JP4488125B2 - 毛髪用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被酸化性物質と、酸素を基質とし、且つ過酸化水素を発生しない酵素と、シクロデキストリン類とを配合した毛髪用組成物に関し、更に詳述すると、組成物の経時安定性が良好で、反応型(1剤式)染毛剤、1剤式パーマネントウェーブ剤、1剤式脱毛剤等として好適に使用される毛髪用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
被酸化性物質を酸化させることにより性能を発現させる毛髪用組成物としては、例えば染毛剤やパーマネントウェーブ剤、脱毛剤等が挙げられる。従来、このような毛髪用組成物は、酸化剤として過酸化水素が使われていたため、被酸化性物質と酸化剤とを別々の容器に入れておき、使用時にこれらを混合反応させるタイプのものがほとんどであり、使い勝手がめんどうであるなどの使用性の面から改善が望まれていた。また、過酸化水素は、毛髪に対して損傷を与えることが知られており、消費者の不満点として毛髪のダメージがクローズアップされている。
【0003】
これらの問題を解消する方法として、例えば酸化酵素を過酸化水素の代わりにに用い、被酸化性物質と酸化剤とを予め混合する1剤型の組成物によって、毛髪のダメージを低下させる技術が提案されている。そのような技術の例としては、酸化酵素としてパーオキシダーゼを用いるもの(特開昭47−10400号公報、特開昭53−32132号公報)、ラッカーゼを用いるもの(米国特許第3251742号、特開平6−172145号公報)、ウリカーゼを用いるもの(特開昭63−246313号公報)等が知られている。
【0004】
しかしながら、これら開示されている技術のうち、パーオキシダーゼを用いる場合には、酵素の特性から製剤中に過酸化水素を添加しなければならず、1剤型とはならない。またウリカーゼを用いる場合には、1剤型にはなるが、酵素反応により生ずる過酸化水素を利用することから根本的な問題を解決していない。
【0005】
これに対し、酸素を基質とする酸化酵素であり、過酸化水素を発生しない酵素を用いる場合は、1剤型の毛髪用組成物とすることが可能であり、また、過酸化水素を発生しないことから毛髪のダメージなどを心配することもなく有用である(特開平11−60454号公報)。しかしながら、これらの酵素を用いる場合、蛋白質である酵素の不安定な性質のため、組成中で酵素が反応してしまい、不溶の凝集物等を生成してしまうという問題があり、このため、使用時に酵素の作用が十分発揮されない上、このように経時によって製品中に析出物が発生してしまうことは商品として非常に重要な問題であった。
【0006】
従来、これら酵素の保存安定性を向上する技術としては、カタラーゼ(特開平8−175935号公報)やウリカーゼ(特開平8−217652号公報)が開示されているが、これらは組成物に還元剤を加えるものであり、酵素の活性を弱める懸念があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、毛髪に対するダメージがなく、保存期間中における酸化酵素による凝集物等の生成が防止されて優れた酵素作用を発揮し、且つ簡便に利用できて使用性にも優れる毛髪用組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、被酸化性物質と、酸素を基質とする酸化酵素であり、過酸化水素を発生しない酵素とを配合した毛髪用組成物に、更にシクロデキストリン類を配合することにより、上記被酸化性物質と上記酸化酵素が上記シクロデキストリン類に包接されて、後述する実施例に示すように経時による不溶の凝集物等の発生を抑制し、上記毛髪用組成物の経時安定性が格段に向上されることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
即ち、本発明は、下記毛髪用組成物を提供する。
[1].被酸化性物質と、酸素を基質とし、且つ過酸化水素を発生しない酸化酵素と、シクロデキストリン類と、水とを配合してなる一剤式毛髪用組成物。
[2].シクロデキストリン類が、シクロデキストリン又はシクロデキストリンにプロピレンオキサイドを付加させたシクロデキストリン誘導体である[1]記載の一剤式毛髪用組成物。
[3].染毛剤である[1]又は[2]記載の一剤式毛髪用組成物。
[4].被酸化性物質が、トルエン−2,5−ジアミン硫酸塩、パラフェニレンジアミン、レゾルシン、ニトロ−p−フェニレンジアミン又は2,6−ジアミノピリジンである[3]記載の一剤式毛髪用組成物。
[5].被酸化性物質がレゾルシンである[3]記載の一剤式毛髪用組成物。
[6].パーマネントウェーブ剤である[1]又は[2]記載の一剤式毛髪用組成物。
[7].被酸化性物質が、チオグリコール酸、チオグリコール酸塩、システイン、塩酸L−システイン、ヒドロキシシステイン、ジヒドロキシシステイン、アセチルシステイン又は亜硫酸ナトリウムである[6]記載の一剤式毛髪用組成物。
【0010】
以下、本発明を詳しく説明すると、本発明の毛髪用組成物は、被酸化性物質と、酸素を基質とし、且つ過酸化水素を発生しない酸化酵素とを配合し、更にシクロデキストリン類を配合した毛髪用組成物である。
【0011】
ここで、本発明の毛髪用組成物は、その商品形態が特に制限されるものではなく、毛髪を対象とする種々の毛髪用組成物として使用でき、例えば反応型染毛剤、1剤式パーマネントウェーブ剤、一剤式脱毛剤などが挙げられる。このような商品形態において、その製剤は酵素が溶解状態であることが好ましく、このような製剤であれば、例えば溶液であっても乳化物であっても良く、更に噴射剤を含んでいても良い。また、使用時の形態は、泡状、クリーム状、透明ジェル状などであっても良く、特に商品剤型は制限されない。
【0012】
本発明の被酸化性物質は、その種類が特に制限されるものではなく、反応型染毛剤、1剤式パーマネントウェーブ剤、一剤式脱毛剤などの商品形態に合わせて、これらに使用される被酸化性物質を適宜選定することができ、例えば本発明の組成物を反応型染毛剤として利用する場合、反応型染毛剤の被酸化性物質として使用される色素前駆体、顕色剤、直接染料等の発色性物質を使用することができ、具体的には、例えば5−アミノ−オルトクレゾール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、2,6−ジアミノピリジン、5−(2−ヒドロキシルエチルアミノ)−2−メチルフェノール、N,N−ビス(β−ヒドロキシル)−p−フェニレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、p−ニトロ−o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、レゾルシン、ハイドロキノン、2−ヒドロキシ−5−ニトロ−2’,4’−ジアミノアゾベンゼン・硫酸ナトリウム、トルエン−2,5−ジアミン、2−(2’ヒドロキシエチルアミノ)−5−アミノトルエン、N,N−ビス(β−ヒドロキシル)−p−フェニレンジアミン・硫酸塩、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン・硫酸塩、5−アミノ−o−クレゾール・硫酸塩、p−アミノフェノール・硫酸塩、o−クロロ−p−フェニレンジアミン・硫酸塩、2−(2’ヒドロキシエチルアミノ)−5−アミノトルエン・硫酸塩、4,4’−ジアミノジフェニルアミン・硫酸塩、p−メチルアミノフェノール・硫酸塩、p−フェニレンジアミン・硫酸塩、m−フェニレンジアミン・硫酸塩、トルエン−2,5−ジアミン・硫酸塩、2,4−ジアミノフェノキシエタノール・塩酸塩、トルエン−2,5−ジアミン塩酸塩、m−フェニレンジアミン・塩酸塩、2,4−ジアミノフェノール・塩酸塩、N−フェニル−p−フェニレンジアミン・塩酸塩、N−フェニル−p−フェニレンジアミン・酢酸塩、1,5−ヒドロキシナフタレン、トルエン−3,4−ジアミン、p−メチルアミノフェノール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−2,5−ジアミノ−1,4−キノンジイミン、o−アミノフェノール・硫酸塩、2,4−ジアミノフェノール・硫酸塩、m−アミノフェノール・硫酸塩、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、1−アミノ−4−メチルアミノアントラキノン、ニトロ−p−フェニレンジアミン・塩酸塩、1,4−ジアミノアントラキノン、ニトロ−p−フェニレンジアミン、ピクラミン酸、ピクラミン酸ナトリウム、2−アミノ−5−ニトロフェノール・硫酸塩、レゾルシノール、ニトロ−p−フェニレンジアミン・硫酸塩、p−ニトロ−o−フェニレンジアミン・硫酸塩、p−ニトロ−m−フェニレンジアミン・硫酸塩などが挙げられ、これらの中でも特にp−フェニレンジアミン又はその塩、トルエン−2,5−ジアミン又はその塩、p−アミノフェノール、5−アミノ−o−クレゾール、p−メチルアミノフェノール・硫酸塩、m−アミノフェノール、p−ニトロ−o−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノピリジン、レゾルシノール、o−アミノフェノール、m−フェニレンジアミン等が好適である。
【0013】
また、最近の自然志向から下記一般式(1)で表されるメラニン前駆体様物質も好適に使用される。
【0014】
【化1】
【0015】
上記式中、Xは水素原子、NH2、OH、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基のいずれかを表し、YはOH又はNH2を表す。そして、XがOH若しくは炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基のいずれかであるときは、Xは環に対して5位,6位若しくは7位にあり、Yに対してオルト位にある。
【0016】
また、R1,R3は同一であっても異なっていても良く、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基のいずれかを表し、R2は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基又はカルボキシル基を表す。
【0017】
上記一般式(1)で示される化合物として具体的には、例えば4,5−ジヒドロキシインドール、5,6−ジヒドロキシインドール、6,7−ジヒドロキシインドール、N−メチル−5,6−ジヒドロキシインドール、N−エチル−5,6−ジヒドロキシインドール、N−ヘキシル−5,6−ジヒドロキシインドール、2−メチル−5,6−ジヒドロキシインドール、3−メチル−5,6−ジヒドロキシインドール、4−ヒドロキシインドール、2,3−ジメチル−5,6−ジヒドロキシインドール、2−メチル−5−エチル−6−ヒドロキシインドール、2−メチル−5−ヒドロキシ−6−β−ヒドロキシエチルインドール、4−ヒドロキシプロピルインドール、2,3−ジメチル−5,6−ジヒドロキシインドール、4−ヒドロキシ−5−メトキシインドール、6−ヒドロキシ−7−メトキシインドール、6−ヒドロキシ−5−メトキシインドール、6−ヒドロキシインドール、5−ヒドロキシインドール、7−ヒドロキシインドール、7−アミノインドール、5−アミノインドール、4−アミノインドール、5,6−ジヒドロキシインドールカルボン酸、1−メチル−5,6−ジヒドロキシインドール及びこれらの塩などが挙げられる。
【0018】
更に、下記一般式(2)で示されるメラニン前駆体様物質も好適に使用することができる。
【0019】
【化2】
【0020】
上記式中、Kは水素原子、NH2、OH、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基のいずれかを表し、LはOH又はNH2を表す。そして、KがOH若しくは炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基のいずれかであるときは、Kは環に対して5位,6位若しくは7位にあり、Lに対してオルト位にある。
【0021】
また、R4,R6は同一であっても異なっていても良く、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基のいずれかを表し、R5は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基若しくはカルボキシル基を表す。
【0022】
上記一般式(2)で示される化合物として、具体的には、例えば4,5−ジヒドロキシインドリン、5,6−ジヒドロキシインドリン、6,7−ジヒドロキシインドリン、N−メチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、N−エチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、N−ヘキシル−5,6−ジヒドロキシインドリン、2−メチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、3−メチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、4−ヒドロキシインドリン、2,3−ジメチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、2−メチル−5−エチル−6−ヒドロキシインドリン、2−メチル−5−ヒドロキシ−6−β−ヒドロキシエチルインドリン、4−ヒドロキシプロピルインドリン、2,3−ジメチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、4−ヒドロキシ−5−メトキシインドリン、6−ヒドロキシ−7−メトキシインドリン、6−ヒドロキシ−5−メトキシインドリン、6−ヒドロキシインドリン、5−ヒドロキシインドリン、7−ヒドロキシインドリン、7−アミノインドリン、5−アミノインドリン、4−アミノインドリン、5,6−ジヒドロキシインドリンカルボン酸、1−メチル−5,6−ジヒドロキシインドリン及びこれらの塩などが挙げられる。
【0023】
上記被酸化性物質は、調色の関係から各単独で用いても良く、2種類以上を組み合わせてもよい。
【0024】
また、本発明の毛髪用組成物を1剤式パーマネントウェーブ剤又は脱毛剤として利用する場合、被酸化性物質として使用される成分としては、例えばチオグリコール酸、チオグリコール酸塩類、システイン、ヒドロキシシステイン、ジヒドロキシシステイン、アセチル化システイン、亜硫酸ナトリウム等などが挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。これらの製剤はその使用目的から上記発色性物質は配合されない。
【0025】
本発明の毛髪用組成物における上記被酸化性物質の配合量は、特に制限されるものではなく、組成物の商品形態、被酸化性物質の種類、更に反応型染毛剤であれば調色の加減、パーマネント剤、脱毛剤であれば脱色の程度やウェーブ効果の関係などによって適宜選定することができ、例えば反応型染毛剤であれば、通常組成物全体に対して0.01〜10%(重量%、以下同様)、特に0.1〜5%となるように配合すると好適である。また、パーマネント剤であれば、組成物全体に対して0.01〜40%、特に0.1〜20%、脱毛剤であれば、組成物全体に対して0.01〜50%、特に0.1〜30%とすると好適である。被酸化性物質の配合量が少なすぎるとその配合の効果を十分に得るために組成物を多量に使用する必要が生じる場合があり、多すぎると必然的に酸化酵素の配合量が少なくなってしまい、使用時に酸化による作用が得られ難くなるという事態が生じるのみならず、その安定化が困難となる場合がある。
【0026】
本発明の酸化酵素は、上述したように酸素を基質とし過酸化水素を発生しない酸化酵素であり、このような酸化酵素としては、4電子還元型オキシダーゼが知られており、例えばカテコールオキシダーゼ、アミンオキシダーゼ、ラッカーゼ等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0027】
本発明の組成物における上記酸化酵素の配合量は、特に制限されず、製品の形態、使用頻度、処理時間、酵素の力価などによって適宜選定することができ、例えば組成物全体に対して0.0005〜20%、好ましくは0.001〜15%となるよう配合することが好ましい。配合量が少なすぎると上記酸化酵素の配合による効果が十分に得られない場合があり、多すぎると配合量の増加に見合った効果の上昇が見られない頃向にある。
【0028】
また、本発明のシクロデキストリン類としては、シクロデキストリン及びその誘導体を使用することができ、ここで、シクロデキストリンは、6〜8個のグルコース分子がα−1,4グルコシド結合で環状に連結した構造を有する非還元性マルトオリゴ糖であり、その連結するグルコース分子数によりα−体、β−体、γ−体が知られているが、いずれのものでも使用できる。また、シクロデキストリン誘導体としては、上記シクロデキストリンにプロピレンオキサイドを付加させたものが特に効果的であり、その付加モル数としては特に制限されるものではないが、1分子に対して3〜8個が好ましい。これらシクロデキストリン類はその包接される化合物に応じて1種単独で又は2種以上を適宜組合せて使用することができる。
【0029】
上記シクロデキストリン類の組成物における配合量は、特に制限されないが、組成物全体に対して0.1〜75%、好ましくは0.5〜60%となるように配合すると好適である。配合量が少なすぎるとシクロデキストリン類の配合による効果が十分に得られない場合があり、多すぎると配合量の増加に見合った効果の上昇が見られない傾向にある。
【0030】
本発明の毛髪用組成物は、更に、溶剤を配合することができ、溶剤の種類は、特に制限されるものではなく、一剤式染毛剤、一剤式パーマネントウェーブ剤、一剤式脱毛剤等の各種一剤式毛髪用組成物の溶剤として用いられているものを使用することができ、例えば精製水、エタノール,プロパノール,n−ブタノール,sec−ブタノール,イソプロパノール等のアルコール類、ベンジルアルコール,フェノキシエタノール,2−ベンジルオキシエタノール等の芳香族アルコール類、エチレングリコール,プロピレングリコール,ブチレングリコール,グリセリン等の多価アルコール類、メチルセロソルブ,エチルセロソルブ,ブチルセロソルブ,メチルカルビトール,エチルカルビトール等の水性エーテル類、プロピレンカーボネート,N−メチルピロリドン,N−エチルピロリドン,N−ヘキシルピロリドン等の環状ケトン類、N−シクロヘキシルホルムアミド,N,N−ジブチルホルムアミド等のホルムアミド誘導体、グリコール酸,レブリン酸等の酸類などが挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0031】
また、上記溶剤の配合量も特に制限されるものではなく、組成物の剤型に合わせて適宜選定することができ、通常組成物全体に対して1〜50%程度が好適である。
【0032】
本発明の毛髪用組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記成分の他に必要に応じて、酸,アルカリ等のpH調整剤、各種界面活性剤、イオン性乃至は非イオン性の天然乃至は合成・半合成高分子化合物、エステル油,植物油等の油分、シリコン誘導体、フッ素誘導体、アミノ酸、各種塩類、ふけ止め剤、キレート剤、防腐剤、紫外線吸収剤、殺菌剤、酸化防止剤、香料、酸性色素、天然色素などの従来より用いられている成分を任意に配合することができ、これらは本発明の効果を妨げない範囲で常用量を配合することができる。
【0033】
本発明の毛髪用組成物は、上記各成分を混合して常法により溶解又は分散、乳化等を行うことにより、例えば1剤式染毛剤、1剤式脱毛剤、1剤式パーマネントウェーブ剤等の1剤式の毛髪用組成物として調製することができ、本発明の場合、特に溶剤系(液状)毛髪用組成物として調製すると好適であり、上述したようにペースト(クリーム)状、エアゾール状、ゲル(ジェル)状、液状、泡状等のいずれの形態の製剤としても調製することができ、各製剤の常法に従って毛髪に使用することによって、簡便かつ確実に毛髪を染毛したり、脱毛したり、毛髪にパーマネントウェーブを付与したりすることができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0035】
〔実施例1〜5及び比較例1〜3〕
表1に示す成分を用い、常法により各成分を均一になるように混合して染毛剤原液を調製し、ガラス耐圧瓶に詰めて真空下にクリンチした後、原液対ガス比=95対5(重量比)になるように噴射剤となる2.0kgLPGを充填して実施例1〜5及び比較例1〜3のエアゾール型染毛剤(毛髪用組成物)を得た。各染毛剤組成物について下記に示す方法により保存安定性、染毛性を評価した。結果を表1に併記する。
【0036】
<保存安定性試験>
室温にて6ヶ月間保存した後、組成物中の凝集物の有無、沈殿の有無を目視にて観察し、以下の評価基準に従って評価した。
【0037】
評価基準
◎:凝集物、沈殿等が全く認められない
○:凝集物、沈殿等がよくみるとわかる
△:凝集物、沈殿等がよくわかる
×:凝集物、沈殿等が使用に耐えられないほど発生している
【0038】
<染毛性試験>
乾燥したヤギ白髪の毛束約10gをシャンプーし、乾燥させた。これに表1に示す組成物各3gを素早く均一に塗布した。約20分間放置した後、染毛毛束を温流水ですすぎ、その後シャンプーして乾燥させた。乾燥後、染毛毛束の染毛性の指標として染毛指数△Eを色差計(日本電色社製SE2000)にて測定した。ここで、染毛指数△Eは、染色毛束を色差計(日本電色社製SE2000)でL,a,b値を測定し、未染色毛との色差(ΔE)から求められる。この操作を表1の組成物配合直後と室温にて6ヶ月間保存した後に実施し、保存における効果を把握した。なお、ΔEはその数値が大きければ大きいほど染毛性が良いことを表す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に示す結果によれば、本発明の毛髪用組成物(反応型染毛剤)は、非常に良好な製品安定性,染毛性を示すのに対し、本発明の酸化酵素及びシクロデキストリン類を配合しない場合(比較例1)及び本発明の酸化酵素を配合しない場合(比較例2)は、いずれも製品安定性は良好であるが酸化能がないために染毛できず、また、上記シクロデキストリン類を配合しない場合(比較例3)、製造直後の染毛性には優れるが、製品安定性に劣り、室温で6ヶ月間保存すると、凝集物、沈殿などが生じ、染毛性も劣化することが認められる。
【0041】
〔実施例6〜8及び比較例4〜7〕
表2に示す成分を用い、常法により各成分を均一になるように混合してパーマネントウェーブ剤原液を調製し、ガラス耐圧瓶に詰めて真空下にクリンチした後、原液対ガス比=95対5(重量比)になるように噴射剤となる2.0kgLPGを充填して実施例6〜8及び比較例4〜7のエアゾール型パーマネントウェーブ剤(毛髪用組成物)を得た。これらにつき、上記同様に保存安定性を評価し、更に下記方法によりウェーブ付与性を評価した。結果を表2に併記する。
【0042】
<ウェーブ付与性>
乾燥したノーマル毛の毛束約15cm、10gをシャンプーし、乾燥させた。これに表2に示す組成物各5gを素早く均一に塗布した後、直径3cm、長さ10cmのガラス製ロットに毛流が重ならないように斜めに巻き付けた。約30分間放置した後、処理毛を温流水ですすぎ、その後シャンプーし、乾燥させた。乾燥後、毛束を吊してウェーブの掛かり具合を下記評価基準に従って評価した。この操作を表2の組成物配合直後と室温にて6ヶ月間保存後に実施して、保存における効果を把握した。
【0043】
評価基準
◎:ウェーブが掛かっている
○:緩いながらもウェーブが掛かっている
△:ほとんどウェーブが掛かっていない
×:ウェーブが掛かっていない
【0044】
【表2】
【0045】
表2に示す結果によれば、本発明の毛髪用組成物(パーマネントウェーブ剤)は、非常に良好な製品安定性,ウェーブ付与性を示すのに対し、本発明の酸化酵素及びシクロデキストリン類を配合しない場合(比較例4)及び本発明の酸化酵素を配合しない場合(比較例5)、製品安定性は良好であるが酸化能がないためにウェーブを付与することができず、また、上記シクロデキストリン類を配合しない場合(比較例6,7)、製造直後はウェーブを付与することができるが、製品安定性に劣り、室温で6ヶ月間保存すると、凝集物、沈殿などが生じ、ウェーブ付与性も劣化することが認められる。
【0046】
【0047】
上記組成に従って原液を常法により調製し、これをエアゾール缶に詰めて真空下にクリンチした後、原液対ガス比=95対5(重量比)になるように噴射剤となる2.0kgLPGを充填してエアゾール型染毛剤を得た。このとき圧縮ガスとしてはLPGを用いたが、その他、窒素、炭酸ガス、笑気ガス、フロン11,12,114を1種単独で又は2種以上を混合して用いても良い。また、エアゾール形態としては、一般のアルミ缶,ブリキ缶等の直噴型及びピストン型を用いても良く、また、バックイン型,EXXEL型等の二重容器を用いても良い。
【0048】
上記染毛剤を室温にて6ヶ月間保存した後、適量を白髪1.0gに塗布して20分間放置した後、水洗、シャンプーを行った。処理した白髪をドライヤーにて乾燥したところ白髪はブルーブラック色に染まり、その色合いは製造直後と変わらなかった。
【0049】
【0050】
上記組成に従って常法により原液を調製した後、これをエアゾール缶に詰めて真空下にクリンチした後、原液対ガス比=95対5(重量比)になるように噴射剤となる2.0kgLPGを充填してエアゾール型染毛剤を得た。この染毛剤を室温にて6ヶ月保存した後、適量を白髪1.0gに塗布して20分間放置した後、水洗、シャンプーを行った。処理した白髪をドライヤーにて乾燥したところ白髪はブラック色に染まり、その色合いは製造直後と変わらなかった。
【0051】
【0052】
上記組成に従って常法により原液を調製した後、これをエアゾール缶に詰めて真空下にクリンチした後、原液対ガス比=95対5(重量比)になるように噴射剤となる4.0kgLPGを充填してエアゾール型のクリーム状染毛剤を得た。この染毛剤を室温にて6ヶ月間保存した後、適量を白髪1.0gに塗布して20分間放置した後、水洗、シャンプーを行った。処理した白髪をドライヤーにて乾燥したところ、白髪は濃い茶色に染まり、その色合いは製造直後と変わらなかった。
【0053】
【0054】
上記組成に従って常法により原液を調製した後、これをエアゾール缶に詰めて真空下にクリンチした後、原液対ガス比=95対5(重量比)になるように噴射剤となる4.0kgLPGを充填してエアゾール型染毛剤を得た。この染毛剤を室温にて6ヶ月間保存した後、適量を白髪1.0gに塗布して20分間放置した後、水洗、シャンプーを行った。処理した白髪をドライヤーにて乾燥したところ白髪はブラック色に染まり、その色合いは製造直後と変わらなかった。
【0055】
【0056】
上記成分を常法により全体が均一になるまで混合してクリームタイプの染毛剤を調製した。この染毛剤を室温にて6ヶ月間保存した後、適量を白髪1.0gに塗布して20分間放置した後、水洗、シャンプーを行った。処理した白髪をドライヤーにて乾燥したところ、白髪は濃い茶色に染まり、その色合いは製造直後と変わらなかった。
【0057】
【0058】
上記成分を常法により全体が均一になるまで混合してクリームタイプの染毛剤を調製した。この染毛剤を室温にて6ヶ月間保存した後、適量を白髪1.0gに塗布して20分間放置した後、水洗、シャンプーを行った。処理した白髪をドライヤーにて乾燥したところ白髪は明るい茶色に染まり、その色合いは製造直後と変わらなかった。
【0059】
【0060】
上記成分を常法により全体が均一になるまで混合してトリートメントタイプの染毛剤を調製した。この染毛剤を室温にて6ヶ月間保存した後、適量を白髪1.0gに塗布して20分間放置した後、水洗、シャンプーを行った。処理した白髪をドライヤーにて乾燥したところ、白髪は赤褐色に染まり、その色合いは製造直後と変わらなかった。さらにこの剤で処理した毛束は手触りが良く、トリートメント効果にも優れていた。
【0061】
【0062】
上記成分を常法により全体が均一になるまで混合してトリートメントタイプの染毛剤を調製した。この染毛剤を室温にて6ヶ月間保存した後、適量を白髪1.0gに塗布して20分間放置した後、水洗、シャンプーを行った。処理した白髪をドライヤーにて乾燥したところ、白髪は濃いグレーブラック色に染まり、その色合いは製造直後と変わらなかった。更に、この剤で処理した毛束は手触りが良く、トリートメント効果にも優れていた。
【0063】
【0064】
上記成分を常法により混合してジェルタイプの染毛剤を調製した。この染毛剤を室温にて6ヶ月間保存した後、適量を白髪1.0gに塗布して20分間放置した後、水洗、シャンプーを行った。処理した白髪をドライヤーにて乾燥したところ、白髪はブルーブラック色に染まり、その色合いは製造直後と変わらなかった。
【0065】
【0066】
上記成分を常法により混合してジェルタイプの染毛剤を調製した。この染毛剤を室温にて6ヶ月間保存した後、適量を白髪1.0gに塗布して20分間放置した後、水洗、シャンプーを行った。処理した白髪をドライヤーにて乾燥したところ、白髪はブラック色に染まり、その色合いは製造直後と変わらなかった。
【0067】
〔実施例19〕 一剤式パーマネントウェーブ剤(泡状)
配合成分 配合量(重量%)
(原液)
塩酸L−システイン 5.0
アセチルシステイン 2.0
β−シクロデキストリン 0.1
ラッカーゼ 0.001
ヒドロキシエチルセルロース 0.5
ヤシ油脂肪酸アシル−グルタミン酸ナトリウム 1.0
エタノール 10.0
乳酸 0.2
精製水 バランス
(pHをモノエタノールアミンにて9.5に調整)
合 計 100
【0068】
上記組成に従って常法によりパーマネントウェーブ剤原液を調製した。この原液をエアゾール缶に詰めて真空下にクリンチした後、原液対ガス比=95対5(重量比)になるように噴射剤となる2.0kgLPGを充填してエアゾール型の一剤式パーマネントウェーブ剤を得た。この一剤式パーマネントウェーブ剤を室温にて6ヶ月間保存した後、適量をノーマル毛1.0gに塗布し、これをカーラーに巻き付けた後、30分間放置し、その後、水洗、シャンプーを行った。処理した毛髪はウェーブが掛かっており、経時で更にウェーブはしっかりとしたものとなった。またこの作用は製造直後と変わらなかった。なお、上記組成のうち、還元剤としてチオグリコール酸を用いると還元力が強くなり、脱毛剤が得られる。
【0069】
【0070】
上記組成に従って常法により脱毛剤原液を調製した。この原液をエアゾール缶に詰めて真空下にクリンチした後、原液対ガス比=95対5(重量比)になるように噴射剤となる2.0kgLPGを充填してエアゾール型の一剤式脱毛剤を得た。この一剤式脱毛剤について、女性パネル10名により製造直後の製品と室温にて6ヶ月間保存後の製品とを用いて保存前後での脱毛力を評価したところ、全員がこの脱毛剤は2〜3回の繰り返し使用による脱毛力に優れ、またその作用は保存の前後で差異はないと評価した。これにより上記脱毛剤は優れたものであることが認められる。
【0071】
〔実施例21〜25及び比較例8〜10〕
表3に示す成分を用い、常法により各成分を均一になるように混合して染毛剤原液を調製し、ガラス耐圧瓶に詰めて真空下にクリンチした後、原液対ガス比=95対5(重量比)になるように噴射剤となる2.0kgLPGを充填して実施例21〜25及び比較例8〜10のエアゾール型染毛剤(毛髪用組成物)を得た。各染毛剤組成物について上記実施例と同様にして保存安定性、染毛性を評価した。結果を表3に併記する。
【0072】
【表3】
【0073】
表3に示す結果によれば、本発明の毛髪用組成物である染毛剤は、非常に良好な製品安定性,染毛性を示すのに対し、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ラッカーゼを併用しない場合(比較例8〜10)は、製品安定性,染毛性に劣ることが認められる。
【0074】
【0075】
上記成分を常法により混合してジェルタイプの染毛剤を調製した。この染毛剤を室温にて6ヶ月間保存した後、適量を白髪1.0gに塗布して20分間放置した後、水洗、シャンプーを行った。処理した白髪をドライヤーにて乾燥したところ、白髪は黒色に染まり、その色合いは製造直後と変わらなかった。
【0076】
【0077】
上記成分を常法により全体が均一になるまで混合してクリームタイプの染毛剤を調製した。この染毛剤を室温にて6ヶ月間保存した後、適量を白髪1.0gに塗布して20分放置した後、水洗、シャンプーを行った。処理した白髪をドライヤーにて乾燥したところ白髪は濃茶色に染まり、その色合いは製造直後と変わらなかった。
【0078】
【0079】
上記成分を常法により全体が均一になるまで混合してトリートメントタイプの染毛剤を調製した。この染毛剤を室温にて6ヶ月間保存した後、適量を白髪1.0gに塗布して20分間放置した後、水洗、シャンプーを行った。処理した白髪をドライヤーにて乾燥したところ、白髪は黒色に染まり、その色合いは製造直後と変わらなかった。さらにこの剤で処理した毛束は手触りが良く、トリートメント効果にも優れていた。
【0080】
【0081】
上記組成に従って原液を常法により調製し、これをエアゾール缶に詰めて真空下にクリンチした後、原液対ガス比=95対5(重量比)になるように噴射剤となる2.0kgLPGを充填してエアゾール型染毛剤を得た。このとき圧縮ガスとしてはLPGを用いたが、その他、窒素、炭酸ガス、笑気ガス、フロン11,12,114を1種単独で又は2種以上を混合して用いても良い。また、エアゾール形態としては、一般のアルミ缶,ブリキ缶等の直噴型及びピストン型を用いても良く、また、バックイン型,EXXEL型等の二重容器を用いても良い。
【0082】
上記染毛剤を室温にて6ヶ月間保存した後、適量を白髪1.0gに塗布して20分間放置した後、水洗、シャンプーを行った。処理した白髪をドライヤーにて乾燥したところ白髪は濃茶色に染まり、その色合いは製造直後と変わらなかった。
【0083】
【発明の効果】
本発明の毛髪用組成物によれば、第1剤と第2剤を混合する混合型ではなく、かかる操作のない、消費者にとって非常に使用性が高い1剤型の形態の毛髪用組成物において、上記シクロデキストリン類を配合することにより、製品中の凝集物、沈殿などの発生を防止し、製品の安定性が非常に良好になり、エアゾール状、クリーム状、ジェル状、液状等のいずれの形態においても被酸化性物質と酸化酵素との反応による作用効果が十分に得られる毛髪用組成物が得られる。
Claims (7)
- 被酸化性物質と、酸素を基質とし、且つ過酸化水素を発生しない酸化酵素と、シクロデキストリン類と、水とを配合してなる一剤式毛髪用組成物。
- シクロデキストリン類が、シクロデキストリン又はシクロデキストリンにプロピレンオキサイドを付加させたシクロデキストリン誘導体である請求項1記載の一剤式毛髪用組成物。
- 染毛剤である請求項1又は2記載の一剤式毛髪用組成物。
- 被酸化性物質が、トルエン−2,5−ジアミン硫酸塩、パラフェニレンジアミン、レゾルシン、ニトロ−p−フェニレンジアミン又は2,6−ジアミノピリジンである請求項3記載の一剤式毛髪用組成物。
- 被酸化性物質がレゾルシンである請求項3記載の一剤式毛髪用組成物。
- パーマネントウェーブ剤である請求項1又は2記載の一剤式毛髪用組成物。
- 被酸化性物質が、チオグリコール酸、チオグリコール酸塩、システイン、塩酸L−システイン、ヒドロキシシステイン、ジヒドロキシシステイン、アセチルシステイン又は亜硫酸ナトリウムである請求項6記載の一剤式毛髪用組成物。
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