JP4506788B2 - Elパネルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基板とこの基板に設けられたEL素子とを備えるELパネルの製造方法に関する。
有機EL素子はアノード電極、有機材料からなる有機EL層、カソード電極の順に積層された積層構造を為しており、アノード電極とカソード電極の間に順バイアス電圧が印加されると有機EL層において発光する。このような有機EL素子を画素として基板上にマトリクス状に配列して、各有機EL素子を所定の階調輝度で発光することによって画像表示を行う有機EL表示パネルが実現化されている。
アクティブマトリクス構造の有機EL表示パネルでは、アノード電極又はカソード電極のうちの一方の電極を全ての画素に共通する共通電極とすることができるが、少なくとも他方の電極及び有機EL層を画素ごとにパターニングする必要がある。アノード電極やカソード電極を画素ごとにパターニングする手法は従来の半導体素子製造技術を適用できる。つまり、真空蒸着法、スパッタ法のようなPVD法又はCVD法等による成膜工程、フォトリソグラフィー法等によるマスク工程、エッチング法等による薄膜の形状加工工程を適宜行うことで、アノード電極やカソード電極を画素ごとにパターニングすることができる。
有機EL層の成膜方法については、材料等の条件に応じてドライ蒸着法と湿式コーティング法に大別できる。ドライ蒸着法を用いる場合には、ドライ蒸着法により有機EL層を一面に成膜した後にシャドウマスクを行い、その後マスクの無い部分をエッチングで除去すると、画素ごとに有機EL層をパターニングすることができる。一方、湿式コーティング法を用いる場合には、インクジェット技術を応用することで画素ごとに有機EL層をパターニングすることができる。つまり、有機EL層になる材料を溶媒で溶解してなるEL溶液の液滴を画素ごとに噴出することで、画素ごとに有機EL層をパターニングすることができる。インクジェット技術を応用した湿式コーティング法では成膜工程と、画素ごとのパターニング工程をほぼ同時に行えることから、インクジェット方式は主流の技術となりつつある。
ところで、高解像度の画像表示を行う有機EL表示パネルを提供するためには、有機EL層を微細パターンで形成しなければならない。インクジェット方式では、EL溶液の液滴の粒径が非常に小さいため有機EL層を微細パターンで形成することは可能であるが、液滴が着弾した形状で固化してしまうため、所望の形状に成膜しにくく、また固化するまでの間に滲んで拡散してしまうため、わずかなインクジェットヘッドの位置ズレや着弾位置ずれにより隣りの画素の有機EL層のEL溶液と混じってしまう恐れがあった。そこで、基板上に予め網目状の隔壁を微細パターニングしてから、隔壁によって囲繞された領域に液滴を噴出することで、隣り合う画素同士のEL溶液が混ざることを防止する技術が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
図11には、隔壁308を具備する従来の有機EL表示パネル301が示されている。この有機EL表示パネル301では、平面視して網目状の隔壁308が基板312に形成されており、隔壁308に囲繞された一つの領域に一つの有機EL素子302が設けられ、このような有機EL素子302が複数マトリクス状に配列されている。また、隔壁308の密着性を向上させるため、酸化シリコンからなる網目状の下地層309が隔壁308と基板312との間に形成されている。
この有機EL表示パネル301の製造方法としては、まず、基板312上に複数のアノード電極315をマトリクス状にパターニングした後、各アノード電極315の間において基板312上に下地層309を網目状にパターニングする。次に、下地層309上に隔壁308をパターニングする。
次に、酸素プラズマクリーニング装置にこの基板312をセットして、酸素プラズマクリーニング装置でアノード電極315上に付着した有機汚物をアッシングすることでアノード電極315をクリーニングする。アノード電極315をクリーニングするのは、有機EL層316をインクジェット方式で成膜するに際してEL溶液の液滴がアノード電極315上で濡れやすくするためである。
次に、フッ化物プラズマ照射装置にこの基板312をセットして、フッ化物プラズマ照射装置で隔壁308にフッ化物プラズマ照射することで隔壁308の表層に撥液性の高いフッ化物層を形成する。隔壁308の表層に撥液性の高いフッ化物層を形成するのは、隔壁308の頭頂部より高くなるような大量のEL溶液が噴出された場合でも隔壁308上にEL溶液が滲むことを防止してアノード電極315上のみにEL溶液が定着させるとともに、隔壁308上で隣り合う画素のEL溶液が混じることを防止するためである。
次に、インクジェット式成膜装置にこの基板312をセットして、インクジェット式成膜装置で各アノード電極315上にEL溶液を噴出後に乾燥させて、各アノード電極315上に有機EL層316をパターニングする。次に、有機EL層312上にカソード電極317を成膜する。
特開2000−323276号公報
ところで、上記製造方法では、下地層309をパターニングした後に隔壁308をパターニングしているため、下地層309上に隔壁308が確実に成膜されるように、平面視して下地層309の幅を隔壁308の幅より広くする必要がある。このように下地層309の幅が隔壁308の幅より広く、下地層309がアノード電極315の周縁部上に形成されるため、発光部分が狭く、所謂開口率が低い。一方、下地層309の幅を狭くすることで開口率を高めたものとしても、隔壁308の形成において隔壁308がアノード電極315上にはみ出てしまうため隔壁308の密着性が低下する。従って、隔壁308はアノード電極315に重なった部分から剥がれてしまう恐れがある。
一方、酸素プラズマクリーニングを行わなければ、EL溶液がアノード電極315上で広がらず、アノード電極315上において有機EL層316の成膜されていない部分が生じてしまう恐れがある。また、フッ化物プラズマ照射を行わなければ、EL溶液が隔壁308上に滲んでしまい、隣り同士の画素同士のEL溶液が隔壁308上で混じってしまう可能性がある。しかしながら、酸素プラズマクリーニングやフッ化物プラズマ照射を行うため、製造工程が煩雑になる。
以上のように従来の製造方法では、高品質の有機EL表示パネルの提供と、製造工程の簡便さとを両立するにも限度がある。そこで、本発明の課題は、高品質のEL表示パネルの提供と製造工程の簡便さの両立を図ることである。
以上の課題を解決するために、請求項1記載の発明に係る製造方法は、例えば図1〜8に示すように、基板(例えば、TFT駆動基板6)の一方の面(例えば、表面6a)に形成された第一電極(例えば、アノード電極15)ごと被覆するように前記基板の一方の面上に下地膜(例えば、酸化シリコン下地膜9’)を成膜する下地膜形成工程(例えば図4に図示)と、前記下地膜上の一面にレジスト膜(例えば、レジスト膜8’)を形成するレジスト膜形成工程(例えば図5に図示)と、前記レジスト膜を部分的に除去することによって残留したレジスト膜(例えば、隔壁8)で囲繞された囲繞領域内に前記第一電極を配するように、前記レジスト膜を形状加工する形状加工工程(例えば、図6に図示)と、前記残留したレジスト膜をマスクとしてC48又はCF4を含むガスで前記下地膜をエッチングすると同時に前記レジスト膜の表層に撥液層を形成するエッチング工程(例えば図7に図示)と、前記レジスト膜間にEL層を形成するEL層形成工程(例えば、図8に図示)と、を含むことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の製造方法において、前記形状加工工程において、前記第一電極の外縁部分に前記残留したレジスト膜が重なるように前記レジスト膜を形状加工することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の製造方法において、前記基板の一方の面に形成された前記第一電極は複数であり、前記下地膜形成工程において複数の前記第一電極ごと前記下地膜で被覆し、前記形状加工工程において前記囲繞領域を複数形成するように、且つ一つの囲繞領域に少なくとも一つの前記第一電極が配されるように前記レジスト膜を形状加工することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の製造方法において、前記EL層(例えば、有機EL層16)は、EL材料を溶解したEL溶液を液滴(例えば、液滴116)として前記囲繞領域に向けて噴出することによって形成されることを特徴とする。
請求項1から4の何れかに記載の発明では、レジスト膜を形状加工して残留したレジスト膜が従来の隔壁308に相当するものとなる。ここで、残留したレジスト膜をマスクとして、下地膜をエッチングしているため、残留した下地膜の形状は残留したレジスト膜の形状に合致する。残留した下地膜は従来の下地層309に相当するものであり、残留した下地膜が残留したレジスト膜(つまり、隔壁)に合致するため、EL素子の発光範囲を最大限に広げることができる。また、残留したレジスト膜が残留した下地膜に合致しているから、残留したレジスト膜が下地膜から第一電極や基板にはみ出てないから、残留したレジスト膜が剥がれにくい。故に、高品質のELパネルを提供することができる。
また、残留したレジスト膜をマスクとして下地膜を形状加工しているため、従来のように下地層309をパターニングした後に隔壁308を下地層309上に成膜する場合と比較しても、工程が省略されて、ELパネルの製造方法が簡便化される。以上のように請求項1から4の何れかに記載の発明では、高品質のELパネルの提供と製造工程の簡便さの両立を図ることができる。
また、残留したレジスト膜をマスクとしてC48又はCF4を含むガスで下地膜をエッチングしているため、残留したレジスト膜の表層にフッ素を含む化合物の層が形成される。フッ素を含む化合物の層は一般的に撥液性が高いため、残留したレジスト膜にフッ化物プラズマ照射をしなくても、EL溶液が残留したレジスト膜上に広がらない。従って、請求項4記載の発明のようにEL溶液でEL層を成膜しようとした場合、残留したレジスト膜上において隣り同士の画素のEL溶液が混じることもない。また、フッ化物プラズマ照射を省略しても残留したレジスト膜上にEL溶液が広がらないから、従来の製造方法に比較してもELパネルの製造方法が簡便化される。
以上のように請求項1から4の何れかに記載の発明によれば、残留した酸化シリコン膜の形状は残留したレジスト膜の形状に合致するから、残留した酸化シリコン及び残留したレジスト膜に囲繞された囲繞領域において、第一電極、EL層及び第二電極からなるEL素子の発光範囲を最大限に広げることができる。従って、高品質のELパネルを提供することができる。また、残留したレジスト膜をマスクとして酸化シリコン膜を形状加工しているため、残留したレジスト膜が、第一電極、EL層及び第二電極からなるEL素子を囲繞する隔壁となる。従って、工程が省略されて、ELパネルの製造方法が簡便化される。
また、残留したレジスト膜の表層にフッ素を含む化合物の層が形成されるから、残留したレジスト膜にフッ化物プラズマ照射をしなくても良い。従って、従来の製造方法に比較してもELパネルの製造方法が簡便化される。
以下に、図面を用いて本発明の具体的な態様について説明する。ただし、発明の範囲を図示例に限定するものではない。なお、以下の説明において、『平面視して』とは、『発光面に対して垂直な方向に見て』という意味である。
図1には、有機EL表示パネル1の断面図が示されている。平面視して、有機EL表示パネル1では赤色、緑色及び青色の複数の画素がマトリクス状に配列されており、一つの画素は、一つの有機EL素子2(詳細については後述する。)によって発光する発光部3と、その発光部3の周囲において発光しない非発光部4とからなる。
有機EL表示パネル1は、アクティブマトリクス駆動方式によりカラー表示を行うものである。即ち、有機EL表示パネル1は、一つの画素につき、一つの有機EL素子2と、有機EL素子2を駆動するための一つの画素スイッチング回路(薄膜トランジスタ5を含む)と、から構成されており、周辺ドライバ回路から出力された信号に従って画素スイッチング回路が有機EL素子2に流れる電流をオン・オフしたり、有機EL素子2の発光期間中に電流値を保持することで有機EL素子2の発光輝度を一定に制御したりする。なお、画素スイッチング回路は、一つにつき、少なくとも一つ以上の薄膜トランジスタ(以下、TFTと述べる。)から構成され、適宜コンデンサ等も付加されることもあるが、以下では画素スイッチング回路のTFTのうち、他の電気素子を介しないで有機EL素子2に直接接続されるTFT5を例にして説明する。
有機EL表示パネル1は、画素スイッチング回路(TFT5を含む)を有するTFT駆動基板6と、TFT駆動基板6に対向した平板状の対向基板7と、TFT駆動基板6と対向基板7との間においてマトリクス状にパターニング形成された複数の有機EL素子2と、有機EL素子2の周囲に設けられた平面視網目状の隔壁8と、隔壁8とTFT駆動基板6との間に形成された平面視網目状の下地層9と、隔壁8及び下地層9の表層の撥液層10と、有機EL素子2を封止する封止樹脂層11等とを具備する。
TFT駆動基板6は、光に対して透過性を有する絶縁性の透明基板12を基本構成としている。透明基板12は、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、その他のガラスといった材料で平板状に形成されている。この透明基板12の一方の面12aにTFT5、配線19(例えば、走査線、信号線等)、その他の電気素子等が形成され、透明基板12の全面にゲート絶縁膜13及び層間絶縁膜14が成膜されて、TFT駆動基板6が構成される。
TFT5は、ゲート電極、ドレイン電極、ソース電極、半導体層、不純物半導体層等から構成されたMOS型の電界効果トランジスタであり、半導体層はアモルファスシリコンであっても、ポリシリコンであってもよく、逆スタガ構造であってもコプラナ構造であってもよい。更に、TFT5は配線19に接続されており、周辺ドライバ回路から各TFT5に電流が流れたり、電圧が印加されたりする。ゲート絶縁膜13は、TFT5の半導体層、不純物半導体層、ソース電極並びにドレイン電極とゲート電極との間に介在するとともに、走査線等の配線19を被覆する。ゲート絶縁膜13は、可視光に対して透過性を有するとともに絶縁性を有する。層間絶縁膜14は、全てのTFT5を被覆して、TFT駆動基板6の表面6aを構成する。また、層間絶縁膜14は信号線等の配線も被覆する。層間絶縁膜14は、可視光に対して透光性を有するとともに絶縁性を有する。
層間絶縁膜14上に複数の有機EL素子2がマトリクス状に配列されている。各有機EL素子2は、アノード電極(第一電極)15と、有機EL層16と、カソード電極(第二電極)17とを具備しており、層間絶縁膜14側から順にアノード電極15、有機EL層16、カソード電極17が積層した積層構造となっている。
ここでは、カソード電極17は、全ての有機EL素子2に共通した電極となっており、一面に形成されている。一方、アノード電極15及び有機EL層16は、画素ごとに設けられており、平面視して複数マトリクス状に配列されている。
アノード電極15は、導電性を有するとともに可視光に対して透光性を有している。更に、アノード電極15は、比較的仕事関数が高く、有機EL層12へ正孔を効率よく注入するものが好ましい。アノード電極15としては、インジウム・スズ・酸化物(ITO:Indium-Tin-Oxide)が望ましいが、例えば、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム(In23)、酸化スズ(SnO2)又は酸化亜鉛(ZnO)を主成分としたものでも良い。なお、画素ごとに層間絶縁膜14にコンタクトホール18が設けられており、コンタクトホール18を介してTFT5のドレイン電極又はカソード電極がアノード電極15に電気的に接続されている。
有機EL層16は、アノード電極15上に形成されている。有機EL層16は、例えば、アノード電極15から順に正孔輸送層、狭義の発光層、電子輸送層となる三層構造であっても良いし、アノード電極15から順に正孔輸送層、狭義の発光層となる二層構造であっても良いし、狭義の発光層からなる一層構造であっても良いし、これらの層構造において適切な層間に電子或いは正孔の注入層が介在した積層構造であっても良いし、その他の層構造であっても良い。
有機EL層16は、正孔及び電子を注入する機能、正孔及び電子を輸送する機能、正孔と電子の再結合により励起子を生成して赤色、緑色又は青色の何れかに発光する機能を有する広義の発光層である。つまり、画素が赤である場合にはその画素の有機EL層16は赤色に発光し、画素が緑である場合にはその画素の有機EL層16は緑色に発光し、画素が青である場合にはその画素の有機EL層16は青色に発光する。
また、有機EL層16は、電子的に中立な有機化合物であることが望ましく、これにより正孔と電子が有機EL層16でバランス良く注入及び輸送される。また、電子輸送性の物質が狭義の発光層に適宜混合されていても良いし、正孔輸送性の物質が狭義の発光層に適宜混合されても良いし、電子輸送性の物質及び正孔輸送性の物質が狭義の発光層に適宜混合されていても良い。なお、有機EL層16に発光材料(蛍光材料)が含有されているが、発光材料は高分子系材料である。この有機EL層16は、後述する成膜装置50によって液滴噴出方式(所謂インクジェット方式)で形成されたものである。
カソード電極17は、仕事関数の低い材料で形成されており、具体的なものとして、マグネシウム、カルシウム、リチウム若しくはバリウム又はこれらの少なくとも一種を含む合金若しくは混合物等で形成され、その上を例えばアルミニウム、クロム等高仕事関数で且つ低抵抗の材料で覆った積層構造になっている。また、カソード電極17は可視光に対して遮光性を有するのが望ましく、かつ、有機EL層16から発する可視光に対して高い反射性を有するのが望ましい。つまり、カソード電極17は可視光を反射する鏡面として作用する。
マトリクス状に配列された複数のアノード電極15及び有機EL層16をそれぞれ仕切るように、下地層9及び隔壁8が平面視して網目状に設けられている。下地層9は、酸化シリコン(SiO2)により形成されており、可視光に対して透過性を有するとともに絶縁性を有する。
隔壁8は、下地層9上に形成されており、平面視して下地層9の形状に合致している。従って、平面視して、隔壁8が下地層9からはみ出ておらず、下地層9が隔壁8からはみ出ていない。また、隔壁8は、ポリイミド樹脂等の感光性樹脂で形成されている。隔壁8とTFT駆動基板6との間に下地層9が介在することで、TFT駆動基板6に対して隔壁8の密着性が高くなっている。隔壁8及び下地層9の表層に撥液層10が形成されているが、撥液層10はフッ素と炭素の化合物であり、有機EL層16の材料(有機EL材料)を数%の濃度で溶媒に溶解したEL溶液をはじく性質を有する。なお、カソード電極17は、全ての有機EL素子2に共通の電極であるため、隔壁8の上面や隔壁8の側面上にも形成されている。
封止樹脂層11は、以上のように構成された複数の有機EL素子2全体を被覆するように成膜されている。この封止樹脂層11は、例えば、エポキシ樹脂等により形成されている。対向基板7は、この封止樹脂層11によって有機EL素子2上に接着されており、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、その他のガラスといった材料で形成されている。
次に、液滴噴出方式で有機EL層16を成膜する成膜装置50について説明する。
図2には、成膜装置50が示された概略側面図である。
成膜装置50は、有機溶媒(例えば、トルエン又はキシレン等)または水溶性の溶媒に有機EL層16の材料(発光性物質、正孔輸送性物質、電子輸送性物質等の有機EL材料)が溶解してなるEL溶液を液滴としてTFT駆動基板6に噴出することで有機EL層16を成膜するものである。ここで、有機EL層16を成膜する際には、下地層9、隔壁8及びアノード電極15が表面6a上に形成されているTFT駆動基板6を用いる。
成膜装置50は、平坦で且つ水平な上面を有するワークテーブル51と、ワークテーブル51を副走査方向Y(ワークテーブル51に平行である。)の順方向及び逆方向の両方に移動する移動装置52と、副走査方向Yに対して略直角な主走査方向X(ワークテーブル51に平行である。)に延在するガイド部53と、ガイド部53に案内されてガイド部53に沿って主走査方向Xの順方向及び逆方向に移動するヘッド部54と、EL溶液を液滴として噴出する複数のノズル55R,55G,55Bと、プラズマ照射を行う酸素プラズマ照射ヘッド56及びフッ化物プラズマ照射ヘッド57と、内部空間66aを形成した箱体66等とを具備する。
ワークテーブル51にはTFT駆動基板6が載置される。
移動装置52は、ヘッド部54の動作に合わせてワークテーブル51とともにTFT駆動基板6を副走査方向Yに搬送するものであり、具体的には、間欠的にTFT駆動基板6を搬送するものである。
ヘッド部54は、間欠的なTFT駆動基板6の搬送に合わせて、ワークテーブル51上においてガイド部53に沿って主走査方向Xに往復移動するものであり、具体的にはTFT駆動基板6が停止している際に主走査方向Xに少なくとも一往復の移動をするものである。
ヘッド部54に複数のノズル55R,55G,55Bが設けられている。ノズル55R,55G,55Bは、主走査方向Xに一列となって等間隔に並んでいる。
各ノズル55R,55G,55Bの内部にはそれぞれ互いに発光色の異なる有機EL材料を含むEL溶液が充填されており、各ノズル55R,55G,55Bには噴出手段が設けられているとともに、ノズル55R,55G,55Bの下端部にはそれぞれ噴出口55Ra,55Ga,55Baが設けられている。ノズル55R,55G,55Bはそれぞれの噴出手段の作動によりそれぞれの噴出口55Ra,55Ga,55BaからEL溶液をTFT駆動基板6に向けて噴出する。噴出手段は、サーマルジェット式、ピエゾ式又は静電式等が挙げられる。
サーマルジェット式の噴出手段は、発熱体でノズル55R,55G,55B内のEL溶液に気泡を発生することでノズル55R,55G,55B内の圧力を変化させることによって、EL溶液の液滴を噴出するものである。
ピエゾ式の噴出手段は、ノズル55R,55G,55B内の溶液に接したピエゾ素子の体積を変化させることでノズル55R,55G,55B内の圧力を変化させることによって、EL溶液の液滴を噴出するものである。
静電式の噴出手段は、ノズル55R,55G,55B内の溶液に接したコンデンサに電圧を印加してコンデンサの電極の引力又は斥力を変化させることでノズル55R,55G,55B内の溶液の圧力を変化させることによって、EL溶液の液滴を噴出するものである。
なお、噴出口55Raからは、赤色に発光する有機EL層16のEL溶液が噴出され、噴出口55Gaからは緑発光のEL溶液が噴出され、噴出口55Baからは青発光のEL溶液が噴出される。
更に、ヘッド部54には、酸素プラズマ照射ヘッド56と、フッ化物プラズマ照射ヘッド57とが設けられている。酸素プラズマ照射ヘッド56は、TFT駆動基板6に向けて酸素のプラズマ照射を行うものである。フッ化物プラズマ照射ヘッド57は、TFT駆動基板6に向けてフッ化物のプラズマ照射を行うものである。
酸素プラズマ照射においては、酸素ガス供給源58からガス混合器60へ酸素ガスが供給され、不活性ガス供給源59からガス混合器60へアルゴンガス又はヘリウムガスが供給され、酸素ガスとアルゴンガスの混合ガス、又は酸素ガスとヘリウムガスの混合ガスがガス混合器60から酸素プラズマ照射ヘッド56へ供給されるようになっている。ここで、高周波電源61で酸素プラズマ照射ヘッド56の電極に高周波電圧が印加されると、酸素プラズマ照射ヘッド56からTFT駆動基板6に向けて酸素プラズマ(電離した酸素ガス(例えば、酸素ラジカル、酸素イオン等))が照射されるようになっている。酸素プラズマ照射ヘッド56から照射されたプラズマは、大気圧のプラズマであるが、大気圧より気圧の低い減圧プラズマであっても良い。
フッ化物プラズマ照射においては、フッ化物ガス供給源62からガス混合器64へF2ガス又はCF4ガス(以下、F2ガス、CF4ガスをまとめてフッ化物ガスと称する。)が供給され、不活性ガス供給源63からガス混合器64へアルゴンガス又はヘリウムガスが供給され、フッ化物ガスとアルゴンガスの混合ガス、又はフッ化物ガスとヘリウムガスの混合ガスがガス混合器64からフッ化物プラズマ照射ヘッド57へ供給されるようになっている。ここで、高周波電源65でフッ化物プラズマ照射ヘッド57の電極に高周波電圧が印加されると、フッ化物プラズマ照射ヘッド57からTFT駆動基板6に向けてフッ化物プラズマ(電離したフッ化物ガス(例えば、フッ化物ラジカル、フッ化物イオン等))が照射されるようになっている。フッ化物プラズマ照射ヘッド57から照射されるプラズマは、大気圧のプラズマであるが、大気圧より気圧の低い減圧プラズマであっても良い。なお、ガス混合器64へO2ガスが供給されても良い。
酸素プラズマ照射ヘッド56及びフッ化物プラズマ照射ヘッド57は、ノズル55R,55G,55Bとともに主走査方向Xに一列となって並んでいる。つまり、酸素プラズマ照射ヘッド56、フッ化物プラズマ照射ヘッド57及びノズル55R,55G,55Bは一直線状に配列されており、酸素プラズマ照射ヘッド56、フッ化物プラズマ照射ヘッド57及びノズル55R,55G,55Bを結ぶ直線は主走査方向Xに平行となっている。
また、酸素プラズマ照射ヘッド56は、主走査方向Xの順方向の最前に配置されており、酸素プラズマ照射ヘッド56の逆方向側にフッ化物プラズマ照射ヘッド57が配置されており、フッ化物プラズマ照射ヘッド57の逆方向側にノズル55R,55G,55Bが配置されている。従って、ヘッド部54が主走査方向Xの順方向に移動している場合、TFT駆動基板6上のある点の直上を、酸素プラズマ照射ヘッド56、フッ化物プラズマ照射ヘッド57、ノズル55R,55G,55Bの順に通過する。なお、ノズル55R,55G,55Bの並び順は、どのような並び順であっても良い。
ワークテーブル51、ノズル55R,55G,55B、酸素プラズマ照射ヘッド56及びフッ化物プラズマ照射ヘッド57は、箱体66内に配設されている。従って、TFT駆動基板6が副走査方向Yに移動されること、ノズル55R,55G,55BからEL溶液の液滴が噴出されること、EL溶液の液滴がTFT駆動基板6に着弾すること、TFT駆動基板6に酸素プラズマ照射すること、及びTFT駆動基板にフッ化物プラズマ照射することが、箱体66の内部空間66aにおいて行われる。
なお、移動装置52、ヘッド部54、ノズル55R,55G,55B、酸素プラズマ照射ヘッド56、フッ化物プラズマ照射ヘッド57、高周波電源61及び高周波電源65は制御装置(図示略)によって制御されて所定タイミングで動作したり、停止したりする。
有機EL表示パネル1の製造方法について説明する。
まず、TFT駆動基板6を製造する。つまり、PVD法或いはCVD法等による成膜工程、フォトリソグラフィー法等によるマスク工程、エッチング法等による薄膜形状加工工程を適宜行うことによって、画素ごとに画素スイッチング回路(TFT5を含む)を透明基板12の面12aにパターニング形成するとともに、面12aに配線19をパターニング形成し、更に一面に層間絶縁膜14を成膜する。
次に、層間絶縁膜14にコンタクトホールを形成後、PVD法或いはCVD法等による成膜工程、フォトリソグラフィー法等によるマスク工程、エッチング法等による薄膜形状加工工程を適宜行うことによって、層間絶縁膜14上に複数のアノード電極15をマトリクス状にパターニング形成し、コンタクトホール18を介してアノード電極15をTFT5に接続する(図3)。なお、図3(b)はこの工程直後におけるTFT駆動基板6の平面図を示し、図3(a)は図3(b)の破断線A−Aにおける断面図を示す。
次に、PVD法或いはCVD法等による成膜工程を行うことで、複数のアノード電極15の形成された層間絶縁膜14上の一面に酸化シリコン下地膜9’を成膜する(図4)。ここで、酸化シリコン下地膜9’で全てのアノード電極15を被覆するように、酸化シリコン下地膜9’を成膜する。なお、図4(b)はこの工程直後におけるTFT駆動基板6の平面図を示し、図4(a)は図4(b)の破断線B−Bにおける断面図を示す。
次に、スピンコート法又はディップ法等によって、酸化シリコン下地膜9’上の一面に感光性樹脂のレジスト膜8’を成膜する(図5)。酸化シリコン下地膜9’はレジスト膜8’に対して密着性が高いから、酸化シリコン下地膜9’を成膜せずにTFT駆動基板6の透明基板12のガラス表面やアノード電極15の表面に直接レジスト膜8’を成膜した場合よりもレジスト膜8’が剥がれにくい。なお、図5(b)はこの工程直後におけるTFT駆動基板6の平面図を示し、図5(a)は図5(b)の破断線C−Cにおける断面図を示す。
次に、レジスト膜8’を形状加工するために、レジスト膜8’を選択的に露光する。ここで、レジスト膜8’がネガ型である場合には隔壁8となる部分を露光し、レジスト膜8’がポジ型である場合には隔壁8となる部分以外を露光する。次に、レジスト膜8’に現像液を散布して、隔壁8となる部分以外のレジスト膜8’を現像液で除去することで、レジスト膜8’を形状加工する。レジスト膜8’の残留した部分が隔壁8となる(図6)。ここで、図6(b)に示すように、平面視して、各アノード電極15の外縁部に隔壁8の一部が重なるようにレジスト膜8’を形状加工する。レジスト膜8’を形状加工することで隔壁8が形成されるが、隔壁8で囲繞される囲繞領域は複数形成され、この時点では平面視してそれぞれの囲繞領域に一つのアノード電極15が配される。なお、図6(b)はこの工程直後におけるTFT駆動基板6の平面図を示し、図6(a)は図6(b)の破断線D−Dにおける断面図を示す。
次に、隔壁8をマスクとして酸化シリコン下地膜9’をC48ガスによるドライエッチング(プラズマエッチング)を行う。これにより、酸化シリコン下地膜9’のうち隔壁8に平面視して重なっていない部分が除去され、隔壁8に重なった部分が残留して下地層9となる(図7)。隔壁8をマスクとしているため、図7(b)に示すように、酸化シリコン下地膜9’の残留した部分(つまり、下地層9)の形状は平面視して隔壁8に合致しており、下地層9が隔壁8からはみ出ていることもなく、隔壁8が下地層9からはみ出ていることもない。隔壁8によって囲繞された囲繞領域で酸化シリコン下地膜9’が除去されることで、囲繞領域にアノード電極15が露出する。
また、ドライエッチングにおいてC48がプラズマ化すると、CFやCF2のラジカル種が発生するが、ラジカル種が酸化シリコンと反応するから酸化シリコン下地膜9’が除去される。一方、ラジカル種は感光性樹脂(ポリイミド樹脂)と反応しないため、隔壁8の表層ではラジカル種が重合することで、フッ素と炭素の化合物が形成されて、隔壁8の表層に撥液層10が形成される。従って、隔壁8をマスクとしたC48ガスのドライエッチングによって、酸化シリコン下地膜9’を形状加工することと、隔壁8の表層に撥液層10を成膜することを同時行うことができる上、更に、下地層9の形状を隔壁8と合致することができる。なお、エッチングガスとしてC48の代わりに、CF4やこれらの少なくともいずれかを含む混合ガスを用いても良く、酸化シリコン下地膜9’をエッチングできるとともに隔壁8の表層にフッ素化合物の撥液層10を成膜できるフッ素化合物ガスであれば何でも良い。なお、図7(b)はこの工程直後におけるTFT駆動基板6の平面図を示し、図7(a)は図7(b)の破断線E−Eにおける断面図を示す。
次に、アノード電極15、隔壁8、下地層9及び撥液層10の形成されたTFT駆動基板6を成膜装置50にセッティングする。つまり、箱体66内のワークテーブル51上にTFT駆動基板6を載置する。次に、成膜装置50を用いて、アノード電極15を酸素プラズマ照射することでアノード電極15をクリーニングしつつ、且つ、隔壁8をフッ化物プラズマ照射することで隔壁8の表層に撥液層10を成膜しつつ、隔壁8に囲繞された囲繞領域に有機溶媒の液滴を噴出することで隔壁8に囲繞された囲繞領域に有機EL層16を成膜する。
詳細には成膜装置50は、制御装置に制御されて以下のように動作する。
つまり、成膜装置50が、移動装置52でTFT駆動基板6を副走査方向Yに間欠的に搬送する。ここで、TFT駆動基板6が停止している際に、ヘッド部54が主走査方向Xに少なくとも一往復する。
図8に示すように、ヘッド部54が主走査方向Xの順方向に移動している最中では、まず、酸素プラズマ照射ヘッド56がアノード電極15の直上を通過するとともに、フッ化物プラズマ照射ヘッド57が隔壁8の直上を通過する。酸素プラズマ照射ヘッド56がアノード電極15の直上を通過している最中には、酸素プラズマ照射ヘッド56がアノード電極15に向けて酸素プラズマを噴出し、これによりアノード電極15の表面に付着した有機不要物が灰化(アッシング)されて、アノード電極15がクリーニングされる。
一方、フッ化物プラズマ照射ヘッド57が隔壁8の直上を通過している最中には、フッ化物プラズマ照射ヘッド57が隔壁8に向けてフッ化物プラズマを噴出し、これにより隔壁8の表層でフッ化物プラズマのラジカル種が重合して、隔壁8の表層に撥液層10が成膜される。先程のドライエッチングによって撥液層10が十分に成膜されていない場合でも、フッ化物プラズマ照射によって隔壁8の表層に撥液層10が確実に成膜される。
酸素プラズマ照射ヘッド56がアノード電極15上の通過後、ノズル55R,55G,55Bがアノード電極15の直上を通過する。ノズル55R,55G,55Bがアノード電極15上を通過している最中には、ノズル55R,55G,55Bのうちの色に応じた一つのノズルがアノード電極15に向けてEL溶液を液滴116として一回又は複数回噴出する。
アノード電極15に着弾した液滴116がアノード電極15上で広がって膜になり、そして固化することによって、有機EL層16が形成される。アノード電極15がプラズマクリーニングされているので、アノード電極15はEL溶液に対して濡れ性が高いとともに撥液性が低いから、EL溶液はアノード電極15上で広がりやすい。従って、隔壁8に囲繞された囲繞領域において、EL溶液がアノード電極15一面に広がり、有機EL層16がアノード電極15の一面に均等な厚さで成膜される。
また、隔壁8の頭頂部より高くなるような大量のEL溶液が噴出された場合でも、隔壁8の表層に撥液性の高い撥液層10が成膜されているため、EL溶液が隔壁8上に滲むことがない。そのため、隣り合う二つの画素のEL溶液同士が隔壁8上で混ざることがない。ここで、固体(撥液層10)の臨界表面張力をγcとし、液体(EL溶液)の表面張力をγLとし、固体と液体との接触角をθとすると、式(1)のような関係式が成立する。
COSθ=1+b(γc−γL) …(1) (但し、bは定数)
撥液層10の材料から望ましいEL溶液の表面張力を考慮すると、撥液層10がポリ四フッ化エチレンからできている場合、臨界界面張力γcは約18×10-3となる。このため、表面張力γLが、γL<18×10-3[N/m]であるEL溶液であれば、ポリ四フッ化エチレンの撥液層10の撥液性が生じ効果が生じることになる。EL溶液の表面張力から望ましい撥液層10の材料を考慮すると、EL溶液中の有機溶剤で主に用いられるトルエンやキシレンの表面張力は、γL≒28×10-3[N/m]であり、EL溶液もほぼ同様の値なので撥液層10の臨界界面張力γcが表面張力より小さくなれば、良好な撥液性を示すから、撥液層10の臨界界面張力γc≦28×10-3[N/m]が望ましい。
以上のようにヘッド部54が主走査方向Xに少なくと一往復した後、成膜装置50は、移動装置52でTFT駆動基板6を副走査方向Yに所定距離搬送する。そして、TFT駆動基板6が再び停止したら、成膜装置50はヘッド部54の往復移動、EL溶液の噴出、及びプラズマ照射を再び行う。以降、成膜装置50が上述の動作を繰り返すことにより、隔壁8に囲繞された囲繞領域全てに有機EL層16が成膜される。
なお、酸素プラズマ照射ヘッド56によるプラズマ照射、フッ化物プラズマ照射ヘッド57によるプラズマ照射及びノズル55R,55G,55Bによる液滴噴出が行われている最中には、ヘッド部54が停止しても良いし、ヘッド部54が移動していても良い。また、隔壁8の寸法や間隔、隔壁8に囲繞された囲繞領域の寸法や間隔が予め制御装置に記憶されており、記憶されたデータに基づいて制御装置は、ヘッド部54の移動速度、移動開始タイミング並びに停止タイミング、移動装置52の移動速度、移動開始タイミング並びに停止タイミング、ノズル55R,55G,55Bの噴出タイミング、酸素プラズマ照射ヘッド56の照射タイミング、及びフッ化物プラズマ照射ヘッド57の照射タイミングを演算し、移動装置52、ヘッド部54、ノズル55R,55G,55B、酸素プラズマ照射ヘッド56及びフッ化物プラズマ照射ヘッド57を制御する。
成膜装置50による有機EL層16の成膜が終了したら、PVD法又はCVD法等による成膜工程を行うことで、一面にカソード電極17を成膜する。次に、流動性のある封止樹脂をディスペンサ装置又はスプレー装置等によって一面に塗布し、封止樹脂でカソード電極17に対向基板7を接着する。封止樹脂が固化することで、それが封止樹脂層11となり、有機EL表示パネル1が完成する。
以上の実施の形態では、隔壁8をマスクとしてドライエッチングすることによって下地層9を形状加工しているため、隔壁8に下地層9を合致することができる。故に、平面視して、下地層9の面積を最小限にすることができ、発光部3を最大限に広げることができる。従って、この有機EL表示パネル1では、画素の発光効率が高く、高コントラストの表示を行うことができる。
また、平面視して隔壁8が下地層9に合致しているため、隔壁8がアノード電極15上にはみ出ていない。従って、隔壁8が剥がれにくい。
また、隔壁8をマスクに代用しているため、従来のように下地層309に形状加工した後に隔壁308を下地層309上に成膜する場合と比較しても、本実施形態では工程が省略されて、有機EL発光パネルの製造方法が簡便化される。
また、以上の説明では、撥液層10を確実に成膜するために成膜装置50でフッ化物プラズマ照射を行っていたが、ドライエッチングによって撥液層10を成膜することを同時行うことができるから、フッ化物プラズマ照射を省略することができる。
また、成膜装置50には酸素プラズマ照射機能が付加されているから、プラズマクリーニング用の装置から有機EL層成膜用の装置へとTFT駆動基板6を移し替えることなく、アノード電極15のクリーニングと有機EL層16の成膜を行える。つまり、ノズル55R,55G,55Bと酸素プラズマ照射ヘッド56とがヘッド部54に設けられているから、アノード電極15をプラズマクリーニングした直後にEL溶液の液滴をアノード電極15に噴出することができる。従い、アノード電極15の濡れ性を安定して高い状態に維持した状態で、EL溶液の液滴をアノード電極15に着弾することができ、有機EL層16を均等な厚さで成膜することができる。そのうえ、所謂白抜けの発生を抑えることができる。ここで白抜けとは、隔壁8に囲繞された囲繞領域においてアノード電極15上において有機EL層16の成膜されていない部分であり、隔壁8に囲繞された囲繞領域において発光しない部分である。
また、成膜装置50にフッ化物プラズマ照射機能が付加されているから、フッ化物プラズマ照射用の装置から有機EL層成膜用の装置へとTFT駆動基板6を移し替えることなく、撥液層10の成膜と有機EL層16の成膜を行える。従って、撥液層10が汚染されることなく、隔壁8の表層の撥液性を安定して高い状態に維持した状態で、EL溶液の液滴をアノード電極15に着弾することができる。故に、隣り合う二つの画素のEL溶液同士が隔壁8上で混ざることがない。
また、成膜装置50では、酸素プラズマ照射ヘッド56がヘッド部54に設けられ、酸素プラズマ照射ヘッド56から酸素プラズマを照射する構成となっているから、部分的に酸素プラズマをアノード電極15に照射することができ、酸素プラズマを隔壁8に照射しなくても済む。従って、酸素プラズマによって隔壁8がアッシングされることがない。同様に、フッ化物プラズマ照射ヘッド57がヘッド部54に設けられ、フッ化物プラズマ照射ヘッド57からフッ化物プラズマを照射する構成となっているから、部分的に酸素プラズマを隔壁8に照射することができ、酸素プラズマをアノード電極15に照射しなくても済む。従って、アノード電極15の表層にフッ素と炭素を含む化合物が形成されなく、アノード電極15の濡れ性を高く維持できる。
また、この成膜装置50を用いれば、アノード電極15のクリーニングと、隔壁8に撥液性の付与と、有機EL層16の成膜とをほぼ同時に行えるから、有機EL発光パネル1の製造方法が簡便化される。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。例えば、上記実施形態ではカソード電極17が共通電極でありアノード電極15が画素ごとにパターニングされた電極であるが、逆にカソード電極が画素ごとにパターニングされた電極でアノード電極が共通電極であっても良い。この際、にも下地層9及び隔壁8がアノード電極上に網目状に形成されるが、隔壁8及び下地層9が網目状に形成された時点では隔壁8に囲繞された囲繞領域においてアノード電極が露出する。
また、上記実施形態ではTFT駆動基板6に複数のアノード電極15をパターニングし、その後下地膜9’を成膜したが、透明なガラス基板に複数のアノード電極15をパターニングし、その後下地膜9’を成膜しても良い。
また、上記実施形態では、下地層9及び下地膜9’が酸化シリコンであったが、下地層9’及び下地膜9’が窒化シリコンであっても良い。
また、上記実施形態ではヘッド部54に設けられる各色のノズル55R,55G,55Bはそれぞれ一つずつであったが、各色のノズル55R,55G,55Bが複数であっても良い。
また、上記実施形態ではヘッド部54が主走査方向Xの順方向に移動している際に、ノズル55R,55G,55Bから液滴が噴出されているが、ヘッド部54が逆方向に移動している際にもノズル55R,55G,55Bから液滴が噴出されても良い。この場合、ノズル55Bの逆方向側においてフッ化物プラズマ照射ヘッド及び酸素プラズマ照射ヘッドをヘッド部54に設けるのが望ましい。
また、上記実施形態ではヘッド部54が主走査方向Xに移動可能であったが、主走査方向X及び副走査方向Yに移動可能、つまりワークテーブル51に対して平行な面に沿って移動可能であっても良い。この場合、ワークテーブル51が固定されていても良い。
同様に、ワークテーブル51が移動装置52によって主走査方向X及び副走査方向Yに移動可能であっても良い。この場合、ヘッド部54が固定されていても良い。
つまり、ワークテーブル51に載置されたTFT駆動基板6に対してヘッド部54が相対的に移動可能であれば良い。
また、図9に示すように、ヘッド部54にフッ化物プラズマ照射ヘッドが設けられてない成膜装置150で有機EL層16を成膜しても良く、図10に示すように、ヘッド部54に酸素プラズマヘッドが設けられていない成膜装置250で有機EL層16を成膜しても良い。なお、成膜装置150及び成膜装置250については、成膜装置50と同様の構成要素に同様の符号を付してその説明を省略する。
図1は、有機EL表示パネルの部分的な断面図である。 図2は、有機EL層を成膜する成膜装置を示す側面図である。 図3は、図1の有機EL表示パネルの製造方法の一工程を示した図面である。 図4は、図1の有機EL表示パネルの製造方法の一工程を示した図面である。 図5は、図1の有機EL表示パネルの製造方法の一工程を示した図面である。 図6は、図1の有機EL表示パネルの製造方法の一工程を示した図面である。 図7は、図1の有機EL表示パネルの製造方法の一工程を示した図面である。 図8は、図1の有機EL表示パネルの製造方法の一工程を示した図面である。 図9は、図2の成膜装置とは別の成膜装置を示した側面図である。 図10は、図2又は図9の成膜装置とは別の成膜装置を示した側面図である。 図11は、従来の有機EL表示パネルを示した平面図及び断面図である。
符号の説明
1 有機EL表示パネル(有機ELパネル)
2 有機EL素子
5 薄膜トランジスタ
6 TFT駆動基板(基板)
6a 表面
7 対向基板
8 隔壁(残留したレジスト膜)
8’ レジスト膜
9 下地層
9’ 酸化シリコン下地膜(下地膜)
10 撥液層
12 透明基板
15 アノード電極(第一電極、電極)
16 有機EL層
17 カソード電極
50、150、250 成膜装置
54 ヘッド部(移動体)
55R,55G,55B ノズル(液滴噴出部)
56 酸素プラズマ照射ヘッド(酸素プラズマ照射部)
57 フッ化物プラズマ照射ヘッド(フッ化物プラズマ照射部)

Claims (4)

  1. 基板の一方の面に形成された第一電極ごと被覆するように前記基板の一方の面上に下地膜を成膜する下地膜形成工程と、
    前記下地膜上の一面にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
    前記レジスト膜を部分的に除去することによって残留したレジスト膜で囲繞された囲繞領域内に前記第一電極を配するように、前記レジスト膜を形状加工する形状加工工程と、
    前記残留したレジスト膜をマスクとしてC48又はCF4を含むガスで前記下地膜をエッチングすると同時に前記レジスト膜の表層に撥液層を形成するエッチング工程と、
    前記レジスト膜間にEL層を形成するEL層形成工程と、
    を含むELパネルの製造方法。
  2. 前記形状加工工程において、前記第一電極の外縁部分に前記残留したレジスト膜が重なるように前記レジスト膜を形状加工することを特徴とする請求項1記載のELパネルの製造方法。
  3. 前記基板の一方の面に形成された前記第一電極は複数であり、
    前記下地膜形成工程において複数の前記第一電極ごと前記下地膜で被覆し、
    前記形状加工工程において前記囲繞領域を複数形成するように、且つ一つの囲繞領域に少なくとも一つの前記第一電極が配されるように前記レジスト膜を形状加工することを特徴とする請求項1又は2記載のELパネルの製造方法。
  4. 前記EL層は、EL材料を溶解したEL溶液を液滴として前記囲繞領域に向けて噴出することによって形成されることを特徴とする請求項3に記載のELパネルの製造方法。
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