JP4523687B2 - コルゲート管継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば鋼製配管等に蛇腹状のコルゲート管を接続する際に用いるコルゲート管継手に関する。特には、簡単な構造で接続作業を容易に素早く行うことができるコルゲート管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
図13は建物のガス配管の例を模式的に示す図である。
この配管例においては、ガスメータ81は建物の外側に設置されている。ガスメータ81には、都市ガスの供給配管80、及び、屋内へのガス配管(メッキ鋼管)82が接続されている。鋼管82には、各部屋のガスコンセント86行きのコルゲート管Tが接続されている。ガスコンセント86の先には、ゴム管87等を介してガスストーブ等のガス機器89が接続される。鋼管82とコルゲート管Tとの接続部(チー)82aには、めねじが切られている。鋼管82やコルゲート管Tは、建物の壁内や床下等に配管される。
【0003】
コルゲート管Tは、蛇腹状の環状凹凸が外面に形成されたフレキシブル管である。このコルゲート管Tは、チー82aに接続される。コルゲート管Tをチー82aに繋ぐのにコルゲート管継手88を用いる。
【0004】
この種のコルゲート管継手88の一従来例に、例えば特許第2686237号に開示されたものがある。
図10は同継手のコルゲート管仮挿入状態を示す断面図である。
図11は同継手の締結後(コルゲート管接続状態)を示す断面図である。
図12はリテーナの斜視図及びコルゲート管の先端がリテーナの爪を乗り越える動作を説明するための図である。
なお、以下の説明において、上下左右は図10及び図11における上下左右を指すものとする。
【0005】
このコルゲート管継手88を構成する主要部品は、継手本体51と、継手本体51内に配置されたリテーナ54と、継手本体51上部に螺合したナット62である。
継手本体51は、ステンレス製の筒状体である。同本体51の下側外周面にはおねじ51aが形成されている。このおねじ51aは、図13のチー82aのめねじに螺合する。
【0006】
継手本体51は、軸方向に延びる貫通孔を有する。この貫通孔の上部内面にはめねじ52aが形成されている。このめねじ52aはナット62のおねじ62aに螺合する。めねじ52aの下には凹溝52bが形成されている。凹溝52bはめねじ52aより大径である。凹溝52bの下にはテーパ部52cが形成されている。テーパ部52cには下つぼまりのテーパが付いている。テーパ部52cの下にはパッキン溝52dが形成されており、第1パッキン68が嵌め込まれている。パッキン溝52dの下には段部52eが形成されており、第2パッキン53が嵌め込まれている。段部52eの内径は、コルゲート管Tの凹部の径より小さい。
【0007】
リテーナ54は、継手本体51の内孔内に配置されたスリーブ状のものである。リテーナ54の外径は、継手本体51の凹溝52bより小さく、テーパ部52cより若干小さい。
【0008】
図12(A)に示すように、リテーナ54には、端部から軸方向に延びるスリット54aが形成されている。同スリット54aは、リテーナ周方向に等間隔ずつ離れて複数形成されている。隣り合う2本のスリット54aの間はセグメント55となっている。各セグメント55の端部には、半径方向内側に張り出した爪55aが形成されている。各爪55aの先のなす円は、コルゲート管Tの凸部の径より小さく、凹部の径にほぼ等しい。リテーナ54の他端(セグメント55の逆側)の外周面には、複数の突部56が形成されている。これら突部56は、図10及び図11に示すように、ナット62内面に係合する。リテーナ54は、母体がプラスチック製で、爪55a等は真ちゅう製であり、両者は一体にモールド成形されている。
【0009】
再び図10及び図11を参照しつつ説明する。
ナット62は、ステンレス製の筒状体である。ナット62には、コルゲート管Tを通す貫通孔が開いている。ナット62の下部外周面には、継手本体51のめねじ51aに螺合するおねじ62aが形成されている。ナット62の下端内面には、半径方向内側に張り出した突部63が形成されている。同突部63はリテーナ54の突部56に引っ掛かる。リテーナ54をナット62内に下から押し込んで、双方の突部56、63が引っ掛かると、リテーナ54とナット62が連結される。ナット62の上部内面には、パッキン57が嵌め込まれている。図10に示すナット62の仮締め状態(ナット62と継手本体51間にカラー65が介装された状態)では、リテーナ54下端の爪55aは凹溝52bの内周部に位置する。
【0010】
次に、上記のコルゲート管継手88の使用方法について説明する。
まず、図10に示すように、継手本体51内にリテーナ54を配置し、継手本体51のめねじ52aにナット62のおねじ62aを仮締めしておく。なお、図10はコルゲート管Tをナット62内に既に差し込んだ状態を示すが、次の説明は、コルゲート管Tを差し込む時の動作についてのものである。
【0011】
次に、ナット62及び継手本体51の貫通孔内にコルゲート管Tの下端を上から差し込むと、コルゲート管Tの先端がリテーナ54の爪55aに当たる。
さらに、コルゲート管Tを押し込むと、コルゲート管Tの先端がリテーナ54の爪55aを外側下方に押す。そのため、図12(B)に示すように、リテーナ54のスリット54aの切り込み端部を支点として、セグメント55がそれぞれ半径方向に変形して広がる。このセグメント55の広がり変形は、継手本体51の凹溝52b(図11参照)内で行われる。さらに、リテーナ54の爪55aがコルゲート管Tの凸部を乗り越えたとき、図12(C)に示すように、爪55aがコルゲート管Tの凹部に係合する。
【0012】
この後、スパナ、レンチ等の工具を用いてナット62を回し、継手本体51に締め込む。ナット62の締め込みに伴い、リテーナ54が下に向かって押されて進む。この時、リテーナ54の爪55aはコルゲート管Tの凹部に係合しているので、リテーナ54が進むとコルゲート管Tも同時に下に引き込まれる。また、リテーナ54が進むと、リテーナ54の外周は、継手本体51のテーパ部52cのテーパ面に押されて内側に圧迫されていく。これにより、リテーナ54の爪55aがコルゲート管Tの凹部を半径方向に締め付ける。最後には、図11に示すように、コルゲート管T先端が第2パッキン53に押し付けられる。これで、コルゲート管Tと継手本体51とがシールされる。なお、ナット62を締め込む際に、コルゲート管Tの先端部は潰される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のコルゲート管継手88では、接続作業において、ナット62を回すときにスパナやレンチ等の工具が必要である。ところが、上述したように、鋼管82は床下や壁の中に設置されていることが多く、狭い場所等ではスパナやレンチを回す作業がやり難い。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で接続作業を容易に素早く行うことができるコルゲート管継手を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のベースとなる第1態様のコルゲート管継手は、蛇腹状の環状凹凸が外面に形成されたコルゲート管用の継手であって; コルゲート管端部の貫通する内孔、及び、該内孔に設けられた、コルゲート管外面の環状凹部に差し込まれる爪を有するリテーナと、 他の配管との接続部、並びに、上記リテーナ及びコルゲート管端部の挿入される内孔を有する継手ボディと、 リテーナにコルゲート管を挿入した後、リテーナ及びコルゲート管端部を継手ボディ内孔に挿入した状態で、コルゲート管及びリテーナを継手ボディに対して固定する固定手段と、 コルゲート管と継手ボディとの間をシールするシール手段と、を具備することを特徴とする。
【0015】
コルゲート管が挿入されたリテーナを継手ボディ内孔に挿入するのみで、コルゲート管とリテーナを継手ボディに対して固定できるので、スパナやレンチ等の工具を用いる必要がなく、狭い場所等であっても容易に素早く接続作業を行うことができる。
【0016】
本発明の第1態様のコルゲート管継手においては、上記固定手段として、 円周上1ヶ所に切れ目を有するストップリングと、 上記リテーナの外周に形成された、上記ストップリング内周部の係合するリング溝と、 上記継手ボディ内孔に形成された、上記ストップリング外周部の係合するリング溝と、を有する構造を採用することができる。
この場合、リテーナを継手ボディ内孔に挿入すると、リテーナのリング溝に内周部を係合させたストップリングの外周部が継手ボディのリング溝に係合する。同ストップリングの係合により、リテーナと継手ボディが固定され、その結果コルゲート管が継手ボディに固定される。なお、ストップリングの外周部係合時に発せられる音により、また、外観上でリテーナと継手ボディの隙間をなくすこと等により、リテーナが継手ボディに対して固定されたことを使用者に知らせることができる。
【0017】
なお、本発明の第1態様のコルゲート管継手は、固定手段の固定を解除する機構を有することが好ましい。
この場合には、継手ボディに対して固定されたリテーナを同ボディから取り外すことができ、コルゲート管継手に再施工性を持たせる。固定手段の固定を解除する機構としてストップリングを利用する場合には、継手ボディをリング溝で分割可能な構造とし、同ボディを分割してストップリングを取り外すことにより、リテーナを継手ボディから取り外すことができる。
【0018】
また、本発明の第1態様のコルゲート管継手は、上記コルゲート管をリテーナ内孔に貫通させて組立てる際に、コルゲート管先端部をリテーナから所定長さ突出させ、 この突出させる長さを規定する部材が付設されていることが好ましい。
この場合には、リテーナから突出させるコルゲート管先端部の長さが予め規定されるので、リテーナ及びコルゲート管の固定時に同管先端部が潰れず、接続作業に大きな力を必要としない。
【0019】
本発明に関連する第2態様のコルゲート管継手は、蛇腹状の環状凹凸が外面に形成されたコルゲート管用の継手であって; 他の配管との接続部、及び、コルゲート管端部の挿入される内孔を有する継手ボディと、 コルゲート管外面に装着され、同面の環状凹部に差し込まれる爪を有するリテーナと、 リテーナをコルゲート管に装着した後、リテーナ及びコルゲート管端部を継手ボディ内孔に挿入した状態で、コルゲート管及びリテーナを継手ボディに対して固定する固定手段と、コルゲート管と継手ボディとの間をシールするシール手段と、を具備し、 上記シール手段として、 コルゲート管先端部外周面に押し当てられる円環状のパッキンと、 このパッキンの内周部を内側に寄せるように付勢するバネ部材と、を有することを特徴とする。
ここで、バネ部材とは、持続的な弾力性を有する(へたらない)付勢のための部材のことをいう。バネ部材は、金属製のものに限定されるものではなく、硬質のプラスチックや炭素材等であってもよい。
本発明の第1態様のコルゲート管継手と同様に容易に素早く接続作業を行うことができるとともに、コルゲート管端部にバリ等があっても、その影響を受けずにコルゲート管と継手ボディ間の気密性を確保できる。
【0020】
本発明の第2態様のコルゲート管継手は、上記バネ部材が、上記パッキン内に埋め込まれた、断面U字状の金属板であることが好ましい。
例えば樹脂を主成分とするパッキンは、一定形状のままで長期間使用されると、弾力が弱まり、コルゲート管と継手ボディ間の気密性が低下する虞れがある。しかしながら、上記金属板がパッキンの弾力を補強することにより、コルゲート管とパッキンとの間に十分な緊縛力が維持でき、気密性を長期に亘り確保することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
まず、図1〜図6を参照しつつ本発明の第1実施例を説明する。なお、同実施例の説明において、上下左右はそれらの図における上下左右を指すものとする。
図1〜3は、本発明の第1実施例のコルゲート管継手を用いた接続作業を説明するための工程図であり、図1は初期工程、図2は中期工程、図3は終期工程を示す。
図4は、第1実施例のコルゲート管継手のリテーナとリテーナケースの構成を示す断面図である。
図5は、第1実施例のコルゲート管継手の継手ボディの構成を示す断面図である。
図6(A)は、図4のリテーナの断面図(左半分)及び側面図(右半分)であり、図6(B)は、図4のリテーナの底面図である。
【0022】
図5に示す継手ボディ10は真ちゅう製等の筒状体である。継手ボディ10の下側外周面にはおねじ10aが形成されている。このおねじ10aは、図13のチー82aのめねじに螺合する。
継手ボディ10は軸方向に延びる貫通孔11を有する。この貫通孔11は段付きの円筒孔であって、軸方向上側から順に内孔A部〜D部11a〜11dに大別される。内孔A部11aは、継手ボディ10の上端側に開口した円筒面11a′に、上から下に向けて内径が減少する円錐面11a″が繋がった回転対称面である。内孔B部11bは、円錐面11a″の最小内径部と同径に形成された円筒面である。内孔C部11cは、内孔B部11bよりも小径に形成された段状の部分である。内孔D部11dは、継手ボディ10の下端側に開口するとともに、内孔C部11cやB部11bよりも小径に形成された円筒面である。
【0023】
継手ボディ10の内孔B部11bの上端側内周面には、リング溝12が半径方向外側に向けて掘り込まれている。このリング溝12には、コルゲート管接続終了時に、後述するストップリング24の外周部が嵌め込まれる。
内孔B部11bの下端側内周面には、シール溝13が半径方向外側に向けて掘り込まれている。このシール溝13には、コルゲート管Tと継手ボディ10間を気密(シール)するシール部材14が嵌め込まれている。
【0024】
シール部材14は、断面U字状のステンレス鋼リング14a(バネ部材)と、このリング14aが差し込まれたパッキン14b(例えば樹脂製)とからなる。パッキン14bは、リング14aを覆っている。パッキン14bの外周部は継手ボディ10の内孔に押し当てられ、内周部は、コルゲート管接続時に、コルゲート管外周面に押し当てられる。ステンレス鋼リング14aはパッキン14bの内周部を内側に寄せるよう付勢する。なお、その際、同時にパッキン14bの外周部は外側に寄せられる。このステンレス鋼リング14aによりパッキン14bの弾力が補強されて、コルゲート管Tと継手ボディ10間のシール性を長期に亘り維持する。また、コルゲート管T先端部に多少バリ等があっても、シール性が損われるようなことはない。
なお、継手ボディ10をシール溝13より下の部位で分割可能とし、シール部材14を下側からシール溝13に嵌め込む構造とすることもできる。この分割構造により、シール部材14の組み付け時に、シール部材14を無理に変形させることなく組み立てができるので、シール部材14の組み付けが容易になる。また、シール部材14の硬さの設定が楽になる。
【0025】
継手ボディ10の内孔C部11cには、パッキン溝15が半径方向外側に向けて滑らかに掘り込まれている。このパッキン溝15には、リング状の炭素パッキン16が嵌め込まれている。この炭素パッキン16は、温度が上昇すると膨張する炭素材を主素材とし、火災時には何倍にも膨張してガスが継手外部に漏れるのを防ぐガスシールとなる。
【0026】
次に、コルゲート管Tを固定するためのリテーナ17及びリテーナケース18について説明する。なお、本明細書の特許請求の範囲や課題を解決するための手段ではリテーナとリテーナケースを含めてリテーナと呼んでいる。図6(A)に示すように、リテーナ17は、スリーブ状のものであって、下端部から軸方向に延びるスリット17aが形成されている。スリット17aは、図6(B)に示すように、周方向に等間隔ずつ離れて複数本(本実施例では5本)形成されている。隣り合う2本のスリット17aの間はセグメント17bとなっている。各セグメント17aの下端部には、半径方向内側に張り出した爪17cが形成されている。各爪17c先端のなす円は、コルゲート管Tの環状凸部T1の径より小さく、同管Tの環状凹部T2の径とほぼ等しい。リテーナ17の上端側(セグメント17bの反対側)の外周面には、半径方向外側に突出した突部17dが周方向に等間隔ずつ離れて複数形成されている。これらの突部17dは、図4に示すように、筒状のリテーナケース18内面に係合する。リテーナ17は、母体がプラスチック製で、爪17c等が真ちゅう製であり、両者は一体にモールド成形されている。
【0027】
図4に示すように、リテーナケース18の外周面は、軸方向上側から順に上外周面18aと中外周面18b、下外周面18cに大別される。上外周面18aには、半径方向に貫通する孔19が形成されている。この孔19はガス漏れ検知口の役割を果たす。孔19内には、通気性と水密性を有する多孔質樹脂20が嵌め込まれている。リテーナケース18の中外周面18bには、半径方向内側に向けてリング溝21が掘り込まれており、同溝21内にはOリング22が嵌め込まれている。コルゲート管接続終了時には、このOリング22により、継手ボディ10とリテーナケース18間がシールされる。リテーナケース18の下外周面18cには、半径方向内側に向けてリング溝23が掘り込まれており、同溝23には、ストップリング24の内周部が嵌め込まれている。このストップリング24の円周上1ヶ所には切れ目(図示せず)が形成されており、その切れ目を広げてリング溝23に組み込む。コルゲート管接続終了時には、さらに、ストップリング24の外周部が継手ボディ10のリング溝12に嵌め込まれることにより、継手ボディ10とリテーナケース18が連結される。
【0028】
リテーナケース18内には、コルゲート管Tが挿入される貫通孔25が軸方向に延びるように形成されている。この貫通孔25の上端側内周面には、半径方向外側に向けてパッキン溝26が掘り込まれており、同溝26には、リング状のパッキン27が嵌め込まれている。このパッキン27の内面には、上下端部を除き半径方向外側に向けて溝27aが掘り込まれている。この溝27a中央には、半径方向内側に向けて張り出した突部27bが形成されている。このパッキン27及びOリング22により、コルゲート管Tと継手ボディ10間が水密シールされる。
【0029】
リテーナケース18の貫通孔25の下側内周面には、半径方向外側に向けて円周状のフック溝28が掘り込まれている。このフック溝28にリテーナ17の各突部17dが係合することにより、リテーナ17をリテーナケース18に装着する。コルゲート管接続開始前には(通常は工場出荷段階で)、予めリテーナケース18にリテーナ17を装着しておく。なお、リテーナ17の外周面やリテーナケース18の外周面18bは、継手ボディ10の内孔B部11bにちょうど嵌合する径となっている。
【0030】
次に、図1〜3を参照しつつ本実施例のコルゲート管継手を用いた接続作業を説明する。
図1(A)に示すように、コルゲート管継手のリテーナケース19には、一端が開口され他端が閉口された筒状のキャップ29が付設されている。キャップ29の内径は、リテーナケース18の中外周面18bがちょうど嵌合する寸法に形成されている。このキャップ29をリテーナ17を装着したリテーナケース18に被せると、同キャップ29の開口端面がリテーナケース18の外段部19xに当接する。この時、リテーナ17の下端(セグメント17b側)とキャップ29の底面29aとの間に、所定の間隔Lが開く。この間隔Lが、図1(B)に示す工程や以降の工程において、リテーナ17から突出するコルゲート管T端部の長さを規定する。これにより、接続時にコルゲート管T先端部が潰れるような事態が起きないので、接続作業に大きな力を必要としない。本実施例では、間隔Lがコルゲート管Tの凸部T1の3つ分の長さに採られている。
なお、キャップ29をリテーナケース18に被せた際には、Oリング22がキャップ29内周面に押圧されて、キャップ29が抜け落ち難くなっている。
【0031】
一連の接続作業前に、予めキャップ29は、リテーナ17及びリテーナケース18の外面に被せられている。そこで、被覆T3を一定長さ(本実施例ではフレキ端面から9番目の凹部T2までの分)取り除いて露出したコルゲート管T端部をリテーナケース18内に挿入する(図1(A)→(B))。この挿入に伴いパッキン27がコルゲート管Tの被覆T3に圧接し、コルゲート管Tと継手ボディ10内が水密シールされる。
コルゲート管T先端がリテーナ17の各爪17cに突き当たると、これらの爪17cは外側に開いて、コルゲート管Tの凸部T1を乗り越える。さらにコルゲート管Tを進めると、コルゲート管T下端がキャップ29の底面29aに突き当たる。この時、コルゲート管T下端から3つ分の凸部T1が、リテーナ17から突出し、リテーナ爪17cがコルゲート管Tの凹部T2内に、それぞれ差し込まれる。この後、キャップ29をリテーナケース18から取り外す(図2(C)の上の図)。
【0032】
次に、コルゲート管Tを挟んだリテーナ17とリテーナケース18を継手ボディ10内に上端側から挿入する(図2(C)→図3(D))。
この挿入中途においては、ストップリング24の外周部が、継手ボディ10の内孔A部11aに沿ってすべりながら内側に縮められる。
【0033】
また、コルゲート管挿入にともない、コルゲート管Tの先端部は、継手ボディ10内のシール部材14内周面を変形させながら、継手ボディ10の貫通孔11奥へと進む。この時、シール部材14のステンレス鋼リング14aの付勢力により、パッキン14bの内周部が、コルゲート管Tの先端部外面に追従変形しながら押圧される。したがって、コルゲート管Tと継手ボディ10間がシールされる。
【0034】
コルゲート管Tを奥まで挿入し終わった図3(E)の状態では、コルゲート管T先端が継手ボディ10の内段部に突き当って止まる。この時、ストップリング24は、継手ボディ10のリング溝12に至ると、半径方向内側に押さえられなくなって外側に広がる。そして、ストップリング24の外周部が継手ボディ10のリング溝12に入る。そうなると、ストップリング24は、継手ボディ10とリテーナケース18の双方に係合して、継手ボディ10とリテーナケース18は連結され、一連の接続作業が終了する(図3(E))。なおこの状態で、リテーナ17の外周部は継手ボディ10の内孔内に嵌合して押さえられているため、リテーナ17の爪17cが開くようなことがなく、コルゲート管Tはコルゲート管継手に強固に固定される。
【0035】
上述のように、本実施例のコルゲート管継手を用いれば、狭い場所等であっても、スパナやレンチ等の工具を用いることなく接続作業を容易に素早く行うことができる。なお、本実施例では、ストップリング24の外周部が継手ボディ10のリング溝12内に嵌まる際に発せられる音や、継手ボディ10の上端面がリテーナケース18の外段部に突き当たることにより、一連の接続作業の終了を知ることができる。
【0036】
次に、図7〜9を参照しつつ本発明の第2実施例を説明する。なお、同実施例の説明において、上下左右は各図における上下左右を指すものとする。
図7は、本発明の第2実施例のコルゲート管継手の接続状態を示す断面図である。
図8及び9は、本発明の第2の実施例のコルゲート管継手からコルゲート管を抜き取る作業を説明するための工程図である。なお、第1実施例と共通の箇所には同じ符号が付されている。
この実施例のコルゲート管継手の特徴は、図9に最も分かり易く示すように、継手ボディ30がリング溝12の部分で本体32とネジブッシュ33に分割されていることである。ネジブッシュ33は、継手ボディ30の上端部となるフランジ部33bや、おねじ33aを含む。フランジ部33bの下の円筒部33cの外面の上部には、Oリング31が嵌め込まれている。同円筒部33cの中段部には、おねじ33aが形成されている。
【0037】
一方、本体32の上端部内面には、ネジブッシュ33のおねじ33aと螺合するめねじ32bが形成されている。両ねじを螺合して本体32とネジブッシュ33を組み立てると、ネジブッシュ33の下端面33dと、本体32の段部32c(めねじ32bの下)とがリング溝12(図7参照)を形成する。また本体32とネジブッシュ33間がOリング31によりシールされる。
【0038】
上述のように、コルゲート管接続後は、継手ボディ30の本体32とネジブッシュ33との間にリング溝12が確保されている。そして、この溝12にストップリング24の外周部が嵌め込まれているとともに、ストップリング24の内周部は、リテーナケース19のリング溝23に係合しているため、リテーナケース18と継手ボディ30は分離不能である。
【0039】
以下、本実施例のコルゲート管継手からコルゲート管を抜き取る作業を説明する。
まず最初に、継手ボディ30の本体32とネジブッシュ33をネジの弛み方向に回転させて分離する。この分離後においては、ストップリング24はリテーナケース19のリング溝23に係合した状態である。そして、ストップリング24の外周部は、ネジブッシュ33の下端面に当たっており、ネジブッシュ33がリテーナケース18から外れるのを妨げる。しかし、本体32は、ネジブッシュ33と分離された後は、ストップリング24による拘束は受けず、図8に示すように、コルゲート管Tとリテーナ17、リテーナケース18、ネジブッシュ33が、一体となって本体32から取り外される。
【0040】
次に、ストップリング24の切れ目(図示せず)を広げて、ストップリング24をリテーナケース18のリング溝23から取り外す。そして、ネジブッシュ33をリテーナケース18から取り外す。また、リテーナ17の各爪17cを開いてコルゲート管Tを抜き取る。なお、この時リテーナ17の爪17cの外周部は何も押さえるものがないので、爪17cを開くことができる。これにより、コルゲート管Tを継手ボディ30から取り外すことができる。なお、図9は、コルゲート管継手が分解された様子を示す。その後、継手ボディ30の本体32とネジブッシュ33を組み立てれば、次の接続作業に用いることができる。
本実施例のコルゲート管継手では、上述の構成と作業手順により、第1実施例と同様の効果(簡単に接続可)を得ることができるとともに、再施工性も得ることができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の第1態様のコルゲート管継手によれば、スパナやレンチ等の工具を用いる必要がなく、狭い場所等であっても容易に素早く接続作業を行うことができる。
なお、本発明の第1態様において、固定手段の固定を解除する機構を有する場合には、継手ボディに対して固定されたリテーナを取り外すことができ、再施工性を実現できる。
また、本発明の第1態様において、コルゲート管をリテーナ内孔に貫通させて組立てる際に、リテーナから突出させるコルゲート管先端部の長さを規定する部材が付設されている場合には、接続時にコルゲート管先端部が潰れるようなことがなく、接続作業に大きな力を必要としない。
【0042】
一方、本発明の第2態様のコルゲート管継手によれば、コルゲート管端部にバリ等があっても、その影響をあまり受けることなくコルゲート管と継手ボディ間の気密性を確保できる。
特に、パッキン内に断面U字状の金属板を埋め込みバネ部材を構成する場合には、コルゲート管と継手ボディ間の気密性を長期に亘り維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のコルゲート管継手を用いた接続作業の初期工程を説明するための工程図である。
【図2】図1に続く接続作業の中期工程を説明するための工程図である。
【図3】図2に続く接続作業の終期工程を説明するための工程図である。
【図4】本発明の第1実施例のコルゲート管継手のリテーナとリテーナケースの構成を示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施例のコルゲート管継手の継手ボディの構成を示す断面図である。
【図6】(A)は、図4のリテーナの断面図(左半分)及び側面図(右半分)であり、(B)は、図4のリテーナの底面図である。
【図7】本発明の第2実施例のコルゲート管継手の構造を示す断面図である。この図は、コルゲート管を接続した状態である。
【図8】図7に続く抜き取り作業の中期工程を説明するための工程図である。
【図9】図8に続く抜き取り作業の終期工程を説明するための工程図である。
【図10】従来の継手のコルゲート管仮挿入状態を示す断面図である。
【図11】従来の継手の締結後(コルゲート管接続状態)を示す断面図である。
【図12】従来の継手のリテーナの詳細を示す図である。(A)はリテーナの斜視図であり、(B)はコルゲート管の差し込み時のリテーナの広がり変形を説明する図であり、(C)はコルゲート管の凹部とリテーナが係合した状態を説明する図である。
【図13】ガス配管の例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10、30 継手ボディ 11、25 貫通孔
12、21、23 リング溝 13 シール溝
14 シール部材 15、26 パッキン溝
16 炭素パッキン 17 リテーナ
18 リテーナケース 19 孔
20 多孔質樹脂 22、31 Oリング
24 ストップリング 27 パッキン
28 フック溝 29 キャップ
32 本体 33 ネジブッシュ
14a ステンレス鋼リング 14b パッキン
17a スリット 17b セグメント
17c 爪 17d 突部
T コルゲート管 T1 環状凸部
T2 環状凹部 T3 被覆
Claims (1)
- 蛇腹状の環状凹凸が外面に形成されたコルゲート管用の継手であって;
コルゲート管端部の貫通する内孔、及び、該内孔に設けられた、コルゲート管外面の環状凹部に差し込まれる爪を有するリテーナと、
他の配管との接続部、並びに、上記リテーナ及びコルゲート管端部の挿入される内孔を有する継手ボディと、
リテーナにコルゲート管を挿入した後、リテーナ及びコルゲート管端部を継手ボディ内孔に挿入した状態で、コルゲート管及びリテーナを継手ボディに対して固定する固定手段と、
コルゲート管と継手ボディとの間をシールするシール手段と、
を具備し、
上記コルゲート管をリテーナ内孔に貫通させて組立てる際に、コルゲート管先端部をリテーナから所定長さ突出させ、この突出させる長さを規定する長さ規定部材が付設されており、
該長さ規定部材が、上記リテーナに被せられた筒状のキャップであり、該リテーナの端部と該キャップの底面との間に、該リテーナから突出する上記コルゲート管端部の長さを規定する所定の間隔が開いていることを特徴とするコルゲート管継手。
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