JP4498563B2 - 押しボタンスイッチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、工作機械等の産業機械の電源ラインを開閉操作するために制御パネルに取り付けられ、押し込み操作によりスイッチ接点が開または閉状態にロックされ、ロック状態からの回転操作により元の状態に復帰する押しボタンスイッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば工作機械の制御パネルには、安全装置として非常停止用の押しボタンスイッチが配設され、非常時にこの押しボタンスイッチを押し込み操作することによって機械の主回路への電源供給を遮断してその動作を停止できるようになっている。
【0003】
図12(a)に示すように、この種の非常停止用押しボタンスイッチ101は、制御パネル等の固定部材、例えばパネル102に着脱自在に取り付けられるスイッチ本体103と、スイッチ本体103に形成された円柱状空間から成る収容部104の内側にその上端部が外部に突出し軸方向に移動自在でかつ軸周りに回転自在に収容された操作軸105と、この操作軸105をスイッチ本体103の収容部104から突出する方向に付勢するバネ等から成る付勢手段106と、操作軸105の上端に装着された操作ボタン107と、付勢手段106の付勢力に抗した操作軸105の収容部104内への押し込み操作により、操作軸105を押し込み状態にロックし、一方向Yへの操作軸105の回転操作によりロック解除するロック手段108とを備えている。
【0004】
そして、非常事態が発生したときに、図12(b)に示すように、操作軸105を押し込み操作することにより、ロック手段108によって操作軸105が押し込み状態にロックされ、閉状態のスイッチ接点が開状態に保持され、主回路への電源ラインが開路されて電源供給が遮断される。一方、非常事態が回避されてロック状態を解除するには、ロック状態の操作軸105を一方向Yに回転操作することにより、ロック手段108による操作軸105のロック状態が解除されると同時に、その後操作軸105の回転操作を止めても、付勢手段106の付勢力により操作軸105が上記した一方向Yと反対の他方向に回転し、押し込み前の初期状態に復帰すると同時に、スイッチ接点が閉状態に復帰する。
【0005】
また、このような押しボタンスイッチ101のパネル102への取り付けは、操作軸105から操作ボタン107を取り外し、例えば操作軸105をパネル102に形成された透孔109に裏面側(図の下方)から挿通してボルト・ナットリング等の固定手段110によりパネル102に固定することにより行われる。このとき、透孔109の径は操作軸105の外径より若干大きい程度であるため、上記したように操作ボタン107を操作軸105から一旦取り外す必要がある。そのために、操作ボタン107は操作軸105に対して着脱自在に装着される構成となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した従来の押しボタンスイッチ101は、初期状態においても操作軸105が軸周りに上記した一方向Yに回転可能な構造であるため、初期状態において操作ボタン107を持って操作軸105を一方向Yに回転させた後、操作軸105を押し込むことによって閉状態のスイッチ接点が開く。しかしながら、操作ボタン107から手を離すと操作軸105は押し込まれた位置でロックされることなく、付勢手段106の付勢力により初期状態に簡単に押し戻されてしまう。
【0007】
このような操作が行われると、機械を停止させようとしたにもかかわらず、操作軸105がロックされずに初期状態に戻ってしまうため、機械を停止させることができず、この種の押しボタンスイッチ101を非常停止用として用いた場合に信頼性の面で問題があった。
【0008】
また、この押しボタンスイッチ101の操作ボタン107は、操作軸105に着脱自在に装着されるよう構成されているため、上記したように押しボタンスイッチ101の開閉動作を繰り返し行ったときに、操作ボタン107が操作軸105の初期状態への復帰時の振動によって操作ボタン107が緩んで操作軸105から容易に外れてしまい、スイッチの押し込み操作を行いにくくなるという問題もあった。
【0009】
なお、このような問題は、非常停止用の押しボタンスイッチに限られることではなく、他の用途に使用される押しボタンスイッチ全般に生じる問題でもある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、初期状態では操作軸の押し込み操作のみ可能にして操作軸を回転できないようにした押しボタンスイッチを提供することを目的とする。
【0011】
また、安価な構成により、操作ボタンが操作軸から容易に外れることを防止できる押しボタンスイッチを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、本発明にかかる押しボタンスイッチは、押し込み操作によりスイッチ接点が開または閉状態にロックされ、ロック状態からの回転操作により元の状態に復帰する押しボタンスイッチにおいて、固定部材に着脱自在に取り付けられるスイッチ本体と、前記スイッチ本体の収容部内側にその上端部が外部に突出し軸方向に移動自在でかつ軸周りに回転自在に収容された操作軸と、前記操作軸を前記収容部から突出する方向に付勢する付勢手段と、前記操作軸の上端に装着された操作ボタンと、前記付勢手段の付勢力に抗した前記操作軸の前記収容部内への押し込み操作により前記操作軸を押し込み状態にロックし、一方向への前記操作軸の回転操作によりロック解除するロック手段と、前記操作軸の外周面に形成された軸側突起と、前記スイッチ本体の前記収容部の内周面に形成されて前記軸側突起が当接する本体側突起とから成り、前記操作軸の押し込み操作前の初期状態において前記軸側突起が前記本体側突起に係止して前記操作軸の前記一方向への回転操作を規制する規制手段とを備え、前記ロック手段によるロック時に、前記スイッチ接点が閉または開状態に保持され、前記ロック手段のロック解除時に、前記付勢手段の付勢力により前記操作軸が前記一方向と反対の他方向に回転して前記初期状態に復帰すると同時に、前記スイッチ接点が開または閉状態に復帰することを特徴としている。
【0013】
このような構成によると、初期状態において、操作軸は規制手段により一方向への回転が規制される。すなわち、操作軸はロック手段とのロックを解除する方向、つまり上記した一方向には回転することができず、例えば従来例のように、初期状態で操作軸を一方向に回転させて押し込んだために、操作軸がロックされず、接点の開または閉状態が維持できない状態で付勢手段により初期状態へ戻されるという操作を防止することができる。従って、操作軸は回転することなく押し込みが可能で、また押し込まれると必ずロックされて接点の開または閉状態を維持できるため、押しボタンスイッチを非常停止用として用いた場合の信頼性の向上を図ることができる。さらに、初期状態において、操作軸の外周面に形成された軸側突起がスイッチ本体に形成された本体側突起に当接して、操作軸が上記した一方向へ回転するのを規制するため、初期状態で操作軸は押し込み操作のみ可能となる。
【0016】
また、本発明にかかる押しボタンスイッチは、前記操作ボタンが、前記一方向を螺合方向として前記操作軸の上端部に着脱自在に装着され、前記操作ボタンの装着時に前記操作軸に形成された被係合部に係合して前記操作ボタンの他方向への回転を阻止する係合手段が、前記操作ボタンに設けられていることを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、係合手段により操作ボタンと操作軸とが係合しているため、操作ボタンが回転して緩むのを防止することができる。従って、例えば、押しボタンスイッチの開閉操作を繰り返して行ったとしても、操作軸の初期状態への復帰時の振動等によって操作ボタンが緩むことなく、操作ボタンが操作軸から外れるのを防止することができる。
【0018】
また、本発明にかかる押しボタンスイッチは、前記係合手段が、前記操作ボタンに移動自在に設けられ前記被係合部と係合する係合部材と、この係合部材を係合方向に付勢する付勢部材とから成ることを特徴としている。
【0019】
このような構成によれば、付勢部材によって係合部材が操作軸の被係合部に付勢されて係合しているため、係合部材と被係合部とは強固に係合し、操作ボタンが操作軸から緩んで外れるのを防止することができる。
【0020】
また、本発明にかかる押しボタンスイッチは、前記係合部材が、前記付勢部材による付勢力に抗した移動操作により、前記被係合部との係合状態を解除されることを特徴としている。このとき、前記係合部材を付勢力に抗して移動させるための操作部を前記係合部材に形成しておくことが望ましい。
【0021】
このような構成によれば、操作部に外力を加え、付勢部材の付勢力に抗して係合部材を移動させると、係合部材と被係合部との係合状態が解除するため、この状態で操作ボタンを前記一方向と逆の方向に回転させると、操作ボタンを操作軸から簡単に取り外すことができる。
【0022】
また、本発明にかかる押しボタンスイッチは、前記操作部が、前記係合部材から突出していることを特徴としている。このような構成によれば、操作部が突出しているため、例えば指などで操作部に外力を加えることができ、操作部を介して係合部材を移動させ、操作ボタンと操作軸との係合状態を簡単に解除することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
この発明を、工作機械等の産業機械の非常停止用に用いる場合を例とした一実施形態について図1ないし図10を参照して説明する。ただし、図1は、押しボタンスイッチの切断正面図、図2は図1のA−A線矢視断面図、図3は図1のB−B線矢視断面図、図4は操作軸周辺の斜視図、図5は操作ボタンの底面図、図6は操作ボタンの装着動作の説明図、図7は操作ボタンの取り外し動作の説明図、図8および図9は押しボタンスイッチの動作説明図、図10は図9のA−A線矢視断面図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、本実施形態にかかる押しボタンスイッチ1は、固定部材、例えばパネル2に着脱可能に取り付けられるスイッチ本体3と、このスイッチ本体3に取り付けられてスイッチ接点を開閉させる操作軸4と、操作軸4の上端に装着された操作ボタン5とから構成されている。そして、非常事態発生時にこの押しボタンスイッチ1が押し込み操作されると、明確には図示されていない閉状態のスイッチ接点が開状態に保持され、産業機械の主回路への電源供給が遮断されるようになっている。
【0025】
スイッチ本体3には上下方向に略円柱状の空間から成る収容部6が形成されており、操作軸4が、その上端を外部に突出し、軸方向に移動自在でかつ軸周りに回転自在に収容部6に収容されている。また、スイッチ本体3の外周面には、フランジ10が形成されており、後述するように、このフランジ10がパネル2の透孔周縁に当接した状態でスイッチ本体3が取付リング63によりパネル2に取り付けられる。
【0026】
さらに、このスイッチ本体3の収容部6の下部には、図2に示すように、操作軸4が押し込まれたときに、その位置で操作軸4をロックするとともに、操作軸4を回転することによりロックを解除するロック手段を構成する一対のロック部材11が軸対称の位置に設けられている。このロック部材11はバネにより操作軸4の中心に向かって付勢されており、ロック手段の詳細な構成については後述する。
【0027】
また、収容部6にはねじりコイルバネ12が配設され、このねじりコイルバネ12が操作軸4に外挿されており、ねじりコイルバネ12により操作軸4が収容部6から突出する方向つまり上方に付勢されている。このとき、スイッチのロック状態から操作軸4が一方向(図4中のX方向)に回動すると、ねじりコイルバネ12は、操作軸4をX方向とは反対の他方向にも付勢するように、ねじりコイルバネ12の両端が操作軸4及びスイッチ本体3にそれぞれ固定されている。ここで、X方向(一方向)を以後、「解除方向」と称し、後述するように、この解除方向Xに操作軸4を回転すると、操作軸4とロック部材11との係合状態が解除される。
【0028】
さらに、この操作軸4は、ロック部材11に係合する円筒状の押圧部13と、その上端部に操作ボタン5が装着される軸部14とからなり、図1に示すように、押圧部13の上部外周に巻回されて配設された反転バネ15の上端が軸部14の下端に係止され、収容部6において、反転バネ15を介在して軸部14の下部が押圧部13に連結された状態に保持されている。なお、反転バネ15の下端は、後述するように押圧部13に形成された第1軸側突起に係止されており、操作ボタン5が押し込まれることにより、軸部14が下動して反転バネ15が圧縮され、この反転バネ15の圧縮力により押圧部13が下方に付勢されて押圧部13がロック部材11に係合するようになっている。
【0029】
また、図3に示すように、軸部14下端の内周面には軸部突起16が軸対称の位置に形成されている。一方、スイッチ本体3先端部の外周面には、第1先端部突起17及び第2先端部突起18が軸対称の位置に形成されており、軸部突起16が第1先端部突起17と係止している。これにより、初期状態では、操作軸14は解除方向Xと反対の他方向への回転が規制されている。
【0030】
ところで、操作軸4の外周上端には雄ネジが形成され、操作ボタン5に形成された雌ネジがこの操作軸4の雄ネジに螺合し、操作ボタン5が操作軸4に着脱自在に取り付けられている。このとき、図1に示すように、操作軸4の上端部には、操作ボタン5に設けられた係合部材21の先端が係脱自在に係合する被係合部としての係合孔38が形成されており、この係合孔38とともに係合手段を構成する係合部材21の先端がこの係合孔38に係合すると、操作軸4に取り付けられた操作ボタン5の回転が規制され、螺合した操作ボタン5が緩んで操作軸4から外れるのを防止する。
【0031】
また、操作ボタン5の中央部は透光性を有する透明或いは半透明の樹脂で形成され、操作軸4の中空内部に配設された図示しない電球或いは発光ダイオード等の発光素子が点灯したときに、その光が外部から見えるようになっており、非常時に操作軸4が押し込まれてスイッチ接点が開くとこの発光素子が点灯して非常事態の発生が報知されるようにもなる。また、この発光素子はスイッチ接点が開いたときだけでなく、スイッチ接点が閉じた時や、常時点灯させるようにしてもよい。
【0032】
図4に示すように、操作軸4を構成する押圧部13の上下方向の略中間部には、略扇形の一対の第1軸側突起31、31が軸対称の位置に形成され、押圧部13の下部にも、略扇形の一対の第2軸側突起32、32が軸対称の位置に形成されている。そして、スイッチ本体3の収容部6の内面には、両第1軸側突起31がそれぞれ当接する一対の本体側突起41、41が形成され、初期状態において両第1軸側突起31が両本体側突起41それぞれに当接し、操作軸4の解除方向Xへの回転が規制されている。これら両第1軸側突起31及び両本体側突起41により、本発明における規制手段が構成される。
【0033】
このように、初期状態では、スイッチ本体3に設けられた両本体側突起41および上記した第1先端部突起17により、操作軸14は、軸周りには回転できずに押し込みのみ可能に構成されている。
【0034】
さらに、図4に示すように、押圧部13の第1軸側突起31と第2軸側突起32との間における外周面に係止部33が一体的膨出して形成されており、操作軸4が押し込まれたときに、ロック部材11と係合して操作軸4を押し込み状態にロックするとともに、操作軸4を解除方向Xに回転することによりロック解除する。これらロック部材11と係止部33により、本発明におけるロック手段が構成されている。
【0035】
この係止部33は、その下部に形成された下方に向かう傾斜面34と、中間部に形成された段部35と、この段部35の上方位置に形成された摺接面36と、段部35と摺接面36との間に形成された傾斜面37とから構成されている。そして、図1に示すように、ロック部材11は、バネ43により収容部6の中心方向に付勢されており、操作ボタン5を押し込んでいない初期状態では、ロック部材11の略中央に形成された下方に向かう傾斜面44が、係止部33の下部の傾斜面34に当接する。また、押圧部13の第1軸側突起31の上面は、スイッチ本体3の中部内周に一体形成された係止体45に当接しており、ねじりコイルバネ12によって上方へ付勢される操作軸4の上方への移動(抜け)を阻止している。
【0036】
ところで、操作ボタン5には操作軸4の上部が挿通される凹状の挿通部51が形成され、この挿通部51の内周に操作軸4の雄ネジが螺合する雌ねじが形成されている。そして、図5(a)に示すように、操作ボタン5の挿通部51の外側に取付スペース54が形成され、この取付スペース54に係合部材21が配設され、挿通部51と取付スペース54とを連通する連通孔55に係合部材21の先端22が嵌挿している。なお、取付スペース54の壁面の一部に形成された切欠部より、係合部材21の先端22と反対側端部が操作ボタン5から出没する。
【0037】
また、図5(a)に示すように、係合部材21の中央部には、この係合部材21と直交する方向に突出した板バネ状の一対の付勢部材23が形成され、この両付勢部材23の端部が取付けスペース54の内壁に当接して、係合部材21を先端22が連通孔55に係合する方向に付勢している。さらに、係合部材21の先端22と反対側端部の下面には、下方に突出して操作突起24が一体的に形成されている。ここで、係合部材21及び付勢部材23により、本発明における係合手段が構成される。
【0038】
そして、図5(b)に示すように、例えば指先により、操作突起24に付勢部材23に抗して外力を加え、係合部材21を操作ボタン5の外方に引っ張ると、係合部材21の先端22が挿通部51から退出し、係合部材21の先端22が操作軸4の係合孔38から抜け出るため、この状態で操作ボタン5をその雌ネジと操作軸4の雄ネジとの螺合が緩む方向に回すことにより、操作ボタン5を操作軸4から取り外すことが可能になる。なお、係合部材21の先端22の下部には傾斜面25が形成されており、操作ボタン5の雌ネジを操作軸4の雄ネジに螺合していったときに、操作軸4の上端を上方へと案内するように働く。
【0039】
ところで、操作ボタン5を操作軸4に取り付けるには、まず操作ボタン5を解除方向Xと同じ方向に回転させながら操作軸4の上端に螺合させていく(図6(a))。そして、操作軸4の上端が係合部材21の先端22の位置まで達すると、操作軸4の上端縁が係合部材21の先端22の傾斜面25に当接し、さらに操作ボタン5を螺合させると、操作軸4の上端縁は先端22の傾斜面25に摺接しながら係合部材21を操作ボタン5の外側へと押し遣る(図6(b))。
【0040】
さらに、操作ボタン5を回し続け、操作ボタン5と操作軸4との螺合が完了し、係合部材21の先端22の位置が操作軸4上端の係合孔38の位置に一致すると、係合部材21が付勢部材23により操作軸4方向に付勢され、係合部材21の先端22が係合孔38に係合し(図6(c))、操作ボタン5の雌ネジと操作軸4の雄ネジとの螺合状態の緩みが防止される。なお、係合部材21の先端22が係合孔38に係合していない状態では、図6(b)に示すように、係合部材21の操作突起24が操作ボタン5の外部に突出しており、係合状態が完了していないことを視認することができる。
【0041】
一方、操作ボタン5を操作軸4から取り外すには、図7に示すように、例えば係合部材21の操作突起24を指で操作ボタン5の外方に引っ張り、係合部材21の先端22を係合孔38から抜き出して係合状態を解除する。この状態で、操作ボタン5を解除方向Xとは逆の方向に回転させると、操作ボタン5の雌ネジが操作軸4の雄ネジから緩み、操作ボタン5を操作軸4から簡単に取り外すことができる。
【0042】
ところで、押しボタンスイッチ1のパネル2に取り付ける場合、操作ボタン5を操作軸4から取り外しておき、図1に示すように、パネル2に形成された取付孔61に、パネル2の裏側から操作軸4を挿通する。このとき、取付孔61は、操作軸4の外径より若干大きい程度で操作ボタン5は挿通不可能な径に形成されている。
【0043】
続いて、操作軸4を取付孔61に挿通した状態で、スイッチ本体3のフランジ10をパネル2の裏側にワッシャー62を介在して当接させるとともに、パネル2の表側から取付リング63によってスイッチ本体3をパネル2に固定する。そして、最後に操作ボタン5を操作軸4の上端に取り付ける。この取付リング63はスイッチ本体3の外周の螺着する構造となっている。このように、操作ボタン5が操作軸4に対して着脱可能であるため、押しボタンスイッチ1をパネル2に対して簡単に取り付けることができる。なお、押しボタンスイッチ1をパネル2から取り外すためには、上記した手順を逆に行えばよい。
【0044】
次に、上記のように構成された押しボタンスイッチ1を非常停止操作した場合の動作について図8ないし図10を参照しつつ説明する。
【0045】
いま、産業機械に何らかの異常が発生し、停止させる必要が生じた場合、初期状態から、操作ボタン5を押し込み操作すると、反転バネ15及びねじりコイルバネ12が圧縮され、その付勢力が押圧部13に対して下方に作用するが、押し込み当初は、図8(a−1)、(a−2)に示すように、操作軸4における押圧部13の係止部33の傾斜面34が、ロック部材11の傾斜面44に当接している。
【0046】
さらに、操作ボタン5の押し込みを継続すると、ロック部材11の傾斜面44がバネ43に抗して係止部33の傾斜面34に沿って摺接しつつ、ロック部材11が外方に押し遣られ、押圧部13の係止部33がロック部材11を乗り越えると同時に圧縮されていた反転バネ15の反力で操作軸4が下方に移動し、その後図8(b−1)、(b−2)に示すように、押圧部13の段部35にロック部材11の下面が係止し、ねじりコイルバネ12の付勢力によっても、押圧部13は上方に移動することはなく、操作軸4が押し込み状態にロックされる。
【0047】
このとき、スイッチ接点は閉状態から開状態となり、産業機械の主回路への電源供給が遮断されて産業機械が非常停止される。また、操作軸4は押し込まれた位置でロックされているため、産業機械の異常が除去されて正常復帰できるまで、スイッチ接点は開状態にロックされ、産業機械への電源供給は遮断され続ける。
【0048】
このようなロック状態では、操作軸4が押し込まれているため、押圧部13の両第1軸側突起31は収容部6の本体側突起41から離間し、操作軸4は解除方向Xに回転可能となっている。このとき、軸部14下端に形成された軸部突起16が、スイッチ本体3先端部に形成された第1先端部突起17と係止しており、操作軸14が解除方向Xと反対の方向に回転するのを規制している(図3参照)。
【0049】
続いて、操作軸4のロックを解除するためには、図9(a−1)、(a−2)に示すように、操作軸4をねじりコイルバネ12の付勢力に抗して解除方向Xに回転すると、押圧部13の段部35にその下面が係止しているロック部材11が、相対的に操作軸4の回転方向と反対方向に回動し、ロック部材11が係止部33における傾斜面37を摺接しながら傾斜のない摺接面36に到達し、この間にロック部材11の下面の段部35との係止状態が解除され、操作軸4がねじりコイルバネ12の付勢力により上方へ移動し得る状態となる。ここで、ロック部材11は再びバネ43に抗して外方に押し遣られている。このとき、図10に示すように、軸部14下端に形成された軸部突起16が、スイッチ本体3先端部に形成された第2先端部突起18と係止しているため、操作軸14は解除方向Xに所定角度以上回転しないようになっている。
【0050】
そして、図9(b−1)、(b−2)に示すように、操作軸4が、ねじりコイルバネ12の付勢力により、解除方向Xと逆の方向に回転されつつ上方へと移動され、初期状態に復帰する。このとき、スイッチ接点が再び閉状態と戻り、産業機械へ電源が再供給可能となる。
【0051】
従って、上記した実施形態によれば、初期状態において、操作軸4の両第1軸側突起31がスイッチ本体3の両本体側突起41に当接するため、操作軸4を解除方向Xに回転することはできず、押し込み操作のみを行うことができる。そのため、例えば従来例のように、初期状態において操作軸4を解除方向Xに回転したまま押し込んだために、操作軸4がロック部材11によりロックされず、スイッチ接点を開状態でロックできずに初期状態へ戻るという誤った動作を確実に防止することができる。
【0052】
また、初期状態において操作軸4は押し込み操作のみ行うことができることから、操作軸4は押し込まれた位置でロック部材11により必ずロックされるとともに、接点を開または閉状態に維持することができるため、押しボタンスイッチ1を非常停止用として用いた場合の信頼性を向上させることができる。
【0053】
さらに、係合部材21の先端22を係合孔38に係脱自在に係合するようにしたため、スイッチ操作に伴い操作ボタン5が操作軸4から緩んで外れてしまうのを防止することができる。
【0054】
なお、上記した実施形態では、初期状態における操作軸4の回転を規制する規制手段を操作軸4の第1軸側突起31とスイッチ本体3の本体側突起41とで構成しているが、規制手段は特にこのような構成に限定されるものではなく、要するに初期状態において操作軸4の解除方向Xへの回転を規制できるような構成であればよい。
【0055】
また、上記した実施形態では、操作ボタン5の係合部材21に、操作ボタン5の外部へ突出する操作突起24を形成し、例えば指などで外部から係合部材21を移動できるように構成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、図11に示すように変形しても構わない。
【0056】
すなわち、操作突起24に代えて、図11に示すように、係合部材21の先端22と反対側端部の上面側に凹部26を形成し、ドライバ等の鋭利な先端を有する工具70等をこの凹部26に係合させ、工具70を介して係合部材21に外力を加えてその先端22の係合孔38との係合を解除させるような構成としても構わない。
【0057】
こうすることにより、工具70等を使用しない限り、係合部材21と操作軸4の係合孔38との係合状態を、操作ボタン5の外部から簡単に解除することはできず、操作ボタン5が操作軸4から外れるのをより確実に防止することができる。
【0058】
また、操作ボタン5は、リング状であってもよく、このようにすると、発光素子が内蔵された照光式の操作軸4と、非照光式の中実或いは中空の操作軸4とで操作ボタン5を流用することができ、製造コストを低減することができる。なお、照光式の操作軸4から発光素子を取り外すことで、非照光式の操作軸4として用いることもできる。
【0059】
なお、上記した実施形態では、本発明の押しボタンスイッチ1を非常停止用に使用する場合について説明しているが、応用範囲はこれに限られるものではなく、その他の用途にも使用できて上記した実施形態と同等の効果を得ることができるのは勿論である。
【0060】
また、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、初期状態において操作軸は押し込み操作のみ可能であるため、従来例のようにロック手段とのロックを解除させる方向に操作軸を回転させて操作軸を押し込み、操作軸がロックされずに初期状態に復帰するという操作が行われることはなく、押し込まれた操作軸は必ずロックされてスイッチ接点の開または閉状態を維持することができ、押しボタンスイッチの信頼性を向上させることが可能になる。
【0062】
さらに、操作軸の回転を規制する規制手段を、操作軸の外周面に形成された軸側突起と、スイッチ本体の収容部の内周面に形成されて軸側突起が当接する本体側突起とから構成することにより、初期状態において軸側突起が本体側突起に当接するため、操作軸の回転が規制され、操作軸の押し込み操作のみ可能となる。
【0063】
また、請求項2に記載の発明によれば、係合手段により操作ボタンと操作軸とが係合しているため、操作ボタンの螺合が緩んで、操作ボタンが操作軸から外れるのを防止することができる。
【0064】
また、請求項3に記載の発明によれば、付勢部材によって係合部材が操作軸の被係合部に付勢されて係合しているため、係合部材と被係合部とは強固に係合し、操作ボタンが操作軸から緩んで外れるのを防止することができる。
【0065】
また、請求項4および5に記載の発明によれば、操作部に外力を加え、付勢部材の付勢力に抗して係合部材を移動させると、係合部材と被係合部との係合状態が解除するため、この状態で操作ボタンを回転させると、操作ボタンを操作軸から簡単に取り外すことができる。
【0066】
また、請求項6の記載によれば、操作部が突出しているため、操作ボタンの外部から操作部を介して係合部材に外力を加えることができ、操作部を動かすことで係合部材を移動させて操作ボタンと操作軸との係合状態を簡単に解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態を示す正面断面図である。
【図2】図1のA−A線矢視断面図である。
【図3】図1のB−B線矢視断面図である。
【図4】この発明の一実施形態における一部の斜視図である。
【図5】この発明の一実施形態における他の一部の平面図である。
【図6】この発明の一実施形態の動作説明図である。
【図7】この発明の一実施形態の動作説明図である。
【図8】この発明の一実施形態の動作説明図である。
【図9】この発明の一実施形態の動作説明図である。
【図10】図9のA−A線矢視断面図である。
【図11】この発明の一実施形態の変形例を示す図である。
【図12】従来例の押しボタンスイッチを示す断面図である。
【符号の説明】
1 押しボタンスイッチ
2 パネル(固定部材)
3 スイッチ本体
4 操作軸
5 操作ボタン
6 収容部
11 ロック部材(ロック手段)
12 ねじりコイルバネ(付勢手段)
15 反転バネ(付勢手段)
21 係合部材
23 付勢部材
24 操作突起(操作部)
31 第1軸側突起(規制手段)
33 係止部(ロック手段)
38 係合孔(被係合部)
41 本体側突起(規制手段)
X 解除方向(一方向)
Claims (6)
- 押し込み操作によりスイッチ接点が開または閉状態にロックされ、ロック状態からの回転操作により元の状態に復帰する押しボタンスイッチにおいて、
固定部材に着脱自在に取り付けられるスイッチ本体と、
前記スイッチ本体の収容部内側にその上端部が外部に突出し軸方向に移動自在でかつ軸周りに回転自在に収容された操作軸と、
前記操作軸を前記収容部から突出する方向に付勢する付勢手段と、
前記操作軸の上端に装着された操作ボタンと、
前記付勢手段の付勢力に抗した前記操作軸の前記収容部内への押し込み操作により前記操作軸を押し込み状態にロックし、一方向への前記操作軸の回転操作によりロック解除するロック手段と、
前記操作軸の外周面に形成された軸側突起と、前記スイッチ本体の前記収容部の内周面に形成されて前記軸側突起が当接する本体側突起とから成り、前記操作軸の押し込み操作前の初期状態において前記軸側突起が前記本体側突起に係止して前記操作軸の前記一方向への回転操作を規制する規制手段とを備え、
前記ロック手段によるロック時に、前記スイッチ接点が閉または開状態に保持され、前記ロック手段のロック解除時に、前記付勢手段の付勢力により前記操作軸が前記一方向と反対の他方向に回転して前記初期状態に復帰すると同時に、前記スイッチ接点が開または閉状態に復帰することを特徴とする押しボタンスイッチ。 - 前記操作ボタンが、前記一方向を螺合方向として前記操作軸の上端部に着脱自在に装着され、前記操作ボタンの装着時に前記操作軸に形成された被係合部に係合して前記操作ボタンの他方向への回転を阻止する係合手段が、前記操作ボタンに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の押しボタンスイッチ。
- 前記係合手段が、前記操作ボタンに移動自在に設けられ前記被係合部と係合する係合部材と、この係合部材を係合方向に付勢する付勢部材とから成ることを特徴とする請求項2に記載の押しボタンスイッチ。
- 前記係合部材が、前記付勢部材による付勢力に抗した移動操作により、前記被係合部との係合状態を解除されることを特徴とする請求項3に記載の押しボタンスイッチ。
- 前記係合部材の前記被係合部との係合状態を解除すべく、前記係合部材を前記付勢部材による付勢力に抗して移動操作する操作部が、前記係合部材に形成されていることを特徴とする請求項4記載の押しボタンスイッチ。
- 前記操作部が、前記係合部材から突出していることを特徴とする請求項5に記載の押しボタンスイッチ。
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