JP4510409B2 - ウインドウガラスの挟持有無検出装置 - Google Patents

ウインドウガラスの挟持有無検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、ウインドウガラスの閉動作中における異物の挟み込みを検出するウインドウガラスの挟持有無検出装置に関するものである。
一般に、例えば車両に設けられたウインドウガラスの昇降を制御するパワーウインドウ制御装置は、ウインドウガラスを自動的に上昇(オートアップ)及び下降(オートダウン)させるオート機能を備えている。このため、特にウインドウガラスのオートアップ時においては、ウインドウガラスと窓枠との間で、異物が挟まれてしまうおそれがある。そこで従来、このようなパワーウインドウ制御装置では、ウインドウガラスによる異物の挟み込みを防止するために、ウインドウガラスと窓枠との間に異物が挟まれたか否かを検出し、異物が挟まれた場合に該異物を解放するウインドウガラスの挟持有無検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載されるウインドウの挟持有無検出装置は、ウインドウガラスを昇降駆動するモータと、同モータの回転速度に対応したパルス信号を生成して出力するパルスセンサと、同モータ及びパルスセンサと接続された車両用ECU(車両用電子制御装置)とを備えている。車両用ECUは、パルスセンサからパルス信号が入力されると、その入力毎に現在のパルス周期を演算する一方で、その現在のパルス周期よりも過去のパルス信号のパルス周期を演算する。そして、車両用ECUは、現在のパルス周期と過去のパルス周期とに基づいてウインドウガラスの挟持有無検出を行うようになっている。
詳しくは、例えば図9に示すように、車両用ECUは、矢印A1で示すタイミングでパルス信号Pnが入力されると、そのパルス信号Pnのパルス幅と1パルス前のパルス信号Pn1のパルス幅とを加算して現在のパルス周期Ppを算出する。それとともに、車両用ECUは、そのパルス信号Pnよりも4パルス前のパルス信号Pn4から11パルス前のパルス信号Pn11の平均パルス周期Paveを算出する。そして、図10に示すように、車両用ECUは、現在のパルス周期Ppと平均パルス周期Paveとの差分を算出して周期差分値Psを算出する。また、車両用ECUは、現在のパルス位置において算出した周期差分値Ps1と、その直前までの所定数(例えば3周期)分の周期差分値Ps(例えば同図に示すPs2〜Ps4)とを総和して周期差分和Pstを算出する。
ところで、例えば図11に示すように、車両用ECUのメモリには前記平均パルス周期Paveに対応した閾値PHを求めるためのマップが記録されている。そして、車両用ECUは、前記周期差分和Pstと平均パルスPaveに対応した閾値PHとを比較する。その結果、閾値PHよりも周期差分和Pstの方が大きい場合、すなわち周期差分和Pstが同図に示す反転領域内に位置する場合には、車両用ECUは、異物が挟まれたと判断して、モータを反転駆動するように制御する。
したがって、こうした挟持有無検出装置によれば、ウインドウガラスの変位量の変化を検出し、その変化に異常があると判断した際にモータを反転駆動させることにより、ウインドウガラスによる異物の挟み込みを防止することができる。
特開2000−152677号公報
ところで、こうしたウインドウガラスの挟持有無検出装置にあっては、ウインドウガラスに挟み込まれた異物の保護を図るために、比較的小さな力で異物が挟まれた時点で挟み込みを検出することが望ましい。よって、前記閾値PHをできるだけ低く設定することが望ましい。
ところが、通常、モータの回転特性は、ウインドウガラスと窓枠との摺動抵抗の変動や、電圧負荷変動などを要因として、搭載される車両毎に異なっている。具体的には、ウインドウガラスと窓枠との摺動抵抗が車両または車種毎に異なるため、ウインドウガラスの全開状態と全閉状態との間において、全体的または部分的にモータの回転速度が変化してしまう。すなわち、こうした要因により、パルス信号のパルス周期の変動特性が車両または車種毎に異なる。このため、前記閾値PHを単純に低く設定してしまうと、モータの回転速度の変化により、車両用ECUは、実際には異物を挟み込んではいないにも拘わらず、異物を挟み込んでいると判断する誤判定を生じるおそれがある。また、閾値PHを全車両共通にしてしまうと、車両毎に誤判定を生じる割合にバラツキが生じてしまう。よって従来では、車両または車種毎にモータの回転特性を把握するための実験等を行い、その実験で得られたデータに基づいて最適な閾値PHのマップを個別に設定する必要があった。
また、同一車両であっても、経年変化などにより、こうしたウインドウガラスと窓枠との摺動抵抗の変動やモータトルクの低減が生じるおそれがある。このため、各車両毎に最適な閾値PHのマップを設定したとしても、経年変化などを要因として、挟み込みの誤判定を生じてしまうおそれがある。よって、閾値PHを低く設定することによって挟み込みの検出荷重を小さくすることは非常に困難であった。
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウインドウガラスによる挟み込みを判定するための閾値の設定を容易に行うことができるとともに、挟み込みの誤判定を生じることなく該挟み込みの検出荷重を小さくすることができるウインドウガラスの挟持有無検出装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、正逆回転することによりウインドウガラスの開閉動作を行うモータの回転速度に応じて出力されるパルス信号に基づいて、ウインドウガラスと窓枠との間に異物が挟まれたか否かを検出するウインドウガラスの挟持有無検出装置であって、前記パルス信号に基づき、所定の動作範囲におけるパルス信号の平均値を指すものであって、過去のパルス長のみから算出されるものである、前記パルス信号の平均パルス長を算出するとともに、前記ウインドウガラスのその時々の位置における現在のパルス長と前記平均パルス長との差分値を算出する算出手段と、前記差分値及び前記平均パルス長を記録データとして、前記ウインドウガラスの位置と対応付けして記録する記録手段と、前記現在のパルス長と前記平均パルス長とが等しくない場合、すなわち前記現在のパルス長と前記平均パルス長との差分値が0でない場合に、今回算出した平均パルス長と前記記録手段に記録されている過去の記録データである、現時点におけるウインドウガラスの位置に対応付けして記録されている記録データとに基づいて補正差分値を算出する補正値算出処理を行うとともに、現在の差分値から前記補正差分値を減算して算出した変動差分値と予め設定された閾値との比較結果に基づいてウインドウガラスの挟持有無検出を行う挟持有無検出手段とを備えることを要旨とする。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のウインドウガラスの挟持有無検出装置において、前記記録手段は、現在のパルス長と前記平均パルス長とが等しくない場合、すなわち現在のパルス長と前記平均パルス長との差分値が0でない場合にのみ前記記録データを記録し、前記挟持有無検出手段は、前記現在のパルス長と前記平均パルス長とが等しくない場合、すなわち前記現在のパルス長と前記平均パルス長との差分値が0でない場合、前記過去の記録データが記録されている位置でのみ前記補正値算出処理に基づく挟持有無検出を行い、前記記録データが記録されていない位置にあっては、現在のパルス長と今回算出した平均パルス長との差分値と、前記閾値との比較結果に基づいて、ウインドウガラスの挟持有無検出を行うことを要旨とする。
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載のウインドウガラスの挟持有無検出装置において、前記記録手段は、前記ウインドウガラスの位置と対応する過去の複数回分の前記差分値及び前記平均パルス長を前記記録データとして記録し、前記挟持有無検出手段は、前記記録手段に記録された複数回分の差分値の平均値及び複数回分の平均パルス長の平均値とに基づいて前記補正値算出処理を行うことを要旨とする。
以下、本発明の「作用」について説明する。
請求項1に記載の発明によると、ウインドウガラスの所定の位置で現在のパルス長と平均パルス長とが等しくなくなった場合、すなわち所定の位置でモータの回転速度に変動があった場合には、今回算出した平均パルス長と記録手段に記録されている過去の記録データとに基づいて補正差分値が算出される。そして、その補正差分値を現在の差分値から減算して算出した変動差分値と閾値との比較結果に基づいて挟持有無検出が行われる。つまり、当該ウインドウ位置で過去においてもモータの回転速度に変動がある場合には、そのウインドウ位置にあっては慢性的な変動を生じるものと判断され、その慢性的な変動要因を除いた状態で挟持有無検出が行われる。このため、例えばウインドウガラスと窓枠との間の摺動抵抗の変動等を要因としてウインドウガラスの所定位置で現在のパルス長と平均パルス長とが常に等しくならない箇所があったとしても、その慢性的な変動要因によって生じた現在のパルス長と平均パルス長との差分値は、現在の差分値から自動的に排除される。このため、純粋な外乱要因による変動差分値のみに基づいたウインドウガラスの挟持有無検出が可能となる。よって、挟み込みの検出荷重を小さくするべく閾値を低く設定したとしても、慢性的な変動要因によってウインドウガラスが異物を挟み込んでいると誤判定するおそれがなくなる。しかも、慢性的な変動要因は自動的に排除されるため、車両や車種毎に実験等を行って該変動要因を鑑みた閾値を設定する必要もない。
請求項2に記載の発明によると、現在のパルス長と平均パルス長とが等しくない場合にのみ記録データが記録される。すなわち、現在のパルス長と平均パルス長とが等しい場合には記録データが記録されない。このため、記録手段の記録容量を小さくすることが可能となる。また、現在のパルス長と前記平均パルス長とが等しくない場合、過去の記録データが記録されている位置でのみ、前記補正値算出処理に基づく挟持有無検出が行われる。すなわち、過去の記録データが記録されていない位置にあっては、補正値算出処理が行われない。このため、挟持有無検出手段の処理負担も軽減される。
請求項3に記載の発明によると、ウインドウガラスの位置と対応する過去の複数回分の差分値の平均値及び平均パルス長の平均値に基づいて補正値算出処理が行われる。すなわち、突発的な変動によって生じた差分値及び平均パルス長が記録データとして記録されたとしても、その突発的な差分値及び平均パルス長のみに基づいて補正値算出処理が行われることがない。このため、慢性的な変動要因による差分値をより高い精度で算出することができる。
本発明によれば、ウインドウを反転駆動するか否かの閾値の設定を容易に行うことができるとともに、挟み込みの誤判定を生じることなく該挟み込みの検出荷重を小さくすることができる。
以下、本発明を車両のウインドウガラスを昇降するウインドウ駆動制御装置として具体化した一実施形態を、図1〜図8に基づき詳細に説明する。
図1に示すように、ウインドウ駆動制御装置11は、算出手段及び挟持有無検出手段としての作動制御部12と、モータドライバ13と、モータ14とを備えている。このウインドウ駆動制御装置11は、図示しないイグニッションリレーを介してバッテリから電力供給されるようになっている。すなわち、ウインドウ駆動制御装置11は、車両の電気系統の機能ポジションがイグニッションONとなっているときに給電されるようになっている。
作動制御部12は、CPU、ROM、RAM等からなるCPUユニットであり、記録手段としての不揮発性のメモリ12aを備えている。図2に示すように、このメモリ12aには、後記するパルスセンサ18から入力されるパルス信号に基づいて挟持有無を判定するための閾値PHのマップが記録されている。また、メモリ12aは、ウインドウガラスのその時々の位置における平均パルス周期Paveと、現在のパルス周期(現パルス周期)Ppと平均パルス周期Paveとの差分値(実差分値Ps)とを記録データ(記憶パルス周期M−Pave及び記憶パルス差分値M−Ps)として記録可能となっている。
作動制御部12は、第1入力端子IN1、第2入力端子IN2、第1出力端子OUT1及び第2出力端子OUT2を備え、第1入力端子INには操作スイッチ15が電気的に接続されている。操作スイッチ15は車両室内に配設されたウインドウ操作スイッチであり、ウインドウガラスの自動昇降操作と、ウインドウガラスの手動昇降操作とを可能となっている。そして、車両搭乗者によってこの操作スイッチ15が操作されると、その操作に対応した操作信号が第1入力端子IN1に入力される。詳しくは、入力端子INには、該操作スイッチ15の操作態様に応じて、オート上昇操作信号、オート下降操作信号、手動上昇操作信号及び手動下降操作信号のうちのいずれか1つが入力される。
一方、作動制御部12の各出力端子OUT1,OUT2には、モータドライバ13が電気的に接続されている。モータドライバ13は、第1スイッチング素子TR1、第2スイッチング素子TR2、第1リレー16及び第2リレー17を備えている。第1スイッチング素子TR1及び第2スイッチング素子TR2は、本実施形態ではNPNトランジスタによって構成されている。そして、第1スイッチング素子TR1のベース端子は前記第1出力端子OUT1に接続され、第2スイッチング素子TR2のベース端子は前記第2出力端子OUT2に接続されている。両スイッチング素子TR1,TR2のエミッタ端子は接地されている。また、第1スイッチング素子TR1のコレクタ端子は第1リレー16のコイルL1の一端に接続され、第2スイッチング素子TR2のコレクタ端子は第2リレー17のコイルL2の一端に接続され、各コイルL1,L2の他端は前記イグニッションリレーを介してバッテリに接続されている。
第1リレー16及び第2リレー17はそれぞれc接点構造をなし、第1リレー16のa接点側の固定接点CP1及び第2リレー17のa接点側の固定接点CP4は、前記イグニッションリレーを介してバッテリに接続されている。また、第1リレー16のb接点側の固定接点CP2及び第2リレー17のb接点側の固定接点CP5は、接地されている。そして、第1リレー16の可動接点CP3はモータ14の第1端子に接続され、第2リレー17の可動接点CP6はモータ14の第2端子に接続されている。よって、モータ14は、両リレー16,17が共にOFF状態(非励磁状態)である場合には電力が供給されないため駆動しない。また、モータ14は、第1リレー16がON状態(励磁状態)且つ第2リレー17がOFF状態の場合には、第1リレー16を介して電力が供給されるため、正回転駆動してウインドウガラスを上昇させる。これに対し、モータ14は、第1リレー16がOFF状態且つ第2リレー17がON状態の場合には、第2リレー17を介して電力が供給されるため、逆回転駆動してウインドウガラスを下降させる。
ところで、モータ14の近辺には、該モータ14の回転軸の回転状態を検出し、該回転軸の回転に伴ってパルス信号を出力するパルス信号出力手段としてのパルスセンサ18が配設されている。このパルスセンサ18は、ホール素子(ホールIC)を用いて構成された公知のセンサであり、モータ14の回転軸の回転数に比例した数のパルス信号を出力する。詳しくは、モータ14の回転軸には極性の異なる磁石(磁極)が所定間隔で着磁されており、パルスセンサ18は、回転軸の回転により生じる磁界変化をピックアップしてパルスを出力する。こうしたパルスセンサ18の出力端子は、作動制御部12の第2入力端子IN2に電気的に接続されている。このため、パルスセンサ18から出力されるパルス信号は、作動制御部12に入力される。
このように構成されたウインドウ駆動制御装置11において、作動制御部12は、モータ14の作動を制御してウインドウガラスの昇降を制御するウインドウ駆動制御と、ウインドウガラスの挟持有無検出制御とを行うようになっている。そこで、作動制御部12によって行われるウインドウ駆動制御と挟持有無検出制御とについて説明する。なお、各制御を行うための制御プログラムは、作動制御部12を構成するROM内に記録されている。
<1>ウインドウ駆動制御
作動制御部12は、通常、両出力端子OUT1,OUT2からLレベルの信号を出力した状態となっている。そして、操作スイッチ15から前記操作信号が入力されると、作動制御部12は、ウインドウ駆動制御を行う。詳しくは、操作スイッチ15からオート上昇操作信号または手動上昇操作信号が入力されると、作動制御部12は、第1出力端子OUT1からHレベルの信号を出力して第1スイッチング素子TR1を作動させる。これにより、第1リレー16がON状態となり、モータ14が正回転駆動してウインドウガラスが上昇される。
一方、操作スイッチ15からオート下降操作信号または手動下降操作信号が入力されると、作動制御部12は、第2出力端子OUT2からHレベルの信号を出力して第2スイッチング素子TR2を作動させる。これにより、第2リレー17がON状態となり、モータ14が逆回転駆動してウインドウガラスが下降される。
こうした作動制御部12は、オート上昇操作信号(オート下降操作信号)が入力された場合には、該操作信号が入力されなくなった後も、ウインドウガラスが全閉(全開)状態になるまでの間はモータ14を駆動し続ける。これに対し、作動制御部12は、手動上昇操作信号(手動下降操作信号)が入力された場合には、該操作信号が入力されている間のみ、モータ14を駆動する。なお、作動制御部12は、パルスセンサ18から入力されるパルス信号のパルス数をカウントすることによりウインドウガラスの位置を認識可能であるため、該パルス数とパルス幅とに基づいてウインドウガラスの全開状態及び全閉状態を判断するようになっている。詳しくは、作動制御部12は、全開または全閉位置となるパルス数近辺で所定の規定幅よりも長いパルス幅を検出した場合に、ウインドウガラスが全開状態または全閉状態になったと判断する。
<2>挟持有無検出制御
ウインドウガラスの閉動作時には、作動制御部12は、図3に示すフローチャートに従って挟持有無検出制御のための処理を行う。なお、この処理は、ウインドウガラスの閉動作時には繰り返し行われる。
まず、ステップS1において作動制御部12は、パルスセンサ18から入力されるパルス信号に基づいて現在のパルス周期(現パルス周期)Ppを算出する。詳しくは、例えば図4に矢印A1で示すタイミングで現パルス信号が入力されると、作動制御部12は、その現パルス信号のパルス幅Pnと1個前のパルス信号のパルス幅Pn1とを加算して現在のパルス周期Ppを算出する。また、作動制御部12は、パルス信号のパルス数をカウントすることにより、ウインドウガラスの位置(窓位置)を認識する。
ステップS2において作動制御部12は、現パルス信号よりも4個前のパルス信号から11個前のパルス信号の各パルス幅Pn4〜Pn11に基づいて平均パルス周期Paveを算出する。そして、ステップS3において作動制御部12は、現パルス周期Ppから平均パルス周期Paveを減算して実差分値Psを算出する。
続くステップS4において作動制御部12は、ステップS3で算出した実差分値Psが「0」であるか否かを判断する。そして、作動制御部12は、該実差分値Psが「0」であると判断した場合にはここでの処理を一旦終了し、該実差分値Psが「0」でないと判断した場合にはステップS5の処理へ移行する。
ステップS5において作動制御部12は、現時点でのパルス数(現パルス数)と対応付けされた記憶パルス周期M−Paveと記憶パルス差分値M−Psとからなる記録データが、メモリ12aに既に記録されているか否かを判断する。この記憶パルス周期M−Paveは、現パルス数における標準的な平均パルス周期であり、後記するステップS13の加重平均化処理によって算出される。また、記憶パルス差分値M−Psは、ウインドウガラスの閉特性などを要因として生じる現パルス数における標準的な差分値であり、該加重平均化処理によって算出される。つまり、作動制御部12は、過去に行われた挟持有無検出処理で算出された記憶パルス周期M−Pave及び記憶パルス差分値M−Psが、メモリ12aに記録されているか否かを判断する。そして、該記録データがメモリ12aに既に記録されている場合、作動制御部12はステップS6の処理へ移行する。
ステップS6において作動制御部12は補正値算出処理を行う。詳しくは、作動制御部12は、ステップS2で算出した平均パルス周期Paveと、メモリ12aに記録された既存の記憶パルス周期M−Pave及び記憶パルス差分値M−Psとに基づいて、補正差分値Psbaseを算出する。なお、補正差分値Psbaseは、次式にて算出される。
(数1)
「Pave」:「Psbase」=「M−Pave」:「M−Ps」
∴「Psbase」=「M−Ps」×「Pave」/「M−Pave」
つまり、補正差分値Psbaseは、今回算出された平均パルス周期Paveに対する比率が、記憶パルス周期M−Paveと記憶パルス差分値M−Psとの比率と等しくなるように設定された差分値である。換言すれば、補正差分値Psbaseは、記憶パルス周期M−Paveに対する記憶パルス差分値M−Psを、今回の平均パルス周期Paveに対する差分値として変換したものである。このため、このステップS6では、電源電圧の変化、温度の変化、経年変化によるモータ14のトルク低下等、モータ14の回転速度が全体的に変動するような要因(許容変動要因)に起因して、平均パルス周期Paveが記憶パルス周期M−Paveと異なってしまった場合であっても、該平均パルス周期Paveと対応する標準的な差分値が、補正差分値Psbaseとして算出される。
ステップS7において作動制御部12は、ステップS3で算出した実差分値Psから補正差分値Psbaseを減算して、変動差分値Psrを算出する。詳しくは、作動制御部12は、標準的な変動要因によって生じる差分値である補正差分値Psbaseを実差分値Psから減算することにより、標準的な変動要因を除いた純粋な外乱要因による変動差分値Psrを算出する。
そして、続くステップS8において作動制御部12は、変動差分値Psrの変動差分和Pstrを算出する。この変動差分和Pstrは、現在のパルス数と対応する該変動差分値Psrと、現在よりもnパルス前までのパルス数と対応する変動差分値Psr1〜Psrnとの和である。なお、本実施形態において変動差分和Pstrは、現在のパルス数と対応する該変動差分値Psrと、現在よりも3パルス前までのパルス数と対応する変動差分値Psr1〜Psr3との和、すなわち4周期分の変動差分値Psrの和に設定されている。そして、このステップS8の処理が終了すると、作動制御部12はステップS10の処理へ移行する。
ところで、前記ステップS5において作動制御部12は、過去(前回)の挟持有無検出処理で算出された記憶パルス周期M−Pave及び記憶パルス差分値M−Psが、メモリ12aに記録されていないと判断した場合、ステップS9の処理へ移行する。そして、ステップS9において作動制御部12は、実差分値Psの実差分和Pstを算出する。この実差分和Pstは、現在のパルス数と対応する該実差分値Psと、現在よりもnパルス前までのパルス数と対応する実差分値Ps1〜Psnとの和である。なお、本実施形態において実差分和Pstは、現在のパルス数と対応する該実差分値Psと、現在よりも3パルス前までのパルス数と対応する実差分値Ps1〜Ps3との和、すなわち4周期分の実差分値Psの和に設定されている。そして、このステップS9の処理が終了すると、作動制御部12はステップS10の処理へ移行する。
すなわち、作動制御部12は、現パルス数と対応する記録データがメモリ12aに既に存在する場合においては、実差分値Psの補正が必要であると判断してステップS6〜S8の処理を行うようになっている。一方、作動制御部12は、現パルス数と対応する記録データがメモリ12aに存在しない場合においては、実差分値Psの補正が不要であると判断してステップS9の処理を行うようになっている。
次に、ステップS10において作動制御部12は、図2に示した閾値PHのマップに基づき、平均パルス周期Paveに対応した閾値PHを算出する。
続くステップS11において作動制御部12は、ステップS8で算出した変動差分和Pstr、またはステップS9で算出した実差分和Pstが、閾値PH以上であるか否かを判断する。その結果、変動差分和Pstrまたは実差分和Pstが閾値PH以上であると判断した場合、作動制御部12は、ウインドウガラスに異物が挟み込まれていると判断してステップS12の処理へ移行する。そして、ステップS12において作動制御部12は、前記第1出力端子OUT1から出力していたHレベルの信号をLレベルに切り換えるとともに、前記第2出力端子OUT2からHレベルの信号を出力し、モータ14を反転駆動させる。このため、ウインドウガラスは閉動作から開動作に切り換わる。よって、異物を挟み込んだままウインドウガラスが閉動作を行ってしまうのを防止することができる。そして、このステップS12の処理が終了すると、作動制御部12はステップS13の処理へ移行する。
また、ステップS11において作動制御部12は、変動差分和Pstrまたは実差分和Pstが閾値PH以上ではないと判断した場合、ステップS11の処理を行わずにステップS13の処理へ移行する。つまりこの場合、作動制御部12は、ウインドウガラスに異物が挟み込まれていないと判断し、モータ14の反転駆動を行わない。
ステップS13において作動制御部12は、加重平均化処理を行い、ここでの処理を一旦終了する。この加重平均化処理において作動制御部12は、まず今回算出した平均パルス周期Pave及び実差分値Psを記録データとして、パルス数(窓位置)に対応付けしてメモリ12aに記録する。次に、作動制御部12は、メモリ12aに既に記録されている複数回(本実施形態では3回)分の過去の記録データと、今回記録した記録データとの平均値を算出する。すなわち、作動制御部12は、現在と同じパルス数と対応する過去3回分の平均パルス周期Paveと今回の平均パルス周期Paveとの平均値を算出する。そして、作動制御部12は、その平均値を記憶パルス周期M−Paveとしてメモリ12aに記録する。このため、記憶パルス周期M−Paveは、現パルス数における標準的なパルス周期に相当する。また、作動制御部12は、現在と同じパルス数と対応する過去3回分の実差分値Psと今回の実差分値Psとの平均値を算出する。そして、作動制御部12は、その平均値を記憶パルス差分値M−Psとしてメモリ12aに記録する。このため、記憶パルス差分値M−Psは、現在のパルス数における標準的な差分値に相当する。つまり、このステップS13において作動制御部12は、ウインドウガラスと窓枠との摺動摩擦のバラツキや、ウインドウガラスに対する風の影響などに起因して一時的に平均パルス周期Pave及び実差分値Psが変動したとしても、その変動分を平滑した標準値を記憶パルス差分値M−Ps及び記憶パルス差分値M−Psとしてメモリ12aに記録する。つまり、該一時的な変動により算出された平均パルス周期Pave及び実差分値Psのみに基づいて標準値となる記憶パルス差分値M−Ps及び記憶パルス差分値M−Psが設定されてしまうことを防止している。そして、このステップS13の処理が終了すると、作動制御部12はここでの処理を一旦終了する。
次に、このように構成されたウインドウ駆動制御装置11の初期設定手順を、図6に示す具体例を用いて説明する。なお、図6は初期設定時における処理結果を表形式で示す説明図である。
初期設定時にあっては、設定作業者は、まずウインドウガラスに異物の挟み込みがない状態で、ウインドウガラスを全開位置から全閉位置にオート上昇させる。すると、同図に示すように、作動制御部12は、パルスセンサ18からのパルス信号に基づいてパルス数をカウントしてウインドウガラスの位置を認識するとともに、各パルス数における現パルス幅Pn、平均パルス周期Pave、現パルス周期Pp及び実差分値Psを算出する。但し、同図に示すように、パルス数が「1」〜「11」の間においては、算出に必要なデータがまだ存在しないことから、平均パルス周期Pave及び実差分値Psについては算出されない。
その後、ウインドウガラスの閉特性などに起因して、例えばパルス数が「47」となった時点で、安定状態にある現パルス幅Pn(ここでは「Pn=8.00」)が不安定状態となる現パルス幅Pn(ここでは「Pn=10.40」)に変化すると、実差分値Psが「0」ではなくなる(ここでは「Ps=2.40」)。このため、作動制御部12は、このパルス数「47」での平均パルス周期Paveを記憶パルス周期M−Paveとしてメモリ12aに記録するとともに、実差分値Psを記憶パルス差分値M−Psとしてメモリ12aに記録する。すなわち、作動制御部12は、前記フローチャートにおけるステップS13と実質的に同一の処理を行う。但し、ここでは初期状態であるため、平均パルス周期Paveの値及び実差分値Psの値がそのまま記憶パルス周期M−Pave及び記憶パルス差分値M−Psとして記録される。そして、こうした記憶パルス周期M−Pave及び記憶パルス差分値M−Psの記録は、実差分値Psが「0」となる直前のパルス数(ここではパルス数=「62」)まで行われる。前述したように、ここで記録された記憶パルス周期M−Pave及び記憶パルス差分値M−Psは、次回以降の通常動作時において補正差分値Psbaseを算出するための補正パラメータとなる。
よって、こうした初期設定動作により、作動制御部12は、異物の挟み込みをしていないにも拘わらず実差分値Psが「0」ではなくなるパルス数(窓位置)を認識するとともに、こうした実差分値Psを、ウインドウガラスの閉特性に起因して生じた差分値として認識する。
このように初期設定された後、通常動作によりウインドウガラスを全開状態から全閉状態にオート上昇させると、異物が挟み込まれていない限り、初期設定時と同じパルス数で実差分値Psが「0」ではなくなる。そして、各パルス数での平均パルス周期Pave及び実差分値Psも初期設定時と同じ値となる。すなわち、今回算出された平均パルス周期Pave及び実差分値Psと、メモリ12aに記録されている記憶パルス周期M−Pave及び記憶パルス差分値M−Psとが一致する。よって、補正差分値Psbaseと実差分値Psとが等しくなり、変動差分値Psrが「0」となる。よって、ウインドウガラスの閉特性に起因して実差分値Psの値に変動が生じても、作動制御部12は、ウインドウガラスが異物を挟み込んでいる状態であるとは判断しない。すなわち、作動制御部12は、ウインドウガラスの閉特性に起因してウインドウガラスが異物を挟み込んでいると誤判定してしまうことはない。
ところで、電源電圧の変化、温度の変化、経年変化によるモータ14のトルク低下等の許容変動要因に起因して、安定状態での現パルス幅Pnが変移してしまうことが考えられる。そこで、こうした許容変動要因に起因した現パルス幅Pnの変移時における作動制御部12の処理手順を、図7に示す具体例及び図8に示す模式図を用いて説明する。
同図に示すように、例えば許容変動要因に起因して安定状態での現パルス幅Pnが「8.00」から「9.60」に変移した場合、何ら挟み込みをしていない状態にあっては、実差分値Psが「0」ではなくなるパルス数は、前記初期設定状態と同様に「47」〜「62」までの間となる。そして、これらパルス数「47」〜「62」までの間でウインドウガラスの閉特性に起因した変動により実差分値Psが算出される。ここで、例えば図8に模式的に示すように、変移状態における実差分値Psは、前記通常状態における実差分値Psよりも大きな値となる。しかし、前記補正差分値Psbaseは変移状態における実差分値Psと同等となる。このため、最終的に閾値PHとの比較に用いられる変動差分値Psrの値は「0」となる。よって、許容変動要因に起因して実差分値Psの値に変動が生じても、作動制御部12は、ウインドウガラスが異物を挟み込んでいる状態であるとは判断しない。すなわち、作動制御部12は、許容変動要因に起因してウインドウガラスが異物を挟み込んでいると誤判定してしまうことはない。
したがって、設定作業者は、理想的な平均パルス周期Paveに基づいて閾値PHのマップを設定すればよい。なお、「理想的な平均パルス周期Pave」とは、ウインドウガラスの閉特性を要因とするパルス変動や、前記許容変動要因によるパルス変動等を全く加味しない状態での平均パルス周期(前記初期設定状態におけるPave=「8.00」、前記変移状態におけるPave=「9.60」)を示す。よって、設定作業者は、ウインドウガラスの閉特性及び許容変動要因を何ら鑑みることなく最適な閾値PHのマップを設定することができるため、従来のようにウインドウガラスの閉特性に起因するパルス変動と、許容変動要因に起因するパルス変動とを認識するための実験等を繰り返し行う必要がなくなる。それゆえ、こうしたウインドウ駆動制御装置11によれば、ウインドウガラスを反転駆動するか否かの閾値PHの設定を容易に行うことができるとともに、挟み込みの誤判定を生じることなく該挟み込みの検出荷重を小さくすることができるようになる。
したがって、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)作動制御部12は、ウインドウガラスの所定の位置(パルス数)で現パルス周期Ppと平均パルス周期Paveとが等しくない場合、すなわちモータ14の回転速度に変動があった場合には、今回算出した平均パルス周期Paveとメモリ12aに記録されている過去の記録データとに基づいて補正差分値Psbaseを算出する。そして、その補正差分値Psbaseを実差分値Psから減算して算出した変動差分値Psrの変動差分和Psrtと閾値PHとの比較結果に基づいて挟持有無検出が行われる。つまり、当該パルス数で過去においてもモータ14の回転速度に変動がある場合、作動制御部12は、そのパルス数にあっては慢性的な変動を生じるものと判断し、その慢性的な変動要因を除いた状態で挟持有無検出を行う。このため、例えばウインドウガラスと窓枠との間の摺動抵抗の変動等を要因としてウインドウガラスの所定位置で現パルス周期Ppと平均パルス周期Paveとが常に等しくならない箇所があったとしても、その慢性的な変動要因によって生じた補正差分値Psbaseは、実差分値Psから自動的に排除される。このため、純粋な外乱要因による変動差分値Psrのみに基づいたウインドウガラスの挟持有無検出が可能となる。よって、挟み込みの検出荷重を小さくするべく閾値PHを低く設定したとしても、慢性的な変動要因によってウインドウガラスが異物を挟み込んでいると誤判定するおそれがなくなる。しかも、慢性的な変動要因は自動的に排除されるため、車両や車種毎に実験等を行って該変動要因を鑑みた閾値PHを設定する必要もない。したがって、こうした作動制御部12を有するウインドウ駆動制御装置11によれば、ウインドウガラスによる挟み込みを判定するための閾値PHの設定を容易に行うことができるとともに、挟み込みの誤判定を生じることなく該挟み込みの検出荷重を小さくすることができる。
また、補正差分値Psbaseは、記憶パルス周期M−Paveと今回算出した平均パルス周期Paveとの比率を記憶パルス差分値M−Psに乗算することによって求められる。このため、電源電圧の変化、温度の変化、経年変化によるモータ14のトルク低下等の許容変動要因に起因して、安定状態での現パルス幅Pn自体が変移してしまった場合でも、その変移分を加味して補正差分値Psbaseが算出される。よって、該許容変動要因などの恒常的な変動要因を含んで実差分値Psが「0」ではなくなった場合であっても、こうした変動要因を含んで生じた差分値が実差分値Psから排除される。したがって、該恒常的な変動要因を鑑みた閾値PHを設定する必要がなくなり、ウインドウガラスによる挟み込みを判定するための閾値PHの設定を容易に行うことができる。
(2)現パルス周期Ppと平均パルス周期Paveとが等しくない場合にのみ、メモリ12aに記録データが記録される。すなわち、現パルス周期Ppと平均パルス周期Paveとが等しい場合にはメモリ12aに記録データが記録されない。このため、現パルス周期Ppと平均パルス周期Paveとが等しい場合にも記録データを記録するようにした場合に比べて、メモリ12aの記録容量を少なくすることができる。また、現パルス周期Ppと平均パルス周期Paveとが等しくない場合、過去の記録データが記録されている位置でのみ、補正値算出処理(図3に示したフローチャートにおけるステップS6の処理)が行われる。すなわち、過去の記録データが記録されていない位置にあっては、補正値算出処理が行われない。このため、作動制御部12の処理負担を軽減することができる。
(3)図3に示したフローチャートにおけるステップS13の加重平均化処理が行われることにより、ウインドウガラスの位置(窓位置)と対応する過去の複数回分の実差分値Psの平均値及び平均パルス周期Paveの平均値に基づいて前記補正値算出処理が行われる。すなわち、補正値算出処理は、一時的・突発的な変動によって生じた実差分値Ps及び平均パルス周期Paveのみに基づいて行われない。このため、恒常的な変動要因による差分値(補正差分値Psbase)をより高い精度で算出することができる。
(4)作動制御部12は、実差分値Psの4周期分の実差分和Pstまたは変動差分値Psrの4周期分の変動差分和Psrtと、閾値PHとの比較結果に基づいて、ウインドウガラスの挟持有無を検出するようになっている。すなわち、作動制御部12は、検出対象となる窓位置(パルス数)での実差分値Psまたは変動差分値Psrのみに基づいてウインドウガラスの挟持有無を検出しないようになっている。このため、あるパルス数での実差分値Psのみがパルス信号の突発的な変動によって大幅に増加した場合であっても、実差分和Pstまたは変動差分和Psrtの増加量は、該実差分和Pstまたは変動差分値Psrの増加量に比べて小さくなる。よって、こうした突発的な変動をウインドウガラスの挟持状態として判定してしまうのを防止することができ、挟み込みの誤判定をより確実に抑止することができる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 前記実施形態において作動制御部12は、加重平均化処理(図3に示したステップS13の処理)を行うことにより、メモリ12aに既に記録されている複数回(本実施形態では3回)分の過去の記録データと、今回記録した記録データとの平均値を算出している。そして、作動制御部12は、その平均値を記憶パルス周期M−Pave及び記憶パルス差分値M−Psとしてメモリ12aに記録している。しかし、作動制御部12は、こうした平均値ではなく、過去の最新の記録データ、すなわち前回算出した平均パルス周期Pave及び実差分値Psを記憶パルス周期M−Pave及び記憶パルス差分値M−Psとしてメモリ12aに記録してもよい。そして、作動制御部12は、該記憶パルス周期M−Pave及び記憶パルス差分値M−Psに基づいて補正差分値Psbaseを算出するようになっていてもよい。このようにすれば、メモリ12aは、過去の複数回分の記録データを記録する必要がなく、過去の最新の記録データのみを記録すればよくなる、このため、メモリ12aの記録容量を小さくすることができる。また、作動制御部12の処理負担も軽減することができる。
・ 前記実施形態において、作動制御部12は、補正差分値Psbaseの算出を行わず、実差分値Psから記憶パルス差分値M−Psを減算した値を変動差分値Psrとして設定するようになっていてもよい。このようにすれば、作動制御部12の処理負担を軽減することができる。但しこのように変更した場合、平均パルス周期Paveと記憶パルス周期M−Paveとが等しい場合には何ら問題が生じないものの、該周期Pave,M−Paveが等しくない場合には、ウインドウガラスが異物を挟んでいないにも拘わらず「0」にならない変動差分値Psrが算出されてしまう。このため、前記実施形態ほどではないものの、挟み込みの誤判定を生じることなく該挟み込みの検出荷重を小さくするという効果を、従来よりも充分に得ることができる。また、このようにした場合であっても、前記実施形態と同様に、閾値PHの設定を容易に行うことができる。
・ 前記実施形態において作動制御部12は、実差分値Psの4周期分の実差分和Pstまたは変動差分値Psrの4周期分の変動差分和Psrtと、閾値PHとの比較結果に基づいて、挟持有無検出を行うようになっている。しかし、作動制御部12は、実差分値Psまたは変動差分値Psrと閾値PHとを直接比較し、その比較結果に基づいて興じ有無検出を行うようになっていてもよい。
・ 前記実施形態において作動制御部12は、実差分値Psが「0」とならない位置でのみ、記録データ(記憶パルス周期M−Pave及び記憶パルス差分値M−Ps)をメモリ12aに記録するようになっている。しかし、作動制御部12は、実差分値Psが「0」となる位置であっても、該記録データをメモリ12aに記録するようになっていてもよい。
・ 前記実施形態において、作動制御部12は、平均パルス周期Paveを算出するとともに、現パルス周期Ppと該平均パルス周期Paveとの差分値(実差分値Ps)を算出し、それら平均パルス周期Pave及び実差分値Psに基づいて挟持有無検出を行うようになっている。しかし、作動制御部12は、平均パルス幅と、その平均パルス幅と現パルス幅Pnとの差分値とに基づいて挟持有無検出を行うようになっていてもよい。すなわち、「特許請求の範囲」に記載の「パルス長」とは、「パルス周期」に限らず「パルス幅」をも含むものとする。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1) 請求項1〜3のいずれか1項に記載のウインドウガラスの挟持有無検出装置において、前記作動制御部は、今回算出された平均パルス長に対する比率が、前記記録手段に記録されている過去の前記平均パルス長と過去の前記差分値との比率と等しくなる値を前記補正差分値として設定すること。この技術的思想(1)に記載の発明によれば、電源電圧の変化、温度の変化、経年変化によるモータのトルク低下等の許容変動要因に起因して、現在の平均パルス長が過去の平均パルス長と恒常的に異なってしまった場合であっても、現在の平均パルス長と対応する標準的な補正差分値を算出することができる。よって、こうした許容変動要因を鑑みることなく閾値を設定することができる。
(2) 正逆回転することによりウインドウガラスの開閉動作を行うモータの回転速度に応じて出力されるパルス信号に基づいて、ウインドウガラスと窓枠との間に異物が挟まれたか否かを検出するウインドウガラスの挟持有無検出装置であって、前記パルス信号に基づき、前記パルス信号の平均パルス長を算出するとともに、前記ウインドウガラスのその時々の位置における現在のパルス長と前記平均パルス長との差分値を算出する算出手段と、少なくとも前記差分値を記録データとして、前記ウインドウガラスの位置と対応付けして記録する記録手段と、対応するウインドウガラスの位置において、前記現在のパルス長と前記平均パルス長との差分値から前記記録手段に記録されている過去の差分値を減算して得られた変動差分値と、予め設定された閾値との比較結果に基づいてウインドウガラスの挟持有無検出を行う挟持有無検出手段とを備えること。
(3) 正逆回転することによりウインドウガラスの開閉動作を行うモータと、該モータの回転速度に応じてパルス信号を出力するパルス信号出力手段と、前記パルス信号に基づいて、ウインドウガラスと窓枠との間に異物が挟まれたか否かを検出する挟持有無検出手段とを備えたウインドウ駆動制御装置におけるウインドウガラスの挟み込み検出方法であって、前記挟持有無検出手段は、前記パルス信号に基づき、前記パルス信号の平均パルス長を算出するとともに、前記ウインドウガラスのその時々の位置における現在のパルス長と前記平均パルス長との差分値を算出し、前記現在のパルス長と前記平均パルス長とが等しくない場合に、少なくとも前記差分値を記録データとして、前記ウインドウガラスの位置と対応付けして記録し、対応するウインドウガラスの位置において、前記現在のパルス長と前記平均パルス長との差分値から前記記録した過去の差分値を減算して得られた変動差分値と、予め設定された閾値との比較結果に基づいてウインドウガラスの挟持有無検出を行うこと。
これら技術的思想(2),(3)に記載の発明によれば、閾値と比較される変動差分値は、ウインドウガラスと窓枠との摺動抵抗などを要因とする特性のバラツキにより生じる差分値が除かれた値となるため、該特性のバラツキにより生じる差分値を鑑みることなく閾値を設定することができる。
本発明をウインドウ駆動制御装置として具体化した一実施形態の回路図。 同実施形態に用いられる閾値のマップを示すグラフ。 同実施形態の挟持有無検出処理を示すフローチャート。 同実施形態のパルス信号を概略的に示す説明図。 同実施形態のパルス数とパルス周期との関係を示すグラフ。 同実施形態の挟持有無検出処理による算出結果の具体例を表形式で示す説明図。 同実施形態の挟持有無検出処理による算出結果の具体例を表形式で示す説明図。 同実施形態の通常状態と変移状態とのパルス周期の相違を示すグラフ。 従来のウインドウ駆動制御装置のパルス信号を概略的に示す説明図。 従来のウインドウ駆動制御装置のパルス数とパルス周期との関係を示すグラフ。 従来のウインドウ駆動制御装置に用いられる閾値のマップを示すグラフ。
符号の説明
11…挟持有無検出装置としてのウインドウ駆動制御装置、12…算出手段及び挟持有無検出手段としての作動制御部、12a…記録手段としてのメモリ、14…モータ、Pn…現パルス幅、Pave…平均パルス周期、Pp…現パルス周期、Ps…実差分値、M−Pave…記憶パルス周期、M−Ps…記憶パルス差分値、Psbase…補正差分値、Psr…変動差分値。

Claims (3)

  1. 正逆回転することによりウインドウガラスの開閉動作を行うモータの回転速度に応じて出力されるパルス信号に基づいて、ウインドウガラスと窓枠との間に異物が挟まれたか否かを検出するウインドウガラスの挟持有無検出装置であって、
    前記パルス信号に基づき、所定の動作範囲におけるパルス信号の平均値を指すものであって、過去のパルス長のみから算出されるものである、前記パルス信号の平均パルス長を算出するとともに、前記ウインドウガラスのその時々の位置における現在のパルス長と前記平均パルス長との差分値を算出する算出手段と、
    前記差分値及び前記平均パルス長を記録データとして、前記ウインドウガラスの位置と対応付けして記録する記録手段と、
    前記現在のパルス長と前記平均パルス長とが等しくない場合、すなわち前記現在のパルス長と前記平均パルス長との差分値が0でない場合に、今回算出した平均パルス長と前記記録手段に記録されている過去の記録データである、現時点におけるウインドウガラスの位置に対応付けして記録されている記録データとに基づいて補正差分値を算出する補正値算出処理を行うとともに、現在の差分値から前記補正差分値を減算して算出した変動差分値と予め設定された閾値との比較結果に基づいてウインドウガラスの挟持有無検出を行う挟持有無検出手段とを備えることを特徴とするウインドウガラスの挟持有無検出装置。
  2. 前記記録手段は、現在のパルス長と前記平均パルス長とが等しくない場合、すなわち現在のパルス長と前記平均パルス長との差分値が0でない場合にのみ前記記録データを記録し、
    前記挟持有無検出手段は、前記現在のパルス長と前記平均パルス長とが等しくない場合、すなわち前記現在のパルス長と前記平均パルス長との差分値が0でない場合、前記過去の記録データが記録されている位置でのみ前記補正値算出処理に基づく挟持有無検出を行い、前記記録データが記録されていない位置にあっては、現在のパルス長と今回算出した平均パルス長との差分値と、前記閾値との比較結果に基づいて、ウインドウガラスの挟持有無検出を行うことを特徴とする請求項1に記載のウインドウガラスの挟持有無検出装置。
  3. 前記記録手段は、前記ウインドウガラスの位置と対応する過去の複数回分の前記差分値及び前記平均パルス長を前記記録データとして記録し、
    前記挟持有無検出手段は、前記記録手段に記録された複数回分の差分値の平均値及び複数回分の平均パルス長の平均値とに基づいて前記補正値算出処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のウインドウガラスの挟持有無検出装置。
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