JP2000087733A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置

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JP2000087733A
JP2000087733A JP11200225A JP20022599A JP2000087733A JP 2000087733 A JP2000087733 A JP 2000087733A JP 11200225 A JP11200225 A JP 11200225A JP 20022599 A JP20022599 A JP 20022599A JP 2000087733 A JP2000087733 A JP 2000087733A
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exhaust gas
internal combustion
combustion engine
adsorbent
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JP11200225A
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Yuji Yasui
裕司 安井
Naosuke Akasaki
修介 赤崎
Tadashi Sato
忠 佐藤
Yoshihisa Iwaki
喜久 岩城
Masaki Ueno
将樹 上野
Tsuyoshi Haga
剛志 芳賀
Tetsuo Endo
哲雄 遠藤
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Honda Motor Co Ltd
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒未活性時に未燃HC成分を吸着する吸着
材の劣化を判別する。また、吸着限界に達した後の脱離
HCの放出を防止する。 【解決手段】 吸着動作が行われている間は吸着材温度
あるいはその下流の排気ガス温度が保持されるという知
見に基づき、温度tmp.trsが立ち上がってからの
経過時間tm.dtrsをしきい値dtrs.lmtと
比較し、しきい値未満のとき、吸着材劣化と判別(S3
2)する。また、温度tmp.trsがしきい値X.T
RS.TLMTを超えたとき、吸着材が配置された分岐
路(バイパス排気通路)を閉鎖(S34)する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は内燃機関の排気浄
化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関では排気系に触媒を設けて排気
ガス中のHC,NOx,CO成分を除去して浄化を図っ
ているが、機関の冷間始動時など触媒が活性化していな
いときは未燃成分、特に未燃HC成分がそのまま機関外
に放出される。
【0003】そこで、特開平9−324621号公報記
載の技術において、排気路を触媒装置の下流で分岐さ
せ、分岐路の一方にゼオライト系吸着材などからなる吸
着手段を配置し、触媒が活性していないとき、吸着手段
に未燃成分を吸着させると共に、触媒が活性した後に吸
着させた未燃成分を脱離させて吸気系に還流させ、再燃
焼させて触媒で浄化して機関外に放出することが提案さ
れている。
【0004】本出願人も、特開平10−153112号
公報において同種の技術を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような触媒未活性
時に未燃成分を吸着させる吸着手段は、劣化すると吸着
量が低下し、所期の吸着性能を実現し得ないので、吸着
手段を監視してその劣化を判別することが望ましい。
【0006】従って、この発明の目的は、上記した触媒
未活性時に未燃成分を吸着させる吸着手段の劣化を判別
するようにした内燃機関の排気浄化装置を提供すること
にある。
【0007】さらに、吸着手段の劣化の有無に関わら
ず、吸着量が飽和した後は、それ以上の吸着は期待し得
ず、さらに排気ガスを供給し続けると、脱離したHC成
分が大気中に放出されるので、吸着手段への排気ガスの
供給を可能な限り速やかに停止する必要がある。
【0008】従って、この発明の第2の目的は、上記し
た吸着手段の吸着量が飽和したと推定されるときは、吸
着手段への排気ガスの供給を可能な限り速やかに停止す
るようにした内燃機関の排気浄化装置を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めにこの発明は請求項1項において、内燃機関の排気系
に配置され、機関始動後の排気ガスの未燃成分を吸着す
る吸着手段を備えた内燃機関の排気浄化装置において、
前記吸着手段の温度あるいはその下流位置の温度の少な
くともいずれかを検出する温度検出手段、前記検出され
た温度が所定値に達するまでの経過時間を測定する経過
時間測定手段、および前記測定された経過時間に基づい
て(より具体的には、前記測定された経過時間をしきい
値と比較することで)前記吸着手段が劣化しているか否
か判別する吸着手段劣化判別手段を備える如く構成し
た。
【0010】これによって、簡易な構成でありながら、
触媒未活性時に未燃成分を吸着させる吸着手段の劣化を
精度良く判別することができる。尚、上記で、前記吸着
手段劣化判別手段は、前記吸着手段が劣化していると判
別するとき、警告手段を動作させるのが望ましい。
【0011】請求項2項にあっては、さらに、前記吸着
手段の上流位置の温度を検出する第2の温度検出手段を
備え、前記経過時間測定手段は、前記第2の温度検出手
段により検出された温度に基づいて前記経過時間を測定
(より具体的には、前記第2の温度検出手段により検出
された温度をしきい値と比較し、しきい値以上と判断さ
れるとき前記経過時間を測定)する如く構成した。これ
によって、前記した効果に加え、排気ガスの流入が開始
した時点をより直接的に検知することができ、吸着手段
の劣化を一層精度良く判別することができる。
【0012】請求項3項にあっては、前記吸着手段劣化
判別手段は、前記測定された経過時間をしきい値と比較
することで前記吸着手段が劣化しているか否か判別する
如く構成した。これによって、簡易な構成でありなが
ら、吸着手段の劣化を精度良く判別することができる。
【0013】請求項4項にあっては、さらに、前記吸着
手段が吸着した未燃成分吸着量推定値を算出する吸着量
推定値算出手段、および前記しきい値を前記算出された
未燃成分吸着量推定値に応じて設定するしきい値設定手
段を備える如く構成した。吸着手段の吸着能力は吸着量
によって相違するので、これによって、しきい値を的確
に設定することができ、吸着手段の劣化を一層精度良く
判別することができる。
【0014】請求項5項にあっては、前記しきい値設定
手段は、前記温度検出手段により検出された温度に応じ
て前記しきい値を設定する如く構成した。吸着手段の吸
着能力は吸着量および温度によって相違するので、これ
によってしきい値を一層的確に設定することができ、よ
って吸着手段の劣化を一層精度良く判別することができ
る。
【0015】請求項6項にあっては、内燃機関の排気管
に配置されて排気ガスの未燃成分を吸着する吸着手段を
備えた内燃機関の排気浄化装置において、前記内燃機関
の排気管を分岐して前記吸着手段を収納する分岐路、前
記吸着手段の温度あるいはその下流位置の温度の少なく
ともいずれかを検出する温度検出手段、および前記検出
された温度に基づき、(より具体的には前記検出された
温度をしきい値と比較し、前記検出された温度がしきい
値以上のとき)前記排気管および分岐路の開閉を切り換
えて前記分岐路を閉鎖する切り換え制御手段を備える如
く構成した。吸着手段の劣化の有無に関わらず、吸着量
が飽和した後は、それ以上の吸着は期待し得ず、さらに
排気ガスを供給し続けると、脱離したHC成分が大気中
に放出されるが、これによって、そのような不都合を効
果的に回避することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に即してこの発明
の実施の形態を説明する。
【0017】図1は、この発明に係る内燃機関の排気浄
化装置を示す概略図である。
【0018】図において、符合10はOHC直列4気筒
の内燃機関(以下「エンジン」という)を示し(1気筒
のみ図示)、吸気管(吸気路)12の先端に配置された
エアクリーナ(図示せず)から吸引された空気は、スロ
ットルバルブ14でその流量を調節されつつ、サージタ
ンク16と吸気マニホルド18を経て、2個の吸気バル
ブ20(1個のみ図示)を介して第1気筒から第4気筒
へと送られる。
【0019】また、吸気管12には、スロットルバルブ
14の配置位置付近にそれをバイパスするバイパス路2
2が設けられる。バイパス路22には、それを開閉する
電磁ソレノイドバルブからなるバルブ(EACV)24
が介挿される。
【0020】各気筒の前記した吸気バルブ20の付近に
はインジェクタ(燃料噴射弁)26が設けられ、燃料を
噴射する。噴射されて吸気と一体になった混合気は吸入
行程にある気筒の燃焼室28に吸入され、圧縮行程で圧
縮された後に点火プラグ(図示せず)を介して着火され
て燃焼し、ピストン30を図において下方に駆動する。
【0021】燃焼後の排気ガスは2個の排気バルブ(1
個のみ図示)34および排気マニホルド36を介して排
気管38(より具体的には後述するメイン排気通路38
a)に排出され、排気管38において排気マニホルド3
6の直下に設けられた第1の触媒装置(三元触媒)4
0、その下流に設けられた第2、第3の触媒装置(共に
三元触媒)42,44を通過させられ、さらに下流のマ
フラおよびテールパイプ(図示せず)を含む後端部46
を経て大気中に放出される。
【0022】エンジン10は、いわゆる可変バルブタイ
ミング機構50(図1にV/Tと示す)を備える。可変
バルブタイミング機構50は例えば、特開平2−27
5,043号公報に記載されており、エンジン回転数N
Eおよび吸気管内絶対圧PBAなどの運転状態に応じて
吸排気バルブタイミングを高低2種のタイミング特性の
間で切り換える。尚、このバルブタイミング特性は、2
個の吸気バルブの一方を休止する動作を含む。
【0023】ここで、排気管38には、第3の触媒装置
44が配置された位置の下流で円筒ケース状のチャンバ
52が設けられる。即ち、排気管38は第3の触媒装置
44が配置された位置の下流で分岐させられ、分岐管5
4は、排気管38を囲むようにその周りに気密に取り付
けられたチャンバ52に接続される。これによって、排
気ガス通路として、排気管38内を通るメイン排気通路
38aと、分岐管54とチャンバ52の内部空間を通る
分岐路(バイパス排気通路)56が形成される。
【0024】分岐点付近にはメイン排気通路38aを開
閉する排気管開閉バルブ58と分岐路(バイパス排気通
路)56を開閉する分岐路開閉バルブ60とが一体的に
設けられる。即ち、排気管開閉バルブ58と分岐路開閉
バルブ60は、前記スロットルバルブ14と同様のバタ
フライバルブを2個組み合わせた組バルブからなり、2
個の円形プレート面58a,60aと、それらに共軸に
固定された1本のシャフト58bを備える。
【0025】2個の円形プレート58a,60aはシャ
フト58bに円形面がほぼ90度相違するように取着さ
れ、メイン排気通路38aが閉鎖されるときは分岐路
(バイパス排気通路)56が開放され、メイン排気通路
38aが開放されるときは分岐路(バイパス排気通路)
56が閉鎖されるように作動する。
【0026】シャフト58bはバルブ作動機構64に接
続され、バルブ作動機構64は前記スロットルバルブ1
4下流位置から負圧導入路66を介して負圧が導入され
ると、排気管開閉バルブ58と分岐路開閉バルブ60を
駆動し、前記メイン排気通路38aを閉鎖すると共に、
分岐路(バイパス排気通路)56を開放する。換言すれ
ば、負圧が導入されない限り、排気管開閉バルブ58は
開放位置に、分岐路開閉バルブ60は閉鎖位置に(図1
に示す位置に)付勢される。
【0027】負圧導入路66には電磁ソレノイドバルブ
TRPV68が設けられ、後述する制御ユニット(EC
U)86の指令に応じて作動して負圧導入路を開閉し、
それに応じて前記バルブ作動機構64は、排気管開閉バ
ルブ58と分岐路開閉バルブ60を開閉する。尚、負圧
導入路は閉じられたとき、大気に開放される。
【0028】チャンバ52は排気管38を完全に囲むよ
うに構成され、排気管38との間に空間72が形成され
る。空間72の後半部には担体(ハニカム体)に担持さ
れてなる吸着材(ベッド)(前記した「吸着手段」に相
当)が2個、より詳しくは上流側の第1の吸着材(ベッ
ド)74aと下流側の第2の吸着材(ベッド)74bの
2個が配置される。
【0029】吸着材としては、本出願人が先に特開平8
−71427号公報で提案した結晶性アルミノケイ酸
塩、詳しくはZSM−5ゼオライトと触媒素子との混合
物よりなり、ハニカム体に担持されたものを使用する。
【0030】この結晶性アルミノケイ酸塩は耐熱温度が
900℃ないし1000℃で、活性炭などに比して優れ
た高温耐久性を発揮する。この吸着材は、排気系温度で
100℃未満の低温時に未燃HC成分を吸着し、100
℃から250℃で吸着した未燃HC成分を脱離する。
【0031】排気管38はチャンバ52内の末端付近に
おいて孔76が90度間隔で4個穿設される。即ち、前
記した如く、チャンバ52内において、メイン排気通路
38aと平行に、分岐管54とチャンバ52内の空間7
2および吸着材74の配置位置を通って孔76で再び合
流するバイパス排気通路56が形成される。
【0032】分岐管54から合流点(孔76の穿設位
置)78に至る排気管部分は、チャンバ52内の空間7
2および吸着材74に接触、あるいは所定距離おいて近
接するように配置される。より具体的には図2に示す如
く、チャンバ52は排気管38を完全に囲む断面円形状
に構成され、排気管38は吸着材74に近接して配置さ
れ、吸着材を昇温を促進して未燃成分を早期に脱離さ
せ、よって速やかに吸気系に還流できるように構成され
る。
【0033】チャンバ52には分岐点あるいはその近傍
付近においてEGR(排気還流)通路82の一端が接続
されてチャンバ52内に開口すると共に、その他端は吸
気通路12の前記スロットルバルブ14下流位置に接続
されて開口する。EGR通路82の適宜位置には電磁ソ
レノイドバルブからなるEGR制御バルブ84が介挿さ
れる。ECU86は、EGR制御バルブ84の変位量
(リフトセンサ88が検出するリフト量)を介してEG
R量を制御する。
【0034】エンジン10のディストリビュータ(図示
せず)内にはピストン30のTDC位置およびそれを細
分したクランク角度を検出するクランク角センサ90が
設けられ、TDC信号および細分クランク角度信号を出
力する。スロットルバルブ14にはその開度(位置)θ
THを検出するスロットル開度センサ92が接続され、開
度に対応する信号を出力する。
【0035】吸気管12にはスロットルバルブ14の下
流位置の吸気管内絶対圧PBAを検出する絶対圧センサ
94が設けられ、対応する信号を出力する。またエンジ
ンの冷却水路(図示せず)の付近には冷却水温TWを検
出する水温センサ96が設けられ、対応する信号を出力
する。
【0036】さらに、排気系において、排気マニホルド
36の下流(排気系集合部)で第1の触媒装置40の上
流の排気管38には、広域空燃比センサ98(「LAF
センサ」という)が設けられ、リーンからリッチにわた
る広い範囲において排気ガス中の酸素濃度に比例した検
出信号を出力する。
【0037】さらに、排気管38の第1の触媒装置40
の下流にはO2 センサ100が設けられ、排気ガス中の
酸素濃度がリーンからリッチないしリッチからリーンに
変化するたびに反転するオン・オフ信号を出力する。
【0038】さらに、第3の触媒装置44の付近には第
3の触媒装置の温度、より一般的には排気系の温度TC
ATを検出する排気温度センサ102が設けられ、検出
値に応じた信号を出力する。
【0039】さらに、第2の吸着材74bの後端側で、
かつ後端からある程度の距離をおいた位置に温度センサ
104が設けられ、吸着材温度に応じた出力tmp.t
rsを出力する。
【0040】さらに、油圧を介して前記可変バルブタイ
ミング機構50の選択バルブタイミング特性を検出する
バルブタイミング(V/T)センサ106(図1で図示
省略)も設けられる。
【0041】上記したセンサの出力は前記した制御ユニ
ット(ECU)86に送られる。
【0042】図3は制御ユニット86の詳細を示すブロ
ック図である。LAFセンサ98の出力は第1の検出回
路116に入力され、そこで適宜な線形化処理が行われ
てリーンからリッチにわたる広い範囲において排気ガス
中の酸素濃度に比例したリニアな特性からなる検出信号
を出力する。
【0043】O2 センサ100の出力は第2の検出回路
118に入力され、エンジン10に供給された混合気の
空燃比が理論空燃比に対してリッチかリーンかを示す検
出信号を出力する。
【0044】第1の検出回路116の出力は、マルチプ
レクサ120およびA/D変換回路122を介してCP
U内に入力され、RAM124に順次格納される。ま
た、第2の検出回路118の出力およびスロットル開度
センサ92などのアナログセンサ出力も同様にマルチプ
レクサ120およびA/D変換回路122を介してCP
U内に取り込まれ、RAM124に格納される。
【0045】またクランク角センサ90の出力は波形整
形回路126で波形整形された後、カウンタ128で出
力値がカウントされ、カウント値はCPU内に入力さ
れ、CPUコア130はカウント値からエンジン回転数
NEを算出する。またCPUコア130は、ROM13
2に格納された命令に従って制御値を演算し、駆動回路
134を介して各気筒のインジェクタ26を駆動する。
【0046】さらに、CPUコア130は、駆動回路1
36を介して電磁ソレノイドバルブ(TRPV)68を
駆動し、バルブ作動機構64を介して排気管開閉バルブ
58(および分岐路開閉バルブ60)を開閉すると共
に、駆動回路138,140を介してEACV24、お
よびEGR制御バルブ84を駆動する。さらに、CPU
コア130は、後述の如く、吸着材74の劣化を判別す
る。
【0047】図4は、この発明に係る内燃機関の排気浄
化装置の動作を示すフロー・チャートであるが、同図の
説明に入る前に、この発明に係る排気浄化装置の動作、
より詳しくは吸着手段の劣化判別手法を概説する。
【0048】図5は、図1のチャンバ52付近の概略説
明図であるが、発明者達は、温度センサをA,B,C,
Dの4点に配置してその部位の温度を測定すると共に、
α点,β,γ点におけるHC排出量(吸着材から脱離さ
れた)を測定したところ、図6のような結果を得た。
【0049】ここで、A点は第1の吸着材74aより上
流側の吸着材外の位置を、B点は第1の吸着材74a内
の位置を、C点は第2の吸着材74b内の位置を、D点
は第2の吸着材74bより下流の吸着材外の位置であ
る。また、α点は上記のA点と同様の吸着材上流位置
を、β点は第1の吸着材74aと第2の吸着材74bの
間の位置を、γ点は上記のD点と同様の吸着材下流位置
である。
【0050】図6に示す如く、吸着材温度は吸着中はほ
とんど昇温せず、吸着量が吸着能力(容量)の飽和点に
達した後、急激に立ち上がる。即ち、吸着材の脱離反応
による各ベッド後のHC排出、即ち、β点、γ点のHC
排出は、各測定点前の吸着材温度(B点、C点)やその
下流点(D点)の排気ガス温度が立ち上がりポイントを
迎えた後に発生することが分かる。
【0051】このように、吸着材の温度上昇はある無駄
時間を持っていることから、図7に示すように、第2の
吸着材74bの温度、あるいはその下流の排気ガス温度
を検出すれば、吸着材74の脱離反応によるHC排出を
検知することができる。
【0052】例えば、図7に示すように、適宜なしきい
値X.TRS.TLMTを設定し、第2吸着材温度がそ
のしきい値を超えたとき、第1の吸着材74aおよび第
2の吸着材74bの脱離反応によるHC排出が開始した
と判定することができる。
【0053】上記は、既に一般的に知られた事実であ
る。
【0054】発明者達は、そのような公知の事実ではな
く、HC吸着反応が行われている間は、吸着材温度ある
いはその下流の排気ガス温度が保持されるという事実に
着目し、この発明をなした。
【0055】即ち、発明者達は、HCの吸着反応によっ
て第2の吸着材74bの温度あるいはその下流の排気ガ
ス温度が、エンジン始動(あるいは第1の吸着材74の
上流の排気ガス温度)に対して無駄時間(d.TRS,
d.TRS’)を有することに着目して吸着材の劣化を
判別するようにした。
【0056】即ち、この無駄時間(d.TRS,d.T
RS’)は、吸着材74のHC吸着反応によるものであ
るので、図8に示す如く、吸着材74の吸着能力(容
量)が低下すると、減少する。これは、図6において、
B点温度の立ち上がり時刻より、吸着材容量の大きいC
点温度の立ち上がり時刻が遅いことからも裏付けられ
る。
【0057】このように、この発明に係る吸着材(吸着
手段)の劣化判別は、無駄時間(d.TRS,d.TR
S’)が吸着材74の吸着能力の低下によって短縮する
という知見に基づいている。
【0058】より具体的には、図9に示す如く、前記し
たC点に温度センサ104を配置し、検出温度がしきい
値X.TRS.TLMT以上となってからの経過時間を
タイマ値tm.dtrsで求め、そのタイマ値(無駄時
間d.TRS,d.TRS’,に相当)が適宜設定した
しきい値dtrs.lmt未満のとき、吸着材74の吸
着能力(容量)が減少した、換言すれば、劣化したと判
別するようにした。
【0059】上記を前提として、図4フロー・チャート
を参照し、この発明に係る内燃機関の排気浄化装置の動
作、より詳しくはECU86による吸着材の劣化判別手
法を説明する。
【0060】尚、ECU86はイグニション・スイッチ
・オンで動作を開始し、図示のプログラムは50mse
cごとのタイマ割り込みで実行される。
【0061】先ず、S10において前記したC点に配置
した温度センサ104の出力tmp.trsをサンプリ
ングし、S12に進み、エンジン10が始動されている
か否か判断する。
【0062】この判断は、エンジン10がクランキング
を開始して燃料噴射が開始されたか否か判定することで
行い、クランキングが開始しても燃料噴射が開始されな
い限り、エンジン10が始動していないと判断する
(尚、検出されたエンジン回転数NEを完爆回転数(例
えば400rpm)と比較し、検出回転数が完爆回転数
未満である限り、エンジン10が始動されていないと判
断しても良い)。
【0063】S12で否定されてエンジン10が始動さ
れていないと判断されるときはS14に進み、前記した
無駄時間しきい値dtrs.lmtをテーブル検索す
る。図10にそのテーブル特性を示す。図示の如く、無
駄時間しきい値dtrs.lmtは、HC吸着量推定値
hcm.hat〔g〕と検出温度tmp.trsから検
索して求める。
【0064】吸着材74の吸着能力はHC吸着量推定値
hcm.hatと検出温度tmp.trsに応じて相違
するので、これによって無駄時間しきい値dtrs.l
mtを的確に設定することができ、結果として吸着材7
4の劣化を精度良く判別することができる。
【0065】ここで、HC吸着量推定値hcm.hat
は、吸着材74が吸着していると推定されるHC量であ
る(算出後述)。尚、図10においては、図示の簡略化
のため、検出温度tmp.trs特性は3種のみ示す
が、4種以上の温度特性を設定しても良く、あるいは3
種などの特性を補間しても良い。
【0066】次いでS16に進み、エンジン始動後タイ
マ(前記したタイマ、「吸着材劣化判別用始動後タイ
マ」ともいう)の値tm.dtrs(n) を0にリセット
する。このタイマは前述の如く、エンジン始動後の、検
出温度tmp.trsが温度立ち上がり判別しきい値
X.TRS.TLMT以上となるまでの経過時間を計測
する。
【0067】尚、この明細書および図面において、nは
離散系のサンプリング時刻、具体的には図4フロー・チ
ャートの起動時刻を示す。即ち、(n) は今回値を、(n-
1) は前回値を示す。尚、図示の簡略化のため、今回値
への(n) の付記は最小限度に止めた。
【0068】次いでS18に進み、バルブ作動機構64
を介して分岐路開閉バルブ60を開けて排気ガスをバイ
パス排気通路56に導入すると共に、排気管開閉バルブ
58を閉じて排気ガスのメイン排気通路38aへの流入
を塞止する。同時に、フラグf.hctrs.onのビ
ットを1にセットし、分岐路(バイパス排気通路)56
が開放されたことを示す。
【0069】次回以降のプログラムループにおいてS1
2で肯定されてエンジン10が始動されたと判断される
とS20に進み、前記したフラグf.hctrs.on
のビットが1にセットされているか否か判断する。
【0070】このフラグはS18でそのビットが1にセ
ットされていることから、S20の判断は通例は肯定さ
れてS22に進み、前記したHC吸着量推定値hcm.
hat〔g〕を算出する。
【0071】図11はその作業を示すサブルーチン・フ
ロー・チャートである。
【0072】以下説明すると、S100において図示の
式から排気ガスボリューム、より詳しくは空間速度sp
ace velocity(原料供給容積速度Fの反応
器容積Vに対する割合。単位1/時間)の推定値tr
s.svを算出する。
【0073】図示の如く、排気ガスボリューム推定値t
rs.svは、検出エンジン回転数NEと検出吸気管内
絶対圧PBAと係数X.SVPRAとから算出する。図
示の式は排気ガスボリューム(空間速度sv)の簡易演
算式で、例えばエンジン10の排気量が2.2リッタの
とき、X.SVPRAは65.74となる。
【0074】続いてS102に進み、HC吸着量推定値
の前回値hcm.hat(n-1) にX.HCMPRAと今
求めた排気ガスボリューム推定値の積を加算し、HC吸
着量推定値の今回値hcm.hat(n) を算出する。
【0075】図示の式において、X.HCMPRAは、
HC濃度推定パラメータである。尚、このパラメータ
は、触媒温度TCATなどの触媒装置40,42,44
の活性度合いや、吸気温TA、大気圧PA、水温TW、
ATF温度などのエンジン運転状態あるいは環境条件に
基づいて補正しても良い。
【0076】また、このHC吸着量推定値hcm.ha
tは、その前回値を用いて更新することから、算出値は
RAM124のバックアップ部に格納し、エンジン停止
後も記憶しておく。
【0077】図4フロー・チャートに戻ると、続いてS
24に進み、検出温度tmp.trsが、前記した温度
立ち上がり判定しきい値X.TRS.TLMT(例えば
60℃)以上か否か、即ち、検出温度が立ち上がったか
否か判断する。
【0078】S24で否定されるときは未だHC吸気中
と判断してS26に進み、前記したエンジン始動後タイ
マ(吸着材劣化判別用始動後タイマ)の前回値tm.d
trs(n-1) に所定値X.TM.TRSJUDを加算し
てタイマ値をインクリメントする。
【0079】続いてS28に進み、タイマ値tm.dt
rsが所定値X.TRS.MODE未満か否か判断す
る。所定値X.TRS.MODEは吸着作動制限時間、
より詳しくはエンジン始動後の触媒未活性中の吸着材7
4の作動予定時間(例えば20sec)を意味する。
【0080】尚、所定値X.TRS.MODEは、水温
TW、吸気温TA、大気圧PA、触媒温度TCATなど
のエンジン運転状態あるいは環境条件に応じて変更して
も良い。
【0081】S28で肯定されるときは、吸着作動制限
時間内であることからS18に進む。
【0082】一方、S24で肯定されて脱離開始と判断
されるときはS30に進み、前記した吸着材劣化判別用
始動後タイマ値tm.dtrsをホールド(保持)し、
S32に進み、吸着材74の劣化判別を行う。
【0083】図12はその処理を示すサブルーチン・フ
ロー・チャートである。
【0084】以下説明すると、S200において前記し
た吸着材劣化判別用始動後タイマ値tm.dtrsが、
前記した温度立ち上がり無駄時間しきい値dtrs.l
mt未満か否か判断する。
【0085】S200で肯定されるときはS202に進
み、温度立ち上がりが早いことから吸着量が減少してい
る、即ち、吸着材74が劣化したと判別し、フラグf.
trs.agdのビット(初期値0)を1にセットす
る。次いでS204に進み、警告灯(図1などで図示省
略)を点灯する。
【0086】他方、S200で否定されるときはS20
6に進み、温度立ち上がりが遅いことから吸着量が減少
していない、即ち、吸着材74が劣化していないと判別
し、フラグf.trs.agdのビットを0にリセット
する。
【0087】図4フロー・チャートに戻り、次いでS3
4に進み、バルブ作動機構64を介して分岐路開閉バル
ブ60を閉じて排気ガスの分岐路(バイパス排気通路)
56への導入を停止すると共に、排気管開閉バルブ58
を開けて排気ガスをメイン排気通路38aに導入する。
同時に、フラグf.hctrs.onのビットを0にリ
セットし、分岐路(バイパス排気通路)56が閉鎖され
たことを示す。
【0088】即ち、吸着手段の劣化の有無に関わらず、
吸着量が飽和した後は、それ以上の吸着は期待し得ず、
さらに排気ガスを供給し続けると、脱離したHC成分が
大気中に放出されるので、吸着手段への排気ガスの供給
を可能な限り速やかに停止する必要があるが、上記の如
く処理することによって、脱離したHC成分が大気中に
放出されるのを効果的に防止することができる。
【0089】尚、S28で否定されるときも吸着作動制
限時間を超えたため、同様の理由からS34に進んで分
岐路開閉バルブ60を閉じて分岐路(バイパス排気通
路)56を閉鎖する。
【0090】従って、次回以降のプログラムループにお
いてS20の判断は否定されてS36に進み、脱離HC
のパージ(吸気系への)判別を行う。
【0091】図13はその処理を示すサブルーチン・フ
ロー・チャートである。
【0092】以下説明すると、S300でフラグf.t
rs.purgeのビットが1にセットされているか否
か判断する。このフラグは後述の如く、パージ完了と判
断されるとき、そのビットを1にセットされる。
【0093】S300で否定されるときはパージ完了し
ていないと判断されるので、S302に進み、先のS2
4の処理と同様に検出温度tmp.trsが温度立ち上
がり判定しきい値X.TRS.TLMT以上か否か、換
言すれば、脱離反応が開始したか否か判断する。
【0094】S302で否定されて脱離反応が開始して
いないと判断されるときはS304に進み、HC吸着量
推定値hcm.hatをホールド(保持)し、S306
に進み、HC吸着量推定値hcm.hatが零以下か否
か判断する。この場合、S306の判断は通例否定され
てS308に進み、前記したフラグf.trs.pur
geのビットを0にリセットする。
【0095】次回以降のプログラムループにおいて、S
302で肯定されて脱離反応開始と推定されるときはS
310に進み、EGR(排気還流制御)中か否か判断す
る。この装置では適宜な運転状態においてEGR(排気
還流制御)を行い、そのときに脱離させたHCを吸気系
にパージする。尚、EGR(排気還流制御)自体はこの
発明の要旨と直接の関連を有しないので、説明は省略す
る。
【0096】S310で否定されるときは脱離HCを吸
気系にパージできないことからS304以降に進むと共
に、肯定されるときはS312に進み、EGR流量(還
流量)推定値q.egr〔g〕をテーブル検索して求め
る。
【0097】図14はそのテーブル特性を示す説明図で
ある。EGR流量(還流量)推定値q.egrは、EG
R制御バルブ84のリフト量(より詳しくはリフト量指
令値)と検出吸気管内絶対圧PBAとから図示のテーブ
ル特性に従って算出する。
【0098】尚、図10の場合と同様に、図14におい
ても、図示の簡略化のため、吸気管内絶対圧PBA特性
は3種のみ示すが、実際には4種以上の特性が設定され
る。また、求めたEGR流量(還流量)推定値q.eg
rを、排気圧力を示すパラメータたる大気圧および/ま
たは排気ガス温度に基づいて補正しても良い。
【0099】続いてS314に進み、HC吸着量推定値
の前回値hcm.hat(n-1) から、X.HC.PUR
GEと今求めたEGR流量(還流量)推定値q.egr
の積を減算し、HC吸着量推定値の今回値hcm.ha
t(n) を算出する。即ち、EGR制御を介して脱離HC
を吸気系にパージしたことから、EGR流量に基づいて
HC吸着量推定値を減少補正する。
【0100】図示の式において、X.HC.PURGE
は、EGR流量中のHC脱離量を推定するパラメータで
ある。尚、このパラメータも、検出温度tmp.trs
(推定値でも良い)、排気ガス温度あるいは熱量(推定
値でも良い)、空燃比フィードバック補正係数などのエ
ンジン運転状態に基づいて補正しても良い。
【0101】次いでS306に進んで減少補正したHC
吸着量推定値が零以下となったか否か判断し、否定され
るときはS308に進んで前記フラグf.trs.pu
rgeのビットを0にセットすると共に、肯定されると
きはS316に進んで前記フラグf.trs.purg
eのビットを1にセットし、HC吸着量推定値の今回値
hcm.hatを0にする。
【0102】その結果、次回以降のプログラムループに
おいてS300の判断は肯定され、以降の処理がスキッ
プされる。
【0103】この実施の形態は上記の如く構成したの
で、吸着材74の劣化を精度良く判別することができ
る。さらに、吸着手段の劣化の有無に関わらず、吸着量
が飽和した後は、それ以上の吸着は期待し得ず、さらに
排気ガスを供給し続けると、脱離したHC成分が大気中
に放出されるが、これによって、そのような不都合を効
果的に回避することができる。
【0104】図15はこの発明の第2の実施の形態に係
る内燃機関の排気浄化装置を示す、図4と同様なフロー
・チャートである。
【0105】第2の実施の形態においては、図1に想像
線で示す如く、第1の吸着材ベッド74aの上流に第2
の温度センサ108を追加した。即ち、図5においてC
点の温度に加えてA点の温度を検出するようにした。
【0106】第1の実施の形態と相違する点に焦点をお
き、図15フロー・チャートに従って第2の実施の形態
を説明すると、S10aにおいて第2の温度センサ10
8の出力(入口温度)tmp.inと第1の温度センサ
104の出力(検知用温度)tmp.trsをサンプリ
ングする。
【0107】続いてS12aに進み、検出した第2の温
度センサ108の出力(入口温度)tmp.inが入口
温度立ち上がり判定しきい値X.TRS.TLMTIN
(例えば60℃)以上か否か判断する。
【0108】S12aで否定されるときはS14に進ん
で無駄時間しきい値をテーブル検索し、S16aに進ん
で前記したタイマ(第2の実施の形態では「入口温度立
ち上がり後タイマ」という)をリセットし、S18に進
む。
【0109】また、S12aで肯定されるときは第1の
実施の形態と同様にS20に進んでフラグf.hctr
s.onのビット判断を行い、判断結果に応じてS22
あるいはS36に進む。
【0110】即ち、この発明においては吸着材温度の立
ち上がり特性から劣化判別を行っているため、排気ガス
の流入が開始した時点を検知する必要がある。第1の実
施の形態においてはエンジン始動の有無からそれを検知
したが、第2の実施の形態においては第2の温度センサ
108を設け、より直接的に排気ガスの流入開始時点を
検知するようにした。
【0111】即ち、図15フロー・チャートのS12a
において入口温度がしきい値以上となったか否か判断す
ることで排気ガスの流入が開始した時点を検知するよう
にした。
【0112】第2の実施の形態においては、上記の如く
構成したことで、第1の実施の形態に比して温度センサ
108を追加した点で構成が複雑となっているが、その
温度センサ108を用いて吸着材ベッド入口温度を測定
することで、排気ガスの流入が開始した時点をより直接
的に検知することができ、エンジン始動時間ばらつきの
影響を受けることがないことから、一層精度良く吸着材
74の劣化を判別することができる。尚、残余の構成お
よび効果は第1の実施の形態と異ならない。
【0113】ここで下流側の第1の温度センサ104の
取り付け位置について説明を補足すると、下流側の第1
の温度センサ104は、図16に示す如く、下流側の範
囲aに配置するのが望ましい。即ち、第2の吸着材後端
からある程度の距離bをおいて配置するのが望ましい。
【0114】その理由は、第1に、この発明に係る吸着
材の劣化判別手法が温度立ち上がり無駄時間に基づくこ
とから、無駄時間の絶対値が大きい、換言すれば、温度
センサ配置位置前の吸着容量が大きいほど、劣化の有無
を精度良く判別できるためである。
【0115】第2に、第2の吸着材74bの最後端(距
離bの末端)、換言すれば、その下流に吸着容量がない
位置に温度センサ104を配置すると、図示のような切
り換えバルブ(開閉バルブ58,60)を前方(上流
側)に備える機構の場合、センサ出力温度が立ち上がり
点に達するまで分岐路開閉バルブ60が閉じないことか
ら、吸着材全体が脱離温度に達し、脱離したHCがその
まま大気中に排出してしまうからである。
【0116】その意図から、第1、第2の実施の形態に
おいては、温度センサ104を第2の吸着材74aの後
端側で、かつ後端からある程度の距離(図16のb相当
値)をおいて配置した。
【0117】このように温度センサ104の後方にある
所定量の吸着材を残すことにより、センサ出力温度が立
ち上がり点に達しても、距離b部位の吸着材部分は脱離
温度に達していないので、センサ配置位置前方で脱離し
たHCは距離b部分で吸着され、そのまま大気中に排出
されることがない。
【0118】その点で、図17に示すように、切り換え
バルブ(開閉バルブ58,60)を吸着材下流に備える
とき、温度センサ104を、範囲cで示す如く、第2の
吸着材74bの末端位置、あるいは想像線で示す如くそ
の下流に配置しても、センサ出力温度が立ち上がり点に
達した後、直ちに分岐路開閉バルブ60を閉じれば、脱
離HCの排出を最小限度に止めることも可能である。
【0119】しかしながら、上記した理由から、後バル
ブ式の機構にしても温度センサを距離b程度を残して配
置するのが望ましい。これは、切り換えバルブ(開閉バ
ルブ58,60)を吸着材上下流にそれぞれ備えるよう
に変形した場合でも同様である。
【0120】上記したように、第1および第2の実施の
形態にあっては、内燃機関(エンジン10)の排気系
(排気管38)に配置され、機関始動後の排気ガスの未
燃(HC)成分を吸着する吸着手段(第1の吸着材(ベ
ッド)74a、第2の吸着材(ベッド)74b)を備え
た内燃機関の排気浄化装置において、前記吸着手段の温
度(B,C点)あるいはその下流位置(D点)の温度の
少なくともいずれか(温度tmp.trs)を検出する
温度検出手段(温度センサ104,ECU86,S1
0,S10a)、前記検出された温度tmp.trsが
所定値(温度立ち上がり判定しきい値X.TRS.TL
MT)に達するまでの経過時間(エンジン始動後タイマ
あるいは入口温度立ち上がり後タイマ(吸着材劣化判別
用始動後タイマ)tm.dtrs)を測定する経過時間
測定手段(ECU86,S24,S26)、および前記
測定された経過時間tm.dtrsに基づいて(より具
体的には、前記測定された経過時間tm.dtrsをし
きい値dtrs.lmtと比較することで)前記吸着手
段(第1の吸着材74a、第2の吸着材74b)が劣化
しているか否か判別する吸着手段劣化判別手段(ECU
86,S32,S200からS206)を備える如く構
成した。
【0121】尚、前記吸着手段劣化判別手段は、前記吸
着手段が劣化していると判別するとき、警告手段(警告
灯)を動作(点灯)させるようにした(ECU86,S
204)。
【0122】さらに、前記吸着手段の上流位置の温度
(入口温度tmp.in)を検出する第2の温度検出手
段(温度センサ108,ECU86,S10a)を備
え、前記経過時間測定手段は、前記第2の温度検出手段
により検出された温度tmp.inに基づいて前記経過
時間tm.dtrsを測定(より具体的には、前記第2
の温度検出手段により検出された温度(入口温度tm
p.in)をしきい値X.TRS.TLMTINと比較
し、しきい値以上と判断されるとき前記経過時間を測
定)する(ECU86,S12a,S26)如く構成し
た。
【0123】また前記吸着手段劣化判別手段は、前記測
定された経過時間tm.dtrsをしきい値X.TR
S.TLMTと比較することで前記吸着手段が劣化して
いるか否か判別する(ECU86,S32,S200か
らS206)如く構成した。
【0124】さらに、前記吸着手段が吸着した未燃成分
吸着量推定値hcm.hatを算出する吸着量推定値算
出手段(ECU86,S22,S100からS10
2)、および前記しきい値dtrs.lmtを前記算出
された未燃成分吸着量推定値に応じて設定するしきい値
設定手段(ECU86,S14)を備えるように構成し
た。
【0125】また、前記しきい値設定手段は、前記温度
検出手段により検出された温度tmp.trs、より具
体的には前記温度検出手段により検出された温度tm
p.trsと前記算出された未燃成分吸着量推定値に応
じて前記しきい値dtrs.lmtを設定する(ECU
86,S14)如く構成した。
【0126】また、内燃機関(エンジン10)の排気管
38に配置されて排気ガスの未燃成分を吸着する吸着手
段(第1の吸着材74a、第2の吸着材74b)を備え
た内燃機関の排気浄化装置において、前記内燃機関(エ
ンジン10)の排気管38から分岐して前記吸着手段を
収納する分岐路(バイパス排気通路56)、前記吸着手
段の温度あるいはその下流位置の温度の少なくともいず
れか(温度tmp.trs)を検出する温度検出手段
(温度センサ104,ECU86,S10,S10
a)、および前記検出された温度に基づき、(より具体
的には前記検出された温度tmp.trsをしきい値
X.TRS.LMTと比較し、検出された温度がしきい
値以上のとき)前記排気管38(より具体的にはメイン
排気通路38a)および分岐路(バイパス排気通路5
6)の開閉を切り換えて前記分岐路(バイパス排気通路
56)を閉鎖する切り換え制御手段(ECU86,バル
ブ作動機構64,排気管開閉バルブ58、分岐路開閉バ
ルブ60,S24,S28,S34)を備える如く構成
した。
【0127】尚、第1および第2の実施の形態におい
て、図5のC点(あるいはA点およびC点)の温度を検
出して吸着材74の劣化を判別したが、単に劣化を判別
するだだけであれば、A点,B点,C点,D点の温度の
いずれを用いても良い。
【0128】また第1および第2の実施の形態におい
て、図13フロー・チャートのS302の脱離反応開始
推定を検出温度から行ったが、第2の実施の形態の場
合、第1の吸着材74aの入口温度tmp.inに基づ
いて吸着材全体(第1、第2の吸着材74a,74b)
の温度を推定して行っても良い。
【0129】また上記において、排気管開閉バルブ58
および分岐路開閉バルブ60は電動型であっても良い。
【0130】また上記において、吸着材74も開示した
ものに限らず、耐熱性を有する各種の吸着剤であっても
良い。
【0131】
【発明の効果】請求項1項にあっては、簡易な構成であ
りながら、触媒未活性時に未燃成分を吸着させる吸着手
段の劣化を精度良く判別することができる。尚、上記
で、前記吸着手段劣化判別手段は、前記吸着手段が劣化
していると判別するとき、警告手段を動作させるのが望
ましい。
【0132】請求項2項にあっては、前記した効果に加
え、排気ガスの流入が開始した時点をより直接的に検知
することができ、吸着手段の劣化を一層精度良く判別す
ることができる。
【0133】請求項3項にあっては、簡易な構成であり
ながら、吸着手段の劣化を精度良く判別することができ
る。
【0134】請求項4項にあっては、しきい値を的確に
設定することができ、吸着手段の劣化を一層精度良く判
別することができる。
【0135】請求項5項にあっては、しきい値を一層的
確に設定することができ、吸着手段の劣化を一層精度良
く判別することができる。
【0136】請求項6項にあっては、吸着手段の劣化の
有無に関わらず、吸着量が飽和した後は、それ以上の吸
着は期待し得ず、さらに排気ガスを供給し続けると、脱
離したHC成分が大気中に放出される不都合を効果的に
回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る内燃機関の排気浄化装置を全体
的に示す説明図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1装置中の制御ユニット(ECU)の詳細を
示すブロック図である。
【図4】図1装置の動作、より具体的にはHC吸着材の
劣化判別動作を示すフロー・チャートである。
【図5】この発明に係る吸着材の劣化判別動作を説明す
るための、図1装置の排気系に配置された吸着材の温度
測定点を示す概略説明図である。
【図6】図5の温度測定結果データである。
【図7】図6の温度特性の説明図である。
【図8】同様に図6の温度特性の説明図である。
【図9】同様に図6の温度特性の説明図である。
【図10】図4フロー・チャートで使用するしきい値の
特性を示すグラフである。
【図11】図4フロー・チャートのHC吸着量推定値の
算出作業を示すサブルーチン・フロー・チャートであ
る。
【図12】図4フロー・チャートのHC吸着材劣化判別
作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図13】図4フロー・チャートの脱離HCのパージ判
別作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図14】図13フロー・チャートで使用するEGR流
量推定値の特性を示すグラフである。
【図15】この発明の第2の実施の形態に係る装置の動
作を示す、図4と同様なフロー・チャートである。
【図16】この発明の第1の実施の形態および第2の実
施の形態における吸着材の温度測定点を示す、図5と同
様な説明図である。
【図17】同様にこの発明の第1の実施の形態および第
2の実施の形態における吸着材の温度測定点を示す、図
5と同様な説明図である。
【符号の説明】
10 内燃機関(エンジン) 12 吸気管 38 排気管(排気路) 38a メイン排気通路 40,42,44 触媒装置 52 チャンバ 54 分岐管 56 分岐路(バイパス排気通路) 58 排気管開閉バルブ 60 分岐路開閉バルブ 64 バルブ作動機構 74 吸着材(吸着手段) 76 孔 82 EGR通路 84 EGR制御バルブ 86 制御ユニット(ECU) 104 温度センサ(温度検出手段) 108 温度センサ(温度検出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 45/00 314 F02D 45/00 314Z (72)発明者 佐藤 忠 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 岩城 喜久 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 上野 将樹 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 芳賀 剛志 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 遠藤 哲雄 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の排気系に配置され、機関始動
    後の排気ガスの未燃成分を吸着する吸着手段を備えた内
    燃機関の排気浄化装置において、 a.前記吸着手段の温度あるいはその下流位置の温度の
    少なくともいずれかを検出する温度検出手段、 b.前記検出された温度が所定値に達するまでの経過時
    間を測定する経過時間測定手段、 および c.前記測定された経過時間に基づいて前記吸着手段が
    劣化しているか否か判別する吸着手段劣化判別手段、を
    備えたことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 【請求項2】 さらに、 d.前記吸着手段の上流位置の温度を検出する第2の温
    度検出手段、を備え、前記経過時間測定手段は、前記第
    2の温度検出手段により検出された温度に基づいて前記
    経過時間を測定することを特徴とする請求項1項記載の
    内燃機関の排気浄化装置。
  3. 【請求項3】 前記吸着手段劣化判別手段は、前記測定
    された経過時間をしきい値と比較することで前記吸着手
    段が劣化しているか否か判別することを特徴とする請求
    項1項または2項記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 【請求項4】 さらに、 e.前記吸着手段が吸着した未燃成分吸着量推定値を算
    出する吸着量推定値算出手段、 および f.前記しきい値を前記算出された未燃成分吸着量推定
    値に応じて設定するしきい値設定手段、を備えたことを
    特徴とする請求項3項記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 【請求項5】 前記しきい値設定手段は、前記温度検出
    手段により検出された温度に応じて前記しきい値を設定
    することを特徴とする請求項4項記載の内燃機関の排気
    浄化装置。
  6. 【請求項6】 内燃機関の排気管に配置されて排気ガス
    の未燃成分を吸着する吸着手段を備えた内燃機関の排気
    浄化装置において、 a.前記内燃機関の排気管から分岐して前記吸着手段を
    収納する分岐路、 b.前記吸着手段の温度あるいはその下流位置の温度の
    少なくともいずれかを検出する温度検出手段、 および c.前記検出された温度に基づき、前記排気管および分
    岐路の開閉を切り換えて前記分岐路を閉鎖する切り換え
    制御手段、を備えたことを特徴とする内燃機関の排気浄
    化装置。
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