JP4526138B2 - 電極基板の製造方法ならびに液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大容量かつ高精細の表示に適するように、画素に電圧を印加する電極の抵抗を低下させる配線を有する電極基板の製造方法ならびにその電極基板を備えた液晶表示素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
強誘電性液晶は、メモリ性、高速応答性、広視野角などの優れた特性を備えている。しかも、強誘電性液晶を用いた液晶表示装置は、透明導電膜によって形成されるストライプ状の走査電極と信号電極とをマトリクス状に基板上に配置した単純マトリクス方式を適用すれば、同様に単純マトリクス方式を用いたTN(Twisted Nematic) 型やSTN(Super-Twisted Nematic) 型の液晶表示装置よりも、大容量かつ高精細の表示を行うことができる。このような強誘電性液晶の有用性は、Applied PhysicsLetters 36, (1980) p.899-901において、N.A.Clark とS.T.Lagerwall とによって教示されている。
【0003】
しかしながら、強誘電性液晶を単純マトリクス方式に適用する場合、透明導電膜のみでストライプ状電極を形成することで大容量かつ高精細の強誘電性液晶表示装置を作製しようとすると、表示面積の拡大に伴ってストライプ状電極を長く形成する必要があるので、電極抵抗が大きくなる。この結果、発熱、信号の遅延、画素領域に付与される信号波形の鈍りなどの駆動に影響する問題が発生する。
【0004】
従来のTN型やSTN型の液晶表示装置では、周期的に駆動電圧を印加するマルチプレクシング駆動を用いた複数のフレーム走査によって高コントラストな一画面を形成している。このため、駆動電圧の印加を遅延させる遅延効果によっても、表示品位の低下はほとんど問題にならなかった。しかしながら、このような液晶表示装置においても、近年、高まってきた画面の大型化および応答の高速化という要求に応じるには、遅延効果による影響を無視できなくなってきた。
【0005】
上述の理由により、強誘電性液晶表示装置を大画面化する場合は、金属膜などの低抵抗の導電配線を設けることで、全体の電極抵抗を低下させる方法が採用されてきた。
【0006】
上記の導電配線は、ストライプ状電極と導電接触するようにストライプ状電極の長手方向に沿って形成される。一方、小さいセルギャップで作製される必要のある強誘電性液晶セルやSTN型液晶セルでは、基板表面の平坦性が液晶の配向性に大きく影響する。したがって、このような液晶セルにとっては、基板の平坦性が良好であることが重要になる。このため、導電配線は、基板の平坦性を良好に確保できるような構造でなければならない。
【0007】
このような導電配線を形成するために、従来、大きく分けて以下の4つの方法が採用されていた。
【0008】
第1の方法は、NEPCON West '89, p426-p447, 1988に記載されているように研磨を利用している。この方法では、図13(a)ないし図13(c)に示す各工程にしたがって導電配線を形成する。まず、ポリイミド102がコーティングされた基板101上に金属配線103…(導電配線)をストライプ状に形成する(図13(a))。次に、基板101上に金属配線103…を覆うように絶縁膜104を形成する(図13(b))。そして、金属配線103…の上面が露出するように、金属配線103…上の絶縁膜104における***した部分のみを研磨する(図13(c))。さらに、金属配線103…上に透明導電膜をストライプ状に形成する。
【0009】
この方法によれば、金属配線103…を厚く形成できるだけでなく、絶縁膜104を研磨するだけで金属配線103…の上面を露出させることができる。
【0010】
第2の方法は、IEEE/CHMT '89, Japan IEMT Symposium, p128-p131に記載されているようにフォトリソグラフィーを利用している。この方法では、図14(a)ないし図14(d)に示す各工程にしたがって導電配線を形成する。基板101上に金属配線103…をストライプ状に形成する(図14(a))。次に、基板101上に金属配線103…を覆うようにネガ型の感光性樹脂(ポリイミド系ネガ型感光性樹脂)を成膜することによって絶縁膜105を形成する(図14(b))。そして、金属配線103…の上面が露出するように、金属配線103…上の絶縁膜105の一部をフォトマスク106を用いてフォトリソグラフィーによって除去する(図14(c))。
【0011】
フォトリソグラフィーの工程においては、図15(a)および(b)に示すように、ストライプパターン106aの両側に複数のスモールホール106b…を有するフォトマスク106を用いる。これによって、金属配線103…の両側における絶縁膜105の***部105a…も除去される。そして、この結果、絶縁膜105の表面が金属配線103…の上面とともに平坦に形成される(図14(d))。スモールホール106b…による露光では、露光量を調整することによって、金属配線103…の周辺の***部105a…のみを軟化させて除去することができる。
【0012】
この方法によれば、第1の方法と同様に金属配線103…を厚く形成でき、しかも、フォトリソグラフィーによって金属配線103…の上面を露出させることができる。
【0013】
第3の方法は、特開平8−76134号公報に開示されているように、透明基板上にストライプ状の導電配線を形成し、導電配線間にUV(紫外線)硬化樹脂を充填する方法である。この方法では、図16(a)ないし図16(d)に示す各工程にしたがって導電配線を形成する。
【0014】
まず、金属配線103…がストライプ状に形成された透明な基板101に対向するように、UV硬化樹脂107が滴下された平滑型108を配置する(図16(a))。次に、基板101の裏面からUV硬化樹脂107を紫外線露光することによって、金属配線103と同じ厚さの絶縁膜を形成する(図16(b))。そして、平滑型108を基板101から離し(図16(c))、金属配線103…およびUV硬化樹脂107からなる層の表面上に透明電極109…を形成する(図16(d))。
【0015】
この方法では、図16(b)の工程において、UV硬化樹脂107が滴下された平滑型108を金属配線103…が形成された基板101にあてがってから紫外線露光を行うため、UV硬化樹脂107からなる絶縁膜の平坦性が良好である。
【0016】
第4の方法は、J.Electrochem. Soc.;SOLID-STATE SCIENCETECHNOLOGY August 1988, p2013-p2016に開示されているように、SiO2 非晶質膜の液相析出成膜法(Liquid-phase deposition;LPD) を利用している。LPD法は、ケイフッ化水素酸溶液(H2 SiF6:HF)を用い、その溶液の化学的平衡状態をSiO2の析出側に移動させて成膜する方法である。この方法では、図17(a)ないし図17(d)に示す各工程にしたがって導電配線を形成する。
【0017】
まず、基板101上に金属材料を成膜し(図17(a))、この金属材料をレジスト110を用いてパターニングすることによって金属配線103…を形成する(図17(b))。なお、パターニング後はフォトレジスト110を除去せずに残しておく。次に、LPD法によって金属配線103…の間にSiO2 膜111を形成した後(図17(c))、金属配線103…上のフォトレジスト110を剥離する(図17(d))。この方法によれば、金属配線103…とSiO2膜111との表面に段差や溝が生じない平坦な構造を提供することができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の各方法は、以下のような不都合を有するため、実用化が困難であるという問題を有している。
【0019】
第1の方法では、絶縁膜104の研磨のされ方が均一でない。例えば、金属配線103…間の部分は、金属配線103…上の部分より研磨されやすい。つまり、第1の方法では、研磨だけで金属配線103…上部表面を剥き出しにしている。ところが、金属配線103…上の絶縁膜104のみを研磨するには極めて平坦性の高い研磨部材を金属配線103…上の絶縁膜104のみに接触させて研磨する必要がある。しかも、研磨部材として砥粒を使用すると金属配線103…上の絶縁膜104を研磨する間に金属配線103・103間の絶縁膜104も研磨され、金属配線103・103間の表面形状が凹形状になる。このため、実際には、表面が平坦になるように絶縁膜104を均一に研磨することができない。
【0020】
第2の方法では、金属配線103…をストライプ状に形成した後、ポリイミド系ネガ型感光性樹脂を絶縁膜105として成膜し、フォトマスク106を用いたフォトリソグラフィーによって金属配線103…の上部表面を露出させている。そして、この場合、フォトマスク106にスモールホール106b…を形成することで金属配線103…の周辺の絶縁膜105の***部105a…を除去している。しかしながら、第2の方法では、スモールホール106b…によって露光量を制御することで硬化する絶縁膜105の膜厚を制御するため、露光量を常に安定させる必要があり、特に、本方法はネガ型の感光性樹脂を使用しているため、露光量オーバーは厳禁である。しかも、上記のIEEE/CHMT '89, Japan IEMT Symposiumに開示されている絶縁膜105の厚さは25μmであり、***部105a…の高さhは約3μmである。この文献の方法が強誘電性液晶セルのための電極を形成する方法でないため、絶縁膜105は、強誘電性液晶セルの絶縁膜より厚く形成されており、それだけ***部105a…も高くなる。したがって、第2の方法では、***部105a…を除去できる精度がせいぜい3μm程度であると考えられる。
【0021】
本願発明者等が鋭意検討した結果、実際の強誘電性液晶セルに前記した第2の方法で金属配線103…を形成する場合、金属配線103…の周辺の***部105a…の高さhは、絶縁膜105の厚さ(金属配線103の厚さに等しい)に左右されるものの、最大で0.5μm程度である。また、金属配線103の厚さは、抵抗値から求めると1〜3μm程度である。したがって、金属配線103…と絶縁膜105とで平坦面を形成するには、0.5μmの高さhを有する***部105a…を含む、1.5〜3.5μmの厚さの絶縁膜105(金属配線103…の周辺部の絶縁膜105)を、***部105a…を除去し、1〜3μmとなるように加工しなければならない。
【0022】
しかしながら、第2の方法では、上記のように、***部105a…を除去できる精度が3μm程度であるので、絶縁膜105を1〜3μmの厚さで硬化させ、この1〜3μmの厚さの絶縁膜105が硬化している状態のまま0.5μmの高さhを有する***部105a…のみを除去することが困難であると考えられる。したがって、スモールホール106b…を有するフォトマスク106を用いても、強誘電性液晶素子において所望通りに基板の平坦性を確保できないおそれが十分ある。
【0023】
第3の方法では、UV硬化樹脂107に気泡が入り込むのを防ぐために、減圧槽(真空槽)内における減圧環境下で基板101を平滑型108にあてがう必要があり、しかも、平滑型108を基板101にあてがうための駆動系を必要とする。さらに、この方法では、平滑型108を使用する毎に、平滑型108を洗浄する必要があるなど、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0024】
第4の方法では、金属配線103…がフッ酸に対し化学的な耐性を有する必要があるので、金属配線103…を形成するための材料が限定される。また、LPD法では、成膜速度が300Å/hというように極端に遅いので、1μmの成膜を行うために30時間を要する。さらに、この方法では、化学反応によって膜を成長させるため、ケイフッ化水素酸溶液の各成分の濃度が成膜速度に影響を及ぼす。それゆえ、SiO2 膜111の形成時にケイフッ化水素酸溶液の濃度管理を厳密にすることが要求される。
【0025】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、導電配線が絶縁層上の透明電極と導電接触するように絶縁層に形成される電極基板の構造を実用的な方法で作製すること、および平坦性の高い電極基板を備えた液晶表示素子を提供することを目的としている。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明の参考にかかる電極基板は、上記の課題を解決するために、基板上に形成された複数の導電配線と、上記導電配線間に形成された樹脂膜と、上記導電配線上に形成され、上記導電配線と導電接触する電極膜とを有し、上記導電配線端部周辺部に上記樹脂膜によって形成される***部の高さと上記導電配線の形成されていない部分における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差、並びに、上記***部の高さと導電配線の表面の高さとの差が共に0.11μm以下であることを特徴としている。
【0027】
上記の構成によれば、導電配線の両端部周辺で***した***部がないことが理想的ではあるが、樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さと***部の高さとの差が0.11μm以下であれば、樹脂膜において十分高い平坦性が確保される。また、***部の高さと導電配線の表面の高さとの差が0.11μm以下であれば、樹脂膜と導電配線との間についても十分高い平坦性が確保される。それゆえ、本電極基板が例えば液晶表示素子に用いられる場合、電極膜の上に形成される各種の膜も高い平坦性が確保されるので、液晶の配向性およびスイッチング特性を良好に維持することができる。それゆえ、本電極基板が例えば液晶表示素子に用いられる場合、電極膜の上に形成される各種の膜も高い平坦性が確保されるので、液晶の配向性およびスイッチング特性を良好に維持することができる。従って、本発明の参考にかかる電極基板によれば、平坦性が高く、上述した特性を有する液晶素子を得ることができる電極基板を確実に安定して提供することができる。
【0028】
上記電極基板は、上記の課題を解決するために、上記導電配線が、上記基板に対する密着性を有する導電材料からなる下地膜と、低抵抗膜とを含むことが好ましい。上記下地膜が、基板に対する密着性を有する導電材料、例えば、タンタル、クロム、ニッケル、モリブデン、インジウム錫酸化物から形成されていることで、基板からの導電配線の剥がれを防止することができる。
【0029】
また、上記電極基板は、上記の課題を解決するために、上記導電配線が、低抵抗膜と、該低抵抗膜上に形成される耐腐食性を有する導電材料からなる酸化防止膜とを含むことが好ましい。このような酸化防止膜によって、低抵抗膜の形成後に施される各種の処理による低抵抗膜の腐食を防止することができる。このような酸化防止膜としては、タンタル、クロム、ニッケル、モリブデン等の耐腐食性のある金属が用いられる。
【0030】
さらに、上記の課題を解決するために、上記低抵抗膜は銅からなることが好ましい。この場合、上記低抵抗膜としては、銅、アルミニウム、金、銀等を用いることができるが、そのなかでも、銅、アルミニウムが好ましく、さらにそのなかでも、銅は、抵抗値、加工性およびコストの面で低抵抗膜に特に適している。
【0031】
本発明の電極基板の製造方法は、上記の課題を解決するために、基板上に複数の導電配線を形成する第1工程と、上記導電配線が形成された上記基板上に上記導電配線並びに上記導電配線間を覆う樹脂膜を形成する第2工程と、少なくとも上記導電配線の表面の一部を露出させるように、上記樹脂膜における上記導電配線を覆う部分を除去する第3工程と、上記導電配線の露出により上記導電配線端部周辺部に上記樹脂膜によって形成される***部の高さと導電配線が形成されていない部分における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差、並びに、上記***部の高さと導電配線の表面の高さとの差が共に0.11μm以下となるように、上記***部を部分的に除去する第4工程と、上記樹脂膜および上記導電配線上に上記導電配線と導電接触する電極膜を形成する第5工程とを備えていることを特徴としている。
【0032】
上記の製造方法によれば、第3工程で上記導電配線の表面の一部を露出させる際に上記導電配線端部周辺部に上記樹脂膜によって形成される***部の高さと導電配線が形成されていない部分における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差、並びに、上記***部の高さと導電配線の表面の高さとの差が、共に0.11μm以下となるように、上記***部を部分的に除去することで、樹脂膜における表面の平坦性および樹脂膜の表面と導電配線の表面との間の平坦性を高く確保することができる。それゆえ、第5工程において、電極膜も樹脂膜および導電配線の上でほぼ平坦に形成される。
【0033】
したがって、液晶表示素子に上記の諸工程で製造された電極基板を用いる場合、電極膜上にさらに設けられる各種の膜も平坦に形成することができる。それゆえ、液晶の配向性およびスイッチング特性を良好に維持することができる。
【0034】
本発明によれば、上記の方法を用いることで、導電配線の形成されていない部分における樹脂膜の厚さを、上記導電配線の厚さより厚くまたは薄く形成しても、電極膜上にさらに設けられる各種の膜も平坦に形成することができ、液晶の配向性およびスイッチング特性を良好に維持することができる。
【0035】
すなわち、本発明の電極基板の製造方法は、上記の課題を解決するために、製造方法としての実用性の面から、特に、上記第2工程で、上記樹脂膜を上記導電配線の厚さより厚く形成するか、または、上記第2工程で、上記樹脂膜を上記導電配線の厚さより薄く形成することが好ましい。
【0036】
そして、上記第2工程で、上記樹脂膜を上記導電配線の厚さより薄く形成する場合には、上記第4工程で、上記導電配線端部周辺部に上記樹脂膜によって形成される***部の高さと上記導電配線の形成されていない部分における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差が0.05μm以下となるように上記***部を部分的に除去することが特に好ましく、上記第2工程で、上記樹脂膜を上記導電配線の厚さより薄く形成する場合には、上記第4工程で、上記***部の高さと導電配線の表面の高さとの差が0.05μm以下となるように上記***部を部分的に除去することが特に好ましい。
【0037】
上記の製造方法では、第2工程で導電配線より厚いあるいは薄い樹脂膜が形成されると、第1工程で形成された導電配線は樹脂膜に覆われている。そこで、第3工程にて、導電配線の表面の一部を露出させるように、樹脂膜の一部を除去する。そして、第4工程において、導電配線に対する樹脂膜の厚さに応じて上記***部を部分的に除去することで、樹脂膜における表面の平坦性および樹脂膜の表面と導電配線の表面との間の平坦性を、簡素な方法にてより一層高く確保することができる。それゆえ、第5工程において、電極膜も樹脂膜および導電配線の上でほぼ平坦に形成される。したがって、上記の方法によれば、液晶の配向性およびスイッチング特性をさらに安定して良好に維持することができる電極基板を製造することができる。
【0038】
また、上記電極基板の製造方法は、上記第3および第4工程がフォトプロセスを含んでいることが好ましい。より具体的には、上記第3および第4工程をフォトリソグラフィー、熱処理などを含むフォトプロセスにて行うことが好ましい。これにより、樹脂膜の平坦化のために特別な処理装置および長時間に及ぶ処理を必要としない。
【0039】
この場合、上記樹脂膜は感光性樹脂により形成することが好ましい。感光性樹脂により形成された樹脂膜は、フォトプロセスによる加工が容易である。また、第4工程で***部を除去するためには、熱処理(樹脂膜の焼成)を行う際に形状が変化しやすいアクリル系感光性樹脂が適している。
【0040】
また、本発明にかかる上記電極基板の製造方法は、上記の課題を解決するために、上記第2および第3工程の間に、上記導電配線の表面を除いた上記樹脂膜上を覆う保護膜を形成する工程をさらに備えていることが好ましい。このような保護膜を設けることによって、第3工程で樹脂膜を除去する際に、例えばドライエッチングを用いる場合、樹脂膜において除去する必要のない部分を保護することができる。
【0041】
この場合、上記電極基板の製造方法は、上記第3および第4工程がドライエッチング工程を含んでいることが好ましい。より具体的には、上記第3および第4工程をドライエッチングにて行うことが好ましい。ドライエッチングとしては、特に、酸素プラズマエッチングまたは酸素イオンエッチングが好適であり、これらを用いた場合、エッチングが等方的に進行するエッチング特性によって、保護膜のパターニング部から、さらに導電配線の両側端部の方に樹脂膜が除去される。それゆえ、導電配線の表面だけでなく、その周辺の樹脂膜も容易に除去することができる。
【0042】
また、この場合、上記樹脂膜は非感光性樹脂により形成することが好ましい。非感光性樹脂としては、例えばアクリル系樹脂が好適であり、これを用いれば、上記の酸素プラズマエッチングまたは酸素イオンエッチングによって、容易に樹脂膜を除去することができる。
【0043】
上記の保護膜としては、酸化シリコンまたは窒化シリコンにより形成することが好ましい。酸化シリコンまたは窒化シリコンは酸素プラズマおよび酸素イオンによるエッチングに耐性を有するので、酸化シリコンまたは窒化シリコンによっ
て形成された保護膜は、樹脂膜のエッチングにおけるマスクとして機能する。
【0044】
さらに、本発明にかかる上記電極基板の製造方法は、上記の課題を解決するために、上記第4工程を研磨によっても行うことが好ましい。つまり、上記第4工程が上記フォトプロセスまたはドライエッチング工程に加えてさらに研磨工程を含んでいることが好ましい。第4工程では、前述のように、具体的には、フォトプロセスまたはドライエッチングによって***部が除去されるが、この段階で***部は十分小さくなっている。したがって、その第4工程に研磨を用いることによって、少ない研磨回数で***部をほぼ完全に除去することができる。
【0045】
さらに、本発明にかかる上記電極基板の製造方法は、上記の課題を解決するために、上記第4および第5工程の間に、酸によって上記導電配線の表面処理を行う工程をさらに備えていることが好ましい。第4工程までの処理で、導電配線には、酸化膜や樹脂膜形成時に残留した樹脂薄膜が形成されている。そこで、酸によって導電配線の表面処理を行うことによって、上記の不要な膜が除去される。したがって、導電配線と電極膜との導電接触性を十分確保することができる。
【0046】
また、本発明にかかる上記電極基板の製造方法では、上記の課題を解決するために、上記第1工程において、インジウム錫酸化物からなる下地膜を形成し、その上に銅からなる低抵抗膜を形成し、上記下地膜をドライエッチングでパターニングすることが好ましい。インジウム錫酸化物からなる下地膜は、液晶表示素子において一般に樹脂やガラスによって形成される基板と銅との双方の密着性に優れている。それゆえ、低抵抗膜の形成前に下地膜を形成することによって、基板からの導電配線の剥がれを防止することができる。また、下地膜をアルゴンプラズマなどによるドライエッチングを用いてエッチングすることによって、インジウム錫酸化物のオーバーエッチングが不要になるだけでなく、インジウム錫酸化物を介する電気的リークを防止することができる。したがって、安価に電極の低抵抗化を図ることができるとともに、液晶表示素子の歩留りを向上させることができる。
【0047】
また、本発明にかかる上記電極基板の製造方法は、上記の課題を解決するために、上記第5工程において、上記導電配線を完全に覆うように上記電極膜を形成することが好ましい。これにより、電極膜を覆うようにさらに形成される他の膜、例えば絶縁膜または配向膜の形成において、電極膜が導電配線を保護する役割を果たす。したがって、導電配線の劣化を防止することができる。
【0048】
本発明の参考にかかる液晶表示素子は、上記の課題を解決するために、対向する一対の電極基板の間に液晶を挟持してなる液晶表示素子において、少なくとも一方の電極基板が、上述した電極基板であることを特徴としている。該液晶表示素子は、上述したように、高い平坦性が確保された電極基板を用いるので、液晶の配向性およびスイッチング特性を良好に維持することができる。したがって、高コントラストかつ均一な表示特性を得ることができるとともに、上述した電極基板がそれぞれ備える優れた性能を併せて備えている。
【0049】
また、本発明にかかる液晶表示素子は、上記の課題を解決するために、対向する一対の電極基板の間に液晶を挟持してなる液晶表示素子において、少なくとも一方の電極基板が、上述した方法によって製造された電極基板であることを特徴としている。該液晶表示素子においても、上記の液晶表示素子と同様、上述したように、高い平坦性が確保された電極基板を用いるので、液晶の配向性およびスイッチング特性を良好に維持することができる。したがって、高コントラストかつ均一な表示特性を得ることができるとともに、上述した電極基板がそれぞれ備える優れた性能を併せて備えている。
【0050】
本発明にかかるこれら液晶表示素子は、上記電極基板の一方の上に形成され、他方の電極基板と接合されることによって、両電極基板間の間隔を一定に保持する壁状のスペーサを備えていることが好ましい。これら液晶表示素子は、上記のように、電極基板の平坦性が高いので、スペーサにおける電極基板との接合部分の面積が十分大きく確保され、液晶表示素子の外圧に対する強度を高めることができる。したがって、本発明によれば、実用上で液晶表示素子に作用する外圧による配向乱れをなくし、表示品位を向上させることができる。
【0051】
本発明にかかる上記液晶表示素子における上記スペーサの上端面の面積に対する、他方の電極基板と接着する上記スペーサの上端面の有効接着面積の割合は、好ましくは65%以上であり、本発明によれば、従来よりも実用的かつ簡素な構成あるいは容易な方法により、70%以上、より一層好適には80%以上の値をも達成することができる。
【0052】
また、上記液晶表示素子は、上記液晶が強誘電性液晶であることが好ましい。強誘電性液晶を用いることによって、その配向性およびスイッチング特性をより良好に維持することができる。
【0053】
本発明の参考にかかる上記液晶表示素子は、上述した構成により、上記電極基板の配向乱れを生じる最低圧力が、使用可能最低圧力である10kg/cm2を余裕で上回る20kg/cm2以上、より一層好適には25kg/cm2以上という高い値をも達成することができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1(a)ないし図5並びに図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0055】
本実施の形態に係る液晶表示素子は、図5に示すように、電極基板1・2と、液晶層3とを備えている。
【0056】
電極基板1・2は、図示しない壁状のスペーサ(後述する)や球状のスペーサにより所定の間隔に保たれ、図示しないシール剤により、その周辺部において互いに貼り合わされて接着固定されている。そして、電極基板1・2の間に形成される空間には、強誘電性液晶など(他に反強誘電性液晶であってもよい)の液晶材料が充填されることにより、液晶層3が形成されている。強誘電性液晶は、高速応答が可能でメモリ性を有するなどの優れた特性を持つことから、大容量かつ高精細な画像を表示することが可能となる。また、電極基板1・2のそれぞれの外面には、偏向軸が互いに直交するように配置された図示しない偏光板が、電極基板1・2を挟むように貼り付けられている。
【0057】
電極基板1は、透明基板5と、カラーフィルタ層6と、オーバーコート膜7と、絶縁層8と、走査電極9…と、絶縁膜10と、配向膜11とを有している。
【0058】
透明基板5は、ポリメチルメタクリレートのような透明樹脂、ガラスなどの透明材料からなる。カラーフィルタ層6は、透明基板5上に形成されており、カラーフィルタ6a…と、カラーフィルタ6a…間に配置されるブラックマトリクス6b…によって構成されている。カラーフィルタ層6は、赤・緑・青のカラーフィルタ6a…とブラックマトリクス6b…とが平行かつ交互に接して設けられている。オーバーコート膜7は、アクリル樹脂系の材料からなり、カラーフィルタ層6を覆うように設けられている。
【0059】
絶縁層8は、アクリル系ポジ型感光性樹脂からなり、オーバーコート膜7上にストライプ状に形成されている。絶縁層8の隙間には、ストライプ状の導電配線13…が設けられている。導電配線13は、Cuなどの低抵抗の金属材料によって形成されている。また、導電配線13は、オーバーコート膜7および上記の金属材料との密着性の良好なインジウム錫酸化物(ITO)などの導電材料からなる密着層と、上記の金属材料からなる層との組み合わせで構成されていてもよい。
【0060】
なお、電極基板2において、上記の密着層は、透明基板14に対しても良好な密着性を示す。
【0061】
透明電極としての走査電極9…は、ITOのような透明の導電材料からなり、互いに平行なストライプ状でカラーフィルタ層6上に設けられている。また、走査電極9…は、それぞれが導電配線13…と個々に導電接触するように、導電配線13…上に配置されている。
【0062】
絶縁膜10は、SiO2(酸化シリコン)、SiN(窒化シリコン)などの絶縁材料からなり、走査電極9…を覆うように設けられている。
【0063】
配向膜11は、ポリイミド、ナイロン、ポリビニルアルコールなどの有機高分子からなる膜またはSiO2 斜方蒸着膜などからなり、絶縁膜10上に形成されている。配向膜11は、ラビングなどの一軸配向処理が施されており、例えば、有機高分子膜からなる場合には、一般的に、液晶分子が電極基板1に対してほぼ平行に配向するように配向処理がなされる。
【0064】
一方、電極基板2は、透明基板14と、絶縁層15と、信号電極16…と、絶縁膜17と、配向膜18とを有している。
【0065】
透明基板14および絶縁層15も、それぞれ透明基板5および絶縁層8と同じ材料からなっている。上記の絶縁層15の隙間には、導電配線13…と同様に構成されるストライプ状の導電配線19…が設けられている。透明電極としての信号電極16…は、走査電極9…と同じ導電材料からなり、互いに平行なストライプ状で走査電極9…と直交するように絶縁層15上に設けられている。また、信号電極16…は、それぞれが導電配線19…と個々に導電接触するように、導電配線19…上に配置されている。
【0066】
また、走査電極9…および信号電極16…が対向する領域により、図示しない画素領域が形成されている。この画素領域は、走査電極9と信号電極16とに電圧が印加されると、強誘電性液晶分子の配向状態が切り替わることにより、表示状態を明と暗とで変化させて表示を行うようになっている。
【0067】
絶縁膜17および配向膜18は、それぞれ絶縁膜10および配向膜11と同じ材料からなり、信号電極16…上に積層されている。
【0068】
ここで、上記の電極基板1・2の作製について説明する。
【0069】
まず、透明基板5上にカラーフィルタ層6およびアクリル樹脂からなるオーバーコート膜7を形成しておき、オーバーコート膜7上にスパッタ装置を用いてITOを膜厚30nmでスパッタリングする。一方、透明基板14上には、直接、上記と同様にしてITOを膜厚30nmでスパッタリングする。これによって、図1(a)に示すように、透明基板21(透明基板5・14)上に下地膜22aが形成される。
【0070】
なお、図1(a)においては、カラーフィルタ層6およびオーバーコート膜7の図示を省略している。
【0071】
引き続いて、下地膜22a上にCuをスパッタリングすることによって、金属膜22bを導電材料膜として形成する。このときの基板温度は100〜120℃であり、成膜速度は30〜50nm/minである。また、電極抵抗および後述の導電配線22の幅に基づいて、金属膜22bの厚さが1〜3μmとなるように金属膜22bの蒸着量を制御する。
【0072】
その後、下地膜22aおよび金属膜22b上に感光性樹脂としてのフォトレジスト23をロールコーターで成膜し、導電配線形成用のフォトマスクと紫外線露光装置とを用いたフォトリソグラフィーによってフォトレジスト23をストライプ状にパターニングする(図1(a))。そして、下地膜22aおよび金属膜22bが形成された透明基板21をリン酸・酢酸系エッチャントに室温で10分間浸漬することによって金属膜22bのエッチングを行う。さらに、下地膜22aにアルゴンプラズマによるエッチングを300Wで20分間施すことによって、図1(b)に示すように、ITO(下地膜22a)およびCu(金属膜22b)からなる導電配線22(導電配線13・19)が形成される。ドライエッチングによれば、ウエットエッチングの場合に必要であったITOのオーバーエッチングが不要になる上、隣接する後述の透明電極27・27の間でのエッチング不足による短絡部が形成されることがないので、電気的リークをなくすことができる。
【0073】
上記の製造プロセスにおいて、下地膜22aを形成する材料としてITOを挙げたが、勿論これ以外の材料を用いてもよい。このような材料としては、例えば、透明基板21との密着性の良好なTa、Cr、Ni、Moなどが考えられる。このような材料を用いた場合、ウエットエッチング以外にドライエッチングによっても下地膜22aをパターニングすることができる。
【0074】
また、導電配線22は、上記の例は2層の構造からなるが、図2に示すように、Cuからなる金属膜22b上にCuの酸化を防止するための酸化防止膜22cを形成した3層の構造からなっていてもよい。この酸化防止膜22cとして用いる金属種としては、下地膜22aの材料と同じTa、Cr、Ni、Moなどを使用することができる。
【0075】
導電配線22の厚さおよび幅は、導電配線22と後述の透明電極27(走査電極9および信号電極16)とによって構成される電極に必要とされる抵抗値(シート抵抗)に基づいて決定される。ただし、この抵抗値は、透明電極27の幅と導電配線22の厚さおよび幅との関係によって異なる。例えば、必要とされる抵抗値が0.1Ω/□、透明電極27の幅が300μmである場合、導電配線22の厚さは2μmであり、幅は30μmである。
【0076】
なお、金属膜22bの形成に用いられる材料としては、抵抗値および加工性の面で、Cu以外に、Al、AgまたはAuを用いることができるが、コストなどを考慮すれば、特にCuとAlが適している。
【0077】
次に、図1(c)に示すように、導電配線22が形成された透明基板21上にアクリル系ポジ型感光性樹脂(日本合成ゴム社製のHRCシリーズ)を、導電配線22の厚みである2μmより0.05μm厚くなるようにスピンコーターを用いて成膜することによって、感光性樹脂層24を形成する。そして、80℃で10分間、感光性樹脂層24をプリベークする。
【0078】
その後、図3(a)に示すように、感光性樹脂層24を、ストライプパターン25a…を有するフォトマスク25を用いて露光および現像し、さらに200℃で1時間ポストベークすることによって、図1(d)および図3(b)に示すように、金属膜22bの上面を露出させる。露光においては、フォトマスク25を透明基板21から100μm離れた位置に配置する(即ち、マスクギャップ100μm)とともに、ストライプパターン25a…が導電配線22の位置に合うようにフォトマスク25の位置を調整し、露光量を250mJに設定する。
【0079】
このように、感光性樹脂層24における金属膜22b上に***した部分を完全ではないが部分的に除去することによって、金属膜22bとほぼ同じ高さの絶縁層が形成される。
【0080】
フォトマスク25は、金属膜22bの幅(30μm)より4μm幅の狭いストライプパターン25a…を有しており、このストライプパターン25a…を介して光を通過させる。ストライプパターン25aの幅が金属膜22bの幅より狭いのは、フォトマスク25のアライメント誤差を許容するように、換言すれば、ストライプパターン25aが金属膜22bから外れないようにすることを目的としている。
【0081】
図3(a)に示すように、感光性樹脂層24は、金属膜22b上に山形に重なっており、金属膜22bの中央部では1.0μmの厚みを有し、金属膜22bの両側端部付近では0.3μmの厚みを有している。上記の処理においてアクリル系ポジ型感光性樹脂を用いた場合、感光性樹脂層24は、図3(b)に示すように、ストライプパターン25aの幅とほぼ等しく、かつなだらかにパターニングされている。具体的には、金属膜22bの両側端部、すなわち、金属膜22bにおける隣り合う金属膜22b側端部からその外側にかけて形成される感光性樹脂層24の***部の頂点の高さと金属膜22bの表面、すなわち、導電配線22の表面の高さとの差D2 (図11参照)は0.1μm以下であり、その***部の頂点の高さと感光性樹脂層24における導電配線22が形成されていないほぼ平坦な部分の高さとの差D1(図11参照)は0.05μm以下である。
【0082】
ここで、上記金属膜22bの両側端部周辺に形成される感光性樹脂層24の***部の高さと導電配線22の表面の高さとの差D2 とは、上記工程において得られた基板表面の表面形状を、段差計(タリステップ(テーラーホブソン社製))で、導電配線22の長手方向に対して垂直方向に少なくとも1画素以上の範囲に渡って測定することにより、該測定点での上記***部の高さと導電配線22の表面の高さとの差の最大値を計測し、それと同様の測定を基板全体に渡って行ったときの平均値を示し、本実施の形態では、上記と同様の測定を基板全体に渡って任意に合計で6点行ったときの平均値にて示す。
【0083】
同様に、上記***部の高さと感光性樹脂層24におけるほぼ平坦な部分の高さとの差D1 とは、上記工程において得られた基板表面の表面形状を、段差計(タリステップ(テーラーホブソン社製))で、導電配線22の長手方向に対して垂直方向に少なくとも1画素以上の範囲に渡って測定することにより、該測定点での上記***部の高さと感光性樹脂層24におけるほぼ平坦な部分の高さとの差の最大値を計測し、それと同様の測定を基板全体に渡って行ったときの平均値を示し、本実施の形態では、上記と同様の測定を基板全体に渡って任意に合計で6点行ったときの平均値にて示す。
【0084】
以下、後述する実施の形態並びに比較例において、差D1 ・D2 ・D3 ・D4とは、基板表面の表面形状を、上記の段差計で、導電配線の長手方向に対して垂直方向に少なくとも1画素以上の範囲に渡って測定することにより各段差(差D1 ・D2 ・D3・D4 のうち、対応する段差)の最大値を計測し、それと同様の測定を基板全体に渡って任意に合計で6点行ったときの平均値にて示すものとする。
【0085】
即ち、本発明において、導電配線端部周辺部に形成される***部の高さと導電配線の形成されていない部分における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差、並びに、上記***部の高さと導電配線の表面の高さとの差とは、基板上の任意の複数の領域(具体的には、例えば任意の複数の異なる画素)において計測された各段差の各々の領域での最大値を平均した値を各々示している。
【0086】
ここで、アクリル系ポジ型感光性樹脂の代わりに、絶縁層の形成に通常用いられるポジ型フォトレジストを使用した場合、上記と同様にして、図3(a)に示すように、そのポジ型フォトレジストからなるフォトレジスト層26を露光、現像およびポストベークによってパターニングすれば、図3(c)に示す構造が得られる。具体的には、フォトレジスト層26は、ストライプパターン25aの幅とほぼ等しくパターニングされているが、金属膜22bの両側端部付近で、0.3μmの高さにほぼ垂直に切り立つ形状に加工されている。このように切り立った絶縁層の構造は、その上に形成される透明電極などを大きく***させるので、液晶の配向性に悪影響を及ぼすおそれが大きい。
【0087】
上記のように、材料(樹脂)の違いによって絶縁層の形状が異なるのは、露光および現像後に行われるポストベークによる形状の変化が大きく異なるためである。つまり、アクリル系ポジ型感光性樹脂は、ポジ型フォトレジストよりポストベークによって形状が大きく変化する。したがって、アクリル系ポジ型感光性樹脂を用いることによって、絶縁層における金属配線22の両側端部およびその付近の突起を小さくし、絶縁層の平坦性を向上させることができる。
【0088】
なお、上記の例では、アクリル系感光性樹脂としてポジ型を用いているが、ポストベークによる形状変化の大きい樹脂であればポジ型に限らず、ネガ型を用いてもよい。
【0089】
次に、図1(d)の工程を経た基板を2%の塩酸に10分間浸漬することによって、導電配線22…上の酸化膜および残留樹脂薄膜を除去する。この結果、導電配線22…と後述する透明電極27…との十分な電気的接触が確保される。
【0090】
そして、上記のようにしてパターニングされた感光性樹脂層24からなる絶縁層上に、ITOからなる透明導電膜をスパッタ装置によって形成し、この透明導電膜にフォトレジストを用いたフォトリソグラフィーとエッチング処理とを施す。これによって、図1(e)に示すように、導電配線22と導電接触するストライプ状の透明電極27…が形成される。このとき、透明電極27が導電配線22を完全に覆うように透明導電膜をパターニングすることが好ましい。これによって、透明電極27を覆うようにさらに形成される絶縁膜10・17の形成において、透明電極27が導電配線22を保護する役割を果たす。
【0091】
ここで、上記のフォトレジストを剥離せずに、ITOと同じ厚さでSiをスパッタ装置を用いたスパッタリングによって成膜する。そして、透明電極27…上のSiの膜をフォトレジストとともにリフトオフすることによって、透明電極27…の間に、Siからなる平坦化部28…が形成される。このような平坦化部28…を設けることによって、透明電極27と感光性樹脂層24との間の段差をなくすことができる。
【0092】
続いて、導電配線22上にSiO2からなる絶縁膜(絶縁膜10・17)およびポリイミドからなる配向膜(配向膜11・18)をこの順に形成し、配向膜にラビングによる一軸配向処理を施す。
【0093】
このようにして、図4(a)および(b)に示すような電極基板1・2が作製される。なお、図4(a)においては、便宜上、カラーフィルタ層6およびオーバーコート膜7を省略している。
【0094】
電極基板2には、配向膜18上に、セルギャップを一定に制御するために、壁状のスペーサ4…が信号電極16の長手方向と平行に形成されている。各スペーサ4は、信号電極16の画素領域を形成する部分における光の透過を遮らないように、導電配線19の上方の領域に配置されている。また、スペーサ4の上端面には、接着剤が約0.1〜0.2μm塗布されており、これによって接着層20が形成されている。
【0095】
そして、走査電極9…と信号電極16…とが互いに直交するように、電極基板1・2を対向させた状態で、電極基板1・2をその周辺部に塗布されるシール材および上記の接着層20によって貼り合わせる。そして、両基板1・2間に強誘電性液晶を注入することによって液晶層3を形成する。
【0096】
上記のようにして作製された液晶表示素子では、走査電極9…および信号電極16…に駆動電圧が印加されると、両電極間でショートが発生することはなく、また画素領域に付与される信号の波形が鈍ることもほとんどない。しかも、基板表面の平坦性が高いので、強誘電性液晶が均一に配向される結果、コントラストの高い表示を実現することができる。
【0097】
また、先端が円形の加圧部を有する加圧装置で液晶表示素子の表面を圧力を変えて加圧することによって、外圧が配向に及ぼす影響を調べたところ、表1に示すように、25kg/cm2の圧力で配向の乱れが生じることが観察された。つまり、本液晶表示素子は、実用上不都合のない程度の、外圧に対する配向安定性を備えている。
【0098】
また、電極基板1・2の上記の作製方法では、アクリル系ポジ型感光性樹脂をスピンコーターを用いて成膜するので、短時間で感光性樹脂層24を形成することができる。加えて、感光性樹脂層24の一部を除去するために行われる熱処理、すなわちプリベークおよびポストベークも、前述のLPD法によってSiO2膜を形成する場合ほどの長時間を要することがない。しかも、導電配線22および平坦な感光性樹脂層24(絶縁層)を形成するために、電極基板の作製に一般的に用いられているフォトリソグラフィーおよびエッチングという手法を用いているので、電極基板の作製工程が複雑化しない。
【0099】
〔実施の形態2〕
本発明の第2の実施の形態について図6ないし図9(a)、図9(b)、および図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、本実施の形態において前記の実施の形態1と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記してその説明を省略する。
【0100】
本実施の形態に係る液晶表示素子は、図6に示すように、電極基板1の絶縁層8上に保護膜31が形成されていることと、電極基板2の絶縁層15上に同様な保護膜32が形成されていることを除いて、実施の形態1の液晶表示素子と同じ構造をなしている。電極基板1・2において、保護膜31・32は、絶縁層8・15をそれぞれ保護するために設けられており、SiO2 、SiNなどの絶縁材料からなる。また、絶縁層8・15は、シリコン系樹脂によって形成されている。
【0101】
ここで、上記の電極基板1・2の作製について説明する。
【0102】
まず、図7(a)および図7(b)に示すように、透明基板21に導電配線22を形成するが、この工程は、実施の形態1における図1(a)および図1(b)に示す工程と同じである。
【0103】
図7(c)に示すように、導電配線22が形成された透明基板21上にアクリル系樹脂を、導電配線22の厚みである2μmより0.05μm厚くなるようにスピンコーターを用いて成膜することによって、樹脂層41を形成する。そして、樹脂層41を、80℃で5分間プリベークし、引き続いて240℃で1時間ポストベークする。さらに、樹脂層41(樹脂膜)上にSiO2 をスパッタ装置を用いて300〜1000Åの厚さに成膜することで保護膜としてのSiO2 膜42を形成する。このSiO2 膜42は、後述する酸素プラズマを用いたドライエッチング(酸素プラズマエッチング)の際のマスクとしての役割を果たす。すなわち、樹脂層41を除去する工程において、例えばドライエッチングを用いる場合、樹脂層41において除去する必要のない部分を保護することができる。
【0104】
次に、SiO2 膜42の上にポジ型フォトレジスト43をロールコーターによって成膜し、実施の形態1で用いたフォトマスク25(図3参照)と同じフォトマスク(図示せず)を用いることによってポジ型フォトレジスト43を露光する。このとき、フォトマスクを透明基板21から100μm離れた位置に配置し、ストライプパターンが導電配線22の位置に合うようにフォトマスクの位置を調整する。
【0105】
ここで用いるフォトマスクも、前述のフォトマスク25と同様、金属膜22bの幅(30μm)より4μm幅の狭いストライプパターンを有している。したがって、ストライプパターンが金属膜22bから外れないようにして露光を行うことができる。
【0106】
露光の後、ポジ型フォトレジスト43に現像およびポストベークの処理を行う。このときのポストベークは、130℃で20分間行う。そして、上記の透明基板21を1%のフッ酸溶液に浸漬することによって、SiO2 膜42のエッチングを行う。このようにして、図8(a)に示すように、SiO2 膜42における導電配線22の上方の部分が除かれる。
【0107】
その後、酸素プラズマエッチングによってSiO2 膜42の除去された部分から樹脂層41を導電配線22の上面までドライエッチングする。これによって、図7(d)に示すように、導電配線22の上面を露出させることができる。
【0108】
ここで、上記の酸素プラズマエッチング処理について、より詳しく説明する。
【0109】
まず、図8(a)に示すSiO2膜42のパターニングが完了した状態から、酸素プラズマエッチングを300Wの出力で10分間施して、樹脂層41を導電配線22の上面までエッチングすると、図8(b)に示すように、SiO2 膜42に覆われている樹脂層41は、SiO2 膜42のパターニング部からわずかに内側にエッチングされている。
【0110】
さらに、酸素プラズマエッチングを同出力で5〜10分間持続すると、酸素プラズマエッチングが等方的に進行するため、SiO2 膜42に覆われている樹脂層41は、図8(b)に示す状態からさらにエッチングされる。つまり、導電配線22の上面に残るアクリル系樹脂がエッチングされるとともに、導電配線22の中央部から両側端部に向かう方向に樹脂層41がエッチングされる。この結果、図8(c)に示すように、アクリル系樹脂が、SiO2 膜42におけるパターニング部の端部近傍から2〜3μm程度エッチングされる。
【0111】
このようにして、導電配線22上の全てのアクリル系樹脂および導電配線22の両側端部近傍で***するアクリル系樹脂が除去される。また、SiO2 膜42に覆われていた樹脂層41の一部が上記のように除去されると、その上のSiO2 膜42は支えを失うので、図8(d)に示すように除去される。
【0112】
樹脂層41の除去(ドライエッチング)を、酸素プラズマエッチングの代わりに酸素イオンエッチングで行ってもよい。酸素イオンエッチングによっても、酸素プラズマエッチングと同程度に樹脂層41をエッチングすることができる。このように、酸素プラズマエッチングまたは酸素イオンエッチングを用いるので、樹脂層41が非感光性のシリコン系樹脂で形成されていても、容易に樹脂層41を除去することができる。
【0113】
SiO2 は、酸素プラズマエッチングおよび酸素イオンエッチングに耐性を有するので、SiO2 膜42をエッチングにおけるマスクとして利用することができる。それゆえ、エッチングのために別途マスクを用いる必要がない。これは、後述するように、SiNで保護膜を形成する構造でも同様である。
【0114】
以上のようなエッチング処理によって、樹脂層41すなわち絶縁層は、その平坦面から***する部分が大きく削除されるので、良好な平坦性が確保される。上記のように作製された基板の表面の段差値(すなわち、図11に示す差D1 、D2 )を測定すると、その値は実施の形態1の基板と同程度である。このように、上記の基板は、実施の形態1の基板とほぼ同様な表面形状を有している。
【0115】
そして、ITOからなる透明導電膜をSiO2膜42および導電配線22…上に形成し、その透明導電膜にフォトレジストを用いたフォトリソグラフィーとエッチング処理とを施す。これによって、図7(e)に示すように、導電配線22と導電接触するストライプ状の透明電極27…が形成される。
【0116】
SiO2 膜42のエッチングおよび透明導電膜の形成は、同一の真空槽内で連続して行われる。これによって、両工程の処理に要する時間を短縮することができる。
【0117】
その後の工程では、実施の形態1と同様にして、液晶表示素子を作製していく。すわなち、導電配線22上に絶縁膜(絶縁膜10・17)および配向膜(配向膜11・18)をこの順に形成し、配向膜にラビングによる一軸配向処理を施す。
【0118】
このようにして、図9(a)および(b)に示すような電極基板1・2が作製される。なお、図9(a)においては、便宜上、カラーフィルタ層6およびオーバーコート膜7を省略している。
【0119】
電極基板2には、実施の形態1の電極基板2と同様に、配向膜18上に、スペーサ4…を形成する。走査電極9…と信号電極16…とが互いに直交するように、電極基板1・2を対向させた状態で、電極基板1・2をその周辺部に塗布されるシール材および上記の接着層20によって貼り合わせる。そして、両基板1・2間に強誘電性液晶を注入することによって液晶層3を形成する。
【0120】
上記のようにして作製された液晶表示素子では、走査電極9…および信号電極16…に駆動電圧が印加されると、実施の形態1の液晶表示素子と同様、両電極間でショートが発生することはなく、また画素領域に付与される信号の波形が鈍ることもほとんどない。しかも、基板表面の平坦性が高いので、強誘電性液晶が均一に配向される結果、コントラストの高い表示を実現することができる。また、外圧が配向に及ぼす影響を調べたところ、表1に示すように、24kg/cm2の圧力で配向の乱れが生じることが観察された。
【0121】
しかも、上記の図7(c)の工程において、SiO2 の代わりにSiNを用いて保護膜が形成された液晶表示素子においても、上記の液晶表示素子と同様、品質の向上が図られる。すなわち、両電極間のショートの発生がなく、また信号波形が鈍ることもほとんどない。しかも、基板表面の高い平坦性によって強誘電性液晶の配向が均一化され、これによってコントラストの高い表示を実現することができる。また、外圧に対する配向乱れについても、SiO2 を用いた場合と同程度の結果が得られた。
【0122】
電極基板1・2の上記の作製方法では、アクリル系樹脂をロールコーターを用いて成膜するので、短時間で樹脂層41を形成することができる。加えて、樹脂層41の一部を除去するために行われる熱処理、すなわちプリベークおよびポストベークも、前述のLPD法によってSiO2 膜を形成する場合ほどの長時間を要することがない。しかも、導電配線22および平坦な樹脂層41(絶縁層)を形成するために、電極基板の作製に一般的に用いられているフォトリソグラフィーおよびエッチングという手法を用いているので、電極基板の作製工程が複雑化しない。
【0123】
なお、本実施の形態では、樹脂層41の材料としてアクリル系樹脂を用いたが、酸素プラズマエッチングまたは酸素イオンエッチングで除去することができる樹脂材料であれば、アクリル系樹脂に限定されない。
【0124】
〔実施の形態3〕
本発明の第3の実施の形態について図1(a)ないし図1(e)、図4(a)および図4(b)、図10および図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、本実施の形態において前記の実施の形態1と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記してその説明を省略する。
【0125】
本実施の形態に係る液晶表示素子は、アクリル系ポジ型感光性樹脂をパターニングした後にポストベークを行うまでは、実施の形態1と同様の工程(図1(a)ないし図1(d))で作製される。
【0126】
その後の工程では、図10に示すラッピングテープ61(3M社製の♯20000)をサンシン社製の研磨装置(図示せず)に設置し、導電配線22の両側端部上における感光性樹脂層24の***部P(図11参照)をラッピングテープ61によって5回研磨する。このとき、ラッピングテープ61がローラ62によって、図1(a)ないし図1(d)と同様の工程で作製された電極基板63に押し付けられた状態で、ラッピングテープ61と電極基板63とをそれぞれ矢印方向に移動させる。ラッピングテープ61は、その表面に研磨剤がコーティングされた樹脂フィルムからなる。また、この研磨における条件は、20kgの研磨重量、900mm/minのテープ移動速度および300mm/minの基板移動速度である。
【0127】
上記の研磨の結果、上記の***部Pがほぼ完全に除去される。つまり、感光性樹脂層24において、導電配線22の形成されていない部分の平坦な表面より高く***した部分が、ほとんど全て除去される。
【0128】
この結果、本実施の形態の液晶表示素子における電極基板表面は、本実施の形態を含む全ての実施の形態において最も良好な平坦性を備えるようになる。平坦性は、図4(b)に示すスペーサ4の上端面の面積に対する、電極基板1と接着するスペーサ4の上端面の有効接着面積(実際に接着した面積)の割合で表される。表1に示すように、本実施の形態の場合、他の実施の形態の場合と比べて、最も大きい有効接着面積(83%)を得ることができる。したがって、電極基板1・2が強固に固定されて、外圧による配向乱れの影響を受けにくくなる。具体的には、液晶表示素子に圧力を加えて外圧による配向乱れの影響を調べた結果、表1に示すように、配向乱れを生じさせる最低の圧力は、全ての実施の形態のうち最も高い28kg/cm2であった。
【0129】
そして、実施の形態1と同様の工程(図1(e)ならびに図4(a)および(b)参照)を経ることによって、ITO膜の形成以降の工程が行われる。このようにして作製された液晶表示素子は、走査電極9…および信号電極16…に電圧が印加されると、実施の形態1の液晶表示素子と同様、両電極間のショートの発生がなく、また信号波形が鈍ることもほとんどない。しかも、基板表面の平坦性が高いので、均一に配向される結果、コントラストの高い表示を実現することができる。
【0130】
なお、本実施の形態では、図1(d)に示すように、予め、フォトプロセスで感光性樹脂層24の***部Pをある程度除去しているので、図10に示すように、その後の研磨によって***部Pを除去する際に、わずかな研磨回数で***部Pを完全に除去することができる。これにより、平坦性の高い研磨部材を使用しなくても、良好な平坦性を得ることができる。
【0131】
ここで、基板表面の平坦性について、より詳細に述べる。
【0132】
本実施の形態に係る液晶表示素子においては、図11に示すように、感光性樹脂層24が導電配線22より厚く形成されるので、この状態から上記のような研磨を施すと、***部Pの頂点の高さと感光性樹脂層24の表面における平坦な部分の高さとの差D1 は0.01μmになり、***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D2 は0.06μmになる。
【0133】
これに対し、表1に示すように、実施の形態1および2の基板表面の平坦性については、差D1 が0.05μm以下になり、差D2 が0.1μm以下になるという結果が得られた。このように、本実施の形態で得られる基板表面の平坦性は、実施の形態1および2のそれより高いことがわかる。
【0134】
〔実施の形態4〕
本発明の第4の実施の形態について図1(a)ないし図1(e)、図3および図12に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、本実施の形態において前記の実施の形態1と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記してその説明を省略する。
【0135】
本実施の形態に係る液晶表示素子は、以下の工程(i) および(ii)を除いて、実施の形態1と同様の工程(図1(a)ないし図1(e))で作製される。(i) 導電配線22上にアクリル系ネガ型感光性樹脂(日本合成ゴム社製のJNPCシリーズ)を、導電配線22の厚みである2μmより0.05μm薄くなるようにスピンコーターを用いて成膜することによって、図12に示すように、感光性樹脂層51を形成する。(ii)図3(a)および(b)に示すように、実施の形態1で用いたフォトマスク25の白黒の部分を入れ替えたフォトマスク52を使用して、感光性樹脂層51の一部を除去する。
【0136】
導電配線22上の感光性樹脂層51が除去された状態では、図12および表1に示すように、導電配線22上に***する感光性樹脂層51の***部Pの頂点の高さと感光性樹脂層51の表面における平坦な部分の高さとの差D3 は0.1μmであり、かつ上記の***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D4 は0.05μmである。
【0137】
上記のようにして作製された液晶表示素子は、実施の形態1と同様に、走査電極9および信号電極16に電圧に印加されると、両電極間でショートが発生することはなく、また画素領域に付与される信号の波形が鈍ることもほとんどない。しかも、基板の平坦性が高いので、均一な配向が得られる結果、コントラストの高い表示を実現することができる。また、外圧による配向の乱れへの影響を測定したところ、表1に示すように、22kg/cm2で配向の乱れが観察された。したがって、本液晶表示素子も、実用上不都合のない程度の、外圧に対する配向安定性を備えている。
【0138】
〔実施の形態5〕
本発明の第5の実施の形態について図7および図12に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、本実施の形態において前記の実施の形態2と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記してその説明を省略する。
【0139】
本実施の形態に係る液晶表示素子は、次の工程を除いて、実施の形態2と同様の工程(図7(a)ないし図7(e))で作製される。すなわち、この工程では、導電配線22が形成された透明基板21上にアクリル系樹脂を、導電配線22の厚さである2μmより0.05μm薄くなるようにスピンコーターを用いて成膜することによって、図12に示すように、感光性樹脂層53を形成する。
【0140】
導電配線22上の感光性樹脂層53が除去された状態では、図12および表1に示すように、導電配線22上に***する感光性樹脂層53の***部Pの頂点の高さと感光性樹脂層53の表面における平坦な部分の高さとの差D3 は0.1μmであり、かつ上記の***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D4 は0.05μmである。
【0141】
上記のようにして作製された液晶表示素子は、実施の形態2の液晶表示素子と同様に、走査電極9…および信号電極16…に電圧が印加されると、両電極間でショートが発生することはなく、また画素領域に付与される信号の波形が鈍ることもほとんどない。しかも、基板の平坦性が高いので、均一な配向が得られる結果、コントラストの高い表示を実現することができる。また、外圧による配向の乱れへの影響を測定したところ、21kg/cm2で配向の乱れが観察された。したがって、本液晶表示素子も、実用上不都合のない程度の、外圧に対する配向安定性を備えている。
【0142】
なお、実施の形態1および2の基板構造(感光性樹脂層が導電配線より厚く形成される構造)は、実施の形態4および5の基板構造(感光性樹脂層が導電配線より薄く形成される構造)と比較して、スペーサによる基板同士の接着ではほぼ同程度の接着力を示すが、より平坦性を高めようとする場合の容易さでは優れている。
【0143】
〔比較例1〕
ここで、実施の形態1の液晶表示素子に対する比較例について説明する。
【0144】
本比較例に係る液晶表示素子は、次の工程を除いて、実施の形態1と同様の工程で作製される。導電配線22が形成された透明基板21上にアクリル系ポジ型感光性樹脂を、導電配線22の膜厚である2μmより0.15μm厚くなるようにスピンコーターを用いて成膜することによって、図11に示すように、感光性樹脂層54を形成する。
【0145】
導電配線22上の感光性樹脂層54が除去された状態では、図11および表1に示すように、導電配線22上に***する感光性樹脂層54の***部Pの頂点の高さと感光性樹脂層54の表面における平坦な部分の高さとの差D1 は0.05μmであり、かつ上記の***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D2 は0.20μmである。
【0146】
上記のようにして作製された液晶表示素子は、実施の形態1と同様に、走査電極9…および信号電極16…に電圧が印加されると、電気的なショートが生じることはなく、表1に示すように、外圧による配向の乱れへの影響およびスペーサ4の前記有効接着面積も実施の形態1と比較しても問題はない。しかしながら、上記の差D2 が大きいために形成される、導電配線22上の窪んだ部分を起点として配向の乱れが発生した。
【0147】
〔比較例2〕
次に、実施の形態4の液晶表示素子に対する比較例について説明する。
【0148】
本比較例に係る液晶表示素子は、次の工程を除いて、実施の形態1と同様の工程で作製される。導電配線22が形成された透明基板21上にアクリル系ネガ型感光性樹脂(日本合成ゴム社製のJNPCシリーズ)を、導電配線22の膜厚である2μmより0.15μm薄くなるように、スピンコータを用いて成膜することによって図12に示すように、感光性樹脂層55を形成する。
【0149】
導電配線22上の感光性樹脂層55が除去された状態では、図12および表1に示すように、導電配線22上に***する感光性樹脂層55の***部Pの頂点の高さと感光性樹脂層55の表面における平坦な部分の高さとの差D3 は0.20μmであり、かつ上記の***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D4 は0.05μmである。
【0150】
上記のようにして作製された液晶表示素子においては、走査電極9…および信号電極16…に電圧が印加されると、電気的なショートは生じないものの、外圧による配向の乱れへの影響を測定したところ、8kg/cm2の圧力が加わると配向の乱れが起こった。この圧力は、実用上問題なく(配向乱れがなく)液晶表示素子を使用するための最低の圧力(ほぼ10kg/cm2)を下回っている。また、本液晶表示素子を分解して、両電極基板1・2の接着状態を観察すると、スペーサ4の有効接着面積は、表1に示すように、スペーサ4の上端面の面積の約1/6(15%)であり、実際に接着していた部分は、対向する電極基板1の表面において***の大きい導電配線13付近(すなわち、導電配線22付近)にのみ分布していた。このように、本液晶表示素子は、実用に供することができない程度に外圧に対する配向の安定性が低い。
【0151】
なお、前述の各実施の形態では、本発明を液晶表示素子に適用した例について説明したが、本発明は、液晶表示素子に限らず表示以外の目的で使用される液晶素子または液晶以外の媒体を用いた類似の素子にも適用される。
【0152】
〔実施の形態6〕
本発明の第6の実施の形態について図1(a)ないし図1(e)および図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、本実施の形態において前記の実施の形態1と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記してその説明を省略する。
【0153】
本実施の形態に係る液晶表示素子は、次の工程を除いて、実施の形態1と同様の工程(図1(a)ないし図1(e))で作製される。すなわち、この工程では、導電配線22が形成された透明基板21上にアクリル系ポジ型感光性樹脂を、導電配線22の厚さである2μmとほぼ同じ厚さになるようにスピンコーターを用いて成膜した。この結果、導電配線22の膜厚より0.01μm厚く成膜された感光性樹脂層24を形成した。
【0154】
この感光性樹脂層24の一部を、表1に示すように露光条件(マスクギャップおよび露光量)を調整することにより、以下に示すように除去した。つまり、導電配線22上の感光性樹脂層24が除去された状態では、図11および表1に示すように、導電配線22両側端部周辺に***する感光性樹脂層24の***部Pの頂点の高さと感光性樹脂層24の表面における平坦な部分の高さとの差D1 は0.1μmであり、かつ上記の***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D2 は0.11μmである。
【0155】
上記のようにして作製された液晶表示素子は、実施の形態1の液晶表示素子と同様に、走査電極9…および信号電極16…に電圧が印加されると、両電極間でショートが発生することはない。また、外圧による配向の乱れへの影響を測定したところ、15kg/cm2で配向の乱れが観察された。したがって、本液晶表示素子も、実用上不都合のない程度の、外圧に対する配向安定性を備えている。つまり、本液晶表示素子は、表1に示すように、外圧による配向の乱れへの影響および前記したスペーサ4の有効接着面積は実施の形態1と比較すると何れも劣るが、配向乱れを生じる最低圧力は、実用上問題なく(配向乱れがなく)液晶表示素子を使用するための最低の圧力(ほぼ10kg/cm2)を上回っていると共に、初期配向の乱れも確認されなかった。
【0156】
〔実施の形態7〕
本発明の第7の実施の形態について図1(a)ないし図1(e)および図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、本実施の形態において前記の実施の形態1と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記してその説明を省略する。
【0157】
本実施の形態に係る液晶表示素子は、次の工程を除いて、実施の形態1と同様の工程(図1(a)ないし図1(e))で作製される。すなわち、この工程では、導電配線22が形成された透明基板21上にアクリル系ポジ型感光性樹脂を、導電配線22の厚さである2μmより若干厚くなるようにスピンコーターを用いて成膜することによって、段差測定の結果、導電配線22の膜厚より0.02μm厚く成膜された感光性樹脂層24を形成した。
【0158】
この感光性樹脂層24の一部を、表1に示すように露光条件を調整することにより、以下に示すように除去した。つまり、導電配線22上の感光性樹脂層24が除去された状態では、図11および表1に示すように、導電配線22両側端部周辺に***する感光性樹脂層24の***部Pの頂点の高さと感光性樹脂層24の表面における平坦な部分の高さとの差D1 は0.07μmであり、かつ上記の***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D2 は0.09μmである。
【0159】
上記のようにして作製された液晶表示素子は、実施の形態1の液晶表示素子と同様に、走査電極9…および信号電極16…に電圧が印加されると、両電極間でショートが発生することはない。また、外圧による配向の乱れへの影響を測定したところ、20kg/cm2で配向の乱れが観察された。したがって、本液晶表示素子も、実用上不都合のない程度の、外圧に対する配向安定性を備えている。つまり、本液晶表示素子は、表1に示すように、外圧による配向の乱れへの影響および前記したスペーサ4の有効接着面積は実施の形態1と比較すると何れも劣るが、配向乱れを生じる最低圧力は、実用上問題なく(配向乱れがなく)液晶表示素子を使用するための最低の圧力(ほぼ10kg/cm2)を上回る20kg/cm2を示している。この値は、実施の形態6に記載の液晶表示素子よりも大きく、実施の形態6に記載の液晶表示素子より基板表面の平坦性が良いことを反映している。
【0160】
〔実施の形態8〕
本発明の第8の実施の形態について図1(a)ないし図1(e)および図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、本実施の形態において前記の実施の形態1と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記してその説明を省略する。
【0161】
本実施の形態に係る液晶表示素子は、次の工程を除いて、実施の形態1と同様の工程(図1(a)ないし図1(e))で作製される。すなわち、この工程では、導電配線22が形成された透明基板21上にアクリル系ポジ型感光性樹脂を、導電配線22の厚さである2μmとほぼ同じ厚さになるようにスピンコーターを用いて成膜した。この結果、導電配線22の膜厚より0.01μm厚く成膜された感光性樹脂層24を形成した。
【0162】
この感光性樹脂層24の一部を、表1に示すように露光条件を調整することにより、以下に示すように除去した。つまり、導電配線22上の感光性樹脂層24が除去された状態では、図11および表1に示すように、導電配線22両側端部周辺に***する感光性樹脂層24の***部Pの頂点の高さと感光性樹脂層24の表面における平坦な部分の高さとの差D1 は0.04μmであり、かつ上記の***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D2 は0.05μmである。
【0163】
上記のようにして作製された液晶表示素子は、実施の形態1の液晶表示素子と同様に、走査電極9…および信号電極16…に電圧が印加されると、両電極間でショートが発生することはない。しかも、本液晶表示素子は、表1に示すように、外圧による配向の乱れへの影響およびスペーサ4の前記有効接着面積が共に実施の形態1よりも優れ、特に、上記の***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D2 が小さく、導電配線22付近での接着性に優れたものであった。また、外圧による配向の乱れへの影響を測定したところ、配向乱れを生じる最低圧力は、27kg/cm2と高いものであった。
【0164】
〔実施の形態9〕
本発明の第9の実施の形態について図1(a)ないし図1(e)および図12に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、本実施の形態において前記の実施の形態4と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記してその説明を省略する。
【0165】
本実施の形態に係る液晶表示素子は、次の工程を除いて、実施の形態1と同様の工程(図1(a)ないし図1(e))で作製される。すなわち、この工程では、導電配線22が形成された透明基板21上にアクリル系ポジ型感光性樹脂を、導電配線22の厚さである2μmとほぼ同じ厚さになるようにスピンコーターを用いて成膜した。この結果、図12に示すように導電配線22の膜厚より0.01μm薄く成膜された感光性樹脂層56を形成した。
【0166】
この感光性樹脂層56の一部を、表1に示すように露光条件を調整することにより、以下に示すように除去した。つまり、導電配線22上の感光性樹脂層56が除去された状態では、図12および表1に示すように、導電配線22両側端部周辺に***する感光性樹脂層56の***部Pの頂点の高さと感光性樹脂層56の表面における平坦な部分の高さとの差D3 は0.11μmであり、かつ上記の***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D4 は0.1μmである。
【0167】
上記のようにして作製された液晶表示素子は、実施の形態1の液晶表示素子と同様に、走査電極9…および信号電極16…に電圧が印加されると、両電極間でショートが発生することはない。また、外圧による配向の乱れへの影響を測定したところ、14kg/cm2で配向の乱れが観察された。したがって、本液晶表示素子も、実用上不都合のない程度の、外圧に対する配向安定性を備えている。つまり、本液晶表示素子は、表1に示すように、外圧による配向の乱れへの影響およびスペーサ4の前記有効接着面積は実施の形態1および4と比較すると何れも劣るが、配向乱れを生じる最低圧力は、実用上問題なく(配向乱れがなく)液晶表示素子を使用するための最低の圧力(ほぼ10kg/cm2)を上回っていると共に、初期配向の乱れも確認されなかった。
【0168】
〔実施の形態10〕
本発明の第10の実施の形態について図1(a)ないし図1(e)および図12に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、本実施の形態において前記の実施の形態4と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記してその説明を省略する。
【0169】
本実施の形態に係る液晶表示素子は、次の工程を除いて、実施の形態1と同様の工程(図1(a)ないし図1(e))で作製される。すなわち、この工程では、導電配線22が形成された透明基板21上にアクリル系ポジ型感光性樹脂を、導電配線22の厚さである2μmとほぼ同じ厚さになるようにスピンコーターを用いて成膜した。この結果、図12に示すように導電配線22の膜厚より0.01μm薄く成膜された感光性樹脂層56を形成した。
【0170】
この感光性樹脂層56の一部を、表1に示すように露光条件を調整することにより、以下に示すように除去した。つまり、導電配線22上の感光性樹脂層56が除去された状態では、図12および表1に示すように、導電配線22両側端部周辺に***する感光性樹脂層56の***部Pの頂点の高さと感光性樹脂層56の表面における平坦な部分の高さとの差D3 は0.07μmであり、かつ上記の***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D4 は0.06μmである。
【0171】
上記のようにして作製された液晶表示素子は、実施の形態1の液晶表示素子と同様に、走査電極9…および信号電極16…に電圧が印加されると、両電極間でショートが発生することはない。しかも、本液晶表示素子は、表1に示すように、外圧による配向の乱れへの影響およびスペーサ4の前記有効接着面積が共に実施の形態4よりも優れ、配向乱れを生じる最低圧力は、実用上問題なく(配向乱れがなく)液晶表示素子を使用するための最低の圧力(ほぼ10kg/cm2)を大きく上回る23kg/cm2を示している。この値は、実施の形態4に記載の液晶表示素子よりも大きく、実施の形態4に記載の液晶表示素子より基板表面の平坦性が良いことを反映している。
【0172】
〔実施の形態11〕
本発明の第11の実施の形態について図1(a)ないし図1(e)および図12に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、本実施の形態において前記の実施の形態4と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記してその説明を省略する。
【0173】
本実施の形態に係る液晶表示素子は、次の工程を除いて、実施の形態1と同様の工程(図1(a)ないし図1(e))で作製される。すなわち、この工程では、導電配線22が形成された透明基板21上にアクリル系ポジ型感光性樹脂を、導電配線22の厚さである2μmより若干薄くなるようにスピンコーターを用いて成膜することによって、図12に示すように、段差測定の結果、導電配線22の膜厚より0.02μm薄く成膜された感光性樹脂層56を形成した。
【0174】
この感光性樹脂層56の一部を、表1に示すように露光条件を調整することにより、以下に示すように除去した。つまり、導電配線22上の感光性樹脂層56が除去された状態では、図12および表1に示すように、導電配線22両側端部周辺に***する感光性樹脂層56の***部Pの頂点の高さと感光性樹脂層56の表面における平坦な部分の高さとの差D3 は0.05μmであり、かつ上記の***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D4 は0.03μmである。
【0175】
上記のようにして作製された液晶表示素子は、実施の形態1の液晶表示素子と同様に、走査電極9…および信号電極16…に電圧が印加されると、両電極間でショートが発生することはない。しかも、本液晶表示素子は、表1に示すように、外圧による配向の乱れへの影響およびスペーサ4の前記有効接着面積が共に実施の形態4よりも優れ、配向乱れを生じる最低圧力は、実用上問題なく(配向乱れがなく)液晶表示素子を使用するための最低の圧力(ほぼ10kg/cm2)を大きく上回る26kg/cm2を示している。この値は、実施の形態4に記載の液晶表示素子よりも大きく、実施の形態4に記載の液晶表示素子より基板表面の平坦性が良いことを反映している。
【0176】
〔比較例3〕
ここで、実施の形態1の液晶表示素子に対する他の比較例について説明する。
【0177】
本比較例に係る液晶表示素子は、次の工程を除いて、実施の形態1と同様の工程で作製される。導電配線22が形成された透明基板21上にアクリル系ポジ型感光性樹脂を、導電配線22の膜厚である2μmより若干厚くなるようにスピンコーターを用いて成膜することによって、図11に示すように、段差測定の結果、導電配線22の膜厚より0.02μm厚く成膜された感光性樹脂層54を形成した。
【0178】
この感光性樹脂層54の一部を、表1に示すように露光条件を調整することにより、以下に示すように除去した。つまり、導電配線22上の感光性樹脂層54が除去された状態では、図11および表1に示すように、導電配線22両側端部周辺に***する感光性樹脂層54の***部Pの頂点の高さと感光性樹脂層54の表面における平坦な部分の高さとの差D1 は0.15μmであり、かつ上記の***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D2 は0.17μmである。
【0179】
上記のようにして作製された液晶表示素子は、実施の形態1と同様に、走査電極9…および信号電極16…に電圧が印加されると、電気的なショートが生じることはないものの、表1に示すように、外圧による配向の乱れへの影響を測定したところ、7kg/cm2の圧力が加わると配向の乱れが生じた。この圧力は、実用上問題なく(配向乱れがなく)液晶表示素子を使用するための最低の圧力(ほぼ10kg/cm2)を下回っている。また、スペーサ4の前記有効接着面積は、表1に示すように、スペーサ4の上端面の面積の約1/6(15%)であり、実際に接着していた部分は、対向する電極基板1の表面において、対向する電極基板1の表面において***の大きい導電配線13(すなわち、導電配線22)付近(***部)並びに上記***部から離れた部分にのみ分布していた。このように、本液晶表示素子は、実用に供することができない程度に外圧に対する配向の安定性が低い。
【0180】
〔比較例4〕
次に、実施の形態1の液晶表示素子に対するさらに他の比較例について説明する。
【0181】
本比較例に係る液晶表示素子は、次の工程を除いて、実施の形態1と同様の工程で作製される。導電配線22が形成された透明基板21上にアクリル系ポジ型感光性樹脂を、導電配線22の膜厚である2μmより0.05μm厚くなるようにスピンコーターを用いて成膜することによって、図11に示すように、感光性樹脂層54を形成した。
【0182】
この感光性樹脂層54の一部を、表1に示すように露光条件を調整することにより、以下に示すように除去した。つまり、導電配線22上の感光性樹脂層54が除去された状態では、図11および表1に示すように、導電配線22両側端部周辺に***する感光性樹脂層54の***部Pの頂点の高さと感光性樹脂層54の表面における平坦な部分の高さとの差D1 は0.1μmであり、かつ上記の***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D2 は0.15μmである。
【0183】
上記のようにして作製された液晶表示素子は、実施の形態1と同様に、走査電極9…および信号電極16…に電圧が印加されると、電気的なショートが生じることはないものの、表1に示すように、外圧による配向の乱れへの影響を測定したところ、10kg/cm2の圧力が加わると配向の乱れが生じた。本液晶表示素子は、スペーサ4の前記有効接着面積が表1に示すようにスペーサ4の上端面の面積の60%であるが、実用上問題なく(配向乱れがなく)液晶表示素子を使用するための最低の圧力がほぼ10kg/cm2であることから、10kg/cm2の圧力が加わると配向の乱れが生じる本液晶表示素子は、実用上好ましくない。しかも、比較例1と同様、本液晶表示素子でも、上記の差D2 が大きいために形成される、導電配線22上の窪んだ部分を起点として配向の乱れが発生した。
【0184】
〔比較例5〕
次に、実施の形態1の液晶表示素子に対するさらに他の比較例について説明する。
【0185】
本比較例に係る液晶表示素子は、次の工程を除いて、実施の形態1と同様の工程で作製される。導電配線22が形成された透明基板21上にアクリル系ポジ型感光性樹脂を、導電配線22の膜厚である2μmとほぼ同じ厚さになるようにスピンコーターを用いて成膜した。この結果、図11に示すように、導電配線22の膜厚より0.01μm厚く成膜された感光性樹脂層54を形成した。
【0186】
この感光性樹脂層54の一部を、表1に示すように露光条件を調整することにより、以下に示すように除去した。つまり、導電配線22上の感光性樹脂層54が除去された状態では、図11および表1に示すように、導電配線22両側端部周辺に***する感光性樹脂層54の***部Pの頂点の高さと感光性樹脂層54の表面における平坦な部分の高さとの差D1 は0.11μmであり、かつ上記の***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D2 は0.12μmである。
【0187】
上記のようにして作製された液晶表示素子は、実施の形態1と同様に、走査電極9…および信号電極16…に電圧が印加されると、電気的なショートが生じることはないものの、表1に示すように、外圧による配向の乱れへの影響を測定したところ、12kg/cm2の圧力が加わると配向の乱れが生じた。この圧力は、実用上問題なく(配向乱れがなく)液晶表示素子を使用するための最低の圧力(ほぼ10kg/cm2)を上回っている。また、スペーサ4の前記有効接着面積は、表1に示すように、スペーサ4の上端面の面積の約63%であり、実際に接着していた部分は、対向する電極基板1の表面において***の大きい導電配線13(すなわち、導電配線22)付近(***部)並びに上記***部から離れた部分にのみ分布していた。ところが、未接着部分を中心とした初期配向乱れが部分的に生じていた。このように、本液晶表示素子は、実用に供することができない程度に外圧に対する配向の安定性が低いものであった。
【0188】
〔比較例6〕
次に、実施の形態3の液晶表示素子に対する比較例について説明する。
【0189】
本比較例に係る液晶表示素子は、次の工程を除いて、実施の形態3と同様の工程で作製される。導電配線22が形成された透明基板21上にアクリル系ポジ型感光性樹脂を、導電配線22の膜厚である2μmより0.14μm薄くなるようにスピンコーターを用いて成膜することによって、図12に示すように、感光性樹脂層57を形成した。
【0190】
この感光性樹脂層57の一部を、表1に示すように露光条件を調整することにより、以下に示すように除去した。つまり、導電配線22上の感光性樹脂層57が除去された状態では、図12および表1に示すように、導電配線22両側端部周辺に***する感光性樹脂層57の***部Pの頂点の高さと感光性樹脂層57の表面における平坦な部分の高さとの差D3 は0.15μmであり、かつ上記の***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D4 は0.01μmである。
【0191】
上記のようにして作製された液晶表示素子は、実施の形態3と同様に、走査電極9…および信号電極16…に電圧が印加されると、電気的なショートが生じることはないものの、表1に示すように、外圧による配向の乱れへの影響を測定したところ、9kg/cm2の圧力が加わると配向の乱れが生じた。この圧力は、実用上問題なく(配向乱れがなく)液晶表示素子を使用するための最低の圧力(ほぼ10kg/cm2)を下回っている。また、スペーサ4の前記有効接着面積は、表1に示すように、スペーサ4の上端面の面積の約20%であり、実際に接着していた部分は、対向する電極基板1の表面において、***の大きい導電配線13(すなわち、導電配線22)付近(***部)にのみ分布していた。このように、本液晶表示素子は、実用に供することができない程度に外圧に対する配向の安定性が低い。
【0192】
〔比較例7〕
次に、実施の形態4の液晶表示素子に対するさらに他の比較例について説明する。
【0193】
本比較例に係る液晶表示素子は、次の工程を除いて、実施の形態1と同様の工程で作製される。導電配線22が形成された透明基板21上にアクリル系ポジ型感光性樹脂を、導電配線22の膜厚である2μmとほぼ同じ厚さになるようにスピンコーターを用いて成膜した。この結果、図12に示すように、導電配線22の膜厚より0.01μm薄く成膜された感光性樹脂層58を形成した。
【0194】
この感光性樹脂層58の一部を、表1に示すように露光条件を調整することにより、以下に示すように除去した。つまり、導電配線22上の感光性樹脂層58が除去された状態では、図12および表1に示すように、導電配線22両側端部周辺に***する感光性樹脂層58の***部Pの頂点の高さと感光性樹脂層58の表面における平坦な部分の高さとの差D3 は0.13μmであり、かつ上記の***部Pの頂点の高さと導電配線22の表面の高さとの差D4 は0.12μmである。
【0195】
上記のようにして作製された液晶表示素子は、実施の形態4と同様に、走査電極9…および信号電極16…に電圧が印加されると、電気的なショートが生じることはないものの、表1に示すように、外圧による配向の乱れへの影響を測定したところ、9kg/cm2の圧力が加わると配向の乱れが生じた。この圧力は、実用上問題なく(配向乱れがなく)液晶表示素子を使用するための最低の圧力(ほぼ10kg/cm2)を下回っている。また、スペーサ4の前記有効接着面積は、表1に示すように、スペーサ4の上端面の面積の約20%であり、実際に接着していた部分は、対向する電極基板1の表面において、***の大きい導電配線13(すなわち、導電配線22)付近(***部)並びに上記***部から離れた部分にのみ分布していた。このように、本液晶表示素子は、実用に供することができない程度に外圧に対する配向の安定性が低い。
【0196】
【表1】
【0197】
以上のように、実施の形態1ないし11並びに比較例1ないし7の結果、導電配線22端部周辺部に形成される***部Pの高さと上記導電配線22の形成されていない部分である導電配線22・22間における樹脂膜(感光性樹脂層)のほぼ平坦な表面の高さとの差(差D1 またはD3 )並びに、上記***部Pの高さと導電配線22の表面の高さとの差(差D2 またはD4 )が共に0.11μm以下の場合、平坦性に優れ、両電極間でショートが発生することはなく、また画素領域に付与される信号の波形が鈍ることもほとんどない。しかも、基板表面の平坦性が高いので、強誘電性液晶が均一に配向される結果、コントラストの高い表示を実現することができる。また、初期配向の乱れもなく、配向乱れが生じる最低圧力も液晶表示素子の使用可能最低圧力である10kg/cm2を上回っている。
【0198】
これに対し、比較例1ないし7に示すように、導電配線22端部周辺部に形成される***部Pの高さと上記導電配線22の形成されていない部分である導電配線22・22間における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差または上記***部Pの高さと導電配線22の表面の高さとの差が、何れか一方でも0.11μmを越えると、部分的に初期配向の乱れが生じるか、あるいは、配向乱れを生じる最低圧力が10kg/cm2を下回る。
【0199】
また、比較例2・3・6・7に示すように、配向乱れを生じる最低圧力とスペーサの上端面の面積に対する前記有効接着面積の割合との関係から、該有効接着面積の割合が60%を下回ると液晶表示素子の使用可能最低圧力である10kg/cm2を下回ることが判る。配向乱れを生じる最低圧力と前記有効接着面積の割合とから実用に耐えるパネル(液晶表示素子)を考えたとき、上記電極基板を用いた液晶表示素子において、配向乱れを生じる最低圧力は、最低でも10kg/cm2以上であり、余裕をもって15kg/cm2程度はあることが好ましく、20kg/cm2以上であることがより好ましく、25kg/cm2以上であることがより一層好ましい。
【0200】
そして、表1に示す配向乱れを生じる最低圧力と前記有効接着面積の割合との関係から、前記有効接着面積の割合は、65%以上であることが好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることがより一層好ましい。
【0201】
以上のように、本発明の電極基板は、基板上に形成された複数の導電配線と、上記導電配線間に形成された樹脂膜と、上記導電配線上に形成され、上記導電配線と導電接触する電極膜とを有し、上記差D1 またはD3 で表される、上記導電配線端部周辺部に上記樹脂膜によって形成される***部の高さと上記導電配線の形成されていない部分における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差の平均値、好ましくは最大値、並びに、上記差D2 またはD4 で表される、上記***部の高さと導電配線の表面の高さとの差の平均値、好ましくは最大値が共に0.11μm以下である構成を有している。
【0202】
上記の構成によれば、導電配線の両端部周辺で***した***部がないことが理想的ではあるが、樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さと***部の高さとの差が0.11μm以下、より好ましくは0.1μm以下、特に好ましくは0.05μm以下であれば、樹脂膜において十分高い平坦性が確保される。また、***部の高さと導電配線の表面の高さとの差が0.11μm以下、より好ましくは0.1μm以下、特に好ましくは0.05μm以下であれば、樹脂膜と導電配線との間についても十分高い平坦性が確保される。それゆえ、本電極基板が例えば液晶表示素子に用いられる場合、電極膜の上に形成される各種の膜も高い平坦性が確保されるので、液晶の配向性およびスイッチング特性を良好に維持することができる。つまり、導電配線の両端部周辺で***した樹脂膜の***部がある場合でも、上述したように、該***部の高さと上記導電配線の形成されていない部分における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差、並びに、上記***部の高さと導電配線の表面の高さとの差を0.11μm以下に抑えることで、平坦性に優れ、初期配向の乱れがなく、配向乱れが生じる最低圧力が実使用に耐える10kg/cm2を越える液晶表示素子を作製することができる。
【0203】
この場合、上記の差D1あるいはD3 と、差D2 あるいはD4 とは、上記導電配線の厚さに対する樹脂膜の厚さに応じて、何れか一方のみを測定することにより、得られる液晶表示素子について評価することができる。すなわち、上記導電配線の厚さに対する樹脂膜の厚さが厚いか薄いかによって、上記差D1 あるいはD3 と、差D2 あるいはD4 とのうち、何れか大きい方の段差を測定すればよい。例えば上記導電配線よりも樹脂膜の厚さが厚い場合は差D2 、上記導電配線よりも樹脂膜の厚さが薄い場合は差D3 を測定すればよい。つまり、上記差D1 あるいはD3 と、差D2 あるいはD4 とのうち、何れか段差が大きい方の段差が0.11μm以下であればよい。尚、電極基板製造時には、この規定を満たすように製造条件を設定することで、上述した性能に優れた液晶表示素子を得ることができるが、得られた電極基板がこの規定を満たさない場合には、この規定を満たすように、例えば上述した研磨等を行うことで、この規定を満たし、上述した性能に優れた液晶表示素子を得ることができる。
【0204】
本発明にかかる電極基板の一例としては、例えば、基板上に形成された所定の形状の導電配線と、該導電配線間に形成された樹脂膜と、該導電配線の上に形成され、該導電配線と導電接触する電極膜とを有する電極基板において、上記導電配線の形成されていない部分における樹脂膜の厚さが該導電配線の厚さより厚く、樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さと***部の高さとの差が0.05μm以下であり、かつ***部の高さと導電配線の表面の高さとの差が0.1μm以下である電極基板が挙げられる。
【0205】
また、本発明にかかる電極基板の他の一例としては、例えば、基板上に形成された所定の形状の導電配線と、該導電配線間に形成された樹脂膜と、該導電配線の上に形成され、該導電配線と導電接触する電極膜とを有する電極基板において、上記導電配線の形成されていない部分における樹脂膜の厚さが該導電配線の厚さより薄く、樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さと上記導電配線の両側端部周辺で***した上記樹脂膜の***部の高さとの差が0.1μm以下であり、かつ上記***部の高さと上記導電配線の表面の高さとの差が0.05μm以下である電極基板が挙げられる。
【0206】
本発明の電極基板の製造方法は、以上のように、以下の諸工程を備えている。これらの工程は、すなわち、
(1)基板上に複数の導電配線を形成する第1工程と、
(2)上記導電配線が形成された上記基板上に上記導電配線並びに上記導電配線間を覆う樹脂膜を形成する第2工程と、
(3)少なくとも上記導電配線の表面の一部を露出させるように、上記樹脂膜における上記導電配線を覆う部分を除去する第3工程と、
(4)上記導電配線の露出により上記導電配線端部周辺部に上記樹脂膜によって形成される***部の高さと導電配線が形成されていない部分における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差、並びに、上記***部の高さと導電配線の表面の高さとの差が共に0.11μm以下となるように、上記***部を部分的に除去する第4工程と、
(5)上記樹脂膜および上記導電配線上に上記導電配線と導電接触する電極膜を形成する第5工程である。
【0207】
上記の製造方法によれば、第3工程で上記導電配線の表面の一部を露出させる際に上記導電配線端部周辺部に上記樹脂膜によって形成される***部の高さと導電配線が形成されていない部分における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差、並びに、上記***部の高さと導電配線の表面の高さとの差が、共に0.11μm以下となるように、上記***部を部分的に除去することで、樹脂膜における表面の平坦性および樹脂膜の表面と導電配線の表面との間の平坦性を高く確保することができる。それゆえ、第5工程において、電極膜も樹脂膜および導電配線の上でほぼ平坦に形成される。
【0208】
したがって、液晶表示素子に上記の諸工程で製造された電極基板を用いる場合、電極膜上にさらに設けられる各種の膜も平坦に形成することができる。それゆえ、液晶の配向性およびスイッチング特性を良好に維持することができる。
【0209】
すなわち、導電配線の両端部周辺で***した樹脂膜の***部がある場合でも、上述したように、該***部の高さと上記導電配線の形成されていない部分における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差、並びに、上記***部の高さと導電配線の表面の高さとの差を0.11μm以下に抑えることで、平坦性に優れ、初期配向の乱れがなく、配向乱れが生じる最低圧力が実使用に耐える10kg/cm2を越える液晶表示素子を作製することができる。
【0210】
このため、樹脂膜の***部を完全に除去する従来の基板製造方法を使用しなくても、本発明にかかる電極基板の製造方法を用いれば、平坦性に優れる液晶表示素子を、容易かつ安価でしかも実用的な方法で製造することができる。
【0211】
また、上記の方法は、導電配線の形成されていない部分における樹脂膜の厚さを、上記導電配線の厚さより厚くまたは薄く形成することができる点で、より実用的かつ容易な方法ということができる。
【0212】
上記の方法において、上記第4工程にて***部を部分的に除去する際には、上記樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さと***部の高さとの差が0.1μm以下となるように***部を除去することがより好ましく、0.05μm以下となるように***部を除去することがさらに好ましい。また、***部の高さと導電配線の表面の高さとの差も、0.1μm以下となるように***部を除去することがより好ましく、0.05μm以下となるように***部を除去することがさらに好ましい。これにより、樹脂膜においてさらに高い平坦性が確保される。
【0213】
この場合、上記第2工程で、上記樹脂膜を上記導電配線の厚さより薄く形成する場合には、上記第4工程で、上記導電配線端部周辺部に上記樹脂膜によって形成される***部の高さと上記導電配線の形成されていない部分における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差が0.05μm以下となるように上記***部を部分的に除去することが特に好ましく、上記第2工程で、上記樹脂膜を上記導電配線の厚さより薄く形成する場合には、上記第4工程で、上記***部の高さと導電配線の表面の高さとの差が0.05μm以下となるように上記***部を部分的に除去することが特に好ましい。
【0214】
具体例として、本発明にかかる電極基板の一例として例示した前述の電極基板を形成する方法としては、以下の諸工程を備えた方法が挙げられる。これらの工程は、すなわち、
(1)基板上に導電配線を所定の形状に形成する第1工程、
(2)上記導電配線を含む上記基板上に上記導電配線の厚さより厚い樹脂膜を形成する第2工程、
(3)少なくとも上記導電配線の表面の一部を露出させるように、上記樹脂膜における上記導電配線を覆う部分を除去する第3工程、
(4)上記樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さと上記導電配線の両側端部周辺で***した上記樹脂膜の***部の高さとの差が0.05μm以下になり、かつ上記***部の高さと上記導電配線の表面の高さとの差が0.1μm以下になるように、上記***部を部分的に除去する第4工程、ならびに
(5)上記樹脂膜および上記導電配線上に上記導電配線と導電接触する電極膜を形成する第5工程である。
【0215】
また、具体例として、本発明にかかる電極基板の他の一例として例示した前述の電極基板を形成する方法としては、以下の諸工程を備えた方法が挙げられる。これらの工程は、すなわち、
(1)基板上に導電配線を所定の形状に形成する第1工程、
(2)上記導電配線を含む上記基板上に上記導電配線の厚さより薄い樹脂膜を形成する第2工程、
(3)少なくとも上記導電配線の表面の一部を露出させるように、上記樹脂膜における上記導電配線を覆う部分を除去する第3工程、
(4)上記樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さと上記導電配線の両側端部周辺で***した上記樹脂膜の***部の高さとの差が0.1μm以下になり、かつ上記***部の高さと上記導電配線の表面の高さとの差が0.05μm以下になるように、上記***部を部分的に除去する第4工程、ならびに
(5)上記樹脂膜および上記導電配線上に上記導電配線と導電接触する電極膜を形成する第5工程である。
【0216】
上記の各製造方法では、第2工程で導電配線より厚いあるいは薄い樹脂膜が形成されると、第1工程で形成された導電配線は樹脂膜に覆われている。そこで、第3工程にて、導電配線の表面の一部を露出させるように、樹脂膜の一部を除去するようになっている。上記の方法によれば、液晶の配向性およびスイッチング特性を良好に維持することができる前記例示の電極基板を製造することができる。
【0217】
以上のように、本発明にかかる液晶表示素子は、対向する一対の電極基板の間に液晶を挟持してなる液晶表示素子において、少なくとも一方の電極基板が、上述した本発明にかかる電極基板である構成である。
【0218】
該液晶表示素子は、上述したように、高い平坦性が確保された電極基板を用いるので、液晶の配向性およびスイッチング特性を良好に維持することができる。したがって、高コントラストかつ均一な表示特性を得ることができるとともに、上述した電極基板がそれぞれ備える優れた性能を併せて備えている。
【0219】
また、本発明にかかる液晶表示素子は、対向する一対の電極基板の間に液晶を挟持してなる液晶表示素子において、少なくとも一方の電極基板が、上述した方法によって製造された電極基板である構成である。
【0220】
該液晶表示素子においても、上記の液晶表示素子と同様、上述したように、高い平坦性が確保された電極基板を用いるので、液晶の配向性およびスイッチング特性を良好に維持することができる。したがって、高コントラストかつ均一な表示特性を得ることができるとともに、上述した電極基板がそれぞれ備える優れた性能を併せて備えている。
【0221】
【発明の効果】
以上のように、本発明の参考にかかる電極基板は、基板上に形成された複数の導電配線と、上記導電配線間に形成された樹脂膜と、上記導電配線上に形成され、上記導電配線と導電接触する電極膜とを有し、上記導電配線端部周辺部に上記樹脂膜によって形成される***部の高さと上記導電配線の形成されていない部分における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差、並びに、上記***部の高さと導電配線の表面の高さとの差が共に0.11μm以下である構成である。
【0222】
これにより、樹脂膜において高い平坦性が確保される一方、樹脂膜と導電配線との間についても高い平坦性が確保される。それゆえ、本電極基板が例えば液晶表示素子に用いられる場合、電極膜の上に形成される各種の膜も高い平坦性が確保されるので、液晶の配向性およびスイッチング特性を良好に維持することができる。したがって、上記の電極基板を採用することにより、高コントラストかつ均一な表示特性を得ることができるという効果を奏する。
【0223】
また、本発明の参考にかかる電極基板は、上記導電配線が、上記基板に対する密着性を有する導電材料からなる下地膜と、低抵抗膜とを含むことで、基板からの導電配線の剥がれを防止することができ、さらに、上記低抵抗膜が銅からなることで、低抵抗膜の抵抗値、加工性およびコストの面で優れている。したがって、上記の構成によれば、高品質の電極基板を提供することができるという効果を奏する。
【0224】
また、本発明の参考にかかる電極基板は、上記導電配線が、低抵抗膜と、該低抵抗膜上に形成される耐腐食性を有する導電材料からなる酸化防止膜とを含むことで、低抵抗膜の形成後に施される各種の処理による低抵抗膜の腐食を防止することができる。したがって、上記の方法によれば、導電配線の高い導電性を確保することができるという効果を奏する。さらに、上記低抵抗膜が銅からなることで、低抵抗膜の抵抗値、加工性およびコストの面で優れている。したがって、この場合、高品質の電極基板を提供することができるという効果を併せて奏する。
【0225】
本発明にかかる電極基板の製造方法は、以上のように、基板上に複数の導電配線を形成する第1工程と、上記導電配線が形成された上記基板上に上記導電配線並びに上記導電配線間を覆う樹脂膜を形成する第2工程と、少なくとも上記導電配線の表面の一部を露出させるように、上記樹脂膜における上記導電配線を覆う部分を除去する第3工程と、上記導電配線の露出により上記導電配線端部周辺部に上記樹脂膜によって形成される***部の高さと導電配線が形成されていない部分における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差、並びに、上記***部の高さと導電配線の表面の高さとの差が共に0.11μm以下となるように、上記***部を部分的に除去する第4工程と、上記樹脂膜および上記導電配線上に上記導電配線と導電接触する電極膜を形成する第5工程とを備えている方法である。
【0226】
これにより、樹脂膜における表面の平坦性および樹脂膜の表面と導電配線の表面との間の平坦性を高く確保することができる。それゆえ、液晶表示素子に上記の諸工程で製造された電極基板を用いる場合、電極膜上にさらに形成される各種の膜も平坦に形成することができる。それゆえ、液晶の配向性およびスイッチング特性を良好に維持することができる。したがって、上記の製造方法で電極基板を製造することによって、高コントラストかつ均一な表示特性を得ることができるという効果を奏する。
【0227】
本発明にかかる電極基板の製造方法は、製造方法としての実用性の面から、特に、上記第2工程で、上記樹脂膜を上記導電配線の厚さより厚く形成するか、または、上記第2工程で、上記樹脂膜を上記導電配線の厚さより薄く形成することが好ましい。上記の方法によれば、導電配線の形成されていない部分における樹脂膜の厚さを、上記導電配線の厚さより厚くまたは薄く形成しても、電極膜上にさらに設けられる各種の膜も平坦に形成することができ、より実用性が高く、容易な方法により、液晶の配向性およびスイッチング特性を良好に維持することができる電極基板を製造する方法を提供することができるという効果を奏する。
【0228】
このとき、上記第2工程で、上記樹脂膜を上記導電配線の厚さより薄く形成する場合には、上記第4工程で、上記導電配線端部周辺部に上記樹脂膜によって形成される***部の高さと上記導電配線の形成されていない部分における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差が0.05μm以下となるように上記***部を部分的に除去することが特に好ましく、上記第2工程で、上記樹脂膜を上記導電配線の厚さより薄く形成する場合には、上記第4工程で、上記***部の高さと導電配線の表面の高さとの差が0.05μm以下となるように上記***部を部分的に除去することが特に好ましい。
【0229】
このように、上記第4工程において、導電配線に対する樹脂膜の厚さに応じて上記***部を部分的に除去することで、樹脂膜における表面の平坦性および樹脂膜の表面と導電配線の表面との間の平坦性を、簡素な方法にてより一層高く確保することができる。それゆえ、第5工程において、電極膜も樹脂膜および導電配線の上でほぼ平坦に形成される。したがって、上記の方法によれば、液晶の配向性およびスイッチング特性をさらに安定して良好に維持することができる電極基板を製造することができるという効果を奏する。
【0230】
また、上記電極基板の製造方法は、上記第3および第4工程がフォトプロセスを含んでいることで、樹脂膜の平坦化のために特別な処理装置および長時間に及ぶ処理を必要としない。したがって、簡素な製造装置によって比較的短時間で段差のほとんどない基板構造を得ることができる。この結果、導電配線が絶縁層上の透明電極と導電接触するように絶縁層に形成される構造を実用的な方法で作製することができるという効果を奏する。この場合、上記樹脂膜を感光性樹脂により形成することで、フォトプロセスによって容易に樹脂膜を加工することができるという効果を併せて奏する。
【0231】
また、本発明にかかる上記電極基板の製造方法は、上記第2および第3工程の間に、上記導電配線の表面を除いた上記樹脂膜上を覆う保護膜を形成する工程をさらに備えていることで、第3工程で樹脂膜を除去する際に、例えばドライエッチングを用いる場合、樹脂膜において除去する必要のない部分を保護することができるという効果を奏する。
【0232】
この場合、上記第3および第4工程がドライエッチング工程を含んでいることで、等方的にエッチングが進行するので、保護膜のパターニング部から、さらに導電配線の両側端部の方に樹脂膜が除去されるという効果を奏する。それゆえ、導電配線の表面だけでなく、その周辺の樹脂膜も容易に除去することができる。また、この場合、上記樹脂膜を非感光性樹脂により形成することで、酸素プラズマエッチングまたは酸素イオンエッチングのようなドライエッチングによって、容易に樹脂膜を除去することができるという効果を併せて奏する。
【0233】
上記の保護膜としては、酸化シリコンまたは窒化シリコンにより形成することが好ましい。酸化シリコンまたは窒化シリコンは酸素プラズマおよび酸素イオンによるエッチングに耐性を有するので、上記の保護膜を酸化シリコンまたは窒化シリコンにより形成することで、酸素プラズマおよび酸素イオンによるエッチングに耐性を有する保護膜を得ることができ、それを樹脂膜のエッチングにおけるマスクとして利用することができるという効果を奏する。
【0234】
さらに、本発明にかかる上記電極基板の製造方法は、上記第4工程が研磨工程を含んでいることで、前述のように、フォトプロセスまたはドライエッチングによって***部が除去された後に十分小さくなった***部を研磨で除去することによって、少ない研磨回数で***部をほぼ完全に除去することができるという効果を奏する。
【0235】
さらに、本発明にかかる上記電極基板の製造方法は、上記第4および第5工程の間に、酸によって上記導電配線の表面処理を行う工程をさらに備えていることで、第4工程までの処理で、導電配線上に形成された酸化膜や樹脂膜形成時に残留した樹脂薄膜が酸による表面処理で除去される。したがって、導電配線と電極膜との導電接触性を十分確保することができるという効果を奏する。
【0236】
また、本発明にかかる上記電極基板の製造方法は、上記第1工程において、インジウム錫酸化物からなる下地膜を形成し、その上に銅からなる低抵抗膜を形成し、上記下地膜をドライエッチングでパターニングすることで、基板との密着性に優れたインジウム錫酸化物からなる下地膜を形成することができ、基板からの導電配線の剥がれを防止することができる。また、下地膜をアルゴンプラズマなどによるドライエッチングを用いてエッチングすることによって、インジウム錫酸化物のオーバーエッチングが不要になるだけでなく、インジウム錫酸化物を介する電気的リークが防止される。したがって、安価に電極の低抵抗化を図ることができるとともに、液晶表示素子の歩留りを向上させることができるという効果を奏する。
【0237】
また、本発明にかかる上記電極基板の製造方法は、上記第5工程において、上記導電配線を完全に覆うように上記電極膜を形成することで、電極膜を覆うようにさらに形成される他の膜、例えば絶縁膜または配向膜の形成において、電極膜が導電配線を保護する役割を果たす。したがって、導電配線の劣化を防止することができるという効果を奏する。
【0238】
本発明の参考にかかる液晶表示素子は、以上のように、対向する一対の電極基板の間に液晶を挟持してなる液晶表示素子において、少なくとも一方の電極基板が、上述した電極基板である構成である。該液晶表示素子は、上述したように、高い平坦性が確保された電極基板を用いるので、液晶の配向性およびスイッチング特性を良好に維持することができる。したがって、高コントラストかつ均一な表示特性を得ることができるとともに、上述した電極基板がそれぞれ備える優れた性能を併せて備えるという効果を奏する。
【0239】
また、本発明にかかる液晶表示素子は、以上のように、対向する一対の電極基板の間に液晶を挟持してなる液晶表示素子において、少なくとも一方の電極基板が、上述した方法によって製造された電極基板である構成である。該液晶表示素子においても、上記の液晶表示素子と同様、上述したように、高い平坦性が確保された電極基板を用いるので、液晶の配向性およびスイッチング特性を良好に維持することができる。したがって、高コントラストかつ均一な表示特性を得ることができるとともに、上述した電極基板がそれぞれ備える優れた性能を併せて備えるという効果を奏する。
【0240】
本発明にかかるこれら液晶表示素子は、上記電極基板の一方の上に形成され、他方の電極基板と接合されることによって、両電極基板間の間隔を一定に保持する壁状のスペーサを備えていることが好ましい。これにより、電極基板の平坦性が高くなるので、スペーサにおける電極基板との接合部分の面積が十分大きく確保される結果、液晶表示素子の外圧に対する強度を高めることができる。したがって、実用上で液晶表示素子に作用する外圧による配向乱れをなくし、表示品位を向上させることができるという効果を奏する。
【0241】
本発明にかかる上記液晶表示素子における上記スペーサの上端面の面積に対する、他方の電極基板と接着する上記スペーサの上端面の有効接着面積の割合は、好ましくは65%以上であり、本発明によれば、従来よりも実用的かつ簡素な構成あるいは容易な方法により、70%以上、より一層好適には80%以上もの値をも達成することができる。
【0242】
また、上記液晶表示素子は、上記液晶が強誘電性液晶であることが好ましい。これにより、配向性およびスイッチング特性をより良好に維持することができるという効果を奏する。
【0243】
本発明の参考にかかる上記液晶表示素子は、上述した構成により、上記電極基板の配向乱れを生じる最低圧力が、使用可能最低圧力である10kg/cm2を余裕で上回る20kg/cm2以上、より一層好適には25kg/cm2以上という高い値をも達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)ないし(e)は、本発明の実施の形態1、3、4および6〜11に係る電極基板の作製の各工程を示す断面図である。
【図2】 他の構造の導電配線を含む電極基板の構造を示す断面図である。
【図3】 (a)および(b)は、上記電極基板の作製におけるアクリル系ポジ型感光性樹脂からなる絶縁層の一部を除去する工程を示す断面図であり、(c)は、ポジ型フォトレジストからなる絶縁層の一部が除去された状態を示す断面図である。
【図4】 (a)および(b)は、図1(a)ないし(e)の工程で作製される2枚の電極基板の構造を示す斜視図である。
【図5】 上記電極基板を含む液晶表示素子の構造を示す断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態2に係る液晶表示素子の構造を示す断面図である。
【図7】 (a)ないし(e)は、本発明の実施の形態2および5に係る電極基板の作製の各工程を示す断面図である。
【図8】 (a)ないし(d)は、図7(a)ないし(e)に示す上記電極基板の作製におけるアクリル系樹脂からなる絶縁層の一部を除去する工程の詳細を示す断面図である。
【図9】 (a)および(b)は、図7(a)ないし(e)の工程で作製される2枚の電極基板の構造を示す斜視図である。
【図10】 本発明の実施の形態3において電極基板の***部を研磨する様子を示す斜視図である。
【図11】 感光性樹脂層が導電配線より厚く形成されている電極基板の構造を示す断面図である。
【図12】 感光性樹脂層が導電配線より薄く形成されている電極基板の構造を示す断面図である。
【図13】 (a)ないし(c)は、基板上に導電配線を形成する従来の第1の方法の各工程を示す断面図である。
【図14】 (a)ないし(d)は、基板上に導電配線を形成する従来の第2の方法の各工程を示す断面図である。
【図15】 (a)および(b)は、上記第2の方法におけるフォトリソグラフィーの工程で用いるフォトマスクの構造を示す平面図および正面図である。
【図16】 (a)ないし(d)は、基板上に導電配線を形成する従来の第3の方法の各工程を示す断面図である。
【図17】 (a)ないし(d)は、基板上に導電配線を形成する従来の第4の方法の各工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1・2 電極基板
3 液晶層
4 スペーサ
5・14・21 透明基板(基板)
9 走査電極(電極膜)
16 信号電極(電極膜)
12 保護膜
13・15・22 導電配線
22a 下地膜
22b 金属膜(低抵抗膜)
22c 酸化防止膜(腐食防止膜)
24 感光性樹脂層(樹脂膜)
27 透明電極(電極膜)
41 樹脂層(樹脂膜)
42 SiO2膜(保護膜)
51 感光性樹脂層(樹脂膜)
53〜58 感光性樹脂層(樹脂膜)
P ***部
D1 〜D4 差
Claims (14)
- 基板上に複数の導電配線を形成する第1工程と、
上記導電配線が形成された上記基板上に上記導電配線並びに上記導電配線間を覆う樹脂膜を形成する第2工程と、
少なくとも上記導電配線の表面の一部を露出させるように、上記樹脂膜における上記導電配線を覆う部分を除去する第3工程と、
上記導電配線の露出により上記導電配線端部周辺部に上記樹脂膜によって形成される***部の高さと導電配線が形成されていない部分における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差、並びに、上記***部の高さと導電配線の表面の高さとの差が共に0.11μm以下となるように、上記***部を部分的に除去する第4工程と、
上記樹脂膜および上記導電配線上に上記導電配線と導電接触する電極膜を形成する第5工程とを備えていることを特徴とする電極基板の製造方法。 - 上記第2工程で、上記樹脂膜を上記導電配線の厚さより厚く形成することを特徴とする請求項1記載の電極基板の製造方法。
- 上記第4工程で、上記導電配線端部周辺部に上記樹脂膜によって形成される***部の高さと上記導電配線の形成されていない部分における樹脂膜のほぼ平坦な表面の高さとの差が0.05μm以下となるように上記***部を部分的に除去することを特徴とする請求項2記載の電極基板の製造方法。
- 上記第2工程で、上記樹脂膜を上記導電配線の厚さより薄く形成することを特徴とする請求項1記載の電極基板の製造方法。
- 上記第4工程で、上記***部の高さと導電配線の表面の高さとの差が0.05μm以下となるように上記***部を部分的に除去することを特徴とする請求項4記載の電極基板の製造方法。
- 上記第2および第3工程の間に、上記導電配線の表面を除いた上記樹脂膜上を覆う保護膜を形成する工程をさらに備えていることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の電極基板の製造方法。
- 上記保護膜を酸化シリコンまたは窒化シリコンにより形成することを特徴とする請求項6記載の電極基板の製造方法。
- 上記第4工程が研磨工程を含んでいることを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載の電極基板の製造方法。
- 上記第4および第5工程の間に、酸によって上記導電配線の表面処理を行う工程をさらに備えていることを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載の電極基板の製造方法。
- 上記第1工程において、インジウム錫酸化物からなる下地膜を形成し、その上に銅からなる低抵抗膜を形成し、上記下地膜をドライエッチングでパターニングすることを特徴とする請求項1ないし9の何れか1項に記載の電極基板の製造方法。
- 上記第5工程において、上記導電配線を完全に覆うように上記電極膜を形成することを特徴とする請求項1ないし10の何れか1項に記載の電極基板の製造方法。
- 対向する一対の電極基板の間に液晶を挟持してなる液晶表示素子において、
少なくとも一方の電極基板が請求項1ないし11の何れか1項に記載の製造方法によって製造された電極基板であることを特徴とする液晶表示素子。 - 上記電極基板の一方の上に形成され、他方の電極基板と接合されることによって、両電極基板間の間隔を一定に保持する壁状のスペーサを備えていることを特徴とする請求項12に記載の液晶表示素子。
- 上記スペーサの上端面の面積に対する、他方の電極基板と接着する上記スペーサの上端面の有効接着面積の割合が70%以上であることを特徴とする請求項13記載の液晶表示素子。
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