図1は、本発明のトナーの製造方法により得られるトナー1の一例を模式的に示す断面図である。図1(a)は、膜化が進む前の状態を示し、図1(b)は、膜化が進んだ後の状態を示す。トナー1は、樹脂粒子であるコア粒子2と、コア粒子2の表面を被覆する微小樹脂粒子3とからなるカプセルトナーである。微小樹脂粒子3は、膜化が進むと、被覆膜4を形成する。
被覆層4は、コア粒子2表面に形成される。被覆層4がコア粒子2表面に形成される場合、被覆層4は、コア粒子2の表面の大部分に形成されることが好ましい。コア粒子2の表面の大部分とは、コア粒子2の表面積の50%以上を占める部分である。被覆層4が形成される部分のコア粒子2の面積が、コア粒子2の表面積の50%未満であると、コア粒子2が露出する面積が大きくなり、コア粒子2に含まれる低融点成分が軟化し、トナー1が凝集するおそれがある。したがって被覆層4が形成される部分のコア粒子2の面積は、コア粒子2の表面積の50%以上100%以下であることが好ましく、80%以上100%以下であることがさらに好ましい。コア粒子2の表面積は、コア粒子2を球体とみなし、コア粒子2の体積平均粒径を測定することによって算出できる。また被覆層4が形成される部分のコア粒子2の面積は、電子顕微鏡による撮影画像から、画像解析装置などを用いて算出できる。コア粒子2の表面の大部分に被覆層4が形成される場合、コア粒子2の表面全面に被覆層4が形成される場合と同様の効果が得られるので、以下の記載では被覆層4がコア粒子2の表面全面に形成される場合を例に説明する。
トナー1は、少なくとも非晶性ポリエステル樹脂および着色剤を含むコア粒子2と、非晶性ポリエステル樹脂を含む微小樹脂粒子3で構成され、かつコア粒子2の表面に形成される被覆層4であって、被覆層4に含まれる微小樹脂粒子3の一部が、コア粒子2および隣合う微小樹脂粒子3の少なくともいずれか一方と融着してなる被覆層4とを含む。
コア粒子2が含有する非晶性ポリエステル樹脂(以下「コア含有樹脂」という)と、被覆層4を形成する微小樹脂粒子3が含有する非晶性ポリエステル樹脂(以下「被覆層含有樹脂」という)とは、互いに相溶性が高い。ここで相溶性とは、コア含有樹脂および被覆層含有樹脂同士の親和し易さをいう。相溶性が高いと、接合界面における密着性が高くなり、被覆層4がコア粒子2から剥離することを防ぐ。相溶性が低いと、接合界面における密着性が低くなり、被覆層4が剥離してしまう。コア含有樹脂および被覆層含有樹脂として適宜好ましいものを選択することによって、コア粒子2と被覆層4とが強固に密着した、帯電性などの経時安定性に優れるトナー1を得ることができる。
個々の微小樹脂粒子3は、複数の部分で他の微小樹脂粒子3と融着しているので、微小樹脂粒子3の被覆層4からの脱離は起こり難い。また微小樹脂粒子3からなる被覆層4は、非常に多くの部分でコア粒子2に融着するので、被覆層4のコア粒子2からの剥離が起こり難い。たとえば現像容器内での撹拌による被覆層4のコア粒子2からの剥離を防止することができ、トナー1の性質が長期使用によって変化することを防止できる。
非晶性樹脂は一般に抵抗が高いので、万一被覆層4がコア粒子2から剥離して非晶性樹脂がトナー1表面に露出しても、帯電性安定性への影響を小さく抑えることができる。
また微小樹脂粒子3は、その一部において、コア粒子2および隣合う微小樹脂粒子3の少なくともいずれか一方と融着し、微小樹脂粒子3全体が溶融している状態ではないので、被覆層4の表面に微小の突起部が形成される。これによって、クリーニングブレードにトナーが引っ掛かり易くなり、クリーニング性が向上する。
またトナー1は、被覆層含有樹脂の重量平均分子量(Mw)が50000以下で、かつ個数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が4.0以下である。
被覆層含有樹脂の分子量および分子量分布を限定し、成分を均一にすることにより、被覆層形成時の塑性変形性を均一にし、被膜性を向上させることができる。
微小樹脂粒子3が有する非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)および個数平均分子量(Mn)は、たとえばGPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)に、所定温度に設定したカラムを用い、試料溶液を注入して測定する。試料溶液としては、たとえば微小樹脂粒子3の原料の非晶性ポリエステル樹脂を乾燥して得た試料の0.25重量%(固形分濃度)テトラヒドロフラン溶液を一晩放置したものを用いる。分子量校正曲線は標準ポリスチレン(単分散ポリスチレン)を用いて作成する。
トナー1は、結着樹脂、着色剤およびその他のトナー添加成分を含む。その他のトナー添加成分としては、たとえば、離型剤、帯電制御剤などが挙げられる。以下本発明のトナー1の製造方法について説明する。トナー1は、たとえば、コア粒子2と微小樹脂粒子3との付着力を増大させる付着補助剤を用いて、コア粒子2に微小樹脂粒子3を付着させ融着させることによって製造される。
図2は、本発明の実施の一形態であるトナーの製造方法の手順を示す工程図である。本実施の形態におけるトナーの製造方法は、ステップs1のコア粒子作製工程と、ステップs2の微小樹脂粒子および付着補助剤調製工程と、ステップs3のコーティング工程とを含む。
〈コア粒子作製工程〉
ステップs1のコア粒子作製工程では、結着樹脂および着色剤を含むコア粒子を作製する。トナーに用いられるコア粒子は、結着樹脂および着色剤を含有し、さらに離型剤、帯電制御剤などを含有してもよい。
結着樹脂としては、非晶性ポリエステルが用いられる。非晶性ポリエステルは、通常、構成モノマーとして、2価のアルコール単量体および3価以上の多価アルコール単量体から選ばれる1種以上と、2価のカルボン酸単量体および3価以上の多価カルボン酸単量体から選ばれる1種以上とを用いて、縮重合によって得られるものが使用される。
2価のアルコール単量体としては、例えばポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのプロピレン付加物、ビスフェノールAのエチレン付加物、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上の多価アルコール単量体としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
本発明においては、これらの2価のアルコール単量体および3価以上の多価アルコール単量体から単独であるいは複数の単量体を用いることができる。
また、酸成分としては、2価のカルボン酸単量体として、例えばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、及びこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキルエステル等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸単量体としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸およびこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
本発明においては、これらの2価のカルボン酸単量体および3価以上の多価カルボン酸単量体から単独であるいは複数の単量体を用いることができる。
本発明における非晶性ポリエステルの製造方法は、特に限定されることなく、上記の単量体を用いてエステル化、エステル交換反応により製造することができる。ここで、非晶性とは明確な融点を有しないものであり、本発明において結晶性のポリエステルを用いると、融解に必要なエネルギー量が大きいため、トナー定着性が向上できず好ましくない。
着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。
黒色の着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライトおよびマグネタイトなどが挙げられる。
黄色の着色剤としては、たとえば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
橙色の着色剤としては、たとえば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
赤色の着色剤としては、たとえば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
紫色の着色剤としては、たとえば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色の着色剤としては、たとえば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。
緑色の着色剤としては、たとえば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
白色の着色剤としては、たとえば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。
着色剤は1種を単独で使用でき、または2種以上の異なる色のものを併用できる。また同色であっても、2種以上を併用できる。着色剤の使用量は特に制限されないけれども、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.2〜10重量部である。
離型剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど)およびその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)およびその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスおよびその誘導体、ライスワックスおよびその誘導体、キャンデリラワックスおよびその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸およびその誘導体、長鎖アルコールおよびその誘導体、シリコーン系重合体、高級脂肪酸などが挙げられる。なお、誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。ワックスの使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.2〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部、特に好ましくは1.0〜8.0重量部である。
帯電制御剤としてはこの分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用のものを使用できる。正電荷制御用の帯電制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。負電荷制御用の帯電制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。帯電制御剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。帯電制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できる。帯電制御剤は、コア粒子中に含有させてもよく、後述のコーティング工程において微小樹脂粒子からなる被覆層中に混ぜて使用してもよい。帯電制御剤を、コア粒子中に含有させる場合、帯電制御剤は、結着樹脂100重量部に対して0.5〜3重量部であることが好ましい。
コア粒子は、一般的なトナーの製造方法に従って製造できる。一般的なトナーの製造方法としては、たとえば、粉砕法などの乾式法、懸濁重合法、乳化凝集法、分散重合法、溶解懸濁法、溶融乳化法などの湿式法である。以下粉砕法によるコア粒子の作製方法を説明する。
粉砕法では、結着樹脂、着色剤およびその他のトナー添加成分を含むトナー組成物を、混合機で乾式混合した後、混練機によって溶融混練する。溶融混練によって得られる混練物を冷却固化し、固化物を粉砕機によって粉砕する。その後必要に応じて分級などの粒度調整を行い、コア粒子を得る。
混合機としては公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサー(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサー(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
混練機としても公知のものを使用でき、たとえば、二軸押出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機が挙げられる。
着色剤などの合成樹脂用添加剤は、合成樹脂用添加剤を混練物中に均一に分散させるために、マスターバッチ化して用いてもよい。また合成樹脂用添加剤の2種以上を複合粒子化して用いてもよい。複合粒子は、たとえば、合成樹脂用添加剤の2種以上に適量の水、低級アルコールなどを添加し、ハイスピードミルなどの一般的な造粒機で造粒し、乾燥させることによって製造できる。マスターバッチおよび複合粒子は、乾式混合の際に粉体混合物に混入される。
得られるコア粒子は、体積平均粒径が3μm以上10μm以下であることが好ましく、5μm以上8μm以下であることがさらに好ましい。コア粒子の体積平均粒径が3μm以上10μm以下であると、高精細な画像を長期にわたって安定して形成することができる。コア粒子の体積平均粒径が3μm未満であると、コア粒子の粒径が小さくなり過ぎ、高帯電化および低流動化が起こるおそれがある。この高帯電化および低流動化が発生すると、感光体にトナーを安定して供給することができなくなり、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生するおそれがある。コア粒子の平均粒径が10μmを超えると、コア粒子の粒径が大きいので、高精細な画像を得ることができない。またコア粒子の粒径が大きくなることによって比表面積が減少し、トナーの帯電量が小さくなる。トナーの帯電量が小さくなると、トナーが感光体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生するおそれがある。
〈微小樹脂粒子および付着補助剤調製工程〉
ステップs2の微小樹脂粒子および付着補助剤調製工程では、少なくとも樹脂を含む微小樹脂粒子を作製する。またコア粒子と微小樹脂粒子との付着力を増大させる付着補助剤を調製する。
微小樹脂粒子としては、非晶性ポリエステルが用いられる。非晶性ポリエステルは、通常、構成モノマーとして、2価のアルコール単量体および3価以上の多価アルコール単量体から選ばれる1種以上と、2価のカルボン酸単量体および3価以上の多価カルボン酸単量体から選ばれる1種以上とを用いて、縮重合によって得られるものが使用される。
2価のアルコール単量体としては、例えばポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのプロピレン付加物、ビスフェノールAのエチレン付加物、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上の多価アルコール単量体としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
本発明においては、これらの2価のアルコール単量体および3価以上の多価アルコール単量体から単独であるいは複数の単量体を用いることができる。
また、酸成分としては、2価のカルボン酸単量体として、例えばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、及びこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキルエステル等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸単量体としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸およびこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
本発明においては、これらの2価のカルボン酸単量体および3価以上の多価カルボン酸単量体から単独であるいは複数の単量体を用いることができる。
本発明における非晶性ポリエステルの製造方法は、特に限定されることなく、上記の単量体を用いてエステル化、エステル交換反応により製造することができる。ここで、非晶性とは明確な融点を有しないものであり、本発明において結晶性のポリエステルを用いると、融解に必要なエネルギー量が大きいため、トナー定着性が向上できず好ましくない。
このような微小樹脂粒子は、たとえば、微小樹脂粒子原料をホモジナイザーなどで乳化分散させて細粒化することによって得ることができる。またモノマーの重合によって得ることもできる。
融着前の微小樹脂粒子の体積平均粒径が、0.05μm以上1μm以下であることが好ましい。微小樹脂粒子の体積平均粒径が、0.05μm以上1μm以下であることによって、好適な大きさの突起部が被覆層表面に形成される。これによってクリーニング時にトナーがクリーニングブレードに引っ掛かり易くなり、クリーニング性が向上する。
融着前の微小樹脂粒子の体積平均粒径が0.05μm未満であると、形成される被覆層の厚さが薄くなるなど制御しにくくなり、トナー表面を均一に覆うことが難しくなり、流動性、耐ブロッキング性、帯電安定性などのトナー特性が悪化するおそれがある。また形成される突起部の高さが小さくなり、クリーニング性が悪化するおそれがある。また粒子の大きさが小さくなり過ぎて微小樹脂粒子の取扱性が低下する。またコーティング工程において微小樹脂粒子と付着補助剤とを含む微小樹脂粒子分散液を同一の噴霧ノズルから噴霧させる場合、微小樹脂粒子分散液中での微小樹脂粒子の分散性が低下するおそれがある。
融着前の微小樹脂粒子の体積平均粒径が1μmを超えると、形成される突起部の高さが大きくなり、これによってトナー中に占める被覆層の割合が大きくなる。トナー中に占める被覆層の割合が大きくなると、被覆層を形成する材料にもよるけれども、画像形成時における被覆層の影響が大きくなり過ぎ、所望の画像を形成することができないおそれがある。
ステップs2の微小樹脂粒子および付着補助剤調製工程では、コア粒子と微小樹脂粒子との付着力を増大させる付着補助剤を調製する。付着補助剤とは、微小樹脂粒子のコア粒子に対する濡れ性を向上させることができる液体である。付着補助剤は、コア粒子を溶解しない液体であることが好ましい。また付着補助剤は、微小樹脂粒子のコーティング後に除去される必要があるので、蒸発し易い液体であることが好ましい。
付着補助剤としては、たとえば、水および低級アルコールのうち少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。低級アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノールなどが挙げられる。
付着補助剤としてこれらを含む材料を用いることによって、微小樹脂粒子のコア粒子に対する濡れ性を高めることができ、コア粒子の表面全面または大部分に微小樹脂粒子を含む被覆層を形成することが一層容易となる。また付着補助剤を除去するための乾燥時間を一層短縮することができる。
また付着補助剤としては、上記例示のものに限定されることなく、たとえば、ブタノール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類などを用いてもよい。
〈コーティング工程〉
ステップs3のコーティング工程では、コア粒子と微小樹脂粒子との付着力を増大させる付着補助剤を用いて、コア粒子に微小樹脂粒子を付着させ融着させる。これによって、コア粒子に微小樹脂粒子をコーティングし、被覆層を形成する。
たとえば微小樹脂粒子のコア粒子に対する濡れ性を向上させることによってコア粒子と微小樹脂粒子との付着力を増大させる付着補助剤を用いることによって、コア粒子の表面全面または大部分に微小樹脂粒子を含む被覆層を形成することが容易となる。このような被覆層は、コア粒子と融着する微小樹脂粒子が存在することによってコア粒子から脱離し難くなる。したがって長期使用によって被覆層が脱離し、トナーの性質が変化することを防止できる。またコア粒子を覆った微小樹脂粒子の融着していない部分によって、被覆層表面に微小の突起部が形成されるので、クリーニングブレードにトナーが引っ掛かり易くなり、トナーのクリーニング性を向上させることができる。
コーティング工程は、たとえば表面改質装置を用いて行われる。第1の表面改質装置は、コア粒子および微小樹脂粒子を内部に収容する容器と、容器内部に付着補助剤を噴霧する噴霧手段とを備える装置である。また本実施の形態において、第1の表面改質装置は、容器内のコア粒子を撹拌する撹拌手段を備える。
コア粒子および微小樹脂粒子を内部に収容する容器としては、閉鎖系の容器を用いることができる。噴霧手段は、付着補助剤を貯留する付着補助剤貯留部と、キャリアガスを貯留するキャリアガス貯留部と、付着補助剤とキャリアガスとを混合し、得られる混合物を容器内に収容されるコア粒子に向けて噴射し、付着補助剤の液滴をコア粒子に噴霧する液体噴霧ユニットとを備える。キャリアガスとしては、圧縮エアなどを用いることができる。液体噴霧ユニットとしては、市販品を用いることができ、たとえば、付着補助剤をチューブポンプ(商品名:MP−1000A、東京理化器械株式会社製)を通して二流体ノズル(商品名:HM−6型、扶桑精機株式会社製)に定量送液するように接続したものを使用することができる。撹拌手段としては、衝撃力を主体とする機械的および熱的エネルギーをコア粒子に付与することができる撹拌ロータなどが用いられる。
撹拌手段を備える容器としては、市販品を用いることができ、たとえば、ヘンシェルミキサー(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサー(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。このような混合機の容器内に液体噴霧ユニットを取付けることによって、この混合機を本実施の形態の表面改質装置として用いることができる。
コア粒子への微小樹脂粒子のコーティングは、次のようにして行う。まずコア粒子と微小樹脂粒子とを容器に投入し、撹拌手段によってコア粒子および微小樹脂粒子が撹拌される状態で、容器内部に付着補助剤を噴霧する。コア粒子および微小樹脂粒子は、付着補助剤が噴霧され、かつ撹拌による熱的エネルギーが加えられることによって、その表面が膨潤軟化する。これに、撹拌手段による機械的衝撃力が付加されて、コア粒子表面に微小樹脂粒子が固着するとともに、微小樹脂粒子の一部が、コア粒子および隣合う微小樹脂粒子の少なくともいずれか一方と融着する。これによってコア粒子の表面の全面に微小樹脂粒子を付着させることができ、コア粒子の表面の全面に微小樹脂粒子を融着させることができる。
このような表面改質装置を用いると、コア粒子と微小樹脂粒子との使用割合が設定し易く、被覆層の厚みを好適にすることができる。表面改質装置は、容器内のコア粒子を撹拌する撹拌手段を備えるので、コア粒子に均一な量の微小樹脂粒子を付着させることができ、帯電性が均一であるトナーを得ることができる。
表面改質装置の容器内の温度は、コア粒子に含まれる結着樹脂のガラス転移点未満であることが好ましい。トナー製造時に容器内でコア粒子が溶融し過ぎることによって発生するコア粒子の凝集を防止することができる。容器内の温度がコア粒子に含まれる結着樹脂のガラス転移点以上であると、トナー製造時に容器内でコア粒子が溶融し過ぎ、コア粒子の凝集が発生するおそれがある。さらにコア粒子の凝集を防止するために、表面改質装置の容器内が必要に応じて冷却されることが好ましい。
さらに付着補助剤は、コア粒子が容器内において浮遊する状態で噴霧されることが好ましい。コア粒子が容器内で浮遊する状態で、微小樹脂粒子と付着補助剤との混合物が噴霧されると、付着補助剤が噴霧されたコア粒子同士が接触する時間を短縮することができ、トナー製造時におけるトナーの凝集が防止されるので、粗大粒子の発生が防止され、粒径の整ったトナーを得ることができる。コア粒子が容器内において浮遊する状態は、たとえば、撹拌手段による撹拌、エアの供給などによって実現できる。
微小樹脂粒子の使用割合は、特に限定されないけれども、コア粒子の表面全面を被覆することができる使用割合であることが必要である。微小樹脂粒子は、コア粒子100重量部に対して、1重量部以上30重量部以下の使用割合で用いられることが好ましい。このような割合で微小樹脂粒子が用いられると、コア粒子の表面全面に微小樹脂粒子を付着させることができ、コア粒子の表面全面に被覆層を形成することができる。これによって、コア粒子に含まれる低融点成分が浸出してトナーが凝集することを、一層確実に防止することができる。
微小樹脂粒子が1重量部未満であると、コア粒子の表面全面を被覆層で被覆することができないおそれがある。微小樹脂粒子が30重量部を超えると、被覆層の厚みが大きくなり過ぎ、微小樹脂粒子の構成材料によっては、トナーの定着性が低下するおそれがある。
また付着補助剤の使用量は、特に限定されないけれども、コア粒子の表面全面を濡らす程度の量であることが好ましい。付着補助剤の使用量は、コア粒子の使用量によって決定される。また付着補助剤は、噴霧手段による噴霧時間、噴霧回数などによってその量を調整することができる。したがってコア粒子の平均粒径、コア粒子と微小樹脂粒子との使用割合、コア粒子の材料および微小樹脂粒子の材料などに応じて噴霧手段による単位時間当りの噴霧量を設定し、たとえば容器内の微小樹脂粒子のうちほとんどがコア粒子に付着した時点で、噴霧手段による付着補助剤の噴霧を終了すればよい。
コア粒子への微小樹脂粒子のコーティングは、コア粒子を内部に収容する容器と、容器内部に微小樹脂粒子と付着補助剤との混合物を噴霧する噴霧手段とを備える第2の表面改質装置によって行われてもよい。このような第2の表面改質装置としては、付着補助剤貯留部に付着補助剤と微小樹脂粒子との混合物が貯留されること以外は、前述の第1の表面改質装置と同様のものを用いることができる。
このような第2の表面改質装置によるコア粒子への微小樹脂粒子のコーティングは、次のようにして行う。まずコア粒子を容器に投入し、撹拌手段によってコア粒子が撹拌される状態で、容器内部に付着補助剤と微小樹脂粒子との混合物を噴霧する。コア粒子は、付着補助剤が噴霧され、かつ撹拌による熱的エネルギーが加えられることによって、その表面が膨潤軟化する。また微小樹脂粒子は、付着補助剤とともに混合されており、容器内部に噴霧された後、撹拌されて熱的エネルギーが加えられ、コア粒子と同様にその表面が膨潤軟化した状態となる。これに、撹拌手段による機械的衝撃力が付加されて、コア粒子表面に微小樹脂粒子が固着するとともに、微小樹脂粒子の一部が、コア粒子および隣合う微小樹脂粒子の少なくともいずれか一方と融着する。これによってコア粒子の表面の全面に微小樹脂粒子を付着させることができ、コア粒子の表面の全面に微小樹脂粒子を融着させることができる。このような方法によれば、コア粒子に均一な量の微小樹脂粒子を融着させることが容易である。
付着補助剤と微小樹脂粒子との混合物を噴霧する場合、付着補助剤は、微小樹脂粒子1重量部に対して1重量部以上99重量部以下の割合で用いられることが好ましい。付着補助剤と微小樹脂粒子との混合物であるコーティング液は、ステップs2の微小樹脂粒子および付着補助剤調製工程において調製しておく。微小樹脂粒子と付着補助剤との混合物を同一の噴霧手段から噴霧する場合に、上記割合で微小樹脂粒子と付着補助剤とが混合される混合物が用いられることによって、微小樹脂粒子のコア粒子に対する濡れ性を充分に高めることができるとともに、付着補助剤を除去するための時間を短縮することができる。また混合物の粘度が好適であり、噴霧手段による混合物の噴霧が容易である。
付着補助剤が1重量部未満であると、混合物の粘度が高くなり過ぎ、噴霧ユニットのノズル孔が詰まるおそれがある。付着補助剤が99重量部を超えると、付着補助剤の含有率が高くなり過ぎ、付着補助剤を除去するための時間が長くなり過ぎる。
微小樹脂粒子と付着補助剤との混合物の使用量は、特に限定されないけれども、コア粒子の表面全面を被覆することができる量の微小樹脂粒子を含む量であることが必要である。コア粒子の表面全面を被覆することができる微小樹脂粒子の好ましい量は、前述と同様にコア粒子100重量部に対して、1重量部以上30重量部以下であるので、混合物の使用量は、混合物中における微小樹脂粒子の含有率に応じて決定される。
コア粒子の表面全面に対する微小樹脂粒子のコーティングが終了すると、付着補助剤の除去を行う。付着補助剤の除去は、たとえば乾燥機で付着補助剤を気化させることによって行われる。付着補助剤の除去には、たとえば、熱風受熱式乾燥機、伝導伝熱式乾燥機、凍結乾燥機などの通常用いられる乾燥機が用いられる。
以上のようにして、被覆層に含まれる微小樹脂粒子の一部が、コア粒子および隣合う微小樹脂粒子の少なくともいずれか一方と融着してなり、コア粒子の表面の全面に形成される被覆層を含む本発明のトナーが得られる。このようなトナーは、コア粒子と融着する微小樹脂粒子によって、被覆層とコア粒子との付着力が強固となるので、たとえば現像容器内での撹拌による被覆層のコア粒子からの脱離を防止することができ、トナーの性質が長期使用によって変化することを防止できる。また微小樹脂粒子は一部のみが融着される状態であるので、コア粒子を覆った微小樹脂粒子の融着していない部分によって、被覆層の表面に微小の突起部が形成される。これによって、クリーニングブレードにトナーが引っ掛かり易くなり、クリーニング性が向上する。また突起部が形成されることによってトナーの表面積が増大し、コア粒子に被覆層が形成されないトナーに比べて良好な摩擦帯電性が得られる。これによって、転写性および現像性が向上し、高画質な画像を形成することができる。
本発明のトナーの製造方法により得られるトナーには、外添剤が添加されてもよい。外添剤としては公知のものを使用でき、たとえば、シリカ、酸化チタンなどが挙げられる。またこれらは、シリコーン樹脂、シランカップリング剤などによって表面処理されていることが好ましい。外添剤の使用量は、トナー100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましい。
また本発明のトナーの製造方法により得られるトナーは、一成分現像剤としても二成分現像剤としても使用することができる。一成分現像剤として使用する場合、キャリアを用いることなくトナーのみで使用する。また一成分現像剤として使用する場合、ブレードおよびファーブラシを用い、現像スリーブで摩擦帯電させてスリーブ上にトナーを付着させることによってトナーを搬送し、画像形成を行う。二成分現像剤として使用する場合、本発明のトナーをキャリアとともに用いる。キャリアとしては、公知のものを使用でき、たとえば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆したものなどが挙げられる。被覆物質としては公知のものを使用でき、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられ、トナー成分に応じて選択するのが好ましい。また被覆物質は、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。キャリアの平均粒径は、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜50μmである。
二成分現像剤は、上記のような効果を奏するトナーの製造方法により得られるトナーとキャリアとを含むことにより、帯電性などの経時安定性に優れる。また高濃度で高画質の画像を形成することができる。
図3は、本発明のトナーの製造方法により得られるトナーを用いるのに適した画像形成装置10の構成の一例を模式的に示す図である。画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録媒体上にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。すなわち、画像形成装置においては、コピアモード(複写モード)、プリンタモードおよびFAXモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、情報記録記憶媒体、メモリ装置を用いた外部機器からの印刷ジョブの受信などに応じて、図示しない制御部により、印刷モードが選択される。画像形成装置10は、トナー像形成手段20と、転写手段30と、定着手段40と、記録媒体供給手段50と、排出手段60とを含む。トナー像形成手段20を構成する各部材および転写手段30に含まれる一部の部材は、カラー画像情報に含まれるブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)およびイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。ここでは、各色に応じて4つずつ設けられる各部材は、各色を表すアルファベットを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで表す。
トナー像形成手段20は、感光体ドラム21と、帯電手段22と、露光ユニット23と、現像手段24と、クリーニングユニット25とを含む。帯電手段22、現像手段24およびクリーニングユニット25は、感光体ドラム21まわりに、この順序で配置される。帯電手段22は、現像手段24およびクリーニングユニット25よりも鉛直方向下方に配置される。
感光体ドラム21は、図示しない駆動手段により、軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない、導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含む潜像担持体である。導電性基体は種々の形状を採ることができ、たとえば、円筒状、円柱状、薄膜シート状などが挙げられる。これらの中でも円筒状が好ましい。導電性基体は導電性材料によって形成される。導電性材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属、これらの2種以上の合金、合成樹脂フィルム、金属フィルム、紙などのフィルム状基体にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金、酸化インジウムなどの1種または2種以上からなる導電性層を形成してなる導電性フィルム、少なくとも導電性粒子または導電性ポリマーのいずれかを含有する樹脂組成物などが挙げられる。なお、導電性フィルムに用いられるフィルム状基体としては、合成樹脂フィルムが好ましく、ポリエステルフィルムが特に好ましい。また、導電性フィルムにおける導電性層の形成方法としては、蒸着、塗布などが好ましい。
感光層は、たとえば、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層することにより形成される。その際、導電性基体と電荷発生層または電荷輸送層との間には、下引き層を設けることが好ましい。下引き層を設けることによって、導電性基体の表面に存在する傷および凹凸を被覆して、感光層表面を平滑化する、繰り返し使用時における感光層の帯電性の劣化を防止する、少なくとも低温環境下または低湿環境下のいずれかにおける感光層の帯電特性を向上させるといった利点が得られる。また最上層に感光層表面を保護する保護層を設けた耐久性に優れる三層構造の積層感光層であっても良い。
電荷発生層は、光照射により電荷を発生する電荷発生物質を主成分とし、必要に応じて公知の結着樹脂、可塑剤、増感剤などを含有する。電荷発生物質としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、キナクリドン、アントラキノンなどの多環キノン系顔料、金属および無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、カルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料などが挙げられる。これらの中でも、無金属フタロシアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料、少なくともフローレン環またはフルオレノン環のいずれかを含有するビスアゾ顔料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などは高い電荷発生能を有し、高感度の感光層を得るのに適する。電荷発生物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷発生物質の含有量は特に制限はないけれども、電荷発生層中の結着樹脂100重量部に対して好ましくは5重量部〜500重量部、さらに好ましくは10重量部〜200重量部である。電荷発生層用の結着樹脂としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
電荷発生層は、電荷発生物質および結着樹脂ならびに必要に応じて可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷発生層塗液を調製し、この電荷発生層塗液を導電性基体表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは0.05μm〜5μm、さらに好ましくは0.1μm〜2.5μmである。
電荷発生層の上に積層される電荷輸送層は、電荷発生物質から発生する電荷を受け入れて輸送する能力を有する電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着樹脂を必須成分とし、必要に応じて公知の酸化防止剤、可塑剤、増感剤、潤滑剤などを含有する。電荷輸送物質としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質、フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどの電子受容性物質などが挙げられる。電荷輸送物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷輸送物質の含有量は特に制限されないけれども、好ましくは電荷輸送層中の結着樹脂100重量部に対して10重量部〜300重量部、さらに好ましくは30重量部〜150重量部である。電荷輸送層用の結着樹脂としては、この分野で常用されかつ電荷輸送物質を均一に分散できるものを使用でき、たとえば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリケトン、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、これらの共重合樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成膜性、得られる電荷輸送層の耐摩耗性、電気特性などを考慮すると、ビスフェノールZをモノマー成分として含有するポリカーボネート(以後「ビスフェノールZ型ポリカーボネート」と記す)、ビスフェノールZ型ポリカーボネートと他のポリカーボネートとの混合物などが好ましい。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
電荷輸送層には、電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着樹脂と共に、酸化防止剤が含まれることが好ましい。酸化防止剤としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。酸化防止剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。酸化防止剤の含有量は特に制限されないけれども、電荷輸送層を構成する成分の合計量の0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.05重量%〜5重量%である。電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂ならびに必要に応じて酸化防止剤、可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷輸送層用塗液を調製し、この電荷輸送層用塗液を電荷発生層表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは10μm〜50μm、さらに好ましくは15μm〜40μmである。なお、1つの層に、電荷発生物質と電荷輸送物質とが存在する感光層を形成することもできる。その場合、電荷発生物質および電荷輸送物質の種類、含有量、結着樹脂の種類、その他の添加剤などは、電荷発生層および電荷輸送層を別々に形成する場合と同様でよい。
本実施の形態では、前述のような、電荷発生物質および電荷輸送物質を用いる有機感光層を形成してなる感光体ドラムを用いるけれども、それに代えて、シリコンなどを用いる無機感光層を形成してなる感光体ドラムを使用できる。
帯電手段22は、感光体ドラム21を臨み、感光体ドラム21の長手方向に沿って感光体ドラム21表面から間隙を有して離隔するように配置され、感光体ドラム21表面を所定の極性および電位に帯電させる。帯電手段22には、帯電ブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器、鋸歯型帯電器、イオン発生装置などを使用できる。本実施の形態では、帯電手段22は感光体ドラム21表面から離隔するように設けられるけれども、それに限定されない。たとえば、帯電手段22として帯電ローラを用い、帯電ローラと感光体ドラム21とが圧接するように帯電ローラを配置しても良く、また帯電ブラシ、磁気ブラシなどの接触帯電方式の帯電器を用いても良い。
露光ユニット23は、露光ユニット23から出射される各色情報の光が、帯電手段22と現像手段24との間を通過して感光体ドラム21の表面に照射されるように配置される。露光ユニット23は、画像情報を該ユニット内でブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)の各色情報の光に分岐し、帯電手段22によって一様な電位に帯電された感光体ドラム21表面を各色情報の光で露光し、その表面に静電潜像を形成する。露光ユニット23には、たとえば、レーザ照射部および複数の反射ミラーを備えるレーザスキャニングユニットを使用できる。他にもLEDアレイ、液晶シャッタと光源とを適宜組み合わせたユニットを用いてもよい。
図4は、現像手段24の構成の一例を模式的に示す断面図である。現像手段24は、現像槽26とトナーホッパ27とを含む。現像槽26は感光体ドラム21表面を臨むように配置され、感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像し、可視像であるトナー像を形成する容器状部材である。現像槽26は、その内部空間にトナーを収容しかつ現像ローラ26a、供給ローラ26b、撹拌ローラ26cなどのローラ部材またはスクリュー部材を収容して回転自在に支持する。現像槽26の感光体ドラム21を臨む側面には開口部が形成され、この開口部を介して感光体ドラム21に対向する位置に現像ローラ26aが回転駆動可能に設けられる。現像ローラ26aは、感光体ドラム21との圧接部または最近接部において感光体ドラム21表面の静電潜像にトナーを供給するローラ状部材である。トナーの供給に際しては、現像ローラ26a表面にトナーの帯電電位とは逆極性の電位が現像バイアス電圧(以下単に「現像バイアス」とする)として印加される。これによって、現像ローラ26a表面のトナーが静電潜像に円滑に供給される。さらに、現像バイアス値を変更することによって、静電潜像に供給されるトナー量(トナー付着量)を制御できる。供給ローラ26bは現像ローラ26aを臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、現像ローラ26a周辺にトナーを供給する。攪拌ローラ26cは供給ローラ26bを臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、トナーホッパ27から現像槽26内に新たに供給されるトナーを供給ローラ26b周辺に送給する。トナーホッパ27は、その鉛直方向下部に設けられるトナー補給口(図示せず)と、現像槽26の鉛直方向上部に設けられるトナー受入口(図示せず)とが連通するように設けられ、現像槽26のトナー消費状況に応じてトナーを補給する。またトナーホッパ27を用いず、各色トナーカートリッジから直接トナーを補給するよう構成しても構わない。
クリーニングユニット25は、記録媒体にトナー像を転写した後に、感光体ドラム21の表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム21の表面を清浄化する。クリーニングユニット25には、たとえば、クリーニングブレードなどの板状部材が用いられる。なお、本発明の画像形成装置においては、感光体ドラム21として、主に有機感光体ドラムが用いられ、有機感光体ドラムの表面は樹脂成分を主体とするものであるため、帯電手段22によるコロナ放電によって発生するオゾンの化学的作用によって表面の劣化が進行しやすい。ところが、劣化した表面部分はクリーニングユニット25よる擦過作用を受けて摩耗し、徐々にではあるが確実に除去される。したがって、オゾンなどによる表面の劣化の問題が実際上解消され、長期間にわたって、帯電動作による帯電電位を安定に維持することができる。本実施の形態ではクリーニングユニット25を設けるけれども、それに限定されず、クリーニングユニット25を設けなくてもよい。
トナー像形成手段20によれば、帯電手段22によって均一な帯電状態にある感光体ドラム21の表面に、露光ユニット23から画像情報に応じた信号光を照射して静電潜像を形成し、これに現像手段24からトナーを供給してトナー像を形成し、このトナー像を中間転写ベルト28に転写した後に、感光体ドラム21表面に残留するトナーをクリーニングユニット25で除去する。この一連のトナー像形成動作が繰り返し実行される。
転写手段30は、感光体ドラム21の上方に配置され、中間転写ベルト28と、駆動ローラ29と、従動ローラ31と、中間転写ローラ32b,32c,32m,32yと、転写ベルトクリーニングユニット33、転写ローラ34とを含む。中間転写ベルト28は、駆動ローラ29と従動ローラ31とによって張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材であり、矢符Bの方向、すなわち感光体ドラム21と接する面が感光体ドラム21yから21bに向う方向に移動するように回転駆動する。
中間転写ベルト28が、感光体ドラム21に接しながら感光体ドラム21を通過する際、中間転写ベルト28を介して感光体ドラム21に対向配置される中間転写ローラ32から、感光体ドラム21表面のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加され、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト28上へ転写される。フルカラー画像の場合、各感光体ドラム21y,21m,21c,21bで形成される各色のトナー画像が、中間転写ベルト28上に順次重ねて転写されることによって、フルカラートナー像が形成される。駆動ローラ29は図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられ、その回転駆動によって、中間転写ベルト28を矢符B方向へ回転駆動させる。従動ローラ31は駆動ローラ29の回転駆動に従動回転可能に設けられ、中間転写ベルト28が弛まないように一定の張力を中間転写ベルト28に付与する。中間転写ローラ32は、中間転写ベルト28を介して感光体ドラム21に圧接し、かつ図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられる。中間転写ローラ32は、前述のように転写バイアスを印加する図示しない電源が接続され、感光体ドラム21表面のトナー像を中間転写ベルト28に転写する機能を有する。転写ベルトクリーニングユニット33は、中間転写ベルト28を介して従動ローラ31に対向し、中間転写ベルト28の外周面に接触するように設けられる。感光体ドラム21との接触によって中間転写ベルト28に付着し、記録媒体に転写されずに残留するトナーは、記録媒体の裏面を汚染する原因となるので、転写ベルトクリーニングユニット33が中間転写ベルト28表面の残留トナーを除去し回収する。転写ローラ34は、中間転写ベルト28を介して駆動ローラ29に圧接し、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられる。転写ローラ34と駆動ローラ29との圧接部(転写ニップ部)において、中間転写ベルト28に担持されて搬送されて来るトナー像が、後述する記録媒体供給手段50から送給される記録媒体に転写される。トナー像を担持する記録媒体は、定着手段40に送給される。転写手段30によれば、感光体ドラム21と中間転写ローラ28との圧接部において感光体ドラム21から中間転写ベルト28に転写されるトナー像が、中間転写ベルト28の矢符B方向への回転駆動によって転写ニップ部に搬送され、そこで記録媒体に転写される。
定着手段40は、転写手段30よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、定着ローラ35と加圧ローラ36とを含む。定着ローラ35は図示しない駆動手段によって回転駆動可能に設けられ、記録媒体に担持される未定着トナー像を構成するトナーを加熱して溶融させ、記録媒体に定着させる。定着ローラ35の内部には図示しない加熱手段が設けられる。加熱手段は、定着ローラ35表面が所定の温度(加熱温度)になるように定着ローラ35を加熱する。加熱手段には、たとえば、ヒータ、ハロゲンランプなどを使用できる。加熱手段は、後記する定着条件制御手段によって制御される。定着ローラ35表面近傍には温度検知センサが設けられ、定着ローラ35の表面温度を検知する。温度検知センサによる検知結果は、後記する制御手段の記憶部に書き込まれる。定着条件制御手段は、記憶部に書き込まれた検知結果に基づいて、加熱手段の動作を制御する。加圧ローラ36は定着ローラ35に圧接するように設けられ、定着ローラ35の回転駆動に従動回転可能に支持される。加圧ローラ36は、定着ローラ35によってトナーが溶融して記録媒体に定着する際に、トナーと記録媒体とを押圧することによって、トナー像の記録媒体への定着を補助する。定着ローラ35と加圧ローラ36との圧接部が定着ニップ部である。定着手段40によれば、転写手段30においてトナー像が転写された記録媒体が、定着ローラ35と加圧ローラ36とによって挟持され、定着ニップ部を通過する際に、トナー像が加熱下に記録媒体に押圧されることによって、トナー像が記録媒体に定着され、画像が形成される。
記録媒体供給手段50は、自動給紙トレイ37と、ピックアップローラ38と、搬送ローラ39a,39bと、レジストローラ41と、手差給紙トレイ42とを含む。自動給紙トレイ37は画像形成装置10の鉛直方向下部に設けられ、記録媒体を貯留する容器状部材である。記録媒体には、普通紙、カラーコピー用紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート、葉書などがある。ピックアップローラ38は、自動給紙トレイ37に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路S1に送給する。搬送ローラ39aは互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、記録媒体をレジストローラ41に向けて搬送する。レジストローラ41は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、搬送ローラ39aから送給される記録媒体を、中間転写ベルト28に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。手差給紙トレイ42は、手動動作によって記録媒体を画像形成装置内に取り込む装置であり、手差給紙トレイ42から取り込まれる記録媒体は、搬送ローラ39bによって用紙搬送路S2内を通過し、レジストローラ41に送給される。記録媒体供給手段50によれば、自動給紙トレイ37または手差給紙トレイ42から1枚ずつ供給される記録媒体を、中間転写ベルト28に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。
排出手段60は、搬送ローラ39cと、排出ローラ43と、排出トレイ44とを含む。搬送ローラ39cは、用紙搬送方向において定着ニップ部よりも下流側に設けられ、定着手段40によって画像が定着された記録媒体を排出ローラ43に向けて搬送する。排出ローラ43は、画像が定着された記録媒体を、画像形成装置10の鉛直方向上面に設けられる排出トレイ44に排出する。排出トレイ44は、画像が定着された記録媒体を貯留する。
画像形成装置10は、図示しない制御手段を含む。制御手段は、たとえば、画像形成装置10の内部空間における上部に設けられ、記憶部と演算部と制御部とを含む。制御手段の記憶部には、画像形成装置10の上面に配置される図示しない操作パネルを介する各種設定値、画像形成装置10内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、外部機器からの画像情報などが入力される。また、各種手段を実行するプログラムが書き込まれる。各種手段とは、たとえば、記録媒体判定手段、付着量制御手段、定着条件制御手段などである。記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置に電気的に接続可能な電気・電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビジョン受像機、ビデオレコーダ、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダ、HDDVD(High-Definition Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスクレコーダ、ファクシミリ装置、携帯端末装置などが挙げられる。演算部は、記憶部に書き込まれる各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)および各種手段のプログラムを取り出し、各種判定を行う。制御部は、演算部の判定結果に応じて該当装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。制御部および演算部は中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路を含む。制御手段は、前述の処理回路とともに主電源を含み、電源は制御手段だけでなく、画像形成装置10内部における各装置にも電力を供給する。
本発明のトナーの製造方法により得られるトナーを用いて画像形成することにより、帯電性などの経時安定性不良やクリーニング不良による画質低下を起すことなく、高精細で高解像度の高画質画像を形成することができる。
(実施例)
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。以下において、「部」および「%」は特に断らない限りそれぞれ「重量部」および「重量%」を意味する。実施例および比較例における微小樹脂粒子の体積平均粒径、微小樹脂粒子が有する非晶性ポリエステル樹脂の重量平均粒径および個数平均粒径ならびにトナーの体積平均粒径は、以下のようにして測定した。また実施例および比較例で用いた結着樹脂のガラス転移点(Tg)および軟化点(Tm)、ならびに離型剤の融点を、以下のようにして測定した。
〔微小樹脂粒子の体積平均粒径〕
微小樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(商品名:LA−920、株式会社堀場製作所製)を用いて体積基準で50%頻度粒子径(メジアン径)として測定した。
〔微小樹脂粒子の重量平均分子量Mwおよび個数平均分子量Mn〕
GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)に、温度40℃に設定したカラムを用い、試料溶液の注入量を100mLとして測定した。試料溶液としては、微小樹脂粒子の原料の樹脂を乾燥して得た試料の0.25%(固形分濃度)テトラヒドロフラン溶液を一晩放置したものを用いた。分子量校正曲線は標準ポリスチレン(単分散ポリスチレン)を用いて作成した。
〔トナーの体積平均粒径〕
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター株式会社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:UH−50、株式会社エスエムテー製)によって超音波周波数20kHzで3分間分散処理して測定用試料を調製した。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター株式会社製)を用い、アパーチャ径100μm、測定粒子数50000カウントの条件下に測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒径を求めた。またトナーの変動係数を、体積平均粒径およびその標準偏差に基づいて、下記式(1)より算出した。
変動係数=標準偏差/体積平均粒径 …(1)
〔結着樹脂のガラス転移点(Tg)〕
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移点(Tg)として求めた。
〔結着樹脂の軟化点(Tm)〕
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)において、荷重10kgf/cm2(9.8×105Pa)を与えて試料1gがダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から押出されるように設定し、昇温速度毎分6℃で加熱し、ダイから試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化点とした。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で200℃まで昇温させ、次いで200℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を測定した。2回目の操作で測定されるDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの頂点の温度を離型剤の融点として求めた。
(実施例)
〈コア粒子作製工程〉
〔コア粒子の作製〕
ポリエステル樹脂(商品名:タフトン、花王株式会社製、ガラス転移温度60℃、軟化温度138℃)を85部、着色剤として銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3)を5部、離型剤(カルナウバワックス、東亜化成株式会社製、融点82℃)8部、帯電制御剤(商品名:ボントロンE84、オリエント化学工業株式会社製)2部をヘンシェルミキサーにて3分間混合分散し、原料を得た。得られた原料を、二軸押出機(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)を用いて溶融混練分散し、樹脂混練物を調製した。二軸押出機の運転条件は、シリンダ設定温度110℃、バレル回転数毎分300回転(300rpm)、原料供給速度20kg/時間とした。得られたトナー混練物を冷却ベルトにて冷却後、φ2mmのスクリーンを有するスピードミルにて粗粉砕した。
得られた粗砕物をジェット式粉砕機(商品名:IDS−2、日本ニューマチック工業株式会社製)にて粉砕し、さらにエルボージェット分級機(商品名、日鉄鉱業株式会社製)にて微粉、粗粉を取除き、コア粒子(体積平均粒径6.9μm、変動係数22)を得た。
〈微小樹脂粒子および付着補助剤調製工程〉
〔ポリエステル樹脂Aの作製〕
ポリオキシプロピレン(2,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、エチレングリコール、テレフタル酸、イソフタル酸、無水トリメリット酸を反応させて、ポリエステル樹脂A(ガラス転移温度62℃、軟化温度120℃、Mw15000、Mn4700、Mw/Mn=3.2)を得た。
〔ポリエステル樹脂Bの作製〕
テレフタル酸、イソフタル酸、ネオペンチルグリコール、エチレングリコールを反応させて、ポリエステル樹脂B(ガラス転移温度61℃、軟化温度126℃、Mw13000、Mn4100、Mw/Mn=3.2)を得た。
〔微小樹脂粒子Cの作製〕〕
ポリエステル樹脂Aをメチルエチルケトンに溶解し、この溶液を、アニオン性界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)水溶液と混合して機械式分散機(商品名:クレアミックス(CLEARMIX)、エム・テクニック株式会社製)で乳化した。得た乳化物からメチルエチルケトンを減圧溜去して、さらに凍結乾燥して微小樹脂粒子C(体積平均粒径0.2μm)を得た。
〔微小樹脂粒子Dの作製〕
ポリエステル樹脂Aをメチルエチルケトンに溶解し、この溶液を、ノニオン性界面活性剤(ポリビニルアルコール)水溶液と混合して機械式分散機(商品名:クレアミックス(CLEARMIX)、エム・テクニック株式会社製)で乳化した。得た乳化物からメチルエチルケトンを減圧溜去して、さらに凍結乾燥して微小樹脂粒子D(体積平均粒径0.4μm)を得た。
〔微小樹脂粒子Eの作製〕〕
ポリエステル樹脂Bをメチルエチルケトンに溶解し、この溶液を、アニオン性界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)水溶液と混合して機械式分散機(商品名:クレアミックス(CLEARMIX)、エム・テクニック株式会社製)で乳化した。得た乳化物からメチルエチルケトンを減圧溜去して、さらに凍結乾燥して微小樹脂粒子E(体積平均粒径0.2μm)を得た。
〔微小樹脂粒子Fの作製〕
ポリエステル樹脂Bをメチルエチルケトンに溶解し、この溶液を、ノニオン性界面活性剤(ポリビニルアルコール)水溶液と混合して機械式分散機(商品名:クレアミックス(CLEARMIX)、エム・テクニック株式会社製)で乳化した。得た乳化物からメチルエチルケトンを減圧溜去して、さらに凍結乾燥して微小樹脂粒子F(体積平均粒径0.4μm)を得た。
〔付着補助剤〕
付着補助剤としてはエタノール(特級、キシダ化学株式会社製)を用意した。
〈コーティング工程〉
(実施例1)
容器内に液体を噴霧できる二流体ノズルを取付けた表面改質装置(商品名:ハイブリダイザーNHS−1型、株式会社奈良機械製作所製)に、コア粒子100部と微小樹脂粒子C10部とを投入し、回転数8000rpmで10分間滞留させた後、二流体ノズルに圧縮エアを送り、付着補助剤としてエタノールを0.5g/分で噴霧するように調整し、45℃で40分間噴霧して、コア粒子の表面全面に微小樹脂粒子Cのコーティングを行った。
コア粒子の表面全面に微小樹脂粒子Cがコーティングされることによって被覆層が形成されたコア粒子を乾燥させ、実施例1のトナーを得た。実施例1のトナーは、体積平均粒径が7.2μmであり、変動係数が25であった。
(実施例2)
微小樹脂粒子Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のトナーを得た。実施例2のトナーは、体積平均粒径が7.2μmであり、変動係数が26であった。
(実施例3)
微小樹脂粒子Eを用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3のトナーを得た。実施例3のトナーは、体積平均粒径が7.1μmであり、変動係数が25であった。
(実施例4)
微小樹脂粒子Fを用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4のトナーを得た。実施例4のトナーは、体積平均粒径が7.3μmであり、変動係数が27であった。
(比較例1)
微小樹脂粒子として、ポリメタクリル酸メチル(商品名:MP1000、体積平均粒径0.4μm、ガラス転移温度128℃、綜研化学株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1のトナーを得た。比較例1のトナーは、体積平均粒径が7.3μmであり、変動係数が35であった。
(比較例2)
微小樹脂粒子として、ポリメタクリル酸メチル(商品名:MP1451、体積平均粒径0.15μm、ガラス転移温度128℃、綜研化学株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2のトナーを得た。比較例2のトナーは、体積平均粒径が7.2μmであり、変動係数が37であった。
以上のようにして作製される実施例および比較例のトナーの物性値などについて、表1に示す。なお、比較例1,2については、微小樹脂粒子の重量平均分子量Mwおよび個数平均分子量Mnの測定を行わなかった。
実施例および比較例のトナーの保存性、耐久性、帯電性、画像濃度およびクリーニング性を、以下のようにして評価した。
[保存性評価]
トナー100gをポリ容器に密閉し、50℃で48時間放置した後、トナーを取出して#100メッシュのふるいに掛けた。ふるい上に残存するトナーの重量を測定し、この重量のトナー全重量に対する割合である残存量を求め、下記の基準で評価した。数値が低いほど、トナーがブロッキングを起こさず、保存性が良好であることを示す。
○:良好。残存量が10%未満。
×:不良。残存量が10%以上。
[現像剤の耐久性]
トナーを市販の二成分現像装置を有する複写機(商品名:MX-2300G、シャープ株式会社製)の現像ユニットにセットし、感光体上に現像されないように調整した状態で20℃の恒温中で現像器のみ5時間連続駆動して凝集物の発生有無確認を行った。
○:良好。凝集物発生なし
×:不良。凝集物発生あり
[現像剤の帯電量]
トナーを市販の二成分現像装置を有する複写機(商品名:MX-2300G、シャープ株式会社製)の現像ユニットにセットし、感光体上に現像されないように調整した状態で20℃の恒温中で現像器のみ3分間連続駆動した後、現像剤を採取し、吸引式帯電量測定装置(商品名:210H−2A Q/M Meter、TREK社製)で帯電量を測定して初期の帯電量とした。その後5時間連続駆動して、5時間後の帯電量測定を行った。
○:良好。初期帯電量と5時間後の帯電量の変化率の絶対値が20%未満
×:不良。初期帯電量と5時間後の帯電量の変化率の絶対値が20%以上
[評価用画像の形成]
得られた二成分現像剤を、市販の複写機(商品名:MX-2300G、シャープ株式会社製)から定着装置を取除いて得た試験用複写機の現像装置に投入し、日本工業規格(JIS)P0138に規定されるA4判の記録用紙上に、トナー付着量が0.45mg/cm2になるように調整して、縦20mm、横50mmの長方形状のべた画像部を未定着の状態で形成した。外部定着機を用い、記録用紙の通紙速度を毎秒120mm(120mm/秒)として、形成された未定着トナー画像の定着を行い、評価用画像を形成した。外部定着機には、市販のフルカラー複写機(商品名:LIBRE AR−C260、シャープ株式会社製)から取出したオイルレス方式の定着装置を、加熱ローラの表面温度を任意の値に設定できるように改造したものを用いた。評価時の加熱ローラ表面温度は170℃に設定した。オイルレス方式の定着装置とは、加熱ローラにシリコンオイルなどの離型剤を塗布することなく定着を行う定着装置のことである。
[画像濃度]
加熱ローラの表面温度が170℃のときに形成された画像について、反射濃度計(商品名:RD918、マクベス社製)を用いて、べた画像部の光学反射濃度を測定し、これを画像濃度とした。画像濃度の評価を、以下のような基準で行った。
○:良好。画像濃度が1.40以上。
×:不良。画像濃度が1.40未満。
[クリーニング性]
印字率が5%のチャートを1000枚連続印字した後、感光体表面にフィルミングが発生しているか否かを目視によって確認した。クリーニング性の評価を、以下のような基準で行った。
○:良好。フィルミングが発生していない。
×:不良。フィルミングが発生している。
[総合評価]
以上の保存性、耐久性、帯電性、画像濃度およびクリーニング性の評価結果を合わせて、以下のような基準で総合評価を行った。
○:良好。評価結果に×がない。
×:不良。評価結果に×がある。
実施例および比較例の評価結果を表2に示す。
実施例1〜4のトナーは、全ての評価項目において良好であった。
実施例1、3のトナー(微小樹脂粒子の体積平均粒径が0.2μm)は、実施例2、4のトナー(微小樹脂粒子の体積平均粒径が0.4μm)と比較して、保存性評価での残存率が低い値であった。好適な大きさの突起部がトナー表面に形成されており、トナー同士の融着が起こりにくくなっているためであると考えられる。
比較例1および2のトナーは、微小樹脂粒子が、ポリエステルではなくポリメタクリル酸メチルであり、コア粒子を形成するポリエステルとの相溶性が悪く、保存性を除く評価項目において不良であった。