JP4496572B2 - 鋼帯の連続熱処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼帯の連続熱処理を行う際に、鋼帯の酸化物や鉄粉がハースロール表面に付着・堆積して発生するビルドアップに起因した鋼帯裏面への押込疵の発生を防止する連続熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続焼鈍炉などの連続熱処理炉では多数のハースロールが用いられる。これらのハースロールは高温の酸化性あるいは還元性の雰囲気中で長時間連続して鋼帯の搬送に使用される。そのため、ハースロール表面には、鋼帯表面の酸化物や鉄粉などが付着・堆積してビルドアップといわれる付着物が形成される。
【0003】
ビルドアップがハースロール表面に生成すると、被熱処理材である鋼帯が搬送される際に、ビルドアップが鋼帯の裏面(ハースロールと接触する側の面を裏面、接触しない側の面を表面とする)に押し込まれ、鋼帯裏面にはビルドアップの転写した押込疵(以下、ハースロール疵と称す)が発生する。このハースロール疵は鋼帯製品の表面品質を著しく低下させるとともに、ハースロール疵が発生したときには、ハースロールの手入れのため操業の停止が余儀なくされることもある。
【0004】
そこで、ビルドアップの発生を防止するため、ハースロール材質やロール表面粗度などの観点から種々の対策が提案されている。
【0005】
例えば、特開平6−322435号公報には、表面にセラミック溶射層、サーメット溶射層ならびに金属系溶射層を形成し、耐摩耗性、耐ビルドアップ性に優れた溶射ハースロールが開示されている。また、特開平10−168527号公報には、表面に溶射またはめっきを施し、更に表面粗度を1.0μm以下としたハースロールが開示されている。
【0006】
また、鋼帯を浮上支持する機構を備え、鋼帯とハースロールとを非接触状態にして通板させるいわゆるフロータ方式のハースロールを用いてハースロール疵の発生を防止する方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6−322435号公報や特開平10−168527号公報に開示された方法では、溶射層の脱落、あるいは溶射材料と酸化物や鉄粉との反応によりピックアップが生じ、ハースロール疵の発生の抑制効果が不安定であるといった問題や、炉内に設けられた多数のハースロールに溶射を施す必要があるため溶射コストが嵩むといった問題がある。更に特開平10−168527号公報に開示された方法ではロール粗度管理が必要となりロール交換頻度が必然的に高くなりロールコストが嵩むといった欠点がある。
【0008】
また、フロータ方式のハースロールでは、鋼帯はハースロールと非接触で搬送されるため、ロール表面に溶射処理を施す必要はないが、高価なフロータ装置を必要とするため、設備費が嵩むといった問題や、大幅な設備改造を必要とするため、既存の設備への適用が難しいといった問題がある。
【0009】
本発明の課題は、上記従来の問題を解決し、既存設備への適用が容易で、かつ低コストで安定してビルドアップに起因したハースロール疵の発生を抑制することができる鋼帯の連続熱処理方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、ハースロールと鋼帯とが接触した際にハースロールと鋼帯との間に生じる面圧(以下、ハースロール面圧またはロール面圧という)に注視し、種々の実験および検討を重ねた。なお、鋼帯の厚さを板厚という。
【0011】
図1は、ハースロール疵の発生状況を説明する模式図である。符号11はハースロール、12は鋼帯、13はビルドアップ、Pはロール面圧、T1、T2は張力である。なお、以下、張力T1とT2の平均値((T1+T2)/2)を炉内張力という。
【0012】
図1に示すように、鋼帯12は所定の張力T1、T2を受けハースロール11に案内されて搬送されており、ハースロール11と鋼帯12との接触面では半径方向の力、すなわちロール面圧Pが発生する。ハースロール11の表面にビルドアップ13が生成すると、これらのビルドアップはロール面圧により鋼帯12の裏面に押し込まれ、鋼帯裏面に凹状のハースロール疵を発生させる。
【0013】
図2は、ハースロール疵の発生に及ぼすロール面圧と板厚の関係を示すグラフである。同図において、図中の線より上の部分はハースロール疵が発生する領域で、下の部分はハースロール疵が発生しない領域を示す。
【0014】
図3は、ハースロール疵の発生に及ぼす炉内張力と板厚の関係を示すグラフである。同図において、図中の線より上の部分はハースロール疵が発生する領域で、下の部分はハースロール疵が発生しない領域を示す。
【0015】
図2および図3から、以下の知見を得た。
(a)ロール面圧が限界値(以下、ロール限界面圧という)以上になると、ビルドアップが転写してハースロール疵が発生する。
【0016】
(b)ロール限界面圧は鋼帯厚(以下、板厚ともいう)で整理できる。すなわち、ロール限界面圧Pc(MPa)は以下の式で表すことができる。
【0017】
【数2】
【0018】
(c)ロール面圧をロール限界面圧以下になるように鋼帯に作用する炉内張力を制御することによりハースロールの疵を防止することができる。
【0019】
本発明は、上記知見に基づいて完成されたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)連続熱処理炉において鋼帯をハースロールに巻き付けて搬送しながら熱処理を行う際に、前記ハースロールの入側および出側における前記鋼帯の張力の測定値に基づいて前記鋼帯の炉内張力を求め、該炉内張力に基づいて求めた前記ハースロールに作用する面圧(P)が下記式を満足するように鋼帯の炉内張力を制御してハースロール疵の発生を抑制することを特徴とする鋼帯の連続熱処理方法。
【0020】
【数3】
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
図4は、本発明の実施の形態を説明する連続熱処理炉の模式図である。符号21はハースロール、22は鋼帯、23は加熱帯、24は均熱帯、25は冷却帯を示す。
【0022】
図4に示すように、連続熱処理炉は、加熱帯23、均熱帯24および冷却帯25からなる複数の処理帯を有し、それぞれの処理帯には複数のハースロール21が設けられる。鋼帯22は張力を受けハースロール21に巻き付けられて搬送される。
【0023】
図示例では、連続熱処理炉として、加熱帯、均熱帯および冷却帯からなる熱処理炉を示すが、本発明はこれに限定されるものでなく、公知の熱処理炉でよい。また、炉内のハースロール全部が対象となりえる。
【0024】
ハースロールは、連続熱処理炉に設けられ、鋼帯を搬送するためのロールであり、公知のハースロールを用いることができる。例えば、ロール径が700〜900mmで、セラミックス、耐熱合金やサーメットなどを表面に溶射したロールとすることができる。
【0025】
図5は、図4の要部でハースロールに作用するロール面圧と鋼帯に作用する炉内張力を示す模式図である。図5において、張力T1とT2はそれぞれハースロール入側および出側の鋼帯に作用する張力であり、炉内張力TはT1とT2の平均値すなわち(T1+T2)/2で定義される。
【0026】
図5において、本発明の方法は、ハースロール21に作用する面圧(P)が下記式を満足するように鋼帯の炉内張力Tを制御してハースロール疵の発生を抑制することを特徴とする。
【0027】
【数4】
【0028】
ロール面圧が(1)式を満足するように鋼帯の炉内張力Tを制御することにより、図2に示すように、ビルドアップの転写によるハースロール疵の発生を抑制することができる。
【0029】
なお、炉内張力Tはハースロール半径をRとすると、近似的にT・t=R・Pで表されるので、具体的には、下記の(2)式を満足するように炉内張力Tを設定すればよい。
【0030】
【数5】
【0031】
次に、炉内張力の設定方法を説明する。
炉内の各ハースロールに設けた張力計で各ハースロールの入側および出側の鋼板に作用する張力の平均値である炉内張力Tを測定する。この炉内張力が上記(2)式を満足するように、各ハースロールのトルクの調節を行う。
【0032】
【実施例】
図4に示す構成の連続熱処理炉を使用し、各処理帯に設けた各ハースロールのトルクを調整して、(2)式を満足するように各ハースロール前後の鋼帯に作用する炉内張力を設定して熱処理を行った。鋼帯は、幅:1000mm 厚:0.4〜3.2mmの低炭素鋼板を用いた。ハースロールは、直径が1000mmの溶射ロールを用いた。熱処理温度は800℃で、鋼帯の搬送速度は200mpmとした。表1にハースロールの仕様を示す。比較例として、(2)式を満足しない過大な炉内張力を付与した試験も実施した。
【0033】
【表1】
【0034】
熱処理後の鋼帯を巻き戻して鋼帯裏面におけるハースロール疵の発生状況を調査した。表2にハースロール疵の発生状況を、疵発生無し:○、疵発生有り:×、で示す。
【0035】
【表2】
【0036】
表2に示すように、試験No.1〜10、17〜21、25〜29の本発明例では、ハースロールの疵の発生は無く表面性状は良好であった。なお、通板も問題なかった。
【0037】
一方、試験No.12、15、16、22、24、30、32の比較例ではハースロール疵が発生し、表面性状は不良であった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、鋼帯の連続熱処理を行う際に、鋼帯とハースロールとの面圧を適正に制御することにより、ハースロール表面に生成したビルドアップに起因した鋼帯裏面への押し込み転写疵、すなわちハースロール疵を防止することが可能となり鋼帯品質が向上する。また、大幅な設備改造を行う必要がないので既存設備への適用が容易であり、低コストで安定した操業が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハースロール疵の発生状況を説明する模式図である。
【図2】ハースロール疵の発生に及ぼすロール面圧と板厚の関係を示すグラフである。
【図3】ハースロール疵の発生に及ぼす炉内張力と板厚の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態を説明する連続熱処理炉の模式図である。
【図5】図4の要部でハースロールに作用するロール面圧と炉内張力を示す模式図である。
【符号の説明】
11、21:ハースロール、
12、22:鋼帯、
13:ビルドアップ、
P:ロール面圧、
T:炉内張力、
23:加熱帯、
24:均熱帯、
25:冷却帯。
Claims (1)
- 連続熱処理炉において鋼帯をハースロールに巻き付けて搬送しながら熱処理を行う際に、前記ハースロールの入側および出側における前記鋼帯の張力の測定値に基づいて前記鋼帯の炉内張力を求め、該炉内張力に基づいて求めた前記ハースロールに作用する面圧(P)が下記式を満足するように鋼帯の炉内張力を制御してハースロール疵の発生を抑制することを特徴とする鋼帯の連続熱処理方法。
P≦α・t+β
但し、P:ロール面圧(MPa)、
t:板厚(mm)、
α=−0.072(MPa/mm) (t≦1.5mm)、
α=−0.001(MPa/mm) (t>1.5mm)、
β=0.126(MPa) (t≦1.5mm)、
β=0.020(MPa) (t>1.5mm)。
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