JP4501306B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気ガスを浄化する際に排気ガス中の未燃燃料分を低温時に吸着して高温時に放出する未燃燃料吸着機能を有する内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の排気ガスは、三元触媒などの排気浄化触媒によって浄化された後に大気に放出される。排気浄化触媒は、ある所定の活性化温度にならないと本来の浄化性能を発揮し得ない。排気ガス中に含まれる成分のうちで浄化されるものの一つとして、完全に燃焼せずに排気ガス中に含まれることとなった未燃燃料分である炭化水素HCがある。特に、冷間始動直後の排気ガスにはこの炭化水素HCが多量に含まれる。
【0003】
そこで、冷間始動時に排気ガス中の未燃燃料を吸着する吸着部材を排気通路上に配置し、排気浄化触媒がある程度暖まった後に吸着部材から未燃燃料を放出させて排気浄化触媒で浄化するようにした排気浄化装置が実用化されている。このような吸着部材は、一般にHC吸着材と呼ばれている。排気浄化触媒自体に未燃燃料を吸着する物質を担持させ、HC吸着材の機能と排気浄化触媒の機能とを一体化させたものも知られている。HC吸着材としては、特開平7-232084号公報に記載のものなどが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した公報に記載されているHC吸着材もそうであるが、このようなHC吸着材は低温時に未燃燃料を吸着して高温時に未燃燃料を放出するのが一般的な性質である。そこで、排気ガス中の炭化水素HCをより多く吸着し、かつ、排気浄化触媒が活性化温度となるまで、吸着した炭化水素HCをより確実に保持しておくことができるような改善が望まれていた。
【0005】
従って、本発明の目的は、排気ガスを浄化するに際して、冷間始動後の未燃燃料の吸着を確実に行い、排気ガスの浄化効率を向上させることのできる内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の排気通路上に配設されて排気ガス中の未燃燃料を吸着・放出する機能を有するもので、排気通路上に形成された拡径部と、拡径部の内部に配置され、低温時に未燃燃料を吸着し、高温時に吸着した未燃燃料を放出する筒状の吸着部材と、拡径部内の吸着部材の上流側に形成された第一空間と、拡径部内の吸着部材の下流側に形成され、第一空間よりも容積の小さい第二空間とを備えていることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置は、請求項1に記載の発明において、吸着部材の中央に形成された孔部に対して排気ガスを案内する筒状のガイド部材が吸着部材の上流側に配設されており、ガイド部材の上流側内径が下流側内径よりも大きいことを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置は、請求項1又は2に記載の発明において、排気通路上の拡径部の下流側に、排気浄化触媒が配置されていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の排気通路上に配設されて排気ガス中の未燃燃料を吸着・放出する機能を有する未燃燃料吸着部材を備えており、未燃燃料吸着部材が、排気通路上に形成された拡径部の内部に配置された筒状の形態を有するもので、未燃燃料吸着部材の中央に位置する貫通流路の内径が、上流側から下流側にかけて徐々に小さくされていることを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載の内燃機関の排気浄化装置は、請求項4に記載の発明において、貫通流路が未燃燃料吸着部材の中央に形成された孔部によって形成されており、孔部の内径が上流側から下流側にかけて徐々に小さくされていることを特徴としている。
【0011】
請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置は、請求項4に記載の発明において、貫通流路が未燃燃料吸着部材の中央に形成された孔部内に配設された筒状部材によって形成されており、筒状部材の内径が上流側から下流側にかけて徐々に小さくされていることを特徴としている。
【0012】
請求項7に記載の発明は、、請求項4〜6の何れかに記載の発明において、排気通路上の拡径部の下流側に、排気浄化触媒が配置されていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項8に記載の発明は、内燃機関の排気通路上に配設されて排気ガス中の未燃燃料を吸着・放出する機能を有する未燃燃料吸着部材を備えており、未燃燃料吸着部材が、排気通路上に形成された拡径部の内部に配置された筒状の形態を有するもので、拡径部の上流側の流入管内径が下流側の流出管内径よりも大きいことを特徴としている。
【0014】
また、請求項9に記載の発明は、内燃機関の排気通路上に配設されて排気ガス中の未燃燃料を吸着・放出する機能を有する未燃燃料吸着部材を備えており、未燃燃料吸着部材が、排気通路上に形成された拡径部の内部に配置された筒状の形態を有するもので、拡径部の上流側の拡径角度が下流側の拡径角度よりも小さいことを特徴としている。
【0015】
また、請求項10に記載の発明は、内燃機関の排気通路上に配設されて排気ガス中の未燃燃料を吸着・放出する機能を有する未燃燃料吸着部材を備えており、未燃燃料吸着部材が、排気通路上に形成された拡径部の内部に配置された筒状の形態を有し、拡径部の内部で少なくとも二つに分割されて上流・下流方向に直列に配置されていることを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
まず、請求項1に記載の発明(第一発明)及び請求項1に従属する請求項2及び3に記載の発明についての実施形態(第一実施形態)について説明する。本実施形態(第一実施形態)の排気浄化装置を有するエンジン(内燃機関)1を図1に示す。エンジン1は、多気筒エンジンであるが、ここではそのうちの一気筒のみを断面図として示す。エンジン1は、図1に示されるように、点火プラグ2によって各シリンダ3内の混合気に対して点火を行うことによって駆動力を発生する。エンジン1の燃焼に際して、外部から吸入した空気は吸気通路4を通り、インジェクタ5から噴射された燃料と混合され、混合気としてシリンダ3内に吸気される。シリンダ3の内部と吸気通路4との間は、吸気バルブ6によって開閉される。シリンダ3の内部で燃焼された混合気は、排気ガスとして排気通路7に排気される。シリンダ3の内部と排気通路7との間は、排気バルブ8によって開閉される。
【0017】
吸気通路4上には、シリンダ3内に吸入される吸入空気量を調節するスロットルバルブ9が配設されている。このスロットルバルブ9には、その開度を検出するスロットルポジションセンサ10が接続されている。また、スロットルバルブ9は、スロットルモータ11と連結されており、スロットルモータ11の駆動力によって開閉される。スロットルバルブ9の近傍には、アクセルペダルの操作量(アクセル開度)を検出するアクセルポジションセンサ12も配設されている。さらに、吸気通路4上には、吸入空気量を検出するためのエアフロメータ13も取り付けられている。
【0018】
エンジン1のクランクシャフト近傍には、クランクシャフトの位置を検出するクランクポジションセンサ14が取り付けられている。クランクポジションセンサ14の出力からは、シリンダ3内のピストン15の位置や、エンジン回転数を求めることもできる。エンジン1には、エンジン1のノッキングを検出するノックセンサ16や冷却水温を検出する水温センサ17も取り付けられている。
【0019】
さらに、排気通路7上には、その上流側に始動時触媒24が配設されており、さらにこの下流側に未燃燃料である炭化水素HCを吸着するHC吸着部19が配設されている。始動時触媒24は、シリンダ3に近い位置にあるので、エンジン1の始動直後に排気ガスによって早期に活性化温度にまで昇温され、より早期に排気ガスの浄化を開始する目的で設置された浄化触媒である。
【0020】
HC吸着部19は、始動時触媒24によって浄化されずに下流側に流れた未燃燃料である炭化水素HCを吸着する。炭化水素HCが始動時触媒24によって浄化されない場合としては、始動時触媒24が活性化温度に達していない場合や、達していても、その浄化能力を超えた炭化水素HCがシリンダ3から排出された場合などが考えられる。このHC吸着部19については、追って詳しく説明する。
【0021】
HC吸着部19の下流側には、排気ガスを浄化する排気浄化触媒20が配設されている。排気浄化触媒20の内部には、モノリス型コンバータ20aが収納されている。コンバータ20aは、ハニカム状の断面を持ち、その表面にはプラチナやロジウムなどの触媒金属が担持されている。始動時触媒24及び排気浄化触媒20は、三元触媒であり、排気ガス中の炭化水素HC、一酸化炭素CO、窒素酸化物NOxを浄化する。HC吸着部19と排気浄化触媒20との間には、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの排気空燃比を検出する酸素センサ21(図2以降の図には図示せず)が配設されている。
【0022】
酸素センサ21は、排気ガス中の酸素濃度から、排気ガスの排気空燃比がリーン側にあるかリッチ側にあるかを検出するものである。酸素センサ21は、所定の活性化温度に達しないと有効に機能しないので、早期に活性化温度に昇温されるように供給される電力によって発熱するヒータが内蔵されている。本実施形態においては、これらのHC吸着部19や三元触媒である排気浄化触媒20、排気空燃比を検出する酸素センサ21、酸素センサ21の検出結果に基づいて燃料噴射量を演算する電子制御ユニット(ECU)18などで排気浄化装置が構成されている。
【0023】
これらの点火プラグ2、インジェクタ5、スロットルポジションセンサ10、スロットルモータ11、アクセルポジションセンサ12、エアフロメータ13、クランクポジションセンサ14、ノックセンサ16、水温センサ17、酸素センサ21やその他のセンサ類は、エンジン1を総合的に制御するECU18と接続されており、ECU18からの信号に基づいて制御され、あるいは、検出結果をECU18に対して送出している。ECU18には、チャコールキャニスタ22によって捕集された燃料タンク内での蒸発燃料を吸気通路4上にパージさせるパージコントロールバルブ23なども接続されている。
【0024】
上述したHC吸着部19について詳しく説明する。HC吸着部19の拡大断面図を図2に示す。
【0025】
図2に示されるように、HC吸着部19は、排気通路7上に形成された拡径部19a及びその内部に構築されている。拡径部19aは、その上流側及び下流側の排気通路7の双方に対して、内径が拡張された形態を有している。そして、拡径部19aの内部には、筒状(ここでは円筒状)の吸着部材19bが配設されている。吸着部材19bは、排気ガスの流れ方向に多数の微小な貫通孔を有するハニカム状の構造体であるが、その中央部に排気ガスの流れ方向に平行な孔部19cが形成されている。孔部19cは上述した微小な貫通孔ではなく、大きな内径を有しており、本実施形態では拡径部19aの上流側及び下流側の排気通路7の内径とほぼ等しくされている。
【0026】
吸着部材19bは、ハニカム状とされることでその表面積が増やされており、その表面には炭化水素HCを吸着する物質がコーティングされている。また、吸着部材19bの外周は、必ずしも拡径部19aの内壁に接触していなくても良いが、内壁に対して近接するようにされ、この隙間を排気ガスが流れないようにしてある。
【0027】
拡径部19aの内部において、吸着部材19bの上流側及び下流側の双方には空間が形成されている。ここでは、吸着部材19bの上流側に第一空間19d、下流側に第二空間19eが形成されている。拡径部19aは、この第一空間19d及び第二空間19eにおいて、その内径を拡大あるいは縮小させている。そして、第一空間19dの容積の方が第二空間19eの容積よりも大きく、言い換えれば、第二空間19eの容積の方が第一空間19dの容積よりも小さくされている。
【0028】
また、吸着部材19bの上流側には、第一空間19dに突出するようにガイド部材19fが配設されている。ガイド部材19fは、排気通路7から流れてきた排気ガスを吸着部材19bの孔部19cに導く役目を持っている。ガイド部材19fは、円筒状・ファンネル状の形態を有しており、その内径は上流側から下流が向けて縮小されている。そして、下流側の端部内径が孔部19cの内径と等しくされ、吸着部材19bに対して結合されている。なお、本実施形態では、ガイド部材19fを吸着部材19bに結合させたが、必ずしも結合されていなくても良く、ガイド部材19fと吸着部材19bとの間に隙間が形成されても良い。
【0029】
上述した構造のHC吸着部19に冷間始動直後の排気ガスが流入した場合の排気ガスの流れと、それに伴う排気ガス中の炭化水素HCの吸着について説明する。
【0030】
上流側からHC吸着部19に流れてきた排気ガスは、拡径部19a内の第一空間19dにおいて、その体積を膨張させることができる。排気ガスが膨張することで排気ガスの温度が下がり、排気ガスによって暖められるHC吸着部19全体(特に吸着部材19b)の温度が下がる。HC吸着部19(特に吸着部材19b)の温度を下がるので、吸着部材19bに一旦吸着された炭化水素HCの吸着部材19bからの脱離を遅らせることができる。
【0031】
また、拡径部19a内に流れ込んだ排気ガスは、体積を膨張させつつ、ガイド部材19fによって案内されて、その大部分が吸着部材19bの孔部19cに流れ込む。そして、第二空間19eに達して下流側の排気通路7に流れる際に、排気ガスは今度はその体積を縮小させる。ここで、第一空間19dと第二空間19eとの間に気圧差が生じ、第一空間19dの圧力が第二空間19eの圧力よりも低くなる。
【0032】
この気圧差によって孔部19cから流れ出た直後の排気ガスの一部が、吸着部材19bの内部(孔部19cでない部分)を通過しつつ逆流して第一空間19dに還流する。第一空間19dに還流しない排気ガスは、下流側の排気通路7に流れる。即ち、拡径部19aの内部に第一空間19dと第二空間19eとを設け、その容積を変えることによって、このような還流を形成させることができる。
【0033】
排気ガスが第一空間19dに還流する際に、排気ガス中の炭化水素HCが吸着部材19bに吸着される。また、排気通路7の中を流れる排気ガスは、外気に触れる排気管側、即ち、排気通路7の外周部近傍の温度が低く、中心部の温度が高い状態となっている。このため、孔部19cから流れ出して第一空間19dに還流する排気ガスは、排気ガスの中でも比較的温度の低い部分であり、吸着部材19bの温度上昇を抑制して、吸着部材19bに一旦吸着された炭化水素HCの吸着部材19bからの脱離を遅らせることができる。
【0034】
反対に、孔部19cから流れ出して第二空間19eを経て下流側に流れる排気ガスは、排気ガスの中でも比較的温度の高い部分であり、排気浄化触媒20をより早期に活性化温度まで昇温させるのに都合がよい。さらに、一旦第一空間19dに還流された排気ガスは、孔部19cを通過した後、もう一度第一空間19d側に還流され得る。即ち、排気ガスは、その一部がHC吸着部19で循環されることになり、吸着部材19bによる排気ガス中の炭化水素HCの吸着がより確実に行われるようになる。
【0035】
なお、上述した還流現象は、排気ガスの通過流速などによっては効果的に形成され得ない場合も考えられるが、その場合であっても、吸着部材19bの内部(孔部19cでない部分)を通過するのは、排気ガスの比較的温度の低い部分であるため、吸着部材19bの温度上昇を抑制する効果がある。
【0036】
本実施形態によれば、排気ガス中の炭化水素HCをより確実に吸着部材19bに吸着させることができると共に、吸着部材19bの温度上昇を抑制して、吸着部材19bからの炭化水素HCの脱離を遅らせることができる。これによって、HC吸着部19の温度が上昇して炭化水素HCがHC吸着部19から脱離する頃には、排気浄化触媒20は活性化温度に達しており、HC吸着部19から放出された炭化水素HCは排気浄化触媒20によって浄化される。
【0037】
次に、請求項4に記載の発明(第二発明)及び請求項4に従属する請求項5〜7に記載の発明についての実施形態(第二及び第三実施形態)について説明する。まず、本発明の第二実施形態について説明する。
【0038】
本実施形態の排気浄化装置を有するエンジン(内燃機関)の構成は、上述した図1に示すエンジンと同一であるので、ここではその詳しい説明を省略する。以下、同一又は同等の構成に関しては同一の符号を持って説明する。本実施形態の排気浄化装置は、上述した第一実施形態とは未燃燃料吸着機能を有する部分、即ち、HC吸着部19の構成が異なる。以下、HC吸着部19について詳しく説明する。HC吸着部19の拡大断面図を排気浄化触媒20と共に図3に示す。
【0039】
図3に示されるように、HC吸着部19は、排気通路7上に形成された拡径部19aとして構築されている。拡径部19aは、その上流側及び下流側の排気通路7の双方に対して、内径が拡張された形態を有している。そして、拡径部19aの内部には、筒状(ここでは円筒状)の吸着部材(未燃燃料吸着部材)19bが配設されている。吸着部材19bは、排気ガスの流れ方向に多数の微小な貫通孔を有するハニカム状の構造体であるが、その中央部に排気ガスの流れ方向に平行な貫通流路19cが形成されている。
【0040】
本実施形態においては、貫通流路19cは、吸着部材19b自体の孔部によって形成されている。貫通流路19c、即ち、吸着部材19bの孔部の内径は、その下流側に比して上流側が大きくなるように形成されている。ここでは、貫通流路19cの断面は円形である。断面が円形でない場合、内径が小さいとは、断面積が小さいということである。
【0041】
吸着部材19bは、ハニカム状とされることでその表面積が増やされており、その表面には炭化水素HCを吸着する物質がコーティングされている。また、吸着部材19bの外周は、必ずしも拡径部19aの内壁に接触していなくても良いが、内壁に対して近接するようにされ、この隙間を排気ガスが流れないようにしてある。
【0042】
上述した構造のHC吸着部19に冷間始動直後の排気ガスが流入した場合の排気ガスの流れと、それに伴う排気ガス中の炭化水素HCの吸着について説明する。
【0043】
上流側からHC吸着部19に流れてきた排気ガスは、排気通路7内で排気通路7の内面に近い側が温度が低くなっている。これは、排気通路7を構成する排気管自体が外気によって冷やされるので、この排気管内面に近い排気ガスは冷やされ、排気管断面において中心部に近い部分を流れる排気ガスは、比較的高い温度を維持するからである。
【0044】
このように温度分布が生じた排気ガスが拡径部19a内に流入すると、排気通路7の断面中心付近を流れる温度の高い排気ガスは、吸着部材19bの中央に位置する貫通流路19cをそのまま通過して下流側に流れ、下流側の排気浄化触媒20をより早期に昇温させる。一方、排気通路7の断面外周寄りの温度の低い排気ガスは吸着部材19b自体を通過し、排気ガス中の未燃燃料成分である炭化水素HCが吸着部材19bに吸着される。
【0045】
このとき、貫通流路19cの内径が下流側に行くにつれて小さくなるので、貫通流路19c内を流れる温度の高い排気ガスの流速は、下流に行くにつれて速くなる。この結果、温度の高い排気ガスは、吸着部材19bの通過後に慣性力によって下流側の排気浄化触媒20内に導かれやすくなり、より早期に排気浄化触媒20を昇温させる。排気浄化触媒20の温度がある程度昇温されていれば、排気浄化触媒20によって排気ガスは浄化される。あるいは、温度の高い排気ガス自体の温度によって、排気ガスが浄化される。
【0046】
一方、温度の低い排気ガスは、上述したように吸着部材19b本体に流れ込む。そして、排気ガス中の炭化水素HCが吸着部材19bに吸着される。このように、吸着部材19b本体に流入する排気ガスは比較的低温であるため、吸着部材19b自体の温度上昇が抑制されることとなる。この結果、吸着部材19bからの炭化水素HCの離脱を抑制することができる。その間、下流側の排気浄化触媒20は、貫通流路19cを通過した比較的高温の排気ガスによってより早期に昇温される。
【0047】
さらに、上述したように貫通流路19c内を通過するガス流速は下流側に行くにつれて速くなることによって、貫通流路19cの下流側出口近傍の排気ガスも貫通流路19cから流出する排気ガスによって吸引されるようにして下流側の排気浄化触媒20側に流れる。貫通流路19cの下流側出口近傍の排気ガスが下流側に吸引されることに伴って、吸着部材19b自体の内部を通過して下流側に流れる温度の低い排気ガスの流れが促進される。この結果、吸着部材19b自体の内部を通過する排気ガス量が増加し、吸着部材19bに吸着される炭化水素HCの量を増加させることができる。吸着部材19bに吸着される炭化水素HCの量を増加させることができるので、排気ガスの浄化性能を向上させることができる。
【0048】
また、貫通流路19cの内径を上流側から下流側に向けて縮径させることによって、貫通流路19cを通過する排気ガスの温度を低下させくくする(吸着部材19b自体に熱が吸収されにくくする)ことができ、より早期の下流側の排気浄化触媒20を昇温させることができる。
【0049】
本実施形態によれば、排気ガス中のより多くの炭化水素HCをより確実に吸着部材19bに吸着させることができると共に、吸着部材19bの温度上昇を抑制して、吸着部材19bからの炭化水素HCの脱離を遅らせることができる。HC吸着部19の温度が上昇して炭化水素HCがHC吸着部19から脱離する頃には、排気浄化触媒20は活性化温度に達しており、HC吸着部19から放出された炭化水素HCは排気浄化触媒20によって浄化され、浄化性能が向上する。
【0050】
図4に本発明の第三実施形態を示す。本実施形態は、上述した第二実施形態とは、貫通流路19cの形成形態が異なるだけである。このため、上述した第二実施形態と同一又は同等の構成部位については、同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。本実施形態では、貫通流路19cが、吸着部材19bの中央に形成された孔部の内部に配設された筒状部材19gによって形成されている。この筒状部材19gの内径を上流側から下流側にかけて縮径させることで、貫通流路19cの内径を上流側から下流側にかけて小さくしている。なお、吸着部材19bの中央に形成された孔部の内径は一定である。
【0051】
このようにしても、上述した第二実施形態と全く同様の効果が得られ、非秋浄化性能を向上させることができる。また、本実施形態によれば、温度の高い排気ガスの流れと吸着部材19bとの間に筒状部材19gが介在することになるため、排気ガスの熱による吸着部材19bの昇温がさらに行われにくくなり、吸着した炭化水素HCの早期脱離をより一層抑止することができる。ただし、別部材として筒状部材19gが必要になるということにもなる。従って、第二実施形態及び第三実施形態は、適宜その状況に応じて選択すればよい。
【0052】
次に、請求項8に記載の発明(第三発明)及び請求項9に記載の発明(第四発明)についての実施形態(第四〜第八実施形態)について説明する。これらの実施形態の排気浄化装置を有するエンジン(内燃機関)の構成は、上述した図1に示すエンジンと同一であるので、ここではその詳しい説明を省略する。以下、同一又は同等の構成に関しては同一の符号を持って説明する。本実施形態の排気浄化装置は、上述した第一〜第三実施形態とは未燃燃料吸着機能を有する部分、即ち、HC吸着部19の構成が異なるので、各実施形態毎にHC吸着部19について詳しく説明する。
【0053】
第四実施形態を図5に示す。本実施形態においては、拡径部19aの上流側の流入管7aの内径D1が下流側の流出管7bの内径D2よりも大きくされている。なお、内径D1は、孔部19cの内径にほぼ等しくされている。このようにすることによって、拡径部19aへの排気ガスの流入と拡径部19aからの排気ガスの流出とを比べた場合、拡径部19aからの排気ガスの流出時により大きな抵抗がかかることになる。
【0054】
この結果、上述した第一実施形態において説明したように、第二空間19e側の圧力が第一空間19d側の圧力よりも高くなり、即ち、第一空間19d側の圧力が第二空間19e側の圧力よりも低くなる。これによって、上述した逆流(還流)が生じやすくなり、吸着部材19bにより多くの炭化水素HCを吸着させることができる。また、第一実施形態の説明時に述べたように、排気ガスの温度分布を効果的に利用し、吸着部材19bの温度上昇を抑止し、炭化水素HCに離脱を遅らせる効果もある。
【0055】
なお、本実施形態では、第二空間19eの容積が第一空間19dの容積よりも小さくされており、上述した第一発明としての効果も得られるようになされている。しかし、第一空間19dの容積と第二空間19eの容積とを等しくした場合でも、拡径部19aの上流側の流入管7aの内径D1を下流側の流出管7bの内径D2よりも大きくすることによって上述した逆流(還流)を生じさせることができ、それによる効果を享受することができる。
【0056】
また、本実施形態では、さらに、拡径部19aの上流側の拡径角度αが下流側の拡径角度βよりも小さくされている。このようにすることによって、拡径部19aへの排気ガスの流入と拡径部19aからの排気ガスの流出とを比べた場合、拡径部19aからの排気ガスの流出時により大きな抵抗がかかることになる。なお、拡径角度とは、拡径部前後の排気管の延長線と拡径部の内面とがなす角度のことを言う。また、拡径部19aの下流側は、上流側から下流側に向けて「縮径」されているが、ここでは便宜上「拡径」角度βとして定義する。
【0057】
このようにすることによっても、第二空間19e側の圧力を第一空間19d側の圧力よりも高く、即ち、第一空間19d側の圧力を第二空間19e側の圧力よりも低くすることができる。これによって、上述した逆流(還流)が生じやすくなり、吸着部材19bにより多くの炭化水素HCを吸着させることができる。また、排気ガスの温度分布を効果的に利用し、吸着部材19bの温度上昇を抑止し、炭化水素HCに離脱を遅らせる効果も得られる。
【0058】
なお、上述したように拡径角度α,βを設定すると、第二空間19eの容積を第一空間19dの容積よりも小さくしやすくなり、上述した第一発明としての効果も得られやすくなる。しかし、もし第一空間19dの容積と第二空間19eの容積とを等しくした場合でも、拡径角度αを拡径角度βよりも小さくすることによって上述した逆流(還流)を生じさせることができ、それによる効果を享受することができる。
【0059】
本実施形態では、内径D1を内径D2よりも大きくすることと、拡径角度αを拡径角度βよりも小さくすること(さらに、第一空間19dの容積を第二空間19eの容積よりも大きくすること)とを併用した。しかし、内径D1を内径D2よりも大きくすることのみ、あるいは、拡径角度αを拡径角度βよりも小さくすることのみによっても、上述した逆流(還流)を生じさせることによって得られる効果を享受できることは言うまでもない。
【0060】
次に、第五実施形態を図6に示す。本実施形態は、上述した図5に示す第四実施形態の構成に加えて、拡径部19aの上流側の第一空間19d内に、流入管7aと吸着部材19bの孔部19cとを連通させる第一筒体19h及び第二筒体19iを配設させたものである。ここでも、拡径部19aの上流側の流入管7aの内径D1を下流側の流出管7bの内径D2よりも大きくされているので、第一空間19d側の圧力を第二空間19e側の圧力よりも低くすることができ、上述した逆流(還流)を生じさせることによる効果を享受することができる。
【0061】
さらに、上述した第一筒体19hの下流側端部が縮径されて第二筒体19iの上流側端部に挿入されており、それらの間には隙間が形成されている。このため、流入管7aからの排気ガスは孔部19cに直接流入するが、この際、上述した隙間から第一空間19d内の排気ガスを吸い込む。この結果、第一空間19d内の圧力を第二空間19eよりも低くすることをより一層促進でき、より確実に上述した逆流(還流)を発生させることができる。
【0062】
この結果、吸着部材19bにより多くの炭化水素HCを吸着させることができる。また、排気ガスの温度分布を効果的に利用して吸着部材19bの温度上昇を抑止し、炭化水素HCに離脱を遅らせるという上述した効果もある。なお、本実施形態では、第二空間19eの容積が第一空間19dの容積よりも小さくされており、上述した第一発明としての効果も得られるようになされているが、第一発明と併用しなくてもよい。
【0063】
次に、第六実施形態を図7に示す。本実施形態は上述した図5に示す第四実施形態の変形例である。本実施形態は、上述した第四実施形態の特徴、及び、それによって得られる上述した効果を全て享受し得る。本実施形態では、さらに、吸着部材19bを貫通する通風管19jが配設されている。通風管19jは、孔部19c内ではなく吸着部材19bの本体を貫通するように、等間隔に上流・下流方向に平行に四本配されている。各通風管19jの両端は、拡径部19aの外部に位置し、開放されている。
【0064】
このため、走行風などが各通風管19jの内部を通過する。このとき、内部を通過する気体によって、吸着部材19bの熱が奪われ、吸着部材19bの温度が低下する。この結果、吸着部材19bからの炭化水素HCの離脱が抑止され、排気浄化性能をより一層向上させることができる。
【0065】
次に、第六実施形態を図7に示す。本実施形態は上述した図5に示す第四実施形態の変形例である。本実施形態は、上述した第四実施形態の特徴、及びそれによって得られる上述した効果を全て享受し得る。本実施形態では、さらに、拡径部19a及び拡径部19a内部の吸着部材19bを貫通する通風管19jが配設されている。通風管19jは、孔部19c内ではなく吸着部材19bの本体を貫通するように、等間隔に四本配されている。各通風管19jの両端は、拡径部19aの外部に位置し、開放されている。
【0066】
このため、走行風などが各通風管19jの内部を通過する。このとき、内部を通過する気体によって、吸着部材19bの熱が奪われ、吸着部材19bの温度が低下する。この結果、吸着部材19bからの炭化水素HCの離脱が抑止され、排気浄化性能をより一層向上させることができる。
【0067】
次に、第七実施形態を図8に示す。本実施形態も上述した図5に示す第四実施形態の変形例である。本実施形態は、上述した第四実施形態の特徴、及び、それによって得られる上述した効果を全て享受し得る。本実施形態では、さらに、HC吸着部19の外側に筒状の導風板19kが配設されている。導風板19kの上流側(排気浄化装置が搭載された車両の前方方向)は拡径されており、走行風が導風板19k内部を通過しやすくなるようにされている。本実施形態では、導風板19kの下流側も拡径されている。
【0068】
導風板19kの内部を通過する気体によって、HC吸着部19、即ち、吸着部材19bの熱が奪われ、吸着部材19bの温度が低下する。この結果、吸着部材19bからの炭化水素HCの離脱が抑止され、排気浄化性能をより一層向上させることができる。さらに、本実施形態では、HC吸着部19の下流側に配設された排気浄化触媒20の外周面に保温材20bが貼り付けられている。保温材20bは、導風板19kから排出される気体によって排気浄化触媒20が冷やされるのを防止している。上述したように、排気浄化触媒20が冷やされると排気浄化性能が低下してしまうため、排気浄化触媒20の温度低下を抑止して、排気浄化性能の悪化を抑止する。
【0069】
次に、第八実施形態を図9に示す。本実施形態も上述した図5に示す第四実施形態の変形例である。本実施形態は、上述した第四実施形態の特徴、及び、それによって得られる上述した効果を全て享受し得る。本実施形態では、さらに、吸着部材19bの形状を変えてある。本実施形態の吸着部材19bは、やはり円筒状の形態を有しているが、その外側面寄りの長さ(上流・下流方向の長さ)が孔部19c側よりも短くされている。
【0070】
このようにすると、排気ガスが吸着部材19b本体を通過する際の通気抵抗は外側面寄りの方が小さくなる。即ち、吸着部材19b本体の外側面寄りを通過する排気ガス量が増える。上述したように、吸着部材19bは、外側面寄りの部分の方が外部に熱を奪われやすいので、中心部寄りの部分よりも温度が低い。このため、炭化水素HCが離脱し難く、外側面寄りの部分により多くの排気ガスを通過させることで、より多くの炭化水素HCを吸着部材19bに吸着させることができる。
【0071】
また、上述したように、排気通路7の上流側からHC吸着部19内に流入する排気ガスには温度分布が存在し、中央部よりの比較的温度の高い排気ガスは直接下流側に流出されて排気浄化触媒20を早期に暖機させる。これに対して、外周寄りの比較的温度の低い排気ガスは吸着部材19b本体に直接流入したり、孔部19cを通過後に還流する。このとき、吸着部材19b本体を通過する排気ガスが比較的温度の低い部分であるとはいえ、吸着部材19bはこの排気ガスで暖められる。吸着部材19bの外側面寄りにより多くの排気ガスを通過させれば、排気ガスの熱が吸着部材19b(HC吸着部19)の外部に逃げやすくなり、吸着部材19bの温度上昇を抑止することができる。吸着部材19bの温度上昇を抑止すれば、より多くの炭化水素HCを吸着させることができる。
【0072】
次に、請求項10に記載の発明(第五発明)についての実施形態(第九〜第十四実施形態)について説明する。これらの実施形態の排気浄化装置を有するエンジン(内燃機関)の構成も、上述した図1に示すエンジンと同一であるので、ここではその詳しい説明を省略する。以下、同一又は同等の構成に関しては同一の符号を持って説明する。本実施形態の排気浄化装置は、上述した第一〜第八実施形態とは未燃燃料吸着機能を有する部分、即ち、HC吸着部19の構成が異なるので、各実施形態毎にHC吸着部19について詳しく説明する。
【0073】
第九実施形態を図10に示す。本実施形態においては、吸着部材19b1が複数(ここでは二つ)に分割されており、これらが上流・下流方向に直列に配置されている。このようにすることによって、二つの吸着部材19b1の間の空間で排気ガスの流れに乱れを生じさせることができ、より多くの排気ガスが吸着部材19b1本体内を通過することとなり、炭化水素HCの吸着率を向上させることができる。また、吸着部材19b1本体内の通過距離が短くなるので、吸着部材19b1の部分での圧力損失を低減することができるという利点もある。
【0074】
第十実施形態を図11に示す。本実施形態におけるHC吸着部19の構成は上述した図10に示される第九実施形態のものとほぼ同等の構成を有している。ただし、本実施形態では下流側の吸着部材19b2の孔部19cの内径が、上流側の吸着部材19b1の孔部19cの内径よりも小さくされている点が、上述した第九実施形態と異なる。このようにすると、上流の吸着部材19b1の孔部19cから流出した排気ガス流が下流側の吸着部材19b2の孔部19cに流入しにくくなり、上述した二つの吸着部材19b1の間の空間での排気ガス流の乱れをより効果的に発生させることができる。この結果、炭化水素HCの吸着率をより一層向上させることができる。
【0075】
第十一実施形態を図12に示す。本実施形態におけるHC吸着部19の構成も上述した図10に示される第九実施形態のものとほぼ同等の構成を有している。ただし、本実施形態では下流側の吸着部材19b2の通気抵抗が、上流側の吸着部材19b1の通気抵抗よりも大きくされている点が、上述した第九実施形態と異なる。具体的には、下流側の吸着部材19b2の上流・下流方向に延設された多数のセルの各セルの開口断面積を、上流側の吸着部材19b1のそれよりも小さくすることによって通気抵抗を増大させている。
【0076】
このようにすると、上流の吸着部材19b1から流出した(本体又は孔部19cから流出した)排気ガス流が下流側の吸着部材19b2の本体に流入しにくくなり、上述した二つの吸着部材19b1の間の空間での排気ガス流の乱れをより効果的に発生させることができる。この結果、炭化水素HCの吸着率をより一層向上させることができる。なお、本実施形態と第十実施形態とを併用してもよい。
【0077】
第十二実施形態を図13に示す。本実施形態は、上述した図10に示される第九実施形態におけるHC吸着部19の下流側と排気浄化触媒20の上流側とを直接接合したものである。このため、第九実施形態における流出管7bのような部分は存在しない。このようにしても、上述した二つの吸着部材19b1の間の空間での排気ガス流に乱れを発生させることになるので、炭化水素HCの吸着率を向上させることができる。また、HC吸着部19と排気浄化触媒20との間に、流路面積が絞られる部分が存在しないため圧力損失を低減することができるという利点もある。
【0078】
第十三実施形態を図14に示す。本実施形態は、上述した図13に示される第十二実施形態に対して、中央部に穴があいた隔壁19lを加えたものである。隔壁19lは、HC吸着部19と排気浄化触媒20との間に配置されている。本実施形態は、上述した第十二実施形態の特徴及び効果を有している。さらに、隔壁19lを設けると、HC吸着部19から流出する排気ガスを排気浄化触媒20のモノリス型コンバータ20aの中央部に集中的に流入させることができる。
【0079】
拡径部19aから流出する排気ガスを排気浄化触媒20のモノリス型コンバータ20aの中央部に流入させることによって、排気ガスによる排気浄化触媒20(モノリス型コンバータ20a)の温度分布を、中央部が高くなるようにすることができる。排気浄化触媒20の暖機の過程では、全体を均一に徐々に昇温させるよりも、その中央部を一気に昇温させて熱伝導で全体を昇温させた方がより早期に暖機を終了することができる。このため、上述した隔壁19lを設けることによって排気浄化触媒20を早期に活性化でき、排気浄化性能を向上させることができる。この効果は、HC吸着部19と排気浄化触媒20との間に、流路面積が絞られる部分となる流出管7bを設けることによっても得られるものである。
【0080】
最後に、第十四実施形態を図15に示す。本実施形態におけるHC吸着部19の構成も上述した図10に示される第九実施形態のものとほぼ同等の構成を有している。ただし、本実施形態では拡径部19aの上流側の流入管7a'の内径が下流側の流出管7b'の内径よりも小さくされ、かつ、流出管7b'から流入管7a'にかけて還流管19mが配設されている。本実施形態では、このような還流管19mを用いて、HC吸着部19から流出した排気ガスをHC吸着部19の上流に還流させて、もう一度HC吸着部19に流入させる。これにより、吸着部材19b1での吸着率を向上させることができる。
【0081】
なお、流入管7a'の内径を流出管7b'の内径よりも小さくしたのは、流入管7a'部分の圧力を流出管7b'部分の圧力よりも低くし、この圧力差によって還流管19mを介した還流を発生させるためである。また、還流管19mによって還流される排気ガスは排気通路7の外周寄りを通過する比較的温度の低い部分であり、さらに、還流される排気ガスは還流管19mの内部で熱を奪われるため、吸着部材19b1の昇温を抑止するという効果もある。さらに、この還流管19mは、上述した第一発明、第三発明及び/又は第四発明と併用することもできる。
【0082】
上述した第九〜第十一及び第十四実施形態は、上述した請求項1に記載の発明(第一発明)、請求項8に記載の発明(第三発明)及び請求項9に記載の発明(第四発明)についての実施形態でもある。即ち、これらの実施形態においては、第一発明、第三発明及び第四発明についての上述した効果を享受し得る。
【発明の効果】
【0083】
請求項1に記載の発明によれば、排気通路上に形成された拡径部内部の筒状の吸着部材の前後に、第一空間と第一空間よりも容積の小さい第二空間を形成させてあるため、圧力差を生じさせて排気ガスを拡径部内で循環させることができる。これによって、排気ガス中の未燃燃料をより確実に吸着させることができる。また、拡径部の上流側に第一空間を設けることによって、排気ガスの温度を下げて吸着部材により長く未燃燃料を吸着させておくことができる。さらに、吸着部材を筒状とすることなどによって、排気ガスの温度の低い部分を吸着部材に通過させて吸着部材の温度上昇を抑止し、吸着部材により長く未燃燃料を吸着させておくことができる。
【0084】
請求項2に記載の発明によれば、このような形態のガイド部材を配設することによって、拡径部に流れ込む排気ガスを吸着部材の孔部により確実に案内し、拡径部内での排気ガスの循環をより効果的に発生させることができる。
【0085】
請求項3に記載の発明は、排気通路の下流側に排気ガスの温度の高い部分を流して、下流側の排気浄化触媒をより早期に活性化温度に昇温させることができる。
【0086】
請求項4に記載の発明によれば、吸着部材の中央に、上流側から下流側にかけて内径を小さくする貫通流路が配置されるので、温度の高い排気ガスが流速を高められつつ排気浄化触媒に流入される。これによって、排気浄化触媒をより早期に昇温させることができる。また、貫通流路を通過するガスの流速が高められることによって、吸着部材自体を通過する排気ガス量が増加し、より多くの排気ガス中の未燃燃料成分をより確実に吸着することができる。この結果、排気ガスの浄化性能をより一層向上させることができる。
【0087】
請求項8に記載の発明によれば、未燃燃料吸着部材が筒状の形態を有し、かつ、拡径部の上流側の流入管内径が下流側の流出管内径よりも大きいので、拡径部への排気ガスの流入と拡径部からの排気ガスの流出とを比べた場合、拡径部からの排気ガスの流出時により大きな抵抗がかかることになる。このため、未燃燃料吸着部材の上流側の圧力が下流側の圧力よりも低くなって還流が生じ、未燃燃料吸着部材により多くの炭化水素HCを吸着させることができる。
【0088】
請求項9に記載の発明によれば、未燃燃料吸着部材が筒状の形態を有し、かつ、拡径部の上流側の拡径角度が下流側の拡径角度よりも小さくされているので、拡径部への排気ガスの流入と拡径部からの排気ガスの流出とを比べた場合、拡径部からの排気ガスの流出時により大きな抵抗がかかることになる。このため、未燃燃料吸着部材の上流側の圧力が下流側の圧力よりも低くなって還流が生じ、未燃燃料吸着部材により多くの炭化水素HCを吸着させることができる。
【0089】
請求項10に記載の発明によれば、未燃燃料吸着部材が筒状の形態を有し、かつ、複数に分割されて上流・下流方向に直列にされているので、分割された未燃燃料吸着部材の間の空間で排気ガス流に乱れが生じ、より多くの排気ガスが未燃燃料吸着部材を通過するようにでき、未燃燃料吸着部材により多くの炭化水素HCを吸着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排気浄化装置を有する内燃機関を示す断面図である。
【図2】第一発明の実施形態(第一実施形態)における、HC吸着部(拡径部)の拡大断面図である。
【図3】第二発明の実施形態(第二実施形態)における、HC吸着部及び排気浄化触媒の拡大断面図である。
【図4】第二発明の実施形態(第三実施形態)における、HC吸着部及び排気浄化触媒の拡大断面図である。
【図5】第三及び第四発明の実施形態(第四実施形態)における、HC吸着部及び排気浄化触媒の拡大断面図である。
【図6】第三及び第四発明の実施形態(第五実施形態)における、HC吸着部及び排気浄化触媒の拡大断面図である。
【図7】第三及び第四発明の実施形態(第六実施形態)における、HC吸着部及び排気浄化触媒の拡大断面図である。
【図8】第三及び第四発明の実施形態(第七実施形態)における、HC吸着部及び排気浄化触媒の拡大断面図である。
【図9】第三及び第四発明の実施形態(第八実施形態)における、HC吸着部及び排気浄化触媒の拡大断面図である。
【図10】第五発明の実施形態(第九実施形態)における、HC吸着部及び排気浄化触媒の拡大断面図である。
【図11】第五発明の実施形態(第十実施形態)における、HC吸着部及び排気浄化触媒の拡大断面図である。
【図12】第五発明の実施形態(第十一実施形態)における、HC吸着部及び排気浄化触媒の拡大断面図である。
【図13】第五発明の実施形態(第十二実施形態)における、HC吸着部及び排気浄化触媒の拡大断面図である。
【図14】第五発明の実施形態(第十三実施形態)における、HC吸着部及び排気浄化触媒の拡大断面図である。
【図15】第五発明の実施形態(第十四実施形態)における、HC吸着部及び排気浄化触媒の拡大断面図である。
【符号の説明】
1…エンジン(内燃機関)、7…排気通路、7a…流入管、7b…流出管、19…HC吸着部、19a…拡径部19a…吸着部材(未燃燃料吸着部材)、19c…孔部(貫通流路)、19d…第一空間、19e…第二空間、19f…ガイド部材、19g…筒状部材、20…排気浄化触媒。

Claims (6)

  1. 内燃機関の排気通路上に配設されて排気ガス中の未燃燃料を吸着・放出する機能を有する内燃機関の排気浄化装置において、
    前記排気通路上に形成された拡径部と、
    前記拡径部の内部に配置され、低温時に未燃燃料を吸着し、高温時に吸着した未燃燃料を放出する筒状の吸着部材と、
    前記拡径部内の前記吸着部材の上流側に形成された第一空間と、
    前記拡径部内の前記吸着部材の下流側に形成され、前記第一空間よりも容積の小さい第二空間とを備え
    前記吸着部材の中央に形成された孔部に対して排気ガスを案内する筒状のガイド部材が前記吸着部材の上流側に配設されており、前記ガイド部材の上流側内径が下流側内径よりも大きいことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記排気通路上の前記拡径部の下流側に、排気浄化触媒が配置されていることを特徴とする請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 内燃機関の排気通路上に配設されて排気ガス中の未燃燃料を吸着・放出する機能を有する未燃燃料吸着部材を備えた内燃機関の排気浄化装置において、
    前記未燃燃料吸着部材が、前記排気通路上に形成された拡径部の内部に配置された筒状の形態を有するもので、
    前記未燃燃料吸着部材の中央に位置する貫通流路の内径が、上流側から下流側にかけて徐々に小さくされていることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記貫通流路が前記未燃燃料吸着部材の中央に形成された孔部によって形成されており、前記孔部の内径が上流側から下流側にかけて徐々に小さくされていることを特徴とする請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 前記貫通流路が前記未燃燃料吸着部材の中央に形成された孔部内に配設された筒状部材によって形成されており、前記筒状部材の内径が上流側から下流側にかけて徐々に小さくされていることを特徴とする請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 前記排気通路上の前記拡径部の下流側に、排気浄化触媒が配置されていることを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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