)である。その他、種々のアミノ酸の銅錯化合物が抗カビおよび抗菌活性を有することが既に知られている[インディアン・ジャーナル・オブ・フィジカル・アンド・ナチュラル・サイエンス(Indian J.Phys. Nat.Sci.,3,51,1983),ジャーナル・オブ・リサーチ・パキスタン(J.Res.Pak.,5,7,1993)]。
【0008】
しかしながら、アミノ酸金属錯化合物が、イネ種子等の種子消毒剤などとして実用上十分な活性を有することなどはこれまで知られていない。
【0009】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、イネ種子をはじめとする種々の植物の種子に対して優れた消毒活性を有すると共に、作物や人畜に対する安全性が高く、イネ種子などに適用できる農園芸用種子消毒剤を提供することを目的としている。
【0010】
また、本発明は、作物や人畜に対して安全で、しかも効率的な種子の消毒方法を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係る農園芸用種子消毒剤は、
下記式[I]で表されるアミノ酸金属錯化合物あるいはその塩(これらをまとめて「アミノ酸金属錯化合物類」とも言う。)を有効成分として含有することを特徴としている。
【0012】
【化2】
【0013】
[式[I]中、R1、R2はそれぞれアミノ酸の側鎖を示し、これらは互いに同一でも異なっていてもよく、Mは、銅、亜鉛、マンガン、鉄およびマグネシウムのうちの何れかを示す。]
本発明においては、上記式[I]中、R1、R2が同一であって、これらが中性アミノ酸側鎖、塩基性アミノ酸側鎖、酸性アミノ酸側鎖の何れかであってもよい。本発明においては、上記式[I]中、R1が塩基性アミノ酸側鎖であり、R2が酸性アミノ酸側鎖であってもよい。
【0014】
本発明に係る農園芸用種子消毒剤は、
(i)塩基性、中性または酸性アミノ酸あるいはその塩と、
(ii)金属あるいは無機金属化合物と、
を有効成分として含有していることを特徴としている。
本発明に係る種子の消毒方法は、金属あるいは無機金属化合物を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤と、水と、塩基性、中性または酸性アミノ酸あるいはその塩とを同時に、あるいは任意の順序で配合してなる種子消毒剤、好ましくは上記農園芸用殺菌剤に水と、上記アミノ酸あるいはその塩とを配合してなる種子消毒液を用いて種子を消毒することを特徴としている。
【0015】
本発明においては、上記何れの場合も、無機金属化合物が、金属亜酸化物、金属水酸化物、金属塩のうちの何れか1種以上であることが望ましい。
本発明においては、上記何れの場合も、金属あるいは無機金属化合物が、銅あるいは無機系銅化合物、例えば、亜酸化銅、硫酸銅、塩化銅、水酸化銅、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅であることが好ましい。
【0016】
このような本発明に係る農園芸用種子消毒剤は、イネ種子をはじめとする種々の植物の種子に対して優れた種子消毒活性を有すると共に、作物や人畜に対する安全性も高い。
このような本発明に係る種子の消毒方法によれば、作物や人畜に対して安全で、しかも効率よく種子の消毒を行うことができる。
【0017】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る農園芸用種子消毒剤について具体的に説明する。
<アミノ酸金属錯化合物類>
本発明に係る農園芸用種子消毒剤には、殺菌性有効成分である次式[I]で表されるアミノ酸金属錯化合物あるいはその塩(アミノ酸金属錯化合物類)が含まれている。
【0018】
【化3】
【0019】
[式[I]中、R1 、R2はそれぞれアミノ酸の側鎖を示し、これらは互いに同一でも異なっていてもよく、Mは、銅、亜鉛、マンガン、鉄およびマグネシウムのうちの何れかを示す。]
上記アミノ酸側鎖R1、R2としては、水素原子あるいは、炭素数が1〜10、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基;水素原子の一部が水酸基にて置換された上記アルキル基(水酸基含有アルキル基);上記アルキル基中の隣接するH−C間あるいはC−C間にS原子が介在した硫黄含有アルキル基;上記アルキル基中の水素原子の一部がカルボキシル基にて置換されたカルボキシル基含有アルキル基;同じくアミノ基にて置換されたアミノ基含有アルキル基;アミド基含有アルキル基;上記アルキル基中の水素原子の一部が芳香環にて置換された芳香環含有アルキル基;複素環含有アルキル基(あるいはアルキレン基)が挙げられる。但し、各種置換基含有アルキル基、アルキレン基におけるアルキル基等の炭素数は、何れも上記アルキル基の場合と同様である(以下同様)。
【0020】
上記アミノ酸側鎖R1、R2が水素原子、あるいはアルキル基の例としては、グリシン由来の水素原子、アラニン由来のCH3−、バリン由来の(CH3)2CH−、ロイシン由来の(CH3)2CHCH2−、イソロイシン由来のC2H5CH(CH3)−等が挙げられ、これらのうちでは、上記アミノ酸側鎖R1、R2が水素原子、あるいは炭素数3以下さらには2以下のアルキル基であると、水溶性に優れ、種子消毒効果に優れるアミノ酸金属錯化合物類となるため好ましい。
【0021】
水酸基含有アルキル基としては、例えば、セリン由来のHOCH2−、トレオニン由来のCH3CH(OH)-等が挙げられる。
上記硫黄含有アルキル基としては、例えば、システィン由来のHSCH2−、シスチン由来のHOOC(NH2)CHCH2SSCH2−、メチオニン由来のCH3S(CH2)2−等が挙げられる。
【0022】
カルボキシル基含有アルキル基としては、酸性アミノ酸のアスパラギン酸由来のHOOCCH2−、酸性アミノ酸のグルタミン酸由来のHOOC(CH2)2−等が挙げられる。
アミノ基含有アルキル基(アミド基を有するものを除き、水酸基とアミノ基の両者を有するもの、アミノ基とS原子を有するもの、およびグアニジル基を有するものを含む。)としては、塩基性アミノ酸のリジン(Lysine)由来のH2N(CH2)4−、塩基性アミノ酸のアルギニン由来のH2NC(=NH)NH(CH2)3−、オルニチン由来のH2N(CH2)3−、ヒドロキシリジン由来のH2NCH2CH(OH)(CH2)2−、チアリジン由来のH2N(CH2)SCH2−、ジアミノブチル酸由来のH2N(CH2)2−、ジアミノプロピオン酸由来のH2NCH2−等が挙げられる。
【0023】
アミド基含有アルキル基としては、グルタミン由来のH2NCO(CH2)2−、アスパラギン由来のH2NCOCH2−等が挙げられる。
芳香環含有アルキル基としては、フェニルアラニン由来のPh-CH2−(但し、Ph:フェニル基)、チロシン由来のHO−Phe−CH2−(但し、Phe:フェニレン基)等が挙げられる。
【0024】
複素環含有アルキル基(あるいはアルキレン基)としては、塩基性アミノ酸のヒスチジン由来のImi−CH2−(但し、Imi:イミダゾール環)、トリプトファン由来のIndo−CH2−(但し、Indo:インドール環)、プロリン由来の−(CH2)3−、オキシプロリン由来の−CH2CH(OH)CH2−等が挙げられる。
【0025】
上述したようなR1、R2のうちでは、水溶性に優れ、種子消毒効果に優れたアミノ酸金属錯化合物が得られる点で、R1、R2が、水素原子、炭素数3以下、さらには2以下のアルキル基;水酸基含有アルキル基;カルボキシル基含有アルキル基;アミノ基含有アルキル基(アミド基を有するものを除き、水酸基とアミノ基の両者を有するもの、アミノ基とS原子を有するもの、およびグアニジル基を有するものを含む。);アミド基含有アルキル基;芳香環含有アルキル基のうちのチロシン由来のHO-Ph−CH2−(但し、Ph:フェニレン基);複素環含有アルキル基(あるいはアルキレン基)のうちのヒスチジン由来のImi−CH2−(但し、Imi:イミダゾール環)、プロリン由来の−(CH2)3−、ヒドロキシプロリン由来の−CH2CH(OH)CH2−が好ましい。
【0026】
これらのうちでも、アミノ酸側鎖R1、R2としては、特に、グリシン由来の水素原子、アラニン由来のCH3−、セリン由来のHOCH2−、リジン(Lysine)由来のH2N(CH2)4−、アルギニン由来のH2NC(=NH)NH(CH2)3−、オルニチン由来のH2N(CH2)3−、ヒドロキシリジン由来のH2NCH2CH(OH)CH2CH2−、チアリジン由来のH2N(CH2)SCH2−、ジアミノブチル酸由来のH2N(CH2)2−、ジアミノプロピオン酸由来のH2NCH2−、ヒドロキシプロリン由来の−CH2CH(OH)CH2−が好ましい。
【0027】
このようなアミノ酸金属錯化合物[I]としては、具体的には、例えば、表1にまとめて示すように、上記式[I]中、R1、R2が共にアスパラギン側鎖(H2NCO−CH2−)であり、Mが銅であるビス−L-アスパラギン銅錯化合物(化合物No.1)、
R1、R2が共にアラニン側鎖(CH3−)であり、Mが銅であるビス−L-アラニン銅錯化合物(化合物No.2)あるいはビス−β-アラニン銅錯体(化合物No.3)、
R1、R2がイソロイシン側鎖(C2H5CH(CH3)−)であり、Mが銅であるビス−L-イソロイシン銅錯化合物(化合物No.5)、
R1、R2がグリシン側鎖(H)であり、Mが銅であるビス−グリシン銅錯化合物(化合物No.7)、
R1、R2が共にグルタミン側鎖(H2N(CO)−(CH2)2−)であり、Mが銅であるビス−L-グルタミン銅錯化合物(化合物No.8)、
R1、R2が共にセリン側鎖(HOCH2−)であり、Mが銅であるビス−L-セリン銅錯化合物(化合物No.11)、
R1、R2が共にトリプトファン側鎖[Indo−CH2−(但し、Indo:インドール環)]であり、Mが銅であるビス−L-トリプトファン銅錯化合物(化合物No.12)、
R1、R2が共にトレオニン側鎖[CH3CH(OH)-]であり、Mが銅であるビス−L-トレオニン銅錯化合物(化合物No.14)、
R1、R2が共にバリン側鎖[(CH3)2CH−]であり、Mが銅であるビス−L-バリン銅錯化合物(化合物No.15)、
R1、R2が共にヒドロキシプロリン側鎖[−CH2CH(OH)CH2−]であり、Mが銅であるビス−L-ヒドロキシプロリン銅錯化合物(化合物No.17)、
R1、R2が共にプロリン側鎖[−(CH2)3−]であり、Mが銅であるビス−L-プロリン銅錯化合物(化合物No.19)、
R1、R2が共にフェニルアラニン側鎖[Ph-CH2−(但し、Ph:フェニル基)]であり、Mが銅であるビス−L-フェニルアラニン銅錯化合物(化合物No.20)、
R1、R2が共にリジン側鎖[H2N(CH2)4−]であり、Mが銅であるビス−L-リジン銅錯化合物(化合物No.21)、
R1、R2が共にロイシン側鎖[(CH3)2CHCH2−]であり、Mが銅であるビス−L-ロイシン銅錯化合物(化合物No.30)等が挙げられる。
【0028】
また、このようなアミノ酸金属錯化合物[I]の塩(アミノ酸塩の金属錯化合物)としては、塩基性アミノ酸金属錯化合物の場合は、無機酸塩、有機酸塩、脂肪酸塩およびアニオン性界面活性剤塩が用いられる。
上記無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸等が挙げられる。有機酸としては、酢酸、安息香酸、ソルビン酸、グリコール酸、乳酸、酒石酸、蓚酸等が挙げられる。脂肪酸としては、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸エステル、ラウリルエーテル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
【0029】
また酸性アミノ酸金属錯化合物の場合は、上記酸性アミノ酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。
その他、金属錯化合物のアミノ酸側鎖の一方が、塩基性アミノ酸側鎖であり、他方が酸性アミノ酸側鎖からなる、塩基性アミノ酸と酸性アミノ酸との塩の金属錯化合物等が挙げられる。
【0030】
このようなアミノ酸金属錯化合物[I]の塩としては、具体的には、例えば、上記式[I]中、R1、R2が共にアルギニン側鎖[H2NC(=NH)NH(CH2)3−]であり、Mが銅であるビス−L-アルギニン銅錯化合物の塩酸塩(ビス−L−アルギニン・1塩酸塩銅錯化合物:化合物No.4)、
R1、R2が共にオルニチン側鎖[H2N(CH2)3−]であり、Mが銅であるビス−L-オルニチン銅錯化合物の塩酸塩(ビス−L−オルニチン・1塩酸塩銅錯化合物:化合物No.6)、
R1、R2が共にL−2,4−ジアミノブチル酸側鎖[H2N−(CH2)2−]であり、Mが銅であるビス−L-2,4−ジアミノブチル酸(DABA)銅錯化合物の塩酸塩(ビス−L−2,4−ジアミノブチル酸(DABA)・1塩酸塩銅錯化合物:化合物No.9)、
R1、R2が共にDL−2,3−ジアミノプロピオン酸(DAPA)側鎖[H2N−CH2−]であり、Mが銅であるビス−DL-2,3−ジアミノプロピオン酸(DAPA)銅錯化合物の塩酸塩(ビス−DL−2,3−ジアミノプロピオン酸(DAPA)・1塩酸塩銅錯化合物:化合物No.10)、
R1、R2が共にL−4−チアリジン側鎖[H2N(CH2)2SCH2−]であり、Mが銅であるビス−L-4−チアリジン銅錯化合物の塩酸塩(ビス−L−4−チアリジン・1塩酸塩銅錯体:化合物No.13)、
R1、R2が共にヒスチジン側鎖[Imi−CH2−(但し、Imi:イミダゾール環)]であり、Mが銅であるビス−L-ヒスチジン銅錯化合物の塩酸塩(ビス−L−ヒスチジン・1塩酸塩銅錯体:化合物No.16)、
R1、R2が共にヒドロキシリジン側鎖[H2NCH2CH(OH)(CH2)2−]であり、Mが銅であるビス−DL-ヒドロキシリジン銅錯化合物の塩酸塩(ビス−DL−ヒドロキシリジン・1塩酸塩銅錯体:化合物No.18)、
R1、R2が共にリジン側鎖[H2N(CH2)4−]であり、Mが銅であるビス−L-リジン銅錯化合物の塩酸塩(ビス−L−リジン・1塩酸塩銅錯化合物:化合物No.22)、
R1、R2が共にリジン側鎖[H2N(CH2)4−]であり、Mが銅であるビス−L-リジン銅錯化合物の炭酸水素塩(ビス−L−リジン・1炭酸水素塩銅錯化合物:化合物No.23)、
R1、R2が共にリジン側鎖[H2N(CH2)4−]であり、Mが銅であるビス−L-リジン銅錯化合物のドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)塩(ビス−L−リジン・DBSA塩銅錯化合物:化合物No.24)、
R1、R2が共にリジン側鎖[H2N(CH2)4−]であり、Mが銅であるビス−L-リジン銅錯化合物のラウリン酸(LauA)塩(ビス−L−リジン・LauA塩銅錯化合物:化合物No.25)、
R1、R2が共にリジン側鎖[H2N(CH2)4−]であり、Mが銅であるビス−D-リジン銅錯化合物の塩酸塩(ビス−D−リジン・1塩酸塩銅錯化合物:化合物No.26)、
R1、R2が共にリジン側鎖[H2N(CH2)4−]であり、Mが銅であるビス−DL-リジン銅錯化合物の塩酸塩(ビス−DL−リジン・1塩酸塩銅錯化合物:化合物No.27)、
R1、R2が共にリジン側鎖[H2N(CH2)4−]であり、Mが亜鉛であるビス −L-リジン亜鉛錯化合物の塩酸塩(ビス−L−リジン・1塩酸塩亜鉛錯化合物:化合物No.31)、
R1、R2が共にリジン側鎖[H2N(CH2)4−]であり、Mがマグネシウムであるビス−L-リジンマグネシウム錯化合物の塩酸塩(ビス−L−リジン・1塩酸塩マグネシウム錯化合物:化合物No.32)等が挙げられる。
【0031】
また上記式[I]中、R1、R2が互いに異なるものとしては、上記式[I]中、R1がリジン側鎖[H3N+(CH2)4−]であり、R2がアスパラギン酸側鎖[-OOCCH2−]であり、Mが銅であるL−リジン・L-アスパラギン酸塩の銅錯化合物(L−リジン・L-アスパラギン酸塩銅錯化合物:化合物No.28)、
また上記式[I]中、R1がリジン側鎖[H3N+(CH2)4−]であり、R2がグルタミン酸側鎖[-OOC−(CH2)2−]であり、Mが銅であるL−リジン・L-グルタミン酸塩の銅錯化合物(L−リジン・L-グルタミン酸塩銅錯化合物:化合物No.29)等が挙げられる。
【0032】
このようなアミノ酸金属錯化合物類は、本発明の農園芸用種子消毒剤中に1種または2種以上含まれていてもよい。
上記例示のアミノ酸金属錯化合物[I]を表1にまとめて示す。
このようなアミノ酸金属錯化合物類のうちでは、下記表1中付番1、4〜7、9〜11、13〜14、16〜19、21〜27が好ましく、さらには付番4、6〜7、9〜11、13、17〜18、21〜27が水溶性に優れ、特に種子消毒効果に優れるため好ましい。
【0033】
【表1】
【0034】
この化合物番号は、後述する実施例、試験例でも参照される。
上記式[I]中、R1とR2とが異なる錯化合物では、R1が塩基性アミノ酸側鎖であり、R2が酸性アミノ酸側鎖である場合のように塩が形成されている場合に安定的に単一な錯化合物が得られる。
本発明においては、上記式[I]中、R1が塩基性アミノ酸側鎖であり、R2が酸性アミノ酸側鎖であるアミノ酸金属錯化合物(塩基性アミノ酸の酸性アミノ酸塩の金属錯化合物)は、下記式[II]で表される。
【0035】
【化4】
【0036】
[式[II]中、R3は、塩基性アミノ酸の側鎖を示し 、R4は酸性アミノ酸の側鎖を示し、Mは、銅、亜鉛、マンガン、鉄およびマグネシウムのうちの何れかを示す。]
このような金属錯化合物[II]としては、上記例示のアミノ酸金属錯化合物[I]のうちでは、L−リジン・L-アスパラギン酸塩銅錯化合物(化合物No.28)および、L−リジン・L-グルタミン酸塩銅錯化合物(化合物No.29)が、前記式[II]で表される化合物すなわち塩基性アミノ酸の酸性アミノ酸塩の金属錯化合物に含まれる。
【0037】
すなわち、L−リジン・L-アスパラギン酸塩銅錯化合物(化合物No.28)は、式[II]中、塩基性アミノ酸側鎖R3がリジン側鎖[H3N+(CH2)4−]であり、酸性アミノ酸側鎖R4がアスパラギン酸側鎖[-OOCCH2−]であり、Mが銅である錯化合物に相当している。
またL−リジン・L-グルタミン酸塩銅錯化合物(化合物No.29)は、上記式[II]中、塩基性アミノ酸側鎖R3がリジン側鎖[H3N+(CH2)4−]であり、酸性アミノ酸側鎖R4がグルタミン酸側鎖[-OOC(CH2)2−]であり、Mが銅である錯化合物に相当している。
<アミノ酸金属錯化合物類の製造>
上記式[I]または[II]で表されるアミノ酸金属錯化合物あるいはその塩(アミノ酸金属錯化合物類)は、前記の文献等に記載の従来より公知の方法にて製造できる。
【0038】
例えば、式[I]中、Mが銅であるアミノ酸銅錯化合物[I-a]は、下記反応式で示すように、各種アミノ酸(a)の水溶液中に塩基性炭酸銅をアミノ酸に対して銅として1/2当量になるように加えて、必要に応じて加熱して反応させることにより好適に製造できる。なお、上記塩基性炭酸銅に代えて、亜酸化銅、硫酸銅、塩化銅、水酸化銅、塩基性塩化銅あるいは塩基性硫酸銅を用いてもよい。
【0039】
【化5】
【0040】
[式(a)中、R1は、上記と同様、アミノ酸側鎖を示す。]
また、前記式[II]中、Mが銅であるアミノ酸銅錯化合物[II-a]は、下記式に示すように、遊離の塩基性アミノ酸(a-2)および酸性アミノ酸(a-3)をそれぞれ等モルずつ水に溶解して塩基性アミノ酸の酸性アミノ酸塩溶液を調製し、この水溶液に塩基性炭酸銅をアミノ酸に対して銅として1/2当量になるよう加えて、必要に応じて加熱し、反応させることにより塩基性アミノ酸の酸性アミノ酸塩の銅錯化合物[II-a]を好適に製造できる。
【0041】
【化6】
【0042】
[但し、上記反応式中、R3は、塩基性アミノ酸側鎖を示し、R4は、酸性アミノ酸側鎖を示す。]
上記式[II]中、Mが銅以外の他の金属のアミノ酸錯化合物も上記と同様に製造できる。上記アミノ酸(a-2)、(a-3)および上記塩基性炭酸銅(CuCO3・Cu(OH)2 ・H2O)等の金属化合物は何れも公知物質であり、市販品を使用すればよい。
【0043】
上記反応の際に使用されるアミノ酸としては、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸等が挙げられる。中性アミノ酸としては、具体的には、例えば、アスパラギン、アラニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン、セリン、チロシン、トリプトファン、トレオニン、バリン、ヒドロキシプロリン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニン、ロイシン等が挙げられ、
これらのうちで、得られる化合物の種子消毒効果の点を考慮すると、アラニン、イソロイシン、グリシン、セリン、チロシン、トレオニン、バリン、ヒドロキシプロリン、プロリン、メチオニンが好ましく用いられる。
【0044】
塩基性アミノ酸としては、例えば、アルギニン、ヒスチジン、リジン、ヒドロキシリジン、オルニチン、2,4−ジアミノブチル酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、4−チアリジン等が挙げられ、
これらのうちで、得られる化合物の種子消毒効果の点を考慮すると、2,4−ジアミノブチル酸、アルギニン、リジン、ヒドロキシリジン、オルニチン、2,3−ジアミノプロピオン酸、4−チアジリンが好ましく用いられる。
【0045】
酸性アミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。
なお、上記塩基性アミノ酸としては、その遊離物あるいは無機酸塩、有機酸塩、脂肪酸塩およびアニオン界面活性剤塩を用いることもできる。上記無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸等が挙げられる。有機酸としては、酢酸、安息香酸、ソルビン酸、グリコール酸、乳酸、酒石酸、蓚酸等が挙げられる。脂肪酸としては、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸エステル、ラウリルエーテル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
【0046】
また、上記酸性アミノ酸としては、その遊離物あるいは金属塩を用いることもできる。この金属としてはナトリウム、カリウムおよびカルシウムが挙げられる。
また、上記アミノ酸金属錯化合物類を製造する際に用いられるアミノ酸としては、光学活性体のL体あるいはD体であってもよく、光学的に不活性なラセミ体であってもよい。なお、これらの中でリジンやオルニチンなどの塩基性アミノ酸が殺菌効果を増強する上で特に好適である。上記のようなアミノ酸金属錯化合物類を製造する際には、金属Mの単体、該金属の亜酸化物、該金属の水酸化物の他、これら金属の硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩等を用いることができる。金属Mとしては、銅、亜鉛、マンガン、鉄およびマグネシウムが挙げられる。本発明で用いられるアミノ酸金属錯化合物では、上記式[I]から明らかなように、アミノ酸と金属の結合モル比は2:1であることが好ましい。
【0047】
また、アミノ酸金属錯化合物の塩(アミノ酸塩の金属錯体)は、例えば、
L−リジン・1塩酸塩等のアミノ酸塩と、金属供給源の亜酸化銅、塩基性炭酸銅などとを必要により加熱し、反応させることにより得られる。
<農園芸用種子消毒剤>
本発明に係る農園芸用種子消毒剤は、上記アミノ酸金属錯化合物類を有効成分として含有しているが、このアミノ酸金属錯化合物類の含有率は、この消毒剤の剤型、その使用方法などの条件により適宜変更でき、特に制限されないが、通常、0.1〜95重量%程度である。
【0048】
また、本発明に係る農園芸用種子消毒剤には、上記アミノ酸金属錯化合物類は、1種または2種以上含まれていてもよい。
また、本発明に係る農園芸用種子消毒剤は、上記アミノ酸金属錯化合物類のほかに、他の公知の活性化合物、例えば、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、昆虫生育調節剤、除草剤、鳥類忌避剤、植物成長調節剤、肥料、土壌改良剤などを含んでいてもよい。このようにアミノ酸金属錯化合物類と他の活性化合物とを含有する農園芸用種子消毒剤では、適用範囲(適用病害、使用方法、使用時期など)の拡大を図ることができ、場合によっては配合した種々の有効成分の相乗効果も期待できる。
【0049】
本発明においては、アミノ酸[上記式(a)、(a-2)、(a-3)で表されるようなアミノ酸金属錯化合物類形成性のアミノ酸]と、金属(上記アミノ酸金属錯化合物中に含まれるものと同様の金属)あるいは無機金属化合物とを、好ましくは化学量論量すなわち2:1のモル比で製剤中に配合し、使用時にこの製剤を水で希釈することにより、上記アミノ酸金属錯化合物類を生成する農園芸用種子消毒剤とすることもできる。
【0050】
この際用いられる上記金属化合物として、例えば、金属亜酸化物;金属水酸化物;硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、蓚酸塩等の金属塩等を用いることができる。
金属としては、銅、亜鉛、マンガン、鉄、マグネシウム等が挙げられ、中でも銅が好ましい。銅系の無機化合物(無機銅化合物)としては、亜酸化銅、硫酸銅、塩化銅、水酸化銅、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅等が挙げられる。
【0051】
また、銅あるいは上記無機銅化合物を有効成分とする既存の農薬製剤と、前記アミノ酸とを混合することにより種子消毒活性の増強効果が期待できる。
本発明に係る農園芸用種子消毒剤は、上記アミノ酸金属錯化合物類を有効成分として含有する限り、その剤型は特に制限されず、その使用目的等に応じて従来公知の処方により種々の剤型のものを調製し得る。
【0052】
例えば、アミノ酸金属錯化合物類と後述するような各種担体と界面活性剤とその他の製剤用補助剤等とを配合して、例えば、常法によって、水和剤、顆粒水和剤、乳剤、液剤、フロアブル剤、微粒剤、粒剤、種子用コーティング剤などの各種剤型に製剤化して用いることができる。
上記のように各種剤型の農園芸用種子消毒剤を製造する際に用いられる担体には、固体担体、液体担体などがあり、このうちで固体担体としては、例えば、カオリン、ベントナイト、クレー、モンモリロナイト、タルク、バーミキュライト、アタパルガイド、珪藻土、珪砂、合成ケイ酸塩、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、アルミナ、ホワイトカーボン、硫安、尿素、デンプン、結晶セルロース、大豆粉、クルミ穀粉、タバコ茎粉等が挙げられる。
【0053】
液体担体としては、例えば、水、アルコール類(例:メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、グリセリン等)、エーテル類(例:ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、ケトン類(例:アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル類(例:脂肪酸のグリセリンエステル等)、スルホキシド類(例:ジメチルスルホキシド等)、脂肪族または脂環式炭化水素類(例:シクロヘキサン、パラフィン類等)などが挙げられる。
【0054】
また、上記界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキル(アリール)スルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸塩などの陰イオン界面活性剤;
ポリオキシエチレンアルキルエーテル 、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン酸エステルなどの非イオン性界面活性剤;
などが挙げられる。
【0055】
また、製剤用補助剤としては、物理性改良剤、分解防止剤あるいは粘結剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ソーダ、トラガカントゴム、キサンタンガムなどが挙げられる。
<農園芸用種子消毒剤の使用方法>
本発明に係る農園芸用種子消毒剤は、その剤型、用途(例:種子消毒用、育苗箱施用用)、適用病害、使用時期などに応じて常法に従って用いられる。
【0056】
また、本発明では、予めアミノ酸と金属化合物あるいはその塩を配合してなる配合物を調製しておき、使用時にこの配合物を水で希釈することによりアミノ酸金属錯化合物を形成させて、本発明に係る農園芸用種子消毒剤として使用してもよい。また、本発明においては、上記金属あるいは該金属の水酸化物等の金属化合物、例えば水酸化銅、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅などを有効成分とする既存の農薬製剤に、リジンなどのアミノ酸を添加し水で希釈することによりアミノ酸金属錯化合物を形成させて、農園芸用種子消毒剤として使用することもできる。この際、アミノ酸は、金属1モルに対して、化学量論的には2モルで用いればよいが、通常、0.1〜2.5モルの量で用いられる。
【0057】
また、アミノ酸を添加する時期は、上記金属あるいは該金属の水酸化物等の金属化合物、例えば水酸化銅、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅などを有効成分とする既存の農薬製剤の薬液調製時期に限定されるものでなく、例えば、既存の農園芸用殺菌剤調製後、浸種前であってもよく、浸種期間中であってもよく、浸種期間終了前であれば、何れの時期においても添加することができ、また一度に添加してもよく、複数回に分けて少量ずつ添加してもよい。また、種子消毒処理した種籾をアミノ酸を含有する液に浸種してもよい。
【0058】
本発明に係る農園芸用種子消毒剤の使用方法についてさらに詳説すると、この消毒剤の用途は特に限定されるものではなく、また種子消毒用、育苗箱施用用などの何れの用途にも使用することができる。またこの農園芸用種子消毒剤の使用量は、有効成分として含まれるアミノ酸金属錯化合物その他の薬効成分の種類、適用対象(例えば、対象作物、対象病害、その発生状況等)、使用時期などに応じて適宜変えることができる。
【0059】
例えば、本発明の農園芸用種子消毒剤をイネの種子消毒剤として使用するには、一般的な種子消毒剤の使用方法に準ずればよい。より具体的には、水和剤、乳剤、フロアブル剤、顆粒水和剤などの液状で使用する農園芸用種子消毒剤では、該消毒剤を水などで希釈して有効成分濃度を50〜50000ppm、好ましくは200〜20000ppmとして、この薬液中にイネ種籾を10〜60分間浸漬(短時間浸漬)、または24時間〜48時間浸漬(長時間浸漬)すればよい。
【0060】
また、水和剤、フロアブル剤、顆粒水和剤などの液状で使用する製剤(但し、乳剤を除く。)を、必要に応じて水などで希釈して、種子重量の1〜5重量%の量(活性成分量として、0.5〜20g/種子重量1kg)で種子に吹き付け処理してもよく、またこのような量となるようにモルタルミキサーなどを用いて均一に種子に塗抹処理してもよい。
【0061】
その他、水和剤などの固体製剤を種子重量の0.1〜2重量%の量(活性成分量として0.5〜20g/種子重量1kg)で種子の表面に粉衣処理するなどの方法で用いてもよい。
本発明に係る農園芸用種子消毒剤を育苗箱(サイズ:縦×横×高さ=60cm×30cm×3cm)に散布する場合、その水和剤、乳剤、フロアブル剤を水に希釈して、有効成分濃度が100〜10000ppm、好ましくは400〜40000ppmとし、この薬液をイネ種籾播種後の育苗箱の上方から散布機にて20〜200ml/育苗箱の量で噴霧するか、あるいはジョウロなどを用いて200〜1000ml/育苗箱の量で灌注するなどの方法を採用できる。
【0062】
また、本発明に係る農園芸用種子消毒剤が、粉剤、粒剤などである場合、これをそのままイネ種籾の播種後覆土前あるいは覆土後に育苗箱の上方から直接手にて、あるいは散布機にて5〜50g/育苗箱の量(活性成分として、0.1〜10g/育苗箱)で散布するなどの方法を採用してもよい。
【0063】
【発明の効果】
本発明に係る農園芸用種子消毒剤は、イネ種子をはじめとする各種種子に対して優れた消毒活性を有しているが、この種子消毒剤をイネ種子消毒剤、イネ育苗箱施用消毒剤として用いれば、特に、イネ苗立枯細菌病、イネ籾枯細菌病、イネ褐条病に対して安定した高い種子消毒効果を発揮し、これらの病害を有効に防除することができる。
【0064】
また、本発明に係る農園芸用種子消毒剤中に含まれる有効成分のアミノ酸金属錯化合物類は、極めて低毒性(経口:>1000mg/kg)である。本発明の農園芸用種子消毒剤は、有効成分がアミノ酸金属錯化合物等であるため、この錯化合物を合成する際に用いられる金属、例えば、銅の使用量を従来の薬剤の半量以下に抑えることができ、また他方の成分であるアミノ酸は生分解性もよく、環境汚染がほとんどない。
【0065】
【実施例】
次に、本発明の農園芸用種子消毒剤およびその使用例、該農園芸用種子消毒剤に含まれるアミノ酸金属錯化合物の製造例についてさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら制限されるものではない。
なお、実施例、製造例中、(部)とあるのはすべて重量部であり、また%は重量%である。
【0066】
【製造例1】
(ビス−L−セリン銅錯化合物、化合物No.11)
L−セリン5.000g(47.58mmol)を蒸留水10mlに溶かし、これに塩基性炭酸銅5.678g(23.79mmol)を突沸させないように徐々に加えた。得られた混合物を60℃で30分間加熱撹拌した後、ろ過した。濾紙上に残存する不溶物を熱水5mlで洗い、この洗液とろ液とを一緒にした。一緒にしたろ液を半固体状態まで減圧濃縮し、メタノールを10ml加え60℃で加熱溶解させた。これを室温で放置すると直ちに結晶が析出した。この結晶をろ取し、減圧乾燥することにより、L−セリンの銅錯化合物を6.402g(収率87.45%)得た。
【0067】
IR(KBr拡散反射法):3344,3255,3213,3132,2937,1664,1631,1606,1394,1328,1276,1164,1099,1058,985,707cm-1
【0068】
【製造例2】
(ビス−L−リジン・1塩酸塩銅錯化合物、化合物No.22)
L−リジン・1塩酸塩、5.000g(27.37mmol)を蒸留水10mlに溶かし、これに亜酸化銅0.979g(6.84mmol)を加えた。得られた混合物を60℃で12時間加熱撹拌した後、ろ過した。不溶物を熱水5mlで洗い、この洗液とろ液を一緒にした。一緒にしたろ液を半固体状態まで減圧濃縮し、メタノールを10ml加え60℃で加熱溶解させた。これを室温で放置すると直ちに結晶が析出した。この結晶をろ取し、減圧乾燥することにより、L−リジン・1塩酸塩の銅錯化合物を6.018g(収率95.04%)得た。
【0069】
IR(KBr拡散反射法):3444,3259,3010,2941,1660,1584,1523,1392,1134cm-1
【0070】
【製造例3】
(ビス−L−リジン・1炭酸水素塩銅錯化合物、化合物No.23)
L−リジン(遊離塩基)5.000g(34.20mmol)を蒸留水10mlに溶かし、これに塩基性炭酸銅4.082g(17.10mmol)を突沸させないように徐々に加えた。得られた混合物を60℃で30分間加熱撹拌した後、室温で撹拌下に炭酸ガスを2時間通気しpHを7.0に調整した。ろ過後、不溶物を熱水5mlで洗い、この洗液とろ液を一緒にした。一緒にしたろ液を半固体状態になるまで減圧濃縮し、メタノールを10ml加え60℃で加熱溶解させた。これを室温で放置すると直ちに結晶が析出した。この結晶をろ取し、減圧乾燥することにより、L−リジン炭酸水素塩の銅錯化合物を4.988g(収率78.93%)得た。
【0071】
IR(KBr拡散反射法):3220,2968,2869,1643,1458,1359,1240,1199,1083,918,877,767,700cm-1
【0072】
【製造例4】
(ビス−L−オルニチン・1塩酸塩銅錯化合物、化合物No.6)
L−オルニチン(遊離塩基)5.000g(37.83mmol)を蒸留水10mlに溶かし、これに塩化銅2.543g(18.92mmol)を加えた。得られた混合物を60℃で30分間加熱撹拌した後、半固体状態になるまで減圧濃縮した。これに熱メタノールを10ml加え60℃で加熱溶解させた。これを室温で放置すると直ちに結晶が析出した。この結晶をろ取し、減圧乾燥することにより、L−オルニチン・1塩酸塩の銅錯化合物を8.184g(収率96.4%)得た。
【0073】
IR(KBr拡散反射法):3396,3232,3012,1625,1593,1523,1400,1344,1134,1053,813,648cm-1
【0074】
【製造例5】
(L−リジン・L−グルタミン酸塩銅錯化合物、化合物No.29)
L−リジン(遊離塩基)2.000g(13.68mmol)およびL−グルタミン酸2.013g(13.68mmol)を蒸留水10mlに溶かし、これに塩基性炭酸銅3.266g(13.68mmol)を突沸させないように徐々に加えた。得られた混合物を60℃で30分間加熱撹拌した後、ろ過した。不溶物を熱水5mlで洗い、この洗液とろ液を一緒にした。一緒にしたろ液を半固体状態になるまで減圧濃縮し、メタノールを10ml加え60℃で加熱溶解させた。次いで冷蔵庫で一夜放置すると結晶が析出した。この結晶をろ取し、減圧乾燥することにより、L−リジン・L−グルタミン酸塩の銅錯化合物を4.524g(収率84.62%)得た。
【0075】
IR(KBr拡散反射法):3280,3242,3028,2945,2862,1618,1556,1504,1398,1334,1145,1058,798,659cm-1
【0076】
【実施例1】
(水和剤)
ビス−L−リジン・1塩酸塩銅錯化合物(化合物No.22)30部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル5部およびクレー62部を均一に混合・粉砕して、有効成分を30%含有する水和剤を得た。
【0077】
【実施例2】
(乳剤)
ビスグリシン銅錯化合物(化合物No.7)30部、メチルエチルケトン55部およびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル15部を混合・溶解して、有効成分を30%含有する乳剤を得た。
【0078】
【実施例3】
(粒剤)
ビス−L−オルニチン・1塩酸塩銅錯化合物(化合物No.6)5部、ラウリルサルフェート1.5部、リグニンスルホン酸カルシウム1.5部、ベントナイト25部およびクレー67部を均一に混合し、これに水15部を加えて混練機で混練した後、造粒機で造粒し、流動乾燥機で乾燥して、有効成分を5%含有する粒剤を得た。
【0079】
【実施例4】
(フロアブル剤)
ビス−L−アラニン銅錯化合物(化合物No.2)40部、ラウリルサルフェート2部、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ2部、ヒドロキシプロピルセルロース1部および水55部を均一に混合し、有効成分を40%含有するフロアブル剤を得た。
【0080】
【実施例5】
(水和剤)
L−アルギニン・1塩酸塩23.4部、塩基性炭酸銅6.6部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル55部およびクレー62部を均一に混合・粉砕して、水和剤を得た。本水和剤は使用時に水で希釈すると、有効成分であるビス−L−アルギニン・1塩酸塩銅錯化合物(化合物No.4)を28.8%含有相当分を生成する。
【0081】
次に、本発明に係る農園芸用種子消毒剤の各種植物病害に対する防除活性の試験例を示すが、本発明は、以下の試験例に限定されるものではない。
【0082】
【試験例1】
(イネ苗立枯細菌病防除のための種子消毒効果試験)
供試籾としては、イネ(品種:きらら397)の開花期にイネ苗立枯細菌病菌(Pseudomonas plantarii)の濃厚菌懸濁液(104/ml)を噴霧接種して得たイネ苗立枯細菌病感染籾を用いた。
【0083】
種子消毒液(薬液)は実施例2に準じて調製した、第2表に示す種々のアミノ酸金属錯化合物の水和剤または対照剤を、水で所定濃度に希釈して調製した。
この薬液中に、上記方法で得られたイネ苗立枯細菌病菌感染籾を、種籾と薬液との容量比(v/v)が1対1の割合になるようにして加え、20℃で24時間にわたり該種籾を浸漬させ、消毒した。消毒後の種籾を、20℃で3日間水に浸漬した後、水を切り30℃で24時間催芽させた。そして、鳩胸状になった種籾を慣用の箱育苗法に準じてクミアイ粒状培土K(呉羽化学工業株式会社製)に播種し、32℃で2日間出芽させた。その後はガラス温室内で栽培管理した。
【0084】
発病の有無の調査は、播種21日後(2.5葉期)に下記の調査基準によりイネ苗立枯細菌病発病苗数と健全苗数を調査し(1箱当たり約150本)、下記の式(1)により発病度を求めた。
発病の調査基準
N0: 発病してない苗数
N1: 葉身に発病による白化あるいは黄化が認められる苗数
N2: 葉身が発病により白化し、生育が劣る苗数
N3: 枯死
【0085】
【数1】
【0086】
本試験は、1区3連制で行い、その平均発病度を算出し、次式より防除価(%)を求めた。この防除価を下記基準により防除効果の評価値に換算した。
その結果を表2に示す。
【0087】
【数2】
【0088】
防除効果の評価値 防 除 価
5 95%以上
4 90〜95%未満
3 70〜90%未満
2 40〜70%未満
1 40%未満
またイネに対する薬害については出芽状態および生育程度などについて観察し、下記の薬害調査指標の基準で表示した。
【0089】
その試験結果を表2に要約して示す。
薬害の調査指標
5:激甚、 4:甚、 3:多、 2:若干、 1:わずか、 0:なし
【0090】
【表2】
【0091】
【試験例2】
(イネ籾枯細菌病防除のための種子消毒効果試験)
供試籾としては、イネ(品種:きらら397)籾にイネ籾枯細菌病菌(Pseudomonas glumae)の濃厚菌懸濁液(108/ml)を減圧接種して得たイネ籾枯細菌病菌感染籾を用いた。種子消毒液は実施例2に準じて調製した、表3に示す種々のアミノ酸金属錯化合物の水和剤または対照剤を、水で所定濃度に希釈して調製した。
【0092】
この薬液中に、上記方法で得られたイネ籾枯細菌病菌感染籾を、種籾と薬液との容量比(v/v)が1対1の割合になるようにして加え、20℃で24時間にわたり該種籾を浸漬して、消毒した。消毒後の種籾は、20℃で3日間水に浸種した後、水を切り30℃で24時間催芽させた。そして、鳩胸状になった種籾を慣用の箱育苗法に準じてクミアイ粒状培土K(呉羽化学工業株式会社製)に播種し、32℃で2日間出芽させた。その後はガラス温室内で栽培管理した。
【0093】
発病の有無の調査は、播種21日後(2.5葉期)に下記の調査基準によりイネ籾枯細菌病発病苗数と健全苗数を調査し(1箱当たり約150本)、試験例1と同様に発病度を求め、防除価(%)を算出し、評価値に換算した。また、試験例1と同様に、イネに対する薬害の程度についても調査した。
その結果を表3に示す。
発病の調査基準
N0: 発病してない苗数
N1: 葉身に発病による白化が認められるが、生育は健全苗とほぼ同等の苗数 N2: 葉身が発病により白化し、生育が劣る苗数
N3: 枯死
【0094】
【表3】
【0095】
【試験例3】
(イネ褐条病防除のための種子殺菌効果試験)
供試籾としては、イネ(品種:きらら397)籾にイネ褐条病菌(Pseudomonas avenae)の濃厚菌懸濁液(108/ml)を減圧接種して得たイネ褐条病菌感染籾を用いた。種子消毒液は実施例2に準じて調製した、表4に示す種々のアミノ酸金属錯化合物の水和剤または対照剤を、水で所定濃度に希釈して調製した。
【0096】
この薬液中に、上記方法で得られたイネ褐条病菌感染籾を、種籾と薬液との容量比(v/v)が1対1の割合になるようにして加え、20℃で24時間にわたり該種籾を浸漬して、消毒した。消毒後の種籾は、20℃で3日間水に浸種した後、水を切り30℃で24時間催芽させた。そして、鳩胸状になった種籾を慣用の箱育苗法に準じてクミアイ粒状培土K(呉羽化学工業株式会社製)に播種し、32℃で2日間出芽させた。その後はガラス温室内で栽培管理した。
【0097】
発病の有無の調査は、播種21日後(2.5葉期)に下記の調査基準によりイネ褐条病発病苗数と健全苗数を調査し(1箱当たり約150本)、試験例1と同様に発病度を求め、防除価(%)を算出し、評価値に換算した。また、試験例1と同様にイネに対する薬害の程度についても調査した。
その結果を表4に示す。
発病の調査基準
N0: 発病してない苗数
N1: 不完全葉に病斑が認められるが、生育は健全苗とほぼ同等の苗数
N2: 葉鞘および葉身に病斑が認められ、生育が劣る苗数
N3: 枯死
【0098】
【表4】
【0099】
【試験例4】
(イネ苗立枯細菌病防除のための種子消毒効果試験)
供試籾として、イネ籾(品種:きらら397)をイネ苗立枯細菌病(Pseudomonas plantarii)の細菌懸濁液中(106cfu/ml)に減圧接種することによりイネ苗立枯細菌病罹病籾を得た。市販の水酸化銅、塩基性塩化銅を有効成分の一つとする農園芸用殺菌剤を水で所定濃度に希釈した。この殺菌剤希釈液に所定濃度となるようにアミノ酸を添加し、種子消毒液を調製した。
【0100】
得られた種子消毒液(薬液、浸種水)に、上記方法で得られたイネ苗立枯細菌病罹病種子を、種籾と薬液との容積比が1:1となるようにして、20℃、24時間浸漬した。その後、薬液浸漬後の種籾を、種籾と浸種水との容積比が1:2となるように薬液量(浸種水量)を変えて20℃、3日間浸種した。浸種終了後の種籾は、水を切り30℃で24時間蒸気催芽処理し、鳩胸状態になった種籾を慣用の育苗方法に準じて市販の粒状育苗培土(呉羽化学工業株式会社製)に播種し、32℃で2日間出芽処理した。その後は、ガラス温室で発病管理した。
【0101】
以下、上記各試験例と同様に、薬害を評価し、また防除価を算出した。
結果を表5に示す。
【0102】
【表5】
【0103】
( )内数値は、発病度を示す。
水和剤▲3▼:市販製剤;ペフラゾエート+フルジオキソニル+塩基性塩化銅水和剤(ペフラゾエート12%+フルジオキソニル2%+塩基性塩化銅7.6%、銅として4.5%含む)
フロアブル▲4▼:市販製剤;イプコナゾール+水酸化第2銅フロアブル(イプコナゾール5%+水酸化第2銅4.6%、銅として3%含む)
水酸化第2銅水和剤▲1▼:市販製剤(水酸化第2銅を有効成分とし、銅として17%含む)
塩基性塩化銅水和剤▲2▼:市販製剤(塩基性塩化剤を有効成分とし、銅として50%含む)
【0104】
【試験例5】
(イネ苗立枯細菌病防除のための種子消毒効果試験)
供試籾として、イネ籾(品種:きらら397)をイネ苗立枯細菌病(Pseudomonas plantarii)の細菌懸濁液中(106cfu/ml)に減圧接種することによりイネ苗立枯細菌病罹病籾を得た。市販の水酸化銅、塩基性塩化銅を有効成分の一つとする農園芸用殺菌剤を水で所定濃度に希釈した。
【0105】
得られた種子消毒液(薬液、浸種水)に、上記方法で得られたイネ苗立枯細菌病罹病種子を、種籾と種子消毒液(薬液)との容積比が1:1となるようにして、20℃、24時間浸漬した。その後、薬液浸漬後の種籾を、種籾と浸種水との容積比が1:2となるように薬液量を変えて20℃、3日間水に浸種した。
なお、試験例5において、L−リジン塩酸塩は、所定濃度になるように▲1▼種籾浸漬直前(種子消毒薬液調整直後)、▲2▼種籾浸種直前(薬液浸漬終了後の浸種開始時の浸種水)、▲3▼浸種2日終了後にそれぞれアミノ酸を添加した。
【0106】
浸種終了後の種籾は、水を切り30℃で24時間蒸気催芽処理し、鳩胸状態になった種籾を慣用の育苗方法に準じて市販の粒状育苗培土(呉羽化学工業株式会社製)に播種し、32℃で2日間出芽処理した。その後は、ガラス温室で発病管理した。
以下、上記各試験例と同様に、薬害を評価し、また防除価を算出した。
【0107】
結果を表6に示す。
【0108】
【表6】
【0109】
( )内数値は、発病度を示す。
水和剤▲3▼,フロアブル▲4▼,水酸化第2銅水和剤▲1▼,塩基性塩化銅水和剤▲2▼は、前記に同じ。
Claims (4)
- 下記式[I]で表されるアミノ酸金属錯化合物あるいはその塩を有効成分として含有する
ことを特徴とする農園芸用種子消毒剤;
R1、R2は互いに同一でも異なっていてもよく、アスパラギン側鎖、アスパラギン酸側鎖、アラニン側鎖、アルギニン側鎖、イソロイシン側鎖、オルニチン側鎖、グリシン側鎖、グルタミン側鎖、グルタミン酸側鎖、2,4−ジアミノブチル酸側鎖、2,3−ジアミノプロピオン酸側鎖、セリン側鎖、トリプトファン側鎖、4−チアジリン側鎖、トレオニン側鎖、バリン側鎖、ヒスチジン側鎖、ヒドロキシプロリン側鎖、ヒドロキシリジン側鎖、プロリン側鎖、フェニルアラニン側鎖、リジン側鎖またはロイシン側鎖を示し、
Mは銅を示す。] - (i)アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、オルニチ
ン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、2,4−ジアミノブチル酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、セリン、トリプトファン、4−チアジリン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、プロリン、フェニルアラニン、リジンまたはロイシンあるいはその塩と、
(ii)無機銅化合物と、
を配合することによって得られた請求項1に記載のアミノ酸金属錯化合物あるいはその塩を有効成分として含有することを特徴とする農園芸用種子消毒剤。 - 上記無機銅化合物が、銅亜酸化物、銅水酸化物、銅塩のうちの何れか1種以上である請求項2に記載の農園芸用種子消毒剤。
- 無機銅化合物を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤と、水と、アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、オルニチン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、2,4−ジアミノブチル酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、セリン、トリプトファン、4−チアジリン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、プロリン、フェニルアラニン、リジンまたはロイシンあるいはその塩とを同時に、あるいは任意の順序で配合することによって得られた請求項1に記載のアミノ酸金属錯化合物あるいはその塩を用いて種子を消毒することを特徴とする種子の消毒方法。
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