この種のACアダプタは、携帯電話機などの本体に内蔵又は装着された二次電池を充電するために用いられる。二次電池はリチウムイオン電池であって良い。
図1に、ACアダプタ10が携帯電話機などの本体20に接続された状態を示す。ACアダプタ10は、抵抗値を持つケーブルを介して本体20に接続されている。ACアダプタ10は、陽極(カソード)11と陰極(アノード)12とを持ち、その端子間にアダプタ電圧VADPを発生している。
一方、本体20は、逆流防止ダイオードDと、トランジスタなどの充電制御素子Qと、二次電池21と、充電制御回路22とを有する。充電制御回路22は、充電制御素子Qを制御することによって、二次電池21の充電を制御する。充電制御回路22は、図示はしないが、その内部にレギュレータを持っている。二次電池21は電池電圧(充電電圧)VBATTを発生している。
図2に示されるように、ACアダプタのV−I特性は、定電流/定電圧特性をしている。
本体20の二次電池21を充電制御する場合、定電圧については、図1から明らかなように、ACアダプタ10と二次電池21との間に、ケーブルロス、接触抵抗によるロス、逆流防止ダイオードDのVfなどがあるので、充電電圧VBATTの精度が出ない。その為、上述したように、充電制御回路22はレギュレータを持っている。
また、ACアダプタ10のアダプタ電圧VADPは、上記の電圧ロスを発生する要因が最大にばらついても充電できる電圧を供給できるように、高めの電圧設定になっている。
この種のACアダプタは、トランスの一次巻線に印加される直流電圧をスイッチング素子によりオンオフする一次側回路と、トランスの二次巻線に誘起される電流を整流平滑化して二次側出力電圧を出力する二次側回路とを備えている。
このようなACアダプタにおいては、一次側回路と二次側回路とは、感電などの事故を防ぐために、電気的に絶縁分離されている必要がある。電気的に絶縁分離する手段としては、一般に、フォトカプラ又は絶縁トランスが使用される。また、ACアダプタにおいては、定電流制御と定電圧制御とを行う必要がある。このため、二次側回路で流れる電流の変化を定電流制御信号として、又、二次側出力電圧の変化を定電圧制御信号として一次側回路に戻す必要がある。この場合、定電流制御信号と定電圧制御信号とは、二次側回路からフォトカプラを介して一次側回路に戻される(帰還される)。
以下、図3を参照して、従来のACアダプタについて説明する。図示のスイッチング式ACアダプタは、一次側回路として、整流/平滑回路31、トランスTの一次巻線Np、スイッチング制御回路32、およびスイッチング(SW)素子33を含む。
AC電源から供給される入力AC電圧は、整流/平滑回路31で整流/平滑化され、入力直流電圧に変換される。この入力直流電圧は、トランスTの一次巻線Npに印加され、スイッチング素子33によってオンオフされる。このスイッチング素子33のオンオフは、スイッチング制御回路32から供給されるオンオフ制御信号によって制御される。
また、図示のACアダプタ回路は、二次側回路として、トランスTの二次巻線Nsおよび整流/平滑回路41を含む。トランスTの二次巻線Nsに誘起されたAC電圧は、整流/平滑回路41で整流/平滑化され、アダプタ電圧VADPを出力する。
二次側回路には、定電圧制御回路42、定電流制御回路43、および基準電圧発生回路44が設けられている。定電圧制御回路42は、アダプタ電圧VADPの変化を検出して、定電圧制御信号を出力する。この定電圧制御信号は、オアゲートGおよびフォトカプラPCを介して帰還信号として一次側回路に設けられたスイッチング制御回路32へ帰還される。定電流制御回路43は、二次側回路を流れる電流を検出して、定電流制御信号を出力する。この定電流制御信号も、オアゲートGおよびフォトカプラPCを介して帰還信号として一次側回路に設けられたスイッチング制御回路32へ帰還される。基準電圧発生回路44は、定電圧制御回路42および定電流制御回路43へ基準電圧を供給するためのものである。
アノード12には、抵抗器R1、R2の一端が接続されており、抵抗器R1の他端および抵抗器R2の他端は定電流制御回路43に接続されている。また、カソード11と抵抗器R2の他端との間には、アダプタ電圧VADPを分圧するための抵抗器R3、R4が直列に接続されている。抵抗器R3とR4との接続点からはアダプタ電圧VADPの分圧電圧が定電圧制御回路42に供給されている。基準電圧発生回路44はカソード11に接続されており、基準電圧発生回路44と抵抗器R2の他端との間には、基準電圧を分圧するための抵抗器R5、R6が直列に接続されている。抵抗器R5とR6との接続点からは、基準電圧の分圧電圧が定電流制御回路43に供給されている。
尚、トランスTには補助巻線NBが巻き回されており、補助巻線NBの一端は、スイッチング素子33、整流/平滑回路31及びスイッチング制御回路32に接続され、補助巻線NBの他端は、スイッチング制御回路32およびフォトカプラPCのフォトトランジスタのコレクタに接続されている。
とにかく、従来のACアダプタ10では、基準電圧発生回路44から発生された固定の基準電圧を用いて定電圧制御を行っている。
図4に定電圧制御回路42の構成を示す。定電圧制御回路42には、基準電圧発生回路44から固定の基準電圧(内部基準電圧)VREGが供給されると共に、抵抗器R3とR4との接続点からアダプタ電圧VADPの分圧電圧が供給される。
図示の定電圧制御回路42は、演算増幅器421とnpn形バイポーラトランジスタ422とから構成されている。演算増幅器421の反転入力端子には上記内部基準電圧VREGが供給される。演算増幅器421の非反転入力端子には上記アダプタ電圧VADPの分圧電圧が供給される。演算増幅器421の出力端子はnpn形バイポーラトランジスタ422のベースに接続されている。npn形バイポーラトランジスタ422のエミッタは接地され、コレクタはオアゲートG(図3)に接続されている。すなわち、npn形バイポーラトランジスタ422のコレクタから定電圧制御信号が出力される。
このように、定電圧制御回路42は、内部基準電圧VREGとアダプタ電圧VADPの分圧電圧とを比較し、外付けの抵抗器R3、R4を調整することで、アダプタ電圧VADPが設定電圧以上にならないように設定している。
図5に従来のACアダプタ10の充電特性を示す。横軸に時間t[h]を、縦軸に電圧V,電流Iを示している。電池電圧VBATTが低い間は、一定の充電電流Icで充電され、電池電圧VBATTが所定の電圧に達すると定電圧充電が行われる。図4に示されるように、アダプタ電圧VADPは電池電圧VBATTより常に高い。
最初に本発明の理解を容易にするために、上記特願2004−194825号(以下、「先願」という)に記載されているACアダプタについて説明する。
図7を参照して、先願の第1のACアダプタ10Aについて説明する。図示のACアダプタ10Aは、従来の基準電圧発生回路(以下、「第1の基準電圧発生回路」ともいう)44に加えて第2の基準電圧発生回路44Aをも使用すると共に定電圧制御回路42の代わりに電圧制御回路42Aを使用し、さらに−ΔI検出回路45が付加された点を除いて、図3に示した従来のACアダプタ10と同様の構成を有する。図3に示した構成要素と同様の機能を有するものには同一の参照符号を付して、説明の簡略化のためにそれらの説明については省略する。
第2の基準電圧発生回路44Aは、充電状態における基本動作として、徐々に第2の基準電圧を下げるように電圧調整を行う。この第2の基準電圧の降下に応答して、電圧制御回路42Aはアダプタ電圧VADPを下げるように制御する。
−ΔI検出回路45は、抵抗器R7を介してアノード12に接続されている。−ΔI検出回路45は、充電電流Icが設定電流値以下に減少したことを検出して、検出信号を第2の基準電圧発生回路44Aへ供給する。
第2の基準電圧発生回路44Aは、この検出信号に応答して、一旦第2の基準電圧を所定電圧だけ上昇させる。この第2の基準電圧の上昇に応答して、電圧制御回路42Aは、一旦アダプタ電圧VADPを所定電圧だけ上昇させるように動作する。
以下、図7に加えて図8をも参照して、ACアダプタ10Aの動作について説明する。図8は図7に図示したACアダプタ10Aの充電特性を示す図である。横軸に時間t[h]を、縦軸に電圧V,電流Iを示している。
定電流充電領域では、定電流制御回路43は常に充電電流Icを監視している。そして、この充電電流Icが一定となるように、定電流制御回路43は定電流制御信号を出力する。この定電流制御信号はオアゲートGおよびフォトカプラPCを介して帰還信号として一次側回路のスイッチング制御回路32へ帰還される。
このとき、電圧制御回路42Aは、第2の基準電圧発生回路44Aから供給される第2の基準電圧に応答して、徐々にアダプタ電圧VADPを下げるようにする。この時点では、充電電流Icは一定値を維持している。しかしながら、アダプタ電圧VADPと電池電圧VBATTとの電位差(VADP−VBATT)が必要最低限の電圧ΔVを割り込むと、充電電流Icが流せなくなり、充電電流Icは急激に減少する。この充電電流Icの急激な減少により設定電流値以下となったことを−ΔI検出回路45が検出すると、−ΔI検出回路45は検出信号を第2の基準電圧発生回路44Aに供給する。この検出信号に応答して、第2の基準電圧発生回路44Aは第2の基準電圧を一旦所定電圧だけ上昇させる。定電圧制御回路42Aは、この第2の基準電圧の上昇に応答して、アダプタ電圧VADPを一旦所定電圧だけ上昇させるように動作する。
以降、これを繰り返しながら、二次電池21の充電が行われる。これにより、常に必要最低限電位差ΔVを保持することができる。尚、繰り返し周期は、例えば約100ミリ秒であり、上昇させる所定電圧は、例えば約100mVである。また、充電電流Icの急激な減少の値は、例えば30〜50mAの範囲である。
このため、従来のACアダプタ10においては、定電圧充電領域では、アダプタ電圧VADPは規定の電圧値をもっていたが(図5参照)、先願の第1のACアダプタ10Aでは、随時必要最低限電位差ΔVに調整しながら充電している。このため、先願の第1のACアダプタ10Aにおいては、従来のACアダプタ10において問題となっていた、定電流充電領域から定電圧充電領域に移行する際のアダプタ電圧VADPの跳ね上がりが発生しない。換言すれば、先願の第1のACアダプタ10Aは、定電流充電時のアダプタ電圧VADPと電池電圧VBATTとの電位差(VADP−VBATT)である必要最低限の電圧ΔVを保ったまま、定電圧充電を行う。この結果、本体20内部の充電制御素子Qの発熱を抑えることができる。
次に、図9を参照して、先願の第2のACアダプタ10Bについて説明する。但し、図9では、一次側回路は従来のものと変わりがないので、その図示を省略してある。図7に示した構成要素と同様の機能を有するものには同一の参照符号を付して、以下では、説明の簡略化のために、相違する点についてのみ説明する。
上述した先願の第1のACアダプタ10Aでは、充電電流Icが流れていないときは、−ΔI検出回路45は−ΔIの検出を行えない。そのため、図10に示されるように、アダプタ電圧VADPは徐々に低下してしまう。
そこで、ACアダプタ10Bは、図11に示されるように、満充電検出後の待機状態で、従来のACアダプタ10と同等のアダプタ電圧VADPを出力する電流監視回路51を備えている。すなわち、本体20が接続され、充電電流Icが所定の設定値以上流れた時に、電流監視回路51は、図7に図示したACアダプタ10Aにおける方式による制御(以下、「繰り返し制御」という。)を開始する。一方、充電電流Icの値が所定の設定値以下になったときに、電流監視回路51は、上記繰り返し制御を停止し、再度、図3に図示された従来のACアダプタ10と同等のアダプタ電圧VADPを出力する。とにかく、電流監視回路51は、少なくとも二次電池21の満充電検出後の待機状態で、繰り返し動作を停止する。
次に、「満充電検出」について説明する。図12に示されるように、二次電池21を充電する場合、二次電池21が満充電に近くなると、定電圧充電モードで二次電池21の充電を行い、充電電流Icは徐々に減少する。充電電流Icが限りなく零に近づくほど、満充電の状態になる。しかしながら、充電電流Icの値が小さくなるので、充電時間は長くなる。よって、図13に示されるように、充電電流Icの電流値がある程度小さくなったところで満充電と判断し、二次電池21の充電を終了させる。このときの充電電流Icの電流値の検出値を満充電検出設定電流値と呼ぶ。
尚、これは本体(携帯電話機)20側の制御であって、ACアダプタの制御ではない。
一方、このような充電制御を本体(携帯電話機)20側で行っているとする。そして、図7に図示されているACアダプタ10Aを使用して充電を行ったとする。換言すれば、ACアダプタ10Aを使用して満充電を検出するまで、上記繰り返し制御を行ったとする。
この場合、繰り返し制御時は、常に−ΔI検出回路45は−ΔIの検出を行っているので、満充電を検出するまで繰り返し制御を行うと、図14に示されるように、従来のACアダプタ10の検出よりも早く満充電を検出してしまう。
その対策として、図示の電流監視回路51は、図15に示されるように、満充電検出設定電流値より、ある電圧分上乗せした値で、上記繰り返し制御を停止させ、−ΔIの振れを無くし、従来のACアダプタ10と同等の動作状態としている。これにより、従来同様の満充電検出が可能となる。とにかく、電流監視回路51は、充電電流Icが満充電検出時の電流値に所定の値を加算した充電電流値に達したときに、繰り返し動作を停止する。
図16にACアダプタ10Bの動作を示す。図16は、図9に図示したACアダプタ10Bの充電特性を示す図である。横軸に時間t[h]を、縦軸に電圧V、電流Iを示している。
図16に示されるように、本体20の満充電検出電流値よりある値を上乗せした充電電流値に達したところで、上記繰り返し制御を止め、そのときのアダプタ電圧VADPを維持するようにしている。これにより、本体20の満充電付近で、繰り返し制御による充電電流Icの−ΔIの振れが無くなり、満充電を精度良く検出することができる。
電流監視回路51は、制御開始/停止の制御信号を第2の基準電圧発生回路44Bへ送出する。
図17に電流監視回路51の構成を示す。電流監視回路51は、電流検出抵抗R11と、増幅回路511と、電流監視比較判定回路512とを有する。電流検出抵抗R11は、充電電流Icを検出するためのものである。換言すれば、電流検出抵抗R11は、充電電流Icを検出電圧に変換する。電流検出抵抗R11は、電力損失を避けるために小さい値であるので、検出電圧も小さい値である。そのため、この検出電圧を増幅回路511で増幅する。
増幅回路511は、抵抗R12、R13、R14と演算増幅器A1とを有する。電流検出抵抗R11の一端は、抵抗R12を介して演算増幅器A1の非反転入力端子に接続され、電流検出抵抗R11の他端は、抵抗R13を介して演算増幅器A1の反転入力端子に接続されている。演算増幅器A1の反転入力端子は、抵抗R14を介して演算増幅器A1の出力端子に接続されている。増幅回路511は、検出電圧を増幅して、増幅した検出電圧Vaを出力する。この増幅した検出電圧Vaは電流監視比較判定回路512に供給される。
電流監視比較判定回路512は、抵抗R15、R16、R17、R18と、演算増幅器A2と、アナログスイッチSW1とから構成されている。演算増幅器A2の反転入力端子には、増幅した検出電圧Vaが供給される。抵抗R15、R16、R17は、直列接続されたブリーダ抵抗であって、基準電圧Vrefを分圧して、抵抗R15とR16との接続点から分圧した電圧Vbを出力する。この分圧した電圧Vbは演算増幅器A2の非反転入力端子に供給される。抵抗R16とR17との接続点はアナログスイッチSW1の接点1に接続されている。演算増幅器A2の出力端子は抵抗R18を介してアナログスイッチSW1の制御端子に接続されている。アナログスイッチSW1の接点2は接地されている。アナログスイッチSW1は制御端子Highレベルでスイッチoff、制御端子Lowレベルでスイッチonの論理とする。
図示の例では、電流監視比較判定回路512は、制御停止の制御信号として論理Highレベルの信号を出力し、制御開始の制御信号として論理Lowレベルの信号を出力する。基準電圧Vrefをブリーダ抵抗R15〜R17で抵抗分圧することによって、制御開始/停止のしきい値を設定している。
詳述すると、電流監視比較判定回路51が、論理Highレベルの制御停止の制御信号を出力しているとする。この場合、アナログスイッチSW1は、オフ状態となっている。したがって、この場合、ブリーダ抵抗R15〜R17は、分圧電圧Vbとして、Vref{(R16+R17)/(R15+R16+R17)}に等しい電圧を出力する。このときの分圧電圧Vbは、制御開始のしきい値電圧であって、例えば、充電電流Icが300mA流れたときに相当する。
電流監視比較判定回路51が、論理Lowレベルの制御開始の制御信号を出力しているとする。この場合、アナログスイッチSW1は、オン状態となっている。そのため、抵抗R17がショートされた状態となる。したがって、この場合、ブリーダ抵抗R15〜R17は、分圧電圧Vbとして、Vref{(R16/(R15+R16)}に等しい電圧とする。このときの分圧電圧Vbは、制御停止のしきい値電圧であって、例えば、充電電流Icが200mA流れたときに相当する。
すなわち、演算増幅器A2の出力端子とブリーダ抵抗R15〜R17との間に、アナログスイッチSW1を設けることによってヒステリシスをかけ、制御開始のしきい値電圧と制御停止のしきい値電圧とを変えている。
図18に電流監視回路51の動作を示す。電流監視回路51は、充電電流Icが300mA以上になった時に制御を開始し、200mA以下になった時に制御を停止させる制御開始/停止の制御信号を第2の基準電圧発生回路44Bへ供給する。
また、第2の基準電圧発生回路44Bには、−ΔI検出回路45Aから−ΔI検出信号が過電圧防止回路52を介して供給される。過電圧防止回路52は、過電圧を検出していない間は、−ΔI検出信号をそのまま出力する。
図19を参照して、第2の基準電圧発生回路44Bの動作について説明する。制御停止期間(すなわち、電流監視回路51から論理Highレベルの制御停止の制御信号が供給されている期間)、第2の基準電圧発生回路44Bは第2の基準電圧として定電圧を出力する。本例では、この定電圧は、従来のACアダプタ10の基準電圧である1.25Vに等しい。
一方、制御期間(すなわち、電流監視回路51から論理Lowレベルの制御開始の制御信号が供給されている期間)、第2の基準電圧発生回路44Bは次に述べる動作を行う。すなわち、第2の基準電圧発生回路44Bは、定電圧(1.25V)から徐々に第2の基準電圧を低下させる。過電圧防止回路52を通って−ΔI検出信号が入力された時、第2の基準電圧発生回路44Bは、設定電圧だけ第2の基準電圧を上昇させる。−ΔI検出信号が入力された後は、第2の基準電圧発生回路44Bは、次の−ΔI検出信号が入力されるまで、再度、徐々に第2の基準電圧を低下させる。
本発明は、この第2の基準電圧発生回路44Bの具体的な構成を提供するものである。その具体的な構成については、図9に示したACアダプタ10Bの全体の構成を説明した後に説明する。
第3の基準電圧発生回路53は、第3の基準電圧Vrefを発生する。この第3の基準電圧Vrefは、図17に示されるように、電流監視回路51の出力を反転させるときのしきい値電圧を決めるための定電圧である。
前述したように、電流監視回路51は、第3の基準電圧Vrefをブリーダ抵抗R15〜R17によって制御開始時のしきい値電圧又は制御停止時のしきい値電圧に分圧し、この分圧電圧Vbと電流検出抵抗R11により電圧換算され増幅回路511により増幅された検出電圧Vaとを電流監視比較判定回路512によって比較することにより、Low/Highの信号を出力する。
図9に示すACアダプタ10Bは、−ΔI検出回路45Aの他に、+ΔI検出回路54、第1の比較電圧生成回路55、第2の比較電圧生成回路56、および比較値取込回路57を備えている。
すなわち、図20に示されるように、ACアダプタ10Bは、負荷電流Icが急に増加した場合、その増加電流を検出(+ΔI検出)して、−ΔI検出比較値を増加電流に追従させ、充電電流Icの低下を抑えている。
図21に+ΔI検出回路54を示す。+ΔI検出回路54は、電流取り込みホールド部541と、+ΔI検出電圧設定部542と、反転加算回路543と、反転回路544と、+ΔI検出部545とから構成されている。
電流取り込みホールド回路541は、スイッチSWと、コンデンサC1と、演算増幅器A3とから構成されている。スイッチSWは、+ΔI検出または−ΔI検出による電流取り込みトリガに応答してオンし、そのときの電流値をコンデンサC1で保持(ホールド)する。コンデンサC1のホールド電圧は演算増幅器A3の非反転入力端子に供給される。演算増幅器A3の出力端子は、演算増幅器A3の反転入力端子と接続されている。このような構成の電流取り込みホールド回路541は、+ΔI検出または−Δ検出直後に取り込まれホールドされた充電電流値(電流取り込みホールド値)を出力する。
+ΔI検出電圧設定部542は、抵抗R21,R22、R23と、アナログスイッチSW2と、演算増幅器A4とから構成されている。抵抗R21〜R23は、基準電圧Vref端子と基準電圧(Vref/2)端子との間に直列に接続されている。抵抗R22とR23との接続点にアナログスイッチSW2の接点1が接続され、アナログスイッチSW2の接点2は基準電圧(Vref/2)端子に接続されている。アナログスイッチSW2の制御端子は後述する+ΔI検出部545の出力端子に接続されている。アナログスイッチSW2は制御端子Highレベルでスイッチon、制御端子Lowレベルでスイッチoffの論理とする。抵抗R21とR22との接続点は演算増幅器A4の非反転入力端子に接続されている。演算増幅器A4の出力端子は演算増幅器A4の反転入力端子に接続されている。このような構成の+ΔI検出電圧設定部542は、+ΔI検出電圧レベル(+ΔI検出電圧設定値)を設定する。アナログスイッチSW2は、設定値付近の電流増加で出力が暴れないように、ヒステリシスを設けるためのものである。尚、この+ΔI検出電圧設定部542の増幅率は1倍である。
反転加算回路543は、抵抗R24、R25、R26と演算増幅器A5とから構成されている。演算増幅器A5の反転入力端子は、抵抗R24を介して電流取り込みホールド部541の出力端子に接続されると共に、抵抗R25を介して+ΔI検出電圧設定部542の出力端子に接続されている。演算増幅器A5の非反転入力端子は基準電圧(Vref/2)端子に接続されている。演算増幅器A5の出力端子は抵抗R26を介して演算増幅器A5の反転入力端子に接続されている。このような構成の反転加算回路543は、電流取り込みホールド値に+ΔI検出電圧設定値を加算して、反転加算した値を出力する。何故なら、演算増幅器の特性上、位相が反転するからである。尚、この反転加算回路543の増幅率は1倍である。
反転回路544は、抵抗R27、R28と演算増幅器A6とから構成されている。演算増幅器A6の反転入力端子は抵抗R27を介して反転加算回路543の出力端子に接続されている。演算増幅器A6の非反転入力端子は基準電圧(Vref/2)端子に接続されている。演算増幅器A6の出力端子は抵抗R28を介して演算増幅器A6の反転入力端子に接続されている。このような構成の反転回路544は、反転加算回路543から出力される反転加算した値を再度反転して、加算した値を出力する。すなわち、前段で位相が反転しているので、反転回路544は再度反転させている。この反転回路544から出力される加算した値は+ΔIの検出電圧比較値である。尚、この反転回路544の増幅率も1倍である。
+ΔI検出部545は、演算増幅器A7と抵抗R29とから構成されている。演算増幅器A7の反転入力端子には、充電電流Icの電流波形(電流値)が供給される。演算増幅器A7の非反転入力端子には、反転回路544から+ΔIの検出電圧比較値が供給される。また、演算増幅器A7の出力端子は抵抗R29を介して+ΔI検出電圧設定部542のアナログスイッチSW2の制御端子に接続されている。このような構成の+ΔI検出部545は、+ΔI検出電圧比較値と充電電流Icの電流値とを比較して、+ΔI検出信号を出力する。
とにかく、+ΔI検出回路54は、充電電流Icが付加設定電流値以上に増加したことを検出して付加検出信号を出力する付加検出手段として働く。そして、比較値取込回路57と第1の比較電圧生成回路55との組み合わせは、付加検出信号に応答して、検出手段(−ΔI検出回路45A)における設定電流値を変更する手段として動作する。
次に、図22を参照して、図9に図示したACアダプタ10Bの−ΔI検出回路45Aの他に、+ΔI検出回路54、第1の比較電圧生成回路55、第2の比較電圧生成回路56、および比較値取込回路57の動作について説明する。
比較値取込回路57の出力電圧を基に、第1の比較電圧生成回路55は−ΔI検出比較電圧を生成し、第2の比較電圧生成回路56は+ΔI検出比較電圧を生成する。
比較値取込回路57は、−Δ検出信号または+Δ検出信号に応答して、比較値取込期間信号を生成し、その期間だけ充電電流Icの電流値を取り込み、その期間以外は取り込んだ電圧を維持する回路である。この取り込んだ電圧は、第1の比較電圧生成回路55および第2の比較電圧生成回路56の参照電圧でもある。
第1の比較電圧生成回路55は、比較値取込回路57で取り込んだ電圧から−ΔIに相当する電圧だけ低い−ΔI検出比較電圧を出力する。第2の比較電圧生成回路56は、比較値取込回路57で取り込んだ電圧から+ΔIに相当する電圧だけ高い+ΔI検出比較電圧を出力する。
ACアダプタ10Bは、更に、過電圧検出回路58と過電圧防止回路52とを備えている。
過電圧検出回路58と過電圧防止回路52とを備えることにより、図23に示されるように、アダプタ電圧VADPの上昇があるしきい値以上になった場合、−ΔI検出に起因するアダプタ電圧VADPの上昇をさせないようにする。これにより、パルス的な負荷が印加されても、過電圧にならない。とにかく、過電圧検出回路58と過電圧防止回路52との組合せは、アダプタ電圧VADPが所定のしきい値以上になった場合に、検出信号によるアダプタ電圧VADPの上昇を抑制する手段として働く。
図24に過電圧検出回路58と過電圧防止回路52の例を示す。過電圧検出回路58は、抵抗R31、R32と、演算増幅器A8とから構成されている。抵抗R31、R32は基準電圧Vrefを分圧して、分圧した電圧を過電圧検出しきい値として演算増幅器A8の非反転入力端子に供給する。演算増幅器A8の反転入力端子には第2の基準電圧発生回路44Bから第2の基準電圧が供給される。
このような構成の過電圧検出回路58は、過電圧検出しきい値と第2の基準電圧とを比較し、Low/Highの過電圧検出回路出力信号を出力する。
図示の過電圧防止回路52は、アンドゲートG1から構成されている。過電圧防止回路52は、過電圧検出回路出力信号がHighのときは、−ΔI検出回路45Aから出力される−ΔI検出信号をそのまま過電圧防止回路出力信号として出力する。一方、過電圧検出回路出力信号がLowのときは、過電圧防止回路52は−ΔI検出信号を出力しない。
過電圧防止回路出力信号が入力された時、第2の基準電圧発生回路44Bは第2の基準電圧を設定電圧だけ上昇させる。過電圧防止回路出力信号が入力された後は、第2の基準電圧発生回路44Bは次の過電圧防止回路出力信号が入力されるまで、再度徐々に第2の基準電圧を低下させる。
図25を参照して、図9に図示したACアダプタ10Bに使用される、本発明の一実施の形態に係る第2の基準電圧発生回路44Bの具体的な回路構成について説明する。
第2の基準電圧発生回路44Bには、電流監視回路51(図9)から制御信号MODEが供給される。前述したように、制御信号MODEは、論理Highレベルのとき制御停止期間を示し、論理Lowレベルのとき制御期間を示している。ここでは、制御信号MODEが論理Highレベルのときを非制御モードと呼び、制御信号MODEが論理Lowレベルのときを制御モードと呼ぶことにする。
また、第2の基準電圧発生回路44Bには、固定の基準電圧(内部基準電圧)VREGとして1.25Vが供給されている。第2の基準電圧発生回路44Bには、−ΔI検出回路45A(図9)から過電圧防止回路52(図9)を介して−ΔI検出信号(検出パルス)が供給される。そして、第2の基準電圧発生回路44Bは、第2の基準電圧であるコントロール電圧を電圧制御回路42A(図9)へ供給する。
図示の第2の基準電圧発生回路44Bは、第1のインバータIV1と、第1及び第2のアナログスイッチSW11,SW12と、第1のコンデンサC1と、定電流源I1と、バッファ回路441と、設定電圧発生回路442と、加算回路443と、第2のインバータIV2と、第3のアナログスイッチSW13と、第2のコンデンサC2と、転送回路444とから構成されている。
バッファ回路441は演算増幅器A11から構成されている。設定電圧発生回路442は、直列接続された2つの抵抗器R41,R42から成る分圧回路で構成されている。加算回路443は、抵抗器R43,R44,R45,R46と演算増幅器A12とから構成されている。転送回路444は、演算増幅器A13から成る第2のバッファ回路と、第4のアナログスイッチSW14とから構成されている。
第1乃至第4のアナログスイッチSW11〜SW14は、その制御端子に供給される制御信号が論理Highレベル“H”のときオンし、論理Lowレベル“L”のときオフするスイッチである。第1のアナログスイッチSW11には、制御信号として、電流監視回路51から制御信号MODEが供給される。第2のアナログスイッチSW12には、制御信号として、電流監視回路51からの制御信号MODEが第1のインバータIV1で反転された信号が供給される。第3のアナログスイッチSW13には、制御信号として、−ΔI検出回路45Aから過電圧防止回路52を介しての検出パルスが第2のインバータIV2で反転された信号が供給される。第4のアナログスイッチSW14には、制御信号として、−ΔI検出回路45Aから過電圧防止回路52を介しての検出パルスが供給される。
第1のアナログスイッチSW11の可動接点には、固定の基準電圧(内部基準電圧)VREGが供給される。第1のアナログスイッチSW12の固定接点は、第2のアナログスイッチSW12の可動接点、バッファ回路441の入力端子、および第1のコンデンサC1の一端に接続されている。第1のコンデンサC1の他端は接地されている。第2のアナログスイッチSW12の固定接点は、定電流源I1を介して接地される。
バッファ回路441において、その入力端子は演算増幅器A11の非反転入力端子に接続されている。演算増幅器A11の反転入力端子は、演算増幅器A11の出力端子に接続されている。演算増幅器A11の出力端子はバッファ回路441の出力端子として働く。
設定電圧発生回路442において、抵抗器R41の一端には固定の基準電圧(内部基準電圧)VREGが供給される。抵抗器R41の他端は、抵抗器R42の一端に接続されている。抵抗器R42の他端は接地されている。抵抗器R41、R42の接続点から分圧した電圧が設定電圧として出力される。尚、設定電圧は、例えば、50mVである。
加算回路443において、演算増幅器A12の非反転入力端子には、抵抗器R43を介して上記設定電圧が供給されると共に、抵抗器R44を介してバッファ回路441の出力電圧が供給される。演算増幅器A12の反転入力端子は、抵抗器R45を介して演算増幅器A12の出力端子に接続されると共に、抵抗器R46を介して接地される。演算増幅器A12の出力端子が加算回路443の出力端子として働く。
加算回路443の出力端子は、第3のアナログスイッチSW13の可動接点に接続されている。第3のアナログスイッチSW13の固定接点は、転送回路444の入力端子と第2のコンデンサC2の一端に接続されている。第2のコンデンサC2の他端は接地されている。
転送回路444において、その入力端子は演算増幅器A13の非反転入力端子に接続されている。演算増幅器A13の反転入力端子は、演算増幅器A13の出力端子に接続されている。演算増幅器A13の出力端子は第4のアナログスイッチSW14の可動接点に接続されている。第4のアナログスイッチの固定接点は転送回路444の出力端子として働く。転送回路444の出力端子は、第1のコンデンサC1の一端に接続されている。
次に、このような構成の第2の基準電圧発生回路44Bにおける、各構成要素の動作について説明する。
第1のコンデンサC1は、固定の基準電圧VREGを初期に第1の充電電圧として保持するためのものである。第1のアナログスイッチSW11は、制御信号MODEが非制御モードを示しているときにオンして、固定の基準電圧VREGを第1のコンデンサC1へ供給するためのものである。定電圧源I1は第1の充電電圧を徐々に低下させるためのものである。第2のアナログスイッチSW12は、制御信号MODEが制御モードを示しているときにオンして、第1のコンデンサC1を定電流源I1に接続することにより、第1の充電電圧を徐々に低下させるためのものである。
バッファ回路441は、第1の充電電圧をコントロール電圧として出力するためのものである。設定電圧発生回路442は、固定の基準電圧VREGを分圧して、分圧した電圧を設定電圧V1として出力するものである。加算回路443は、コントロール電圧と設定電圧とを加算して、加算した電圧を出力するものである。第2のコンデンサC2は、加算した電圧を第2の充電電圧として保持するためのものである。第3のアナログスイッチSW13は、検出パルスがないときにオンして、加算した電圧を第2のコンデンサC2へ第2の充電電圧として保持させるためのものである。
転送回路444は、検出パルスに応答して、第2の充電電圧を第1のコンデンサC1へ第1の充電電圧として保持させるためのものである。詳述すると、演算増幅器A13から構成される第2のバッファ回路は、第2の充電電圧をそのまま出力するためのものである。第4のアナログスイッチSW14は、検出パルスがあるときにオンして、第2のバッファ回路の出力電圧を第1のコンデンサC1へ伝達するためのものである。
次に図26を参照して、図25に示した第2の基準電圧発生回路44Bの動作について説明する。
制御信号MODEが論理Highレベル“H”の非制御モードであるとする。この場合には、検出パルスはなく、検出パルスが論理Lowレベル“L”である。制御信号MODEが非制御モードであるので、第1のアナログスイッチSW11はオンし、第2のアナログスイッチSW12はオフである。これにより、第1のコンデンサC1は、初期値の第1の充電電圧として内部基準電圧VREGまで充電される。したがって、バッファ回路441からは、内部基準電圧VREGに等しい第1の充電電圧がコントロール電圧として出力される。
尚、検出パルスがないので、第3のアナログスイッチSW13はオンし、第4のアナログスイッチSW14はオフしている。従って、第2のコンデンサC2には、加算回路443によりコントロール電圧と設定電圧V1とを加算した電圧が第2の充電電圧として保持される。
この状態において、制御信号MODEが論理Highレベル“H”の非制御モードから論理Lowレベル“L”の制御モードに切り替わったとする。この場合、第2のアナログスイッチSW12はオンし、第1のアナログスイッチSW11はオフする。これにより、第1のコンデンサC1が定電流源I1に接続され、定電流源I1に設定された電流で第1のコンデンサC1は放電を開始する。その結果、第1のコンデンサC1の第1の充電電圧は徐々に低下し、コントロール電圧も同様に徐々に低下する。
この状態において、検出パルスがあり、検出パルスが論理Highレベル“H”になったとする。検出パルスがあるので、第3のアナログスイッチSW3はオフし、第4のアナログスイッチSW14はオンする。これにより、転送回路444は、第2の充電電圧を第1のコンデンサC1へ第1の充電電圧として保持させるように転送する。
以上の説明から、第2の基準電圧発生回路44Bは、時間経過につれて徐々に低下し、検出パルスに応答して設定電圧だけ上昇するようなコントロール電圧を発生することが分かる。
以上、本発明について実施の形態によって例を挙げて説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定しないのは勿論である。たとえば、上述した実施の形態では、図9に図示したACアダプタ用の第2の基準電圧発生回路44Bの具体的構成例についてのみ説明したが、図7に図示したACアダプタの第2の基準電圧発生回路44Aにも同様に適用可能なのは言うまでもない。この場合には制御信号MODEがないので、第1のコンデンサC1に固定の基準電圧VREGを初期に第1の充電電圧として保持させるような構成を採用すれば良い。また、上述した実施の形態では、本発明を携帯電話機用ACアダプタに適用した場合を例に挙げて説明したが、携帯電話機以外についても充電回路へ電力供給するACアダプタにも適用できるのは勿論である。更には、上述した実施の形態では、アダプタ電圧VADPを徐々に下降させて充電電流Icが急激に減少するのを検出する方法で説明しているが、アダプタ電圧VADPを徐々に上昇させて充電電流Icが急激に増加するのを検出する方法を用いても良い。