JP4512631B2 - トナーおよびそのトナーの製造方法、二成分現像剤、現像装置ならびに画像形成装置 - Google Patents

トナーおよびそのトナーの製造方法、二成分現像剤、現像装置ならびに画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、トナーおよびそのトナーの製造方法、二成分現像剤、現像装置ならびに画像形成装置に関する。
潜像を顕像化するトナーは、種々の画像形成プロセスに用いられており、その一例として電子写真方式の画像形成プロセスに用いられることが知られている。
電子写真方式の画像形成プロセスを利用する画像形成装置においては、一般的に、潜像担持体である感光体ドラム表面の感光層を均一に帯電させる帯電工程、帯電状態にある感光体ドラム表面に原稿像の信号光を投射して静電潜像を形成する露光工程、感光体ドラム表面の静電潜像に電子写真用トナーを供給して顕像化する現像工程、感光体ドラム表面のトナー像を紙やOHPシートなどのメディアに転写する転写工程、トナー像を加熱、加圧などによりメディア上に定着させる定着工程およびトナー像転写後の感光体ドラム表面に残留するトナーなどをクリーニングブレードにより除去して清浄化するクリーニング工程を実行してメディア上に所望の画像を形成する。メディアへのトナー像の転写は、中間転写媒体を介して行われることもある。このような画像形成装置に使用される現像剤としては、トナーのみを主成分とする一成分現像剤と、トナーとキャリアとを混合して使用する二成分現像剤とがある。また、これらの現像剤に用いられるトナーは、たとえば混練粉砕法、懸濁重合法および乳化重合凝集法などに代表される重合法などによって製造される。混練粉砕法では、結着樹脂および着色剤を主成分とし、必要に応じて離型剤、帯電制御剤などを添加して混合したトナー原料を溶融混練し、冷却して固化させた後、粉砕分級することでトナーを製造する。
近年、地球環境保全の観点から、様々な技術分野において多くの取り組みがなされている。現在は、数多くの製品の原材料が石油から製造されているが、これらの原材料の製造時や焼却時に発生する二酸化炭素や、必要となるエネルギーなどを削減する取り組みは、地球温暖化防止の観点から非常に重要である。
そのため、地球温暖化防止につながる新たな取り組みとして、バイオマスと呼ばれる植物由来の資源を利用することが大いに注目されている。バイオマスを燃焼させる際に発生する二酸化炭素は、もともと植物が光合成により取り込んだ大気中の二酸化炭素であるため、全体で見ると大気中の二酸化炭素の収支はゼロでありその総量は変化しない。このように、大気中の二酸化炭素の増減に影響を与えない性質はカーボンニュートラルと呼ばれており、カーボンニュートラルである植物由来の資源を利用することで大気中の二酸化炭素量を固定することができる。このようなバイオマスから製造されるプラスチックは、バイオマスポリマー、バイオマスプラスティック、非石油系高分子材料などの名称で呼ばれており、これらの原料となるモノマーはバイオマスモノマーと呼ばれている。
電子写真の分野においても、地球環境保全に配慮して、環境安全性に優れ、二酸化炭素削減に効果的な資源であるバイオマスを含む生分解性樹脂を利用する取り組みがなされている。
たとえば、一般的に、ポリエステル樹脂はジカルボン酸とジオールとを縮重合させることにより製造されるが、ジカルボン酸成分としてコハク酸やイタコン酸などのバイオマスモノマーを使用し、ジオール成分として1、3−プロパンジオールなどのバイオマスモノマーを使用して製造されるポリエステル樹脂をカラートナー用結着樹脂として使用する技術が提案されている。
また、とうもろこしなどの植物から得られる乳酸を原料として製造されるバイオマスポリマーであるポリ乳酸樹脂をトナー用結着樹脂として使用する技術も提案されている。ポリ乳酸樹脂は、様々な成形加工が可能であるため新しい汎用樹脂となりうる可能性を秘めており、工業的にも既に販売がなされている。
たとえば、特許文献1には、バインダー樹脂および着色剤を含む、特にフラッシュ定着方式に最適なトナーであって、バインダー樹脂がエステル型構造の樹脂およびポリ乳酸樹脂を組み合わせて含んでなるように構成されることによって、優れたトナー定着率および人体や環境に対する高い安全性を示す電子写真用トナーについて開示されている。また特許文献2には、バインダー樹脂と着色剤と帯電制御剤とを含有してなるトナーであって、バインダー樹脂がポリ乳酸樹脂などの生分解性樹脂を含有し、帯電制御剤が繰り返し構造を有するポリアミンを含有することによって、連続印刷した際も安定な帯電挙動を示し、画像濃度の変動のない良好な画像が得られ、環境に対する安全性の高い静電荷像現像用トナーについて開示されている。
また、地球温暖化防止につながる他の取り組みとして省エネルギー化も様々な角度から検討されており、電子写真の分野では、紙やOHPシートなどのメディア上に転写されたトナーの定着温度を下げることによる定着エネルギーの低減が有効であるとの認識が高まっている。また、コピー機やファクシミリ機のさらなる高速化も望まれている。これらの動向からトナーの低融点化は必要不可欠である。
紙やOHPシートなどのメディア上に転写されたトナー像を定着する方法としては、ヒートロールなどによってトナー像を加熱溶融し、加圧して定着させる接触加熱型定着方式がよく用いられており、この方式におけるトナーの定着性は、定着下限温度からホットオフセット開始温度までの定着可能温度幅によって評価することができる。前述のトナーの低融点化とは、定着下限温度を下げることであり、これにより低温定着化が達成できる。トナー用結着樹脂には架橋構造の樹脂や高分子量体と低分子量体とを含む樹脂などが用いられているが、このような結着樹脂において、耐ホットオフセット性を向上させるために架橋成分や高分子量体成分の含有量を多くすると、樹脂の溶融粘度が大きくなりすぎてトナーの低温定着性が不充分になってしまうおそれがある。一方、低温定着性を向上させるために低分子量体の含有量を多くすると、樹脂の溶融粘度は小さくなるものの、トナーの弾性が低下して耐ホットオフセット性が低下してしまうおそれがある。したがって、トナーを低融点化を達成し、さらに高温における耐オフセット性を維持するためには、トナー用結着樹脂の設計が特に重要である。
また、低温定着化を達成して定着エネルギーを低減させるために、特許文献3に示すような技術も提案されている。特許文献3には、少なくとも着色剤と、結晶性樹脂を主成分とする結着樹脂と、からなるトナー粒子から構成されるトナーを含有し、前記トナーの融点が50℃〜120℃であって、定着画像中の前記結晶性樹脂の結晶の大きさが平均3μmである現像剤を使用するフルカラー画像形成方法について開示されている。
特開2001−22123号公報 特開2004−184444号公報 特開2002−72567号公報
特許文献1,2に開示される技術では、トナー用結着樹脂の主成分である樹脂とポリ乳酸との物性の違いなどのために、ポリ乳酸をトナー中に均一に分散させることが困難である。ポリ乳酸がトナー中に不均一に分散されている場合には、トナーの粉砕性の偏りに起因する粒度分布のばらつき、溶融粘度のばらつきによる定着性への影響、樹脂組成の偏りによる帯電性のばらつきなどのトナー粒子間における物性の偏りが発生してしまうばかりでなく、光透過性のばらつきや劣化が生じてしまうおそれがある。
また特許文献3で開示される技術は、結晶性樹脂のシャープメルト性を利用して、ガラス転移点を低下させることなく結着樹脂の定着下限温度を下げることによって低温定着性を向上させているが、充分な低温定着性および耐ホットオフセット性は得られておらず、良好な保存安定性も得られていない。また、紙やOHPシートなどのメディア上に定着する際に、結晶性樹脂が溶融した後冷却固化されることによって再結晶化すると、結晶性樹脂の分散状態が不均一になり、光透過性に偏りが生じてしまうおそれがある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、地球環境保全に対して配慮され、定着性および保存安定性に優れ、さらに光透過性の良好なトナーおよびそのトナーの製造方法、二成分現像剤、現像装置ならびに画像形成装置を提供することである。
本発明は、少なくとも結着樹脂および着色剤を含んで構成されるトナーであって、
結着樹脂は、主成分である樹脂とバイオマスを含む結晶性樹脂とを含んで構成され、
結晶性樹脂は、結着樹脂100重量部に対して1重量部以上50重量部以下で含有され、かつ、結晶性樹脂の融点は、周波数1Hzにおけるトナーの損失弾性率G”が10Paになる温度よりも5℃〜10℃高い温度であることを特徴とするトナーである。
また本発明のトナーは、結晶性樹脂は、下記式(1)で示されるユニットを含んで構成されることを特徴とする。
−[O−CH(CH)−CO]− …(1)
(式中、nは、正の整数を表す。)
また本発明のトナーは、主成分である樹脂は、ポリエステル樹脂であることを特徴とする。
また本発明のトナーは、トナーの120℃における損失弾性率G”が10Pa以下および200℃における損失弾性率G”が10Pa以上であり、かつ200℃における損失弾性率G”を貯蔵弾性率G’で除した値である損失正接が10以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記トナーの製造方法であって、
少なくとも、主成分である樹脂と、バイオマスを含む結晶性樹脂とを含んで構成される結着樹脂および着色剤を混合して混合物を作製する前混合工程と、
結晶性樹脂を結着樹脂100重量部に対して1重量部以上50重量部以下で含有する混合物を溶融混練して溶融混練物を作製する溶融混練工程と、
溶融混練物を粉砕して粉砕物を作製する粉砕工程と、
粉砕物から過粉砕物や粗粉を除去する分級工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
また本発明のトナーの製造方法は、溶融混練工程において、2本ロール型連続混練機を用いて、混合物を溶融混練することを特徴とする。
また本発明は、前記トナーとキャリアとを含むことを特徴とする二成分現像剤である。
また本発明は、前記トナーもしくは前記二成分現像剤を用いて現像を行うことを特徴とする現像装置である。
また本発明は、前記現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
また本発明の画像形成装置は、記録媒体上に形成されたトナー像を熱溶融して定着させる定着手段を備えることを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも結着樹脂および着色剤を含んで構成されるトナーにおいて、結着樹脂は、主成分である樹脂と、バイオマスを含む結晶性樹脂とを含んで構成される。
このように、結着樹脂は、主成分である樹脂を含んで構成されることによって、その分子量分布を、優れた低温定着性を得るために最適な値となるように制御することができる。また、バイオマスを含む結晶性樹脂を含んで構成されることによって、地球環境保全に配慮したカーボンニュートラルなトナーを得ることができる。さらに、上記結晶性樹脂のトナー中での分散に起因するフィラー効果によって優れた耐ホットオフセット性を得ることができる。したがって、定着性および保存安定性を良好に保つことができる。
また、結晶性樹脂は、結着樹脂100重量部に対して1重量部以上50重量部以下で含有されることによって、トナー中の結晶性樹脂の分散性を良好に保つことができる。
さらに、結晶性樹脂の融点は、周波数1Hzにおけるトナーの損失弾性率G”が10Paになる温度よりも5℃〜10℃高い温度であることにより、結晶性樹脂が溶融しない温度でトナーを定着させることができるため、結晶性樹脂の分散状態を維持することができ、良好な定着性を得ることができる。また、定着後の再結晶化によってその分散状態が不均一になることを防ぐことができるため、光透過性の悪化を抑えることができる。
したがって、本発明のトナーは、地球環境保全に対して配慮され、定着性および保存安定性に優れ、さらに光透過性の良好なトナーである。
また本発明によれば、結晶性樹脂は、下記式(1)で示されるユニットを含んで構成されることが好ましい。
−[O−CH(CH)−CO]− …(1)
(式中、nは、正の整数を表す。)
これにより、地球環境保全に対してより一層配慮され、環境安全性に優れ、二酸化炭素削減に効果的なトナーを得ることができる。
また本発明によれば、主成分である樹脂は、ポリエステル樹脂であることが好ましい。これにより、優れたシャープメルト性および耐久性を兼ね備えたカラートナーに最適なトナーを得ることができる。また低温定着性に優れ、発色性に優れるカラートナーを得ることができる。
また本発明によれば、トナーの120℃における損失弾性率G”が10Pa以下および200℃における損失弾性率G”が10Pa以上であり、かつ200℃における損失弾性率G”を貯蔵弾性率G’で除した値である損失正接が10以下であることが好ましい。これにより、トナーの定着性の指標となる定着下限温度からホットオフセット開始温度までの定着可能温度幅を充分に得ることができる。
また本発明によれば、前記トナーの製造方法は、少なくとも、主成分である樹脂と、バイオマスを含む結晶性樹脂とを含んで構成される結着樹脂および着色剤を混合して混合物を作製する前混合工程と、結晶性樹脂を結着樹脂100重量部に対して1重量部以上50重量部以下で含有する混合物を溶融混練して溶融混練物を作製する溶融混練工程と、溶融混練物を粉砕して粉砕物を作製する粉砕工程と、粉砕物から過粉砕物や粗粉を除去する分級工程とを含む。
これにより、地球環境保全に対して配慮され、定着性および保存安定性に優れ、さらに光透過性の良好な本発明のトナーを、種々のトナーの製造方法の中でも最も簡単な設備を用いて低コストで製造することができる。
また本発明によれば、溶融混練工程において、2本ロール型連続混練機を用いて混合物を溶融混練することにより、従来の他の混練機を用いる場合よりもトナー原料の分散性がより一層向上する。したがって、トナー中における結晶性樹脂の均一性が向上して微分散化されるため、光透過性の悪化を防止することができる。さらに、結晶性樹脂のフィラー効果による耐ホットオフセット性を向上させることができる。
また本発明によれば、本発明の二成分現像剤は、前記トナーとキャリアとを含むことにより、地球環境保全に対して配慮され、定着性および保存安定性に優れ、さらに光透過性の良好な二成分現像剤を得ることができる。
また本発明によれば、本発明の現像装置は、前記トナーもしくは前記二成分現像剤を用いて現像を行うことにより、トナーの定着性を確保しつつ、保存安定性も維持することができるため、現像槽内での攪拌などのストレスに対しても、安定した性能を維持することができる。
また本発明によれば、本発明の画像形成装置は、本発明の現像装置を備えることにより、長期間にわたってトラブルが発生することなく、定着性および発色性に優れた安定した高画質画像を形成することができる。
また本発明によれば、本発明の画像形成装置は、記録媒体上に形成されたトナー像を熱溶融して定着させる定着手段を備えることが好ましい。このように、本発明のトナーを用いて、上述の定着手段を備える画像形成装置により定着画像を形成することによって、低温定着性と保存安定性を両立させたトナー物性を効果的に引き出した高画質画像を得ることができる。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂および着色剤を含んで構成されるトナーであって、結着樹脂は、主成分である樹脂と、バイオマスを含む結晶性樹脂とを含んで構成され、結晶性樹脂は、結着樹脂100重量部に対して1重量部以上50重量部以下で含有され、かつ、結晶性樹脂の融点は、周波数1Hzにおけるトナーの損失弾性率G”が10Paになる温度よりも5℃〜10℃高い温度である。
このように、結着樹脂は、主成分である樹脂を含んで構成されることによって、その分子量分布を、優れた低温定着性を得るために最適な値となるように制御することができる。また、バイオマスを含む結晶性樹脂を含んで構成されることによって、地球環境保全に配慮したカーボンニュートラルなトナーを得ることができる。さらに、上記結晶性樹脂のトナー中での分散に起因するフィラー効果によって優れた耐ホットオフセット性を得ることができる。したがって、定着性および保存安定性を良好に保つことができる。
また、結晶性樹脂は、結着樹脂100重量部に対して1重量部以上50重量部以下で含有されることにより、トナー中の結晶性樹脂の分散性を良好に保つことができる。
さらに、結晶性樹脂の融点は、周波数1Hzにおけるトナーの損失弾性率G”が10Paになる温度よりも5℃〜10℃高い温度であることにより、結晶性樹脂が溶融しない温度でトナーを定着させることができるため、結晶性樹脂の分散状態を維持することができ、良好な定着性を得ることができる。また、定着後の再結晶化によってその分散状態が不均一になることを防ぐことができるため、光透過性の悪化を抑えることができる。
なお、周波数1Hzにおけるトナーの損失弾性率G”が10Paになる温度とは、トナーの定着温度に相当する温度である。トナーの定着温度とは、熱ロール定着方式における定着装置の設定温度であり、定着可能温度幅のほぼ中心付近の温度である。
したがって、本発明のトナーは、地球環境保全に対して配慮され、定着性および保存安定性に優れ、さらに光透過性の良好なトナーである。
以下に、本発明のトナーの製造方法について説明する。本発明のトナーの製造方法は、たとえば、図1のフロー図に示されるトナーの製造方法である。図1は、本発明のトナーの製造方法における手順の一例を示すフロー図である。
本発明のトナーの製造方法は、図1に示すように、少なくとも、主成分である樹脂と、バイオマスを含む結晶性樹脂とを含んで構成される結着樹脂および着色剤を混合して混合物を作製する前混合工程(ステップS1)と、結晶性樹脂を結着樹脂100重量部に対して1重量部以上50重量部以下で含有する混合物を溶融混練して溶融混練物を作製する溶融混練工程(ステップS2)と、溶融混練物を粉砕して粉砕物を作製する粉砕工程(ステップS3)と、粉砕物から過粉砕物や粗粉を除去する分級工程(ステップS4)とを含む。
以下に、ステップS1〜ステップS4の各製造工程について詳細に説明する。ステップS0からステップS1に移行することで本発明のトナーの製造が開始される。
[前混合工程]
ステップS1の前混合工程では、少なくとも結着樹脂および着色剤を混合機によって乾式混合して混合物を作製する。混合物には、結着樹脂および着色剤の他に、その他のトナー添加成分が含有されていてもよい。その他のトナー添加成分としては、たとえば、離型剤、帯電制御剤などが挙げられる。
乾式混合に用いられる混合機としては、公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名:FMミキサ、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
以下に、混合物に含まれるトナーの各原料について説明する。
(a)結着樹脂
本発明のトナーに含まれる結着樹脂は、主成分である樹脂と、バイオマスを含む結晶性樹脂とを含んで構成される。
結着樹脂が主成分である樹脂を含んで構成されることによって、その分子量分布を優れた低温定着性を得るために最適な値となるように制御することができる。また、バイオマスを含む結晶性樹脂を含んで構成されることによって、地球環境保全に配慮したカーボンニュートラルなトナーを得ることができる。さらに、上記結晶性樹脂のトナー中での分散に起因するフィラー効果によって優れた耐ホットオフセット性を得ることができる。したがって、定着性および保存安定性を良好に保つことができる。
主成分である樹脂としては、一般的な熱可塑性樹脂を使用でき、たとえば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂およびエポキシ樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。また、同一種の樹脂において、分子量や単量体組成などの各物性のうちいずれか1つまたは複数の物性が異なる樹脂を2種以上併用して使用してもよい。
ポリエステル樹脂としては、特に制限されず公知のものを使用でき、たとえば、多塩基酸類と多価アルコール類との縮重合物が挙げられる。多塩基酸類とは、多塩基酸、および多塩基酸の誘導体たとえば多塩基酸の酸無水物またはエステル化物などのことである。多価アルコール類とは、ヒドロキシル基を2個以上含有する化合物のことであり、アルコール類およびフェノール類のいずれをも含む。
多塩基酸類としては、ポリエステル樹脂のモノマーとして常用されるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸およびナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸およびアジピン酸などの脂肪族カルボン酸類が挙げられる。多塩基酸類は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。
多価アルコール類としてもポリエステル樹脂のモノマーとして常用されるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよびグリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールおよび水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類が挙げられる。「ビスフェノールA」とは、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパンのことである。ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物としては、たとえばポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物としては、たとえばポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。多価アルコール類は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。
ポリエステル樹脂は、縮重合反応によって合成することができる。たとえば、有機溶媒中または無溶媒下で、触媒の存在下に多塩基酸類と多価アルコール類とを重縮合反応、具体的には脱水縮合反応させることによって合成することができる。このとき、多塩基酸類の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用い、脱メタノール重縮合反応を行なってもよい。多塩基酸類と多価アルコール類との重縮合反応は、生成するポリエステル樹脂の酸価および軟化温度が、合成しようとするポリエステル樹脂における値となったところで終了させればよい。この重縮合反応において、多塩基酸類と多価アルコール類との配合比および反応率などの反応条件を適宜変更することによって、たとえば、得られるポリエステル樹脂の末端に結合するカルボキシル基の含有量、ひいては得られるポリエステル樹脂の酸価を調整することにより、軟化温度などの他の物性値を調整することもできる。
アクリル樹脂としても特に制限されず、公知のものを使用でき、たとえばアクリル系モノマーの単独重合体およびアクリル系モノマーとビニル系モノマーとの共重合体が挙げられる。その中でも、酸性基を有するアクリル樹脂が好ましい。アクリル系モノマーとしては、アクリル樹脂のモノマーとして常用されるものを使用でき、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシルおよびアクリル酸ドデシルなどのアクリル酸エステル系単量体、ならびにメタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシルおよびメタクリル酸ドデシルなどのメタクリル酸エステル系単量体などが挙げられる。これらのアクリル系モノマーは、置換基を有していてもよい。置換基を有するアクリル系モノマーとしては、たとえば、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシル基を有するアクリル酸エステル系またはメタクリル酸エステル系単量体などが挙げられる。アクリル系モノマーは、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。ビニル系モノマーとしても公知のものを使用でき、たとえば、スチレンおよびα−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、臭化ビニル、塩化ビニルおよび酢酸ビニルなどの脂肪族ビニル単量体、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどのアクリロニトリル系単量体などが挙げられる。ビニル系モノマーは、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。
アクリル樹脂は、たとえば、アクリル系モノマーの1種または2種以上、もしくアクリル系モノマーの1種または2種以上とビニル系モノマーの1種または2種以上とを、ラジカル重合開始剤の存在下に、溶液重合法、懸濁重合法または乳化重合凝集法などで重合させることによって製造することができる。酸性基を有するアクリル樹脂は、たとえば、アクリル系モノマーまたはアクリル系モノマーとビニル系モノマーとを重合させるに際し、酸性基または親水性基を含有するアクリル系モノマーおよび酸性基または親水性基を有するビニル系モノマーのいずれか一方または両方を用いることによって製造することができる。
ポリウレタン樹脂としても特に制限されず、公知のものを使用でき、たとえば、ポリオールとポリイソシアネートとの付加重合物が挙げられる。その中でも、酸性基または塩基性基を有するポリウレタン樹脂が好ましい。酸性基または塩基性基を有するポリウレタン樹脂は、たとえば、酸性基または塩基性基を有するポリオールと、ポリイソシアネートとを付加重合反応させることによって合成することができる。酸性基または塩基性基を有するポリオールとしては、たとえば、ジメチロールプロピオン酸、N−メチルジエタノールアミンなどのジオール類、ポリエチレングリコールなどのポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオールなどの3価以上のポリオール類などが挙げられる。ポリオールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。ポリイソシアネートとしては、たとえば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。ポリイソシアネートは、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。
エポキシ樹脂としても特に制限されず、公知のものを使用でき、たとえば、ビスフェノールAとエピクロヒドリンとから合成されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールとホルムアルデヒドとの反応生成物であるフェノールノボラックとエピクロルヒドリンとから合成されるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールとホルムアルデヒドとの反応生成物であるクレゾールノボラックとエピクロルヒドリンとから合成されるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。その中でも、酸性基または塩基性基を有するエポキシ樹脂が好ましい。酸性基または塩基性基を有するエポキシ樹脂は、たとえば、前述のエポキシ樹脂をベースとし、このベースのエポキシ樹脂にアジピン酸、無水トリメリット酸などの多価カルボン酸またはジブチルアミン、エチレンジアミンなどのアミンを付加または付加重合させることによって製造することができる。
結着樹脂において、主成分である樹脂は、前述の樹脂の中でもポリエステル樹脂であることが好ましい。結着樹脂の主成分である樹脂としてポリエステル樹脂を使用することによって、優れたシャープメルト性および耐久性を兼ね備えたカラートナーに最適なトナーを得ることができる。また、ポリエステル樹脂はアクリル樹脂などの他の樹脂に比べて軟化温度(T1/2)が低いので、ポリエステル樹脂を用いることによって、より低い温度で定着することのできる低温定着性に優れるトナーを得ることができる。さらに、ポリエステル樹脂は透過性に優れるので、ポリエステル樹脂を用いることによって、発色性に優れ、また他の色のトナーとの重ね合わせによって作製される二次色の発色性に優れるカラートナーを得ることができる。
主成分である樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、得られるトナーの定着性および保存安定性などを考慮すると、30℃以上80℃以下であることが好ましい。30℃未満であると、保存安定性が不充分になるため画像形成装置内部でのトナーの熱凝集が起こりやすくなり、現像不良が発生するおそれがある。またホットオフセット現象が発生し始める温度(以後、「ホットオフセット開始温度」と記す)が低下してしまう。「ホットオフセット現象」とは、加熱ローラなどの定着部材で加熱および加圧してトナーを記録媒体に定着させる際に、トナーが過熱されることによってトナー粒子の凝集力がトナーと定着部材との接着力を下回ってトナー層が分断され、トナーの一部が定着部材に付着して取去られる現象のことである。また80℃を超えると、定着性が低下するため定着不良が発生するおそれがある。
主成分である樹脂の軟化温度(T1/2)は、特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、150℃以下であることが好ましく、さらには60℃以上120℃以下であることが好ましい。60℃未満であると、トナーの保存安定性が低下し、画像形成装置内部でトナーの熱凝集が起こりやすくなり、トナーを安定して像担持体に供給することができず、現像不良が発生するおそれがある。また画像形成装置の故障が誘発されるおそれもある。120℃を超えると、溶融混練工程において結着樹脂が溶融しにくくなるため、トナーの各原料の混練が困難になり、溶融混練物中における着色剤、離型剤および帯電制御剤などの分散性が低下するおそれがある。またトナーを記録媒体に定着させる際に、トナーが溶融または軟化しにくくなるので、トナーのメディア(記録媒体)への定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。
主成分である樹脂の分子量は、特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるが、重量平均分子量(Mw)で5000以上500000以下であることが好ましい。5000未満であると、結着樹脂の機械的強度が低下し、得られるトナー粒子が現像装置内部での撹拌などによって粉砕されやすくなり、トナー粒子の形状が変化し、たとえば帯電性能にばらつきが生じるおそれがある。また500000を超えると、溶融されにくくなるため、溶融混練工程における混練が困難になり、溶融混練物中における着色剤、離型剤および帯電制御剤などの分散性が低下するおそれがある。またトナーの定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。ここで、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel
Permeation chromatography;略称GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値である。
結晶性樹脂としては、バイオマスを含むものであれば特に限定されるものではない。バイオマスとしては、たとえば、乳酸系ポリマー、詳しくは、ポリ乳酸樹脂、または乳酸と他のヒドロキシカルボン酸とのコポリマーなどが挙げられる。コモノマーとして用いられる他のヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸などが例示される。上述の乳酸系ポリマーは、カーボンニュートラルなバイオマスポリマーである。
これらの乳酸系ポリマーは、L−乳酸、D−乳酸および他のヒドロキシカルボン酸の中から必要とする構造のものを選んで原料とし、脱水縮重合することによって得ることができる。特には、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド、およびカプロラクトンなどから必要とする構造のものを選んで開環重合することによって得ることが好ましい。
このように、結晶性樹脂は、上述のように乳酸系ポリマーであること、すなわち下記式(1)で示されるユニットを含んで構成されることが好ましく、さらにはポリ乳酸樹脂であることが好ましい。
−[O−CH(CH)−CO]− …(1)
(式中、nは、正の整数を表す。)
これにより、地球環境保全に対してより一層配慮され、環境安全性に優れ、二酸化炭素削減に効果的なトナーを得ることができる。
ポリ乳酸樹脂の原料であるラクチドには、L−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド、およびD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれのラクチドでも用いることができる。
ポリ乳酸樹脂の製造方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。たとえば、乳酸の環状二量体であるラクチドを加熱溶融させて均一混合させた後、公知の重合触媒を使用して加熱開環重合させる方法や、加熱および減圧によって乳酸モノマーから直接脱水重縮合させる方法などが挙げられる。
上述の重合反応に用いられる重合触媒としては、特に限定されるものではないが、公知の乳酸重合用触媒を用いることができる。たとえば、オクチル酸スズ、乳酸スズ、酒石酸スズ、ジカプリル酸スズ、ジラウリル酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジステアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、α−ナフトエ酸スズ、β−ナフトエ酸スズなどのスズ系化合物;粉末スズ、酸化スズ;亜鉛末、ハロゲン化亜鉛、酸化亜鉛、有機亜鉛系化合物;テトラプロピルチタネートなどのチタン系化合物;ジルコニウムイソプロポキシドなどのジルコニウム系化合物;三酸化アンチモンなどのアンチモン系化合物;酸化ビスマス(III)などのビスマス系化合物;酸化アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシドなどのアルミニウム系化合物などを挙げることができる。これらの重合触媒の使用量としては、たとえば開環重合を行う場合、ラクチドに対して0.001重量%〜5重量%程度である。重合反応は、上述の重合触媒の存在下、触媒種によって異なるが、通常100℃〜220℃の温度で行うことができる。
なお、ポリ乳酸樹脂における、L−乳酸ユニットに対するD−乳酸ユニットのモル比は特に限定されるものではなく、融点などが所望の数値範囲となるように、適宜選択されればよい。
結晶性樹脂は、結着樹脂100重量部に対して1重量部以上50重量部以下で含有され、特には10重量部以上40重量部以下で含有されることが好ましい。上記結着樹脂の含有量が1重量部以上50重量部以下であることにより、トナー中の結晶性樹脂の分散性を良好に保つことができる。含有量が50重量部を超えると、低温定着に最適な分子量分布を得ることが困難になり、定着性が悪化してしまうおそれがある。また、トナーの各原料の溶融混練が困難になるおそれがある。含有量が1重量部未満であると、上記結晶性樹脂を含有することにより得られる効果を充分に得られないおそれがある。
結晶性樹脂の融点(Tm)は、周波数1Hzにおけるトナーの損失弾性率G”が10Paになる温度よりも5℃〜10℃高い温度である。これにより、トナー中の上記結晶性樹脂が溶融しない温度でトナーを定着させることができるため、上記結晶性樹脂の分散状態を維持することができ良好な定着性を得ることができる。また、定着後の上記結晶性樹脂の再結晶化によりその分散状態が不均一になることを防ぐことができるため、光透過性の悪化を抑えることができる。そのため本発明のトナーは、光透過性の均一性に偏りがなく、カラートナーに適するトナーである。なお、上記再結晶化とは、紙やOHPシートなどのメディア上に定着する際に、結晶性樹脂が溶融した後冷却固化されることによって再び結晶化する現象のことを示す。
結晶性樹脂の融点(Tm)が周波数1Hzにおけるトナーの損失弾性率G”が10Paになる温度よりも10℃高い温度を超えると、定着性および保存安定性が悪化してしまうおそれがある。また、融点(Tm)が周波数1Hzにおけるトナーの損失弾性率G”が10Paになる温度よりも5℃高い温度よりも低いと、光透過性が悪化してしまうおそれがある。
なお、本明細書において、融点(Tm)とは、示差走査熱量測定(Differential
Scanning Calorimetry:略称DSC)によって得られるDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの温度のことである。
結晶性樹脂の分子量は、特に制限されず、広い範囲から適宜選択できる。主成分である樹脂および上記結晶性樹脂のそれぞれの分子量は特に制限されず、トナーの分子量分布が優れた耐ホットオフセット性および低温定着性を得るために最適な数値範囲となるように、適宜選択されればよい。
結晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に制限されず、主成分である樹脂との組み合わせによって適宜選択されればよい。
(b)着色剤
着色剤としては、染料および顔料が挙げられる。その中でも、顔料を用いることが好ましい。顔料は染料に比べて耐光性および発色性に優れるので、顔料を用いることによって耐光性および発色性に優れるトナーを得ることができる。着色剤の具体例としては、以下に記すように、たとえば、イエロートナー用着色剤、マゼンタトナー用着色剤、シアントナー用着色剤、およびブラックトナー用着色剤などが挙げられる。以下では、カラーインデックス(Color Index)を「C.I.」と略記する。
イエロートナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、およびC.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185などの有機系顔料、黄色酸化鉄および黄土などの無機系顔料、C.I.アシッドイエロー1などのニトロ系染料、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、およびC.I.ソルベントイエロー21などの油溶性染料などが挙げられる。
マゼンタトナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10、およびC.I.ディスパーズレッド15などが挙げられる。
シアントナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー25、およびC.I.ダイレクトブルー86やKET.BLUE111などが挙げられる。
ブラックトナー用着色剤としては、たとえば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、およびアセチレンブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。これら各種カーボンブラックの中から、得ようとするトナーの設計特性に応じて、適切なカーボンブラックを適宜選択すればよい。
これらの顔料以外にも、紅色顔料、緑色顔料などを使用できる。着色剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。また、同色系のものを2種以上用いることができ、異色系のものをそれぞれ1種または2種以上用いることもできる。
着色剤は、マスターバッチとして使用されることが好ましい。着色剤のマスターバッチは、たとえば、合成樹脂の溶融物と着色剤とを混練することによって製造することができる。合成樹脂としては、トナーの結着樹脂における主成分である樹脂と同種の樹脂またはトナーの結着樹脂における主成分である樹脂に対して良好な相溶性を有する樹脂が使用される。合成樹脂と着色剤との使用割合は特に制限されないけれども、好ましくは合成樹脂100重量部に対して30重量部以上100重量部以下である。マスターバッチは、たとえば粒径2mm〜3mm程度に造粒されて用いられる。
本発明のトナーにおける着色剤の含有量は特に制限されないけれども、好ましくは結着樹脂100重量部に対して4重量部以上20重量部以下である。マスターバッチを用いる場合には、本発明のトナーにおける着色剤の含有量が上記範囲になるように、マスターバッチの使用量を調整することが好ましい。着色剤の含有量が上記範囲の値であることにより、着色剤の添加によるフィラー効果を抑え、かつ高着色力を有するトナーを得ることができる。また、充分な画像濃度を有し、発色性が高く画像品位に優れる良好な画像を形成することができる。着色剤の含有量が20重量部を超えると、着色剤のフィラー効果によって、弾性が上昇し、トナーの定着性が低下するおそれがある。
(c)離型剤
離型剤は、トナーを記録媒体に定着させる際にトナーに離型性を付与するために添加される。したがって、離型剤を使用しない場合と比較してホットオフセット開始温度を高め、耐ホットオフセット性を向上させることができる。さらに、トナーを定着させる際の加熱によって離型剤を溶融させて定着開始温度を低下させることで、低温定着性を向上させることができる。
離型剤としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえばワックスなどが挙げられる。ワックスとしては、パラフィンワックス.カルナバワックスおよびライスワックスなどの天然ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックスおよびフィッシャートロプッシュワックスなどの合成ワックス、モンタンワックスなどの石炭系ワックスなどの石油系ワックス、アルコール系ワックス、ならびにエステル系ワックスなどが挙げられる。離型剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。
離型剤の配合量は特に制限されず、結着樹脂、着色剤などの他の成分の種類および含有量、作製しようとするトナーに要求される特性などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるが、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して、3重量部以上10重量部以下である。離型剤の配合量が3重量部未満であると、低温定着性および耐ホットオフセット性の向上効果が充分に発揮されないおそれがある。離型剤の配合量が10重量部を超えると、溶融混練物中における離型剤の分散性が低下し、一定の性能を有するトナーを安定して得ることができなくなるおそれがある。またトナーが感光体などの像担持体の表面に皮膜(フィルム)状に融着するフィルミングと呼ばれる現象が発生しやすくなるおそれがある。
離型剤の融点(Tm)は、50℃以上150℃以下であることが好ましく、さらには、80℃以下であることが好ましい。融点が50℃未満であると、現像装置内において離型剤が溶融してトナー粒子同士が凝集したり、感光体表面へのフィルミングなどの不良を引き起こすおそれがある。融点が150℃を超えると、トナーを記録媒体に定着するときに離型剤が充分に溶出することができず、耐ホットオフセット性の向上効果が充分に発揮されないおそれがある。
(d)帯電制御剤
本発明のトナーには、結着樹脂、着色剤および離型剤の他に、帯電制御剤などのその他のトナー添加成分が含有されていてもよい。帯電制御剤を含有させることによって、トナーに好ましい帯電性を付与することができる。帯電制御剤としては、正電荷制御用または負電荷制御用の帯電制御剤を使用できる。たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、およびアミジン塩などの正電荷制御用の帯電制御剤と、たとえば、オイルブラックおよびスピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、ならびに樹脂酸石鹸などの負電荷制御用の帯電制御剤が挙げられる。
帯電制御剤は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。帯電制御剤の使用量は、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.5重量部以上5重量部以下であり、より好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.5重量部以上3重量部以下である。帯電制御剤が5重量部よりも多く含まれると、キャリアが汚染されてしまい、トナー飛散が発生するおそれがある。0.5重量部未満であると、トナーに充分な帯電特性を付与することができないおそれがある。
なお、カラートナーにおいては無色の帯電制御剤を使用することが望ましく、たとえばサリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩を使用することが望ましい。
[溶融混練工程]
ステップS2の溶融混練工程では、前混合工程で作製された、結晶性樹脂を結着樹脂100重量部に対して1重量部以上50重量部以下で含有する混合物を溶融混練して溶融混練物を作製する。混合物の溶融混練は、結着樹脂の軟化点以上、熱分解温度未満の温度に加熱して行われ、結着樹脂を溶融または軟化させて結着樹脂中に結着樹脂以外のトナーの各原料を分散させる。
溶融混練に使用される混練機としては公知のものを使用でき、たとえば、ニーダ、二軸押出機、二本ロールミル、三本ロールミル、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を用いることができる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダや、MOS320−1800、ニーデックス(以上いずれも商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール型混練機などが挙げられる。トナー原料の混合物は、複数の混練機を用いて溶融混練されても構わない。
上述の混練機の中でも、特にはオープンロール型連続混練機である2本ロール型連続混練機を用いることが好ましい。2本ロール型連続混練機は、表面にらせん状の溝を有し、互いに内側方向に回転する加熱ロールおよび冷却ロールを備える。
2本ロール型連続混練機によれば、前混合工程で得られたトナー原料の混合物は、スクリューフィーダーや振動フィーダーなどから構成される原料搬送供給装置によって、オープンロールの加熱ロール上の一端に供給される。供給された混合物は、加熱ロールの熱により溶融し、加熱ロール表面に巻き付き、冷却ロールとの間で滞留する。両ロール間に滞留した溶融物はオープンロールの回転により、他端側(供給側と反対の端部側)へ移送されつつ、塊が数個のこぶに分かれたような状態で滞留しながら、ロールのせん断力で練りこまれて、溶融混練物が作製される。
2本ロール型連続混練機において、混合物の溶融混練は、通常、低温で行われるため、結着樹脂の溶融が進まず、高粘性流体の結着樹脂が練り込まれて大きな圧縮力、せん断力が発生する。その圧縮力、せん断力により顔料、添加剤が微細化されるとともに、結着樹脂中に均一に分散されつつ、混合物が溶融混練される。そして作製された溶融混練物はオープンロールの他端排出側から排出されて冷却固化される。
このように、2本ロール型連続混練機を用いて混合物を溶融混練することにより、従来の他の混練機を用いる場合よりもトナー原料の分散性がより一層向上する。したがって、トナー中における結晶性樹脂の均一性が向上して微分散化されるため、光透過性の悪化を防止することができる。さらに、結晶性樹脂のフィラー効果による耐ホットオフセット性を向上させることができる。
[粉砕工程]
ステップS3の粉砕工程では、溶融混練工程にて得られた溶融混練物を冷却して固化させた後、粉砕して粉砕物を作製する。すなわち、冷却固化された溶融混練物は、まずハンマーミルまたはカッティングミルなどによって、たとえば体積平均粒径100μm以上5mm以下程度の粗粉砕物に粗粉砕される。その後、得られた粗粉砕物は、たとえば体積平均粒径15μm以下の粉砕物にまでさらに微粉砕される。粗粉砕物の微粉砕には、たとえば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機、高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に粗粉砕物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機などを用いることができる。
なお、冷却固化された溶融混練物は、ハンマーミルまたはカッティングミルなどによる粗粉砕を経ることなく、直接ジェット式粉砕機または衝撃式粉砕機などにより粉砕されてもよい。
[分級工程]
ステップS4の分級工程では、粉砕工程にて作製された粉砕物から、分級機を用いることによって、過粉砕トナー粒子(以下、「過粉砕物」と記す場合がある)や粗大トナー粒子(以下、「粗粉」と記す場合がある)を除去する。過粉砕トナー粒子や粗大トナー粒子は、他のトナーの製造に再利用するために回収して使用することもできる。
分級には、遠心力による分級や風力による分級によって過粉砕トナー粒子や粗大トナー粒子を除去できる公知の分級機を使用することができ、たとえば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)などを使用することができる。
分級は分級条件を適宜調整して、分級後に得られるトナー粒子の体積平均粒径が3μm以上15μm以下となるように行われることが好ましい。特に高画質画像を得るためには、トナー粒子の体積平均粒径を3μm以上9μm以下とすることが好ましく、さらに画質の向上を図るためには、トナー粒子の体積平均粒径を5μm以上8μm以下とすることが好ましい。トナー粒子の体積平均粒径が3μm未満であると、トナーの粒径が小さくなり過ぎ、高帯電化および低流動化が起こるおそれがある。この高帯電化および低流動化が発生すると、像担持体である感光体にトナーを安定して供給することができなくなり、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生するおそれがある。トナー粒子の体積平均粒径が15μmを超えると、トナーの粒径が大きいので、高精細な画像を得ることができない。またトナーの粒径が大きくなることによって比表面積が減少し、トナーの帯電量が小さくなる。トナーの帯電量が小さくなると、トナーが感光体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生するおそれがある。なお、上述の調整すべき分級条件とは、たとえば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)における分級ロータの回転速度などである。
得られたトナー粒子は、120℃における損失弾性率G”(120℃)が10Pa以下および200℃における損失弾性率G“(200℃)が10Pa以上であり、かつ200℃における損失弾性率G”を貯蔵弾性率G’で除した値である損失正接が10以下であることが好ましい。
トナー粒子の粘弾性を上記の範囲にすることで、トナーの定着性の指標となる定着下限温度からホットオフセット開始温度までの定着可能温度幅を充分に得ることができる。
損失弾性率G”(120℃)が10Paを超えると、トナーの粘度が高くなりすぎ、低温定着性が悪化する。また、損失弾性率G”(200℃)が10Pa未満であり、かつ損失正接が10を超えると、トナーの弾性不足により、耐ホットオフセット性が悪化してしまう。
なお、貯蔵弾性率G’は試料の弾性を示す値であり、損失弾性率G”は試料の粘性を示す値である。貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”との比である損失正接(tanδ)は、損失弾性率G”を貯蔵弾性率G’で除した値G”/G’であり、弾性に対する粘性の割合を表す。通常、トナーの結着樹脂のような溶融性の高い樹脂の貯蔵弾性率G’および損失弾性率G”は温度依存性が高いため、本発明では、周波数(1.0Hz)およびひずみ(5%)を一定にした条件下で温度を変化させながら、溶融状態の混練物を振動させることにより貯蔵弾性率G’および損失弾性率G”を測定した。そして、得られた測定結果から、損失弾性率G”と温度との関係を示す損失弾性率−温度特性曲線および損失正接(tanδ)と温度との関係を表す損失正接−温度特性曲線を求め、これらのグラフから120℃および200℃における損失弾性率G”の値ならびに200℃における損失正接(tanδ)を求めた。
なお、溶融混練工程における温度条件は、トナー中の結着樹脂の軟化温度以上、熱分解温度未満の温度範囲である120℃以上200℃以下程度にすることが好ましいため、この温度範囲における貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”および損失正接(tanδ)を求めた。
上述のようにして製造されたトナー粒子には、たとえば、粉体流動性向上、摩擦帯電性向上、耐熱性向上、長期保存性改善、クリーニング特性改善および感光体表面磨耗特性制御などの機能を担う外添剤を混合してもよい。外添剤としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、シリカ微粉末、酸化チタン微粉末およびアルミナ微粉末などが挙げられる。これらの無機微粉末は、疎水化、帯電性コントロールなどの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物などの処理剤で処理されていることが好ましく、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。外添剤の添加量としては、トナーに必要な帯電量、外添剤を添加することによる感光体の摩耗に対する影響、トナーの環境特性などを考慮して、トナー粒子100重量部に対して5重量部以下が好適である。
外添剤は、一次粒子の個数平均粒子径が10nm〜500nmであることが好ましい。このような粒径の外添剤を用いることによって、トナーの流動性向上効果が一層発揮され易くなる。
このように、本発明のトナーの製造方法は、少なくとも、主成分である樹脂と、バイオマスを含む結晶性樹脂とを含んで構成される結着樹脂および着色剤を混合して混合物を作製する前混合工程と、結晶性樹脂を結着樹脂100重量部に対して1重量部以上50重量部以下で含有する混合物を溶融混練して溶融混練物を作製する溶融混練工程と、溶融混練物を粉砕して粉砕物を作製する粉砕工程と、粉砕物から過粉砕物や粗粉を除去する分級工程とを含む。
これにより、地球環境保全に対して配慮され、定着性および保存安定性に優れ、さらに光透過性の良好な本発明のトナーを、種々のトナーの製造方法の中でも最も簡単な設備を用いて低コストで製造することができる。
上述のようにして、トナー粒子に必要に応じて外添剤が外添される本発明のトナーは、そのまま一成分現像剤として使用することができ、またキャリアと混合して二成分現像剤として使用することができる。
キャリアとしては、磁性を有する粒子を使用することができる。磁性を有する粒子の具体例としては、たとえば、鉄、フェライトおよびマグネタイトなどの金属、これらの金属とアルミニウムまたは鉛などの金属との合金などが挙げられる。これらの中でも、フェライトが好ましい。
また磁性を有する粒子に樹脂を被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリアなどをキャリアとして用いてもよい。磁性を有する粒子を被覆する樹脂としては特に制限はないけれども、たとえば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂、およびフッ素含有重合体系樹脂などが挙げられる。また樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としても特に制限されないけれども、たとえば、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、およびフェノール系樹脂などが挙げられる。
キャリアの形状は、球形または扁平形状が好ましい。また、キャリアの体積平均粒子径は特に制限されないけれども、高画質化を考慮すると、好ましくは10μm〜100μm、さらに好ましくは50μm以下である。
このように、キャリアの体積平均粒子径を50μm以下にすることにより、トナーとキャリアとの接触機会が増え、個々のトナー粒子の帯電も適正に制御できるために、非画像部カブリが発生せず、かつ高画質な画像を達成することが出来る。
さらにキャリアの抵抗率は、好ましくは10Ω・cm以上、さらに好ましくは1012Ω・cm以上である。キャリアの抵抗率は、キャリアを0.50cmの断面積を有する容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められた粒子に1kg/cmの荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読取ることから得られる値である。抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリアに電荷が注入され、感光体にキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こりやすくなる。
キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10emu/g〜60emu/g、さらに好ましくは15emu/g〜40emu/gである。磁化強さは現像ローラの磁束密度にもよるけれども、現像ローラの一般的な磁束密度の条件下においては、10emu/g未満であると磁気的な束縛力が働かず、キャリア飛散の原因となるおそれがある。また磁化強さが60emu/gを超えると、キャリアの穂立ちが高くなり過ぎる非接触現像では、像担持体と非接触状態を保つことが困難になる。また接触現像ではトナー像に掃き目が現れ易くなるおそれがある。
二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できるけれども、樹脂被覆キャリア(密度5g/cm〜8g/cm)に例をとれば、現像剤中に、トナーが現像剤全量の2重量%〜30重量%、好ましくは2重量%〜20重量%含まれるように、トナーを用いればよい。また二成分現像剤において、トナーによるキャリアの被覆率は、40%〜80%であることが好ましい。
本発明の二成分現像剤は、本発明のトナーとキャリアとを含むことにより、地球環境保全に対して配慮され、定着性および保存安定性に優れ、さらに光透過性の良好な二成分現像剤を得ることができる。
[画像形成装置]
図2は、本発明の画像形成装置1の構成を模式的に示す断面図である。画像形成装置1は、複写機能、プリンタ機能およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録媒体上にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。すなわち、画像形成装置1においては、コピアモード(複写モード)、プリンタモードおよびFAXモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、情報記録記憶媒体、メモリ装置を用いた外部機器からの印刷ジョブの受信などに応じて、図示しない制御部により、印刷モードが選択される。画像形成装置1は、トナー像形成手段2と、転写手段3と、定着手段4と、記録媒体供給手段5と、排出手段6とを含む。トナー像形成手段2を構成する各部材および中間転写手段3に含まれる一部の部材は、カラー画像情報に含まれるブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)およびイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。ここでは、各色に応じて4つずつ設けられる各部材は、各色を表すアルファベットを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで表す。
トナー像形成手段2は、感光体ドラム11と、帯電手段12と、露光ユニット13と、現像手段14と、クリーニングユニット15とを含む。帯電手段12、現像手段14およびクリーニングユニット15は、感光体ドラム11まわりに、この順序で配置される。帯電手段12は、現像手段14およびクリーニングユニット15よりも鉛直方向下方に配置される。
感光体ドラム11は、図示しない駆動手段により、軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない、導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含む。導電性基体は種々の形状を採ることができ、たとえば、円筒状、円柱状、薄膜シート状などが挙げられる。これらの中でも円筒状が好ましい。導電性基体は導電性材料によって形成される。導電性材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属、これらの2種以上の合金、合成樹脂フィルム、金属フィルム、紙などのフィルム状基体にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化スズ、金、酸化インジウムなどの1種または2種以上からなる導電性層を形成してなる導電性フィルム、少なくとも導電性粒子または導電性ポリマーを含有する樹脂組成物などが挙げられる。なお、導電性フィルムに用いられるフィルム状基体としては、合成樹脂フィルムが好ましく、ポリエステルフィルムが特に好ましい。また、導電性フィルムにおける導電性層の形成方法としては、蒸着、塗布などが好ましい。
感光層は、たとえば、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層することにより形成される。その際、導電性基体と電荷発生層または電荷輸送層との間には、下引き層を設けるのが好ましい。下引き層を設けることによって、導電性基体の表面に存在する傷および凹凸を被覆して感光層表面を平滑化する、繰り返し使用時における感光層の帯電性の悪化を防止する、少なくとも低温または低湿環境下における感光層の帯電特性を向上させるといった利点が得られる。また最上層に感光体表面保護層を設けた耐久性の大きい三層構造の積層感光体であっても良い。
電荷発生層は、光照射により電荷を発生する電荷発生物質を主成分とし、必要に応じて公知の結着樹脂、可塑剤、増感剤などを含有する。電荷発生物質としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、キナクリドン、アントラキノンなどの多環キノン系顔料、金属および無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、カルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料などが挙げられる。これらの中でも、無金属フタロシアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料、少なくともフローレン環またはフルオレノン環を含有するビスアゾ顔料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などは高い電荷発生能を有し、高感度の感光層を得るのに適する。電荷発生物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷発生物質の含有量は特に制限はないけれども、電荷発生層中の結着樹脂100重量部に対して好ましくは5重量部〜500重量部、さらに好ましくは10重量部〜200重量部である。電荷発生層用の結着樹脂としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
電荷発生層は、電荷発生物質および結着樹脂ならびに必要に応じて可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷発生層塗液を調製し、この電荷発生層塗液を導電性基体表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは0.05μm〜5μm、さらに好ましくは0.1μm〜2.5μmである。
電荷発生層の上に積層される電荷輸送層は、電荷発生物質から発生する電荷を受け入れて輸送する能力を有する電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着樹脂を必須成分とし、必要に応じて公知の酸化防止剤、可塑剤、増感剤、潤滑剤などを含有する。電荷輸送物質としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒ縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質、フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどの電子受容性物質などが挙げられる。電荷輸送物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷輸送物質の含有量は特に制限されないけれども、好ましくは電荷輸送物質中の結着樹脂100重量部に対して10重量部〜300重量部、さらに好ましくは30重量部〜150重量部である。電荷輸送層用の結着樹脂としては、この分野で常用されかつ電荷輸送物質を均一に分散できるものを使用でき、たとえば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリケトン、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、これらの共重合樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成膜性、得られる電荷輸送層の耐摩耗性、電気特性などを考慮すると、ビスフェノールZをモノマー成分として含有するポリカーボネート(以後「ビスフェノールZ型ポリカーボネート」と称す)、ビスフェノールZ型ポリカーボネートと他のポリカーボネートとの混合物などが好ましい。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
電荷輸送層には、電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着樹脂と共に、酸化防止剤が含まれることが好ましい。酸化防止剤としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機リン化合物などが挙げられる。酸化防止剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。酸化防止剤の含有量は特に制限されないけれども、電荷輸送層を構成する成分の合計量の0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.05重量%〜5重量%である。電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂ならびに必要に応じて酸化防止剤、可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷輸送層用塗液を調製し、この電荷輸送層用塗液を電荷発生層表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは10μm〜50μm、さらに好ましくは15μm〜40μmである。なお、1つの層に、電荷発生物質と電荷輸送物質とが存在する感光層を形成することもできる。その場合、電荷発生物質および電荷輸送物質の種類、含有量、結着樹脂の種類、その他の添加剤などは、電荷発生層および電荷輸送層を別々に形成する場合と同様でよい。
本実施の形態では、前述のような、電荷発生物質および電荷輸送物質を用いる有機感光層を形成してなる感光体ドラムを用いるけれども、それに代えて、シリコンなどを用いる無機感光層を形成してなる感光体ドラムを使用できる。
帯電手段12は、感光体ドラム11を臨み、感光体ドラム11の長手方向に沿って感光体ドラム11表面から間隙を有して離隔するように配置され、感光体ドラム11表面を所定の極性および電位に帯電させる。帯電手段12には、帯電ブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器、鋸歯型帯電器、イオン発生装置などを使用できる。本実施の形態では、帯電手段12は感光体ドラム11表面から離隔するように設けられるけれども、それに限定されない。たとえば、帯電手段12として帯電ローラを用い、帯電ローラと感光体ドラムとが圧接するように帯電ローラを配置しても良く、帯電ブラシ、磁気ブラシなどの接触帯電方式の帯電器を用いても良い。
露光ユニット13は、露光ユニット13から出射される各色情報の光が、帯電手段12と現像手段14との間を通過して感光体ドラム11の表面に照射されるように配置される。露光ユニット13は、画像情報を該ユニット内でb、c、m、yの各色情報の光に分岐し、帯電手段12によって一様な電位に帯電された感光体ドラム11表面を各色情報の光で露光し、その表面に静電潜像を形成する。露光ユニット13には、たとえば、レーザ照射部および複数の反射ミラーを備えるレーザスキャニングユニットを使用できる。他にもLEDアレイ、液晶シャッタと光源とを適宜組み合わせたユニットを用いてもよい。
図3は、本発明の現像装置14の構成の一例を模式的に示す断面図である。現像手段14は、現像槽20とトナーホッパ21とを含む。現像槽20は感光体ドラム11表面を臨むように配置され、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像し、可視像であるトナー像を形成する容器状部材である。現像槽20は、その内部空間にトナーを収容し、かつ現像ローラ20a、供給ローラ20b、撹拌ローラ20cなどのローラ部材またはスクリュー部材を収容して回転自在に支持する。現像槽20の感光体ドラム11を臨む側面には開口部が形成され、この開口部を介して感光体ドラム11に対向する位置に現像ローラ20aが回転駆動可能に設けられる。現像ローラ20aは、感光体ドラム11との圧接部または最近接部において感光体11表面の静電潜像にトナーを供給するローラ状部材である。トナーの供給に際しては、現像ローラ20a表面にトナーの帯電電位とは逆極性の電位が現像バイアス電圧(以下単に「現像バイアス」とする)として印加される。これによって、現像ローラ20a表面のトナーが静電潜像に円滑に供給される。さらに、現像バイアス値を変更することによって、静電潜像に供給されるトナー量(トナー付着量)を制御できる。供給ローラ20bは現像ローラ20aを臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、現像ローラ20a周辺にトナーを供給する。攪拌ローラ20cは供給ローラ20bを臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、トナーホッパ21から現像槽20内に新たに供給されるトナーを供給ローラ20b周辺に送給する。トナーホッパ21は、その鉛直方向下部に設けられるトナー補給口(図示せず)と、現像槽20の鉛直方向上部に設けられるトナー受入口(図示せず)とが連通するように設けられ、現像槽20のトナー消費状況に応じてトナーを補給する。またトナーホッパ21を用いず、各色トナーカートリッジから直接トナーを補給するよう構成しても構わない。
クリーニングユニット15は、記録媒体にトナー像を転写した後に、感光体ドラム11の表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム11の表面を清浄化する。クリーニングユニット15には、たとえば、クリーニングブレードなどの板状部材が用いられる。なお、本発明の画像形成装置1においては、感光体ドラム11として、主に有機感光体ドラムが用いられ、有機感光体ドラムの表面は樹脂成分を主体とするものであるため、帯電装置によるコロナ放電によって発生するオゾンの化学的作用によって表面の劣化が進行しやすい。ところが、劣化した表面部分はクリーニングユニット15よる擦過作用を受けて摩耗し、徐々にではあるが確実に除去される。したがって、オゾンなどによる表面の劣化の問題が実際上解消され、長期間にわたって、帯電動作による帯電電位を安定に維持することができる。本実施の形態ではクリーニングユニット15を設けるけれども、それに限定されず、クリーニングユニット15を設けなくてもよい。
トナー像形成手段2によれば、帯電手段12によって均一な帯電状態にある感光体ドラム11の表面に、露光ユニット13から画像情報に応じた信号光を照射して静電潜像を形成し、これに現像手段14からトナーを供給してトナー像を形成し、このトナー像を中間転写ベルト25に転写した後に、感光体ドラム11表面に残留するトナーをクリーニングユニット15で除去する。この一連のトナー像形成動作が繰り返し実行される。
転写手段3は、感光体ドラム11の上方に配置され、中間転写ベルト25と、駆動ローラ26と、従動ローラ27と、中間転写ローラ28(b、c、m、y)と、転写ベルトクリーニングユニット29、転写ローラ30とを含む。中間転写ベルト25は、駆動ローラ26と従動ローラ27とによって張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材であり、矢符Bの方向、すなわち感光体ドラム11と接する面が感光体ドラム11yから11bに向う方向に移動するように回転駆動する。
中間転写ベルト25が、感光体ドラム11に接しながら感光体ドラム11を通過する際、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に対向配置される中間転写ローラ28から、感光体ドラム11表面のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加され、感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト25上へ転写される。フルカラー画像の場合、各感光体ドラム11で形成される各色のトナー画像が、中間転写ベルト25上に順次重ねて転写されることによって、フルカラートナー像が形成される。駆動ローラ26は図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられ、その回転駆動によって、中間転写ベルト25を矢符B方向へ回転駆動させる。従動ローラ27は駆動ローラ26の回転駆動に従動回転可能に設けられ、中間転写ベルト25が弛まないように一定の張力を中間転写ベルト25に付与する。中間転写ローラ28は、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に圧接し、かつ図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられる。中間転写ローラ28は、前述のように転写バイアスを印加する図示しない電源が接続され、感光体ドラム11表面のトナー像を中間転写ベルト25に転写する機能を有する。転写ベルトクリーニングユニット29は、中間転写ベルト25を介して従動ローラ27に対向し、中間転写ベルト25の外周面に接触するように設けられる。感光体ドラム11との接触によって中間転写ベルト25に付着するトナーは、記録媒体の裏面を汚染する原因となるので、転写ベルトクリーニングユニット29が中間転写ベルト25表面のトナーを除去し回収する。転写ローラ30は、中間転写ベルト25を介して駆動ローラ26に圧接し、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられる。転写ローラ30と駆動ローラ26との圧接部(転写ニップ部)において、中間転写ベルト25に担持されて搬送されてくるトナー像が、後述する記録媒体供給手段5から送給される記録媒体に転写される。トナー像を担持する記録媒体は、定着手段4に送給される。転写手段3によれば、感光体ドラム11と中間転写ローラ28との圧接部において感光体ドラム11から中間転写ベルト25に転写されるトナー像が、中間転写ベルト25の矢符B方向への回転駆動によって転写ニップ部に搬送され、そこで記録媒体に転写される。
定着手段4は、転写手段3よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、定着ローラ31と加圧ローラ32とを含む。定着ローラ31は図示しない駆動手段によって回転駆動可能に設けられ、記録媒体上に形成されたトナー像を熱溶融して定着させる。定着ローラ31の内部には図示しない加熱手段が設けられる。加熱手段は、定着ローラ31表面が所定の温度(加熱温度)になるように定着ローラ31を加熱する。加熱手段には、たとえば、ヒータ、ハロゲンランプなどを使用できる。加熱手段は、後記する定着条件制御手段によって制御される。定着ローラ31表面近傍には温度検知センサが設けられ、定着ローラ31の表面温度を検知する。温度検知センサによる検知結果は、後記する制御手段の記憶部に書き込まれる。加圧ローラ32は定着ローラ31に圧接するように設けられ、加圧ローラ32の回転駆動に従動回転可能に支持される。加圧ローラ32は、定着ローラ31によってトナーが溶融して記録媒体に定着する際に、トナーと記録媒体とを押圧することによって、トナー像の記録媒体への定着を補助する。定着ローラ31と加圧ローラ32との圧接部が定着ニップ部である。定着手段4によれば、転写手段3においてトナー像が転写された記録媒体が、定着ローラ31と加圧ローラ32とによって挟持され、定着ニップ部を通過する際に、トナー像が加熱下に記録媒体に押圧されることによって、トナー像が記録媒体に定着され、定着画像が形成される。
記録媒体供給手段5は、自動給紙トレイ35と、ピックアップローラ36と、搬送ローラ37と、レジストローラ38、手差給紙トレイ39を含む。自動給紙トレイ35は画像形成装置1の鉛直方向下部に設けられ、記録媒体を貯留する容器状部材である。記録媒体には、普通紙、カラーコピー用紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート、葉書などがある。ピックアップローラ36は、自動給紙トレイ35に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路S1に送給する。搬送ローラ37は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、記録媒体をレジストローラ38に向けて搬送する。レジストローラ38は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、搬送ローラ37から送給される記録媒体を、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。手差給紙トレイ39は、手動動作によって記録媒体を画像形成装置1内に取り込む装置であり、手差給紙トレイ39から取り込まれる記録媒体は、搬送ローラ37によって用紙搬送路S2内を通過し、レジストローラ38に送給される。記録媒体供給手段5によれば、自動給紙トレイ35または手差給紙トレイ39から1枚ずつ供給される記録媒体を、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。
排出手段6は、搬送ローラ37と、排出ローラ40と、排出トレイ41とを含む。搬送ローラ37は、用紙搬送方向において定着ニップ部よりも下流側に設けられ、定着手段4によって画像が定着された記録媒体を排出ローラ40に向けて搬送する。排出ローラ40は、画像が定着された記録媒体を、画像形成装置の鉛直方向上面に設けられる排出トレイ41に排出する。排出トレイ41は、画像が定着された記録媒体を貯留する。
画像形成装置1は、図示しない制御手段を含む。制御手段は、たとえば、画像形成装置1の内部空間における上部に設けられ、記憶部と演算部と制御部とを含む。制御手段の記憶部には、画像形成装置1の上面に配置される図示しない操作パネルを介する各種設定値、画像形成装置1内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、外部機器からの画像情報などが入力される。また、各種手段を実行するプログラムが書き込まれる。各種手段とは、たとえば、記録媒体判定手段、付着量制御手段、定着条件制御手段などである。記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置1に電気的に接続可能な電気・電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビジョン受像機、ビデオレコーダ、DVD(Digital
Versatile Disc)レコーダ、HDDVD(High-Definition Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスクレコーダ、ファクシミリ装置、携帯端末装置などが挙げられる。演算部は、記憶部に書き込まれる各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)および各種手段のプログラムを取り出し、各種判定を行う。制御部は、演算部の判定結果に応じて該当装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。制御部および演算部は中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路を含む。制御手段は、前述の処理回路とともに主電源を含み、電源は制御手段だけでなく、画像形成装置1内部における各装置にも電力を供給する。
このように、本発明の現像装置14は、本発明のトナーもしくは二成分現像剤を用いて現像を行うことにより、トナーの定着性を確保しつつ、保存安定性も維持することができるため、現像槽内での攪拌などのストレスに対しても、安定した性能を維持することができる。
また、本発明の画像形成装置1は、本発明の現像装置14を備えることにより、長期間にわたってトラブルが発生することなく、定着性および発色性に優れた安定した高画質画像を形成することができる。
また、本発明の画像形成装置1は、記録媒体上に形成されたトナー像を熱溶融して定着させる定着手段4を備えることが好ましい。このように、本発明のトナーを用いて、上述に定着手段4を備える画像形成装置1により定着画像を形成することによって、低温定着性と保存安定性を両立させたトナー物性を効果的に引き出した高画質画像を得ることができる。
以下に本発明を実施例および比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り特に本実施例に限定されるものではない。
[物性値測定方法]
実施例および比較例における各物性値は、以下に示すようにして測定した。
〔結着樹脂のガラス転移温度(Tg)〕
示差走査熱量計(商品名:Diamond DSC、パーキンエルマージャパン株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料0.01gを昇温速度毎分10℃(10℃/min)で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの低温側のベースラインを高温側に延長した直線とピークの低温側の曲線に対して勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。
〔軟化温度(T1/2)〕
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−500C、株式会社島津製作所製)を用い、試料1gをシリンダに挿入し、ダイから押出されるように荷重10kgf/cm(0.980665MPa)を与えながら、昇温速度毎分6℃(6℃/min)で加熱し、ダイから試料の半分が流出したときの温度を軟化温度として求めた。ダイには、口径1mm、長さ1mmのものを用いた。
〔ピークトップ分子量、重量平均分子量(Mw)および分子量分布指数(Mw/Mn)〕
GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)を用い、温度40℃において、試料の0.25重量%のテトラヒドロフラン(以下、「THF」と記す)溶液を試料溶液とし、試料溶液の注入量を200μLとして、分子量分布曲線を求めた。得られた分子量分布曲線のピークの頂点の分子量をピークトップ分子量として求めた。また得られた分子量分布曲線から、重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnを求め、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比である分子量分布指数(Mw/Mn;以下、単に「Mw/Mn」と記す)を求めた。なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
〔酸価〕
酸価は以下のようにして中和滴定法によって測定した。THF50mLに、試料5gを溶解させ、指示薬としてフェノールフタレインのエタノール溶液を数滴加えた後、0.1モル/Lの水酸化カリウム(KOH)水溶液で滴定を行なった。試料溶液の色が無色から紫色に変化した点を終点とし、終点に達するまでに要した水酸化カリウム水溶液の量と滴定に供した試料の重量とから、酸価(mgKOH/g)を算出した。
〔結着樹脂のTHF不溶分〕
試料1gを円筒濾紙に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF100mLを用いて6時間加熱還流して、試料中のTHFに可溶な成分をTHFによって抽出した。抽出されたTHF可溶分を含む抽出液から溶媒を除去した後、THF可溶分を100℃で24時間乾燥し、得られたTHF可溶分の重量X(g)を秤量した。求めたTHF可溶分の重量X(g)と、測定に用いた試料の重量(1g)とから、下記式(2)に基づいて、結着樹脂中のTHFに不溶な成分であるTHF不溶分の割合P(重量%)を算出した。以下、この割合PをTHF不溶分と記す。
P(重量%)={1(g)−X(g)}/1(g)×100 …(2)
〔融点(Tm)〕
示差走査熱量計(商品名:Diamond DSC、パーキンエルマージャパン株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料0.01gを温度20℃から200℃まで1分間当たり10℃の割合で昇温させ、次いで200℃から20℃まで1分間当たり50℃の割合で降温させた後、再度、温度20℃から200℃まで1分間当たり10℃の割合で昇温させることにより得られるDSC曲線の融解熱のピークについて、ピークの頂点の温度を融点(Tm)として求めた。
〔トナーの粘弾性〕
貯蔵弾性率G’および損失弾性率G”は、ストレスレオメータ(REOLOGICA Instruments AB社製)にて、パラレルプレートを用いて以下のようにして測定した。試料0.6gを、錠剤成形器により室温(25℃)、約20MPaにて1分間プレスし、厚み0.5mm程度、直径25mmの測定用サンプルを作製した。この測定用サンプルを、直径25mmのパラレルプレートに挟み、加熱して溶融させた後、パラレルプレートの間隔を1.0mmに設定し、ひずみ5%、周波数1.0Hzの条件でパラレルプレートの周方向に正弦的に振動するひずみを与えることによって、測定用サンプルを正弦波振動させ、温度80℃から200℃まで昇温速度3℃/分で昇温させて、測定温度間隔10℃で各温度における貯蔵弾性率G’および損失弾性率G”を測定した。そして、得られた測定結果から、損失弾性率G”と温度との関係を示す損失弾性率−温度特性曲線および損失正接(tanδ,G”/G’)と温度との関係を示す損失正接−温度特性曲線を求め、これらのグラフから120℃および200℃における損失弾性率G”の値ならびに損失正接(tanδ)を求めた。
〔粒度分布(トナーの体積平均粒径(D50v)および変動係数(CV値)〕
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(分散剤、キシダ化学株式会社製)1mlを添加し、超音波分散器(商品名:UH−50、株式会社エスエムテー製)にて超音波周波数20kHzで3分間超音波分散処理したものを測定用試料とした。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径20μm、測定粒子数50000カウントの条件下に試料粒子の粒径の測定を行い、得られた測定結果から試料粒子の体積粒度分布を求め、求めた体積粒度分布から体積平均粒径D50V(μm)を算出した。また、体積粒度分布における標準偏差を求めて、下記式(3)に基づいて変動係数(CV値、%)を算出した。なお、体積平均粒径D50V(μm)とは、累積体積分布における大粒径側からの累積体積が50%になる粒径のことを示す。
CV値(%)={体積粒度分布における標準偏差/体積平均粒径(μm)}×100
…(3)
(実施例1)
[前混合工程]
結着樹脂(100重量部)として、主成分であるポリエステル樹脂A(ガラス転移温度(Tg):60℃、軟化温度(T1/2):110℃、ピークトップ分子量12500、Mw/Mn=5.2、酸価16、THF不溶分0%)81.5重量%(90.0重量部)およびポリ乳酸樹脂A(商品名:テラマックTE−2000C、ユニチカ株式会社製、融点(Tm):170℃)9.0重量%(10.0重量部)と、着色剤としてKET.BLUE111(商品名:銅フタロシアニン 15:3、クラリアント社製)5.0重量%(5.5重量部)と、離型剤としてパラフィンワックス(商品名:HNP−10、日本精蝋株式会社製、融点(Tm):75℃)3.0重量%(3.3重量部)と、帯電制御剤(商品名:Copy Charge N4P VP 2481、クラリアントジャパン株式会社製)1.5重量%(1.7重量部)とを含有するトナー原料をヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)にて3分間混合し、混合物を得た。
〔溶融混練工程〕
混合物20.0kgを、オープンロール型(2本ロール型)連続混練機(商品名:MOS320−1800、三井鉱山株式会社製)で溶融混練して溶融混練物を作製した。このときのオープンロールの設定条件は、加熱ロールの供給側温度が140℃、排出側温度が70℃、冷却ロールの供給側温度が80℃、排出側温度が15℃であった。加熱ロールおよび冷却ロールとしては、ともに直径が320mm、有効長が1550mmであるロールを用い、供給側および排出側におけるロール間ギャップをいずれも0.3mmとした。また、加熱ロールの回転数を75rpm、冷却ロールの回転数を65rpmとし、混合物の供給量を30kg/hとした。
〔粉砕分級工程〕
溶融混練工程にて得られた溶融混練物を室温まで冷却して固化した後、カッターミル(商品名:VM−16、オリエント株式会社製)で粗粉砕した。次いで、粗粉砕によって得られた粗粉砕物をカウンタージェットミル(商品名:AFG、ホソカワミクロン株式会社製)によって微粉砕した後、得られた粉砕物をロータリー式分級機(商品名:TSPセパレータ、ホソカワミクロン株式会社製)によって分級して過粉砕トナー粒子を除去してトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子の120℃における損失弾性率G”の値は、5.4×10Paであり、200℃における損失弾性率G”の値は2.5×10Paであり、200℃における損失正接(tanδ)の値は4.1であった。また周波数1Hzにおけるトナー粒子の損失弾性率G”が10Paになる温度は160℃であり、ポリ乳酸樹脂Aの融点(Tm)の方が10℃高い温度であった。
次いで、得られたトナー粒子100重量部に対して、疎水性シリカ(商品名:R−974、日本アエロジル株式会社製)0.2重量部と、疎水性チタン(商品名:T−805、日本アエロジル株式会社製)0.3重量部とを添加し、ヘンシェルミキサ(商品名:FMミキサ、三井鉱山株式会社製)で混合することによって実施例1のトナー16.8kgを製造した。
得られたトナーの体積平均粒径は6.7μm、変動係数(CV値)は23%であった。
(実施例2)
前混合工程において、結着樹脂(100重量部)として、主成分であるポリエステル樹脂A72.4重量%(80.0重量部)およびポリ乳酸樹脂A18.1重量%(20.0重量部)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例2のトナー16.0kgを製造した。
得られたトナー粒子の120℃における損失弾性率G”の値は、7.8×10Paであり、200℃における損失弾性率G”の値は3.2×10Paであり、200℃における損失正接(tanδ)の値は3.2であった。また周波数1Hzにおけるトナー粒子の損失弾性率G”が10Paになる温度は164℃であり、ポリ乳酸樹脂Aの融点(Tm)の方が6℃高い温度であった。さらに、得られたトナーの体積平均粒径は6.8μm、変動係数(CV値)は25%であった。
(実施例3)
〔ポリ乳酸樹脂Bの製造〕
L−ラクチド47.5kg、D−ラクチド2.5kgを重合反応層に仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら加熱溶融させて均一に混合した。次いで、オクチル酸スズ15gを添加した後190℃に加熱し、反応物の粘度が高くなるまで、3時間加熱開環重合させて、ポリ乳酸樹脂B(重量平均分子量(Mw):12000、Mw/Mn=2.7、融点(Tm):129℃、L−乳酸ユニットに対するD−乳酸ユニットのモル比:0.085)を製造した。
〔トナーの製造〕
前混合工程において、結着樹脂(100重量部)として、主成分であるポリエステル樹脂A54.3重量%(60.0重量部)およびポリ乳酸樹脂B36.2重量%(40.0重量部)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例3のトナー14.1kgを製造した。
得られたトナー粒子の120℃における損失弾性率G”の値は、4.3×10Paであり、200℃における損失弾性率G”の値は7.8×10Paであり、200℃における損失正接(tanδ)の値は6.5であった。また、周波数1Hzにおけるトナー粒子の損失弾性率G”が10Paになる温度は120℃であり、ポリ乳酸樹脂Bの融点(Tm)の方が9℃高い温度であった。さらに、得られたトナーの体積平均粒径は6.7μm、変動係数(CV値)は24%であった。
(実施例4)
〔ポリ乳酸樹脂Cの製造〕
L−ラクチドとD−ラクチドの仕込みの比率をL−ラクチド40kg、D−ラクチド10kgに変更した以外はポリ乳酸樹脂Bと同様の方法により、ポリ乳酸樹脂C(重量平均分子量(Mw):11000、Mw/Mn=2.8、融点(Tm):123℃、L−乳酸ユニットに対するD−乳酸ユニットのモル比:0.2)を製造した。
〔トナーの製造〕
前混合工程において、結着樹脂(100重量部)として、主成分であるポリエステル樹脂A49.8重量%(55.0重量部)およびポリ乳酸樹脂C40.7重量%(45.0重量部)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例4のトナー15.3kgを製造した。
得られたトナー粒子の120℃における損失弾性率G”の値は、3.2×10Paであり、200℃における損失弾性率G”の値は5.1×10Paであり、200℃における損失正接(tanδ)の値は7.2であった。また、周波数1Hzにおけるトナー粒子の損失弾性率G”が10Paになる温度は114℃であり、ポリ乳酸樹脂Cの融点(Tm)の方が9℃高い温度であった。さらに、得られたトナーの体積平均粒径は6.5μm、変動係数(CV値)は23%であった。
(比較例1)
前混合工程において、結着樹脂(100重量部)として、主成分であるポリエステル樹脂A36.2重量%(40.0重量部)およびポリ乳酸樹脂A54.3重量%(60.0重量部)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトナーの製造を試みたが、溶融混練することができず、比較例1のトナーを得ることができなかった。
(比較例2)
溶融混練工程において、エクストルーダ(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)を用いて混合物を溶融混練した以外は、実施例2と同様にして比較例2のトナー15.1kgを製造した。このときのエクストルーダの設定条件は、スクリュー回転数250rpm、吐出量65kg/hとした。
得られたトナー粒子の120℃における損失弾性率G”の値は、5.2×10Paであり、200℃における損失弾性率G”の値は7.3×10Paであり、200℃における損失正接(tanδ)の値は22であった。また、周波数1Hzにおけるトナー粒子の損失弾性率G”が10Paになる温度は145℃であり、ポリ乳酸樹脂Aの融点(Tm)の方が25℃高い温度であった。さらに、得られたトナーの体積平均粒径は8.8μm、変動係数(CV値)は41%であった。
(比較例3)
溶融混練工程において、エクストルーダ(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)を用いて混合物を溶融混練した以外は、実施例3と同様にして比較例3のトナー13.2kgを製造した。このときのエクストルーダの設定条件は、スクリュー回転数250rpm、吐出量65kg/hとした。
得られたトナー粒子の120℃における損失弾性率G”の値は、4.7×10Paであり、200℃における損失弾性率G”の値は3.7×10Paであり、200℃における損失正接(tanδ)の値は15であった。また、周波数1Hzにおけるトナー粒子の損失弾性率G”が10Paになる温度は116℃であり、ポリ乳酸樹脂Bの融点(Tm)の方が13℃高い温度であった。さらに、得られたトナーの体積平均粒径は7.0μm、変動係数(CV値)は31%であった。
(比較例4)
溶融混練工程において、エクストルーダ(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)を用いて混合物を溶融混練した以外は、実施例4と同様にして比較例4のトナー15.5kgを製造した。このときのエクストルーダの設定条件は、スクリュー回転数250rpm、吐出量65kg/hとした。
得られたトナー粒子の120℃における損失弾性率G”の値は、4.3×10Paであり、200℃における損失弾性率G”の値は8.7Paであり、200℃における損失正接(tanδ)の値は18であった。また、周波数1Hzにおけるトナー粒子の損失弾性率G”が10Paになる温度は108℃であり、ポリ乳酸樹脂Cの融点(Tm)の方が15℃高い温度であった。さらに、得られたトナーの体積平均粒径は6.8μm、変動係数(CV値)は33%であった。
(比較例5)
前混合工程において、結着樹脂(100重量部)として、主成分であるポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂B(ガラス転移温度(Tg):58℃、軟化温度(T1/2):102℃、ピークトップ分子量8500、Mw/Mn=2.5、酸価13、THF不溶分0%)を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例5のトナー12.1kgを製造した。
得られたトナー粒子の120℃における損失弾性率G”の値は、4.5×10Paであり、200℃における損失弾性率G”の値は9.4Paであり、200℃における損失正接(tanδ)の値は35.2であった。また、周波数1Hzにおけるトナー粒子の損失弾性率G”が10Paになる温度は140℃であり、ポリ乳酸樹脂Aの融点(Tm)の方が30℃高い温度であった。さらに、得られたトナーの体積平均粒径は6.4μm、変動係数(CV値)は32%であった。
(比較例6)
前混合工程において、結着樹脂(100重量部)として、主成分であるポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂C(ガラス転移温度(Tg):60℃、軟化温度(T1/2):116℃、ピークトップ分子量32100、Mw/Mn=8.2、酸価9、THF不溶分4%)を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例6のトナー10.5kgを製造した。
得られたトナー粒子の120℃における損失弾性率G”の値は、7.2×10Paであり、200℃における損失弾性率G”の値は1.1×10Paであり、200℃における損失正接(tanδ)の値は1.2であった。また、周波数1Hzにおけるトナー粒子の損失弾性率G”が10Paになる温度は170℃であり、ポリ乳酸樹脂Aの融点(Tm)と同じ温度であった。さらに、得られたトナーの体積平均粒径は6.7μm、変動係数(CV値)は24%であった。
(比較例7)
前混合工程において、結着樹脂(100重量部)として、主成分であるポリエステル樹脂Aに代えてスチレン−アクリル樹脂D(ガラス転移温度(Tg):62℃、軟化温度(T1/2):127℃、ピークトップ分子量12000、酸価10.2、THF不溶分7%)を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例7のトナー14.2kgを製造した。
得られたトナー粒子の120℃における損失弾性率G”の値は、4.3×10Paであり、200℃における損失弾性率G”の値は7.8×10Paであり、200℃における損失正接(tanδ)の値は12であった。また、周波数1Hzにおけるトナー粒子の損失弾性率G”が10Paになる温度は126℃であり、ポリ乳酸樹脂Aの融点(Tm)の方が44℃高い温度であった。さらに、得られたトナーの体積平均粒径は6.7μm、変動係数(CV値)は3.3%であった。
(比較例8)
前混合工程において、結着樹脂(100重量部)として、主成分であるポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂C83.3重量%(92.0重量部)を使用し、ポリ乳酸樹脂A7.2重量%(8.0重量部)を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例8のトナー13.2kgを製造した。
得られたトナー粒子の120℃における損失弾性率G”の値は、5.9×10Paであり、200℃における損失弾性率G”の値は9.7×10Paであり、200℃における損失正接(tanδ)の値は3.1であった。また、周波数1Hzにおけるトナー粒子の損失弾性率G”が10Paになる温度は168℃であり、ポリ乳酸樹脂Cの融点(Tm)の方が2℃高かった。さらに、得られたトナーの体積平均粒径は6.8μm、変動係数(CV値)は23%であった。
実施例1〜4および比較例1〜8のトナーにおける、主成分である樹脂(表1中「主成分樹脂」と記す)の種類、結晶性樹脂であるポリ乳酸樹脂の種類およびその含有量と融点(Tm)、ポリ乳酸樹脂の融点(Tm)と周波数1Hzにおけるトナー粒子の損失弾性率G”が10Paになる温度(表1中「温度」と記す)との差(表1中「Tm−温度」と記す)の値、トナー粒子の粘弾性、ならびにトナーの粒度分布を表1に示す。
Figure 0004512631
[評価]
実施例1〜4および比較例1〜8のトナーについて、以下のようにして保存安定性、定着性、定着強度および光透過性について評価した。
〔保存安定性〕
トナーを50mlのポリ瓶3本に1本当り28g〜30g入れ、ポリ瓶の蓋を閉めた状態で50℃、10%RHに設定した恒温恒湿槽に入れて24時間毎に1本ずつ取り出し、嵩比重測定器(筒井理化学器械株式会社製)を用い、JIS K−5101−12−1に従ってトナーの嵩密度を測定した。初期、24時間後、48時間後、72時間後の嵩密度を測定して下記式(4)に基づいて変動率を算出した。変動率の値が小さいトナーほど保存安定性が良好であること示す。
(変動率)=(72時間後の嵩密度)/(初期の嵩密度)×100 …(4)
保存安定性の評価基準を以下に示す。
○:変動率が90%以上である。
△:変動率が80%以上90%未満である。
×:変動率が80%未満である。
〔定着性〕
キャリアとして、体積平均粒径45μmのフェライトコアキャリアを用いて、キャリアに対する実施例1〜4および比較例1〜8のトナーの被覆率がそれぞれ60%となるようにV型混合器混合機(商品名:V−5、株式会社特寿工作所製)にて20分間混合して、二成分現像剤を作製した。
得られた二成分現像剤を、カラー複合機(商品名:MX−2700、シャープ株式会社製)を改造したものを用いて、記録媒体である記録用紙(商品名:PPC用紙SF−4AM3、シャープ株式会社製)に、縦20mm、横50mmの長方形状のベタ画像部を含むサンプル画像を、ベタ画像部における未定着状態でのトナーの記録用紙への付着量が0.5mg/cmになるように調整して未定着画像を作製した。得られた未定着画像の非オフセット域を、カラー複合機の定着部を用いて作製した外部定着器を用いて評価した。なお、定着プロセス速度は124mm/秒とし、定着ローラの温度を130℃から10℃刻みで温度を上げ、低温オフセットもホットオフセットも起こらない温度域を非オフセット域として、定着性の指標とした。
なお、高温および低温オフセットの定義は、定着時にトナーが記録用紙に定着せずに定着ローラに付着したままローラが一周した後に記録用紙に付着することとした。定着性の評価基準を以下に示す。
○:非オフセット域が50℃以上である。
△:非オフセット域が30℃以上50℃未満である。
×:非オフセット域が30℃未満である。
〔定着強度〕
定着性の評価と同様の操作にて、周波数1Hzにおけるトナーの損失弾性率G”が10Paになる温度よりも30℃低い温度で定着した定着画像を作製した。得られた定着画像にメンディングテープ(型番:No.810−3−12、住友3M社製)を軽く貼付け、837gの円筒型(外径75mm、高さ50mm)の重りをメンディングテープの上で3回転がして定着画像に擦付けた後、メンディングテープを剥がした。メンディングテープ貼付前およびメンディングテープ剥離後の定着画像の光学濃度を分光測色濃度計(商品名:X−rite938、X−rite社製)を用いて測定し、定着強度を評価した。
なお、メンディングテープ剥離後の定着画像の光学濃度と、メンディングテープを貼付前の定着画像の光学濃度との比を表す値である、(テープ剥離後の定着画像の光学濃度/テープ貼付前の定着画像の光学濃度)×100の値を、定着強度率とした。定着強度率の値が大きいほど、定着強度が良好であり、定着可能温度幅が広いことを示す。
定着強度の評価基準を以下に示す。
○:定着強度率が80%以上である。
×:定着強度率が80%未満である。
〔光透過性〕
定着性の評価と同様の操作にて、二成分現像剤を作製した。カラー複合機(商品名:MX−2700、シャープ株式会社製)を改造したものを用いて、OHPシート上にトナー付着量が1.7mg/cmになるように調整してサンプル画像の未定着画像を作製し、定着画像を作製した。得られた定着画像のHAZE値をHAZEメーターmodelNDH2000(商品名、日本電色工業株式会社製)を用いて測定し、光透過性を評価した。HAZE値は小さいほど、光透過性が良好であることを示す。
光透過性の評価基準を以下に示す。
○:HAZE値が20未満である。
△:HAZE値が20以上25未満である。
×:HAZE値が25以上である。
〔総合評価〕
総合評価の評価基準は次のとおりである。
○:良好。全ての評価結果に×および△がない。
△:実使用上問題なし。全ての評価結果に×がなく、△が1個以上である。
×:不良。少なくともいずれか1つの評価結果に×がある。
上述のようにして評価した、保存安定性、定着性、定着強度および光透過性の評価結果および総合評価を表2に示す。
Figure 0004512631
表2に示した結果から、本発明における実施例1〜4のトナーは、比較例1〜8のトナーと比較して以下のように優れていることが明らかである。
実施例1〜4のトナーは、結着樹脂中に、主成分であるポリエステル樹脂Aと、結晶性樹脂であるポリ乳酸樹脂A〜Cのうちいずれかとを含んで構成され、結晶性樹脂は、結着樹脂100重量部に対して1重量部以上50重量部以下で含有され、かつ、融点は、周波数1Hzにおけるトナーの損失弾性率G”が10Paになる温度よりも5℃〜10℃高い温度であるために、保存安定性、定着性、定着強度および光透過性において、良好な結果を示した。
一方、比較例1は、結晶性樹脂であるポリ乳酸樹脂Aが、結着樹脂100重量部に対して60重量部と多すぎたために、結着樹脂が硬くなりすぎて溶融混練することができなかった。したがって、評価不可能であった。
比較例2〜4のトナーは、エクストルーダを用いて溶融混練を行ったために、ポリ乳酸がトナー中に充分に分散されず、このため結晶性樹脂の融点(Tm)が、周波数1Hzにおけるトナーの損失弾性率G”が10Paになる温度よりも10℃高い温度を超えた。したがって、保存安定性、定着性、定着強度および光透過性において、良好な結果が得られなかった。
比較例5および7のトナーは、結着樹脂の主成分である樹脂としてポリエステル樹脂BおよびDをそれぞれ用いたために、結晶性樹脂の融点(Tm)が周波数1Hzにおけるトナーの損失弾性率G”が10Paになる温度よりも10℃高い温度を超えた。したがって、損失正接が10を超え、保存安定性、定着性、定着強度および光透過性において、良好な結果が得られなかった。
比較例6および8のトナーは、結着樹脂の主成分である樹脂としてポリエステル樹脂Cを用いたために、結晶性樹脂の融点(Tm)が、周波数1Hzにおけるトナーの損失弾性率G”が10Paになる温度よりも5℃高い温度よりも低く、光透過性が悪化した。また、損失弾性率G”(120℃)が10Paを超えてしまい、定着性および定着強度が悪化した。
本発明のトナーの製造方法における手順の一例を示すフロー図である。 本発明の画像形成装置の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の現像装置の構成の一例を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 画像形成装置
2 トナー像形成手段
3 転写手段
4 定着手段
5 記録媒体供給手段
6 排出手段
11 感光体ドラム
12 帯電手段
13 露光ユニット
14 現像手段
15 クリーニングユニット
20 現像槽
21 トナーホッパ
25 中間転写ベルト
26 駆動ローラ
27 従動ローラ
28 中間転写ローラ
29 転写ベルトクリーニングユニット
30 転写ローラ
31 定着ローラ
32 加圧ローラ
35 自動給紙トレイ
36 ピックアップローラ
37 搬送ローラ
38 レジストローラ
39 手差給紙トレイ
40 排出ローラ
41 排出トレイ

Claims (10)

  1. 少なくとも結着樹脂および着色剤を含んで構成されるトナーであって、
    結着樹脂は、主成分である樹脂とバイオマスを含む結晶性樹脂とを含んで構成され、
    結晶性樹脂は、結着樹脂100重量部に対して1重量部以上50重量部以下で含有され、かつ、結晶性樹脂の融点は、周波数1Hzにおけるトナーの損失弾性率G”が10Paになる温度よりも5℃〜10℃高い温度であることを特徴とするトナー。
  2. 結晶性樹脂は、下記式(1)で示されるユニットを含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
    −[O−CH(CH)−CO]− …(1)
    (式中、nは、正の整数を表す。)
  3. 主成分である樹脂は、ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
  4. トナーの120℃における損失弾性率G”が10Pa以下および200℃における損失弾性率G”が10Pa以上であり、かつ200℃における損失弾性率G”を貯蔵弾性率G’で除した値である損失正接が10以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナー。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のトナーの製造方法であって、
    少なくとも、主成分である樹脂と、バイオマスを含む結晶性樹脂とを含んで構成される結着樹脂および着色剤を混合して混合物を作製する前混合工程と、
    結晶性樹脂を結着樹脂100重量部に対して1重量部以上50重量部以下で含有する混合物を溶融混練して溶融混練物を作製する溶融混練工程と、
    溶融混練物を粉砕して粉砕物を作製する粉砕工程と、
    粉砕物から過粉砕物や粗粉を除去する分級工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法。
  6. 溶融混練工程において、2本ロール型連続混練機を用いて、混合物を溶融混練することを特徴とする請求項5に記載のトナーの製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のトナーとキャリアとを含むことを特徴とする二成分現像剤。
  8. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のトナーもしくは請求項7に記載の二成分現像剤を用いて現像を行うことを特徴とする現像装置。
  9. 請求項8に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
  10. 記録媒体上に形成されたトナー像を熱溶融して定着させる定着手段を備えることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
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