JP4487979B2 - 電子制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば混合気の空燃比やリッチ/リーンを検出するためにエンジン排気系に配設される酸素濃度センサの出力誤差を推定してそのセンサ出力の補正やセンサ性能の劣化判定を行う電子制御装置に関する。
この種の装置としては従来、例えば減速時の燃料カット期間において酸素濃度センサの出力誤差を推定する装置(第1の従来装置)がある。通常、燃料カット期間においては排気管が大気状態になるため、この装置ではこの期間を利用して、酸素濃度センサの出力について、例えば予め測定された大気雰囲気での正規の基準値からの出力誤差(出力値の誤差)を算出するようにしている。
またこの他にも、例えば特許文献1に記載される装置(第2の従来装置)がある。この装置においては、酸素濃度センサに対して新気を供給するための新気通路を新たに設けて、この新気通路を通じて酸素濃度センサに新気を供給しつつ、酸素濃度センサの出力について、正規の基準時期からの出力誤差(出力時期の誤差)を算出するようにしている。
さらに他にも、例えば特許文献2に記載される装置(第3の従来装置)がある。この装置においては、リッチからリーンへあるいはリーンからリッチへ空燃比を強制的に切り替えた時の酸素濃度センサの出力を見て、同センサの出力について正規の基準時期からの出力誤差(出力時期の誤差)を算出するようにしている。
特開平5−312032号公報 特開平5−256175号公報
このように、酸素濃度センサの出力誤差を推定する装置としては、各種の装置が知られている。しかしながら、いずれの装置も短所があり、未だ改善の余地を残すものとなっている。
例えば自動変速機を備えたAT車等に対して上記第1の従来装置を適用した場合、市街地走行等の低速走行(例えば時速2〜30km)においては燃料カットになる機会が少ないため、要求される検出頻度を確保することが難しい。また、上記第2の従来装置は、一般的な自動車には設けられていない新気通路を必要とし、実用性に乏しいものとなっている。またさらに、上記第3の従来装置では、空燃比を強制的に切り替えるため、運転性(ドライバビリティ)を悪化させるおそれがある。特にこの第3の従来装置をディーゼルエンジンに適用した場合には、空燃比を変化させる際に、燃料噴射量やEGR量の増減を伴うことが予想され、トルクショックや燃焼音の変化が生じてユーザに不快感を与えることが懸念される。
本発明は、このような実情に鑑みて発明されたものであり、一般的な自動車等に対しても適用可能な構成であって、良好な運転性(ドライバビリティ)を維持しつつ高い頻度で酸素濃度センサの出力誤差を推定してセンサ出力の補正やセンサ性能の劣化判定を行うことのできる電子制御装置を提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するための手段、及び、その作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、エンジンの排気通路に配設された例えばA/FセンサやO2センサ等からなる酸素濃度センサの出力誤差を推定してそのセンサ出力の補正を行う電子制御装置において、前記酸素濃度センサ周辺の排気中に含まれるPM量を推定する排気中PM量推定手段と、前記排気中PM量推定手段により求められたセンサ周辺のPM量に基づき前記酸素濃度センサに付着したPM量を推定するセンサ付着PM量推定手段と、前記センサ付着PM量推定手段により推定されたセンサ付着PM量に基づきセンサ出力誤差を補償すべく前記酸素濃度センサの出力値に対して補正を行うセンサ出力補正手段と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明では、エンジンの排気通路に配設された例えばA/FセンサやO2センサ等からなる酸素濃度センサの出力誤差を推定してそのセンサ性能の劣化判定を行う電子制御装置において、前記酸素濃度センサ周辺の排気中に含まれるPM量を推定する排気中PM量推定手段と、前記排気中PM量推定手段により求められたセンサ周辺のPM量に基づき前記酸素濃度センサに付着したPM量を推定するセンサ付着PM量推定手段と、前記センサ付着PM量推定手段により推定されたセンサ付着PM量に基づいて前記酸素濃度センサの性能劣化の度合を判定するセンサ劣化度合判定手段と、を備えることを特徴とする。
排気通路に配設された酸素濃度センサは、排気汚れ等によりその出力に誤差が生じることになる。特に直噴エンジン、中でも直噴式のディーゼルエンジンにおいては、排気中にSoot(すす)やSOF(可溶性有機成分)等のPM(Particulate Matter、粒子状物質)が多く含まれるため、センサが汚れ易くなり、センサの出力誤差は大きくなる。発明者は、この出力誤差の発生メカニズムについて、センサ(特にセンシング部におけるセンサ素子やカバー)にPMが付着すると、その燃焼時、PMの燃焼に酸素が使用されることによりセンシング部に局所的な酸素低下(酸欠)を招き、この酸素低下がセンサの出力誤差を生み出すと考えた。そして、種々の実験により、センサに付着したPM量とセンサの出力誤差との関係、及び、センサ周辺のPM量とセンサに付着するPM量との関係について、いずれも各パラメータが相関的な関係にあることを見出し、センサ周辺の排気中に含まれるPM量からセンサに付着したPM量を推定することによりこのセンサ付着PM量(酸素濃度センサの出力誤差推定値に相当)に基づきセンサ出力の補正やセンサ性能の劣化判定を行うといった手法を考え出した。請求項1又は2に記載の発明は、このような経緯で発明されたものであり、これらの発明によれば、センサ付着PM量推定手段によりセンサ付着PM量として酸素濃度センサの出力誤差を高い精度で求めることが可能になる。しかも、センサ周辺の排気中に含まれるPM量の推定は、例えば回転速度や、燃料噴射量、EGR量等で示されるエンジンの運転状態等に基づいて行うことが可能であるため、上記排気中PM量推定手段は、様々な運転状態で容易に実現可能である。またこの手法では、基本的に燃料噴射量やEGR量等の増減を伴わないため、良好な運転性(ドライバビリティ)が維持されることになる。さらにこの手法では、センサ出力誤差の推定自体も、基本的には車両の走行状態によらず実行可能であるため、高い頻度でセンサ出力誤差の推定を行うことができる。
このように、請求項1又は2に記載の発明によれば、良好な運転性(ドライバビリティ)を維持しつつ高い頻度で酸素濃度センサの出力誤差を推定して、センサ出力の補正(請求項1)やセンサ性能の劣化判定(請求項2)を行うことができるようになる。この発明(装置)は、自動車に限られない広い分野(例えば船舶や航空機等)でのエンジンに対して適用可能なものであるが、特に自動車に適用(搭載)して有益であることは上述のとおりである。
なお、センサ周辺PM量の推定態様としては、種々の態様が考えられるため、用途等に応じて最適な態様を採用することが望ましい。例えばセンサ周辺のPM量が時間的変化の激しいものである場合には逐次その都度の値を求める(更新する)構成とすることが好ましい。しかし他方、センサ周辺のPM量が基本的に変化しないものである場合には、これに変化があった時のみにその変化後の値を求める(更新する)構成とすることも有効である。
また、これらの構成は、酸素濃度センサが排気浄化装置(触媒やフィルタ等、特にフィルタ)の上流側に配設された構成、又は排気浄化装置のない構成に適用して特に有効である。酸素濃度センサが排気浄化装置の下流側にあれば、同装置を通じて排気中のPMが取り除かれるため、センサは汚れにくい。しかし一般に空燃比やEGRをフィードバック制御するためのセンサは、その制御の都合上(例えば検出精度や応答性等の配慮により)、排気浄化装置の上流側に設けられることが多く、前述したPM付着による出力誤差の特に生じやすい環境にある。この点、上記請求項1又は2に記載の構成によれば、酸素濃度センサがこのような配設環境にあっても同センサの出力誤差は低く抑えられるようになり、同センサを用いて空燃比やEGR等の制御を行う場合にあっては、その制御性の向上が図られるようになる。
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の電子制御装置において、前記酸素濃度センサが、センシング部に対するカバーに1乃至複数の通気孔を備え、該通気孔を通じてセンシング部に取り込まれた排気の酸素濃度を検出するものであることを特徴とする。
こうした酸素濃度センサは、一般に優れた耐被水性を有し、排気系センサに用いて特に有益である。しかしこのセンサでは、センシング部のカバーに設けられた通気孔を通じて排気を取り込み、その排気について酸素濃度の検出を行っているため、排気中に含まれるPMによりこの通気孔が塞がれてしまうようなことがあれば、大幅に検出精度の低下することが懸念される。事実、発明の実験により、このタイプの酸素濃度センサが特にセンサ付着PM量の影響を受けてそのセンサ出力の精度を低下させる(出力誤差が大きくなる)ことが確認されている。すなわち、このような場合に上述のセンサ出力の補正やセンサ性能の劣化判定は特に必要とされる。また、センサ付着PM量の変化に対するセンサ出力誤差の変化量が大きくなることで、センサ出力誤差の推定精度も高められる。したがって、上記請求項3に記載の発明によるように、請求項1又は2に記載の構成は、こうした場合に適用して特に有益である。
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子制御装置において、前記センサ付着PM量推定手段は、排気流量及び排気温度の少なくとも一方に基づいて前記センサ付着PM量を推定するものであることを特徴とする。
発明者の実験により、前記センサ付着PM量は排気流量や排気温度の影響を特に受けることが確認された。詳しくは、例えば排気温度が高くなるほどセンサ付着PM量が多くなる。これについては、排気温度が低い場合には排気中のPM粒子がセンサから熱エネルギーをもらうことでセンサに付着することなく通り抜ける確率が高くなるためであると発明者は考えている。また、排気流量が多くなるほど基本的にはセンサ付着PM量が多くなることが、発明者の実験により確認されている。このため、上記発明のように、前記センサ付着PM量を精度よく推定するためには、同センサ付着PM量を排気流量及び排気温度の少なくとも一方に基づいて推定することが有効である。もっとも、排気温度とセンサ付着PM量との関係は排気流量により影響を受けるので、前記センサ付着PM量は、これらパラメータの両方に基づいて推定することがより好ましい。
ところで、排気通路中のPM量分布は、必ずしも均一であるとは限らない。このため、排気通路中のPM量分布に偏りがある場合などには、排気中でも特に酸素濃度センサ周辺の排気中に含まれるPM量を選択的に推定することが重要になる。例えばエンジンの排気通路にPMを捕集するフィルタが配設された場合、排気中に含まれるPM量は、このフィルタの上流側と下流側とで異なった分布となる。この点、請求項5に記載の発明では、こうしたPM除去用フィルタを備える構成について、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置において、前記排気中PM量推定手段が、排気中のPMが同フィルタに捕集される割合である前記フィルタのPM捕集効率と、同フィルタに捕集されたPM量である前記フィルタのPM捕集量とに基づいて、前記センサ周辺のPM量を推定するものであることを特徴とする。
通常、DPF(Diesel Particulate Filter)等のPM除去用フィルタにおいては、そのPM捕集量が、例えば再生処理の目安等として、周知の方法(例えば差圧センサ等でフィルタの目詰まり度合から求める方法)により検出されている。また、同フィルタのPM捕集効率は、フィルタの仕様やその状態(例えばPM捕集量)等によって定まる。発明者は、この点に着目し、上記のように、これらパラメータに基づいて前記センサ周辺のPM量を推定する装置を発明した。この発明によれば、DPF捕集前の排気中に含まれているPM量や、DPF捕集後の排気中に含まれているPM量が、それぞれ選択的に、しかも容易且つ的確に推定されるようになる。
具体的には、前記酸素濃度センサが、前記フィルタの上流側に配設されたものである場合には、請求項6に記載のように、請求項5に記載の装置において、前記排気中PM量推定手段が、前記センサ周辺のPM量ΔAを、実質的に「ΔA=ΔPM×(100/C)」なる関係式(ΔPM:前記フィルタのPM捕集量、C:前記フィルタのPM捕集効率(0〜100%))に基づいて算出するものである構成とすることが有効である。
一方、前記酸素濃度センサが、前記フィルタの下流側に配設されたものである場合には、請求項7に記載のように、請求項5に記載の装置において、前記排気中PM量推定手段が、前記センサ周辺のPM量ΔBを、実質的に「ΔB=(ΔPM/C)×(100−C)」なる関係式(ΔPM:前記フィルタのPM捕集量、C:前記フィルタのPM捕集効率(0〜100%))に基づいて算出するものである構成とすることが有効である。
詳しくは、前記フィルタの上流側における前記センサ周辺のPM量ΔAは、前記フィルタの上流側の排気中に含まれるPM量に相当し、これと前記フィルタの捕集効率(C/100)とを掛け合わせたものが、前記フィルタのPM捕集量(ΔPM)となる。すなわち、「ΔA×(C/100)=ΔPM」となり、これを変換することにより、上記関係式「ΔA=ΔPM×(100/C)」が得られる。
一方、前記フィルタの下流側における前記センサ周辺のPM量ΔBは、前記フィルタの下流側の排気中に含まれるPM量に相当する。すなわち、前記フィルタの上流側の排気中に含まれるPM量(ΔA)から、前記フィルタのPM捕集量(ΔPM)を減算したものが、前記センサ周辺のPM量ΔBとなる。これを式に表すと、「ΔB=ΔA−ΔPM」となり、上記関係式に基づきΔAを変換して、「ΔB=ΔPM×(100/C)−ΔPM」、さらにこれを変換することにより、上記関係式「ΔB=(ΔPM/C)×(100−C)」が得られる。
これら請求項6又は7に記載の発明によれば、上記関係式をもって、簡易な制御(演算)で的確に前記センサ周辺のPM量を推定(算出)することができるようになる。なお、これら請求項6又は7に記載の発明は、前記排気中PM量推定手段が、実質的に上記関係式に基づいて算出するものであれば足り、例えばそれら関係式に任意の係数や補正項等を加えた場合や、関係式中のパラメータを実質同一のパラメータに置換した場合等にあっても、基本的には上記効果又はその効果に準ずる効果は得られる。したがって、これらの場合についても、実質的には上記関係式に基づいて前記センサ周辺のPM量(ΔA又はΔB)を算出しているものとみなす。
請求項8に記載の発明では、請求項5〜7のいずれか一項に記載の装置において、前記フィルタは、捕集したPMを除去するための再生処理が施されるものであり、同フィルタの継続的な使用に伴うPM捕集量の増加度合に応じて前記PM捕集効率を更新しつつ同フィルタに対して前記再生処理が施された場合には該再生処理に伴うPM捕集量の減少に対応して前記PM捕集効率の値を再設定する捕集効率設定手段をさらに備えることを特徴とする。
フィルタのPM捕集効率は、同フィルタの継続的な使用に伴うPM捕集量の増加に従って向上する(効率が高くなる)。目詰まりによってフィルタの捕集性能が高まるからである。このため、上記PM捕集効率は、PM捕集量の増加度合に応じて随時更新することが望ましい。一方、こうしたPM捕集量の増加によりフィルタの目詰まりが進むと、やがて捕集性能が高くなり過ぎて排気の流れを妨げるようになる。このため一般には、程よい時期にフィルタに対して再生処理(例えば燃焼処理)を行うことにより、捕集されたPMを除去(例えば燃焼除去)してフィルタを再生するようにしている。しかしながら、このような再生処理がなされると、フィルタのPM捕集効率は、該再生処理に伴うPM捕集量の減少度合に対応して低下する。このため、同PM捕集効率にも、その減少に対応して値(初期値)を再設定することが望ましい。この点、上記構成によれば、上記捕集効率設定手段を備えることで、継続的な使用により時間の経過と共にPMがフィルタに堆積されていった場合にも、またそうして堆積したPMが再生処理によりリセット(例えば略ゼロまで除去)された場合にも、前記PM捕集効率はその都度の適正な値に設定されるようになる。
なお、酸素濃度センサがPM除去用フィルタ近傍に設けられている場合等には、基本的にはフィルタの再生時にその燃焼熱によって同センサに付着したPMも燃焼除去されることになるため、この場合には、前記PM捕集効率だけでなく前記センサ付着PM量についても同様のことがいえる。
すなわち、請求項9に記載の発明のように、請求項5〜8のいずれか一項に記載の装置において、前記フィルタは、捕集したPMを除去するための再生処理が施されるものであり、前記センサ付着PM量推定手段の推定値に基づき前記センサ付着PM量を更新しつつ同フィルタに対して前記再生処理が施された場合には該再生処理に伴う前記センサ付着PM量の減少に対応して前記センサ付着PM量の値を再設定するセンサ付着PM量設定手段をさらに備える構成なども有効である。なお、センサ付着PM量が除去されるほどセンサの出力は大きくなるため、フィルタ再生処理に伴う前記センサ付着PM量の減少度合を検出する場合には、例えば再生処理前後のセンサ出力の変化に基づいてこれを検出することが有効である。
請求項10に記載の発明では、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置において、前記酸素濃度センサが、同センサの少なくともセンシング部を加熱するヒータを備えたヒータ付センサであり、前記センサ付着PM量推定手段によるセンサ付着PM量が許容量を超えた場合に前記ヒータにより同センサの少なくともセンシング部を加熱して同センサに付着したPMを少なくとも前記許容量まで燃焼除去するヒータ制御手段を備えることを特徴とする。
対象とする酸素濃度センサについて、たとえその出力を補正しても性能劣化を判定しても、同センサにPMが付いたままになっていれば、いずれ出力誤差が大きなった時に同センサを交換しなければならなくなる。この点、上記構成によれば、センサに備え付けられた上記ヒータにより同センサの少なくともセンシング部に付着したPMは許容量まで燃焼除去することができるようになるため、同センサを継続的に長期にわたって使用することが可能になる。もっとも、その酸素濃度センサがPM除去用フィルタ近傍に設けられている場合等には、基本的にはフィルタの再生時にその燃焼熱によって同センサに付着したPMも燃焼除去されることになる。しかしこの場合も、フィルタ再生の周期よりも短い期間で許容量以上のPMがセンサに付着して同センサに出力誤差が生じてしまう懸念があるという意味では基本的に上述した課題に準ずる課題が残り、こうした課題を解決する上でも上記構成は有効である。
なお、加熱温度は、PMの自己燃焼温度(600℃程度)以上であって且つ、該酸素濃度センサが正常に動作する範囲内の温度であることが好ましい。また、センサ付着PM量が除去されるほどセンサの出力は大きくなるため、ヒータの加熱によるPM除去量を検出する場合には、例えば加熱前後のセンサ出力の変化に基づいてこれを検出することが有効である。
[第1の実施形態]
以下、本発明に係る電子制御装置を具体化した第1の実施形態を図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態に係る電子制御装置は、混合気の空燃比を検出するための酸素濃度センサの出力誤差(出力値や出力時期の誤差)を推定してそのセンサ出力の補正を行う電子制御装置である。そして、本実施形態では、この電子制御装置が、車両ディーゼルエンジン(内燃機関)についてのコモンレール式燃料噴射制御システムに搭載されている。
はじめに、図1を参照して、このシステムの構成について詳述する。
図1は、本実施形態に係る電子制御装置が搭載された車両制御システムの概要を示す構成図である。本実施形態のエンジンとしては、多気筒のレシプロエンジンを想定しているが、この図1においては、説明の便宜上1つのシリンダのみを図示している。
同図1に示されるように、このシステムは、コモンレール式の燃料噴射装置を備えたディーゼルエンジン10や、該エンジン10を制御するための各種センサ及びECU(電子制御装置)60等によって構築されている。
エンジン10においては、シリンダブロック11に形成されたシリンダ(気筒)12内にピストン13が収容され、そのピストン13の往復動により、図示しない出力軸としてのクランク軸が回転するようになっている。シリンダブロック11には、図示しない冷却水路が設けられており、その冷却水によりエンジン10が冷却されている。また、シリンダブロック11の上端面にはシリンダヘッド15が固定されており、そのシリンダヘッド15とピストン13上面との間には燃焼室16が形成されている。
シリンダヘッド15には、燃焼室16に開口する吸気ポート17と排気ポート18とが形成されており、これら吸気ポート17及び排気ポート18は、それぞれ図示しないカムによって駆動される吸気弁21と排気弁22とにより開閉されるようになっている。そして、吸気ポート17には外気を吸入するための吸気管23が接続され、排気ポート18には、燃焼ガスを排出するための排気管24(排気通路)が接続されている。
吸気管23には、吸気管23最上流部のエアクリーナ(図示略)を通じて吸入される新気量を検出するためのエアフロメータ31が設けられている。そして、このエアフロメータ31の下流側には、DCモータ等のアクチュエータによって電子的に開度調節される電子制御式のスロットルバルブ32と、このスロットルバルブ32の開度や動き(開度変動)を検出するためのスロットル開度センサ32aとがさらに設けられている。
他方、排気管24には、排気中の酸素濃度の変化に対してリニアに出力を変化させるリニア検出式の酸素濃度センサとしてのA/Fセンサ33a、及び排気温度を検出する排気温度センサ34aが設けられている。
図2に、A/Fセンサ33aの一例として、いわゆる積層タイプのヒータ付A/Fセンサの概観構造及び内部構造を示す。なお、この図2において、(a)はそのセンサの概観形状を示す側面図、(b)は同センサの内部構造を示す断面図である。
同図2に示されるように、このセンサ33aは、一体型のAl2O3ヒータ(図示略)を備えたセンサ素子331が、センシング部に相当するその先端部において外側カバー332及び内側カバー333により二重に被われて構成されている。そして、これら外側カバー332及び内側カバー333には、センシング対象となる排気を取り入れるための通気孔が側面(孔332a,333a)及び底面(孔332b,333b)に設けられており、これら通気孔を通じて内側カバー333内(センシング部)に取り込まれた排気中の酸素濃度が、センサ素子331によって検出されるようになっている。こうした通気孔による迷路構造によりこのセンサ33aの耐被水性は高められている。また、このセンサ33aは、上記ヒータによりセンサ素子331の少なくともセンシング部が作動温度(例えば700℃程度)まで加熱された状態で使用される。
また、こうしたセンサ33aが設けられた排気管24(図1)の、さらに下流側には、例えばPt(白金)等からなる酸化触媒35が設けられており、さらにこの酸化触媒35の下流側には、排気中のPMを捕集するDPF(Diesel Particulate Filter)36が設けられている。そして、このDPF36の下流側にも、排気温度を検出する排気温度センサ34bが設けられており、この排気温度センサ34bの検出値に基づいて、DPF36の温度(中心温度)を検出することができるようになっている。
ここでDPF36は、例えばコーディエライト等の耐熱性セラミックがハニカム状に成形された円筒多孔質構造のフィルタ基材を有して構成されており、エンジン10からの排気がこのDPF36の多孔質隔壁を通過する際には、排気中のPMが同DPF36に捕集されるようになっている。そして、PM捕集量が所定値を超えた場合には、このDPF36に対して燃焼処理(再生処理)が施され、その都度DPF36に捕集されたPMが燃焼され、無害化した炭酸ガスとして排出されることになる。またこの際、酸化触媒35の触媒作用により排気中のHCやCOが浄化されることで、連続的に再生を行った場合でも、DPF36は比較的低温で再生されることになる。DPF36の再生処理は、例えばエンジン10の動力を得る(出力トルクを生成する)ためになされるメインの燃料噴射から所定時間遅れた時期に1回又は多段噴射のポスト噴射を実行することによって行われる。なお、ディーゼルエンジンにおいては、自己着火による燃焼を行っているため、上記スロットルバルブ32は通常一定開度(例えば全開状態)に保持され、燃焼制御としては燃料量のコントロールが主となっている。しかし、DPF36の再生が必要になった場合には、排気温度を一定に保つ必要があるため、吸気量をきめ細やかに制御すべく、ECU60によりスロットルバルブ32の開度が頻繁に調整されるようになる。
さらに、このDPF36を備える排気管24には、DPF36入口付近の圧力とDPF36出口付近の圧力との差圧を検出する差圧センサ37が設けられている。そして、この差圧センサ37により検出される差圧は、DPF36による圧力損失に相当し、上記PM捕集によるDPF36の目詰まりの度合を示すものとなる。このため、この差圧を参照することにより、DPF36にて捕集されたPMの量(PM捕集量)を検出することができる。
一方、シリンダ12内において燃焼室16には、同燃焼室16内での燃焼に供される燃料(軽油)を噴射供給する電磁駆動式のインジェクタ(燃料噴射弁)27が配設されている。なお、ここでは便宜上1つのシリンダ(シリンダ12)に設けられたインジェクタ27のみを図示しているが、このようなインジェクタは、エンジン10の各シリンダに対して設けられている。そして、このインジェクタ27を含めたエンジン10の各インジェクタは、図示しない高圧燃料配管を介して蓄圧配管としてのコモンレールに接続されており、このコモンレールには、図示しない燃料ポンプから高圧燃料が逐次圧送され、噴射圧力に相当する高圧燃料が蓄えられるようになっている。エンジン10においては、これらインジェクタの開弁駆動により各シリンダに対して所要の量の燃料が随時噴射供給されている。こうしたコモンレールシステムでは、燃料噴射圧力が基本的にはエンジン10の運転条件(例えば回転速度や負荷等)に左右されないため、必要な時に必要な噴射量・噴射圧力で燃料を供給することができる。
すなわちエンジン10の運転時には、吸気弁21の開動作により吸入空気が吸気管23から燃焼室16内へ導入され、これがインジェクタ27から噴射供給された燃料と混ざり、混合気の状態でピストン13により圧縮されて着火(自己着火)、燃焼し、排気弁22の開動作により燃焼後の排気が排気管24へ排出されることになる。
さらに、このシステムは、排気の一部をEGR(排気ガス還流:Exhaust Gas Recirculation)ガスとして吸気系に還流させるためのEGR装置も備える。このEGR装置は、基本的には、吸気管23と排気管24とを連通するように設けられたEGR配管41と、このEGR配管41の通路面積をバルブ開度により調節する電磁弁等からなるEGRバルブ42とによって構成されている。また、EGR配管41には、当該配管内を通過するEGRガスを冷却するためのEGRクーラが設けられている。このEGR装置では、こうした構成に基づき、EGR配管41を通じて排気の一部を吸気系に再循環し、燃焼温度を下げることによりNOxの発生を低減している。なお、吸気系に再循環される排気量(EGR量)は、EGRバルブ42のバルブ開度が調節されることにより調整される。そして、EGRバルブ42が全閉状態の場合には燃焼室16内に吸入される吸入空気量と吸気管23に新たに取り込まれる新気量とが等しくなる(吸入空気量=新気量)ものの、この関係はEGRバルブ42のバルブ開度の変化に伴い崩れるため、このシステムにおいては、吸入空気量を、スロットルバルブ32とEGRバルブ42との協調制御により調整するようにしている。基本的には、エアフロメータ31により検出される新気量が排気流量(DPF36を通過する排気量)と等しくなるように制御される。
また、図示しない車両には、上記各センサのほかにもさらに、車両制御のための各種のセンサが設けられている。例えば、エンジン回転速度を検出するクランク角センサ(主回転速度センサ)及び気筒判別センサ(副回転速度センサ)等からなる回転速度センサ51や、運転者によるアクセルペダルの操作量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ52等が設けられている。
そして、こうしたシステムにおいて、電子制御装置として車両制御を行うECU60は、周知のマイクロコンピュータ(図示略)を備え、上記各種のセンサから逐次入力される検出信号に基づいてエンジン10を制御する。このECU60に搭載されるマイクロコンピュータは、基本的には、各種の演算を行うCPU(基本処理装置)、メインメモリとしてのRAM、プログラムメモリとしてのROM(読み出し専用記憶装置)、データ保存用メモリとしてのEEPROM(電気的に書換可能な不揮発性メモリ)等といった各種の演算装置及び記憶装置によって構成されている。そして、ROMには、当該A/Fセンサ33aに関する出力誤差推定、出力補正、及びセンサ性能の劣化判定に係るプログラムを含めたエンジン制御に係る各種のプログラムが、またデータ保存用メモリ(EEPROM)には、エンジン10の設計データをはじめとする各種の制御データが、それぞれ予め格納されている。
以上、本実施形態に係る車両制御システムの構成について詳述した。すなわち、エンジン10(図1)の搭載された車両(自動車)は、こうしたシステムにより制御される。そして、このシステムにおいては、例えばエンジン10の運転状態に応じた最適な燃料噴射量、噴射時期、噴射圧力、及びEGR量等が、ECU60による演算及び各種プログラムの実行のもとに、エンジン回転速度やスロットル開度、さらにはA/Fセンサ33a等により検出される空燃比等のエンジン運転情報に基づいて逐次算出され、これら算出された各パラメータに基づいて、それぞれエンジン10に対しフィードバック制御が行われている。
また上述したように、本実施形態では、混合気の空燃比を検出するためにエンジン排気系に配設されたA/Fセンサ33a(酸素濃度センサ)について、その出力誤差(出力値及び出力時期の誤差)を推定して、該センサ33aのセンサ出力の補正を行うようにしている。以下、図3〜図7を併せ参照して、このセンサ出力補正の一態様について詳述する。
図3は、本実施形態に係るセンサ出力補正処理についてその処理手順を示すフローチャート、図4は、図3の処理中で実行されるセンサ付着PM量の算出に係る処理手順を示すフローチャートである。なお、図3の一連の処理は、基本的には、ECU60によりROMに記憶されたプログラムが実行されることによって、例えば所定周期や所定クランク角ごとに逐次行われる。また、これら各図の処理において用いられる各種パラメータの値は、例えばECU60に搭載されたRAMやEEPROM等の記憶装置に随時記憶され、必要に応じて随時更新される。
同図3に示されるように、この一連の処理においては、まず、ステップS11で、DPF36に捕集されたPM量(PM捕集量)を算出する。具体的には、例えば差圧センサ37により検出される差圧や、排気温度センサ34aにより検出される排気温度、さらには排気流速等に基づいて、これを算出する。なお、排気流速は、例えば排気温度センサ34bにより検出されるDPF36出口付近の排気温度に基づいて、エアフロメータ31により質量流量として検出される新気量を体積流量(排気流量に相当)に変換し、この体積流量を通路面積で除する(体積流量/通路面積)ことにより求められるものである。また、このPM捕集量の算出に際しては、DPF36出口付近の排気温度に基づいて算出される排気粘度や排気密度、さらにはエンジン10の運転状態(回転速度、燃料噴射量、EGR量等)等も併せ加味するようにすれば、より高い精度で検出することも可能である。ここで、エンジン10から排出されるPMの性質(例えばDPF36やセンサ33aへの付着し易さ等)は、エンジン10の運転状態(例えば回転速度、燃料噴射量、EGR量等)から推定することが可能である。このため、PMに関する情報を得る場合には、適宜にエンジン10の運転状態を参照することが望ましい。
こうして、単位時間あたりのPM捕集量ΔPMとその総和であるPM捕集量PMS(=ΣΔPM)との双方を算出する。そして、このうちのPM捕集量PMSが、現にDPF36に捕集されているPM量に相当する。なお、前述したように、上記DPF36には、PM捕集量が所定値を超える都度、燃焼処理(再生処理)が施されるようになっているが、ここで算出されるPM捕集量PMSは、DPF36の再生処理を行う際にも用いることができる。また、PM捕集量PMSは、DPF36の再生処理が行われると減少するため、DPF36の再生時には、その減少に対応してPM捕集量PMSへ値(初期値)を再設定(更新)する。具体的には、例えばDPF36が再生される都度、PM捕集量PMSを初期値としての「0(ゼロ)」にリセットしたり、あるいは再生処理による減少分だけPM捕集量PMSを減少させたりする。
次に、続くステップS12で、A/Fセンサ33aに付着したPM量(センサ付着PM量X1)の算出(推定)に係る図4の一連の処理を実行する。
すなわち同図4に示すように、まずステップS121で、排気中のPMがDPF36に捕集される割合であるDPF36のPM捕集効率Cを算出する。図5に、PM捕集効率Cと、PM捕集量PMS(図3のステップS11で算出)及び排気流量との関係をそれぞれグラフとして示す。なお、このグラフは、発明者の実験やシミュレーションの結果として得られたものであり、これらパラメータの基本的な関係を示している。
同図5のグラフ中に実線L1a(PM捕集量PMS=小)及び一点鎖線L1b(PM捕集量PMS=中)及び二点鎖線L1c(PM捕集量PMS=大)で示されるように、DPF36のPM捕集量PMSが大きく(多く)なるほどそのPM捕集効率Cが大きくなる。また、排気流量が大きく(多く)なるほどPM捕集効率Cは小さくなる。本実施形態では、こうした関係に基づき、DPF36のPM捕集効率Cを、これらPM捕集量PMS及び排気流量、さらにはエンジン10の運転状態(回転速度、燃料噴射量、EGR量等)等に基づいて算出する。なお、PM捕集効率Cは、上述のDPF36再生時に、その再生処理に伴うPM捕集量PMSの減少度合に対応して低下することになる。このため、DPF36の再生時には、その減少に対応してPM捕集効率Cへ値(初期値)を再設定(更新)する。具体的には、例えばDPF36が再生される都度、PM捕集効率Cを初期値としての「0(ゼロ)」にリセットしたり、あるいは再生処理に伴うPM捕集量PMSの減少分だけPM捕集効率Cを減少させたりする。
次に、ステップS122で、A/Fセンサ33a周辺の排気中に含まれるPM量、すなわちDPF36の上流側の排気中に含まれるPM量を、DPF36のPM捕集効率CとPM捕集量ΔPMとに基づいて推定する。具体的には、例えばその時のセンサ33a周辺のPM量ΔAを、「ΔA=ΔPM×(100/C)」なる関係式(ΔPM:単位時間あたりのPM捕集量、C:DPF36のPM捕集効率(0〜100%))に基づいて算出する。
次に、ステップS123で、A/Fセンサ33a周辺の排気中に含まれるPMがセンサ33aに付着する割合であるPM付着係数Kを算出する。図6に、PM付着係数Kと、排気流量及び排気温度との関係をグラフとして示す。なお、このグラフは、発明者の実験やシミュレーションの結果として得られたものであり、これらパラメータの基本的な関係を示している。
同図6のグラフ中に実線L2a(排気流量=小)及び一点鎖線L2b(排気流量=中)及び二点鎖線L2c(排気流量=大)で示されるように、排気流量が大きく(多く)なるほど基本的にはPM付着係数K(センサ付着PM量)は大きくなる。また、排気温度センサ34aにより検出される排気温度が高くなるほどPM付着係数K(センサ付着PM量)は大きくなり、やがて「K=1」近傍で飽和する。しかもこの時、PM付着係数Kは、A/Fセンサ33aの温度ST(厳密にはセンサカバー周辺の温度)近傍で排気温度に対するPM付着係数K(センサ付着PM量)の増加率(グラフの傾き)が急に増大する。これについては、排気温度が低い場合には排気中のPM粒子がセンサ33aから熱エネルギーをもらうことでセンサ33aに付着することなく通り抜ける確率が高くなるためであると発明者は考えている。本実施形態では、こうした関係に基づき、PM付着係数Kを、これら排気流量及び排気温度(A/Fセンサ33a周辺の排気温度)、さらにはエンジン10の運転状態(回転速度、燃料噴射量、EGR量等)等に基づいて算出する。
次に、ステップS124で、「ΔX1=ΔA・K」なる関係式を解いて、すなわち単位時間あたりのセンサ33a周辺のPM量ΔAにPM付着係数Kを乗じて、単位時間あたりにA/Fセンサ33aに付着したPM量であるセンサ付着PM量ΔX1を算出するとともに、「X1=ΣΔX1」なる関係式に基づき、その総和としてセンサ付着PM量X1を算出(推定)する。ここで、単位時間あたりのセンサ付着PM量ΔX1の総和であるセンサ付着PM量X1は、現にA/Fセンサ33a(特にセンシング部におけるセンサ素子331やカバー332,333(図2))に付着しているPM量に相当する。
そして、このセンサ付着PM量X1の算出処理をもって、図4の一連の処理は終了することになる。なお、A/Fセンサ33aはDPF36の近傍に配設されており、上述のDPF36再生時にはその燃焼熱によって同センサ33aに付着したPMも燃焼除去されることになる。このため、DPF36の再生時にはセンサ付着PM量X1を更新するようにする。具体的には、例えばDPF36が再生される都度、センサ付着PM量X1を初期値としての「0(ゼロ)」にリセットしたり、あるいは再生処理前後のセンサ出力の変化に基づきその再生処理による減少分だけセンサ付着PM量X1を減少させたりする。そして、DPF36の再生処理に伴うセンサ付着PM量X1の減少度合を検出する場合には、例えば再生処理前後のセンサ出力の変化に基づいてこれを検出する。
次に、図3の処理に戻り、ステップS13で、A/Fセンサ33aについてのセンサ出力誤差の推定値に相当する上記センサ付着PM量X1に基づいて同センサ33aの性能劣化の度合を判定する。具体的には、所定の閾値を用いて「センサ付着PM量X1<閾値(許容量)」の条件が満足されるか否かを判断し、同ステップS13で、この条件を満たす(センサ付着PM量X1は閾値未満である)旨の判断がなされた場合には、A/Fセンサ33aの出力誤差は小さい、すなわち同センサ33aの性能劣化の度合は小さいとして、続くステップS14,S15で、同センサ33aの出力値に対して補正を行う。
すなわち、まずステップS14で、より厳密に上記A/Fセンサ33aの出力誤差を推定すべく、所定のマップを参照しつつ、同センサ33aの出力値に対する補正値としてのセンサ出力補正値CAF(センサ出力誤差に相当)を取得する。図7に、ここで用いるマップの一例を示す。なお、このマップは、例えば実験やシミュレーション等の結果として得られるものである。
同図7に示されるように、このマップは、センサ出力補正値CAFとセンサ付着PM量X1とを対応付けており、センサ付着PM量X1が少ないうちは、センサ付着PM量X1が増えるほど前述した燃焼による局所的な酸素低下(酸欠)が大きくなり、センサ出力が低下する(出力値が小さくなる)。このため、センサ付着PM量X1が増えるに従い、センサ出力補正値CAFは「1」から徐々に増大していくことになる。しかし、センサ付着PM量X1がさらに大きくなってセンサ33aでの燃焼限界に近づくと、前述した燃焼による酸素低下が起こらなくなることにより、センサ出力補正値CAFは一定値に飽和していくことになる。
こうしたマップに基づき、センサ出力補正値CAFを取得した後、続くステップS15で、センサ付着PM量X1に基づくセンサ出力誤差を補償すべくA/Fセンサ33aの出力値に対して補正を行う。具体的には、「Vo=Vo・CAF」なる関係式を解いて、すなわちA/Fセンサ33aの元の出力値Voにセンサ出力補正値CAFを乗じて、新たな出力値Voを算出、更新する。そして、このセンサ出力補正処理をもって、図3の一連の処理を終了する。
他方、ステップS13で、上記条件を満たさない(センサ付着PM量X1は閾値以上である)旨の判断がなされた場合には、A/Fセンサ33aの出力誤差は大きい、すなわち同センサ33aの性能劣化の度合は大きいとして、続くステップS16で、センサ素子331(図2)と一体に設けられたヒータにより、同センサ素子331及びカバー332,333を含めたセンサ33aの略全体を例えば「800℃」に加熱して同センサ33aに付着したPMの略全てを燃焼除去する。こうして、A/Fセンサ33aが再生されることになる。そしてこの場合は、この再生処理をもって、図3の一連の処理が終了することになる。なお、上記ヒータの加熱温度「800℃」は、PMの自己燃焼温度(600℃程度)以上であって且つ、A/Fセンサ33aが正常に動作する温度として設定されている。
ところで、上述のように、DPF36再生時にはその燃焼熱によって同センサ33aに付着したPMも燃焼除去されることになるため、こうしたセンサの再生処理は不要にも見える。しかしそれでも、このDPF36再生の周期よりも短い期間で許容以上のPMがセンサ33aに付着して同センサ33aに出力誤差が生じてしまうことがあるため、センサ33aを常に高精度に維持する上では、こうしたセンサの再生処理が有効になる。実際、発明者の試験では、DPF36の再生1回につきセンサ33aの再生を少なくとも20回程度行うことによって、センサ33aを常に高精度に維持することができた。
このように、本実施形態では、図3の一連の処理を繰り返し実行することにより、センサ付着PM量X1に基づいてA/Fセンサ33aの性能劣化の度合が判定され(図3のステップS13)、性能劣化の度合が大きいと判断された場合には、A/Fセンサ33aが再生され(図3のステップS16)、性能劣化の度合が小さいと判断された場合には、A/Fセンサ33aの出力値に対して補正(図3のステップS15)が行われる。また、DPF36の継続的な使用に伴うPM捕集量の増加度合(ΔPM,PMS)に応じてPM捕集効率Cが逐次更新され(図4のステップS121)、DPF36に対して再生処理が施された場合にはその再生処理に伴うPM捕集量PMSの減少に対応してPM捕集効率Cの値が再設定される。これにより、センサ出力誤差に基づく誤制御等は好適に防止されるようになる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
(1)A/Fセンサ33aの出力誤差を推定してそのセンサ出力の補正やセンサ性能の劣化判定を行うECU60(電子制御装置)として、A/Fセンサ33a周辺の排気中に含まれるPM量ΔAを推定するプログラム(排気中PM量推定手段)と、このプログラムにより求められたセンサ周辺のPM量ΔAに基づきA/Fセンサ33aに付着したPM量ΔX1,X1を推定するプログラム(センサ付着PM量推定手段)と、このプログラムにより推定されたセンサ付着PM量ΔX1,X1に基づいてA/Fセンサ33aの性能劣化の度合を判定するプログラム(センサ劣化度合判定手段)と、同センサ付着PM量ΔX1,X1に基づくセンサ出力誤差を補償すべくA/Fセンサ33aの出力値に対して補正を行うプログラム(センサ出力補正手段)と、を備える構成とした。これにより、一般的な自動車にあっても、良好な運転性(ドライバビリティ)を維持しつつ高い頻度でA/Fセンサ33aの出力誤差を推定してセンサ性能の劣化判定(図3のステップS13)やセンサ出力の補正(図3のステップS15)を行うことができるようになる。
(2)A/Fセンサ33aとして、センシング部に対するカバー332,333に通気孔(孔332a,333a,332b,333b)を備え、この通気孔を通じてセンシング部に取り込まれた排気の酸素濃度を検出するものを用いるようにした。こうした耐被水性に優れる構造のA/Fセンサ33aを用いて、その通気孔がPMで塞がれるようなことがあっても、上記各プログラムを備える構成とすることによりセンサ出力誤差に基づく誤制御等は好適に防止されることになる。また、センサ付着PM量の変化に対するセンサ出力誤差の変化量が大きくなることで、センサ出力誤差の推定精度も高められる。
(3)センサ付着PM量ΔX1,X1を推定する際、詳しくはPM付着係数Kを算出する際に、排気流量及び排気温度、さらにはエンジン10の運転状態に基づいて、これを算出するようにした(図4のステップS123)。センサ付着PM量ΔX1,X1(PM付着係数K)は排気流量や排気温度の影響を強く受けるものである(図6参照)ため、センサ付着PM量ΔX1,X1を精度よく推定する上では、これらパラメータの両方に基づいて推定する構成が特に有効である。
(4)センサ33a周辺のPM量ΔAを、「ΔA=ΔPM×(100/C)」なる関係式(ΔPM:単位時間あたりのPM捕集量、C:DPF36のPM捕集効率(0〜100%))に基づいて算出するようにした。これにより、DPF36捕集前の排気中に含まれているPM量が、選択的に、しかも容易且つ的確に推定されるようになる。
(5)DPF36の継続的な使用に伴うPM捕集量の増加度合(ΔPM,PMS)に応じてPM捕集効率Cを逐次更新し、DPF36に対して再生処理が施された場合にはその再生処理に伴うPM捕集量PMSの減少に対応してPM捕集効率Cの値を再設定するプログラム(捕集効率設定手段)を備える構成とした(図4のステップS121)。これにより、PM捕集効率Cはその都度の適正な値に設定されるようになる。
(6)センサ付着PM量ΔX1,X1を更新しつつDPF36に対して再生処理が施された場合にはその再生処理に伴うセンサ付着PM量X1の減少に対応してセンサ付着PM量X1の値を再設定するプログラム(センサ付着PM量設定手段)を備える構成とした。これにより、センサ付着PM量X1はその都度の適正な値に設定されるようになる。
(7)センサ付着PM量X1が許容量を超えた場合にA/Fセンサ33aのヒータにより同センサ33aの略全体を例えば「800℃」に加熱して同センサ33aに付着したPMの略全てを燃焼除去するプログラム(ヒータ制御手段)を備える構成とした。これにより、同センサ33aを継続的に長期にわたって使用することが可能になる。
(8)酸化触媒35及びDPF36の上流側に設けられたA/Fセンサ33aについて、上述のセンサ性能の劣化判定やセンサ出力の補正を行うようにした。これにより、同センサ33aを用いた空燃比やEGR等の制御についてその制御性が高く維持されるようになる。
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る電子制御装置を具体化した第2の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態に係る装置も、概ね先の図1に示した構成と同様の構成の車両制御システムに適用される。ただし、本実施形態に係る車両制御システムでは、図8に示すように、例えば上記A/Fセンサ33a(図1参照)のセンサ出力を補正するために、このセンサ33aとは別途、DPF36の下流側に対してさらにA/Fセンサ33bが設けられている。なお、このA/Fセンサ33bも、先の図2に概略構造を示したような積層タイプのヒータ付A/Fセンサである。以下、本実施形態に係る電子制御装置について第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
すなわち本実施形態でも、A/Fセンサ33aに対して上述のセンサ性能の劣化判定やセンサ出力の補正を行うことは、第1の実施形態と同様である。ただし本実施形態では、このA/Fセンサ33aに対してだけではなく、DPF36の下流側に設けられたA/Fセンサ33bに対しても、上述のセンサ性能の劣化判定やセンサ出力の補正を行うようにしている。先の図3等と併せ図9を参照して、以下にこのA/Fセンサ33bについての劣化判定及び補正態様をさらに詳しく説明する。
このA/Fセンサ33bについての劣化判定及び補正態様も、基本的には、A/Fセンサ33aについての劣化判定及び補正態様、すなわち第1の実施形態として図3〜図7に例示した内容に準ずるものとなる。ただし、センサ付着PM量の算出処理(図3のステップS12の処理に相当)の内容が少し異なる。
図9は、図3のステップS12の処理として実行されるA/Fセンサ33bに付着したPM量(センサ付着PM量X2)の算出に係る処理手順を示すフローチャートである。
同図9に示されるように、この算出処理においても、図4のステップS121〜S124に準ずるステップS221〜S224を経て、センサ付着PM量X2が算出される。ただし、ステップS222においては、A/Fセンサ33b周辺の排気中に含まれるPM量ΔB、すなわちDPF36の下流側の排気中に含まれるPM量を推定すべく、この時のセンサ33b周辺のPM量ΔBを、「ΔB=(ΔPM/C)×(100−C)」なる関係式(ΔPM:単位時間あたりのPM捕集量、C:DPF36のPM捕集効率(0〜100%))に基づいて算出するようにしている。こうすることで、DPF36捕集後の排気中に含まれているPM量が、選択的に、しかも容易且つ的確に推定されるようになる。なお、この場合も、DPF36の再生時にその減少に対応してPM捕集効率Cへ値(初期値)を再設定(更新)することは第1の実施形態と同様である。
なお、本実施形態におけるA/Fセンサ33bは、酸化触媒35及びDPF36の下流側に設けられているため、前述のA/Fセンサ33aよりも汚れにくい。したがって、図3のステップS16におけるセンサ再生処理の頻度(回数)は、センサ33aの場合よりも少なくて済む。ちなみに、発明者の試験では、DPF36の再生1回につきセンサ33bの再生を2〜3回程度行うことによって、同センサ33bを常に高精度に維持することができた。
このように、本実施形態では、先の図3の一連の処理を繰り返し実行することにより、センサ付着PM量X1,X2に基づいてA/Fセンサ33a,33bの性能劣化の度合が判定され(図3のステップS13)、性能劣化の度合が大きいと判断された場合には、A/Fセンサ33a,33bが再生され(図3のステップS16)、性能劣化の度合が小さいと判断された場合には、A/Fセンサ33a,33bの出力値に対して補正(図3のステップS15)が行われる。また、DPF36の継続的な使用に伴うPM捕集量の増加度合(ΔPM,PMS)に応じてPM捕集効率Cが逐次更新され(図4,図9のステップS121,S221)、DPF36に対して再生処理が施された場合にはその再生処理に伴うPM捕集量PMSの減少に対応してPM捕集効率Cの値が再設定される。これにより、センサ出力誤差に基づく誤制御等は好適に防止されるようになる。
以上詳述した本実施形態によれば、前記(1)〜(8)の効果と同様又は準ずる効果に加え、さらに以下の優れた効果が得られる。
(9)酸化触媒35及びDPF36の上流側に設けられたA/Fセンサ33aだけでなく、DPF36の下流側に設けられたA/Fセンサ33bについても、上述のセンサ性能の劣化判定やセンサ出力の補正を行うようにした。これにより、これらセンサ33a,33bを用いた空燃比やEGR等の制御についてその制御性がより高く維持されるようになる。
[他の実施形態]
・上記各実施形態について、図3のステップS16の後に、同ステップS16の加熱によりPMが除去されたか否かを検出する処理を設けるようにしてもよい。こうすることで、例えばA/Fセンサ33a,33bのヒータが故障した等の理由でセンサ付着PM量が低減されなかった場合には、警告灯等の報知装置によりそれを運転者等に知らせてセキュリティレベルの向上を図ることが可能になる。なお、PMが除去されたか否かの確認は、例えば加熱処理前後のセンサ出力の変化に基づいて行うことができる。
・上記各実施形態では、図3のステップS16において、A/Fセンサ33a,33bの略全体を加熱するようにしたが、少なくともセンシング部が加熱されれば(換言すれば、少なくともセンシング部に付着したPMが除去されれば)、少なくとも前記(7)の効果に準ずる効果は得ることができる。
・上記各実施形態では、同ステップS16において、同センサ33a,33bに付着したPMの略全てを燃焼除去するようにしたが、略全てを除去することは必須ではなく、少なくとも許容量までセンサ付着PM量を燃焼除去する構成であれば、少なくとも前記(7)の効果に準ずる効果は得ることができる。
・上記各実施形態では、同ステップS16の加熱処理を行うヒータとして、センシング部を作動温度に上昇させるために同センサ33a,33bに備え付けられたヒータを用いるようにした。しかし、設定温度が高温になることを考えれば、別途ヒータを設けるようにした構成なども有効である。またこの場合、センシング部のカバーに対してヒータを設けることも有効である。
・上記各実施形態では、センサ付着PM量を推定する際、詳しくはPM付着係数Kを算出する際に、排気流量及び排気温度、さらにはエンジン10の運転状態に基づいて、これを算出するようにした(図4,図9のステップS123,S223)。しかしこれに限定されず、排気流量及び排気温度の少なくとも一方に基づいてセンサ付着PM量を推定する構成であれば、少なくとも前記(3)の効果に準ずる効果は得ることができる。
・DPF36の上流側にA/Fセンサ33a(図1)を設けず、DPF36の下流側に設けられたA/Fセンサ33b(図8)だけについて、上述のセンサ性能の劣化判定やセンサ出力の補正を行うようにしてもよい。例えば空燃比について酸素濃度の定性的特性に基づく学習制御を行う場合等には、こうした構成が有効である。
・上記各実施形態においては、センサ付着PM量に基づいてA/Fセンサ33a,33bの性能劣化の度合を判定(図3のステップS13)し、性能劣化の度合の大小に応じて、センサの再生(図3のステップS16)やセンサ出力の補正(図3のステップS15)を行うようにした。しかしこれに限られず、例えば性能劣化の度合が小さい場合には出力補正もセンサ再生も行わずそのまま継続使用し、性能劣化の度合が大きい場合に出力補正を行うようにしてもよい。また、性能劣化の度合が小さい場合には出力補正を行い、性能劣化の度合が大きい場合には例えば警告灯の点灯やダイアグコードの記憶等といった適宜のフェイルセーフ処理を行うようにしてもよい。また、閾値を複数用いて、性能劣化の度合をより細かく判定し、性能劣化の度合が小さい順に、出力補正、センサ再生、フェイルセーフ処理といった処理を行うようにしてもよい。また、補正を行わず、性能劣化の度合に応じて、異なる色の警告灯を点灯させるようにしてもよい。こうした構成であれば、運転者等は警告灯の色によりセンサの性能劣化の度合を容易に把握することができるようになる。
・性能劣化の度合についての判定自体を行わずとも、センサ出力の補正を行うことは可能である。すなわち、図3のステップS13の判定処理を割愛して、例えば所定周期や所定クランク角ごとに逐次センサ出力の補正を行うようにしてもよい。
・上記各実施形態では、センサ周辺のPM量を逐次(例えば所定周期や所定クランク角ごとに)求める(更新する)構成としたが、センサ周辺のPM量が基本的に変化しないものである場合には、これに変化があった時のみにその変化後の値を求める(更新する)構成とすることも有効である。
・上記各実施形態では、PM捕集量が所定値を超える都度、DPF36の再生処理を実行するようにしたが、再生処理の実行条件(実行タイミング)は任意であり、例えば定期的にこれを実行するようにしてもよい。もっとも、再生処理の実行自体、必須の構成ではなく、これを実行しないシステムに対しても本発明を適用することはできる。
・上記各実施形態では、各種のソフトウェア(プログラム)を用いるようにしたが、専用回路等のハードウェアで同様の機能を実現するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、一例として車両ディーゼルエンジンのコモンレールシステムに本発明を適用した場合について言及したが、ガソリンエンジン(直噴エンジン)についても、基本的には同様に本発明を適用することができる。DPF等のPM除去用フィルタを持たない構成にあっては、エンジンの運転状態(例えば回転速度、燃料噴射量、EGR量等)のみによっても、酸素濃度センサ周辺の排気中に含まれるPM量を推定することは可能である。
・図2に示した構造は、あくまで本発明に係る装置で補正や劣化判定の対象とする酸素濃度センサの構造の一例であり、これに限定されることはない。すなわち、リニア検出式のA/Fセンサには限られず、A/Fセンサに代えて任意の酸素濃度センサを用いることができる。例えば酸素濃度の変化に対して2値的に出力を変化させるセンサ、すなわち空燃比のリッチ/リーンを検出するO2センサ等についても、本発明は同様に適用することができる。
本発明に係る電子制御装置の第1の実施形態について、該装置の適用された車両制御システムの概略を示す構成図。 第1の実施形態に係るA/Fセンサの一例について、(a)はそのセンサの概観形状を示す側面図、(b)は同センサの内部構造を示す断面図。 第1の実施形態に係るセンサ出力の補正処理についてその処理手順を示すフローチャート。 図3の処理中で実行されるセンサ付着PM量の算出に係る処理手順を示すフローチャート。 PM捕集効率とPM捕集量及び排気流量との関係をそれぞれ示すグラフ。 PM付着係数と排気流量及び排気温度との関係をそれぞれ示すグラフ。 センサ出力補正値を求める際に用いられるマップの一例を示すグラフ。 本発明に係る電子制御装置の第2の実施形態について、該装置の適用された車両制御システムの概略を示す構成図。 第2の実施形態に係るセンサ付着PM量の算出処理についてその処理手順を示すフローチャート。
符号の説明
10…ディーゼルエンジン、24…排気管、31…エアフロメータ、33a、33b…A/Fセンサ、34a、34b…排気温度センサ、35…酸化触媒、36…DPF(Diesel Particulate Filter)、37…差圧センサ、60…ECU(電子制御装置)、331…センサ素子、332、333…カバー、332a、332b、333a、333b…孔(通気孔)。

Claims (10)

  1. エンジンの排気通路に配設された酸素濃度センサの出力誤差を推定してそのセンサ出力の補正を行う電子制御装置において、
    前記酸素濃度センサ周辺の排気中に含まれるPM量を推定する排気中PM量推定手段と、
    前記排気中PM量推定手段により求められたセンサ周辺のPM量に基づき前記酸素濃度センサに付着したPM量を推定するセンサ付着PM量推定手段と、
    前記センサ付着PM量推定手段により推定されたセンサ付着PM量に基づきセンサ出力誤差を補償すべく前記酸素濃度センサの出力値に対して補正を行うセンサ出力補正手段と、
    を備えることを特徴とする電子制御装置。
  2. エンジンの排気通路に配設された酸素濃度センサの出力誤差を推定してそのセンサ性能の劣化判定を行う電子制御装置において、
    前記酸素濃度センサ周辺の排気中に含まれるPM量を推定する排気中PM量推定手段と、
    前記排気中PM量推定手段により求められたセンサ周辺のPM量に基づき前記酸素濃度センサに付着したPM量を推定するセンサ付着PM量推定手段と、
    前記センサ付着PM量推定手段により推定されたセンサ付着PM量に基づいて前記酸素濃度センサの性能劣化の度合を判定するセンサ劣化度合判定手段と、
    を備えることを特徴とする電子制御装置。
  3. 前記酸素濃度センサは、センシング部に対するカバーに1乃至複数の通気孔を備え、該通気孔を通じてセンシング部に取り込まれた排気の酸素濃度を検出するものである請求項1又は2に記載の電子制御装置。
  4. 前記センサ付着PM量推定手段は、排気流量及び排気温度の少なくとも一方に基づいて前記センサ付着PM量を推定するものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子制御装置。
  5. 前記エンジンの排気通路には、PMを捕集するフィルタが配設されており、前記排気中PM量推定手段は、排気中のPMが同フィルタに捕集される割合である前記フィルタのPM捕集効率と、同フィルタに捕集されたPM量である前記フィルタのPM捕集量とに基づいて、前記センサ周辺のPM量を推定するものである請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子制御装置。
  6. 前記酸素濃度センサは、前記フィルタの上流側に配設されたものであり、前記フィルタのPM捕集量をΔPM、前記フィルタのPM捕集効率(0〜100%)をCとした場合、前記排気中PM量推定手段は、前記センサ周辺のPM量ΔAを、実質的に「ΔA=ΔPM×(100/C)」なる関係式に基づいて算出するものである請求項5に記載の電子制御装置。
  7. 前記酸素濃度センサは、前記フィルタの下流側に配設されたものであり、前記フィルタのPM捕集量をΔPM、前記フィルタのPM捕集効率(0〜100%)をCとした場合、前記排気中PM量推定手段は、前記センサ周辺のPM量ΔBを、実質的に「ΔB=(ΔPM/C)×(100−C)」なる関係式に基づいて算出するものである請求項5に記載の電子制御装置。
  8. 前記フィルタは、捕集したPMを除去するための再生処理が施されるものであり、
    同フィルタの継続的な使用に伴うPM捕集量の増加度合に応じて前記PM捕集効率を更新しつつ同フィルタに対して前記再生処理が施された場合には該再生処理に伴うPM捕集量の減少に対応して前記PM捕集効率の値を再設定する捕集効率設定手段をさらに備える請求項5〜7のいずれか一項に記載の電子制御装置。
  9. 前記フィルタは、捕集したPMを除去するための再生処理が施されるものであり、
    前記センサ付着PM量推定手段の推定値に基づき前記センサ付着PM量を更新しつつ同フィルタに対して前記再生処理が施された場合には該再生処理に伴う前記センサ付着PM量の減少に対応して前記センサ付着PM量の値を再設定するセンサ付着PM量設定手段をさらに備える請求項5〜8のいずれか一項に記載の電子制御装置。
  10. 前記酸素濃度センサは、同センサの少なくともセンシング部を加熱するヒータを備えたヒータ付センサであり、
    前記センサ付着PM量推定手段によるセンサ付着PM量が許容量を超えた場合に前記ヒータにより同センサの少なくともセンシング部を加熱して同センサに付着したPMを少なくとも前記許容量まで燃焼除去するヒータ制御手段を備える請求項1〜9のいずれか一項に記載の電子制御装置。
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