JP4521764B2 - 離型性に優れた塗装金属板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム鋳物等に対する離型性に優れ、鋳型内部に配置される仕切り板として好適な塗装金属板及びその製造方法に関する。
複数のアルミニウム鋳物等を製造する際、鋳型内にセットした複数枚の仕切り板でキャビティを複数の区画に分割している。鋳造後、アルミニウム鋳物が仕切り板と共に鋳型から取り出され、仕切り板を分離することにより個々の鋳物製品として扱われる。アルミニウム鋳物と仕切り板との分離を容易にするため、離型剤を仕切り板に塗布している。代表的な離型剤として黒鉛粉末の水性分散液が知られており、雲母,タルク等を主成分とする離型剤も使用されている(特許文献1、段落〔0026〕)。
特開2003-285155号公報
しかし、離型剤の付着性が劣る仕切り板が多く、仕切り板からアルミニウム鋳物に離型剤粉末が移行しやすい。離型剤の移行は、鋳物表面を汚染し外観を劣化する原因である。離型剤が十分に付着していないと、仕切り板の取扱い時に離型剤の脱落を防ぐ作業を強いられて生産性低下をきたし、仕切り板製造時にも製造ラインの汚染を助長する。
離型剤に代え、アクリルシリコーン塗膜で離型性を付与する方法も検討されている(特許文献2,3)。しかし、アクリルシリコーン単独では耐熱性に劣り、アルミニウム(融点:660℃)又はアルミニウム合金の鋳造時に高温雰囲気に曝されると有機物が消失しやすい。分解した有機物が気泡となって塗膜に巣穴や剥離・脱落が生じると、鋳巣,肌荒れ等の鋳造欠陥になり、或いは塗膜消失個所では鋳物と仕切り板との間に焼付きが生じやすい。
特開2004-91566号公報 特開2004-18797号公報
本発明者等は、良好な離型性を維持するアクリルシリコーンベースの塗膜に種々の添加剤を配合し、添加剤が耐熱性に及ぼす影響を調査・検討した。その結果、コロイダルシリカを含むシリカ系バインダとアクリルシリコーンを特定割合で混合して塗膜を形成するとき、650℃を超える高温雰囲気下でも健全で耐熱性,離型性共に優れた塗膜となることを解明した。
本発明は、シリカ系バインダが耐熱性の向上に及ぼす知見を基礎とし、アルミニウム鋳造時の仕切り板を初め、高温の部材と接触しても焼付きが生じがたい離型性に優れた塗装金属板を提供することを目的とする。
本発明の塗装金属板は、シリカ系バインダ,アクリルシリコーンの混合塗料から成膜された有機・無機複合塗膜が金属板表面に形成されており、塗膜の赤外吸収スペクトル回折において式(1),(2)で定義される吸光度ピークの高さ比率A,BがそれぞれA:0.6〜0.85,B:0.2〜0.6の範囲に制御されていることを特徴とする。塗膜は、更にSiO2,Al23又はZrO2処理したルチル型TiO2,(Co1/2,Ni,Zn1/2)TiO4,CoAl24,Cu(Cr,Mn)34,TiO2-NiO-Sb25から選ばれた一種又は二種以上の無機顔料を10〜70質量%含むことができる。
有機・無機複合塗膜は、金属板表面に直接、或いはAl23,SiO2,ZrO2,Cr23,TiO2の一種又は二種以上を含む酸化物層(下地層)を介して設けられている。
高さ比率A=(1030cm-1ピーク高さ/1100cm-1ピーク高さ)・・・・(1)
高さ比率B=(1730cm-1ピーク高さ/1100cm-1ピーク高さ)・・・・(2)
有機・無機複合塗膜の形成には、アルコキシシランを含むオルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物:20〜70質量%,不飽和エチレン性単量体の重合体又は共重合体:20〜70質量%,コロイダルシリカ:10〜60質量%の固形分を水/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒に分散させた塗料が使用される。塗料には、必要に応じてSiO2,Al23又はZrO2処理したルチル型TiO2,(Co1/2,Ni,Zn1/2)TiO4,CoAl24,Cu(Cr,Mn)34,TiO2-NiO-Sb25から選ばれた一種又は二種以上の無機顔料を10〜70質量%配合できる。
脱脂及び/又は酸洗で表面を清浄化した金属板に塗料を塗布・焼成することにより、アクリルシリコーンを巻き込んだ三次元網目構造をもつ有機・無機複合塗膜が金属板表面に形成される。有機・無機複合塗膜の形成に先立って、Al23,SiO2,ZrO2,Cr23,TiO2等の酸化物前駆体を含む水性分散液を金属板に塗布・焼成し、酸化物層(下地層)を形成しても良い。
アクリルシリコーンの有機成分は、300℃付近から分解し始め、650℃で1時間加熱するとほとんどの有機成分が消失する。そのため、アクリルシリコーン単独の塗膜を設けた仕切り板が高温のアルミニウム鋳物と接触すると、塗膜に巣穴ができ或いは粉化して脱落しやすくなる。この状態でアルミニウム溶湯を鋳型に注入すると、アクリルシリコーン塗膜の離型作用が活用されず、巣穴や粉体の隙間を通してアルミニウム溶湯が仕切り板の金属表面に接触して焼付きが生じる。
そこで、本発明者等は、耐熱性の良好なシリカ系バインダをアクリルシリコーンに複合させることを検討した。シリカ系バインダ,アクリルシリコーンを複合した塗膜が耐熱性,離型性に有効なことは、次のように説明できる。なお、シリカ系バインダとしては、クラックの発生を抑制する上でコロイダルシリカを含むシリカ系バインダが好適である。
シリカ系バインダ単体からなる塗膜では、コロイダルシリカを含ませても膜厚:3μm以上になるとクラックが発生しやすくなるので、薄膜塗装せざるを得ない。薄い塗膜を形成した場合でも、離型性の発現に必要なシリコーンが存在しないため塗膜表層にあるシリカの酸素がアルミニウムと結合し、離型性が得られない。逆にアクリルシリコーン単体からなる塗膜では高温雰囲気で有機分が消失するため、塗膜のない部分で仕切り板とアルミニウム鋳物との間に焼付きが生じる。
これに対し、シリカ系バインダ,アクリルシリコーンを複合した塗膜では、シリカ系バインダがアクリルシリコーンを巻き込む形で塗膜が形成され、650℃前後の高温雰囲気下でも塗膜自体が結合力の高い三次元の網目構造を維持する。シリコーン由来のSi-O-Si構造がアルミニウムに対する仕切り板の濡れを抑えることも、離型性が向上する一因と考えられる。
耐熱性,離型性を両立させる上で、シリカ系バインダ,アクリルシリコーンの複合割合が特定される。コロイダルシリカ由来のSi-O-Si,Si-OHが少なすぎると、アクリルシリコーンがシリカ系バインダに十分巻き込まれず塗膜の結合力が不十分になる。逆に、コロイダルシリカ由来のSi-O-Si,Si-OHが多すぎると、アルミニウムに濡れ易いSi-O-Si構造が塗膜表層に占める割合が多くなり、アルミニウム鋳物と結合して離型性が劣る。また、塗膜の形成を容易にする上で、シリカ系バインダに適量のアクリル分を結合させる必要がある。
シリカ系バインダ,アクリルシリコーンが耐熱性,離型性,成膜性に及ぼす影響を考慮し、塗膜組成を調査・検討した結果、塗膜の赤外吸収スペクトル回折で得られる式(1)の吸光度ピークの高さ比率A,式(2)の吸光度ピークの高さ比率BをそれぞれA:0.6〜0.85,B:0.2〜0.6の範囲に制御した塗膜が有効であることを解明した。
高さ比率A=(1030cm-1ピーク高さ/1100cm-1ピーク高さ)・・・・(1)
高さ比率B=(1730cm-1ピーク高さ/1100cm-1ピーク高さ)・・・・(2)
赤外吸収スペクトルの1030cm-1に現れるピークはSi-O-Si,Si-OHに、1100cm-1に現れるピークは有機分が結合したSi-O-Siに、1730cm-1に現れるピークはアクリルのC=Oに当る。高さ比率Aが0.6〜0.85の範囲にあることはアクリルシリコーンを巻き込むコロイダルシリカ由来のSi-O-Si,Si-OHが適正量確保されていることを意味し、高さ比率Bが0.2〜0.6の範囲にあることは成膜に好適な量のアクリルがシリコーンに結合していることを意味する。
塗装原板には、普通鋼板,めっき鋼板,ステンレス鋼板,銅板,銅合金板,アルミニウム板,アルミニウム合金板等がある。塗装原板には、必要に応じてアルカリ脱脂,クロメート処理又はクロムフリー処理,リン酸塩処理等の塗装前処理が施される。
塗装前処理後、必要に応じて塗装原板を下塗り塗装し、Al23,SiO2,Cr23,TiO2の一種又は二種以上の酸化物を含む下地層を設けても良い。下地層の形成には、Al,Si,Zr,Cr,Ti等の水酸化物やアルコキシドの加水分解物、水和酸化物等の酸化物前駆体を主成分とする水性分散液が使用される。水性分散液を塗装原板に塗布し、80〜300℃で焼成することにより乾燥膜厚:0.01〜1.0μmの酸化物層(下地層)が形成される。酸化物層は、均一な膜となって塗装原板を覆い耐熱性を向上させ、カーボンの酸化分解を抑制する作用もあり有機・無機複合塗膜の有機物分解に対する遅延効果を期待できる。
有機・無機複合塗膜の形成に使用される塗料は、シリカ系バインダ,アクリルシリコーンを混合した組成物であり、たとえばコロイダルシリカ:10〜60質量%,オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物:20〜70質量%で構成される固形分,不飽和エチレン性単量体の重合体又は共重合体:20〜70質量%で構成される固形分,グリコール誘導体を含む溶媒からなる。
コロイダルシリカが10質量%未満では耐熱性が不十分であり、逆に60質量%を超えると溶融アルミニウムに結合しやすくなって良好な離型性が得られない。オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物が20質量%未満では耐熱性のある塗膜を形成できず、逆に70質量%を超えると高温加熱時にクラックや巣穴が発生しやすくなって十分な離型性が得られない。不飽和エチレン性単量体の重合体又は共重合体が20質量%未満では塗膜形成が難しくなり、逆に70質量%を超えると高温加熱時に巣穴が発生しやすくなる。
有機・無機複合塗料は、シリカ,オルガノアルコキシシラン,オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物からなる固形分,不飽和エチレン性単量体の重合体又は共重合体及び水,グリコール誘導体からなる溶媒で構成されている。
シリカとしては、コロイダルシリカが使用される。コロイダルシリカ分散液は高分子量の無水ケイ酸を水に分散させた水系コロイダルシリカ分散液及びアルコール系溶媒に分散させた非水系コロイダルシリカ分散液に大別されるが、本発明では主として水系コロイダルシリカ分散液を使用する。水系コロイダルシリカ分散液の一部は、非水系コロイダルシリカ分散液で置換できる。分散液に分散しているシリカは、好ましくは平均粒径が150μm以下で、シリカ系バインダの保存安定性を確保するため酸性に調整されている。
塗料成分に使用されるシリカ系バインダは、オルガノアルコキシシラン及びオルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物である。一般式:R1Si(OR2)3〔R1は炭素数1〜3のアルキル基,ビニル基,3,4-エポキシシクロヘキシルエチル基,γ-グリシドキシプロピル基,γ-メルカプトプロピル基,γ-クロロプロピル基の一種又は二種以上、R2は炭素数1〜4のアルキル基,炭素数1〜4のアルコキシエチル基及びアリール基の一種又は二種以上〕で表す化合物が挙げられ、オルガノヒドロキシシラン又はその部分縮合物である。
アクリルシリコーン樹脂は、不飽和エチレン性単量体の重合体又は共重合体とオルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを反応させることにより調製される。不飽和エチレン性単量体としては、たとえばメチルアクリレート,エチルアクリレート,2-エチルヘキシルアクリレート,t-ブチルアクリレート,2-ヒドロキシメチルアクリレート,2-ヒドロキシエチルアクリレート,n-ブチルメタクリレート,イソブチルメタクリレート,t-ブチルメタクリレート,グリシジルメタクリレート,2-ヒドロキシエチルメタクリレート,2-ヒドロキシプロピルメタクリレート,ジメチルアミノエチルメタクリレート,ジエチルアミノエチルメタクリレート,2-エチルヘキシルメタクリレート,メトキシジエチレングリコールメタクリレート,メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート,アリルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。スチレン等の単量体の少量を不飽和エチレン性単量体に添加することもできる。
溶媒にグリコール誘導体を使用すると、有機・無機複合塗膜の保存安定性が飛躍的に向上し、塗装作業性,成膜性も改善される。グリコール誘導体としては、エチレングリコール,プロピレングリコール,ブチレングリコール,エチレングリコールモノエチルエーテル,エチレングリコールモノブチルエーテル,酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等があり、なかでもエチレングリコールモノブチルエーテルが好適な溶媒である。
シリカ系バインダは、(1)コロイダルシリカ分散液にオルガノアルコキシシランを添加して加水分解させることによりオルガノヒドロキシシラン及びその部分縮合物を生成し、反応生成物を溶剤で希釈する方法,(2)コロイダルシリカ分散液を溶剤で希釈した後、オルガノアルコキシシランを添加して加水分解させる方法等で用意される。
コロイダルシリカ分散液にオルガノアルコキシシランを添加し加水分解させる場合、液温を10〜80℃に保ち、常圧下で約1〜12時間攪拌させながら反応させることが好ましい。非水性コロイド状シリカの一部は、反応終了後に添加しても良い。
調整されたコロイダルシリカ-オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物の分散液に不飽和エチレン性単量体の重合体又は共重合体を変性したアクリルシリコーン樹脂及びグリコール誘導体を含む溶剤を添加して十分分散させることにより、有機・無機複合塗料を得る。混合後、液温を10〜80℃に保ち、常圧下で約1〜12時間攪拌させながら反応させることが更に好ましい。
有機・無機複合塗膜に占める無機顔料の割合が10〜70質量%となるように無機顔料を有機・無機複合塗料に配合すると、離型性が更に向上する。無機顔料には、SiO2,Al23又はZrO2処理したルチル型TiO2,(Co1/2,Ni,Zn1/2)TiO4,CoAl24,Cu(Cr,Mn)34,TiO2-NiO-Sb25等がある。また、有機・無機複合塗膜の形成に先立って、Al23,SiO2,ZrO2,Cr23,TiO2から選ばれた一種又は二種以上の酸化物の前駆体を分散させた水性分散液を塗装原板に塗布・焼成して酸化物層を形成すると、一層優れた離型性が付与される。
有機・無機複合塗料は、スプレー塗装,浸漬法,フローコート,ロールコート,スクリーン印刷,静電塗装等、従来から採用されている方法で塗装原板に塗布される。塗布後、150〜250℃で1分程度加熱することにより、基材に対する密着性に優れた有機・無機複合塗膜が得られる。塗膜は、基材全面を覆うように0.2〜20μmの膜厚が好ましい。0.2μmに達しない薄膜ではピンホールが生じやすく離型性に劣り、逆に20μmを超える厚膜では塗膜の形成自体が困難になる。
それぞれ固形分が特定されたシリカ系バインダ及びアクリルシリコーン樹脂を混合比率70:30〜20:80で混合することにより、有機・無機複合塗料が調製される。シリカ系バインダ:アクリルシリコーン樹脂の混合比率を調整することにより、赤外吸収スペクトル回折において式(1),(2)で算出される吸光度ピークの高さ比率A,BがそれぞれA:0.6〜0.85,B:0.2〜0.6の範囲になる。
図1に示す吸光度ピークの高さ比率A,Bは、有機・無機複合塗料の各種物性との関係をみると、吸光度ピークの高さ比率Aの増加に従って耐熱性が向上、高さ比率Bの増加に従って加工密着性が向上している。耐熱性,加工密着性の双方を満足させ、良好な離型性を確保する上では、吸光度ピークの高さ比率A,Bの制御が必要であることが判る。このようなことから、本発明ではA:0.6〜0.85,B:0.2〜0.6の範囲に式(1),(2)で算出される吸光度ピークの高さ比率A,Bを調整している。
本発明の塗装金属板は、アルミニウム鋳物の仕切り板として開発されたものであるが、優れた離型性,耐熱性を活用しオーブンの内壁,食品用型,プラスチック成形用金型等、
仕切り板以外の用途にも使用可能である。また、有機・無機複合塗料のロールコートで塗膜が形成されるので連続塗装ラインに適用でき、塗膜がある程度の加工密着性をもっているのでプレコート化も可能である。
〔シリカ系バインダの調製〕
酸性の水性コロイド状シリカ分散液をメタノール性コロイド状シリカ分散液と混合した後、メチルトリエトキシシラン及び塩基性アルコキシシランを添加し、室温で5時間攪拌することにより加水分解を完了させた。加水分解生成物にエチレングリコールモノブチルエーテルを添加し、固形分約30%の溶液を調製した。
〔アクリルシリコーンの調製〕
アクリル酸エステル(メチルメタクリレート:n-ブチルメタクリレート=2:1の混合物)及びγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランをエチレングリコールモノブチルエーテルで希釈し、窒素雰囲気中でアゾビスイソブチルニトリルを添加し、80℃で約6時間重合させることにより固形分約30%の樹脂溶液を調製した。
調製されたシリカ系バインダ,アクリルシリコーンを混合し、混合比率を種々変えた塗料を調合した。
〔塗装〕
板厚:0.8mmのSUS430ステンレス鋼板をアルカリ脱脂した後、ロールコータで塗料を塗布し、215℃×1分の焼成によって乾燥膜厚:2.5μmの塗膜を形成した。
塗膜構造を解析するため、塗膜の赤外吸収スペクトルを調査した。赤外吸収スペクトルの測定には、検出器,ビームスプリッタをKBrとしGeを窓材に用いた全反射測定法(ATR法)の一回反射を採用した。
また、塗装鋼板の塗膜密着性,耐熱性,離型性を次のように調査した。
〔塗膜密着性試験〕
温度:20℃の恒温槽から取り出した試験片の塗膜と反対側に等厚の板材を5枚挟んで180度折曲げ試験し、曲げ部外側に粘着テープを貼り付け引き剥がした後、塗膜の残存状態を目視観察した。塗膜が剥離していない試験片を○,剥離した試験片を×として加工部の塗膜密着性を評価した。
〔耐熱,離型性評価試験〕
塗装鋼板から切り出した試験片を650℃に1時間加熱した後、750℃の溶融アルミニウム合金を塗膜表面に流し込み、650℃×30分保持後に冷却凝固した。室温に降温したアルミニウム合金の凝固体を試験片から引き剥がし、塗膜面を観察し、粉化や欠損のない塗膜を○,点状に欠損した塗膜を△,全面に粉化や欠損が生じた塗膜を×として耐熱性を評価した。離型性に関しては、手でアルミニウム合金凝固体を剥がすことができた試験片を○,手で剥がすことができなかった試験片を×と評価した。
表1の調査結果にみられるように、シリカ系バインダ,アクリルシリコーンの配合比によって赤外吸収スペクトル回折で得られる吸光度ピークの高さ比率A,BをそれぞれA:0.6〜0.85.B:0.2〜0.6の範囲に調整した塗膜では、アルミニウム合金凝固体から試験片を手で剥がすことができ、耐熱性,離型性の良好な仕切り板として有用なことが確認された。
これに対し、高さ比率Aが0.6未満の塗膜では耐熱性,離型性が劣り、高さ比率Aが0.85を超える塗膜では加工密着性。離型性が劣っていた。高さ比率Bが0.2未満の塗膜では加工密着性,離型性が劣り、高さ比率Bが0.6を超える塗膜では耐熱性,離型性に劣っていた。
Figure 0004521764
密着性,耐熱性,離型性について満足できる結果が得られた試験No.5の塗料をベースに、無機顔料として平均粒径:0.2μmのZrO2処理した酸化チタンを添加し、得られた塗料を同様な条件下でステンレス鋼板に塗布・焼成し、乾燥膜厚:2.5μmの塗膜を形成した。そして、塗膜に配合した酸化チタンが塗膜物性に及ぼす影響を調査した。
表2にみられるように、10質量%以上の酸化チタン添加で離型性が向上しており、酸化チタンの増量に伴い塗装鋼板からアルミニウム合金凝固体の離型が容易になった。なかでも、酸化チタンの配合量が10質量%以上の塗膜では、塗装鋼板を傾けるだけでアルミニウム合金凝固体が離型するようになった。しかし、過剰な酸化チタンを配合した塗膜では、表面が粉化する傾向にあった。
Figure 0004521764
板厚:0.8mmのSUS409ステンレス鋼板を塗装原板とし、アルカリ脱脂,表面調整を経て下塗り塗装した。下塗りでは、コロイダルシリカ,コロイダルジルコニアのゾルを塗装前処理したステンレス鋼板にロールコートし、100℃×1分の焼成によって乾燥膜厚:0.2μmのSiO2-ZrO2皮膜を形成した。次いで、実施例1の試験No.5の塗料をロールコータで塗布し、215℃×1分の焼成によって乾燥膜厚:3μmの有機・無機複合塗膜を設けた。
有機・無機複合塗膜で被覆された塗装鋼板について、実施例1と同じ条件下で離型性を調査した。その結果、アルミニウム合金凝固体を載せた塗装鋼板を60度傾けたとき、アルミニウム合金凝固体が塗装金属板から滑り落ち、SiO2-ZrO2皮膜のない場合に比較して離型性が格段に向上していることが判った。
鋼板表面に形成した塗膜の赤外吸収スペクトル回折を示すグラフ

Claims (6)

  1. シリカ系バインダ,アクリルシリコーンの混合塗料から成膜され、塗膜の赤外吸収スペクトル回折において式(1),(2)で定義される吸光度ピークの高さ比率A,BがそれぞれA:0.6〜0.85,B:0.2〜0.6の範囲に制御された有機・無機複合塗膜が金属板表面にあることを特徴とする離型性に優れた塗装金属板。
    高さ比率A=(1030cm-1ピーク高さ/1100cm-1ピーク高さ)・・・・(1)
    高さ比率B=(1730cm-1ピーク高さ/1100cm-1ピーク高さ)・・・・(2)
  2. SiO2,Al23又はZrO2処理したルチル型TiO2,(Co1/2,Ni,Zn1/2)TiO4,CoAl24,Cu(Cr,Mn)34,TiO2-NiO-Sb25から選ばれた一種又は二種以上の無機顔料が10〜70質量%の割合で有機・無機複合塗膜に含まれている請求項1記載の塗装金属板。
  3. Al23,SiO2,ZrO2,Cr23,TiO2から選ばれた一種又は二種以上を含む酸化物層が下地層として形成されている請求項1又は2記載の塗装金属板。
  4. 脱脂及び/又は酸洗で表面を清浄化した金属板を用意し、
    アルコキシシランを含むオルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物:20〜70質量%,不飽和エチレン性単量体の重合体又は共重合体:20〜70質量%,コロイダルシリカ:10〜60質量%の固形分を水/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒に分散させた塗料を金属板に塗布・焼成し、
    アクリルシリコーンを巻き込んだ三次元網目構造をもつ有機・無機複合塗膜を金属板表面に形成することを特徴とする離型性に優れた塗装金属板の製造方法。
  5. SiO2,Al23又はZrO2処理したルチル型TiO2,(Co1/2,Ni,Zn1/2)TiO4,CoAl24,Cu(Cr,Mn)34,TiO2-NiO-Sb25から選ばれた一種又は二種以上の無機顔料を10〜70質量%配合した塗料を使用する請求項4記載の製造方法。
  6. 有機・無機複合塗膜の形成に先立って、Al23,SiO2,ZrO2,Cr23,TiO2から選ばれた一種又は二種以上の酸化物前駆体を分散させた水性分散液を金属板に塗布・焼成して酸化物層を形成する請求項4記載の製造方法。
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