JP4511078B2 - 摩擦撹拌接合法及び摩擦撹拌接合装置 - Google Patents

摩擦撹拌接合法及び摩擦撹拌接合装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、摩擦撹拌接合法及び摩擦撹拌接合装置に関し、詳述すれば、アルミニウムやその合金等の金属材からなる接合部材に対して接合を行う摩擦撹拌接合法及び摩擦撹拌接合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
摩擦撹拌接合法は、固相接合法の範疇に入り、接合部材である金属材の種類に制限を受けない、MIG溶接等の溶融接合に比べて接合時の熱歪みによる変形が少ない等といった優れた利点を有しており、近年、様々な構造物を組立製作するための接合手段として用いられてきている。
【0003】
従来の摩擦撹拌接合法を図4を参照して説明する。同図において、(51)は接合部材である。同図では、この接合部材(51)は、突合せ状に配置された2個の帯状の金属製板からなるものであって、両板の突合せ部(53)を接合予定部とするものである。同図では、接合部材(51)は突合せ部(53)を通る縦断面で示されている。
【0004】
(60)は摩擦撹拌接合用の接合工具である。この接合工具(60)は、径大の円柱状回転子(61)と、該回転子(61)の端面(62)の回転中心部に回転軸線(P')上に突出して一体に設けられた径小のピン状プローブ(63)とを備えている。
【0005】
(70)は円柱状の裏当てローラである。この裏当てローラ(70)は、接合部材(51)の裏面側において、その外周面(71)が接合部材(51)の突合せ部(53)裏面に当接された状態で配置されている。同図において、(71a)は裏当てローラ(70)の外周面(71)の突合せ部(53)裏面との当接部を示している。(N')はこの当接部(71a)における法線を示している。
【0006】
そして、接合工具(60)の回転しているプローブ(63)が突合せ部(53)中に表面側から埋入されるとともに、回転している回転子(61)の端面(62)が接合部材(51)の表面に押し付けられ、この状態で接合部材(60)の位置が固定されて配置されている。
【0007】
この摩擦撹拌接合法では、接合部材(51)は、その突合せ部(53)がプローブ(63)を順次通過するように移動される。(MD')は接合部材(51)の移動方向を示している。この接合部材(51)の移動に伴い、突合せ部(53)がプローブ埋入位置にて該プローブ(63)により順次接合されていく。したがって、同図では、接合部材(51)の移動方向(MD')とは反対方向が接合方向(WD')となる。(53')は接合部材(51)の接合された突合せ部を示している。
【0008】
更に、一般的に接合工具(60)は、バリ等の発生を防止する目的で、回転子(61)の回転軸線(P')が接合方向(WD')後方側に僅かに傾斜された状態で、配置される。また、裏当てローラ(70)の外周面(71)の突合せ部裏面との当接部(71a)の法線(N')上には、プローブ(63)の先端部の接合方向最後部が位置されており、この状態で、上述した摩擦撹拌接合が行われる。同図において、(T')は接合部材(51)の表面のプローブ埋入位置における法線を示している。一方、(θ')はこの法線(T')に対する回転子(61)の回転軸線(P')の接合方向(WD')後方側への傾斜角である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
而して、上記従来の摩擦撹拌接合法には次のような難点があった。すなわち、上記従来の摩擦撹拌接合法によれば、摩擦熱にて軟化した接合部材(51)の肉は、接合時に回転子(61)の端面(62)からの押付け圧を受けることによって、接合部材(51)の裏面側に膨出してしまい(Fは膨出部)、このため、接合された突合せ部(53')の裏面が膨出状態に形成されるという難点があった。
【0010】
さらに、上記従来の摩擦撹拌接合法では、接合中にプローブ(63)の先端部が裏当てローラ(70)の外周面(71)に接触して破損する恐れがある。このような不具合を防止するために、通常、プローブ(63)は、同図に示すようにその先端部と裏当てローラ(70)の外周面(71)との間に少し距離をおいた状態で埋入されるが、このような埋入状態で接合を行うと、接合部材(51)の突合せ部(53)の裏面側の表層部に未接合部が発生する恐れがあった。
【0011】
この発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、接合部材の接合終了部の裏面が膨出状に形成される不具合の発止を防止又は抑制することができ、且つ未接合部の発生を防止又は抑制することのできる摩擦撹拌接合法及びこの摩擦撹拌接合を作業能率良く行うことのできる摩擦撹拌接合装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明に係る摩擦撹拌接合法は、径大の回転子と、該回転子の端面に突出して設けられた径小のプローブとを備えた接合工具を用い、回転しているプローブを接合部材の接合予定部中に表面側から埋入するとともに、回転している回転子の端面を接合部材の表面に押し付け、且つ接合部材の裏面側に配置された裏当てローラの外周面を接合部材の接合予定部裏面に当接させた状態で、接合予定部がプローブを順次通過するように接合部材をプローブに対して相対的に移動させることにより、接合部材の接合予定部を接合する摩擦撹拌接合法であって、裏当てローラの外周面の接合予定部裏面との当接部の法線上に、回転している回転子の端面の接合方向最後部を位置させた状態で、接合を行うことを特徴としている。
【0013】
この発明に係る摩擦撹拌接合法においては、裏当てローラの外周面の接合予定部裏面との当接部の法線上に、接合工具の回転子の端面の接合方向最後部を位置させた状態で、接合を行うことにより、回転子の端面を接合部材の表面に押し付けた場合であっても、摩擦熱にて軟化した接合部材の肉が裏当てローラの外周面でしっかりと受けられるようになり、この結果、接合部材の肉が裏面側に膨出し難くなる。しかも、接合部材の肉を回転子の端面で強く加圧し得るようになって、接合状態の良好な接合部を形成できるようになる。また、プローブの接合予定部中への埋入深さを従来よりも深く設定できるようになり、この結果、未接合部の発生が防止又は抑制されるようになる。
【0014】
上記摩擦撹拌接合法において、裏当てローラの外周面の接合予定部裏面との当接部の法線の位置に対する、回転子の端面の接合方向最後部の位置の、接合方向に沿うずれ量を、回転子の直径で割った値をεとするとともに、ずれ量の正負符号を、前記法線の位置に対して回転子の端面の接合方向最後部の位置が接合方向前方側にずれている場合を正、接合方向後方側にずれている場合を負とすると、εが−0.30〜+0.30の範囲内になるように、回転子の端面の接合方向最後部が位置されていることが、望ましい。
【0015】
この場合には、摩擦熱にて軟化した接合部材の肉の裏面側への膨出が確実に防止又は抑制されるようになる。
【0016】
ここで、本発明者らは次のような知見に基づきこの発明を完成させた。すなわち、接合部材の肉の膨出を防止又抑制するためには、ずれ量はできる限り小さい方が良いことが本発明者らの研究により判明した。しかしながら、ずれ量が小さくても回転子の直径が極めて小さい場合には、接合部材の肉の膨出を防止又は抑制することができないことがあった。一方、ずれ量が比較的大きくても回転子の直径が極めて大きい場合には、接合部材の肉の膨出を防止又は抑制できることがあった。このような知見に基づき本発明者らは更に研究を重ねた結果、ずれ量を回転子の直径で割った値であるεを用い、このεが所定の範囲内になるように回転子の端面の接合方向最後部を位置させれば、接合部材の肉の膨出を確実に防止又は抑制できるようになることが判明し、この発明を完成させた。
【0017】
この発明に係る摩擦撹拌接合装置は、端面が接合部材の表面に押し付けられる径大の回転子、及び該回転子の端面に突出して設けられるとともに接合部材の接合予定部中に表面側から埋入される径小のプローブを備えた接合工具と、接合部材の裏面側に配置されるとともに外周面が接合部材の接合予定部裏面に当接される裏当てローラと、裏当てローラの外周面の接合予定部裏面との当接部の法線上又はその近傍に、接合工具の回転子の端面の接合方向最後部を位置させるための位置調節装置と、を具備していることを特徴としている。
【0018】
この発明に係る摩擦撹拌接合装置においては、位置調節装置を具備することにより、上記摩擦撹拌接合が作業能率良く行われるようになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1において、(1)は接合部材である。この接合部材(1)は、突合せ状に配置された2個の長尺な帯状のアルミニウム又はその合金製の板(2)(2)からなる。この両板(2)(2)において、一方の板(2)の肉厚と他方の板(2)の肉厚は、互いに同寸に設定されている。そして、一方の板(2)の幅方向の一端部と他方の板(2)の幅方向の一端部とが突き合わされている(突合せ部3)。この突合せ状態において、一方の板(2)の表面と他方の板(2)の表面とは面一に連なっており、且つ一方の板(2)の裏面と他方の板(2)の裏面とについても同じく面一に連なっている。そして、この突合せ状態で両板(2)(2)が後述する前後の支持ローラ(31)(32)によって裏面側から略水平に支持されている。
【0021】
図1において、(A)は摩擦撹拌接合装置である。この接合装置(A)は、接合部材(1)を裏面側から支持する前後の円柱状支持ローラ(31)(32)と、摩擦撹拌接合用の接合工具(10)と、円柱状の裏当てローラ(20)と、位置調節装置(40)と、円柱状の前押さえローラ(33)と、円柱状の後押さえローラ(34)とを具備している。
【0022】
前支持ローラ(31)及び後支持ローラ(32)は、接合部材(1)の裏面側において、互いに離間して且つ平行状に配置されている。この前後の支持ローラ(31)(32)は、接合部材(1)に移動方向(MD)の駆動力を付与する駆動装置としても機能するものとなされている。すなわち、この前後の支持ローラ(31)(32)は、図示しない回転駆動装置を備えており、この駆動装置を作動させることによって、接合部材(1)を長さ方向に移動させる駆動ローラとしても機能するものとなされている。(MD)は接合部材(1)の移動方向を示している。この実施形態では、接合部材(1)の移動方向(MD)とは反対方向が接合方向(WD)となる。
【0023】
裏当てローラ(20)は、摩擦熱にて軟化した接合部材(1)の肉を裏面側から受けるためのものであって、接合部材(1)の裏面側における前後の支持ローラ(31)(32)の間の位置に、その外周面(21)を接合部材(1)の突合せ部(3)裏面に当接させた状態で配置されるものである。更に、この裏当てローラ(20)は、図示しない回転駆動装置を備えており、この駆動装置を作動させることによって、該裏当てローラ(20)がその軸線(20a)を中心に回転駆動し、これにより、上述した前後の支持ローラ(31)(32)と同じく接合部材(1)を長さ方向に移動させるための駆動ローラとしても機能するものとなされている。この裏当てローラ(20)の直径は、後述する接合工具(10)の回転子(11)の端面(12)における直径(φ)よりも大寸に設定されている。なお、この発明では、裏当てローラ(20)は、回転駆動するものではなく、回転自在なものであっても良い。
【0024】
図2において、(21a)は、裏当てローラ(20)の外周面(21)の突合せ部(3)裏面との当接部を示している。(N)はこの当接部(21a)における法線を示している。
【0025】
接合工具(10)は、径大の円柱状回転子(11)と、該回転子(11)の端面(12)の回転中心部に回転軸線(P)上に突出して一体に設けられた径小のピン状プローブ(13)と、を備えている。回転子(11)及びプローブ(13)はともに、接合部材(1)よりも硬質で且つ接合時に発生する摩擦熱に耐え得る耐熱材料から形成されている。プローブ(13)の外周面には、図2に示すように、摩擦熱により軟化した接合部材(1)の肉を撹拌するためのネジ山状の撹拌用凸条(13a)が螺旋状に形成されている。回転子(11)の端面(12)は、この実施形態では、回転軸線(P)に直交する平坦面からなる。なお、この発明では、回転子(11)の端面(12)は、外周縁部から回転中心部に向かって窪んだ形状になっていても良い。そして、この接合工具(10)は、接合部材(1)の表面側においてプローブ(13)を略下方に向ける態様にして裏当てローラ(20)の略上方位置に配置されている。
【0026】
更に、この接合工具(10)は位置調節装置(40)に取り付けられている。この位置調節装置(40)は、裏当てローラ(20)の外周面(21)の接合予定部裏面との当接部(21a)の法線(N)上に、接合工具(10)の回転子(11)の端面(12)の接合方向最後部(12a)を位置させるために用いられるものであって、接合方向(WD)に対して略平行に所定範囲内で移動可能に構成されている。この位置調節装置(40)を作動させることによって、接合工具(10)は接合方向(WD)に対して略平行に所定範囲内で移動させられるようになる。そして、このように移動させられることにより、回転子(11)の端面(12)の接合方向最後部(12a)の位置が調節されて、当該接合方向最後部(12a)が法線(N)上に正確に位置されるものとなる。更に、この接合装置(10)は、図示しない昇降装置に取り付けられており、この昇降装置を作動させることで、プローブ(13)を突合せ部(3)中に埋入したり、埋入したプローブ(13)を突合せ部(3)から抜出したりできるものとなされている。
【0027】
前押さえローラ(33)は、接合部材(1)の接合方向(WD)前方側を表面側から押さえるためのものであって、接合部材(1)の表面側における、前支持ローラ(31)の上方離間位置に、突合せ部(3)を跨ぐ態様で配置されている。
【0028】
後押さえローラ(34)は、接合部材(1)の接合方向(WD)後方側を表面側から押さえるためのものであって、接合部材(1)の表面側における、後支持ローラ(32)の上方離間位置に、接合された突合せ部(3')を跨ぐ態様で配置されている。
【0029】
なお、この発明では、前押さえローラ(33)や後押さえローラ(34)は、回転自在なものではなく、回転駆動するものであっても良い。
【0030】
次に、上記構成の接合装置(A)を用いて接合部材(1)の突合せ部(3)を摩擦撹拌接合する方法について説明する。
【0031】
まず、接合工具(10)のプローブ(13)を裏当てローラ(20)の略上方の離間位置に待機させておき、前後の支持ローラ(31)(32)及び裏当てローラ(20)を互いに同一の周速度で回転駆動させる。
【0032】
次いで、突合せ状に配置された2個の板(2)(2)からなる接合部材(1)の長さ方向の一端部を、前支持ローラ(31)と前押さえローラ(33)との間に通し、前押さえローラ(33)によって接合部材(1)を押さえる。そして、この状態のままで接合部材(1)を前支持ローラ(31)の駆動力によって移動させることにより、接合部材(1)を裏当てローラ(20)と接合工具(10)のプローブ(13)との間に通し、該接合部材(1)の突合せ部(3)裏面に裏当てローラ(20)の外周面(21)を当接させる。
【0033】
一方、所定の時点で、接合工具(10)の回転子(11)をその回転軸線(P)を中心に回転させてプローブ(13)を回転させる。そして、この回転子(11)の回転軸線(P)を接合方向(WD)後方側に僅かに傾斜させる。
【0034】
そして、図2に示すように、位置調節装置(40)によって、接合工具(10)の回転子(11)の端面(12)の接合方向最後部(12a)を、裏当てローラ(20)の外周面(21)の接合予定部裏面との当接部(21a)の法線(N)上に位置させる。そして、この位置で、昇降装置を降作動させて接合工具(10)を前記法線(N)に対して平行に下方移動させることによって、回転しているプローブ(13)を接合部材(1)の突合せ部(3)中に表面側から埋入し、更に、回転している回転子(11)の端面(12)を接合部材(1)の表面に押し付ける。このとき、回転子(11)の回転軸線(P)は上述したように接合方向(WD)後方側に僅かに傾斜していることから、回転子(11)の端面(12)の接合方向最前部は、同図に示すように接合部材(1)の表面から僅かに浮き上がった状態になる。このような状態にすることにより、接合部材(1)の移動の際に、回転子(11)の端面(12)の接合方向最前部が接合部材(1)の表面に存在することのある微細な凹凸(図示せず)に引っ掛かる不具合を防止又は抑制できるようになる。その上、摩擦熱にて軟化した接合部材(1)の肉を局部的に加圧できるようになる。
【0035】
図2において、(T)は、接合部材(1)の表面のプローブ埋入位置における法線を示している。(θ)はこの法線(T)に対する回転軸線(P)の接合方向(WD)後方側への傾斜角を示している。この傾斜角(θ)は限定されるものではないが、10°以下であることが特に望ましい。
【0036】
なお、この発明では、プローブ(13)を突合せ部(3)中に埋入した後で、回転子(11)の回転軸線(P)を接合方向(WD)後方側に傾斜させても良い。また、プローブ(13)を予め下降させておき、このプローブ(13)に向かって接合部材(1)を移動させることで該プローブ(13)を接合部材(1)の長さ方向の端面から突合せ部(3)中に強制的に埋入させても良い。
【0037】
この状態のままで、接合部材(1)を、突合せ部(3)がプローブ(13)を順次通過するように移動させて、該接合部材(1)を後支持ローラ(32)と後押さえローラ(34)との間に通し、後押さえローラ(34)によって接合部材(1)を押さえる。そして、この状態で、接合部材(1)を前後の支持ローラ(31)(32)及び裏当てローラ(20)の駆動力により移動させる。
【0038】
この接合部材(1)の移動に伴い、突合せ部(3)がプローブ埋入位置においてプローブ(13)により順次接合されていく。
【0039】
すなわち、プローブ(13)の回転により発生する摩擦熱と、回転子(11)の端面(12)と接合部材(1)の表面との摺動に伴い発生する摩擦熱とによって、接合部材(1)はプローブ埋入位置近傍において軟化する。そして、軟化した接合部材(1)の肉が、プローブ(13)の回転力を受けて撹拌混合されながら該プローブ(13)の通過溝を埋めるように塑性流動した後、摩擦熱を急速に失って冷却固化する。この現象が接合部材(1)の移動に伴って順次繰り返されていき、接合部材(1)の突合せ部(3)がプローブ通過部分にて接合される。(3')は接合部材(1)の接合された突合せ部を示している。(W)は接合された突合せ部(3')に形成された接合部を示している。
【0040】
そして、接合部材(1)の接合終了予定部がプローブ埋入位置に到達したとき、プローブ(13)を抜出させ、接合が終了する。
【0041】
以上の摩擦撹拌接合法では、裏当てローラ(20)の外周面(21)の突合せ部(3)裏面との当接部(21a)の法線(N)上に、接合工具(10)の回転子(11)の端面(12)の接合方向最後部(12a)を位置させた状態で、接合が行われているので、接合の際に、回転子(11)の端面(12)を接合部材(1)の表面に強く押し付けた場合であっても、摩擦熱にて軟化した接合部材(1)の肉が裏当てローラ(20)の外周面(21)でしっかりと受けられるようになって、接合部材(1)の肉が裏面側に膨出しなくなる。したがって、この摩擦撹拌接合法によれば、接合部材(1)の裏面を平坦状に形成することができる。しかも、上述したように接合部材(1)の肉が裏当てローラ(20)の外周面(21)でしっかりと受けられているので、接合部材(1)の肉を回転子(11)の端面(12)で強く加圧することができる。このため、接合状態の良好な接合部(W)を形成することができる。
【0042】
また、プローブ(13)の埋入位置は、裏当てローラ(20)の外周面(21)の突合せ部裏面との当接部(21a)の位置よりも接合方向(WD)前方側にずれた位置にあるので、プローブ(13)の埋入深さを従来よりも深く設定することができる。このため、未接合部の発生を防止又は抑制することができる。
【0043】
さらに、接合工具(10)は位置調節装置(40)に取り付けられているから、回転子(11)の端面(12)の接合方向最後部(12a)を法線(N)上に容易に且つ確実に位置させることができる。このため、摩擦撹拌接合を作業能率良く行うことができる。
【0044】
以上、この発明の実施形態を説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々に設定変更可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態では、接合工具(10)のプローブ(13)の位置を固定しておき、突合せ部(3)がプローブ(13)を順次通過するように接合部材(1)を移動させることにより、接合部材(1)の突合せ部(3)を接合する場合について示しているが、この発明では、この他に、接合部材(1)の位置を固定しておき、突合せ部(3)中に埋入された回転しているプローブ(13)を、突合せ部(3)に沿って移動させることにより、接合部材(1)の突合せ部(3)を接合することも可能である。この場合には、プローブ(13)の移動方向が接合方向となり、また裏当てローラ(20)がプローブ(13)と連動して移動するものとなる。
【0046】
また、この発明では、裏当てローラ(20)が位置調節自在に取り付けられていても良い。
【0047】
もとより、この発明に係る摩擦撹拌接合法及び摩擦撹拌接合装置は、例えば重合せ状に配置された2個の板からなる接合部材の重合せ部を接合する場合に適用しても良い。
【0048】
【実施例】
次に、この発明の具体的実施例を示す。
【0049】
<実施例1>
接合部材(1)として、互いに同一の肉厚を有する2個の長尺な帯状のアルミニウム合金(材質:6063)製の板(2)(2)を準備した。そして、両板(2)(2)の幅方向の一端部同士を突き合わせて、この突合せ部(3)を上記実施形態の摩擦撹拌接合法に従って以下の接合条件で接合した。
【0050】
[接合条件]
・回転子の直径φ…13.6mm
・回転子の回転数…1750rpm
・傾斜角θ…4.5°
・ずれ量δ…0mm
なお、図3に示すように、裏当てローラ(20)の外周面(21)の突合せ部裏面との当接部(21a)の法線(N)の位置に対する、回転子(11)の端面(12)の接合方向最後部(12a)の位置の、接合方向(WD)に沿うずれ量をδとし、このずれ量δを回転子(11)の直径(φ)で割った値をε(=δ/φ)としている。また、ずれ量δの正負符号については、裏当てローラ(20)の外周面(21)の突合せ部裏面との当接部(21a)の法線(N)の位置に対して、回転子(11)の端面(12)の接合方向最後部(12a)の位置が接合方向(WD)前方側にずれている場合を正、接合方向(WD)後方側にずれている場合を負としている。
【0051】
<実施例2>
ずれ量δを+2.8mm(ε=+0.21)に設定して両板(2)(2)の突合せ部(3)を接合した。他の接合条件は上記実施例1と同じである。
【0052】
<実施例3>
ずれ量δを−2.8mm(ε=−0.21)に設定して両板(2)(2)の突合せ部(3)を接合した。他の接合条件は上記実施例1と同じである。
【0053】
<実施例4>
ずれ量δを−4.0mm(ε=−0.30)に設定して両板(2)(2)の突合せ部(3)を接合した。他の接合条件は上記実施例1と同じである。
【0054】
<比較例1>
ずれ量δを−4.8mm(ε=−0.35)に設定して両板(2)(2)の突合せ部(3)を接合した。他の接合条件は上記実施例1と同じである。
【0055】
<従来例1>
ずれ量δを−6.8mm(ε=−0.50)に設定して両板(2)(2)の突合せ部(3)を接合した。他の接合条件は上記実施例1と同じである。
【0056】
<従来例2>
ずれ量δを−10.8mm(ε=−0.79)に設定して両板(2)(2)の突合せ部(3)を接合した。他の接合条件は上記実施例1と同じである。
【0057】
以上の実施例1〜3、比較例1及び従来例1、2で接合一体化された両板について、接合された突合せ部の裏面に生じた膨出量を測定した。この結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0004511078
【0059】
同表に示すように、εが−0.30〜+0.30の範囲内に設定されている場合(実施例1〜4)には、膨出量を0.06mm以下に抑制することができた。特にεが0(即ちδ=0mm)である場合(実施例1)には、膨出量を0mmにすることができ、この場合が最も好ましいことが分かった。このように、この発明によれば、摩擦熱にて軟化した接合部材の肉の裏面側への膨出を防止又は抑制できることを確認し得た。
【0060】
【発明の効果】
上述の次第で、この発明に係る摩擦撹拌接合法によれば、裏当てローラの外周面の接合予定部裏面との当接部における法線上又はその近傍に、接合工具の回転子の端面の接合方向最後部を位置させた状態で、接合を行うものなので、接合部材の表面に回転子の端面を押し付けた場合であっても、摩擦熱にて軟化した接合部材の肉の裏面側への膨出を防止又は抑制することができる。更には、接合部材の肉を回転子の端面で強く加圧し得るようになって、接合状態の良好な接合部を形成できるようになる。しかも、プローブの接合予定部中への埋入深さを従来よりも深く設定し得るようになって、未接合部の発生を防止又は抑制することができる。
【0061】
さらに、εが所定の範囲内になるように、回転子の端面の接合方向最後部が位置されている場合には、摩擦熱にて軟化した接合部材の肉の裏面側への膨出を確実に防止又は抑制することができる。
【0062】
この発明に係る摩擦撹拌接合装置によれば、位置調節装置を具備しているから、摩擦撹拌接合を作業能率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係る摩擦撹拌接合法を説明するための斜視図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】回転子の端面の接合方向最後部のずれ量δの正負符号を説明するための要部拡大断面図である。
【図4】従来の摩擦撹拌接合法を説明するための、図2に対応する断面図である。
【符号の説明】
1…接合部材
2…板
3…突合せ部(接合予定部)
A…摩擦撹拌接合装置
10…接合工具
11…回転子
12…回転子の端面
13…プローブ
20…裏当てローラ
W…接合部

Claims (2)

  1. 径大の回転子(11)と該回転子(11)の端面(12)に突出して設けられた径小のプローブ(13)とを備えた接合工具(10)を用い、
    回転しているプローブ(13)を接合部材(1)の接合予定部(3)中に表面側から埋入するとともに、回転している回転子(11)の端面(12)を接合部材(1)の表面に押し付け、且つ接合部材(1)の裏面側に配置された裏当てローラ(20)の外周面(21)を接合部材(1)の接合予定部(3)裏面に当接させた状態で、接合予定部(3)がプローブ(13)を順次通過するように接合部材(1)をプローブ(13)に対して相対的に移動させることにより、接合部材(1)の接合予定部(3)を接合する摩擦撹拌接合法であって、
    裏当てローラ(20)の外周面(21)の接合予定部裏面との当接部(21a)の法線(N)の位置に対する、回転子(11)の端面(12)の接合方向最後部(12a)の位置の、接合方向(WD)に沿うずれ量(δ)を、回転子(11)の直径(φ)で割った値をεとするとともに、ずれ量(δ)の正負符号を、前記法線(N)の位置に対して回転子(11)の端面(12)の接合方向最後部(12a)の位置が接合方向前方側にずれている場合を正、接合方向後方側にずれている場合を負とすると、
    εが−0.30〜+0.30の範囲内になるように、回転子(11)の端面(12)の接合方向最後部(12a)を位置させた状態で、接合を行うことを特徴とする摩擦撹拌接合法。
  2. 端面(12)が接合部材(1)の表面に押し付けられる径大の回転子(11)、及び該回転子(11)の端面(12)に突出して設けられるとともに接合部材(1)の接合予定部(3)中に表面側から埋入される径小のプローブ(13)を備えた接合工具(10)と、
    接合部材(1)の裏面側に配置されるとともに外周面(21)が接合部材(1)の接合予定部裏面に当接される裏当てローラ(20)と、
    裏当てローラ(20)の外周面(21)の接合予定部裏面との当接部(21a)の法線(N)の位置に対する、回転子(11)の端面(12)の接合方向最後部(12a)の位置の、接合方向(WD)に沿うずれ量(δ)を、回転子(11)の直径(φ)で割った値をεとするとともに、ずれ量(δ)の正負符号を、前記法線(N)の位置に対して回転子(11)の端面(12)の接合方向最後部(12a)の位置が接合方向前方側にずれている場合を正、接合方向後方側にずれている場合を負とすると、
    εが−0.30〜+0.30の範囲内になるように、接合工具(10)の回転子(11)の端面(12)の接合方向最後部(12a)を位置させるための位置調節装置と、
    を具備していることを特徴とする摩擦撹拌接合装置。
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