本発明は、像担持体上のトナー像を記録媒体に静電的に転写する転写装置において、特に、クリーニング手段及び抵抗測定手段を備えた転写装置に関する。また、この転写装置を備えた、カラープリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
特開平8−248849号公報
特開2002―278400号公報
特開平11−161053号公報
従来から、電子写真方式を利用した画像形成装置が広く普及している。この画像形成装置は、感光体に一様に帯電し、画像情報に基づいた光を照射することにより静電静像を形成し、その静電静像を現像して感光体上に形成したトナー像を、直接に又は中間転写体を介して間接に記録媒体に転写し、記録媒体上に転写されたトナー像を定着して、記録媒体上に画像を形成するものである。
特許文献1、2等には、この画像形成装置に適用されるクリーニング装置であって、クリーニング部材として回転可能な導電性のクリーニングブラシを備え、バイアス電圧を印加することにより、感光体や中間転写ベルト上の残留トナーを静電的に清掃するクリーニング装置が開示されている。特許文献1では、複数のブラシロールを備え、それぞれ別のバイアス電圧を印加して、クリーニング性能を向上させている。また、特許文献2では、バイアス電圧が印加されるブラシロールと、別のバイアス電圧が印加される導電性金属よりなるバイアスロールとを備えたクリーニング装置において、特に、バイアスロールの表面に中抵抗素材を被覆するとともに、ブラシロールの導電性繊維として低抵抗素材を用いることで環境変動への適切な対応を施している。
また、特許文献3には、像担持体上のトナー像を転写材に転写させる転写手段を備えた画像形成装置において、転写域の抵抗を測定する転写域抵抗測定手段と、その抵抗に基づいて転写手段の転写条件を制御する転写条件制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置が開示されている。具体的には転写域に定電流を印加して電圧を測定し、それにより得られた抵抗値から最適な二次転写バイアスを決定している。この場合、転写部材としての二次転写ロールの清掃手段には、非導電性の、例えばウレタンゴムのクリーニングブレードが用いられている。
しかし、上記特許文献1又は2に開示されているクリーニング構成を特許文献3に開示された抵抗測定に適用した場合、図13に示すように、抵抗測定時に印加電流が転写部材である二次転写ベルト100の表面を伝わって導電性クリーニング部材103aへ流れてしまうため、結果として転写時のシステム抵抗は実際の値よりも小さく見積もることになってしまい、最適な二次転写バイアスの制御をすることができず、転写条件不良に伴う画質欠陥を引き起こすといった問題がある。
そこで、本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、像担持体又は転写部材を静電的に良好に清掃するとともに、像担持体と転写部材との間の抵抗を正確に測定でき、常に最適な転写電界を印加することができる転写装置、及び、この転写装置を備えて、良好で安定した画像形成を実現することができる画像形成装置を提供することにある。
本発明の転写装置は、記録媒体を像担持体との間に挟んで搬送する転写部材と、転写バイアス電源を有し該像担持体と該転写部材との間に転写バイアス電圧を印加する転写制御手段と、被清掃体である該像担持体又は該転写部材に当接可能に配設され導電部を有する導電性クリーニング部材の動作を制御して該被清掃体を清掃するクリーニング手段と、該像担持体と該転写部材との間の抵抗を測定する抵抗測定手段とを備えた転写装置であって、前記転写制御手段は、前記抵抗測定手段から前記抵抗の測定結果を受け、前記転写バイアス電源を制御して該像担持体上のトナー像を記録媒体に静電的に転写し、前記クリーニング手段は、前記被清掃体に前記導電性クリーニング部材の該導電部を当接させてクリーニングバイアス電圧を印加しつつ該被清掃体の表面上の残留トナーを除去し、前記抵抗測定時には該導電性クリーニング部材と該被清掃体との間の電流を流れなくすることを特徴とする。
本発明の一の形態の転写装置は、記録媒体を像担持体との間に挟んで搬送する転写部材と、転写バイアス電源を有し該像担持体と該転写部材との間に転写バイアス電圧を印加する転写制御手段と、被清掃体である該像担持体に当接可能に配設され導電部を有する導電性クリーニング部材の動作を制御して該像担持体を清掃するクリーニング手段と、該像担持体と該転写部材との間の抵抗を測定する抵抗測定手段とを備えた転写装置であって、前記転写制御手段は、前記抵抗測定手段から前記抵抗の測定結果を受け、前記転写バイアス電源を制御して該像担持体上のトナー像を記録媒体に静電的に転写し、前記クリーニング手段は、前記像担持体に前記導電性クリーニング部材の該導電部を当接させてクリーニングバイアス電圧を印加しつつ該像担持体の表面上の残留トナーを除去し、前記抵抗測定時には該導電性クリーニング部材と該像担持体との間の電流を流れなくすることを特徴とする。
本発明の他の形態の転写装置は、記録媒体を像担持体との間に挟んで搬送する転写部材と、転写バイアス電源を有し該像担持体と該転写部材との間に転写バイアス電圧を印加する転写制御手段と、被清掃体である該転写部材に当接可能に配設され導電部を有する導電性クリーニング部材の動作を制御して該転写部材を清掃するクリーニング手段と、該像担持体と該転写部材との間の抵抗を測定する抵抗測定手段とを備えた転写装置であって、前記転写制御手段は、前記抵抗測定手段から前記抵抗の測定結果を受け、前記転写バイアス電源を制御して前記像担持体上のトナー像を記録媒体に静電的に転写し、前記クリーニング手段は、前記転写部材に前記導電性クリーニング部材の該導電部を当接させてクリーニングバイアス電圧を印加しつつ該転写部材の表面上の残留トナーを除去し、前記抵抗測定時には該導電性クリーニング部材と該転写部材との間の電流を流れなくすることを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、前記本発明の転写装置を転写手段として備えたことを特徴とする。本発明の画像形成装置は、像形成手段と、前記本発明の転写装置と、定着手段とを備えた画像形成装置であって、該像担持体が中間転写体であり、該像形成手段を用いて感光体上に形成されたトナー像を該中間転写体上に一次転写し、該中間転写体上のトナー像を、該転写装置を用いて記録媒体に二次転写し、該記録媒体上に転写されたトナー像を、該定着手段を用いて定着する構成を採用することができる。
また、本発明の画像形成装置は、像形成手段と、前記本発明の転写装置と、定着手段とを備えた画像形成装置であって、該像担持体が感光体であり、該像形成手段を用いて該感光体上に形成されたトナー像を、該転写装置を用いて記録媒体に転写し、該記録媒体上に転写されたトナー像を、該定着手段を用いて定着する構成を採用することもできる。
本発明の転写装置によれば、導電性クリーニング部材を用いて像担持体又は転写部材を静電的に清掃するので、清掃時に強い圧着力で摺動することなく被清掃体上の残留トナーを略完全に清掃でき、長期間の使用での被清掃体の摩耗が防止できるとともに、抵抗測定時には、導電性クリーニング部材と被清掃体との間に電流が流れないので、像担持体と転写部材との間の抵抗を正確に測定でき、最適な転写電界を印加することができ、環境変動に影響されることなく良好で安定したトナー像の転写を実現することができる。
また、本発明の画像形成装置によれば、転写不良に起因した画像形成不良を防止することができ、環境変動に影響されることなく良好で安定した画像形成を実現することができる。
本発明の転写装置において、導電性クリーニング部材が被清掃体との接触幅より大きい幅の切れ込み部を有し、その抵抗測定時にそのクリーニング手段はその切れ込み部が被清掃体と非接触対向するように導電性クリーニング部材の回転を制御することによって、導電性クリーニング部材と被清掃体との間に電流が流れなくすることができる。
この構成の転写装置では、クリーニング手段が被清掃体上の残留トナーを略完全に清掃できるとともに、抵抗測定時に導電性クリーニング部材の切れ込み部が転写部材と非接触対向するので、導電性クリーニング部材と被清掃体との間を電気的に絶縁することができ、その間に電流が流れないので、像担持体と転写部材との間の転写当接部に記録媒体が進入した際の像担持体と転写部材との間の合成抵抗の見積もりに誤差が生じない。したがって、転写時に最適な転写電界を印加することができ、環境変動に影響されることなく良好で安定したトナー像の転写を実現することができる。
本発明の転写装置において、導電性クリーニング部材が被清掃体との接触幅より大きい幅の高抵抗部を有し、その抵抗測定時にそのクリーニング手段はその高抵抗部が被清掃体と接触対向するように導電性クリーニング部材の回転を制御することによっても、導電性クリーニング部材と被清掃体との間に電流が流れなくすることができる。また、その導電性クリーニング部材の高抵抗部は、150V印加時の体積抵抗率が2×107Ωcm以上の高抵抗材からなることが好ましく、150V印加時の体積抵抗率が2×108Ωcm以上の高抵抗材からなることがより好ましい。
この構成の転写装置では、クリーニング手段が被清掃体上の残留トナーを略完全に清掃できるとともに、抵抗測定時に導電性クリーニング部材の高抵抗部のみが転写部材に接触するので、被清掃体表面を伝わって導電性クリーニング部材と被清掃体との間に電流が流れないので、像担持体と転写部材との間の転写当接部に記録媒体が進入した際の像担持体と転写部材との間の合成抵抗の見積もりに誤差が生じない。したがって、転写時に最適な転写電界を印加することができ、環境変動に影響されることなく良好で安定したトナー像の転写を実現することができる。
また、本発明の転写装置において、導電性クリーニング手段が導電性クリーニング部材と被清掃体との間を接離自在にする駆動装置を有し、抵抗測定時に駆動装置が導電性クリーニング部材を被清掃体から離間させることによっても、導電性クリーニング部材と被清掃体との間に電流が流れなくすることができる。
この構成の転写装置では、クリーニング手段が被清掃体上の残留トナーを略完全に清掃できるとともに、抵抗測定時に駆動装置が導電性クリーニング部材を被清掃体から離間させるので、導電性クリーニング部材と被清掃体との間を電気的に絶縁することができ、その間に電流が流れないので、像担持体と転写部材との間の転写当接部に記録媒体が進入した際の像担持体と転写部材との間の合成抵抗の見積もりに誤差が生じない。したがって、転写時に最適な転写電界を印加することができ、環境変動に影響されることなく良好で安定したトナー像の転写を実現することができる。
本発明の転写装置において、被清掃体に当接する導電性クリーニング部材の導電部は、150V印加時の体積抵抗率が8×106Ωcm以下の低抵抗材からなることが好ましく、150V印加時の体積抵抗率が4×106Ωcm以下の低抵抗材からなることがより好ましい。
本発明の転写装置において、転写部材を清掃する転写部材用クリーニング手段は導電部を被清掃体である転写部材に当接してクリーニングバイアス電圧を印加しつつその転写部材の表面上の残留トナーを除去する一のみの導電性クリーニング部材を有する場合に限らず、複数の複数の導電性クリーニング部材を有することができる。複数の導電性クリーニング部材には、それぞれ異なるクリーニングバイアス電圧が印加されることが好ましい。
ただし、この転写部材用クリーニング手段が導電部を転写部材に当接してクリーニングバイアス電圧を印加しつつ転写部材の表面上の残留トナーを除去する複数の導電性クリーニング部材を有する場合であっても、抵抗測定時に、これら複数の導電性クリーニング部材の全てが、転写部材との間で電気的に絶縁される必要はなく、正確な抵抗測定に影響ない範囲で、これら複数の導電性クリーニング部材のうち、一の導電性クリーニング部材のみが、転写部材との間で電気的に絶縁されるように構成することができる。
具体的には、この場合、抵抗測定時には、転写部材用クリーニング手段は、複数の導電性クリーニング部材のうち像担持体と転写部材との間の転写当接部に最も近い一の導電性クリーニング部材のみを転写部材との間で電気的に絶縁することが好ましい。また、抵抗測定時には、転写部材用クリーニング手段は、複数の導電性クリーニング部材のうち、転写部材とは逆極性のクリーニングバイアス電圧が印加される一の導電性クリーニング部材のみを転写部材との間で電気的に絶縁する構成とすることが好ましい。
同様に、本発明の転写装置において、像担持体を清掃する像担持体用クリーニング手段は導電部を被清掃体である像担持体に当接してクリーニングバイアス電圧を印加しつつその像担持体の表面上の残留トナーを除去する一のみの導電性クリーニング部材を有する場合に限らず、複数の複数の導電性クリーニング部材を有することができる。複数の導電性クリーニング部材には、それぞれ異なるクリーニングバイアス電圧が印加されることが好ましい。
ただし、この像担持体用クリーニング手段が導電部を像担持体に当接してクリーニングバイアス電圧を印加しつつ像担持体の表面上の残留トナーを除去する複数の導電性クリーニング部材を有する場合であっても、抵抗測定時に、これら複数の導電性クリーニング部材の全てが、像担持体との間で電気的に絶縁される必要はなく、正確な抵抗測定に影響ない範囲で、これら複数の導電性クリーニング部材のうち、一の導電性クリーニング部材のみが、像担持体との間で電気的に絶縁されるように構成することができる。
具体的には、この場合、抵抗測定時には、像担持体用クリーニング手段は、複数の導電性クリーニング部材のうち像担持体と転写部材との間の転写当接部に最も近い一の導電性クリーニング部材のみを像担持体との間で電気的に絶縁することが好ましい。また、抵抗測定時には、像担持体用クリーニング手段は、複数の導電性クリーニング部材のうち、像担持体とは逆極性のクリーニングバイアス電圧が印加される一の導電性クリーニング部材のみを像担持体との間で電気的に絶縁する構成とすることが好ましい。
本発明の転写装置において、導電性クリーニング部材は、導電部が導線性ブラシ繊維からなる導電性ブラシとして構成することができる。また、本発明の転写装置において、導電性クリーニング部材は、略円柱形状乃至略扇柱形状であり、その回転軸を中心に回転し、その側面の導電部を被清掃体に当接して清掃する導電性ロールとして構成することもできる。更に、本発明の転写装置において、導電性クリーニング部材は、略円柱形状乃至略扇柱形状であり、その回転軸を中心に回転し、その側面の導線性ブラシ繊維からなる導電部を被清掃体に当接して清掃する導電性ブラシロールとして構成することもできる。
本発明の転写装置において、クリーニング手段は被清掃体の表面全体のうち少なくとも記録媒体と接触する部分の全体を清掃するように構成される必要があるが、クリーニング手段は被清掃体の外側面全体を清掃することが好ましい。導電性クリーニング部材が略円柱形状乃至略扇柱形状の導電性ロールである場合には、具体的には、その導電性ロールの回転軸方向の長さが被清掃体との接触長さよりも長いことが好ましい。これにより、その導電性ロールは回転軸を中心に回転し、その側面の導電部を被清掃体に当接して、被清掃体の外側面全体を清掃するように構成することができる。
本発明の転写装置において、抵抗測定手段としては、転写に必要な最適印加転写電界を決定するために、転写当接部を介して像担持体と転写部材との間の抵抗を測定又は換算し得る構成であれば適宜選定して差し支えなく、この間の抵抗を直接的に測定し得るものは勿論であるが、記録媒体の抵抗を含む合成抵抗を測定するものや、電流や電圧を測定して間接的に抵抗を測定し得るものをも含むものである。具体的には、(1) 像担持体と転写部材との間に一定電圧を印加し、リターン電流でその間の抵抗値を計測する、(2) 像担持体と転写部材との間に一定電流を印加し、リターン電圧でその間の抵抗値を計測する、(3) バックアップ部材と転写部材との間に一定電圧を印加し、リターン電流でその間の抵抗値を計測する、(4) バックアップ部材と転写部材との間に一定電流を印加し、リターン電圧でその間の抵抗値を計測する、(5) 感光体と転写部材との間に一定電圧を印加し、リターン電流でその間の抵抗値を計測する、(6) 感光体と転写部材との間に一定電流を印加し、リターン電圧でその間の抵抗値を計測する、(7) 特別な電気抵抗値測定手段にて、転写当接部に挟まれた状態の記録媒体や像担持体の抵抗値を計測する等が挙げられる。
本発明の転写装置において、転写制御手段としては、抵抗測定手段から前記抵抗の測定結果を受け、転写バイアス電源を制御して、像担持体と転写部材との間に転写バイアス電圧を印加することにより、像担持体上のトナー像を記録媒体に静電的に転写し得る構成であれば適宜選定して差し支えなく、像担持体の側に像担持体上のトナーの帯電極性と同極性の転写バイアス電圧を印加する構成を採用することができ、転写部材に側に像担持体上のトナーの帯電極性と逆極性の転写バイアス電圧を印加する構成を採用することもできる。
本発明の転写装置において、像担持体が無端帯状であり、像担持体の内面側に転写部材と対向して配設されたバックアップ部材を備える構成を採用することができ、バックアップ部材が筒形状のバックアップロールである構成を採用することができる。また、本発明の転写装置において、転写部材が無端帯状の転写ベルトであり、転写ベルトは記録媒体を像担持体との間に挟んで搬送するように配設された構成を採用することができ、転写ベルトが像担持体と対向して配設された筒形状の転写ロールに回転自在に張架されている構成を採用することができる。更に、本発明の転写装置において、転写部材が筒形状の転写ロールであり、転写ロールは記録媒体を前記像担持体と間に挟んで搬送するように配設された構成を採用することができる。本発明の転写装置では、導電性クリーニング部材を用いて静電的に清掃するので、被清掃体が無端帯状である場合には、特に、被清掃体の摩耗を大幅に低減できる点で好適である。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、これによって本発明は限定を受けるものではない。
図1は、本発明に係る実施例1の転写装置90を示す概略構成図である。転写装置90は、トナー像担持体であって矢印Bの向きに循環移動する無端帯形状の中間転写ベルト20と、転写部材であって、記録シートPを中間転写ベルト20との間に挟んで搬送するように中間転写ベルト20の外面側に二次転写ロール30及び支持ロール101に回転自在に張架されて配設され、矢印Eの向きに循環移動する無端帯形状の二次転写ベルト100と、中間転写ベルト20の内面側に二次転写ベルト100及び二次転写ロール30と対向して配設されたバックアップロール23と、電源210等からなる転写条件制御手段と、二次転写ベルト用クリーニング装置106と、システム抵抗測定器200等からなる抵抗測定手段と、を備えている。また、この転写装置90において、中間転写ベルト20と対向して配設された二次転写ロール30は接地されており、電源210から給電ロール31を介してバックアップロール23に転写バイアス電圧が印加されることにより、中間転写ベルト20と二次転写ベルト100との間に転写電界が形成され、中間転写ベルト20の外面上に形成されたトナー像が記録媒体である記録シートPに、中間転写ベルト20と二次転写ベルト100との間の転写当接部Nにて静電的に転写されるように構成されている。
システム抵抗測定器200等を含む抵抗測定手段は、給電ロール31を介してバックアップロール23と二次転写ロール30との間に一定電流を印加してその間の電圧を測定し、バックアップロール23と二次転写ロール30との間のシステム抵抗を換算するとともに、そのシステム抵抗の測定結果を転写条件制御手段に送るようになっている。
電源210等を含む転写条件制御手段は、温度、湿度等の環境測定手段や記録シートP(記録媒体)の種類・寸法等を検知する記録媒体判別手段を有しているほか、温度、湿度の変化や、記録シートPの種類等の環境に応じた、そのシステム抵抗の値と、転写当接部Nに記録シートPが進入した際のバックアップロール23と二次転写ロール30との間の合成抵抗の値との関係のテーブルをメモリ中に有している。
そして、転写条件制御手段は、抵抗測定手段からシステム抵抗の測定結果を受け、そのシステム抵抗の測定値から、その記録シートPの抵抗を含む合成抵抗を換算し、その合成抵抗に基づいて、温度、湿度の変化や、記録シートPの種類等の環境に応じて最適な二次転写条件を決定し、像担持体である中間転写ベルト20と転写部材である二次転写ベルト100との間に最適な転写電界を印加するように、電源210を制御できるように構成されている。具体的には、バイアス電源210が給電ロール31を介してバックアップロール23に対して負のバイアス電圧を印加することによって、負に帯電した中間転写ベルト20上のトナー像を記録シートPに静電的に転写するように構成されている。
クリーニング手段としての二次転写ベルト用クリーニング装置106が、二次転写ベルト100の表面上に、転写当接部Nの近傍であって、転写当接部Nの上流側に配設されている。このクリーニング装置106は、二つの導電性ブラシロール(導電性クリーニング部材)103a及び103b、デトーニングロール104a及び104b、並びに、スクレーパ105a及び105bを備える。複数のクリーニング部材のうち、導電性ブラシロール103aは転写当接部Nからより近い方に配設されており、導電性ブラシロール103bは転写当接部Nからより遠い方に配設されている。
導電性ブラシロール103a及び103bは、略円柱形状であってその側面に導電部を有し、その回転軸を中心に回転する。導電性ブラシロール103a及び103bの回転軸方向の長さは、二次転写ベルト100の長さ、即ち二次転写ベルト100との接触長さよりも長い。そして、二次転写ベルト用クリーニング装置106が、導電性ブラシロール103a及び103bの側面の導電部を二次転写ベルト100に当接してそれぞれ異なるクリーニングバイアス電圧を印加すると共に、二次転写ベルト100の外面上の残留トナーを除去し清掃するように構成されている。
二次転写ベルト用クリーニング装置106が被清掃体である二次転写ベルト100にクリーニングバイアス電圧を印加しつつ清掃する際においては、残留トナーの帯電分布は必ずしも均一でなく、異なる極性のトナーが混在しているので、複数のクリーニング部材のうち、一方の導電性ブラシロール103aと他方の導電性ブラシロール103bとには、それぞれ逆極性のバイアス電圧が印加される構成を採用することが好ましい。ここで、導電性ブラシロール103aには負のバイアス電圧が印加され、導電性ブラシロール103bには正のバイアス電圧が印加されるように構成されている。
二次転写ベルト100は矢印Eの向きに回転しており、二次転写ベルト用クリーニング装置106は、転写当接部Nよりもその回転方向上流側に配設されている。すなわち、二つのクリーニング部材のうち、一方の導電性ブラシロール103aは転写当接部Nの上流側であって最も近い方に配設され、他方の導電性ブラシロール103bは転写当接部Nの上流側であってより遠い方に配設されている。
被清掃体であって転写部材である二次転写ベルト100にバイアス電圧を印加しつつ清掃する際において、複数のクリーニング部材のうち、転写当接部Nの上流側であって最も近い方に配設された一方の導電性ブラシロール103aには、被清掃体である二次転写ベルト100の表面電位とは逆極性のクリーニングバイアス電圧が印加されることが好ましく、転写当接部Nの上流側であってより遠い方に配設された他方の導電性ブラシロール103bには、一方の導電性ブラシロール103aとは逆極性であって、かつ、被清掃体である二次転写ベルト100とは同極性のクリーニングバイアス電圧が印加されることが好ましい。
大多数の残留トナーには、二次転写ベルト100と逆極性の電荷が帯電されており、少数の残留トナーには、二次転写ベルト100と同極性の電荷が帯電されている。したがって、あらかじめ、その大多数の残留トナーとは逆極性のバイアス電圧が印加された導電性ブラシロール103bがその大多数の残留トナーを除去し、その後に、少数の残留トナーとは逆極性のバイアス電圧が印加された導電性ブラシロール103aがその少数の残留トナーを除去することが好ましい。ここで、二次転写ベルト100上の残留トナーのうち、帯電していないトナー、又は、二次転写ベルト100と同極性に弱く帯電しているトナーについては、あらかじめ、導電性ブラシロール103bによって、二次転写ベルト100と同極性側に強く帯電させる。これにより、その後に、導電性ブラシロール103aは、当初は帯電していなかった又は二次転写ベルト100と同極性に弱く帯電していた残留トナーをも除去することができる。
したがって、上記の様にクリーニングバイアス電圧の極性を構成することによって、被清掃体の表面を除電することにより表面電位をそろえると共に、被清掃体上に付着している残留トナーをより完全に除去して、より好適に二次転写ベルト100を清掃することができる。
デトーニングロール104aには、導電性クリーニング部材103aとは異なるバイアス電圧が印加され、導電性クリーニング部材103aに集められたトナーはデトーニングロール104aに移動し、更に、スクレーパ105aによって掻き取られるように構成されている。また、デトーニングロール104bには、導電性クリーニング部材103bとは異なるバイアス電圧が印加され、導電性クリーニング部材103bに集められたトナーはデトーニングロール104bに移動し、更に、スクレーパ105bによって掻き取られるように構成されている。
この二次転写ベルト用クリーニング装置106において、導電性ブラシロール103a及び103bは、金属製の支持軸の表面に接着剤を均一に塗布し、帯状の導電性繊維物を螺旋状に巻きつけて接合し、その略円柱形状の側面に導線性ブラシ繊維を起毛して、略円筒形状のロールとしたものである。帯状の導電性繊維物としては、体積抵抗率が150V印加時において1×105〜9×105Ωcmの導電性ブラシ繊維を、密度120,000本/(2.54mm)2となるように基布に編み込み、これを帯状に裁断したものを用いた。これらの導電性ブラシロールの導電部の体積抵抗率は、次の式で求めたところ、150V印加時において約2×105〜2×106Ωcmであった。
ρ’=(a+b)・ρ/2a
ただし、ρは帯状の導電性繊維物の体積抵抗率、ρ’はこの導電性繊維物を巻いて、内径a、外径bの円筒状の導電性ブラシロールとしたときの、その側面の導電部の平均の体積抵抗率である。導線性ブラシ繊維の長さは、およそ(b−a)に相当する。
この導電性ブラシ繊維には、ナイロン繊維に、導電性カーボンブラックの導電化剤を添加したものを用いた。この基布としては、経糸にスパンポリエステル(40/2REF)、緯糸にスパンポリエステル(20/2REF)を用い、カーボンコーティングしたものを用いた。
ここで、支持軸としては、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属製の丸棒が好ましい。導電性ブラシ繊維としては、ポリプロピレン、レーヨン、アクリル等の繊維にカーボンブラック等の導電化剤を添加して用いることもできる。接着剤としては、例えば、日東電工(株)#5000N又は#500の両面粘着テープを用いることができる。
また、この二次転写ベルト用クリーニング装置106において、この導電性ブラシロール103aは略円柱形状乃至略扇柱形状であり(図11)、表面の一部の導電性ブラシ繊維を切除して、幅d2の切れ込み部を設けた。導電性ブラシロール103aは、その回転軸を中心に回転し、側面の導電部を二次転写ベルト100に当接してバイアス電圧を印加すると共に、二次転写ベルト100の外面の残留トナーを除去し清掃する(図12)。この切れ込み部の幅d2は、二次転写ベルト100との接触幅d1より大きい。導電性ブラシロール103aにおいて、その切れ込み部の導電性ブラシ繊維の長さは、二次転写ベルト100と対向させたときに、導電性ブラシロール103aが二次転写ベルト100と非接触となるように決められている。
抵抗測定時にはこの切れ込み部が二次転写ベルト100と非接触対向するように、二次転写ベルト用クリーニング装置106によって導電性ブラシロール103aの回転が制御されている。そして、その抵抗測定時には、クリーニング装置106の導電性ブラシロール103aは、その切れ込み部が二次転写ベルト100と対向して二次転写ベルト100との間で電気的に絶縁される。
抵抗測定時には、導電性ブラシロール103aが被清掃体である二次転写ベルト100と非接触となるので、二次転写ベルト100の外面を伝わって二次転写ベルト100と導電性ブラシロール103aとの間に電流が流れない。したがって、正確な抵抗測定をすることができ、環境変動による転写部材抵抗の変化を誤差なく見積もることができる。そして、この転写装置90は、温度や湿度の変化、記録媒体の種類等に応じて最適な転写条件、特に、最適な転写バイアス電圧を決定することができ、従って、この転写装置90を備えた画像形成装置は、転写不良を防止して、常に良好な画質の画像を形成することが可能である。
ここで、抵抗測定時に導電性ブラシロール103bは二次転写ベルト100と接触した状態となるが、抵抗測定には影響がほとんどないことが確認された。複数のクリーニング部材のうち、導電性ブラシロール103aは転写当接部Nからより近い方に配設されているので、抵抗測定時に導電性ブラシロール103aが二次転写ロール30と接触した状態ならば、転写当接部Nを介して像担持体である中間転写ベルト20と転写部材である二次転写ロール30との間の抵抗を測定する際に影響が大きい。一方、複数のクリーニング部材のうち、導電性ブラシロール103bは転写当接部Nからより遠い方に配設されているので、抵抗測定時に導電性ブラシロール103bが二次転写ロール30と接触した状態でも、抵抗測定時の影響は小さい。
すなわち、クリーニング手段は、複数の導電性クリーニング部材のうち、像担持体と転写部材との間の転写当接部に最も近い一の導電性クリーニング部材のみを被清掃体との間で電気的に絶縁している。複数の導電性クリーニング部材のうち、全ての導電性クリーニング部材を被清掃体との間で電気的に絶縁する必要がないので、構成を簡略化することができる点で好ましい。
バックアップロール23と二次転写ロール30との間に一定電流を印加して抵抗測定を行うが、二次転写ベルト100の表面には正電荷が誘電される。この時、複数の導電性クリーニング部材のうち、導電性ブラシロール103aには負のバイアス電圧が印加されているので、導電性ブラシロール103aが二次転写ベルト100に接触すると、二次転写ベルト100から導電性ブラシロール103aへ電流が流れてしまい、バックアップロール23と二次転写ロール30との間の正確なシステム抵抗が測定できなくなる。一方、複数の導電性クリーニング部材のうち、導電性ブラシロール103bには正のバイアス電圧を印加しているので、導電性ブラシロール103bが二次転写ベルト100に接触していても、二次転写ベルト100と導電性ブラシロール103bとの間に流れる電流は無視することができる程であり、バックアップロール23と二次転写ロール30との間のシステム抵抗を測定することに影響はなかったと考えられる。
すなわち、クリーニング手段は、複数の導電性クリーニング部材のうち、被清掃体とは逆極性のクリーニングバイアス電圧が印加される一の導電性クリーニング部材のみを被清掃体との間で電気的に絶縁している。この場合も、複数の導電性クリーニング部材のうち、全ての導電性クリーニング部材を被清掃体との間で電気的に絶縁する必要がないので、構成を簡略化することができる点で好ましい。
また、クリーニング性能に関しても、導電性ブラシロール103a及び導電性ブラシロール103bに印加するクリーニングバイアス電圧をそれぞれ最適化することで良好であることは確認済みである。
本発明では、導電性クリーニング部材を用いて静電的に清掃するので、清掃時に強い圧着力で摺動する必要がなく、非導電性クリーニング部材を用いた場合に比べて負荷が軽減できるとともに、長期間の使用での転写部材の摩耗が防止できる効果を有する。本実施例においては、図1に示したように、転写部材として、二次転写ロール30及び支持ロール101に張架されて配設された無端帯形状の二次転写ベルト100の例を示したが、特に、無端帯形状の転写部材に適用した場合に、本効果が顕著であり、好適である。
次に、この実施例1の転写装置90を備えたカラー画像形成装置1について説明する。図2は、このカラー画像形成装置1を示す概略構成図である。このカラー画像形成装置1はカラープリンタとして使用可能なもののほか、複写機、ファクシミリ等や各種機能を複合させた複合機等の作像部および出力部として使用可能なものである。
カラー画像形成装置1は、外周面に有機感光層が形成され、矢線A方向に回転駆動する感光ドラム10を備え、この感光ドラム10の周囲には、帯電装置(例えばロール式の帯電装置)11、潜像書き込み装置(例えばレーザビームスキャナ)12、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(B)の各色のトナーが1色ずつ収容される現像器14Y,14M,14C,14Kを回転支持体13の周面にそって等間隔で配置してなるロータリー式現像装置14、中間転写ベルト20、一次転写後の感光ドラム10の表面を清掃する感光ドラム用クリーニング装置15等がこの順に配設されている。
中間転写ベルト20は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、塩化ビニル等の樹脂または各種ゴム等に帯電防止剤としてカーボンブラックを適当量含有させたもので幅が364.8mmあり、その体積抵抗率を106〜1014Ωcm、厚みを0.1mmとしたものである。感光ドラム10の一次転写位置となる表面に当接するような状態で複数の支持ロール21〜24(例えば、駆動ロール21、従動ロール22、二次転写バックアップロール23、テンションロール24)に張架され、矢線B方向へ回転駆動するように配設されている。ここで、感光ドラム10の表面移動速度は220mm/secであり、この速度に対して中間転写ベルト20は+0.25%の速度差を有して移動している。
この中間転写ベルト20の感光ドラム10と当接する一次転写位置には、その中間転写ベルト20の内面側から中間転写ベルト20を感光ドラム10に当接させて一次転写当接部N1を形成し、静電転写を実現する一次転写器(例えば一次転写ロール25)が配設されている。この一次転写ロール25は、幅が312mm、体積抵抗率が106〜108Ωcmの発泡ウレタンゴム製であり、図示されていないバイアス電源からトナーの帯電極性と逆極性の一次転写バイアス電圧が印加されるようになっている。また、中間転写ベルト20の周囲には、中間転写ベルト20の外面を二次転写後において清掃する中間転写ベルト用クリーニング装置50や、その中間転写ベルト20面に形成又は貼付される基準位置マークを検出するベルト位置検知センサー28が配設されている。
この中間転写ベルト20のバックアップロール23に張架されている二次転写位置には、その中間転写ベルト20の外面側に二次転写ロール30が配設されており、この二次転写ロール30に張架された二次転写ベルト100と中間転写ベルト20とが当接して二次転写当接部N2を形成する。このバックアップロール23は幅が344mmで、絶縁性ロールを半導電性の薄層フィルムで被覆して形成されており、この薄層フィルムは厚さ10μm〜200μmに形成されている。また、この二次転写位置においては、そのバックアップロール23の周面に当接する給電ロール31が配設されている。これにより、二次転写位置では、図示されていないバイアス電源からトナーの帯電極性と同極性の二次バイアス電圧が、その給電ロール31を介してバックアップロール23に印加されるようになっている。
二次転写ロール30は幅が350mmの接地された導電性ロールであり、その表面電位は常に接地位置と等電位に保たれている。二次転写ベルト100は、クロロプレン、EPDM等の各種ゴムに導電性カーボンブラックを分散させたものを基材とし、その外面にPTFE分散ウレタンエマルション等をコートしたものであり、体積抵抗率が106〜1012Ωcm、厚さが0.45mmとしたものである。
また中間転写ベルト20の周囲には、クリーニング用ブラシからなる中間転写ベルト用クリーニング装置50が、バックアップロール23とテンションロール24との間の、バックアップロール23の下流側であってかつテンションロール24寄りの位置に、中間転写ベルト20と対向するような状態で配設されている。
二次転写ロール30及びクリーニング装置50は、所定の変位機構により中間転写ベルト20に対して接離自在に配設されている。この実施形態では、カラー画像を形成する場合、そのカラー画像を構成する1色目のトナー像の一次転写前から最終色のトナー像が中間転写ベルト20に一次転写されるまでの間、二次転写ベルト100及びクリーニング装置50を中間転写ベルト20から離間させるように設定している。
カラー画像形成装置1は、記録媒体としての記録シートPを収容するシート収容トレイ35と、このシート収容トレイ35から記録シートPを送り出す送出機構36と、記録シートPを搬送する搬送ロール対37と、記録シートPを一旦停止させた後に二次転写タイミングに合わせて前記二次転写位置の中間転写ベルト20と二次転写ロール30との間の転写当接部N2に送りこむレジストロール対38とを備える。図2中に記録シートPの搬送経路を点線で示す。
カラー画像形成装置1は更に、定着装置40を備える。記録シートPに二次転写されたトナー像を定着処理するための定着装置40は、互いに圧接した状態で回転する加熱ロール41及び加圧ロール42を備えている。なお、加圧ロール42は加熱機能を兼備していてもよい。排出ロール対43は定着後の記録シートPを装置外へ排出する。
このカラー画像形成装置1による基本的な画像形成は、次のようにして行われる。まず、画像形成プロセスの開始の指示を受けると、画像形成装置内の温度及び湿度が測定され、像担持体と転写部材との間の抵抗を含むバックアップロール20と二次転写ロール30との間のシステム抵抗が測定されると共に、記録媒体の種類等が検知され、これらの各種の情報に基づいて、適切な二次転写条件を決定される。また、二次転写ロール30に張架された二次転写ベルト100及びクリーニング装置50が中間転写ベルト20に当接するとともに中間転写ベルト20及び二次転写ベルト100が空回転し、中間転写ベルト用クリーニング装置50及び二次転写ベルト用クリーニング装置106が、それぞれ所定のクリーニング動作をし、その後、二次転写ロール30に張架された二次転写ベルト100及びクリーニング装置50は中間転写ベルト20から離間する。
感光ドラム10が回転し始め、その表面が帯電器11によって所定の暗電位まで帯電された後、潜像書き込み装置12から画像信号に応じて発せられた光ビームBmによって露光がなされて静電潜像が形成される。続いて、現像装置14が、その回転支持体13を所定の角度だけ回転させて、静電潜像の色に対応するトナーが収容されている現像器(14Y,14M,14C,14K)を感光ドラム10と対向する現像位置まで移動させ、その状態で現像バイアス電圧を印加させて現像電界を発生させつつ当該静電潜像にトナーを付着させて現像する。
この現像により、感光ドラム10上に所定の色成分のトナー像Tが形成される。次いで、感光ドラム10上に形成されたトナー像Tは、その感光ドラム10の回転に伴って感光ドラム10と中間転写ベルト20が当接する一次転写当接部N1まで搬送され、また、このタイミングに合わせて一次転写ロール25に一次転写バイアス電圧が印加される。これにより、トナー像Tは、感光ドラム10と一次転写ロール25との間に形成される転写電界による静電的作用を受けて感光ドラム10から中間転写ベルト20の外面上に一次転写される。この一次転写後の感光ドラム10の表面は、クリーニング装置15によって残留トナー等が取り除かれて清掃される。
ここで、単色画像を形成する場合は、中間転写ベルト20上に一次転写された当該単色のトナー像Tが直ちに二次転写部で記録シートPに二次転写されるが、複数色のトナー像を重ね合わせたカラー画像を形成する場合には、前記した感光ドラム10上での当該各トナー像の形成並びに各トナー像の一次転写の工程が色数分だけ繰り返される。例えば、4色のトナー像を重ね合わせたフルカラー画像を形成する場合、感光ドラム10ではイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各トナー像がこの順で形成され、その形成順で中間転写ベルト20に次々と重ね合わせられるようにして一次転写される。
続いて、中間転写ベルト20に一次転写されたトナー像Tは、その中間転写ベルト20の回転に伴って中間転写ベルト20と二次転写ベルト100とが当接する二次転写当接部N2まで搬送され、また、このタイミングに合わせて二次転写ロール30に張架された二次転写ベルト100及びクリーニング装置50が中間転写ベルト20に当接するとともに、上記にて決定された二次転写条件で、バックアップロール23に給電ロール31を介して二次転写バイアス電圧が印加される。さらに、このタイミングに合わせて、記録シートPがシート収容トレイ36から各ロール対36〜38の搬送力により搬送されて、中間転写ベルト20と二次転写ベルト100との間の二次転写当接部N2に送り込まれる。これにより、トナー像Tは、そのバックアップロール23と二次転写ロール30との間で形成される転写電界による静電的作用を受けて中間転写ベルト20から記録シートPに一括して二次転写される。また、この二次転写後の中間転写ベルト20の外面は、クリーニング装置50によって残留トナー等が取り除かれて清掃される。
最後に、トナー像Tが二次転写された記録シートPは、定着装置40に送り込まれ、その加熱ロール41と加圧ロール42との間の圧接部を通過することによってトナー像の定着が行われる。しかる後、排出ロール43等により装置外へ排出される。このようにして基本的な画像形成が完了する。また、このような画像形成動作がすべて完了すると、二次転写ベルト100及びクリーニング装置50は再び中間転写ベルト20から離間した状態となる。
(実施例1変形例1)
実施例1において、クリーニング装置106は、二つの導電性ブラシロール103a及び103b、デトーニングロール104a及び104b、並びに、スクレーパ105a及び105bを備える構成を採用したが、これに代えて、図3に示したように、二次転写ベルト用クリーニング装置106が、導電性ロール103c及び103d、並びに、スクレーパ105c及び105dを備える構成とすることもできる。ここで、導電性ロール103c及び103dの側面は、150V印加時の体積抵抗率が8×106Ωcm以下の低抵抗材で形成される。
図3において、導電性ロール103cは被清掃体である二次転写ベルト100との接触幅より大きい幅の切れ込み部を有し、抵抗測定時には、二次転写ベルト用クリーニング装置106によって、その切れ込み部が二次転写ベルト100と非接触対向するように導電性ロール103cの回転が制御されている。これによって、実施例1の場合と同様に、このクリーニング装置106を備えた転写装置90は、二次転写ベルト100を静電的に良好に清掃できるとともに、システム抵抗を正確に測定できて、最適な二次転写電界を印加することができ、環境変動に影響されることなく良好で安定したトナー像の転写を実現することができる。
(実施例1変形例2)
実施例1においては、二次転写ベルト用クリーニング装置106が導電性クリーニング部材を備える構成を採用したが、これに代えて又はこれに加えて、中間転写ベルト用クリーニング装置50がクリーニング装置106と同様の導電性クリーニング部材を備える構成を採用することもできる。この場合には、中間転写ベルト用クリーニング装置50が導電性ブラシロール103a、デトーニングロール104a及びスクレーパ105aを備え、導電性ブラシロール103aは正のクリーニングバイアス電圧が印加されて、負に帯電した残留トナーを静電的に除去する。また、導電性ブラシロール103aは被清掃体である中間転写ベルト20との接触幅より大きい幅の切れ込み部を有して、抵抗測定時には、中間転写ベルト用クリーニング装置50によって、その切れ込み部が中間転写ベルト20と非接触対向するように導電性ブラシロール103aの回転が制御されている。
これによって、実施例1の場合と同様に、この中間転写ベルト用クリーニング装置50を備えた転写装置90は、中間転写ベルト20を静電的に良好に清掃できるとともに、システム抵抗を正確に測定できて、最適な転写電界を印加することができ、環境変動に影響されることなく良好で安定したトナー像の転写を実現することができる。
図4は、本発明に係る実施例2の転写装置90を示す部分概略構成図である。この転写装置90は、二次転写ベルト用クリーニング装置106を備える。
二次転写ベルト用クリーニング装置106において、導電性ブラシロール103aは略円柱形状であってその側面に導電部と、二次転写ベルト100との接触幅より大きい幅の高抵抗部(点線部分)とを有し、導電性ブラシロール103aの回転軸を中心に回転して、その側面の導電部を二次転写ベルト100に当接してクリーニングバイアス電圧を印加しつつ、二次転写ベルト100の外面の残留トナーを除去するように構成されている。
この導電性ブラシロール103aも、実施例1の場合と同様の材料を用いて作成したが、導電性カーボンブラックの量を調整することで、導電性ブラシロール103aの表面の一部には、図4で示すように、高抵抗部(点線部分)を配設した。この高抵抗部は、150V印加時の体積抵抗率が2×109Ωcmであった。そして、抵抗測定時にはこの高抵抗部が二次転写ベルト100と接触対向するように、二次転写ベルト用クリーニング装置106によってクリーニングブラシの回転が制御されている。
その他の構成は、この転写装置90が、システム抵抗測定器200を備え、その記録シートPが搬送された際のバックアップロール23と二次転写ロール30との間の合成抵抗を換算し、その合成抵抗に基づいて、温度、湿度の変化や記録シートPの種類等の環境に応じて最適な転写条件を決定できるように構成されている点を含めて、実施例1の転写装置90の場合と同様である。
抵抗測定時にはこの高抵抗部が二次転写ベルト100と接触対向するが、クリーニング装置106の導電性ブラシロール103aは、二次転写ベルト100との間で電気的に充分に絶縁され、二次転写ベルト100と導電性ブラシロール103aとの間に電流が流れないので、正確な抵抗測定をすることができる。そして、温度や湿度の変化、記録媒体の種類等の環境に応じて最適な転写条件を決定することができ、この転写装置90を備えた画像形成装置は、常に良好な画質の画像を形成することが可能である。
また、クリーニング性能に関しても、導電性ブラシロール103a及び導電性ブラシロール103bに印加するクリーニングバイアス電圧を最適化することで良好であることは確認済みである。
(実施例2変形例1、2)
表1に、導電性ブラシロールからなるクリーニング部材において、導電性ブラシ繊維の抵抗率を導電化剤の添加量を調節して変更することにより、高抵抗部の抵抗率を変えて画像形成装置を構成したときの画質を調べた結果を示した。変形例1、2並びに比較例1、2において、このほかの構成は、実施例2と同様である。比較例1、2で得られた画像では、抵抗測定に誤差が生じ、その結果転写不良となっていた。この結果から高抵抗部の体積抵抗率が2×107Ωcm以上であれば、この高抵抗部が転写部材と接触することで二次転写ベルト100と導電性ブラシロール103aとの間に電流が流れなくすることができ、正確な抵抗測定をすることができたことが分かる。そして、温度や湿度の変化、記録媒体の種類等の環境に応じて最適な転写条件を決定することができ、従って、これらの変形例に係る転写装置90を備えた画像形成装置は、常に良好な画質の画像を形成することが可能である。
(実施例2変形例3)
実施例2において、クリーニング装置106は、二つの導電性ブラシロール103a及び103b、デトーニングロール104a及び104b、並びに、スクレーパ105a及び105bを備える構成を採用したが、これに代えて、図5に示したように、二次転写ベルト用クリーニング装置106が、導電性ロール103c及び103d、並びに、スクレーパ105c及び105dを備える構成とすることもできる。ここで、導電性ロール103dの側面は、150V印加時の体積抵抗率が8×106Ωcm以下の低抵抗材で形成される。
ここで、二次転写ベルト用クリーニング装置106は、導電性ロール103cの側面には、150V印加時の体積抵抗率が8×106Ωcm以下の低抵抗材で形成された導電部と、被清掃体である二次転写ベルト100との接触幅より大きい幅の、体積抵抗率が2×109Ωcmの高抵抗部とを有する。抵抗測定時には、二次転写ベルト用クリーニング装置106によって、その高抵抗部が二次転写ベルト100と接触対向するように導電性ロール103cの回転が制御される。これによって、実施例2の場合と同様に、このクリーニング装置106を備えた転写装置90は、二次転写ベルト100を静電的に良好に清掃できるとともに、システム抵抗を正確に測定できて、最適な転写電界を印加することができ、環境変動に影響されることなく良好で安定したトナー像の転写を実現することができる。
図6は、本発明に係る実施例3の転写装置90を示す部分概略構成図である。この転写装置90は、二次転写ベルト用クリーニング装置106を備える。
ここで、二次転写ベルト用クリーニング装置106は、略円柱形状であってその側面に導電部を有する導電性ブラシロール103a及び103bを備え、導電性ブラシロール103aの回転軸を中心に回転して、それらの側面の導電部を二次転写ベルト100に当接してクリーニングバイアス電圧を印加しつつ、二次転写ベルト100を清掃し、その外面の残留トナーを除去するように構成されている。
この導電性ブラシロール103a及び103bは、実施例1の場合と同様の材料を用いて、略円柱形状に作成した。
ここで、二次転写ベルト用クリーニング装置106は、所定の変位機構を有する駆動装置により二次転写ベルト100に対して接離自在に配設され、抵抗測定時には、その駆動装置は導電性ブラシロール103a及び103bを二次転写ベルトから離間させるように制御されている。すなわち、抵抗測定時には、クリーニング装置106の導電性ブラシロール103a及び103bは、二次転写ベルト100との間で電気的に絶縁される。
その他の構成は、この転写装置90が、システム抵抗測定器200を備え、その記録シートPが搬送された際のバックアップロール23と二次転写ロール30との間の合成抵抗を換算し、その合成抵抗に基づいて、温度、湿度の変化や記録シートPの種類等の環境に応じて最適な転写条件を決定できるように構成されている点を含めて、実施例1の転写装置90の場合と同様である。
抵抗測定時には、導電性ブラシロール103a及び103bが転写部材である二次転写ベルト100と非接触になるので、二次転写ベルト100と導電性ブラシロール103a及び103bとの間に電流が流れない。したがって、正確な抵抗測定をすることができる。そして、温度や湿度の変化、記録媒体の種類等の環境に応じて最適な転写条件を決定することができ、この転写装置90を備えた画像形成装置は、常に良好な画質の画像を形成することが可能である。
また、クリーニング性能に関しても、導電性ブラシロール103a及び導電性ブラシロール103bに印加するクリーニングバイアス電圧を最適化することで良好であることは確認済みである。
(実施例3変形例1)
実施例3において、クリーニング装置106は、二つの導電性ブラシロール103a及び103b、デトーニングロール104a及び104b、並びに、スクレーパ105a及び105bを備える構成を採用したが、これに代えて、図7に示したように、二次転写ベルト用クリーニング装置106が、導電性ロール103c及び103d、並びに、スクレーパ105c及び105dを備える構成とすることもできる。ここで、導電性ロール103c及び103dの側面は、150V印加時の体積抵抗率が8×106Ωcm以下の低抵抗材で形成される。
図7で、二次転写ベルト用クリーニング装置106は、所定の変位機構を有する駆動装置により二次転写ベルト100に対して接離自在に配設され、抵抗測定時には、導電性ロール103c及び103dを二次転写ベルトから離間させるように構成されている。これによって、実施例3の場合と同様に、このクリーニング装置106を備えた転写装置90は、二次転写ベルト100を静電的に良好に清掃できるとともに、システム抵抗を正確に測定できて、最適な転写電界を印加することができ、環境変動に影響されることなく良好で安定したトナー像の転写を実現することができる。
図8は、本発明に係る実施例4のカラー画像形成装置1を示す概略構成図である。このカラー画像形成装置1は、本発明の転写装置90をタンデム構成の画像形成装置に適用したものである。図8において、図2と同一の符号を有する構成要素は、図2に示した構成要素と同様である。この図8のカラー画像形成装置1に適用された転写装置90でも、被清掃体である二次転写ベルト100に導電性クリーニング部材の導電部を当接させてクリーニングバイアス電圧を印加しつつその被清掃体の表面上の残留トナーを除去し、抵抗測定時にはその導電性クリーニング部材とその被清掃体との間に電流が流れなくするので、二次転写ベルト100を静電的に良好に清掃できるとともに、システム抵抗を正確に測定できて、最適な転写電界を印加することができ、環境変動に影響されることなく良好で安定したトナー像の転写を実現することができる。したがって、この転写装置90を備えたカラー画像形成装置1は良好で安定した画像形成を実現することができる。
(実施例4変形例1)
図9は、実施例4のカラー画像形成装置1において、二次転写ベルト100をなくし、二次転写ロール30を転写部材として構成し、二次転写ロール30が記録媒体を中間転写ベルト20との間に挟んで搬送するように配設されたカラー画像形成装置1を示す概略構成図である。このカラー画像形成装置1は、本発明の転写装置90をタンデム構成の画像形成装置に適用したものである。図9において、図2と同一の符号を有する構成要素は、図2に示した構成要素と同様である。この図9のカラー画像形成装置1に適用された転写装置でも、被清掃体である二次転写ロール30に導電性クリーニング部材の導電部を当接させてクリーニングバイアス電圧を印加しつつその被清掃体の表面上の残留トナーを除去し、抵抗測定時にはその導電性クリーニング部材とその被清掃体との間に電流が流れなくするので、二次転写ロール30を静電的に良好に清掃できるとともに、システム抵抗を正確に測定できて、最適な転写電界を印加することができ、環境変動に影響されることなく良好で安定したトナー像の転写を実現することができる。したがって、この転写装置を備えたカラー画像形成装置1は良好で安定した画像形成を実現することができる。
図10は、本発明に係る実施例4のカラー画像形成装置1を示す概略構成図である。このカラー画像形成装置1は、本発明の転写装置90を感光体ベルト9から直接に記録媒体に転写する構成の画像形成装置に適用したものである。図10において、図2と同一の符号を有する構成要素は、図2に示した構成要素と同様である。すなわち、このカラー画像形成装置1は、像担持体として、無端帯形状の感光体ベルト9を備え、感光体ベルト9上に形成されたトナー像を記録媒体に転写し、記録媒体上に転写されたトナー像を、定着装置90を用いて定着するように構成されている。
この図10のカラー画像形成装置1に適用された転写装置90でも、被清掃体である二次転写ベルト100に導電性クリーニング部材の導電部を当接させてクリーニングバイアス電圧を印加しつつその被清掃体の表面上の残留トナーを除去し、抵抗測定時にはその導電性クリーニング部材とその被清掃体との間に電流が流れなくするので、二次転写ベルト100を静電的に良好に清掃できるとともに、システム抵抗を正確に測定できて、最適な転写電界を印加することができ、環境変動に影響されることなく良好で安定したトナー像の転写を実現することができる。したがって、この転写装置90を備えたカラー画像形成装置1は良好で安定した画像形成を実現することができる。
図1は、実施例1の転写装置90を示す概略構成図である。
図2は、実施例1の転写装置90を備えたカラー画像形成装置1を示す概略構成図である。
図3は、実施例1変形例1の転写装置90を示す部分概略構成図である。
図4は、実施例2の転写装置90を示す部分概略構成図である。
図5は、実施例2変形例3の転写装置90を示す部分概略構成図である。
図6は、実施例3の転写装置90を示す部分概略構成図である。
図7は、実施例3変形例1の転写装置90を示す部分概略構成図である。
図8は、実施例4のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。
図9は、実施例4変形例1のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。
図10は、実施例5のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。
図11は、実施例1の導電性ブラシロールを示す斜視概略図である。
図12は、導電性ブラシロールと二次転写ベルトとの接触を示す概略図である。
図13は、参考例としての転写装置90を示す概略構成図である。
符号の説明
1:カラー画像形成装置、9:感光体ベルト(像担持体)、10:感光ドラム、11:帯電装置、12:潜像書き込み装置、14:ロータリー式現像装置、15:クリーニング装置、20:中間転写ベルト(像担持体)、21:駆動ロール、22:従動ロール、23:バックアップロール、24:テンションロール、25:一次転写ロール、28:ベルト位置検知センサー、30:二次転写ロール(転写部材)、31:給電ロール、36:シート収容トレイ、36〜38:ロール対、40:定着装置、41:加熱ロール、42:加圧ロール、43:排出ロール、50:中間転写ベルト用クリーニング装置(クリーニング手段)、90:転写装置、100:二次転写ベルト(転写部材)、101:支持ロール、103、103a、103b:導電性ブラシロール(導電性クリーニング部材)、103c、103d:導電性ロール(導電性クリーニング部材)、104、104a、104b:デトーニングロール、105、105a、105b:スクレーパ、106:二次転写ベルト用クリーニング装置(クリーニング手段)、200:システム抵抗測定器(抵抗測定手段)、210:バイアス電源、N、N1、N2:転写当接部、P:記録シート(記録媒体)、T:トナー像
×・・・画質に問題あり
○・・・画質に問題なし