JP4514347B2 - 化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、解像性、感度が優れ、かつ光近接効果の小さい化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、感光剤としてナフトキノンジアジドスルホン酸エステル、基材樹脂としてノボラック樹脂を用いた従来の非化学増幅型のポジ型ホトレジストに比べて、解像性や感度に優れることから、多数の化学増幅型ポジ型ホトレジストが提案されており、既にデザインルール0.25μm付近プロセスで実用に供されている。
【0003】
他方、半導体素子については、集積度を大きくする傾向が高まり、デザインルール0.20μm付近のLSIの量産が進められるに伴って、KrFエキシマ用レジストとして、0.20〜0.22μm程度のラインアンドスペースパターン、ホールパターン、孤立パターンなどの各種レジストパターンが要望されるようになってきた。
【0004】
ところで、これまでの化学増幅型ポジ型ホトレジストについて、特に求められる特性として、感度、解像性及びレジストパターン断面形状などがあるが、上記のように半導体素子の集積度が高まり、回路が複雑になることに伴って光近接効果の低減が要求されるようになってきた。
【0005】
この光近接効果とは、孤立レジストパターンと密集レジストパターン、例えばラインアンドスペースパターンが混在するレジストパターンを形成する場合、形成後の孤立レジストパターンと密集レジストパターンとの間でサイズの差異を生じる現象であり、その結果、サイズの小さいレジストパターンを形成させる場合では、孤立レジストパターンのサイズが小さくなりパターン倒れを生じることになる。
【0006】
他方、異なる波長の放射線に対して感応する2種の光活性成分を含有する化学増幅型ホトレジストの一方の光活性成分としてビスアジド化合物を用い、画像形成露光後現像前に所定の波長の放射線で全面露光を行い、レジスト膜表面を難溶化させ、γ値の高い高解像性のレジストパターンを形成することも知られているが(特開平11−237737号公報)、これは画像形成露光後、現像前に全面露光することが必要であり、このような全面露光を行わない場合は、感度、解像性及びレジストパターン断面形状の向上は達成できない上に、このようなポジ型ホトレジスト組成物では光近接効果の低減も行うことはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、感度、解像性が優れ、かつ良好なレジストパターン断面形状を与えることができるという特性に加えて、光近接効果による影響の少ない、すなわち孤立レジストパターンと密集レジストパターンのサイズの差が少ない化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、光近接効果の影響が少ない化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を開発するために種々研究を重ねた結果、基材樹脂成分、酸発生成分及び有機アミン成分を含む有機溶剤に対し、ビスアジド化合物を添加することにより、感度、解像度が優れ、かつ良好なレジストパターン断面形状を与えるとともに、光近接効果が低減した化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)その中に存在するフェノール性水酸基若しくはカルボキシル基の少なくとも一部の水素原子が酸解離性基で置換されたヒドロキシスチレン系共重合体の少なくとも1種からなる基材樹脂成分、(B)放射線の照射により酸を発生する化合物及び(C)有機アミンを含む有機溶剤中に(D)ビスアジド化合物を添加した化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を基板上に塗布し、乾燥してレジスト膜を形成したのち、これをマスクパターンを介してKrFエキシマレーザーに露光し、次いで露光後加熱処理を行い、そのまま現像処理に付することを特徴とするレジストパターン形成方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明においては、(A)成分として、その中に存在するフェノール性水酸基若しくはカルボキシル基の少なくとも一部の水素原子が酸解離性基で置換されたヒドロキシスチレン系共重合体の少なくとも1種からなる基材樹脂成分を用いる。
【0011】
この(A)成分の基材樹脂成分は、酸解離性基がアルカリに対する溶解抑制能を有し、露光前はアルカリに対して不溶であるが、露光後、露光部では酸発生剤から発生した酸の作用により酸解離性基が解離し、アルカリ水溶液への溶解度が増大する。この酸解離性基については特に制限はないが、酸解離性、耐熱性、パターン形状を考慮すると低級アルコキシアルキル基、第三級アルコキシカルボニル基、第三級アルコキシカルボニルアルキル基、第三級アルキル基、環状エーテル基及び1‐アルキルシクロアルキル基などが好ましい。
【0012】
この低級アルコキシアルキル基としては、例えば1‐エトキシ‐1‐エチル基、1‐メトキシ‐1‐プロピル基など、第三級アルコキシカルボニル基としては、例えばtert‐ブトキシカルボニル基、tert‐アミルオキシカルボニル基など、第三級アルコキシカルボニルアルキル基としては、例えばtert‐ブトキシカルボニルメチル基、tert‐ブトキシカルボニルエチル基、tert‐アミルオキシカルボニルメチル基、tert‐アミルオキシカルボニルエチル基など、第三級アルキル基としては、例えばtert‐ブチル基、tert‐アミル基など、環状エーテル基としては、例えばテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基など、1‐アルキルシクロアルキル基としては、例えば1‐メチルシクロヘキシル基、1‐エチルシクロヘキシル基などがある。
【0013】
したがって、(A)の基材樹脂成分としては、例えば水酸基の10〜50%、好ましくは15〜40%の水素原子が低級アルコキシアルキル基、第三級アルコキシカルボニル基、第三級アルコキシカルボニルアルキル基、環状エーテル基から選ばれる少なくとも1つの酸解離性基で置換されたポリヒドロキシスチレンなどがある。この中で好ましいのは、水酸基の10〜50%、好ましくは15〜40%の水素原子が1‐エトキシエチル基又は1‐メトキシ‐n‐プロピル基で置換されたポリヒドロキシスチレン、水酸基の10〜50%、好ましくは15〜40%の水素原子がtert‐ブトキシカルボニル基で置換されたポリヒドロキシスチレン、水酸基の10〜50%、好ましくは15〜40%の水素原子がtert‐ブトキシカルボニルメチル基で置換されたポリヒドロキシスチレン、水酸基の10〜50%、好ましくは15〜40%の水素原子がtert‐ブチル基で置換されたポリヒドロキシスチレン、水酸基の10〜50%、好ましくは15〜40%の水素原子がテトラヒドロピラニル基又はテトラヒドロフラニル基で置換されたポリヒドロキシスチレンである。
【0014】
また、水酸基の水素原子が第三級アルコキシカルボニル基、第三級アルキル基及び環状エーテル基から選択される酸解離性基で置換されたヒドロキシスチレン単位10〜49モル%、水酸基の水素原子がアルコキシアルキル基で置換されたヒドロキシスチレン単位10〜49モル%及びヒドロキシスチレン単位2〜80モル%の共重合体が挙げられる。このようなものとしては、水酸基の水素原子がtert‐ブトキシカルボニル基で置換されたヒドロキシスチレン単位10〜49モル%、水酸基の水素原子が1‐エトキシエチル基で置換されたヒドロキシスチレン単位10〜49モル%及びヒドロキシスチレン単位2〜80モル%の共重合体、水酸基の水素原子がtert‐ブチル基で置換されたヒドロキシスチレン単位10〜49モル%、水酸基の水素原子が1‐エトキシエチル基で置換されたヒドロキシスチレン単位10〜49モル%及びヒドロキシスチレン単位2〜80モル%の共重合体、水酸基の水素原子がテトラヒドロピラニル基で置換されたヒドロキシスチレン単位10〜49モル%、水酸基の水素原子が1‐エトキシエチル基で置換されたヒドロキシスチレン単位10〜49モル%及びヒドロキシスチレン単位2〜80モル%の共重合体などが挙げられる。
【0015】
さらに、カルボキシル基の水素原子が酸解離性基で置換された(メタ)アクリル酸エステル単位とヒドロキシスチレン単位とスチレン単位を含む重合体が挙げられる。このようなものの例としては、カルボキシル基の水素原子がtert‐ブチル基で置換された(メタ)アクリル酸エステル単位2〜30モル%とヒドロキシスチレン単位40〜80モル%とスチレン単位10〜40モル%を含む重合体、カルボキシル基の水素原子が1‐エチルシクロヘキシル基で置換された(メタ)アクリル酸エステル単位2〜30モル%とヒドロキシスチレン単位40〜80モル%とスチレン単位10〜40モル%を含む重合体などが挙げられる。
【0016】
そして、(A)成分として特に好ましいのは、水酸基の10〜50%、好ましくは15〜40%の水素原子がtert‐ブトキシカルボニル基により置換されたポリヒドロキシスチレン5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%と水酸基の10〜50%、好ましくは15〜40%の水素原子が1‐エトキシエチル基又は1‐メトキシ‐n‐プロピル基により置換されたポリヒドロキシスチレン50〜95質量%、好ましくは70〜90質量%との混合物、水酸基の10〜50%、好ましくは15〜40%の水素原子がテトラヒドロピラニル基又はテトラヒドロフラニル基により置換されたポリヒドロキシスチレン5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%と水酸基の10〜50%、好ましくは15〜40%が1‐エトキシエチル基又は1‐メトキシ‐n‐プロピル基により置換されたヒドロキシスチレン50〜95質量%、好ましくは70〜90質量%との混合物や、ヒドロキシ(α‐メチル)スチレン単位50〜85モル%、スチレン単位10〜30モル%及びカルボキシル基の水素原子が1‐エチルシクロアルキル基又はtert‐ブチル基で置換された(メタ)アクリル酸エステル2〜20モル%からなる共重合体である。
【0017】
これらの重合体又は共重合体の質量平均分子量は、2000〜50000、好ましくは5000〜25000である。また、分子量分布(Mw/Mn)は1.0〜5.0、好ましくは1.0〜2.0である。
【0018】
また、本発明においては、(B)放射線の照射により酸を発生する化合物(以下酸発生剤と称する)としては、従来化学増幅型ホトレジストにおいて使用される公知の酸発生剤の中から適宜選択して用いることができるが、特に好ましいのはジアゾメタン系酸発生剤、炭素数1〜15のフルオロアルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩である。
【0019】
このジアゾメタン類の例としては、ビス(p‐トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1‐ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4‐ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタンなどを挙げることができる。
また、このようなオニウム塩の例としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4‐tert‐ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4‐メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネートなどを挙げることができるが、特にジフェニルヨードニウム又はビス(4‐tert‐ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネートが好ましい。
【0020】
この(B)成分の酸発生剤は、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。その含有量は、前記(A)成分100質量部に対し、通常0.5〜20質量部、好ましくは1〜10質量部の範囲で選ばれる。この酸発生剤が0.5質量部未満では像形成ができにくいし、20質量部を超えると均一な溶液とならず、保存安定性が低下する。
【0021】
次に、本発明においては、(C)成分として有機アミンを含むことが必要である。
この(C)成分は、露光から露光後加熱処理間の引き置きによって、得られるレジストパターン形状が悪化するので、それを防止するために配合するものである。また、(B)成分から発生した酸の必要以上の拡散を防止することができ、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができ、解像度も向上する。この有機アミンとしては、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミンなどが用いられる。
【0022】
脂肪族アミンとしては、例えばトリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ‐n‐プロピルアミン、トリ‐n‐プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの第二級又は第三級の低級脂肪族アミンを挙げることができる。
【0023】
芳香族アミンとしては、例えばベンジルアミン、アニリン、N‐メチルアニリン、N,N‐ジメチルアニリン、o‐メチルアニリン、m‐メチルアニリン、p‐メチルアニリン、N,N‐ジエチルアニリン、ジフェニルアミン、ジ‐p‐トリルアミンなどを挙げることができる。
【0024】
複素環式アミンとしては、例えばピリジン、o‐メチルピリジン、o‐エチルピリジン、2,3‐ジメチルピリジン、4‐エチル‐2‐メチルピリジン、3‐エチル‐4‐メチルピリジンなどを挙げることができる。
【0025】
これらの中で、第二級又は第三級の低級脂肪族アミンがレジストパターン形状、引き置き経時安定性に優れるので好ましい。
【0026】
この(C)成分の配合量は(A)成分100質量部に対し、0.01〜1質量部、好ましくは、0.05〜0.5質量部の範囲内で選ばれる。これよりも少ないと解像性が劣化するし、多すぎると感度が劣化する。
【0027】
前記の(A)ないし(C)成分は、有機溶剤に溶解される。この際用いる有機溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2‐ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体や、ジオキサンなどの環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0028】
本発明においては、前記の(A)〜(C)成分を含む有機溶剤中に、(D)成分としてビスアジド化合物を添加することが必要である。そして、このビスアジド化合物を添加することにより、光近接効果による影響が抑制され、形成される孤立レジストパターンと密集パターンのサイズの差異が小さくなる。したがって、孤立レジストパターンとラインアンドスペースパターンにおいて目的とするパターンサイズが形成されることになる。
【0029】
このビスアジド化合物としては、例えば3,3′‐ジメチル‐4,4′‐ジアジドビフェニル、3,3′‐ジメトキシ‐4,4′‐ジアジドビフェニル、4,4′‐ジアジドジフェニルメタン、4,4′‐ジアジド‐3,3′‐ジクロロジフェニルメタン、4,4′‐ジアジドジフェニルエーテル、4,4′‐ジアジドジフェニルスルホン、3,3′‐ジアジドジフェニルスルホン、4,4′‐ジアジドジフェニルスルフィド、4,4′‐ジアジドベンゾフェノン、4,4′‐ジアジドスチルベン、4,4′‐ジアジドカルコン、2,6‐ビス(4‐アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6‐ビス(4‐アジドベンザル)‐4‐メチルシクロヘキサノン、2,6‐ビス(4‐アジドシンナミリデン)シクロヘキサノンなどがある。
これらの中で特に4,4′‐ジアジドジフェニルスルフィドがレジスト溶剤への溶解性に優れるので好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0030】
その添加量は(A)100質量部に対し、0.05〜1.0質量部、好ましくは、0.10〜0.7質量部の範囲内で選ばれる。これよりも少ないと光近接効果による影響の低減が認められないし、多すぎるとディフェクトの発生やレジスト溶液の保存安定性の悪化を生じる。
【0031】
本発明においては、前記の(A)〜(C)成分に加え、所望に応じさらに(E)成分として有機カルボン酸又はリンのオキソ酸を配合することができる。
この(E)成分は、(C)成分の有機アミンの添加による感度低下や各種基板に対するレジストパターン形状の依存性を少なくするために用いられる。
【0032】
この有機カルボン酸としては、飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸、脂環式カルボン酸、オキシカルボン酸、アルコキシカルボン酸、ケトカルボン酸、芳香族カルボン酸などが用いられるが、特に制限はない。
【0033】
この飽和脂肪族カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸などの一価又は多価カルボン酸を挙げることができる。
【0034】
不飽和脂肪族カルボン酸としては、例えばアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、3‐ブテン酸、メタクリル酸、4‐ペンテン酸、プロピオル酸、2‐ブチン酸、マレイン酸、フマル酸、アセチレンカルボン酸などを挙げることができる。
【0035】
脂環式カルボン酸としては、例えば1,1‐シクロヘキサンジカルボン酸、1,2‐シクロヘキサンジカルボン酸、1,3‐シクロヘキサンジカルボン酸、1,4‐シクロヘキサンジカルボン酸、1,1‐シクロヘキシルジ酢酸などを挙げることができる。
【0036】
オキシカルボン酸としては、例えばオキシ酢酸、アルコキシカルボン酸としては、例えばメトキシ酢酸、エトキシ酢酸、ケトカルボン酸としては、例えばピルビン酸などを挙げることができる。
【0037】
芳香族カルボン酸としては、例えばp‐ヒドロキシ安息香酸、o‐ヒドロキシ安息香酸、2‐ヒドロキシ‐3‐ニトロ安息香酸、3,5‐ジニトロ安息香酸、2‐ニトロ安息香酸、2,4‐ジヒドロキシ安息香酸、2,5‐ジヒドロキシ安息香酸、2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3,4‐ジヒドロキシ安息香酸、3,5‐ジヒドロキシ安息香酸、2‐ビニル安息香酸、4‐ビニル安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、ビニル基などの置換基を有する芳香族カルボン酸などを挙げることができる。
【0038】
これらのカルボン酸中、サリチル酸のような芳香族カルボン酸やマロン酸のような多価カルボン酸が適当な酸性度を有し、レジスト溶剤に対する溶解性がよく、良好なレジストパターンを与えるので好ましい。
【0039】
次に、リンのオキソ酸としては、例えばリン酸、亜リン酸、リン酸ジn‐ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又は亜リン酸あるいはそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸ジn‐ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体などを挙げることができる。
【0040】
この(E)成分は、(A)成分100質量部に対し、0.001〜10質量部、好ましくは、0.01〜2.0質量部の範囲内で配合される。これよりも少ないと、各種基板に対して良好なレジストパターンを形成できず、また多すぎると現像時における未露光部の膜減りが大きくなるので添加する意味がない。
【0041】
本発明において、組成物には、さらに所望により混和性のある添加物、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、安定剤、着色剤、界面活性剤など化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物に慣用されている添加剤を含有させることができる。
【0042】
本発明において、組成物は、通常、固形物濃度、すなわち(A)〜(D)成分及びその他の所望成分の全濃度が10〜80質量%、好ましくは10〜30質量%の範囲内になるように調製される。これよりも低い濃度では塗布後乾燥するのに長時間を要するし、またこれよりも高い濃度では粘度が大きくなり取り扱いにくくなる。
これらの化学増幅型ポジ型ホトレジストを用いてレジストパターンを形成するには、公知のレジストパターン形成方法を用いて行うことができる。この形成方法としては、シリコンウエーハのような支持体上に、又は必要に応じ反射防止膜を設けた支持体上に、該レジスト組成物の溶液をスピンナーなどで塗布し、乾燥してレジスト膜を設け、これにKrF露光装置を用いて、KrFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して照射して像形成露光した後、加熱処理し、全面への露光処理を行うことなく、ただちに0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液により現像処理する。
本発明を好適に行うには、上述したポジ型レジスト組成物を基板上に塗布し、乾燥してレジスト膜を設ける際、80〜150℃で30〜120秒間乾燥させる。次いで、露光後のレジストパターンをホットプレート上で90〜150℃で30〜120秒間、後加熱する。
【0043】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0044】
なお、ポジ型レジスト塗布液の諸物性は次のようにして求めた。
(1)感度:
試料をスピンナーを用いてヘキサメチルジシラザン処理されたシリコンウエーハ上に塗布し、これをホットプレート上で90℃、90秒間乾燥して膜厚0.5μmのレジスト膜を形成する。次にこの膜に縮小投影露光装置NSR−2005EX8A(NA=0.5、σ=0.7、ニコン社製)を用いて、1mJ/cm2ずつドーズ量を加え露光したのち、110℃、90秒間のPEB(POST EXPOSURE BAKE)を行い、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃において60秒間現像し、30秒間水洗して乾燥したとき、現像後の露光部の膜厚が0となる最小露光時間を感度としてmJ/cm2(エネルギー量)単位で測定した。
【0045】
(2)レジストパターン形状:
上記(1)と同様の操作により得られたラインアンドスペース0.25μmレジストパターンをSEM(走査型電子顕微鏡)写真により、その形状を観察し、矩形状のものをA、テーパー形状をB,トップが丸みを帯び裾引きの形状をCとして評価した。
【0046】
(3)光近接効果の低減:
上記(1)と同様の操作により得られた孤立レジストパターンサイズとラインアンドスペースパターンサイズを測定した。
【0047】
実施例1
水酸基の35%の水素原子がtert‐ブトキシカルボニル基で置換された質量平均分子量12,000のポリヒドロキシスチレン100質量部、トリフェニルスルホニウムトリフレート2質量部、トリエチルアミン0.1質量部及び4.4′‐ジアジドジフェニルスルフィド0.2質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート470質量部に溶解したのち、このものを孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過し、ポジ型レジスト塗布液を調製した。このものについて各特性を評価した結果を表1に示す。
【0048】
実施例2
実施例1において、サリチル酸0.2質量部を加えた以外は、実施例1と同様にしてポジ型レジスト塗布液を調製し、各特性を評価した結果を表1に示す。
【0049】
実施例3
実施例2において、4,4′‐ジアジドジフェニルスルフィド0.2質量部を0.6質量部に代えた以外は、実施例1と同様にしてポジ型レジスト塗布液を調製し、各特性を評価した結果を表1に示す。
【0050】
実施例4
水酸基の40%の水素原子がtert‐ブトキシカルボニル基で置換された質量平均分子量10,000のポリヒドロキシスチレンと水酸基の40%の水素原子がエトキシエチル基で置換された質量平均分子量10,000のポリヒドロキシスチレンの質量比で3:7の混合物100質量部、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン5質量部、ビス(p‐tert‐ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート1質量部、トリエチルアミン0.15質量部、4,4′‐ジアジドジフェニルスルフィド0.039質量部及びサリチル酸0.2質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート550質量部に溶解したのち、このものを孔径0.2μmのメンブランフィル夕ーを用いてろ過し、ポジ型レジスト塗布液を調製した。
このものについての各特性を評価した結果を表1に示す。
【0051】
実施例5
水酸基の40%の水素原子がテトラヒドロピラニル基で置換された質量平均分子量10,000のポリヒドロキシスチレンと水酸基の40%の水素原子がエトキシエチル基で置換された質量平均分子量10,000のポリヒドロキシスチレンの質量比で3:7の混合物100質量部、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン5質量部、ビス(p‐tert‐ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート1質量部、トリエチルアミン0.15質量部、4,4′‐ジアジドジフェニルスルフィド0.039質量部及びサリチル酸0.2質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート550質量部に溶解したのち、このものを孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過し、ポジ型レジスト塗布液を調製した。
このものについての各特性を評価した結果を表1に示す。
【0052】
比較例
実施例2において、4,4′‐ジアジドジフェニルスルフィドを加えなかったこと以外は、実施例1と同様にしてポジ型レジスト塗布液を調製し、各特性を評価した結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】
本発明によると、感度が優れ、解像性及び断面形状の良好なレジストパターンを与えることができ、しかも光近接効果の影響の低減された化学増幅型ポジ型ホトレジストが得られる。
Claims (7)
- (A)その中に存在するフェノール性水酸基若しくはカルボキシル基の少なくとも一部の水素原子が酸解離性基で置換されたヒドロキシスチレン系共重合体の少なくとも1種からなる基材樹脂成分、(B)放射線の照射により酸を発生する化合物及び(C)有機アミンを含む有機溶剤中に(D)ビスアジド化合物を添加した化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を基板上に塗布し、乾燥してレジスト膜を形成したのち、これをマスクパターンを介してKrFエキシマレーザーに露光し、次いで露光後加熱処理を行い、そのまま現像処理に付することを特徴とするレジストパターン形成方法。
- (A)成分100質量部当り、(D)成分0.05〜5質量部を添加した請求項1記載のレジストパターン形成方法。
- (A)成分の酸解離性基が低級アルコキシアルキル基、第三級アルコキシカルボニル基、第三級アルコキシカルボニルアルキル基、第三級アルキル基、環状エーテル基及び1‐アルキルシクロアルキル基の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載のレジストパターン形成方法。
- (A)成分の酸解離性基が、エトキシエチル基、tert‐ブトキシカルボニル基、tert‐ブトキシカルボニルメチル基、tert‐ブチル基、テトラヒドロピラニル基及び1‐エチルシクロヘキシル基の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載のレジストパターン形成方法。
- (A)成分が、その中に存在する水酸基の一部を低級アルコキシアルキル基、第三級アルコキシカルボニル基、第三級アルコキシカルボニルアルキル基、第三級アルキル基及び環状エーテル基の中から選ばれる少なくとも1種で置換されたポリヒドロキシスチレンである請求項3記載のレジストパターン形成方法。
- (C)成分が第二級又は第三級の低級脂肪族アミンである請求項1ないし5のいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
- (D)成分が4,4′‐ジアジドジフェニルスルフィドである請求項1ないし6のいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
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